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特許7161455インク組成物用の分散液、インク組成物、積層体、像形成方法、及び印刷物の製造方法
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  • 特許-インク組成物用の分散液、インク組成物、積層体、像形成方法、及び印刷物の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】インク組成物用の分散液、インク組成物、積層体、像形成方法、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/037 20140101AFI20221019BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20221019BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20221019BHJP
   C09D 11/326 20140101ALI20221019BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20221019BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221019BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C09D11/037
C09D11/101
C09D11/322
C09D11/326
C09D17/00
B41J2/01 501
B41M5/00 120
B41M5/00 100
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019155072
(22)【出願日】2019-08-27
(62)【分割の表示】P 2017220437の分割
【原出願日】2017-11-15
(65)【公開番号】P2020063420
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000183923
【氏名又は名称】株式会社DNPファインケミカル
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】犬丸 雅基
(72)【発明者】
【氏名】古高 敏男
(72)【発明者】
【氏名】森山 岳
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 保真
(72)【発明者】
【氏名】杉田 行生
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-177580(JP,A)
【文献】特開2017-122206(JP,A)
【文献】特開2015-203051(JP,A)
【文献】特開2013-147023(JP,A)
【文献】特開2006-348205(JP,A)
【文献】国際公開第2006/051701(WO,A1)
【文献】特開2013-001903(JP,A)
【文献】特開2012-233111(JP,A)
【文献】特開2017-141381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00
C09D 17/00
B41J 2/01
B41M 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キノフタロン系顔料が含有された顔料と、顔料分散剤と、が含有された活性エネルギー線により硬化するインク組成物用の分散液であって、
前記キノフタロン系顔料は、Pigment Yellow138、及びPigment Yellow138の誘導体を含有し、
前記顔料分散剤には、アミン価が20mgKOH/g以下、且つ、酸価が10mgKOH/g以下であって、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体、前記共重合体のアルカリ金属塩、前記共重合体のアルカリ土類金属塩、前記共重合体のアンモニウム塩、及び前記共重合体のアミン誘導体からなる群から選択される一種以上が含有される分散液。
【請求項2】
波長360nmから400nmまでの光を含む光線により硬化するインク組成物用の分散液であって、
吸光度測定において以下の式により定義される波長360nmから400nmまでの吸
光度の積が40以下である請求項1に記載の分散液。
【数1】
(式中、λは波長(単位はnm)f(λ)=Aλ=-log10(I/I)を意味する。Aλは波長λのときの吸光度、I0は波長λのときの入射光強度、Iは波長λのときの透過光強度を意味する。)
【請求項3】
更に活性エネルギー線重合性モノマーとして、
モノマーA):下記一般式(1)で表される単官能モノマー、及び/又はモノマーB)
:下記一般式(2)で表される多官能モノマーと、が含有された請求項1又は2に記載の分散液。
【化1】
(式(1)中、Rは含酸素複素環構造を有する官能基である。Rは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。Rは水素原子又はメチル基を示す。Rは水素原子を示す。)
-CH=CR-COOR-O-CH=CH-R ・・・(2)
(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2以上20以下の2価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上11以下の1価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の分散液を含有するインク組成物。
【請求項5】
波長360nmから400nmまでの光を含む光線により活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進する光重合開始剤を更に含有する請求項に記載のインク組成物。
【請求項6】
インクジェット用インクとして用いられる請求項又はに記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
【請求項7】
基材上に、請求項からのいずれかに記載のインク組成物の硬化膜であるインク硬化膜層が形成された積層体。
【請求項8】
請求項からのいずれかに記載のインク組成物を使用して基材上に画像及び/又は凹凸像を形成する像形成方法。
【請求項9】
前記基材上に波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより画像及び/又は凹凸像を形成する、請求項に記載の像形成方法。
【請求項10】
請求項からのいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を使用して基材上に画像及び/又は凹凸像を形成する印刷物の製造方法。
【請求項11】
前記基材上に波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより画像及び/又は凹凸像を形成する、請求項10に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にインクジェット用インクとして用いられる活性エネルギー線により硬化するインク組成物用の分散液、インク組成物、積層体、像形成方法、及び印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紫外線等の活性エネルギー線によって硬化する活性エネルギー線硬化型インク組成物の開発が進められている。活性エネルギー線硬化型インク組成物は速乾性があるため、プラスチック、ガラス、コート紙等、インクを吸収しない又は殆ど吸収しない基材に印字する場合であっても、インクの滲みを防止できる。活性エネルギー線硬化型インク組成物は、活性エネルギー線重合性モノマー、色材その他の添加剤等から構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、顔料分散剤、活性エネルギー線硬化性モノマー、キノフタロン系顔料、及びキノフタロン系顔料誘導体からなるインク組成物が開示されている。特許文献1によれば、特許文献1に記載のインク組成物は吐出安定性、保存安定性に優れたインク組成物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-34205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、黄色系顔料は、波長400nmから480nm程度の青色や紫色等の比較的短波長側の光を吸収することにより黄色に発色する顔料ではある。黄色系顔料が含有された黄色系インク組成物は、黄色系顔料と顔料分散剤との組み合わせによってはインク組成物の硬化性が低下することが本発明者らによって見出された。
【0006】
又、黄色系顔料を含有する黄色系インク組成物として使用するために、画像の再現性の観点から硬化膜が所定の色相であることが求められる。しかしながら、黄色系顔料と顔料分散剤との組み合わせによっては色相が変化してしまい黄色系インク組成物として使用することができないことが本発明者らによって見出された。
【0007】
