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特許7161469フレーバー付き甘味料の製造方法及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】フレーバー付き甘味料の製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12P 19/12 20060101AFI20221019BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20221019BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20221019BHJP
   A23L 27/10 20160101ALI20221019BHJP
   A23L 33/125 20160101ALI20221019BHJP
【FI】
C12P19/12
A23L5/00 K
A23L23/00
A23L27/10 C
A23L33/125
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019521638
(86)(22)【出願日】2017-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-15
(86)【国際出願番号】 SG2017050343
(87)【国際公開番号】W WO2018009149
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】10201605526W
(32)【優先日】2016-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519004199
【氏名又は名称】ココナッツ・ピーティーイー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】COCONUTZ PTE.LTD.
【住所又は居所原語表記】1 Cleantech Loop,#03-13 CleanTech One,Singapore 637141,Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・サミュエル・ジェームス・チータム
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ラングウォールナー
(72)【発明者】
【氏名】マーギット・ラングウォールナー
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン・ハーマンセン
(72)【発明者】
【氏名】キャンディー・チューイン・テイ・シアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン・チュエ・アメリア・タン
【審査官】木原 啓一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-534455(JP,A)
【文献】特表2008-501321(JP,A)
【文献】J. Agric. Food Chem.,2007年,Vol. 55,pp. 6262-6269
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ココナツ糖代替物の製造プロセスであって:
a.主溶質としてスクロースを含有する未精製スクロース系植物エキスを1種又は複数種の好気性微生物株と共に好気性条件下でインキュベートし、修飾未精製スクロース系植物エキスを形成する工程、ここで、前記未精製スクロース系植物エキスは、サトウキビ汁、ヤシ糖、サトウキビ糖蜜と混合したサトウキビ汁及びサトウキビシロップよりなる群から選択され、前記好気性微生物株は、ステノトロホモナス・マルトフィリア、バチルス・フレクサス、枯草菌及びクリベロミセス属種よりなる群から選択され
b.前記修飾未精製スクロース系植物エキスから水を蒸発させ、濃縮物を形成する工程;及び
c.前記濃縮物を蒸煮して色及びフレーバーを発生させ、前記ココナツ糖代替物を生成する工程であって、前記修飾未精製スクロース系植物エキスを、温度及び屈折計法乾燥物含有量が65℃~170℃及び50°Bx~100°Bx、又は110℃~130℃及び75°Bx~95°Bx、又は120℃及び90°Bxになるまで加熱し、蒸煮する工程
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項2】
前記主溶質としてスクロースを含有する前記未精製スクロース系植物エキスは、炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であるスクロースを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
以下の特徴を持つ、請求項1又は2に記載のプロセスによって誘導可能なココナツ糖代替物:
第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;ならびに
第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種の香料分子を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、及びフレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、ならびに3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール
ここで、前記フレーバー希釈回数は、吸入口でフレーバー分子がなおも知覚され得る1:1希釈操作の最大回数である
【請求項4】
以下の特徴を持つ請求項に記載のココナツ糖代替物:
第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも3つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;ならびに
第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも7種の香料分子を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、及びフレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、ならびに3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール。
【請求項5】
以下の特徴を持つ請求項に記載のココナツ糖代替物:
第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも5つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;ならびに
第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも12種の香料分子を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、及びフレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、ならびに3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール。
【請求項6】
フレーバーエキスの製造プロセスであって:
(a)請求項1若しくは2に記載のプロセスによって誘導可能なココナツ糖代替物を製造するか、又は請求項のいずれか1項に記載のココナツ糖代替物を得る工程;及び
(b)前記修飾未精製スクロース系植物エキス、又は前記ココナツ糖代替物もしくは前記ココナツ糖代替物のシロップ、又は前記ココナツ糖代替物の結晶相から1種以上の香料分子を単離する工程
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項7】
請求項のプロセスにより誘導されたフレーバーエキスであって、以下から成る群:
3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;3-メチルスルファニルプロパナール;酢酸;2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸;2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸;フェニル酢酸;2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール;(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン;2-メチルブタナール/3-メチルブタナール;(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール;2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール;及び2-メトキシフェノール:
より選択される少なくとも10種の香料分子を含むことを特徴とするフレーバーエキス。
【請求項8】
食品の製造プロセスであって:
a.請求項1若しくは2に記載のプロセスによって得られたココナツ糖代替物を製造するか、又は請求項のいずれか1項に記載のココナツ糖代替物を入手するか、又は請求項に記載のプロセスによってフレーバーエキスを製造するか、又は請求項に記載のフレーバーエキスを得る工程;
b.前記ココナツ糖代替物又は前記フレーバーエキスと添加成分とを混合する工程;及び
c.食品を形成する工程
を含むことを特徴とするプロセス。
【請求項9】
以下の特徴を持つ、請求項8に記載のプロセスによって誘導可能な食品:
第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が0.5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;ならびに
第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、及びフレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、ならびに3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール
ここで、前記フレーバー希釈回数は、吸入口でフレーバー分子がなおも知覚され得る1:1希釈操作の最大回数である
【請求項10】
請求項1又は2に記載のプロセスによって誘導可能なココナツ糖代替物であって、
以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む第1の特徴:スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンが少なくとも8回のフレーバー希釈回数で存在すること;
グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウム;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムから成る群より選択される少なくとも1つを含む第2の特徴;
以下から成る群より選択される少なくとも1種の分子を含む第3の特徴:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、及びフレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、ならびに3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール
を含み、前記フレーバー希釈回数は、吸入口でフレーバー分子がなおも知覚され得る1:1希釈操作の最大回数である、ココナツ糖代替物。
【請求項11】
前記第1の特徴が以下から成る群より選択される少なくとも3つを含み:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンが少なくとも8回のフレーバー希釈回数で存在すること;
前記第2の特徴が以下から成る群より選択される少なくとも1つを含み:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムが0.1重量%を超える合計濃度で存在すること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムが0.1重量%を超える合計濃度で存在すること;及び
前記第3の特徴が、フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、及びフレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、ならびに3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノールから成る群より選択される少なくとも7種の香料分子を含む、
請求項10に記載のココナツ糖代替物。
【請求項12】
前記第1の特徴が以下から成る群より選択される少なくとも5つを含み:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンが少なくとも8回のフレーバー希釈回数で存在すること;
前記第2の特徴が以下から成る群より選択される少なくとも1つを含み:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムが0.1重量%を超える合計濃度で存在すること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムが0.1重量%を超える合計濃度で存在すること;及び
前記第3の特徴が、フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、及びフレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、ならびに3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノールから成る群より選択される少なくとも12種の香料分子を含む、
請求項10に記載のココナツ糖代替物。
【請求項13】
組成物中に存在するスクロース含有量が少なくとも40%である、請求項10に記載のココナツ糖代替
【請求項14】
前記第2の特徴が以下から成る群より選択される少なくとも1つ:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムが0.1重量%を超える合計濃度で存在すること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムが0.1重量%を超える合計濃度で存在することを含む、請求項10に記載のココナツ糖代替
【請求項15】
請求項1014のいずれか1項に記載のココナツ糖代替物を含み、ソース、香辛料、植物エキス、フレーバー、フレーバー分子、フレーバー促進剤、チョコレート、ドライフルーツ、ショウガ、種子、ナッツ、牛乳、クリーム、カスタード、バター、ココア、ココアパウダー、チョコレート酒、チョコレート、ミルク、ココアバター、ナッツ、種子、香味料、バニリン、バニラ、コーヒー、タフィー、乳化剤、レシチン、ポリリシノール酸ポリグリセロール、ミロ、酢、野菜、トウガラシ、タマネギ、ニンニク、レモングラス、タマリンド、ターメリック、シナモン、コリアンダー、コショウ、肉類、テンペ、ウスイマメ、醤油、トウモロコシ、ニンジン、ジャガイモ、鶏肉、ココアバター、フルーツ、ドライフルーツ、甘味ソース、塩類、酢酸、穀粉、デンプン及び油類から成る群より選択される追加添加成分をさらに含む食品又は甘味ソース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーバー付き甘味料、ならびにフレーバー付き甘味料を製造及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ココナツ糖(CNS)は、マレーシア、インドネシア、フィリピン及びインドなどの国々のかなり多くの個人農家において小規模で生産されている伝統的な東南アジアフレーバーの甘味料であり、全体では総売上額は20億ドルをはるかに超えている。CNSは技術的にはココナツの木の「副産物」であり、その樹液を得るために木の花序を部分的に摘み取り、その後、これを直火で加熱蒸発させる。一方、ココナツの木は通常、果実を得るために(再生利用として、ココナツウォーター、ココナツ果肉、ココナツオイル、ココナツミルク、又はココナツの外皮/殻から得るその他の製品)栽培している。花房を切ると、ココナツ植物の繁殖が妨げられることが多く、それにより果実が得られなくなることも多い。
【0003】
様々な形態のCNSが東南アジア全域で栽培されており、それらは特にフレーバーが異なり、そのためいくつかの形態は特に土着文化や味の好みにより他のCNSよりも好ましい。これらの糖類はそれぞれ、特徴的に、同一又は類似のプロセス及びココナツ樹液から製造されたCNSであるが、フレーバーに微妙な違いがあり、よって互いに異なる。工業的には、甘味ソースへと追加的に加工するための好ましい成分は特定の地域産の特定の種類のCNSに限られていることが知られている。
【0004】
CNSは仄かで複雑なフレーバーを有し、そのフレーバーは幅広い食品や飲料で、特に東南アジア風のソースや甘味ソースの主要成分として使用されている。甘味ソースはCNSを最大80重量%含み、残りの成分は主に醤油と香辛料である。東南アジアでは甘味ソースの需要が、そして多くの欧米の消費者にとっては健康食品代替物としてCNSの需要が著しく増加している。しかし、ココヤシの木の数が限られていること、1ヘクタール当たりのCNSの生成量が比較的低いこと、樹液を継続的に収穫することにより木が弱ること、生産性が高まる以前に新たな木が生育するためには何年もかかること、農場での労働力が不足していること、気候や様々な気象条件により特定の季節にしかココナツ樹液が入手できないこと、樹液の貯蔵寿命が短く、集中型作業があまりできないこと、花芽を収穫してココナツ樹液を集めるために木に登るとき農夫は1日に2回も物理的な危険に直面することにより、近年CNSの供給は不足している。より高い品質管理を確実なものにできる集中型プロセスが不可能となっている。これに加えて、果実から製造される他のココナツ製品の需要もあり、また、代替的なフレーバー付き甘味料、フレーバー付き甘味料を製造する代替的手段、及び甘味ソースなどのフレーバー付き甘味料により製造できる製品が望まれている。
【0005】
CNSが不足しているため、業界では現在、甘味ソースの製造における充填剤としてヤシ糖、糖蜜、及び様々な形態のサトウキビ糖をCNSに補給しており、その結果、最終製品の理想的なフレーバー品質が劣り、消費者のために製造される最終甘味ソース製品において感覚刺激特性を一貫して標準化するために様々な糖類を合わせてブレンドする際に増々複雑さが要求されている。
【0006】
それ自体の人気の高さ及び都市化からの影響により、甘味ソースの重要な成分として使用するために、CNSの需要は着実に高まっている。非常に多くの小規模農家によるCNS生産に特有のCNS供給の変動性に加えて、CNSを使用する際の更なる問題は、個人農家が多種あるためにCNSの個々の供給の品質特性に非常に幅広い変動があるということである。従って、自家ブランド製品のフレーバーやその他の品質基準を満たすために、CNSを主要原料として使用する消費者製品の製造業者は、原料として使用するCNSの一貫した品質を確保するために複雑なブレンド操作を行う必要がある。加えて、製造業者の多くは、抗菌防腐剤及び安定剤として亜硫酸塩などの望ましくない防腐剤を添加しているので、CNSから製造した甘味ソースの健康安全性を損ねている。また、現在製造されているCNSの3つの望ましくない特徴には、ココナツ樹液がしばしば昆虫及び他の生物により汚染され、その残留物がCNSの一部となること、樹液を濃縮するために使用される直火からの灰及び煙もCNSを汚染すること、そして更に、CNSのフレーバーは不安定で、時間と共に性質が変化することが挙げられる。ココナツ樹液の収集方法により、CNSの製造プロセスは工業的に規模を拡大できない。
