(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】アミノ酸及びペプチド接合体及び接合方法
(51)【国際特許分類】
C07K 14/00 20060101AFI20221019BHJP
C07K 7/00 20060101ALI20221019BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221019BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
C07K7/00
A61P37/04
A61K39/00 H
(21)【出願番号】P 2018544904
(86)(22)【出願日】2017-02-24
(86)【国際出願番号】 IB2017051054
(87)【国際公開番号】W WO2017145097
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-21
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】501410698
【氏名又は名称】オークランド ユニサービシーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】マーガレット アン ブリンブル
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー マーティン ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ロードリック ダンバー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル バードン
【審査官】吉門 沙央里
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-523379(JP,A)
【文献】特表2012-502054(JP,A)
【文献】Muneaki KURINURA,Structure-activity relationship of lipopeptide from outer membrane of escherichia coli and synthesis of highly immunopotenting lipopeptide derivatives with an achiral lipo-part,Chem. Pharm. Bull,1993年,41(3),627-629
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(
IF)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物:
【化1】
前記式において
、
mは、2~6の整数であり;
nは、1または2であり;
Z1およびZ2は、それぞれ独立して
、-C(O)O-
、-C(O)NR-、
および-C(O)S
-からなる群から選択され;
R1、R2
、R6、およびR7は、m
およびnの各場合に、それぞれ独立して、水素またはC1~6脂肪族であり
;
R4およびR5は、それぞれ独立して、水素またはC1~6脂肪族であり;
R、R3、およびR8は、それぞれ独立して、水素またはC1~6脂肪族であり;
R9は、水素、C1~6脂肪族、アミノ保護基、L3-C(O)-、またはA2であり;
L1およびL2は、それぞれ独立して、C5~21脂肪族またはC4~20ヘテロ脂肪族から選択され;
L3は、C1~21脂肪族またはC2~20ヘテロ脂肪族であり;
A1は、アミノ酸、ペプチド、OH、OP1、NH
2、またはNHP2であり、ここで、P1は、カルボキシル保護基であり、P2は、カルボキサミド保護基であり;
A2は、アミノ酸またはペプチドであり;
ここで、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9
、L1、L2、およびL3のいずれかに存在する任意の脂肪族またはヘテロ脂肪族は、選択的に置換されており、
ここで、1)A1は、エピトープを含むペプチドであるか、あるいは、2)R9は、A2であり、かつエピトープを含むペプチドである。
【請求項2】
Z1およびZ2は、それぞれ
、-C(O)O
-である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mは2~5である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
mは2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
nは1である、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
L1およびL2は、それぞれ独立して、C5~21アルキルであり、および/またはL3は、メチルまたは線状C15アルキルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R1およびR2は、mの各場合に、それぞれ独立して、C1~6アルキルまたは水素であり、および/またはR3はC1~6アルキルまたは水素であり、および/またはR4およびR5は
、それぞれ独立して、C1~6アルキルまたは水素であり
、および/またはR6およびR7は、nの各場合に、それぞれ独立して、C1~6アルキルまたは水素であり、および/またはR8は独立して、C1~6アルキルまたは水素であり、および/またはR9は、C1~6アルキル、水素、アミノ保護基、L3-C(O)またはA2である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物は、下記式(ID)の化合物である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の化合物。
【化2】
【請求項9】
前記式(IF)の化合物は、
下記式:
【化3】
を有するか;または
下記式:
【化4】
を有するか;または
下記式:
【化5】
を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記エピトープはペプチドエピトープである、請求項1~
9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
L1およびL2が接合されている前記
化合物のアミノ酸が、N-末端アミノ酸残基であり、および/またはA1がセリンまたは第1のN-末端アミノ酸残基としてセリンを含むペプチドである、請求項1~
10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
前記ペプチドは、配列番号1~121のいずれか1つのアミノ酸配列の8個以上の連続アミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれからなるか、またはそれからなる、請求項1~
11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
1)A1が、8~220個のアミノ酸を含むペプチドであり、かつエピトープを含むか、あるいは、2)R9は、A2であり、かつエピトープを含むペプチドである、請求項1~
12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
有効量の請求項1~
13のいずれか一項に記載
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項15】
対象にワクチンを接種するか免疫応答を誘発する薬剤の製造における、請求項1~
13のいずれか一項に記載の1つ以上
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物、または請求項
14に記載の薬学的組成物、の使用。
【請求項16】
対象にワクチンを接種するか免疫応答を誘発するための、請求項1~
13のいずれか一項に記載の1つ以上
の化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を含む、請求項
14に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸及びペプチド接合体、アミノ酸及びペプチッド接合体の製造方法、前記方法により製造される接合体、前記接合体を含む薬学的組成物、対象における免疫応答を誘発する方法及び対象にワクチンを接種する方法、それらのための接合体の使用、及びそれらのための薬剤の製造における接合体の使用に関する。本発明はまた、本発明のアミノ酸-及びペプチド接合体の合成に有用な化合物の製造方法及びそのような化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ペプチドワクチンは、一般に、タンパク質抗原の免疫原性部分の合成コピーを含む。ワクチン開発へのこのようなアプローチは、多くの利点、例えば合成の容易さ、潜在的に有毒な生物学的副産物の回避、及び簡単な特性を有する。
【0003】
ペプチドワクチンの開発における重要な問題は、唯一のワクチン成分としてのペプチドにより示される免疫原性の欠如である。先天性免疫系の成分を活性化するように企画されたアジュバント(例えば、フロイントアジュバント)を、ワクチンに含めることは、通常必要である。
【0004】
ペプチドワクチン企画の他の手段は、目的のペプチドエピトープが適切なアジュバントに共有結合されている自己アジュバントワクチンを創造することである。そのような自己アジュバントワクチンは、外部アジュバントとの抗原の単純な同時配合に比較して、抗原取り込み、提示及び樹状細胞成熟を増強することができる。
【0005】
いくつかの自己アジュバントワクチンは、開発されてきたが、しかしワクチンの調製は複雑にされ得る。
【0006】
新規の自己アジュバントワクチン、及び自己アジュバントワクチンの新規製造方法についての継続的な必要性がある。それらの必要性を満たし;及び/または少なくとも有用な選択技術を公衆に提供することが、本発明の目的である。
【0007】
本発明の他の目的は、ほんの一例として与えられる以下の説明から明らかになるのであろう。
【0008】
本明細書に含まれている、文書、行為、材料、装置、物品又は同様のもののすべての議論は、本発明のための文脈を提供する目的のために過ぎない。それらの事項のいずれか又はすべては、従来技術基盤の一部を形成するか、又は優先日前に存在していた本発明に関連する分野において共通の一般的知識であったことは、容認されるものとして解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0009】
一態様において、本発明は、広範には下記式(I)のアミノ酸-またはペプチド接合体、またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物:
【0010】
【0011】
前記式において、
m及びwは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、vは、0~5の整数であり、
ただし:
m、v、及びwの合計は、少なくとも3であり;
m及びwの合計は、0~7であり;
nは、1または2であり;
Z1及びZ2は、それぞれ独立して、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-SO2-、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)NR-、-NRC(O)-、-C(O)S-、-SC(O)-、-OC(O)O-、-NRC(O)O-、-OC(O)NR-、及び-NRC(O)NR-からなる群から選択され;
R1、R2、Rx、Ry、R4、R5、R6、及びR7は、m、v、w、及びnの各場合に、それぞれ独立して、水素またはC1~6脂肪族であり、
R、R3、及びR8は、それぞれ独立して、水素またはC1~6脂肪族であり;
R9は、水素、C1~6脂肪族、アミノ保護基、L3-C(O)-、またはA2であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して、C5~21脂肪族またはC4~20ヘテロ脂肪族から選択され;
L3は、C1~21脂肪族またはC2~20ヘテロ脂肪族であり;
A1は、アミノ酸、ペプチド、OH、OP1、NH2、またはNHP2であり、ここで、P1は、カルボキシル保護基であり、P2は、カルボキサミド保護基であり;
A2は、アミノ酸またはペプチドであり;
ここで、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Rx、Ry、L1、L2、及びL3のいずれかに存在する任意の脂肪族またはヘテロ脂肪族は、選択的に置換される。
【0012】
本明細書に記載された実施形態または好ましい形態の任意のものは、他に言及がない限り、または文脈上他に指示されない限り、本明細書において単独で任意の態様、または本明細書に記載された任意の1つ以上の実施形態または好ましい形態の組み合わせに関する。
【0013】
様々な実施形態において、
R1、R2、Rx、Ry、R4、R5、R6、及びR7は、m、v、w、及びnの各場合に、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R、R3、及びR8は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R9は、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~6シクロアルキル、アミノ保護基、L3-C(O)、またはA2であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して、C5~21アルキル、C5~21アルケニル、C5~21アルキニル、またはC4~20ヘテロアルキルから選択され;
L3は、C1~21アルキル、C5~21アルケニル、C5~21アルキニル、C3~6シクロアルキル、またはC2~20ヘテロアルキルであり;
A1は、アミノ酸、ペプチド、OH、OP1、NH2、またはNHP2であり、ここで、P1は、カルボキシル保護基であり、P2は、カルボキサミド保護基であり;
A2は、アミノ酸またはペプチドであり;
ここで、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Rx、Ry、L1、L2、及びL3のいずれかに存在する任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはヘテロアルキルは、選択的に置換される。
【0014】
様々な実施形態において、
R1、R2、Rx、Ry、R4、R5、R6、及びR7は、m、v、w、及びnの各場合に、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R、R3、及びR8は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R9は、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C3~6シクロアルキル、アミノ保護基、L3-C(O)、またはA2であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して、C5~21アルキル、C5~21アルケニル、またはC4~20ヘテロアルキルから選択され;
L3は、C1~21アルキル、C5~21アルケニル、C3~6シクロアルキル、またはC2~20ヘテロアルキルであり;
A1は、アミノ酸、ペプチド、OH、OP1、NH2、またはNHP2であり、ここで、P1は、カルボキシル保護基であり、P2は、カルボキサミド保護基であり;
A2は、アミノ酸またはペプチドであり;
ここで、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Rx、Ry、L1、L2、及びL3のいずれかに存在する任意のアルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはヘテロアルキルは、選択的に置換される。
【0015】
様々な実施形態において、
R1、R2、Rx、Ry、R4、R5、R6、及びR7は、m、v、w、及びnの各場合に、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R、R3、及びR8は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R9は、水素、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、アミノ保護基、L3-C(O)、またはA2であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して、C5~21アルキル、C5~21アルケニル、またはC4~20ヘテロアルキルから選択され;
L3は、C1~21アルキル、C2-21アルケニル、C3~6シクロアルキル、またはC2~20ヘテロアルキルであり;
A1は、アミノ酸、ペプチド、OH、OP1、NH2、またはNHP2であり、ここで、P1は、カルボキシル保護基であり、P2は、カルボキサミド保護基であり;
A2は、アミノ酸またはペプチドであり;
ここで、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Rx、Ry、L1、L2、及びL3のいずれかに存在する任意のアルキル、アルケニル、シクロアルキルまたはヘテロアルキルは、選択的に置換される。
【0016】
様々な実施形態において、
R1、R2、Rx、Ry、R4、R5、R6、及びR7は、m、v、w、及びnの各場合に、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R、R3、及びR8は、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、またはC3~6シクロアルキルであり;
R9は、水素、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、アミノ保護基、L3-C(O)、またはA2であり;
L1及びL2は、それぞれ独立して、C5~21アルキルまたはC4~20ヘテロアルキルから選択され;
L3は、C1~21アルキル、C3~6シクロアルキル、またはC2~20ヘテロアルキルであり;
A1は、アミノ酸、ペプチド、OH、OP1、NH2、またはNHP2であり、ここで、P1は、カルボキシル保護基であり、P2は、カルボキサミド保護基であり;
A2は、アミノ酸またはペプチドであり;
ここで、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Rx、Ry、L1、L2、及びL3のいずれかに存在する任意のアルキル、シクロアルキルまたはヘテロアルキルは、選択的に置換される。
【0017】
様々な実施形態において、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、-C(O)O-、-C(O)NR-、及び-C(O)S-からなる群から選択される。
【0018】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、下記式(IA)の化合物である:
【0019】
【0020】
様々な実施形態において、vは、0~4、0~3、または0~2であるか、vは、0または1、例えば0である。
【0021】
特定の実施形態において、vは、0~3である。例示的な実施形態において、vは、0である。
【0022】
様々な実施形態において、m及びwは、それぞれ独立して、0~6、0~5、0~4、0~3、0~2、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、または1~2である。
【0023】
様々な実施形態において、m及びwは、それぞれ独立して、0~5である。
【0024】
特定の実施形態において、m及びwは、それぞれ独立して、1~4である。
【0025】
様々な実施形態において、mは、1~6、例えば2~6、1~5、または2~5である。様々な実施形態において、mは、1~5である。様々な実施形態において、mは、1~3である。例示的な実施形態において、mは、2である。
【0026】
様々な実施形態において、wは、1または2である。例示的な実施形態において、wは、1である。
【0027】
様々な実施形態において、m及びwの合計は、0~6、0~5、0~4、0~3、1~7、1~6、1~5、1~4、1~3、2~7、2~6、2~5、2~4、または2~3である。
【0028】
様々な実施形態において、m及びwの合計は、2~7である。
【0029】
特定の実施形態において、m及びwの合計は、2~5である。
【0030】
例示的な実施形態において、m及びwの合計は、3である。
【0031】
様々な実施形態において、vは、0~3であり;m及びwは、それぞれ独立して、0~5であり;m及びwの合計は、2~7である。
【0032】
様々な実施形態において、vは、1または0であり;m及びwは、それぞれ独立して、0~5であり;m及びwの合計は、2~7である。
【0033】
様々な実施形態において、vは、1または0であり;m及びwは、それぞれ独立して、1~4であり;m及びwの合計は、2~7である。
【0034】
様々な実施形態において、vは、1または0であり;m及びwは、それぞれ独立して、1~4であり;m及びwの合計は、2~5である。
【0035】
特定の実施形態において、vは、1または0であり;mは、1~6であり;wは、1または2である。特定の実施形態において、vは、1または0であり;mは、1~5であり;wは、1または2である。
【0036】
特定の実施形態において、vは、0または1であり;mは、1~3であり;wは、1または2である。
【0037】
例示的な実施形態において、vは、0であり;mは、2であり;wは、1である。
【0038】
例示的な実施形態において、nは、1である。
【0039】
特定の実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C5~21脂肪族、例えば、C9~21脂肪族、C11~21脂肪族、またはC11~、C13~、C15~、C17~、またはC19~脂肪族である。
【0040】
特定の実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C5~21アルキルである。
【0041】
様々な実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C9~21アルキルである。別の実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C11~21アルキルである。
【0042】
様々な例示的な実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C11、C13、C15、C17、またはC19アルキル、好ましくはn-アルキルである。
【0043】
様々な特に考慮される実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C15アルキルである。
【0044】
様々な実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、9~21個の炭素原子の直鎖を含む。
【0045】
例示的な実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、線状C15アルキルである。いくつかの実施形態において、L3は、C1~21アルキルである。
【0046】
様々な実施形態において、L3は、メチルまたは線状C15アルキルである。
【0047】
例示的な実施形態において、L3は、メチルである(すなわち、R9は、アセチルである)。
【0048】
いくつかの実施形態において、アミノ保護基は、Boc、Fmoc、Cbz(カルボキシベンジル)、ノシル(o-またはp-ニトロフェニルスルホニル)、Bpoc(2-(4-ビフェニル)イソプロポキシカルボニル)及びDde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソヘキシリデン)エチル)である。
【0049】
様々な実施形態において、アミノ保護基は、BocまたはFmocである。
【0050】
いくつかの実施形態において、アミノ保護基は、Fmocである。
【0051】
いくつかの実施形態において、カルボキシル保護基は、tert-ブチル、ベンジルまたはアリ―ルである。
【0052】
様々な実施形態において、カルボキサミド保護基は、Dcmpまたはトリチルである。
【0053】
様々な実施形態において、R1及びR2は、mの各場合に、それぞれ独立して、C1~6アルキルまたは水素である。様々な特に考慮される実施形態において、R1及びR2は、mの各場合に、それぞれ水素である。
【0054】
様々な実施形態において、R3は、C1~6アルキルまたは水素である。様々な特に考慮される実施形態において、R3は、水素である。
【0055】
様々な実施形態において、R4及びR5は、wの各場合に、それぞれ独立して、C1~6アルキルまたは水素、好ましくは水素である。様々な特に考慮される実施形態において、R4及びR5は、wの各場合に、それぞれ水素である。
【0056】
様々な実施形態において、Rx及びRyは、vの各場合に、それぞれ独立して、C1~6アルキルまたは水素である。様々な特に考慮される実施形態において、Rx及びRyは、vの各場合に、それぞれ水素である。
【0057】
様々な実施形態において、R6及びR7は、nの各場合に、それぞれ独立して、C1~6アルキルまたは水素である。様々な特に考慮される実施形態において、R6及びR7は、それぞれ水素である。
【0058】
様々な実施形態において、R8は、独立して、C1~6アルキルまたは水素である。例示的な実施形態において、R8は、水素である。
【0059】
様々な実施形態において、R9は、C1~6アルキル、水素、アミノ保護基、L3-C(O)、またはA2である。例示的な実施形態において、R9は、水素、アミノ保護基、L3-C(O)、またはA2である。
【0060】
様々な実施形態において、R8は、水素であり、R9は、水素、アミノ保護基、L3-C(O)またはA2である。
【0061】
様々な実施形態において、R8及びR9は、それぞれ水素であるか;R9は、L3-C(O)またはA2である。
【0062】
様々な実施形態において、R8は、水素であり、R9は、L3-C(O)である。様々な特に考慮される実施形態において、R9は、L3-C(O)であり、ここで、L3は、メチルである。
【0063】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、下記式(IF)の化合物である。
【0064】
【0065】
前記式において、mは、2~6、好ましくは2の整数で、残りの変数は、式(I)の化合物またはそのいずれかの実施形態において定義される通りである。
【0066】
様々な実施形態において、式(IF)の化合物は、下記式(IF-1)の化合物である。
【0067】
【0068】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、下記式(IB)の化合物である。
【0069】
【0070】
前記式において、
kは、0~4の整数であり;
Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、水素またはC1~6脂肪族である。
【0071】
様々な実施形態において、式(IB)の化合物は、下記式(IC)の化合物である。
【0072】
【0073】
様々な実施形態において、kは、0~3、0~2、0~1、1~4、1~3、または1~2であるか、kは、0または1である。
【0074】
特定の実施形態において、kは、0~3である。
【0075】
特定の実施形態において、kは、0または1である。
【0076】
例示的な実施形態において、kは、0である。
【0077】
特定の実施形態において、kは、vと同じである。
【0078】
様々な実施形態において、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、またはC3~6シクロアルキルである。
【0079】
様々な実施形態において、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、またはC3~6シクロアルキルである。
【0080】
様々な実施形態において、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、またはC3~6シクロアルキルである。
【0081】
様々な実施形態において、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ独立して、水素またはC1~6アルキル、好ましくは水素から選択される。例示的な実施形態において、Ra、Rb、及びRcは、それぞれ水素である。
【0082】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、下記式(ID)の化合物である。
【0083】
【0084】
特定の実施形態において、化合物は、L1及びL2が、それぞれ線状C15アルキルである式(ID)の化合物である。
【0085】
様々な実施形態において、L1及びL2が、それぞれ独立して、C11~21アルキルであり;mは、2であり;vは、0であり;wは、1であり;R1及びR2は、各場合に、それぞれ水素であり;R3は、水素であり;R4及びR5は、それぞれ水素である。
【0086】
様々な実施形態において、nは、1であり;R6、R7、及びR8は、それぞれ水素であり;R9は、水素、アミノ保護基、L3-C(O)、またはA2である。
【0087】
様々な実施形態において、nは、1であり;R6、R7、及びR8は、それぞれ水素であり;R9は、水素、アミノ保護基、またはL3-C(O)であり、ここで、L3は、線状C15アルキルまたはメチルである。
【0088】
様々な実施形態において、L1及びL2は、それぞれ独立して、C11~21アルキルであり;mは、2であり;vは、0であり;wは、1であり;R1及びR2は、各場合に、それぞれ水素であり;R3は、水素であり;R4及びR5は、それぞれ水素であり;nは、1であり;R6、R7、及びR8は、それぞれ水素であり;R9は、水素、アミノ保護基、またはL3-C(O)であり、ここで、L3は、線状C15アルキルまたはメチルである。
【0089】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、下記式(IE)を有する。
【0090】
【0091】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(IEE)を有する。
【0092】
【0093】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(IE-1)を有する。
【0094】
【0095】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(IEE-1)を有する。
【0096】
【0097】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(IE-2)を有する。
【0098】
【0099】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(IEE-2)を有する。
【0100】
【0101】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(IEE-3)を有する。
【0102】
【0103】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(IEE-4)を有する。
【0104】
【0105】
様々な実施形態において、脂質部分が接合されているアミノ酸-またはペプチド接合体のアミノ酸は、システイン残基である。
【0106】
当業者は、特定の実施形態において、部分L1-Z1-及びL2-Z2-が、脂肪酸基、例えば、脂肪酸エステルであり得ることを理解するであろう。様々な実施形態において、部分は、飽和または不飽和脂肪酸エステルであり得る。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、飽和される。
【0107】
様々な実施形態において、脂肪酸は、C4~22脂肪酸である。いくつかの実施形態において、脂肪酸は、C6~22脂肪酸である。
【0108】
特定の実施形態において、脂肪酸はC10~22脂肪酸である。特に考慮される特定の実施形態において、脂肪酸はC12~22脂肪酸である。様々な例示的な実施形態において、脂肪酸はC12、C14、C16、C18またはC20脂肪酸である。
【0109】
いくつかの実施形態において、脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、α-リノレン酸、及びアラキドン酸である。
【0110】
様々な実施形態において、脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、またはステアリン酸である。
【0111】
特定の例示的な実施形態において、脂肪酸はパルミチン酸である(及び、部分L1-Z1-及びL2-Z2-は、それぞれパルミトイル基である)。
【0112】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、アミノ酸-接合体である。
【0113】
いくつかの実施形態において、A1はOH、OP1、NH2またはNHP2であり/あるか、R9は水素、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、アミノ保護基またはL3-C(O)である。
【0114】
いくつかの実施形態において、A1はOP1またはOHでありあるか、R9は水素、アミノ保護基またはL3-C(O)である。
【0115】
様々な実施形態において、A1はOH、OP1、NH2またはNHP2であり、R9は水素、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、アミノ保護基またはL3-C(O)である。
【0116】
様々な実施形態において、A1はOHまたはOP1であり、R9は水素、アミノ保護基またはL3-C(O)である。
【0117】
様々な実施形態において、R9は、水素、アミノ保護基またはL3-C(O)である。いくつかの実施形態において、R9は、水素またはL3-C(O)である。
【0118】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、ペプチド接合体である。
【0119】
様々な実施形態において、A1及び/またはA2は、アミノ酸またはペプチドである。
【0120】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはA2は、ペプチドである。
【0121】
一実施形態において、A1及び/またはA2は、エピトープを含むペプチドである。
【0122】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはA2は、ペプチドエピトープを含むペプチドである。
【0123】
別の実施形態において、A1及び/またはA2は、ペプチドであり、前記ペプチドは、ペプチドエピトープを含む。
【0124】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはA2は、エピトープによって置換されたペプチドである。
【0125】
いくつかの実施形態において、エピトープは、リンカー基を介してペプチドに結合される。
【0126】
特定の実施形態において、A1はペプチドである。
【0127】
特定の例示的な実施形態において、A1はペプチドであり、R9はA2ではない(すなわち、R9はアミノ酸またはペプチドではない)。
【0128】
様々な実施形態において、前記ペプチドはエピトープを含む。
【0129】
様々な実施形態において、エピトープはペプチドエピトープである。
【0130】
特定の実施形態において、エピトープは、リンカー基を介してカップリングされるか、結合される。
【0131】
様々な実施形態において、脂質部分が接合されたペプチド接合体のアミノ酸は、N-末端アミノ酸残基である。
【0132】
様々な実施形態において、A1はセリンまたは、第1のN-末端アミノ酸残基としてセリンを含むペプチドである。
【0133】
いくつかの実施形態において、A1は、第1のN-末端アミノ酸残基としてセリンを含むペプチドである。
【0134】
様々な実施形態において、ペプチド接合体は、1つ以上の可溶化基を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖内に2つ以上の親水性アミノ酸残基を含むアミノ酸配列を含む。
【0136】
様々な実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖内に2つ以上の連続する親水性アミノ酸残基の配列を含むアミノ酸配列である。
【0137】
様々な実施形態において、2つ以上の親水性アミノ酸残基は、セリン残基に隣接する。
【0138】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはA2は、可溶化基を含むペプチドである。
【0139】
様々な実施形態において、A1及び/またはA2は、ペプチド鎖内に2つ以上の親水性アミノ酸残基を含むアミノ酸配列を含む可溶化基を含むペプチドである。
【0140】
特定の実施形態において、A1は、ペプチド鎖内に2つ以上の親水性アミノ酸残基を含むアミノ酸配列を含む可溶化基を含むペプチドである。
【0141】
いくつかの実施形態において、A1は、第1のN-末端アミノ酸残基としてセリンを含み、ペプチド鎖内にセリンに隣接した2つ以上の親水性アミノ酸残基を含むアミノ酸配列を含む可溶化基を含むペプチドである。
【0142】
いくつかの実施形態において、前記化合物は、リンカーまたはその1つ以上のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、リンカーまたはその1つ以上のアミノ酸を含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、脂質部分が結合されたアミノ酸にリンカーを介して結合されたペプチドエピトープを含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、2つ以上のエピトープを含む。
【0145】
いくつかの実施形態において、前記ペプチドは、ペプチド抗原を含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、リンカーは、約2~20、2~18、2~16、2~14、2~12、2~10または2~8個のアミノ酸長さのアミノ酸配列である。
【0147】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、3個以上、4個以上、または5個以上の連続するアミノ酸を含む。
【0148】
様々な実施形態において、ペプチド接合体はリポペプチドである。
【0149】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、自己アジュバントペプチドである。
【0150】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはA2は、それぞれ独立して、約8~220、8~200、8~175、8~150、8~125、8~100、8~90、8~80、8~70、8~60、8~50、8~40、8~30、8~25、8~20または8~15個のアミノ酸を含むペプチドである。例示的な一実施形態において、A1及びA2は、それぞれ独立して、約8~60個のアミノ酸を含むペプチドである。
【0151】
他の実施形態において、A1及び/またはA2は、それぞれ独立して、約8~220、8~200、8~175、8~150、8~125、8~100、8~90、8~80、8~70、8~60、8~50、8~40、8~30、8~25、8~20または8~15個のアミノ酸を含むペプチドである。
【0152】
他の実施形態において、A1及び/またはA2は、それぞれ独立して、約5~150、5~125、5~100、5~75、5~60、5~50、5~40、5~30、5~25、5~20、8~150、8~125、8~100、8~75、8~60、8~50、8~40、8~30、8~25または8~20個のアミノ酸を含むペプチドである。
【0153】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはA2は、それぞれ独立してペプチドであり、前記ペプチドは、8~60個のアミノ酸を含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはA2は、それぞれ独立してペプチドエピトープを含むか、ペプチドエピトープで置換されたペプチドであり、前記ペプチドエピトープは、8~60個のアミノ酸を含む。
【0155】
適切なペプチドエピトープは、限定なく、2015年12月22日付に出願されたWO2016/103192に記載されたものを含み、同文献の全体は本明細書に参照として組み込まれる。
【0156】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、1つ以上のEBV LMP2エピトープを含むか、それは実質的になるか、それらからなる。様々な実施形態において、1つ以上のEBV LMP2エピトープは、MHCIエピトープである。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号76~101のいずれか1つからなる群から選択される1つ以上のEBV LMP2エピトープを含む。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの8個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの12個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの15個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるか、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの20個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。
【0157】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの12個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなる組換えペプチドを含む。様々な実施形態において、組換えペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの15個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるか、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの20個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなる。
【0158】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、それらからなるか、実質的にそれらからなる。
【0159】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、下記:
(a)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:1]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(b)配列Xaa1Xaa2Xaa3DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:2]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(c)配列Xaa1Xaa2DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:3]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(d)配列SKKKKDRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:4]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(e)配列DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:5]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(f)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4SLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:6]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(g)配列Xaa1Xaa2Xaa3SLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:7]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(h)配列Xaa1Xaa2SLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:8]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(i)配列SKKKKSLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:9]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(j)配列SLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:10]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(k)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4SDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:11]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(l)配列Xaa1Xaa2Xaa3SDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:12]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(m)配列Xaa1Xaa2SDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:13]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(n)配列SKKKKSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:14]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(o)配列SDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGL[配列番号:15]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(p)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:16]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(q)配列Xaa1Xaa2Xaa3DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:17]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(r)配列Xaa1Xaa2DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:18]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(s)配列SKKKKDRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:19]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(t)配列DRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEA[配列番号:20]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(u)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4LLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLL[配列番号:21]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(v)配列Xaa1Xaa2Xaa3LLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLL[配列番号:22]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(w)配列Xaa1Xaa2LLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLL[配列番号:23]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(x)配列SKKKKLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLL[配列番号:24]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(y)配列LLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLL[配列番号:25]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(z)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:26]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(aa)配列Xaa1Xaa2Xaa3LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:27]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(bb)配列Xaa1Xaa2LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:28]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(cc)配列SKKKKLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:29]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(dd)配列LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:30]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(ee)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILL[配列番号:31]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(ff)配列Xaa1Xaa2Xaa3LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILL[配列番号:32]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(gg)配列Xaa1Xaa2LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILL[配列番号:33]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(hh)配列SKKKKLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILL[配列番号:34]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(ii)配列LMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILL[配列番号:35]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(jj)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4LLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:36]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(kk)配列Xaa1Xaa2Xaa3LLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:37]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(ll)配列Xaa1Xaa2LLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:38]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(mm)配列SKKKKLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:39]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(nn)配列LLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLA[配列番号:40]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(oo)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4LNLTTMFLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASALIAGGSI[配列番号:41]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(pp)配列Xaa1Xaa2Xaa3LNLTTMFLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASALIAGGSI[配列番号:42]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(qq)配列Xaa1Xaa2LNLTTMFLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASALIAGGSI[配列番号:43]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(rr)配列SKKKKLNLTTMFLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASALIAGGSI[配列番号:44]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(ss)配列LNLTTMFLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASALIAGGSI[配列番号:45]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(tt)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4FLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASA[配列番号:46]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(uu)配列Xaa1Xaa2Xaa3FLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASA[配列番号:47]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(vv)配列Xaa1Xaa2FLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASA[配列番号:48]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(ww)配列SKKKKFLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASA[配列番号:49]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(xx)配列FLLMLLWTLVVLLICSSCSSCPLSKILLARLFLYALALLLLASA[配列番号:50]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(yy)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4LQGIYVLVMLVLLILAYRRRWRRLTVCGGIMFLACVLVLIVDAVLQLSPLL[配列番号:51]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸、
