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特許7161473カスタマイズされた局所用剤を製造するためのシステム、方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】カスタマイズされた局所用剤を製造するためのシステム、方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
A45D34/04 555
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2019530013
(86)(22)【出願日】2017-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 US2017064566
(87)【国際公開番号】W WO2018102829
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】62/429,216
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステュワート ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴィル レスリー ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン ラジェシュ
(72)【発明者】
【氏名】エスピノサ デイビッド
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-137758(JP,A)
【文献】米国特許第05163909(US,A)
【文献】特表2002-501463(JP,A)
【文献】特表平03-502676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
B01F 15/00 - 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注文管理システムと電子通信するコントローラであって、前記注文管理システムがカスタム化粧品配合物およびその成分に関連するデータを含むユーザ特有のデータを格納する、コントローラと、
加圧流体を受けるため、および、計量弁を作動させて開閉させるための複数の弁であって、前記コントローラと電子通信する、複数の弁と、
各々が所定量の流体を計量するための計量弁を有し、各々がノズルを有する分配ヘッドを有し、各ノズルがその内部に計量弁の1つを含み、その遠位端部にノズル先端部を含む複数のディスペンサであって、前記ノズル先端部は、前記計量弁から前記ノズル先端部内に導入された流体を製品レセプタクルの入口に分配するように配置され、前記ディスペンサがデータポートと電子通信し、前記各計量弁が前記加圧流体を受けるための前記複数の弁の1つと通信する、複数のディスペンサと、
分配された流体を受けるために貫通する長手方向軸を有するレセプタクルの首部に開口部にわたりまたは開口部内に分配するために各先端部が位置決めされ、かつ各ノズル先端部は前記レセプタクルの前記長手方向軸に対して約45°~約90°の角度をなしているが各ノズル先端部は他のどのノズル先端部とも接触していないように、各ノズル先端部を保持するために長手方向に貫通して延出する開口部を画定するノズル先端部ホルダ本体を備える、ノズル先端部ホルダと、
前記コントローラと電子通信する測定デバイスであって、前記測定デバイスは前記複数のディスペンサの各々から分配された流体に関するデータを捕捉することができ、前記分配された流体に関する前記データを前記コントローラに送信することができる、測定デバイスと、
注文特有の命令を読み取るためのバーコードスキャナと、
オペレータが前記注文管理システムおよび前記コントローラと通信するためのユーザインターフェースと、
前記ディスペンサに流体を導入するための複数の流体導管と、
カスタム化粧品成分の成分を前記ディスペンサに送達するための流体送達装置と、
前記流体送達装置から前記複数のディスペンサに流体を送達するために、前記流体送達装置内の流体を加圧するための圧力源と、
を備え
前記流体送達装置が、
外面および内部空間を画定する内面と、取り外し可能な蓋と、少なくとも1つの圧力源入口と、少なくとも1つの流体出口とを有する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングの内部空間に配置された少なくとも2つの可撓性流体容器であって、前記少なくとも2つの可撓性流体容器の各々が穿刺シールキャップと前記穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手とを有する、少なくとも2つの可撓性流体容器と、
前記圧力源入口を通して圧力源の圧力を調整するための圧力コントローラと、
前記穿刺シール継手のうちの1つと連通する第1の端部と、前記複数のディスペンサと連通する前記流体導管のうちの1つに各可撓性流体容器の前記少なくとも1つの流体出口を通して流体を送達するための第2の端部とを有する少なくとも2つの流体送達装置導管と、
を備える、カスタム化粧品配合物を調製するためのシステム。
【請求項2】
前記コントローラが少なくとも1つのマイクロコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マイクロコントローラは、
分配命令と、
カスタム化粧品配合物の各成分についての1つまたは複数のユーザ特有の成分特性データと、
ユーザ特有および/またはオペレータ特有の識別データと、
を含む前記注文管理システムからのデータを受信するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記加圧流体を受け取るための前記複数の弁が電磁弁である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
4つの電磁弁があり、各々が三方電磁弁であり、さらに4つのディスペンサがある、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の電磁弁の各々および前記コントローラと電子通信するリレーシールドをさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記圧力源が一連の圧縮空気導管を通して送達される圧縮空気であり、前記電磁弁が圧縮空気を循環させて前記複数のディスペンサを作動させる、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記電磁弁は、前記コントローラからの信号に応答して独立して作動する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記ディスペンサがキャニスタディスペンサである、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記キャニスタディスペンサはカセット内に配置され、前記カセットはデータポートを有し、前記システムから取り外し可能である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記圧縮空気導管が可撓性チューブである、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記バーコードスキャナは、クイックリードバーコードスキャン機能を有するカメラであり、前記バーコードスキャナはまた、オペレータのサインオンおよび識別情報を受信することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザインターフェースがグラフィカルユーザインターフェースである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記グラフィカルユーザインターフェースがタッチスクリーンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記流体導管が可撓性チューブである、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記測定デバイスによって捕捉された前記データは、重量データ、体積流量データ、および粘度データのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記測定デバイスが化学天秤である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記化学天秤は、流体が少なくとも1つのノズル先端部を通して計量されるときに重量データを捕捉し、かつ前記コントローラに通信することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記圧力源が一連の圧縮空気導管を通して送達される圧縮空気であり、前記圧縮空気導管が圧縮空気を前記流体送達装置に導入するように位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記可撓性流体容器が外側容器内に位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記圧力源が、前記圧力源入口と流体連通している圧縮空気導管を通して送達される圧縮空気である、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記流体送達装置が、複数のハウジングを備え、
前記複数のハウジングの各々が
外面および内部空間を画定する内面、取り外し可能な蓋、少なくとも1つの圧力源入口、および少なくとも1つの流体出口と、
記ハウジングの内部空間に配置された少なくとも1つの可撓性流体容器であって、前記少なくとも1つの可撓性流体容器が穿刺シールキャップと前記穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手とを有する、少なくとも1つの可撓性流体容器と、
前記圧力源入口を通して圧縮空気の圧力を調整するための圧力コントローラと、
前記穿刺シール継手と連通する第1の端部と、前記複数のディスペンサと連通する前記流体導管のうちの1つに前記少なくとも1つの流体出口を通して流体を送達するための第2の端部とを有する少なくとも1つの流体送達装置導管と、
を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
各ハウジング内に2つの可撓性流体容器があり、前記2つの可撓性流体容器の各々は外側容器内に位置決めされ、各ハウジングは少なくとも2つの流体出口を有し、各流体出口は前記複数のディスペンサのうちの1つに通じる前記流体導管のうちの1つに連通している、請求項2に記載のシステム。
【請求項24】
前記圧力源が、前記圧力源入口と流体連通している圧縮空気導管を通して送達される圧縮空気である、請求項2に記載のシステム。
【請求項25】
ボールミルと、遠心分離機と、振動ミキサとから選択される混合デバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
カスタム化粧品配合物を収容するためのレセプタクルに対する前記注文管理システムからのデータに基づいて印刷されたユーザ特有の情報を提供するために前記コントローラと通信するプリンタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記印刷されたユーザ特有の情報が、カスタム化粧品配合物を収容するためのレセプタクルに位置付けられたラベルに印刷されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項28】
外面および内部空間を画定する内面と、取り外し可能な蓋と、少なくとも1つの圧力源入口と、少なくとも1つの流体出口とを有するハウジングと、
前記ハウジングの内部空間に配置された少なくとも1つの可撓性流体容器であって、前記少なくとも1つの可撓性流体容器が穿刺シールキャップと前記穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手とを有する、少なくとも1つの可撓性流体容器と、
前記少なくとも1つの圧力源入口を通して圧力源の圧力を調整するための圧力コントローラと、
前記穿刺シール継手と連通する第1の端部と、前記少なくとも1つの流体出口を通して流体を送達するための第2の端部とを有する少なくとも1つの流体送達装置導管と、
備える流体送達装置。
【請求項29】
前記可撓性流体容器が外側容器内に位置決めされている、請求項28に記載の流体送達装置。
【請求項30】
2つの可撓性流体容器があり、各々が外側容器内に位置決めされ、前記ハウジングは少なくとも2つの流体出口を含む、請求項28に記載の流体送達装置。
【請求項31】
前記ハウジングが2つある、請求項3に記載の流体送達装置。
【請求項32】
前記ハウジングが略円筒形である、請求項28に記載の流体送達装置。
【請求項33】
前記取り外し可能な蓋が閉じられたときに前記内部空間を加圧することができるように密封係合する、請求項28に記載の流体送達装置。
【請求項34】
前記ハウジングが2つある、請求項28に記載の流体送達装置。
【請求項35】
(a)カスタム化粧品配合物およびその成分に関連するユーザ特有のデータを有する注文管理システムを提供するステップと、
(b)前記注文管理システムから前記ユーザ特有のデータを受信するように構成されたコントローラを提供するステップであって、前記コントローラがユーザインターフェースと通信する、ステップと、
(c)前記注文管理システムから1つまたは複数のカスタム化粧品配合物の注文に関連する前記コントローラにデータを送信するステップであって、前記注文が前記注文管理システムで受信される、ステップと、
(d)前記注文における第1のカスタム化粧品配合物の1つまたは複数の流体成分を、各々が前記注文におけるカスタム化粧品配合物の流体成分に関連する複数のディスペンサのうちの1つ以上に送達するために、流体送達装置を加圧するために圧力源を作動させるステップであって、前記コントローラが前記圧力源を作動させ
前記流体送達装置が、少なくとも1つの圧力源入口と、少なくとも2つの流体出口とを有する第1のハウジングと、前記第1のハウジングの内部空間に配置された少なくとも2つの可撓性流体容器であって、前記可撓性流体容器の各々が穿刺シールキャップと前記穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手とを有する、少なくとも2つの可撓性流体容器と、前記第1のハウジングの前記圧力源入口を通して前記圧力源からの圧力を調整するための圧力コントローラと、前記穿刺シール継手のうちの1つと連通する第1の端部と、前記複数のディスペンサのうちの1つに各可撓性流体容器の前記流体出口のうちの1つを通して流体を送達するための第2の端部とを有する少なくとも2つの流体送達装置導管と、を備え、
前記ノズルの各々は、ノズルを有する分配ヘッドを有し、各ノズルが、所定量の流体を計量するための計量弁を含み、その遠位端部にノズル先端部を含み、各ノズル先端部は、長手方向軸を有するレセプタクルの首部に開口部にわたりまたは開口部内に分配するために位置決めされ、前記長手方向軸に対して約45°~約90°の角度で伸びており、かつ、各ノズル先端部は他のどのノズル先端部とも接触していない、ステップと、
(e)第1の流体成分を前記複数のディスペンサのうちの1つから、前記計量弁および前記ノズル先端部を通して、前記コントローラによって受信された前記データに関連する期間にわたってカスタム化粧品配合物を受け取るためのレセプタクルに分配するステップと、
(f)前記注文の前記第1の流体成分に関連する特性について前記第1の流体成分が所定値の許容範囲内で送達されることを確認するために、前記第1の流体成分を分配する間、前記コントローラと電子通信している測定デバイスによって前記第1の流体成分の特性に関連する値を監視し、監視された前記特性の値が前記所定値と同じであるか前記許容範囲内にあるときに前記第1の流体成分の分配を停止するステップと、
(g)前記第1の流体成分の前記分配を停止した後に前記第1の流体成分についての最終的な測定された特性値を記録するステップと、
(h)前記カスタム化粧品配合物のための前記注文における1つまたは複数のさらなる流体成分についてステップ(e)、(f)および(g)を繰り返すステップと、
(i)前記1つまたは複数の流体成分を混合するステップと、
