(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】グリコピロニウム化合物を作製するための方法及び使用する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/12 20060101AFI20221019BHJP
A61K 31/40 20060101ALN20221019BHJP
A61P 17/00 20060101ALN20221019BHJP
A61P 25/02 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
C07D207/12
A61K31/40
A61P17/00
A61P25/02 107
(21)【出願番号】P 2019503315
(86)(22)【出願日】2017-08-01
(86)【国際出願番号】 US2017044988
(87)【国際公開番号】W WO2018026869
(87)【国際公開日】2018-02-08
【審査請求日】2020-07-31
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521449739
【氏名又は名称】ジャーニー メディカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】JOURNEY MEDICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】ショー アンソニー エイドリアン
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103012231(CN,A)
【文献】特表2009-515889(JP,A)
【文献】特表2012-523390(JP,A)
【文献】特表2001-504459(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104586841(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101759619(CN,A)
【文献】Sleevi, Mark C. et al,Optical isomers of rocastine and close analogs: synthesis and H1 antihistaminic activity of its enantiomers and their structural relationship to the classical antihistamines,Journal of Medicinal Chemistry,1991年,34(4),,1314-1328
【文献】Wu, W.-M.; Wu, J.; Mori, N.; Buchwald, P.; Bodor, N.,Stereoisomers of N-substituted soft anticholinergics and their zwitterionic metabolite based on glycopyrrolate - syntheses and pharmacological evaluations,Pharmazie,2008年,63(3),,200-209
【文献】Mao, Zhong Yi et al,A novel and versatile method for the enantioselective syntheses of tropane alkaloids,Science China: Chemistry,2014年,57(2),,252-264
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 207/12
A61P 25/02
A61P 17/00
A61K 31/40
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
R
1及びR
2はそれぞれ、いずれの場合も独立して、アルキル、及びアルコキシカルボニルで置換されたアルキルから選択され、
2により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり、
3’により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり、
X
-は、アニオンである。)
の化合物を作製するための方法であって、
式(1)の化合物とピバルデヒドとを接触させて式(2)の化合物を形成するステップと、
【化2】
式(2)の化合物とリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)及び臭化シクロペンチルとを接触させて式(3)の化合物を形成するステップと、
【化3】
式(3)の化合物
【化4】
と、メタノール性水酸化カリウムとを接触させて式(4)の化合物を形成し、
式(4)の化合物と式(Ib)の化合物とをカップリング条件下で接触させて、式(Ic)の化合物を形成するステップと、
【化5】
式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とを接触させて、式(I)の化合物を作製するステップと
【化6】
を含む、前記方法。
【請求項2】
式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体を単離するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体を単離するステップが、カラムクロマトグラフィーによるか、又は擬似移動床(SMB)分離による、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
R
1がアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
R
1が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル又はi-ペンチルである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
R
1がメチル又はエチルである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
R
2がアルキルである、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
R
2が、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル又はi-ペンチルである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
R
2がメチル又はエチルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
R
1が、アルコキシカルボニルで置換されたアルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
R
1が-CH
2C(O)OCH
2CH
3である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
R
2がメチルである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
式(4)の化合物と式(Ib)の化合物とをカップリング条件下で接触させて、式(Ic)の化合物を形成するステップの間、式(4)の化合物及び式(Ib)の化合物が、立体異性体として純粋である、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
式(I)の化合物が、下記の構造(Ia1)又は(Ia2)
【化7】
を有する、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
式(I)の化合物が、下記の構造
【化8】
を有する化合物を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
式(I)の化合物が、下記の構造
【化9】
を有する化合物の混合物を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
式(I)の化合物が、下記
【化10】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
式(I)の化合物が、下記
【化11】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
式(I)の化合物が、下記
【化12】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
式(4)の化合物と式(Ib)の化合物とをカップリング条件下で接触させて、式(Ic)の化合物を形成するステップの間、式(Ib-s)
【化13】
の化合物が存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
式(Ic)の化合物を、式(Ic)の化合物とその立体異性体との混合物から単離するステップを含む、請求項1に記載の方法であって、当該ステップが、キラル分割剤及び塩を使用することを含む、前記方法。
【請求項22】
R
1及びR
2が共にアルキルである、請求項1~
3のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
X
-がハロゲン化物アニオンである、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
X
-が、F
-、Cl
-、Br
-、I
-及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(Ib)の化合物が、式(7)の化合物
【化14】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
式(Ic)の化合物が、式(8)の化合物
【化15】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
式(I)の化合物が、下記の化合物
【化16】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
式(I)の化合物が、式(9)の化合物
【化17】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
式(Id)の化合物が、下記の化合物
【化18】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
式(Id)の化合物が、下記の化合物
【化19】
である、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
式(4)の化合物を結晶化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
式(Ib)の化合物が、式(7)の化合物
【化20】
であり、式(6)の化合物と還元剤とを接触させることによって式(7)の化合物を作製するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【化21】
【請求項33】
R(-)-リンゴ酸、式(5)の化合物とメチルアミンとを接触させることにより式(6)の化合物を作製するステップを含む、請求項32に記載の方法。
【化22】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全内容が全ての目的で本明細書に組み込まれている、2016年8月2日に出願された米国仮特許出願第62/370,172号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、高収率で且つ高選択性で特定の立体異性体及び立体異性体の混合物を含む、立体特異的に且つ立体選択的にグリコピロニウム塩を作製するための、合成方法及び化学試薬について述べる。また本明細書では、グリコピロニウム塩の誘導体及び類似体についても述べる。
【背景技術】
【0003】
ある特定のグリコピロニウム塩及び関連化合物、並びにこれらのグリコピロニウム塩及び関連化合物を作製するための方法及び使用する方法は、公知である。例えば、譲受人であるDermira社に発行された米国特許第8,558,008号明細書を参照されたい。また、例えば譲受人であるA.H.Robins社に発行された米国特許第2,956,062号明細書も参照されたい。また例えば、共に出願人Sepracor社と記載された国際特許出願公開WO98/00132(A1)パンフレット及びWO2009/00109(A1)パンフレット、並びに共に譲受人であるSepracor社に発行された米国特許第6,063,808号明細書及び第6,204,285号明細書も参照されたい。グリコピロニウム塩及び関連化合物を使用して多汗症を治療するある特定の方法が、公知である。例えば、GB1,080,960号明細書を参照されたい。グリコピロレート化合物を対象に適用するある特定の形態が公知である。例えば、共に譲受人であるRose U社に発行された米国特許第6,433,003号明細書及び第8,618,160号明細書;PurePharm社に発行された米国特許第7,060,289号明細書;第8,252,316号明細書;及び第8,679,524号明細書も参照されたい。
【0004】
ある特定の医学的応用で有用な、あるグリコピロニウム塩は、下記の化合物である:
【0005】
【0006】
上記のように、3カ所の不斉キラル位置にある絶対配置は、2R3’R1’RSである。このことは、番号2で示される炭素が立体化学R配置を有することを意味する。番号3’で示される炭素も立体化学R配置を有する。正電荷で示される第四級アンモニウム窒素原子は、R又はSのいずれかの立体化学配置を有していてもよい。図示されるように、上記化合物は、2種のジアステレオ異性体の混合物である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第8,558,008号明細書
【文献】米国特許第2,956,062号明細書
【文献】国際特許出願公開WO98/00132(A1)パンフレット
【文献】国際特許出願公開WO2009/00109(A1)パンフレット
【文献】米国特許第6,063,808号明細書
【文献】米国特許第6,204,285号明細書
【文献】GB1,080,960号明細書
【文献】米国特許第6,433,003号明細書
【文献】米国特許第8,618,160号明細書
【文献】米国特許第7,060,289号明細書
【文献】米国特許第8,252,316号明細書
【文献】米国特許第8,679,524号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
グリコピロニウム塩を作製するための、ある特定の方法が、公知である。しかしこれらの方法は、例えば大規模製造方法と比較して、本明細書に開示される新しい方法と同じくらい安全でも、効率的でも、立体特異的でも、立体選択的でもない。ある特定の刊行物は、より高い抗コリン活性が2R3’R配置に起因することを示す。しかし今日まで、2R3’R異性体並びに2R3’R1’R異性体を作製するための方法は低い収率をもたらし、経済的に実現可能にするのに多過ぎる反応ステップを含み、有毒材料を使用し、及び/又は形成される生成物に対して十分に立体特異的でも立体選択的でもない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態で、本明細書では、式(I):
【0010】
【0011】
(式中:
R1及びR2はそれぞれ、いずれの場合も独立して、アルキル、及びアルコキシカルボニルで置換されたアルキルから選択され;
2により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり;
3’により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり;
X-は、アニオンである。)
の化合物を作製するための方法であって、
式(Ia)の化合物と式(Ib)の化合物とをカップリング条件下で接触させて、式(Ic)の化合物を形成するステップ(1)と、
【0012】
【0013】
式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とを接触させて、式(I)の化合物を作製するステップ(2)と
【0014】
