(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20120101AFI20221019BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20221019BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/26
(21)【出願番号】P 2019064738
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山瀬 康平
(72)【発明者】
【氏名】古林 通孝
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-51353(JP,A)
【文献】特開2006-113688(JP,A)
【文献】特開2005-89107(JP,A)
【文献】特開2002-349830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみピット内のごみを焼却炉に送出して焼却する焼却施設に、複数の搬入者のそれぞれが搬入したごみが、上記焼却炉における燃焼位置に到達する到達時刻を搬入者毎に算出する到達時刻予測部と、
上記焼却炉で焼却不適物の焼却が検出された時刻と、上記到達時刻予測部が算出した上記到達時刻とに基づいて、上記焼却不適物の搬入者を特定する搬入者特定部と、を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
上記到達時刻予測部は、各搬入者が搬入したごみの上記ごみピット内における位置の遷移を示すごみ位置情報に基づいて上記焼却不適物の搬入者を特定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
上記搬入者特定部は、上記燃焼位置で同時に焼却の対象となるごみの集合において各搬入者の搬入したごみが占める割合に基づいて、上記焼却不適物の搬入者を特定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
上記到達時刻予測部は、上記ごみピット内のごみを上記焼却炉に送り込むごみホッパにごみが投入された投入時刻と、当該ごみホッパに投入されたごみを燃焼位置まで移動させる移動条件とに基づいて、当該ごみが燃焼位置に到達する到達時刻を算出することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
上記搬入者特定部は、焼却炉で焼却不適物の焼却が検出された時刻と、上記到達時刻予測部が算出した上記到達時刻とに基づいて、上記焼却不適物の搬入時刻を特定することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ごみピット内のごみを焼却炉に送出して焼却する焼却施設に、複数の異なる時刻に搬入されたごみが、上記焼却炉における燃焼位置に到達する到達時刻を搬入時刻毎に算出する到達時刻予測部と、
上記焼却炉で焼却不適物の焼却が検出された時刻と、上記到達時刻予測部が算出した上記到達時刻とに基づいて、上記焼却不適物の搬入時刻を特定する搬入時刻特定部と、を備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置により実行される情報処理方法であって、
ごみピット内のごみを焼却炉に送出して焼却する焼却施設に、複数の搬入者のそれぞれが搬入したごみが、上記焼却炉における燃焼位置に到達する到達時刻を搬入者毎に算出する到達時刻予測ステップと、
上記焼却炉で焼却不適物の焼却が検出された時刻と、上記到達時刻予測ステップで算出した上記到達時刻とに基づいて、上記焼却不適物の搬入者を特定する搬入者特定ステップと、を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、上記到達時刻予測部および上記搬入者特定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ごみ焼却施設における燃焼不適物の焼却に関する情報処理を行う情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭などから排出された可燃ごみは、ごみ収集車等によってごみの焼却施設に運び込まれて焼却される。このようなごみの管理に関する文献として、例えば下記特許文献1が挙げられる。この文献には、収集されるごみの量とごみ質性状を予測して、その予測値に基づいてごみ焼却プラントの異常を回避する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-349830号公報(2002年12月4日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような焼却施設では、ごみに混入した焼却不適物が焼却されることによって、トラブルが発生することがある。例えば、水銀体温計や水銀式血圧計、蛍光ランプなどは水銀を含む燃焼不適物である。水銀を含む燃焼不適物が焼却されると、液体であった水銀が気化して飛散し、焼却炉における排出ガス搬送経路内の水銀濃度が高い危険な状態となる。そして、その濃度が排出規制値を超えないよう大量の薬剤により排ガス中の水銀濃度を下げるといった処理が必要となり、排出規制値を超過した場合には、焼却を停止して排出ガス搬送経路を清掃する必要があり、多大な手間とコストが発生する。
【0005】