を含むカスタマイズされた化粧品配合物を調製する方法。
【請求項36】
前記コントローラが少なくとも1つのマイクロコントローラを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項37】
前記ユーザ特有のデータが、カスタム化粧品配合物に対する前記注文における各成分の重量を示す重量データ、カスタム化粧品配合物に対する前記注文における各成分の粘度データ、分配命令、ユーザ特有および/またはオペレータ特有の識別情報、およびオペレータ特有のログイン情報のうちの1つ以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項38】
前記オペレータ特有のログイン情報は、前記オペレータが前記注文に関連する分配命令およびデータを受け取るためにグラフィカルユーザインターフェースを介してログインし、前記注文の認証および化粧品配合物要件の遵守のために分配後の前記成分の前記重量の各々を確認するために使用される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記コントローラによって受信された前記ユーザ特有の識別情報は、プリンタに電子通信され、カスタム化粧品配合物の前記注文における前記流体成分を分配する前に、前記レセプタクル上に印刷されるクイックリードバーコードに組み込まれる、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
クイックリードバーコード走査機能を有するカメラを使用して前記クイックリードバーコードを読み取るステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カスタマイズされた局所用剤を製造するためのシステム、方法および装置
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「カスタマイズされた局所用剤を製造するためのシステムおよび方法」という名称の2016年12月2日に出願された米国仮特許出願第62/429,216号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張し、その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本発明は、化粧用剤を製造するための配合物の一次セットを設計すること、ならびにそのような用剤を組み合わせてカスタム化粧品を製造するための方法、システムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0004】
[関連技術の説明]
塗布されるクリームまたはローションの形態の審美的および保護的化粧品局所用剤は、紫外線に対する防御、保湿バリアの提供、シミおよび皮膚変色のマスキング、刺激の軽減または防止、ならびに他の健康的および審美的利益の提供に広く用いられている。可能な限り最良の世界では、これらの保護的局所用剤は特定のニーズを持つ特定の個体、および特定の環境または使用のために専門家チームによって特定されるであろう。局所用剤は次に適時に配合され、個体に送達されるであろう。残念なことに、そのような特定の最適化された製品を所与のユーザに提供することの実用性は、物流とコストにより今日まで制限されてきた。
【0005】
現在、特定のニーズに合う化粧品局所用剤を提供するためのいくつかのアプローチがある。これらの用剤は、皮膚科医からの仕様に基づいて調合され得る。それらは知識豊富な店員によって一組の成分から小売店で組み合わせて作られ得る。多種多様な特性を有する化粧用クリームまたはローションのシステムまたはセットを予め生産し、所与の顧客の色合い、肌タイプ、および特定のニーズに基づいて選択することができる。さらに、化粧品ブティックは、顧客が与えられた成分の選択に基づいて化粧品を注文することによって顧客自身の材料を配合することを可能にするであろう。
【0006】
そのような局所用剤のカスタム生産および流通のための一般的な解決法に対する主な障害は、所与の製品に含まれ得る特徴が多く存在し、特定の審美的ねらい、スキンタイプおよび肌色に対する顧客のニーズが非常に多様であることである。特定のユーザのニーズに最適な粒度を持つ、ユーザにカスタマイズされた配合物を大規模に生産して保存することは商業的に実現不可能である。さらに、化粧品の顧客は、オンラインまたは小売店の設定で購入することができる特定の個別化された製品を入手することにますます興味を持っている。したがって、当技術分野では、例えば高度な画像分析技術を使用した個々の特定のニーズの決定に基づいて有用な化合物と、そのニーズのセットに最適な配合物とを提供するための新しいシステムおよび方法を提供するニーズが高まっている。
【0007】
適度な鏡面反射率および主に拡散反射率を有する表面の反射率スペクトルを捕捉する技術には、反射色をRGBトリプレットとして測定すること、または光学的方法を使用して表面の反射スペクトルを測定して、その反射率を、固定絞り、固定積分光学系に設定され一定期間にわたって測定した検出器を有する既知の距離にある既知の光源と積分する必要があり得る。これらの技術を使用するデバイスは反射分光光度計および比色計である。
【0008】
いくつかのモバイルデバイスは比色計の多くの特徴を有する。例えば、いくつかのモバイルデバイスは、既知の特性を有する光源、CCD検出器、プロセッサ、および積分に使用することができるレンズシステムを有する。しかしながら、最近まで、正確な比色計としてモバイルデバイスを使用することに対する主な障害は、(1)周囲光を制御する、(2)サンプリングされるべき表面までの距離を設定する、(3)サンプルの測定に使用される絞りを制御する、(4)サンプルの測定に使用される検出器感度を制御する、(5)サンプルを測定するために使用される時間を制御する、(6)サンプルを測定するためのホワイトバランスを制御する、および(7)サンプルを測定するための焦点面を制御する必要性である。
【0009】
モバイルデバイスで使用されるカメラは現在使用されている最も普及しているハンドヘルドカメラになっているが、手動で絞りを設定する機能がなく、最も人気のあるデバイスでは、ソフトウェアで絞り、感度、または露出時間を設定できない。モバイルデバイスのハードウェアおよびファームウェアは、結果として得られるデジタル画像ファイルに埋め込まれたデータとしてどのカメラ設定が使用されるかを報告することができるが、画像を向上または改善し、ホワイトバランスを調整するためにファームウェア内で技法がしばしば使用される。カメラを制御するファームウェアは、光と色の信頼性の高い測定を行うためではなく、高品質のスナップショットを作成するために最適化されている。しかしながら、このような情報は、ユーザ特有の配合物についてのデータを生成するための基礎となり得る。このため、これらの問題に対処し、ユーザがモバイルデバイスを使用して正確で再現性のある色サンプルを取り込むことを可能にするシステムおよび方法のニーズが生じる。
【0010】
そのような特許の1つは本出願人の米国特許第9,122,919号、およびMATCHCo.によって製造される製品において例示され、これはモバイルデバイスから相互作用的に集める入力を使用して特定の顧客向けに配合され、その特許に開示されたアルゴリズムを使用して処理され、少数の一次成分から生産される、カスタム局所用剤の作成を可能にする。その特許では、携帯電話、タブレット、webcam、デジタルカメラ、ゲーム機、テレビ、スマートメガネ、および画像センサを有する他の消費者用または業務用デバイスによって撮影された写真に適用される画像分析技術を使用することによって、特定の個人の特性に対して最適化される局所用剤を特定し配合するためのシステムおよび方法を記載している。
【0011】