【0015】
を含む、方法について述べる。
【0016】
第2の実施形態で、本明細書では、式(Ib):
【0017】
【0018】
の化合物を作製するための方法について述べる。一部の実施形態では、R1が、アルキル、及びアルコキシカルボニルで置換されたアルキルから選択される。一部の実施形態では、方法は:化合物(5):
【0019】
【0020】
を準備するステップ(1)を含む。一部の実施形態では、方法は、化合物(5)とアルキルアミン(例えば、R1-NH2)とを接触させて、式(Ibc):
【0021】
【0022】
の化合物を形成するステップ(2)を含む。一部の実施形態では、方法は、式(Ibc)の化合物と還元剤(以下、[H+]により示される。)とを接触させて、式(Ib):
【0023】
【0024】
の化合物を形成するステップを含む。
【0025】
第3の実施形態で、本明細書では、下記の構造(Ia1)及び(Ia2):
【0026】
【0027】
を有する化合物の混合物を含む組成物について述べる。一部の実施形態では、構造(Ia1)及び(Ia2)を有する化合物は、本明細書に開示される方法によって調製される。一部の実施形態では、化合物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、又は塩と製剤化される。R1、R2、及びX-は、式(I)に関して上記にて定義した通りである。
【0028】
第4の実施形態で、本明細書では、多汗症を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に開示される方法によって調製された化合物を含む組成物、又は本明細書に開示される組成物を投与するステップを含む、方法について述べる。
【0029】
第5の実施形態で、本明細書では、抗コリン剤を必要であることを特徴とする疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に開示される方法によって調製される化合物を含む組成物、又は本明細書に開示される組成物を投与するステップを含む、方法について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】グリコピロニウム塩を作製するための例示的な合成を示す。
【
図2】グリコピロニウム塩を作製するための例示的な合成を示す。
【
図3】グリコピロニウム塩を作製するための例示的な合成を示す。
【
図4】グリコピロニウム塩を作製するための例示的な合成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本明細書では、立体化学R配置を備えた2つの立体中心を有する化合物を作製するための方法について述べる。例えば本明細書では、シクロペンチルマンデル酸(CPMA、cyclopentylmandelic acid)(又はそのエステル誘導体)を1-メチル-3-ヒドロキシピロリジン(NMHP、1-methyl-3-hydroxypyrrolidine)にカップリングし、その後に、ブロモ酢酸エチルなどであるがこれらに限定されないアルキル化剤を使用して、得られたグリコピロニウム塩基(GPB、glycopyrronium base)の1’位でアルキル化するステップを含むがこれらに限定されない、グリコピロニウム塩を作製するための方法について述べる。一部の実施例で、本明細書では、2-(R)-CPMAと3-(R)-NMHPとをカップリングして、直接2R3’R-GPBを作製し、その後にN1’位でアルキル化するための効率的な方法について述べる。
【0032】
A.定義
本明細書で使用される「収率」という用語は、所与の化学反応に関する実験収率を指す。収率は、反応が進行して所与の生成物を生成する程度を表すパーセントである。パーセント収率は、化学反応を想定し、化学試薬の全てが反応して生成物になることを想定することによって計算されるが、反応が進行するにつれて最初に消費される試薬である限定試薬によってのみ制限される。この初期の計算は、理論収率として公知のものをもたらす。反応が、実験的に行われたら、生成物を分析する。生成物の量は、集合させ、分光学的に決定し、又はその他の実験手段により決定されてもよい。集合させ、分光学的に決定し、又はその他の実験手段により決定される生成物の量は、実験収率を表す。本明細書で及び特許請求の範囲で使用される「収率」は実験収率/理論収率の商に、次いで100を乗じたものを指す。例えば、反応A+2B→Cにおいて、Aが1モル及びBが1モルある場合、A 1モルと反応するのにB 2モルが必要であるのでBは限定試薬である。反応例により、B 1モルはC 0.5モルを生成することになる。A 1モルがB 1モルと反応し、C 0.4モルが生成されたことが実験的に決定された場合、理論収率は0.5モルになる可能性があり、実験収率は0.4モルになる可能性がある。したがって収率パーセントは、(0.4/0.5)(100)=80%であるので80%と考えられる。
【0033】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、1価の飽和した炭化水素ラジカル部分を指す。アルキルは、置換されていてもよく、直鎖状、分岐状、又は環状、即ちシクロアルキルであってもよい。アルキルには、1~20個の炭素原子を有するもの、即ちC1-20アルキル;1~12個の炭素原子、即ちC1-12アルキル;1~8個の炭素原子、即ちC1-8アルキル;1~6個の炭素原子、即ちC1-6アルキル;及び1~3個の炭素原子、即ちC1-3アルキルが含まれるがこれらに限定するものではない。アルキル部分の例には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、ペンチル部分、ヘキシル部分、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれるがこれらに限定するものではない。
【0034】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、環状アルキルを指す。シクロアルキルは、置換されていてもよい。シクロアルキル部分の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが含まれるがこれらに限定するものではない。
【0035】
本明細書で使用される「アルコキシ」は、1価の飽和した炭化水素ラジカル部分であって、炭化水素が、酸素原子との単結合を含み、ラジカルが、酸素原子上に局在化したもの、例えばエトキシの場合はCH3CH2-O・であるものを指す。アルコキシ置換基は、アルコキシ置換基のこの酸素原子を通して置換される化合物に結合する。アルコキシは、置換されていてもよく、直鎖状、分岐状、又は環状、即ちシクロアルコキシとすることができる。アルコキシには、1~20個の炭素原子を有するもの、即ちC1-20アルコキシ;1~12個の炭素原子、即ちC1-12アルコキシ;1~8個の炭素原子、即ちC1-8アルコキシ;1~6個の炭素原子、即ちC1-6アルコキシ;及び1~3個の炭素原子、即ちC1-3アルコキシが含まれるがこれらに限定するものではない。アルコキシ部分の例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、i-ブトキシ、ペントキシ部分、ヘキソキシ部分、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペントキシ、及びシクロヘキソキシが含まれるがこれらに限定するものではない。
【0036】
本明細書で使用される「アルコキシカルボニル」という用語は、1価の飽和した炭化水素ラジカル部分であって、炭化水素が、酸素原子との炭素単結合を含み、これがさらにカルボニル、例えばC(O)に結合されたものを指す。酸素原子は、アルコキシカルボニルのアルキル部分とカルボニルとの間の2価の原子リンカーである。アルコキシカルボニル中のラジカルは、アルコキシの酸素原子に結合されたカルボニルの炭素原子上に局在化し、例えばCH3CH2-O-C・(O)である。アルコキシカルボニル置換基は、このカルボニル炭素原子を通して置換される化合物に結合する。アルコキシカルボニルは、置換されていてもよく、直鎖状又は分岐状とすることができる。アルコキシカルボニルには、1~20個の炭素原子を有するもの、即ちC1-20アルコキシカルボニル;1~12個の炭素原子、即ちC1-12アルコキシカルボニル;1~8個の炭素原子、即ちC1-8アルコキシカルボニル;1~6個の炭素原子、即ちC1-6アルコキシカルボニル;及び1~3個の炭素原子、即ちC1-3アルコキシカルボニルが含まれるがこれらに限定するものではない。アルコキシ部分の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれるがこれらに限定するものではない。
【0037】
本明細書で使用される「ハロ」という用語は、ハロゲン置換基を指す。ハロゲン置換基には、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードが含まれる。
【0038】
本明細書で使用される「塩分割手順を使用する(using a salt-resolution procedure)」という文言は、塩、例えば、5-ニトロイソフタル酸塩を使用して、立体異性体の混合物、例えばジアステレオマーの混合物から1つの立体異性体を単離又は精製するための方法を指す。塩分割手順を使用するための例示的な方法は、1975年9月10日に発行され且つ1974年5月15日に出願されたフィンランド特許第49713号明細書に記載されている。
【0039】
本明細書で使用される「カップリング条件」という文言は、2種の化合物を一緒に結合するのに適切な又は2種の化合物の結合を一緒に触媒する、反応条件及び反応を指す。例えばDermira社に発行された米国特許第9,006,462号明細書は、トルエン中1,1-カルボニルジイミダゾールなどであるがこれに限定されない試薬を含む、例示的なカップリング条件について述べている。
【0040】
本明細書で使用される「立体異性体として純粋な(stereomerically pure)」という文言は、化合物の特定の立体異性体が、その化合物のその他の立体異性体よりも多くなる程度まで存在する立体異性体を指し、例えば化合物はジアステレオマー過剰で存在し、又は化合物は鏡像異性体が過剰に存在する。一部の実施形態では、本明細書に記載される立体異性体として純粋な化合物は、化合物の1種の立体異性体を重量で80%若しくはそれよりも多く、85%若しくはそれよりも多く、90%若しくはそれよりも多く、95%若しくはそれよりも多く、又は97%若しくはそれよりも多く含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される立体異性体として純粋な化合物は、化合物の1種の立体異性体をモル数で80%若しくはそれよりも多く、85%若しくはそれよりも多く、90%若しくはそれよりも多く、95%若しくはそれよりも多く、又は97%若しくはそれよりも多く含む。
【0041】
本明細書で使用される「アニオン」という用語は、負に帯電した原子又は分子を指し、例えばハロゲン化物アニオン又はトシル酸アニオンである。本明細書では、アニオンは、アニオンが関連付けられ又は対になる正に帯電した種に対して荷電平衡をとる種を含む。例えば、本明細書で提供される一部の塩は、正に帯電した第四級アンモニウム基を含む。この正に帯電した第四級アンモニウム基は、限定するものではないがフッ化物アニオン、塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、安息香酸アニオン、エジシル酸(edisylate)アニオン、シュウ酸アニオン、硫酸水素アニオン、及びトシレート(tosylate)アニオンなど、アニオンにイオン結合することによって、中性に帯電した塩を形成する。
【0042】
B.グリコピロニウム塩を作製するための方法
ある特定の実施例で、本明細書では、式(I):
【0043】
【0044】
の化合物を作製するための方法について述べる。式(I)において、R1及びR2はそれぞれ、いずれの場合も独立して、アルキル、及びアルコキシカルボニルで置換されたアルキルから選択され;
2により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり;
3’により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり;
X-は、アニオンである。
【0045】
これらの実施例の一部において、R1はアルキルである。その他の実施例において、R1はメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル、又はi-ペンチルである。一部の実施例において、R1はメチル又はエチルである。一部のその他の実施例において、R1はメチルである。その他の実施例において、R1はエチルである。
【0046】
一部の実施例において、R2はアルキルである。一部の実施例において、R2は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル、又はi-ペンチルである。ある特定の実施例において、R2はメチル又はエチルである。一部の実施例において、R2はメチルである。その他の実施例において、R2はエチルである。一部の実施例において、R1及びR2は共にメチルである。
【0047】
これらの実施例の一部において、R1はアルキルである。一部の実施例において、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル、又はi-ペンチルである。ある特定の実施例において、R1はメチル又はエチルである。一部の実施例において、R1はメチルである。その他の実施例において、R1はエチルである。この段落で、これらの例のいずれかにおいて、R2はアルキルである。一部の実施例において、R2は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル、又はi-ペンチルである。ある特定の実施例において、R2はメチル又はエチルである。一部の実施例において、R2はメチルである。その他の実施例において、R2はエチルである。一部の実施例において、R1及びR2は共にメチルである。
【0048】
本明細書の実施例の一部において、R1は、アルコキシカルボニルで置換されたアルキルである。一部の実施例において、R1は、アルコキシカルボニルで置換されたメチルである。一部の実施例において、R1は-CH2C(O)OCH2CH3である。この段落の実施例の一部において、R2はアルキルである。ある特定の実施例において、R2はメチル又はエチルである。一部の実施例において、R2はメチルである。その他の実施例において、R2はエチルである。
【0049】
ある特定の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、式(Ia)の化合物と式(Ib)の化合物とを、カップリング条件下で接触させて、式(Ic)の化合物を形成するステップ(1)を含む:
【0050】
【0051】
一部の実施例では、化合物(Ia)は、トルエンに溶かしたカルボニルジイミドアゾール(CDI、carbonyldiimideazole)1当量で、周囲温度で処理し、かき混ぜながら1~2時間反応させて、化合物(Ia)の活性化形態を形成する。一部の実施例では、化合物(Ib)の約1当量を、化合物(Ia)の活性化形態に添加する。ある特定の実施例では、反応混合物を約70℃にさらに温める。一部の実施例では、反応混合物をさらにかき混ぜる。一部の実施例では、かき混ぜは、化合物(Ib)、又は化合物(Ia)の活性化形態の消失又は消費をモニターすることによって測定されるように、反応が終了するまで維持される。一部の実施例では、反応は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12時間で終了する。一部の実施例では、反応は、6~8時間以内に終了する。一部の実施例では、本明細書の方法はさらに、トルエンを含む溶液を、精製水で3~4回洗浄して、イミダゾール副生成物を除去するステップを含む。一部の実施例では、方法はさらに、真空中で有機相を濃縮して、本明細書に開示されるその他のプロセスに直接使用され得る油を残す。
【0052】
式(Ic)の化合物を作製するための方法の一部の実施例では、反応は、1種又は2種以上の溶媒中で実施される。溶媒は、反応を実施するために当業者に適切と見なされる任意の溶媒とすることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、式(Ia)又は(Ib)の化合物と、目に見えるほどには反応しない。ある特定の実施形態では、溶媒は、トルエンから選択される。