(zz)配列Xaa1Xaa2Xaa3LQGIYVLVMLVLLILAYRRRWRRLTVCGGIMFLACVLVLIVDAVLQLSPLL[配列番号:52]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(aaa)配列Xaa1Xaa2LQGIYVLVMLVLLILAYRRRWRRLTVCGGIMFLACVLVLIVDAVLQLSPLL[配列番号:53]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(bbb)配列SKKKKLQGIYVLVMLVLLILAYRRRWRRLTVCGGIMFLACVLVLIVDAVLQLSPLL[配列番号:54]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(ccc)配列LQGIYVLVMLVLLILAYRRRWRRLTVCGGIMFLACVLVLIVDAVLQLSPLL[配列番号:55]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(ddd)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4SGNRTYGPVFM(C)(S)LGGLLTMVAGAVWLTVMSNTLLSAWILTAGFLIFLIGFA[配列番号:56]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(eee)配列Xaa1Xaa2Xaa3SGNRTYGPVFM(C)(S)LGGLLTMVAGAVWLTVMSNTLLSAWILTAGFLIFLIGFA[配列番号:57]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(fff)配列Xaa1Xaa2SGNRTYGPVFM(C)(S)LGGLLTMVAGAVWLTVMSNTLLSAWILTAGFLIFLIGFA[配列番号:58]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(ggg)配列SKKKKSGNRTYGPVFM(C)(S)LGGLLTMVAGAVWLTVMSNTLLSAWILTAGFLIFLIGFA[配列番号:59]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(hhh)配列SGNRTYGPVFM(C)(S)LGGLLTMVAGAVWLTVMSNTLLSAWILTAGFLIFLIGFA[配列番号:60]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(iii)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4SNEEPPPPYEDPYWGNGDRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPP[配列番号:61]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(jjj)配列Xaa1Xaa2Xaa3SNEEPPPPYEDPYWGNGDRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPP[配列番号:62]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(kkk)配列Xaa1Xaa2SNEEPPPPYEDPYWGNGDRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPP[配列番号:63]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(lll)配列SKKKKSNEEPPPPYEDPYWGNGDRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPP[配列番号:64]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(mmm)配列SNEEPPPPYEDPYWGNGDRHSDYQPLGTQDQSLYLGLQHDGNDGLPP[配列番号:65]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(nnn)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4GNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEAGRGSMNPVCLPVIVAPYLFWLAAIAAS[配列番号:66]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(ooo)配列Xaa1Xaa2Xaa3GNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEAGRGSMNPVCLPVIVAPYLFWLAAIAAS[配列番号:67]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(ppp)配列Xaa1Xaa2GNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEAGRGSMNPVCLPVIVAPYLFWLAAIAAS[配列番号:68]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(qqq)配列SKKKKGNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEAGRGSMNPVCLPVIVAPYLFWLAAIAAS[配列番号:69]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(rrr)配列GNDGLPPPPYSPRDDSSQHIYEEAGRGSMNPVCLPVIVAPYLFWLAAIAAS[配列番号:70]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(sss)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4AAIAASCFTASVSTVVTATGLALSLLLLAAVASSYAAAQRKLLTPVTVLT[配列番号:71]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸、
(ttt)配列Xaa1Xaa2Xaa3AAIAASCFTASVSTVVTATGLALSLLLLAAVASSYAAAQRKLLTPVTVLT[配列番号:72]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(uuu)配列Xaa1Xaa2AAIAASCFTASVSTVVTATGLALSLLLLAAVASSYAAAQRKLLTPVTVLT[配列番号:73]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであるか、親水性アミノ酸であり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(vvv)配列SKKKKAAIAASCFTASVSTVVTATGLALSLLLLAAVASSYAAAQRKLLTPVTVLT[配列番号:74]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(www)配列AAIAASCFTASVSTVVTATGLALSLLLLAAVASSYAAAQRKLLTPVTVLT[配列番号:75]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(xxx)配列番号:1~75のいずれか1つの配列、
(yyy)ESNEEPPPPY[配列番号:76]、
SNEEPPPPY[配列番号:77]、
HSDYQPLGT[配列番号:78]、
PLGTQDQSL[配列番号:79]、
PLGTQDQSLY[配列番号:80]、
PLGTQDQSLY[配列番号:80]、
LGTQDQSLY[配列番号:81]、
GTQDQSLYL[配列番号:82]、
GTQDQSLYL[配列番号:83]、
GTQDQSLYLG[配列番号:84]、
QSLYLGLQH[配列番号:85]、
SLYLGLQHD[配列番号:86]、
SLYLGLQHD[配列番号:86]、
GLQHDGNDGL[配列番号:87]、
GNDGLPPPPY[配列番号:88]、
GLPPPPYSP[配列番号:89]、
GLPPPPYSPR[配列番号:90]、
GLPPPPYSPR[配列番号:90]、
PRDDSSQHIY[配列番号:91]、
RDDSSQHIY[配列番号:92]、
HIYEEAGRG[配列番号:93]、
ILLARLFLY[配列番号:94]、
SSCSSCPLSKI[配列番号:95]、
LLWTLVVLL[配列番号:96]、
FLYALALLL[配列番号:97]、
CLGGLLTMV[配列番号:98]、
LIVDAVLQL[配列番号:99]、
LTAGFLIFL[配列番号:100]、
TVCGGIMFL[配列番号:101]
のいずれか1つの配列からの8個以上の連続するアミノ酸残基
(zzz)配列番号:76~101のいずれか1つの配列、
(aaaa)または前記(a)~(zzz)の2つ以上の任意の組み合わせ、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0160】
例示的な一実施形態において、前記ペプチドは、潜在膜タンパク質2(LMP2)、例えば、全長EBV LMP2(アミノ酸1-497)に由来した1つ以上のエピトープを含む。特に考慮される一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:4、5、9、10、14、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、50、54、55、59、60、64、65、69、70、74または75のいずれか1つからの8個以上の連続するアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0161】
特に考慮される別の実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:4、5、9、10、14、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、50、54、55、59、60、64、65、69、70、74または75のいずれか1つからの12個以上の連続するアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0162】
特に考慮される別の実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:4、5、9、10、14、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、50、54、55、59、60、64、65、69、70、74または75のいずれか1つからの15個以上、18個以上、20個以上または25個以上の連続するアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0163】
一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:4、5、9、10、14、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、50、54、55、59、60、64、65、69、70、74または75のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0164】
特に考慮される別の実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:1~75のいずれか1つからの15個以上、18個以上、20個以上または25個以上連続するアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0165】
一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:1~75のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0166】
一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:76~101のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの例において、前記ペプチドは、配列番号:76~93のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0167】
一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:76~101のいずれか2つ以上からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの例において、前記ペプチドは、配列番号:76~93のいずれか2つ以上からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0168】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、下記:
(a)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4GARGPESRLLEFYLAMPFATPMEAELARRSLAQDAPPL[配列番号:102]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(b)配列Xaa1Xaa2Xaa3GARGPESRLLEFYLAMPFATPMEAELARRSLAQDAPPL[配列番号:103]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(c)配列Xaa1Xaa2GARGPESRLLEFYLAMPFATPMEAELARRSLAQDAPPL[配列番号:104]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(d)配列SKKKKGARGPESRLLEFYLAMPFATPMEAELARRSLAQDAPPL[配列番号:105]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(e)配列番号:102~105のいずれか1つの配列、
(f)配列GARGPESRLLEFYLAMPFATPMEAELARRSLAQDAPPL[配列番号:106]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(g)配列番号:106の配列、
(h)配列LAMPFATPM[配列番号:107]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(i)配列番号:107の配列、
(j)配列FATPMEAEL[配列番号:108]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(k)配列番号:108の配列、
(l)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4VPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR[配列番号:109]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(m)配列Xaa1Xaa2Xaa3VPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR[配列番号:110]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(n)配列Xaa1Xaa2VPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR[配列番号:111]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、及びXaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(o)配列SKKKKVPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR[配列番号:112]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(p)配列番号:109~112のいずれか1つの配列、
(q)配列VPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR[配列番号:113]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(r)配列番号:113の配列、
(s)配列EFTVSGNIL[配列番号:114]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(t)配列番号:114の配列、
(u)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4LQQLSLLMWITQCFLPVFLAQPPSGQRR[配列番号:115]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(v)配列Xaa1Xaa2Xaa3LQQLSLLMWITQCFLPVFLAQPPSGQRR[配列番号:116]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(w)配列Xaa1Xaa2LQQLSLLMWITQCFLPVFLAQPPSGQRR[配列番号:117]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(x)配列SKKKKLQQLSLLMWITQCFLPVFLAQPPSGQRR[配列番号:118]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(y)配列番号:115~118のいずれか1つの配列、
(z)配列LQQLSLLMWITQCFLPVFLAQPPSGQRR[配列番号:119]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(aa)配列番号:119の配列、
(bb)配列SLLMWITQCFLPVF[配列番号:120]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(cc)配列番号:120の配列、
(dd)配列SLLMWITQC[配列番号:121]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(ee)配列番号:121の配列、
(ff)または前記(a)~(ee)の2つ以上の任意の組み合わせ、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0169】
例示的な一実施形態において、ペプチドエピトープは、NY-ESO-1に由来する。特に考慮される一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:106、107、108、113、114、119、120及び121のいずれか1つからの8個以上の連続するアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0170】
一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:106、107、108、113、114、119、120及び121のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0171】
一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:106、113及び119のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0172】
一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:105、112及び118のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0173】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、1つ以上のオボアルブミンタンパク質エピトープを含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。様々な実施形態において、1つ以上のオボアルブミンタンパク質は、MHCIエピトープである。様々な実施形態において、1つ以上のオボアルブミンタンパク質は、MHCIIエピトープである。
【0174】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、下記:
(a)配列Xaa1Xaa2Xaa3Xaa4KISQAVHAAHAEINEAGRESIINFEKLTEWT[配列番号:124]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa4は不在であるか、1つ以上の親水性アミノ酸であり、
(b)配列Xaa1Xaa2Xaa3KISQAVHAAHAEINEAGRESIINFEKLTEWT[配列番号:125]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、Xaa2は不在であるか、親水性アミノ酸であり、Xaa3は不在であるか、1~10個の親水性アミノ酸であり、
(c)配列Xaa1Xaa2KISQAVHAAHAEINEAGRESIINFEKLTEWT[配列番号:126]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、ここで、Xaa1は不在であるか、Sであり、及びXaa2は不在であるか、1~4個の親水性アミノ酸であり、
(d)配列SKKKKKISQAVHAAHAEINEAGRESIINFEKLTEWT[配列番号:127]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(e)配列番号:124~127のいずれか1つの配列、
(f)配列KISQAVHAAHAEINEAGRESIINFEKLTEWT[配列番号:128]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(g)配列番号:128の配列、
(h)配列SIINFEKL[配列番号:129]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(i)配列番号:129の配列、
(j)配列ISQAVHAAHAEINEAGR[配列番号:130]からの8個以上の連続するアミノ酸残基、
(k)配列番号:130の配列、
(l)または前記(a)~(k)のいずれか2つ以上の任意の組み合わせ、
を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0175】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号124~130のいずれか1つからなる群から選択される1つ以上のオボアルブミンタンパク質エピトープを含む。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号124~130のいずれか1つのアミノ酸配列からの8個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。
【0176】
様々な実施形態において、ペプチドは、配列番号124~130のいずれか1つからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、それらからなるか、実質的にそれらからなる。
【0177】
一実施形態において、ペプチド接合体は、2つ以上のエピトープ、例えば、2つ以上のペプチドエピトープを含む。
【0178】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体は、抗原性ペプチドを含む。
【0179】
特に考慮される実施形態において、前記ペプチドは、合成ペプチドである。
【0180】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、式(I)の単離された化合物である。
【0181】
様々な実施形態において、式(I)の化合物は、純粋であるか、精製されるか、実質的に純粋である式(I)の化合物である。
【0182】
別の態様において、本発明は、広範囲には、式(XV)の化合物の製造方法から構成され、この方法は、
式(XVI)のエポキシド:
【0183】
【0184】
及び式(III)のチオールを含むアミノ酸含有接合パートナーを、
【0185】
【0186】
エポキシド及びアミノ酸含有接合パートナーを接合するのに効果的な条件下で反応せしめて、式(XV)の化合物またはその塩または溶媒和物を生成することを含み:
【0187】
【0188】
前記式において、
X10は、L1-Z1-、-OH、-SH、-NHR、HNRC(O)O-、P10-O-、P11-S-、P12-NR-またはP12-NRC(O)O-であり;
X11は、X10がP10-O-、P11-S-、P12-NR-またはP12-NRC(O)O-であり、前記条件がP10、P11またはP12を除去するのに効果的である場合、X10または-OH、-SH、-NHRまたはHNRC(O)O-であり;
P10、P11及びP12は、それぞれ独立して、保護基であり;
mは、2~6の整数であり;
n、L1、Z1、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びA1は、式(I)の化合物またはその任意の実施形態において定義された通りである。
【0189】
様々な実施形態において、mは、2~5、2~4または2~3である。例示的な実施形態において、mは2である。
【0190】
様々な実施形態において、X10は、L1-Z1-または-OH、-SH、-NHR、P10-O-、P11-S-またはP12-NR-であり;X11は、X10または-OH、-SHまたは-NHRである。
【0191】
様々な実施形態において、X10は、L1-Z1-、-OHまたはP10-O-であり;X11は、X10または-OHである。
【0192】
様々な実施形態において、X10は、L1-C(O)O-、OHまたはP10-O-であり;X11は、L1-C(O)O-、P10-O-またはOHである。
【0193】
様々な実施形態において、X10は、L1-C(O)O-またはP10-O-であり;X11は、L1-C(O)O-、P10-O-またはOHである。
【0194】
例示的な実施形態において、X10は、P10-O-であり;X11は、P10-O-またはOHである。
【0195】
様々な実施形態において、R9は水素ではなく、及び/またはA1はOHではない。
【0196】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下または3個以下のアミノ酸残基を含む接合パートナーを含有するペプチドである。
【0197】
様々な実施形態において、接合パートナーを含むアミノ酸のC-末端は、カルボキシル保護基またはカルボキサミド保護基によって保護され、及び/または、接合パートナーを含むアミノ酸のNα-アミノ基は、アミノ保護基によって保護される。
【0198】
例示的な実施形態において、R9はアミノ保護基である。
【0199】
様々な実施形態において、A1は、OP1またはNHP2である。特定の実施形態において、A1は、OP1である。
【0200】
例示的な実施形態において、R9は、アミノ保護基であり、A1は、OP1である。
【0201】
様々な実施形態において、本方法は、酸、例えば、強酸の存在下でエポキシド及びアミノ酸含有接合パートナーを反応せしめることを含む。
【0202】
特定の実施形態において、酸は、塩酸、硫酸またはそれらの混合物を含む。
【0203】
特定の実施形態において、酸は、ルイス酸、例えば、BF3を含む。
【0204】
他の実施形態において、本方法は、中性条件下でエポキシド及びアミノ酸含有接合パートナーを反応せしめることを含む。
【0205】
様々な実施形態において、中性条件は、アルコール、例えば、エタノールのようなプロトン性溶媒を含む。
【0206】
他の実施形態において、本方法は、塩基、例えば、弱塩基(mild base)の存在下で、エポキシド及びアミノ酸含有接合パートナーを反応せしめることを含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、塩基は、有機アミン、例えば、トリエチルアミンである。
【0208】
様々な実施形態において、本方法は、アルケンをエポキシ化するのに効果的な条件下で式(XVII)のアルケン及び酸化剤を反応せしめてエポキシドを生成することを含む:
【0209】
【0210】
様々な実施形態において、酸化剤は、有機過酸化物のような過酸化物、例えば、m-クロロ過安息香酸または有機N-オキシド、例えば、ピリジンN-オキシドである。
【0211】
様々な実施形態において、本方法は、LGが、脱離基の下記式(XVII-A)の化合物:
【0212】
【0213】
及び塩基をエポキシ化に効果的な条件下で反応せしめてエポキシドを生成することを含む。
【0214】
様々な実施形態において、式(XVII-A)の化合物は、L-アスパラギン酸から調製される。
【0215】
様々な実施形態において、本方法は、式(XVI)のエポキシドの単一立体異性体または立体異性体的に富化された混合物を生成することをさらに含む。
【0216】
様々な実施形態において、式(XVI)のエポキシドの単一立体異性体または立体異性体的に富化された混合物を生成することは、エポキシドのラセミ混合物を分解することを含む。
【0217】
様々な実施形態において、本方法は、式(XVII-A)の化合物の単一立体異性体または立体異性体的に富化された混合物を生成することを含む。
【0218】
様々な実施形態において、本方法は、1つ以上のさらなる合成ステップによって、式(XV)の化合物を本発明の式(IF)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物に転換させることを含む。
【0219】
【0220】
様々な実施形態において、本方法は、1つ以上のさらなる合成ステップによって、式(XV)の化合物を本発明の式(IF-1)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物に転換させることを含む。
【0221】
【0222】
様々な実施形態において、1つ以上の合成ステップは、R3が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL2-Z2-に転換させることを含む。
【0223】
様々な実施形態において、1つ以上の合成ステップは、R3が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基の水素原子をL2-C(O)-で置換するために、式(XV)の化合物をアシル化することを含む。
【0224】
様々な実施形態において、X11は、P10-O-またはOHであり;1つ以上の合成ステップは、X11のヒドロキシル基のP10または水素原子をL1-C(O)-で置換するために、式(XV)の化合物をアシル化すること;及び/またはR3が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基の水素原子をL2-C(O)-で置換するために、式(XV)の化合物をアシル化することを含む。
【0225】
別の態様において、本発明は、広範囲には式(XV)の化合物またはその塩または溶媒和物から構成される:
【0226】
【0227】
前記式において、
X11は、L1-Z1-、-OH、-SH、-NHR、HNRC(O)O-、P10-O-、P11-S-、P12-NR-、またはP12-NRC(O)O-であり;
P10、P11、及びP12は、それぞれ独立して、保護基であり;
mは、2~6の整数であり、
n、L1、Z1、R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びA1は、式(I)の化合物またはそのいずれかの実施形態において定義された通りである。
【0228】
別の態様において、本発明は、広範囲には、本発明の式(IF)のアミノ酸-またはペプチド-接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の合成における式(XV)または式(XVI)の化合物の使用から構成される。
【0229】
別の態様において、本発明は、広範囲には、式(XX)の化合物またはその塩または溶媒和物を製造する方法から構成され、本方法は、
下記式(XXI)の化合物:
【0230】
【0231】
及び下記式(III)のチオールを含むアミノ酸含有接合パートナーを、
【0232】
【0233】
式(XXI)の化合物及びアミノ酸含有接合パートナーを接合するのに効果的な条件下で反応せしめて、下記式(XX)の化合物を生成することを含む:
【0234】
【0235】
前記式において、
Rm及びRnは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
LGは、脱離基であり;
m及びwは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、vは、0~5の整数であり、
ただし:
m、v、及びwの合計は、少なくとも3であり;
m及びwの合計は、0~7であり;
n、Rx、Ry、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びA1は、式(I)の化合物またはそのいずれかの実施形態において定義された通りである。
【0236】
様々な実施形態において、Rm及びRnは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキルまたはアリールから選択される。
【0237】
特定の実施形態において、Rmは、水素、C1~6アルキルまたはアリールであり;Rnは、C1~6アルキルまたはアリールである。
【0238】
様々な実施形態において、脱離基は、ハロゲン化塩(例えば、クロロ、ブロモまたはヨード)またはスルホン酸塩(例えば、トシレートまたはメシレート)である。
【0239】
様々な実施形態において、m及びvは、化合物が5~7員環状アセタールを含むものである。
【0240】
特定の実施形態において、環状アセタールは、6員環状アセタールである。
【0241】
様々な実施形態において、環状アセタールは、5員環状アセタールであり、wは、1超過の整数である。
【0242】
様々な実施形態において、mはm2であり、vは、1である。
【0243】
様々な実施形態において、R9は水素ではなく、及び/またはA1はOHではない。
【0244】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下または3個以下のアミノ酸残基を含むペプチド含有接合パートナーである。
【0245】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーのC-末端は、カルボキシル保護基またはカルボキサミド保護基によって保護され、及び/または、アミノ酸含有接合パートナーのNα-アミノ基は、アミノ保護基によって保護される。
【0246】
例示的な実施形態において、R9はアミノ保護基である。
【0247】
様々な実施形態において、A1は、OP1またはNHP2である。特定の実施形態において、A1はOP1である。
【0248】
例示的な実施形態において、R9はアミノ保護基であり、A1はOP1である。
【0249】
様々な実施形態において、本方法は、式(XXI)の化合物及び式(III)のアミノ酸含有接合パートナーを塩基の存在下で反応せしめることを含む。
【0250】
様々な実施形態において、塩基は、有機アミン、例えば、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンまたはコリジンを含む。
【0251】
様々な実施形態において、式(XXI)の環状アセタールは、単一立体異性体または立体異性体的に富化された混合物の形態で生成される。
【0252】
様々な実施形態において、本方法は、式(XX)の化合物を本発明の式(I)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、1つ以上のさらなる合成ステップによって転換させることを含む。
【0253】
【0254】
様々な実施形態において、本方法は、式(XX)の化合物を本発明の式(IA)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を、1つ以上の合成ステップによって転換させることを含む。
【0255】
【0256】
様々な実施形態において、1つ以上の合成ステップは、式(XX)の化合物中のアセタールを除去して、式(XXIII-1)の化合物を生成することを含む。
【0257】
【0258】
様々な実施形態において、Rmは、選択的に置換されたアリール、例えば、フェニルまたはメトキシ置換されたフェニルであり、本方法は、式(XX)の化合物中のアセタールを除去して、下記式(XXIII-2)または式(XXIII-3)の化合物を生成することを含む。
【0259】
【0260】
【0261】
様々な実施形態において、1つ以上の合成ステップは、式(XXIII-1)の化合物において、R1及びR2が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL1-Z1-に転換させるか、及び/または、Rx及びRyが取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL2-Z2に転換させることを含む。
【0262】
様々な実施形態において、1つ以上の合成ステップは、式(XXIII-2)の化合物において、Rx及びRyが取り付けられた炭素原子に結合されたヒドロキシル基をL2-Z2-に転換させ、RmRnCH-基を除去してヒドロキシル基を生成し、ヒドロキシル基をL1-Z1に転換させること;または
式(XXIII-2)の化合物において、Rx及びRyが取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL1-Z1-に転換させ、RmRnCH-基を除去してヒドロキシル基を生成し、ヒドロキシル基をL2-Z2に転換させることを含む。
【0263】
様々な実施形態において、前記ヒドロキシル基をL1-Z1-またはL2-Z2-に転換させることは、ヒドロキシル基の水素原子をL1-C(O)-またはL2-C(O)-で置換するためのアシル化を含む。
【0264】
別の態様において、本発明は、広範囲には、式(XX)の化合物またはその塩または溶媒和物から構成される:
【0265】
【0266】
前記式において:
Rm及びRnは、それぞれ独立して、水素、C1~6アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
m及びwは、それぞれ独立して、0~7の整数であり、vは、0~5の整数であり、
ただし:
m、v、及びwの合計は、少なくとも3であり;
m及びwの合計は、0~7であり;
n、Rx、Ry、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びA1は、式(I)の化合物またはそのいずれかの実施形態において定義された通りである。
【0267】
別の態様において、本発明は、広範囲には、本発明の式(IA)のアミノ酸-またはペプチド-接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の合成における式(XX)または式(XXI)の化合物の使用から構成される。
【0268】
別の態様において、本発明は、広範囲には、本発明の式(I)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物の製造方法から構成され、本方法は、
炭素-炭素二重結合を含む第1の脂質含有接合パートナー、
炭素-炭素二重結合を含む第2の脂質含有接合パートナー、及び
チオールを含むアミノ酸含有接合パートナーを、
第1の脂質含有接合パートナー及び第2の脂質含有接合パートナーをアミノ酸含有接合パートナーに接合するのに効果的な条件下で、反応せしめて式(I)のアミノ酸またはペプチド-接合体またはその塩または溶媒和物を生成することを含み、
ここで、アミノ酸-またはペプチド接合体において、アミノ酸含有接合パートナーのチオールからの硫黄原子は、第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子に接合され、第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子は、第2の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子に接合される。
【0269】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、ペプチド含有接合パートナーであり、脂質含有接合パートナーは、ペプチド含有接合パートナーのペプチドにカップリングされる。
【0270】
いくつかの実施形態において、脂質含有接合パートナーは、アミノ酸含有接合パートナーの前記アミノ酸または1つのアミノ酸またはペプチド含有接合パートナーのペプチドに接合される。
【0271】
特定の実施形態において、脂質含有接合パートナーは、アミノ酸含有接合パートナーの前記アミノ酸または1つのアミノ酸に接合される。
【0272】
従って、別の態様において、本発明は、広範囲には、本発明の式(I)のペプチド接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物を製造する方法から構成され、本方法は、
炭素-炭素二重結合を含む第1の脂質含有接合パートナー、
炭素-炭素二重結合を含む第2の脂質含有接合パートナー、及び
チオールを含むペプチド含有接合パートナーを、
第1の脂質含有接合パートナー及び第2の脂質含有接合パートナーをペプチド含有接合パートナーに接合するのに効果的な条件下で、反応せしめて式(I)のペプチド接合体またはその塩または溶媒和物を生成することを含み、
ここで、ペプチド接合体において、ペプチド含有接合パートナーのチオールからの硫黄原子は、第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子に接合され、第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子は、第2の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子に接合される。
【0273】
様々な実施形態において、接合体は、リポペプチドであり、本方法は、リポペプチドを製造するためのものである。
【0274】
様々な実施形態において、第1及び第2の脂質含有接合パートナーは、同じ構造を有する(すなわち、第1及び第2の脂質含有接合パートナーは同じである)。
【0275】
様々な実施形態において、本方法は、チオールの硫黄原子を第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合の炭素原子に接合させた後、チオールが接合された炭素-炭素二重結合からの炭素原子を第2の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合の炭素原子に接合させることを含む。
【0276】
様々な実施形態において、第1の脂質含有接合パートナーは、式(IIA)の化合物であり:
【0277】
【0278】
第2の脂質含有接合パートナーは、式(IIB)の化合物であり:
【0279】
【0280】
アミノ酸含有接合パートナーは、式(III)の構造を含み:
【0281】
【0282】
前記式において、Ra、Rb、Rc、L1、L2、Z1、Z2、R1、R2、Rx、Ry、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、A1、k、v及びnは、式(I)の化合物またはそのいずれかの実施形態において定義された通りである。
【0283】
様々な実施形態において、アミノ酸-またはペプチド接合体は、式(IB)の化合物であり:
【0284】
【0285】
前記式において、Ra、Rb、Rc、L1、L2、Z1、Z2、R1、R2、Rx、Ry、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、A1、k、v及びnは、式(I)の化合物またはそのいずれかの実施形態において定義された通りである。
【0286】
様々な実施形態において、脂質含有接合パートナーは、アミノ酸含有接合パートナーより化学量論的に過剰量である。
【0287】
様々な実施形態において、脂質含有接合パートナー(組み合わせる)とアミノ酸含有接合パートナーとのモル比は、少なくとも7:1である。
【0288】
様々な実施形態において、第1の脂質含有接合パートナーは、式(IIA-1)の化合物であり:
【0289】
【0290】
第2の脂質含有接合パートナーは、式(IIB-1)の化合物であり:
【0291】
【0292】
アミノ酸含有接合パートナーは、式(III)の構造を含み:
【0293】
【0294】
接合体は、式(IC)の化合物であり:
【0295】
【0296】
前記式において、Ra、Rb、Rc、L1、L2、Z1、Z2、R1、R2、Rx、Ry、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、A1、k、v及びnは、式(I)の化合物またはそのいずれかの実施形態において定義された通りである。
【0297】
様々な実施形態において、L1は、C11~21アルキルであり;kは、0-3、好ましくは0であり;Ra、Rb及びRcは、それぞれ水素である。
【0298】
様々な実施形態において、L2は、C11~21アルキルであり;vは、0-3、好ましくは0であり;R3、R4及びR5は、それぞれ水素である。
【0299】
様々な実施形態において、nは、1であり;R6、R7及びR8は、それぞれ水素であり;R9は、水素、アミノ保護基、L3-C(O)またはA2である。
【0300】
様々な実施形態において、nは、1であり;R6、R7及びR8は、それぞれ水素であり;R9は、水素、アミノ保護基またはL3-C(O)であり、ここで、L3は、線状C15アルキルまたはメチルである。
【0301】
様々な実施形態において、式(IIA)及び式(IIB)の化合物は、それぞれパルミチン酸ビニルである。
【0302】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、システイン、保護されたシステイン(Nα-アミン及び/またはカルボキシル保護されたシステインを含む)またはシステイン残基(Nα-アミンまたはカルボキシル保護されたシステイン残基を含む)、例えば、N-末端システイン残基(Nα-アミン保護されたシステイン残基を含む)を含むペプチドである。
【0303】
いくつかの実施形態において、本方法は、パルミチン酸ビニル及びNα-アミノ保護されたシステイン、例えば、Fmoc-Cys-OH、Boc-Cys-OH、Fmoc-Cys-OP1またはBoc-Cys-OP1を反応せしめることを含む。いくつかの実施形態において、Nα-アミノ保護されたシステインのカルボキシル基は保護される。
【0304】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーに脂質含有接合パートナーを接合するのに効果的な条件は、1または2以上の遊離ラジカルの生成を含む。一実施形態において、ペプチッド含有接合パートナーに、脂質含有接合パートナーを接合するのに効果的な条件は、1または2以上の遊離ラジカルの生成を含む。
【0305】
いくつかの実施形態において、1または2以上の遊離ラジカルの生成は、熱的に及び/または光化学的に開始される。特定の実施形態において、1または2以上の遊離ラジカルの生成は、遊離ラジカル開始剤の熱及び/または光化学分離により開始される。例示的な実施形態において、1または2以上の遊離ラジカルの生成は、熱開始剤の熱分解または光化学開始剤の光化学分解により開始される。
【0306】
いくつかの実施形態において、遊離ラジカル開始剤の熱分解は、適切な温度で、反応混合物を加熱することを含む。いくつかの実施形態において、反応混合物は、約40℃~約200℃、約50℃~約180℃、約60℃~約150℃、約65℃~約120℃、約70℃~約115℃、約75℃~約110℃、または約80℃~約100℃の温度で加熱される。他の実施形態において、反応混合物は、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、または少なくとも約65℃の温度で加熱される。特に考慮される一実施形態において、反応混合物は、約90℃の温度で加熱される。
【0307】
いくつかの実施形態において、遊離ラジカル開始剤の光化学分解は、好ましくは天然に存在するアミノ酸の側鎖と適合した周波数を有する紫外線による照射を含む。特に考慮される一実施形態において、紫外線は、約365nmの周波数を有する。例示的な実施形態において、遊離ラジカル開始剤の光化学分解は、ほぼ周囲温度で実施される。
【0308】
特に考慮される一実施形態において、熱開始剤は、2,2′-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)であり、特に考慮される一実施形態において、光開始剤は、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)である。
【0309】
特定の実施形態において、反応は、液体媒体下で行われる。一実施形態において、液体媒体は、溶媒を含む。一実施形態において、溶媒は、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、1,2-ジクロロエタン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。特に考慮される一実施形態において、溶媒は、NMP、DMF、DMSO、またはそれらの混合物を含む。
【0310】
特に考慮される一実施形態において、溶媒は、DMSOまたはNMPを含む。例示的な実施形態において、溶媒は、NMPを含む。
【0311】
いくつかの実施形態において、反応は、副産物の形成を阻害し、及び/または式(I)の所望の生成化合物の収率または所望の生成化合物への転換を改善する1つ以上の添加剤の存在下で行われる。
【0312】
様々な実施形態において、1つ以上の添加剤は外来性チオール、酸、オルガノシラン、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせである。
【0313】
いくつかの例示的な実施形態において、外来性または外因性チオールは、還元されたグルタチオン(GSH)、2,2’-(エチレンジオキシ)ジエタンチオール(DODT)、1,4-ジチオスレイトール(DTT)、タンパク質及び立体障害チオールからなる群から選択される。特に考慮される実施形態において、外来性または外因性チオールは、DTTである。いくつかの実施形態において、外来性または外因性チオールは、立体障害チオール、例えば、tert-ブチルメルカブタンである。
【0314】
様々な実施形態において、酸添加剤は、強い無機または有機酸である。様々な実施形態において、酸は、強い有機酸である。様々な実施形態において、酸は、TFAである。
【0315】
様々な実施形態において、オルガノシランは、トリアルキルシラン、例えば、TIPSである。
【0316】
いくつかの実施形態において、1つ以上の添加剤は、TFA、tert-ブチルメルカブタン、TIPS及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0317】
特定の実施形態において、1つ以上の添加剤は、酸及び外来性チオール、例えば、TFA及びtert-ブチルメルカブタンの組み合わせである。
【0318】
他の実施形態において、1つ以上の添加剤は、酸及びオルガノシラン、例えばTFA及びTIPSの組み合わせである。
【0319】
他の実施形態において、1つ以上の添加剤は、外来性チオールとオルガノシラン及び選択的に、酸との組み合わせ、例えば、t-BuSHとTIPS、及びTFAの組み合わせである。
【0320】
いくつかの実施形態において、反応は、約5分~約48時間、5分~約24時間、約5分~約12時間、約5分~約6時間、約5分~約3時間、5分~約2時間または約5分~約1時間の期間にわたって実施される。例示的な実施形態において、反応は、約5分~約1時間の期間にわたって実施される。いくつかの実施形態において、反応は、接合パートナーの1つが少なくとも約70%、80%、90%、95%、97%、99%または100%消費されるまで実施される。
【0321】
特定の実施形態において、反応は、実質的に酸素を含まない条件下で実施される。
【0322】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、ペプチド含有接合パートナーである。
【0323】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、エピトープを含む。一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、エピトープ、例えば、ペプチドエピトープを含む。
【0324】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、2つ以上のエピトープを含む。一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、2つ以上のエピトープを含む。
【0325】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、ペプチドからなる。
【0326】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、ペプチドエピトープを含むペプチドからなる。一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、ペプチドからなる。一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、ペプチドエピトープを含むペプチドからなる。
【0327】
いくつかの実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、接合パートナーの前記アミノ酸または1つのアミノ酸に結合されたエピトープを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、ペプチド含有接合パートナーのペプチドに結合されたエピトープを含む。いくつかの実施形態において、エピトープは、リンカー基を介してペプチドに結合される。
【0328】
いくつかの実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、リンカー基を介して接合パートナーの前記アミノ酸または1つのアミノ酸に結合されたペプチドエピトープを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、リンカー基を介してペプチドに結合されたペプチドエピトープを含む。
【0329】
いくつかの実施形態において、アミノ酸含有接合パートナー及び/またはペプチド含有接合パートナーは、抗原性ペプチドを含む。
【0330】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナー及び/またはペプチド接合体は、合成ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、合成ペプチドは、固相ペプチド合成(SPPS)を含む方法によって調製されたペプチドである。
【0331】
様々な実施形態において、本方法は、アミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドのアミノ酸にカップリングさせてペプチド接合体を生成することを含む。
【0332】
様々な実施形態において、本方法は、アミノ酸接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドのアミノ酸にカップリングさせてペプチド接合体を生成することを含む。
【0333】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、エピトープを含む。様々な実施形態において、エピトープは、ペプチドエピトープである。
【0334】
いくつかの実施形態において、本方法は、アミノ酸接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドにカップリングさせてペプチド接合体を生成することをさらに含む。
【0335】
いくつかの実施形態において、ペプチドをカップリングさせることは、1つ以上のアミノ酸及び/または1つ以上のペプチドを個別にカップリングさせることを含む。
【0336】
いくつかの実施形態において、本方法は、リンカー基またはその1つ以上のアミノ酸を含むペプチド接合体を生成するために、アミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることをさらに含む。
【0337】
いくつかの実施形態において、本方法は、リンカー基を介して脂質部分が接合されたアミノ酸に結合されたペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、リンカー基またはその1つ以上のアミノ酸を含むペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることをさらに含む。
【0338】
いくつかの実施形態において、脂質部分が接合されたペプチド接合体のアミノ酸は、N-末端アミノ酸残基である。
【0339】
いくつかの実施形態において、本方法は、ペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、アミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることをさらに含む。
【0340】
いくつかの実施形態において、本方法は、エピトープをアミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸にカップリングさせることをさらに含む。
【0341】
いくつかの実施形態において、本方法は、ペプチドエピトープをアミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸にカップリングさせることをさらに含む。
【0342】
いくつかの実施形態において、エピトープは、リンカー基を介してカップリングされるか、結合される。
【0343】
いくつかの実施形態において、本方法は、エピトープをペプチド接合体のペプチドにカップリングさせることをさらに含む。
【0344】
いくつかの実施形態において、本方法は、ペプチドエピトープをペプチド接合体のペプチドにカップリングさせることをさらに含む。
【0345】
いくつかの実施形態において、エピトープは、リンカー基を介してペプチドに結合される。
【0346】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、アミノ酸、例えば、システイン(Nα-アミノ及び/またはC-末端保護されたシステインを含む)からなる。
【0347】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーのC-末端は、保護基によって保護され、及び/または、アミノ酸含有接合パートナーのNα-アミノ基は、保護基によって保護される。
【0348】
様々な実施形態において、アミノ酸のC-末端のカルボキシル基は、カルボキシル保護基またはカルボキサミド保護基によって保護され、及び/または、アミノ酸のNα-アミノ基は、アミノ保護基によって保護される。
【0349】
様々な実施形態において、アミノ酸のC-末端のカルボキシル基は、カルボキシル保護基によって保護され、及び/または、アミノ酸のNα-アミノ基は、アミノ保護基によって保護される。
【0350】
いくつかの実施形態において、ペプチドのC-末端のカルボキシル基は、カルボキシル保護基によって保護され、及び/または、ペプチドのNα-アミノ基は、アミノ保護基によって保護される。
【0351】
いくつかの実施形態において、チオールを含むアミノ酸残基が末端アミノ酸残基である。いくつかの実施形態において、チオールを含むアミノ酸残基がN-末端残基である。
【0352】
いくつかの実施形態において、A1及び/またはR9は、アミノ酸またはペプチド以外の基であり、本方法は、A1及び/またはR9をアミノ酸またはペプチドで置換するために、アミノ酸またはペプチドをカップリングさせることを含む。
【0353】
いくつかの実施形態において、A1は、アミノ酸またはペプチド以外の基であり、本方法は、A1をアミノ酸またはペプチドで置換するために、アミノ酸またはペプチドをカップリングさせることを含む。
【0354】
いくつかの実施形態において、A1は、OH、OP1、NH2またはNHP2であり、及び/または、R9は、水素、アミノ保護基またはL3-C(O)であり、本方法は、A1及び/またはR9をアミノ酸またはペプチドで置換するために、アミノ酸またはペプチドをカップリングさせることをさらに含む。
