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特許7161445化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システム
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/00 20060101AFI20221019BHJP
   C23C 18/31 20060101ALI20221019BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20221019BHJP
   C25D 17/06 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C25D17/00 C
C23C18/31 E
C25D7/12
C25D17/00 K
C25D17/06 C
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019105194
(22)【出願日】2019-06-05
(62)【分割の表示】P 2018139053の分割
【原出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2019167628
(43)【公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】1712064.3
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518264310
【氏名又は名称】セムシスコ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Semsysco GmbH
【住所又は居所原語表記】Karolingerstrasse 7 Salzburg 5020 Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エツリンゲル,ヘルベルト
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/079548(WO,A1)
【文献】特開2005-097732(JP,A)
【文献】国際公開第2016/120700(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00
C23C 18/31
C25D 7/12
C25D 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体中における基板(30)の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システム(10)であって、
分布部(21)と、
少なくとも1つのプロセス流体入口(23)と、
チャンネル(24)と
を備え、
前記分布部(21)は、前記プロセス流体又は前記プロセス流体とともに流れる電流を前記基板(30)へ導くように構成され、
前記チャンネル(24)は、前記分布部(21)の外周を全体的に囲み、
前記チャンネル(24)の断面のサイズは、前記分布部(21)の外周に沿って変化し、
前記分布部(21)は、前記チャンネル(24)の内部のノズルアレイ(25)を含み、
前記チャンネル(24)は、前記プロセス流体を前記プロセス流体入口(23)から前記ノズルアレイ(25)へ分布させるように構成された、
分布システム(10)。
【請求項2】
前記プロセス流体入口(23)は、前記分布部(21)に分散して配置された、請求項1に記載の分布システム(10)。
【請求項3】
前記プロセス流体入口(23)は、前記分布部(21)に非対称に配置された、請求項1~2のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項4】
前記分布部(21)の1つの側面のみに配置された少なくとも2つの前記プロセス流体入口(23)を備える、請求項1~3の何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項5】
前記チャンネル(24)は、前記プロセス流体を前記分布部(21)におけるプロセス流体の基本的に均一な流れへ分布させるように構成された、請求項1~4のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項6】
前記チャンネル(24)は、前記プロセス流体を前記ノズルアレイ(25)から出ていくプロセス流体の基本的に均一な出口速度へ分布させるように構成された、請求項1~5のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項7】
前記チャンネル(24)は、前記プロセス流体を少なくとも1つのプロセス流体入口(23)から前記ノズルアレイ(25)へ均等に分布させるように構成された、請求項1~のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項8】
前記分布部(21)および前記チャンネル(24)は、上面図において、角のある形状を有する、請求項1~のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項9】
上面図において前記分布部(21)は、円形状を有し、前記チャンネル(24)は、リング形状を有する、請求項1~のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項10】
前記チャンネル(24)は、矩形断面を有する、請求項1~のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項11】
前記チャンネル(24)は、前記ノズルアレイ(25)の幅の1~20%の範囲内、好ましくは3~15%の範囲内、より好ましくは5~10%の範囲内の幅を有する、請求項1~10のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)。
