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特許7161467微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置
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  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図1
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図2
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図3
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図4
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図5
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図6
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図7
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図8
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図9
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図10
  • 特許-微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】微細気泡発生用ノズル、該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、および該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/2373 20220101AFI20221019BHJP
   B01F 25/21 20220101ALI20221019BHJP
   B01F 25/40 20220101ALI20221019BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20221019BHJP
   C12M 1/04 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
B01F23/2373
B01F25/21
B01F25/40
B01F35/71
C12M1/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019517995
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2019014150
(87)【国際公開番号】W WO2019189812
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2019-04-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/013730
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000176763
【氏名又は名称】三菱ケミカルエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 均
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【弁理士】
【氏名又は名称】林 司
(72)【発明者】
【氏名】樋口 正守
(72)【発明者】
【氏名】国友 信秀
(72)【発明者】
【氏名】碇 賢史
(72)【発明者】
【氏名】新谷 悦郎
【合議体】
【審判長】河本 充雄
【審判官】関根 崇
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-290192(JP,A)
【文献】特開2004-174287(JP,A)
【文献】特開昭62-121625(JP,A)
【文献】実開昭63-86828(JP,U)
【文献】特開2012-176335(JP,A)
【文献】特開平5-252848(JP,A)
【文献】特開2003-62441(JP,A)
【文献】特開平8-192143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F
C02F1/,3/,7/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物または細胞を含む培養液に、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を混合させて、前記微細気泡を含有する前記培養液とするための微細気泡発生用ノズルであって、
