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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/50 20110101AFI20221019BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H01R24/50
H01R13/639 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019184241
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021061151
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敦宏
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-073881(JP,U)
【文献】特開2019-036544(JP,A)
【文献】特開2014-067695(JP,A)
【文献】国際公開第2020/230733(WO,A1)
【文献】特開2013-168339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の嵌合筒状部を有する導体と、
前記嵌合筒状部の中心に位置する中心端子と、前記導体及び前記中心端子を保持するハウジングと、
を備え、
前記導体は、相手側コネクタとの嵌合時に、前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部が一端に配置された同軸ケーブルのシールド線と、前記一端以外のいずれかの部分において電気的に接触するグランド接触部を有し、
前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部を押さえて嵌合状態を保持するロック部材を更に備えることを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記グランド接触部は、前記シールド線と直接接触する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記グランド接触部は、前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部を含む外部導体シェルを介して、前記シールド線と間接的に接触する、請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記グランド接触部は、前記嵌合筒状部と前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部の嵌合方向に沿って弾性突出している、請求項1乃至3のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記グランド接触部は、前記嵌合筒状部と前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部の嵌合方向に沿って弾性を発揮する、請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記グランド接触部は、前記嵌合筒状部と前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部の嵌合方向と前記同軸ケーブルの延出方向の双方と交差する方向に沿って弾性を発揮する、請求項4に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記グランド接触部は、前記相手側コネクタとの嵌合時に前記シールド線を挟み込むように対向配置された一対の部分から成る、請求項6に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記相手側コネクタを押さえて嵌合状態を保持するロック部材を更に備え、
前記嵌合筒状部は、外周面に設けられた環状の係止溝を有し、
前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記相手側コネクタの外部導体が、前記係止溝に係合して嵌合される構造となっている、請求項1乃至7のいずれかに記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記嵌合筒状部の外側に、前記嵌合筒状部と離間して一対のガイド部を備え、
前記ロック部材は、一対の被ガイド部を備え、
前記被ガイド部は、前記ガイド部と係合し、前記ガイド部に沿って移動可能であり、
前記ロック部材は、前記相手側コネクタの挿抜が可能となる非ロック位置と、前記相手側コネクタの移動を規制するロック位置との間で移動可能である、請求項8に記載の電気コネタク。
【請求項10】
前記ロック部材は、天板状の押さえ部を備え、
前記ロック部材が前記ロック位置にあるとき、前記相手側コネクタの天面を押さえてロックする構成となっている、請求項9に記載の電気コネタク。
【請求項11】
前記ロック部材は、外壁の内側に第1の幅の第1の間隙を有し、
前記ロック部材が前記ロック位置にあるとき、前記第1の間隙により、前記相手側コネクタの外部導体の外周を押さえてロックする構成となっている、請求項9に記載の電気コネタク。
【請求項12】
前記ハウジングは、外壁の端部に一対の軸支部を備え、
前記ロック部材は、端部に一対の軸部を備え、
前記ロック部材は、前記軸支部と前記軸部とが係合し、前記軸部を中心に軸回転移動が可能であり、
前記ロック部材は、前記相手側コネクタの挿抜が可能となる非ロック位置と、前記相手側コネクタの移動を規制するロック位置との間で開閉移動するように構成されている、請求項8に記載の電気コネタク。
【請求項13】
前記ロック部材は、前記ハウジングの外壁から起立した弾性の一対の部材から構成され、
前記ロック部材は、内側に突出した係止部を有し、
前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記係止部が前記相手側コネクタの天面に係合し、前記相手側コネクタの移動を規制する構造となっている、請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項14】
同軸ケーブルに接続される第1の電気コネクタと、基板に実装される第2の電気コネクタとを備える電気コネクタ組立体であって、
前記第1の電気コネクタは、前記同軸ケーブルの芯線に接続される端子と、外部導体シェルとを含み、
前記第2の電気コネクタは、
略円筒状の嵌合筒状部を有する導体と、
前記嵌合筒状部の中心に位置する中心端子と、
前記導体及び前記中心端子を保持するハウジングと、