特許文献1に記載のインク組成物は吐出安定性、保存安定性の向上については記載されている。しかしながら、黄色系顔料と顔料分散剤との組み合わせとインク組成物の硬化性の関係、又はインク組成物によって形成される硬化膜の色相についてはなんら開示されておらず、その示唆もされていない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、黄色系顔料が含有されたインク組成物用の分散液であっても硬化性の優れるインク組成物であって、黄色系インク組成物として適した色相の硬化膜を形成するインク組成物を製造することのできる分散液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、黄色系顔料としてキノフタロン系顔料とし、且つ、所定の顔料分散剤を含有される分散液であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
【0010】
(1)キノフタロン系顔料が含有された顔料と、顔料分散剤と、が含有された活性エネルギー線により硬化するインク組成物用の分散液であって、前記顔料分散剤には、アミン価が20mgKOH/g以下、且つ、酸価が10mgKOH/g以下であって、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体、前記共重合体のアルカリ金属塩、前記共重合体のアルカリ土類金属塩、前記共重合体のアンモニウム塩、及び前記共重合体のアミン誘導体からなる群から選択される一種以上が含有される分散液。
【0011】
(2)更にキノフタロン系顔料誘導体が含有された顔料誘導体が含有される(1)に記載の分散液。
【0012】
(3)前記キノフタロン系顔料誘導体は、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するキノフタロン誘導体である、(2)に記載の分散液。
【0013】
(4)波長360nmから400nmまでの光を含む光線により硬化するインク組成物用の分散液であって、吸光度測定において以下の式により定義される波長360nmから400nmまでの吸光度の積が40以下である(1)から(3)のいずれかに記載の分散液。
【数1】
【0014】
(5)更に活性エネルギー線重合性モノマーとして、モノマーA):下記一般式(1)で表される単官能モノマー、及び/又はモノマーB):下記一般式(2)で表される多官能モノマーと、が含有された(1)から(4)のいずれかに記載の分散液。
【化1】
(式(1)中、Rは含酸素複素環構造を有する官能基である。Rは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。Rは水素原子又はメチル基を示す。Rは水素原子を示す。)
-CH=CR-COOR-O-CH=CH-R ・・・(2)
(式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2以上20以下の2価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上11以下の1価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
【0015】
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の分散液を含有するインク組成物。
【0016】
(7)波長360nmから400nmまでの光を含む光線により活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進する光重合開始剤を更に含有する(6)に記載のインク組成物。
【0017】
(8)インクジェット用インクとして用いられる(6)又は(7)に記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物。
【0018】
(9)基材上に、(6)から(8)のいずれかに記載のインク組成物の硬化膜であるインク硬化膜層が形成された積層体。
【0019】
(10)(6)から(8)のいずれかに記載のインク組成物を使用して基材上に画像及び/又は凹凸像を形成する像形成方法。
【0020】
(11)前記基材上に波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより画像及び/又は凹凸像を形成する、(10)に記載の像形成方法。
【0021】
(12)(6)から(8)のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インク組成物を使用して基材上に画像及び/又は凹凸像を形成する印刷物の製造方法。
【0022】
(13)前記基材上に波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより画像及び/又は凹凸像を形成する、(12)に記載の印刷物の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の分散液は、黄色系顔料が含有されたインク組成物用の分散液であっても硬化性の優れるインク組成物であって、黄色系インク組成物として適した色相の硬化膜を形成するインク組成物を製造することのできる分散液である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1及び比較例3の分散液における吸光度を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0026】
<分散液>
本実施形態の分散液は、キノフタロン系顔料が含有された顔料と、顔料分散剤と、が含有されたインク組成物用の分散液である。そして、顔料分散剤には、アミン価が20mgKOH/g以下、且つ、酸価が10mgKOH/g以下であって、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体、共重合体のアルカリ金属塩、共重合体のアルカリ土類金属塩、共重合体のアンモニウム塩、及び共重合体のアミン誘導体よりなる群から選択される1種以上を含む。
【0027】
本実施形態の分散液は、黄色系顔料を含有するにもかかわらず、硬化性の優れるインク組成物を製造することのできるインク組成物用の分散液である。そのため、耐傷性等の高いインク硬化膜層を製造が可能であり、早く硬化するため生産性が高いインク組成物を製造することができる。
【0028】
黄色系顔料は、紫又は青等の比較的短波長の光である波長400nmから500nmの領域の光を吸収することにより黄色に呈する顔料である。そして、黄色系顔料によっては、可視光のみならず、より短波長の波長360nmから400nmまでの紫外線といえる光も吸収することがある。そのため、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することによりインク組成物を硬化する場合、黄色系顔料が波長360nmから400nmまでの光を吸収する。そのため、活性エネルギー開始剤、活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応が抑制され、インク組成物の硬化性が低下するものと考えられる。尚、顔料が誘導化された顔料誘導体であっても同様である。
【0029】
尚、本明細書において波長360nmから400nmまでの光を含む光線とは、波長360nm未満の光及び/又は波長400nmを超える光をも含んだ光線であってもよい。
【0030】
又、黄色系顔料のみならず、顔料分散剤によってもインク組成物の硬化性に影響を与えることが本発明者らによって見出された。顔料分散剤によってインク組成物の硬化性に影響を与える理由は必ずしも明らかではない。しかしながら、顔料分散剤と黄色系顔料とが吸着することにより、顔料の分散粒子径などが変化し、インク組成物中の顔料の分散状態が変化し、顔料及び顔料分散剤の光の吸収波長が変化する。その結果、活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応に必要な光が顔料及び顔料分散剤によって吸収され、インク組成物の硬化性が低下するものと考えられる。
【0031】
更に同様の理由により、黄色系顔料と、顔料分散剤と、の組み合わせにより、顔料の共役系に影響を与え、顔料の吸収波長が変化する場合もある。そして、顔料の吸収波長が変化することにより、色相が変化してしまい黄色系インク組成物として使用することができない場合もある。
【0032】
本実施形態の分散液は、黄色系顔料と顔料分散剤との種類を調整することにより、硬化性の優れるインク組成物であって、黄色系インク組成物として適した色相の硬化膜を形成するインク組成物を製造することができる。本実施形態の分散液のように、インク組成物の硬化性と色相に着目して黄色系顔料と顔料分散剤との種類が特定された分散液は新規の分散液である。
【0033】
又、本実施形態の分散液は、吸光度測定において以下の式により定義される波長360nmから400nmまでの吸光度の積が40以下とすることが好ましい。
【0034】
【数2】
【0035】
上記の式により定義される波長360nmから400nmまでの吸光度の積が40以下であることで、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより、効果的に硬化する硬化性の優れるインク組成物を製造することができる。尚、上記の式により定義される波長360nmから400nmまでの吸光度の積は、37以下であることが好ましく、35以下であることがより好ましく、33以下であることが更により好ましい。
【0036】