【0007】
従って、上記の問題の少なくとも1つを改善するために、代替的なフレーバー付き甘味料、及びフレーバー付き甘味料を製造する代替的手段が望まれている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、改良されたフレーバー付き甘味料、ならびに/又はフレーバー付き甘味料を製造する手段、ならびに/又は食品を製造する際のフレーバー付き甘味料及び/もしくはフレーバー付き甘味料を含有する食品の使用を提供することである。
【0009】
従って、本発明の1態様は、以下の工程が含まれるフレーバー付き甘味料を製造するプロセスを提供する:(a)主な溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを1種又は複数種の微生物と共にインキュベートし、修飾した未精製植物エキスを形成する工程;及び(b)修飾した未精製植物エキスを加熱してフレーバー付き甘味料を生成する工程。
【0010】
本発明の別の態様は、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを1種又は複数種の微生物と共にインキュベートして修飾未精製植物エキスを形成する工程が含まれる方法により、誘導可能な修飾未精製植物エキスを提供することである。
【0011】
本発明の別の態様は、本明細書に開示されたプロセスにより誘導可能で、更に以下の特徴を持つフレーバー付き甘味料を提供する:第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;第2の特徴は以下から選択される少なくとも1つを含む:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;ならびに第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、フレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール。
【0012】
本発明の別の態様は本明細書に記載のプロセスにより誘導可能なフレーバーエキスを提供するものであり、当該エキスは以下から成る群より選択される少なくとも10種のフレーバー分子を含む:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;3-メチルスルファニルプロパナール;酢酸;2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸;2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸;フェニル酢酸;2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール;(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン;2-メチルブタナール/3-メチルブタナール;(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール;2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール;もしくは2-メトキシフェノール;又はこれらの組み合わせ。
【0013】
本発明の別の態様は、以下の工程を含む食品を製造するプロセス又は方法を提供する:(a)主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを1種又は複数種の微生物と共にインキュベートし、修飾未精製植物エキスを形成する工程;(b)修飾未精製植物エキスを加熱してフレーバー付き甘味料を生成する工程;(c)フレーバー付き甘味料と追加の成分とを混合する工程;及び(d)食品を形成する工程。
【0014】
本発明の別の態様は、食品を製造するための本明細書に開示されたプロセス又は方法により誘導可能で、以下の特徴を持つ食品を提供する:第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;第2の特徴は以下から選択される少なくとも1つを含む:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;ならびに第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、フレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール:ここで第1、第2及び第3の特徴は食品中のフレーバー付き甘味料の含有量に比例する。
【0015】
本発明の別の態様は、食品を製造するための本明細書に開示されたプロセス又は方法により誘導可能で、以下の特徴を持つ甘味ソースを提供する:第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が0.5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;第2の特徴は以下から選択される少なくとも1つを含む:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;ならびに第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、フレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール:ここで第1、第2及び第3の特徴は甘味ソース中のフレーバー付き甘味料の含有量に比例する。
【0016】
本発明の別の態様は、アフィネーション、濾過、遠心分離又は溶媒抽出が含まれるフレーバー付き甘味料中のスクロース含有量を低減するプロセスを提供する。
【0017】
本発明の他の態様は、添付図面を参照して本発明の特定の実施形態について以下の説明を検討したときに当業者に明らかになるであろう。
【0018】
添付図面を参照し、説明的な例としてのみ本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】屈折計法乾燥物(RDS)含有量、pH及び温度をモニターする、インキュベートしたサトウキビ汁の蒸発及び蒸煮の時間座標図である。インキュベートしたサトウキビ汁の初期量は1kgであり、蒸発器の影響は約800Wである。
図2】CNS-A、CNS-B、フレーバー付き甘味料A(FS-A;実施例1で製造)、フレーバー付き甘味料B(FS-B;実施例2で製造)及び甘味料C(FS-C;実施例3で製造)の芳香エキス希釈分析(AEDA)を示す。フレーバー(又は芳香)エキスを実施例10に記載のように調製し分析した。フレーバー希釈(FD)回数は1:1希釈を最も多く行った回数であり、この濃度では吸入口でフレーバー分子がなお知覚できる。実施した1:1希釈の最大希釈回数は11であり、これより多いFD回数では特定できない。
図3】市販の醤油、ココナツ糖ソース(CNSソース)から製造した甘味ソース、及びフレーバー付き甘味料Aソース(FS-Aソース;実施例8で製造)のアロマエキス希釈分析(AEDA)を示す。フレーバー(又は芳香)エキスを実施例10に記載のように調製し分析した。フレーバー希釈(FD)回数は1:1希釈を最も多く行った回数であり、この濃度では吸入口でフレーバー分子がなお知覚できる。実施した1:1希釈の最大希釈回数は11であり、これより多いFD回数では特定できない。
図4】実施例1に記載の、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)及びバチルス・フレクサス(Bacillus flexus)を用いたDO及びpHの時間座標図である。溶存酸素(DO)を光学酸素センサー(Hamilton社、米国)により測定した。100%DOは、空気を供給したときの培地中のO2飽和限界を表し、植菌前に較正した。酸素瀑布によりインキュベーション中、DOを最小の30%に制御した。pHはAg/AgClガラス電極(Mettler Toledo社、スイス)により測定した。インキュベーション培地は粗製サトウキビ汁であり、植菌量はトリプシン大豆培養液(TSB;Oxoid社、英国)中、光学密度(OD)1で培養した各菌株の0.5%であった。インキュベーション中、他の栄養素は添加しなかった。
図5】実施例5に記載の、枯草菌(Bacillus subtilis)及びバチルス・フレクサス(Bacillus flexus)を用いたDO及びpHの時間座標図である。使用したパラメータ及び器具は、インキュベーション培地を希釈サトウキビシロップにしたことを除いて図4と同じである。時間座標図の各曲線は、同一条件下で行われた4つの同時インキュベーションのうちの1つについてのDO曲線である。ただし1つ例外として、サトウキビシロップの濃度はそれぞれ12°Bx、16°Bx、22°Bx、及び30°Bxである。
図6】実施例6に記載の、クリベロマイセス属(Kluyveromyces)種を用いたDO及びpHの時間座標図である。使用したパラメータ及び器具は図4と同様である。時間座標図の各曲線は、同一条件下で行われた4つの同時インキュベーションのうちの1つについてのDO曲線である。ただし1つ例外として、インキュベーション温度及びpHはそれぞれ20℃及びpH5;33℃及びpH5;40℃及びpH5;ならびに30°Bx及びpH7である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
これらの複合的な供給と需要の問題に応じて、CNSに代わる新しいタイプのフレーバー付き甘味料を製造するために新規で拡張可能なプロセスが開発されている;この新しいタイプのフレーバー付き甘味料は、それ自体で製品として、また甘味ソースなどの用途における成分として広範な機器分析及び味覚パネル分析により評価されているように、従来製品の個々のフレーバー特性、食感、色及び他の特性の全てを有する。
【0021】
従って、本発明の1態様は、以下の工程が含まれるフレーバー付き甘味料の製造プロセスを提供する:(a)主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを1種又は複数種の微生物と共にインキュベートし、修飾した未精製植物エキスを形成する工程;及び(b)修飾した未精製植物エキスを加熱してフレーバー付き甘味料を生成する工程。
【0022】
本明細書で使用されているように、用語「主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキス」は、植物から抽出したエキスの重量%で最小限にしか処理していない、主溶質としてスクロースを含有する植物エキスの組成物を指す。様々な実施形態では、未精製植物エキス溶質が含むスクロースは50%未満であるが、植物エキス溶質の重量%での成分の殆どはスクロースである。植物から直接糖溶液を得る当技術分野において、様々な実施形態では、未精製植物エキスは、植物からの樹液の収集、機械的破砕、又は任意の他の公知の手段により得てもよい。1例では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスとしてはテンサイ汁も挙げられる。
【0023】
本明細書中で使用しているように、用語「インキュベーション」とは、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキス中で1種又は複数種の微生物を培養し、それにより代謝過程が開始されることを指す。代謝過程としては異化、同化又は発酵が挙げられる。
【0024】
本明細書中で使用しているように、用語「フレーバー付き甘味料」とは、主に単糖類もしくは二糖類、又は単糖類と二糖類との組み合わせを含み、更に本明細書中に記載されるような天然のフレーバー分子を含む任意の組成物を指す。これには、より安くより簡単なプロセスにより、ココナツ糖に代わるフレーバー付き甘味料を生成する際の利点;従来製品の個々のフレーバーの特徴、口当たり、色、同等の血糖指数(GI)、及び他の特徴の全て;がある。用語「フレーバー付き甘味料」はまた、溶質の特性を変化させて溶質を甘味、酸味、刺激等のあるものにできる別の物質フレーバーを付与する物質として定義される「風味料」を提供する任意の組成物を指す。
【0025】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、サトウキビ属(Saccharum)種、サトウキビ(Saccharum officinarum);フダンソウ属(Beta)種;サトウダイコン(Beta vulgaris);カエデ属(Acer)種;ココヤシ属(Cocos)種;アレンガ(Arenga)種;ニッパヤシ(Nypa)種;ナツメヤシ属(Phoenix)種;サゴヤシ属(Metroxylon)種;オウギヤシ属(Borassus)種;サトウモロコシ(sweet sorghum)類;及びこれらの混合物から成る群より選択される植物由来のエキスを含む。
【0026】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、少なくとも1種の微生物と共にインキュベートする前に部分的に処理したサトウキビ汁を含む。
【0027】
本明細書中で使用されているように、「部分的に処理」とは、ヤシ糖などの未精製形態の原料スクロース製品にするために行う濾過、浄化、煮沸、結晶化、及び/又は遠心分離などの1つ以上の操作を指す。ただし、「部分的に処理」とは、アフィネーションならびに樹脂及び/又は活性炭での処理などの精製技術を指すものではない。従って、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスが部分的に処理される様々な実施形態では、得られた生成物は純粋でない点において未精製のままであり、純粋な白色精製糖と比較して色が濃い。
【0028】
様々な実施形態では、サトウキビの機械的粉砕により生成された様々な形態のサトウキビ汁。
【0029】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、サトウキビ属種から得られるサトウキビ汁;ヤシ糖、ココナツ樹液、ヤシ種由来エキスの少なくとも1種、又はこれらの組み合わせを含む。
【0030】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスには、サトウキビ汁と、ヤシ糖、ココナツ樹液もしくはヤシ種由来植物エキスなどの他の形態のスクロースとの任意の組み合わせが挙げられる。
【0031】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、粗製サトウキビ汁、最小限に処理したサトウキビ汁、浄化サトウキビ汁及びサトウキビシロップなどのサトウキビから得てもよい。従って、様々な実施形態では、未精製植物エキスは、スクロース系植物エキス、すなわちスクロースが植物エキス中に存在する主成分であればどのようなものも含む。一例では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、テンサイ汁を含む。原料はまた、テンサイ汁、高フルクトースのコーンシロップ、メープルシロップ、リュウゼツラン花蜜、リュウゼツランシロップ、玄米シロップを含む任意の他のタイプの糖含有汁又はシロップであってもよく、ヤシ糖、ココナツ樹液又はヤシ種由来の植物エキスなどの他の形態のスクロース含有エキスは、サトウキビ汁、及び当技術分野で公知のスクロース/グルコース/フルクトース/ラムノース/ラクトース含有汁もしくはシロップ又はこれらの混合物と組み合わせて使用してもよい。様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスはまた、ココヤシ(Cocos nucifera)、サトウヤシ(Arenga pinnata)、ニッパヤシ(Nypa fruticans)、ナツメヤシ(Phoenix dactylifera)、サトウナツメヤシ(Phoenix sylvestris)、サゴヤシ(Metroxylon sagu)及びこれらのメンバー、又はパルミラヤシ(Borassus)属などの樹木から得られる樹液/汁/花蜜/シロップであってもよい。
【0032】
代替的な実施形態では、本発明のプロセス用の供給原料又は出発原料として使用する未精製植物エキスには、任意のグルコース系又はフルクトース系の植物エキス又はデンプン加水分解物由来の生成物が挙げられる。
【0033】
本明細書中で使用しているように、用語「ヤシ種」とは、ヤシ科の植物を指す。
【0034】
本明細書で使用しているように、用語「ヤシ糖」は、固体へと濃縮されたサトウキビ由来未精製エキスを指す。サトウキビ汁は、ヤシ糖製造の際に、濾過、浄化、煮沸、結晶化及び/又は遠心分離により部分的に処理してもよい。しかしながら、ヤシ糖は、アフィネーション、ならびに樹脂及び/又は活性炭を用いた処理などの技術では精製しない。ヤシ糖は、非遠心型サトウキビ糖とも称する。
【0035】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であるスクロースを含む。
【0036】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、サトウキビ属種、トウモロコシ属(Zea)種;又はリュウゼツラン種などの植物由来エキスを含み、またその甘味料は、炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であるスクロースを含む。
【0037】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、サトウキビ属種又はサトウキビ由来のサトウキビ汁を含む。
【0038】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、サトウキビの茎又は他の糖含有農業原料の細断、摩砕及び/又は拡散により生成可能な粗製サトウキビ汁を含んでもよい。様々な実施形態では、低温殺菌及び/又は亜硫酸塩処理、任意でその後の濾過によって、粗製サトウキビ汁から最小限に処理したサトウキビ汁を生成してもよい。様々な実施形態では、石灰処理、綿状沈殿、吸収剤、浄化、沈降及び/又は濾過により、最小限に処理したサトウキビ汁から浄化サトウキビ汁を生成してもよい。
【0039】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、微生物と共にインキュベートする前に、屈折計法乾燥物含有量が8°Bx~40°Bxになるように調整する。
【0040】
本明細書で使用されているように、用語「調整する」は希釈又は濃縮を指す。
【0041】
様々な実施形態では、糖エキスは、微生物と共にインキュベートする前に、屈折計法乾燥物含有量が8°Bx~40°Bxになるように調整する。様々な他の実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、微生物を増殖させるために、屈折計法乾燥物含有量が10°Bx~35°Bx、もしくは15°Bx~35°Bxになるように、又は任意の適切な屈折計法乾燥物含有量になるように調整する。
【0042】
様々な実施形態では、少なくとも1種の微生物は、培地中で増殖可能で、屈折計法乾燥物含有量が8°Bx~40°Bxである浸透圧耐性及び/又は耐塩性微生物を含む。
【0043】
様々な実施形態では、微生物は、培地中で増殖可能で、屈折計法乾燥物含有量が10°Bx~40°Bx、10°Bx~35°Bx、又は15°Bx~35°Bx、又は10°Bx~20°Bx、又は12°Bx~16°Bxである浸透圧耐性及び/又は耐塩性微生物を含む。
【0044】
様々な実施形態では、微生物は細菌;又は真菌から成る群より選択される。
【0045】