ここで、このような問題の発生を防ぐ方策として、燃焼不適物を焼却施設に搬入した搬入業者等に注意喚起や警告を行うことが考えられる。しかしながら、従来の技術では、燃焼不適物の搬入者を特定することができず、有効な注意喚起や警告を行うことができなかった。例えば、上記特許文献1の技術では、ごみ質性状をある程度予測することはできるものの、故意あるいは過失によって可燃ごみに紛れ込む形で排出される燃焼不適物の排出者を特定することはできない。
【0006】
本発明の一態様は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、焼却不適物の搬入者を特定することが可能な情報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置は、ごみピット内のごみを焼却炉に送出して焼却する焼却施設に、複数の搬入者のそれぞれが搬入したごみが、上記焼却炉における燃焼位置に到達する到達時刻を搬入者毎に算出する到達時刻予測部と、上記焼却炉で焼却不適物の焼却が検出された時刻と、上記到達時刻予測部が算出した上記到達時刻とに基づいて、上記焼却不適物の搬入者を特定する搬入者特定部と、を備えている。
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理方法は、情報処理装置により実行される情報処理方法であって、ごみピット内のごみを焼却炉に送出して焼却する焼却施設に、複数の搬入者のそれぞれが搬入したごみが、上記焼却炉における燃焼位置に到達する到達時刻を搬入者毎に算出する到達時刻予測ステップと、上記焼却炉で焼却不適物の焼却が検出された時刻と、上記到達時刻予測ステップで算出した上記到達時刻とに基づいて、上記焼却不適物の搬入者を特定する搬入者特定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、焼却不適物の搬入者を特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】ごみ焼却施設の概略構成を示す断面図である。
【
図5】燃焼位置到達時刻の予測方法を説明する図である。
【
図6】ごみの搬入に伴うごみ位置情報の更新の流れを示すフローチャートである。
【
図7】ごみの移動に伴うごみ位置情報の更新の流れを示すフローチャートである。
【
図8】ごみの投入に伴う投入ごみ情報の更新の流れを示すフローチャートである。
【
図9】水銀含有ごみの搬入者を特定する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る情報処理装置の要部構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
<ごみ焼却施設の概要>
ごみ焼却施設の概要について
図2に基づいて説明する。
図2は、ごみ焼却施設100の概略構成を示す断面図である。ごみ焼却施設100は、
図2に示すように、ごみ受入前測定設備1、ごみ受入設備2、および、焼却炉3の各設備を備えている。また、ごみ焼却施設100には、操作者が、上述の各設備を監視したり、クレーン5を手動で操作したりするための操作室8が設けられている。
【0012】
ごみ受入前測定設備1では、ごみ受入設備2に搬入される前のごみに対して測定が実施され、ごみに関する各種データが生成される。ごみ受入設備2では、複数のごみ収集車Qにより搬入されるごみが一時的に貯留される。焼却炉3は、ごみ受入設備2に併設されており、ごみを焼却する。操作室8には、各設備と通信して、ごみ焼却施設100を統括的に制御する制御システムが敷設されている。操作室8は、ユーザがごみ焼却施設100の各設備(特に、ピット21内の状態)を監視したり、クレーン5を手動で操作したりするために設けられる。
【0013】
(ごみ受入前測定設備1)
ごみ受入前測定設備1は、ごみ受入設備2よりも手前、すなわち、ごみ焼却施設100の出入口近傍に設けられている。ごみ受入前測定設備1には、搬入者識別装置12が設けられている。搬入者識別装置12は、ごみ収集車Qに積載されたごみの搬入者を識別する。なお、「搬入者」の範疇には、個人が含まれる他、業者(例えば搬入事業者)等も含まれる。そして、搬入者識別装置12は、識別した搬入者を示す情報を、情報処理装置4に送信する。搬入者の識別方法は特に限定されない。例えば、搬入者識別装置12は、ごみの搬入者の識別情報と、その搬入者が使用するごみ収集車Qの識別情報(例えば車両番号)とを対応付けた情報を用いて、ごみ収集車Qの識別情報から搬入者を識別してもよい。また、例えば、搬入者識別装置12は、ごみの搬入者に、その識別情報を入力させることによって搬入者を識別してもよい。
【0014】
(ごみ受入設備2)
ごみ受入設備2は、
図2に示すように、ごみ収集車Qにより搬入されるごみを貯留するためのピット21と、ピット21内のごみを焼却炉3に供給するためのホッパ22とを含んでいる。ピット21には、ごみの搬入口24が設けられている。また、ピット21の建屋内には、ピット21内のごみを移動させるクレーン5が設けられている。ごみ収集車Qが搬入したごみは搬入口24からピット21内に投入されてピット21内に蓄積され、ピット21内に蓄積されたごみはクレーン5によってホッパ22に投入される。また、ピット21内での蓄積中には、ピット21内の各所におけるごみの高さの均等化やごみ質の均質化等を目的として、クレーン5によるごみの移動(積み替えあるいは攪拌とも呼ばれる)が行われる。なお、ごみ収集車Qによってごみ焼却施設100に搬入されたごみは、そのままピット21に投入されるから、ごみ焼却施設100への搬入者は、ピット21へのごみの搬入者でもある。