【0355】
いくつかの実施形態において、A1は、OH、OP1、NH2またはNHP2であり、R9は、水素、アミノ保護基またはL3-C(O)であり、本方法は、A1及び/またはR9をアミノ酸またはペプチドで置換するために、アミノ酸またはペプチドをカップリングさせることを含む。
【0356】
いくつかの実施形態において、ペプチドをカップリングさせることは、1つ以上のアミノ酸及び/または1つ以上のペプチドを個別にカップリングさせることを含む。
【0357】
いくつかの実施形態において、アミノ酸またはペプチドをカップリングさせることは、ペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成する。いくつかの実施形態において、アミノ酸またはペプチドをカップリングさせることは、リンカー基またはその1つ以上のアミノ酸を含むペプチド接合体を生成する。いくつかの実施形態において、アミノ酸またはペプチドのカップリングは、リンカー基を介して脂質部分が接合されたアミノ酸に結合されたペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成する。
【0358】
いくつかの実施形態において、脂質部分が接合されるチオールを含むアミノ酸のNα-アミノ基は、アシル化される。いくつかの実施形態において、チオールを含む接合パートナーを含むアミノ酸中のR9は、L3-C(O)-である。
【0359】
特定の実施形態において、前記方法は、脂質部分が接合されるアミノ酸接合体のアミノ酸のNα-アミノ基またはペプチド接合体のアミノ酸残基をアシル化することをさらに含む。特定の実施形態において、前記方法は、Nα-アミノ基をアセチルなどのC2~20脂肪酸でアシル化することをさらに含む。
【0360】
いくつかの実施形態において、R9は、水素またはアミノ保護基であり、前記方法は、R9での水素またはアミノ保護基をL3-C(O)で置換するために、アミノ酸接合体またはペプチド接合体をアシル化することをさらに含む。
【0361】
いくつかの実施形態において、R9でのアミノ保護基をL3-C(O)で置換するために、アミノ酸接合体またはペプチド接合体をアシル化することは、R9でアミノ保護基を除去して、R9で水素を生成することを含む。
【0362】
特定の実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーの前記アミノ酸またはは1つのアミノ酸、チオールを含む。特定の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸残基は、チオールを含む。
【0363】
特定の実施形態において、チオールは、システイン残基のチオールである。
【0364】
特定の実施形態において、システイン残基は、末端残基である。特定の実施形態において、システイン残基は、N-末端残基である。
【0365】
いくつかの実施形態において、システイン残基のアミノ酸は、アシル化される。
【0366】
一実施形態において、アミノ酸は、C2~20脂肪酸でアシル化される。
【0367】
1つ例示的な実施形態において、C2~20脂肪酸は、アセチルまたはパルミトイルである。別の例示的な実施形態において、C2~20脂肪酸は、アセチルである。
【0368】
いくつかの実施形態において、アミノ酸含有接合パートナー及び/またはペプチド接合体は、8~220、8~200、8~175、8~150、8~125、8~100、8~90、8~80、8~70、8~60、8~50、8~40、8~30、8~25、8~20、または8~15個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、ペプチッド含有接合パートナーは、8~220、8~200、8~175、8~150、8~125、8~100、8~90、8~80、8~70、8~60、8~50、8~40、8~30、8~25、8~20、または8~15個のアミノ酸を含む。
【0369】
1つの例示的な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナー及び/またはペプチッド接合体は、8~60個のアミノ酸を含むペプチドを含む。1つの例示的な実施形態において、ペブチドは、8~60個のアミノ酸を含む。
【0370】
他の実施形態において、アミノ酸含有接合パートナー及び/またはペプチッド接合体は、5~220、8~220、5~175、8~175、8~150、10~150、15~125、20~100、20~80、20~60、25~100、25~80、25~60、30~80、40~60、または50~60個のアミノ酸を含む。他の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、5~220、8~220、5~175、8~175、8~150、10~150、15~125、20~100、20~80、20~60、25~100、25~80、25~60、30~80、40~60、または50~60個のアミノ酸を含む。
【0371】
他の実施形態において、アミノ酸含有接合パートナー及び/またはペプチド接合体は、5~150、5~125、5~100、5~75、5~60、5~50、5~40、5~30、5~25、5~20、8~150、8~125、8~100、8~75、8~60、8~50、8~40、8~30、8~25、または8~20個のアミノ酸を含む。他の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、5~150、5~125、5~100、5~75、5~60、5~50、5~40、5~30、5~25、5~20、8~150、8~125、8~100、8~75、8~60、8~50、8~40、8~30、8~25、または8~20個のアミノ酸を含む。
【0372】
様々な実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、短いペプチドである。いくつかの実施形態において、短いペプチドは、10、9、8、7、6、5、4、または3未満のアミノ酸を含む。
【0373】
一実施形態において、アミノ酸含有接合パートナー及び/またはペプチド接合体は、1つ以上の可溶化基を含む。一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、1つ以上の可溶化基を含む。
【0374】
特定の実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖に2つ以上の親水性アミノ酸残基を含むアミノ酸配列である。特定の実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖に2つ以上の連続する親水性アミノ酸残基の配列を含むアミノ酸配列である。一実施形態において、親水性アミノ酸残基は、カチオン性アミノ酸残基である。一実施形態において、カチオン性アミノ酸残基は、アルギニンまたはリシン残基である。の特に考慮される一実施形態において、カチオン性アミノ酸残基は、リシン残基である。一実施形態において、配列は、2~20、2~15、2~10、3~7または3~5個のアミノ酸を含む。一実施形態において、可溶化基は、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-またはヘブタ-リシン配列である。特に考慮される一実施形態において、可溶化基は、テトラリシン配列である。
【0375】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはアミノ酸含有接合パートナーは、脂質部分が接合されるアミノ酸残基に隣接したセリン残基を含む。特に考慮される実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、脂質部分が接合されるアミノ酸残基に隣接したセリン残基を含む。例示的な実施形態において、脂質部分が接合されるアミノ酸残基は、N-末端である。特に考慮される実施形態において、ペプチドは、セリン残基に隣接する2つ以上の親水性アミノ酸残基の連続配列をさらに含む。
【0376】
特定の実施形態において、ペプチド接合体及び/またはアミノ酸含有接合パートナーは、セリン残基に隣接する2つ以上の親水性アミノ酸残基の連続配列を含む。
【0377】
特定の実施形態において、ペプチド接合体及び/またはアミノ酸含有接合パートナーは、天然に存在するアミノ酸のみを含む。特定の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、天然に存在するアミノ酸のみを含む。他の実施形態において、ペプチド中の75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、または99%以上のアミノ酸残基が、天然に存在するアミノ酸である。
【0378】
他の実施形態において、ペプチド接合体及び/またはアミノ酸含有接合パートナー中の75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、または99%以上のアミノ酸残基が、天然に存在するアミノ酸である。
【0379】
例示的な実施形態において、ペプチド接合体及び/またはアミノ酸含有接合パートナーは、ペプチドエピトープを含むペプチドを含む。例示的な実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、1つ以上のペプチドエピトープを含む。
【0380】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、1つ以上のEBV LMP2エピトープを含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。様々な実施形態において、1つ以上のEBV LMP2エピトープは、MHCIエピトープである。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号76~101のいずれか1つからなる群から選択される1つ以上のEBV LMP2エピトープを含む。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの12個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの15個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるか、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの20個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。
【0381】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの12個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなる組換えペプチドを含む。様々な実施形態において、組換えペプチドは、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの15個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるか、配列番号1~75のいずれか1つのアミノ酸配列からの20個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなる。
【0382】
例示的な一実施形態において、ペプチドエピトープは、NY-ESO-1に由来する。特に考慮される一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:106、107、108、113、114、119、120及び121のいずれか1つからの8個以上の連続するアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0383】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、1つ以上のNY-ESO-1エピトープを含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。様々な実施形態において、1つ以上のNY-ESO-1エピトープは、MHCIエピトープである。様々な実施形態において、ペプチドは、配列番号:106、107、108、113、114、119、120及び121のいずれか1つからの8個以上の連続するアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:106、107、108、113、114、119、120及び121のいずれか1つのアミノ酸配列からの12個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:106、107、108、113、114、119、120及び121のいずれか1つのアミノ酸配列からの15個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるか、配列番号:106、107、108、113、114、119、120及び121のいずれか1つのアミノ酸配列からの20個以上の連続するアミノ酸を含むか、それらからなるペプチドを含む。
【0384】
特に考慮される一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのアミノ酸の反応性官能基は、保護されていない。
【0385】
特定の実施形態において、ペプチド接合体の1つ以上のアミノ酸の1つ以上の反応性官能基は、保護されていない。
【0386】
特定の実施形態において、アミノ酸接合体のアミノ酸の1つ以上の反応性官能基は、保護されてない。
【0387】
特定の実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーの1つ以上のアミノ酸の1つ以上の反応性官能基は保護されない。
【0388】
特定の実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、ペプチドを含み、ペプチドのアミノ酸の測鎖の反応性官能基は、保護されておらず、反応されるチオール以外の任意のチオールは、例外である。
【0389】
特に考慮される特定の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸の反応性官能基は、保護されていない。
【0390】
特に考慮される特定の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸の反応性官能基は、保護されておらず、反応されるチオール以外の任意のチオールは、例外である。
【0391】
当業者は、本明細書に記載されたように、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドを本明細書に記載されたような種々の他の部分に選択的に置換するか、変形するか、結合して、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーを生成することができることを理解するであろう。
【0392】
いくつかの実施形態において、本方法は、
ペプチドのアミノ酸配列を固相ペプチド合成(SPPS)によって合成し;
ペプチドエピトープを含むペプチド接合体、リンカー基またはその1つ以上のアミノ酸を含むペプチド接合体またはリンカー基を介して脂質部分が接合されたアミノ酸に結合されたペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、SPPSによってアミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸を固相結合ペプチドにカップリングさせることを含む。
【0393】
いくつかの実施形態において、本方法は、
脂質含有接合パートナー及びアミノ酸含有接合パートナーを反応せしめてアミノ酸またはペプチド接合体を生成し;
ペプチドのアミノ酸配列を固相ペプチド合成(SPPS)によって合成し;
ペプチドエピトープを含むペプチド接合体、リンカー基またはその1つ以上のアミノ酸を含むペプチド接合体またはリンカー基を介して脂質部分が接合されたアミノ酸に結合されたペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、SPPSによってアミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸を固相結合ペプチドにカップリングさせることを含む。
【0394】
いくつかの実施形態において、本方法は、ペプチド接合体のいずれか1つの脂質部分が接合されたアミノ酸またはアミノ酸接合体のアミノ酸のNα-アミノ基をアシル化させることをさらに含む。
【0395】
いくつかの実施形態において、本方法は、固相支持体からペプチド接合体を切断することを含む。
【0396】
いくつかの実施形態において、本方法は、
ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸配列を固相ペプチド合成(SPPS)によって合成し;及び
本明細書に記載された実施形態のいずれかに従って、脂質含有接合パートナー及びペプチド含有接合パートナーを反応せしめることを含む。
【0397】
例示的な実施形態において、本方法は、
ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸配列をSPPSによって合成し、
ペプチドを固相支持体から切断し;及び
本明細書に記載された実施形態のいずれかに従って、脂質含有接合パートナー及びペプチド含有接合パートナーを反応せしめることを含む。
【0398】
一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、脂質含有接合パートナーとの反応の前に精製されていない。
【0399】
いくつかの実施形態において、1つ以上の保護基は、ペプチドを固相支持体から切断時に除去される。特定の実施形態において、ペプチド内に存在するすべての保護基が除去される。
【0400】
一実施形態において、SPPSは、Fmoc-SPPSである。
【0401】
いくつかの実施形態において、反応されるチオールを担持するペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸残基は、N-末端アミノ酸残基であり、本方法は、ペプチドを固相から切断する前に、N-末端アミノ基をアシル化することを含む。特に考慮される実施形態において、N-末端残基は、システイン残基である。
【0402】
一実施形態において、本方法は、ペプチド接合体を反応媒体から分離し、及び選択的には、ペプチド接合体を精製することをさらに含む。
【0403】
別の態様において、本発明は、広範囲には、ペプチド接合体の製造方法から構成され、本方法は、
本発明の式(I)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその塩または溶媒和物を生成し、及び
アミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドのアミノ酸にカップリングさせてペプチド接合体を生成することを含む。
【0404】
様々な実施形態において、生成物ペプチド接合体は、本発明の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0405】
様々な実施形態において、アミノ酸接合体のアミノ酸は、アミノ酸のα-炭素におけるエピマー化を低滅させる条件下でカップリングされる。様々な実施形態において、条件は、約35、30、25、20、15、10、5、3、2または1モル%未満のアミノ酸がエピマー化されることである。様々な実施形態において、エピマー化を低滅させる条件は、カップリング試薬としてPyBOPの使用を含む。様々な実施形態において、条件は、PyBOP及び2,4,6-トリメチルピリジンの使用を含む。
【0406】
別の態様において、本発明は、広範囲には、免疫原性ペプチド-接合体の合成において、本発明の式(I)のアミノ酸-またはペプチド-接合体またはその塩または溶媒和物の使用から構成される。
【0407】
様々な実施形態において、免疫原性ペプチド接合体は、本発明の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩である。
【0408】
別の態様において、本発明は、広範囲には、本発明の方法によって生成された本発明のアミノ酸-接合体またはペプチド接合体から構成される。
【0409】
別の態様において、本発明は、広範囲には、本発明の方法によって製造されたペプチド接合体から構成される。
【0410】
別の態様において、本発明は、広範囲には、本発明の式(I)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその塩または溶媒和物を含む組成物から構成される。
【0411】
様々な実施形態において、前記組成物は、単離されるか、純粋か、精製されるか、実質的に精製された式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物を含む。
【0412】
様々な実施形態において、前記組成物は、少なくとも約60、70、75、80、85、90、95、97、98または99重量%の式(I)の化合物またはその塩または溶媒和物を含む。
【0413】
様々な実施形態において、前記組成物は、式(I)の化合物以外のアミノ酸-またはペプチド含有化合物を含有しないか、実質的に含有しない。
【0414】
別の態様において、本発明は、広範囲には、有効量の本発明の式(I)のペプチド接合体化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物から構成される。
【0415】
様々な実施形態において、特許請求の範囲の薬学的組成物は、有効量の本発明の式(I)の1つ以上のペプチド接合体化合物を含む。
【0416】
一実施形態において、前記薬学的組成物は、免疫原性組成物である。
【0417】
一実施形態において、前記薬学的組成物は外因性アジュバントを含まない。
【0418】
いくつかの実施形態において、前記薬学的組成物は、ワクチンである。
【0419】
一実施形態において、前記薬学的組成物は、有効量の本発明の2つ以上のペプチド接合体を含み、例えば、薬学的組成物は、有効量の本発明の3個以上のペプチド接合体を含む。
【0420】
一実施形態において、前記薬学的組成物は、本明細書に記載された1つ以上のペプチドと共に、有効量の本発明の1つ以上のペプチド接合体、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む。例えば、前記薬学的組成物は、有効量の本発明の2つ以上のペプチド接合体、及び本明細書に記載された1つ以上のペプチド、または有効量の本発明の1つ以上のペプチド接合体及び本明細書に記載された2つ以上のペプチドを含む。
【0421】
別の態様において、本発明は、広範囲には、対象にワクチンを接種するか、免疫応答を誘発する方法として、有効量の本発明の式(I)1つ以上のペプチド接合体化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物または有効量の本発明の薬学的組成物を対象に投与することを含む方法から構成される。
【0422】
別の態様において、本発明は、広範囲には、対象にワクチンを接種するか、免疫応答を誘発するための薬剤の製造において、本発明の式(I)の1つ以上のペプチド接合体化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物または本発明の薬学的組成物の使用から構成される。
【0423】
別の態様において、本発明は、広範囲には、対象にワクチンを接種するか、免疫応答を誘発するための本発明の式(I)の1つ以上のペプチド接合体化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物または本発明の薬学的組成物から構成される。
【0424】
別の態様において、本発明は、広範囲には、対象にワクチンを接種するか、免疫応答を誘発するための本発明の式(I)の1つ以上のペプチド接合体化合物またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒和物または本発明の薬学的組成物の使用から構成される。
【0425】
様々な実施形態において、本方法、用途、1つ以上の化合物または薬学的組成物は、対象に免疫応答を誘発するためのものである。
【0426】
様々な実施形態において、本方法、用途、1つ以上の化合物または薬学的組成物は、対象にワクチンを接種するためのものである。
【0427】
いくつかの実施形態において、本方法は、本明細書に記載された1つ以上のペプチド及び本発明の1つ以上のペプチド接合体または本発明の2つ以上のペプチド接合体、例えば、1つ以上のペプチド接合体と組み合わせた1つ以上のペプチドを対象に投与することを含む。
【0428】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された1つ以上のペプチド及び本発明の1つ以上のペプチド接合体または本発明の2つ以上のペプチド接合体、例えば、1つ以上のペプチド接合体と組み合わせた1つ以上のペプチドは、対象にワクチンを接種するか、免疫応答を誘発するために、または対象にワクチンを接種するか、免疫応答を誘発するための薬剤の製造に使用される。
【0429】
いくつかの実施形態において、2つ以上のペプチド接合体が使用されるか、投与される。
【0430】
いくつかの実施形態において、2つ以上のペプチド接合体または1つ以上のペプチド及び1つ以上のペプチド接合体は、同時に、順次にまたは個別に使用されるか、投与される。
【0431】
不斉中心は、本明細書に記載された化合物に存在することができる。不斉中心は、キラル炭素原子における3次元空間において置換基の立体配置に依存して、(R)または(S)として指定され得る。鏡像異性体的に富化され、ジアステレオマー的に富化された立体化学的異性体の混合物を含み、ジアステレオマー、鏡像異性体及びエピマー形態でだけではなく、d-異性体及びl-異性体及びそれらの混合物を含むすべての立体化学的異性体形態の化合物が本発明の範囲内にある。
【0432】
個々の鏡像異性体は、商業的に利用可能な高光学純度の出発物質から、または鏡像異性体混合物を調製し、混合物を個々の鏡像異性体に分割することにより、合成的に調製され得る。分割方法は、鏡像異性体混合物のジアステレオマーの混合物への転換、及び、例えば、再結晶化またはクロマトグラフィー、及び当業界において公知されたいずれかの他の適切な方法による、ジアステレオマーの分離を含む。定義された立体化学の出発物質は、商業的に利用可能であるか、当業界において広く公知された技術によって製造し、必要なら、分割することができる。
【0433】
本明細書に記載された化合物はまた、cis、trans、syn、anti、entgegen(E)及びzusammen(Z)異性体を含む立体配座または幾何異性体として存在することができる。そのようなすべての異性体及びそれらのいずれかの混合物は、本発明の範囲内にある。
【0434】
また、記載された化合物のいずれかの互変異性体またはそれらの混合物が本発明の範囲内にある。当業者なら理解できるように、非常に様々な官能基及び他の構造が互変異性体を示すことができる。例としては、これらに限定されるものではないが、ケト/エノール、イミン/エナミン、及びチオケトン/エンチオール互変異性体を含む。
【0435】
本明細書に記載された化合物はまた、アイソトポログ(isotopologue)及びアイソトポーマー(isotopomer)としても存在することができ、ここで、化合物中の1つ以上の原子が、異なるアイソトープに置換される。適切なアイソトープは、例えば、1H、2H(D)、3H(T)、12C、13C、14C、16O及び18Oを含む。本明細書に記載された化合物に、そのようなアイソトープを組み込むための手順は、当業者に明らかであろう。本明細書に記載された化合物のアイソトポログ及びアイソトポーマーもまた、本発明の範囲内である。
【0436】
また、薬学的に許容可能な塩を含み、本明細書に記載された化合物の塩も本発明の範囲内である。そのような塩は、塩基性窒素含有基の酸付加塩、塩基付加塩及び四級塩を含む。
【0437】
酸付加塩は、遊離塩基形態の化合物を無機または有機酸と反応せしめることにより、調製され得る。無機酸の例としては、これらに限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、及びリン酸を含む。有機酸の例としては、これらに限定されるものではないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、スルファニル酸、アジピン酸、酪酸、及びピバル酸を含む。
【0438】
塩基付加塩は、遊離酸形態の化合物を無機または有機塩基と反応せしめることにより調製され得る。無機塩基付加塩の例は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び他の生理学的に許容可能な金属塩、例えば、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムまたは亜鉛塩を含む。有機塩基付加塩の例は、アミン塩、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びエチレンジアマンの塩を含む。
【0439】
化合物中の塩基性窒素含有基の四級塩は、例えば、化合物を、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなハルロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルのような硫酸ジアルキルなどと反応せしめることにより調製され得る。
【0440】
本明細書に記載された化合物は、種々の溶媒によって、溶媒和物を形成するか、それとして存在することができる。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物、例えば、1水和物、2水和物または3水和物と呼ぶことができる。本明細書に記載された化合物のすべての溶媒和物形態及び非溶媒和形態は、本発明の範囲内である。
【0441】
本明細書の式に使用された一般化学用語は、それらの通常の意味を有する。
【0442】
用語“脂肪族”は、飽和及び不飽和、非芳香族、直鎖、分枝鎖、非環式及び環式炭化水素を含むことが意図される。当業者は、脂肪族基が、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びシクロアルケニル基、及びそれらのハイブリッド、例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル及び(シクロアルキル)アルケニル基を含むことを理解するであろう。様々な実施形態において、脂肪族基は、1~12、1~8、1~6または1~4個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、5~21、9~21または11~21個の炭素原子、例えば、11、13、15、17または19個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、飽和されたものである。
【0443】
用語“ヘテロ脂肪族”は、1つ以上の鎖及び/または環炭素原子がヘテロ原子、好ましくは酸素、窒素及び硫黄から選択されたヘテロ原子によって独立して置換された脂肪族基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、ヘテロ脂肪族は、飽和されたものである。ヘテロ脂肪族基の例は、直鎖または分枝鎖、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニル基を含む。
【0444】
用語“アルキル”は、飽和された直鎖及び分枝鎖炭化水素基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、アルキル基は、1~12、1~10、1~8、1~6または1~4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルキル基は、5~21、9~21または11~21個の炭素原子、例えば、11、13、15、17または19個の炭素原子を有する。直鎖アルキル基の例は、これらに限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル及びn-オクチルを含む。分枝鎖アルキル基の例は、これらに限定されるものではないが、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル及び2,2-ジメチルプロピルを含む。
【0445】
用語“アルケニル”は、2つの炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合を有する直鎖及び分枝鎖のアルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、2~12、2~10、2~8、2~6または2~4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、5~21、9~21または11~21個の炭素原子、例えば、11、13、15、17または19個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルケニル基は、1、2または3個の炭素-炭素二重結合を有する。アルケニル基の例は、これらに限定されるものではないが、ビニル、アリル、-CH=CH(CH3)、-CH=C(CH3)2、-C(CH3)=CH2、及び-C(CH3)=CH(CH3)を含む。
【0446】
用語“アルキニル”は、2つの炭素原子の間に少なくとも1つの三重結合を有する直鎖及び分枝鎖のアルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、2~12、2~10、2~8、2~6または2~4個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アルキニル基は、1、2または3個の炭素-炭素三重結合を有する。例としては、これらに限定されるものではないが、―C≡CH、-C≡CH3、-CH2C≡CH3及び-C≡CH2CH(CH2CH3)2を含む。
【0447】
用語“ヘテロアルキル”は、1つ以上の鎖内炭素原子がヘテロ原子、好ましくは酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択されるヘテロ原子で置換されたアルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、ヘテロアルキルは、飽和されたものである。ヘテロアルキル基は、例えば、ポリエチレングリコール基及びポリエチレングリコールエーテル基等を含む。
【0448】
用語“シクロアルキル”は、単環式、二環式または三環式のアルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、環(複数)内に3~12、3~10、3~8、3~6、3~5個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、5または6個の環炭素原子を有する。単環式シクロアルキル基の例は、これらに限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。いくつかの実施形態において、シクロアルキル基は、3~8、3~7、3~6、4~6、3~5または4~5個の環炭素原子を有する。二環系及び三環系は、架橋、スピロ及び融合シクロアルキル環系を含む。二環式及び三環式シクロアルキル系は、これらに限定されるものではないが、ビシクロ[2.1.1]ヘキサニル、ビシクロ[2.2.1]ヘブタニル、アダマンチル及びデカリニルを含む。
【0449】
用語“シクロアルケニル”は、2つの炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合を有する非芳香族シクロアルキル基を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、シクロアルケニル基は、1、2または3個の二重結合を有する。いくつかの実施形態において、シクロアルケニル基は、環(複数)内に4~14、5~14、5~10、5~8または5~6個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、シクロアルケニル基は、5、6、7または8個の環炭素原子を有する。シクロアルケニル基の例は、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル及びヘキサジエニルを含む。
【0450】
用語“アリール”は、任意の環ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素基含むことが意図される。アリール基は、単環式、二環式または三環式の環系を含む。アリール基の例は、これらに限定されるものではないが、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、インダニル、ペンタレニル及びナフチルを含む。いくつかの実施形態において、アリール基は、環(複数)内に6~14、6~12または6~10個の炭素原子を有する。いくつかの実施形態において、アリール基は、フェニルまたはナフチルである。アリール基は、芳香族-脂肪族融合環系を含む。例としては、これらに限定されるものではないが、インダニル及びテトラヒドロナフチルを含む。
【0451】
用語“ヘテロシクリル”は、3個以上の環原子を含有し、そのうち1つ以上がヘテロ原子である非芳香族環系を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄である。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、1、2、3または4個のヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態において、ヘテロシクリル基は、3~16、3~14、3~12、3~10、3~8または3~6個の環原子を有する単環式、二環式及び三環式環を含む。ヘテロシクリル基は、部分的不飽和及び飽和環系、例えば、イミダゾリニル及びイミダゾリジニルを含む。ヘテロシクリル基は、ヘテロ原子を含有する融合及び架橋環系、例えば、キヌクリジルを含む。ヘテロシクリル基は、これらに限定されるものではないが、アゼリジニル、アゼチジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリジニルおよびトリチアニルを含む。
【0452】
用語“ヘテロアリール”は、5個以上の環原子を含有し、そのうち1つ以上がヘテロ原子である芳香族環系を含むことが意図される。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、窒素、酸素または硫黄である。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、5~16、5~14、5~12、5~10、5~8または5~6個の環原子を有する単環式、二環式及び三環式環系を含む。ヘテロアリール基は、これらに限定されるものではないが、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フラニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル(ピロロピリジニル)、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピラゾロピリジニル、トリアゾロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、イミダゾピリジニル、イソオキサゾロピリジニルキザニリル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、及びキナゾリニルを含む。ヘテロアリール基は、すべての環が芳香族である融合環系、例えば、インドリル、及び環の1つのみが芳香族である融合環系、例えば、2,3-ジヒドロインドリルを含む。
【0453】
用語“ハロ”または“ハロゲン”は、F、Cl、Br及びIを含むことが意図される。
【0454】
用語“ヘテロ原子”は、酸素、窒素、硫黄またはリンを含むことが考慮される。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される。
【0455】
本明細書で使用されるように、用語“置換された”は、示される基の1つ以上の水素原子が独立して選択された1つ以上の適切な置換基によって置換されたことを意味することが意図され、ただし、置換基または置換基が取り付けられた各原子の正常の原子価は、超過されず、置換は、安定した化合物を生成する。様々な実施形態において、本明細書に記載された化合物内の選択的置換基は、これらに限定されるものではないが、ハロ、CN、NO2、OH、NH2、NHR10、NR10R20、C1~6ハロアルキル、C1~6ハロアルコキシ、C(O)NH2、C(O)NHR10、C(O)NR10R20、SO2R10、OR10、SR10、S(O)R10、C(O)R10及びC1~6脂肪族を含み;ここで、R10及びR20は、それぞれ独立して、C1~6脂肪族、例えば、C1~6アルキルである。
【0456】
本明細書で使用されるような用語“カルボキシル保護基”は、容易に除去され、カルボキシル基のOH基を生成させることができ、合成手順の間、所望しない反応に対してカルボキシル基を保護する基を意味する。このような保護基は、文献[Protective Groups in Organic Synthesis edited by T. W. Greene et al. (John Wiley & Sons、1999) 及び ‘Amino Acid-Protecting Groups’ by Fernando Albericio (with Albert Isidro-Llobet and Mercedes Alvarez) Chemical Reviews 2009 (109) 2455-2504]に記載されている。例としては、これらに限定されるものではないが、アルキル及びシリル基、例えば、メチル、エチル、tert-ブチル、メトキシメチル、2,2,2-卜リクロロエチル、ベンジル、ジフェニルメチル、トリメチルシリル及びtert-ブチルジメチルシリルなどを含む。
【0457】
本明細書で使用されるような用語“アミン保護基”は、容易に除去され、アミン基のNH2基を生成することができ、合成手順の間、所望しない反応に対してアミン基を保護する基を意味する。このような保護基は、文献[Protective Groups in Organic Synthesis edited by T. W. Greene et al. (John Wiley & Sons、1999) 及び ‘Amino Acid-Protecting Groups’ by Fernando Albericio (with Albert Isidro-Llobet and Mercedes Alvarez) Chemical Reviews 2009 (109) 2455-2504]に記載されている。例としては、これらに限定されるものではないが、アシル及びアシルオキシ基、例えば、アセチル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、O-ニトロフェニルアセチル、O-ニトロフェノキシアセチル、トリフルオロアセチル、アセトアセチル、4-クロロブチリル、イソブチリル、ピコリノイル、アミノカプロイル、ベンゾイル、メトキシカルボニル、9-フルオレニルメトキシカルボニル、2,2,2-トリフルオロエトキシカルボニル、2-トリメチルシリルエトキシカルボニル、tert-ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルカルボニル、2,4-ジクロロベンジルオキシカルボニルなどを含む。さらなる例としては、Cbz(カルボキシベンジル)、ノシル(o-またはp-ニトロフェニルスルホニル)、Bpoc(2-(4-ビフェニル)イソプロポキシカルボニル)及びDde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソヘキシリデン)エチル)を含む。
【0458】
本明細書で使用されるような用語“カルボキサミド保護基”は、容易に除去され、カルボキサミド基のNH2基を生成することができ、合成手順の間、所望しない反応に対してカルボキサミド基を保護する基を意味する。このような保護基は、文献[Protective Groups in Organic Synthesis edited by T. W. Greene et al. (John Wiley & Sons、1999) 及び ‘Amino Acid-Protecting Groups’ by Fernando Albericio (with Albert Isidro-Llobet and Mercedes Alvarez) Chemical Reviews 2009 (109) 2455-2504]に記載されている。例としては、これらに限定されるものではないが、9-キサンテニル(Xan)、トリチル(Trt)、メチルトリチル(Mtt)、シクロプロピルジメチルカルボニル(Cpd)及びジメチルシクロプロピルメチル(Dmcp)を含む。
【0459】
本明細書で使用されるように、用語“及び/または”は、“及び”または“または”またはその両方を意味する。
【0460】
名詞の後の用語“(複数)”は、単数形及び複数形、またはその両方を考慮する。
【0461】
本明細書で使用されるような用語“含む(comprising)”は、“少なくとも部分的に~からなる”ことを意味する。本明細書において、用語“含む(comprising)”を含む各文を解釈する場合、その用語の前の特徴または特徴以外の特徴がまた存在することができる。“含む(comprise)”及び“含む(comprises)”のような関連する用語は、同じ方式で解釈されるべきである。“含有する(containing)”も同じ方式で解釈されるべきである。
【0462】
本発明はまた、広範囲には、個々にまたは集合的に、本出願の明細書に言及されるか、示される部分、要素及び特徴で、前記部分、要素または特徴のうちの2つ以上の任意のまたはすべての組み合わせで構成されるものと言及されることができ、本発明が関連する技術分野における既知の等価物を有する特定の整数が本明細書に明示された場合、そのような既知の等価物は、個別に記載されたかのように、本明細書に組み込まれるものと見なされる。
【0463】
本明細書に記述された数の範囲(例えば、1~10)に対する参照はまた、その範囲内のすべての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)、及び、また、その範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)に対する参照を含み、従って、本明細書に明示的に記述されたすべての範囲のすべての下位範囲は、本明細書によって明示的に記述されることが考慮される。それらは、具体的に意図されたものの例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間のすべての数値の可能な組み合わせは、本出願で類似する方式で明示的に言及されたものと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0464】
本発明は、広範囲には、前記で定義された通りであるが、当業者は、本発明がこれらに限定されるものではなく、また、本発明は、以下の記載が例を与える実施形態も含むことを理解するであろう。
【0465】
本発明は、添付図面を参照して記載されるであろう。
【0466】
【
図1】
図1は、365nmで AcCSKKKKNLVPC(tBu)VATV1、パルミチン酸ビニル(70当量)及びDMPAの溶液を照射した後の反応混合物のHPLCクロマトグラムである。ピークa(11.05分):残留出発ペプチド1;b(18.58分):モノ-パルミトイル化ペプチド2;c(26.66分):ビス-パルミトイル化ペプチド3;e、f:2及び3のスルポキシド;
*:DMPA光開始剤からの副産物。カラム:Phenomenex Gemini C18(3μ、110Å、4.6×150mm);溶離液A、水/0.1%TFA;溶離液B:MeCN/0.1%TFA;勾配:30分にわたって、5-95%B@1ml/分。
【
図2】
図2は、
図1からのピークbの低分解能質量スペクトルである:m/z(ESI)999.9[M+2H
+].
【
図3】
図3は、
図1からのピークcの低分解能質量スペクトルである:m/z(ESI)1141.3[M+2H
+].
【
図4A】
図4A~
図4Cは、本明細書の実施例に記載されたように、ペプチド接合体及びHekBlue
TMを使用したTLRアルゴニズムアッセイの結果を示すグラフである。A:アゴニスト520、550、530、540、510またはPBSによって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。B:アゴニスト520(灰色のバー)及び530(黒色のバー)によって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。C:アゴニスト550(灰色のバー)及び530(黒色のバー)によって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。
【
図4B】
図4A~
図4Cは、本明細書の実施例に記載されたように、ペプチド接合体及びHekBlue
TMを使用したTLRアルゴニズムアッセイの結果を示すグラフである。A:アゴニスト520、550、530、540、510またはPBSによって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。B:アゴニスト520(灰色のバー)及び530(黒色のバー)によって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。C:アゴニスト550(灰色のバー)及び530(黒色のバー)によって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。
【
図4C】
図4A~
図4Cは、本明細書の実施例に記載されたように、ペプチド接合体及びHekBlue
TMを使用したTLRアルゴニズムアッセイの結果を示すグラフである。A:アゴニスト520、550、530、540、510またはPBSによって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。B:アゴニスト520(灰色のバー)及び530(黒色のバー)によって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。C:アゴニスト550(灰色のバー)及び530(黒色のバー)によって誘発されたHEK-Blue
TM-mTLR2細胞(左側)及びHEK-Blue
TM-hTLR2細胞(右側)におけるSEAP生成。
【
図4D】
図4D及び
図4Eは、D:アゴニスト521(黒色のバー)、551(斜線のバー)及び511(灰色のバー);E:アゴニスト552(斜線のバー)、512(黒色のバー)及び500(灰色のバー)に対する反応へのT細胞クローン活性化を示すグラフである。
【
図4E】
図4D及び
図4Eは、D:アゴニスト521(黒色のバー)、551(斜線のバー)及び511(灰色のバー);E:アゴニスト552(斜線のバー)、512(黒色のバー)及び500(灰色のバー)に対する反応へのT細胞クローン活性化を示すグラフである。
【
図5】
図5は、ビス-パルミトイル化ペプチド3の
1H NMRスペクトルである。
【
図6A】
図6A及び
図6Bは、実施例8に記載されたように、表4に列挙されたPam1Cys-SKKKK-NH2及び(R)-及び(S)-Pam2Cys-SKKKK、Pam3Cys-SKKKK及びホモPam2Cys-SKKKKコンストラクトを種々の濃度で使用したHEK-Blue
TM-mTLR2(
図6A)及びHEK-Blue
TM-hTLR2(
図6B)細胞におけるTLRアルゴニズムアッセイの結果を示すグラフである:10
-6モル/L(黒色のバー)、10
-7モル/L(濃い灰色のバー)、10
-8モル/L(中間灰色のバー)、10
-9モル/L(対角線の斜線のバー)、10
-10モル/L(明るい灰色のバー)及び10
-11モル/L(四角い斜線のバー)。
【
図6B】
図6A及び
図6Bは、実施例8に記載されたように、表4に列挙されたPam1Cys-SKKKK-NH2及び(R)-及び(S)-Pam2Cys-SKKKK、Pam3Cys-SKKKK及びホモPam2Cys-SKKKKコンストラクトを種々の濃度で使用したHEK-Blue
TM-mTLR2(
図6A)及びHEK-Blue
TM-hTLR2(
図6B)細胞におけるTLRアルゴニズムアッセイの結果を示すグラフである:10
-6モル/L(黒色のバー)、10
-7モル/L(濃い灰色のバー)、10
-8モル/L(中間灰色のバー)、10
-9モル/L(対角線の斜線のバー)、10
-10モル/L(明るい灰色のバー)及び10
-11モル/L(四角い斜線のバー)。
【発明を実施するための形態】
【0467】
本発明は、本明細書で定義されたような式(I)のアミノ酸-及びペプチド接合体化合物を提供する。本発明者らは、有利に、このような接合体が驚くべき免疫原性活性を有することを見出した。
【0468】
式(I)のアミノ酸-及びペプチド接合体化合物は、本明細書に記載された方法及び手順を使用して製造され得る。
【0469】
本方法に有用な出発物質及び/または中間体は、公知された合成化学技術(例えば、付録を含み、文献[Louis F Fieser and Mary F,Reagents for Organic Synthesis v. 1-19,Wiley,New York(1967-1999 ed.)またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie,4,Aufl.Ed.Springer-Verlag Berlin]に記載された一般的な方法(また、Beilsteinのオンラインデータベースを介して利用可能))を使用して製造することができるか、いくつかの実施形態において、商業的に利用可能であり得る。
【0470】
化合物の製造は、種々の化学基の保護及び脱保護を含み得る。保護及び脱保護に対する必要性及び適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定され得る。保護及び脱保護のための保護基及び方法は、当業界においてよく公知されている(例えば、文献[T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,3rd Ed.,Wiley & Sons,Inc.,New York(1999)]参照)。
【0471】
スキームA1に示され、後述されるように、wは1であり、vは0であり、mは2~6、好ましくは2である式(I)の化合物である式(IF)の化合物は、エポキシドとアミノ酸含有接合パートナーの接合を含む方法を介して製造され得る。
【0472】
スキームA1:エポキシドとの接合による式(IF)の化合物の製造。
【0473】
【0474】
本発明は、式(XV)の化合物の製造方法であって、効果的な条件下で、式(XVI)のエポキシド及び式(III)のチオールを含むアミノ酸含有接合パートナーを反応せしめて、チオールのエポキシドへの接合によって式(XV)の化合物を生成することを含む方法を提供する。
【0475】
エポキシドと反応するアミノ酸含有接合パートナーは、アミノ酸、例えば、Nα-アミン保護システイン及び/または、C-末端保護システインからなることができる。代替的に、アミノ酸含有接合パートナーは、ペプチド、例えば、短いペプチドを含むことができる。このような実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、約15個以下のアミノ酸残基、例えば、5、4または3個のアミノ酸残基を含むことができる。アミノ酸含有接合パートナーのNα-アミノ基は、好ましくは、接合反応中の反応を抑制するために、保護するか、さもなければ置換する(すなわち、遊離アミン―NH2基の形態で存在しない)。アミノ酸含有接合パートナーのC-末端も保護することができる。
【0476】
式(XVI)の化合物内のX10は、そこからL1-Z1-及びL2-Z2-が後続して形成され得る保護されたヒドロキシル、チオール、アミンまたはカルバメート基(それぞれ、P10-O-、P11-S-、P12-NR-またはP12-NRC(O)O-)であり得る。X10が保護基である場合、保護基を接合反応において除去して、X11が対応する脱保護基である式(XV)の化合物を生成することができる。例えば、X10がP10-O-基である場合、接合によって、式(XV)の化合物内のX11として対応するヒドロキシル基を生成することができる。
【0477】
式(XVI)のエポキシドは、R3が取り付けられた炭素原子に立体中心を含む。従って、エポキシドの単一立体異性体またはエポキシドの立体異性体的に富化された混合物は、式(XV)の化合物及び式(IF)の化合物を含んで形成された後続産物においてR3が取り付けられた炭素原子の立体化学を制御する反応に使用され得る。エポキシドの鏡像異性体的にエナンチオピュアであるか、鏡像異性体的に富化された混合物を生成する様々な方法が当業界において公知されている。様々な実施形態において、式(XVI)のエポキシドの単一立体異性体または立体異性体的に富化された混合物を生成することは、エポキシドのラセミ混合物を分解することを含む。例えば、文献[Jacobsen et al,Science,1997,277,936-938]に記載されたような動力学加水分解によるラセミエポキシド混合物の分解。
【0478】
式(XVI)のエポキシドは、アルケンをエポキシ化するのに効果的な条件下で、式(XVII)のアルケンを酸化剤と反応せしめることによって生成することができる。アルケンをエポキシ化するための様々な方法が当業界において公知されている。特定の実施形態において、エポキシ化は、酸化剤として過酸化物または有機N-オキシドとアルケンを反応せしめることによって実施する。適切な過酸化物の例としては、有機過酸化物、例えば、m-過安息香酸を含む。N-オキシドの例は、例えば、ピリジンN-オキシドなどを含む。他の適切な酸化剤は、当業者に明らかであろう。反応は、適切な溶媒、例えば、ジクロロメタンを含む液体反応媒体中で実施することができる。式(XVII)のアルケンは、商業的に利用可能であるか、標準合成化学技術を使用して商業的に利用可能な前駆体から製造することができる。
【0479】
当業者は、例えば、X10が(N-オキシドを形成することができる)アミン基または(例えば、スルホキシドまたはスルホンを形成することができる)チオエーテル基を含む場合、特定のX10基がエポキシ化反応において酸化されやすいことを理解するであろう。このような基は、酸化を抑制するために反応中に保護することができるか、エポキシ化反応を実施した後、合成手順の適切な時点で所望の基に再還元させることができる。
【0480】
代替的に、式(XVI)のエポキシドは、スキームA2に示されたように、LGがハロゲンのような適切な脱離基である式(XVII-A)の化合物を適切な溶媒中に塩基で処理して、脱離基を置換することによって製造することができる。
【0481】
スキームA2.脱離基置換によるエポキシ化。
【0482】
【0483】
式(XVII-A)の化合物は、商業的に利用可能であるか、商業的に利用可能な前駆体から製造することができる。有利には、いくつかの実施形態において、式(XVII-A)の化合物は、鏡像異性体的にエナンチオピュアなα-アミノ酸から製造することができる。エポキシ化反応は、R3が取り付けられた炭素において立体化学が反転されるように、立体特異的に進行する。
【0484】
例えば、スキームA2-1に示されたように、mは2であり、それぞれのR1及びR2並びにR3、R4及びR5は水素であり、X10は-OHであり、LGはブロモである、式(XVII-A)の化合物に対応する式(XVII-A1)の化合物は、L-アスパラギン酸から製造することができる(文献[Volkmann,R.A.et al.J.Org.Chem.,1992,57,4352-4361]参照).