【請求項12】
プロセス流体中における基板(30)の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス(100)であって、
請求項1~11のうちの何れか一項に記載の分布システム(10)と、
基板ホルダ(20)と
を備え、
前記基板ホルダ(20)は、前記基板(30)を保持するように構成された、デバイス(100)。
【請求項13】
プロセス流体中における基板(30)の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布方法であって、
前記プロセス流体又は前記プロセス流体とともに流れる電流を前記基板(30)に導くように構成された分布部(21)を設け、
少なくとも1つのプロセス流体入口(23)を設け、
前記分布部(21)の外周を全体的に囲むチャンネル(24)を設け、前記チャンネル(24)の断面のサイズは、前記分布部(21)の外周に沿って変化し、
前記チャンネル(24)を用いて前記プロセス流体を前記プロセス流体入口(23)から前記分布部(21)のノズルアレイ(25)へ分布させる
ことを含
前記ノズルアレイ(25)は、前記チャンネル(24)の内部に存在する、
分布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システム、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス、ならびにプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業においては、材料をウェーハの表面上に堆積させるか、またはそこから除去するために様々なプロセスを用いることができる。
【0003】
例えば、予めパターン形成されたウェーハ表面上に銅などの導体を堆積させてデバイスの相互接続構造を作製するために、電気化学堆積(ECD:electrochemical deposition)または電気化学機械堆積(ECMD:electrochemical mechanical deposition)プロセスを用いることができる。
【0004】
材料除去ステップには化学機械研磨(CMP:chemical mechanical polishing)がよく用いられる。ウェーハの表面から過剰な材料を除去するために、別の技術、電解研磨または電解エッチングを用いることもできる。
【0005】
ウェーハ表面上の材料の電気化学(または電気化学機械)堆積あるいはウェーハ表面からの材料の電気化学(または電気化学機械)除去は、まとめて「電気化学処理」と呼ばれる。電気化学、化学および電解の少なくとも一方の表面処理技術は、電解研磨(または電解エッチング)、電気化学機械研磨(または電気化学機械エッチング)、電気化学堆積および電気化学機械堆積を含みうる。すべての技術がプロセス流体を利用する。
【0006】
化学および電解の少なくとも一方の表面処理技術は、以下のステップを伴う。処理されることになる基板は、基板ホルダに取り付けられ、電解プロセス流体中に浸漬されてカソードとしての機能を果たす。電極は、プロセス流体中に浸漬されてアノードとしての機能を果たす。プロセス流体に直流が印加されて、正に帯電した金属イオンをアノードにおいて解離する。次にイオンがカソードへ移動して、カソードに取り付けられた基板をめっきする。
【0007】
かかるプロセスにおける課題は、均一な層の形成である。めっき電流がシステムのアノードからカソードへ流れるときに均一でないことや、プロセス・チャンバ中の流体分布が均一でないこともある。不均一な電流または流体分布は、不均一な層厚をもたらしかねない。電流および流れの少なくとも一方の均一な分布は、処理されることになる基板に対応すべき分布部によって実現されるであろう。しかしながら、均一な層の形成をさらに改善することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、基板の均一な表面処理を可能にするかまたは改善する、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための改善された分布システムを提供する必要がありうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の課題は、独立請求項の主題によって解決され、さらなる実施形態は、従属請求項に限定される。留意すべきは、以下に記載される本発明の態様が、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システム、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス、ならびにプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布方法にも適用されることである。
【0010】
本発明によれば、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システムが提示される。分布システムは、基板が垂直に挿入される垂直めっきチャンバをもつ垂直分布システムであってよい。分布システムは、基板が水平方向に挿入される水平めっきチャンバをもつ水平分布システムであってもよい。
【0011】
化学および電解の少なくとも一方の表面処理は、いずれかの材料堆積、亜鉛めっきコーティング、化学または電気化学エッチング、陽極酸化、金属分離もしくは同様のものであってよい。
【0012】
基板は、導体平板、半導体基板、フィルム基板、基本的に平板形状の金属もしくは金属化ワークピースまたは同様のものを含んでよい。処理されることになる表面は、少なくとも部分的にマスクされていてもいなくてもよい。
【0013】
化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システムは、少なくとも1つの分布部、少なくとも1つのプロセス流体入口および少なくとも1つのチャンネルを含む。
【0014】