【0015】
(焼却炉3)
焼却炉3は、燃焼室31とごみ案内通路32を備えている。また、焼却炉3の煙道の出口付近には、ごみの焼却によって発生した排出ガス中における水銀濃度を検出する水銀濃度センサ33が設けられている。なお、煙道の出口より先には、図示しないろ過式集塵機が設けられており、水銀濃度センサ33は、このろ過式集塵機よりも下流側(つまり煙道の出口以降)に設置してもよい。水銀濃度センサ33をろ過式集塵機の上流側に設けた場合と、下流側に設けた場合とで、水銀検出のタイムラグは数分程度である。このため、水銀濃度センサ33を何れの位置に設けたとしても、後述する水銀含有ごみの搬入者の特定には支障がない。
【0016】
燃焼室31は、例えば、ストーカ式の燃焼室である。ごみ案内通路32は、ホッパ22に接続されている。ホッパ22から投入されたごみは、ごみ案内通路32を通って燃焼室31に誘導される。
【0017】
(操作室8)
操作室8には、情報処理装置4と焼却炉制御装置7が配置されている。なお、情報処理装置4の配置場所は特に限定されず、操作室8の外部に配置してもよい。
【0018】
焼却炉制御装置7は、ごみ焼却施設100に含まれる各設備の動作を制御する装置である。オペレータは、焼却炉制御装置7を介してごみ焼却施設100に含まれる各設備の動作を制御することができる。また、焼却炉制御装置7は、各設備の動作を自動で制御する機能を備えていてもよい。
【0019】
具体的には、焼却炉制御装置7は、クレーン5の動作制御、ホッパ22に投入されたごみの搬送制御、焼却炉3内におけるごみの燃焼制御等を行う。なお、これらの各制御をそれぞれ個別の装置で行う構成とすることもできる。
【0020】
情報処理装置4は、ごみ焼却施設100において、焼却不適物が焼却されたことを検出すると共に、その焼却不適物の搬入者が誰であるかを特定する。焼却不適物とは、焼却炉3で焼却することが禁止されている物、あるいは焼却することが好ましくない物である。例えば、焼却時に有毒ガスが発生する物(例:塩素、臭素、ヒ素等を含有するごみ)、焼却すると高温を発する物、燃えない物、難燃性の物等は焼却不適物の範疇に含まれる。本実施形態では、一例として、燃焼不適物が水銀含有ごみである例を説明する。なお、焼却時に有毒ガスが発生する焼却不適物が焼却されたことを検出する場合、上述の水銀濃度センサ33のような、有毒ガスを検出するセンサを用いればよい。また、焼却炉3内の温度に影響を与える焼却不適物が焼却されたことを検出する場合、焼却炉3内の温度を検出するセンサを用いればよい。
【0021】
<情報処理装置4の構成>
図1は、情報処理装置4の要部構成の一例を示すブロック図である。図示のとおり、情報処理装置4は、制御部40、記憶部41、入力部42、出力部43、および通信部44を備えている。制御部40は、情報処理装置4の各部を統括して制御する。記憶部41は、情報処理装置4が使用する各種データを記憶する。入力部42は、情報処理装置4に対するユーザの入力操作を受け付ける。出力部43は、各種データを出力する。出力態様は特に限定されず、例えば表示出力であってもよいし、音声出力であってもよいし、印字出力であってもよい。通信部44は、情報処理装置4が他の装置と通信するためのものである。なお、記憶部41、入力部42、出力部43、および通信部44は、情報処理装置4と一体に構成されていてもよいし、情報処理装置4に外付けされていてもよい。
【0022】
制御部40には、搬入監視部401、移動監視部402、投入監視部403、到達時刻予測部404、検出部405、および搬入者特定部406が含まれている。また、記憶部41には、ごみ位置情報411と投入ごみ情報412が記憶されている。
【0023】
搬入監視部401は、ごみ焼却施設100へのごみの搬入を監視し、監視結果に基づいてごみ位置情報411を更新する。具体的には、搬入監視部401は、ごみ焼却施設100にごみが搬入されたことを検出すると共に、そのごみの搬入者を特定する。
図2に基づいて説明したように、ごみ受入前測定設備1には搬入者識別装置12が設けられており、搬入者識別装置12はごみの搬入者を識別して識別結果を情報処理装置4に送信する。よって、搬入監視部401は、この識別結果から、ごみの搬入があったことを検出し、そのごみの搬入者を特定することができる。さらに、搬入監視部401は、搬入されてピット21内に投下されたごみが当該ピット21内の何れの領域に位置しているかを特定する。なお、搬入監視部401によるごみ位置情報411の更新の詳細については
図6に基づいて後述する。
【0024】
移動監視部402は、ピット21内でのごみの移動を監視し、監視結果に基づいてごみ位置情報411を更新する。具体的には、移動監視部402は、ピット21内でクレーン5によりごみが移動されたことを検出し、当該ごみの移動元の位置と移動先の位置とをそれぞれ特定する。そして、移動監視部402は、上記特定結果に基づいてごみ位置情報411を更新する。なお、移動監視部402によるごみ位置情報411の更新の詳細については
図7に基づいて後述する。
【0025】
投入監視部403は、ピット21からホッパ22へのごみの投入を監視し、監視結果に基づいて投入ごみ情報412を更新する。具体的には、投入監視部403は、ピット21からホッパ22へのごみの投入が行われたことを検出し、当該投入の際のクレーン5によるごみの掴み位置を特定する。そして、投入監視部403は、ごみ位置情報411を参照して、上記掴み位置のごみの搬入者を特定し、この特定結果に基づいて投入ごみ情報412を更新する。なお、投入ごみ情報412の更新の詳細については
図8等に基づいて後述する。