尚、吸光度測定は、例えば、島津製作所社製 UV-1800を用いて波長360nmから400nmまでの光を照射して、波長360nmから400nmの範囲の入射光強度I及び透過光強度Iをから吸光度Aλ(=log10(I/I))を求め、上記の式のように積分することにより求めることができる。
【0037】
具体的には、吸光度の積とは、例えば測定波長の測定間隔を0.5nmとした場合に(((波長Xnmのインクの吸光度Aλ)+(波長(X+0.5)nmのインクの吸光度Aλ))×0.5/2から算出される四角形(台形)の面積をXが360nmから400nmの範囲で足し合わせた面積を意味する。尚、より正確な近似面積を求めるには、測定波長の間隔を小さくすればよく、例えば波長0.5nm程度の間隔で360nmから400nmまでの波長で吸光率試験を行えばよい。
【0038】
更に、本実施形態の分散液は、以下の硬化膜作成条件で作成した硬化膜のJIS-Z8722:2009に基づいて、D50光源、2°視野角の条件によって測定されたb値が65以上であることが好ましく66以上であることがより好ましい。その硬化膜作成条件とは、分散液と、光重合開始剤と、を含有させたインク組成物を波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより硬化する条件である。
【0039】
黄色系顔料を含有する黄色系インク組成物として使用するために、画像の再現性の観点から硬化膜が所定の色相であることが求められる。画像の再現性の観点からb値が65以上である硬化膜を形成するインク組成物を製造することのできる分散液であることが好ましい。
【0040】
以下、本実施形態の分散液に含有される各成分について説明する。
【0041】
[キノフタロン系顔料]
キノフタロン系顔料とは、無水フタル酸とキナルジンから合成される顔料を意味する。キノフタロン系顔料は、例えばPigment Yellow138、Pigment Yellow177等を挙げることができる。
【0042】
又、本実施形態の分散液には、キノフタロン系顔料誘導体が含有された顔料誘導体が更に含有されることが好ましく、キノフタロン系顔料誘導体は、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するキノフタロン誘導体であることがより好ましい。キノフタロン系顔料誘導体の構造による立体障害によって顔料が結晶化して析出することを防止し、キノフタロン顔料に良好な分散安定性を付与することができる。尚、スルホン酸塩基とは、-(SO n+で表されるような塩を形成しているスルホン酸基であり、Xn+としては、1価又は多価の金属イオン、第1級、第2級、第3級又は第4級アンモニウムカチオンが例示される。
【0043】
スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有するキノフタロン誘導体は、キノフタロン顔料を濃硫酸等と反応させることで合成できる。具体的には、キノフタロンスルホン酸、及びそのアミン塩、アンモニウム塩、ナトリウム、アルミニウム等の金属塩類等が挙げられる。安定な分散液を得るためには、分散媒であるモノマーに溶解しやすい疎水性のキノフタロンが好ましく、特にキノフタロンアミン塩が好ましい。これは、キノフタロン顔料にキノフタロンアミン塩が吸着しやすく、且つ脱離しにくいためである。
【0044】
尚、本発明の効果を損なわない範囲において、本実施形態のキノフタロン系顔料以外の顔料又は本実施形態のキノフタロン系顔料誘導体以外の顔料誘導体が含有されていてもよい。
【0045】
キノフタロン系顔料が含有された顔料及びキノフタロン系顔料誘導体が含有された顔料誘導体の合計含有量は、分散液全量中5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。キノフタロン系顔料が含有された顔料及びキノフタロン系顔料誘導体が含有された顔料誘導体の合計含有量は、分散液全量中20質量%以下であることが好ましく、17質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
【0046】
[顔料分散剤]
本実施形態の分散液に含有される顔料分散剤は、アミン価が20mgKOH/g以下、且つ、酸価が10mgKOH/g以下であって、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体(以下単に「共重合体」と称する場合がある。)、共重合体のアルカリ金属塩、共重合体のアルカリ土類金属塩、共重合体のアンモニウム塩、及び共重合体のアミン誘導体よりなる群から選択される1種以上(以下単に「共重合体等」と称する場合がある。)を含むものである。尚、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の顔料分散剤を含んでいてもよい。
【0047】
本実施形態の分散液は、特定の顔料分散剤とキノフタロン系顔料が含有された顔料を用いることによって、硬化性の優れるインク組成物であって、且つ黄色系インク組成物として適した色相の硬化膜を形成するインク組成物を製造することができる分散液である。
【0048】
顔料分散剤のアミン価は、保存安定性及び吐出面に対する撥液性に優れる点から、中でも、17mgKOH/g以下であることが好ましい。又、顔料分散剤の酸価は、保存安定性及び吐出面に対する撥液性に優れる点から、中でも、7mgKOH/g以下であることが好ましい。
【0049】
なお、本明細書においてアミン価とは、固形分1gを中和するのに必要な塩酸量に対して当量となる水酸化カリウムの質量(mg)を表し、JIS K7237:1995に記載の方法により測定することができる。
【0050】
又、本明細書において酸価とは、固形分1gを中和するのに要するKOHの質量(mg)を表し、JIS K0070:1992に記載の方法により測定することができる。
【0051】
なお、本明細書において固形分とは、溶媒や分散媒を除く成分を意味する。
【0052】
本実施形態において顔料分散剤として用いられる上記特定の共重合体は、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有するものであればよく、更に他の繰り返し単位を有していてもよいものである。上記特定の共重合体は、少なくともモノマーとして、(1)スチレン、(2)炭素数が12以上の不飽和脂肪酸、及び、(3)エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシドを用いて、各モノマーのエチレン性不飽和二重結合により共重合されてなるものである。各モノマー由来の繰り返し単位とは、各モノマーのエチレン性不飽和二重結合が開いた構造(二重結合(C=C)が単結合(-C-C-)になった構造)を意味する。
【0053】
以下、上記共重合体を構成する繰り返し単位について順に説明するが、(1)スチレンについては、その単位構造が明らかであるため、ここでの説明は省略する。
【0054】
(2)炭素数が12以上の不飽和脂肪酸
炭素数が12以上の不飽和脂肪酸は、エチレン性二重結合を1つ以上有していればよく、特に限定されない。中でも、顔料の分散性及び分散安定性の点から、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が15以上の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が16以上の不飽和脂肪酸であることが更に好ましい。顔料の分散性及び分散安定性の点から、炭素数が30以下の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が20以下の不飽和脂肪酸であることが好ましく、炭素数が18以下の不飽和脂肪酸であることが更に好ましい。
【0055】
上記不飽和脂肪酸の炭素鎖中におけるエチレン性二重結合の位置は、特に限定されない。顔料の分散性及び分散安定性の点から、末端の炭素原子、及び、カルボキシ基のα位(2位)の炭素原子がエチレン性二重結合を有しないことが好ましく、中央か中央付近、すなわち、例えば炭素数が16以上18以下の不飽和脂肪酸の場合、4位から12位のいずれかの隣接する炭素に二重結合を有することが好ましい。
【0056】
炭素数が12以上の不飽和脂肪酸の具体例としては、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ネルボン酸等が挙げられる。中でも、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸が好ましい。
【0057】
炭素数が12以上の不飽和脂肪酸は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
上記炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位は、末端のカルボキシ基がエステル化及び/又はアミド化されたものであってもよい。
【0059】
エステル化に用いられるアルコールは、特に限定されない。例えば、炭素数1以上30以下の直鎖又は分岐のアルコールが挙げられ、更に芳香族基、脂環式基等の置換基を有していてもよく、炭素鎖中に、酸素原子等の異種原子が含まれていてもよい。エステル化に用いられるアルコールの具体例としては、例えば、2-ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2-フェノキシエタノール、2-(2-フェノキシエトキシ)エタノール等が挙げられる。上記アルコールは1種単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