【0485】
L-アスパルト酸は、例えば、臭化ナトリウムの存在下で、-10~0℃の温度で亜硝酸ナトリウム及び硫酸のような強酸で処理して、亜硝酸をその場で生成させることによってブロモコハク酸(AA-1)に転換することができる。反応は立体化学が全般的に保持されるように立体特異的に進行する。
【0486】
ブロモコハク酸(AA-1)のブロモジオール(XVII-A1)への還元は、適切な還元剤を使用して、例えば、-78℃でTHF中のボラン-ジメチルスルフィド錯体で処理し、反応混合物を室温で加温されるようにすることによって実施することができる。式(XVI-1a)の化合物を生成するためのエポキシ化は、室温でジクロロメタン中のブロモジオール(XVII-A1)を塩基、例えば、炭酸セシウムと反応せしめることによって実施することができる。前記で言及されたように、反応は、立体化学が全般的に反転されるように立体特異的に進行する。
【0487】
エポキシド(XVI-1a)の反対鏡像異性体は、同じ手順に従ってD-アスパラギン酸から製造することができる。
【0488】
スキームA2-1.L-アスパラギン酸からの鏡像異性体的にエナンチオピュアなエポキシドの製造。
【0489】
【0490】
再びスキームA1を参照すると、式(XV)の化合物は、後続して、1つ以上の合成ステップによって、式(IF)のアミノ酸またはペプチド接合体に転換することができる。1つ以上のステップにおいて、R3が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL2-Z2-基に転換させる。
【0491】
X11がL1-Z1-でない場合、次いで、1つ以上のステップは、また、X11をL1-Z1-に転換させることを含む。L1-Z1-及びL2-Z2-基は、同時にまたは任意の手順で順次に導入され得る。
【0492】
特定の実施形態において、1つ以上のステップは、R3が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基の水素原子をL2-C(O)-で置換するために、式(XV)の化合物をアシル化することを含む。
【0493】
例示的な実施形態において、X10はP10-O-またはOHであり;X11はP10-O-またはOHである。
【0494】
様々な実施形態において、X11は、P10-O-またはOHであり;1つ以上の合成ステップは、P10またはX11のヒドロキシル基の水素原子をL1-C(O)-で置換し;及び/またはR3が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基の水素原子をL2-C(O)-で置換するために、式(XV)の化合物をアシル化することを含む。
【0495】
特定の実施形態において、下記のスキームA3に示され、実施例に記載されたように、本方法は、保護されたヒドロキシル基を有する式(XVI-1)のエポキシドを式(III)のアミノ酸含有接合パートナーと反応せしめて、式(XV-1a)の化合物を生成することを含む。
【0496】
スキームA3:エポキシド接合によるビス-エステル接合体の製造。
【0497】
【0498】
接合反応は、酸、例えば、塩酸、硫酸またはそれらの混合物の存在下でエポキシド及びチオールを反応せしめることによって酸性条件下で実施することができる。反応は、約-10~約50℃、例えば、0~40℃の温度で、ジクロロメタンのような適切な溶媒を含む液体反応媒体中で実施することができる。
【0499】
ヒドロキシル保護基P10は、接合に効果的な条件下で除去可能であり、従って、接合反応中に除去して、式(XV-1a)の所望のジオールを生成するように選択する。適切な保護基は、当業者に明らかであり、例えば、酸不安定シリル保護基を含むことができる。
【0500】
代替的に、接合反応は、X10がヒドロキシル基である式(XVI)のエポキシド、例えば、式(XVI-1a)のエポキシドを使用して実施することができる。
【0501】
式(XV-1a)のジオールは、エステル化に効果的な条件下で、XがOHまたは適切な脱離基(例えば、クロロまたはブロモのようなハロゲン化物)である式(VI-1)及び式(VI)の化合物との反応によって、式(IF-1)の化合物に転換することができる。
【0502】
エステル化に効果的な条件は、式(IV)及び/または式(VI-1)の化合物の性質に依存する。例えば、XがOHである場合、反応は、THFのような適切な溶媒を含む液体媒体中でDMAPのような塩基及びN、N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)のような活性化剤の存在下で実施することができる。
【0503】
様々な実施形態において、式(VI)及び式(VI-1)の化合物は同一である。例えば、式(VI)及び式(VI-1)の化合物は、それぞれパルミチン酸であり得る。そのような実施形態において、式(XV-1a)のジオールの式(IF-1)の化合物への転換は、単一ステップで達成することができる。
【0504】
特定の実施形態において、異なるL1及びL2基は、ジオールを式(VI-1)または式(VI)の化合物の化学量論的量と反応せしめて2つのアルコールのうちのより反応性のあるものをエステル化した後、生成されたエステルを式(VI)または式(VI-1)の化合物のうちの他の1つと反応せしめて、ジオールの第2級アルコールをエステル化することによって導入され得る。
【0505】
他の実施形態において、本方法は、下記のスキームA4に示されたように、式(XVI-1)のエポキシド及び式(III)のアミノ酸含有接合パートナーを反応せしめて、式(XV-1b)の化合物を生成することを含む。そのような実施形態において、ヒドロキシル保護基P10は安定であり、接合反応条件下で除去されない。
【0506】
式(XV-1b)の保護されたアルコールは、L1及びL2が異なる式(IF-1)の化合物に対する容易なアクセスを提供する。式(XV-1a)のジオールの以外に、そのような化合物に接近する式(XV-1b)の化合物を使用すると、特定の実施形態において、例えば、式(XV-1a)のジオールのアルコールの間の選択性が乏しい場合、より便利であり得る。
【0507】
スキームA4:式(XV-1b)の化合物を介したビス-エステル接合体の製造。
【0508】
【0509】
式(XV-1b)の化合物のβ-スルファニルヒドロキシル基は、エステル化に効果的な条件下で、式(VI)の化合物によってアシル化して、保護されたエステル(XVIII)を生成した後、保護基P10を除去して、式(XIX)のアルコールを生成することができる。保護基の除去のための条件は、使用される保護基に依存する。例えば、希釈HFは、シリル保護基、例えば、TBDMS、TBDPSなどを除去するために使用され得る。次いで、式(XIX)のアルコールをエステル化に効果的な条件下で式(VI-1)の化合物によってアシル化して、所望の式(IF-1)の化合物を生成することができる。
【0510】
当業者は、ヒドロキシル基、例えば、式(XV-1a)、式(XV-1b)及び式(XIX)の化合物内のヒドロキシル基をチオール及びアミンのような種々の他の官能基に転換して、エステルの以外にL1-Z1-及びL2-Z2-基を有する式(I)の化合物に対するアクセスを生成することができることを理解するであろう。
【0511】
例えば、式(XV-1b)の化合物は、下記のスキームA5に示されたように、式(IF-1)の化合物のチオエステル及びアミド類似体を製造するのに使用され得る。アミド類似体(IF-3)を製造するために、式(XV-1b)の化合物内のヒドロキシル基を初めに、アジドに転換した後、対応するアミンに還元させることができる。反応は、アジドを生成するために、PPh3、I2、イミダゾール及びNaN3を使用した後、アジドをアミンに還元させるために、PPh3を使用して、変形された光延条件(例えば、文献[L.Rokhum et al,J.Chem.Sci,2012,124,687-691])下で、実施することができる。代替的に、アジドは、初めに、ヒドロキシル基を適切な脱離基、例えば、トシル基またはメシル基に転換した後、NaN3で処理して得ることができる。
【0512】
式(VI)の化合物によるアミンのアシル化は、式(XVIII-2)のアミドを生成する。アシル化反応は、THFのような適切な溶媒中で塩基、例えば、DMAP及び活性化剤、例えば、DICの存在下で、式(VI)のカルボン酸を反応せしめることによって実施することができる。保護基P10の脱保護及び生成されたアルコール(XIX-2)のエステル化は、式(IF-3)の化合物を生成する。
【0513】
スキームA5.式(XV-1b)の化合物を介したチオエステル及びアミドの製造。
【0514】
【0515】
チオエステル類似体(IF-2)は、初めに、光延条件下で式(XV-1b)の化合物を反応せしめて(例えば、PPh3、ジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD))、式(VI-2)の所望のチオ酸、例えば、チオパルミチン酸でトラップして、式(XVIII-1)の化合物を生成することによって製造することができる(例えば、文献[O.Schulze et al,Carbohydrate Res.,2004,339,1787-1802]参照)。保護基P10の脱保護及び生成されたアルコール(XIX-1)のエステル化は、式(IF-2)の化合物を生成する。
【0516】
ビス-エステル(IF-1)のチオエステル及びアミド類似体はまた、スキームA6に示されたように、式(XIX)の化合物から製造することができる。式(XIX)の化合物は、式(XV-1b)の化合物の式(XVIII-1)の化合物への転換のために、前記に記載された方法と類似の方法によって、式(IF-4)の化合物に転換させることができる。
【0517】
同様に、式(XIX)の化合物は、式(XV-1b)の化合物の式(XVIII-2)の化合物への転換のために、前記に記載された方法と類似の方法によって、式(IF-5)の化合物に転換させることができる。
【0518】
スキームA6.式(XIX)の化合物を介したチオエステル及びアミドの製造。
【0519】
【0520】
ビス-エステル(IF-1)のさらなる類似体は、スキームA6において式(XIX)の化合物を式(XIX-1)または式(XIX-2)の化合物で置換した後、記載された合成配列に従うことによって、製造することができる。
【0521】
式(IF)の種々の他の化合物は、当業者が理解するような類似の方法によって製造することができる。
【0522】
式(VI)、式(VI-1)、式(VI-2)及び式(VI-3)の化合物は、商業的に利用可能であるか、標準合成化学技術を使用して、商業的に利用可能な前駆体から調製することができる。
【0523】
式(I)の化合物はまた、スキームB1に示されたように、アミノ酸含有接合パートナー及びアセタールの接合を含む方法によって製造することができる。
【0524】
スキームB1.アセタール(XXI)を介した式(I)の化合物の製造。
【0525】
【0526】
本発明は、式(XX)の化合物の製造方法であって、式(III)のアミノ酸含有接合パートナー及びLGが適切な脱離基である式(XXI)のアセタールを効果的な条件下で反応せしめて、式(I)の化合物を生成することを含む方法を提供する。反応において、式(III)の化合物のチオールは、式(XXI)のアセタール内の脱離基(LG)を置換する。適切な脱離基は、これらに限定されるものではないが、ハロ(例えば、クロロ、ブロモまたはヨード)またはスルポネート(例えば、トシラートまたはメシラート)を含む。他の適切な脱離基が、当業者に明らかであろう。
【0527】
式(XXI)の化合物内のアセタール環のサイズは、様々であり得る。アセタール環は、5~7個の環原子を含むことができる(すなわち、5-7員環状アセタールであり得る)。特定の実施形態において、環状アセタールは、6員環である。環状アセタールが5員環状アセタールである場合、式(I)の化合物を生成するために、(m、v及びwの合計が少なくとも3になるようにするために)wは少なくとも2であることが理解されるであろう。
【0528】
アセタールと反応するアミノ酸含有接合パートナーは、アミノ酸、例えば、Nα-アミン保護システイン、及び/またはC-末端保護されたシステインからなることができる。代替的に、アミノ酸含有接合パートナーは、ペプチド、例えば、短いペプチドを含むことができる。このような実施形態において、アミノ酸含有接合パートナーは、約15個以下のアミノ酸残基、例えば、5、4または3個のアミノ酸残基を含むことができる。アミノ酸含有接合パートナーのNα-アミノ基は、好ましくは接合反応中に反応を抑制するために、保護されるか、さもなければ置換する(すなわち、遊離アミン―NH2基の形態で存在しない)。アミノ酸含有接合パートナーのC-末端も保護され得る。
【0529】
接合反応は、塩基の存在下で実施され得る。例えば、反応は、約50℃の温度で適切な溶媒、例えば、DMF中で有機アミンの存在下で実施することができる。適切な有機アミンは、これらに限定されるものではないが、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、コリジンなどを含む。
【0530】
式(XXI)の化合物は、式(XXII)の化合物の立体異性体的に純粋であるか、立体異性体的に富化された混合物を反応せしめることによって、立体異性体的に純粋な形態または立体異性体的に富化された混合物で生成することができる。有利には、4R)-または(4S)-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-イル)-メタノールのような立体異性体的に純粋な式(XXII)の化合物は、容易に商業的に入手可能である。
【0531】
式(XXII)の他の化合物は、当業界において公知された通常の方法によって製造することができる。スキームB1-1に示されたように、Pgが適切なヒドロキシル保護基である式(XXII-B)の化合物を式(XXII-C1)の化合物と反応せしめて、式(XXII-D)のアセタールを生成することができ、これは、次いで、保護基Pgの除去によって、式(XXII)の化合物に転換させることができる。代替的に、式(XXII-B)の化合物をRo及びRpがそれぞれ独立して、C1-4アルキルである式(XXII-C2)の非環状アセタールと反応せしめることができる。アセチル化反応は、ジクロロメタンのような適切な溶媒中でカンファースルホン酸のような酸を使用して実施することができる。
【0532】
保護基Pgの除去のための条件は、使用される保護基に依存する。例えば、シリルエーテル保護基、例えば、TBDMSは、THFのような適切な溶媒中でテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のようなフッ素源での処理によって除去することができる。例えば、文献[C.R.Reddy et al,(Tetrahedron Letters,2010,51(44) 5840-5842);及び Sauret-Cladiere et al (Tetrahedron Asymmetry,1997,8(3),417-423)]を参照する。
【0533】
スキームB1-1.式(XXII)の化合物の製造。
【0534】
【0535】
再びスキームB1を参照すると、式(XXI)の化合物は、脱離基の適切な前駆体との反応によって、式(XXII)の化合物から製造することができる。例えば、トシラートまたはメシラート脱離基は、塩基及び適切な溶媒の存在下で塩化トシルまたは塩化メシルとの反応によって製造することができるし、ヨード脱離基は、PPh3及びI2との反応によって製造することができる。
【0536】
式(XX)の化合物は、後続して1つ以上の合成ステップによって式(I)の化合物、例えば、式(IA)の化合物に転換させることができる。
【0537】
1つ以上の合成ステップは、アセタールを除去して、式(XXIII-1)のジオールを生成することを含むことができる。式(XXIII-1)の化合物においてR1及びR2が取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL1-Z1-に転換させることができ、及び/またはRx及びRyが取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL2-Z2に転換させることができる。
【0538】
例えば、スキームB2に示されたように、式(XX)の化合物内のアセタールをジクロロメタンのような溶媒中でp-トルエンスルホン酸のような酸による処理によって除去して、式(XXIII-1)のジオールを生成することができる。式(XXIII-1)のジオールは、式(XV-1a)の化合物の式(IF-1)の化合物への転換のために記載された方式と類似の方式で1つ以上のアシル化ステップを介して式(IA)のビス-エステル化合物に転換させることができる。
【0539】
スキームB2.式(IA)のビス-エステル接合体の製造。
【0540】
【0541】
代替的に、Rmが選択的に置換されたアリール、例えば、フェニルまたはメトキシ置換されたフェニルである様々な実施形態において、1つ以上の合成ステップは、アセタールを除去して式(XXIII-2)または(XXIII-3)の化合物を生成することを含むことができる。1つ以上のステップは、式(XXIII-2)の化合物においてRx及びRyが取り付けられた炭素原子に結合されたヒドロキシル基をL2-Z2-に転換させ、RmRnCH-基を除去し、ヒドロキシル基を生成し、ヒドロキシル基をL1-Z1に転換させるか;式(XXIII-2)の化合物においてRx及びRyが取り付けられた炭素に結合されたヒドロキシル基をL1-Z1-に転換させ、RmRnCH-基を除去してヒドロキシル基を生成し、ヒドロキシル基をL2-Z2に転換させることを含むことができる。そのような方法は、有利には、異なるL1-Z1及びL2-Z2-基の導入を許容する。
【0542】
スキームB3に例示されたように、式(XX)の化合物のアセタールは、例えば、適切な還元剤、例えば、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)による処理によって除去することができる。次いで、式(XXIII-2)の式化合物の生成化合物は、式(VI)の化合物でアシル化して、所望のL2-C(O)O-基を導入され得る。式(XXV-2)の化合物を生成するためのRmRnCH-基の除去は、(例えば、ベンジルまたはp-メトキシベンジル基に対する)水素化分解またはRmRnCH-基の性質に関連する任意の他の適切な方法によって実施することができる。次いで、式(XXV-2)の化合物は、式(IV-1)の化合物へのアシル化によって、式(IA)の化合物に転換させることができる。アシル化ステップは、式(IF-1)の化合物の製造に関連して、本明細書に記載されたように実施することができる。
【0543】
スキームB3.式(XXIII-2)の化合物を介したビス-エステル接合体。
【0544】
【0545】
式(IA)の化合物が、スキームB3における式(XXIII-2)、式(VI)及び式(VI-1)の化合物をそれぞれ式(XXIII-3)、式(VI-1)及び式(VI)の化合物で置換した後、記載された合成配列に従うことによって、式(XXIII-3)の化合物から製造され得ることが当業者に明らかであろう。
【0546】
アセタールまたはRmRnCH-基の除去の際に生成されるヒドロキシル基、例えば、式(XXIII-1)、(XXIII-2)、(XXIII-3)及び(XXV-2)の化合物内のヒドロキシル基をチオール及びアミンのような種々の他の官能基に転換させて、他のZ1及びZ2基を有する式(I)の化合物に対するアクセスを生成することができる。
【0547】
式(IA)のビス-エステル化合物のアミド及びチオエステル類似体は、式(IF-1)のビス-エステル化合物のアミド及びチオエステル類似体に関連して、前記に記載された方法と類似の方法によって調製することができることが理解されるであろう。
【0548】
本発明はまた、チオール-エン反応を介して式(I)の化合物の製造方法を提供する。本方法は、第1及び第2の脂質含有接合パートナーをアミノ酸含有接合パートナーに接合させるのに効果的な条件下で、炭素-炭素二重結合を含む第1の脂質含有接合パートナー、炭素-炭素二重結合を含む第2の脂質含有接合パートナー及びチオールを含むアミノ酸含有接合パートナーを反応せしめることを含む。各々の脂質含有接合パートナーは、1つはL1を含み、他の1つはL2を含む脂質部分を含み、従って、反応において脂質部分のうちの1つはL1を含み、他の1つはL2を含む式(I)の化合物を生成する。
【0549】
チオール-エン反応は、非芳香族炭素-炭素二重結合にわたってチオールの添加(すなわち、炭素-炭素二重結合のヒドロチオール化(hydrothiolation))を含む。反応は、遊離ラジカルメカニズムを介して進行する。反応には3個の別個の相が存在する:開始、カップリング及び終結。
【0550】
通常的に、ラジカル生成は、アルケンのエン基にわたって伝播する求電子性チイルラジカルを生成させ、炭素-中心ラジカルを形成し、追加のチオール分子からの連鎖伝達は、炭素上のラジカルをクエンチ(quench)させて、最終産物を提供する。
【0551】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、本発明の方法において、チオールは、第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合の炭素原子に接合されて、炭素-中心ラジカルを形成し、次いで、このような炭素-中心ラジカルは、クエンチされる代わりに、第2の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合の炭素原子と接合されて、式(I)の化合物を生成すると考えられる。
【0552】
従って、本方法は、チオールからの硫黄原子が第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子に接合され、第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子が第2の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合からの炭素原子に接合された式(I)のアミノ酸-及びペプチド接合体を提供する。
【0553】
第1及び第2の脂質含有接合パートナーは、同じであるか、異なることができる。当業者は、異なる脂質含有接合パートナーを同時に反応せしめれば、(潜在的に、最大4個の異なる)式(I)の化合物の混合物が生成され得ることを理解するであろう。従って、特定の例示的な実施形態において、第1及び第2の脂質含有接合パートナーは同じである。
【0554】
チオール-エン反応は、第1の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合の炭素原子価チオールに接合され、また、第2の脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合の炭素原子が第1の脂質含有接合パートナーからの炭素-炭素二重結合の炭素原子に接合されることに対する位置選択性であり得る。当業者は、反応において種々の位置異性体が形成され得ることを理解するであろう。
【0555】
特定の実施形態において、本方法は、効果的な条件下で、式(IIA)の第1の脂質含有接合パートナー及び式(IIB)の第2の脂質含有接合パートナーをチオール含有アミノ酸含有接合パートナー(III)と反応せしめて、式(IB)の化合物を生成することを含む(スキームC1)。
【0556】
スキームC1.チオール-エン反応による式(IB)の化合物の製造。
【0557】
【0558】
式(IB)の化合物の形成に効果的な条件は、様々であり得る。様々な実施形態において、式(IB)の化合物の形成に効果的な条件は、少なくとも7:1、例えば、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1または70:1の脂質含有接合パートナー(IIA)及び(IIB)(組み合わせされる)対アミノ酸含有接合パートナーの化学量論的比のように、チオールより化学量論的に過剰量の脂質含有接合パートナーによって反応を実施することを含むことができる。
【0559】
アミノ酸含有接合パートナーの式(IB)の産物化合物への転換の程度は、様々であり得る。好ましくは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60または70%のアミノ酸含有接合パートナーが式(IB)の化合物に転換される。転換は、HPLCによって決定することができる。
【0560】
前記に指摘したように、理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、このような条件下で、式(IA)のアルケンと式(III)チオールとの反応は、式(X)の炭素-中心ラジカルの形成をもたらし、これは、式(III)の別の分子のチオールからのプロトンの抽出によってクエンチされる代わりに、式(IIB)の第2のアルケンによってトラップされて、所望のアミノ酸-またはペプチド接合体を生成すると考えられる。
【0561】
この反応は、反応過程で生成されたラジカル中間体によってR3が結合された炭素原子とRb及びRcが結合された炭素原子との間の結合形成の立体化学を制御するか、これに影響を及ぼし得ないので、立体異性体の混合物の生成をもたらすことができる。反応は、通常的に、R3が結合された炭素原子に対するエピマーの混合物を生成する。
【0562】
特定の実施形態において、脂質含有-接合パートナー内のZ1及びZ2は、それぞれ-C(O)O-であり、チオレン方法で形成された式(I)の化合物は、本明細書に定義されたような式(IC)の化合物である。
【0563】
例示的な実施形態において、本発明のチオレン方法は、式(III)の構造を含むアミノ酸含有接合パートナーを、ビニルエステルである式(IIA)及び(IIB)の脂質含有-接合パートナーと反応せしめて、式(ID)の化合物を生成することを含む。反応は、例えば、下記の実施例に記載されたように、アミノ酸含有接合パートナー;脂質含有-接合パートナー;光化学開始剤、例えば、DMPAを含む反応混合物を照射することによって実施することができる。1つ以上の添加剤が含まれることができ、これは、副産物、例えば、立体障害チオール(例えば、tert-ブチルメルカブタン)、酸(例えば、TFA)またはオルガノシラン(例えば、トリイソプロピルシラン)またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせの形成を低滅させる。反応は、適切な期間の時間、例えば、30分間、周囲温度でNMPのような適切な溶媒中で実施することができる。
【0564】
反応は、通常的に、反応混合物中の1つ以上の遊離ラジカルの生成によって開始される。1つ以上の遊離ラジカルは、当業界において公知された任意の方法によって本方法において生成され得る。遊離ラジカルは、熱的及び/または光化学的に生成され得る。遊離ラジカルの生成を開始させるために、1つ以上の遊離ラジカル開始剤が使用され得る。適切な遊離ラジカル開始剤は、熱開始剤及び光開始剤を含む。
【0565】
遊離ラジカルは、加熱によって熱開始剤から生成される。熱開始剤の分解速度及び生成された遊離ラジカル形成は、開始剤及び開始剤が加熱される温度に依存する。一般的に、温度がより高いほど、より早い分解をもたらす。当業者は、過度の実験なしで、開始剤を加熱するための適切な温度を選択することができるであろう。
【0566】
種々の熱開始剤が市販されている。熱開始剤の例は、これらに限定されるものではないが、tert-アミルペルオキシベンゾエート、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、過酸化ベンゾイル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ラウロイルペルオキシド、過酢酸、及び過硫酸カリウムを含む。
【0567】
遊離ラジカルは、光の照射によって、光開始剤から生成され得る。光開始剤の分解及び遊離ラジカル形成を誘発するのに必要な周波数の光は、開始剤に依存する。多くの光開始剤が、紫外線により開始され得る。
【0568】
脂質含有接合パートナーまたはアミノ酸含有接合パートナー、例えば、ペプチド含有接合パートナーが感光性基を含む場合、特定の波長または波長範囲の光が開始剤を選択的に照射するために、使用され得る。特定の実施形態において、約365nmの周波数が使用される。この周波数の光は、一般的に、天然に存在するアミノ酸の測鎖と適合できる。
【0569】
広範囲の光開始剤が、商業的に利用可能である。光開始剤の例は、これらに限定されるものではないが、アセトフェノン、アニソイン、アントラキノン、アントラキノン-2-スルホン酸、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4-ベンゾイルビフェニル、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン、4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、カンファーキノン、2-クロロチオキサンテン-9-オン、ジベンゾスベレノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(DMPA)、4-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルベンジル、2,5-ジメチルベンゾフェノン、3,4-ジメチルベンゾフェノン、4’-エトキシアセトフェノン、2-エチルアントラキノン、3’-ヒドロキシアセトフェノン、4’-ヒドロキシアセトフェノン、3-ヒドロキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、メティベンゾイルホルメート、2-メチル-4’-(メチルチオ)-2-モルホリノプロピオフェノン、フェナントレンキノン、4’-フェノキシアセトフェノン及びチオキサンテン-9-オンを含む。
【0570】
当業者は、例えば、脂質含有接合パートナー、アミノ酸含有接合パートナー、例えば、ペプチド含有接合パートナー及び反応混合物中に存在する任意の他の成分の性質に関連して、本方法で使用するための適切な遊離ラジカル開始剤を選択することができるであろう。いくつかの実施形態において、開始剤は、約20:1~約0.05:1、約10:1~約0.05:1、約5:1~約0.05:1、約3:1~約0.5:1の、チオールを含む出発物質に対した化学量論的比で反応内に存在する。
【0571】
脂質含有接合パートナー及びアミノ酸含有接合パートナー、例えば、ペプチド含有接合パートナーは、公知された合成化学技術(例えば、付録を含み、文献[Louis F Fieser and Mary F,Reagents for Organic Synthesis v.1-19,Wiley,New York(1967-1999 ed.)またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie,4,Aufl. Ed.Springer-Verlag Berlin]に一般的に記載された方法(また、Beilsteinのオンラインデータベースを介して利用可能))を使用して製造することができるか、いくつかの実施形態において、市販されている。
【0572】
例えば、式(IIA-1)の脂質含有接合パートナー化合物は、エステル化(または、Yがアシル基である場合、エステル交換)に効果的な条件下で、XがOHまたは適切な脱離基である式(VI)の化合物をYがH、金属または半金属、またはアシル(例えば、アルキルカルボニル)である式(VII)の化合物と反応せしめることにより、製造することができる(スキームC2)。
【0573】
スキームC2.式(IIA-1)の化合物の製造。
【0574】
【0575】
エステル化(またはエステル交換)のための方法は、当業界においてよく公知されている。例えば、Xがクルロロであり、YがHである場合、反応は、適切な溶媒中でピリジンまたはトリエチルアミンのような塩基の存在下で、実施することができる。酸塩化物は、その場でより反応性の種(例えば、ヨウ化ナトリウムを使用して対応するヨウ化物)に転換され得る。反応が実施される温度は、使用される酸種及び溶媒の反応性に依存する。
【0576】
例えば、式(IIA-1)のビニルエステルは、酸または金属触媒を使用して酢酸ビニル(適切な触媒上で酢酸及びアセチレンまたは酢酸とエチレンとの反応によって工業的に生成されたそれ自体)へのエステル交換によって生成することができる。例えば、文献[EP0376075A2 and S.K.Karmee,J.Oil Palm Res.,2012,1518-1523]を参照する。
【0577】
式(IIA-1)のビニルエステルはまた、触媒(一般的に、パラジウムまたはルテニウム錯体)の存在下で末端アセチレンにカルボン酸の添加によって製造することができる。例えば、文献[V.Cadierno,J.Francos,J.Gimeno Organometallics,2011,30,852-862;S.Wei,J.Pedroni,A.Meissner,A.Lumbroso,H.-J.Drexler,D.Heller,B.Breit,Chem.Eur.J.,2013,19,12067-12076]を参照する。非末端アセチレンも反応させることができる。 例えば、文献[N.Tsukada,A.Takahashi,Y.Inoue,Tetrahedron Lett.,2011,52,248-250及びM.Rotem,Y.Shvo,J.Organometallic Chem.1993,448,159-204]を参照する。
【0578】
式(IIA-I)のビニルエステルの製造方法のさらなる例は、ジビニル水銀と芳香族及び脂肪族酸との反応(例えば、文献[D.J.Foster,E.Tobler,J.Am.Chem.Soc.1961,83,851]参照);AgFの存在下でアレーンカルボン酸とトリメトキシ(ビニル)シランのCu(II)-触媒エステル化(例えば、文献[F.Luo,C.Pan,P.Qian,J.Cheng,Synthesis 2010,2005]参照);2モル%の[AuCl(PPh3)]及び2モル%のAgOAcからなる触媒系による酢酸ビニルから第1級及び第2級アルコール及び、またカルボン酸へのビニル伝達反応(例えば、文献[A.Nakamura,M.Tokunaga,Tetrahedron Lett.2008,49,3729]参照);及びIr錯体([Ir(cod)Cl]2/P(OMe)3)-触媒ビニル交換(例えば、文献[H.Nakagawa,Y.Okimoto,S.Sakaguchi,Y.Ishii,Tetrahedron Lett.2003,44,103]参照)を含む。
【0579】
式(II-A)の化合物を調製する他の適切な方法は、当業者に明らかであろう。
【0580】
式(IIB-1)の脂質含有接合パートナー化合物は、式(IIA-1)及び式(IIB-1)の化合物が異なる場合、類似の方式で製造することができる。
【0581】
種々の式(VI)の化合物は、市販されている。他のものなどは、市販の前駆体から標準合成化学技術を使用して製造することができる。例えば、Xがクルロロである式(VI)の化合物は、適切な溶媒または溶媒の混合物中で対応するカルボン酸を塩化ティオニルで処理して製造することができる。
【0582】
同様に、式(VII)の化合物はまた、市販されているか、標準合成化学技術を使用して市販の前駆体から製造することができる。
【0583】
脂質含有接合パートナー及びアミノ酸含有接合パートナー、例えば、ペプチド含有接合パートナー及び反応混合物に存在する任意の他の成分を反応容器内に導入する順序は、様々であり得る。反応は、ワンーポット法(one-pot procedure)として実施することができる。
【0584】
反応における、脂質含有接合パートナー対アミノ酸含有接合パートナー、例えば、ペプチド含有接合パートナーの比は、様々であり得る。いくつかの実施形態において、組み合わせされた(すなわち、合計)第1の脂質含有接合パートナー及び第2の脂質含有接合パートナー対アミノ酸含有接合パートナーのモル比は、少なくとも7:1、例えば、8:1、9:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、60:1または70:1である。
【0585】
反応は、任意の適切な温度で実施することができる。いくつかの実施形態において、反応は、約-25℃~約200℃、約-10℃~約150℃、約0℃~約125℃、約周囲温度~約100℃の温度で実施される。いくつかの実施形態において、反応は、約200℃未満、約175℃未満、約150℃未満、約125℃未満または約100℃未満の温度で実施される。
【0586】
いくつかの実施形態において、反応は、周囲温度より高い温度で実施される。一実施形態において、反応は、40~200℃、50~150℃、60~100℃、65~90℃または70~80℃の温度で実施される。いくつかの実施形態において、反応は、40℃超過、50℃超過、75℃超過、100℃超過または150℃超過の温度で実施される。
【0587】
反応が実施される温度は、反応において遊離ラジカルがどのように生成されるかに依存し得る。使用される温度は、反応速度を制御するために、選択され得る。温度は、反応速度を制御するために、反応過程の間に調整され得る。
【0588】
遊離ラジカルが(例えば、熱開始剤を使用して)熱的に生成される場合、反応は一般的に周囲温度より高い温度で実施されるであろう。温度は、遊離ラジカルが生成される種の反応性に依存するであろう。
【0589】
遊離ラジカルが光化学的に生成される場合、反応は、有利には周囲温度で実施することができる。特定の実施形態において、反応速度を遅延させるために、反応混合物を冷却させるか、逆に、反応速度を増加させるために、反応混合物を加熱することが所望され得る。
【0590】
当業者は、存在する他の反応物及び出発物質の反応性に関連して、前記方法を実施するための適切な温度を選択することができるであろう。
【0591】
反応が実施される温度は、当業界において公知された適切な方法によって、反応混合物を加熱または冷却させることにより、制御され得る。例えば、反応容器内の熱交換器、反応容器を取り囲む加熱ジャケットを使用するか、加熱された液体(例えば、オイルまたは砂浴)に反応容器を浸漬させることにより、反応混合物に熱を加えることができる。特定の例示的な実施形態において、反応混合物は、マイクロ波の照射によって加熱する。
【0592】
反応の進行は、いずれかの適切な手段、例えば、薄層クロマトグラフィー(TLC)、または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によってモニターされ得る。反応は、少なくとも1つの出発物質の消費によってモニターされるように、実質的に完了時まで、進行するようにすることができる。いくつかの実施形態において、反応は、1分~7日、5分~72時間、10分~48時間、10分~24時間、進行させる。他の実施形態において、反応は、72時間未満、48時間未満、24時間未満、12時間未満、6時間未満、4時間未満、2時間未満または1時間未満、進行させる。
【0593】
いくつかの実施形態において、反応は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、少なくとも約99%のアミノ酸含有接合パートナーが消費するまで、実施される。出発物質の消費は、いずれかの適切な方法、例えば、HPLCによってモニターされ得る。
【0594】
反応混合物は、当業界において公知されたいずれかの適切な方法により、例えば、磁気または機械的攪拌機を使用して、混合することができる。使用される方法は、反応が実施される規模に依存し得る。
【0595】
反応は一般的に、液体反応媒体において実施される。液体反応媒体は、溶媒を含むことができる。適切な溶媒の例は、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、1、2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、水、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、トリフルオロ酢酸、酢酸、アセトニトリル、及びそれらの混合物を含む。
【0596】
溶媒は、出発物質及び存在する他の反応物、例えば、遊離ラジカル開始剤の溶解度に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態において、脂質含有接合パートナーは、疎水性である。アミノ酸含有接合パートナーの疎水性または親水性は、例えば、ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸配列に依存して変化することができる。ペプチド含有接合パートナー内の可溶化基の存在は、水のような極性溶媒における溶解度を増加させることができる。当業者は、過度の実験なしで、適切な溶媒を選択することができるであろう。
【0597】
反応は、実質的に酸素を含まない条件下で実施され得る。酸素は、反応において形成された遊離ラジカルをクエンチさせることができる。反応混合物は、遊離ラジカルが生成される前に、いずれかの溶存酸素を除去するために、実質的に酸素を含まない不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)で脱気させることができる。代替的に、反応混合物の個々の成分は、反応容器において混合される前に、実質的に酸素を含まない不活性ガスで脱気され得る。反応は、実質的に酸素を含まない不活性ガスの雰囲気下で実施され得る。
【0598】
本発明の方法は、周囲圧力で実施され得る。
【0599】
望ましくない副産物の形成を阻害し、及び/または所望の産物の収率または所望の産物への転換を改善させる添加剤が本発明のチオレン方法の反応混合物に含まれることができる。1つ以上の添加剤は、外来性チオール、酸、オルガノシラン、またはそれらの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。
【0600】
本発明者ら、いくつかの実施形態において、反応混合物中に添加剤として外来性または外因性チオールを含めると、望ましくない副産物の形成を低滅させることを見出した。外来性チオールは、いくつかの実施形態において、所望のチオール-エン反応の効率または転換を増加させることができる。適切な外来性チオールの例は、これらに限定されるものではないが、還元グルタチオン、DODT、DTT、タンパク質、立体障害チオールなどを含む。
【0601】
いくつかの実施形態において、外来性チオールは、DTTである。
【0602】
他の実施形態において、外来性チオールは、立体障害チオールである。適切な立体障害外来性チオールの非制限的例は、tert-ブチルメルカブタン及び1-メチルプロピルメルカブタンを含む。
【0603】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、特定の実施形態において、tert-ブチルメルカブタンのような外来性チオールが、式(X)のラジカルの式(IIB)のアルケンへの伝播時に形成されるラジカル中間体をクエンチさせて、所望の式(IB)の化合物を生成することができるプロトンを提供することができ、生成されたチイルラジカルは、式(III)のアミノ酸含有接合パートナーから別のモルのチイルラジカルを生成することによって反応を伝播させることができると考えられる。
【0604】
外来性チオールが、特定の実施形態において、式(X)のプロトンラジカルを生成することによって反応を早期にクエンチさせることもできることが明らかであろう。そのような実施形態において、外来性チオール及びそれが使用される量は、式(IB)の化合物の収率または化合物への転換(HPLCによって決定されるように)が最適化されるように選択され得る。
【0605】
様々な実施形態において、外来性チオールは、約200:1~約0.05:1、100:1~0.05:1、80:1~0.05:1、60:1~0.05:1、40:1~0.05:1、20:1~約0.05:1、10:1~約0.5:1、5:1~約1:1または3:1~約1:1のアミノ酸含有接合パートナーに対した化学量論的比で反応に存在する。特定の実施形態において、t-BuSHのような立体障害チオールは、約100:1~0.05:1、例えば、約80:1、約40:1または約3:1のアミノ酸含有接合パートナーに対した化学量論的比で反応に存在する。
【0606】
いくつかの実施形態において、酸が含まれる場合、また、望ましくない副産物の形成を低滅させることができる。酸は、強い無機酸、例えば、HClまたは有機酸、例えば、TFAであり得る。特定の実施形態において、添加剤は、TFAである。理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、反応混合物のpHを低下させると、そうでなければ、単一電子伝達に関与し、反応においてラジカル種を形成することができるリシンなどのような残基の電子が富化された測鎖のプロトン化を引き起こすことができると考えている。様々な実施形態において、反応混合物は、約0.01~25、0.01~15、0.01~10または1~10%v/vの酸添加剤を含む。特定の実施形態において、反応混合物は、1~10%v/vのTFA、例えば、5%v/vのTFAを含む。
【0607】
本発明者らは、いくつかの実施形態において、反応混合物内に添加剤として、tert-ブチルメルカブタン及びTFAの両方を含む場合には、望ましくない副産物の形成を低滅させ、所望の産物の出発物質の転換を増加させることができることを見出した。従って、特定の例示的な実施形態において、反応混合物は、強い有機酸及び立体障害チオールの組み合わせのような酸及び外因性チオールの組み合わせ、例えば、TFA及びtert-ブチルメルカブタンの組み合わせを含む。
【0608】
オルガノシランがまた、チオール-エン反応において添加剤として含まれることができる。オルガノシランは、ラジカル系還元剤であり、その活性はケイ素原子上の置換基を変化させることによって調節され得る。様々な実施形態において、オルガノシランは、式(Rq)3SiHの化合物であり、ここで、各々の場合、Rqは独立して水素または有機基、例えば、アルキルまたはアリールであり、ただし少なくとも1つのRqは水素ではない。オルガノシランの例は、これら限定されるものではないが、トリエチルシラン(TES)、トリフェニルシラン、ジフェニルシラン、トリイソプロピルシラン(TIPS)などを含む。様々な実施形態において、オルガノシランは、トリアルキルシラン、例えば、TIPSまたはTESである。
【0609】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、外来性チオールによる場合のように、特定の実施形態において、TIPSのようなオルガノシランは、水素供与体として作用して、所望の式(IB)の化合物を生成することができ、反応の伝播を促進することができると考えている。
【0610】
様々な実施形態において、オルガノシランは、約200:1~約0.05:1、100:1~0.05:1、80:1~0.05:1、60:1~0.05:1、40:1~0.05:1、20:1~0.05:1、10:1~0.5:1、5:1~約1:1または3:1~約1:1のアミノ酸含有接合パートナーに対した化学量論的比で反応に存在する。特定の実施形態において、TIPSのようなトリアルキルシルランは、約100:1~0.05:1、例えば、約80:1または約40:1のアミノ酸含有接合パートナーに対した化学量論的比で反応に存在する。
【0611】
オルガノシランは、外来性チオールと組み合わせて添加剤として使用され得る。代替的に、オルガノシランは、外来性チオールの代わりに使用され得る。TFAのような酸がまた存在することができる。本発明者らは、特定の実施形態において、反応に、TIPSをTFAと共に使用するが、任意の外来性チオールは含まれない場合、TIPS、t-BuSH及びTFAの組み合わせを使用する場合よりも所望の式(IB)の化合物のより高い転換を提供することができることを見出した。
【0612】
添加剤は、一般的に、反応または方法のうち、任意の選択的な後続ステップに悪影響を及ぼさずに、望ましくない副産物の形成を最小化するのに十分な量で使用される。
【0613】
反応で生成された産物及び所望の産物への転換は、例えば、HPLCによって決定され得る。
【0614】
反応混合物中の脂質含有接合パートナー及びアミノ酸含有接合パートナー、例えば、ペプチド含有接合パートナーの濃度はまた、それぞれ反応に影響を及ぼすことができる。当業者は、例えば、過度の実験なしで、収率及び純度を最適化するために、反応混合物中の脂質含有接合パートナー及びペプチド含有接合パートナーの濃度を変えることができるであろう。
【0615】
いくつかの実施形態において、チオールを含む出発物質は、約0.05mM~約1M、約0.5mM~約1M、約1mM~約1Mの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、濃度は、少なくとも約0.05mM、0.5mMまたは1mMである。
【0616】