前記第1の電気コネクタとの嵌合時に、前記第1の電気コネクタを押さえて嵌合状態を保持するロック部材とを備え、
前記嵌合筒状部は、外周面に設けられた環状の係止溝を有し、
前記第1の電気コネクタとの嵌合時に、前記第の電気コネクタの嵌合筒状部が、前記係止溝に係合して嵌合される構造となっている、電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関し、特に同軸ケーブルと基板との接続に使用される同軸コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット型PC等の電子機器の開発が盛んである。そのような電子機器に使用されている電気コネクタは、携帯電話や、近年通信に用いることが通常となってきたノート型PC、タブレット型PC等において、アンテナと、RF回路、中央処理装置などの各種電子部品とをつなぐ接続に広く一般に用いられている。
【0003】
そのような電気コネクタの一例として、特許第6446729号公報(特許文献1)に開示されている同軸コネクタを挙げることができる。この特許文献1に記載の同軸コネクタはL型のものであって、嵌合筒状部を有する外部導体と、嵌合筒状部の内側のハウジングと、ハウジングに保持される中心導体などから構成される。外部導体の嵌合筒状部は、ケーブルの延出方向側の位置で周方向に間隔をもって開放部が形成されている。嵌合筒状部の内周面には、相手側コネクタの外部導体の外周面に形成された環状のロック溝と係合するロック部が周方向に延びる環状の突条部として設けられている。
【0004】
使用に際して、回路基板等に取り付けられたレセプタクルコネクタと同軸コネクタであるプラグコネクタとを嵌合させると、プラグコネクタの外部導体の嵌合筒状部が、弾性により拡径しながらレセプタクルコネクタの外部導体の外周面と接触し、嵌合筒状部の内周面に設けられた環状の突条部が、レセプタクルコネクタの外部導体の外周面に形成された環状のロック溝に嵌り込み、抜け防止のロックがなされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6446729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された同軸コネクタもまた、一般の電気コネクタと同様に、信号伝送速度の高速化に伴って、ノイズが発生し易くなるといった問題を有している。取り分け、同軸ケーブルに接続された同軸コネクタの囲繞部の底面(基板側)と、この同軸コネクタの嵌合筒状部との間の隙間が、リターン電流の関係で、ノイズの発生源となり易い。
また、携帯性向上の要請等から、一般の電気機器部品と同様に、同軸コネクタにも小型化が求められているが、その一方で、車載分野等の高信頼性が要求される製品に使用される場合、該同軸コネクタにおける構成、即ち、嵌合筒状部とロック溝のロック機構のみでは、強い引っ張り力が加わった際に嵌合が解除されてしまうおそれがある。このため、強い引っ張り力が加わっても抜去されにくい完全なロック機構を有した同軸コネクタが要望されている。
【0007】
本発明はこのような従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、ノイズに対するシールド性能を向上させた同軸コネクタを提供することを目的とする。また、小型である一方でより完全なロック機構を提供することによって、シールド性能を確実に保持することができる同軸コネクタを提供することを副次的な目的とする。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される実施例のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0010】
すなわち、代表的な実施例による電気コネクタは、略円筒状の嵌合筒状部を有する導体と、前記嵌合筒状部の中心に位置する中心端子と、前記導体及び前記中心端子を保持するハウジングと、を備え、前記導体は、相手側コネクタとの嵌合時に、前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部が一端に配置された同軸ケーブルのシールド線と、該シールド線の前記一端以外のいずれかの部分において電気的に接触するグランド接触部を有するものである。
この構成によれば、同軸ケーブルのシールド線から離れた嵌合筒状部によるのではなく、同軸ケーブルのシールド線の近傍、取り分け、ノイズの発生源となり易い同軸コネクタの囲繞部の底面(基板側)により近い位置でグランド接触を行って、シールドの短絡経路を形成することができるため、ノイズに対するシールド性能を効果的に向上させることができる。
【0011】
前記グランド接触部は、前記シールド線と直接接触していてもよいし、又は、前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部を含む外部導体シェルを介して、前記シールド線と間接的に接触していてもよい。
【0012】
前記グランド接触部は、前記嵌合筒状部と前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部の嵌合方向に沿って弾性突出しているのが好ましい。
この場合、前記グランド接触部は、前記嵌合筒状部と前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部の嵌合方向に沿って弾性を発揮するものであってもよいし、前記グランド接触部は、前記嵌合筒状部と前記相手側コネクタの相手嵌合筒状部の嵌合方向と前記同軸ケーブルの延出方向の双方と交差する方向に沿って弾性を発揮するものであってもよい。後者の場合、前記グランド接触部は、前記相手側コネクタとの嵌合時に前記シールド線を挟み込むように対向配置された一対の部分から成るのが好ましい。
【0013】
上記態様の電気コネクタにおいて、相手側コネクタとの嵌合時に、前記相手側コネクタを押さえて嵌合状態を保持するロック部材を更に備え、前記嵌合筒状部は、外周面に設けられた環状の係止溝を有し、相手側コネクタとの嵌合時に、前記相手側コネクタの外部導体が、前記係止溝に係合して嵌合される構造となっているのが好ましい。
このようなロック機構を設けることにより、小型である一方でより完全なロック機構を提供することによって、シールド性能を確実に保持することができる同軸コネクタを提供することができる。
また、嵌合筒状部の外側に、前記嵌合筒状部と離間して一対のガイド部を備え、前記ロック部材は、一対の被ガイド部を備え、前記被ガイド部は、前記ガイド部と係合し、前記ガイド部に沿って移動可能であり、前記ロック部材は、前記相手側コネクタの挿抜が可能となる非ロック位置と、前記相手側コネクタの移動を規制するロック位置との間で移動可能であるものである。