又、アミド化に用いられる化合物は、特に限定されない。例えば、アンモニアの他、1級アミン、2級アミン、炭素数1以上20以下のアミノアルコール等が挙げられる。アミド化に用いられる化合物の具体例としては、例えば、シクロへキシルアミン、オクタデセニルアミン、ジブチルアミン、ベンジルアミン、ジイソトリデシルアミン等が挙げられる。
【0061】
上記アミド化に用いられる化合物は、1種単独であっても2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0062】
エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシドは、例えば、アリルアルコールと、オキシラン環を有するアルキレンオキサイドとから、公知の方法で得ることができる。
【0063】
(4)その他の繰り返し単位
顔料分散剤として用いられる、上記共重合体は、更にその他の繰り返し単位を有していてもよい。その他の繰り返し単位としては、エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸化合物由来の繰り返し単位等が挙げられる。具体例としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられ、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のような酸無水物となっていてもよい。
【0064】
上記ジカルボン酸化合物由来の繰り返し単位は、カルボキシ基がエステル化、アミド化、又はイミド化されたものであってもよい。エステル化に用いられるアルコール及び、アミド化又はイミド化に用いられる化合物は、特に限定されない。例えば、上記炭素数が12以上の不飽和脂肪酸におけるエステル化に用いられるアルコールやアミド化に用いられる化合物と同様のものを用いることができる。
【0065】
又、その他の繰り返し単位として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルシクロヘキサン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、オクタン酸ビニル、デカン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等の脂肪族又は芳香族カルボン酸のビニルエステル類;酢酸アリル、プロピオン酸アリル、ブタン酸アリル、ヘキサン酸アリル、オクタン酸アリル、デカン酸アリル、ステアリン酸アリル、パルミチン酸アリル、サリチル酸アリル、乳酸アリル、シュウ酸ジアリル、ステアリン酸アリル、コハク酸ジアリル、グルタール酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、ピメリン酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル等の脂肪族又は芳香族のアリルエステル類;ビニルエチルエーテル、ビニルポリエーテル等のアルキルビニルエーテル類が含まれていてもよい。尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートとの両方を意味する。
【0066】
(5)上記共重合体の製造方法
顔料分散剤として用いられる上記共重合体は、上記スチレン由来の繰り返し単位と、上記炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、上記エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位と、必要に応じて他の繰り返し単位とを、例えば、エマルジョン、サスペンション、析出、溶液及びバルク重合のような公知の重合方法で製造することができる。中でも、フリーラジカル溶液重合及びバルク重合が好ましい。
【0067】
本実施形態の分散液において顔料分散剤は、上記の共重合体をそのまま用いてもよい。一方、上記共重合体中にカルボン酸が残存する場合には、当該カルボン酸を、水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、アンモニア、又はアミノアルコールで中和することにより、前記共重合体のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、及びアミン誘導体として用いてもよい。
【0068】
上記共重合体は、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とが共重合されてなり、不飽和脂肪酸由来の炭化水素鎖、及び、ポリアルキレンオキシド鎖が側鎖となる櫛型構造を有することが好ましい。又、上記共重合体は、各繰り返し単位がランダムに重合していてもよく、各繰り返し単位が、各々ブロックを構成したブロック共重合体であってもよい。中でも、局所的に顔料吸着が強くなり、又、立体保護層が厚くなることにより分散安定性を向上できる点から、スチレン由来の繰り返し単位と炭素数12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位が局所的に密集している、すなわちブロックを形成していることが好ましく、又、ポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位が、ブロックを形成していることが好ましい。
【0069】
上記共重合体等において、各構成成分のモル比は、分散性及び分散安定性の点から、不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位1モルに対して、スチレン由来の平均繰り返し単位数が1モル以上であることが好ましく、2モル以上であることがより好ましい。上記共重合体等において、各構成成分のモル比は、分散性及び分散安定性の点から、不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位1モルに対して、スチレン由来の平均繰り返し単位数が10モル以下であることが好ましく、5モル以下であることがより好ましい。又、分散媒との相溶性を高め、顔料の分散性及び分散安定性を向上する点から、不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位1モルに対して、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の平均繰り返し単位数が10モル以上であることが好ましく、20モル以上であることがより好ましく、30モル以上であることが更により好ましい。分散媒との相溶性を高め、顔料の分散性及び分散安定性を向上する点から、不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位1モルに対して、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の平均繰り返し単位数が60モル以下であることが好ましく、50モル以下であることがより好ましく、40モル以下であることが更により好ましい。繰り返し単位数を上記範囲内とすることにより、分散媒との相溶性を高め、分散媒中でポリアルキレンオキシド鎖が広がり、顔料の分散性及び分散安定性を向上することができる。
【0070】
又、上記共重合体等の分子量は特に限定されない。中でも、顔料の分散性、分散安定性、分散液の粘度の点から、重量平均分子量が5000以上であることが好ましく、8000以上であることがより好ましく、10000以上であることが更により好ましい。顔料の分散性、分散安定性、分散液の粘度の点から、重量平均分子量が30000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましく、15000以下であることが更により好ましい。なお、ここでの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される標準ポリスチレン換算で求めたものである。
【0071】
又、上記共重合体等は、本発明の効果を損なわない範囲で、酸性基又は塩基性基を有していてもよいが含有量が少ない方が好ましい。なお、本明細書において酸性基とは、水中でHを放出し酸性を示す基のことをいい、例えば、カルボキシ基、スルホ基等が挙げられる。又本明細書において塩基性基とは、水中でHを受け取り塩基性を示す基のことをいい、例えば、アミノ基等が挙げられる。
【0072】
酸性基又は塩基性基を含む繰り返し単位の含有量は、当該共重合体等中に、40質量%以下であることが好ましく、更に30質量%以下であることがより好ましい。
【0073】
上記共重合体等のアミン価及び酸価は、顔料分散剤全体としてアミン価が20mgKOH/g以下、且つ、酸価が10mgKOH/g以下となるものであれば特に限定されない。中でも、保存安定性に優れる点から、共重合体等のアミン価は20mgKOH/g以下であることが好ましく、17mgKOH/g以下であることがより好ましい。又、保存安定性に優れる点から、共重合体等の酸価は10mgKOH/g以下であることが好ましく、7mgKOH/g以下であることがより好ましい。
【0074】
上記共重合体等として、例えば、ビックケミー社製のBYK-9150、BYK-9151等を用いることができる。
【0075】