一実施形態では、システムは、その特許において「最適化された審美的保護的局所剤(Optimized Aesthetic Protective Topical Agent)」すなわちOAPTAと呼ばれる、カスタマイズされた局所用剤についての仕様を生成する。米国特許第9,122,919号におけるそのようなOAPTAは、その特許および本明細書において「ユーザ」と呼ばれる特定の個々のクライアントのニーズおよび特徴のために配合される。OAPTAは、多くの可能な成分を含み得る。成分は、例えば、局所用基剤、水、エマルジョン、ゲル、ガム、保湿剤、紫外線(UV)フィルター剤、不透明剤、色調整剤、反射率調整剤(すなわち、やや艶、艶消し、または乳白色仕上げ用)、抗炎症剤(例えばアロエなど)、保護剤(例えばビタミンEおよび類似の材料)または他の化粧品成分を含み得る。記載されているシステムは、写真生成されたデータおよび光学データ(全てデータベースにまとめられた、システム内で収集されたデータおよびユーザ特有のデータの両方)を使用して検出し、特定の識別コードおよびパスワードを有する個々のユーザファイルを含む情報を記憶する。ユーザのデータは、その肌色が、化粧品配合物が既に定義されている既存の参照された肌色に一致するように(特定の参照されたユーザまたはグラウンドトルースデータセットなどに基づいて)ユーザの仕様および顔データを含めて処理され、ユーザは参照ユーザになることもできる。
【0012】
この特許は、記憶された情報は手動で調合されたOAPTA製品を調製するために使用できるか、または保存されたOAPTAデータに与えられた命令を使用して製品を自動的に調合するデバイス(様々な地理的領域に配置することができる自動化機器など)の使用によって使用できると述べている。米国特許第9,122,919号は、OAPTA製品がオンデマンドで調合されてもよく、あるいはより早い所要時間のために最も一般的な配合物を作りそれらを在庫に含めることによって事前に調合されてもよいことをさらに論じている。
【0013】
米国特許第8,593,634号、第8,564,778号および米国特許公開第2014/0081463号は各々、一組の機械可読命令およびカスタム化粧品配合機に位置するファームウェアを含む、特注化粧品を配合するための装置を開示している。命令は、一般的な分光光度計デバイスから得られる皮膚色測定値に基づいてカスタム色混合を可能にし、カスタム色混合命令は複数の蠕動ポンプも制御する。ポンプはキャニスタに接続する可撓性チューブに接続されている。この装置は曲がったニードルノズルなどのニードルノズルを含み、その各々は蠕動ポンプに取り付けられ、蠕動ポンプのノズルは流体を消費者容器の中央部分に向ける。キャニスタはキャニスタキャップに取り付けられ、曲がったニードルノズルから異物を排除するためのストレーナを有する。この装置はまた衛生的な昇降機および槽を含み、槽はアルコールを貯蔵するためのものであり、衛生的な昇降機は使用されていないときに曲がったノズルニードルを含むように槽を持ち上げることができる。昇降機は、貯蔵用の高さにノズルを配置するために槽の高さを測定するためのセンサを含む。装置はまた、温度を維持するためにヒーターおよびファンを有する。
【0014】
米国特許第5,903,465号は、顧客への販売時点でカスタマイズされた化粧品を作成するための分配機を教示している。この発明の機械は、顧客の最適処方に関する動作命令を受け取るための機構、ならびに異なる化粧品組成物を有するディスペンサを含む。機械は、与えられた動作命令に従って特定の化粧品組成物を特定の濃度で共通の投与室に投与するための活性化機構を有する。機構は化粧品として容器に投与された処方を顧客に送達する。このシステムは、温度調節システム、異なる容量の二重ポンプ、バーコードラベル付けシステム、および機械の故障、空のディスペンサおよび顧客情報を遠隔報告するためのテレモデムを含むことができる。
【0015】
カスタム化粧品および他の店頭(OTC)製品の作成にはさらなる問題が生じ、適正製造基準(GMP)およびOTC製造要件では、製品の生産および充填において2人の製造者が全ての生産工程で承認する必要があるか、または資格のある個人の承認と併せて使用できる検証されたソフトウェアシステムを採用することができる。
【0016】
このような特注配合物を処理する際に、ユーザのための化粧品カスタム配合物を作成するためにユーザ特有のデータを現場で合成するための方法、装置およびシステムに対する必要性が生じている。さらに、一人の資格のある技術者が自動的に重量および技術者の署名を保持するシステム内の分配重量を検証することができるように、各一次成分について分配重量を検索および表示することができる装置およびシステムが必要であり、分配のためのそのような成分の最適化された送達が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】米国特許第9,122,919号
【文献】米国特許第8,593,634号
【文献】米国特許第8,564,778号
【文献】米国特許公開第2014/0081463号
【文献】米国特許第5,903,465号
【発明の概要】
【0018】
本明細書の発明は、カスタム化粧品配合物を調製するための関連装置および構成要素を有するシステムを含む。本システムは、注文管理システムと電子通信するコントローラであって、注文管理システムがカスタム化粧品配合物およびその成分に関連するデータを含むユーザ特有のデータを格納する、コントローラと、加圧流体を受けるための複数の弁であって、コントローラと電子通信する、複数の弁と、各々が所定量の流体を計量するための弁を有し、各々がノズルを有する分配ヘッドを有し、各ノズルがその遠位端部にノズル先端部を含む複数のディスペンサであって、ノズル先端部は流体を製品レセプタクルの入口に分配するように配置され、ディスペンサがデータポートと電子通信する、複数のディスペンサと、コントローラと電子通信する測定デバイスであって、測定デバイスは複数のディスペンサの各々から分配された流体に関するデータを捕捉することができ、分配された流体に関するデータをコントローラに送信することができる、測定デバイスと、注文特有の命令を読み取るためのバーコードスキャナと、オペレータが注文管理システムおよびコントローラと通信するためのユーザインターフェースと、ディスペンサに流体を導入するための複数の流体導管と、カスタム化粧品成分の成分をディスペンサに送達するための流体送達装置と、流体送達装置から複数のディスペンサに流体を送達するために、流体送達装置内の流体を加圧するための圧力源とを含む。
【0019】
上述のシステムの一実施形態では、コントローラは少なくとも1つのマイクロコントローラを含むことができ、マイクロコントローラは、分配命令と、カスタム化粧品配合物の各成分についての1つまたは複数のユーザ特有の成分特性データと、ユーザ特有および/またはオペレータ特有の識別データとを含む注文管理システムからのデータを受信するように構成され得る。
【0020】
システムの別の実施形態では、加圧流体を受けるための複数の弁は電磁弁である。好ましくは、4つの電磁弁があり、各々は三方電磁弁であり、4つのディスペンサがある。システムはさらに、複数の電磁弁の各々およびコントローラと電子通信するリレーシールドを含み得る。そのような実施形態では、圧力源は一連の圧縮空気導管を通して送達される圧縮空気であってもよく、電磁弁は圧縮空気を循環させて複数のディスペンサを作動させる。電磁弁はまた、コントローラからの信号に応答して独立して作動してもよい。
【0021】
代替実施形態では、ディスペンサはキャニスタディスペンサであってもよく、キャニスタディスペンサはカセット内に配置され、カセットはデータポートを有し、システムから取り外し可能である。
【0022】
システムのさらなる実施形態では、流体導管および/または圧縮空気導管は可撓性チューブであり得る。
【0023】
一実施形態では、バーコードスキャナは、クイックリードバーコードスキャン機能を有するカメラであり得る。バーコードスキャナはまた、オペレータのサインオンおよび識別情報を受信することが可能であり得る。
【0024】
好ましい実施形態では、ユーザインターフェースはタッチスクリーンなどのグラフィカルユーザインターフェースであり得る。
【0025】
本明細書のシステムは、ノズル先端部ホルダをさらに含む実施形態を有することができる。ノズル先端部ホルダは、分配された流体を受けるために貫通する長手方向軸を有するレセプタクルの首部に開口部にわたりまたは開口部内に分配するために各先端部が位置決めされ、かつ各ノズル先端部はレセプタクルの長手方向軸に対してある角度をなしているが各ノズル先端部は他のどのノズル先端部とも接触していないように、各ノズル先端部を保持するために長手方向に貫通して延出する開口部を画定するノズル先端部ホルダ本体を備えることが好ましい。
【0026】