【0014】
前記ロック部材は、外壁の内側に第1の幅の第1の間隙を有し、前記ロック部材が前記ロック位置にあるとき、前記第1の間隙により、前記相手側コネクタの外部導体の外周を押さえてロックする構成となっていてもよい。
【0015】
また、前記ハウジングは、外壁の端部に一対の軸支部を備え、前記ロック部材は、端部に一対の軸部を備え、前記ロック部材は、前記軸支部と前記軸部とが係合し、前記軸部を中心に軸回転移動が可能であり、前記ロック部材は、前記相手側コネクタの挿抜が可能となる非ロック位置と、前記相手側コネクタの移動を規制するロック位置との間で開閉移動するように構成されていてもよい。
【0016】
また、前記ロック部材は、前記ハウジングの外壁から起立した弾性の一対の部材から構成され、前記ロック部材は、内側に突出した係止部を有し、前記相手側コネクタとの嵌合時に、前記係止部が前記相手側コネクタの天面に係合し、前記相手側コネクタの移動を規制する構造となっていてもよい。
【0017】
また、代表的な実施例による電気コネクタ組立体は、同軸ケーブルに接続される第1の電気コネクタと、基板に実装される第2の電気コネクタとを備える電気コネクタ組立体であって、前記第1の電気コネクタは、前記同軸ケーブルの芯線に接続される端子と、外部導体シェルとを含み、前記第2の電気コネクタは、略円筒状の嵌合筒状部を有する導体と、前記嵌合筒状部の中心に位置する中心端子と、前記導体及び前記中心端子を保持するハウジングと、前記第1の電気コネクタとの嵌合時に、前記第1の電気コネクタを押さえて嵌合状態を保持するロック部材とを備え、前記嵌合筒状部は、外周面に設けられた環状の係止溝を有し、前記第1の電気コネクタとの嵌合時に、前記第8の電気コネクタの嵌合筒状部が、前記係止溝に係合して嵌合される構造となっているものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノイズに対するシールド性能を向上させた同軸コネクタを提供することができる。また、小型である一方でより完全なロック機構を提供することによって、シールド性能を確実に保持することができる同軸コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の態様1に係る嵌合前のレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)をプラグコネクタ(相手側コネクタ)とともに示す斜視図である。
図2】本発明の実施の態様1に係る嵌合後のレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)をプラグコネクタ(相手側コネクタ)とともに示す斜視図である。
図3図1のレセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す平面図である(非ロック位置)。
図4図3のI-I切断面における断面図である。
図5】実施の態様1の変形例を示す斜視図である。
図6】実施の態様1の変形例を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の態様2に係る嵌合前のレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)をプラグコネクタ(相手側コネクタ)とともに示す斜視図である。
図8】本発明の実施の態様2に係る嵌合後のレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)をプラグコネクタ(相手側コネクタ)とともに示す斜視図である。
図9】本発明の実施形態1、2及び変形例に使用することができる、ロック機構の構成態様に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図10】構成態様1において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(非ロック位置)。
図11】構成態様1において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す平面図である(非ロック位置)。
図12図11のA-A切断面における断面図である。
図13図11のB-B切断面における断面図である。
図14】構成態様1において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す斜視図である。
図15】構成態様1において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す平面図である。
図16図15のA-A切断面における断面図である。
図17図15のB-B切断面における断面図である。
図18】構成態様1において、レセプタクルコネクタのハウジングの構成を示す斜視図である。
図19】構成態様2に係るレセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図20】構成態様2において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(非ロック位置)。
図21】構成態様1において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す正面図である(非ロック位置)。
図22図21のA-A切断面における断面図である。
図23】構成態様2において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す斜視図である。
図24】構成態様2において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す正面図である。
図25図24のA-A切断面における断面図である。
図26】構成態様3に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)及びプラグコネクタ(相手側コネクタ)の構成を示す斜視図である。
図27】構成態様3において、ロック部材を開いてレセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(非ロック位置)。
図28】構成態様3において、ロック部材を閉じてロックした状態を示す斜視図である。
図29】構成態様4に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)及びプラグコネクタ(相手側コネクタ)の構成を示す斜視図である。
図30】構成態様4において、ロック部材を開いてレセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(ロック状態)。