本実施形態の分散液において、顔料分散剤の含有量は特に限定されない。分散液全体における顔料分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して通常20質量部以上であり、分散性及び分散安定性の点から、25質量部以上が好ましく、30質量部以上がより好ましい。分散液全体における顔料分散剤の含有量は、顔料100質量部に対して通常70質量部以下であり、分散性及び分散安定性の点から、65質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。又、分散液全体に対する顔料分散剤の含有量が、2質量%以上が好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。分散液全体に対する顔料分散剤の含有量は、30質量%以下が好ましく25質量%以下であることがより好ましい。顔料分散剤の含有量が少ないと立体保護層が形成されず顔料が凝集する恐れがある。又、含有量が多すぎると粘度が高くなる場合があり、吐出性が悪くなる恐れがある。但し、顔料分散剤の含有量は固形分換算である。
【0076】
又、本実施形態の分散液においては、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、更に他の顔料分散剤を含んでいてもよい。
【0077】
他の顔料分散剤は、特に限定されない。例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤としては、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が挙げられる。
【0078】
高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプトラクトン系の主鎖を有し、側鎖に、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の極性基を有する分散剤等が挙げられる。このような高分子分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの編成物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。
【0079】
このような高分子分散剤としては、市販品を用いることができ、例えば、ルーブリゾール社製のSOLSPERSE、ビックケミー社製のDISPERBYK、エフカアディティブズ社製のEFKA等が挙げられる。
【0080】
本実施形態の分散液において、上記その他の顔料誘導体の含有量は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、顔料分散剤全体の10質量%以下であることが好ましく、実質的に含有していないことが好ましい。
【0081】
[活性エネルギー線重合性モノマー]
本実施形態の分散液には、活性エネルギー線重合性モノマーを含有してもよい。活性エネルギー線重合性モノマーとしては、例えば、モノマーA):下記一般式(1)で表される単官能モノマー、及び/又はモノマーB):下記一般式(2)で表される多官能モノマーを挙げることができる。尚、本明細書において、「モノマーA)等のモノマーを含有する」とは、分子構造が同一の単独のモノマーA)等のモノマーを含有することのみならず、分子構造が異なる2種以上のモノマーA)等のモノマーを含有することも含まれる概念である。
【0082】
【化2】
(式中、Rは含酸素複素環構造を有する官能基である。Rは炭素数1以上5以下のアルキレン基を示す。Rは水素原子又メチル基を示す。Rは水素原子を示す。)
【0083】
-CH=CR-COOR-O-CH=CH-R ・・・(2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2以上20以下の2価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上11以下の1価の有機残基を示し、Rは水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。)
【0084】
一般式(1)で表されるモノマーA)と、一般式(2)で表されるモノマーB)は粘度が低い。そのため、一般式(1)で表されるモノマーA)と、一般式(2)で表されるモノマーB)と、を含有した分散液により製造される活性エネルギー線硬化型インク組成物は、室温であっても粘性が低く、吐出安定性の高い活性エネルギー線硬化型インク組成物である。
【0085】
又、一般式(1)で表される単官能モノマー及び一般式(2)で表される多官能モノマーは臭気が小さいため、これらのモノマーを含有した活性エネルギー線硬化型インク組成物の臭気が小さい。尚、本明細書において活性エネルギー線硬化型インク組成物の臭気が小さいとは、活性エネルギー線硬化型インク組成物自体の臭いの低さを意味するものであり、臭気が小さい活性エネルギー線硬化型インク組成物であれば、活性エネルギー線硬化型インク組成物を取り扱う際、活性エネルギー線硬化型インク組成物を使用して基材上に像を形成する際、又は活性エネルギー線硬化型インク組成物を使用して印刷物を製造する際に、作業員が臭気を気にすることなく作業に集中することが可能となり、又、鼻が敏感な作業者であってもマスク無しで作業することが可能となるというメリットがある。
【0086】
モノマーA)の例として、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート(CTFA)、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、(2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、(シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル))メチル(メタ)アクリレート等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。上記の第1実施形態においては、モノマーA)は上記の一般式(3)で表される単官能モノマーであることが好ましいが、上記の一般式(3)で表されるモノマーA)の中でも低粘度であり、臭気が極めて少ないという観点から、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートが好ましく、テトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)が最も好ましい。
【0087】
モノマーA)以外の単官能モノマーとしては、従来公知の単官能モノマーであれば用いることができるが、例えば、アルキルシクロアルキルアクリレートである4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、γ-ブチロラクトンアクリレート、クレゾールアクリレート、2-アクリロイロキシエチルフタレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2-アクリロイロキシプロピルフタレート、パラクミルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、1-アダマンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、3-3-5-トリメチルシクロヘキサンアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルカプロラクタム、イミドアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソデシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、及び、これらのアクリレートにアルコキシ変性、及びカプロラクトン変性等の各種変性を有するもの、を挙げることができる。モノマーA)以外の単官能モノマーは、本実施形態の分散液では必須ではないが、モノマーA)以外の単官能モノマーを用いる場合には、低臭であり、粘度が低いという観点から、4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート等のアルキルシクロアルキルアクリレートを用いることが好ましい。
【0088】
一般式(2)で表されるモノマーB)の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
【0089】
上記したものの中でも、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチルが好ましい。
【0090】
これらの中でも、低粘度で、引火点が高く、且つ、活性エネルギー線重合性モノマーの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルが好ましく、更に、臭気が小さく、且つ、反応性に優れるため、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。
【0091】
(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2-(1-ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2-(1-ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。モノマーB)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