【0053】
一部の実施例では、溶媒は、エーテル、エステル、芳香族、アルカン、塩素化溶媒及びケトンからなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒は、N-メチル-ピロリドン(NMP、N-methyl-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(DMF、dimethyl formamide)及びジメチルアセトアミド(DMAC、dimethylacetamide)からなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒がエーテルであるとき、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF、tetrahydrofuran)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF、methyl tetrahydrofuran)、メチルtert-ブチルエチル(MTBE、methyl tert-butyl ethyl)及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がエステルであるとき、溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒が芳香族であるとき、溶媒は、トルエン、クロロベンゼン、キシレン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がアルカンであるとき、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒が塩素化溶媒であるとき、溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がケトンであるとき、溶媒は、メチルエチルケトン(MEK、methyl ethyl ketone)から選択される。一部の実施例では、溶媒は、前述の溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、上記エーテル、エステル、芳香族、アルカン、塩素化溶媒及びケトン溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン及びこれらの組合せを含む。
【0054】
一部の実施例では、式(Ia)又は(Ib)による化合物の濃度は、約0.1M~約2Mである。一部の実施例では、式(Ia)又は(Ib)による化合物の濃度は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M又は1Mである。一部の実施例では、式(Ia)又は(Ib)による化合物の濃度が約0.5Mである。
【0055】
一部の実施例では、本明細書の方法は、化合物(Ib)に対して過剰な式(Ia)の化合物を使用するステップを含む。一部の実施例では、本明細書の方法は、化合物(Ib)に対して約5モル%過剰な化合物(Ia)を使用するステップを含む。一部の実施例では、反応は、化合物(Ib)に対してモル数が約3倍(即ち、3×)過剰なアルキル化剤化合物(Ia)を含む。
【0056】
式(Ic)の化合物を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の温度で実施される。特定の実施形態では、反応は、約0℃~約80℃、約10℃~約75℃、約20℃~約65℃又は約30℃~約55℃の任意の温度で実行される。特定の実施形態では、反応は室温である。特定の実施形態では、反応は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃又は約85℃である。
【0057】
式(Ic)の化合物を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の体積で実施され、反応の規模に依存する。特定の実施形態では、反応体積は、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mL、少なくとも約200mL、少なくとも約225mL、少なくとも約250mL、少なくとも約500mL、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L又は少なくとも約5Lである。別の実施形態では、反応体積が少なくとも約200mL~少なくとも約10,000Lである。別の実施形態では、反応体積が少なくとも約1000L、少なくとも約5000L、又は少なくとも約10,000Lである。
【0058】
上記反応は、化合物(Ic)の形成に適切と見なされる任意の時間にわたり進行することができる。特定の実施形態では、反応は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間にわたり進行する。特定の実施形態では、反応は、約1~約6時間にわたり進行し、別の実施形態では約1~約4時間、別の実施形態では約2~約4時間、別の実施形態では約2.5~約3.5時間にわたり進行する。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によってモニターすることができる。ある特定の実施形態では、反応が約6~約8時間進行する。ある特定の実施形態では、反応は、約6~約8時間、70℃で進行する。
【0059】
一部の実施例では、反応の進行は、薄層クロマトグラフ(TLC、thin-layer chromatograph)又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC、high-pressure liquid chromatography)のいずれかにより、式(Ia)又は(Ib)の化合物の消費を観察することによってモニターされる。
【0060】
一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、さらに:式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とをカップリング条件下で接触させて、式(I)の化合物を作製するステップ(2)を含む:
【0061】
【0062】
ある特定の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法はさらに、室温で適切な溶媒を使用し、且つ式(Ic)の化合物に対して3倍過剰な式(Id)の化合物を使用するステップを含む。一部の実施例では、式(I)の生成物である化合物は、反応混合物から結晶化されてもよい。式(I)の化合物が結晶化する、それらの実施例のいくつかでは、結晶化した化合物が濾過により回収されてもよい。本明細書の実施例のいくつかでは、粗製生成物を、研和又は適切な溶媒からの再結晶化により精製する。
【0063】
式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とをカップリング条件下で接触させて式(I)の化合物を作製するための方法の一部の実施例では、反応は、1種又は2種以上の溶媒中で実施される。溶媒は、反応を実施するために当業者に適切と見なされる任意の溶媒とすることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、式(Ic)又は(Id)の化合物と、目に見えるほどには反応しない。ある特定の実施形態では、溶媒はアセトニトリルから選択される。一部の実施例では、式(Ic)又は(Id)による化合物の濃度が約0.1M~約2Mである。一部の実施例では、式(Ic)又は(Id)による化合物の濃度は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M又は1Mである。一部の実施例では、式(Ic)又は(Id)による化合物の濃度は、約0.5Mである。式(Id)による化合物は、式(Ic)の化合物に対して少なくとも約1当量の量で使用され、化合物(Id)についての一部の実施形態では、式(Ic)の化合物に比べて少なくとも5モル%過剰である。一部の実施形態では、化合物(Id)は、式(Ic)の化合物に比べて少なくとも5モル%過剰である。一部の実施例では、化合物(Id)は、化合物(Ic)に対して5~15体積部で存在する。一部の実施例では、式(Id)による化合物の濃度は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M又は1Mの濃度で存在する。一部の実施例では、式(Ic)による化合物の濃度は、約0.1M、0.2M、0.3M、0.4M、0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M又は1Mである。一部の実施例では、式(Id)による化合物の濃度は、約0.3M~1Mである。一部の実施例では、式(Ic)による化合物の濃度は、約0.3M~1Mである。
【0064】
式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とをカップリング条件化で接触させて、式(I)の化合物を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の温度で実施される。特定の実施形態では、反応は、約0℃~約80℃、約10℃~約75℃、約20℃~約65℃又は約30℃~約55℃の任意の温度で実行される。特定の実施形態では、反応は室温である。特定の実施形態では、反応は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃、又は約85℃である。
【0065】
一部の実施例では、前述の反応は室温で実施される。一部の実施例では、この反応は、室温よりも高い温度で実行され、例えば、嵩高い置換基が、反応物である化合物上に存在するときである。
【0066】
式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とをカップリング条件下で接触させて、式(I)の化合物を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の体積で実施され、反応の規模に依存する。特定の実施形態では、反応体積は、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mL、少なくとも約200mL、少なくとも約225mL、少なくとも約250mL、少なくとも約500mL、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L又は少なくとも約5Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約200mL~少なくとも約10,000Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約1000L、少なくとも約5000L又は少なくとも約10,000Lである。
【0067】
上記反応は、化合物(I)を形成するのに適切と見なされる任意の時間にわたり進行することができる。特定の実施形態では、反応は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間にわたり進行する。特定の実施形態では、反応は、約1~約6時間にわたり進行し、別の実施形態では約1~約4時間、別の実施形態では約2~約4時間、別の実施形態では約2.5~約3.5時間にわたり進行する。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によりモニターすることができる。一部の実施例では、反応時間は、式(Id)の化合物上に存在する置換基に依存することになる。一部の実施例では、反応時間は、反応温度に依存することになる。一部の実施例では、反応時間は、化合物(Ic)に対してモル数が過剰な化合物(Id)に依存することになる。ある特定の実施例では、反応は、化合物(Id)がブロモ酢酸エチルであるとき、約3時間で室温で終了する。
【0068】
本明細書には、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって、ガスクロマトグラフィー(GC、gas chromatography)によって、及び高圧液体クロマトグラフ(HPLC)によって、化合物(Id)又は(Ic)の残留量をモニターするステップを含むがこれらに限定することのない、反応の進行をモニターするための方法も記載される。一部の実施例では、反応の進行をモニターするステップは、TLCによる。一部の実施例では、反応の進行をモニターするステップは、GCによる。一部の実施例では、反応の進行をモニターするステップは、HPLCによる。
【0069】
ある特定の実施例において、式(I)の化合物を作製するための方法は:式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体を単離するステップ(3)をさらに含む。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも80%の鏡像異性体過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも85%の鏡像異性体過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも90%の鏡像異性体過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも95%の鏡像異性体過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも99%の鏡像異性体過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも80%のジアステレオマー過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも85%のジアステレオマー過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも90%のジアステレオマー過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも95%のジアステレオマー過剰率で存在する。一部の実施例では、式(I)の化合物の立体異性体として純粋な立体異性体は、少なくとも99%のジアステレオマー過剰率で存在する。
【0070】
一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、カラムクロマトグラフィーによって式(I)の化合物を単離するステップをさらに含む。これらの実施例のいくつかでは、式(I)の化合物を単離するステップは、カラムクロマトグラフィーによる。一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、式(I)の化合物の5-ニトロイソフタル酸塩の相対溶解度を使用して、式(I)の化合物を単離するステップをさらに含む。例えば、一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、式(I)の化合物の2R3’R1’を作製するステップを含む。例えば、一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、式(I)の化合物の2R3’S1’を作製するステップを含む。溶解度のこの相違に基づいて、例えば低溶解度対を沈殿させ且つより高い溶解度対を洗い落とすことにより、トレオ対をエリトロ対から分離することができる。
【0071】
ある特定の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、式(Ic)の化合物と式(Id)の化合物とを接触させて式(I)の化合物を作製する前に、式(Ic)の化合物の立体異性体を、式(Ic)の化合物の立体異性体の混合物から単離するステップを含む。これらの実施例において、式(Ic)の化合物の立体異性体の混合物は、商業的供給元から提供されてもよく又は現場で発生させてもよい。
【0072】
一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法のステップ(1)は、式(Ia)の化合物と式(Ib)の化合物とを下記の通りカップリング条件下で接触させて、式(Ic)の化合物を形成するステップを含む:
【0073】
【0074】