図31】構成態様4において、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを抜去するために、冶具を用いてロック部材を開いた状態を示す斜視図である(非ロック状態)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の例示的な実施形態を説明する。説明の便宜のため好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。尚、以下の説明では、ロック機構、更に詳細には、プラグコネクタとレセプタクルコネクタが嵌合しているときに、それらを分離する方向に力が加わっても嵌合が解除されないようにするための機構を有するレセプタクルを例に挙げて説明するが、ロック機構は必須のものではなく、設けるか否かは任意である。
【0021】
図1に、本発明の実施の態様1に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)100Aをプラグコネクタ1とともに斜視図で示す。図2は、実施の態様1において、レセプタクルコネクタ100Aにプラグコネクタ1を嵌合した状態を示す斜視図である(非ロック位置)。図3は、実施の態様1において、レセプタクルコネクタ100Aにプラグコネクタ1を嵌合した状態を示す平面図である(非ロック位置)。図4は、図3のI-I切断面における断面図である。
【0022】
同軸ケーブル2には、一般の同軸ケーブルと同じものを使用し、最外殻から中心に向かって、絶縁被覆8、シールド線6、絶縁体9、芯線3を有する。プラグコネクタ1は、同軸ケーブル2の接続に使用される一般的なL型同軸コネクタであり、同軸ケーブル2の芯線3と電気的に接続される端子4と、端子4を収容する絶縁性のハウジング5と、同軸ケーブル2のシールド線6と電気的に接続され、ハウジング5を覆う外部導体シェル7などから構成される。以下に説明する実施の態様2、変形例、及び構成態様1~4のすべてにおいて、プラグコネクタ1は共通である。
【0023】
外部導体シェル7は、金属板を外形付けた後に、これを屈曲成形して作られており、同軸ケーブル2の一端に配置された略円筒状の嵌合筒状部10、嵌合筒状部10の上部を閉じる天面11、上記一端からの同軸ケーブル2の延出側に位置する囲繞部12、及びケーブル把持部15(15a、15b)を一体として有している。ケーブル把持部15は、同軸ケーブル2の所定部分を外側から把持する部材であって、嵌合筒状部10に近い側に位置する比較的小径の第1把持部15aと、嵌合筒状部10から遠い側に位置する比較的大径の第2把持部15bを含む。第2把持部15bは、同軸ケーブル2の絶縁被覆8を把持し、同軸ケーブル2のシールド線6その他いずれの部分とも導通していないのに対して、第1把持部15aは、絶縁被覆8の一部を取り除くことによって露出させたシールド線6の一部6aと接触させた状態で同軸ケーブル2を把持しており、従って、シールド線6と導通している。第1把持部15aとシールド線6の接触を通じて、外部導体シェル7は、シールド線6と電気的に接続され、この結果、外部導体シェル7の一部である嵌合筒状部10もまた、シールド線6と電気的に接続される。嵌合筒状部10は、レセプタクルコネクタ100Aの略円筒状の嵌合筒状部101Aに対し、嵌合方向「α」に沿って「α1」方向にて接近し、略円筒状の嵌合筒状部101Aと嵌合することにより、グランドに接続される。嵌合筒状部10は、弾性を有し、金属板を円形に沿って湾曲成形され、嵌合方向「α」に直交する「β-γ」面において略C字状に形成されている。
【0024】
次に、図1~4により、実施の態様1に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)の構成を説明する。本実施の態様1のレセプタクルコネクタ100Aは、相手側コネクタのプラグコネクタ1と嵌合することにより、各端子が電気的に接続されるものであって、略円筒状の嵌合筒状部101Aを有する導体130Aと、嵌合筒状部101Aの中心に位置する中心端子102Aと、導体130及び中心端子102Aを保持するハウジング103Aと、相手側コネクタであるプラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の天面11を押さえて嵌合状態を保持するロック部材104Aなどから構成されている。
【0025】
中心端子102Aは軸状の接触部111とその下端から周方向の一箇所でL字腕部をなす接続部112Aを有している。接続部112Aは、基板上の端子と接続されるものである。
【0026】
嵌合筒状部101Aは、周方向の一箇所で接合するように略円筒形に湾曲形成されており、その外周に環状の係止溝105Aを有し、プラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10が、嵌合筒状部101Aを包囲して係止溝105Aに係合して嵌合される構造となっている。レセプタクルコネクタ100Aは、通常、回路基板上に実装される。
【0027】
導体130Aの一部132Aは、嵌合筒状部101Aと連続した状態で同軸ケーブル2の延出方向「γ」に沿ってケーブル把持部15の側に延びている。延出部131Bの先端は、側面視略C字状に折り曲げられて、グランド接触部131Aを形成している。グランド接触部131Aは、「α2」方向に向って嵌合方向「α」に沿って弾性突出しており、少なくとも嵌合方向「α」に沿って弾性を発揮する。グランド接触部131Aは、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ100Aとの嵌合時に、ケーブル把持部15、取り分け、同軸ケーブル2のシールド線6と導通した第1把持部15aと弾性接触し、この弾性接触を通じて、シールド線6と電気的に接続される。このように、本構成によれば、シールド線6と導体130Aとの間の電気的接触が、一般の同軸コネクタのように、シールド線6から離れたプラグコネクタ1の嵌合筒状部10と、レセプタクルコネクタ100Aの嵌合筒状部101Aとの間だけでなく、これに加えて、第1把持部15a、即ち、シールド線6と直接接触させている部分、言い換えれば、嵌合筒状部10を設けた一端以外のシールド線6のいずれかの部分、取り分け、ノイズの発生源となり易い同軸コネクタの囲繞部12の底面(基板側)により近い位置と、グランド接触部131Aとの間でも行われるため、これらの間にシールドの短絡経路を形成することにより、ノイズに対するシールド性能を効果的に向上させることができる。また、この接触は、弾性接触によるものであるため、より確実な接触が期待できる。
【0028】
