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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】原動機用マフラー
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20221019BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20221019BHJP
   F01N 1/02 20060101ALI20221019BHJP
   F01N 1/04 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
F01N13/08 B
F01N1/08 B
F01N1/08 F
F01N13/08 A
F01N13/08 G
F01N1/02 E
F01N1/02 K
F01N1/04 J
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019523668
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-14
(86)【国際出願番号】 IB2017056881
(87)【国際公開番号】W WO2018083650
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】102016000110831
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ピエロ・ソアッティ
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・ベッラート
【審査官】齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-207577(JP,A)
【文献】特開平09-228819(JP,A)
【文献】米国特許第02643730(US,A)
【文献】特開2015-034478(JP,A)
【文献】特開2013-011240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/08
F01N 1/08
F01N 1/02
F01N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機付き車両用マフラー(4)であって、
分岐点(10)でメインパイプ(12)と第2のパイプ(16)とに分かれている排気ガスの吸気パイプ(8)と、
マフラー本体であって、前記マフラー本体(24)を膨張容積部(28)と第2の部分(104)とに分ける隔離隔壁(100)を備え、前記膨張容積部(28)、前記メインパイプ(12)および前記第2のパイプ(16)を少なくとも部分的に収容するマフラー本体(24)とを備え、
排気ガスの前記吸気パイプ(8)は、前記第2のパイプ(16)を通じて前記メインパイプ(12)と流体的に連続した接続があり、
前記メインパイプ(12)は、前記分岐点(10)の下流に、前記メインパイプ(12)との排気ガスの前記吸気パイプ(8)のさらなる流体的な接続を可能とする又は防ぐスロットルバルブ(32)と、前記マフラー(4)からのガスの排出のための排気ガスの出力部(40)とを備え、
前記スロットルバルブ(32)は、前記吸気パイプ(8)から来るガスの流れとは逆の方向に開く隔壁(44)を備え、前記隔壁(44)が閉じた構成で、ガスの流れの方向に対するアンダーカットを実現するストップレッジ(48)を備え、
前記メインパイプ(112)は、前記膨張容積部(28)に含まれる第1の部分(92)に、前記膨張容積部(28)に含まれる前記第2のパイプ(16)から来た、前記膨張容積部(28)で膨張した排気ガスを前記メインパイプ(16)へ漏出させるのに適した複数の流入孔(96)を備え、前記第2の部分(104)に含まれるさらなる部分(108)に、前記メインパイプ(12)の周りに取り付けられた吸音材料(116)で周りを囲まれた減衰孔(112)を備える、
原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項2】
前記第2のパイプ(16)は、隙間(72)の範囲を定めるように前記第2のパイプ(16)の周りに合わされた閉じ込め管(68)に少なくとも部分的に含まれ、前記閉じ込め管(68)は、閉じ底(76)、および前記膨張容積部(28)に流体的に接続された反対側の開口端(80)を有し、前記閉じ底(76)は、前記第2のパイプ(16)の排気開口(84)から出る排気ガスを前記開口端(80)へ向かって送るように前記第2のパイプ(16)の前記排気開口(84)に面して、前記第2のパイプ(16)の前記排気開口(84)と前記開口端(80)との間に形成された前記隙間(72)の一部の、逆流路の前に配置され、前記開口端(80)は、前記メインパイプ(12)に流体的に接続されている、請求項1に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項3】