いくつかの実施形態において、アルケンを含む出発物質の濃度は、少なくとも約0.05mM、0.5mMまたは1mMである。
【0617】
いくつかの実施形態において、アミノ酸接合体またはペプチド接合体は、反応後、反応媒体から分離され、選択的に精製される。接合体は、当業界において公知されたいずれかの適切な方法を使用して、例えば、沈殿によって反応媒体から分離され得る。
【0618】
いくつかの実施形態において、アミノ酸またはペプチド接合体は、それを反応媒体から分離した後、精製される。例えば、接合体は、1つ以上の適切な溶媒を使用して、HPLCによって精製され得る。
【0619】
本発明はまた、ペプチド接合体の製造方法を提供し、本方法は、
本発明の式(I)のアミノ酸-またはペプチド接合体またはその塩または溶媒和物を生成すること、及び
アミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドのアミノ酸にカップリングさせてペプチド接合体を生成することを含む。
【0620】
本発明の方法において、生成されたペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナー及び/またはカップリングされたペプチドは、合成ペプチドを含むことができる。合成ペプチドは、固相ペプチド合成(SPPS)を使用して製造され得る。
【0621】
固相ペプチド合成(SPPS)の基本原理は、リンカー分子を介して、固相支持体、通常的に樹脂粒子に固定された成長ポリペプチド鎖へのアミノ酸の階段的添加であり、これは、ポリペプチド鎖が完了した場合、切断及び精製を可能にする。手短に言及すれば、固相樹脂支持体及び出発アミノ酸は、リンカー分子を介して互いに取り付けられる。そのような樹脂-リンカー-酸マトリックスは、商業的に利用可能である。
【0622】
樹脂にカップリングされるアミノ酸は、そのNα-末端で化学的保護基によって保護される。
【0623】
アミノ酸はまた、測鎖保護基を有することができる。そのような保護基は、樹脂に取り付けられたペプチド鎖の保護されていないNα-アミノ基とカップリングされたアミノ酸のカルボキシル基との間に新しいペプチド結合を形成する過程の間に望ましくないかまたは有害な反応が起こらないように抑制する。
【0624】
カップリングされるアミノ酸は、ペプチド鎖のN-末端アミノ酸の保護されていないNα-アミノ基と反応せしめられ、これは、ペプチド鎖の鎖長さを1つのアミノ酸ほど増加させる。カップリングされるアミノ酸のカルボキシル基は、ペプチド鎖のNα-アミノ基による反応を促進する適切な化学的活性化剤によって活性化され得る。次いで、ペプチド鎖のN-末端アミノ酸のNα-アミノ基は、次のアミノ酸残基によるカップリングのために、製造において除去する。この技術は、可能な場合いつでも、自動化を魅力的にする多くの反復ステップからなる。当業者は、例えば、収束ペプチド合成が所望の場合、ペプチドが個々のアミノ酸の代わりに、固相結合アミノ酸またはペプチドのNα-アミノ基にカップリングされ得ることを理解するであろう。
【0625】
所望のアミノ酸配列が達成された場合、前記ペプチドは、リンカー分子で固相支持体から切断される。
【0626】
SPPSは、連続フロー方法またはバッチフロー方法を使用して実施され得る。連続フローは、分光光度計を介して反応進行状況をリアルタイムにモニタリングを可能にするが、樹脂上のペプチドと接触する試薬が希釈され、固相樹脂の物理的サイズの制約のために、スケールがより制限される2つの明白な欠点がある。バッチフローは、フィルター反応容器で起こり、反応物がアクセス可能であり、手動または自動に添加され得るので有用である。
【0627】
2つのタイプの保護基が、N-α-アミノ末端を保護するために通常的に使用される:“Boc”(tert-ブチルオキシカルボニル)及び“Fmoc”(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)。Boc方法の試薬は、比較的安価であるが、これは、腐食性が高く、高価な装置及びより厳密な予防措置を取る必要がある。より高価であるが、腐食性が少ない試薬を使用するFmoc方法が通常的には好ましい。
【0628】
SPPSの場合、非常に種々の固体支持体相が利用可能である。合成に使用される固相支持体は、合成目的に適切な合成樹脂、合成ポリマーフィルムまたはシリコーンまたはケイ酸塩表面(例えば、制御された多孔性ガラス)であり得る。一般的に、樹脂は、通常的にポリスチレン懸濁液、またはポリスチレン-ポリエチレングリコール、またはポリマー支持体、例えば、ポリアミドが使用される。Boc-化学に適切なリンカーによって官能化された樹脂の例は、PAM樹脂、オキシム樹脂SS、フェノール樹脂、臭化Wang樹脂(brominated Wang resin)及び臭化PPOA樹脂を含む。Fmoc化学に適切な樹脂の例は、アミノメチルポリスチレン樹脂、AMPB-BHA樹脂、Sieberアミド樹脂、Rink酸樹脂、Tentagel S AC樹脂、2-クロロトリチルクロライド樹脂、2-クロロトリチルアルコール樹脂、Tentagel S Trt-OH樹脂、Knorr-2-クロロトリチル樹脂、ヒドラジン-2-クロロトリチル樹脂、ANP樹脂、Fmoc光解離性樹脂、HMBA-BHA樹脂、Tentagel S HMB樹脂、Aromatic Safety Catch樹脂、BAl樹脂及びFmoc-ヒドロキシルアミン2 クロロトリチル樹脂を含む。他の樹脂は、PL Cl-Trt樹脂、PL-Oxime樹脂及びPL-HMBA樹脂を含む。一般的に、樹脂は交換可能である。
【0629】
各々の樹脂の場合、適切なカップリング条件は、出発モノマーまたはサブユニットの取り付けに対する文献において公知されている。
【0630】
固相支持体の調製は、支持体を適切な溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中で溶媒和することを含む。固相は、通常的に、溶媒化の間、体積が増加し、これは次いでペプチド合成を実施するために利用可能な表面積を増加させる。
【0631】
次いで、ペプチド鎖を固相支持体に連結するためのリンカー分子を支持体に付着させる。リンカー分子は一般的に、最終的な切断がC-末端に遊離酸またはアミドのいずれかを提供するように設計される。リンカーは一般的に、樹脂特異的ではない。リンカーの例は、ペプチド酸、例えば、4-ヒドロキシメチルフェノキシアセチル-4’-メチルベンズヒドリルアミン(HMP)またはペプチドアミド、例えば、ベンズヒドリルアミン誘導体を含む。
【0632】
ペプチド配列の第1アミノ酸は、リンカーを固相支持体に取り付けた後、リンカーに取り付けられることができるか、ペプチド配列の第1アミノ酸を含むリンカーを使用して、固相支持体に取り付けることができる。アミノ酸を含むリンカーは、商業的に利用可能である。
【0633】
次のステップは、第1アミノ酸のNα-アミノ基を脱保護することである。Fmoc SPPSの場合、Nα-アミノ基の脱保護は、弱塩基処理(例えば、ピペラジンまたはピペリジン)によって実施することができる。測鎖保護基は、適度な酸分解(例えば、トリフルオロ酢酸(TFA))によって除去することができる。Boc SPPSの場合、Nα-アミノ基の脱保護は、例えば、TFAを使用して実施することができる。
【0634】
脱保護後、アミノ酸鎖伸長またはカップリングは、ペプチド結合の形成によって進行する。この過程は、カップリングされるアミノ酸のC-α-カルボキシル基の活性化を必要とする。これは例えば、現場試薬、予備形成された対称無水物、活性エステル、酸ハロゲン化物またはウレタン保護N-カルボキシ無水物を使用して達成することができる。現場方法は、同時活性化及びカップリングを可能にする。カップリング試薬は、カルボジイミド誘導体、例えば、N、N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドまたはN,N-ジイソプロピルカルボジイミドを含む。カップリング試薬はまた、ベンゾトリアゾールのウロニウムまたはホスホニウム塩誘導体も含む。そのようなウロニウム及びホスホニウム塩の例は、HBTU(O-1H-ベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-N、N、N’、N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェ-ト)、BOP(ベンゾトリアゾ-ル-1-イル-オキシ-トリス-(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェ-ト)、PyBOP(ベンゾトリアゾ-ル-1-イル-オキシ-トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェ-ト)、PyBOP、HBTU(O-(1H-6-クロロベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェ-ト)、TCTU(O-1H-6-クロロベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレ-ト)、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェ-ト)、TATU(O-(-7-アザベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレ-ト)、TOTU(O-[シアノ(エトキシカルボニルアミノ]-N、N、N’、N”-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレ-ト)、及びHAPyU(O-(ベンゾトリアゾ-ル-1-イル)オキシビス-(ピロリジノ)-ウロニウムヘキサフルオロホスフェ-トを含む。いくつかの実施形態において、カップリング試薬は、HBTU、HATU、BOPまたはPyBOPである。
【0635】
所望のアミノ酸配列を合成した後、ペプチドを樹脂から切断する。この過程に使用される条件は、測鎖保護基及びペプチドのアミノ酸組成の感受性に依存する。一般的に、切断は、保護基及びリンカーに由来する反応性カルボニウムイオンをクエンチさせるために、複数のスカベンジング剤を含有する環境で実施する。一般的な切断剤は、例えば、TFA及びフッ化水素(HF)を含む。いくつかの実施形態において、ペプチドがリンカーを介して固相支持体に結合される場合、ペプチド鎖は、リンカーからペプチドを切断することにより、固相支持体から切断される。
【0636】
樹脂からペプチドを切断するために使用される条件は、1つ以上の測鎖保護基を同時に除去することができる。
【0637】
SPPSにおける保護基の使用は、十分に確立されている。一般的な保護基の例は、これらに限定されるものではないが、アセトアミドメチル(Acm)、アセチル(AC)、アダマンチルオキシ(AdaO)、ベンゾイル(Bz)、ベンジル(Bzl)、2-ブロモベンジル、ベンジルオキシ(BzlO)、ベンジルオキシカルボニル(Z)、ベンジルオキシメチル(Bom)、2-ブロモベンジルオキシカルボニル(2-BR-Z)、tert-ブトキシ(tBuO)、tert-ブトキシカルボニル(Boc)、tert-ブトキシメチル(Bum)、tert-ブチル(tBu)、tert-ブチルチオ(tButhio)、2-クロロベンジルオキシカルボニル(2-Cl-Z)、シクロヘキシルオキシ(cHxO)、2、6-ジクロロベンジル(2、6-DiCl-Bzl)、4、4’-ジメトキシベンズヒドリル(Mbh)、1-(4、4-ジメチル-2、6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)3-メチル-ブチル(ivDde)、4-{N-[1-(4、4-ジメチル-2、6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)3-メチルブチル]-アミノ)ベンジルオキシ(ODmab)、2、4-ジニトロフェニル(Dnp)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、ホルミル(For)、メシチレン-2-スルホニル(Mts)、4-メトキシベンジル(MeOBzl)、4-メトキシ-2、3、6-トリメチル-ベンゼンスルホニル(Mtr)、4-メトキシトリチル(Mmt)、4-メチルベンジル(MeBzl)、4-メチルトリチル(Mtt)、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル(Npys)、2、2、4、6、7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル(Pbf)、2、2、5、7、8-ペンタメチル-クロマン-6-スルホニル(Pmc)、トシル(Tos)、トリフルオロアセチル(Tfa)、トリメチルアセトアミドメチル(Tacm)、トリチル(Trt)及びキサンチル(Xan)を含む。
【0638】
ペプチドのアミノ酸の1つ以上の測鎖が、例えば、追加のカルボキシル、アミノ、ヒドロキシまたはチオール基のような官能基を含有する場合、さらなる保護基が必要な場合がある。例えば、Fmoc戦略が使用される場合、Mtr、Pmc、PbfがArgの保護のために使用されることができ;Trt、TmobがAsn及びGlnの保護のために使用されることができ;BocがTrp及びLysの保護のために使用されることができ;tBuがAsp、Glu、Ser、Thr及びTyrの保護のために使用されることができ;Acm、tBu、tButhio、Trt及びMmtがCysの保護のために使用され得る。当業者は、多くの他の適切な組み合わせが存在することを理解するであろう。
【0639】
前記に概略されたSPPS方法は、当業界においてよく公知されている。例えば、文献[Atherton and Sheppard,“Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,”New York:IRL Press,1989;Stewart and Young:“Solid-Phase Peptide Synthesis 2nd Ed.,”Rockford,Illinois:Pierce Chemical Co.,1984;Jones,“The Chemical Synthesis of Peptides,”Oxford: Clarendon Press,1994;Merrifield,J.Am.Soc.85:2146-2149(1963);Marglin,A.and Merrifield,R.B.Annu.Rev.Biochem.39:841-66(1970);and Merrifield R.B.JAMA. 210(7):1247-54(1969);and“Solid Phase Peptide Synthesis-A Practical Approach”(W.C.Chan and P.D.White,eds.Oxford University Press,2000)]を参照する。ペプチドまたはポリペプチドの自動合成のための装置は、Perkin Elmer/Applied Biosystems(Foster City,CA)のような供給元から容易に商業的に利用可能であり、製造業者の指針に従って操作することができる。
【0640】
樹脂からの切断に続いて、例えば、遠心分離または濾過により、ペプチドを反応媒体から分離することができる。次いで、例えば、1つ以上の適切な溶媒を使用して、HPLCにより、ペプチドを後続して精製することができる。
【0641】
有利には、本発明者らは、いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、樹脂からのペプチドを切断した後に、精製なしで、本発明の方法に使用することができることを見出した。
【0642】
本発明者らはまた、有利には、いくつかの実施形態において、ペプチドがNα-アミノ基保護基または任意の測鎖保護基を含有しないペプチド含有接合パートナーを使用して、本発明のチオレン方法を実施することができることを見出した。反応は、一般的に、チオール及び非芳香族炭素-炭素二重結合の反応に対して選択的である。
【0643】
本発明の方法において所望しない競争反応を抑制するために、ペプチド含有接合パートナー(例えば、ペプチドのシステイン残基)に存在するチオール基を保護基で保護する必要があり得る。チオール基は、ペプチドに存在する1つ以上の他の保護基を除去するか、樹脂からペプチドを切断するために使用される条件下で、除去できない保護基によって保護することができる。
【0644】
典型的には、ペプチドは、適切な保護基を有するアミノ酸を使用して合成されるであろう。当業者は、過度の実験なしで、適切な保護基を選択することができるであろう。
【0645】
アミノ酸含有接合パートナー及び/または脂質含有接合パートナーは、反応される脂質含有接合パートナーの炭素-炭素二重結合の添加時に、1つ以上の不飽和炭素-炭素結合を含むことができる。当業者は、そのような実施形態において、反応される炭素-炭素二重結合に対するチオールの選択性が、例えば、1つ以上の追加の不飽和炭素-炭素結合に対する炭素-炭素二重結合の立体的及び/または電子的環境に依存することができることを理解するであろう。特定の実施形態において、反応される炭素-炭素二重結合は、アミノ酸含有接合パートナー及び脂質含有接合パートナー内の任意の他の不飽和炭素-炭素結合に対して活性化される。特定の実施形態において、反応される炭素-炭素二重結合は、ペプチド含有接合パートナー及び脂質含有接合パートナー内の任意の他の不飽和炭素-炭素結合に対して活性化される。
【0646】
いくつかの実施形態において、チオールを含むアミノ酸含有接合パートナーのアミノ酸のNα-アミノ基は、アシル化され、例えば、アセチル化される。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、反応されるチオールまたは炭素-炭素二重結合を含むアミノ酸含有接合パートナーのアミノ酸のNα-アミノ基をアシル化し、例えば、アセチル化することを含むことができる。
【0647】
ペプチド含有接合パートナーがSPPSによって合成された場合、アシル化は、樹脂からの切断の前、または後に実施することができる。いくつかの実施形態において、反応されるチオールを有するペプチド含有接合パートナーのアミノ酸残基は、N-末端アミノ酸残基、例えば、システインであり、本方法は、ペプチドを切断する前にN-末端アミノ基をアシル化することを含む。
【0648】
いくつかの実施形態において、本方法は、脂質部分が接合されたアミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸残基のNα-アミノ基をアシル化、例えば、アセチル化することをさらに含む。
【0649】
アミノ酸のNα-アミノ基のアシル化は、適切な溶媒、例えば、DMF中、塩基の存在下で、アシル化剤とアミノ酸またはペプチドを反応せしめることにより、実施することができる。アシル化剤の非限定的例は、酸ハロゲン化物、例えば、塩化アセチルのような酸塩化物、及び酸無水物、例えば、無水酢酸を含む。そのような剤は、商業的に利用可能であるか、当業界においてよく公知された方法によって製造することができる。適切な塩基の非限定的例は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4-メチルモルホリンなどを含む。
【0650】
他の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドの合成は、Nα-アミノ基でアシル化され、例えば、アセチル化され、反応されるチオールを含むアミノ酸を含むアミノ酸またはペプチドを1つ以上のアミノ酸及び/または1つ以上のペプチドにカップリングさせることを含む。
【0651】
いくつかの実施形態において、本方法は、アミノ酸接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドにカップリングさせてペプチド接合体を生成することを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アミノ酸接合体のアミノ酸を、SPPSによって固相樹脂支持体に結合されたアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることを含む。いくつかの実施形態において、本方法は、アミノ酸接合体のアミノ酸を、SPPSによって固相樹脂支持体に結合されたペプチドにカップリングさせることを含む。本方法は、SPPSによって固相樹脂支持体に結合されたペプチドを合成することを含むことができる。
【0652】
いくつかの実施形態において、本方法は、ペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、アミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることをさらに含む。いくつかの実施形態において、カップリングされるペプチドは、ペプチドエピトープを含む。他の実施形態において、ペプチドエピトープは、カップリング時に形成される。カップリングは、本明細書に記載されたように、SPPSによって実施することができる。
【0653】
いくつかの実施形態において、本方法は、ペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、アミノ酸接合体のアミノ酸をSPPSによって固相樹脂支持体に結合されたペプチドにカップリングさせることを含む。
【0654】
一実施形態において、カップリングされるペプチド接合体のペプチドは、固相樹脂支持体に結合され、本方法は、ペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、カップリングされるペプチド接合体のアミノ酸をアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることを含む。
【0655】
代替的実施形態において、本方法は、ペプチドエピトープを含むペプチド接合体を生成するために、ペプチド接合体のアミノ酸をSPPSによって固相樹脂支持体に結合されたアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることを含む。
【0656】
いくつかの実施形態において、本方法は、エピトープ、例えば、ペプチドエピトープをアミノ酸接合体またはペプチド接合体にカップリングさせることをさらに含む。本方法がペプチドエピトープをカップリングすることを含む場合、カップリングは、本明細書に記載されたように、SPPSによって実施することができる。
【0657】
特定の実施形態において、エピトープ、例えば、ペプチドエピトープは、リンカー基を介してカップリングされるか、結合される。特定の実施形態において、リンカー基は、アミノ配列、例えば、2つ以上、3個以上または4個以上の連続するアミノ酸の配列である。特定の実施形態において、リンカーは、約2~20、2~18、2~16、2~14、2~12、2~10、4~20、4~18、4~16、4~14、4~12または4~10個のアミノ酸を含む。
【0658】
当業者は、本明細書に記載されたように、アミノ酸またはペプチドを別のアミノ酸またはペプチドにカップリングさせることは、1つのカップリングパートナーのペプチドの前記アミノ酸または1つのアミノ酸のNα-末端と他のカップリングパートナーのペプチドの前記アミノ酸または1つのアミノ酸のC-末端との間にペプチド結合を形成することを含むことができることを理解するであろう。
【0659】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸配列をSPPSによって合成すること;ペプチド含有接合パートナーを反応せしめることを含む。
【0660】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸配列をSPPSによって合成すること;及び脂質含有接合パートナーをペプチド含有接合パートナーと反応せしめることを含む。
【0661】
いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドのアミノ酸配列をSPPSによって合成することは、アミノ酸またはペプチドを固相樹脂支持体に結合されたアミノ酸またはペプチドにカップリングさせて、ペプチドのアミノ酸配列またはその一部を生成することを含む。特定の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーの全ペプチドのアミノ酸配列は、SPPSによって合成される。
【0662】
ペプチド含有接合パートナーは、例えば、チオレン方法において、固相樹脂支持体に結合されたまま、脂質含有接合パートナーと反応せしめられ得る。代替的に、ペプチドは、固相樹脂支持体から切断することができ、例えば、脂質含有接合パートナーとの反応の前に選択的に精製することができる。
【0663】
ペプチド接合体及び/またはアミノ酸含有接合パートナー、例えば、ペプチド含有接合パートナーは、1つ以上の可溶化基を含むことができる。1つ以上の可溶化基は、例えば、水のような極性溶媒中のペプチド含有接合パートナーの溶解度を増加させる。例示的な実施形態において、可溶化基は、ペプチド接合体の生物学的活性に悪影響を及ぼさない。
【0664】
可溶化基の存在は、薬学的組成物としての、ペプチド接合体の配合及び/または投与に有利であり得る。
【0665】
いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドに結合される。いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド含有接合パートナーのペプチドに結合される。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体のペプチド及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、可溶化基を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、可溶化基を含む。
【0666】
いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖内のアミノ酸の測鎖に結合される。いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖のC-またはN-末端に結合される。いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖内の2つのアミノ酸残基の間に結合される。いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖内の1つのアミノ酸残基のNα-アミノ基、及びペプチド鎖内の別のアミノ酸残基のカルボキシル基に結合される。
【0667】
適切な可溶化基の例は、これらに限定されるものではないが、親水性アミノ酸配列、またはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0668】
一実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖内に2つ以上の親水性アミノ酸残基を含む親水性アミノ酸配列である。いくつかの実施形態において、可溶化基は、ペプチド鎖内に2つ以上の連続親水性アミノ酸残基の配列を含むアミノ酸配列である。そのような可溶化基は、SPPSによって、可溶化基の各々のアミノ酸をペプチド鎖に添加することによって形成することができる。
【0669】
別の実施形態において、可溶化基は、ポリエチレングリコールである。いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールは、ペプチド鎖内の1つのアミノ酸残基のNα-アミノ基、及びペプチド鎖内の別のアミノ酸残基のカルボキシル基に結合される。
【0670】
いくつかの実施形態において、ポリエチレングリコールは、約1~約100、約1~約50、約1~約25、約1~約20、約1~約15、約1~約10、約2~約10または約2~約4個のエチレングリコールモノマー単位を含む。ポリエチレングリコールをペプチドにカップリングさせる方法は、公知されている。
【0671】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、抗原、例えば、抗原性ペプチドを含む。一実施形態において、ペプチド接合体またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、抗原であるか、それを含み;または抗原は、選択的にリンカーを介してペプチドに結合される。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、抗原、例えば、抗原性ペプチドを含む。一実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、抗原であるか、それを含み;または抗原は、選択的にリンカーを介してペプチドに結合される。
【0672】
一実施形態において、抗原は、エピトープを含むペプチドを含む。一実施形態において、エピトープを含むペプチドは、エピトープを含む糖ペプチドである。一実施形態において、抗原は、エピトープを含む糖ペプチドを含む。
【0673】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、エピトープを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、エピトープを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、エピトープを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、エピトープを含む。
【0674】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、2つ以上のエピトープを含み、例えば、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、2つ以上のエピトープを含む。
【0675】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、エピトープを含む糖ペプチドであるか、それを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、糖ペプチドである。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドに結合されたエピトープを含む糖ペプチドを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、エピトープを含む糖ペプチドであるか、それを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、糖ペプチドである。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、ペプチド含有接合パートナーのペプチドに結合されたエピトープを含む糖ペプチドを含む。
【0676】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、タンパク質分解切断部位を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、タンパク質分解切断部位を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、タンパク質分解切断部位を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、タンパク質分解切断部位を含む。
【0677】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、1つ以上のリンカー基を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーのペプチドは、1つ以上のリンカー基を含む。
【0678】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、リンカー基を含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、リンカー基を含む。
【0679】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーは、リンカー基を介して、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドに結合されたエピトープを含む。いくつかの実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、リンカー基を介して、ペプチド含有接合パートナーのペプチドに結合されたエピトープを含む。
【0680】
リンカー基の例は、これらに限定されるものではないが、アミノ酸配列(例えば、ペプチド)、ポリエチレングリコール、アルキルアミノ酸などを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、タンパク質分解切断部位であるか、それを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、可溶化基であるか、それを含む。
【0681】
いくつかの実施形態において、リンカーは、ペプチド鎖内の2つのアミノ酸残基の間に結合される。
【0682】
いくつかの実施形態において、リンカー基は、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナー内の1つのアミノ酸残基のNα-アミノ基、及びペプチド含有接合パートナー内の別のアミノ酸残基のカルボキシル基に結合される。いくつかの実施形態において、リンカー基は、ペプチド含有接合パートナー内の1つのアミノ酸残基のNα-アミノ基、及びペプチド含有接合パートナー内の別のアミノ酸残基のカルボキシル基に結合される。
【0683】
特定の実施形態において、リンカー基は、それが結合されたアミノ酸からインビボで切断可能である。特定の実施形態において、リンカー基は、インビボで加水分解によって切断可能である。特定の実施形態において、リンカー基は、インビボで酵素加水分解によって切断可能である。リンカー基は、当業界において公知されたいずれかの適切な方法によって導入され得る。
【0684】
本方法は、エピトープをアミノ酸接合体のアミノ酸またはペプチド接合体のペプチドにカップリングさせることをさらに含むことができる。エピトープは、前記に記載されたように、リンカー基を介して結合され得る。いくつかの実施形態において、エピトープは、ペプチドエピトープである。いくつかの実施形態において、本方法は、エピトープを含む糖ペプチドをカップリングさせることを含む。
【0685】
特定の好ましい実施形態において、本発明のペプチド接合体が、抗原提示細胞による、適切な取り込み、プロセッシング及び提示を維持することが理解されるであろう。好ましくは、脂質含有接合体は、抗原提示細胞による、接合体内に存在するいずれかの抗原性ペプチドの提示を妨害しない。本明細書に提供された実施例は、本発明の接合体が、抗原提示細胞によって非接合された関連ペプチドと同等に提示されるということを確証する。
【0686】
合成されたペプチドのアイデンティティの確認は、例えば、アミノ酸分析、質量分析、エドマン分解(Edman degradation)などによって簡便に達成され得る。
【0687】
本発明の方法は、液体反応媒体からアミノ酸接合体を分離することをさらに含むことができる。代替的に、本発明の方法は、液体反応媒体からペプチド接合体を分離することをさらに含むことができる。当業界において公知された任意の適切な分離方法、例えば、沈殿及び濾過が使用され得る。接合体は、例えば、1つ以上の適切な溶媒を使用して、HPLCにより後続して精製され得る。
【0688】
本発明はまた、本発明の方法によって製造されたアミノ酸接合体及びペプチド接合体も関する。
【0689】
本発明はまた、アミノ酸接合体である式(I)の化合物にも関する。
【0690】
本発明はまた、ペプチド接合体である式(I)の化合物に関する。
【0691】
ペプチド接合体は、純粋であるか、精製されるか、実質的に純粋であり得る。
【0692】
本明細書において使用される場合、“精製された(purified)”は、絶対的な純度を必要とせず;むしろ、問題の材料が以前の環境でよりも、より純粋である相対的な用語として意図される。実際、材料は、典型的に、例えば、種々の他の成分を除去するために、分別化を行い、生成された材料は、その所望の生物学的活性または活性を実質的に保持している。用語“実質的に精製された(substantially purified)”は、製造の間に関連することができる他の成分が、少なくとも約60%不含有、好ましくは少なくとも約75%不含有、最も好ましくは少なくとも約90%不含有、少なくとも約95%不含有、少なくとも約98%不含有、またはそれ以上不含有する材料を意味する。
【0693】
用語“α-アミノ酸”または“アミノ酸”は、α-炭素として呼ばれる炭素に結合されたアミノ基及びカルボキシル基の両者を含有する分子を意味する。適切なアミノ酸は、有機合成または他の代謝経路により調製された天然に存在しないアミノ酸だけでなく、天然に存在するアミノ酸のD-及びL-異性体の両者を含む。文脈が他に特別に指示しない限り、本明細書において使用されるような用語アミノ酸は、アミノ酸類似体を含むことが意図される。
【0694】
特定の実施形態において、ペプチド含有接合パートナーは、天然アミノ酸のみを含む。用語“天然に存在するアミノ酸(naturally occurring amino acid)”は、天然において合成されたペプチドに通常、見出される20個のアミノ酸のいずれか1つを意味し、一文字略語A、R、N、C、D、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVで知られている。
【0695】
用語“アミノ酸類似体(amino acid analog)”または“天然に存在しないアミノ酸(non-naturally accurring amino acid)”は、アミノ酸と構造的に類似し、アミノ酸で置換され得る分子を意味する。アミノ酸類似体は、限定なく、アミノ基とカルボキシル基との間に1つ以上の追加のメチレン基が含まれたこと(例えば、α-アミノβ-カルボン酸)、またはアミノまたはカルボキシル基が類似の反応性基で置換されたこと(例えば、第1アミンが第2または第3アミンで置換されたこと、またはカルボキシル基がエステルまたはカルボキサミドで置換されたこと)を除いて、本明細書に定義されたように、アミノ酸に構造的に同一である化合物を含む。
【0696】
特に断りのない限り、当業者の技術範囲内である分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術が、本明細書に記載された方法を実施するのに使用され得る。そのような技術は、文献[Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.,1987);Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir & C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller & M.P.Calos,eds.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);The Immunoassay Handbook(David Wild,ed.,Stockton Press NY,1994);Antibodies: A Laboratory Manual(Harlow et al.,eds.,1987);and Methods of Immunological Analysis(R.Masseyeff,W.H.Albert,and N.A.Staines,eds.,Weinheim:VCH Verlags gesellschaft mbH,1993)]に十分に説明されている。
【0697】
用語“ペプチド(peptide)”などは、任意の長さのアミノ酸残基のいずれかのポリマーを指すために、本明細書において使用される。ポリマーは、線状または非線状(例えば、分枝鎖)であることができ、それは修飾されたアミノ酸またはアミノ酸類似体を含むことができる。前記用語はまた、天然においてもしくは介入によって、または、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂肪化、アセチル化、リン酸化、またはいずれか他の修飾または操作、例えば標識又は生活性成分との接合によって修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。
【0698】
本発明者らは、本発明のペプチド接合体が免疫学的活性を有することを見出した。
【0699】
細胞媒介性免疫は、主にT-リンパ球によって媒介される。病原性抗原は、主要組織適合性MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子に結合された抗原提示細胞(例えば、マクロファージ、B-リンパ球及び樹状細胞)の表面上に発現される。MHCクラスIIにカップリングされた病原性抗原の提示は、ヘルパー(CD4+)T細胞応答を活性化させる。抗原-MHCII複合体にT細胞が結合すると、CD4+ T細胞は、サイトカインを放出し、増殖する。
【0700】
MHCクラスI分子に結合された病原性抗原の提示は、細胞毒性(CD8+)T細胞応答を活性化させる。抗原-MHCI複合体にT細胞が結合すると、CD8+細胞は、パーフォリン及び他のメディエーターを分泌し、標的細胞死をもたらす。いずれかの理論に束縛されることを望むものではないが、本出願人らは、特定の実施形態において、CD8+細胞によって増強された応答がCD4+細胞によって認識される1つ以上のエピトープの存在下で達成されると考えている。
【0701】
対象における細胞媒介性応答の開始または進行を評価し、モニターする方法は、当業界においてよく公知されている。便利な例示的な方法は、本明細書において同定されたもののように、細胞媒介性応答に関連する1つ以上のサイトカインの存在またはレベルが評価される方法を含む。同様に、細胞媒介性応答の開始及び進行を評価するか、モニターする細胞ベースの方法は、本発明での使用に適しており、T-リンパ球のような免疫細胞の1つ以上の集団の活性化または拡大の確認に標的化されたアッセイを含み、細胞増殖または活性化決定を含むことができる。
【0702】
特定の実施形態において、本発明の方法は、細胞媒介性免疫応答及び体液性応答の両方を誘発する。
【0703】
体液性免疫応答は、B細胞により生成される分泌抗体によって媒介される。分泌された抗体は、侵入した病原体の表面上に提示される抗原に結合し、それらを破壊するために合図をする。
【0704】
再び、体液性応答の開始または進行を評価し、モニターする方法は、当業界においてよく公知されている。それらには、抗体結合アッセイ、ELISA、皮膚ブリックテストなどが含まれる。
【0705】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、いくつかの実施形態において、ペプチド接合体がToll様受容体(TLR)を刺激すると考えている。
【0706】
Toll様受容体(TLR)は、病原体関連分子パターンを認識し、細胞に危険信号を伝達する高度に保存されたパターン認識受容体(PRR)である(文献[Kawai,T.,Akira,S.,Immunity 2011,34,637-])。TLR2は、樹状細胞、マクロファージ及びリンパ球を含む種々の異なる細胞型の範囲で発現される細胞表面受容体である(文献[Coffman,R.L.,Sher,A.,Seder,R.A.,Immunity 2010,33,492-503])。
【0707】
TLR2は、リポ多糖類、ペブチドグリカン及びリポテイコ酸を含む広範囲の微生物成分を認識する。それは、TLR1またはTLR6とヘテロ二量体を形成する点において、TLRの中でユニークであり;他のPRRと複合体を形成する能力は、TLR2に対する広範囲のアゴニストを説明することができる(文献[Feldmann,M.,Steinman,L.,Nature 2005,435,612-619])。リガンド結合及びヘテロ二量体化の際に、シグナル伝達がMyD88経路を介して起こり、NFκB活性化及びこれによる炎症及びエフェクターサイトカインの生成を起こす。
【0708】
細菌の細胞壁成分に由来するジ-及びトリアシル化されたリポペプチドが、TLR2アゴニストとして集中的に研究されて来ている(文献[Eriksson,E.M.Y.,Jackson,D.C.,Curr.Prot.and Pept.Sci.2007,8,412-417])。リポペプチドは、樹状細胞の成熟を促進し、細胞表面上の共刺激分子のアップレギュレーション及び増強された抗原提示を引き起こすことが報告されている。リポペプチドはまた、マクロファージを刺激してサイトカインを放出し、B細胞及びCD8+ T細胞を含むリンパ球の活性化を促進することも報告されている。
【0709】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体は、TLR2アゴニスト活性を有する。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体は、Pam3CSK4に匹敵するTLR2アゴニスト活性を有する。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体は、Pam3CSK4の少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%活性のTLR2アゴニスト活性を有する。いくつかの実施形態において、例えば、モジュレートされた免疫応答が所望の実施形態においての場合、ペプチド接合体は、Pam3CSK4の活性よりも低いTLR2アゴニスト活性を有する。例えば、ペプチド接合体は、Pam3CSK4の活性の約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満または約10%未満のTLR2アゴニスト活性を有する。
【0710】
いくつかの実施形態において、ペプチド接合体及び/またはペプチド含有接合パートナーのペプチドは、脂質部分がペプチドに接合されたアミノ酸に隣接したセリンアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、セリンは、アミノ酸のC-末端に結合される。この位置でのセリンアミノ酸残基の存在が、TLR2結合を増強させることができる。
【0711】
本開示を読む当業者には理解されるように、ペプチド接合体は、例えば2つ以上のエピトープを含むエピトープを含むことができる。エピトープは、リンカー基を介してペプチドにカップリングされるか、結合されることができる。いくつかの実施形態において、エピトープは、ペプチドエピトープである。当業者は、広範囲のペプチドエピトープが本発明に使用され得ることを理解するであろう。
【0712】
抗原
非常に多くの抗原、例えば腫瘍抗原、または種々の病原性生物からの抗原が特徴付けられており、本発明での使用に適切なことは理解されるであろう。現在、特徴付けられているか、否かにかかわらず、免疫応答を誘発することができるすべての抗原が考慮される。
【0713】
従って、抗原の選択に依存して、本発明の接合体は、これらに限定されるものではないが、感染性疾患の治療及び予防、癌の治療及び予防、及び例えば、骨髄移植または造血幹細胞移植を受けた患者に免疫抑制の間、またはその後のウィルス再活性化の治療を含み、広範囲の免疫療法に適用されることが見出された。
【0714】
また、1つ以上の保存的アミノ酸置換のような1つ以上のアミノ酸置換を含む抗原が考慮される。
【0715】
“保存的アミノ酸置換(conservative amino acid substitution)”は、アミノ酸残基が、化学的に類似するか、誘導体化された測鎖を有する別の残基で置換されたものである。同様の測鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが、例えば、当業界において定義されている。それらのファミリーは、例えば、塩基性測鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性測鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性測鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性測鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β―分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族測鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。これらに限定されるものではないが、N-アルキル化されたアミノ酸(例えば、N-メチルアミノ酸)、D-アミノ酸、β-アミノ酸及びγ-アミノ酸を含み、天然に存在しないアミノ酸で置換されたペプチドであるので、アミノ酸類似体(例えば、リン酸化されるか、グリコシル化されたアミノ酸)もまた本発明において考慮される。