【0026】
到達時刻予測部404は、ホッパ22に投入されたごみが焼却炉3における燃焼位置に到達した時刻(以下、燃焼位置到達時刻と呼ぶ)を算出する。より詳細には、到達時刻予測部404は、複数の搬入者が搬入したごみの燃焼位置到達時刻を搬入者毎に算出する。燃焼位置到達時刻の算出方法の詳細は後述する。
【0027】
検出部405は、焼却炉3で焼却不適物が焼却されたことを検出するものであり、具体的には水銀含有ごみが焼却されたことを検出する。上述のように、焼却炉3には水銀濃度センサ33が設けられているので、検出部405は、水銀濃度センサ33の検出値が所定の閾値を超えたときに、焼却炉3で水銀含有ごみが焼却されたと検出することができる。
【0028】
搬入者特定部406は、検出部405が焼却不適物(本実施形態では水銀含有ごみ)の焼却を検出した検出時刻と、到達時刻予測部404が算出した燃焼位置到達時刻とに基づいて、焼却不適物の搬入者を特定する。焼却不適物の搬入者の特定方法の詳細は後述する。
【0029】
以上のように、情報処理装置1は、複数の搬入者が搬入したごみが燃焼位置に到達する到達時刻を搬入者毎に算出する到達時刻予測部404と、焼却不適物の焼却検出時刻と上記到達時刻とに基づいて、焼却不適物の搬入者を特定する搬入者特定部406と、を備えている。よって、焼却不適物の搬入者を特定することができ、特定した搬入者に注意や警告を行う等、燃焼不適物の搬入の再発を防ぐための措置を講じることも可能になる。
【0030】
ごみ位置情報411は、各搬入者が搬入したごみのピット21内における位置を示す情報である。ごみ位置情報411は、ピット21にごみの搬入が行われたときに搬入監視部401によって更新されると共に、ピット21内でごみが移動されたときに移動監視部402によって更新される。このように、ごみ位置情報411は、ピット21内におけるごみの状態の変化に追従して更新されるため、各搬入者が搬入したごみのピット21内における位置の遷移を示す情報であるともいえる。
【0031】
そして、到達時刻予測部404は、ごみ位置情報411に基づいて水銀含有ごみの搬入者を特定する。このごみ位置情報411は、上述のように、各搬入者が搬入したごみのピット21内における位置の遷移を示している。よって、ごみ位置情報411に基づいて水銀含有ごみの搬入者を特定することにより、例えば積み替えや攪拌等のために行われるピット21内でのごみの移動を考慮して水銀含有ごみの搬入者を特定することができる。
【0032】
投入ごみ情報412は、ホッパ22に投入されたごみについて記録された情報である。例えば、投入ごみ情報412は、ホッパ22に投入されたごみの搬入者と、投入時刻と、当該ごみの燃焼位置到達時刻とを少なくとも示すものであってもよい。なお、投入ごみ情報412に記録される燃焼位置到達時刻は、到達時刻予測部404が算出した予測値である。
【0033】
<ごみ位置情報411の例>
ごみ位置情報411の例を
図3に基づいて説明する。
図3は、ごみ位置情報411を説明する図である。
図3の(a)には、ピット21を上方から見た様子を示している。また、
図3の(a)には、ホッパ22と搬入口24も併せて示している。この例では、上面視で長方形状のピット21に面して3つの搬入口24が設けられており、ピット21を挟んで搬入口24の反対側には1つのホッパ22が設けられている。
【0034】
図3の(a)(b)に示すように、この例では、ピット21内の空間をX(ピット21の幅方向)、Y(ピット21の奥行き方向)、Z(ピット21の深さ方向)の各方向に等間隔で区切り、当該空間を複数の矩形ブロックに区分している。これにより、ピット21内の位置をX、Y、Zの座標値で表すことができる。矩形ブロックのサイズ(幅、奥行き、高さ)は、特に限定されず、例えば矩形ブロックを一辺の長さが1mの立方体としてもよい。また、矩形ブロックのサイズは、クレーン5が一掴みで持ち上げることのできるごみの範囲に合わせたサイズとしてもよい。
【0035】
そして、X、Y、Zの座標値で表した、ごみが存在する矩形ブロックの位置に対して、そのごみの搬入者を示す情報を対応付けることにより、各搬入者が搬入したごみのピット21内における位置を示すことができる。例えば、
図3の(c)のごみ位置情報411では、位置(1,1,3)に対して搬入者Aが対応付けられている。これにより、
図3の(a)の左下隅の位置における、ピット21の底部から3つ目の矩形ブロックに存在するごみの搬入者が搬入者Aであることが示されている。
【0036】
また、
図3の(c)のごみ位置情報411では、位置(2,1,3)に対して搬入者BとCが対応付けられていると共に、搬入者Bには20%、搬入者Cには80%という割合が対応付けられている。これは、位置(2,1,3)に存在するごみの全量を100%とした場合に、搬入者Bが搬入したごみがその20%を占め、搬入者Cが搬入したごみがその80%を占めることを示している。ピット21へのごみの投入時やピット21内でのごみの移動時等には、1つの矩形ブロックの範囲を超えてごみが広がることがあるため、このように1つの矩形ブロックに複数の搬入者が搬入したごみが混在する状態となり得る。
【0037】
<投入ごみ情報412の例>
投入ごみ情報412の例を
図4に基づいて説明する。
図4は、投入ごみ情報412の例を示す図である。
図4に示す投入ごみ情報412は、投入ごみ番号と、投入時刻と、燃焼位置到達時刻と、搬入者ごとの投入ごみ構成割合とが対応付けられた情報である。
【0038】