分布部は、プロセス流体および電流の少なくとも一方の流れを基板へ導くように構成される。分布部は、特にその形状およびサイズに鑑みて、処理されることになる基板に対応してよい。
【0015】
プロセス流体入口は、プロセス流体が分布システムおよび分布部へ入る、例えば、ダクトである。
【0016】
分布部は、ノズルアレイを含む。ノズルアレイは、幾つかのまたは複数のノズルのエリアまたはフィールドであってよい。ノズルアレイは、プロセス流体の流れを基板へ導くための出口開口部およびプロセス流体の逆流を基板から受け取るための逆流開口部の少なくとも一方を含んでよい。ノズルアレイは、言い換えれば、分布部のアクティブフィールドである。
【0017】
チャンネルは、プロセス流体をプロセス流体入口からノズルアレイへ分布させるように構成される。チャンネルは、分布部の外周を少なくとも部分的に囲む。チャンネルは、分布部の外周の、例えば、50および90%の間、好ましくは分布部の外周の約75%を囲んでよい。例示的な値が以下にさらに示される。チャンネルは、分布部の外周を全体的に囲んでもよい。分布部の形状(丸い、角があるなど)に係りなく、用語「外周」を分布部の外側境界として理解することができる。
【0018】
本発明による化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのシステムは、それによって、基板の均一な表面処理、特に基板上の均一な堆積速度および均一な層の形成の少なくとも一方を可能にするかまたは改善することができる。チャンネルは、分布部の外周を少なくとも部分的に囲むので、プロセス流体入口からノズルアレイの複数の単一ノズルへのプロセス流体の分布を改善するため、それによって、分布部から基板へのプロセス流体の分布を改善する。プロセス流体のより良好な分布は、基板のより均一な表面処理、基板上のより均一な堆積速度およびより均一な層の形成の少なくとも一方をもたらしうる。
【0019】
本発明による化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのシステムは、プロセス流体のノズルアレイおよび基板への後の分布によらずプロセス流体入口の位置決めを行うため、分布システムの構築をさらに容易にできる。言い換えれば、プロセス流体入口は、プロセス流体のその後の分布を考慮することなく(または少なくとも考慮する度合いを低めて)構造、構築、寸法または幾何学的な考慮のみに基づいて配置されてよい。
【0020】
それゆえに、少なくとも1つのプロセス流体入口を分布部に分散して配置し、または非対称に配置することができる。分布部に対して分散して配置し、または非対称に配置することができる少なくとも2つ、幾つかまたは複数のプロセス流体入口があってよい。用語「非対称」は、プロセス流体入口が分布部のすべての側面には配置されず、分布部の2つの対向する側面にさえ配置されるわけではないと理解することができる。例えば、プロセス流体入口は、分布部の1つの側面だけに配置される。この単一の側面は、分布部の下側またはボトム側であってよいが、上側またはトップ側であってもよい。プロセス流体入口が分布部の2つの隣接した側面のみに配置されてもよい。
【0021】
一例では、チャンネルは、プロセス流体を少なくとも1つのプロセス流体入口からノズルアレイへ均等に分布させるように構成される。一例では、チャンネルは、プロセス流体を分布部におけるプロセス流体の基本的に均一な流れへ分布させるように構成される。一例では、チャンネルは、プロセス流体をノズルアレイから出ていくプロセス流体の基本的に均一な出口速度へ分布させるように構成される。チャンネルの構成は、それによって、基板の均一な表面処理、基板上の均一な堆積速度および均一な層の形成の少なくとも一方を可能にできる。
【0022】
一例では、分布部およびチャンネルは、上面図において、角のある形状を有する。別の例では、上面図において分布部が円形状を有し、チャンネルがリング形状を有する。分布部は、いずれかの種類の形状、例えば、矩形、正方形、長円形、三角形または他の適切な幾何学的構成を有してよい。
【0023】
一例では、チャンネルは、矩形断面を有する。チャンネルは、いずれかの種類の形状、例えば、角がある、正方形、丸形、長円形、三角形または他の適切な幾何学的構成を有してよい。一例では、チャンネルは、ノズルアレイの幅の1~20%の範囲内、好ましくは3~15%の範囲内、より好ましくは5~10%の範囲内の幅を有する。一例では、チャンネルの断面のサイズが分布部の外周に沿って変化する。例えば、プロセス流体入口に隣接したチャンネルの下側は、幅w1を有してよく、チャンネルの横側は、w1より大きい幅w2を有してよい。さらに、(プロセス流体入口に隣接した下側に対向する)チャンネルのトップ側は、幅w3を有してよく、この幅は、w3=w2をもつ角で開始して、トップ側の中心では頂点幅w4へ増加する。チャンネルの寸法は、基板の均一な表面処理、基板上の均一な堆積速度および均一な層の形成の少なくとも一方をさらに改善できる。
【0024】
本発明によれば、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイスも提示される。化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイスは、上記のようなプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システムならびに基板ホルダを含む。
【0025】
基板ホルダは、基板を保持するように構成される。基板ホルダは、1つまたは2つの基板(基板ホルダの各側に1つの基板)を保持するように構成されてよい。
【0026】
化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイスは、アノードをさらに含んでよい。化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイスは、電源をさらに含んでよい。化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイスは、プロセス流体源をさらに含んでよい。
【0027】