本明細書のシステムの一実施形態では、測定デバイスによって取り込まれたデータは、重量データ、体積流量データ、および粘度データのうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
本明細書のなおさらなる実施形態では、測定デバイスは化学天秤であり得、化学天秤は好ましくは、流体が少なくとも1つのノズル先端部を通して計量されるときに重量データを捕捉し、コントローラに通信することができる。
【0028】
本明細書のシステムのさらなる実施形態では、圧力源は一連の圧縮空気導管を通して送達される圧縮空気であり得、圧縮空気導管は圧縮空気を流体送達装置に導入するように位置決めされている。
【0029】
本システムは流体送達装置を含んでいてもよく、流体送達装置は、本明細書の一実施形態では、外面および内部空間を画定する内面と、取り外し可能な蓋と、少なくとも1つの圧力源入口と、少なくとも1つの流体出口とを有する第1のハウジングと;第1のハウジングの内部に配置された少なくとも1つの可撓性流体容器であって、少なくとも1つの可撓性流体容器が穿刺シールキャップと穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手とを有する、少なくとも1つの可撓性流体容器と;圧力源入口を通して圧力源の圧力を調整するための圧力コントローラと;穿刺シール継手と連通する第1の端部と、複数のディスペンサと連通する流体導管のうちの1つに少なくとも1つの流体出口を通して流体を送達するための第2の端部とを有する少なくとも1つの流体送達装置導管とを備える。可撓性流体容器は、外側容器内に位置決めされてもよい。2つの可撓性流体容器があってもよく、各々が外側容器内に位置決めされ、したがって第1のハウジングは少なくとも2つの流体出口を有してもよく、その各々は複数のディスペンサに通じる流体導管の1つと連通している。システム内の流体送達装置のそのような実施形態における圧力源は、圧力源入口と流体連通する圧縮空気導管を通して送達される圧縮空気であり得る。
【0030】
本明細書のシステムでは、流体送達装置は、複数のハウジングであって、複数のハウジングの各々が、外面および内部空間を画定する内面、取り外し可能な蓋、少なくとも1つの圧力源入口および少なくとも1つの流体出口と;第1のハウジングの内部に配置された少なくとも1つの可撓性流体容器であって、少なくとも1つの可撓性流体容器が穿刺シールキャップと穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手とを有する、少なくとも1つの可撓性流体容器と;圧力源入口を通して圧縮空気の圧力を調整するための圧力コントローラと;穿刺シール継手と連通する第1の端部と、複数のディスペンサと連通する流体導管のうちの1つに少なくとも1つの流体出口を通して流体を送達するための第2の端部とを有する少なくとも1つの流体送達装置導管と有する、複数のハウジングを備えることができる。各ハウジングには2つの可撓性流体容器があってもよく、2つの可撓性流体容器の各々は外側容器内に位置決めされ、各ハウジングは少なくとも2つの流体出口を有し、各流体出口は複数のディスペンサに通じる流体導管のうちの1つに連通している。
【0031】
本明細書のシステムはまた好ましくは、ボールミルと、遠心分離機と、振動ミキサとから選択される混合デバイスをさらに含み得る。
【0032】
システムはまた、カスタム化粧品配合物を収容するためのレセプタクルに対する注文管理システムからのデータに基づいて印刷されたユーザ特有の情報を提供する(provided)ためにコントローラと通信するプリンタをさらに含み得る。印刷されたユーザ特有の情報は、カスタム化粧品配合物を収容するためのレセプタクルに位置付けられたラベルに印刷されてもよい。
【0033】
本発明は、外面および内部空間を画定する内面と、取り外し可能な蓋と、少なくとも1つの圧力源入口と、少なくとも1つの流体出口とを有するハウジングと;ハウジングの内部に配置された少なくとも1つの可撓性流体容器であって、少なくとも1つの可撓性流体容器が穿刺シールキャップと穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手とを有する、少なくとも1つの可撓性流体容器と;圧力源入口を通して圧力源の圧力を調整するための圧力コントローラと;穿刺シール継手と連通する第1の端部と、少なくとも1つの流体出口を通して流体を送達するための第2の端部とを有する少なくとも1つの流体送達装置導管とを備える流体送達装置をさらに含む。
【0034】
本明細書の流体送達装置は、外側容器内に位置決めされている可撓性流体容器を有することができる。本明細書の一実施形態では、2つの可撓性流体容器があり、各々が外側容器内に位置決めされ、ハウジングは少なくとも2つの流体出口を含む。2つのハウジングがあってもよい。流体送達装置のさらなる実施形態では、ハウジングは略円筒形であり得る。取り外し可能な蓋は、閉じられたときに内部空間を加圧することができるように密封係合しているのが好ましい。
【0035】
本発明はさらに、(a)カスタム化粧品配合物およびその成分に関連するユーザ特有のデータを有する注文管理システムを提供することと、(b)注文管理システムからユーザ特有のデータを受信するように構成されたコントローラを提供することであって、コントローラはユーザインターフェースと通信し、(c)注文管理システムから1つまたは複数のカスタム化粧品配合物の注文に関連するコントローラにデータを送信することであって、注文は注文管理システムで受信され、(d)注文における第1のカスタム化粧品配合物の1つまたは複数の流体成分を、各々が注文におけるカスタム化粧品配合物の流体成分に関連する複数のディスペンサのうちの1つ以上に送達するために、流体送達装置を加圧するために圧力源を作動させることであって、コントローラが圧力源を作動させ、(e)第1の流体成分を、複数のディスペンサのうちの1つから、コントローラによって受信されたデータに関連する期間にわたってカスタム化粧品配合物を受け取るためのレセプタクルに分配することと、(f)注文の第1の流体成分に関連する特性について第1の流体成分が所定値の許容範囲内で送達されることを確認するために、第1の流体成分を分配する間、コントローラと電子通信している測定デバイスによって第1の流体成分の特性に関連する値を監視し、監視された特性の値が所定値と同じであるか許容範囲内にあるときに第1の流体成分の分配を停止することと、(g)第1の流体成分の分配を停止した後に第1の流体成分についての最終的な測定された特性値を記録することと、(h)カスタム化粧品配合物に対する注文における1つまたは複数のさらなる流体成分について工程(e)、(f)および(g)を繰り返すことと、(i)1つまたは複数の流体成分を混合することとを含む、カスタマイズされた化粧品配合物を調製する方法を含む。
【0036】
本明細書の方法では、コントローラは少なくとも1つのマイクロコントローラを含み得る。ユーザ特有のデータは、好ましくは、カスタム化粧品配合物に対する注文における各成分の重量データ、カスタム化粧品配合物に対する注文における各成分の粘度データ、分配命令、ユーザ特有および/またはオペレータ特有の識別情報、およびオペレータ特有のログイン情報のうちの1つ以上を含み得る。オペレータ識別データは、好ましくは、オペレータが、注文に関連する分配命令およびデータを受信するために、および、注文を認証するための重量の確認、および化粧品配合物要件の遵守など、プロセス内の様々な工程における重量および注文のステータスを確認するために、上記のいずれかであり得るグラフィカルユーザインターフェースを通してログインするように、ログインデータを含み得る。コントローラによって受信されたユーザ特有の情報は、プリンタに電子通信され、カスタム化粧品配合物に対する注文における流体成分を分配する前に、レセプタクル上に印刷されるクイックリードバーコードに組み込まれてもよい。この方法はまた、クイックリードバーコード走査機能を有するカメラを使用してクイックリードバーコードを読み取ることをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