様々な実施形態では、真菌は酵母もしくはクリベロミセス属(Kluyveromyces)種、又は他の形態の真菌を含む。
【0046】
様々な実施形態では、細菌はグラム陽性株もしくはグラム陰性株を含むか、又はそれらから選択される。様々な実施形態では、細菌はキサントモナス科(Xanthomonadaceae);ブレビバクテリウム科(Brevibacteriaceae);又はバシラス科(Baccilaceae)から成る群より選択される。
【0047】
様々な実施形態では、微生物は、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、セルロシミクロビウム・セルランス(Cellulosimicrobium cellulans)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・フレクサス(Bacillus flexus)、もしくはクリベロミセス属種のいずれか1種、又はこれらの組み合わせを含む。
【0048】
様々な実施形態では、微生物は、ステノトロホモナス・マルトフィリア、セルロシミクロビウム・セルランス、枯草菌、もしくはクリベロミセス属種及びバチルス・フレクサス、又はこれらの組み合わせから成る群より選択される1種以上を含む。
【0049】
様々な実施形態では、微生物は、ステノトロホモナス・マルトフィリア、セルロシミクロビウム・セルランス、枯草菌、もしくはクリベロミセス属種及びバチルス・フレクサス、又はこれらの組み合わせのみから成る群より選択される1種以上を含む。
【0050】
様々な実施形態では、微生物は少なくとも2種の微生物の組み合わせを含む。様々な他の実施形態では、微生物は少なくとも3種の微生物の組み合わせを含む。
【0051】
様々な実施形態では、微生物は、混合培養として合わせてインキュベートする少なくとも2種の微生物の組み合わせを含み、これらは主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスに作用して修飾未精製植物エキスを生成する。
【0052】
様々な実施形態では、当該プロセスには更に、修飾した未精製植物エキスを加熱する前に、1種又は複数種の微生物、及び1種又は複数種の微生物により生成された全てのバイオマスを除去する工程が含まれる。
【0053】
様々な実施形態では、除去は濾過、遠心分離又は任意の同様の除去方法により行ってもよい。これには、汚染を除去して、結果として浄化したフレーバー付き甘味料をもたらすという利点がある。
【0054】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは制御下にある容器内で少なくとも1種の微生物と共にインキュベートしてもよく、当該容器内では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスの処理中に温度、pH又は溶存酸素含有量の少なくとも1つが制御される。このような実施形態では、制御容器中でインキュベーションを行ってもよい。制御容器は、1つ以上の操作パラメータを制御できる容器であればどのような容器でもよい。様々な実施形態では、制御容器はバイオリアクター、インキュベーター又は二重ジャケット蒸気容器、又は任意の他の拡張可能な工業用容器であってもよい。様々な実施形態では、操作パラメータは温度、pH、溶存酸素、バイオマス及び/又は任意の化合物の濃度としてもよい。
【0055】
様々な実施形態では、制御容器内でのインキュベーションは、インキュベーションに使用される特定の微生物にとって衛生的な環境内及び生物学的に適切な条件下で維持する。様々な実施形態では、インキュベーションは好気的インキュベーションとしてもよい。様々な実施形態では、攪拌は0rpm~1800rpm、又は100rpm~1200rpm、又は200rpm~1800rpm、又は400rpm~1800rpmで行ってもよい。様々な実施形態では、適切なレベルの溶存酸素を維持するためのガス供給量は、使用する微生物に適した量であれば、どのような量でもよい。様々な実施形態では、ガス供給は、0vvm(1分当たりの培地体積に対するガス体積)~2vvm、又は0.1vvm~1vvm、又は0.1vvm~0.5vvm、又は0.1vvm~0.3vvmで行ってもよい。様々な実施形態では、pH範囲はインキュベーションで使用される微生物に適した生物学的に関連のある範囲であればどのような範囲でもよい。様々な実施形態では、pHを調整するための炭酸ナトリウムの添加の有無に関わらず、pH範囲は3.9~7.5としてもよい。様々な実施形態では、インキュベーションの温度は、使用する微生物に適した温度であればどのような温度でもよい。様々な実施形態では、インキュベーションの温度は20℃~40℃としてもよい。様々な実施形態では、インキュベーション時間は微生物代謝に適した時間であればどのような時間でもよく、1時間~24時間としてもよい。
【0056】
様々な実施形態では、当該プロセスには更に、修飾未精製植物エキスと第2の微生物との第2のインキュベーションが含まれる。様々な実施形態では、第2のインキュベーションは連続的に行ってもよい。様々な実施形態では、第1のインキュベーションには、1種以上の微生物とのインキュベーションと、それに続く第2のインキュベーションにおける1種以上の微生物の第2の植菌が含まれてもよい。
【0057】
様々な実施形態では、当該プロセスには更に、修飾未精製植物エキスを加熱し、水分を蒸発させ、濃縮物を形成し、濃縮物を沸点より高い温度で蒸煮し、粘性シロップ又は固体生成物を形成する工程が含まれる。
【0058】
様々な実施形態では、濃縮物を蒸煮することによりフレーバー及び色が発生し、これにより揮発性化学物質が放出される。
【0059】
様々な実施形態では、修飾未精製植物エキスは、温度及び屈折計法乾燥物含有量が80℃~170℃及び50°Bx~100°Bx、又は特に110℃~130℃及び75°Bx~95°Bx、特に最大約120℃及び90°Bxになるまで加熱し、蒸煮し、粘性シロップ又は固体生成物を形成する。
【0060】
様々な実施形態では、当該プロセスには更に、フレーバー付き甘味料のスクロース濃度を低下させるか、又はココナツ糖のスクロース濃度を低下させる工程が含まれる。
【0061】
様々な実施形態では、フレーバー付き甘味料のスクロース濃度を低下させる工程には、フレーバー付き甘味料を結晶化し、選択的洗浄を行うことによって、残留するスクロース結晶からフレーバー付き甘味料シロップを分離する工程が含まれる。この一般的な方法にはアフィネーションが含まれる。
【0062】
様々な実施形態では、フレーバー付き甘味料は、使用前の1日~2ヶ月の期間にわたって熟成させ、寝かせてもよい。様々な実施形態では、甘味料の色、食感、芳香及びフレーバーは、ココナツ糖、着色剤、色保持剤、酸化防止剤、固化防止剤、油類、湿潤剤、乾燥剤、酸性度調整剤、防腐剤、フレーバー分子及びフレーバー分子の混合物、フレーバーエキス、グルタミン酸一ナトリウムなどのフレーバー増強剤、植物エキス及び甘味料、ならびにマルトールなどの添加剤を使用することで安定又は促進してもよい。
【0063】
様々な実施形態では、当該プロセスには更に、フレーバー付き甘味料と他の甘味料とを混合する工程が含まれる。
【0064】
このことには混合フレーバー付き甘味料を形成するという利点がある。様々な実施形態では、他の甘味料は、ココナツ糖、ヤシ糖、又はフレーバー付き甘味料が特徴的なフレーバーを維持できることを可能にする任意の他の甘味料を含んでもよい。
【0065】
様々な実施形態では、当該プロセスには更に、修飾未精製植物エキスもしくはフレーバー付き甘味料もしくはフレーバー付き甘味料のシロップ、又はフレーバー付き甘味料もしくはココナツ糖の結晶相から1種以上のフレーバー分子を単離することによりフレーバーエキスを製造する工程が含まれる。
【0066】
様々な実施形態では、当該1種以上のフレーバー分子は、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸;2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸;2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸;フェニル酢酸;2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール;(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン;2-メチルブタナール/3-メチルブタナール;(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール;2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール;又は2-メトキシフェノールのいずれか1種を含む。
【0067】
この新規なプロセス及び生成物はまた、生体触媒的プロセス又は代謝的プロセスのいずれかによる微生物代謝を利用してフレーバー分子を生成することから、天然フレーバー分子の供給源でもある。様々な実施形態では、1種以上の単離したフレーバー分子を使用して、他の甘味料にフレーバーを付け、ココナツ糖の所望の特徴を有するフレーバー付き甘味料を生成してもよい。
【0068】
本発明の別の態様は、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを1種又は複数種の微生物とインキュベートして修飾未精製植物エキスを形成することを含む方法により誘導可能な修飾未精製植物エキスを提供する。
【0069】
様々な実施形態では、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、上記の実施形態のいずれか1実施形態に定義されるいずれか1種の未精製植物エキスを含み、少なくとも1種の微生物は、上記の実施形態のいずれか1実施形態に定義されるいずれか1種の微生物を含む。
【0070】
本発明の別の態様は、本明細書に開示されたプロセスにより誘導可能で、更に以下の特徴を持つフレーバー付き甘味料を提供する:第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;第2の特徴は以下から選択される少なくとも1つを含む:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;ならびに第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、フレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール。
【0071】
様々な実施形態では、第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;様々な実施形態では、フレーバー付き甘味料はシロップ、ペースト、バルク状、塊状又は顆粒状の非晶質又は半結晶質固体のいずれか1種の形態である。
【0072】
様々な実施形態では、第2の特徴は以下を含む:合わせた濃度が0.1重量%超のグルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウム;又は合わせた濃度が0.1重量%超のグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウム。
【0073】
様々な実施形態では、第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種、少なくとも5種、少なくとも6種、少なくとも7種;少なくとも8種;少なくとも9種;少なくとも10種;少なくとも11種;少なくとも12種;少なくとも13種;又は少なくとも14種を含む:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;3-メチルスルファニルプロパナール;酢酸;2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸;2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸;フェニル酢酸;2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール;(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン;2-メチルブタナール/3-メチルブタナール;(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール;2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール;又は2-メトキシフェノール。
【0074】
様々な実施形態では、低スクロースのフレーバー付き甘味料のスクロース含有量は40重量%未満である。
【0075】
様々な実施形態では、低スクロースのフレーバー付き甘味料のスクロース含有量は10重量%~40重量%である。
【0076】
本発明の別の態様は、本明細書に記載のプロセスにより誘導可能で以下から成る群より選択されるフレーバー分子の少なくとも10種を含むフレーバーエキスを提供する:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;3-メチルスルファニルプロパナール;酢酸;2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸;2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸;フェニル酢酸;2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール;(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン;2-メチルブタナール/3-メチルブタナール;(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール;2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール;もしくは2-メトキシフェノール;又はこれらの組み合わせ。
【0077】
様々な実施形態では、フレーバーエキスは以下から成る群より選択されるフレーバー分子の少なくとも10種、少なくとも11種;少なくとも12種、少なくとも13種;少なくとも14種を含む:3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン;3-メチルスルファニルプロパナール;酢酸;2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸;2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸;フェニル酢酸;2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール;(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン;2-メチルブタナール/3-メチルブタナール;(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール;2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール;又は2-メトキシフェノール。
【0078】
本発明の別の態様は、以下の工程を含む食品を製造するプロセス又は方法を提供する:(a)主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを1種又は複数種の微生物と共にインキュベートし、修飾未精製植物エキスを形成する工程;(b)修飾未精製植物エキスを加熱してフレーバー付き甘味料を生成する工程;(c)フレーバー付き甘味料と追加の成分とを混合する工程;及び(d)食品を形成する工程。
【0079】
本明細書で使用する用語「食品」は、哺乳動物、特にヒトなどの動物が消費し、摂食し、又は摂飲する任意の製品を指す。これには、動物が消費し、摂食し、又は摂飲することが可能な食品及び飲料が含まれる。
【0080】
記載した製造プロセス又は製造方法は、加工コストを削減し、規模を節減し、製品の製品品質管理を向上させ、品質を落とすことなく防腐剤薬品の添加を可能にし、農場の出荷から消費者の食卓までの供給連鎖を簡素化する。
【0081】
従って、フレーバー付き甘味料は供給の制約を解消し、特に、既存の製品の品質基準に合わせながら、甘味ソース、チョコレート、糖菓、及びココナツ糖を成分として従来使用している他の製品などの食品を求める需要の拡大を満たすことが可能である。フレーバー付き甘味料にはまた、従来のココナツ糖の供給不足及びコスト上昇によりこれまで制約されてきた広範な他の食品及び飲料用途における利用法を見出せる可能性がある。様々な実施形態では、食品は、スナック;菓子類;デザート;バンズ、飯米及び麺類などの炭水化物系の調理食品;加工食品;ディップ;スープ;グレービー;シチュー;カレー;スプレッド;ジャム;シロップ;ドレッシング;マリネ食品;フライド食品;ベークド食品;エネルギーバー;コーヒー、茶、エネルギー飲料、麦芽飲料、濃縮物、甘味飲料などの飲料;ペットフードなどの他の飲食品用途、ならびに甘味醤油などの調味料を利用する他の食品用途全てを含んでもよい。特にチョコレートは、フレーバー付き甘味料又は低スクロースのフレーバー付き甘味料と、ココアパウダー、水及び他の成分、任意で牛乳、ココアバター、ナッツ、フルーツ及び他の含有成分、タフィーやコーヒーなどの香味料、バニリン及び/又はバニラ、ならびに乳化剤とを組み合わせて製造できる。
【0082】
様々な実施形態では、製造プロセス又は方法には更に、成分を添加する前にフレーバー付き甘味料のスクロース含有量を低減する工程が含まれる。
【0083】
様々な実施形態では、添加成分はソースを含む。
【0084】
様々な実施形態では、添加成分は醤油を含む。
【0085】
様々な実施形態では、添加成分は塩類溶液の他に、酢酸又は酢を含む。
【0086】
様々な実施形態では、添加成分は香辛料、植物エキス;フレーバー;又はフレーバー促進剤もしくはフレーバーエキス、及び/又はフレーバー分子を含む。
【0087】
様々な実施形態では、添加成分は更に、穀粉又はデンプン及び油類、好ましくは植物油を含む。
【0088】
様々な実施形態では、添加成分は低血糖指数の甘味料、イソマルト、イソマルツロース又はD-タガトースを含む。イソマルト、イソマルツロース及びD-タガトースは低血糖指数の甘味料の例である。
【0089】
様々な実施形態では、添加成分はチョコレート;ドライフルーツ;ショウガ;種子;ナッツ;牛乳;クリーム;カスタード;バター;ココア;ミロ;酢;野菜もしくは肉類用のトウガラシ;タマネギ;ニンニク;ショウガ;レモングラス;タマリンド;ターメリック;シナモン;コリアンダー;又はコショウもしくは肉類のいずれか1種を含む。
【0090】
様々な実施形態では、製造プロセス又は製造方法には更に、食品を形成する前に混合物を加熱する工程が含まれる。
【0091】
様々な実施形態では、フレーバー付き甘味料を製造するプロセスは、本明細書に記載される食品の製造方法にも拡張することが可能である。
【0092】
様々な実施形態では、食品は甘味ソースを含む。様々な実施形態では、甘味ソースは粉末又はペースト状に製造し、添加剤は更に穀粉もしくはデンプン及び/又は植物油を含む。好適なデンプンをベースとする穀粉はいずれも、穀粉、ジャガイモ粉、トウモロコシ粉、タピオカ粉、又は当技術分野で公知の任意の他のデンプン系穀粉として好適である。
【0093】
様々な実施形態では、甘味ソース製品は、本明細書に記載のように製造したフレーバー付き甘味料と、水、塩類溶液、酢、醤油、従来通りに製造したCNS、又は甘味ソース、グルタミン酸一ナトリウムなどのフレーバー促進剤、香辛料、植物エキス、香味料、フレーバー付きエキス、フレーバー分子及びフレーバー分子混合物、穀粉、デンプンをベースとする成分、植物油、保存料、酸化防止剤、及びカラメルなどの着色料とを組み合わせて製造してもよく、このとき加熱処理を追加してもしなくてもよい。様々な実施形態では、甘味醤油製品は、ソース、ディップ、シロップ、ペースト又は粉末の形態であってもよい。