ハウジング103Aは、両側の外壁106Aの外側に一対の凸状のガイド部107Aを備える。ガイド部107Aは、ロック部材104Aがスライド移動する際にレールの役目を果たす。なお、ガイド部107Aは、ハウジング103Aの外壁106Aでなく、他の箇所に設けてもよい。例えば、嵌合筒状部101Aの外側で嵌合筒状部101Aと離間した位置であれば、ガイド部107Aをどの箇所に設けてもよい。また、ガイド部107Aの材質は、樹脂ではなく金属であってもよい。ハウジング103Aの外壁106Aの底部には、基板に半田付けされるための補強金具116Aが設けられている。
【0029】
ロック部材104Aは、両側の腕部108Aの外側に一対の内側に張り出した略L字状の被ガイド部109Aを備える。被ガイド部109Aは、ガイド部107Aと係合し、ガイド部107Aに沿って移動可能であり、ロック部材104Aは、プラグコネクタ1の挿抜が可能となる非ロック位置(図1図4)と、プラグコネクタ1の移動を規制するロック位置(図14等参照)との間でスライド移動可能である。
【0030】
ロック部材104Aは、天板状の押さえ部110Aを備え、ロック部材104Aがロック位置にあるとき、プラグコネクタ1の天面11を押さえてロックする構成となっている。押さえ部110Aは、ロック部材104Aがロック位置にあるときに、「α2」方向に向って突出しようとするグランド接触部131Aによる弾性突出を抑制して、プラグコネクタ1の天面11を押さえるものである。このようなロック機構を設けることにより、小型である一方でより完全なロック機構を提供し、同軸ケーブル2のシールド線6と、グランド接触部131Aとの接触をより確実なものとして、シールド性能を確実に保持することができる同軸コネクタを提供することができる。
【0031】
図5図6に、実施の態様1の変形例を示す。これらの図は、それぞれ、図1図2に対応する。上述したように、ロック機構は必須のものではなく、設けるか否かは任意である。従って、変形例に係るレセプタクルコネクタ100Bでは、実施の態様1からロック部材104Aを取り除いた。この変形例は、ロック部材104Aを有しない点についてのみ、レセプタクルコネクタ100Aと相違し、その他の点については、レセプタクルコネクタ100Aと同じ構成を有する。尚、図面において、実施の態様1に対応する部材には、同じ参照番号を用い、且つ、「A」の代わりに「B」の文字を付した。
【0032】
図7図8に、本発明の実施の態様2に係るレセプタクルコネクタ100Cを、プラグコネクタ1とともに斜視図で示す。これらの図は、それぞれ、図5図6に対応する。レセプタクルコネクタ100Cは、変形例2のレセプタクルコネクタ100Bの構成を基本とし、かかる構成において、実施の態様1のグランド接触部131Aの代わりに、グランド接触部131Cを設けたものである。レセプタクルコネクタ100Cは、このグランド接触部131Cについてのみ、レセプタクルコネクタ100Bと実質的に相違し、その他の点については、レセプタクルコネクタ100Bと同様である。従って、ここでは、グランド接触部に関する事項以外の詳細な説明は省略する。尚、図面において、実施の態様1及び変形例に対応する部材には、同じ参照番号を用い、且つ、「A」、「B」の代わりに「C」の文字を付した。
【0033】
グランド接触部131Cは、ガイド部107Cから連続させた状態で、且つ、ガイド部107Cの上部を略L字に下方向に折り曲げることによって設けられており、プラグコネクタ1の嵌合方向「α」と同軸ケーブル2の延出方向「γ」の双方と交差する方向「β」に沿って、同軸ケーブル2の設置側に向って弾性突出している。本実施の態様2に示すように、グランド接触部131Cは、例えば、プラグコネクタ1との嵌合時に同軸ケーブル2を挟み込むように対向配置された一対の部分131Ca、131Cbから形成されている。プラグコネクタ1との嵌合時に、同軸ケーブル2のシールド線6、更に言えば、シールド線6を把持するケーブル把持部15、取り分け、第1把持部15aは、これらの部分131Ca、131Cbによって両側から挟み込まれた状態で且つそれらと弾性接触させた状態で設置され、これらの弾性接触を通じて、シールド線6と電気的に接続される。このように、本構成によれば、シールド線6と導体130Cとの間の電気的接触が、一般の同軸コネクタのように、シールド線6から離れたプラグコネクタ1の嵌合筒状部10と、レセプタクルコネクタ100Cの嵌合筒状部101Cとの間だけでなく、これに加えて、第1把持部15a、即ち、シールド線6と直接接触させている部分、言い換えれば、嵌合筒状部10を設けた一端以外のシールド線6のいずれかの部分と、グランド接触部131Cとの間でも行われるため、ノイズに対するシールド性能を効果的に向上させることができる。また、この接触は、弾性接触によるものであるため、より確実な接触が期待できる。
【0034】
以下、実施形態1、2及び変形例に使用することができる、ロック機構の構成態様を説明する。
(ロック機構の構成態様1)
図9は、構成態様1に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)及びプラグコネクタ(相手側コネクタ)の構成を示す斜視図である。図10は、構成態様1において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(非ロック位置)。図11は、構成態様1において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す平面図である(非ロック位置)。図12は、図11のA-A切断面における断面図である。図13は、図11のB-B切断面における断面図である。
【0035】
相手側コネクタとしてのプラグコネクタ1については、図1乃至図4を参照して既に説明した通りである。構成態様1のレセプタクルコネクタ100は、相手側コネクタのプラグコネクタ1と嵌合することにより、各端子が電気的に接続されるものであって、略円筒状の嵌合筒状部101を有する導体130と、嵌合筒状部101の中心に位置する中心端子102と、導体130及び中心端子102を保持するハウジング103と、相手側コネクタであるプラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の天面11を押さえて嵌合状態を保持するロック部材104などから構成されている。嵌合筒状部101は、その外周面に設けられた環状の係止溝105を有し、プラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10が、嵌合筒状部101を包囲して係止溝105に係合して嵌合される構造となっている。レセプタクルコネクタ100は、通常、回路基板上に実装される。
【0036】