上流側には、前記培養液が流入する流入口が設けられ、下流側には、前記微細気泡を含む気泡を混合させた前記培養液を放出する放出口が設けられた筒状体からなるノズル本体と、
前記ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられたスリットと、
前記スリットに接続され、前記スリットに気体を供給する気体供給部
を有し、
前記ノズル本体は、断面形状が円形であり、内面に段差を有さず、
前記ノズル本体の前記側面には、前記ノズル本体を流れる前記培養液に気体を供給する通路として、前記スリットのみが設けられていることを特徴とする、微細気泡発生用ノズル。
【請求項2】
前記スリットが、前記ノズル本体の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜する角度θを鋭角としたことを特徴とする、請求項1に記載の微細気泡発生用ノズル。
【請求項3】
前記スリットが、前記ノズル本体に複数段設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の微細気泡発生用ノズル。
【請求項4】
前記ノズル本体が1つの筒状体で形成されており、前記スリットが、一部に接続部を残し、前記1つの筒状体の周面を切削して設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズル。
【請求項5】
前記ノズル本体が2本以上の筒状体で形成されており、前記スリットが、前記筒状体の接続部に形成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズル。
【請求項6】
前記放出口付近における前記ノズル本体の内径が、下流側に向けて漸次拡張されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズル。
【請求項7】
前記請求項1~のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズルを用いて、前記培養液に、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を混合させる方法。
【請求項8】
培養液及び好気性または通性嫌気性微生物を含有する生物培養液を収容する培養槽と、
該培養槽から抜き出した生物培養液に、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を含有させる請求項1~6のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズルと、
該微細気泡を含有させた生物培養液を前記培養槽に還流する管路と、
を備えることを特徴とする、生物反応装置。
【請求項9】
前記培養槽から抜き出し、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を含有させた後に前記培養槽に還流する生物培養液の量を、1分間当たり、前記培養槽に収容された生物培養液の量の1%以上48%未満に設定することを特徴とする、請求項に記載の生物反応装置。
【請求項10】
前記請求項1~のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズルを複数本並列して設け、各微細気泡発生用ノズルにおいて、並行して、前記培養液にナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を混合させて、前記微細気泡を含有する前記培養液とすることを特徴とする、微細気泡発生用ノズル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、液体に、空気、酸素等の気体のナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を混合させ、気体の微細気泡を含有する液体とするために用いられる微細気泡発生用ノズル、この微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法、この微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置、およびこの微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体に含有される微細気泡による、液体の溶存酸素濃度(DO)を高める作用、滅菌・殺菌作用等に着目して、微細気泡を含有する液体は、シャワー水、浴槽水、洗濯水、洗浄水等として利用され、また、食品プラント、パルププラント、化学プラント等の各種産業から発生する廃水、家庭からの生活廃水等の廃水処理の分野、生物反応[微生物または細胞(以下、「微生物等」ともいう。)を培養して、微生物等に反応生成物を生成させたり、微生物等を増殖させる反応]や魚介類の養殖の分野において利用されている。
【0003】