【0094】
本明細書で使用しているように、用語「甘味ソース」は、本明細書に記載されるように製造した甘味料、水、及び醤油を含む甘く塩気のあるソースを指す。
【0095】
本明細書で使用しているように、用語「甘辛ソース」は、本明細書に記載されるように製造した甘味料、水、トウガラシ、ニンニク及び醤油を含む甘辛く塩気のあるソースを指す。
【0096】
本明細書で使用しているように、用語「オニオン甘味ソース」は、本明細書に記載されるように製造した甘味料、水、ニンニク、タマネギ及び醤油を含むニンニク及びタマネギの甘く塩気のあるソースを指す。様々な実施形態では、タマネギは赤タマネギである。
【0097】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される食品の製造プロセス又は製造方法により誘導可能で、以下の特徴を持つ食品を提供する:第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が0.5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;第2の特徴は以下から選択される少なくとも1つを含む:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;ならびに第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、フレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール:ここで第1、第2及び第3の特徴は食品中のフレーバー付き甘味料の含有量に比例する。
【0098】
様々な実施形態では、食品は更に、低血糖指数の甘味料、イソマルト、イソマルツロース又はD-タガトースを含む。イソマルト、イソマルツロース及びD-タガトースは、低血糖指数の甘味料の例も含む。
【0099】
様々な実施形態では、食品は、ココアパウダー、又はチョコレート酒、水、又はココアバター、ならびにチョコレート、任意で牛乳、ココアバター、ナッツ、フルーツ、香味料、バニリン、又はバニラ、コーヒー、タフィー、又は乳化剤、レシチン、又はポリリシノール酸ポリグリセロールと組み合わせたフレーバー付き甘味料又は低スクロースフレーバー付き甘味料を含む。
【0100】
様々な実施形態では、食品は更に、チョコレート;ドライフルーツ;ショウガ;種子;ナッツ;牛乳;クリーム;カスタード;バター;ココア;ミロ;酢;野菜もしくは肉類用のトウガラシ;タマネギ;ニンニク;ショウガ;レモングラス;タマリンド;ターメリック;シナモン;コリアンダー;又はコショウのいずれか1種を含む。
【0101】
様々な実施形態では、食品は更に、添加成分を含む。
【0102】
様々な実施形態では、添加成分は香辛料、植物エキス;フレーバー;又はフレーバー増強剤もしくはフレーバー付き甘味料を含む。
【0103】
様々な実施形態では、添加成分はソースを含む。
【0104】
様々な実施形態では、添加成分は醤油又は甘味醤油を含む。
【0105】
様々な実施形態では、添加成分は塩類溶液及び酢酸又は酢を含む。
【0106】
様々な実施形態では、添加成分はテンペ又はサヤインゲンのいずれかを含む。
【0107】
様々な実施形態では、添加成分はトウガラシ、ニンニク、醤油、サヤインゲン、タマネギ、トウモロコシ、ニンジン、ジャガイモ又はチキンのいずれか1種を含む。
【0108】
様々な実施形態では、食品は更に、穀粉及び/又はデンプンを含む。
【0109】
様々な実施形態では、食品は更に、油類、好ましくは植物油を含む。
【0110】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される食品の製造プロセス又は製造方法により誘導可能で、以下の特徴を持つ甘味ソースを提供する:第1の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1つを含む:スクロース含有量が少なくとも40重量%であること;スクロースの炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;分子アコニット酸、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム、及びイノシン酸二ナトリウム分子、ならびに香料分子の同位体比として炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以上であり、δ13C値の範囲が-5~-20であること;アコニット酸が0.1重量%超で存在すること;ナトリウムに対するカリウムの重量比が0.5以上であること;及び、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのフレーバー希釈回数が少なくとも8回であること;第2の特徴は以下から選択される少なくとも1つを含む:グルタミン酸及びグルタミン酸一ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;又はグアノシン一リン酸、イノシン一リン酸、グアニル酸二ナトリウム及びイノシン酸二ナトリウムの合わせた濃度が0.1重量%超であること;ならびに第3の特徴は以下から成る群より選択される少なくとも1種を含む:フレーバー希釈回数が少なくとも10回である3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、フレーバー希釈回数が少なくとも7回である4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、フレーバー希釈回数が少なくとも5回である4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-メチルスルファニルプロパナール、酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸、2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸、フェニル酢酸、2-メトキシ-4-プロプ-1-エン-2-イルフェノール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、2-メチルブタナール/3-メチルブタナール、(E)-3-[(2S,3R)-3-ペンチルオキシラン-2-イル]プロプ-2-エナール、2-メトキシ-4-プロプ-2-エニルフェノール、及び2-メトキシフェノール:ここで第1、第2及び第3の特徴は甘味ソース中のフレーバー付き甘味料の含有量に比例する。
【0111】
様々な実施形態では、甘味ソースは更に、低スクロースのフレーバー付き甘味料、低血糖指数のフレーバー付き甘味料、又は追加的にフレーバーを付けた甘味料、追加的にフレーバーを付けた低スクロースフレーバー付き甘味料、又は追加的にフレーバーを付けた低血糖指数のフレーバー付き甘味料、又はココナツ糖もしくはヤシ糖、穀粉及び/もしくはデンプン、又は植物油、又はこれらの任意の組み合わせを含む。
【0112】
本発明の別の態様は、フレーバー付き甘味料中のスクロース含有量を低減するプロセスを提供するものであり、当該プロセスにはアフィネーション、濾過、遠心分離又は溶媒抽出が含まれる。
【0113】
様々な実施形態では、スクロースを低減するプロセスにおいて使用するフレーバー付き甘味料は、本明細書に記載のフレーバー付き甘味料のいずれか1種、又はココナツ糖を含む。
【0114】
様々な実施形態では、スクロースを低減するプロセスには更に、低血糖指数の甘味料を低スクロースのフレーバー付き甘味料に添加する工程が含まれる。
【0115】
本明細書を通して、反対の指示がない限り、用語「含む」、「有する」等の用語は、包括的ではないと解釈されるべきであり、言い換えれば、「含むが、それに限定されない」を意味する。
【0116】
更に、本明細書を通して、文脈上別段の要求がない限り、単語「含む(include)」、又は「含む(includes)」もしくは「含んでいる」などの変形例は、記載された1つ又は複数の整数を含むことを含意していると理解されているが、別の1つ又は複数の整数を排除するものではない。
【0117】
本明細書で使用されているように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の参照例を包含する。
【0118】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する技術用語及び科学用語は、本明細書の主題が属する当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0119】
代案又は代替物ではない上記特徴の変形例及び組合せを組み合わせて、本発明の意図する範囲内に含まれる更なる実施形態を形成してもよいことは当業者に更に理解されたい。
【0120】
実施形態
現在の市場は様々なフレーバー特性及び化学組成を有する一連のCNS及び甘味ソースから成り、これらは長年にわたって半独立的に開発され、現在も地域の嗜好に合わせて製造及び使用され続けている。
【0121】
一連の様々なフレーバー付き甘味料及び甘味ソース製品を求めるこの需要を満たすために、様々な嗜好を持つ顧客が必要とするこれらの範囲の製品を製造できるように一連の修飾に適応できる多目的プロセスが開発されている。
【0122】
更に、当該新規なプロセスは、栽培されているサトウキビ属種由来のサトウキビ汁といった豊富に入手可能な天然食品品質の糖含有原料を使用し、これはココナツ花序樹液の場合よりはるかに大規模に、かつ高い1ヘクタール当たりの生産性で製造される。従って、サトウキビから製造したフレーバー付き甘味料及び甘味ソースは、従来のCNS及び甘味ソースよりかなり低いコストで入手可能になる。
【0123】
この多用途の新規なプロセスは3種の重要な単位操作:主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスのインキュベーション、蒸発、及び蒸煮に基づいている。蒸煮後、フレーバー付き甘味料を冷却し、シロップ、ペースト、バルク状、塊状又は顆粒状の非晶質又は半結晶質固体の形態で得ることが可能である。このフレーバー付き甘味料製品を使用し、天然のフレーバーエキス及びフレーバー分子の供給源として、そして低スクロース及び低血糖指数の形態で、醤油と共に加熱することにより甘味ソースを製造することが可能である。甘味ソースは更に粉末又はペーストの形態に加工できる。
【0124】
プロセス
原料
インキュベーションのための基質及びフレーバー付き甘味料のための原料は、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスである。このエキスは、サトウキビ、テンサイ、スイートソルガム及びリュウゼツランなどの糖料作物;ココヤシ、パルミラヤシ、ナツメヤシ、サトウナツメヤシ及びカエデの木などの樹木;アプリコット、バナナ、マンゴー、ネクタリン及びオレンジなどの果物から得ることも可能である。フレーバー付き甘味料のフレーバー特性は原料に強く依存している。1例では、原料はテンサイ汁であってもよい。
【0125】
ココナツ糖の原料はココヤシの花序樹液であり、従来製品として、フレーバー品質などの製品基準を定めているものと一般的に見なされている。本明細書に概説したプロセスは、一貫して高品質の製品を確保する制御及び最適化されたインキュベーション及び蒸煮プロセスにより、高品質のココナツ糖代替物を製造できる。供給の制限、低い拡張性、及び高価格なココヤシ花序樹液を解決するために、サトウキビ汁が現在、総合的に最高の原料と考えられている。サトウキビの場合、最初にサトウキビの茎を細断し、次に糖を摩砕及び/又は拡散させて汁を抽出する。
【0126】
未精製の原料とは、精製白糖の製造のようにアフィネーション及び樹脂や活性炭処理などのプロセスを経ていないものをいう。純粋なスクロース又はグルコースなどの精製植物エキスを水中で微量栄養素と共に使用しても、本明細書で概説したプロセスによる許容可能なフレーバー品質のフレーバー付き甘味料は生成されない。主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを原料として使用すると、インキュベーションに追加の微量栄養素が必要なくなることや、フレーバー付き甘味料のフレーバーがより優れ、より天然に近くなるといった利点がもたらされる。主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは、粗生成物にするか、あるいは濾過、浄化、煮沸、結晶化及び遠心分離などの1つ以上の単位操作により部分的に処理することも可能である。遠心分離及び精製の副産物はサトウキビ糖蜜であり、これは単独で使用しても、許容できる品質を持つフレーバー付き甘味料を生成しないが、サトウキビ汁と混合すると実施例4のように、許容できる生成物が得られる。
【0127】
フレーバー付き甘味料に甘味を提供するだけでなく、スクロースは主溶質として存在し、グルコースやフルクトースとは対照的に潮解性が低く、それにより浸透圧が高く比較的乾燥したフレーバー付き甘味料製品をもたらし、ひいては保存寿命が改善される。
【0128】
従って、サトウキビ汁などのサトウキビ(実施例1及び実施例2)、ヤシ糖(実施例3)、サトウキビ糖蜜と混合したサトウキビ汁(実施例4)及びサトウキビシロップ(実施例5)由来の、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを使用して高品質のココナツ糖代替製品を製造することが可能になる。
【0129】
微生物
本明細書で使用する微生物は好気的条件でよく増殖するので好気性であり、高い浸透圧で培地中で増殖するので浸透圧耐性であり、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを修飾し、それにより加熱したときにココナツ糖のようなフレーバーを生じさせる。「微生物」とは、(天然に存在するか、又は組換えDNA技術により生成されたかに関わらず)単細胞微生物又は多細胞微生物であればどのような微生物も含意する。更に、本発明に記載のインキュベーションプロセスを実行することが可能な細胞であればどのような細胞も含意する。いくつかの目的のいずれかを果たすために、これらの細胞は生細胞(天然に存在するか、又は組換えDNA技術により生成されたかに関わらず)、人工細胞、細胞ゴースト、又は偽ウィルス粒子であってもよい。「人工細胞」又は最小細胞とは、生体細胞の1つ又は多数の機能を模倣する人工粒子であればどのような細胞も含意する。その細胞は、本発明のココナツ糖代替物のようなフレーバーを作り出せるフレーバー分子及びフレーバー前駆体全てを生成するために必要な代謝経路を含むように形成してもよい。
【0130】
微生物は、カラギーナン又はアルギン酸塩ペレット中など、移動形態又は固定形態のいずれでも使用してよい。
【0131】
微生物は単独培養でも混合培養でも使用可能である。相補的な異なる微生物種の混合培養を利用することにより、より優れたフレーバーを得ることが可能になる。
【0132】
微生物は、ステノトロホモナス・マルトフィリア、セルロシミクロビウム・セルランス、枯草菌、バチルス・フレクサス及びクリベロミセス属種から成る群を含む。実施例1、実施例4及び実施例8では、ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスの二成分混合培養を使用し、実施例2、実施例3及び実施例5では、枯草菌及びバチルス・フレクサスの二成分混合培養を使用する。実施例6では、クリベロミセス属種の単独培養を使用する。
【0133】
インキュベーション
インキュベーションは任意の適切な培地中で行える。様々な実施形態では、限定培地アプローチを採用してもよい。限定発酵培地は、微生物又は細胞の増殖及びその所望の生成物の生成に必要とされる化学的に規定された成分のみが最適量で存在する培地である。限定培地の開発は発酵技術で用いられる標準的なアプローチであり、通常は使用の生産培地のコストを削減し、ひいては全体的な製造コストを削減する。微生物株の増殖に寄与し、本発明のココナツ糖代替物の製造に必要なフレーバー分子及びフレーバー前駆体分子の原料として働く分子全てを同定するために、ココナツ樹液及びサトウキビ汁を分析してもよい。次に、この培地を用いて発酵を実施し、続いて発酵限定培地を加熱する。このアプローチは、発酵生成物中に存在するスクロースを必ずしも多くは必要としないという利点も有し、よって、最終使用製品に最も適した量のスクロースを添加するだけでよい。
【0134】
インキュベーションは衛生的に行い、すなわち主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスを低温殺菌し、選択した微生物を植菌する。屈折計法乾燥物(RDS)、時間、温度、圧力、pH、攪拌、ガス供給及び溶存酸素濃度などのインキュベーション操作条件は、処理時間を短縮し、また/あるいはフレーバー付き甘味料のフレーバーを修飾するために変更可能である。
【0135】
好気的インキュベーションは、8°Bx~30°BxのRSD、1時間~24時間の時間、20℃~40℃の温度、1bar~5barの圧力、4~10のpH、0m/s~10m/sの線状先端スピード、0vvm~2vvm(1分当たりの培地体積に対するガス体積)のガス供給、及び20%~100%の相対的溶存酸素濃度の範囲で操作可能である。
【0136】
ココナツ糖代替生成物を製造するためには、12°Bx~16°Bxの範囲のRDS、6程度のpH、33℃の温度、3~5時間の範囲のインキュベーション時間、及び30%の溶存酸素濃度のサトウキビエキスが、微生物増殖速度、及び得られるフレーバー付き甘味料のフレーバーの点で最適である。
【0137】
実施例2では、微生物株枯草菌及びバチルス・フレクサスの組み合わせについてインキュベーション時間の影響を試験した。修飾未精製植物エキスから生成されたフレーバー付き甘味料の品質は、インキュベーション中に上昇し、約3~4時間でピークに達し、その後、低下する。フレーバー付き甘味料の品質の低下は生存可能なバチルス・フレクサス細胞が比較的急速に減少することと関係しており、バチルス・フレクサス細胞は約5.5×105CFU/mLの植菌時の濃度から、3時間のインキュベーション後には濃度は4.0×106CFU/mLになるが、枯草菌の生存可能細胞数は初期の7.5×105CFU/mLから、3時間後には1.6×107CFU/mLに上昇する。しかし、バチルス・フレクサスとは異なり、枯草菌は増殖し続け、5時間後には濃度は3.1×108CFU/mLに達し、生存可能な枯草菌細胞が継続的に検出されなかった後でもよく増殖するが、品質が低く味の異なる製品をもたらすだけであった。従って、フレーバー付き甘味料の質の変化は、インキュベーションの経時的な微生物学的変化に関連している。
【0138】
微生物バイオマス及び微生物生成バイオマスを任意で蒸煮前に遠心分離又は濾過により除去し、フレーバー付き甘味料の異なるフレーバー特性を形成することが可能である。
【0139】
インキュベーションプロセスの生成物は修飾未精製植物エキスと称し、その後に使用する前に、濃縮、加熱、冷却、又は化学物質添加などにより微生物活性に対して安定化してもよい。
【0140】
蒸発
蒸発は、修飾未精製植物エキスがフレーバー生成蒸煮プロセスに適した濃度になるまで修飾未精製植物エキスから水を除去するプロセスであり、その濃度は一般に、約60°Bx~70°BxのRDSを意味するが、低めのRDSは例えば最低で20°Bxであり、特殊な製品に適している。実施例1~実施例4では、CNSを製造する従来の方法と同様に、蒸発は蓋なし鍋で行う。工業規模では、自然循環式蒸発器、強制循環式蒸発器、プレート式蒸発器、流下液膜式蒸発器及び/又は上昇液膜式蒸発器を使用することにより、よりエネルギー効率の高い蒸発を達成することが可能になる。
【0141】
蒸煮