これらの実施例のいくつかにおいて、R1はアルキルである。その他の実施例においてR1はメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル又はi-ペンチルである。一部の実施例では、R1はメチル又はエチルである。一部のその他の実施例では、R1はメチルである。その他の実施例では、R1はエチルである。
【0075】
ある特定の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、ステップ(1)において、式(Ia-1)の化合物と式(Ib-1)の化合物とを下記の通りカップリング条件下で接触させて、式(Ic-1)の化合物を形成するステップを含む:
【0076】
【0077】
一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、ステップ(1)において、式(Ia)及び式(Ib)の、立体異性体として純粋な化合物を準備するステップを含む。
【0078】
式(I)の化合物を作製するための方法の実施例のいずれかでは、式(I)の化合物は、下記の構造(Ia1)又は(Ia2)を含むことができる:
【0079】
【0080】
一部の実施例では、式(Ia1)の化合物は、式(Ia2)の化合物よりも高い濃度で存在する。
【0081】
一部のその他の実施例では、式(Ia2)の化合物は、式(Ia1)の化合物よりも高い濃度で存在する。
【0082】
一部の実施例では、式(I)の化合物は、下記の構造:
【0083】
【0084】
を有する化合物の混合物を含む。
【0085】
一部の実施例では、R1及びR2は、ピロリジニル窒素原子が、その窒素原子に関して(S)立体化学性を有するように選択される。これらの実施例の一部では、式(I)の化合物は下記の通りである:
【0086】
【0087】
一部の実施例では、R1及びR2は、ピロリジニル窒素原子がその窒素原子に関して(R)立体化学性を有するように選択される。一部の実施例では、式(I)の化合物は下記の通りである:
【0088】
【0089】
式(I)の化合物を作製するための方法の一部の実施例では、ステップ(1)において、式(Ib-s)の化合物は、式(Ib)の化合物に加えて存在する:
【0090】
【0091】
一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、少なくとも30%である式(I)の化合物の収率をもたらす。一部の実施例では、収率は、少なくとも35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%である。
【0092】
一部の実施例では、式(I)の化合物を作製するための方法は、キラル分割剤(chiral resolution agents)及び塩を使用して、化合物(Ic)を、化合物(Ic)とその立体異性体との混合物から単離するステップを含む。一部の実施例では、方法は、様々な塩、様々な酸、又はこれらの組合せを使用して、立体異性体、例えばジアステレオ異性体を分離するステップを含む。ある特定の実施例では、酸がニトロイソフタル酸である。
【0093】
一部の実施例では、単離するステップは、フィンランド特許第49713号として1975年9月10日に発行されたフィンランド特許出願第1495/75号明細書に記載された単離プロセスを含む。フィンランド特許出願第1495/75明細書及びフィンランド特許第49713号は、エリトロ-1-メチル-3-ピロリジニル-アルファ-シクロペンチルマンデレートメチルブロミド(erythro-1-methyl-3-pyrrolidinyl-alpha-cyclopentylmandelate methyl bromide)を作製するための方法について述べる。例えば、一般に、化合物(Ic)とその立体異性体との混合物は、ニトロイソフタル酸塩誘導体に変換することができる。次いで各異性体の塩の誘導体を結晶化することができる。各異性体の塩は、異なる溶解度を有する。これらの塩の溶解度の差を使用することにより、化合物(Ic)とその立体異性体との混合物のこれらのニトロイソフタル酸塩誘導体を、それぞれ、互いから分離することができる。互いに分離したら、無機塩基を使用して、ニトロフタル酸塩部分をニトロフタル酸塩誘導体化合物から除去することができる。フィンランド特許出願第1495/75号明細書及びフィンランド特許第49713号明細書に記載されるように、化合物(Ic)のエリトロ(RR/SS)及びトレオ(RS/SR)鏡像異性体対は、ニトロイソフタル酸塩プロセスによって互いから分離することができる。技法は、エリトロ対に比べて、トレオ対の5-ニトロイソフタル酸塩のより低い溶解度に依拠する。フィンランド特許出願第1495/75号明細書又はフィンランド特許第49713号明細書に記載されるように、トレオ塩は優先的に結晶化し、溶液中にエリトロ対の塩を残す。溶液を固体結晶から分離することにより、化合物IIIc(例えば、IIIc-1)のエリトロ(RR/SS)及びトレオ(RS/SR)鏡像異性体対を分離することができる。フィンランド特許出願第1495/75号明細書からの又はフィンランド特許第49713号明細書からの立体異性体分割技法は、参照によりその全体が、全ての目的で本明細書に組み込まれる。
【0094】
上記方法のいずれかにおいて、R1はアルキルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル又はi-ペンチルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R1はメチル又はエチルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R1はメチルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R1はエチルを含むことができる。
【0095】
上記方法のいずれかにおいて、Xはハロゲン化物とすることができる。例えば、Xは、F-、Cl-、Br-、I-又はこれらの組合せを含むことができる。一部の実施例において、XはBr-である。
【0096】
上記方法のいずれかにおいて、R2はアルキルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R2は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル又はi-ペンチルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R2はメチル又はエチルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R1はメチルを含むことができる。上記方法のいずれかにおいて、R2はエチルを含むことができる。
【0097】
上記方法のいずれかにおいて、R1は、アルコキシカルボニルで置換されたアルキルを含むことができ、R2はアルキルである。
【0098】
上記方法のいずれかにおいて、R1は、アルコキシカルボニルで置換されたアルキルを含むことができ、R2はメチルである。
【0099】
上記方法のいずれかにおいて、R1は-CH2C(O)OCH2CH3を含むことができ、R2はアルキルである。
【0100】
上記方法のいずれかにおいて、R1はR1-CH2C(O)OCH2CH3を含むことができ、R2はメチルである。一部の実施例では、R1は-CH2C(O)OCH2CH3であり、R2はメチルである。
【0101】
本明細書の一部の実施例において、式(Ia)の化合物は、化合物(4):
【0102】
【0103】
である。
【0104】
本明細書の一部の実施例において、式(Ib)の化合物は、化合物(7):
【0105】
【0106】
である。
【0107】
本明細書の一部の実施例では、式(Ic)の化合物は、化合物(8):
【0108】
【0109】
である。
【0110】
本明細書の一部の実施例では、式(I)の化合物は、下記の化合物:
【0111】
【0112】
である。
【0113】
本明細書の一部の実施例では、式(I)の化合物は、化合物(9):
【0114】
【0115】
である。
【0116】
本明細書の一部の実施例では、式(Id)の化合物は、下記の化合物:
【0117】
【0118】
である。
【0119】
本明細書の一部の実施例では、式(Id)の化合物は、化合物(10):
【0120】
【0121】
である。
【0122】
本明細書の一部の実施例では、式(Ia)の化合物は、化合物(4):
【0123】
【0124】
である。一部の実施例では、化合物(4)は、化合物(3):
【0125】
【0126】
とメタノール性塩基とを接触させることによって作製される。一部の実施例では、化合物(4)は、化合物(3):
【0127】
【0128】
と塩基とをメタノール中で接触させることによって作製される。一部の実施例では、このメタノール性塩基は、メタノール性アルカリ又はアルカリ土類水酸化物塩基から選択される。ある特定の実施例では、メタノール性塩基は、メタノール中KOHである。一部の実施例では、このメタノール性塩基は、アルカリ又はアルカリ土類水酸化物塩基をメタノールに溶かしたものから選択される。
【0129】
本明細書の一部の実施例では、式(Ia)の化合物が化合物(4):
【0130】
【0131】
である。一部の実施例では、化合物(4)は、化合物(3):
【0132】
【0133】
とメタノール性水酸化カリウムとを接触させることによって作製される。
【0134】
これらの実施例の一部では、化合物(3)とメタノール性水酸化カリウムとの接触は、約65℃である。これらの実施例の一部では、化合物(3)とメタノール性水酸化カリウムとの接触は、約50℃~約80℃である。これらの実施例の一部では、化合物(3)とメタノール性水酸化カリウムとの接触は、約50℃である。これらの実施例の一部では、化合物(3)とメタノール性水酸化カリウムとの接触は約55℃である。これらの実施例の一部では、化合物(3)とメタノール性水酸化カリウムとの接触は、約60℃である。これらの実施例の一部では、化合物(3)とメタノール性水酸化カリウムとの接触は、約65℃である。一部の実施例では、方法はさらに、化合物(4)を冷却するステップを含む。一部の実施例では、方法はさらに、メタノール性水酸化カリウムからメタノールを除去するステップを含む。一部の実施例では、方法はさらに、酸を添加し、化合物(4)を有機溶媒で抽出するステップを含む。一部の実施例では、酸がHClであり、有機溶媒が酢酸エチルである。一部の実施例では、溶媒が任意の鉱酸を含む。一部の実施例では、溶媒は、リン酸緩衝液を含む。一部の実施例では、溶媒は、塩化アンモニウム溶液を含む。一部の実施例では、溶媒は、硫酸、リン酸、塩化アンモニウム溶液、一塩基性ナトリウム、リン酸カリウム(例えば、NaH2PO4)溶液又はこれらの組合せを含む。一部の実施例では、硫酸がH2SO4である。一部のその他の実施例では、リン酸がH3PO4である。
【0135】
一部の実施例では、化合物(4)は、Grover et al., J. Org. Chem. 65: 6283-6287 (2000)に記載されるステップにより、化合物(3):
【0136】
【0137】
とメタノール性塩基とを接触させることによって作製される。一部の実施例では、ジオキサラン-4-オンを、KOHとMeOH中で反応させて、シクロペンチルマンデル酸(CPMA、cyclopentylmandelic acid)のS-鏡像異性体を形成する。一部の実施例では、約50mLのジオキサラン-4-オンを、約270mmolのKOHと、100mLのMeOH中で反応させて、シクロペンチルマンデル酸(CPMA)のS-鏡像異性体を形成する。
【0138】
化合物(4)を作製する一部の実施例では、方法は、化合物(4)を結晶化するステップを含む。一部の実施例では、化合物(3)は、化合物(2)とアルカリ金属アミド及び臭化シクロペンチルとを接触させることによって作製される。一部の実施例では、アルカリ金属アミドは、リチウムジイソプロピルアミド(LDA、lithium diisopropyl amide)、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS、lithium bis(trimethylsilyl)amide)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS、sodium bis(trimethylsilyl)amide)又はカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDS、potassium bis(trimethylsilyl)amide)から選択される。一部の実施例では、アルカリ金属アミドは、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)である。一部の実施例では、アルカリ金属アミドは、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)である。一部の実施例では、アルカリ金属アミドは、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDS)である。
【0139】
一部の実施例では、化合物(3)は、化合物(2)とLiHMDS及び臭化シクロペンチルとを接触させることによって作製される。
【0140】
一部の実施例では、化合物(3)は、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドのヘキサン溶液(例えば、ヘキサン中1.0M)を使用して、化合物(2)とLiHMDSとを-78℃で接触させ、その後、1時間撹拌することによって作製される。一部の実施例では、方法はさらに、臭化シクロペンチル(168mmol)を添加するステップを含む。一部の実施例では、反応の終了の後にTLCを行ってもよい。
【0141】
【0142】
一部の実施例では、化合物(2)は、化合物(2)が形成されるように化合物(1)とピバルデヒド(pivaldehyde)とを接触させることにより作製される。
【0143】
【0144】
一部の実施例では、化合物(2)を作製する方法は、1種又は2種以上の溶媒中で実施される。溶媒は、反応を実施するために、当業者に適切と見なされる任意の溶媒とすることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、化合物(1)又はピバルデヒドと、目に見えるほどには反応しない。ある特定の実施形態では、溶媒は、アルカン、例えばペンタン、ヘキサン、n-ヘプタン、それらの異性体及びこれらの組合せであるがこれらに限定されないものから選択される。一部のその他の実施例では、溶媒が、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、キシレン又はこれらの組合せである。その他の実施例では、溶媒が、THF、MeTHF又はMTBEなどであるがこれらに限定されないエーテルである。一部の実施例では、溶媒は、前述の溶媒の任意の組合せである。
【0145】
特定の実施形態では、溶媒がヘキサンである。
【0146】
化合物(1)又はピバルデヒドの濃度は、約0.1M~約2Mである。一部の実施例では、若干過剰な化合物(1)又はピバルデヒドが使用される。化合物(2)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の温度で実施される。特定の実施形態では、反応は、約0℃~約80℃、約10℃~約75℃、約20℃~約65℃又は約30℃~約55℃の任意の温度で実行される。特定の実施形態では、反応は、室温である。特定の実施形態では、反応は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃又は約85℃である。
【0147】
化合物(2)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の体積で実施され、反応の規模に依存する。特定の実施形態では、反応体積は、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mL、少なくとも約200mL、少なくとも約225mL、少なくとも約250mL、少なくとも約500mL、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L又は少なくとも約5Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約200mL~少なくとも約10,000Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約1000L、少なくとも約5000L又は少なくとも約10,000Lである。