投入ごみ番号は、ごみ焼却施設100で行われたホッパ22へのごみの投入のそれぞれを識別するために付与された番号である。投入時刻は、ホッパ22へのごみの投入が行われた時刻である。投入ごみ番号と投入時刻は、投入監視部403によって記録される。
【0039】
燃焼位置到達時刻は、ホッパ22に投入されたごみが燃焼位置に到達する時刻である。燃焼位置到達時刻は、到達時刻予測部404によって算出されて投入ごみ情報412に記録される。
【0040】
搬入者ごとの投入ごみ構成割合は、ホッパ22に投入されたごみに占める各搬入者が投入したごみの割合である。搬入者ごとの投入ごみ構成割合は、ごみ位置情報411に基づいて投入監視部403が特定し、投入ごみ情報412に記録する。具体的には、ごみ位置情報411にはピット21内の各位置について、その位置にあるごみの搬入者と搬入者の構成割合が記録されている(
図3の(c)参照)。このため、投入監視部403は、ごみ位置情報411から、投入されたごみの掴み位置にあったごみの搬入者と搬入者の構成割合を特定することができ、この特定結果からホッパ22に投入されたごみに占める各搬入者が投入したごみの割合を特定することができる。例えば、
図3の(c)のごみ位置情報411を用いる場合、ごみの掴み位置が(2,1,3)であれば、投入監視部403は、投入されたごみの20%は搬入者Bが搬入したものであり、残り80%は搬入者Cが投入したものであると特定することができる。
【0041】
搬入者特定部406は、このような投入ごみ情報412を参照して、検出部405が水銀含有ごみの焼却を検出した検出時刻から、水銀含有ごみの搬入者を特定する。例えば、検出部405が水銀含有ごみの焼却時刻が14:20であると判定したとする。この場合、搬入者特定部406は、
図4に示す投入ごみ情報412に含まれるレコードのうち、燃焼位置到達時刻が14:20より早くかつ14:20に最も近いレコードである投入ごみ番号3のレコードを特定する。
【0042】
ここで、
図4の投入ごみ情報412においては、1つのレコードに対して複数の搬入者が対応付けられている。この場合、搬入者特定部406は、燃焼位置で同時に焼却の対象となるごみの集合において各搬入者の搬入したごみが占める割合に基づいて、水銀含有ごみの搬入者を特定する。なお、ホッパ22に一度に投入されたごみは、一定のまとまりを有した状態で焼却位置まで搬送される(後述の
図5参照)。このため、搬入者特定部406は、投入ごみ情報412に示される構成割合を、燃焼位置で同時に焼却の対象となるごみの集合において各搬入者の搬入したごみが占める割合であるとして搬入者を特定する。例えば、搬入者特定部406は、特定した1つのレコードに示される複数の搬入者のうち、構成割合が最も大きい搬入者(投入ごみ番号3のレコードでは搬入者D)が、水銀含有ごみの搬入者であると特定してもよい。
【0043】
この構成によれば、ごみの積み替えや攪拌等に起因して、複数の搬入者の搬入したごみの集合が、燃焼位置で同時に焼却の対象となった場合にも、各搬入者の搬入したごみが占める割合からみて妥当な搬入者を特定することができる。
【0044】
<燃焼位置到達時刻の予測>
到達時刻予測部404による燃焼位置到達時刻の予測について
図5に基づいて説明する。
図5は、燃焼位置到達時刻の予測方法を説明する図である。
図5には、焼却炉3の断面を示している。図示のように、ホッパ22に投入されたごみは、ごみ案内通路32を通って燃焼室31内に送り込まれる。燃焼室31内には、ごみを移動させる火格子34が配置されており、ごみは火格子34によって移動されながら、火格子34上で加熱されて焼却される。
【0045】
図5では、ホッパ22から火格子34の終端までの区間に位置するごみをA1~A6に区分している。各区分のごみは、何れもクレーン5の一掴みでホッパ22に投入される量のごみである。ホッパ22に投入されたばかりのごみA1は、図示しない給じん装置により、火格子34上まで搬送される。よって、到達時刻予測部404は、ごみA1が
図5のごみA3の位置まで移動するために要する時間を、給じん装置の搬送速度から予測することができる。また、到達時刻予測部404は、ごみA3の位置にあるごみが、ごみA4の位置(燃焼位置)に到達するまでに要する時間を、火格子34の搬送速度から予測することができる。
【0046】
したがって、到達時刻予測部404は、ごみがホッパ22に投入された時刻と、投入されたごみを燃焼位置まで移動させる移動条件(例えば給じん装置の搬送速度や火格子34の搬送速度等)とに基づき、燃焼位置到達時刻の予測値を算出することができる。この構成によれば、ホッパ22に投入されたごみの移動条件を考慮しているので、移動条件が変更された場合であっても妥当な到達時刻を算出することができる。
【0047】
<ごみの搬入に伴うごみ位置情報411の更新>
ごみの搬入に伴うごみ位置情報411の更新について
図6に基づいて説明する。
図6は、ごみの搬入に伴うごみ位置情報411の更新の流れを示すフローチャートである。
【0048】
搬入監視部401は、ごみ受入前測定設備1におけるごみ収集車の検出を待ち受けており(S1)、ごみ収集車が検出されたと判定した場合(S1でYES)、S2の処理に進む。例えば、搬入監視部401は、ごみ受入前測定設備1の搬入者識別装置12からの通知があったときに、ごみ収集車が検出されたと判定してもよい。
【0049】
S2では、搬入監視部401は、S1で検出したごみ収集車によってごみを搬入した搬入者を特定する。例えば、搬入監視部401は、搬入者識別装置12からの通知の内容に基づいて搬入者を特定してもよい。なお、搬入者識別装置12が設けられていない場合、搬入監視部401は、ごみ収集車を撮影した画像を取得してその画像を解析する等の手法により、搬入者を特定してもよい。