蒸煮プロセスは、使用する温度及び/又は濃度が高いためにメイラード反応及びカラメル化反応によりフレーバーが発生するプロセスであるという点で蒸発とは区別される。操作の可変要素は、RDS、時間、温度、圧力、pH、攪拌、ガス供給、ならびにラムノースなどのフレーバー前駆体、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4(4H)-ピラノン及び/又は4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドなどのフレーバー分子、及び他のCNS及び/又は糖蜜などの補足的生成物の添加である。
【0142】
蓋なし鍋プロセスでは、圧力は1気圧に固定し、RDS、時間及び温度は、鍋の表面積、ならびにインキュベーション生成物の効果及び束一的(すなわち沸点上昇)特性により関連づけられる従属的な可変要素である。
【0143】
蓋なし鍋プロセスでは、RDS、時間及び温度の相互依存的可変要素に応じて、フレーバー付き甘味料生成物の形態を制御できる。フレーバー付き甘味料はシロップでは約50°Bx~75°Bx及び102℃~110℃でインキュベートしたサトウキビ汁から製造可能であり、ペーストでは約80°Bx及び115℃で製造可能であり、固体生成物では約90°Bx~95°Bx及び120°で製造可能である。固体は単に冷却(実施例1~実施例4)することで非晶質になり、又は激しい撹拌(実施例2)もしくは冷却しながらのスクロース結晶散布により半結晶質にすることが可能である。蒸発及び蒸煮にかかる総エネルギー消費は、熱損失又は結晶化熱を考慮に入れなければ、インキュベートしたサトウキビ汁の約2300kJ/kgである。
【0144】
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスがサトウキビ汁である場合の蓋なし鍋プロセスの最良の加工条件は、約120℃、90°Bx、60分の蒸発時間とそれに続く30分の蒸煮時間であることが分かる。インキュベートしたサトウキビ汁の蓋なし鍋での蒸発及び蒸煮プロセスにおける温度、RDS及びpHの経時変化を図1に示す。
【0145】
真空鍋、加圧容器、又はかき取り表面熱交換器などの機器を使用する工業プロセスでは、圧力を調整することでRDS及び温度を互いに独立して制御可能となり、これはRDSに下限がないことを意味する。真空鍋は最大85°BxのRDS及び最低65℃の温度で容易に操作でき、蒸気加熱加圧蒸煮容器は90°Bx及び130℃で容易に操作でき、一方、高粘度及び焦げ付き効果が軽減するかき取り表面熱交換器においては、RDSは100°Bxに、温度は170℃もの高温に到達する。
【0146】
場合により、例えばその焦げたフレーバーノートを向上させるために、120℃より高い温度まで加熱することにより、大幅にフレーバーが付いた甘味料生成物を製造することが可能になる。この第2のフレーバー付き甘味料生成物は、特に本明細書で生成するフレーバー付き甘味料生成物に添加するフレーバー成分として使用し、特定のフレーバー特性を強化することが可能である。
【0147】
場合により、フレーバー付き甘味料生成物のフレーバーは、システイン、ラムノース及びスレオニンなどの1種以上のフレーバー前駆体を添加してフラノンフレーバー特性を形成することにより、又は蒸煮プロセス中にフレーバー発生反応を始めることにより、又は4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドなどの1種以上のフレーバー分子を添加してフレーバー付き甘味料の味を改善することのいずれかにより、促進することが可能である。
【0148】
場合により、フレーバー付き甘味料は、更にフレーバーを発生させるために熟成してもよい。熟成は1日~2か月かかる場合もある。
【0149】
甘味ソースの調製
フレーバー付き甘味料を使用して甘味ソースを製造してもよく、この生成物は、他の甘味ソースと区別する必要があるときはフレーバー付き甘味料から製造した甘味ソースと称する。このようにして生成した甘味ソースは、加熱、及び塩水(実施例7)又は醤油のいずれかとの混合により事前に生成したフレーバー付き甘味料から製造することが可能である。甘味ソースは、実施例8のように蒸煮プロセスの最後に塩水又は醤油をフレーバー付き甘味料に添加する「ワンポット」プロセスで調製することも可能である。この加熱及び混合プロセス中にフレーバーを発生させてもよく、操作上の可変要素は、醤油添加量、RDS、時間、温度、圧力、pH、攪拌、またラムノースなどのフレーバー前駆体、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4(4H)-ピラノン、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド及び酢酸などのフレーバー分子(実施例7)、ならびにヤシ糖、他のフレーバー付き甘味料、CNS及び/又は糖蜜などの補足的生成物の添加である。
【0150】
醤油の使用量は、フレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースに望まれる甘味と塩味とのバランスに依存し、約20重量%~100重量%の範囲である。蒸煮温度は80℃~110℃で、10分~2時間行う。
【0151】
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスがサトウキビ汁であるときの「ワンポット」蓋なし鍋プロセスのための最良の加工条件には、醤油の量がフレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースの約25重量%であること、当該プロセス中に蒸発した水と釣り合う量の醤油と同量の水道水を添加すること、実施例8のように約80°BxのRDSを持つ粘性ソースが得られるように80℃の温度で60分間蒸煮することを加えている。
【0152】
このように生成した甘味ソースはまた、健康ハーブ、花、葉、根、果実、及び伝統的な中国又はインドネシア医薬(漢方薬)に見られるような他の植物エキスと組み合わせて使用できる。これらの健康成分には、ショウガ、ガランガル、クルクミン、シナモン、ウコン、コロハ、タマリンド、ブルーベリー、ブドウが挙げられる。これらの健康成分中の活性分子アントシアニンも、フレーバー付き甘味料で製造した甘味ソースに直接添加してもよい。
【0153】
場合により、そのように生成した甘味ソースは、更にフレーバーを発生させるために熟成してもよい。熟成は1日~2か月かかる場合もある。
【0154】
粉末又はペーストの調製
本明細書に記載のプロセスで生成したフレーバー付き甘味料又は従来のプロセスで生成したCNSは、例えば、固形ブイヨン状に形成できる乾燥粉末又はペーストとして調製可能である。乾燥粉末フレーバー付き甘味料は、本明細書に記載のように調製したフレーバー付き甘味料と約20重量%~40重量%のデンプン又は穀粉とを約80℃~120℃で低速で混合し、次いで乾燥及び粉砕することにより製造する。ペーストのフレーバー付き甘味料は、同様の方法で、約0重量%~20重量%のデンプン又は穀粉と、約80℃~120℃で混合し、次いで乾燥及び粉砕することにより製造できる。使用のデンプン又は穀粉は、小麦、ジャガイモ、タピオカ、トウモロコシ又は他のデンプン含有植物をベースとすることが可能である。この生成物はCNSからも調製できる。この種の生成物は実施例11に例示している。
【0155】
本明細書に記載のプロセス又は従来のプロセスのいずれかで生成された甘味ソースはまた、例えば固形ブイヨン状に形成できる乾燥粉末又はペーストとして調製可能である。乾燥粉末甘味ソースは、本明細書に記載のように調製した甘味ソースと約50重量%~70重量%のデンプン又は穀粉とを周囲温度で低速で混合することにより製造する。ペーストの甘味ソースは、同様の方法で、約30重量%~50重量%のデンプン又は穀粉及び植物油を炒め、甘味ソースに混合することにより製造できる。使用のデンプン又は穀粉は、小麦、ジャガイモ、タピオカ、トウモロコシ又は他のデンプン含有植物をベースとすることが可能である。この種の生成物は市販の甘味ソースから調製することも可能であり、固形ブイヨン又は錠剤での使用に好適である。この生成物も実施例11に例示している。
【0156】
低スクロースフレーバー付き甘味料
本明細書で概説した方法を利用して、アフィネーション、濾過、遠心分離又は溶媒抽出などにより、修飾未精製植物エキス、フレーバー付き甘味料、又はフレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースから低スクロースフレーバー付き甘味料及び天然フレーバーエキスを製造することも可能である。
【0157】
濾過を利用して低スクロースフレーバー付き甘味料を製造するアフィネーションのような方法は実施例9に示されており、ここでは半結晶質フレーバー付き甘味料中のスクロース結晶をエタノールと水の混合物で洗浄することにより非晶質マトリクスから分離する。スクロースの3分の1がこのプロセスで除去され、これはフレーバー付き甘味料の全質量の約15重量%に相当する。
【0158】
イソマルト、イソマルツロース又はタガトースなどの低血糖指数甘味料をこれらの低スクロースフレーバー付き甘味料に添加し、潜在的GI又は齲蝕原性を増大させることなくその甘味を増大させることができる。
【0159】
天然フレーバーエキス
本明細書で概説した方法を利用して、溶媒抽出、超臨界CO2抽出、蒸留、ガス濃縮、透析、吸収、吸着、濾過又は回転コーンプロセスなどにより、修飾未精製植物エキス、フレーバー付き甘味料、又はフレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースから天然フレーバーエキス及び/又は天然フレーバーもしくは芳香化学物質を製造することも可能である。
【0160】
ジエチルエーテルを用いて天然フレーバーエキスを製造するための溶媒抽出方法を実施例10に示す。
【0161】
生成物
概要
サトウキビ汁中でインキュベートした微生物ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスを使用し、実施例1においてフレーバー付き甘味料A(FS-A)を製造した。
【0162】
サトウキビ汁中でインキュベートした微生物枯草菌及びバチルス・フレクサスを使用し、実施例2においてフレーバー付き甘味料B(FS-B)を製造した。
【0163】
希釈したヤシ糖中でインキュベートした微生物ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスを使用し、実施例3においてフレーバー付き甘味料C(FS-C)を製造した。
【0164】
サトウキビ汁とサトウキビ糖蜜との1:1混合物中でインキュベートした微生物ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスを使用し、実施例4においてフレーバー付き甘味料を製造した。
【0165】
希釈したサトウキビシロップと共にインキュベートした微生物枯草菌及びバチルス・フレクサスを使用し、実施例5においてフレーバー付き甘味料を製造した。
【0166】
サトウキビ汁と共にインキュベートした微生物クリベロミセス属を使用し、実施例6においてフレーバー付き甘味料を製造した。
【0167】
実施例7において、フレーバー付き甘味料、塩水、及び任意で酢から作られる甘味ソースを製造した。甘味ソースを製造するこのプロセスは実施例2と同様のプロセスを用いるが、フレーバー付き甘味料生成物に適量の塩水、及び任意で酢を添加する。
【0168】
実施例8において、フレーバー付き甘味料Aソース(FS-Aソース)を製造した。甘味ソースを製造するこのプロセスは実施例1と同様のプロセスを用いるが、蒸煮段階で適量の醤油を加え、更に80℃で約1時間蒸煮する。
【0169】
実施例9において、低スクロース及び高スクロースのフレーバー付き甘味料を製造した。このプロセスは実施例2と同様のプロセスを用いるが、アフィネーションのような洗浄濾過プロセスを追加し、フレーバー付き甘味料を分離し、低スクロース画分及び高スクロース画分にする。
【0170】
実施例10において、フレーバー付き甘味料、ココナツ糖及び甘味ソースのフレーバーエキスを製造した。溶媒抽出及び濃縮によりフレーバーエキスを調製した。
【0171】
実施例11において、粉末及びペーストのフレーバー付き甘味料及び甘味ソースを製造した。これらの粉末生成物及びペースト生成物は、デンプン又は穀粉、及び任意で植物油と混合することにより調製した。
【0172】
実施例12において、フレーバー付き甘味料を含む食品及び飲料製品を製造した。これらの製品には、チョコレートバー、ヘーゼルナッツスプレッド、プリン、アーモンドエネルギーバー、及びショウガ茶が挙げられる。
【0173】
実施例13において、フレーバー付き甘味料から製造した甘味ソースを含む食品を製造した。これらの製品には、フレーバー付き甘味料を用いて製造したスパイシー甘味ソース、フレーバー付き甘味料を用いて製造したオニオン甘味ソース、フレーバー付き甘味料を用いて製造したスイートソースで作られたテンペ及びウスイマメ、フレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースを含むノンオイルフライにしたスイートコーン、ならびにフレーバー付き甘味料を用いて製造した粉末甘味ソースで作られたチキンシチューが挙げられる。
【0174】
フレーバー付き甘味料の感覚刺激的及び分析的評価
CNSの基本的な品質特性は、赤褐色、微結晶質の質感、及び主にキャラメルフレーバー及び焦げフレーバーの甘い味である。キャラメルフレーバーは、溶融した粗糖の特徴的なフレーバーであり、焦げフレーバーは、焦げた砂糖の特徴的なフレーバーである。
【0175】
基本的な品質特性の点から見た2種の高品質の従来CNS(CNS-A及びCNS-B)に対するフレーバー付き甘味料の類似性を、2種の方法:感覚刺激評価及び化学分析により評価した。
【0176】
感覚刺激評価を表1に示す。この評価には、従来のCNSと比較したフレーバー付き甘味料の色、食感、甘味及び塩味の評価が包含される。フレーバー付き甘味料が色、食感、甘味及び塩味において従来製品と類似していたことは明らかである。
【0177】
この感覚刺激評価は、表2のスクロース、グルコース、フルクトース、ナトリウム及びカリウムの化学分析により補完される。CNS-Aの総糖類量は約70重量%であり、一方、FS-Aの総糖類量は実際には約75重量%より多い。CNS-A及びFS-Aは共に塩度10であり、ナトリウム含有量はそれぞれ約0.4重量%及び0.1重量%であり、カリウム含有量はそれぞれ約0.6重量%及び1.2重量%である。
【0178】
フレーバー付き甘味料の旨味特性も、グルタミン酸(GA)及びグルタミン酸一ナトリウム(MSG);イノシン一リン酸(IMP)及びイノシン酸二ナトリウム(DSI);ならびにグアノシン一リン酸(GMP)及びグアニル酸二ナトリウム(DSG)の濃度を測定することで分析した。フレーバー付き甘味料は0.09重量%のGA、0.10重量%のMSG、ならびに0.11重量%のIMP及び0.13重量%のDSIを含有するが、0.05重量%のレベルではGMPもDSGも検出されないことが分かった。これは、6種の化合物のいずれも0.003重量%のレベルでは検出されなかったCNS-Aとは対照的である。これらの旨味分子は強力なフレーバー促進剤であり、従ってフレーバー付き甘味料及びフレーバー付き甘味料由来の食品の感覚刺激特性にとって重要である。
【0179】
旨味分子は既存しているか、又は加熱中に原料から発生するのではなく、恐らく微生物の代謝から発生すると考えられる。これは、微生物がグルコース又はスクロース上で排他的にインキュベートされたときに、旨味フレーバーが発生することにより実証される。
【0180】
CNS及びフレーバー付き甘味料中に存在する様々なフレーバー特性の感覚刺激評価を表3に示す。最も重要なフレーバーはキャラメルであり、次いで焦げ及び燻製フレーバーである。CNS-A及びCNS-Bの両方で見られるように、フレーバー付き甘味料はキャラメル及び焦げフレーバーを含む。
【0181】
フレーバーの感覚刺激評価は、CNS-A、CNS-B及びフレーバー付き甘味料A~C中に存在するフレーバー分子の芳香エキス希釈分析(AEDA)により支持される。AEDA分析では、実施例10のように、フレーバーエキスを調製し、分析する。分析の性質上、揮発性フレーバー分子、すなわち芳香分子のみを分析することが可能であり、一方、糖類及び塩類などの不揮発性フレーバー分子は分析しない。フレーバーエキス中のフレーバー分子はガスクロマトグラフィーにより分離し、そして保持時間や芳香特性に応じて同定し、疑わしい場合には質量分析でも同定する。一連のその後の1:1希釈液を調製し、各希釈液を分析する。フレーバー分子が匂いにより検出される最大希釈回数はフレーバー希釈(FD)回数であり、これは芳香エキス中のフレーバー分子の強度の尺度である。
【0182】
図2では、CNS-A、CNS-B、FS-A、FS-B、FS-C及びFS-Aのソースの少なくとも1種において5回を超えるフレーバー希釈(FD)回数を示すAEDAにより同定されるフレーバー分子を同定し、それらのFD回数及びフレーバー特性と共に収載している。
【0183】
CNS-A及びBでは、最高強度で存在する5種のフレーバー分子は同一であり、表3のCNSのフレーバー特性に明確に関連している。従って、上位5種のフレーバー分子;3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラン-2-オン、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノン、及び3-メチルスルファニルプロパナールはCNSの共通のフレーバー特性の大部分に寄与していると確信できる。対照的に、CNS-A及びCNS-Bは、表4に示される残りのフレーバー分子において実質的に異なる。CNS-Aには存在するがCNS-Bには存在しない発酵フレーバーは恐らく、CNS-Aに存在する酢酸、2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸及び2-フェニルプロピオン酸/3-フェニルプロピオン酸など高FD回数の特定の酸性化合物に関連していると考えられる。CNS-A及びCNS-Bは、表3に反映されていないフレーバーとは微妙に異なっており、これらの微妙な違いは、表4の下位半分におけるフレーバー分子組成の違いに関連している可能性が最も高い。
【0184】
フレーバー付き甘味料A(FS-A;実施例1と同様)は、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラン-2-オン及び4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドについては他に匹敵するFD回数を有するが、4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン及び5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノンは顕著に不足している。4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン及び5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノンは強力なキャラメルフレーバー分子であり、従ってそれらのFD回数が少ないことは、FS-Aにおいてキャラメルフレーバーの強度が低いことを示す。しかしながら、FS-Bは、FD回数が10の4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノンを含有し、CNSに良好に適合することを示している。FS-CはFD回数が10の4-ヒドロキシ-2,5-ジメチル-3(2H)-フラノン及びFD回数が9の5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノンを含有し、従って、CNSに存在する上位5種のフレーバー分子にかなり匹敵している。フレーバー付き甘味料の芳香特性は全て、花又はリンゴのようなフレーバーを有することが知られている(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンから大幅に恩恵を受けている。フレーバー付き甘味料は、酢酸及び2-メチルブタン酸/3-メチルブタン酸などの数種の酸性フレーバー分子を含有し、これらはCNS-BよりもCNS-A中に高強度で存在する。