本件発明においては、個数平均直径が1μm以上100μm以下の気泡をマイクロバブルといい、個数平均直径が1μm未満の気泡をナノバブルという。微細気泡の気泡径を測定する方法としては、画像解析法、レーザー回折散乱法、電気的検知帯法、共振式質量測定法、光ファイバープローブ法等が一般に用いられ、ナノバブルの気泡径を測定する方法としては、動的光散乱法、ブラウン運動トラッキング法、電気的検知帯法、共振式質量測定法等が一般に用いられている。極微小気泡である「ナノバブル」は、「ウルトラファインバブル」とも呼ばれる。なお、現在、ISO(国際標準化機構)において、ファインバブル技術に関する国際標準の作成が検討されており、国際標準が作成されれば、現在一般的に用いられている「ナノバブル」との呼称が、「ウルトラファインバブル」に統一される可能性もある。
【0004】
このような気体の微細気泡を含有する液体は、筒状体からなるノズル本体内を流れる液体に対して、ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に設けられた複数の噴出口から気体を吹き込むことにより、気体の微細気泡を含有する液体を得ている。(特許文献1および2)
【0005】
例えば、特許文献1には、図9にその外観を模式図で示すように、泥土の曝気装置10が開示されており、この曝気装置10では、筒状体からなるノズル本体11の流入口12から泥土を流入させ、放出口13から放出すると共に、ノズル本体11の中心軸に垂直な面に沿って、側面に設けられた複数の空気噴出口14から圧縮空気を吹き込み、泥土に微細気泡を混合させている。この曝気装置10においては、図10および図11の模式図に示すように、ノズル本体11内を流れる泥土に吹き込まれた圧縮空気は、気体の複数の帯A’を形成してノズル本体11の内面に沿って流れ、放出口13付近で微細気泡B’となる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1および2に開示されるような、ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に設けられた複数の噴出口から気体を吹き込む微細気泡発生用ノズルでは、ノズル本体内を流れる液体に対して吹き込まれた気体が複数の帯状を形成してノズル本体の内面に沿って流れるため、微細気泡の生成効率が悪く、液体の微細気泡含有率を効率良く十分に高めることは難しい。
【0007】
特許文献3には、開口部の高速水噴流に向けて、噴出環状口からオゾンを吹き出し、循環渦流の作用により水噴流に流入させるようにしたノズルが開示されている。また、特許文献4には、加圧された液体と、環状の隙間から供給された気体とを、撹拌混合室でループの流れによって撹拌混合するループ式バブル発生ノズルが開示されている。
【0008】
しかしながら、上記特許文献3および4に開示されるようなノズルは、開口部、撹拌混合室等の特定の箇所において、乱流を生じさせることにより液体と気体を混合するものであり、本件発明のノズル、上記特許文献1および2に開示されるノズルのような、ノズル本体内を流れる液体に対して気体を吹き込み、ノズル本体の内面に沿って流すタイプの、簡単な形状・構造の微細気泡発生用ノズルではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2004-121988号公報
【文献】特開2006-034235号公報
【文献】特許第3686763号公報
【文献】特許第5002480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本件発明者等は、筒状体からなる簡単な形状・構造のノズル本体を有する微細気泡発生用ノズルを用い、微細気泡の生成効率を向上させ、液体の微細気泡含有率を効率良く十分に高めることについて鋭意実験・検討を重ね、本件発明を成したものである。
【0011】
すなわち、本件発明の課題は、微細気泡の生成効率を向上させ、液体の微細気泡含有率を効率良く十分に高めることができる、簡単な形状・構造の微細気泡発生用ノズルを提供すること、この微細気泡発生用ノズルを用いた液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法を提供すること、この微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置を提供すること、およびこの微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本件発明者等は、従来の簡単な形状・構造の微細気泡発生用ノズル(すなわち、ノズル本体内を流れる液体に対して吹き込まれた気体をノズル本体の内面に沿って流して微細気泡を生成する従来のノズル)において、驚くべきことに、ノズル本体を流れる液体に対して、ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられたスリットを通して、気体を供給することにより、微細気泡の生成効率を向上させ、液体の微細気泡含有率を効率良く十分に高めることができることを見出し、本件発明を成したものである。
【0013】
本件発明の要旨を以下に示す。