【0148】
上記反応は、化合物(2)の形成に適切と見なされる任意の時間にわたり進行することができる。特定の実施形態では、反応は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間にわたり進行する。特定の実施形態では、反応は、約1~約6時間にわたり進行し、別の実施形態では約1~約4時間、別の実施形態では約2~約4時間、別の実施形態では約2.5~約3.5時間にわたり進行する。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によりモニターすることができる。一部の実施例では、化合物(2)を作製するための方法は、小さい実験室規模での生成のために反応を撹拌し、又はパイロット若しくは大規模商用生産のために反応をかき混ぜるステップを含む。
【0149】
化合物(2)を作製する方法は、1種又は2種以上の溶媒中で実施される。溶媒は、反応を実施するために当業者に適切と見なされる任意の溶媒とすることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、化合物(1)又はピバルデヒドと目に見えるほどには反応しない。特定の実施形態では、溶媒は、ヘキサンである。一部の実施例では、溶媒は、エーテル、エステル、芳香族、アルカン、塩素化溶媒及びケトンからなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒は、N-メチル-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルアセトアミド(DMAC)からなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒がエーテルであるとき、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、メチルtert-ブチルエチル(MTBE)及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がエステルであるとき、溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒が芳香族であるとき、溶媒は、トルエン、クロロベンゼン、キシレン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がアルカンであるとき、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒が塩素化溶媒であるとき、溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がケトンであるとき、溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)から選択される。一部の実施例では、溶媒は、前述の溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、上記エーテル、エステル、芳香族、アルカン、塩素化溶媒及びケトン溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン又はこれらの組合せを含む。
【0150】
化合物(2)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の温度で実施される。特定の実施形態では、反応は、約0℃~約80℃、約10℃~約75℃、約20℃~約65℃又は約30℃~約55℃の任意の温度で実行される。特定の実施形態では、反応は室温である。特定の実施形態では、反応は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃又は約85℃である。
【0151】
化合物(2)を作製する方法は、当業者により適切と見なされる任意の体積で実施され、反応の規模に依存する。特定の実施形態では、反応体積は、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mL、少なくとも約200mL、少なくとも約225mL、少なくとも約250mL、少なくとも約500mL、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L又は少なくとも約5Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約200mL~少なくとも約10,000Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約1000L、少なくとも約5000L又は少なくとも約10,000Lである。
【0152】
上記反応は、化合物(2)の形成に適切と見なされる任意の時間にわたり進行することができる。特定の実施形態では、反応は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間にわたり進行する。特定の実施形態では、反応は、約1~約6時間にわたり進行し、別の実施形態では約1~約4時間、別の実施形態では約2~約4時間、別の実施形態では約2.5~約3.5時間にわたり進行する。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によりモニターすることができる。
【0153】
一部の実施例では、反応は、TLCによって試薬の消費を観察することによりモニターされる。
【0154】
化合物(3)を作製する方法は、ヘキサン中で実施される。溶媒は、反応を実施するために当業者により適切と見なされる任意の溶媒とすることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、化合物(2)、LiHMDS又はシクロプロピル-ブロミドと目に見えるほどには反応しない。特定の実施形態では、溶媒は、ヘキサンである。
【0155】
一部の実施例では、溶媒は、エーテル、エステル、芳香族、アルカン、塩素化溶媒及びケトンからなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒は、N-メチル-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルアセトアミド(DMAC)からなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒がエーテルであるとき、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、メチルtert-ブチルエチル(MTBE)及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がエステルであるとき、溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒が芳香族であるとき、溶媒は、トルエン、クロロベンゼン、キシレン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がアルカンであるとき、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒が塩素化溶媒であるとき、溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がケトンであるとき、溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)から選択される。一部の実施例では、溶媒は、前述の溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、上記エーテル、エステル、芳香族、アルカン、塩素化溶媒及びケトン溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、クロロベンゼン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン又はこれらの組合せを含む。
【0156】
化合物(3)を作製するための方法は、好ましくは、塩基と共に実施される。特定の実施形態では、塩基は、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される。
【0157】
化合物(2)、LiHMDS又はシクロプロピル-ブロミドの濃度は、約0.01M~約2Mである。化合物(3)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の温度で実施される。一部の実施例では、反応は、低温で、例えば-78℃又は約-70~-80℃で開始される。一部の実施例では、反応は、ゆっくりと連続的に撹拌しながら室温までゆっくり温める。特定の実施形態では、反応は、約-80℃~約25℃、約-70℃~約25℃、約-60℃~約25℃又は約-50℃~約25℃の任意の温度で実行される。化合物(3)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の体積で実施され、反応の規模に依存する。特定の実施形態では、反応体積は、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mL、少なくとも約200mL、少なくとも約225mL、少なくとも約250mL、少なくとも約500mL、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L又は少なくとも約5Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約200mL~少なくとも約10,000Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約1000L、少なくとも約5000L又は少なくとも約10,000Lである。上記反応は、化合物(3)の形成に適切と見なされる任意の時間にわたり進行することができる。特定の実施形態では、反応は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間にわたり進行する。特定の実施形態では、反応は、約1~約6時間にわたり進行し、別の実施形態では約1~約4時間、別の実施形態では約2~約4時間、別の実施形態では約2.5~約3.5時間にわたり進行する。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によってモニターすることができる。一部の実施例では、反応は、TLCによって試薬の消費を観察することにより、モニターされる。
【0158】
一部の実施例では、式(Ib)の化合物は、化合物(7):
【0159】
【0160】
である。一部の実施例では、化合物(7)は、化合物(6)と還元剤とを接触させることによって作製される:
【0161】
【0162】
化合物(7)を作製する方法は、1種又は2種以上の非プロトン性非ハロゲン化溶媒中で実施されてもよい。その他の実施例では、溶媒は、反応を実施するために当業者に適切と見なされる任意の溶媒とすることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、炭化水素溶媒、例えば限定するものではないがペンタン、ヘキサン、ヘプタン、芳香族炭化水素溶媒、例えば限定するものではないがトルエン、キシレン、エーテル溶媒、例えば限定するものではないがTHF、MTBE、メチル-THF及びこれらの組合せからなる群から選択される。特定の実施形態では、溶媒は、トルエンとTHFとの混合物である。例えば、溶媒は、50v/v%のトルエン及び50v/v%のTHFとすることができる。特定の実施形態では、溶媒は、トルエンである。
【0163】
一部の実施例では、溶媒は、エーテル、エステル、芳香族、アルカン及びケトンからなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒は、N-メチル-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルアセトアミド(DMAC)からなる群から選択される。一部の実施例では、溶媒がエーテルであるとき、溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、メチルtert-ブチルエチル(MTBE)及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がエステルであるとき、溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒が芳香族であるとき、溶媒は、トルエン、キシレン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がアルカンであるとき、溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施例では、溶媒がケトンであるとき、溶媒は、メチルエチルケトン(MEK)から選択される。一部の実施例では、溶媒は、前述の溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、上記エーテル、エステル、芳香族、アルカン及びケトン溶媒のいずれかの組合せである。一部の実施例では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン及びこれらの組合せから選択される。一部の実施形態では、溶媒は、NMP、DMF、DMAC、THF、MeTHF、MTBE、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルエチルケトン又はこれらの組合せを含む。
【0164】
化合物(7)を作製するための方法は、好ましくは還元剤と共に実施される。
【0165】
化合物(6)の濃度は、約0.1M~約2Mである。化合物(7)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の温度で実施される。特定の実施形態では、反応は、約0℃~約80℃、約10℃~約75℃、約20℃~約65℃又は約30℃から約55℃の任意の温度で実行される。特定の実施形態では、反応は、室温である。特定の実施形態では、反応は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃又は約85℃である。
【0166】
化合物(7)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の体積で実施され、反応の規模に依存する。特定の実施形態では、反応体積は、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mL、少なくとも約200mL、少なくとも約225mL、少なくとも約250mL、少なくとも約500mL、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L又は少なくとも約5Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約200mL~少なくとも約10,000Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約1000L、少なくとも約5000L、少なくとも約10,000L、少なくとも約25,000L、少なくとも約50,000L、少なくとも約75,000L又は少なくとも約10,000Lである。
【0167】
上記反応は、化合物(7)の形成に適切と見なされる任意の時間にわたり進行することができる。特定の実施形態では、反応は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、又は約6時間にわたり進行する。特定の実施形態では、反応は、約1~約6時間にわたり進行し、別の実施形態では約1~約4時間、別の実施形態では約2~約4時間、別の実施形態では約2.5~約3.5時間にわたり進行する。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によってモニターすることができる。
【0168】
本明細書の方法は、反応が進行するにつれて撹拌し又はかき混ぜるステップをさらに含んでもよい。
【0169】
一部の実施例では、化合物(6)は、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)と、メチルアミンとを接触させることによって作製される:
【0170】
【0171】
化合物(6)を作製する方法は、1種又は2種以上の溶媒中で実施される。溶媒は、反応を実施するために当業者に適切と見なされる任意の溶媒とすることができる。ある特定の実施形態では、溶媒は、化合物(5)又はメチル-アミンと、目に見えるほどには反応しない。ある特定の実施形態では、溶媒は、水の共沸除去を可能にするが、反応には関与しない。ある特定の実施形態では、溶媒は、トルエンから選択される。
【0172】
化合物(5)又はメチル-アミンの濃度は、約0.1M~約2Mである。一部の実施例では、僅かに過剰なメチルアミンを使用して、イミドを上回るジアミドの形成を回避する。一部の実施例では、過剰量のメチルアミンは、10~20モル%過剰である。
【0173】
化合物(5)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の温度で実施される。特定の実施形態では、反応は、約0℃~約80℃、約10℃~約75℃、約20℃~約65℃又は約30℃~約55℃の任意の温度で実行される。特定の実施形態では、反応は室温である。特定の実施形態では、反応は、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃、約40℃、約41℃、約42℃、約43℃、約44℃、約45℃、約46℃、約47℃、約48℃、約49℃、約50℃、約51℃、約52℃、約53℃、約54℃、約55℃、約56℃、約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃又は約85℃である。
【0174】
化合物(5)を作製するための方法は、当業者により適切と見なされる任意の体積で実施され、反応の規模に依存する。特定の実施形態では、反応体積は、少なくとも約50mL、少なくとも約100mL、少なくとも約150mL、少なくとも約200mL、少なくとも約225mL、少なくとも約250mL、少なくとも約500mL、少なくとも約1L、少なくとも約2L、少なくとも約3L、少なくとも約4L又は少なくとも約5Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約200mL~少なくとも約10,000Lである。別の実施形態では、反応体積は、少なくとも約1000L、少なくとも約5000L又は少なくとも約10,000Lである。
【0175】
上記反応は、化合物(5)の形成に適切と見なされる任意の時間にわたり進行することができる。特定の実施形態では、反応は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間又は約6時間にわたり進行する。特定の実施形態では、反応は、約1~約6時間にわたり進行し、別の実施形態では約1~約4時間、別の実施形態では約2~約4時間、別の実施形態では約2.5~約3.5時間にわたり進行する。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によってモニターすることができる。
【0176】
一部の実施例では、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)は、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)を、化合物(5)を含む混合物から単離することによって作製される。一部の実施例では、R(-)-リンゴ酸は、商業的に調達される。
【0177】
一部の実施例では、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)は、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)を、化合物(5)を含むラセミ混合物から単離することによって作製される。一部の実施例では、R(-)-リンゴ酸は、商業的に調達される。
【0178】
上記反応ステップのいずれかにおいて、反応の進行は、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー又は高性能液体クロマトグラフィーなどの標準技法によってモニターすることができる。一部の実施例では、反応は、TLCによって試薬の消費を観察することにより、モニターされる。
【0179】
C. R-1-メチル-ピロリジン-3-オールを作製するための方法
本明細書のある特定の実施例では、本開示は、式(Ib):
【0180】
【0181】
の化合物を作製するための方法について述べる。一部の実施例では、R1はアルキルである。一部の実施例では、方法は、化合物(5):
【0182】
【0183】
を準備するステップを含む。一部の実施例では、方法は、化合物(5)とアルキル-アミンとを接触させて、式Ibcの化合物を形成するステップを含む:
【0184】
【0185】
一部の実施例では、アルキルアミンはメチルアミンであり、R1はメチルである。一部の実施例では、方法はさらに、化合物(Ibc)と還元剤とを接触させて、式(Ib)の化合物を形成するステップを含む:
【0186】
【0187】
一部の実施例において、R1はアルキルである。その他の実施例において、R1は、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル、n-ペンチル又はi-ペンチルである。ある特定の実施例において、R1はメチル又はエチルである。一部の実施例において、R1はメチルである。ある特定の実施例において、R1はエチルである。一部の実施例において、式(Ib)の化合物は、化合物(7):
【0188】
【0189】
である。一部の実施例では、化合物(6)は、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)と、メチルアミンとを接触させることによって作製される:
【0190】
【0191】
これらの実施例のいくつかにおいて、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)は、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)を、R(-)-リンゴ酸とL(+)-リンゴ酸との混合物から単離することによって作製される。これらの実施例のその他いくつかでは、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)は、R(-)-リンゴ酸、化合物(5)を、化合物(5)を含むラセミ混合物から単離することによって作製される。
【0192】
ある特定の実施例では、R-1-メチル-ピロリジン-3-オールは、当業者に公知の方法により調製することができる。例えば、R-1-メチル-ピロリジン-3-オールは、アルキルハロゲン化物を使用し、その後、R-鏡像異性体のキラル分割によって、調製することができる。他の有用な手法は、EP 0 269 358に記載されている。米国特許出願公開第2007/0123557号明細書も参照されたい。
【0193】
D.本明細書に記載される方法によって作製された化合物及び医薬組成物
一部の実施例では、本明細書において、化合物、化合物の混合物、立体異性体の混合物又はこれらの組合せであって、本明細書に記載される方法により調製された化合物、化合物の混合物、立体異性体の混合物が記載される。
【0194】
一部の実施例では、本明細書において、上記方法の生成物が提供される。
【0195】
一部の実施例では、本明細書において、式(I):
【0196】
【0197】
の化合物を作製するための方法の生成物であって、
(式中:
R1及びR2がそれぞれいずれの場合も独立して、アルキル、及びアルコキシカルボニルで置換されたアルキルから選択され;
2により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり;
3’により示される炭素原子に関する立体化学配置はRであり;且つ
X-は、アニオンである。)
生成物が提供される。
【0198】
一部の実施例では、本明細書において、式(Ib):
【0199】
【0200】
の化合物を作製するための方法の生成物であって;
(式中、R1は、アルキルからなる群から選択される。)
生成物が提供される。
【0201】
一部の実施例では、2により示される炭素は、(R)立体化学性を有し、*3’により示される炭素は(R)立体化学性を有する。一部の実施例では、R1はメチルである。一部の実施例では、R1はエチルである。一部の実施例では、R1はメチルである。一部の実施例では、R1は-CH2C(O)OCH2CH3である。
【0202】
一部の実施例では、2により示される炭素は(R)立体化学性を有し、*3’により示される炭素は(R)立体化学性を有し、*1’により示される炭素は(R)又は(S)立体化学性を有する。一部の実施例では、R1はメチルである。一部の実施例では、R1はエチルである。
【0203】
一部の実施例では、2により示される炭素は(R)立体化学性を有し、*3’により示される炭素は(R)立体化学性を有し、*1’により示される炭素は(R)立体化学性を有する。一部の実施例では、R1はメチルである。一部の実施例では、R1はエチルである。
【0204】
一部の実施例では、2により示される炭素は(R)立体化学性を有し、*3’により示される炭素は(R)立体化学性を有し、*1’により示される炭素は(S)立体化学性を有する。一部の実施例では、R1はメチルである。一部の実施例では、R1はエチルである。
【0205】
一部の実施例では、式(I)の化合物は
【0206】
【0207】
である。
【0208】
一部の実施例では、式(I)の化合物は
【0209】
【0210】
である。
【0211】
一部の実施例では、式(I)の化合物は
【0212】
【0213】
である。
【0214】
一部の実施例では、本明細書において、下記の構造(Ia1a)及び(Ia2b):
【0215】
【0216】
を有する化合物の混合物を含む組成物について記載する。
【0217】
一部の実施例では、構造(Ia1)及び(Ia2)の化合物は、本明細書で述べる方法により調製される。一部の実施例では、化合物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は塩と共に製剤化される。
【0218】
一部の実施例では、構造(Ia1a)及び(Ia2b)の化合物は、本明細書で述べる方法により調製される。一部の実施例では、化合物は、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は塩と共に製剤化される。
【0219】
一部の実施例では、本明細書において、本明細書で述べる方法により調製された化合物を含む医薬組成物について記載する。一部の実施例では、組成物は、局所剤として製剤化される。
【0220】
一部の実施例では、本明細書において、本明細書で述べた方法により調製された化合物を含む、多形、共結晶、水和物及び溶媒和物について記載する。
【0221】
一部の実施例では、本明細書において、式(I)の化合物を作製するための方法によって調製された化合物を含む、多形、共結晶、水和物及び溶媒和物について記載する。
【0222】
一部の実施例では、本明細書において、式(II)の化合物を作製するための方法により調製された化合物を含む、多形、共結晶、水和物及び溶媒和物について記載する。
【0223】
E.グリコピロニウム塩を使用する方法
本開示は、疾患、状態又は障害、例えば多汗症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、グリコピロニウム化合物(例えば、3’(R)-[R-シクロペンチルフェニルヒドロキシアセトイ]-1’-エチル-1’メトキシカルボニルピロリジニウムブロミドなどのグリコピロニウム塩)などであるがこれらに限定することのない本明細書に開示される療法上有効な量の又は1種若しくは2種以上の化合物を投与するステップを含む、方法について記載する。疾患、障害及び/又は状態には、多汗症又は不安症に関連付けられるものが含まれるがこれらに限定するものではない。疾患、障害及び/又は状態には、抗コリン作用薬が療法剤である任意の徴候が含まれるが、これらに限定するものではない。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、胃腸障害を治療するステップを含む。一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、胃炎、下痢、幽門痙攣、憩室炎、潰瘍性大腸炎、吐き気及び嘔吐から選択される胃腸障害を治療するステップを含む。
【0224】
本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、泌尿生殖器障害を治療するステップを含む。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、膀胱炎、尿道炎及び前立腺炎から選択される泌尿生殖器障害を治療するステップを含む。
【0225】
本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、呼吸器障害を治療するステップを含む。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、喘息、慢性気管支炎及び慢性閉塞性肺疾患(COPD、chronic obstructive pulmonary disease)から選択される呼吸器障害を治療するステップを含む。
【0226】
本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、過敏性迷走神経に起因する洞性徐脈を治療するステップを含む。
【0227】
本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、不眠症を治療するステップを含む。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、短期的に不眠症を治療するステップを含む。
【0228】
本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、立ち眩みを治療するステップを含む。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、眩暈を治療するステップを含む。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、乗り物酔いに関連した症状を改善するステップを含む。
【0229】
本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、制唾効果を発揮させるステップを含む。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、唾液生成を媒介するステップを含む。本明細書の一部の実施例では、疾患、状態又は障害を治療する方法は、鎮静効果を発揮させるステップを含む。
【0230】
本明細書において、対象には、哺乳動物が含まれ、一般にはヒトも同様に含まれ、特に、しかし必然的にはヒトに限定される。一部の実施例では、対象は、特定の患者集団、例えば男性、女性、成人、子供又は限定するものではないが多汗症などの状態を有する人々によって特徴付けられる。
【0231】
一部の実施例では、本明細書において、多汗症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載された方法によって調製された化合物を含む組成物又は本明細書に記載された組成物を投与するステップを含む、方法が記載される。
【0232】
一部の実施例では、本明細書において、抗コリン作用剤を必要とすることを特徴とする疾患又は障害を治療する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書に記載される方法によって調製された化合物を含む組成物又は本明細書に記載される組成物を投与するステップを含む、方法が記載される。
【0233】
本明細書の一部の実施例では、対象は哺乳動物である。ある特定の実施例では、対象はヒトである。ある特定のその他の実施例では、ヒトが多汗症である。ある特定のその他の実施例では、ヒトが多汗症に罹患している。
【0234】
本明細書に記載される化合物は、単独で又は1種若しくは2種以上の追加の療法剤と一緒に投与することができる。1種又は2種以上の追加の療法剤は、本明細書に記載される化合物の投与の直前、投与と同時又は投与の直後に、投与することができる。本開示は、1種又は2種以上の追加の療法剤と組み合わせて、本明細書に記載される化合物のいずれかを含む医薬組成物、及びそれを必要とする対象にそのような組合せを投与するステップを含む治療方法も含む。