【0185】
表1はCNS-A、CNS-B、FS-A(実施例1)、FS-B(実施例2)及びFS-C(実施例3)の色、食感及び味の評価を示す。色及び食感を視覚的に評価し、食感はまた、製品の口当たりにより評価した。CNS及びフレーバー付き甘味料は水道水中に15重量%希釈してテイスティングした。初めにCNS-Aを、次にフレーバー付き甘味料A、B又はCをそれぞれテイスティングした。CNS-Aは全てのカテゴリーで評点10であると定義し、CNS-B、FS-A、FS-B及びFS-Cはこの尺度でランク付けした。この表は3人のパネリストにより報告された平均評点を記載し、記載した全ての値は平均の±1以内の値である。
【0186】
【表1】
【0187】
表2はRDS、分析したスクロース、グルコース、フルクトース、ナトリウム及びカリウム含有量、ならびにCNS-A及びFS-AのpHを示す(実施例1)。RDSは、携帯式屈折率計(アタゴ社、日本)を用い、試料を蒸留水中に1:1で希釈し、読み取り値を2倍することにより測定した。糖アッセイは認定試験所での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により実施した。pHは、携帯式pH計(アタゴ社、日本)を用い、蒸留水で1:1に希釈して測定した。
【0188】
【表2】
【0189】
表3は、3人のパネリストから成る味覚パネルに報告されたCNS-A、CNS-B、FS-A(実施例1)、FS-B(実施例2)及びFS-C(実施例3)の主要フレーバーの存在を示す。キャラメルフレーバーは溶融粗糖に特有のフレーバーである。焦げフレーバーは、焦げた砂糖に特有のフレーバーである。燻製フレーバーは木炭に特有のフレーバーである。発酵フレーバーは醤油に特有の一般的フレーバーである。フルーティフレーバーはフルーツに特有の一般的フレーバーである。
【0190】
【表3】
【0191】
表4では、CNS-A、CNS-B、FS-A、FS-C、CNSソース、又はFS-Fソースのうちの少なくとも1種において、FD回数が6以上という基準に基づいて、強度が最も高い20種のフレーバー分子が同定された。表は、CNS-A、CNS-B、FS-A(実施例1)及びFS-C(実施例3)において強度が最も高い20種のフレーバー分子についてのFD回数を示す。n.d.はフレーバー分子が検出されなかったことを示す。
【0192】
【表4】
【0193】
甘味ソースの感覚刺激評価及び分析的評価
甘味ソースの基本的な品質特性は、黒く光沢のある色、ディッピングソースとしての使用に適した粘度、主にキャラメルフレーバー及び発酵フレーバーを持つ甘味、塩味、旨味である。発酵フレーバーは醤油に特有の一般的フレーバーである。
【0194】
基本的な品質特性に関し、フレーバー付き甘味料から製造した甘味ソースの、ココナツ糖由来甘味ソース(CNSソース)に対する類似性は、2つの方法:感覚刺激評価及び化学分析により評価した。
【0195】
CNSソースと比較する、フレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースの色、食感、甘味及び塩味の評価を包含する感覚刺激評価を表5に示す。フレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースは、色、食感、甘味、塩味、及び全体的な嗜好性がCNSソースと類似していることは明らかである。
【0196】
CNSソース及びFS-Aソースの感覚刺激評価は、表6のスクロース、グルコース、フルクトース、ナトリウム及びカリウムの化学分析により支持される。CNSソースが含有する糖類の全量は約60重量%であり、FS-Aソースが含有する糖類の全量は約55重量%であり、両方とも糖度10と評価する。
【0197】
CNSソース及びFS-Aソースはそれぞれ塩度10及び11と評価されている。それらのナトリウム含有量はそれぞれ約1.5重量%及び1.9重量%であり、カリウム含有量はそれぞれ約0.4重量%及び1.5重量%である。CNS及びフレーバー付き甘味料については、塩度の評価はほぼナトリウム含有量に関連しており、カリウム含有量とは顕著に無関係であるように見える。
【0198】
CNSソース、及びフレーバー付き甘味料から製造した甘味ソース中に存在する様々なフレーバー特性の感覚刺激評価を表7に示す。最も重要なフレーバーは特にキャラメルであり、続いて焦げフレーバー及び発酵フレーバーである。フレーバー付き甘味料から製造した甘味ソースはCNSソースに見られるようなキャラメル及び発酵フレーバーを有する。FS-AソースはCNSソースが持つ焦げフレーバー及び燻製フレーバーは持たない。
【0199】
フレーバーの感覚刺激評価は醤油、CNSソース、及びFS-Aソースの芳香エキス希釈分析(AEDA)により支持される。図3では、CNS-A、CNS-B、FS-A、FS-B、FS-C、CNSソース及びFS-Aソースの少なくとも1種において5回を超えるフレーバー希釈(FD)回数を示すものとしてAEDAによって同定されるフレーバー分子が同定され、表8では、フレーバー分子はFD回数及びフレーバー特性と共に収載されている。
【0200】
CNSから製造した甘味ソースに存在する10種の強度が最も高いフレーバー分子のうち、7種はCNS-Aに存在する10種の強度が最も高いフレーバー分子中でも見出され、従ってCNSが甘味ソースのフレーバーに与える重要な寄与が確認できる。
【0201】
AEDAにより分析した醤油は、CNSソースと同じメーカー製であり、従ってCNSソースの製造に使用する醤油と同じ又は類似の醤油である可能性が高い。実施例8では、この醤油はFS-Aソースの製造にも使用した。これにより、CNSソースとFS-Aソースとの類似性の解釈に影響を及ぼす異なる醤油のリスクを最小限に抑えられる。
【0202】
FS-Aソース中のフレーバー分子のFD回数は一般的に、CNSソースのものとほぼ一致する。実際、他とは異なりFD回数が1回を超えるフレーバー分子は、3-メチルスルファニルプロパナール、(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オン、及び5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノンだけである。FS-Aソース中の(E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキサ-1,3-ジエニル)ブト-2-エン-1-オンのFD回数が多いのは、FS-A中のこの化合物のFD回数が多いためである。逆もまた同様に、5-エチル-3-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)-フラノンのFD回数が少ないのは、FS-A中のこの化合物のFD回数が少ないためである。
【0203】
表5はココナツ糖由来の甘味ソース(CNSソース)、フレーバー付き甘味料-Aを用いて製造した甘味ソース(FS-Aソース;実施例8と同様)の色、食感及び味の評価を示す。色は白い紙片に塗りつけることにより視覚的に評価した。食感は視覚的に、また生成物の口当たりにより評価した。生成物はさっぱりとした味であり、甘味ソースの各テイスティングの前後でCNSソースをテイスティングした。CNS甘味ソースは全てのカテゴリーで評点10であると定義し、フレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースはこの尺度でランク付けした。この表は3人のパネリストにより報告された平均評点を記載し、報告した全ての値は平均の±1以内の値である。
【0204】
【表5】
【0205】
表6はRDS、分析したスクロース、グルコース、フルクトース、ナトリウム及びカリウム含有量、ならびに醤油、ココナツ糖ソース(CNSソース)、及びフレーバー付き甘味料Aソース(FS-Aソース;実施例8)のpHを示す。RDSは、携帯式屈折率計(アタゴ社、日本)を用い、試料を蒸留水中に1:1で希釈し、読み取り値を2倍することにより測定した。糖アッセイは認定試験所で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により実施した。pHは、携帯式pH計(アタゴ社、日本)を用い、蒸留水で1:1に希釈して測定した。
【0206】
【表6】
【0207】
表7は、3人のパネリストから成る味覚パネルに報告されたココナツ糖ソース(CNSソース)、及びフレーバー付き甘味料-Aを用いて製造した甘味ソース(FS-Aソース;実施例8と同様)に存在する主要フレーバーを示す。キャラメルフレーバーは溶融粗糖に特有のフレーバーである。焦げフレーバーは、焦げた砂糖に特有のフレーバーである。燻製フレーバーは木炭に特有のフレーバーである。発酵フレーバーは醤油に特有の一般的フレーバーである。フルーティフレーバーはフルーツに特有の一般的フレーバーである。
【0208】
【表7】
【0209】
表8では、CNS-A、CNS-B、FS-A、FS-C、CNSソース、又はFS-Aソースのうちの少なくとも1種において、FD回数が6以上という基準に基づいて、強度が最も高い20種のフレーバー分子を同定した。表は、醤油、甘味ソース及びFS-Aソース(実施例8)において強度が最も高い20種のフレーバー分子についてのFD回数を示す。これらのフレーバー分子は、CNS及びフレーバー付き甘味料の上位の試料中に存在するフレーバー分子と一致することが分かった。n.d.はフレーバー分子が検出されなかったことを示す。
【0210】
【表8】
【0211】
フレーバー付き甘味料及びソースの顕著な特徴
前項では、フレーバー付き甘味料とココナツ糖との味及びフレーバーの類似性、ならびにフレーバー付きソースと甘味ソースの味との味及びフレーバーの類似性について述べた。この項では代わりに、フレーバー付き甘味料及びフレーバー付きソースの独特かつ顕著な特徴に触れる。
【0212】
フレーバー付き甘味料とココナツ糖との根本的な違いは、原料、及びその原料を修飾するために選択される微生物の使用である。フレーバー付き甘味料の原料は、主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキス、特にサトウキビエキスである。一方、ココナツ糖は、ココナツ花序樹液から製造し、ヤシ糖はパルミラヤシ、ナツメヤシ、サトウナツメヤシ、サトウヤシ、及びニッパヤシなどのヤシ種由来エキスから製造する。
【0213】
これらのヤシ種は全てC3代謝経路により二酸化炭素を固定するという共通点を有し、これにより、サトウキビなどのC4機構で二酸化炭素を固定する植物と比較して、ヤシ種の炭素含有分子全てにおいて相対的に13Cが少ない。C3植物では、炭素12に対する炭素13の同位体比(13C/12C)が1000部当たり11部以下であり、一方、C4植物では、13C/12Cは1000部当たり11部以上である。二酸化炭素固定の第3機構はベンケイソウ型酸代謝(CAM)として公知であり、これは13C/12Cの範囲が1000部当たり約11.09~11.11部のC4植物と重複する。
【0214】
炭素13及び炭素12の違いを示す別の方法は、同位体サインであるデルタ炭素13(δ13C)に依拠し、これは下記のように材料Pee Deeベレムナイト(PDB)に対して相対的に定義される。
【0215】
【数1】
【0216】
PDBの13C含有量は高く、上記定義によりδ13C=0であることを特徴とする。全ての植物はPDBと比較して13Cが比較的少なく、負のδ13C値を有する。C4植物のδ13Cは、-5‰~-20‰の範囲であり、CAM植物では-11‰~-13.5‰、C3植物では-20‰~-40‰の範囲である。C3、C4及びCAM植物、ならびにこれらの13C/12C及びδ13Cのいくつかの例を表9に示す。
【0217】
表9は、様々なスクロース産生植物の二酸化炭素固定経路、炭素12に対する炭素13の比(13C/12C)、及びPee Deeベレムナイトと比較した炭素同位体サイン(δ13C)を示す。1,2
【0218】
【表9】
1 Smith,B.N.及びEpstein,S.、1971年、「Two categories of 13C/12C ratios for higher plants」Plant Physiol、第47巻、380~384頁。
2 Sage,R.F.及びZhu,X.-G.、2011年、「Exploiting the engine of C4 photosynthesis」、Experimental Botany、第62巻、2989~3000頁。
【0219】
サトウキビ原料から製造したフレーバー付き甘味料を特定する別の方法は、サトウキビ汁中に発生するアコニット酸、ひいてはフレーバー付き甘味料が0.1重量%を超えて存在することに基づく。また、フレーバー付き甘味料では、表2のデータから計算可能であるナトリウムに対するカリウムの比(K/Na)が高い。CNS-AのK/Naは1.4であり、一方、FS-AのK/Naは10である。
【0220】
微生物代謝により、フレーバー付き甘味料は大量のグルタミン酸(GA)及びグルタミン酸一ナトリウム(MSG)、ならびにイノシン一リン酸(IMP)、イノシン酸二ナトリウム(DSI)、グアノシン一リン酸(GMP)及びグアニル酸二ナトリウム(DSG)などのヌクレオシド一リン酸を含有する。GA及びMSGの合計量は0.19重量%であると測定され、IMP、DSI、GMP及びDSGの合計は少なくとも0.24重量%であると測定され、そのうちIMP及びDSIはバルクを形成しているように見える。これらの化合物はいずれもCNS中に0.003重量%のレベルでは検出されなかった。
【0221】
更に、フレーバー付き甘味料は、亜硫酸ナトリウム添加による微生物増殖に対する安定化がなされていないため、亜硫酸イオンの含有量は5mM未満ということになる。
【実施例
【0222】
実施例1.ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスと共にインキュベートしたサトウキビ汁を使用するフレーバー付き甘味料の製造方法
原料
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは粗製サトウキビ汁とした。屈折計法乾燥物含有量が約12°BxでpH5.2のサトウキビ汁を生成するために、卓上型サトウキビジューサーのローラーによりサトウキビ(Saccharum officinarum)を破砕することにより粗製サトウキビ汁を生成した。主溶質としてスクロースを含有するこの未精製植物エキス1kgを、布などのモスリン生地で粗く濾過し、電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)で加熱した金属容器中に70℃~72℃で2分間、ステンレス製のスプーンで時々撹拌しながら低温殺菌した。
【0223】
水平層流フードを使用し、無菌条件下で、直径46mmの6枚ブレードRushton羽根車を2つ、L-スパージャー、pHセンサー(Mettler Toledo社、スイス)及び光学溶存酸素(DO)センサー(Hamilton社、米国)を備え、内径100mm、最大作業体積1.2Lの滅菌ガラスバイオリアクターに1kgの原料を移した。バイオリアクターを、加熱及び冷却機能を有する金属ブロックであるDASGIPマルチインキュベーター(Eppendorf社、ドイツ)「bio-block」に挿入し、バイオリアクターの内容物の温度を33℃に調整した。
【0224】
pH4及び7の緩衝液を用いて2点pH較正を行い、バイオリアクターに一定の速度でガス供給を行って400rpmでバイオリアクターを撹拌しながら、DOセンサー値が100%で安定するまで、DO較正を行った。
【0225】
植菌材料
凍結保存株コレクションから得た株、ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスのそれぞれの一晩培養物を、50mLコニカル試験管中の30mLの滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)中で調製し、33℃でインキュベートし、250rpmで約20時間振盪させた。
【0226】
植菌材料中の細胞濃度は光学密度(OD)により評価した。1mLの細菌懸濁液を1.5mLコニカルマイクロ試験管に移し、ローターA-4-62(Eppendorf社、ドイツ)を備えた遠心分離機モデル5810を使用して3220の相対遠心力(RCF)で5分間遠心分離した。
【0227】
上清をデカントし、1mLの脱イオン(DI)水で再懸濁し、ディスポーサブルキュベットに移し、DI水でブランクにしたI634-6041二重ビーム分光光度計UV-6300PC(VWR社、米国)中で600nmのODを測定した。
【0228】
インキュベーション
インキュベーション前及びインキュベーション中に、pHを常に6.0になるように調整した。マルチインキュベーター・ベースポンプシステムにより2MのNa2CO3を適量添加し、調整を行った。各植菌材料の600nmでの測定ODの逆数で量を定めた0.5体積%の植菌材料:すなわちOD=1であると植菌量は5mLであり、OD=0.5であると植菌量は10mLである:をバイオリアクターに添加することによりインキュベーションを開始した。酸素瀑布によりインキュベーション中にDOを制御した。酸素瀑布では最低400rpmの攪拌及び0.1vvmのガス供給を行う。酸素瀑布では、最大1200rpmの撹拌及び最大0.3vvmのガス供給を連続的に増加させ、DOを最低30%に維持する。pH及びDOをモニターしながらインキュベーションを33℃で5時間行った。DO及びpHの時間座標図を図4に示す。5時間後、インキュベーションを停止した。
【0229】
蒸煮
修飾未精製植物エキスをステンレス製ボウルに移し、温度制御しながら電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で煮沸した。初めにホットプレートの設定温度は200℃にし、その後、修飾未精製植物エキスが100℃の加工温度で沸騰し始めた後、設定温度を150℃に下げた。加工温度が105℃に達すると、設定温度を更に120℃に下げた。この時点から、粘性のシロップを手動で連続的に撹拌し、過熱及び焦げ付きを避けた。暖かい褐色のキャラメルのような芳香の発生、及び暗褐色の発色を検出した。加工温度が約120℃に達したところで、ボウルをホットプレートから外し、3分間激しく撹拌した。この3分の間に、シロップの粘性が高まり、その後、固体非晶質生成物になった。
【0230】
フレーバー付き甘味料(FS-A)の色、食感及び基本的な味の評価は表1に示し、RDS、スクロース、グルコース、フルクトース、ナトリウム及びカリウムの含有量ならびにpHは表2に、フレーバー特性は表3に、最後に最も優れたフレーバー分子を表4に示す。
【0231】
実施例2.枯草菌及びバチルス・フレクサスと共に2、3、4又は5時間のインキュベーション時間でインキュベートしたサトウキビ汁を用いたフレーバー付き甘味料の製造方法
原料
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは粗製サトウキビ汁とした。屈折計法乾燥物含有量が約13°BxでpH5.3のサトウキビ汁を生成するために、卓上型サトウキビジューサーのローラーによりサトウキビ(Saccharum officinarum)を破砕することにより粗製サトウキビ汁を生成した。主溶質としてスクロースを含有するこの未精製植物エキス1kgを、布などのモスリン生地で粗く濾過し、電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)で加熱した金属容器中に70℃~72℃で2分間、ステンレス製のスプーンで時々撹拌しながら低温殺菌した。
【0232】