(1)微生物または細胞を含む培養液に、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を混合させて、前記微細気泡を含有する前記培養液とするための微細気泡発生用ノズルであって、
上流側には、前記培養液が流入する流入口が設けられ、下流側には、前記微細気泡を含む気泡を混合させた前記培養液を放出する放出口が設けられた筒状体からなるノズル本体と、
前記ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられたスリットと、
前記スリットに接続され、前記スリットに気体を供給する気体供給部
を有し、
前記ノズル本体は、断面形状が円形であり、内面に段差を有さず、
前記ノズル本体の前記側面には、前記ノズル本体を流れる前記培養液に気体を供給する通路として、前記スリットのみが設けられていることを特徴とする、微細気泡発生用ノズル。
(2)前記スリットが、前記ノズル本体の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜する角度θを鋭角としたことを特徴とする、(1)に記載の微細気泡発生用ノズル。
(3)前記スリットが、前記ノズル本体に複数段設けられていることを特徴とする、(1)または(2)に記載の微細気泡発生用ノズル。
(4)前記ノズル本体が1つの筒状体で形成されており、前記スリットが、一部に接続部を残し、前記1つの筒状体の周面を切削して設けられていることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズル。
(5)前記ノズル本体が2本以上の筒状体で形成されており、前記スリットが、前記筒状体の接続部に形成されていることを特徴とする、(1)~(3)のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズル。
(6)前記放出口付近における前記ノズル本体の内径が、下流側に向けて漸次拡張されていることを特徴とする、(1)~(5)のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズル。
)前記(1)~()のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズルを用いて、前記培養液に、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を混合させる方法。
)培養液及び好気性または通性嫌気性微生物を含有する生物培養液を収容する培養槽と、該培養槽から抜き出した生物培養液に、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を含有させる(1)~(6)のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズルと、該微細気泡を含有させた生物培養液を前記培養槽に還流する管路と、を備えることを特徴とする、生物反応装置。
)前記培養槽から抜き出し、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を含有させた後に前記培養槽に還流する生物培養液の量を、1分間当たり、前記培養槽に収容された生物培養液の量の1%以上48%未満に設定することを特徴とする、()に記載の生物反応装置。
10)前記(1)~()のいずれかに記載の微細気泡発生用ノズルを複数本並列して設け、各微細気泡発生用ノズルにおいて、並行して、前記培養液にナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含む気泡を混合させて、前記微細気泡を含有する前記培養液とすることを特徴とする、微細気泡発生用ノズル装置。
【発明の効果】
【0014】
本件発明の微細気泡発生用ノズルは、簡単な形状・構造を有し、微細気泡の生成効率を向上させ、液体の微細気泡含有率を効率良く十分に高めることができる。
【0015】
また、本件発明の該微細気泡発生用ノズルを用いて液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法は、簡単かつ経済的に、微細気泡含有率を効率良く十分に高めて、液体に微細気泡を含む気泡を混合させることができる。
【0016】
また、本件発明の該微細気泡発生用ノズルを備えた生物反応装置は、簡単かつ経済的に、微細気泡含有率を効率良く十分に高めて、液体に微細気泡を含む気泡を混合させることのできる微細気泡発生用ノズルを備えることにより、微生物等が受けるストレス・ダメージを低減し、生物反応を効率的、経済的に行うことができる。
【0017】
また、本件発明の該微細気泡発生用ノズルを複数本備えた微細気泡発生用ノズル装置は、微細気泡発生用ノズルを複数本並列して設けて微細気泡発生用ノズル装置を構成することにより、微細気泡を含有する液体をより効率良く生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本件発明の微細気泡発生用ノズルの第1実施形態の外観を示す模式図である。
図2】本件発明の微細気泡発生用ノズルの第1実施形態の断面を示す模式図である。
図3図2における、I-I断面を示す模式図である。