モノマーB)以外の多官能モノマーとしては、従来公知の多官能モノマーであれば用いることができるが、例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリアルキレングリコールジアクリレート、アルコキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセリントリアクリレート、及びこれらの変性数違い、変性種違い、構造違いの(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0093】
上記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の合計含有量は、特に限定されない。中でも、硬化性の点から、本実施形態の分散液全体における上記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物の含有量の下限は10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが特に好ましい。上限は、93質量%以下であることが好ましく90質量%以下であることがより好ましく86質量%以下であることが特に好ましい。
【0094】
なお、本実施形態においては、反応性を有しないポリマー成分を更に含有していてもよい。このようなポリマー成分としては、アクリル樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂などが例示できる。
【0095】
[重合禁止剤]
本実施形態の分散液は、必要に応じて重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、ジフェニルピクリルヒドラジド、トリ-p-ニトロフェニルメチル,p-ベンゾキノン、p-tert-ブチルカテコール、ピクリン酸、塩化銅、メチルハイドロキノン、メトキノン、tert-ブチルハイドロキノン、フェノチアジン類、ニトロソアミン類等の重合禁止剤を用いることができる。
【0096】
(分散液の製造方法)
本実施形態の分散液において、分散液の製造方法は特に限定されないが、通常顔料分散工程を有するものである。
【0097】
顔料分散工程は、例えば、活性エネルギー線重合性モノマーを分散媒として、顔料と、顔料分散剤と必要に応じて他の成分を加えて、ディゾルバー等で撹拌した後、ビーズミルを用いて、ジルコニアビーズ等で分散することが挙げられる。必要に応じて、ビーズ径が比較的大きめなジルコニアビーズ等を用いて上記分散の前に予備分散をしてもよい。得られた分散体を、必要に応じてメンブランフィルター等で濾過することにより、本実施形態の分散液を得ることができる。
【0098】
他の成分として、ポリアルキレンオキシド鎖及び/又は炭素数が12以上の脂肪族炭化水素鎖を有する化合物を用いる場合には、当該化合物は顔料分散時に添加してもよく、顔料分散後に添加してもよく、いずれの場合でも、インク組成物をインク吐出面に対する撥液性に優れたものとすることができる。
【0099】
<インク組成物>
上記に記載した実施形態の分散液からインク組成物を製造することができる。上記に記載した通り、上記の実施形態の分散液は、黄色系顔料と顔料分散剤との種類が調整されているため、硬化性に優れ、黄色系インク組成物として適した色相の硬化膜を形成するインク組成物である。更に光重合開始剤を含有することが好ましい。
【0100】
本実施形態のインク組成物はオフセット方式、グラビア方式、スプレー方式、刷毛塗り方式など従来公知の方式で吐出することはできるが、小ロット多品種に対応できる点でインクジェット方式であることが好ましい。
【0101】
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進する光重合開始剤であることが好ましい。このような光重合開始剤は硬化速度、照射装置の入手容易さ、価格等の観点において優れた光重合開始剤である。又、上記に記載した分散液は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより硬化するインク組成物として特に好適に用いることのできる分散液である。そのため、本実施形態のインク組成物は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進する光重合開始剤は、特に好適に使用することができる。
【0102】
光重合開始剤としては、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の具体例として、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α-アミノアルキルフェノン類、α-ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が挙げられる。
【0103】
本実施形態に関する光重合開始剤の量は、活性エネルギー線重合性モノマーの光重合反応を適切に開始できる量であればよく、インク組成物全体に対して1.0質量%以上であることが好ましく、3.0質量%以上であることがより好ましい。又、インク組成物全体に対して20.0質量%以下であることが好ましい。
【0104】
(他の成分)
本実施形態のインク組成物は、更に他の成分を含有してもよい。他の成分としては、例えば、上記の実施形態の分散剤で例示したものの他、増感剤等が挙げられる。
本実施形態のインク組成物は重合禁止剤を含有することにより、保存安定性を更に向上することができる。
【0105】
(インク組成物の粘度及び表面張力)
本実施形態のインク組成物の粘度は、吐出性、吐出安定性の点から、25℃での粘度が30mPa・s以下であることが好ましく、25mPa・s以下であることが更に好ましい。又、本実施形態のインク組成物の粘度は、5mPa・s以上であることが好ましい。
【0106】
又、本実施形態のインク組成物の表面張力は、インクジェットの吐出性、吐出安定性、基材へのレベリング性の点から、25℃での表面張力が20mN/m以上であることが好ましい。又、本実施形態のインク組成物の表面張力は、40mN/m以下であることが好ましい。
【0107】
(インク組成物中の各成分の含有割合)
本実施形態のインク組成物において、顔料の含有量は、分散性と着色力を両立する点から、インク組成物全量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましい。顔料の含有量は、分散性と着色力を両立する点から、インク組成物全量に対して40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
【0108】
インク組成物において顔料分散剤の含有割合は、特に限定されず、顔料の種類によっても異なるが、顔料100質量部に対して、顔料分散剤は、通常20質量部以上である。または、顔料100質量部に対して、70質量部以下である。分散性及び分散安定性の点から、25質量部以上が好ましく、30質量部以上より好ましい。分散性及び分散安定性の点から、65質量部以下が好ましく、60質量部以下がより好ましい。
【0109】
又、インク組成物における活性エネルギー線重合性モノマーの含有量は、特に限定されない。中でも、硬化性の点から、インク組成物全体における活性エネルギー線重合性モノマーの含有量が、30質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。硬化性の点から、インク組成物全体における活性エネルギー線重合性モノマーの含有量は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
【0110】
インク組成物における顔料分散剤の含有量は特に限定されない。インク組成物全体における顔料分散剤の含有量は、0.02質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.06質量%以上であることが更に好ましい。顔料分散剤の含有量が0.02質量%以上であることにより、顔料が凝集することを抑制することができる。インク組成物全体における顔料分散剤の含有量は、24質量%以下であることが好ましく20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。顔料分散剤の含有量が24質量%以下であることにより、粘度が上がることを抑制し、吐出安定性が向上する。
【0111】
インク組成物において、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が12以上の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有するポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体、前記共重合体のアルカリ金属塩、前記共重合体のアルカリ土類金属塩、前記共重合体のアンモニウム塩、及び前記共重合体のアミン誘導体よりなる群から選択される1種以上を含む顔料分散剤の含有量は特に限定されない。インク組成物全体における当該共重合体等の含有量は、0.02質量%以上であることが好ましく、中でも0.03質量%以上であることが好ましく、0.06質量%以上であることがより好ましい。インク組成物全体における当該共重合体等の含有量は、0.02質量%以上であることにより、顔料が凝集することを抑制することができる。インク組成物全体における当該共重合体等の含有量は、24質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。インク組成物全体における当該共重合体等の含有量は、24質量%以下であることにより、粘度が上がることを抑制し、吐出安定性が向上する但し、上記顔料分散剤及び上記共重合体等の含有量はそれぞれ固形分換算である。