【0235】
本開示は、本明細書に記載される化合物の医薬組成物、例えば、本明細書に記載される化合物、その塩、立体異性体、立体異性体の混合物、多形及び薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤を含む組成物を、含む。適切な担体、希釈剤及び賦形剤の例には:適正な組成物pHを維持するための緩衝剤(例えば、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤など)、担体タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、生理食塩液、ポリオール(例えば、トレハロース、スクロース、キシリトール、ソルビトール及び同様のもの)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、ポリオキソレート及び同様のもの)、抗菌剤及び抗酸化剤が含まれるがこれらに限定するものではない。
【0236】
本発明の別の態様では、前述の又は以下の実施形態のいずれかを含む、本明細書に記載される化合物の多形又は非晶質形態と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物がある。
【0237】
本明細書に記載される化合物又は組成物は、薬学的に許容される賦形剤、薬学的に許容される担体及び薬学的に許容される媒体などの添加剤と共に製剤化することにより、医薬組成物として製剤化することができる。適切な、薬学的に許容される賦形剤、担体及び媒体は、加工剤及び薬物送達調節剤及び強化剤、例えばリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖、二糖、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストロース、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ポリビニルピロリジノン、低融点ワックス、イオン交換樹脂及び同様のものなど、並びにこれらのいずれか2種又は3種以上の組合せを含む。その他の適切な、薬学的に許容される賦形剤は、参照によりその全体が全ての目的で本明細書に組み込まれる、“Remington's Pharmaceutical Sciences,” Mack Pub. Co., New Jersey (1991)並びに“Remington: The Science and Practice of Pharmacy,” Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, 20th edition (2003)及び21st edition (2005)に記載されている。
【0238】
医薬組成物は、単位用量が、療法上の若しくは抑制の効果を示すのに十分な用量であり又は本明細書に記載される疾患若しくは状態を変調させ若しくは治療するのに有効な量である、単位用量製剤を含むことができる。単位用量は、療法上の若しくは抑制の効果を発揮させるのに単回用量として十分であってもよく、又は本明細書に記載される疾患若しくは状態を変調させ若しくは治療するのに有効な量であってもよい。或いは単位用量は、障害の治療若しくは抑制の過程で周期的に投与される、又は本明細書に記載される疾患若しくは状態を変調させ若しくは治療する、用量であってもよい。
【0239】
本発明の化合物又は組成物を含有する医薬組成物は、例えば溶液、懸濁液又は乳濁液を含む、対象となる投与方法に適切な任意の形態であってもよい。一部の実施例では、本明細書に記載される組成物は、局所施用に適切である。一部の実施例では、液体担体は、溶液、懸濁液及び乳濁液を調製する際に典型的に使用される。本発明の実施に際して使用することが企図される液体担体には、例えば、水、生理食塩液、薬学的に許容される有機溶媒、薬学的に許容される油又は脂肪及び同様のもの、並びにこれらの2種又は3種以上の混合物が含まれる。液体担体は、可溶化剤、乳化剤、栄養剤、緩衝液、保存剤、懸濁化剤、増粘剤、粘度調節剤、安定化剤及び同様のものなど、その他の適切な薬学的に許容される添加剤を含有してもよい。適切な有機溶媒には、例えば、エタノールなどの1価アルコール、グリコールなどの多価アルコールが含まれる。適切な油には、例えば、大豆油、ヤシ油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油及び同様のものが含まれる。
【0240】
本発明の化合物又は組成物は、従来の無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント及び媒体を所望通りに含有する投薬単位製剤として、局所的に投与されてもよい。例えば、投与の適切な様式には、経皮又は経粘膜、鼻内(例えば、鼻粘膜を介する)及び同様のもの、並びに対象における特定の又は罹患した部位に直接的なものが含まれる。局所投与では、経皮パッチ又はイオン泳動デバイスなどの経皮投与の使用を含んでもよい。化合物又は組成物は、所望の投与経路に適切な、薬学的に許容される担体、アジュバント及び媒体と混合される。本明細書で使用される、記載される化合物は、固体形態で、液体形態で、エアゾール形態で又は錠剤、丸剤、粉末混合物、カプセル剤、顆粒剤、クリーム剤、溶液剤、乳剤、分散剤の形態で、及びその他の適切な形態で投与することができる。化合物は、プロドラッグとして投与することもでき、このプロドラッグは、治療される対象内で、療法上有効な形態に変換されるものである。追加の投与方法は、当技術分野で公知である。
[実施例]
【0241】
F.実施例
他に指示しない限り、化学試薬は、商業上入手可能な供給元から購入した。
【0242】
本明細書で使用される試薬は、商業上の供給業者から入手可能であり、他に本明細書で指定しない限り又は本明細書に試薬の調製が記載されない限り、商業上入手可能な供給元から購入した。
【実施例1】
【0243】
以下の合成の記載は、
図1に例示される番号が付された化合物を指す。
図1中のこれらの化合物を指す番号は、この実施例では太字であり下線が引かれる。
【0244】
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(
4)の合成
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物
4)は、
図1のスキームによりR(-)-マンデル酸(化合物
1)から開始して合成することができる。化合物
1及び
4は、Sigma-Aldrich社から購入することもできる。
【0245】
ステップ1:化合物2の作製。
R(-)-マンデル酸(1)をヘキサン中に懸濁し、ピバルデヒド及び触媒量のトリフルオロメタンスルホン酸と室温で混合して、混合物を形成した。詳細には、R(-)-マンデル酸のヘキサン懸濁液(50g、328mmol)を、ピバルデヒド(42.7ml、396mmol)と混合し、次いでトリフルオロメタンスルホン酸(1.23ml、14mmol)と室温で混合した。混合物を36℃に温め、次いで約5時間反応させた。反応の後、出発材料が検出できなくなるまでTLCを5時間行った。次いで混合物を室温に冷却した。次いで混合物を室温に冷却し、8%の水性重炭酸ナトリウムで処理した。水性層を除去し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。真空中での溶媒の濾過及び除去後、粗製生成物を再結晶化させて、(5R)-2-(tert-ブチル)-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(化合物2)が収率88%(S-鏡像異性体収率当たり)で得られた。
【0246】
ステップ2:化合物3の作製。
一般に、化合物2をリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS、lithium hexamethyl disilazide)とヘキサン中で、-78℃で1時間撹拌しながら反応させた。次に、臭化シクロペンチルを、化合物2とLiHMDSとの反応に添加した。反応を約4時間冷却したままにし、次いでゆっくり室温まで温め、さらに少なくとも12時間反応させた。次いで得られた混合物を、10%の水性塩化アンモニウムで処理した。水性層を廃棄し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を真空中で除去し、残留物をヘキサンから再結晶化して、純粋な生成物(5R)-2-(tert-ブチル)-5-シクロペンチル-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(3)を、63%の収率(S-鏡像異性体収率当たり)で得た。ある特定の場合、-78℃で、リチウムビス-(トリメチルシリル)アミドのヘキサン溶液(120ml、120mmol、ヘキサン中1.0M)を化合物2(25g、113.5mmol、乾燥THF 100mlに溶解した)に添加し、1時間撹拌し、その後、臭化シクロペンチル(25g、168mmol)を添加した。反応を-78℃で4時間保持し、次いでゆっくりと室温まで温め、さらに12時間反応させた。反応の終了後、TLCを行った。撹拌しながら、NH4Clの10%の溶液(25ml)を混合物に添加した。次いで混合物を、10%のNH4Cl溶液(200ml)が入っている分液漏斗に注いだ。水性層を廃棄し、有機層をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を除去して粗製生成物を得、次いでこれをヘキサン中に再結晶化して、純粋な生成物(20.36g、収率63%、白色結晶)を得た。
【0247】
ステップ3:化合物4の作製。
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物4)は、化合物3を、水性メタノール性水酸化カリウム中に65℃で4時間供給することによって、調製した。この混合物を室温まで冷却し、真空中でメタノールを除去した後、水溶液を、塩酸水溶液で酸性化した。次いで水溶液を酢酸エチルで2回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、再結晶化を行った後、純粋なR(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物4)を、62%の収率(S-鏡像異性体収率に基づく)で得た。
【0248】
(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(7)の合成。
(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(化合物7)を、R(-)-リンゴ酸で開始して調製した。
【0249】
ステップ4:化合物6の作製。
R(-)-リンゴ酸((S)-2-ヒドロキシコハク酸としても公知である)(化合物5)をメチルアミン(CH3NH2)と反応させて、(R)-3-ヒドロキシ-1-メチルピロリジン-2,5-ジオン(化合物6)を形成した。(R)-3-ヒドロキシ-1-メチルピロリジン-2,5-ジオン(6)を還元剤で処理して、(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(化合物7)を形成した。ある場合には、化合物6の還元を、NaAlH4/LiClを使用して行った。塩化リチウム(0.11モル)をTHFに溶かした冷却溶液に、NaAlH4(0.22モル)をトルエン/THFに溶かしたものを、アルゴン中で添加した。N-メチルスクシンイミド(0.083モル)をTHFに溶かしたものを、温度を15℃よりも低く保持しながら添加した。添加が終了した後、反応を室温まで温めた。室温で30分後、反応を、2時間にわたり40℃よりも高く加熱した。次いで反応を5℃未満に冷却し、次いでトルエン(50ml)を添加した。次いで水(9ml)を、温度を15℃よりも低く保持しながらゆっくり添加した。追加のH2O又は水性NaOHを、必要に応じて使用した。不溶性無機塩を、濾過によって除去する。これらの固形分を、追加のTHF又はトルエンで洗浄して、GLC分析により決定されるように、N-メチルピロールを含有した溶液を得る。
【0250】
2R3’R-グリコピロレート塩基(8)の合成
ステップ5:化合物8の作製。
1,1-カルボニルジイミドアゾール(CDI)活性化エステル化を使用して、R(-)-シクロペンチルマンデル酸(4)を、(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(7)にカップリングし、ジアステレオマーとして純粋な2R3’R-グリコピロレート塩基(化合物8)を作製した。R2R3’R-グリコピロレート塩基(化合物8)を、90%よりも高い収率で得た。
【0251】
臭化3’(R)-[R-シクロペンチルフェニルヒドロキシアセトイ]-1’-エチル-1’メトキシカルボニルピロリジニウム(9)の合成
ステップ6:化合物9の作製。
グリコピロレート塩基、化合物8((R)-1-メチルピロリジン-3-イル-(R)-2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセテート)を、乾燥アセトニトリル中、ブロモ酢酸メチルで室温で、3時間撹拌しながら処理した。粗製生成物を少量の塩化メチレンに溶解し、乾燥エチルエーテル中に注いで、沈殿物を得た。この手順を3回繰り返して、臭化3’(R)-[R-シクロペンチルフェニルヒドロキシアセトイ]-1’-エチル-1’メトキシカルボニルピロリジニウムとしても公知の臭化(3R)-3-((R)-2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトキシ)-1-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-1-メチルピロリジン-1-イウム(化合物9)を、89%の収率で得た。
【実施例2】
【0252】
下記の合成の記載は、
図2に例示される、番号が付された化合物を指す。
図2のこれらの化合物を指す番号は、この実施例では太字であり下線が引かれている。
【0253】
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(4)の合成
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物4)は、実施例1によるR(-)-マンデル酸(化合物1)で開始して合成することができる。
【0254】
ステップ1:化合物2の作製。
R(-)-マンデル酸(1)をヘキサンに懸濁し、ピバルデヒド及び触媒量のトリフルオロメタンスルホン酸と室温で混合して、混合物を形成した。混合物を36℃に温め、次いで約5時間反応させた。次いで混合物を室温まで冷却し、8%の水性重炭酸ナトリウムで処理した。水性層を除去し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。真空中での溶媒の濾過及び除去の後、粗製生成物を再結晶化させて、(5R)-2-(tert-ブチル)-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(化合物2)が88%の収率(S-鏡像異性体収率当たり)で得られた。
【0255】
ステップ2:化合物3の作製。
化合物2を、リチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)と、ヘキサン中、-78℃で、1時間撹拌しながら反応させた。次に、臭化シクロペンチルを、化合物2及びLiHMDSを含む反応混合物に添加した。反応を、約4時間冷却したままにし、次いでゆっくり室温まで温め、さらに少なくとも12時間反応させた。次いで得られた混合物を、10%の水性塩化アンモニウムで処理した。水性層を廃棄し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、残留物をヘキサンから再結晶化させて、純粋な生成物(5R)-2-(tert-ブチル)-5-シクロペンチル-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(3)を、63%の収率(S-鏡像異性体収率当たり)で得た。
【0256】
ステップ3:化合物4の作製。