前述の概要、ならびに本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばよりよく理解されるであろう。本発明を説明する目的で、現在好ましい実施形態を図面に示す。しかしながら、本発明は、示された正確な構成および手段に限定されないことを理解されたい。図面において、
【0038】
図1】本明細書の好ましい実施形態で説明されるようなシステムの要素の代表的な流れ図である。
図2】本明細書に記載の図1のシステムの実施形態の動作の流れ図である。
図3-1】図1の実施形態によるカスタム化粧品配合物の注文を履行するためのソフトウェア動作フローチャートである。
図3-2】図1の実施形態によるカスタム化粧品配合物の注文を履行するためのソフトウェア動作フローチャートである。
図3-3】図1の実施形態によるカスタム化粧品配合物の注文を履行するためのソフトウェア動作フローチャートである。
図4図1のシステムの実施形態の分配装置を用いて注文を履行する典型的な動作のフローチャートである。
図5図6の線5-5に沿って切り取られた図6および図8の流体送達装置の縦断面図である。
図5A】ハウジング内の可撓性流体容器内に異なる流体レベルの流体を有する図5の流体送達装置の縦断面図である。
図5B】ハウジング内の可撓性流体容器内に異なる流体レベルの流体を有する図5の流体送達装置の縦断面図である。
図5C】ハウジング内の可撓性流体容器内に異なる流体レベルの流体を有する図5の流体送達装置の縦断面図である。
図5D】ハウジング内の可撓性流体容器内に異なる流体レベルの流体を有する図5の流体送達装置の縦断面図である。
図6図5の流体送達装置をその蓋を通して見た横断面図である。
図7A】流体送達装置内の流体および圧縮空気の流れを示す図5A図5Dの縦断面図である。
図7B】流体送達装置内の流体および圧縮空気の流れを示す図5A図5Dの縦断面図である。
図7C】流体送達装置内の流体および圧縮空気の流れを示す図5A図5Dの縦断面図である。
図7D】流体送達装置内の流体および圧縮空気の流れを示す図5A図5Dの縦断面図である。
図8図1および図5の実施形態による流体送達装置の斜視図である。
図9図9Aの線9-9に沿って切り取られた図1のシステムの実施形態による分配装置の縦断面図である。
図9A図9の分配装置の平面図である。
図10図1のシステムの実施形態によるディスペンサの正面図である。
図11図10の要素の組立図である。
図12図9および図9Aの分配装置の代わりに図1のシステムの実施形態と共に使用するための分配装置の代替実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書の図面を参照すると、「右」および「左」、「内側」および「外側」、「上方」および「下方」、ならびに「外部」および「内部」などの方向の言葉は、参照目的のみのためのものであり、本発明の範囲に関して限定することを意味しない。さらに、本明細書の特許請求の範囲および明細書中の単語は、明示的な出願人提供の定義がない場合、さらなる特許出願特定情報によって増幅または明確化されるように当業者に通常の意味を有することを意図する。
【0040】
本開示は、カスタム化粧品配合物を調製するためのシステムおよび関連方法、ならびに流体送達のための装置を含む。カスタム化粧品配合物を調製する際には、特定量または所定量の流体製品成分を必要とするユーザ特有の配合物が作られる。本明細書で使用する場合、「化粧品」は、流動性基剤を有する審美的化粧品配合物(ファンデーション、アイメイクアップ、ローション、リップ製品、マスカラなど)、ならびに局所適用のための流動形態の他の店頭(OTC)製品(日焼け止め剤、日焼け止め剤を含むファンデーション、薬用ローションなど)を含むことを意図している。また、局所用基剤、水、エマルジョン、ゲル、ガム、保湿剤、UV濾過剤、不透明剤、色調整剤、反射率調整剤(すなわち、やや艶、艶消し、または乳白色仕上げ用)、抗炎症剤(例えばアロエなど)、炎症剤(例えばリッププランパー配合物に使われるような)、保護剤(例えばビタミンEおよび類似の材料)または他の化粧品成分を含む、様々な成分を含む。装置およびシステムは、OTCおよびGMPの生産要件に直接適用できるように設計されており、単一のオペレータがデータを入力してデータを承認することを可能にすることによってオンデマンドの生産および充填操作を提供し、その情報をシステム内に格納することができ、これにより、システムの複数のオペレータが各工程を検証し承認する必要がなくなる。このシステムは、ユニットレベルの追跡とトレーサビリティも可能にし、これはOTCの生産要件にとっても重要である。本開示はまた、独自のバルク流体送達装置を備えた自動分配機(ADM)を含む。システムおよびADMは、可変分配データを使用して様々な流体圧力で広範囲の流体粘度および特徴の正確かつ反復可能な分配を維持するように設計されている。
【0041】
本明細書で使用される場合、「電子通信」は、本明細書のシステムに関してさらに説明されるように、壁またはデータポート、USB、モデム、または無線/ブルートゥース(登録商標)など、直接プラグインを介してであろうとなかろうと、2つの構成要素または要素が任意の電気信号、回線、無線接続を介して読み取り、受信、送信および/または通信できることを広く意味することを意図し、システム内の要素がデータまたは命令を保存、格納、送信、交換、受信または送信する方法を除外または制限することを意図しない。
【0042】
本明細書で使用される場合、「流体連通」は、液体または気体が1つの要素からもう1つの要素にシステムを通って流れる能力を有する限り、1つの導管または一連の導管および/または介在デバイスを通って流れる液体または気体の能力を意味することを意図する。
【0043】
本明細書で使用される用語「カスタム化粧品配合物」は、流体ベース配合物を使用する当技術分野で公知の任意のカスタム注文システムを通して開発される任意の特有のカスタム配合物を意味し、これは、独立したスキャナまたはリーダを使用して販売時点で調製されたもの、技術者または専門家によって推奨されたもの、または販売地点のデバイスを通して、独立したユーザの場所(自宅、オフィスなど)でユーザのハンドヘルドデバイス(スキャナ、カメラ付き電話、コンピュータなど)を用いてユーザによって収集され特注システムに送信されたデータを用いた特注カスタム配合システムから導出されたもの、または(配合者のWebサイトまたは専門店または企業を通じてベース成分の好ましいリストから選択することによってなど)手動で要求されたものを含む。この用語は限定的であることを意味するのではなく、化粧品配合物がユーザの特定の要求、要件または特徴に合わせて調整されている全てのそのようなシステムを包含することを意味する。そのような配合物の1つは、米国特許第8,933,994号、第9,122,918号、および第9,122,919号を含む、本出願人の先行特許にOAPTAとして記載されており、これらの各々は参照により関連部分において本明細書に組み込まれる。
【0044】
カスタマイズされた化粧品配合物は複数の成分を含む。そのような各配合物は、異なる比率で混合してカスタム化粧品配合物を製造することができる一次セットの化粧品成分を含むことができ、各々は色の不透明度、提供されるUV防護の使用またはレベル、皮膚の乾燥度に関連する保湿剤または他の薬剤、軟化剤、乳化剤、着色剤などで変わり得る。
【0045】
個人用配合物を開発する技術者にユーザが会うこと、または化粧品配合者のウェブサイトへの個人データ入力の使用を通して、あるいはスキャナおよび光学デバイス、例えば、カメラ、カメラ付き携帯電話、内蔵カメラならびに画像および/またはその画像に関連する光学データを取り込む他の類似のデバイスを有するコンピュータを使用して、推奨されるユーザ特有の化粧品配合物を調製するためにデータを処理する様々な形態の顔認識または識別ソフトウェアを使用して、ユーザが電子処方を作成することを含む、カスタム化粧品配合物の調製に必要な情報を生成するためのシステムが開発されている。
【0046】