本発明によれば、プロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布方法も提示される。化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための方法は、必ずしもこの順序とは限らないが、以下のステップ、すなわち、
a)プロセス流体および電流の少なくとも一方の流れを基板へ導くように構成された分布部を設けるステップ、
b)少なくとも1つのプロセス流体入口を設けるステップ、
c)分布部の外周を少なくとも部分的に囲むチャンネルを設けるステップ、および
d)チャンネルを用いてプロセス流体を少なくとも1つのプロセス流体入口から分布部のノズルアレイへ分布させるステップ
を含む。
【0028】
結果として、本発明は、基板の均一な表面処理、均一な堆積速度、基板上の均一な層の形成などを可能にし、改善し、および容易にすることのうち少なくとも一つを行う、化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための方法に関する。チャンネルは、分布部の外周を少なくとも部分的に囲み、それによって、プロセス流体のプロセス流体入口からノズルアレイの複数の単一ノズルへの分布、分布部から基板への分布および基板における分布の少なくとも一方を改善できる。
【0029】
デバイスおよび方法は、特に、構造化された半導体基板、導体平板およびフィルム基板の処理に適するが、平面状金属および金属化基板の表面全体の処理にも適する。デバイスおよび方法は、本発明に従って太陽エネルギー発電のための大表面光電パネルまたは大規模モニタパネルの製造に用いられてもよい。
【0030】
独立請求項によるプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのシステム、デバイスおよび方法は、特に、従属請求項において規定されるのと同様および同一の少なくとも一方の好ましい実施形態を有することが理解されよう。さらに、本発明の好ましい実施形態を従属請求項とそれぞれの独立請求項とのいずれかの組み合わせとすることができることも理解されよう。
【0031】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下に記載される実施形態から明らかになり、それらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明によるプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイスの一実施形態を模式的および例示的に示す図である。
図2】2つの基板を保持する基板ホルダの一実施形態を模式的および例示的に示す図である。
図3】本発明によるプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス、ならびに化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システムの一実施形態を模式的および例示的に示す図である。
図4】本発明によるプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス、ならびに化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システムの一実施形態を模式的および例示的に示す図である。
図5】本発明によるプロセス流体中における基板の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布方法の一例の基本的なステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の例示的な実施形態が添付図面を参照して以下に記載される。
【0034】
図1は、本発明によるプロセス流体中における基板30の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス100の一実施形態を模式的および例示的に示す。化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス100は、プロセス流体中における基板30の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための垂直分布システム10および基板ホルダ20を含む。
【0035】
基板ホルダ20は、図2にも示される。基板ホルダ20は、1つまたは2つの基板30、基板ホルダ20の各側に1つの基板30を保持するように構成される。基板ホルダ20は、ここでは丸みを帯びた角をもつ例えば370×470mmのサイズの矩形基板30を保持する。もちろん、化学および電解の少なくとも一方の表面処理のためのデバイス100は、好ましくは垂直配置において片側または両側表面処理のために1つだけの基板30を保持するように構成された基板ホルダ20とともに用いられてもよい。
【0036】
基板30は、電気または電子部品の製造のための基本的に平板形状のワークピースであってよく、基板ホルダ20に機械的に固定される。処理媒質が分布部21から出るにつれて、処理されることになる基板30の表面はプロセス流体中に浸される。特別な場合には、基板30は、マスクされるかもしくはマスクされてない導体平板、半導体基板またはフィルム基板であってよく、あるいはほぼ平面状の表面を有するいずれかの金属または金属化ワークピースであってもよい。
【0037】