また、ハウジング103は、両側の外壁106の内側に一対の凸状のガイド部107を備える。ガイド部107は、ロック部材104がスライド移動する際にレールの役目を果たす。また、ガイド部107の底面117は、下向きに傾斜しており、ガイド部107と被ガイド部109との係合が容易に外れないようになっている。また、両側の外壁106のガイド部107の底面117には、段差118が設けられており、ロック部材104がロック位置にあるときに(図16等参照)、ロック部材104の図9及び図16の左側への移動を規制して、二重にロックされるようになっている。なお、ガイド部107は、ハウジング103の外壁106でなく、他の箇所に設けてもよい。例えば、嵌合筒状部101の外側で嵌合筒状部101と離間した位置であれば、ガイド部107をどの箇所に設けてもよい。また、ガイド部107の材質は、樹脂ではなく金属であってもよい。
【0037】
ロック部材104は、両側の腕部108の外側に一対の凹状の被ガイド部109を備える。被ガイド部109は、ガイド部107と係合し、ガイド部107に沿って移動可能であり、ロック部材104は、プラグコネクタ1の挿抜が可能となる非ロック位置(図10図13)と、プラグコネクタ1の移動を規制するロック位置(図14図17)との間でスライド移動可能である。
【0038】
ロック部材104は、天板状の押さえ部110を備え、ロック部材104がロック位置にあるとき、プラグコネクタ1の天面11を押さえてロックする構成となっている。また、ロック部材104は、左側端部にストッパ120を備え、ロック時に、ストッパ120がプラグコネクタ1の外部導体シェル7に当接して、ロック部材104が右側に行き過ぎないようになっている。ロック部材104は、樹脂モールドで形成されている。
【0039】
中心端子102は軸状の接触部111とその下端から周方向の一箇所でL字腕部をなす接続部112を有している。接続部112は、基板上の端子と接続されるものである。
【0040】
嵌合筒状部101は、周方向の一箇所で接合するように略円筒形に湾曲形成されて作られていて、外周に係止溝105が形成されている。導体130は、その下端から周方向の一箇所でL字腕部をなす接続部113を有している。接続部113は、基板上の端子と接続されるものである。
【0041】
ハウジング103の外壁106の上面には、仮止め用の係止凸部114が設けられ、ロック部材104の係止凸部115と係合して、ロック部材104がハウジング103から容易に外れないようになっている。なお、組み立ての際は、図9の右側(ケーブル側)から、被ガイド部109がガイド部107に沿ってスライド移動して、ロック部材104がハウジング103に挿入される。また、ハウジング103の外壁106の底部には、基板に半田付けされるための補強金具116が設けられている。
【0042】
次に、図10図18により、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ100が嵌合した状態で、分離する方向に力が加わっても、嵌合が解除されないようにロックする機構を説明する。図14は、構成態様1において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す斜視図である。図15は、構成態様1において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す平面図である。図16は、図15のA-A切断面における断面図である。図17は、図15のB-B切断面における断面図である。図18は、構成態様1において、レセプタクルコネクタのハウジングの構成を示す斜視図である。
【0043】
図10に示すように、レセプタクルコネクタ100にプラグコネクタ1を上方から嵌合する。この状態では、ロック部材104は、まだ非ロック位置であり、プラグコネクタ1を上に持ち上げれば、嵌合が容易に外れてしまう。次に、図6に示すように、ロック部材104を右方向にスライド移動させる。このとき、ロック部材104の係止凸部115が、ハウジング103の係止凸部114を乗り越えて移動し、プラグコネクタ1の天面11に押されて、ロック部材104は、上方に若干持ち上がる(図16参照)。そして、ロック部材104の端面119が段差118に食い込んで、ロック部材104の左方向への移動が規制されて、二重にロックされる。この状態で、ロック部材104の押さえ部110がプラグコネクタ1の天面11を押さえることになり、レセプタクルコネクタ100とプラグコネクタ1との嵌合が外れなくなり、完全にロックされる。また、ロック部材104のストッパ120がプラグコネクタ1の外部導体シェル7の側面に当接して、ロック部材104が右側に行き過ぎないようになっている。
【0044】
構成態様1では、ロック部材104の材質が樹脂である場合について説明したが、ロック部材104の材質は金属であってもよい。また、ガイド部107をハウジング103に設けるのではなく、外壁106、ガイド部107の一部を導体130の底部から延長した金属で構成してもよい。この場合、ガイド部107及び被ガイド部109が金属同士となり、強度が向上し、金属製ロック部材104が導体や補強金具に接することで、電気遮蔽効果も向上する。また、押さえ部110をバネ状にすることもできる。
【0045】
(ロック部材の構成態様2)
図19は、構成態様2に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)及びプラグコネクタ(相手側コネクタ)の構成を示す斜視図である。図20は、構成態様2において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(非ロック位置)。図21は、構成態様1において、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す正面図である(非ロック位置)。図22は、図21のA-A切断面における断面図である。
【0046】
まず、図19図22により、構成態様2に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)の構成を説明する。本構成態様2のレセプタクルコネクタ200は、相手側コネクタのプラグコネクタ1と嵌合することにより、各端子が電気的に接続されるものであって、略円筒状の嵌合筒状部201と、嵌合筒状部201の中心に位置する中心端子202と、導体230及び中心端子202を保持するハウジング203と、相手側コネクタであるプラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10を両側から挟み込んで(押さえて)嵌合状態を保持するロック部材204などから構成されている。嵌合筒状部201は、その外周面に設けられた環状の係止溝205を有し、プラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10が、嵌合筒状部201を包囲して係止溝205に係合して嵌合される構造となっている。