図4】気体供給部を設けた、図1の微細気泡発生用ノズルの外観を示す模式図である。
図5】本件発明の微細気泡発生用ノズルの第2実施形態の断面を示す模式図である。
図6】本件発明の微細気泡発生用ノズルの第3実施形態の断面を示す模式図である。
図7】本件発明の微細気泡発生用ノズルの第4実施形態の断面を示す模式図である。
図8】本件発明の微細気泡発生用ノズルの応用例を示す、微生物等の培養装置の模式図である。
図9】特許文献1の微細気泡発生用ノズルの外観を示す模式図である。
図10】特許文献1の微細気泡発生用ノズルの断面を示す模式図である。
図11図10における、II-II断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本件発明の実施形態を、添付の図面も参照しながら詳細に説明するが、本件発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
<一般的な微細気泡発生用ノズル>
まず、本件発明のノズル、上記特許文献1および2に開示されるノズルのような、ノズル本体内を流れる液体に対して気体を吹き込み、ノズル本体の内面に沿って流すタイプの、簡単な形状・構造の微細気泡発生用ノズルについて説明する。
【0021】
前記簡単な形状・構造の微細気泡発生用ノズルは、図1~3(本件発明)、図9~11(従来例)に示すように、流入口2,12から供給され、ノズル本体1,11内を流れる液体に対して、ノズル本体1,11の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられたスリット4、中心軸に垂直な面に沿って、側面に設けられた空気噴出口14等の供給口から気体を吹き込み、吹き込まれた気体はノズル本体1,11の内面に沿って流れ、微細気泡B,B’が徐々に形成されると共に、放出口3,13付近で多量の微細気泡B,B’となるものである。
【0022】
<本件発明の微細気泡発生用ノズルの特徴>
図9~11に示すような従来の微細気泡発生用ノズルでは、筒状体からなるノズル本体11内を流れる液体に対して、ノズル本体11の中心軸に垂直な面に沿って、側面に設けられた複数の空気噴出口14から吹き込まれた気体は、気体の複数の帯A’を形成してノズル本体11の内面に沿って流れ放出口13付近で微細気泡B’となるため、微細気泡の生成効率が悪く、液体の微細気泡含有率を効率良く十分に高めることは難しい。
【0023】
一方、図1~3(本件発明)に示すような本件発明の微細気泡発生用ノズルでは、筒状体からなるノズル本体1内を流れる液体に対して、ノズル本体1の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられたスリット4から吹き込まれた気体は、ノズル本体1の内面に沿って気体の連続する幅広の薄層A(以下、「薄層A」ともいう。)を形成してノズル本体1の内面に沿って流れ、微細気泡Bが徐々に形成されると共に、放出口3付近で多量の微細気泡Bが形成されるため、微細気泡の生成効率を向上させ、液体の微細気泡含有率を効率良く十分に高めることができる。
【0024】
本件発明において用いられるノズル本体1の筒状体の断面形状は、円形または矩形とすることができるが、円形とするのが好ましい。断面形状を円形とすることにより、薄層Aの厚さを均等なものとでき、液体の微細気泡含有率を効率良く高められる傾向にある。ノズル本体1の筒状体の断面形状は、図3に示すように真円形であってもよいし、略真円形または楕円形であってもよい。
【0025】
なお、本件発明において、スリット4は、「ノズル本体1の中心軸に垂直な面(以下、「垂直面」ともいう。)に沿って設けられる」が、これは、垂直面に大凡沿って設けられることを意味する。また、本件発明において、スリット4は、「ノズル本体1の側面に連続して設けられる」が、後で述べるように、ノズル本体1を1本の筒状体で形成するような場合、スリット4を設けることによりノズル本体1が分離しないように、一部に接続部を残すこともできる。
【0026】
また、筒状体からなるノズル本体1には、その中心軸に沿って棒状体、好ましくは断面形状が円形の棒状体を配することが好ましい。これにより、ノズル本体1への液体の供給量が同じであっても、ノズル本体1内を流れる液体の流速(以下、「液体の流速」ともいう。)を高くできるので、薄層Aを安定的に形成することができ、また、ナノバブル乃至マイクロバブルの微細気泡を含有する液体を効率良く生成することができる。
【0027】
本件発明の微細気泡発生用ノズルを用いて、薄層Aを円滑に形成するためには、
1)液体の流速、および
2)ノズル本体1内の液体の流れに直交する方向への、スリット4から吹き込まれる気体の流速(以下、「気体の流速」ともいう。)
のバランスを適切なものとすることが必要である。液体の流速に比べ気体の流速が大きすぎる場合には、ノズル本体1の中心軸近くまで気体が吹き込まれ、薄層Aを形成するのが困難となる。一方、液体の流速に比べ気体の流速が小さすぎる場合には、液体がスリット4からノズル本体1の外部に漏れ出すこととなる。
【0028】
<気体供給部>