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物4)は、化合物3を、水性メタノール性水酸化カリウムに、65℃で4時間にわたり供給することによって調製した。この混合物を室温に冷却し、真空中でメタノールを除去した後、水溶液を、塩酸水溶液で酸性化した。次いで水溶液を、酢酸エチルで2回抽出し、有機相を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、再結晶化を行った後、純粋なR(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物4)が、62%の収率(S-鏡像異性体収率に基づく)で得られた。
【0257】
次に、1-メチル-3-ピリジノール(20)のラセミ混合物を得た:
【0258】
【0259】
2R3’R-グリコピロレート塩基(8)の合成
ステップ4:化合物8の作製。
鏡像異性体として純粋なR(-)-シクロペンチルマンデル酸(4)を、1,1-カルボニルジイミドアゾール(CDI)活性化エステル化を使用してラセミ1-メチル-3-ピリジノール(20)にカップリングし、下記のエリトロ-及びトレオ-グリコピロレート塩基(それぞれ、化合物8及び21)の鏡像異性体として純粋な混合物を作製した:
【0260】
【0261】
次いで2R3’R-グリコピロレート塩基(化合物8)を、フィンランド特許第49713号明細書の5-ニトロイソフタル酸塩の手順を使用して分割して、鏡像異性体として純粋な2R3’R(エリトロ)並びに純粋な2R3’S(トレオ)を得た。この実施例では、2R3’S(トレオ)を廃棄した。2R3’R(エリトロ)を、立体異性体として純粋な化合物8として分離した。
【0262】
ステップ6:化合物9の作製。
グリコピロレート塩基、化合物8を、乾燥アセトニトリル中、ブロモ酢酸メチルで室温で、3時間撹拌しながら処理した。粗製生成物を少量の塩化メチレンに溶解し、乾燥エチルエーテルに注いで、沈殿物を得た。この手順を3回繰り返して、臭化3’(R)-[R-シクロペンチルフェニルヒドロキシアセトイ]-1’-エチル-1’メトキシカルボニルピロリジニウムとしても公知の臭化(3R)-3-((R)-2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトキシ)-1-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-1-メチルピロリジン-1-イウム(化合物9)を、89%の収率で得た。化合物9は、下記の立体異性体:
【0263】
【0264】
を含んでいた。
【実施例3】
【0265】
下記の合成の記載は、
図3に例示される、番号が付された化合物を指す。
図3のこれらの化合物を指す番号は、この実施例では太字であり、下線が引かれている。
【0266】
S(+)-シクロペンチルマンデル酸(
40)の合成
S(+)-シクロペチルマンデル酸(化合物
40)は、
図3のスキームによりS(+)-マンデル酸(化合物
10)で開始して合成することができる。化合物
10及び
40は、Sigma-Aldrich社から購入することができる。
【0267】
ステップ1:化合物25の作製。
S(+)-マンデル酸(10)をヘキサン中に懸濁し、ピバルデヒド及び触媒量のトリフルオロメタンスルホン酸と室温で混合して、混合物を形成した。詳細には、S(+)-マンデル酸のヘキサン懸濁液(50g、328mmol)を、ピバルデヒド(42.7ml、396mmol)と混合し、次いでトリフルオロメタンスルホン酸(1.23ml、14mmol)と室温で混合した。混合物を36℃に温め、次いで約5時間反応させた。反応の後、出発材料が検出できなくなるまでTLCを5時間行った。次いで混合物を室温に冷却した。次いで混合物を室温に冷却し、8%の水性重炭酸ナトリウムで処理した。水性層を除去し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。真空中での溶媒の濾過及び除去後、粗製生成物を再結晶化させて、cis-(2R,5S)-2-tert-ブチル)-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(化合物25)が収率88%(S-鏡像異性体収率当たり)で得られた。
【0268】
ステップ2:化合物30の作製。
一般に、化合物25をリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)とヘキサン中で、-78℃で1時間撹拌しながら反応させた。次に、臭化シクロペンチルを、化合物25とLiHMDSとの反応に添加した。反応を約4時間冷却したままにし、次いでゆっくり室温まで温め、さらに少なくとも12時間反応させた。次いで得られた混合物を、10%の水性塩化アンモニウムで処理した。水性層を廃棄し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を真空中で除去し、残留物をヘキサンから再結晶化して、純粋な生成物(5S)-2-(tert-ブチル)-5-シクロペンチル-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(30)を得た。ある特定の場合、-78℃で、リチウムビス-(トリメチルシリル)アミドのヘキサン溶液(120ml、120mmol、ヘキサン中1.0M)を化合物25(25g、113.5mmol、乾燥THF 100mlに溶解した)に添加し、1時間撹拌し、その後、臭化シクロペンチル(25g、168mmol)を添加した。反応を-78℃で4時間保持し、次いでゆっくりと室温まで温め、さらに12時間反応させた。反応の終了後、TLCを行った。撹拌しながら、NH4Clの10%の溶液(25ml)を混合物に添加した。次いで混合物を、10%のNH4Cl溶液(200ml)が入っている分液漏斗に注いだ。水性層を廃棄し、有機層をNa2SO4上で乾燥した。溶媒を除去して粗製生成物を得、次いで、これをヘキサン中で再結晶化して、純粋な生成物(20.36g、収率63%、白色結晶)を得た。
【0269】
ステップ3:化合物40の作製。
S(+)-シクロペンチルマンデル酸(化合物40)は、化合物30を、水性メタノール性水酸化カリウム中に65℃で4時間供給することによって、調製した。この混合物を室温まで冷却し、真空中でメタノールを除去した後、水溶液を、塩酸水溶液で酸性化した。次いで水溶液を酢酸エチルで2回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、再結晶化を行った後、純粋なS(+)-シクロペンチルマンデル酸(化合物40)が得られた。
【0270】
(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(7)の合成。
(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(化合物7)を、R(-)-リンゴ酸で開始して調製した。
【0271】
ステップ4:化合物6の作製。
R(-)-リンゴ酸((S)-2-ヒドロキシコハク酸としても公知である)(化合物5)をメチルアミン(CH3NH2)と反応させて、(R)-3-ヒドロキシ-1-メチルピロリジン-2,5-ジオン(化合物6)を形成した。(R)-3-ヒドロキシ-1-メチルピロリジン-2,5-ジオン(6)を還元剤で処理して、(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(化合物7)を形成した。ある場合には、化合物6の還元を、NaAlH4/LiClを使用して行った。塩化リチウム(0.11モル)をTHFに溶かした冷却溶液に、NaAlH4(0.22モル)をトルエン/THFに溶かしたものを、アルゴン中で添加した。N-メチルスクシンイミド(0.083モル)をTHFに溶かしたものを、温度を15℃よりも低く保持しながら添加した。添加が終了した後、反応を室温まで温めた。室温で30分後、反応を、2時間にわたり40℃よりも高く加熱した。次いで反応を5℃未満に冷却し、次いでトルエン(50ml)を添加した。次いで水(9ml)を、温度を15℃よりも低く保持しながらゆっくり添加した。追加のH2O又は水性NaOHを、必要に応じて使用した。不溶性無機塩を、濾過によって除去する。これらの固形分を、追加のTHF又はトルエンで洗浄して、GLC分析により決定されるように、N-メチルピロールを含有した溶液を得る。
【0272】
2R3’R-グリコピロレート塩基(80)の合成
ステップ5:化合物8の作製。
1,1-カルボニルジイミドアゾール(CDI)活性化エステル化を使用して、S(+)-シクロペンチルマンデル酸(40)を、(R)-1-メチルピロリジン-3-オール(7)にカップリングし、ジアステレオマーとして純粋な2S3’R-グリコピロレート塩基(化合物80)を作製した。S2R3’R-グリコピロレート塩基(化合物80)を、90%よりも高い収率で得た。
【0273】
臭化3’(R)-[S-シクロペンチルフェニルヒドロキシアセトイ]-1’-エチル-1’メトキシカルボニルピロリジニウム(90)の合成
ステップ6:化合物90の作製。
グリコピロレート塩基、化合物80を、乾燥アセトニトリル中、ブロモ酢酸メチルで室温で、3時間撹拌しながら処理した。粗製生成物を少量の塩化メチレンに溶解し、乾燥エチルエーテル中に注いで、沈殿物を得た。この手順を3回繰り返して、臭化3’(R)-[S-シクロペンチルフェニルヒドロキシアセトイ]-1’-エチル-1’メトキシカルボニルピロリジニウムとしても公知の臭化(3R)-3-((S)-2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトキシ)-1-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-1-メチルピロリジン-1-イウム(化合物90)を得た。
【実施例4】
【0274】
下記の合成の記載は、
図4に例示される、番号が付された化合物を指す。
図4のこれらの化合物を指す番号は、この実施例では太字であり、下線が引かれている。
【0275】
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(
4)の合成
R(-)-シクロペチルマンデル酸(化合物
4)は、
図4のスキームによりR(-)-マンデル酸(化合物
1)で開始して合成することができる。化合物
1及び
4は、Sigma-Aldrich社から購入することもできる。
【0276】
ステップ1:化合物2の作製。
R(-)-マンデル酸(1)を、ヘキサンに懸濁し、ピバルデヒド及び触媒量のトリフルオロメタンスルホン酸と室温で混合して、混合物を形成する。詳細には、R(-)-マンデル酸のヘキサン懸濁液(50g、328mmol)を、ピバルデヒド(42.7ml、396mmol)と混合し、次いでトリフルオロメタンスルホン酸(1.23ml、14mmol)と室温で混合する。混合物を36℃に温め、次いで約5時間反応させる。反応の後、出発材料が検出できなくなるまでTLCを5時間行う。次いで混合物を室温に冷却する。次いで混合物を室温に冷却し、8%の水性重炭酸ナトリウムで処理する。水性層を除去し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥する。真空中での溶媒の濾過及び除去後、粗製生成物を再結晶化させて、(5R)-2-(tert-ブチル)-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(化合物2)を得る。
【0277】
ステップ2:化合物3の作製。
一般に、化合物2をリチウムヘキサメチルジシラジド(LiHMDS)とヘキサン中で、-78℃で1時間撹拌しながら反応させる。次に、臭化シクロペンチルを、化合物2とLiHMDSとの反応に添加する。反応を約4時間冷却したままにし、次いでゆっくり室温まで温め、さらに少なくとも12時間反応させる。次いで得られた混合物を、10%の水性塩化アンモニウムで処理する。水性層を廃棄し、有機層を無水硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残留物をヘキサンから再結晶化して、純粋な生成物(5R)-2-(tert-ブチル)-5-シクロペンチル-5-フェニル-1,3-ジオキソラン-4-オン(3)を得る。ある特定の場合、-78℃で、リチウムビス-(トリメチルシリル)アミドのヘキサン溶液(120ml、120mmol、ヘキサン中1.0M)を化合物2(25g、113.5mmol、乾燥THF 100mlに溶解した)に添加し、1時間撹拌し、その後、臭化シクロペンチル(25g、168mmol)を添加する。反応を-78℃で4時間保持し、次いでゆっくりと室温まで温め、さらに12時間反応させる。反応の終了後、TLCを行う。撹拌しながら、NH4Clの10%の溶液(25ml)を混合物に添加する。次いで混合物を、10%のNH4Cl溶液(200ml)が入っている分液漏斗に注ぐ。水性層を廃棄し、有機層をNa2SO4上で乾燥する。溶媒を除去して粗製生成物を得、次いでこれをヘキサン中に再結晶化させて、純粋な生成物を得る。
【0278】
ステップ3:化合物4の作製。
R(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物4)は、化合物3を、水性メタノール性水酸化カリウム中に65℃で4時間供給することによって、調製する。この混合物を室温まで冷却し、真空中でメタノールを除去した後、水溶液を、塩酸水溶液で酸性化する。次いで水溶液を酢酸エチルで2回抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を除去し、再結晶化を行った後、純粋なR(-)-シクロペンチルマンデル酸(化合物4)が得られる。
【0279】
(S)-1-メチルピロリジン-3-オール(70)の合成。
(S)-1-メチルピロリジン-3-オール(化合物70)を、S(+)-リンゴ酸で開始して調製した。
【0280】
ステップ4:化合物6の作製。
S(+)-リンゴ酸((R)-2-ヒドロキシコハク酸としても公知である)(化合物50)をメチルアミン(CH3NH2)と反応させて、(S)-3-ヒドロキシ-1-メチルピロリジン-2,5-ジオン(化合物60)を形成する。(S)-3-ヒドロキシ-1-メチルピロリジン-2,5-ジオン(6)を還元剤で処理して、(S)-1-メチルピロリジン-3-オール(化合物70)を形成する。ある場合には、化合物60の還元を、NaAlH4/LiClを使用して行う。塩化リチウム(0.11モル)をTHFに溶かした冷却溶液に、NaAlH4(0.22モル)をトルエン/THFに溶かしたものを、アルゴン中で添加する。
【0281】
N-メチルスクシンイミド(0.083モル)をTHFに溶かしたものを、温度を15℃よりも低く保持しながら添加する。添加が終了した後、反応を室温まで温める。室温で30分後、反応を、2時間にわたり40℃よりも高く加熱する。次いで反応を5℃未満に冷却し、次いでトルエン(50ml)を添加する。次いで水(9ml)を、温度を15℃よりも低く保持しながらゆっくり添加する。追加のH2O又は水性NaOHを、必要に応じて使用する。不溶性無機塩を、濾過によって除去する。これらの固形分を、追加のTHF又はトルエンで洗浄して、GLC分析により決定されるように、N-メチルピロールを含有した溶液を得る。
【0282】
トレオ-グリコピロレート塩基:2R3’S-グリコピロレート塩基(21)の合成
ステップ5:化合物21の作製。
1,1-カルボニルジイミドアゾール(CDI)活性化エステル化を使用して、R(-)-シクロペンチルマンデル酸(4)を、(S)-1-メチルピロリジン-3-オール(70)にカップリングし、ジアステレオマーとして純粋な2R3’S-グリコピロレート塩基(化合物21)を作製する。
【0283】
ステップ6:化合物100の作製。
グリコピロレート塩基、化合物21を、乾燥アセトニトリル中、ブロモ酢酸メチルで室温で、3時間撹拌しながら処理する。粗製生成物を少量の塩化メチレンに溶解し、乾燥エチルエーテル中に注いで、沈殿物を得る。この手順を3回繰り返して、臭化3’(S)-[R-シクロペンチルフェニルヒドロキシアセトイ]-1’-エチル-1’メトキシカルボニルピロリジニウムとしても公知の臭化(3S)-3-((R)-2-シクロペンチル-2-ヒドロキシ-2-フェニルアセトキシ)-1-(2-エトキシ-2-オキソエチル)-1-メチルピロリジン-1-イウム(化合物100)を得る。
【0284】
上述の実施形態及び実施例は、単なる例示であり非限定的なものとする。当業者なら、特定の化合物、材料及び手順の数多くの均等物を、通常の実験のみを使用して認識され又は確認されよう。全てのそのような均等物は、範囲内にあると見なされ、添付される特許請求の範囲に包含される。