【0716】
抗原のフラグメント及び変異体も特に考慮される。
【0717】
ペプチドの“フラグメント(fragment)”は、酵素または結合活性に必要な機能を果たし、及び/またはペプチドの3次元構造、例えば、ポリペプチドの3次元構造を提供するペプチドの下位配列である。
【0718】
本明細書において使用されるような用語“変異体(variant)”は、例えば、1つ以上のアミノ酸残基が欠失、置換または付加された特異的に同定された配列とは異なるペプチド配列を含むペプチド配列を指す。変異体は、天然に存在する変異体または天然に存在しない変異体である。変異体は、同じか、他の種から由来したものであり、相同体(ホモlogue)、パラログ(paralogue)及びオルソログ(orthologue)を包含することができる。特定の実施形態において、ペプチドを含むペプチドの変異体は、野生型ペプチドのそれと同じかまたは類似の生物学的活性を有する。ペプチドに関連する用語“変異体”は、本明細書において定義されたようなすべての形態のペプチドを包含する。
【0719】
当業者は、本発明の接合体が、特定の実施形態において、例えば、癌を含む腫瘍性疾患の治療において、T細胞応答を刺激するのに特に適切であることを理解するであろう。1つ以上の腫瘍抗原を含む本発明の接合体が特に考慮される。本発明のペプチド接合体の製造に使用するために考慮される腫瘍抗原は一般的に、1つ以上のペプチドを含むことが理解されるであろう。例えば、本発明の薬学的組成物を含む本発明の特定の実施形態において、1つ以上の追加の腫瘍抗原が存在することができ、ここで、1つ以上の腫瘍抗原はペプチドを含まない。腫瘍抗原は、典型的には、ユニーク抗原または共有抗原のいずれかに分類され、後者のグループは、分化抗原、癌特異的抗原、及び過剰発現抗原を含む。各クラスの抗原の例は、本発明において使用に適している。治療、例えば免疫療法治療、または癌を含む腫瘍性疾患に対するワクチンを接種に使用するための代表的な腫瘍抗原が下記に論じられる。それらの免疫方法を使用して調製された1つ以上の抗原を含む化合物、ワクチン及び組成物が特に考慮される。
【0720】
特定の実施形態において、腫瘍抗原は、ペプチド含有腫瘍抗原、例えばポリペプチド腫瘍抗原または糖タンパク質腫瘍抗原である。特定の実施形態において、腫瘍抗原は、糖類含有腫瘍抗原、例えば、糖脂質腫瘍抗原またはガングリオシド腫瘍抗原である。特定の実施形態において、腫瘍抗原は、ポリペプチド含有腫瘍抗原、例えば、RNAベクターコンストラクトまたはDNAベクターコンストラクト、例えば、プラスミドDNAを発現するポリヌクレオチド含有腫瘍抗原である。
【0721】
本発明における使用に適切な腫瘍抗原は、(a)ペプチドエピトープ(例えば、8~20個のアミノ酸長さの範囲であり得るが、この範囲以外の長さも一般的である)、リポポリペブティド及び糖タンパク質を含むペプチド含有腫瘍抗原、(b)多糖類、ムチン、ガングリオシド、糖脂質及び糖タンパク質を含む糖類含有腫瘍抗原、及び(c)抗原性ポリペプチドを発現するポリヌクレオシドのような非常に種々の分子を包含する。再び、当業者は、本発明の接合体または組成物に存在する腫瘍抗原が典型的には、ペプチドを含むことを認識するであろう。しかし、1つ以上の接合体が、それ自体はペプチドを含まないが、例えば、アミノ酸含有またはペプチド含有接合パートナーに結合された腫瘍抗原を含む本発明の実施形態が考慮される。同様に、それ自体はペプチドを含まない1つ以上の腫瘍抗原が存在する本発明の組成物が考慮される。
【0722】
特定の実施形態において、腫瘍抗原は、例えば、(a)癌細胞に関連する全長分子、(b)欠失、付加及び/または置換された部分を有する分子を含む相同体及びその修飾された形態、及び(c)それらのフラグメントであって、前記フラグメントが抗原性または免疫原性を保持する場合のフラグメントである。特定の実施形態において、腫瘍抗原は、組換え形態で提供される。特定の実施形態において、腫瘍抗原は、例えば、CD8+リンパ球によって認識されるクラスI制限抗原、またはCD4+リンパ球によって認識されるクラスII制限抗原を含む。特定の実施形態において、腫瘍抗原は、CD8+リンパ球によって認識されるクラスI制限抗原、またはCD4+リンパ球によって認識されるクラスII制限抗原を含む合成ペプチドを含む。
【0723】
共有腫瘍抗原は、一般的に、発生的に抑制された遺伝子の脱抑制を可能にするエピジェネティックな変化にために、腫瘍によって発現されるネイティブの変異誘発されていない配列であると見なされる。従って、共有抗原は、正常組織には発現は存在しないので、典型的には、過剰発現または分化関連抗原よりも好まししいと考慮される。また、同じ抗原を多くの癌患者において標的化することができる。例えば、癌-精巣抗原NY-ESO-1は、多くの腫瘍を有する大多数の患者、及び他の腫瘍を有するかなり少数の患者に存在する。別の例において、乳房分化腫瘍抗原NYBR-1及びNYBR-1.1は、乳癌患者の一部に見出される。従って、共有腫瘍抗原は、開発のための魅力的な標的となる。
【0724】
本発明の接合体に、NY-ESO-1、CTSP-1、CTSP-2、CTSP-3、CTSP-4、SSX2及びSCP1を含む癌-精巣抗原、及び乳癌抗原NYBR-1及びNYBR-1.1のような共有腫瘍抗原を使用することが、本明細書において特に考慮される。
【0725】
1つの例示的な実施形態において、ペプチド含有接合パートナーまたはペプチド接合体のペプチドは、NY-ESO-1に由来した1つ以上のエピトープを含む。一実施形態において、前記ペプチドは、NY-ESO-1残基79~116に由来した1つ以上のエピトープを含む。一実施形態において、前記ペプチドは、NY-ESO-1残基118~143に由来した1つ以上のエピトープを含む。一実施形態において、前記ペプチドは、NY-ESO-1残基153~180に由来した1つ以上のエピトープを含む。
【0726】
1つの特に考慮される実施形態において、ペプチド含有接合パートナーまたはペプチド接合体のペプチドは、配列番号:1~20のいずれか1つからの8個以上の連続するアミノ酸、10個以上の連続するアミノ酸、12個以上の連続するアミノ酸、15個以上の連続するアミノ酸、20個以上の連続するアミノ酸または25個以上の連続するアミノ酸からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むか、実質的にそれらからなるか、それらからなる。
【0727】
様々な実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:1~20のいずれか1つからなる群から選択される1つ超過のアミノ酸配列を含む。一実施形態において、前記ペプチドは、配列番号:4~7、12、13及び18~20からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸配列を含む。
【0728】
同様に、抗原前立腺酸ホスファターゼ(PAP)を含む前立腺ワクチンSipuleucel-T(APC8015、PruvengeTM)は、95%の前立腺癌細胞に存在する。少なくとも部分的には、前立腺癌患者のかなりの割合におけるこのような有効性の可能性があるため、Sipuleucel-Tは、無症候性のホルモン不応性前立腺癌の治療に使用するためのものとして2010年にFDAにより承認された。本発明の接合体におけるPAP抗原の使用は、本発明において特に考慮される。
【0729】
ユニーク抗原は、個体に対してユニークであるか、低割合の癌患者により共有され、典型的には、ユニークタンパク質配列を生成する突然変異によって発生する抗原であると考慮される。ユニーク腫瘍抗原の代表的な例には、突然変異Ras抗原及び突然変異p53抗原が含まれる。本明細書を読んだ当業者には理解されるように、本発明の方法は、例えば、患者特異的療法の調製において、例えば1つ以上のユニーク腫瘍抗原に特異的なT細胞応答を誘発するために、1つ以上のユニーク腫瘍抗原を含む接合体の容易な製造を可能にする。
【0730】
従って、代表的な腫瘍抗原は、これらに限定されるものではないが、(a)RAGE、BAGE、GAGE及びMAGEファミリーのポリペプチド、例えば、GAGE-1、GAGE-2、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6及びMAGE-12(例えば、黒色腫、肺、頭頸部、NSCLC、乳房、胃腸、及び膀胱腫瘍を対処するために使用され得る)のような抗原、(b)突然変異抗原、例えば、p53(種々の固形腫瘍、例えば結腸直腸癌、肺癌、頭頸部癌に関連する)、p21/Ras(例えば、黒色腫、膵臓癌及び結腸直腸癌に関連する)、CDK4(例えば、黒色腫に関連する)、MUM1(例えば、黒色腫に関連する)、カスパーゼ-8(例えば、頭頸部癌に関連する)、CIA 0205(例えば、膀胱癌に関連する)、HLA-A2-R1701、βカテニン(例えば、黒色腫に関連する)、TCR(例えば、T細胞非ホジキンリンパ種に関連する)、BCR-abl(例えば、慢性骨髄性白血病に関連する)、トリオースリン酸イソメラーゼ、MA 0205、CDC-27及びLDLR-FUT、(c)過剰発現抗原、例えば、ガレクチン4(例えば、結腸直腸癌に関連する)、ガレクチン9(例えば、ホジキン病に関連する)、プロテイナーゼ3(例えば、慢性骨髄性白血病に関連する)、ウィルムス腫瘍抗原-1(WT1、例えば、種々の白血病に関連する)、炭酸脱水酵素(例えば、腎癌に関連する)、アルドラーゼA(例えば、肺癌に関連する)、PRAME(例えば、黒色腫に関連する)、HER-2/neu(例えば、乳癌、結腸癌、肺癌及び卵巣癌に関連する)、α-フェトプロテイン(例えば、肝癌に関連する)、KSA(例えば、結腸直腸癌に関連する)、ガストリン(例えば、膵臓癌及び胃癌に関連する)、テロメラーゼ触媒タンパク質、MUC-1(例えば、乳癌および卵巣癌に関連する)、G-250(例えば、腎細胞癌に関連する)、p53(例えば、乳癌、結腸癌に関連する)、及び癌胎児性抗原(例えば、乳癌、肺癌、及び結腸直腸癌のような胃腸管の癌に関連する)、(d)共有抗原、例えば、黒色腫-メラニン細胞分化抗原、例えば、MART-1/Melan A、gp100、MC1R、メラニン細胞刺激ホルモン受容体、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質-1/TRP1及びチロシナーゼ関連タンパク質-2/TRP2(例えば、黒色腫に関連する)、(e)例えば、前立腺癌に関連する前立腺関連抗原、例えばPAP、前立腺血清抗原(PSA)、PSMA、PSH-P1、PSM-P1、PSM-P2、(f)免疫グロブリンイディオタイプ(例えば、骨髄腫及びB細胞リンパ腫に関連する)、及び(g)他の腫瘍抗原、例えば、ポリペプチド及び糖類含有抗原:(i)糖タンパク質、例えばシアリルTn及びシアリルLe.sup.x(例えば乳癌、及び結腸直腸癌に関連する)及び種々のムチン;糖タンパク質は担体タンパク質にカップリングされる(例えば、MUC-1はKLHにカップリングされる);(ii)リポポリペブティド(例えば、脂質部分に結合されたMUC-1);(iii)担体タンパク質(例えば、KLH)にカップリングされた多糖類(例えば、Globo H合成六糖類)、(iv)また、担体タンパク質(例えば、KLH)にカップリングされたガングリオシド、例えばGM2、GM12、GD2、GD3(例えば、脳、肺癌、黒色腫に関連する)を含むポリペプチド及び糖類含有抗原のような他の腫瘍抗原を含む。
【0731】
本発明の使用に適する他の代表的な腫瘍抗原は、TAG-72(例えば、米国特許第5、892、020号を参照);ヒト癌抗原(例えば、米国特許第5、808、005号を参照);骨細胞腫細胞からのTP1及びTP3抗原(例えば、米国特許第5、855、866号を参照);腺癌細胞からのトムセン-フリーデンライヒ(Thomsen-Friedenreich)(TF)抗原(例えば、米国特許第5、110、911号を参照);ヒト前立腺腺癌種からのKC-4抗原(例えば、米国特許第4、743、543号を参照);ヒト結腸直腸癌抗原(例えば、米国特許第4、921、789号を参照);嚢胞腺癌からのCA125抗原(例えば、米国特許第4、921、790号を参照);ヒト乳癌からのDF3抗原(例えば、米国特許第4、963、484号及び第5、053、489号を参照);ヒト乳房腫瘍抗原(例えば、米国特許第4、939、240号を参照);ヒト黒色腫のp97抗原(例えば、米国特許第4、918、164号を参照);癌またはオロソムコイド関連抗原(CORA)(例えば、米国特許第4、914、021号を参照);ヒト乳癌の糖タンパク質のT及びTnハブテン、MSA乳癌糖タンパク質;MFGM乳癌抗原;DU-PAN-2膵膓癌抗原;CA125卵巣癌抗原;YH206肺癌抗原、アルファフェトプロテイン(AFP)肝細胞癌抗原;癌胎児性抗原(CEA)大腸癌抗原;上皮腫瘍抗原(ETA)乳癌抗原;チロシナーゼ;raf癌遺伝子産物;gp75;gp100;EBV-LMP 1&2;EBV-EBNA 1、2&3C;HPV-E4、6、7;CO17-1A;GA733;gp72;p53;プロテイナーゼ3;テロメラーゼ;及び黒色腫ガングリオシドを含む。現在特徴づけられているか、否かにかかわらず、それらの及び他の腫瘍抗原が、本発明における使用に考慮される。
【0732】
特定の実施形態において、腫瘍抗原は、突然変異されたか、変更された細胞成分に由来する。変更された細胞成分の代表的な例には、これらに限定されるものではないが、ras、p53、Rb、Wilmsの腫瘍遺伝子によってエンコードされる変更されたタンパク質、ユビキチン(ubiquitin)、ムチン、DCC、APC及びMCC遺伝子によってエンコードされるタンパク質、並びに、受容体又は受容体様コンストラクト、例えば、neu、甲状腺ホルモン受容体、血小板由来成長因子(PDGF)受容体、インスリン受容体、上皮成長因子(EGF)受容体、及びコロニー刺激因子(CSF)受容体を含む。
【0733】
本発明において使用されるポリヌクレオチド含有抗原は、前記に列挙されたものなどのようなポリペプチド腫瘍抗原をエンエンコードするポリヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、ポリヌクレオチド含有抗原は、これらに限定されるものではないが、インビボでポリペプチド腫瘍抗原を発現することができるDNAまたはRNAベクターコンストラクト、例えばプラスミドベクター(例えば、pCMV)を含む。
【0734】
本発明はまた、免疫抑制されているか、免疫抑制された患者、例えば、骨髄移植、造血幹細胞移植を受けたか、そうではなければ免疫抑制を受けている患者において効果的な抗-ウィルス性免疫を誘発するために、T細胞を刺激することができるウィルス性抗原を含む接合体の製造を考慮する。
【0735】
同様に、ヒトパピローマウイルス、A型肝炎ウィルス、及びB型肝炎ウィルスのように、癌を引き起こすと報告されているか、増加された癌発生率に関連するウィルスに由来する抗原が本発明において使用するために考慮される。
【0736】
例えば、特定の実施形態において、腫瘍抗原は、これらに限定されるものではないが、p15、Hom/Mel-40、H-Ras、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、エプスタイン・バール・ウイルス(Epstein Barr virus)抗原、E6及びE7を含むヒトパピローマウイルス(HPV)抗原、B型及びC型肝炎ウィルス抗原、ヒトT細胞リンパ球向性ウィルス抗原、TSP-180、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、mn-23H1、TAG-72-4、CA19-9、CA72-4、CAM17.1、NuMa、K-ras、p16、TAGE、PSCA、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、ベータ-HCG、BCA225、BTAA、CA125、CA15-3(CA27.29/BCAA)、CA195、CA242、CA-50、CAM43、CD68/KP1、CO-029、FGF-5、Ga733(EpCAM)、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90(Mac-2結合タンパク質/サイクロフィリン(cyclophilin)C-関連タンパク質)、TAAL6、TAG72、TLP、TPSなどを含む。
【0737】
特定の実施形態において、腫瘍抗原は、腫瘍発生に関連するウィルス性タンパク質、例えば、エプスタイン・バール・ウイルス、E6及びE7を含むヒトパピローマウイルス(HPV)、及び、B型及びC型肝炎、及びヒトT細胞リンパ球向性ウィルスからの抗原を含む。
【0738】
このようなウイルスタンパク質、並びに、種々の他のウィルス性タンパク質も、例えばウィルス性疾患に対する治療の時に、T細胞活性の標的になり得ることが理解されるであろう。実際に、本発明は、T細胞活性が免疫において役割を果たすことと認識されている任意の感染(効果的にすべてのウィルス感染及び結核のような多くの細菌感染も)において有用であり得る。本明細書に記載された感染性疾患は、単なる例として提供され、決して本発明の範囲を限定するものと意図されない。本発明が種々の他の疾患及び病状の治療において有用であり得ることが理解されるであろう。
【0739】
病原性有機体に対するワクチンを接種に使用される代表的な抗原が下記に論じられる。それらの免疫化方法を使用して製造された1つ以上の抗原を含む化合物、ワクチン及び組成物が具体的に考慮される。
【0740】
結核抗原
非常に多くの結核菌(M.Tuberculosis)抗原が特徴付けられており、本発明における使用に適切なことが理解されるであろう。現在特徴付けられているか否かにかかわらず、免疫応答を誘発することができるすべての結核菌抗原が考慮される。
【0741】
使用するのに適切な例示的結核菌抗原は、初期分泌性抗原標的(ESAT)-6、Ag85A、Ag85B(MPT59)、Ag85B、Ag85C、MPT32、MPT51、MPT59、MPT63、MPT64、MPT83、MPB5、MPB59、MPB64、MTC28、Mtb2、Mtb8.4、Mtb9.9、Mtb32A、Mtb39、Mtb41、TB10.4、TB10C、TB11B、TB12.5、TB13A、TB14、TB15、TB15A、TB16、TB16A、TB17、TB18、TB21、TB20.6、TB24、TB27B、TB32、TB32A、TB33、TB38、TB40.8、TB51、TB54、TB64、CFP6、CFP7、CFP7A、CFP7B、CFP8A、CFP8B、CFP9、CFP10、CFP11、CFP16、CFP17、CFP19、CFP19A、CFP19B、CFP20、CFP21、CFP22、CFP22A、CFP23、CFP23A、CFP23B、CFP25、CFP25A、CFP27、CFP28、CFP28B、CFP29、CFP30A、CFP30B、CFP50、CWP32、hspX(アルファ-結晶)、APA、ツベルクリン(Tuberculin)精製タンパク質誘導体(PPD)、ST-CF、PPE68、LppX、PstS-1、PstS-2、PstS-3、HBHA、GroEL、GroEL2、GrpES、LHP、19kDaリポタンパク質、71kDa、RD1-ORF2、RD1-ORF3、RD1-ORF4、RD1-ORF5、RD1-ORF8、RD1-ORF9A、RD1-ORF9B、Rv1984c、Rv0577、Rv1827、BfrB、Tpx.Rv1352、Rv1810、PpiA、Cut2、FbpB、FbpA、FbpC、DnaK、FecB、Ssb、RplL、FixA、FixB、AhpC2、Rv2626c、Rv1211、Mdh、Rv1626、Adk、ClpP、SucD(文献[Belisle et al,2005];米国特許第7、037、510号;米国特許第2004/0057963号;米国特許第2008/0199493号;米国特許第2008/0267990号)、または前記に言及された抗原のいずれかの少なくとも1つの抗原性部分またはT細胞エピトープを含む。
【0742】
肝炎抗原
多くの肝炎抗原が特徴付けられており、本発明における使用に適切である。例示的なC型肝炎抗原は、C-p22、E1-gp35、E2-gp70、NS1-p7、NS2-p23、NS3-p70、NS4A-p8、NS4B-p27、NS5A-p56/58及びNS5B-p68を含み、そこから誘導された1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、各々は(単独でまたは組み合わせて)本発明における適用に適切である。現在特徴付けられているか否かにかかわらず、免疫応答を誘発することができるすべての肝炎抗原が考慮される。
【0743】
インフルエンザ抗原
多くのインフルエンザ抗原が特徴付けられており、本発明における使用に適切である。本発明における使用に適切な例示的なインフルエンザ抗原は、PB、PB2、PA、ヘマグルチニン(HA)またはノイラミニダーゼ(neuramimidase)(NA)タンパク質のいずれか、NP、M及びNSを含み、それらに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、各々は(単独でまたは組み合わせて)本発明における適用に適切である。現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、免疫応答を誘発することができるすべてのインフルエンザ抗原が考慮される。
【0744】
炭疽菌抗原
多くの炭疽菌(B.anthracis)抗原が、ワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明において有用である。例えば、PA83は、ワクチン開発のためのそのような抗原の1つである。現在、炭疽菌用の唯一のFDA承認されたワクチンは、“吸着炭疽菌ワクチン(Anthrax Vaccine Adsorbed)”(AVA)またはBioThrax(登録商標)として市販されている。このワクチンは、アルミニウムアジュバントに吸着された炭疽菌の非被包性菌株の無細胞上清液から誘導される。PAは、AVAの一次免疫原である。本発明における使用に適切な他の例示的な炭疽菌抗原は、保護抗原(PAまたはPA63)、LF及びEF(タンパク質)、ポリ-γ-(D-グルタミン酸)カプセル、胞子抗原(内生胞子特異的成分)、BclA(外膜特異的タンパク質)、BxpB(胞子関連タンパク質)及び分泌タンパク質を含む。現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、それに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、免疫応答を誘発することができるすべての炭疽菌抗原が考慮される。
【0745】
野兎病抗原
多くの野兎病(F.tularensis)抗原が、ワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明に有用である。例えば、AcpA及びIglCが、ワクチン開発のために適切な抗原である。本発明における使用に適切な他の例示的な野兎病抗原は、O-抗原、CPS、外膜タンパク質(例えば、FopA)、リポタンパク質(例えば、Tul4)、分泌タンパク質及びリポ多糖を含む。現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、それに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、免疫応答を誘発することができるすべての野兎病抗原が考慮される。
【0746】
ブルセラ症抗原
多くのB.アボルトシス(B.abortusis)抗原が、ワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明に有用である。例えば、Omp16は、ワクチン開発のためのそのような抗原の1つである。本発明における使用に適切な他の例示的なブルセラ症抗原は、O-抗原、リポ多糖、外膜タンパク質(例えば、Omp16)、分泌タンパク質、リボゾームタンパク質(例えば、L7及びL12)、バクテリオフェリチン(bacterioferritin)、p39(推定上のペリプラズム結合タンパク質)、groEL(熱ショックタンパク質)、ルマジンシンターゼ、BCSP31表面タンパク質、PAL16.5OMリポタンパク質、カタラーゼ、26kDaペリプラズムタンパク質、3lkDa Omp31、28kDa Omp、25kDa Omp及び10kDA Omリポタンパク質を含む。現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、それに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、免疫応答を誘発することができるすべてのブルセラ症抗原が考慮される。
【0747】
髄膜炎抗原
多くの髄膜炎(N.meningitidis)抗原が、ワクチン開発のための潜在的候補として同定されており、本発明に有用である。例えば、Cys6、PorA、PorB、FetA及びZnuDは、ワクチン開発に適切な抗原である。本発明における使用に適切な他の例示的な髄膜炎抗原は、O-抗原、H因子結合タンパク質(fHbp)、TbpB、NspA、NadA、外膜タンパク質、BグループCPS、分泌タンパク質及びリポ多糖を含む。現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、それに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、免疫応答を誘発することができるすべての髄膜炎抗原が考慮される。
【0748】
デング熱抗原
多くのフラビウイルス(Flavivirus)抗原が、デング熱を治療するためのワクチン開発の潜在的候補として同定されており、本発明に有用である。例えば、デングウィルスエンベロープタンパク質E1~E4及び膜タンパク質M1~M4は、ワクチン開発に適切な抗原である。本発明における使用に適切な他の例示的なデング熱抗原は、C、preM、1、2A、2B、3、4A、4B及び5を含む。現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、それに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、免疫応答を誘発することができるすべてのデング熱抗原が考慮される。
【0749】
エボラ抗原
多くのエボラウイルス抗原が、エボラ感染症を治療するためのワクチン開発の潜在的候補として同定されており、本発明に有用である。例えば、フィロウィルスザイール(Filociridae Zaire)エボラウイルス及びスーダン(Sudan)エボラウイルスビリオンスパイク糖タンパク質前駆体抗原ZEBOV-GP及びSEBOV-GPのそれぞれがワクチン開発に適切である。本発明における使用に適切な他の例示的なエボラ抗原は、NP、vp35、vp40、GP、vp30、vp24及びLを含む。現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、それに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、免疫応答を誘発することができるすべてのエボラ抗原が考慮される。
【0750】
ウエストナイル(West Nile)抗原
多くのウエストナイルウイルス抗原が、感染を治療するためのワクチン開発の潜在的候補として同定されており、本発明に有用である。例えば、ウエストナイルウイルス(WNV)からのフラビウイルスエンベロープ抗原(E)は、WNVビリオン(WNVE)の表面上に発現される非毒性タンパク質であり、ワクチン開発に適切である。本発明における使用に適切な他の例示的なWNV抗原は、Cp、Prm、NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B及びNS5を含む。
【0751】
現在、特徴付けられているか否かにかかわらず、それに由来する1つ以上の抗原性部分またはエピトープと共に、免疫応答を誘発することができるすべてのウエストナイル抗原が考慮される。
【0752】
前記に列挙されたか、参照された抗原は、例示的なものであり、本発明を限定しない。
【0753】
本発明はまた、有効量の本発明のペプチド接合体、またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒、及び薬学的に許容可能な担体を含む薬学的組成物に関する。
【0754】
薬学的組成物は、有効量の本発明の2つ以上のペプチド接合体を組み合わせて含むことができる。いくつかの実施形態において、前記薬学的組成物は、本発明の1つ以上のペプチド接合体、及び本明細書に記載されたような1つ以上のペプチドを含むことができる。
【0755】
用語“薬学的に許容可能な担体”は、本発明のペプチド接合体またはその薬学的に許容可能な塩または溶媒、及び薬学的に許容可能な担体と共に、対象に投与することができる担体(アジュバントまたはビヒクル)を指す。
【0756】
前記組成物に使用され得る薬学的に許容可能な担体は、これらに限定されるものではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、自己乳化薬物送達システム(SEDDS)、例えば、d-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクスネート、薬学的投与形態で使用される界面活性剤、例えば、トゥイーン(Tweens)または他の類似のポリマー送達マトリックス、血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂を含む。シクロデキストリン、例えば、α-、β-及びγ-シクロデキストリンまたは化学的に変形された誘導体、例えば2-及び3-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを含むヒドロキシアルキルシクロデックストリン、または他の可溶化誘導体がまた送達を増強させるために有利に使用され得る。油溶液または懸濁液はまた、エマルジョン及び/または懸濁液のような薬学的に許容可能な投与形態の配合において典型的に使用される、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、またはカルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤を含むことができる。
【0757】
前記組成物は、これらに限定されるものではないが、経口または非経口(局所、皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与を含むいずれかの選択された経路によって、対象に投与するように配合される。
【0758】
例えば、前記組成物は、意図された投与経路及び標準的な薬学的実施法に関連して選択された適切な薬学的に許容可能な担体(賦形剤、希釈剤、助剤、及びそれらの組み合わせを含み)と共に配合され得る。例えば、前記組成物は、粉末、液体、錠剤またはカプセルとして経口的に、または軟膏、クリームまたはローションとして局所的に投与され得る。適切な配合物は、乳化剤、酸化防止剤、香料または着色剤を含み、必要なら、追加の剤を含有することができ、即時-、遅延-、変形-、持続-、パルス-または制御-放出に適切であり得る。
【0759】
前記組成物は、生物学的利用能、免疫原性を最適化するか、長期間を含み、免疫原性または治療学籍範囲内で血漿、血液または組職濃度を維持するように配合され得る。また、例えば、制御された送達調製物を使用して、作用部位における抗原濃度を最適化することができる。
【0760】
前記組成物は、定期的投与のために、例えば、持続的な露出を提供するために、配合され得る。有利な免疫応答を誘発する戦略、例えば、1つ以上の“ブースター(booster)”ワクチンを接種を使用する戦略は、当業界においてよく公知されており、そのような戦略が採択され得る。
【0761】
前記組成物は、非経口路を介して投与され得る。非経口投与形態の例には、水溶液、活性剤である等張性食塩水または5%グルコース、または他のよく公知された薬学的に許容可能な賦形剤が含まれる。例えば、シクロデキストリンまたは当業者に周知の他の可溶化剤は、治療剤の送達のための薬学的賦形剤として使用され得る。
【0762】
経口投与に適切な投与形態の例は、これらに限定されるものではないが、治療的有効量の組成物を提供することができる錠剤、カプセル、トローチ剤製(lozenge)、または同様の形態、またはシロップ、水溶液、エマルジョンなどのような任意の液体形態を含む。カプセルは、ゼラチンまたはセルロースのような任意の標準薬学的に許容可能な材料を含有することができる。錠剤は、活性成分の混合物を固体担体及び滑剤で圧縮することにより、従来の手順に従って配合され得る。固体担体の例は、澱粉及び糖ベントナイトを含む。活性成分はまた、結合剤、例えばラクトースまたはマンニトール、従来の充填剤及び錠剤化剤を含有するハードシェル錠剤またはカプセルの形態で投与され得る。
【0763】
経皮投与に適切な投与形態の例は、これらに限定されるものではないが、経皮パッチ、経皮用バンデージなどを含む。
【0764】
組成物の局所投与に適切な投与形態の例は、皮膚に直接適用されるか、パッド、パッチなどのような媒介物を介して適用されるか否かにかかわらず、任意のローション、スティック、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ゲルなどを含む。
【0765】
組成物の坐剤投与に適切な投与形態の例は、身体腔中に挿入される任意の固体投与形態、特に直腸、膣及び尿道に挿入されることを含む。
【0766】
組成物の注射に適切な投与量形態の例は、静脈内注射、皮下、真皮下及び筋肉内投与または経口投与による単一投与または複数回投与のようなボーラス(bolus)を介した送達を含む。
【0767】
組成物のデポ(depot)投与に適切な投与形態の例は、ペプチド接合体のペレット(pellet)、または固体形態を含み、ここで、ペプチド接合体は、生分解性ポリマー、マイクロエマルジョン、リポソームのマトリックスにトラップされているか、マイクロカプセル化されている。
【0768】
組成物のための注入装置の例は、所望の回数の投与または正常状態投与を提供するための注入ポンプを含み、移植可能な薬物ポンプを含む。
【0769】
組成物のための移植可能な注入装置の例は、ペプチド接合体が生分解性ポリマーまたは合成ポリマー、例えばシリコーン、シリコーンゴム、シラスティック(silastic)または類似ポリマーを介して、その内部にカプセル化されるか、分散された任意の固体形態を含む。
【0770】
組成物の経粘膜送達に適切な投与形態の例は、活性成分の以外に、当業界において適切であることが公知された担体を含有する、浣腸剤、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、噴霧溶液、粉末及び類似の製剤用の保管溶液を含む。そのような投与形態は、薬学的に許容可能な水性または有機溶媒、またはその混合物及び/または粉末中の溶液及び/または懸濁液を含む組成物を含む、組成物の吸入または吹送に適切な形態を含む。組成物の経頃粘膜投与は、任意の粘膜を使用することができるが、典型的には、鼻、頬、膣及び直腸組織を使用する。組成物の経鼻投与に適切な配合物は、ポリマー粒子の水性または油性溶液を含む液体形態、例えば鼻スプレー、点鼻液で、または噴霧器によるエアロゾル投与によって投与され得る。配合物は、例えば生理食塩水、ベンジルアルコールまたは他の適切な保存剤を使用した溶液、生物学的利用能を増強させる吸収促進剤、フルオロカボン及び/または当業界において公知された他の可溶化剤または分散剤中の水溶液として調製され得る。
【0771】
組成物の口腔または舌下投与に適切な投与形態の例は、トローチ剤、錠剤などを含む。組成物の眼内投与に適切な投与形態の例は、薬学的に許容可能な水性または有機溶媒中の溶液及び/または懸濁液を含む挿入物及び/または組成物を含む。
【0772】
ワクチンを含む組成物の配合物の例は、例えば文献[Sweetman,S. C.(Ed.).Martindale.The Complete Drug Reference,33rd Edition,Pharmaceutical Press,Chicago,2002,2483 pp.;Aulton,M. E.(Ed.) Pharmaceutics.The Science of Dosage Form Design.Churchill Livingstone,Edinburgh,2000,734 pp.;及び、Ansel,H.C.,Allen,L.V.and Popovich,N.G.Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Ed.,Lippincott 1999,676 pp.]に見出され得る。薬物送達システムの調製に使用された賦形剤は、例えば、文献[Kibbe,E.H.Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd Ed.,American Pharmaceutical Association,Washington,2000,665 pp]を含み、当業者において公知された様々な文献に記載されている。USPはまた、錠剤またはカプセルとして配合されたものを含む放出調節経口投与形態の例を提供する。例えば、また、持続放出及び遅延放出錠剤及びカプセルの薬物放出能力を決定するための特定の試験を記載しているThe United States Pharmacopeia 23/National Formulary 18,The United States Pharmacopeial Convention,Inc.,Rockville MD,1995 (以下、“USP”)を参照する。持続放出及び遅延放出物品についての薬物放出についてのUSP試験は、試験の経過時間に対する投与単位からの薬物溶解に基づかれる。種々の試験装置及び手順の説明は、USPに見出され得る。持続放出投与形態の分析に関するさらなる指針は、F.D.A.によって提供されている(文献[Guidance for Industry.Extended release oral dosage forms:development,evaluation,and application of in vitro/in vivo correlations.Rockville,MD:Center for Drug Evaluation and Research,Food and Drug Administration,1997]参照)。
【0773】
組成物は、1つ以上の外因性アジュバントを含むことができるが、有利には、いくつかの実施形態において、これは必要ではない。いくつかの実施形態において、ペプチド接合体は、エピトープを含み、自己アジュバントである。
【0774】
本発明は、対象にワクチンを接種するか、対象における免疫応答を誘発する方法であって、有効量の本発明のペプチド接合体を対象に投与することを含む方法を提供する。本発明はまた、対象にワクチンを接種するか、対象における免疫応答を誘発するための本発明のペプチド接合体の使用、及び対象にワクチンを接種するか、対象における免疫応答を誘発するための薬剤の製造における本発明のペプチド接合体の使用に関する。
【0775】
本発明はまた、対象にワクチンを接種するか、対象における免疫応答を誘発する方法であって、有効量の本発明の薬学的組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。本発明はまた、対象にワクチンを接種するか、対象における免疫応答を誘発するための本発明の薬学的組成物の使用、及び対象にワクチンを接種するか、対象における免疫応答を誘発するための薬剤の製造における本発明の1つ以上のペプチド接合体の使用に関する。
【0776】
対象にワクチンを接種するか、対象における免疫応答を誘発するために、本明細書に記載された1つ以上のペプチド及び/または本発明の1つ以上のペプチド接合体、例えば、1つ以上のペプチド接合体と共に、本明細書に記載された1つ以上のペプチドの投与または使用が、本明細書において考慮される。
【0777】
2つ以上のペプチド接合体、または1つ以上のペプチド、及び1つ以上のペプチド接合体が投与されるか、使用される場合、2つ以上のペプチド接合体、または1つ以上のペプチド、及び1つ以上のペプチド接合体は、同時に、順次にまたは別に、投与されるかまたは使用され得る。
【0778】
“対象(subject)”は、哺乳動物、例えばヒトである脊椎動物を意味する。哺乳動物は、これらに限定されるものではないが、ヒト、家畜、スポーツ用動物、ペット、霊長類、マウス及びラットを含む。
【0779】
“有効量(effective amount)”は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、種々の投与経路により、1つ以上の投与で投与され得る。
【0780】
有効量は、他の因子中で、指示される疾患、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康状態、投与される化合物の効力、投与方式及び所望の治療に依存して変化するであろう。当業者は、これらの任意の他の関連する因子に関して、適切な投与量を決定することができるであろう。
【0781】
組成物の効力は、インビトロ及びインビボの両方で評価することができる。例えば、組成物は、細胞媒介性免疫応答を誘発するその能力についてインビトロまたはインビボで試験することができる。インビボ研究のために、組成物を動物(例えば、マウス)に供給するか、注入することができ、次いで、免疫応答を誘発するその効果を評価する。結果に基づいて、適切な投与量範囲及び投与経路を決定することができる。
【0782】
組成物は、単回投与または複数回投与のスケジュールとして投与することができる。複数回投与量は、1次免疫化スケジュール及び/またはブースター免疫化スケジュールに使用することができる。
【0783】
特定の実施形態において、免疫応答の誘発は、免疫応答を上昇するか、増強することを含む。例示的な実施形態において、免疫応答の誘発は、体液性及び細胞媒介性応答の誘発を含む。
【0784】
特定の実施形態において、免疫応答の誘発は、免疫を提供する。
【0785】
免疫応答は、疾患または病状の治療のために誘発される。当業者は、本明細書に記載されたペプチド接合体が、例えばエピトープの性質に依存して、種々の疾患及び病状の治療に有用であることを理解するであろう。
【0786】
いくつかの実施形態において、疾患または病状は、本明細書に記載された種々の抗原に関連するそれらから選択される。
【0787】
いくつかの実施形態において、疾患または病状は、感染性疾患、癌またはウィルス再活性化後骨髄移植、またはいずれかの他の理由による深遠な免疫抑制の誘発である。
【0788】
本明細書で使用されるように、用語“治療(treatment)”及び関連する用語“治療する(treating)”及び“治療する(treat)”は、一般的に、いくつかの所望の治療効果が達成されるヒトまたは非ヒト対象の治療に関する。治療効果は、例えば、疾患または病状の阻害、低滅、改善、停止または予防であり得る。
【0789】
組成物は、全身性及び/または粘膜免疫を誘発するために使用され得る。増強された全身性及び/または粘膜免疫は、増強されたTH1及び/またはTH2免疫応答に反映され得る。増強された免疫応答は、IgG1及び/またはIgG2a及び/またはIgAの産生増加を含むことができる。
【実施例】
【0790】
1.実施例1
本実施例は、チオール-エン反応による本発明のペプチド接合体3の調製を記載する。
【0791】
1.1 一般的な詳細及び方法
保護されたアミノ酸及びカップリング試薬は、GL-Biochem(Shanghai)から購入した。固体支持体合成に使用される樹脂は、Rapp Polymere GmbH(Tuebingen)からのペプチド配列の第1(C-末端)残基及びリンカーによって誘導体化されたテンタゲル(Tentagel)樹脂であり、他の溶媒及び試薬は、Sigma(St Louis,Mo)及びNovabiochemから入手した。
【0792】
下記に記載されたペプチド合成を、標準の反復Fmoc固相ペプチド合成技術を使用して、トリビュートペプチド合成機(Tribute peptide synthesiser)(Protein Technologies International, Tucson, AZ)上で、実施した。
【0793】
0.1mモルの規模で実施された例示的な脱保護及びカップリングサイクルは、DMF中の20%ピペリジンの2回の処理(4ml×5分)を使用して、樹脂結合アミノ酸からFmoc保護基を除去した後、DMFによる樹脂の洗浄を伴う。別途の容器において、Fmocアミノ酸(0.5mモル)及びカップリング剤(1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1、2、3-トリアゾロ[4、5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサプルオロホスフェート(HATU)、0.45mモル)をDMF(1.5ml)に溶解し、塩基(4-メチルモルホリン(NMM)、1mモル)を添加した。1分間混合した後、この溶液を樹脂に移し、これを室温(RT)で1時間撹拌し、排水し、洗浄した。
【0794】
5%(v/v)エタンジチオール(EDT)を含有する5mlのトリフルオロ酢酸(TFA)に樹脂を懸濁させ、室温で3時間撹拌することによって、ペプチドの切断(0.1mモルの規模)を達成した。次いで、トリイソプロピルシラン(TIPS)を1%(v/v)に添加し、さらに5分間続けて撹拌した後、TFAを冷却したジエチルエーテル(40ml)に排水させた。沈殿した材料を遠心分離によってペレット化し、エーテルを捨て、ペレットをエーテル(25ml)で1回洗浄し、空気乾燥させるか、凍結乾燥させた。
【0795】
逆相(RP)-HPLCを、Dionex Ultimate3000 HPLCシステムを使用して、210nmまたは225nmでのUV検出によって実施した。半分取精製のために、ペプチドサンプルを溶離液A(水/0.1%TFA)及び溶離液B(MeCN/0.1%TFA)の適切な混合物において平衡化された逆相Phenomenex Gemini C18カラム(5μ、110Å;10×250mm)内に注入した後、溶離液Bの増加する勾配を生成し、構成成分を溶出させた。Phenomenex Gemini C18カラム(3μ、110Å;4.6×150mm)を使用して分析HPLCを同様に実施した。
【0796】
Agilent Technologies 6120 Quadrapole質量分析計を使用して、低分解能質量スペクトルを得た。
【0797】
NMRスペクトルを、1H NMRに対して400MHzで、及び13C NMRに対して100MHzで作動するBruker BRX400分光計を使用して得た。
【0798】
1.2 ペプチド合成
ペプチド1(表1に与えられた配列)を、一般的な詳細において前記に記載されたように合成し、下記に示した(スキーム1)。
【0799】
前記ペプチドは、チオール-エン反応におけるこの位置で望ましくない副反応を避けるために、メチオニン残基がCys(tBu)残基で置換され、遊離チオール基及びポリリシン可溶化タグによって、N-末端で誘導体化されたよく認識されているCMV pp65ペプチド(NLVPMVATV[配列番号:122])の組み合わせである。
【0800】
スキーム1
【0801】
【0802】
(i)反復Fmoc-SPPS;(ii)Fmoc-Cys(Trt)-OH、HATU、NMM、DMF;(iii)20%ピペリジン/DMF;(iv)Ac2O/NMM、DMF;(v)TFA/EDT。
【0803】
反復Fmoc-SPPSを使用して、最後から2番目のアミノ酸までペプチド配列を合成した後、DMF中のFmoc-Cys(Trt)-OH、HATU及び4-メチルモルホリンとの反応によって樹脂上ペプチドのN-末端残基としてFmoc-システインを導入した。Fmoc基を、DMF中の20%ピペリジンを使用して除去した。
【0804】
生成されたアミン基を、DMF(2ml)中の20%無水酢酸及び4-メチルモルホリン(1mモル)の混合物で処理することにより、アセトアミドに転換した。
【0805】
TFA/EDTによって、樹脂からペプチドを切断し、エーテルの中に沈殿させた後、固体を1:1の水/MeCNの中に溶解し、凍結乾燥した。次いで、ペプチドを、RP-HPLCによって精製し、95%超過の材料を提供した。
【0806】
【0807】
1.3 ペプチド接合体合成
ペプチド接合体3を下記に記載し、示されたようにチオール-エン反応によってペプチド1から合成した(スキーム2)。
【0808】
スキーム2
【0809】
【0810】
(vi)パルミチン酸ビニル、DMPA、tBuSH、NMP、365nm、HPLCに基づいた83%転換(49% 2;34% 3).