図4に示すように、本件発明の微細気泡発生用ノズルにおいては、スリット4に加圧された気体(例えば、加圧された空気および/または酸素)を供給する気体供給部5が接続される。好適には、気体供給部5は、スリット4を囲むように、ノズル本体1の外部に気密に設けられる。
【0029】
気体供給部5に供給される気体の圧力(以下、「気体の圧力」ともいう。)は、基本的には、液体がスリット4からノズル本体1の外部に漏れ出さないようにするために、ノズル本体1内を流れる液体の圧力よりも高くすることが好ましい。
【0030】
一方、気体の圧力を高くするとこれに伴い気体の流速が大きくなるため、気体の圧力を高くしすぎると、液体の流速に比べ気体の流速が大きくなりすぎ、薄層Aを形成するのが困難となる傾向にある。
【0031】
気体の圧力は、これらの要素を考慮して適切な値を設定することができるが、通常は、液体がスリット4からノズル本体1の外部に漏れ出さない圧力(例えば、1.5atm)を下限値とし、3.0atmを上限値とするのが好ましい。
【0032】
<スリット>
本件発明のスリット4は、図1~2および5~7に示すように、ノズル本体1の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられた細孔である。
【0033】
スリット4の間隙は、液体の流速、気体の流速、気体の圧力も考慮して、薄層Aを形成できる適切な値を設定することができる。
【0034】
また、スリット4の間隙は、狭すぎると微細気泡Bの生成効率が低下し、広すぎると放出口3付近で薄層Aから微細気泡Bが形成されにくくなるので、これらの要素も考慮して適切な値を設定することができる。
【0035】
スリット4の間隙は、これらの要素を考慮して適切な値を設定することができるが、通常は0.5mm~2.0mm、好ましくは0.5mm~1.5mm、より好ましくは0.5mm~0.8mmの範囲に設定することができる。
【0036】
液体の微細気泡含有率を効率良く高めるためには、気体の流速を大きくして気体の吹き込み量を増加することが好ましいが、一方で、上記<本件発明の微細気泡発生用ノズルの特徴>で説明したように、気体の流速を液体の流速に比べて大きくするに伴い、薄層Aを形成するのが困難となる。
【0037】
上記の「液体の微細気泡含有率の向上」と「薄層Aの安定的な形成」とを両立させるためには、スリット4をノズル本体1の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜させることが好ましい。これにより、気体の流速自体を大きくしても、薄層Aの形成を妨げる、ノズル本体1内の液体の流れに直交する方向への気体の流速を低減できる作用が生じる。ノズル本体1の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜する角度θ(以下、「傾斜角度θ」ともいう。)は、液体の流速、気体の流速等に応じて薄層Aを安定的に形成できるように鋭角とすることができる。傾斜角度θは、上記作用を考慮して、0°以上80°以下とするのが好ましく、60°以上80°以下とするのがより好ましく、70°以上80°以下とするのがさらに好ましい。
【0038】
また、上記の「液体の微細気泡含有率の向上」と「薄層Aの安定的な形成」とを両立させるためには、スリット4をノズル本体1に複数段設けることも好ましい。これにより、気体の流速自体を大きくしなくても、気体の吹き込み量を増加することができる。スリット4の段数は、気体の吹き込み量を増加する観点からは多い方が好ましいが、多すぎるとノズルの構造が複雑になり製造コスト・メンテナンスコストが高くなることから、これらの要素を考慮して適宜設定することができる。スリット4の段数は、通常、1~3段とするのが好ましい。
【0039】
<スリットの形成>
スリット4は、図1および図2(本件発明の微細気泡発生用ノズルの第1実施形態)に示すように、ノズル本体1を1本の筒状体1aで形成し、一部に接続部を残して筒状体の周面を切削して形成することもできるし、また、図5(本件発明の微細気泡発生用ノズルの第2実施形態)、図6(本件発明の微細気泡発生用ノズルの第3実施形態)および図7(本件発明の微細気泡発生用ノズルの第4実施形態)に示すように、ノズル本体1を2本以上の筒状体1b、1c等で形成し、これらの筒状体1b、1c等の接続部に形成することもできる。
【0040】
図5に示す本件発明の微細気泡発生用ノズルの第2実施形態では、ノズル本体1を2本の断面形状が円形の筒状体1b、1cで形成し、これらの筒状体1b、1c等の接続部に傾斜角度θのスリット4を形成しているが、この第2実施形態では、断面積の小さいスリット4が長くなることに伴い、スリット4の洗浄がやりにくくなる、ノズル本体1内に供給される気体の圧力が圧力損失により低下する等の懸念がある。
【0041】
図6に示す本件発明の微細気泡発生用ノズルの第3実施形態は、上記懸念を解消するものであり、断面形状が円形の筒状体1cにおいて、断面形状が円形の筒状体1bとの接続部の先端部を切除することにより、スリット4の長さを短くしたものである。これにより、スリット4の洗浄を容易にし、ノズル本体1内に供給される気体の圧力損失を低減することができる。