米国特許第8,933,994号、第9,122,918号および第9,122,919号(これらに記載されている方法に関して参照により関連部分において本明細書に組み込まれる)に記載されているシステムなど、任意のそのようなシステムからの配合物は、ユーザ特有のカスタム配合物の格納されたデータベースを有するサーバを含み、各配合物はユーザ特有の識別コードに対応し、関連するユーザ特有の情報、ならびに配合物中の成分の量、およびそのような成分の特性(例えば、不透明度、粘度、密度、重量など)に関するデータを有する。いくつかのシステムでは、上記の特許に記載されているように、そしてMATCHCo.(商標)システムの場合では、ユーザは、ユーザのユーザ特有のプロファイル内の保存された情報を使用してユーザ識別情報によってログインおよび再注文することができる。そのようなシステムは、ユーザの皮膚の領域のデジタル画像および関連する光学データを取り込むカメラなどの関連する光学デバイスから光学情報を受信し、そのデータを既知の市販の配合物および/またはグラウンドトルースデータセットを含むデータベースと比較し、このような比較を使用してユーザのデータと保存されているデータとを照合し、特定のカスタム化粧品配合物を作成する。化粧品成分の一次セットの設計を異なる比率で混合して、色、不透明度、紫外線(UV)防護、皮膚の乾燥、および他の品質が異なるカスタム配合物を製造することができる。
【0047】
米国特許第9,122,919号に記載されているプロセスは、カスタム化粧品配合物を説明する一組の命令を取り入れること、およびカスタム製品包装および容器の装飾のためにそのような命令を適用することを含む。これらの命令の対話的な適用は、容器またはレセプタクルへの各一次成分を測定して入れること含む。本明細書で使用される場合、「レセプタクル」は、容器、ボトル、ボウル、実験器具、ジャー、カップ、トレイなどを含む任意の受容デバイスを意味することを意図し、化粧品と共に使用するための承認された容器であることが好ましい。次に成分を容器内で混和または混合して均一な混合物を形成する。この方法は、一次成分をカスタム化粧品配合物中で設計および使用し、レセプタクルに送達することを容易にするために、一次成分を組織化および設計することを含む。
【0048】
そのような配合物を調製する際に、一次成分は液体成分であり得、液体成分が配合された後、混合前に固体成分が添加されるか、またはより好ましくは、各々が個々に添加される一次成分として酸化鉄または二酸化チタンなどの全ての個々の原料を使用する代わりに、一次成分は、機能的な独立型化粧品として使用するために液体形態である程度予め配合されてもよく、それが次に本発明によるカスタム化粧品配合物を調製するのに使用される液体一次成分となる。それらは、混合および送達を容易にするために好ましくは流体である。一次成分は、各々異なる色、単色、例えば黒、黄、白、および赤、ならびに一次成分に必要に応じて予め混合された様々な成分を含む他の色であってもよく、または、各々が上記のような同じ色、またはわずかのみ異なる色および/または各々が異なる添加剤を含んでもよい。そのような一次成分はそのような方法でバルクで供給することができる。これにより、類似の粘度に対して選択されたそのような一次成分をより容易に使用して混合し、一次成分が同一または類似の規制上の制約を満たすことを可能にするシステムの設計が可能になる。したがって、一次成分が容易な混和のために設計されることを可能にする。
【0049】
したがって、本明細書におけるカスタム化粧品配合物中の成分は、各々別個の成分であり得るが、既にそれ自体が機能的な独立型液体化粧用剤である成分であることが好ましい。各々が液体であり機能的な独立型のカスタム化粧用剤であるため、そのような液体化粧用剤を一次成分として使用して色域を動かす配合色成分を作り出すことは本発明の範囲内である。このようにして開発された各一次成分を事前に配合して、カスタム化粧品配合物に組み込むのに望ましい場合には、UV遮断添加剤(有機または無機)、不透明剤、チキソトロープ剤、乳化剤、洗浄剤、芳香剤、保湿剤、角質除去剤、サンレスタンニング剤、およびユーザ特有の配合物に組み込まれた他の特注添加剤などの特注添加剤を含めることも可能である。そのような一次成分の好ましい基準は、各々が上記の独立型化粧用剤であり得、各々が既知の規制品質を有し得、各々が他の一次成分と適合するように選択された粘度を有し得、各々が他の物と良好に混和され得、各々がカスタム品質の最大値を示すことである。各一次成分の粘度、流動特徴、体積流量およびカスタム品質タイプは既知であるかまたは決定され、カスタム化粧品配合物中の成分の一次成分特性としてカスタム化粧品配合物サーバにデジタル保存される。
【0050】
そのようなシステムのサーバの記憶領域内のデータベースに格納された(または顧客によって個々に入力され、サーバまたはさらには別個のサーバに提出された)ユーザ特有のデータは、カスタム化粧品配合物を調製するために本発明によって使用することができるユーザ管理システムの一部である。成分特性情報に加えて、注文管理サーバからの命令データは、配合物中の成分の総重量に基づく成分の重量または重量パーセントとして表すことができる成分の比率を含むことが好ましい。注文管理サーバに格納される他の情報は、カスタム化粧品配合物のための好ましい出荷情報、配合物のためのレセプタクルをカスタマイズするのに有用な情報(すなわち、レセプタクル上、またはレセプタクル上に配置を意図するラベル上の特注印刷のための情報であって、そのような情報は例えば、ブランド名、製品名、色名および/またはユーザ名を含み得る)、およびカスタム化粧品配合物を作成するために使用されたスキャンまたはデジタル画像に関する情報、ユーザ識別情報(名前、住所、好み、電話番号、電子メール、肌タイプ、メークアップの好みなど)、オペレータ情報(オペレータ名、住所、識別番号など))、ならびに注文番号、価格設定情報(割引、複数回利用特典、税など)を含む。
【0051】
カスタム化粧品配合物データに基づき、カスタム化粧品配合物の成分として上述したような一次成分を使用するカスタム化粧品配合物を調製するためのシステム、および配合物を調製するための方法を本明細書にさらに記載する。
【0052】
システムの要素および全体的な方法ステップを示す一般的なフローチャートが図1に示されており、ここでシステムはシステム100として全体的に示されており、関連する方法ステップは記載のようなシステムの要素と共に識別され、示すように、処理されている注文のステータスは図1においてさらに識別される。最初に、コントローラ102および注文管理システム104、ならびに本明細書のシステム100全体で使用するための他の有用なソフトウェアインターフェースについて以下に説明し、続いてシステム100内の他の装置要素および関連する方法ステップについて説明する。
【0053】
システム100では、注文管理システム104を有するコントローラ102が設けられている。コントローラは、情報またはデータを他の構成要素に提供することができ、かつメモリ記憶用の1つまたは複数の適切なデバイスまたはシステム、および1つまたは複数のシステムプロセッサ114を使用して、システムメモリ112を通してそのような情報を受信、格納および処理することができる、任意の適切なコントローラであり得る。コントローラは好ましくはプロセッサ114を含み、プロセッサ114は、標準のコンピューティング処理ユニット(CPU)、ならびにローカルコントローラと組み合わせて通信する標準のオペレーティングシステムまたはクラウドベースのシステムであり得る。コンピュータは、CPUシステムハードウェアに組み込むことができるかまたはネットワークを介してクラウドベースにすることができるシステムバス116も含むことが好ましく、システムバスは信号および情報の入力および出力のための様々な場所を有する。正確な手段は、本明細書で要求される機能を前述のような機器および装置の構成要素に対して実行するために様々な方法で構成することができる。注文管理システム104は、同じコントローラ上に存在してもよく、または別個の機能、処理システムおよびメモリ容量を有する別個のサーバ上に存在してもよい。好ましい実施形態では、コントローラ102は、データ記憶のためおよび注文管理システムとのウェブベースのネットワークを介した通信のために、コントローラ102または任意のクラウドベースのサーバのいずれかと動作する、通信で動作する1つまたは複数のマイクロコントローラであるかまたはそれらを含み得る。
【0054】