【0811】
ペプチド基質1(1.7mg、1μモル)及びパルミチン酸ビニル(20mg、70μモル、70当量)をマグネチックスターラーバーが装着された小さなポリプロピレンバイアル内に秤量し、100μlの脱気されたNMPを添加した後、(0.5mlの脱気されたNMP中の6.5mgDMPA及び17μlのtBuSHの溶液10μlを添加することにより)0.5μモルのDMPA及び3μモルの tBuSH を添加した。容器を窒素でフラッシュし、混合物を激しく撹拌しながら、365nmで30分間照射した。
【0812】
HPLCによる反応混合物のサンプルの分析(
図1参照)は、一部の残留出発物質(ピークa)及びモノ-パルミトイル化ペプチド2及びビス-パルミトイル化されたペプチド3(それぞれピークb及びc)の両方の形成を示した。
【0813】
水及びアセトニトリル(各200μl)を添加し、生成された混合物を凍結乾燥し、成分を半分取用RP-HPLCで単離した。
【0814】
1.4 ペプチド接合体3の分析
図1からのピークb及びcの低分解能質量スペクトルが
図2及び
図3にそれぞれ示されている。
【0815】
ピークcの質量スペクトルによって、第2の2-(パルミトイルオキシ)エチル基のペプチド基質への導入が確認される(M+282)。
【0816】
理論に束縛されることを望むものではないが、チオール化されたペプチドを含有する反応混合物の照射後、生成されるチイルラジカルは、パルミチン酸ビニルの分子と反応して、ラジカル中間体4を生成し(スキーム3)、その後、(i)クエンチされ、モノ-パルミトイル化産物2を提供するか、(ii)パルミチン酸ビニルの別の分子と反応して、より多くの非極性ビス-パルミトイル化された産物3を生成すると考えられる。2つの経路は、テロメル化され、3を生成するのに有利である、この実験で使用されたパルミチン酸ビニルの濃度(70当量)で競争的なものと考えられる。高次の伝播が観察されなかった(すなわち、2分子超過のパルミチン酸ビニルの添加により生じる産物が観察されなかった)。
【0817】
スキーム3
【0818】
【0819】
産物2及び3の一部の酸化が明らかであったし(
図1のピークe及びfの両方ともM+16)、おそらく、チオエーテルが新しく形成されたはずである。これは、使用されている小規模システムから酸素を排除することが困難なためかもしれません。これらの酸化物は、対応するチオエーテルに容易に還元され得る。
【0820】
2.実施例2
本実施例は、次を研究したものである:
1.公知されたTLR2アゴニストであるPam1Cys-SKKK、Pam2Cys-SKKKK及びPam3Cys-SKKKKと比較して、2つの変異-ホモPam2Cys(NH2)-SKKKK及びホモPam2Cys(NHAc)-SKKKK-における本発明のネズミ及びヒトTLR2アゴニズム。すべての場合において、アゴニストは、社内で製造し、実施例1に記載されたように、半分取HPLCにより単離したが、Pam3Cys-SKKKは、InvivoGenから購入した。さらに、短いペプチドエピトープに接合された場合のTLR2アゴニズムの保持をPam3Cys-SKKKKと比較して評価した。本実施例において、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKK-‘NLV’を本発明3に記載されたように生成し(実施例1に記載されたように、半分取HPLCによって単離した)、ただし、接合体ペプチド配列は、NLVPMVATVK(Ac)であった。マッチングされたPam2Cys-SKKKK-NLVPMVATVK(Ac)をまた製造した。
【0821】
2.接合された短い合成ペプチド及び長い合成ペプチドの同種CD8+ T細胞クローンへの放出及び提示。本実施例において、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKK-‘NLV’を本発明3に記載されたように生成し(実施例1に記載されたように、半分取HPLCによって単離した)、ただし、接合体ペプチド配列は、ペプチドのT細胞認識を保持するようにするために、NLVP(Tbu)VATVK(Ac)ではなく、NLVPMVATVK(Ac)であった。放出及び提示をペプチド-マッチングされたPam1Cys-SKKKK及びPam2Cys-SKKKKコンストラクトによって誘発されたものと比較した。
【0822】
3.接合された長い合成ペプチドの同種CD8+ T細胞クローンへのプロセッシング及び提示。本実施例において、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKK-‘VPG’を本発明3に記載されたように生成し(実施例1に記載されたように、半分取HPLCによって単離した)、ただし、接合体ペプチド配列は、VPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR(配列番号:113)であった。このより長い配列内からのHLA-A2-拘束性エピトープEFTVSGNIL(配列番号:114)のプロセッシング及び提示を、長いペプチドのみで観察されたもの及びペプチド-マッチングされたPam1Cys-SKKKKコンストラクトによって観察されたものと比較した。
【0823】
TLR2アゴニズム及びペプチドプロセッシング並びにCD8+ T細胞への提示の研究に使用されたすべてのコンストラクトは、下記表2のように示す:
【0824】
【0825】
スキーム3A.表2に示したPam1Cys、Pam2Cys、Pam3Cys、ホモPam2Cys(NH2)及びホモPam2Cys(NHAc)の構造。
【0826】
【0827】
2.1 HekBlue細胞を使用したToll様受容体2(TLR2)アゴニズム
HEK-BlueTM検出培地、HEK-BlueTM-hTLR2及びHEK-BlueTM-mTLR2は、Invivogenから購入した。これらのHEK-Blue細胞は、両方とものレポーター遺伝子SEAP(分泌された胚性アルカリホスファターゼ)及びヒトまたはネズミTLR2のいずれかのコトランスフェクションによって生成した。SEAPレポーター遺伝子は、5つのAP-1及び5つのNFKB結合部位に融合されたIFN-B最小プロモーターの制御下にある。細胞を製造業者の指針に従って培養した。
【0828】
アッセイの当日、TLRアゴニスト510、520、530、540、550またはPBS(陰性対照)を、96ウェルプレートにおいて、20μlの体積のエンドトキシンフリー水中に示された濃度で添加した。HEK-BlueTM-hTLR2またはHEK-BlueTM-hTLR2細胞を、HEK-BlueTM検出培地において、約2.78×105細胞/mlで再懸濁し、180μlの細胞懸濁液を各々のウェルに添加した(約5×104個の細胞)。細胞を、5%CO2下で、37℃で10~12時間インキュベートした。635nMで、EnSpireプレートリーダー(PerkinElmer)を使用してSEAP発現を定量化した。データは、バックグラウンドを減算した後、3重ウェルについての平均+/-SD ABSまたはmABS(635nm)値として提示される。
【0829】
2.2.1 結果
HEK-Blue
TM-mTLR2及びHEK-Blue
TM-hTLR2の両方において、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKKKは1nM以上で試験された最も強力なアゴニスト(Pam2Cys-SKKKK)と同等のSEAP生成を誘発し、サブnM濃度で同等の生成を誘発した(
図4A)。両方のシステムにおいて、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKKKは、Pam3Cys-SKKKKまたはホモPam2Cys(NH
2)-SKKKKより明らかにより強力なアゴニストであった。ホモPam2Cys(NH2)-SKKKKは、HEK-Blue
TM-mTLR2において、Pam3Cys-SKKKKと同等のSEAP生成を誘発し、HEK-Blue
TM-hTLR2において、同等の生成を誘発した(
図4A)。ホモPam2Cys(NHAc/NH
2)-SKKKKは、両方ともPam1CYs-SKKKKより明らかにより強力なTLR2アゴニストであった。重要なことに、HEK-Blue
TM-mTLR2においてサブμM濃度で活性ではないPam1Cys-SKKKKと異なり、ホモPam2Cys(NHAc/NH
2)-SKKKKは、HEK-Blue
TM-mTLR2及び-hTLR2の両方でサブnM濃度まで活性であり(
図4A)、これは、トランスジェニックマウスモデル(transgenic murine model)における将来の適用を強化する。これらのデータは、ホモPam2Cys(NHAc/NH
2)-SKKKKが公知された強力なTLR1/2及びTLR2/6アゴニストPam3Cys及びPam2Cysと同等の生物学的機能及び活性を示すことを示唆する。
【0830】
HEK-Blue
TM-mTLR2及び-hTLR2の両方において、ペプチドNLVPMVATVK(Ac)とPam2Cys-SKKKKの接合は、接合されないPam3Cys-SKKKKと比較する場合、アゴニズムの相対的な損失を誘導した(
図4B)。これがコンストラクトの凝集によるものかどうかは、具体的には決定されなかった。対照的に、ペプチドNLVPMVATVK(Ac)とホモPam2Cys(NHAc)-SKKKKの接合は、任意のアゴニズムの損失をもたらさずに、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKKK-NLVPMVATVK(Ac)は、特にnM濃度でPam3Cys-SKKKKよりも強力なアゴニストで維持された(
図4C)。これらのデータは、ホモPam2Cysが疎水性ペプチドカーゴ(cargo)に接合された場合、Pam2Cysよりも強力な溶解性及び生物活性を保持し、これらのコンストラクトの相対的なインビボでの生物学的利用能を一部保持することができることを示唆する。
【0831】
2.2 CD8+ T細胞クローンへのペプチドプロセッシング及び提示
エプスタイン・バール・ウイルス形質転換されたTLR2+ HLA-A2+リンパ芽球様B-細胞株(LCL)をすべてのペプチドプロセッシング及び提示アッセイにおいて抗原提示細胞として使用した。LCLを所望の濃度で示されるように、RF10+ペプチド/コンストラクトの中で16時間インキュベートした。未処理LCLをRF10のみでインキュベートした。LCL/コンストラクトインキュベーションをアッセイの性質及び処理当たりに必要なLCLの数に依存して、96ウェルプレート(U字底、BD Biosciences)または48wp(平底、BD Biosciences)で実施した。インキュベーション後、LCLをRPMI 1640で完全に洗浄して、結合されないコンストラクト/ペプチドを除去した。
【0832】
フローサイトメトリー検出を可能にするために、CD8+ T細胞クローンを、製造業者のプロトコルに従って、0.5μMCellTraceTMViolet(“CTV”)(Life TechnologiesTM)によって予め染色した後、APCウェル内にシーディングした。ロードされ、洗浄されたLCL及びCTV-染色されたT細胞クローンを96ウェルプレートウェル(U字底)に4:1(LCL:T細胞)の比で、2回反復実験でシーディングした(使用される通常の細胞数は1.25×104細胞/ml T細胞及び5×104細胞/ml APCである)。シーディングの後、プレートを穏やかに遠心分離して(≦300 x g、3分)、即時の相互作用を可能にし、標準細胞培養インキュベーターで26時間インキュベートした。
【0833】
T細胞活性化を検出するために、サンプルを抗-CD8:AlexaFluor700及び抗-CD137:PE抗体(いずれもBiolegend)によって染色した。サンプルを暗所で、30分間氷上でインキュベートした後、洗浄緩衝液で2回洗浄して、結合されない抗体を除去した。DAPI(1μg/ml最終濃度)を各々のサンプルに添加した直後、生存/死滅排除が可能なように、確認した。
【0834】
FACSDivaソフトウェアのBD FACSAria IIを使用してデータの取得を行い、FlowJoソフトウェア(Treestar)を使用してデータ分析を行った。データは、CD137発現に対して陽性の生存クローン細胞の平均%+SDとして提示される(
図4D~
図4E)。
【0835】
2.2.1 結果
LCLによる内在化及びペプチド提示後、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKKK-NLV(551)は、NLV-保有-Pam2Cys-SKKKK(521)と同等のT細胞クローン活性化を誘発し、NLV-保有-Pam1Cys-SKKKK(511)より優れたT細胞クローン活性化を誘発した(
図4D)。
図4Dの点線及び実線は、それぞれバックグラウンドT細胞クローンの活性化及び10nMの遊離NLVペプチドがロードされたLCLとのコインキュベーション(co-incubation)によって誘発された活性化を示す。ペプチドNLVPMVATVK(Ac)が、全体T細胞エピトープを表すので、このシステムではペプチドプロセッシングが必要なく、コンストラクト内在化、ペプチド放出及びLCLのMHC I経路内への輸送によって、T細胞活性化を決定した。
【0836】
LCLによる内在化及びエピトープ提示後、ホモPam2Cys(NHAc)-SKKKK-VPG(552)は、VPG-保有-Pam1Cys-SKKKK(512)より優れたT細胞クローン活性化を誘発し、及び両方のコンストラクトは、VPGペプチド単独(500)の場合より優れていた(
図4E)。例えば、ペブチダーゼ活性を介した、長いペプチドVPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR内からの最小エピトープEFTVSGNILの放出がT細胞活性化に必要であるので、これらのデータは、おそらく、表面TLR1/2またはTLR2/6結合の後、エンド/リソソーム経路へのペプチドの標的化を介して、長い合成ペプチドとホモPam2Cys部分の接合が、TLR2+抗原提示細胞によるエピトーププロセッシング及び提示を改善させることを示唆し、接合が同種T細胞によるペプチドエピトープのインビボ認識を改善することができることを示唆する。
図4Eの点線は、バックグラウンドT細胞クローンの活性化を示す。
【0837】
3.実施例3
本実施例は、チオール-エン反応による本発明6のアミノ酸接合体の製造を説明する。
【0838】
3.1 方法
CH2Cl2(約850μl)中に溶解されたFmoc-Cys-OH(3.4mg、10μモル)、パルミチン酸ビニル(141mg、500μモル)及びDMPA(0.5mg、2μモル)から構成された1mlの総体積の溶液の60分間の365nmでの照射は、主成分としてモノ-パルミトイル化Fmoc-Cys5及び副成分としてビス-パルミトイル化されたFmoc-Cys6(m/z ESI、908.5[M+H])から構成された産物混合物を提供した(スキーム4)。溶媒の蒸発後、シリカ上のカラムクロマトグラフィーにより、最初に4:1のヘキサン/酢酸エチルで溶離した後、2:1のヘキサン/酢酸エチルで交換し、最後に1:1のヘキサン/酢酸エチルで溶離することによって、各々の成分を単離することができた。これは、5(4.6mg、75%)及び6(0.9mg、10%)を提供した。
【0839】
スキーム4
【0840】
【0841】
この合成方法は、出発物質が安価であり、反応を大規模に実施することができ、産物が比較的容易に単離するので、有用である。
【0842】
しかしながら、(HPLCによる)6への転換は低かったし、反応のメカニズムは、新たに形成されたキラル中心が、新たに形成されたキラル中心にエピマーの混合物を提供することができることを示す。
【0843】
4.実施例 4
本実施例は、本発明6のアミノ酸接合体の合成を説明する。
【0844】
4.1 方法
次いで、スキーム5において概説したように、容易に入手可能な3-ブテノールから化学的合成を実施した。
【0845】
ビス-パルミトイル化された産物6は、所望の保護基を有する保護されたシステインとの反応によって、異なるN-末端保護基で生成することができる。
【0846】
エポキシドは、分解されて(例えば、動力学加水分解を使用する:文献[M.Tokunaga,J.F.Larrow,F.Kakiuchi,E.N.Jacobsen,Science,1997,277,936-938])、選択されたジアステレオマーを提供することができる。
【0847】
スキーム5
【0848】
【0849】
ステップi
【0850】
【0851】
室温で、CH2Cl2(200ml)中のtert-ブチルジメチルクロロシラン(10.60g、70mモル)及びイミダゾール(4.77g、70mモル)の撹拌溶液に、3-ブテン-1-オール100(5.98ml、69mモル)を10分にかけて滴下した。反応混合物を室温で90分間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEt2O(150ml)で希釈し、水(3×100ml)及び塩水(50ml)で洗浄した。有機層を無数MgSO4上で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をシリカゲルによる濾過によって精製し、101(11.99g、91%)を無色の液体として得た。
【0852】
ステップii
【0853】
【0854】
CH2Cl2(10ml)中のアルケン101(2.00g、10.74mモル)の溶液を室温で撹拌されるようにした。CH2Cl2(25ml)中のmCPBA(2.78g、16.12mモル)の溶液を無数Na2SO4で乾燥し、30分にかけて前記の撹拌溶液に滴下した。反応混合物を室温で18時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEt2O(70ml)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、飽和Na2S2O3水溶液(30ml)、2MのNaOH水溶液(30ml)及び塩水(30ml)で洗浄した。有機層を無数MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、3:1)により精製して、無色油として102(1.85g、85%)を得た。
【0855】
ステップiii
【0856】
【0857】
CH2Cl2(4ml)中のチオール200(0.53g、1.34mモル)の溶液及びメタノール、濃塩酸及び濃硫酸の新たに製造した混合物(100:7:1、2ml)を0℃で30分間撹拌されるようにした。次いで、エポキシド102を混合物に添加し、生成された溶液を40℃で19時間還流されるようにした。次いで、混合物をCH2Cl2(30ml)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、塩水(30ml)で洗浄した。水層をCH2Cl2(3×30ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を無数MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、1:3)により精製して、無色油として103(0.50g、77%)を得た。
【0858】
ステップiv
【0859】
【0860】
室温でTHF(9ml)中のジオール103(0.327g、0.67mモル)及びパルミチン酸(0.516g、2.01mモル)の撹拌溶液に、ジイソプロピルカルボジイミド(0.414ml、2.68mモル)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.01g、0.07mモル)を添加した。反応混合物を室温で19時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEtOAc(30ml)で希釈し、Celite(登録商標)のベッドを通して濾過し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製して、201(0.301g、47%)を黄色油として得た。
【0861】
ステップv
【0862】
【0863】
トリフルオロ酢酸(2ml)中のジエステル201(0.35g、0.364mモル)の溶液を室温で1時間撹拌されるようにした後、混合物を真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、9:1→0:1)により精製して、6(0.33g、定量)を無色油として得た。
【0864】
Fmoc-Cys-OHは、下記の文献に記載されている:文献[H.-K.Cui,Y.Guo,Y.He,F.-L.Wang,H.-H.Chang,Y.J.Wang,F.-M.Wu,C.-L.Tian,L.Lu,Angew.Chem.Int.Eng.,2013,52(36),9558-9562]。
【0865】
4.2 アミノ酸接合体6の分析
前記のセクション4.1に記載された方法によって合成されたアミノ酸接合体6は、実施例3に記載されたようなFmoc-システイン溶液及びパルミチン酸ビニルの溶液の照射時に得られた6と同じ分析特性を有した(質量スペクトルは同じであった)。
【0866】
ビス-パルミトイル化されたFmoc-Cys6の
1H NMRスペクトルが
図5に示されている。特性化データは、下記の通りである:
1H NMR(400Mhz、CDCl
3)δ7.75(2H、d、Fmoc Ar-H)、7.60(2H、d、Fmoc Ar-H)、7.39(2H、t、Fmoc Ar-H)、7.31(2H、t、Fmoc Ar-H)、5.75(1H、broad d、NH)、5.06(1H、m、H-2’)、4.66(1H、m、H-1)、4.40(2H、d、CH
2(Fmoc))、4.26(1H、t、CH(Fmoc))、4.11(2H、m、H-4’)、3.13(1H、2x dd、H-2)、3.06(1H、2x dd、H-2)、2.76(2H、m、H-1’)、2.28(4H、m、H-1’’)、2.03(1H、m、H-3’)、1.94(1H、m、H-3’)、1.59(4H、m、H-2’’)、1.24(48H、m、14×CH
2(パルミトイル))、0.88(6H、t、2xCH
3(パルミトイル)).MS(ESI-TOF):m/z [M+H]908.6065;C
54H
86NO
8Sは、[M+H]908.6069を必要とする。
【0867】
4.3 鏡像異性体的にエナンチオピュアなエポキシド102A及び102Bの製造及び使用
ジアステレオマー的に純粋なアミノ酸接合体6は、鏡像異性体的に純粋な出発物質から立体特異的に生成された鏡像異性体的にエナンチオピュアなエポキシド102Aまたは鏡像異性体的にエナンチオピュアなエポキシド102Bを使用して製造することができる。生成された鏡像異性体的にエナンチオピュアなエポキシドを、前記セクション4.1のステップ(iii)に記載されたものと同様の手順でチオール200または下記に記載されたようにジスルフィド804と反応せしめて、対応するジアステレオマー的に純粋なジオール103Aまたは103Bを生成することができ、次いで、本明細書に記載されたような対応するジアステレオマー的に純粋な接合体6Aまたは6Bに転換させることができる。
【0868】
鏡像異性体的にエナンチオピュアなエポキシド102A及び鏡像異性体的にエナンチオピュアなエポキシド102Bを、L-アスパラギン酸からの(R)-(2-ヒドロキシエチル)オキシラン(102A)の製造に対して、文献[Volkmann,R.A.et al.J.Org.Chem.,1992,57,4352-4361]に記載された手順に従って、それぞれL-アスパラギン酸及びD-アスパラギン酸から製造した。
【0869】
(S)-2-ブロモコハク酸
0℃で6N H2SO4(33ml)中の臭化ナトリウム(15.46g、150.24mモル)の溶液にL-アスパラギン酸(5.00g、37.56mモル)を添加した。生成された混合物に亜硝酸ナトリウム(3.11g、45.07mモル)を少量ずつ90分にかけて添加した。反応混合物を0℃でさらに2時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をH2O(17ml)で希釈し、Et2O(100ml)で抽出した。水層を塩水(20ml)で希釈し、さらにEt2O(3×100ml)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させ、表題化合物(2.98g、41%)を白色固体として得た。粗産物をさらに精製することなく後続合成ステップで使用した。[α]D
19.7-71.5(c 0.46 EtOAc中)(lit-73.5(c 6.0 EtOAc中);δH(400MHz;DMSO)12.8(2H、br s、2×CO2H)、4.54(1H、dd、J=8.5、6.4Hz、H-1)、3.10(1H、dd、J=17.2、8.6Hz、H-2)、2.90(1H、dd、J=17.1、6.4Hz、H-2);δC(100MHz;DMSO)171.0(C、CO2H)、170.1(C、CO2H)、40.5(CH、C-1)、39.5(CH2、C-2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0870】
(R)-2-ブロモコハク酸
(R)-2-ブロモコハク酸をL-アスパラギン酸の代わりにD-アスパラギン酸を使用して、(S)-2-ブロモコハク酸の調製のために、前記に記載された手順に従って調整した。[α]D
20.2+66.5(c 0.2、EtOAc中)。残りの分光分析データは、(S)-2-ブロモコハク酸で観察されたものと同一であった。
【0871】
(S)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオール
-78℃でTHF(35ml)中の(S)-2-ブロモコハク酸(2.98g、15.20mモル)の溶液にBH3・DMS錯体(4.33ml、45.61mモル)を90分にかけて滴下した。反応を-78℃で2時間撹拌されるようにした後、室温で加温させ、さらに60時間撹拌されるようにした。次いで、反応を0℃に冷却させ、MeOH(15ml)をゆっくり添加した。次いで、混合物を真空下で濃縮させ、残基をMeOH(15ml)で希釈した。この過程を3回繰り返して、表題化合物(2.55g、定量)を黄色油として得た。粗産物をさらに精製することなく後続合成ステップで使用した。[α]D
19.6-36.8(c 0.5 CHCl3中);δH(400MHz、CDCl3) 4.34(1H、dq、J=7.7、5.3Hz、H-2)、3.92-3.78(4H、m、H-1、H-4)、2.40(2H、br s、2×OH)、2.20-2.06(2H、m、H-3);δC(100MHz;CDCl3) 67.1(CH2、C-1)、60.1(CH2、C-4)、55.2(CH、C-2)、37.8(CH2、C-3)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0872】
(R)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオール
(R)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオールを、(S)-2-ブロモコハク酸の代わりに(R)-2-ブロモコハク酸を使用して(S)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオールの製造のために、前記に記載された手順に従って製造した。[α]D
21.3+20.0(c 0.17、CHCl3中)。残りの分光分析データは、(S)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオールで観察されたものと同一であった。
【0873】
(R)-(2-ヒドロキシルエチル)オキシラン(102A)
室温でCH2Cl2(46ml)中の(S)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオール(2.31g、13.76mモル)の溶液にCs2CO3(8.74g、24.77mモル)を添加した。生成された混合物を室温で72時間撹拌されるようにした。次いで、反応をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、真空下で濃縮させ、定量的転換によって表題化合物を黄色油として得た。組物質をさらに精製することなく後続合成ステップで使用した。[α]D
22.9+35.0(c 0.61 CHCl3中);δH(400MHz;CDCl3) 3.83-3.79(2H、m、H-1)、3.12-3.08(1H、m、H-3)、2.81(1H、dd、J=4.8、4.1Hz、H-4)、2.60(1H、dd、J=4.8、2.8Hz、H-4)、2.03-1.95(1H、m、H-2)、1.78(1H、t、J=5.4Hz、OH)、1.71(1H、dq、J=14.6、5.9Hz、H-2);δC(100MHz;CDCl3) 60.0(CH2、C-1)、50.5(CH、C-3)、46.5(CH2、C-4)、34.6(CH2、C-2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0874】
(S)-(2-ヒドロキシルエチル)オキシラン(102B)
(S)-(2-ヒドロキシルエチル)オキシラン(102B)を(S)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオールの代わりに(R)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオールを使用して、(R)-(2-ヒドロキシルエチル)オキシラン(102A)の製造のために、前記に記載された手順に従って製造した。[α]D
22.9-35.2(c 0.23 CHCl3中)。残りの分光分析データは、(S)-2-ブロモ-1、4-ブタンジオールで観察されたものと同一であった。
【0875】
ジアステレオマー的に純粋な6Aの製造
【0876】
【0877】
0℃でCH2Cl2(10ml)中のジスルフィド804(1.59g、2.06mモル)の撹拌溶液に亜鉛粉末(0.94g、14.42mモル)及び新たに製造されたメタノール混合物、濃塩酸及び濃硫酸(100:7:1、5ml)を添加した。生成された混合物を0℃で30分間撹拌されるようにした後、エポキシド102A(0.73g、8.24mモル)を添加した。反応混合物を55℃で17時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCH2Cl2(30ml)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、塩水(50ml)で洗浄した。水層をCH2Cl2(3×50ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を無数MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、1:3)により精製して、103A(1.72g、88%)を無色油として得た。
【0878】
Rf0.15(ヘキサン-EtOAc 1:3);[α]D
20.2-3.5(c 0.32 CHCl3中);νmax(純(neat))/cm-1 3347、2976、1703、1518、1449、1413、1369、1335、1249、1151;δH(400MHz;CDCl3) 7.77(2H、d、J=7.5、FmocH)、7.61(2H、d、J=7.2Hz、FmocH)、7.40(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、7.32(2H、t、J=7.5Hz、FmocH)、5.81(1H、d、J=8.0Hz、NH)、4.53-4.50(1H、m、H-1)、4.40(2H、d、J=6.8Hz、FmocCH2)、4.23(1H、t、J=7.0Hz、FmocCH)、3.94-3.88(1H、m、H-4)、3.85-3.81(2H、m、H-6)、3.03(1H、dd、J=14.0、4.2Hz、H-2)、2.94(1H、dd、J=14.3、6.1Hz、H-2)、2.82(1H、dd、J=14.0、2.9Hz、H-3)、2.56(1H、dd、J=14.0、9.0Hz、H-3)、1.74-1.71(1H、m、H-5)、1.50(9H、s、C(CH3)3);δC(100MHz;CDCl3) 141.3(C、Fmoc)、127.8(CH、Fmoc)、127.1(CH、Fmoc)、125.1(CH、Fmoc)、120.0(CH、Fmoc)、83.1(C、C(CH3)3)、69.9(CH、C-4)、67.2(CH2、FmocCH2)、61.2(CH2、C-6)、54.7(CH、C-1)、47.1(CH、FmocCH)、41.2(CH2、C-3)、37.5 37.5(CH2、C-5)、35.7(CH2、C-2)、28.0(3×CH3、C(CH3)3);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 510.1921 C26H33NNaO6Sの計算値510.1921。
【0879】
次いで、ジアステレオマー的に純粋なジオール103Aを前記セクション4.1のステップiv及びvに記載されたものと同様の手順に従って、ジアステレオマー的に純粋な接合体6Aに転換させた。
【0880】
ジアステレオマー的に純粋な6Bの調製
【0881】
【0882】
0℃でCH2Cl2(14ml)中のジスルフィド804(2.01g、2.53mモル)の撹拌溶液に亜鉛粉末(1.15g、17.51mモル)及び新たに調製されたメタノール混合物、濃塩酸及び濃硫酸(100:7:1、7ml)を添加した。生成された混合物を0℃で30分間撹拌されるようにした後、エポキシド102B(0.89g、10.11mモル)を添加した。反応混合物を55℃で17時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCH2Cl2(30ml)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、塩水(50ml)で洗浄した。水層をCH2Cl2(3×50ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を無数MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、3:1)により精製し、103B(2.17g、88%)を無色油として得た。
【0883】
Rf 0.15(ヘキサン-EtOAc 1:3);[α]D
22+8.5(c 0.3 CHCl3中);νmax(純)/cm-1 3347、2976、1703、1518、1449、1413、1369、1335、1249、1151;δH(400MHz;CDCl3)7.77(2H、d、J=7.5Hz、FmocH)、7.61(2H、d、J=7.4Hz、FmocH)、7.40(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、7.32(2H、t、J=7.5Hz、FmocH)、5.74(1H、d、J=7.0Hz、NH)、4.51-4.47(1H、m、H-1)、4.42-4.39(2H、m、FmocCH2)、4.24(1H、t、J=7.0Hz、FmocCH)、3.93(1H、br s、H-4)、3.85-3.81(2H、m、H-6)、3.31(1H、br s、OH-4)、3.00-2.78(2H、m、H-2)、2.80(1H、dd、J=13.5、3.2Hz、H-3)、2.55(1H、dd、J=13.8、8.4Hz、H-3)、2.36(1H、br s、OH-6) 1.73(2H、q、J=5.3、H-5)、1.50(9H、s、C(CH3)3);δC(100MHz;CDCl3) 141.3(C、Fmoc)、127.8(CH、Fmoc)、127.1(CH、Fmoc)、125.1(CH、Fmoc)、120.0(CH、Fmoc)、83.1(C、C(CH3)3)、69.9(CH、C-4)、67.2(CH2、FmocCH2)、61.2(CH2、C-6)、54.7(CH、C-1)、47.1(CH、FmocCH)、41.2(CH2、C-3)、37.5 37.5(CH2、C-5)、35.7(CH2、C-2)、28.0(3×CH3、C(CH3)3);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 510.1921 C26H33NNaO6Sの計算値510.1921。
【0884】
次いで、ジアステレオマー的に純粋なジオール103Bを前記セクション4.1のステップiv及びvに記載されたものと同様の手順に従って、ジアステレオマー的に純粋な接合体6Bに転換させた。
【0885】
5.実施例5
ペプチド配列SKKKKVPGVLLKEFTVSGNILTIRLTAADHR[配列番号:112]を含む本発明のペプチド接合体10A及び10Bを下記に記載し、示されたように、6を使用して調製した(スキーム6).