図1、3および4に示されるようなプロセス流体中における基板30の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布システム10は、化学および電解の少なくとも一方の表面処理のために目標とする流れおよび電流密度パターンを生成する。分布システム10は、ここではプロセス流体(示されない)中に沈んだ2つの分布部21を含む。各分布部21に対向するのは、基板ホルダ20に取り付けられた基板30である。基板30の表面は、プロセス流体によって濡らされる。2つの電極、ここでは2つのアノード22が存在し、その各々が分布部21の基板30とは反対側に位置して、やはりプロセス流体中に浸される。アノード22は、プロセス流体内で対電極として機能する基板30とアノード22との間に電流の流れが生じるように、分布部21と機械的に接触するか、または分布部21から空間的に分離して、分布部21の背面領域に取り付けられる。用いられる表面処理方法に応じて、アノード22は、プロセス流体に不溶な白金被覆チタンなどの材料か、または別の状況では、例えば、ガルバニックに分離されることになる金属などの可溶な材料からなってよい。
【0038】
分布システム10は、プロセス流体のための幾つかのプロセス流体入口23、および各分布部21の外周を囲む2つのチャンネル24をさらに含む。プロセス流体入口23は、プロセス流体が分布システム10および分布部21へ入る開口部である。
【0039】
分布部21は、各々がノズルアレイ25を含み、各チャンネル24は、プロセス流体をそれぞれのプロセス流体入口23からそれぞれのノズルアレイ25へ分布させるように配置され、そのような寸法に形作られる。次に、プロセス流体は、流体入口23からチャンネル24へ、チャンネル24からノズルアレイ25へ、そしてノズルアレイ25からノズルアレイ25の出口開口部へ流れる。出口開口部は、プロセス流体の流れを基板30に導き、基板30ではその流れが所望の化学および電解の少なくとも一方の反応を実施する。分布部21は、プロセス流体の逆流を基板から受け取るための逆流開口部をさらに含む。
【0040】
プロセス流体入口23は、分布部21の1つの側面に、すなわち、分布部21のボトム側の面に分散して配置され、非対称的に配置される。分布部21およびチャンネル24は、上面図で見たときに角のある形状を有する。チャンネル24の断面のサイズは、分布部21の外周に沿って変化する。513×513mmのノズルアレイに対して、チャンネル24の幅は、プロセス流体入口に隣接したボトム側における約25.5mm、横側における約35.5mmと、トップ側で丸みを帯びた角から頂点へと増加してトップ側の中心における約45.5mmの幅との間で変化してよい。頂点には、分布部21の換気開口部が配置されてよい。
【0041】
チャンネル24および特にその構成は、基板の均一な表面処理と、基板上の均一な堆積速度および均一な層の形成の少なくとも一方を改善する。さらに、チャンネルは、ノズルアレイ24および基板30へのプロセス流体の後の分布によらずプロセス流体入口23の位置決めを行うため、分布システム10の構築を容易にする。言い換えれば、プロセス流体入口23は、プロセス流体のその後の分布を考慮することなく(または少なくとも考慮する度合いを低めて)構造的な考慮のみに基づいて配置されてよい。
【0042】
分布部21は、好ましくは、プラスチック、特に好ましくは、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレン、アクリルガラスすなわちポリメチルメタクリラート、ポリテトラフルオロエチレン、またはプロセス流体によって分解されない別の材料を含んでよい。
【0043】
図5は、プロセス流体中における基板30の化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための分布方法のステップの概略図を示す。化学および電解の少なくとも一方の表面処理のための方法は、以下のステップを含む。すなわち、
-第1のステップS1において、プロセス流体および電流の少なくとも一方の流れを基板30へ導くように構成された分布部21を設ける。
-第2のステップS2において、少なくとも1つのプロセス流体入口23を設ける。
-第3のステップS3において、分布部21の外周を少なくとも部分的に囲むチャンネル24を設ける。
-第4のステップS4において、チャンネル24を用いてプロセス流体を少なくともプロセス流体入口23から分布部21のノズルアレイ25へ分布させる。
【0044】
デバイスおよび方法は、特に、構造化された半導体基板、導体平板およびフィルム基板の処理に適するが、平面状金属および金属化基板の表面全体の処理にも適する。デバイスおよび方法は、本発明に従って太陽エネルギー発電のための大表面光電パネルまたは大規模モニタパネルの製造に用いられてもよい。
【0045】
本発明の実施形態が種々の主題を参照して記載されることに留意されたい。特に、幾つかの実施形態は方法の請求項を参照して記載されたのに対して、他の実施形態は、装置の請求項を参照して記載される。しかしながら、当業者は、以上および以下の記載から、別に通知されない限り、1つの主題に属する特徴のいずれかの組み合わせに加えて、異なる主題に関する特徴の間のいずれかの組み合わせも成し得、それらはこの出願により開示されると考えられる。しかしながら、すべての特徴を組み合わせて、特徴の単なる足し合わせを超えた相乗効果を提供することができる。
【0046】
本発明が図面および先の説明に詳細に図示され、記載されたが、かかる図示および記載は、例証または例示であり、それらに制限されない。本発明は、開示される実施形態には限定されない。請求項に係る発明の分野の当業者は、図面、開示および従属請求項の検討から、開示される実施形態に対する他の変形形態を理解し、生み出すことができる。
【0047】
請求項において、単語「含む(comprising)」は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は、複数を除外しない。一つの処理装置または他のユニットが請求項に列挙された複数の構成の機能を達成してもよい。幾つかの手段が互いに異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないことを示すわけではない。請求項におけるいずれかの参照符号が範囲を限定すると解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0048】
10 分布システム
20 基板ホルダ
21 分布部
22 アノード
24 チャンネル
30 基板
100 デバイス
図1
図2
図3
図4
図5