【0042】
<放出口>
図2に示すように、放出口3付近で、薄層Aがノズル本体1の内面から離れて微細気泡Bが形成されるが、薄層Aがノズル本体1の内面から離れやすくするために、放出口3付近におけるノズル本体1の内径を、下流側に向けて漸次拡張することができる。
【0043】
また、図7に示す本件発明の微細気泡発生用ノズルの第4実施形態のように、放出口3付近におけるノズル本体1の内面に凹凸を形成し、液体の流れに乱流を生じさせることにより、微細気泡Bの形成を促進することができる。ノズル本体1の内面に凹凸を形成する手段としては、ノズル本体1の内面を切削して凹部を形成する手段、ノズル本体1の内面にコイル状の部材を接合して凸部を形成する手段等が挙げられる。
【0044】
<ノズルの用途>
本件発明の微細気泡発生用ノズルは、簡単かつ経済的に、微細気泡含有率を効率良く十分に高めて、液体に微細気泡を含む気泡を混合させることができるので、微細気泡による液体の溶存酸素濃度(DO)を高める作用、滅菌・殺菌作用等を利用した、
〇シャワー水、浴槽水、洗濯水、洗浄水等の製造・供給、
〇食品プラント、パルププラント、化学プラント等の各種産業から発生する廃水、家庭からの生活廃水等の廃水処理、
〇魚介類の養殖
〇化学反応、生物反応
等の幅広い分野で使用することができる。
【0045】
とりわけ、本件発明の微細気泡発生用ノズルは、液体として固体触媒を分散させた反応液を用いる化学反応、液体として微生物等を含む培養液を用いる生物反応において好適に使用することができる。
【0046】
すなわち、化学反応で用いられる固体触媒は壊れやすく、また、生物反応で用いられる微生物等はストレス・ダメージにより活性が低下するが、本件発明の微細気泡発生用ノズルでは、薄層Aが、固体触媒、微生物等がノズル本体1の内面に衝突するのを防止するクッションの役割を果たすため、固体触媒が壊れたり、微生物等がストレス・ダメージを受けたりするのを低減することができる。また、本件発明の微細気泡発生用ノズルでは、液体の流速を小さくしても微細気泡含有率を効率良く十分に高められるため、固体触媒が壊れたり、微生物等がストレス・ダメージを受けるのを低減することができる。
【0047】
<生物反応装置>
なかでも、本件発明の微細気泡発生用ノズルは、好気性または通性嫌気性微生物(以下、「微生物等」ともいう。)を培養して、微生物等に反応生成物を生成させたり、微生物等を増殖させる生物反応装置において、特に好適に使用することができる。
【0048】
図8に示す生物反応装置では、
1)培養液および微生物等を含有する生物培養液6を培養槽7から抜き出す工程、
2)抜き出した生物培養液6をマイクロナノバブル発生槽8に供給して、マイクロナノバブル発生装置9により、微細気泡を含有させる工程、および
3)微細気泡を含有させた生物培養液6を還流管路を通じて培養槽7に戻す工程
により生物反応が行われるが、この「マイクロナノバブル発生装置9」として、本件発明の微細気泡発生用ノズルを用いることにより、図3に示すように、薄層Aが微生物等のノズル本体1の内面への衝突を防止するクッションの役割を果たし、微生物等が受けるストレス・ダメージを低減することができる。
【0049】
さらに、「マイクロナノバブル発生装置9」として、本件発明の微細気泡含有率の高い液体を効率良く生成できる微細気泡発生用ノズルを用いることにより、培養槽7から抜き出し、微細気泡を含有させた後に培養槽7に還流する生物培養液6の量を、1分間当たり、培養槽7に収容された生物培養液6の量の1%以上48%未満と低く設定することができるため、液循環により微生物等が受けるストレス・ダメージを軽減することができる。
【0050】
<液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法>
本件発明の液体に微細気泡を含む気泡を混合させる方法は、上記の微細気泡発生用ノズルを用いて行うことができ、簡単かつ経済的に、微細気泡含有率を効率良く十分に高めて、液体に微細気泡を含む気泡を混合させることができる。
【0051】
<微細気泡発生用ノズル装置>
本件発明の微細気泡発生用ノズルは、微細気泡含有率の高い液体を効率良く生成できるものであるが、この微細気泡発生用ノズルを複数本並列して設けて微細気泡発生用ノズル装置を構成することにより、微細気泡を含有する液体をより効率良く生成することができる。
【0052】
この微細気泡発生用ノズル装置には、各微細気泡発生用ノズルの流入口に液体を分配して供給する液体供給部、および各微細気泡発生用ノズルの放出口から微細気泡を含有する液体を集めて回収する微細気泡含有液体回収部が設けられる。
【0053】
つぎに、本件発明の微細気泡発生用ノズルについて実施例・比較例を用いて説明するが、本件発明はこれら実験例・比較実験例により限定されるものではない。
【0054】
<実施例1~2・比較例1~2>
以下の実施例1~2・比較例1~2では、表1に整理して示すように、次のような形状・構造の微細気泡発生用ノズルを用いた。
〇ノズル本体:内径6.0mmの断面形状が円形の筒状体