【0047】
ハウジング203は、外壁206の内側に一対の凹状のガイド部207を備える。ロック部材204は、腕部208の外側に一対の凸状の被ガイド部209を備え、被ガイド部209は、ガイド部207と係合し、ガイド部207に沿って移動可能である。ロック部材204は、相手側コネクタであるプラグコネクタ1の挿抜が可能となる非ロック位置と、プラグコネクタ1の移動を規制するロック位置との間で移動可能である。また、ロック部材204は、腕部208の内側に第1の幅W1の第1の間隙210を有し、ロック部材204がロック位置にあるとき、第1の間隙210により、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10の外周を押さえてロックする構成となっている。なお、第1の幅W1は、嵌合筒状部10の外周の直径とほぼ同じである。
【0048】
また、ロック部材204は、腕部208の内側に、第1の幅W1より広い第2の幅W2の第2の間隙211を有し、ロック部材204が非ロック位置にあるとき、第2の間隙211がプラグコネクタ1の嵌合筒状部10の近傍に位置し、ロック部材204がロック位置にあるとき、第1の間隙210がプラグコネクタ1の嵌合筒状部10の外周に接触して位置するように構成されている。
【0049】
また、ロック部材204は、ロック部材204をスライド移動するときに操作するための押圧操作部212、ロックを解除するときに操作するための一対の係止解除操作部213、一対の凹状の被係止部214などを備える。係止解除操作部213は、上下又は左右に移動して操作する。被係止部214は、ロック時に、ハウジング203の凸状の係止部215と嵌合して、二重にロックするためのものである。
【0050】
中心端子202は下端から周方向の一箇所でL字腕部をなす接続部217を有している。接続部217は、基板上の端子と接続されるものである。嵌合筒状部201は、周方向の一箇所で接合するように略円筒形に湾曲形成されて作られていて、外周に係止溝205が形成されている。導体230は、その下端から周方向の一箇所でL字腕部をなす接続部218を有している。接続部218は、基板上の端子と接続されるものである。また、ハウジング203の外壁206の底部には、基板に半田付けされるための補強金具216が設けられている。
【0051】
次に、図20図25により、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ200が嵌合した状態で、分離する方向に力が加わっても、嵌合が解除されないようにロックする機構を説明する。図23は、構成態様2において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す斜視図である。図24は、構成態様2において、ロック部材をスライド移動してロックした状態を示す正面図である。図25は、図16のA-A切断面における断面図である。
【0052】
図20図22に示すように、レセプタクルコネクタ200にプラグコネクタ1を上方から嵌合する。この状態では、ロック部材204は、最も左側に位置し、まだ非ロック位置であり、プラグコネクタ1を上に持ち上げれば、嵌合が容易に外れてしまう。このとき、嵌合筒状部201及び嵌合筒状部10は、第2の間隙211の間にある。次に、図23図25に示すように、押圧操作部212を操作して、ロック部材104を右方向にスライド移動させる。このとき、嵌合筒状部10の外周が第1の間隙210によって挟み込まれてロックされる。また、被係止部214と係止部215が嵌合して、二重にロックされる。この状態で、ロック部材204の腕部208(第1の間隙210)が、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10を両側から押さえることになり、レセプタクルコネクタ200とプラグコネクタ1との嵌合が外れなくなり、完全にロックされる。ロックを解除するためには、係止解除操作部213を両側から内側に押さえるか、又は下に押し下げることにより、被係止部214と係止部215の係止が解除されて、ロック部材204のスライド移動が可能になる。
【0053】
(ロック部材の構成態様3)
図26は、構成態様3に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)及びプラグコネクタ(相手側コネクタ)の構成を示す斜視図である。
【0054】
まず、図26により、本発明の構成態様3に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)の構成を説明する。本構成態様3のレセプタクルコネクタ300は、相手側コネクタのプラグコネクタ1と嵌合することにより、各端子が電気的に接続されるものであって、略円筒状の嵌合筒状部301を有する導体330と、嵌合筒状部301の中心に位置する中心端子302と、導体330及び中心端子302を保持するハウジング303と、相手側コネクタであるプラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の天面11を押さえて嵌合状態を保持する蓋状のロック部材304などから構成されている。嵌合筒状部301は、その外周面に設けられた環状の係止溝305を有し、プラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10が、嵌合筒状部301を包囲して係止溝305に係合して嵌合される構造となっている。
【0055】
また、ハウジング303には、両側の外壁306の端部に扇形状に開口された一対の軸支部307、及び軸カム部309が設けられている。ロック部材304は、その端部に、切片が内側に曲がった一対の軸部308を備えている。また、ロック部材304は、軸支部307と軸部308とが係合し、軸部308を中心に軸回転移動が可能である。また、ロック部材304は、プラグコネクタ1の挿抜が可能となる非ロック位置と、プラグコネクタ1の移動を規制するロック位置との間で開閉移動するように構成されている。
【0056】
ロック部材304は、ロック時にプラグコネクタ1の天面11を上から押さえるための押さえ部310を備え、軸部308の反対側の位置に、開口された一対の被係止部311及び折り曲げられた一対の係止解除操作部316を備えている。
【0057】
ハウジング303は、軸支部307の反対側に、ロック部材304をロックするための一対の係止部312を備えている。係止部312は上面のみに斜面313を有し、ロック部材304を閉じる方向には移動しやすく、開く方向には移動しにくくなっている。ハウジング303の底部には、導体330から延長した接続部314、及び補強金具315が設けられている。