【0886】
スキーム6
【0887】
【0888】
(i)反復Fmoc-SPPS;(ii)ビス-パルミトイル化されたFmoc-Cys-OH 6、PyBOP、コリジン、DMF;(iii)20%ピペリジン/DMF;(iv)Ac2O/NMM、DMF;(v)TFA/EDT。
【0889】
所望のペプチド配列を、前述したように、標準的な反復Fmoc SPPS技術を使用して合成した。
【0890】
最後から2番目のアミノ酸残基をカップリングさせた後、次いで、樹脂結合ペプチド鎖をDMF中のPyBOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサプルオロホスフェート)及びコリジンを使用して、アミノ酸接合体6によって誘導体化した。アミノ酸接合体のカップリング条件は、アミノ酸のα-炭素が活性化時にエピマー化される傾向を減少させるものである。アミノ酸接合体(0.075mモル)及びPyBOP(0.1mモル)を組み合わせてDMF(0.3ml)中に溶解させた。純2、4、6-トリメチルピリジン(0.1mモル)を添加した。30秒間混合した後、溶液を0.025mモルの樹脂に移した後、90分間撹拌し、排水し、洗浄した(DMF)。
【0891】
次いで、Fmoc基をDMF中の20%ピペリジンを使用して除去し、8を生成した。
【0892】
次いで、ペプチド8をDMF(2ml)中の20%無水酢酸及び4-メチルモルホリン(1mモル)の混合物への処理によって対応するアセトアミド9に転換させた。
【0893】
代替的に、ペプチド8を樹脂から切断して、対応するペプチド接合体10Aを生成した。5%(v/v)エタンジチオールを含有する1mlのトリフルオロ酢酸中の樹脂(0.015mモル)を室温で3時間撹拌した。次いで、上清液を、焼結を介して冷却したジエチルエーテル(10ml)に排水した。次いで、樹脂をさらに1mlのTFAで洗浄し、これをまたエーテルに添加した。沈殿した材料を遠心分離によってペレット化し、ペレットをエーテル(5ml)で1回洗浄した後、1:1MeCN/水(+0.1%tfa)中に溶解させて、凍結乾燥させた。
【0894】
ペプチド9を同じ手順を使用して樹脂から切断した。
【0895】
10A及び10Bの精製を、溶離液Aは水(+0.1%tfa)であり、溶離液BはMeCN(+0.1%tfa)である、Phenomenex Gemini C18(5μ、110Å)10×250mmカラムを使用して、半分取HPLCによって実施した。組ペプチドサンプルをカラム上に注入した後、30分にかけて5%B~95%Bの勾配を4ml/分の流動で生成させ、溶離時に所望の産物材料をカラムから回収し、凍結乾燥させた。
【0896】
10A:m/z(ESI)1363.8[M+3H+]。HPLC分析:カラム:Phenomenex Proteo C12(4μ、90Å、4.6×250mm);溶離液A、水/0.1%TFA;溶離液B:MeCN/0.1%TFA;勾配:5-95%B、30分経過、@1ml/分.保持時間:23.4分。
【0897】
10B:m/z(ESI)1377.7[M+3H+]。HPLC分析:カラム:Phenomenex Proteo C12(4μ、90Å、4.6×250mm);溶離液A、水/0.1%TFA;溶離液B:MeCN/0.1%TFA;勾配:5-95%B、30分経過、@1ml/分.保持時間:25.2分。
【0898】
6.実施例6
ペプチド1及びパルミチン酸ビニルのチオール-エン反応を表2に要約したように、様々な条件下で下記の一般的な手順に従って実施した。
【0899】
6.1 ペプチド1の合成
ペプチド1を下記に記載されたように調製した。
【0900】
アミノメチルポリスチレン樹脂(100mg、0.1mモル、ローディング1.0mモル/g)を、ジクロロメタン及びDMF(2ml、1.9:0.1v/v)の混合物の中で、Fmoc-Val-HMPP(HMPP=ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸)(105mg、0.2mモル)及びDIC(31μl、0.2mモル)と室温で1時間反応せしめた。カップリングの完了を、カイザー試験(Kaiser test)を使用してモニターし、カップリングが未完了された場合、新たに調製された試薬によってカップリング手順を繰り返した。各々のカップリングステップの間に室温で40分間、HATU/DIPEAを使用して、トリビュートペプチド合成機(Protein technologies Inc.)を使用して、残りのペプチド配列の固相ペプチド合成を実施し、各々のFmoc-脱保護ステップの間に室温で5分間DMF(v/v)中の20%ピペリジン溶液によって2回繰り返した。
【0901】
ペプチド配列の合成後、N-末端アセチル化を室温で15分間DMF(v/v)及びDIPEA(0.25ml)中の20%無水酢酸溶液を使用して完了させた。
【0902】
樹脂-結合ペプチドを室温で2時間TFA/TIPS/H2O/DODT(10ml、94:1:2.5:2.5v/v/v/v)への処理によって切断した。窒素流動によってTFAを蒸発させた後、ペプチドを冷ジエチルエーテル中で沈殿させ、遠心分離によって単離させ、冷ジエチルエーテルで2回洗浄し、0.1%TFA(1:1、v/v)を含有するアセトニトリル:水の中に溶解させ、凍結乾燥させて粗ペプチドを提供した。
【0903】
半分取Gemini C-18カラム(phenomenex、5μ 10.0×250mm)を使用したRP-HPLCによる精製は、ペプチド1(74mg、43%0.1mモルスケールに基づく)、[(M+2H)2+、計算値858.5、測定値858.6Da)]を提供した。
【0904】
6.2 チオレン反応の一般的な手順
原液1:脱気されたN-メチル-2-ピロリドン(0.5ml)中のDMPA(6.5mg、25.3μモル)。
【0905】
原液2:脱気されたN-メチル-2-ピロリドン(必須濃度)中のパルミチン酸ビニル
【0906】
ペプチド1(1.71mg、1.0μモル)を原液1(10μl、0.5μモル)中に溶解させた後、tert-ブチルチオール及び/またはトリイソプロピルシラン及びトリフルオロ酢酸(5%v/v)及び原液2を添加した。反応混合物を室温でUVランプを使用して365nmの波長で照射し、その後、30分間隔でLC-MS分析のためにサンプルを除去した。Milli-Q水へのクエンチすることによって分析サンプルを調製し、Gemini C-18カラム(phenomenex、5μ 4.6×150mm)を使用して分析した。
【0907】
【0908】
7.実施例7
本実施例は、種々の出発物質からの本発明のアミノ酸接合体の合成を説明する。
【0909】
7.1 アルコール800からのアミノ酸接合体806の合成
ステップi
【0910】
【0911】
室温でCH2Cl2(150ml)中の4-ペンチン-1-オール800(5ml、53.72mモル)の撹拌溶液に、イミダゾール(3.66g、53.72mモル)及びtert-ブチルジメチルシリルクロライド(8.10g、53.72mモル)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEt2O(200ml)で希釈し、水(3×100ml)及び塩水(100ml)で洗浄した。有機層を無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をシリカゲルによる濾過によって精製して、表題化合物801(10.64g、定量)を無色液体として得た。アルキン801を特性化することなく後続合成ステップで使用した。
【0912】
ステップii
【0913】
【0914】
室温でヘキサン(150ml)中のアルキン801(14.08g、70.00mモル)の撹拌溶液に、キノリン(11.75ml、100.00mモル)及びリンドラー触媒(Lindar’s catalyst)(1.408g)を添加した。反応混合物をH2-充填バルーン(1atm)に連結させ、室温で5時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物802(14.09g、99%)を無色液体として得た。
【0915】
Rf0.88(石油エーテル-EtOAc 9:1);δH(400MHz;CDCl3)5.82(1H、ddt、J=17.0、10.2、6.7Hz、H-4)、5.02(1H、d、J=17.1Hz、Ha-5)、4.95(1H、d、J=10.4Hz、Hb-5)、3.62(2H、t、J=6.5Hz、H-1)、2.10(2H、q、J=7.2Hz、H-3)、1.61(2H、p、J=7.0Hz、H-2)、0.90(9H、s、SiC(CH3)3)、0.05(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3)138.6(CH、C-4)、114.5(CH2、C-5)、62.6(CH2、C-1)、32.0(CH2、C-2)、30.5(CH2、C-3)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0916】
ステップiii
【0917】
【0918】
室温でCH2Cl2(100ml)中のアルケン802(8.646g、43.16mモル)の撹拌溶液に、mCPBA(8.191g、47.47mモル)を添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCelite(登録商標)を通して濾過し、Et2O(100ml)で希釈し、飽和水溶液NaHCO3(3×100ml)及び塩水(100ml)で洗浄した。有機層を無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物803(8.09g、87%)を無色液体として得た。
【0919】
Rf0.51(石油エーテル-EtOAc 9:1);δH(400MHz;CDCl3)3.70-3.60(2H,m,H-1)、2.96-2.92(1H、m、H-4)、2.75(1H、dd、J=5.0、4.0Hz、H-5)、2.47(1H、dd、J=5.0、2.8Hz、H-5)、1.73-1.53(4H、m、H-2、H-3)、0.89(9H、s、SiC(CH3)3)、0.04(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3)62.7(CH2、C-1)、52.2(CH、C-4)、47.1(CH2、C-5)、29.1(CH2、C-2)、29.0(CH2、C-3)、25.9(3×CH3、SiC(CH3)3)、18.3(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0920】
ステップiv
【0921】
【0922】
0℃でTHF(0.35ml)中のラセミエポキシド803(8.272g、38.24mモル)、(R、R)-(+)-N、N’-ビス(3、5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1、2-シクロヘキサンジアミノコバルト(II)(0.121g、0.19mモル)及び氷酢酸(0.04ml、0.76mモル)の撹拌溶液に水(0.38ml)を滴下した。反応混合物を室温で48時間撹拌されるようにした。次いで、混合物を真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物803a(4.12g、49%)を黄色油として得た。
【0923】
Rf0.51(石油エーテル-EtOAc 9:1);[α]D
21.4+4.65(c 1.15 CHCl3中);δH(400MHz;CDCl3)3.70-3.60(2H、m、H-1)、2.96-2.92(1H、m、H-4)、2.75(1H、dd、J=5.0、4.0Hz、H-5)、2.47(1H、dd、J=5.0、2.8Hz、H-5)、1.73-1.53(4H、m、H-2、H-3)、0.89(9H、s、SiC(CH3)3)、0.04(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 62.7(CH2、C-1)、52.2(CH、C-4)、47.1(CH2、C-5)、29.1(CH2、C-2)、29.0(CH2、C-3)、25.9(3×CH3、SiC(CH3)3)、18.3(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0924】
ステップv
【0925】
【0926】
0℃で市販のCH2Cl2(5ml)中のジスルフィド804(0.751g、0.94mモル)の撹拌溶液に、亜鉛粉末(0.508g、7.78mモル)及び新たに調製されたメタノール混合物、濃塩酸及び濃硫酸(100:7:1、2ml)を添加した。生成された混合物を0℃で30分間撹拌されるようにした。次いで、混合物を65℃で5分間撹拌されるようにした後、エポキシド803a(0.839g、3.88mモル)を添加した。反応混合物を65℃で19時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEtOAc(50ml)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、塩水(50ml)で洗浄した。水層をEtOAc(3×50ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、1:3)によって精製し、表題化合物805(0.568g、60%)を無色油として得た。
【0927】
Rf0.34(ヘキサン-EtOAc 1:3);[α]D
21.0-26.7(c 0.03 CHCl3中);νmax(純)/cm-1 3321、2931、1706、1532、1450、1369、1248、1152、1050;δH(400MHz;CHCl3) 7.76(2H、d、J=7.5Hz、FmocH)、7.61(2H、d、J=7.2Hz、FmocH)、7.40(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、7.31(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、5.90(1H、d、J=7.8Hz、NH)、4.51(1H、dd、J=12.3、5.2Hz、H-1)、4.39(2H、d、J=7.1Hz、FmocCH2)、4.23(1H、t、J=7.1Hz、FmocCH)、3.73-3.58(3H、m、H-4、H-7)、3.03(1H、dd、J=13.9、4.4Hz、H-2)、2.95(1H、dd、J=13.9、5.7Hz、H-2)、2.80(1H、dd、J=13.6、2.9Hz、H-3)、2.53(1H、dd、J=13.6、8.9Hz、H-3)、1.72-1.61(4H、m、H-5、H-6)、1.49(9H、s、C(CH3)3));δC(100MHz;CHCl3) 169.8(C、CO2tBu)、156.1(C、FmocCO)、143.9(C、Fmoc)、141.1(C、Fmoc)、127.9(CH、Fmoc)、127.2(CH、Fmoc)、125.3(CH、Fmoc)、120.1(CH、Fmoc)、83.2(C、C(CH3)3)、70.1(CH、C-4)、67.3(CH2、FmocCH2)、62.8(CH2、C-7)、54.7(CH、C-1)、47.2(CH、FmocCH)、41.2(CH2、C-3)、35.5(CH2、C-2)、33.4(CH2、C-5)、29.2(CH2、C-6)、28.1(3×CH3、C(CH3)3);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 524.2077 C27H35NNaO6Sの計算値524.2075。
【0928】
ステップvi
【0929】
【0930】
室温でTHF(3ml)中のジオール805(0.114g、0.243mモル)及びパルミチン酸(0.180g、0.702mモル)の撹拌溶液に、N、N’-ジイソプロピルカルボジイミド(0.145ml、0.936mモル)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.011g、0.094mモル)を添加した。反応混合物を室温で17時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、EtOAc(30ml)で希釈し、1Mクエン酸(30ml)及び塩水(30ml)で洗浄し、真空下で濃縮させた。次いで、残基をTFA(3ml)中に再溶解させ、室温で45分間撹拌されるようにした。反応混合物を再び真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、9:1→0:1)によって精製し、表題化合物806(0.220g、98%)を無色油として得た。
【0931】
Rf0.15(石油エーテル-EtOAc 1:1);[α]D
21.3+10.0(c 0.08 CHCl3中);νmax(純)/cm-1 2919、2851、1723、1521、1521、1221、1108、1054;δH(400MHz;CHCl3)7.76(2H、d、J=7.5Hz、FmocH)、7.62(2H、d、J=7.4Hz、FmocH)、7.39(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、7.30(2H、td、J=11.2、0.9Hz、FmocH)、5.78(1H、d、J=7.6Hz、NH)、5.04-4.95(1H、m、H-4)、4.60(1H、dd、J=12.2、5.2Hz、H-1)、4.38(2H、d、J=7.2Hz、FmocCH2)、4.24(2H、t、J=7.1Hz、FmocCH)、4.13-3.99(2H、m、H-7)、3.16(1H、dd、J=13.9、4.5Hz、H-2)、3.04(1H、dd、J=14.0、5.3Hz、H-2)、2.78-2.70(2H、m、H-3)、2.34-2.25(4H、m、2×PamCH2αアルキル)、1.74-1.56(8H、m、2×PamCH2βアルキル、H-5、H-6)、1.32-1.22(48H、m、24×PamCH2アルキル)、0.88(6H、t、J=6.9Hz、2×PamCH3アルキル);δC(100MHz;CHCl3) 174.3(C、CO2H)、174.0(C、PamCO2)、173.5(C、PamCO2)、156.0(C、FmocCO)、143.7(C、Fmoc)、141.3(C、Fmoc)、127.8(CH、Fmoc)、127.1(CH、Fmoc)、121.2(CH、Fmoc)、120.0(CH、Fmoc)、72.1(CH、C-4)、67.5(CH2、FmocCH2)、63.8(CH2、C-7)、53.6(CH、C-1)、47.1(CH、FmocCH)、36.5(CH2、C-3)、34.6(CH2、PamCH2αアルキル)、34.5(CH2、PamCH2αアルキル)、34.3(CH2、C-2)、31.9(2×CH2、PamCH2アルキル)、29.7-29.2(21×CH2、PamCH2アルキル、C-5)、25.0(2×CH2、PamCH2βアルキル)、24.6(CH2、C-6)、22.7(2×CH2、PamCH2アルキル)、14.1(2×CH3、PamCH3アルキル);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 944.6045 C55H87NNaO8Sの計算値944.6028。
【0932】
7.1.2 アルコール807からのアミノ酸接合体811の合成
ステップi
【0933】
【0934】
室温でCH2Cl2(150ml)中の5-ヘキセン-1-オール807(5.00ml、41.64mモル)の撹拌溶液に、イミダゾール(2.86g、43.06mモル)及びtert-ブチルジメチルシリルクロライド(6.34g、42.06mモル)を添加した。反応混合物を室温で19時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEtOAc(400ml)で希釈し、水(200ml)及び塩水(200ml)で洗浄し、無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル)によって精製し、表題化合物808(8.846g、定量)を無色油として得た。
【0935】
Rf0.90(石油エーテル-EtOAc 9:1);δH(400MHz;CDCl3)5.81(1H、ddt、J=17.1、10.1、6.7Hz、H-5)、5.00(1H、dq、J=17.2、1.7Hz、Ha-6)、4.94(1H、d、J=10.5Hz、Hb-6)、3.61(2H、t、J=6.2Hz、H-1)、2.06(2H、q、J=7.1Hz、H-4)、1.59-1.50(2H、m、H-2)、1.47-1.39(2H、m、H-3)、0.89(9H、s、SiC(CH3)3)、0.05(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 139.0(CH、C-5)、114.3(CH2、C-6)、63.1(CH2、C-1)、33.5(CH2、C-4)、32.3(CH2、C-2)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、25.2(CH2、C-3)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0936】
ステップii
【0937】
【0938】
室温でCH2Cl2(150ml)中のアルケン808(7.58g、35.35mモル)の撹拌溶液に、mCPBA(9.15g、53.05mモル)を少量ずつ添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEt2O(200ml)で希釈し、Celite(登録商標)を通して濾過し、2M水溶液NaOH(200ml)及び塩水(200ml)で洗浄し、無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物809(6.91g、85%)を無色油として得た。
【0939】
Rf0.60(石油エーテル-EtOAc 9:1);δH(400MHz;CDCl3)3.61(2H、t、J=6.0Hz、H-1)、2.93-2.88(2H、m、H-5)、2.74(1H、dd、J=5.0、4.0Hz、H-6)、2.46(1H、dd、J=5.0、3.0Hz、H-6)、1.63-1.46(6H、m、H-2、H-3、H-4)、0.89(9H、s、SiC(CH3)3)、0.04(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 63.0(CH2、C-1)、52.3(CH、C-5)、47.1(CH2、C-6)、32.6(CH2、C-4)、32.3(CH2、C-2)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、22.3(CH2、C-3)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0940】
ステップiii
【0941】
【0942】
0℃でTHF(0.3ml)中のラセミエポキシド809(5.887g、25.56mモル)、(R、R)-(+)-N、N’-ビス(3、5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1、2-シクロヘキサンジアミノコバルト(II)(0.083g、0.13mモル)及び氷酢酸(0.03ml、0.51mモル)の撹拌溶液に水(0.253ml)を滴下した。反応混合物を室温で48時間撹拌されるようにした。次いで、混合物を真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物809a(2.913g、49%)を黄色油として得た。
【0943】
Rf0.60(石油エーテル-EtOAc 9:1);[α]D
20.4+5.0(c 0.02 CHCl3中);δH(400MHz;CDCl3) 3.61(2H、t、J=6.0Hz、H-1)、2.93-2.88(2H、m、H-5)、2.74(1H、dd、J=5.0、4.0Hz、H-6)、2.46(1H、dd、J=5.0、3.0Hz、H-6)、1.63-1.46(6H、m、H-2、H-3、H-4)、0.89(9H、s、SiC(CH3)3)、0.04(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 63.0(CH2、C-1)、52.3(CH、C-5)、47.1(CH2、C-6)、32.6(CH2、C-4)、32.3(CH2、C-2)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、22.3(CH2、C-3)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0944】
ステップiv
【0945】
【0946】
0℃でCH2Cl2(5ml)中のジスルフィド804(0.500g、0.649mモル)の撹拌溶液に、亜鉛粉末(0.300g、4.54mモル)及び新たに製造されたメタノール混合物、濃塩酸及び濃硫酸(100:7:1、2ml)を添加した。生成された混合物を0℃で30分間撹拌されるようにした。次いで、混合物を65℃で5分間撹拌されるようにした後、エポキシド809a(0.600g、2.60mモル)を添加した。反応混合物を65℃で19時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEtOAc(50ml)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、塩水(50ml)で洗浄した。水層をEtOAc(3×50ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、4:1→1:3)によって精製し、表題化合物810(0.553g、83%)を無色油として得た。
【0947】
Rf0.39(ヘキサン-EtOAc 1:3);[α]D
21.2-25.0(c 0.07 CHCl3中);νmax(純)/cm-1 3343、2934、2862、1705、1513、1450、1369、1344、1248、1152;δH(400MHz;CHCl3) 7.76(2H、d、J=7.5Hz、FmocH)、7.61(2H、d、J=7.0Hz、FmocH)、7.40(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、7.30(2H、td、J=11.2、1.1Hz、FmocH)、5.88(1H、d、J=7.8Hz、NH)、4.52(1H、dd、J=12.5、5.2Hz、H-1)、4.39(2H、d、J=8.1Hz、FmocCH2)、4.23(1H、t、J=7.1Hz、FmocCH)、3.70-3.59(3H、m、H-4、H-8)、3.03(1H、dd、J=13.7、4.7 Hz、H-2)、2.94(1H、dd、J=13.7、5.4Hz、H-2)、2.80(1H、dd、J=13.6、3.4Hz、H-3)、2.51(1H、dd、J=13.4、8.7Hz、H-3)、1.60-1.38(15H、m、H-5、H-6、H-7、C(CH3)3));δC(100MHz;CHCl3) 169.7(C、CO2tBu)、156.0(C、FmocCO)、143.8(C、Fmoc)、141.3(C、Fmoc)、127.8(CH、Fmoc)、127.1(CH、Fmoc)、125.2(CH、Fmoc)、120.0(CH、Fmoc)、83.1(C、C(CH3)3)、69.8(CH、C-4)、67.2(CH2、FmocCH2)、62.5(CH2、C-8)、54.6(CH、C-1)、47.1(CH、FmocCH)、41.1(CH2、C-3)、35.8(CH2、C-5)、35.4(CH2、C-2)、32.4(CH2、C-7)、28.0(3×CH3、C(CH3)3)、21.9(CH2、C-6);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 538.2226 C28H37NNaO6Sの計算値538.2234。
【0948】
ステップv
【0949】
【0950】
室温でTHF(3ml)中のジオール810(0.190g、0.370mモル)及びパルミチン酸(0.284g、1.10mモル)の撹拌溶液に、N、N’-ジイソプロピルカルボジイミド(0.226ml、1.47mモル)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.018g、0.147mモル)を添加した。反応混合物を室温で17時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、EtOAc(50ml)で希釈した。1Mクエン酸(30ml)及び塩水(30ml)で洗浄し、真空下で濃縮させた。次いで、残基をTFA(3ml)中に再溶解させ、室温で45分間撹拌されるようにした。反応混合物を再び真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、9:1→0:1)によって精製し、表題化合物811(0.301g、定量)を無色油として得た。
【0951】
Rf0.20(石油エーテル-EtOAc 1:1);[α]D
21.2+10.0(c 0.07 CHCl3中);νmax(純)/cm-1 3331、2917、2850、1728、1692、1532、1467、1451、1244、1221、1198、1175;δH(400MHz;CHCl3) 7.76(2H、d、J=7.5Hz、FmocH)、7.62(2H、d、J=7.2Hz、FmocH)、7.40(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、7.30(2H、td、J=11.2、1.0Hz、FmocH)、5.82(1H、d、J=7.9NH)、5.03-4.92(1H、m、H-4)、4.71-4.60(1H、m、H-1)、4.40(2H、d、J=7.0Hz、FmocCH2)、4.24(1H、t、J=7.1Hz、FmocCH)、4.11-4.00(2H、m、H-8)、3.15(1H、dd、J=13.9、4.4Hz、H-2)、3.04(1H、dd、J=13.8、5.8Hz、H-2)、2.78-2.65(2H、m、H-3)、2.31(2H、t、J=7.6Hz、PamCH2αアルキル)、2.28(2H、t、J=7.6Hz、PamCH2αアルキル)、1.74-1.55(8H、m、2×PamCH2βアルキル、H-5、H-7)、1.45-1.17(50H、m、24×PamCH2アルキル、H-6)、0.88(6H、t、J=6.8Hz、2×PamCH3アルキル);δC(100MHz;CHCl3) 174.3(C、CO2H)、174.0(C、PamCO2)、173.9(C、PamCO2)、156.1(C、FmocCO)、143.7(C、Fmoc)、141.3(C、Fmoc)、127.8(CH、Fmoc)、127.1(CH、Fmoc)、125.2(CH、Fmoc)、120.0(CH、Fmoc)、72.4(CH、C-4)、67.4(CH2、FmocCH2)、64.0(CH2、C-8)、53.6(CH、C-1)、47.1(CH、FmocCH)、36.6(CH2、C-3)、34.6(CH2、PamCH2αアルキル)、34.5(CH2、PamCH2αアルキル)、34.4(CH2、C-2)、32.7(CH2、C-5)、32.0(2×CH2、PamCH2アルキル)、29.7-29.3(20×CH2、PamCH2アルキル)、28.3(CH2、C-7)、25.0(2×CH2、PamCH2βアルキル)、25.0(2×CH2、PamCH2βアルキル)、22.7(2×CH2、PamCH2アルキル)、21.7(CH2、C-6)、14.4(2×CH3、PamCH3アルキル);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 958.6239 C56H89NNaO8Sの計算値958.6238。
【0952】
7.1.3 アルケン814からのアミノ酸接合体820の合成
A)アルコール812からのアルケン814の合成
ステップi
【0953】
【0954】
室温でCH2Cl2(80ml)中の6-ヘブチン-1-オール812(3.33ml、26.75mモル)の撹拌溶液に、イミダゾール(1.76g、27.01mモル)及びtert-ブチルジメチルシリルクロライド(4.07g、27.01mモル)を添加した。反応混合物を室温で24時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEt2O(100ml)で希釈し、水(3×100ml)及び塩水(100ml)で洗浄した。有機層を無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をシリカゲルによる濾過によって精製し、アルキン813(5.68g、定量)を無色液体として得た。アルキン813を特性化することなく後続合成ステップで使用した。
【0955】
ステップii
【0956】
【0957】
室温でヘキサン(140ml)中のアルキン813(5.34g、25.18mモル)の撹拌溶液に、キノリン(4.18ml、35.26mモル)及びリンドラー触媒(0.53g)を添加した。反応混合物をH2-充填バルーン(1atm)に連結させ、室温で2時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物814(5.34g、定量)を無色液体として得た。
【0958】
Rf0.91(石油エーテル-EtOAc 9:1);δH(400MHz;CDCl3) 5.81(1H、ddt、J=17.0、10.3、6.7Hz、H-6)、4.99(1H、dd、J=17.0Hz、Ha-7) 4.93(1H、dd、J=10.1Hz、Hb-7)、3.60(2H、t、J=6.6Hz、H-1)、2.05(2H、q、J=7.0Hz、H-5)、1.56-1.31(6H、m、H-2、H-3、H-4)、0.89(9H、s、SiC(CH3)3)、0.05(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 139.1(CH、C-6)、114.2(CH2、C-7)、63.2(CH2、C-1)、33.8(CH2、C-5)、33.7(CH2、C-4)、28.7(CH2、C-3)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、25.3(CH2、C-2)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0959】
B)アルコール815からのアルケン814の合成
ステップi
【0960】
【0961】
室温でCH2Cl2(150ml)中の1、6-ヘキサンジオール(815)(16.00g、135.39mモル)の撹拌溶液に、イミダゾール(9.22g、135.39mモル)及びtert-ブチルジメチルシリルクロライド(20.41g、135.39mモル)を添加した。反応混合物を室温で19時間撹拌されるようにした。次いで、混合物を濾過し、H2O(100ml)及び塩水(100ml)で洗浄し、無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、4:1)によって精製し、表題化合物816(25.13g、80%)を無色液体として得た。アルコール816を特性化することなく後続合成ステップで使用した。
【0962】
ステップii
【0963】
【0964】
0℃でCH2Cl2(11ml)中のアルコール816(4.90g、21.10mモル)の撹拌溶液に、ジメチルスルホキシド(11.08ml、154.05mモル)、Et3N(14.71ml、105.52mモル)及び三酸化硫黄ピリジン錯体(9.89g、63.31mモル)を添加した。反応混合物を30分間撹拌されるようにした。次いで、混合物を水(20ml)でクエンチし、EtOAc(2×50ml)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(50ml)及び塩水(50ml)で洗浄し、無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物817(4.71g、97%)を無色油として得た。アルデヒド817を特性化することなく後続合成ステップで使用した。
【0965】
ステップiii
【0966】
【0967】
-78℃でTHF(30ml)中の臭化メチルトリフェニルホスホニウム(4.60g、12.89mモル)の撹拌溶液に、n-ブチルリチウム(7.16ml、1.8M、12.89mモル)の溶液を滴下した。生成された混合物を室温で加温させ、1時間撹拌されるようにした。次いで、反応混合物を-78℃に冷却させ、THF(6ml)中のアルデヒド817(2.56g、11.21mモル)を滴下した。反応混合物を-78℃で3時間撹拌されるようにした後、室温で加温させ、さらに15時間撹拌されるようにした。次いで、混合物を飽和NH4Cl水溶液(10ml)でクエンチし、EtOAc(3×70ml)で抽出した。組み合わせた有機抽出物を水(2×50ml)及び塩水(50ml)で洗浄し、無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、99:1)によって精製し、表題化合物814(2.50g、98%)を無色液体として得た。
【0968】
Rf0.91(石油エーテル-EtOAc 9:1);δH(400MHz;CDCl3) 5.81(1H、ddt、J=17.0、10.3、6.7Hz、H-6)、4.99(1H、dd、J=17.0Hz、Ha-7) 4.93(1H、dd、J=10.1Hz、Hb-7)、3.60(2H、t、J=6.6Hz、H-1)、2.05(2H、q、J=7.0Hz、H-5)、1.56-1.31(6H、m、H-2、H-3、H-4)、0.89(9H、s、SiC(CH3)3)、0.05(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 139.1(CH、C-6)、114.2(CH2、C-7)、63.2(CH2、C-1)、33.8(CH2、C-5)、33.7(CH2、C-4)、28.7(CH2、C-3)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、25.3(CH2、C-2)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0969】
C)アルケン814からのアミノ酸接合体820の合成
ステップi
【0970】
【0971】
室温でCH2Cl2(40ml)中のアルケン814(4.30g、18.40mモル)の撹拌溶液に、mCPBA(4.46g、25.84mモル)を添加した。反応混合物を室温で7時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCelite(登録商標)を通して濾過し、Et2O(60ml)で希釈し、飽和水溶液NaHCO3(3×100ml)及び塩水(100ml)で洗浄した。有機層を無数Na2SO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物818(4.30g、96%)を無色液体として得た。
【0972】
Rf0.63(石油エーテル-EtOAc 9:1);δH(400MHz;CDCl3) 3.60(2H、t、J=6.5Hz、H-1)、2.92-2.88(1H、m、H-6)、2.74(1H、t、J=4.5Hz、H-7)、2.46(1H、dd、J=5.0、2.8Hz、H-7)、1.56-1.36(8H、m、H-2、H-3、H-4、H-5)、(9H、s、SiC(CH3)3)、0.04(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 63.1(CH2、C-1)、52.3(CH、C-6)、47.1(CH2、C-7)、32.8(CH2、C-5)、32.5(CH2、C-2)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、25.8(CH2、C-4)、25.7(CH2、C-3)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2)。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0973】
ステップii
【0974】
【0975】
0℃でTHF(0.1ml)中のラセミエポキシド818(2.23g、9.13mモル)、(R、R)-(+)-N、N’-ビス(3、5-ジ-tert-ブチルサリチリデン)-1、2-シクロヘキサンジアミノコバルト(II)(0.03g、0.05mモル)及び氷酢酸(0.01ml、0.18mモル)の撹拌溶液に水(0.09ml)を滴下した。反応混合物を室温で48時間撹拌されるようにした。次いで、混合物を真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-EtOAc、9:1)によって精製し、表題化合物818a(1.09g、49%)を黄色油として得た。
【0976】
Rf0.63(石油エーテル-EtOAc 9:1);[α]D
21.3+4.2(c 0.90 CHCl3中);δH(400MHz;CDCl3) 3.60(2H、t、J=6.5Hz、H-1)、2.92-2.88(1H、m、H-6)、2.74(1H、t、J=4.5Hz、H-7)、2.46(1H、dd、J=5.0、2.8Hz、H-7)、1.56-1.36(8H、m、H-2、H-3、H-4、H-5)、(9H、s、SiC(CH3)3)、0.04(6H、s、Si(CH3)2);δC(100MHz;CDCl3) 63.1(CH2、C-1)、52.3(CH、C-6)、47.1(CH2、C-7)、32.8(CH2、C-5)、32.5(CH2、C-2)、26.0(3×CH3、SiC(CH3)3)、25.8(CH2、C-4)、25.7(CH2、C-3)、18.4(C、SiC(CH3)3)、-5.3(2×CH3、Si(CH3)2。分光分析データは、文献に報告されたものと一致した。
【0977】
ステップiii
【0978】
【0979】
0℃でCH2Cl2(1ml)中のジスルフィド804(0.30g、0.375mモル)の撹拌溶液に、亜鉛粉末(0.20g、3.01mモル)及び新たに調製されたメタノール混合物、濃塩酸及び濃硫酸(100:7:1、1ml)を添加した。生成された混合物を0℃で30分間撹拌されるようにした後、エポキシド818a(0.344g、1.13mモル)を添加した。反応混合物を70℃で17時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をEtOAc(30ml)で希釈し、Celite(登録商標)のパッドを通して濾過し、塩水(30ml)で洗浄した。水層をEtOAc(3×30ml)で抽出し、組み合わせた有機抽出物を無数MgSO4で乾燥し、真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、1:3)によって精製し、表題化合物819(0.350g、88%)を無色油として得た。
【0980】
Rf0.4(ヘキサン-EtOAc 1:3);[α]D
20.8-20.0(c 0.03 EtOAc中);νmax(純)/cm-1 3365、3933、1703、1514、1450、1369、1343、1248、1151、1046;δH(400MHz;MeOD) 7.79(2H、d、J=7.5Hz、FmocH)、7.68(2H、d、J=7.4Hz、FmocH)、7.39(2H、t、J=7.4Hz、FmocH)、7.31(2H、t、J=4.7Hz、FmocH)、4.34(2H、d、J=7.1Hz、FmocCH)、4.28(1H、dd、J=8.2、5.1Hz、H-1)、4.23(1H、t、J=7.0Hz、FmocCH2)、3.72-3.61(1H、m、H-4)、3.57-3.79(2H、m、H-9)、3.01(1H、dd、J=13.8、5.0Hz、H-2)、2.86(1H、dd、J=13.7、8.3Hz、H-2)、2.69(1H、dd、J=13.4、4.9Hz、H-3)、2.60(1H、dd、J=13.4、7.0Hz、H-3)、1.57-1.34(17H、m、H-5、H-6、H-7、H-8、C(CH3)3);δC(100MHz;MeOD) 171.8(C、CO2tBu)、158.1(C、FmocCO)、145.3(C、Fmoc)、142.6(C、Fmoc)、128.8(CH、Fmoc)、128.2(CH、Fmoc)、126.4(CH、Fmoc)、121.0(CH、Fmoc)、83.3(C、C(CH3)3)、71.9(CH、C-4)、68.2(CH2、FmocCH2)、62.9(CH2、C-9)、56.5(CH、C-1)、50.2(CH、FmocCH)、40.8(CH2、C-3)、37.3(CH2、C-5)、35.5(CH2、C-2)、33.6(CH2、C-8)、28.3(3×CH3、C(CH3)3)、26.9(CH2、C-7)、26.6(CH2、C-6);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 552.2390 C29H39NNaO6Sの計算値552.2393。
【0981】
ステップiv
【0982】
【0983】
室温でTHF(4.6ml)中のジオール819(0.168g、0.317mモル)及びパルミチン酸(0.244g、0.951mモル)の撹拌溶液に、N、N’-ジイソプロピルカルボジイミド(0.191ml、1.269mモル)及び4-ジメチルアミノピリジン(0.016g、0.127mモル)を添加した。反応混合物を室温で17時間撹拌されるようにした。次いで、混合物をCelite(登録商標)のパッドを通して濾過し、EtOAc(30ml)で希釈し、1Mクエン酸(30ml)及び塩水(30ml)で洗浄し、真空下で濃縮させた。次いで、残基をTFA(3ml)中に再溶解させ、室温で45分間撹拌されるようにした。反応混合物を再び真空下で濃縮させた。粗産物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-EtOAc、9:1→0:1)によって精製し、表題化合物820(0.301g、定量)を無色油として得た。
【0984】
Rf0.21(石油エーテル-EtOAc 1:1);[α]D
20.8+7.5(c 0.24 CHCl3中);νmax(純)/cm-1 3319、2919、2851、1722、1521、1471、1450、1221、1055;δH(400MHz;CDCl3) 7.76(2H、d、J=7.6Hz、FmocH)、7.61(2H、d、J=7.3Hz、FmocH)、7.40(2H、t、J=7.7Hz、FmocH)、7.30(2H、td、J=11.2、1.1Hz、FmocH)、5.82(1H、d、J=7.7Hz、NH)、5.00-4.94(1H、m、H-4)、4.64(1H、dd、J=12.3、5.6Hz、H-1)、4.40(2H、d、J=7.1Hz、FmocCH)、4.24(1H、t、J=7.1Hz、FmocCH2)、4.10-4.00(2H、m、H-9)、3.14(1H、dd、J=13.8、4.3Hz、H-2)、3.04(1H、dd、J=13.8、5.6Hz、H-2)、2.76-2.67(2H、m H-3)、2.31(2H、t、J=7.6Hz、PamCH2αアルキル)、2.28(2H、t、J=7.6Hz、PamCH2αアルキル)、1.65-1.56(8H、m、2×PamCH2βアルキル、H-8、H-5)、1.39-1.18(52H、m、24×PamCH2アルキル、H-6、H-7)、0.88(6H、t、J=6.9Hz、2×PamCH3アルキル);δC(100MHz;CDCl3) 174.4(C、CO2H)、156.1(C、FmocCO)、143.7(C、Fmoc)、141.3(C、Fmoc)、127.8(CH、Fmoc)、127.1(CH、Fmoc)、125.2(CH、Fmoc)、120.0(CH、Fmoc)、72.4(CH、C-4)、67.5(CH2、FmocCH2)、64.2(CH2、C-9)、53.6(CH、C-1)、47.1(CH、FmocCH)、36.5(CH2、C-3)、34.6(CH2、C-2)、34.3(2×CH2、PamCH2αアルキル)、33.0(CH2、C-5)、31.9(2×CH2、PamCH2アルキル) 29.7-28.4(21×CH2、PamCH2アルキル、C-8)、25.5(CH2、C-7)、25.0(2×CH2、PamCH2βアルキル)、24.8(CH2、C-6)、22.7(2×CH2、PamCH2アルキル)、14.1(2×CH3、PamCH3アルキル);HRMS(ESI+)[M+Na]+ 972.6358 C57H91NNaO8Sの計算値972.6392。
【0985】
8.実施例8
本実施例は、Pam2Cys-SKKKK、ホモPam2Cys-SKKKK及びPam3Cys-SKKKKの(R)-及び(S)-コンストラクトのTLRアゴニズムを説明する。
【0986】
8.1 方法
Pam2Cys-SKKKK、ホモPam2Cys-SKKKK及びPam3Cys-SKKKKの鏡像異性体的にエナンチオピュアなエピマー(R)-及び(S)-バージョンを、本明細書の実施例(実施例4及び5)に記載されたものと類似の方法を使用して社内で生成した。さらに、h-Pam-2-Cys及びPam-2-CysによるTLRアゴニズムへのC-末端修飾の影響を評価するために、一対のSKKKK-NH2及びSKKKK-NAcアゴニストセットを調製した。調製されたアゴニストが表4に列挙されている。
【0987】
表4のアゴニストのTLR2アゴニズムを実施例2のセクション2.1に記載されたものと同様の手順に従って、6-log
10希釈系列(10
-6M~10
-11M)にわたって、HEK-Blue
TM-mTLR2(
図6A)細胞及びHEK-Blue
TM-hTLR2(
図6B)細胞において研究した。(R/S)-Pam-1-Cys-NH
2を10
-6及び10
-9Mでのみ試験した。データは、バックグラウンド減算後、3重ウェルについての平均+/-SD吸光度(635nm)値として提示され、点線は、培地のみで処理されたウェルにおける吸光度を示した。
【0988】
【0989】
スキーム7.表4に引用されたPam1Cys-、(R)-及び(S)-Pam2Cys-、(R)-及び(S)-Pam3Cys-、及び(R)-及び(S)-ホモPam2Cys-の構造
【0990】
【0991】
8.2 結果
8.2.1 mTLR2及びhTLR2に対するコンストラクトの生物学的利用能
Pam1Cys-SKKKK-NH2は、10-6Mでは、hTLR2に対するアゴニズムを示したが、10-9Mでは示さず、mTLR2に対しては、いかなる濃度でもアゴニズムを示さなかった。対照的に、試験されたすべてのPam2Cys、ホモPam2Cys及びPam3Cysコンストラクトは、mTLR2及びhTLR2の両方に対してアゴニズムを示した。典型的には、エピマー及びC-末端マッチングされたホモPam2Cys及びPam2Cysコンストラクトは、希釈系列にわたって同等のアゴニズム強度及びパターンを示し、mTLR2及びhTLR2の両方に対してエピマーマッチングされたPam3Cysより顕著により強力なアゴニストであった(Pam3Cysより10倍以上もう低い濃度でNFKB生成を誘発する)。
【0992】
8.2.2 (R)-対(S)-立体化学の効果
試験されたすべてのコンストラクトセットにおいて、一対の(R)-バージョンは、mTLR2及びhTLR2の両方について(S)-バージョンよりも強力なアゴニズムを示した。(R)-Pam3Cysは、mTLR2及びhTLR2の両方について(S)-Pam3Cysよりも約10倍以上低い濃度でNFKB生成を維持した。(R)-ホモPam2Cysは、C-末端修飾にかかわらず、mTLR2及びhTLR2の両方について(S)-ホモPam2Cysよりも約10倍以上低い濃度でNFKB生成を維持した。(R)-Pam2Cysは、C-末端修飾にかかわらず、mTLR2及びhTLR2の両方について(S)-Pam2Cysよりも約100倍以上低い濃度でNFKB生成を維持した。興味深いことに、(R)-ホモPam2Cys及び(R)-Pam2Cysは、mTLR2及びhTLR2の両方において、log10希釈系列にわたって同等のアゴニストであったが、(S)-ホモPam2Cysは、約10~100倍以上低い濃度でNFKB生成を誘発して、mTLR2及びhTLR2の両方において(S)-Pam2Cysよりも強力なアゴニストであった。(S)-Pam2Cysは、S)-Pam3Cysと同様のアゴニズム強度及びパターンを示した。
【0993】
8.2.3 C-末端-NH
2
及び-Nacの効果
C-末端-NH2及びC-末端-NAcを有するエピマーマッチングされたホモPam2Cys-SKKKKと比較する場合、mTLR2またはhTLR2のいずれについても差別的アゴニズムが観察されなかった。C-末端-NH2及びC-末端-NAcを有するエピマーマッチングされたPam2Cys-SKKKKと比較する場合、hTLR2について差別的アゴニズムが観察されなかった。C-末端-NH2及びC-末端-NAcを有する(S)-Pam2Cys-SKKKKと比較する場合、mTLR2について差別的アゴニズムが観察されなかった。mTLR2について(R)-Pam2Cys-SKKKK-NH2を(R)-Pam2Cys-SKKKK-NAcと比較する場合、10-10及び10-11MのみでNKKB生成における増加が観察された。
【0994】
9.実施例9
ペプチド配列SKKKKKISQAVHAAHAEINEAGRESIINFEKLTEWT[配列番号:127]を含む本発明のペプチド接合体821及び822は、下記に記載され、示されたように、6を使用して調製した(スキーム8)。
【0995】
ペプチド配列SKKKKKISQAVHAAHAEINEAGRESIINFEKLTEWT(配列番号:127)は、オボアルブミン(OVA)タンパク質(ニワトリ卵白の主要構成成分)に由来し、単一のEによって連結された2つの免疫原性ペプチドエピトープ(下線部分)を含む。OVAは、例えば、腫瘍細胞がそれを発現するように操作/形質感染され得るので、マウスにおけるモデル抗原として有用である。
【0996】
エピトープの詳細は、下記の通りである:
SIINFEKL:H-K2b制限される(ネズミMHCクラスI)、CD8+T細胞によって認識される。OVAアミノ酸257-264。
ISQAVHAAHAEINEAGR:I-Ad制限される(ネズミMHCクラスII)、CD4+T細胞によって認識される。OVAアミノ酸323-339。
【0997】
【0998】
スキーム8.(i)反復Fmoc-SPPS;(ii)(R)-または(S)-ビス-パルミトイル化されたFmoc-Cys-OH 6、PyBOP、コリジン、DMF;(iii)20%ピペリジン/DMF;(iv)TFA/EDT/水。
【0999】
所望のペプチド配列を、前述したように、標準反復Fmoc SPPS技術を使用して合成した。
【1000】
最後から2番目のアミノ酸残基をカップリングさせた後、樹脂結合ペプチド鎖をその後に、DMF中のPyBOP(ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)及びコリジンを使用して、アミノ酸接合体6の所望のジアステレオマーによって誘導体化した。アミノ酸接合体のカップリングのための条件は、アミノ酸のα-炭素が活性化時にエピマー化される傾向を減少させることである。アミノ酸接合体(0.032mモル)及びPyBOP(0.033mモル)を組み合わせ、DMF(0.25ml)中に溶解させた。純2、4、6-トリメチルピリジン(0.05mモル)を添加した。30秒間混合した後、溶液を0.016mモルの樹脂に移した後、90分間撹拌し、排水し、洗浄して(DMF)、823を提供した。
【1001】
次いで、Fmoc基を、DMF中の20%ピペリジンを使用して除去して824を生成した。
【1002】
示された位置においてR立体配座を有するペプチド接合体821(スキーム8)または示された位置にS立体配座を有するペプチド接合体822を生成するために、ペプチド824を樹脂から切断した。2.5%(v/v)エタンジチオール及び2.5%v/v水を含有する1.5mlのトリフルオロ酢酸中の樹脂(0.016mモル)を室温で2時間撹拌した。次いで、上清液を、焼結を介して冷却したジエチルエーテル(10ml)に排水した。次いで、樹脂をさらに1mlのTFAで洗浄し、これをまたエーテルに添加した。沈殿された材料を遠心分離によってペレット化し、ペレットをエーテル(5ml)で1回洗浄した後、1:1MeCN/水(+0.1%tfa)中に溶解させ、凍結乾燥させた。
【1003】
821及び822の精製を、溶離液Aは水(+0.1%tfa)であり、溶離液BはMeCN(+0.1%tfa)である、Phenomenex Gemini C18(5μ、110Å)10×250mmカラムを使用して、半分取HPLCによって実施した。組ペプチドサンプルをカラム上に注入した後、下記の勾配を生成した:4ml/分の流動で、3分にかけて5%B~45%B、続いて16分にかけて45%B~65%B。溶離時、所望の産物材料をカラムから収集し、凍結乾燥させた。
【1004】
【1005】
本発明の範囲を前述の実施例のみに限定しようとする意図ではない。当業者なら理解するように、本発明の範囲を逸脱することがなく、多くの変形が可能である。
【配列表】