前記閉じ込め管(68)は、前記開口端(80)へと流れる前記隙間(72)の範囲を前記第2のパイプ(68)とともに定めるように、前記第2のパイプ(16)と同軸上に配置されている、請求項2に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項4】
前記開口端(80)は、前記第2のパイプ(16)自体の主の長手方向に直角な断面を有する平面に関して、円形冠状断面を有し、前記円形冠状断面は、外側の前記閉じ込め管(68)と内側の前記第2のパイプ(16)との間に形成されている、請求項2または請求項3に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項5】
前記メインパイプ(12)と前記第2のパイプ(16)は、排気ガス用の異なる通過断面を有する、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項6】
前記第2のパイプ(16)は、前記メインパイプ(12)の前記通過断面の20%から50%の間の通過断面を有する、請求項5に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項7】
前記閉じ込め管(68)は、前記第2のパイプ(16)の長さの少なくとも30%に等しい部分で前記第2のパイプ(16)の周りに合わせられている、請求項5または請求項6に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項8】
前記隙間(72)は、前記第2のパイプ(16)の前記通過断面以上のガスの通過断面を有し、前記隙間(72)および前記第2のパイプ(16)の前記通過断面は、前記第2のパイプ(16)自体の主の長手方向に直角に測定されている、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項9】
前記隔離隔壁(100)は、前記閉じ込め管(68)を少なくとも部分的に支持する、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項10】
前記隔壁(44)は、前記メインパイプ(12)に固定されたヒンジ点(52)でヒンジ連結されている、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項11】
前記メインパイプ(12)は前記隔壁(44)の位置に、前記隔壁(44)が開いた構成で前記隔壁(44)が着座するシート(56)を備える、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項12】
前記隔壁(44)は、前記開いた構成から前記閉じた構成への前記隔壁(44)の移動のためのモータ手段(60)に動作可能に連結されている、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【請求項13】
前記隔壁(44)は、前記吸気パイプ(8)から来る排気ガスの方向に面する凹面(64)を備える、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の原動機付き車両用マフラー(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機付き車両用マフラーに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、原動機付き車両の分野には、車両によって生じる騒音を制限する特定の規則がある。これらの規則は基本的に、特に市街地での、またはガスのチョーク状態での、騒音公害を制限することを目的とする。
【0003】
認証により課される排気ガス規制は、実際には、全出力でのエンジンの使用を伴わない通常使用を想定された状態を参照している。
【0004】
この理由のため、大気への排出の前に、適切な断面を有するパイプを通じた排気ガスの通過を少なくとも部分的にブロックする又は可能とするために、エンジンの回転速度によって操作される可動性のバルブまたは隔壁を含むマフラー解決策が知られている。
【0005】
特に、排気ガスは、放出される前に、(排気ガスが通る経路を適切な長さにすることによる)反射、および/または(排気ガスをマフラー内の経路で、グラスウールなどの吸音材料に触れさせる)吸収によって排気ガスの騒音放出を低減するパイプを通過する。