【0050】
S3では、搬入監視部401は、搬入されたごみのピット21内における位置を特定する。例えば、
図3の(a)例のように、搬入口24が複数存在する場合、搬入監視部401は、ごみ収集車が何れの搬入口24からごみを投入したかを特定する。そして、搬入監視部401は、特定した搬入口24の直下の位置を、搬入されたごみのピット21内における位置として特定する。なお、投下されたごみがピット21内でどのような領域を占めることになるかを予めモデル化しておけば、このモデルにより搬入されたごみがピット21内で占める領域を特定することができる。また、本実施形態では、
図3に基づいて説明したように、ピット21内の空間は複数の矩形ブロックに区切って管理されているから、矩形ブロック単位で上記領域を表すことができる。
【0051】
例えば、1台のごみ収集車が投下したごみが、ピット21内において矩形ブロック1つ分の領域を占めるとする。この場合、ごみ収集車が
図3の(a)における左端の搬入口24からごみを投下したときには、搬入監視部401は、投下位置のX座標が3、Y座標が1であると特定してもよい。そして、搬入監視部401は、投下前に堆積しているごみの高さを考慮して、投下したごみの高さ方向の位置(Z座標の値)を特定する。例えば、X座標が3でY座標が1の位置に、既に矩形ブロック2つ分の高さ(Z=2の高さ)までごみが堆積していたとする。この場合、搬入監視部401は、搬入されたごみは、位置(3,1,3)に位置していると特定する。
【0052】
そして、S4では、搬入監視部401は、S2~S3の特定結果に基づいてごみ位置情報411を更新する。具体的には、搬入監視部401は、ごみ位置情報411にS3で特定した位置を追加し、追加した位置にS2で特定した搬入者を対応付けて記録する。この後、処理はS1に戻る。
【0053】
なお、搬入されたごみのピット21内における位置(ピット21内に占める領域)の特定方法は、上述の例に限られない。例えば、3次元スキャナ等を用いてピット21内のごみの表面形状を測定できる場合、投入前後の表面形状の差から、搬入されたごみのピット21内における位置(ピット21内に占める領域)を特定することもできる。
【0054】
<ごみの移動に伴うごみ位置情報411の更新>
ごみの移動に伴うごみ位置情報411の更新について
図7に基づいて説明する。
図7は、ごみの移動に伴うごみ位置情報411の更新の流れを示すフローチャートである。
【0055】
移動監視部402は、ピット21内におけるごみの移動を待ち受けており(S11)、ごみが移動されたと判定した場合(S11でYES)、S12の処理に進む。S12では、移動監視部402は、S11で移動されたと判定したごみについて、移動元の位置と移動先の位置とをそれぞれ特定する。
【0056】
ここで、クレーン5の動作は、焼却炉制御装置7によって制御されている。このため、移動監視部402は、例えば焼却炉制御装置7と通信することにより、クレーン5によるごみの移動が行われたことを検出することができると共に、ごみの移動元の位置と移動先の位置を特定することができる。
【0057】
そして、S13では、移動監視部402は、S12の特定結果に基づいてごみ位置情報411を更新する。具体的には、移動監視部402は、ごみ位置情報411において、ごみの移動元の位置からごみの情報を削除し、移動先の位置にごみの情報を追加する。この後、処理はS11に戻る。なお、上述したごみの搬入に基づくごみ位置情報411の更新と同様に、ごみの移動元および移動先の位置におけるごみの状態がどのように変化するかを予めモデル化しておけば、このモデルに基づいてごみ位置情報411を更新することができる。
【0058】
<ごみの投入に伴う投入ごみ情報412の更新>
ごみの投入に伴う投入ごみ情報412の更新について
図8に基づいて説明する。
図8は、ごみの投入に伴う投入ごみ情報412の更新の流れを示すフローチャートである。
【0059】
投入監視部403は、ホッパ22へのごみの投入が行われるのを待ち受けており(S21)、ごみが投入されたと判定した場合(S21でYES)、S22以降の処理に進む。S22では、投入監視部403は投入時刻を特定し、S23では投入の際のごみ掴み位置を特定する。
【0060】
上述のようにクレーン5の動作は焼却炉制御装置7によって制御されている。このため、投入監視部403は、例えば焼却炉制御装置7と通信することにより、クレーン5によるごみの投入が行われたことを検出して、その検出時刻を投入時刻と特定することができると共に、投入されたごみの掴み位置を特定することができる。
【0061】
そして、S24では、投入監視部403は、S23の特定結果に基づいて、投入されたごみの搬入者を特定する。具体的には、投入監視部403は、ごみ位置情報411を参照して、S23で特定されたごみ掴み位置のごみの搬入者を特定し、その搬入者を投入されたごみの搬入者として特定する。
【0062】
S25では、投入監視部403は、S22およびS24の特定結果を投入ごみ情報412に追加することにより、投入ごみ情報412を更新する。この後処理はS21に戻る。
【0063】
<水銀含有ごみの搬入者を特定する処理の流れ>
水銀含有ごみの搬入者を特定する処理の流れを
図9に基づいて説明する。
図9は、水銀含有ごみの搬入者を特定する処理(情報処理方法)の一例を示すフローチャートである。この処理は、水銀含有ごみの焼却が検出された後で行われる。なお、検出の直後に行ってもよいし、検出された日のごみ焼却施設100の操業が終わった後などに行ってもよい。