【0112】
<活性エネルギー線硬化型インク組成物の製造方法>
本実施形態のインク組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。又、粒状の色材、粒状の艶消し剤などを用いる場合は、分散機を用いて、活性エネルギー線重合性モノマー、分散剤等で分散し、その後、必要に応じて光重合開始剤、表面調整剤等を添加して均一に撹拌し、更にフィルターで濾過することによってインク組成物が得られる。
【0113】
<積層体の製造方法>
本実施形態の積層体の製造は、上記の実施形態のインク組成物を、基材上へ好ましくはインクジェット方式で印刷した後、波長360nmから400nmまでの光を含む光線で硬化することによって行われる。印刷は、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スプレー方式、刷毛塗り方式など従来公知の方式で印刷可能であるが、小ロット多品種に対応できる点でインクジェット方式であることが好ましい。又、インクジェット方式で印刷する際にインクジェットヘッドを加熱した状態で印刷してもよいし、室温のまま印刷してもよい。本実施形態のインク組成物は、室温環境下においても極めて低粘度であるモノマーA)及び/又はモノマーB)を含有した場合には、室温環境下においても低粘度のインク組成物となる。そのため、インクジェットヘッドを加熱せずに基材上に印刷することが可能である。
【0114】
尚、インク組成物を使用して基材に画像を形成することができる。例えば、様々な色合いの色材をそれぞれ含有させた活性エネルギー線硬化型インク組成物のインクセットを用意し、インクジェット方式により印刷後、インク組成物を硬化することによって、基材に様々な画像を形成することができる。このような硬化膜を形成するインク組成物や基材上に画像を形成する像形成方法も本発明の範囲である。尚、本明細書において「画像」とは、単色又は複数の色からなる文字、図表、図形、記号、写真等を含む視覚を通じて認識することができる装飾的な像を意味し、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字などからなる絵柄等も含まれる。
【0115】
[基材]
基材は特に限定されず、例えば塗工紙、非塗工紙、布帛等の吸収体、非吸収性基材のいずれも使用することができる。具体的には、非塗工紙としては、更紙、中質紙、上質紙、塗工紙としては、コート紙、アート紙、キャスト紙、軽量コート紙、微塗工紙、布帛等の吸収体としては、綿、化繊織物、絹、麻、布帛、不織布、皮革等を例示でき、非吸収性基材としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系合成紙、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、金属、金属箔コート紙、ガラス、合成ゴム、天然ゴム等を例示できる。
【0116】
[活性エネルギー線による硬化]
上記の実施形態のインク組成物を硬化させた硬化膜(以下、「硬化膜」と表記することがある。)を形成するための活性エネルギー線は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線が好ましい。光源は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射できる光源であれば特に限定されるものではなく、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、紫外線レーザー、太陽光、LEDランプ等が挙げられる。これらの光源を用い、積算光量が100mJ/cm以上、好ましくは200mJ/cm以上になるように活性エネルギー線を照射することにより、インク組成物を瞬時に硬化させることができる。
【0117】
尚、光源は、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射できる光源であれば特に限定されるものではないが、省エネルギーであり、印刷装置の設計設備の自由度が高いという観点から光源としてLEDランプを用いることがより好ましい。
【0118】
硬化膜の厚さは、1μm以上であることが好ましい。又、硬化膜の厚さは、100μm以下であることが好ましい。1μm以上にすることで、色材を含有する硬化膜の色濃度が薄くなることなく、意匠性や装飾性の低下や密着性、伸長性等の物性が向上するため、より好ましい。100μm以下にすることで、インク組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、インク組成物をより短時間で充分に硬化することができるようになるため、より好ましい。
【0119】
硬化膜の厚さの測定方法は、作製した硬化膜と同様の塗布条件でPETフィルム(東洋紡績社製、A4300)に上記の実施形態のインク組成物を塗布し、得られた硬化膜の厚さをマイクロメーターにより測定することができる。尚、本明細書において、硬化膜の厚さとは1サンプルにつき10箇所行い、これらの平均値を厚さ(平均厚さとする)。後述の保護層及びプライマーについても同様のものとする。
【0120】
[硬化膜]
上記の実施形態のインク組成物により形成される硬化膜は、加飾層として用いることができるが、キノフタロン系顔料が含有された顔料を添加せずに加飾層上に吐出すれば本硬化膜自体を硬化膜を保護するオーバーコート層として利用することもできる。更に、基材表面と硬化膜との間に形成することで両者の密着性を向上させるためのプライマー層としても利用することができる。
【0121】
基材にオーバーコート層やプライマー層を形成する場合、これらの層を形成する方法としてはどのような方法であってもよく、例えば、スプレー塗布、タオル、スポンジ、不織布、ティッシュ等を用いた塗布、ディスペンサー、刷毛塗り、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット、熱転写方式等のいずれであってもよい。
【0122】
上記の実施形態のインク組成物(黄色系インク組成物)と、他の色(シアン系インク組成物、マゼンダ系インク組成物、ブラック系インク組成物等)とを組み合わせて吐出し、波長360nmから400nmまでの光を含む光線などの活性エネルギー線を照射することにより、基材上に画像を形成することができる。更に、インク組成物の吐出量やインク組成物を吐出してから活性エネルギー線照射までの時間等の条件を調節することで、硬化膜に画像以外の意匠性を付与することもできる。例えば、1回の吐出量を吐出箇所によって増減させることで凹凸を付与することもできるし、又同一箇所でインク組成物の吐出と活性エネルギー線の照射とを繰り返すことで他の箇所との凹凸差を付与することもできる。このような画像及び/又は凹凸像を形成する像形成方法も本発明の範囲である。
【0123】
[オーバーコート層]
積層体の耐久性をより向上させることを目的に、上記の実施形態のインク組成物の硬化膜の表面に、従来公知のオーバーコート剤からなるオーバーコート層又は上記の実施形態のインク組成物と同様の組成であって顔料が添加されていないインク組成物をオーバーコート剤として用いて形成されるオーバーコート層が更に形成されていてもよい。なお、オーバーコート層は、インク組成物の硬化膜からなる層の表面に形成される場合に限らず、基材の表面に直接形成されていてもよいし、基材の表面に形成されたプライマー層の表面に形成されていてもよい。
【0124】
オーバーコート剤としては、上記の実施形態のインク組成物と同様の組成であって顔料が添加されていないインク組成物を好ましく用いることができる。上記の実施形態のインク組成物を用いた硬化膜に上記の実施形態のインク組成物と同様の組成であって顔料が添加されていないインク組成物を用いたオーバーコート剤によりオーバーコート層を形成した場合には、当該硬化膜と当該オーバーコート層は同様の組成であるため、これらの密着性は極めて高い。
【0125】
オーバーコート層の厚さは、1μm以上であることが好ましい。1μm以上とすることで、硬化膜を適切に保護することができるため好ましい。又、オーバーコート層の厚さは、100μm以下であることが好ましい。100μm以下とすることで、オーバーコート層を形成するために乾燥時間が短縮され、生産性に優れたものとすることができるため好ましい。
【0126】
又、オーバーコート層を形成する際にインク組成物の吐出量やインク組成物を吐出してから活性エネルギー線照射までの時間等の条件を調節することで、オーバーコート層に意匠性を付与することもできる。例えば、表面を艶消し調やグロス調にすることや、表面の膜厚をあえて不均一にすることで凹凸が付けられた立体的で意匠性の高いオーバーコート層を形成することもできる。具体的には、インク組成物を吐出後、所定時間経過後に活性エネルギー線を照射することで表面をグロス調にすることができ、又吐出後、速やかに活性エネルギー線を照射することで表面を艶消し調とすることができる。又1回の吐出量を吐出箇所によって増減させることで凹凸を付与することもできるし、又同一箇所でインク組成物の吐出と活性エネルギー線の照射とを繰り返すことで他の箇所との凹凸差を付与することもできる。