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、従来技術の解決策は、いくつかの欠点を有する。
【0007】
一方では、事実、騒音放出を低減する要求は必然的に、エンジンによって得られる最大出力を確保する要求と衝突する。
【0008】
事実、排気ガスに課された制限は、エンジンを「窒息」させる傾向があり、それによって最大出力の達成が制限される。
【0009】
他方、消音システムは、装置の寿命の間、騒音放出の制限を確保するように、経時的に効率的かつ効果的であるべきである。可動性の機構はしたがって、車両の寿命を通して効果的かつ効率的であるべきであり、そうすることで、例えば、任意の総点検(オーバーホール)および/または各騒音放出の検査に合格し得る。
【0010】
最終的に、マフラーの全体的な大きさは、制御下に置かれるべきである。隔壁の使用だけでなく、排気ガスのための延長された経路を提供すると、マフラーで使用される全容積およびその重量が増加する。全寸法および重量は、しばしば設計パラメータとして本質的な役割を有しており、特に、モータサイクルの分野においてなどいくつかの特定の用途で、できるかぎり制限されるべきである。
【0011】
先行技術に関する欠点を解決することおよび言及された制限を打開することの要求が、したがって感じられる。
【0012】
つまり、性能に影響を与えることなく騒音放出を抑制するマフラーを提供する要求が感じられる。マフラーは、車両の寿命を通して機能効率を確保できるべきであり、マフラーが適用されるそれぞれの原動機付き車両の寸法および重量の増加をできるだけ少なくするように建設的に適合される。
【0013】
そのような要求は、請求項1に記載のマフラーによって満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点が、以下の好ましい非限定的な実施形態の記載からより明確に明らかになる。
【0015】
図1図1は、チョーク動作状態での、本発明によるマフラーの断面図である。
図2図2は、非チョーク動作状態での、本発明によるマフラーの断面図である。
図3図3は、チョーク動作状態および非チョーク動作状態での、周波数に応じた、本発明によるマフラーの音放出のダイアグラムである。
図4図4は、本発明によるマフラーのスロットルバルブの想定される作動則のダイアグラムである。
【0016】
以下に記載された実施形態間で共通の部材または部材の一部は、同一の符号で言及される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記の図面に関して、符号4は包括的に、本発明によるマフラーの全体的な概略図を示す。
【0018】
本発明に関して、用語、原動機付き車両は、広義で考えられなければならず、少なくとも二つの車輪(すなわち、一つの前輪および一つの後輪)を有する任意の原動機付き車両を包含するということに留意すべきである。したがって、当該定義は、二つの車輪を有する、または前方端での対になった二つの操舵輪および後方での一つの駆動輪だけでなく、前方端での単一の操舵輪および後方での二つの駆動輪を含むモータサイクルなどの、三つの車輪を有する伝統的な原動機付き車両を含む。最終的に、原動機付き車両の定義はまた、いわゆるシティカー、自動車および三つ以上の車軸を有する車両を含む。
【0019】
原動機付き車両用のマフラー4は、関連分岐点10でメインパイプ12と第2のパイプ16とに分かれる、排気ガスの吸気パイプ8を含む。
【0020】
吸気パイプ8は典型的には、示されていない方法でエンジンのエキゾーストマニホールドに連結される。
【0021】
想定される実施形態によると、吸気パイプ8は、メインパイプ12と第2のパイプ16との間の分岐点10の上流で、Nox、HCおよびCOなどの汚染物質を(既知の方法で)少なくとも部分的に除去する、排気ガスを処理するのに適した触媒装置20を包含する。
【0022】
マフラー4は、膨張容積部28の範囲を定めてメインパイプ12および第2のパイプ16の少なくとも一部を収容する、マフラー本体24を含む。
【0023】
マフラー本体24、並びにパイプ12および第2のパイプ16は、金属材料、好ましくはステンレス、および/またはマフラー4の全体重量を減らすためにチタン合金で作られてもよい。
【0024】
吸気パイプ8は流体的に、第2のパイプ16によってメインパイプ12と連続的に、例えば常に、接続される。
【0025】
メインパイプ12は、メインパイプ12に直接アクセス(つまり、吸気パイプ8とメインパイプ12との直接かつさらなる流体接続)するのを可能にするまたは妨げるスロットルバルブ32を分岐点10の下流に備える。当該直接の流体接続は、メインパイプ12がすでに第2のパイプ16によって吸気パイプ8と流体的に接続されているため、追加的または付加的である。