水平層流フードを使用し、無菌条件下で、直径46mmの6枚ブレードRushton羽根車を2つ、L-スパージャー、pHセンサー(Mettler Toledo社、スイス)及び光学溶存酸素(DO)センサー(Hamilton社、米国)を備え、内径100mm、最大作業体積1.2Lの滅菌ガラスバイオリアクターに1kgの原料を移した。バイオリアクターを、加熱及び冷却機能を有する金属ブロックであるDASGIPマルチインキュベーター(Eppendorf社、ドイツ)「bio-block」に挿入し、バイオリアクターの内容物の温度を33℃に調整した。
【0233】
pH4及び7の緩衝液を用いて2点pH較正を行い、バイオリアクターに0.1vvmの速度でガス供給を行って400rpmでバイオリアクターを撹拌しながら、DOセンサー値が100%で安定するまで、DO較正を行った。
【0234】
植菌材料
凍結保存株コレクションから得た株、枯草菌及びバチルス・フレクサスのそれぞれの一晩培養物を、50mLコニカル試験管中の30mLの滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)中で調製し、33℃でインキュベートし、250rpmで約20時間振盪させた。
【0235】
植菌材料中の細胞濃度は光学密度(OD)により評価した。1mLの細菌懸濁液を1.5mLコニカルマイクロ試験管に移し、ローターA-4-62(Eppendorf社、ドイツ)を備えた遠心分離機モデル5810を使用して3220の相対遠心力(RCF)で5分間遠心分離した。
【0236】
上清をデカントし、1mLの脱イオン(DI)水で再懸濁し、ディスポーサブルキュベットに移し、DI水でブランクにしたI634-6041二重ビーム分光光度計UV-6300PC(VWR社、米国)中で600nmのODを測定した。
【0237】
インキュベーション
インキュベーション前に、pHを6.0に調整した。滅菌シリンジから注入口を介して2MのNa2CO3を適量添加し、調整を行った。各植菌材料の600nmでの測定ODの逆数で量を定めた0.5体積%の植菌材料:すなわちOD=1であると植菌量は5mLであり、OD=0.5であると植菌量は10mLである:をバイオリアクターに添加することによりインキュベーションを開始した。酸素瀑布によりインキュベーション中にDOを制御した。酸素瀑布では最低400rpmの攪拌及び0.1vvmのガス供給を行う。酸素瀑布では、最大1200rpmの撹拌及び最大0.3vvmのガス供給を連続的に増加させ、DOを最低30%に維持する。pH及びDOをモニターしながら、4種の異なるインキュベーションを同時に33℃で2、3、4及び5時間行った。それぞれ2、3、4、5時間後、修飾未精製植物エキスの試料1mLを、滅菌シリンジを用いて注入口から取り出し、インキュベーションを停止した。修飾未精製植物エキスの試料1mLを使用し、インキュベーションの微生物生態を評価した。
【0238】
微生物生態
株枯草菌及びバチルス・フレクサスのCFU/mLを拡散プレート技術により計数した。希釈系については、滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)を使用した。0.1mLの希釈液をCMO131トリプシン大豆寒天培地(TSA)(Oxoid、英国)に移し、L字型スプレッダーを用い、円形に動作しながらTSAの表面上に広げた。試料は二重に広げた。当該プレートを33℃で24時間インキュベートし、その後に計数した。結果は詳細な説明の本文に示す。
【0239】
蒸煮
主溶質としてスクロースを含有する各修飾未精製植物エキスをステンレス製ボウルに移し、温度制御しながら電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で煮沸した。初めにホットプレートの設定温度は200℃にし、その後、修飾未精製植物エキスが100℃の加工温度で沸騰し始めた後、設定温度を150℃に下げた。加工温度が105℃に達すると、設定温度を更に120℃に下げた。この時点から、粘性のシロップを手動で連続的に撹拌し、過熱及び焦げ付きを避けた。暖かい褐色のキャラメルのような芳香の発生、及び暗褐色の発色を検出した。加工温度が約120℃に達したところで、ボウルをホットプレートから外し、3分間激しく撹拌した。この3分の間に、シロップの粘性が高まり、その後、固体非晶質生成物になった。但し、5時間インキュベートした生成物は固体微結晶質生成物になった。
【0240】
異なるインキュベーション時間でのフレーバー付き甘味料生成物の基本的な味覚評価及びフレーバー特性は、3人のパネリストから成る味覚パネルにより評価した。最も優れた生成物は4時間インキュベートしたものであると判定し、それは本文中ではフレーバー付き甘味料B(FS-B)で表している。FS-Bの色、食感及び基本的な味の評価は表1に示し、フレーバーカテゴリーは表3に、最後に最も優れたフレーバー分子を表4に示す。
【0241】
実施例3.枯草菌及びバチルス・フレクサスと共にインキュベートしたヤシ糖を用いたフレーバー付き甘味料の製造方法
原料
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスはサトウキビヤシ糖とした。サトウキビヤシ糖は市販のものであり、沸騰水で希釈し、屈折計法乾燥物含有量を約12°Bxにした。この原料1kgを、布などのモスリン生地で粗く濾過し、電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)で加熱した金属容器中に70℃~72℃で2分間、ステンレス製のスプーンで時々撹拌しながら低温殺菌した。
【0242】
水平層流フードを使用し、無菌条件下で、直径46mmの6枚ブレードRushton羽根車を2つ、L-スパージャー、pHセンサー(Mettler Toledo社、スイス)及び光学溶存酸素(DO)センサー(Hamilton社、米国)を備え、内径100mm、最大作業体積1.2Lの滅菌ガラスバイオリアクターに1kgの原料を移した。バイオリアクターを、加熱及び冷却機能を有する金属ブロックであるDASGIPマルチインキュベーター(Eppendorf社、ドイツ)「bio-block」に挿入し、バイオリアクターの内容物の温度を33℃に調整した。
【0243】
pH4及び7の緩衝液を用いて2点pH較正を行い、バイオリアクターに0.1vvmの速度でガス供給を行って400rpmでバイオリアクターを撹拌しながら、DOセンサー値が100%で安定するまで、DO較正を行った。
【0244】
植菌材料
凍結保存株コレクションから得た株、ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスのそれぞれの一晩培養物を、50mLコニカル試験管中の30mLの滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)中で調製し、33℃でインキュベートし、250rpmで約20時間振盪させた。
【0245】
植菌材料中の細胞濃度は光学密度(OD)により評価した。1mLの細菌懸濁液を1.5mLコニカルマイクロ試験管に移し、ローターA-4-62(Eppendorf社、ドイツ)を備えた遠心分離機モデル5810を使用して3220の相対遠心力(RCF)で5分間遠心分離した。
【0246】
上清をデカントし、1mLの脱イオン(DI)水で再懸濁し、ディスポーサブルキュベットに移し、DI水でブランクにしたI634-6041二重ビーム分光光度計UV-6300PC(VWR社、米国)中で600nmのODを測定した。
【0247】
インキュベーション
インキュベーション前及びインキュベーション中に、pHを常に6.0になるように調整した。マルチインキュベーター・ベースポンプシステムにより2MのNa2CO3を適量添加し、調整を行った。各植菌材料の600nmでの測定ODの逆数で量を定めた0.5体積%の植菌材料:すなわちOD=1であると植菌量は5mLであり、OD=0.5であると植菌量は10mLである:をバイオリアクターに添加することによりインキュベーションを開始した。酸素瀑布によりインキュベーション中にDOを制御した。酸素瀑布では最低400rpmの攪拌及び0.1vvmのガス供給を行う。酸素瀑布では、最大1200rpmの撹拌及び最大0.3vvmのガス供給を連続的に増加させ、DOを最低30%に維持する。pH及びDOをモニターしながらインキュベーションを33℃で5時間行った。5時間後、インキュベーションを停止した。
【0248】
蒸煮
修飾未精製植物エキスをステンレス製ボウルに移し、温度制御しながら電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で煮沸した。初めにホットプレートの設定温度は200℃にし、その後、修飾未精製植物エキスが100℃の加工温度で沸騰し始めた後、設定温度を150℃に下げた。加工温度が105℃に達すると、設定温度を更に120℃に下げた。この時点から、粘性のシロップを手動で連続的に撹拌し、過熱及び焦げ付きを避けた。暖かい褐色のキャラメルのような芳香の発生、及び暗褐色の発色を検出した。加工温度が約120℃に達したところで、ボウルをホットプレートから外し、3分間激しく撹拌した。この3分の間に、シロップの粘性が高まり、その後、固体非晶質生成物になった。
【0249】
フレーバー付き甘味料(FS-C)の色、食感及び基本的な味の評価は表1に示し、フレーバー特性は表3に、最後に最も優れたフレーバー分子を表4に示す。
【0250】
実施例4.ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスと共にインキュベートしたサトウキビ汁及びサトウキビ糖蜜を用いたフレーバー付き甘味料の製造方法
原料
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスはサトウキビ糖蜜と混合した粗製サトウキビ汁とした。屈折計法乾燥物含有量が約11°BxでpH5.2のサトウキビ汁を生成するために、卓上型サトウキビジューサーのローラーによりサトウキビ(Saccharum officinarum)を破砕することにより粗製サトウキビ汁を生成した。サトウキビ糖蜜は市販品として取得し、13°Bxになるように沸騰水で希釈し、粗製サトウキビ汁と1:1の割合で混合した。この原料1kgを、布などのモスリン生地で粗く濾過し、電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)で加熱した金属容器中に70℃~72℃で2分間、ステンレス製のスプーンで時々撹拌しながら低温殺菌した。
【0251】
水平層流フードを使用し、無菌条件下で、直径46mmの6枚ブレードRushton羽根車を2つ、L-スパージャー、pHセンサー(Mettler Toledo社、スイス)及び光学溶存酸素(DO)センサー(Hamilton社、米国)を備え、内径100mm、最大作業体積1.2Lの滅菌ガラスバイオリアクターに1kgの原料を移した。バイオリアクターを、加熱及び冷却機能を有する金属ブロックであるDASGIPマルチインキュベーター(Eppendorf社、ドイツ)「bio-block」に挿入し、バイオリアクターの内容物の温度を33℃に調整した。
【0252】
pH4及び7の緩衝液を用いて2点pH較正を行い、バイオリアクターに0.1vvmの速度でガス供給を行って400rpmでバイオリアクターを撹拌しながら、DOセンサー値が100%で安定するまで、DO較正を行った。
【0253】
植菌材料
凍結保存株コレクションから得た株、ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスのそれぞれの一晩培養物を、50mLコニカル試験管中の30mLの滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)中で調製し、33℃でインキュベートし、250rpmで約20時間振盪させた。
【0254】
植菌材料中の細胞濃度は光学密度(OD)により評価した。1mLの細菌懸濁液を1.5mLコニカルマイクロ試験管に移し、ローターA-4-62(Eppendorf社、ドイツ)を備えた遠心分離機モデル5810を使用して3220の相対遠心力(RCF)で5分間遠心分離した。
【0255】
上清をデカントし、1mLの脱イオン(DI)水で再懸濁し、ディスポーサブルキュベットに移し、DI水でブランクにしたI634-6041二重ビーム分光光度計UV-6300PC(VWR社、米国)中で600nmのODを測定した。
【0256】
インキュベーション
インキュベーション前及びインキュベーション中に、pHを常に6.0になるように調整した。マルチインキュベーター・ベースポンプシステムにより2MのNa2CO3を適量添加し、調整を行った。各植菌材料の600nmでの測定ODの逆数で量を定めた0.5体積%の植菌材料:すなわちOD=1であると植菌量は5mLであり、OD=0.5であると植菌量は10mLである:をバイオリアクターに添加することによりインキュベーションを開始した。酸素瀑布によりインキュベーション中にDOを制御した。酸素瀑布では最低400rpmの攪拌及び0.1vvmのガス供給を行う。酸素瀑布では、最大1200rpmの撹拌及び最大0.3vvmのガス供給を連続的に増加させ、DOを最低30%に維持する。pH及びDOをモニターしながらインキュベーションを33℃で5時間行った。5時間後、インキュベーションを停止した。
【0257】
蒸煮
修飾未精製植物エキスをステンレス製ボウルに移し、温度制御しながら電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で煮沸した。初めにホットプレートの設定温度は200℃にし、その後、修飾未精製植物エキスが100℃の加工温度で沸騰し始めた後、設定温度を150℃に下げた。加工温度が105℃に達すると、設定温度を更に120℃に下げた。この時点から、粘性のシロップを手動で連続的に撹拌し、過熱及び焦げ付きを避けた。暖かい褐色のキャラメルのような芳香の発生、及び暗褐色の発色を検出した。加工温度が約120℃に達したところで、ボウルをホットプレートから外し、3分間激しく撹拌した。この3分の間に、シロップの粘性が高まり、その後、固体非晶質生成物になった。
【0258】
実施例5.枯草菌及びバチルス・フレクサスと共にインキュベートし、水で1:1、1:2、1:3及び1:4に希釈したサトウキビシロップを用いたフレーバー付き甘味料の製造方法
原料
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスはサトウキビシロップとした。サトウキビシロップはブラジルのサトウキビ工場から入手し、浄化及び煮沸によりサトウキビ汁から生成し、屈折計法乾燥物(RDS)含有量が約60°BxでありpHが6.0のサトウキビシロップを生成した。4種の異なる濃度のサトウキビシロップを、それぞれRDSが12°Bx、16°Bx、22°Bx及び30°Bxになるように沸騰水でそれぞれ1:4、1:3、1:2及び1:1に希釈して調製した。主溶質としてスクロースを含有するこれらの未精製植物エキス各1kgを、布などのモスリン生地で粗く濾過し、電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)で加熱した金属容器中に70℃~72℃で2分間、ステンレス製のスプーンで時々撹拌しながら低温殺菌した。
【0259】
水平層流フードを使用し、無菌条件下で、直径46mmの6枚ブレードRushton羽根車を2つ、L-スパージャー、pHセンサー(Mettler Toledo社、スイス)及び光学溶存酸素(DO)センサー(Hamilton社、米国)を備え、内径100mm、最大作業体積1.2Lの滅菌ガラスバイオリアクターに1kgの各原料を移した。バイオリアクターを、加熱及び冷却機能を有する金属ブロックであるDASGIPマルチインキュベーター(Eppendorf社、ドイツ)「bioblock」に挿入し、バイオリアクターの内容物の温度を33℃に調整した。
【0260】
pH4及び7の緩衝液を用いて2点pH較正を行い、バイオリアクターに0.1vvmの速度でガス供給を行って400rpmでバイオリアクターを撹拌しながら、DOセンサー値が100%で安定するまで、DO較正を行った。
【0261】
植菌材料
凍結保存株コレクションから得た株、枯草菌及びバチルス・フレクサスのそれぞれの一晩培養物を、50mLコニカル試験管中の30mLの滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)中で調製し、33℃でインキュベートし、250rpmで約20時間振盪させた。
【0262】
植菌材料中の細胞濃度は光学密度(OD)により評価した。1mLの細菌懸濁液を1.5mLコニカルマイクロ試験管に移し、ローターA-4-62(Eppendorf社、ドイツ)を備えた遠心分離機モデル5810を使用して3220の相対遠心力(RCF)で5分間遠心分離した。
【0263】
上清をデカントし、1mLの脱イオン(DI)水で再懸濁し、ディスポーサブルキュベットに移し、DI水でブランクにしたI634-6041二重ビーム分光光度計UV-6300PC(VWR社、米国)中で600nmのODを測定した。
【0264】
インキュベーション
インキュベーション前又はインキュベーション中にpHを調整せず、4種のインキュベーション全てでpHを5.8~6.2のままにした。各植菌材料の600nmでの測定ODの逆数で量を定めた0.5体積%の植菌材料:すなわちOD=1であると植菌量は5mLであり、OD=0.5であると植菌量は10mLである:をバイオリアクターに添加することによりインキュベーションを開始した。酸素瀑布によりインキュベーション中にDOを制御した。酸素瀑布では最低400rpmの攪拌及び0.1vvmのガス供給を行う。酸素瀑布では、最大1200rpmの撹拌及び最大0.3vvmのガス供給を連続的に増加させ、DOを最低30%に維持する。4種の異なるインキュベーションをそれぞれ12°Bx、16°Bx、22°Bx、及び30°Bxの原料中で同時に行い、pH及びDOをモニターしながら33℃で5時間行った。各インキュベーションについて、DOの時間座標図を図5に示す。
【0265】
蒸煮
主溶質としてスクロースを含有する各修飾未精製植物エキスをステンレス製ボウルに移し、温度制御しながら電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で煮沸した。初めにホットプレートの設定温度は200℃にし、その後、修飾未精製植物エキスが100℃の加工温度で沸騰し始めた後、設定温度を150℃に下げた。加工温度が105℃に達すると、設定温度を更に120℃に下げた。この時点から、粘性のシロップを手動で連続的に撹拌し、過熱及び焦げ付きを避けた。暖かい褐色のキャラメルのような芳香の発生、及び暗褐色の発色を検出した。加工温度が約120℃に達したところで、ボウルをホットプレートから外し、3分間激しく撹拌した。この3分の間に、シロップの粘性が高まり、その後、色が薄くなり、不透明になり、その後、固体半結晶質生成物になった。
【0266】
実施例6.インキュベーション温度20℃、33℃及び40℃、pH5又は7でクリベロマイセス属種と共にインキュベートしたサトウキビ汁を用いたフレーバー付き甘味料の製造方法
原料
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスは粗製サトウキビ汁とした。屈折計法乾燥物含有量が約13°BxでpH5.3のサトウキビ汁を生成するために、卓上型サトウキビジューサーのローラーによりサトウキビ(Saccharum officinarum)を破砕することにより粗製サトウキビ汁を生成した。主溶質としてスクロースを含有するこの未精製植物エキス1kgを、布などのモスリン生地で粗く濾過し、電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)で加熱した金属容器中に70℃~72℃で2分間、ステンレス製のスプーンで時々撹拌しながら低温殺菌した。
【0267】