【実施例
【0127】
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
【0128】
<分散液の調製(実施例、比較例)>
(実施例1~3)
顔料としてP.Y.138(誘導化あり)(Pigment Yellow138 キノフタロン系顔料が含有された顔料及びスルホン酸基(-SO・H)を有するC.I.Pigment Yellow138(キノフタロン系顔料誘導体が含有された顔料誘導体))を12質量部、分散媒として活性エネルギー線重合性モノマーであるTHFA(テトラヒドロフルフリルアクリレート(単官能モノマーであって式(1)に該当するモノマーA))と、顔料分散剤としてBYK-9151(ビックケミー社製の顔料分散剤(固形分70%PO変性-2-ネオペンチルグリコールジアクリレート希釈品))と、を混合し、ディゾルバー等で撹拌した後、φ1.2mmのジルコニアビーズで1時間の予備分散を行った後、φ0.3mmのジルコニアビーズで2時間の分散を行い分散液を作製した。顔料分散剤と重合性モノマーの含有量は表1に記載した。
【0129】
「P.Y.138(誘導化あり)」は以下のように合成した。11質量%発煙硫酸374.76質量部を10℃に冷却しながら撹拌し、C.I.Pigment Yellow138(キノフタロン系顔料が含有された顔料)74.96質量部を加えた。次いで、90℃で6時間撹拌した。反応液を氷水1600質量部に加え、15分間撹拌した後、沈殿をろ過した。得られたウェットケーキを800mlの水で3回洗浄した。ウェットケーキを80℃で真空乾燥し、黄色生成物(P.Y.138(誘導化あり))81.55質量部を得た。この黄色生成物(P.Y.138(誘導化あり))のTOF-MSによる質量分析結果は下記式で表されるPY138のモノスルホン酸誘導体(n=1)の分子量(Mw=774)に一致していた。
【0130】
「BYK-9151」とは、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が16及び18の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有し不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位1モルに対して10モル以上60モル以下のポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体、共重合体のアルカリ金属塩、共重合体のアルカリ土類金属塩、共重合体のアンモニウム塩、及び共重合体のアミン誘導体よりなる群から選択される1種以上を含む顔料分散剤である。
【0131】
(実施例4)
分散剤をBYK-9151からBYK-9150(ビックケミー社製の顔料分散剤(固形分70%PO変性-2-ネオペンチルグリコールジアクリレート希釈品)に変えた以外は実施例1~3と同様にして分散液を作製した。
【0132】
「BYK-9150」とは、スチレン由来の繰り返し単位と、炭素数が16及び18の不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位と、エチレン性不飽和二重結合を有し不飽和脂肪酸由来の繰り返し単位1モルに対して10モル以上60モル以下のポリアルキレンオキシド由来の繰り返し単位とを有する共重合体、共重合体のアルカリ金属塩、共重合体のアルカリ土類金属塩、共重合体のアンモニウム塩、及び共重合体のアミン誘導体よりなる群から選択される1種以上を含む顔料分散剤である。
【0133】
(比較例1)
分散剤をBYK-9151からSolspers32000に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
【0134】
「Solspers32000」とは、ルーブリゾール社製の顔料分散剤であって、上記の顔料分散剤には該当しない顔料分散剤である。
【0135】
(比較例2)
分散剤をBYK-9151からSolspers33000に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
【0136】
「Solspers33000」とは、ルーブリゾール社製の顔料分散剤であって、上記の顔料分散剤には該当しない顔料分散剤である。
【0137】
(比較例3)
顔料をP.Y.138からP.Y.155(Pigment Yellow155 キノフタロン系顔料ではない黄色系顔料が含有された顔料)に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
【0138】
(比較例4)
顔料をP.Y.138からP.Y.150(Pigment Yellow150 キノフタロン系顔料ではない黄色系顔料が含有された顔料)に変えた以外は実施例1と同様にして分散液を作製した。
【0139】
【表1】
【0140】
<インク組成物の調製(実施例、比較例)>
上記実施例、比較例の分散液を用いて、実施例、比較例のインク組成物を製造した。具体的には、各材料を表2に示す割合になるように混合し、室温(20~25℃)にて1時間撹拌した。その後、溶け残りがないことを確認した。その後、メンブレンフィルターを用いて濾過を行い、実施例、及び比較例の活性エネルギー線硬化型インク組成物を調製した。
【0141】
【表2】
【0142】
表2中、「VEEA」とは、日本触媒社製のアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(二官能モノマーであって式(2)に該当するモノマーB))である。
【0143】
表2中、「THFA」とは、テトラヒドロフルフリルアクリレート(単官能モノマーであって式(1)に該当するモノマーA))である。
【0144】
表2中、「TBCH」とは、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート(モノマーA)以外の単官能モノマー)である。
【0145】
表2中、「TMPTA」トリメチロールプロパントリアクリレート(三官能モノマー)である。
【0146】
[吸光度試験]
実施例及び比較例の分散液を用いて吸光度試験を行った。具体的には、実施例及び比較例の分散液をエチルジグリコールアセテートにて2400倍希釈し、島津製作所社製 UV-1800を用いて波長360nmから400nmまでの吸光度を測定し、積分することにより、波長360nmから400nmの範囲の吸光度面積(吸光度の積)を求めた。尚、実施例1及び比較例3の分散液における吸光度を図1に示した。
【0147】
[色相試験]
実施例及び比較例のインク組成物を用いて色相試験を行った。具体的には、実施例又は比較例の分散液14.6質量部、VEEA10質量部、TBCH32.4質量部、THFA33質量部に、IRGACURE TPO(BASF社製 光重合開始剤であって、波長360nmから400nmまでの光を含む光線を照射することにより活性エネルギー線重合性モノマーの重合反応を促進するアシルフォスフィンオキサイド類の光重合開始剤)10質量部、TegoRad2010(エボニックデグサジャパン社製 表面調整剤)1質量部を混合することによりインク組成物を製造した。そして、未処理PET(ルミラー 60μm)上にバーコーター(#7)にて10μm(硬化状態)塗布、硬化させ、硬化膜を形成した。そして硬化膜をJIS-Z8722:2009に基づいて、エックスライト社製x-rite eXactを用い、D50光源、2°視野角の条件によってLを測定し、b値を求めた。結果を表2に示す。硬化にはアイテックシステム社製シャトル式UV硬化装置を用い、光源はアイテックシステム社製LED-UVランプ(ピーク波長:385nm)を用いた。
【0148】
(評価基準)
○:b値が65以上
×:b値が65未満
【0149】
[硬化性試験]
実施例及び比較例のインク組成物を用いて硬化性試験を行った。具体的には、上記同様にインク組成物を製造し、未処理PET(ルミラー 60μm)上バーコーター(#7)にて10μm(硬化状態)塗布し、LEDランプを照射してインク組成物が硬化するための積算光量を調べた。
【0150】
(評価基準)
OK:積算光量が200mJ/cmで硬化した
NG:積算光量が200mJ/cmで硬化しなかった
【0151】
[耐候性試験]
実施例及び比較例の分散液を用いて硬化性試験を行った。具体的には、上記同様にインク組成物を製造し、未処理PET(ルミラー 60μm)上にバーコーター(#7)にて10μm(硬化状態)塗布、硬化させ、硬化膜を形成した。硬化膜が形成された積層体をJIS K 7350-2:2008に準拠して試験を行い、キセノンアークウェザオメーターに500h暴露後の外観変化によって評価した。
【0152】
具体的には、耐候性試験前と耐候験後の硬化膜を、上記の色相試験と同様の方法でL値を測定した。試験前後のLの差をΔL、試験前後のaの差をΔa、試験前後のbの差をΔb、とした時、ΔE=〔(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2により算出されるΔEにより評価をした。
【0153】
(評価基準)
OK:500h暴露後のΔEが20未満
NG:500h暴露後のΔEが20以上
【0154】
表1から本発明の分散液は、黄色系顔料が含有されたインク組成物用の分散液であっても硬化性の優れるインク組成物であって、黄色系インク組成物として適した色相の硬化膜を形成するインク組成物を製造することができることが分かる。
図1