【0026】
メインパイプ12は、マフラーパイプ4からのガスの排出用の排気ガスの出力部40をさらに備える。
【0027】
スロットルバルブ32が開いているとき、吸気パイプ8は、直接的にメインパイプ12の排気ガスの出力部40に接続され、したがって、マフラー4の性能は、大幅に上昇する。
【0028】
スロットルバルブ32は、吸気パイプ8から来るガスの流れGとは逆の方向に開く隔壁44を備え、隔壁44自体が閉じた構成で、ガスの流れGの方向に対するアンダーカットを実現するストップレッジ48を備える。
【0029】
例えば、ストップレッジ48は、メインパイプ12内の首または狭くなっている箇所(ボトルネック)によって実現される。つまり、ストップレッジは、円形冠状構成を有する。
【0030】
隔壁44が吸気パイプ8から来るガスの流れGとは逆の方向に開き、排気ガスの流れに対して、隔壁44の下流にストップレッジ48が配置されるという事実は、排気ガス自体に対するスロットルバルブ32のシール性を改善する。事実、隔壁に対する衝撃によって、排気ガスは、ストップレッジ48に対して隔壁をさらに締め付けるのに役立ち、したがって、シール性を改善し、スロットルバルブ32がさらされるかなりの振動によってスロットルバルブ32が動くことでメインパイプ12への直接アクセスするガスの漏れが生じるのを防ぐ(図1参照)。
【0031】
騒音放出を制限するために、そのような漏れは、騒音レベルの著しい上昇をもたらすと検証されてきた。
【0032】
例えば、隔壁44は、メインパイプ12に固定されたヒンジ点52でヒンジ連結される。
【0033】
好ましくは、メインパイプ12は、隔壁44の位置で、隔壁44が開いた構成で隔壁44が着座するシート(着座部)56を備える。好ましくは、シート56は、隔壁44が、開いた構成で、メインパイプ12内の排気ガスの流れに影響を与えず、制限しないように、隔壁44を収容できるような形状である。(図2参照)
【0034】
隔壁44は、開いた構成(図2)から閉じた構成(図1)へと切り替えるためのモータ手段60に動作可能に連結される。
【0035】
モータ手段60によって作動される開放則は、所定の介在閾値に応じて、要望通りに変化され得る。
【0036】
スロットルバルブ32の開放/閉鎖はまた、調節されてもよい。つまり、スロットルバルブ32は、二つの動作位置、すなわち開放および閉鎖、のみを有する必要はなく、開放位置と閉鎖位置との間の中間位置がまた、設けられてもよい。
【0037】
実施形態によると、隔壁44は、排気ガスの吸気パイプ8から来る排気ガスに面する凹面64を備える。
【0038】
凹面64は、排気ガスに対するバルブの密着性をさらに改善する機能を有する。
【0039】
事実、そのような凹面64は、そこに衝突する排気ガスを集め、一方では、これは、バルブ自体の閉鎖に寄与するガスの押し込み力を上昇させ、他方では、排気ガスの分岐点10への、したがって、第2のパイプ16への、向き変更に有利に働く。
【0040】
第2のパイプ16に流れる排気ガスの体積流量質量は、スロットルバルブ32が、少なくとも部分的にまたは完全に閉じられているとき、増加する。
【0041】
スロットルバルブ32の全ての動作位置で、最小流量は、排気ガスを、少なくとも部分的に、静かにさせるために、第2のパイプ16で確保される。
【0042】
第2のパイプ16は、隙間72の範囲を定めるために第2のパイプ16の周りに合わされた閉じ込めパイプ68内に少なくとも部分的に含まれる。
【0043】
閉じ込めパイプ68は、閉じ底76、および膨張容積部28に接続された反対側の開口端80を有する。つまり、閉じ込めパイプは、グラス形状を有する。
【0044】
閉じ底76は、第2のパイプ16から出た排気ガスを、第2のパイプ16の排気開口84と開口端80との距離88だけ隙間72を通る逆流路を通り、開口端80に向けて送るように、第2のパイプ16の排気開口84と向かい合って配置される。
【0045】
開口端80は、下記で詳しく記載されているように、メインパイプ12に流体的に接続される。
【0046】
排気ガスの動きの反転は、図1から図2に矢印F、Rで示されている。
【0047】
特に、排気ガスは、供給方向Fで第2のパイプ16から入り、排気開口84に向かって移動する。排気ガスが、一旦排気開口84に至ると、閉じ込めパイプ68の閉じ底76によって形成された障壁の作用下で、開口端80へ向かう逆向きの動きTによって、戻る動きに反転する。当該逆向きの動きで、排気ガスは、第2のパイプ16を通って再度流れないが、第2のパイプ16および閉じ込めパイプ68の間に範囲を定められた隙間72を通って流れる。
【0048】