水平層流フードを使用し、無菌条件下で、直径46mmの6枚ブレードRushton羽根車を2つ、L-スパージャー、pHセンサー(Mettler Toledo社、スイス)及び光学溶存酸素(DO)センサー(Hamilton社、米国)を備え、内径100mm、最大作業体積1.2Lの滅菌ガラスバイオリアクターに1kgの原料を移した。バイオリアクターを、加熱及び冷却機能を有する金属ブロックであるDASGIPマルチインキュベーター(Eppendorf社、ドイツ)「bioblock」に挿入し、バイオリアクターの内容物の温度を33℃に調整した。
【0268】
pH4及び7の緩衝液を用いて2点pH較正を行い、バイオリアクターに0.1vvmの速度でガス供給を行って400rpmでバイオリアクターを撹拌しながら、DOセンサー値が100%で安定するまで、DO較正を行った。
【0269】
植菌材料
凍結保存株コレクションから得た株、ステノトロホモナス・マルトフィリア及びバチルス・フレクサスのそれぞれの一晩培養物を、50mLコニカル試験管中の30mLの滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)中で調製し、33℃でインキュベートし、250rpmで約20時間振盪させた。
【0270】
植菌材料中の細胞濃度は光学密度(OD)により評価した。1mLの細菌懸濁液を1.5mLコニカルマイクロ試験管に移し、ローターA-4-62(Eppendorf社、ドイツ)を備えた遠心分離機モデル5810を使用して3220の相対遠心力(RCF)で5分間遠心分離した。
【0271】
上清をデカントし、1mLの脱イオン(DI)水で再懸濁し、ディスポーサブルキュベットに移し、DI水でブランクにしたI634-6041二重ビーム分光光度計UV-6300PC(VWR社、米国)中で600nmのODを測定した。
【0272】
インキュベーション
pH調整をせずに(すなわち約pH5で)、それぞれ20℃、33℃及び40℃のインキュベーション温度で4種の異なるインキュベーションを同時に行った。インキュベーション前及びインキュベーション中に、pHを常に7になるように調整しながら、40℃のインキュベーション温度で第4のインキュベーションも行った。マルチインキュベーター・ベースポンプシステムにより2MのNa2CO3を適量添加し、調整を行った。植菌材料の600nmでの測定ODの逆数で量を定めた1体積%の植菌材料:すなわちOD=1であると植菌量は10mLであり、OD=0.5であると植菌量は20mLである:をバイオリアクターに添加することによりインキュベーションを開始した。酸素瀑布によりインキュベーション中にDOを制御した。酸素瀑布では最低400rpmの攪拌及び0.1vvmのガス供給を行う。酸素瀑布では、最大1200rpmの撹拌及び最大0.3vvmのガス供給を連続的に増加させ、DOを最低30%に維持する。pH及びDOをモニターしながらインキュベーションを5時間行った。DOの時間座標図を図6に示す。5時間後、インキュベーションを停止した。
【0273】
蒸煮
各修飾未精製植物エキスをステンレス製ボウルに移し、温度制御しながら電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で煮沸した。初めにホットプレートの設定温度は200℃にし、その後、修飾未精製植物エキスが100℃の加工温度で沸騰し始めた後、設定温度を150℃に下げた。加工温度が105℃に達すると、設定温度を更に120℃に下げた。この時点から、粘性のシロップを手動で連続的に撹拌し、過熱及び焦げ付きを避けた。暖かい褐色のキャラメルのような芳香の発生、及び暗褐色の発色を検出した。加工温度が約120℃に達したところで、ボウルをホットプレートから外し、3分間激しく撹拌した。この3分の間に、シロップの粘性が高まり、その後、固体非晶質生成物になった。
【0274】
実施例7.フレーバー付き甘味料、塩水、任意で酢からの甘味ソースの製造プロセス
5時間インキュベートした実施例2のフレーバー付き甘味料から甘味ソースを調製した。40gのフレーバー付き甘味料を20gの脱イオン(DI)水に溶解した。混合物を電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で時々撹拌しながら蒸煮した。蒸煮時間は約45分とし、甘味ソースの収量は50gであった。このソースに2gの塩化ナトリウムを添加した。ソースは暗褐色を呈し、RDSは67°Bxであった。
【0275】
甘味ソースの味は甘く塩気があり、キャラメルフレーバー及び焦げフレーバーを呈していた。しかし、発酵フレーバーは呈していなかった。発酵フレーバーは約1~5重量%の酢又は酢酸を添加することにより甘味ソースにしみ込ませることができた。
【0276】
実施例8.フレーバー付き甘味料及び醤油からのソースの製造プロセス
プロセスは実施例1と同様に行ったが、フレーバー付き甘味料が120℃になったところでプロセスフローを変更した。この時点でフレーバー付き甘味料を80℃まで冷却し、約146g秤量した。52gの醤油及び50gの水道水を添加した。混合物を電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で時々撹拌しながら蒸煮した。蒸煮時間は約45分とし、最終甘味ソースの収量は196gであった。
【0277】
甘味ソース生成物の色、食感及び基本的な味覚評価は表5に示し、RDS、スクロース、グルコース、フルクトース、ナトリウム及びカリウムの含有量ならびにpHは表6に示し、フレーバー特性は表7に示し、最後に最も優れたフレーバー分子を表8に示す。
【0278】
実施例9.低スクロース及び高スクロースのフレーバー付き甘味料の製造プロセス
5時間インキュベートした実施例2のフレーバー付き甘味料から、低スクロース及び高スクロースフレーバー付き甘味料を調製した。当該方法には半結晶質フレーバー付き甘味料が必要であるため、このフレーバー付き甘味料を選択した。
【0279】
5gのフレーバー付き甘味料を粉砕し、ブフナー漏斗を用いて吸引濾過している間に、70重量%のエタノール及び30重量%の水の混合物(70%エタノール)2.5gを用いて洗浄した。この処理により、スクロース結晶のコーティングの一部が洗い流され、濾液に移り、それにより濾液の方に低スクロースのフレーバー付き甘味料が含まれ、残渣の方に高スクロースのフレーバー付き甘味料が残る。
【0280】
濾液を分析することにより濾液の低スクロースの性質を確認した。濾液をロータリーエバポレーターにより80℃で蒸発させ、0.73gの低スクロースのフレーバー付き甘味料を得た。乾燥した濾液を蒸留水中に1:1で溶解した。溶液の屈折計法乾燥物(RDS)は、携帯式屈折率計(アタゴ社、日本)により14°Bxであると測定され、pHは、携帯式pH計(アタゴ社、日本)により5.4であると測定された。
【0281】
対照的に、洗浄前のフレーバー付き甘味料と蒸留水との1:1溶液のRDSは20°Bxであり、pHは5.0である。これは、乾燥した濾液のスクロース濃度が減少し、従って残余分のスクロース濃度が洗浄前のフレーバー付き甘味料と比較して増加していることを示す。
【0282】
実施例10.フレーバー付き甘味料、ココナツ糖及び甘味ソースからのフレーバーエキスの製造プロセス
CNS-A、CNS-B、フレーバー付き甘味料A(FS-A;実施例1と同様)、フレーバー付き甘味料B(FS-B;実施例2と同様)及びフレーバー付き甘味料C(FS-C;実施例3と同様)、ココナツ糖ソース(CNSソース)、ならびにフレーバー付き甘味料Aソース(FS-Aソース;実施例8と同様)からフレーバーエキスを調製した。
【0283】
各フレーバーエキスは、蒸留水に溶解した50gのCNS、FS、CNSソース、又はFSソースから調製し、100mLのジエチルエーテルで抽出した。有機層を分離し、フレーバー分子を溶媒支援型フレーバー蒸発(SAFE)蒸留により濃縮してフレーバーエキスを得た。
【0284】
フレーバーエキスを芳香エキス希釈分析(AEDA)により分析し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ビグリューカラムを使用して100μLに濃縮した。濃縮したフレーバーエキス(100μL)を1:1の比率で溶媒を用いて段階的に希釈した。長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μmのFree Fatty Acid&Phenolsカラム(FFAP;J&W Scientific社)を備えた微量ガスクロマトグラフ(Finnigan、ドイツ)により、ヘリウム流速1.5mL/分で各希釈液を分離した。検出は、水素炎イオン化(水素及び合成空気中)及び専門家による嗅覚検査に従った。フレーバー希釈(FD)回数とは、吸入口でフレーバー分子がなおも知覚され得る1:1希釈操作の最大回数である。実施した1:1希釈操作の最大回数は11回であり、これより多いFD回数は特定することができない。フレーバー分子の識別情報は主に保持指数及び臭気特性により決定するが、純粋なフレーバー分子基準と全て比較するガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)で決定する場合もある。
【0285】
抽出及び嗅覚検出の性質により、揮発性フレーバー分子、すなわち芳香分子のみが分析及び検出可能となり、一方で糖類及び塩類などの不揮発性フレーバー分子は抽出又は検出されない。
【0286】
AEDA分析の結果を表4及び表8に一覧にまとめ、更に図2及び図3に示す。
【0287】
実施例11.粉末状及びペースト状のフレーバー付き甘味料及び甘味ソースの製造プロセス
粉末状及びペースト状のフレーバー付き甘味料
フレーバー付き甘味料は実施例2と同様に調製した。当該フレーバー付き甘味料を保管用密封プラスチック容器に移し、粉末状及びペースト状のフレーバー付き甘味料の調製に使用する前の2週間、周囲温度で保管した。粉末甘味料を製造するために、10gのフレーバー付き甘味料を約100℃に加熱し、3.7gの多用途穀粉(Prima社、シンガポール)と混合し、手動で激しく攪拌した。混合物をオーブン中45℃で一晩乾燥させ、次いで乳棒と乳鉢で粉砕し、乾燥粉末フレーバー付き甘味料を形成した。
【0288】
あるいは、ペースト状のフレーバー付き甘味料については、10gのフレーバー付き甘味料を約100℃に加熱し、1.3gの多用途穀粉(Prima社、シンガポール)と混合し、手動で激しく攪拌した。得られた混合物を小さい型に流し込み、固形ブイヨン又は錠剤を形成した。周囲温度まで冷却すると、ペースト状のフレーバー付き甘味料は手で成形することも可能である。
【0289】
粉末状及びペースト状の甘味ソース
甘味ソースは実施例8と同様に、フレーバー付き甘味料から製造した。当該フレーバー付き甘味料をガラス容器に移し、粉末状及びペースト状の甘味ソースの調製に使用する前の2週間、周囲温度で保管した。粉末甘味ソースを製造するために、10gの甘味ソースを20gの多用途穀粉(Prima社、シンガポール)と混合し、手動で激しく攪拌した。混合物をオーブン中45℃で一晩乾燥させ、次いで乳棒と乳鉢で粉砕し、45℃で3日間乾燥させ、乾燥粉末を形成した。
【0290】
あるいは、ペースト状の甘味ソースについては、10gの植物油(Harmuni、タイ)を40gの多用途穀粉(Prima社、シンガポール)と混合し、5分間炒めた。35gの甘味ソースを添加し、約100℃に加熱し、激しく撹拌し、得られた混合物を小さい型に流し込み、固形ブイヨン又は錠剤を形成した。
【0291】
実施例12.フレーバー付き甘味料を用いる食品及び飲料製品の製造プロセス
チョコレートバー
フレーバー付き甘味料を用いたチョコレート製品は、26gの溶かしたバターと20gのココアパウダー及び20gのフレーバー付き甘味料とを、よく混ざるまで混合することにより調製した。混合物をチョコレート型で成形し、冷蔵した。
【0292】
ヘーゼルナッツスプレッド
60gの無塩バターを225gの溶かした低甘味チョコレート(70%ココア)に添加し、混合した。次いで、100mLの高脂肪クリームをチョコレート/バター混合物に混合し、ひとつまみの塩を加えた。その間に140gのヘーゼルナッツを180℃で10分間炒り、室温に冷却し、その後に40gのフレーバー付き甘味料と共にフードプロセッサーに添加し、混合して滑らかなペースト状にした。最後に、チョコレート/バター/クリーム混合物をヘーゼルナッツ/CNSペーストにゆっくりと添加し、ヘーゼルナッツスプレッド製品を形成した。
【0293】
プリン
カスタード粉37g、フレーバー付き甘味料、及び食卓スプーン2~3杯の牛乳を使用して滑らかなペーストを作った。その間に、牛乳を煮沸し、沸騰したペーストに添加し、カスタード溶液が濃密になるまで蒸煮した。最後に、溶液を型に流し込み、そのまま提供するか、冷却するか、又は冷蔵した。
【0294】
アーモンドエネルギーバー
オーブンを180℃に予熱した。大型のボウル中で、1/2カップのオート麦、1/8カップのアーモンド、1/8カップのカシューナッツ又はピーナッツ、1/8カップのゴマ種子、1/8カップのヒマワリ種子、及び1/8カップのレーズンを混ぜ合わせた。3/8カップのタヒニ及び1/4カップのフレーバー付き甘味料をボウル中で混ぜ合わせ、電子レンジで30秒間加熱した。ティースプーン1/4のバニラエキスを添加し、よく混合した。この混合物にオート麦混合物を加え、よく混ざるまで撹拌した。この混合物をベーキングシート上に注ぎ出し、濡れた手で高さ約1インチの長方形に成形した。バーの端がきつね色に変わるまで、15分間焼いた。
【0295】
ショウガ茶
フレーバー付き甘味料は実施例1と同様に調製したが、ただし温度が115℃に達したところでプロセスフローを変更した。この時点で、細かく刻んだ新鮮なショウガ約2gを添加し、混合物を激しく撹拌した。更に数分蒸煮した後、熱い混合物を立方体の型に注いだ。ショウガ茶キューブの総質量は約50gである。ショウガ茶キューブを約500mLの沸騰水に溶解し、甘いショウガ茶飲料を生成した。
【0296】
実施例13.フレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースを使用する食品の製造プロセス。
フレーバー付き甘味料を用いて製造したスパイシー甘味ソースを使用したテンペ及びウスイマメ。
フレーバー付き甘味料を用いて製造したスパイシー甘味ソースは、1.4gの刻んだバードアイトウガラシ及び3.8gの刻んだニンニクを醤油と共に、実施例8と同様に生成したフレーバー付き甘味料で製造した甘味ソースに添加することにより調製した。
【0297】
調理油を中華鍋又は揚げ鍋で約150℃に加熱した。新鮮なテンペ約200gを熱い調理油に添加し、きつね色になるまで10~20分間揚げた。テンペを冷却し、一口大に切った。約50gのウスイマメを洗浄し、一滴の調理油を添加した水の入ったポットで5~10分間煮沸した。鍋に調理油を添加して予熱し、テンペを添加し、3~5分間炒めた。ゆでたウスイマメ及び刻んだトウガラシを鍋に入れ、更に10分間炒めた。その炒めた材料全体に行き渡るまで、少量の塩、及びフレーバー付き甘味料を用いて製造したスパイシー甘味ソース36gを鍋の中で撹拌した。
【0298】
フレーバー付き甘味料を用いて製造したオニオン甘味ソースを含むノンオイルフライにしたスイートコーン
150℃の調理油69g中で49gの刻み赤タマネギ及び17.7gの刻みニンニクをきつね色になるまで揚げて、フレーバー付き甘味料を用いて製造したオニオン甘味ソースを調製した。油に漬けた赤タマネギ及びニンニク残渣2.8gを、醤油と共に、実施例8と同様に生成したフレーバー付き甘味料を用いて製造した甘味ソースに添加した。
【0299】
1本のトウモロコシの皮をむき、スイートコーンの穂軸を数個の小片にカットした。穂軸の小片を、フレーバー付き甘味料を用いて製造したオニオン甘味ソース16gと共にアルミ箔で包んだ。そのアルミニウムの包みをノンオイルフライヤー(Phillips社、オランダ)で25分間揚げた。
【0300】
フレーバー付き甘味料で製造した粉末状甘味ソースを用いたチキンシチュー
鶏肉の骨を取り、小片にカットし、2つに切ったニンジン及び2つに切ったジャガイモと共に500gの水で煮込んだ。30分後、フレーバー付き甘味料を用いて製造した60gの粉末甘味ソースを添加し、シチューを更に8分間煮込んだ。
【0301】
チキンシチューは、フレーバー付き甘味料を用いて製造した粉末甘味ソースから作った肉汁由来の優れた甘味及び塩味を有する。肉汁の濃度はシチューに適した範囲内にあり、ダマはない。
【0302】
実施例14.枯草菌及びバチルス・フレクサスと共にインキュベートしたテンサイ汁を用いたフレーバー付き甘味料の製造方法
原料
主溶質としてスクロースを含有する未精製植物エキスはテンサイ汁とした。テンサイ汁は、中国産のテンサイ1kgを薄くスライスし、1kgの水中で30分間煮込むことにより得た。屈折計法乾燥物(RDS)含有量が約10°Bxであるテンサイ汁が得られた。主溶質としてスクロースを含有する1kgのこの未精製植物エキスを、布などのモスリン生地で粗く濾過した。
【0303】
水平層流フードを使用し、無菌条件下で、直径46mmの6枚ブレードRushton羽根車を2つ、L-スパージャー、pHセンサー(Mettler Toledo社、スイス)及び光学溶存酸素(DO)センサー(Hamilton社、米国)を備え、内径100mm、最大作業体積1.2Lの滅菌ガラスバイオリアクターに1kgの各原料を移した。バイオリアクターを、加熱及び冷却機能を有する金属ブロックであるDASGIPマルチインキュベーター(Eppendorf社、ドイツ)「bioblock」に挿入し、バイオリアクターの内容物の温度を33℃に調整した。
【0304】
pH4及び7の緩衝液を用いて2点pH較正を行い、バイオリアクターに0.1vvmの速度でガス供給を行って400rpmでバイオリアクターを撹拌しながら、DOセンサー値が100%で安定するまで、DO較正を行った。
【0305】
植菌材料
凍結保存株コレクションから得た株、枯草菌及びバチルス・フレクサスのそれぞれの一晩培養物を、50mLコニカル試験管中の30mLの滅菌CMO129トリプシン大豆培養液(TSB)(Oxoid、英国)中で調製し、33℃でインキュベートし、250rpmで約20時間振盪させた。
【0306】
植菌材料中の細胞濃度は光学密度(OD)により評価した。1mLの細菌懸濁液を1.5mLコニカルマイクロ試験管に移し、ローターA-4-62(Eppendorf社、ドイツ)を備えた遠心分離機モデル5810を使用して3220の相対遠心力(RCF)で5分間遠心分離した。
【0307】
上清をデカントし、1mLの脱イオン(DI)水で再懸濁し、ディスポーサブルキュベットに移し、DI水でブランクにしたI634-6041二重ビーム分光光度計UV-6300PC(VWR社、米国)中で600nmのODを測定した。
【0308】
インキュベーション
インキュベーション前及びインキュベーション中にpHを調整し、インキュベーション全体に渡ってpHを5.8~6.2のままにした。各植菌材料の600nmでの測定ODの逆数で量を定めた0.5体積%の植菌材料:すなわちOD=1であると植菌量は5mLであり、OD=0.5であると植菌量は10mLである:をバイオリアクターに添加することによりインキュベーションを開始した。酸素瀑布によりインキュベーション中にDOを制御した。酸素瀑布では最低400rpmの攪拌及び0.1vvmのガス供給を行う。酸素瀑布では、最大1200rpmの撹拌及び最大0.3vvmのガス供給を連続的に増加させ、DOを最低30%に維持する。
【0309】
蒸煮
主溶質としてスクロースを含有する修飾未精製植物エキスをステンレス製ボウルに移し、温度制御しながら電気ホットプレート(Heidolph社、ドイツ)上で煮沸した。初めにホットプレートの設定温度は200℃にし、その後、修飾未精製植物エキスが100℃の加工温度で沸騰し始めた後、設定温度を150℃に下げた。加工温度が105℃に達すると、設定温度を更に120℃に下げた。この時点から、粘性のシロップを手動で連続的に撹拌し、過熱及び焦げ付きを避けた。褐色でやや金属的なキャラメルのような芳香の発生、及び暗赤褐色の発色を検出した。加工温度が約120℃に達したところで、ボウルをホットプレートから外し、3分間激しく撹拌した。この3分の間に、シロップの粘性が高まり、その後、色が薄くなり、不透明になり、その後、固体半結晶質生成物になった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6