〇ノズル本体に設けられたスリットまたは孔:
[実施例1]ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられた、ノズル本体の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜する角度θが0°、間隙が0.8mmであるスリット
[実施例2]ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して設けられた、ノズル本体の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜する角度θが75°、間隙が0.8mmであるスリット
[比較例1]ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して等間隔に設けられた、ノズル本体の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜する角度θが0°、3個の直径1.0mmの孔
[比較例2]ノズル本体の中心軸に垂直な面に沿って、側面に連続して等間隔に設けられた、ノズル本体の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜する角度θが0°、3個の直径2.0mmの孔
〇スリットまたは孔の段数:1段
【0055】
【表1】
【0056】
実施例1~2、比較例1~2の微細気泡発生用ノズルに、ノズル本体の一端の流入口から、10質量%の濃度のブドウ糖の水溶液(以下、「ブドウ糖水溶液」という。)を流速:16m/秒で供給すると共に、ノズル本体に設けたスリットまたは孔から、空気を通気量:30L/分で供給して、空気の微細気泡を混合させたブドウ糖水溶液とした。
【0057】
得られた空気の微細気泡を混合させたブドウ糖水溶液のKLA[物質移動容量係数(/h)]を測定した。その結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】
KLA[物質移動容量係数(/h)]は、液体の溶存酸素濃度(DO)を表す指標として一般に用いられているものであり、この値が大きいほど液体の溶存酸素濃度が高いことを表している。すなわち、空気中の酸素が液体に溶けて溶存酸素になるには、気相の酸素分子Oが液体中に移動しなければならないが、この酸素移動速度OTRは、下記の一般式(1)で表されるので、KLAの値が大きいほど液体の溶存酸素濃度が高いことを表す。
OTR=KLA×(C-C) ・・・(1)
この式(1)において、
OTR:酸素移動速度(mg/L・h)
KLA:物質移動容量係数(/h)
:酸素の水中への飽和溶解度(mg/L)
C :酸素の水中への溶解度(mg/L)である。
【0060】
実施例1~2(空気供給口の形状が「スリット」)と比較例1~2(空気供給口の形状が「孔」)との比較から、ノズル本体に設ける空気供給口の形状を「スリット」とすることにより、「孔」とする場合(比較例1~2)に比べ、液体への溶存酸素濃度を格段に高くできることがわかる。
【0061】
さらに、実施例1(角度θが0°)と実施例2(角度θが75°)との比較から、スリットをノズル本体の中心軸に垂直な面に対して上流側に傾斜させることにより、液体への溶存酸素濃度を高められることがわかる。
【0062】
また、実施例2(空気供給口の形状が「スリット」)および比較例1(空気供給口の形状が「孔」)で得られた空気の微細気泡を混合させたブドウ糖水溶液における、空気の微細気泡の気泡径分布を画像解析法粒子径測定装置(マイクロトラックベル製)を用いて測定した。実施例2の上記気泡径分布を表3に示し、比較例1の上記気泡径分布を表4に示す。
【0063】
表3および表4に示す気泡分布は上記測定装置を用いて1分間測定したものであり、横軸は気泡の粒子径(μm)を示し、縦軸は測定された気泡の全数に対する各気泡径の気泡の割合(%)を示す。
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【0066】
実施例2(空気供給口の形状が「スリット」)における空気の微細気泡の気泡径分布(表3)と、比較例1(空気供給口の形状が「孔」)における空気の微細気泡の気泡径分布(表4)との比較から、ノズル本体に設ける空気供給口の形状を「スリット」とすることにより、「孔」とする場合に比べ、空気の微細気泡の気泡径を小さくかつ気泡径の分布をシャープにできることがわかる。
【符号の説明】
【0067】
1 ノズル本体
1a 筒状体
1b 筒状体
1c 筒状体
2 流入口
3 放出口
4 スリット
5 気体供給部
6 生物培養液
7 培養槽
8 マイクロナノバブル発生槽
9 マイクロナノバブル発生装置
10 曝気装置
11 ノズル本体
12 流入口
13 放出口
14 空気噴出口
A (ノズル本体の内面に沿って形成される)気体の連続する幅広の薄層
A’ (ノズル本体の内面に沿って形成される)気体の複数の帯
B 微細気泡
B’ 微細気泡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11