閉じ込め管68は例えば、開口端80へと流れる隙間72の範囲を第2のパイプ68とともに定めるように、第2のパイプ16と同軸上に配置される。
【0049】
開口端80は例えば、第2のパイプ16自体の主の長手方向に直角な断面を有する平面に関して、円形冠状断面を有する。円形冠状断面は、外側の閉じ込め管68と内側の第2のパイプ16との間に形成される。
【0050】
好ましくは、閉じ込め管68は、第2のパイプ16の長さの少なくとも30%に等しい部分で第2のパイプ16の周りに合わせられる。
【0051】
第2のパイプ16の長さによって、分岐点10と排気開口84との間の距離は、表される。
【0052】
好ましくは、隙間72は、第2のパイプ16の通過断面より小さくない、つまり、大きい又は同等なガス通過断面を有する。通過断面は、第2のパイプ16自体の主流の長手方向に直角に測定される。
【0053】
好ましくは、メインパイプ12および第2のパイプ16は、排気ガス用の異なる通過断面を有する。
【0054】
例えば、第2のパイプ16は、メインパイプ12の通過断面の20%から50%の間の通過断面を有する。
【0055】
明らかに、開口端80は、メインパイプ12と流体的に接続されている。
【0056】
特に、メインパイプ12は、膨張容積部28に含まれる第1の部分92で、第2のパイプ16の開口端80から来た、膨張容積部28で膨張されたガスをそこへ漏出させるのに適した複数の流入孔96を備える。
【0057】
そのような流入孔96は、径方向Xにメインパイプに排気ガスが流入できるように、メインパイプ12の第1の部分92の側壁を貫通する。
【0058】
実施形態によると、マフラー本体24は、膨張容積部28と第2の部分104とにマフラー本体24を分ける隔離隔壁100を備える。ここで、膨張容積部28は、開口端80から来る排気ガスを流入孔96に送ることができるように、開口端80、最初の部分92および流入孔96を含む。また、第2の部分104は、排気ガスの出力部40が最後にある、メインパイプ12の端部108を収容する。
【0059】
想定される実施形態によると、隔離隔壁100は少なくとも部分的に、閉じ込めパイプ68および/または第2のパイプ16を支持する。
【0060】
例えば、閉じ込めパイプ68は、開口端80側で隔離隔壁100によって、排気開口84側でマフラー本体24の下部壁120によって支持されてもよい。マフラー本体24の下部壁120は、メインパイプ12および特に排気ガスの出力部40を支持する。
【0061】
第2の部分104は、メインパイプ12の端部108の周りに合わせられた吸音材料116で周りを囲われた減衰孔112を備える。
【0062】
吸音材料116として、例えば、グラスウールおよび従来技術で周知の類似の材料が使用され得る。
【0063】
本発明による原動機付き車両用マフラーの動作および規則を記載する。
【0064】
特に、チョーク構成(図1参照)、すなわちスロットルバルブ32が閉じられた構成では、吸気パイプ8からの排気ガスは、スロットルバルブ32によって形成された障壁に排気ガスの経路で遭遇するため、メインパイプ12を通じて直接流れることができない。
【0065】
そのようなスロットルバルブ32は、流れに逆らって開くという事実に起因して、閉じられた位置で、スロットルバルブ32は、排気ガスの流れの裏側に配置されたストップレッジ48によって実現されるアンダーカットに当接する。ストップレッジ48は、閉じられた状態でのスロットルバルブ32自体に対する衝撃によって、その密着性が増加し、さらに閉じるように押して、マフラー4の振動に起因して想定される開放を防ぐ。
【0066】
したがって、ガスは、第2のパイプ16を通じて流れ、排気開口84から出て、そこでガスが膨張容積部28内へ直接分散するのを防ぐ閉じ込めパイプ68の閉じ底76と遭遇する。排気ガスは、事実、閉じ底76の反対側にある開口端80を出るために、第2のパイプ16内の経路に対して逆経路を流れなければならない。開口端80から、ガスは、膨張でき、そして流入孔96を通じてメインパイプ12に入る。
【0067】
一旦メインパイプ12に入ると、排気ガスは、排気ガスの出力部40を通じてマフラー4の外側に放出される前に完全にそこに流れることができる。当然、第2のパイプ16を通る排気ガスの強制的な経路、および閉じ込めパイプ68の適合によって動きを反転すると、メインパイプ12を通じた経路に対する排気ガスの経路のかなりの延長がまず決定する。当該延長によって、吸音材料116で満たされた第2の部分104を通過する前に排気ガスの反射が増加するため、騒音がより散逸できる。
【0068】
当然、そのような構成はまた、排気ガスに対していくつかの閉鎖された状態を生み出し、得られる出力を制限する。そのような構成は、エンジンのチョーク動作(すなわち最大出力が必要でないときに)と組み合わされる。