【0064】
S31では、搬入者特定部406が、検出部405によって水銀含有ごみの焼却が検出された時刻を特定する。続くS32(到達時刻予測ステップ)では、到達時刻予測部404は、S31で特定された時刻から、該時刻の所定時間前までの期間におけるごみの移動条件を特定し、上記期間に投入されたごみが上記移動条件で搬送された場合の、燃焼位置到達時刻を算出する。なお、上記期間は、投入から燃焼位置到達までの上限時間(最も遅い搬送条件でごみが搬送された場合の所要時間)よりも長く設定しておけばよい。また、期間ごとの移動条件については、履歴データとして予め記録しておけばよい。S32の処理により、上記期間に複数の搬入者が搬入したごみの燃焼位置到達時刻が搬入者毎に算出される。また、算出された燃焼位置到達時刻は、投入ごみ情報412に記録される。
【0065】
S33(搬入者特定ステップ)では、搬入者特定部406は、S31で特定した水銀含有ごみの焼却検出時刻と投入ごみ情報412とに基づいて水銀含有ごみの搬入者を特定する。これにより、
図9の処理は終了となる。なお、搬入者特定部406は、特定した搬入者を出力部43に出力させてもよいし、通信部44を介して所定の通知先(例えば、ごみ焼却施設100の管理者が使用する端末装置等)に通知してもよい。
【0066】
なお、水銀含有ごみの搬入者を特定する方法は上述の例に限られない。例えば、搬入者特定部406は、S31で特定された水銀含有ごみの焼却検出時刻から、当該水銀含有ごみの燃焼位置到達時刻を算出してもよい。この場合、水銀含有ごみの焼却検出と、燃焼位置到達のタイムラグを予め定式化しておけばよい。例えば、水銀含有ごみが燃焼位置に到達した後、3分後に水銀含有ごみが焼却されたことが検出される場合、焼却検出時刻の3分前の時刻を燃焼位置到達時刻とすればよい。燃焼位置到達時刻の算出後は、上述のS33の処理により、搬入者を特定する事が出来る。
【0067】
また、
図9の例では、S31の後でS32の処理を行っているが、S32の処理を先に行ってもよい。この場合、到達時刻予測部404は、対象期間に行われたホッパ22へのごみの投入について、投入時刻を特定し、各投入時刻に投入されたごみが燃焼位置に到達する時刻を算出すればよい。なお、対象期間は、水銀含有ごみの焼却が検出された時刻より前の期間であって、少なくとも1回の投入が行われた期間を含んでいればよい。
【0068】
〔実施形態2〕
上記実施形態では水銀含有ごみの搬入者を特定する例を説明したが、本実施形態では、水銀含有ごみがピット21に搬入された搬入時刻を特定する例を
図10に基づいて説明する。
図10は、本実施形態の情報処理装置4Aの要部構成の一例を示すブロック図である。なお、
図10では、情報処理装置4Aが備える構成要素のうち、情報処理装置4と同様の構成要素の中には記載を省略したものがある(入力部42等)。
【0069】
制御部40Aには、搬入監視部401A、移動監視部402A、投入監視部403A、到達時刻予測部404A、検出部405、および搬入時刻特定部406Aが含まれている。また、記憶部41Aには、ごみ位置情報411Aと投入ごみ情報412Aが記憶されている。
【0070】
搬入監視部401Aは、ごみ焼却施設100にごみが搬入されたことを検出すると共に、そのごみの搬入時刻を特定する。ごみが搬入されたことは、実施形態1と同様に搬入者識別装置12からの通知に基づいて検出してもよいし、例えば搬入口24にセンサを配置する等の方法で検出してもよい。
【0071】
移動監視部402Aと投入監視部403Aは、更新の対象とするデータが位置情報411Aおよび投入ごみ情報412Aにそれぞれ変わっている点を除けば、移動監視部402および投入監視部403と同様である。
【0072】
ごみ位置情報411Aは、各搬入時刻に搬入されたごみのピット21内における位置を示す情報である。例えば、
図3の(c)のごみ位置情報411における「搬入者」を「搬入時刻」に変更したものをごみ位置情報411Aとすることができる。
【0073】
投入ごみ情報412Aは、投入ごみ情報412と同様に、ホッパ22に投入されたごみについて記録された情報である。例えば、
図4の投入ごみ情報412における「搬入者ごとの投入ごみ構成割合」を「搬入時刻ごとの投入ごみ構成割合」に変更したものを投入ごみ情報412Aとすることができる。
【0074】
到達時刻予測部404Aは、ホッパ22に投入されたごみの燃焼位置到達時刻を算出する。より詳細には、到達時刻予測部404Aは、複数の異なる時刻に搬入されたごみの燃焼位置到達時刻を搬入時刻毎に算出する。そして、搬入時刻特定部406Aは、焼却不適物の焼却が検出された時刻と、到達時刻予測部404Aが算出した燃焼位置到達時刻とに基づいて、焼却不適物の搬入時刻を特定する。
【0075】
焼却不適物の搬入時刻が特定できれば、その時刻にごみを搬入した搬入者も特定することが可能になる。よって、情報処理装置4Aによっても、焼却不適物の搬入者を特定することが可能になる。なお、上記焼却不適物は水銀含有ごみであってもよいし、他の焼却不適物であってもよい。
【0076】
また、情報処理装置4の搬入者特定部406に搬入時刻特定部406Aの機能を追加してもよい。この場合、ごみ位置情報411には、ごみの搬入者に加えて、そのごみの搬入時刻も記録しておく。また、投入ごみ情報412については、