【0058】
次に、図27図28により、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ300が嵌合した状態で、分離する方向に力が加わっても、嵌合が解除されないようにロックする機構を説明する。図27は、構成態様3において、ロック部材を開いてレセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(非ロック位置)。図28は、構成態様3において、ロック部材を閉じてロックした状態を示す斜視図である。
【0059】
図27に示すように、ロック部材304を開いた状態で、レセプタクルコネクタ300にプラグコネクタ1を上方から嵌合する。この状態では、ロック部材304は、まだ非ロック位置であり、プラグコネクタ1を上に持ち上げれば、嵌合が容易に外れてしまう。次に、図28に示すように、ロック部材404を閉じる。このとき、被係止部311と係止部312が係合し、完全にロックされる。この状態で、ロック部材304の押さえ部310がプラグコネクタ1の天面11を押さえることになり、レセプタクルコネクタ300とプラグコネクタ1との嵌合が外れなくなり、完全にロックされる。
【0060】
(ロック部材の構成態様4)
図29は、構成態様4に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)及びプラグコネクタ(相手側コネクタ)の構成を示す斜視図である。図30は、構成態様4において、ロック部材を開いてレセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合した状態を示す斜視図である(ロック状態)。図31は、構成態様4において、レセプタクルコネクタからプラグコネクタを抜去するために、冶具を用いてロック部材を開いた状態を示す斜視図である(非ロック状態)
【0061】
まず、図29により、構成態様4に係るレセプタクルコネクタ(電気コネクタ)の構成を説明する。構成態様1のレセプタクルコネクタ100は、相手側コネクタのプラグコネクタ1と嵌合することにより、各端子が電気的に接続されるものであって、略円筒状の嵌合筒状部401と、嵌合筒状部401の中心に位置する中心端子402と、導体430及び中心端子402を保持するハウジング403と、相手側コネクタであるプラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の天面11を押さえて嵌合状態を保持する一対のロック部材404などから構成されている。嵌合筒状部401は、その外周面に設けられた環状の係止溝405を有し、プラグコネクタ1との嵌合時に、プラグコネクタ1の嵌合筒状部10が、嵌合筒状部401を包囲して係止溝405に係合して嵌合される構造となっている。
【0062】
ロック部材404は、ハウジング403の外壁底部から起立した弾性の一対の部材から構成される。ロック部材404は、端部において内側に突出した係止部406を有し、プラグコネクタ1との嵌合時に、係止部406がプラグコネクタ1の天面11に係合し、プラグコネクタ1の移動を規制する構造となっている。ロック部材404は、金属板を折り曲げて形成され、導体430と同一の金属板で構成される。係止部406は、外側から打ち抜いて形成される。係止部406は、上側に斜面を有し、下側は略直角である。また、嵌合筒状部401、中心端子402、ハウジング403、及びロック部材404は一体成形されている。また、導体430401の一部407が、ハウジング403から露出している。
【0063】
レセプタクルコネクタ400とプラグコネクタ1を嵌合する際は、プラグコネクタ1を上方から押し付ければよい。ロック部材404は弾性を有し、係止部406は上側に斜面を有するので、ロック部材404が左右に開いて容易に嵌合できる。また、嵌合完了後は、係止部406の下側は略直角であるので、係止部406がプラグコネクタ1の天面11に係合し、完全にロックされる。
【0064】
プラグコネクタ1を抜去する際は、図31に示すように、冶具408を使用して、ロック部材404の間隔を広げれば、抜去することができる。
【0065】
したがって、構成態様1~4のレセプタクルコネクタ100,200,300,400は、それぞれロック部材104,204,304,404を備えているので、プラグコネクタ1との嵌合時に、ロック部材がプラグコネクタを押さえて嵌合状態を保持して完全にロックすることができるので、電気コネクタの信頼性が向上する。
【0066】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施形態では、グランド接触部131A、131Bは、外部導体シェル7、更に言えば、ケーブル把持部15aを介してシールド線6と間接的に接触するものとしたが、シールド線6と直接接触させてもよい。また、前記ロック機構の構成態様1~4をそれぞれ適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 プラグコネクタ
2 同軸ケーブル
3 芯線
4 端子
5 ハウジング
6 シールド線
7 外部導体シェル
8 絶縁被覆
9 絶縁体
10 嵌合筒状部
11 天面
12 囲繞部
100 レセプタクルコネクタ
101 嵌合筒状部
102 中心端子
103 ハウジング
104 ロック部材
105 係止溝
106 外壁
107 ガイド部
108 腕部
109 被ガイド部
110 押さえ部
111 接触部
112 接続部
113 接続部
114 係止凸部
115 係止凸部
116 補強金具
117 底面
118 段差
119 端面
120 ストッパ
130 導体
131A、131B グランド接触部200 レセプタクルコネクタ
201 外部導体
202 中心端子
203 ハウジング
204 ロック部材
205 係止溝
206 外壁
207 ガイド部
208 腕部
209 被ガイド部
210 第1の間隙
211 第2の間隙
212 押圧操作部
213 係止解除操作部
214 被係止部
215 係止部
216 補強金具
217 接続部
218 接続部
300 レセプタクルコネクタ
301 外部導体
302 中心端子
303 ハウジング
304 ロック部材
305 係止溝
306 外壁
307 軸支部
308 軸部
309 軸カム部
310 押さえ部
311 被係止部
312 係止部
313 斜面
314 接続部
315 補強金具
316 係止解除操作部
400 レセプタクルコネクタ
401 外部導体
402 中心端子
403 ハウジング
404 ロック部材
405 係止溝
406 係止部
407 外部導体の一部
408 冶具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31