【0069】
非チョーク構成(図2参照)では、スロットルバルブ32は開放され、したがって排気ガスは、第2のパイプ16を強制的に通過することなく、吸気パイプ8から来てメインパイプ12へ直接入ることができる。
【0070】
排気ガスは、メインパイプ12を通るとあまり抵抗にあわないため、メインパイプ12に直接入り、第2のパイプ16には入らない傾向がある。さらに、第2のパイプ16の実際の閉塞された状態がないため、排気ガスの一部は、チョーク構成での動作に関連してすでに記載されているように、第2のパイプ16を流れ、流入孔96を通じてメインパイプ12に入ってもよい。メインパイプ12を通じた排気ガスの流れは、メインパイプ12の周りを囲っている吸音材料116の使用によって、少なくとも部分的に消音される。
【0071】
図4は、スロットルバルブ32の想定される開放/閉鎖則を示す。見て分かるように、そのような規則は、例えば線形であり、とても急な傾斜R1を提供し、また、異なる作動則が、スロットルバルブ32の開放/閉鎖を制御するために、線形と非線形の両方で実行されてもよい。
【0072】
図3は、励起変化の周波数(これは、エンジンの回転速度に比例する)に応じた、スロットルバルブ開放構成での曲線C1とバルブ閉鎖構成での曲線C2との両方での本発明によるマフラーの騒音放出を比較するチャートを示す。見て分かるように、曲線C1、曲線C2は似たような傾向を有するが、バルブ32が開いた構成の、エンジンによって得られる最大出力に対応しているチャートC1は、バルブ32が閉じた構成(曲線C2)で得られる騒音レベルよりとても高い騒音レベルを示す。
【0073】
図3でのグラフは、排気での騒音放出の削減に関して、本発明によるマフラーの注目に値する有効性を明示する。
【0074】
当然、スロットルバルブの介在閾値は、要望に応じて変更してもよく、また、バルブ32の部分的な開放/閉鎖が使用されてもよい。
【0075】
記載から理解できるように、本発明は、従来技術の欠点を克服する。
【0076】
特に、懸架マフラーは、チョーク構成または閉じた構成で動作しているとき、騒音放出をかなり減らす。
【0077】
そのような構成では、事実、排気ガスは、騒音の出力をかなり減らすために、供給の動きの反転に起因して、かなり長い経路を通ることを強制される。
【0078】
当該構成によって、スロットルバルブが上流側(すなわちガスの流れとは逆の方向)へ開くという事実に起因して、スロットルバルブはガス密着性を確保する。このようにして、圧力を備えた排気ガスが、バルブが閉じるように締め付けるのに役立ち、また、バルブが被るかなりの振動に起因した、想定される漏れを防ぐ。これは、経時的に、また、損耗および振動に起因してバルブが作り得る不可避の隙間のために、ガス密着性を確保する。つまり、排気ガスの押圧力によって、常にそのような隙間を打ち消すのに役立つことで、長期間のシール性が確保される。
【0079】
開いた構成または非チョーク構成では、ガスは、メインパイプに沿った装置を通じた消音を経て、最高出力を達成できるように、自由にメインパイプを通過できる。
【0080】
当業者は、特定かつ偶発的な要求を満足するために上述されたマフラーに複数の変更および調整をすることができるが、すべては以下の特許請求の範囲で定められた保護の範囲に含まれる。
【0081】
特に好適な実施形態を以下に記載する。
原動機付き車両用マフラー(4)は、
分岐点(10)でメインパイプ(12)と第2のパイプ(16)とに分かれている排気ガスの吸気パイプ(8)と、
膨張容積部(28)の範囲を定め、前記メインパイプ(12)および前記第2のパイプ(16)を少なくとも部分的に収容するマフラー本体(24)とを備え、
前記メインパイプ(12)は、前記分岐点(10)の下流に、前記メインパイプ(12)への直接のアクセスを可能とする又は防ぐスロットルバルブ(32)と、前記マフラー(4)からのガスの排出のための排気ガスの出力部(40)とを備え、
前記第2のパイプ(16)は、隙間(72)の範囲を定めるように前記第2のパイプ(16)の周りに合わされた閉じ込め管(68)に少なくとも部分的に含まれ、前記閉じ込め管(68)は、閉じ底(76)、および前記膨張容積部(28)に流体的に接続された反対側の開口端(80)を有し、前記閉じ底(76)は、前記第2のパイプ(16)の排気開口(84)から出る排ガスを前記開口端(80)へ向かって送るように前記第2のパイプ(16)の前記排気開口(84)に面して、前記第2のパイプ(16)の前記排気開口(84)と前記開口端(80)との間に形成された前記隙間(72)の一部の、逆流路の前に配置され、前記開口端(80)は、前記メインパイプ(12)に流体的に接続されている。
図1
図2
図3
図4