図4の「搬入者ごとの投入ごみ構成割合」を「搬入者および搬入時刻ごとの投入ごみ構成割合」と変更すればよい。そして、到達時刻予測部404は、複数の異なる時刻に、複数の異なる搬入者により搬入されたごみの燃焼位置到達時刻を、搬入者と搬入時刻の組み合わせ毎に算出する。これにより、搬入者特定部406は、焼却炉で焼却不適物の焼却が検出された時刻と、到達時刻予測部404が算出した到達時刻とに基づいて、焼却不適物の搬入者と搬入時刻を特定することができる。この構成によれば、焼却不適物の搬入者のみならず、搬入時刻も特定することができるので、燃焼不適物の搬入状況を情報処理装置4のユーザにより詳細に認識させることが可能になる。
【0077】
〔変形例〕
上記各実施形態の変形例を以下説明する。なお、以下では主に情報処理装置4の変形例を説明するが、特に断らない限り、情報処理装置4の変形例は情報処理装置4Aにも適用可能である。情報処理装置4の変形例を情報処理装置4Aに適用する場合、以下の説明における「搬入者」は、適宜「搬入時刻」に読み替えればよい。
【0078】
上記各実施形態で説明した各処理の実行主体は、適宜変更することが可能である。例えば、ごみ位置情報411を更新する処理を情報処理装置4とは別の装置に実行させてもよい。この場合、情報処理装置4から搬入監視部401と移動監視部402を省略することができる。また、例えば、情報処理装置4から投入監視部403を省略し、投入の監視と投入ごみ情報412の更新を他の装置に実行させてもよい。同様に、情報処理装置4から検出部405を省略し、燃焼不適物の検出を他の装置に実行させてもよい。
【0079】
さらに、搬入者の特定についても、到達時刻予測部404を備えた装置と、搬入者特定部406を備えた装置からなるシステムを構成すれば、情報処理装置4と同様の特定が可能である。つまり、上述の各実施形態における情報処理方法に含まれる到達時刻予測ステップの実行主体と、搬入者特定ステップの実行主体は、1つの情報処理装置であってもよいし、それぞれ異なる情報処理装置であってもよい。
【0080】
実施形態1では、搬入者特定部406が、搬入者ごとの投入ごみ構成割合に基づいて一人の搬入者を特定する例を示したが、複数の搬入者を特定してもよい。例えば、投入ごみ構成割合が0より大きい搬入者は、焼却不適物の搬入者である可能性があるから、搬入者特定部406は、投入ごみ構成割合が0より大きい搬入者の全てを特定してもよい。また、搬入者特定部406は、例えば、投入ごみ構成割合が所定値以上の全搬入者を焼却不適物の搬入者と特定してもよい。実施形態2の搬入時刻についても同様である。
【0081】
また、搬入者特定部406は、焼却不適物の搬入者であるとの判定が複数回なされたことを条件として、その搬入者を焼却不適物の搬入者であると特定してもよい。これにより、焼却不適物の搬入者ではない者を誤って焼却不適物の搬入者であると特定してしまうリスクを低減することができる。
【0082】
ところで、水銀含有ごみからは液体の水銀が漏れることがあり得る。そこで、搬入者特定部406は、ピット内21において水銀が検出されたごみの上層に位置していたごみの搬入者も水銀含有ごみの搬入者の候補として特定してもよい。これにより、水銀含有ごみの搬入者が搬入したごみから水銀が漏れて他のごみに浸潤し、当該他のごみの焼却時に水銀が検出された場合であっても、水銀含有ごみの真の搬入者を特定することが可能になる。この場合、ごみ位置情報411には、最新のごみの位置だけではなく、ピット21内に投入された後のごみの位置の履歴についても記録しておけばよい。
【0083】
また、焼却不適物の搬入者の特定結果は、出力部43から出力させる以外にも様々な用途に利用できる。例えば、搬入監視部401は、搬入者特定部406が焼却不適物の搬入者であると特定した搬入者が再びごみ焼却施設100にごみを搬入したことを検出したときに、ごみ受入前測定設備1にその旨を通知してもよい。これにより、ごみ受入前測定設備1に居る係員等は、その搬入者が搬入したごみをピット21に投入される前に確認することができる。また、搬入監視部401は、搬入者特定部406が焼却不適物の搬入者であると特定した搬入者が搬入したごみを、例えば搬入口24等に配置した撮影装置に撮影させ、撮影された画像を解析することにより、燃焼不適物が含まれていないか判定してもよい。
【0084】
さらに、搬入監視部401は、搬入者特定部406が焼却不適物の搬入者であると特定した搬入者が再びごみ焼却施設100にごみを搬入したことを検出した場合、当該ごみが焼却されるまでの期間、当該ごみを監視してもよい。そして、搬入監視部401は、当該ごみが燃焼室内31にある期間、焼却炉制御装置7を介して当該ごみの焼却条件を変更し、有害物質が発生しないか、または有害物質の発生量が抑えられるようにしてもよい。例えば、高温で多量の有害物質が発生する燃焼不適物を過去に搬入したことのある搬入者であれば、焼却条件を変更して、有害物質が発生し難い焼却温度としてもよい。
【0085】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置4および4Aの制御ブロック(特に、制御部40または40Aに含まれる各部)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0086】
後者の場合、情報処理装置4は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0087】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
3 焼却炉
4、4A 情報処理装置
404、404A 到達時刻予測部
406 搬入者特定部
406A 搬入時刻特定部
411 ごみ位置情報
21 ピット(ごみピット)
22 ホッパ(ごみホッパ)
100 ごみ焼却施設(焼却施設)