カスタム化粧品配合物およびその成分に関連するユーザ特有のデータを有するサーバを好ましくは含む注文管理システムが提供される。システムが図1の好ましい実施形態に示されているが、本明細書に記載のステップおよび機能を実行するのに適した他のシステム構成を使用することができる。注文管理システムは、上述のようにユーザ特有のデータを格納し通信する能力を有することができるサーバを含み得る。そのようなサーバの例は、米国特許第8,933,994号、第9,122,918号および第9,122,919号に記載されており(参照により本明細書の関連部分に組み込まれる)、これは類似の自動化機器を有する1つまたは複数の場所を提供する単一または共有リソースであり得るOAPTA参照サービスの実装を説明する。これは、事前にも調合された、あるいは事前に調合されたいくつかの製品を用いてユーザがカスタム化粧品配合物を作成することを可能にするオンデマンドシステムも含むこともできる。
【0055】
コントローラ102および注文管理システム104は、適切なハードウェアおよびソフトウェアを含むように各々位置することができ、例えば、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)オペレーティングシステム、Apple OS X(登録商標)オペレーティングシステム、Apple iOS(登録商標)プラットフォーム、Google(登録商標)Android(登録商標)プラットフォーム、Linux(登録商標)オペレーティングシステム、およびUNIX(登録商標)オペレーティングシステムの他の変形形態などのオペレーティングシステム(OS)を実行できる1つまたは別個のデバイス上に各々存在し実行され得る。コントローラおよび/または注文管理システムは各々、機能が遠隔で、クラウド内で、またはサービスとしてのソフトウェアを介して実行できるものなど、関連する実行可能ソフトウェアおよびメモリ容量を有するウェブベースのサーバシステム、またはコントローラとしてウェブベースのシステムと通信する標準オペレーティングシステム、プロセッサおよびメモリを有するローカルコントローラを備えたネットワークシステムであってもよい。一実施形態では、システムなどのウェブベースのサーバシステムは、十分なメモリ、データ記憶および処理能力を有するサーバクラスのコンピュータ上で実行でき、サーバクラスのオペレーティングシステム(Oracle(登録商標)Solaris(登録商標)、GNU/Linux(登録商標)、およびMicrosoft Windows(登録商標)オペレーティングシステムファミリなど)を動作させるリモート機能を有するリモート接続サーバおよび/またはデバイスを含み得る。そのようなシステムは、メモリに格納されプロセッサによって実行される複数のソフトウェア処理モジュールを含み得る。そのようなモジュールは、プロセッサが命令を実行することを可能にするために機械言語またはオブジェクトコードに変換される1つまたは複数の適切なプログラミング言語の形態であり得る。ソフトウェアは、適切なプログラミング言語またはフレームワークで実装された独立型アプリケーションの形態であり得る。
【0056】
様々なシステム要素およびデバイス上で実行する必要がある方法ステップは、入力データ上で動作し、出力を生成し、さらに関連データを受信および格納することによって機能を実行するために1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサを使用して実行できる。そのようなステップはまた、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)などの特殊用途論理回路の使用によって実行され、その装置によって作動されてもよい。モジュールは、その機能を実装するコンピュータプログラムおよび/またはプロセッサ/特別な回路の一部を指すことができる。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用および特殊用途のマイクロプロセッサが含まれる。プロセッサは一般に、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、またはその両方から命令およびデータを受け取る。本明細書でコンピュータを指すように使用されるコントローラ(グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を有するハードウェアまたはウェブベースの)の本質的な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを格納するための1つまたは複数のメモリデバイスとを含む。コンピュータプログラム命令およびデータを具体化するのに適した情報担体は、例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内部ハードディスクまたはリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROMおよびDVD-ROMディスク、ソリッドステートハードドライブなどを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリを含む。1つまたは複数のメモリは、メディア資産(例えば、オーディオ、ビデオ、グラフィック、インターフェース要素、および/または他のメディアファイル)、構成ファイル、および/または、プロセッサによって実行されたときにモジュール、エンジン、および本明細書に記載された他のシステム構成要素からの命令であり、システム構成要素に関連する機能を実行する命令を記憶することができる。プロセッサおよびメモリは、特殊用途論理回路によって補完されるか、またはその中に組み込まれることが可能である。
【0057】
他の好ましい実施形態では、ウェブベースのサーバおよびコントローラ102において、ユーザデバイスは、本明細書に記載の機能の実行を容易にするウェブブラウザ、ネイティブアプリケーション、またはその両方を含む。ウェブブラウザは、デバイスがウェブページ要求と共にウェブページまたは他のダウンロード可能なプログラム、アプレット、または文書を(例えば1つまたは複数のサーバから)要求することを可能にする。ウェブページの一例は、表示、実行、再生、処理、ストリーミング、および/または格納することができ、他のWebページへのリンク、またはポインタを含むことができるコンピュータ実行可能または解釈可能な情報、グラフィック、サウンド、テキスト、および/またはビデオを含むデータファイルである。一実装形態では、システムのオペレータは、グラフィカルユーザインターフェース108を介してサーバにウェブページを要求する。あるいは、デバイスは作動要求に応答してウェブブラウザを用いてそのような要求を自動的に行う。市販のウェブブラウザソフトウェアの例には、とりわけ、Microsoft(登録商標)InternetExplorer(登録商標)、Mozilla(登録商標)Firefox(登録商標)およびApple(登録商標)Safari(登録商標)が含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、オペレータデバイスは、本明細書に記載の機能の実装および実行に関して記載されたデバイスに機能を提供するクライアントソフトウェアを含むであろう。クライアントソフトウェアは、様々な形態で実装することができ、例えば、デバイス上のネイティブアプリケーション、ウェブページ、ウィジェットおよび/またはJava(登録商標)、JavaScript(登録商標)、.NET、シルバーライト、フラッシュ、および/またはデバイスにダウンロードされ、Webブラウザと連携して実行される他のアプレットまたはプラグインの形態とすることができる。クライアントソフトウェアおよびウェブブラウザは、1つのデバイス上の単一のクライアントインターフェースの一部であり得るか、またはウェブブラウザまたは他のフレームワークもしくはオペレーティングシステムに対するプラグインとして実装され得る。ウィジェットフレームワークおよびアプレット技術を含むがこれらに限定されない他の適切なクライアントソフトウェアアーキテクチャも、クライアントソフトウェアと共に使用することができる。
【0059】
通信ネットワーク106は、コントローラ102および/または注文管理システム104との電子通信で本明細書で使用される様々なデバイスを接続することができ、そのネットワークは、電子作動式アナログインターフェース、グラフィカルユーザインターフェースまたは他の適切なユーザインターフェースなどのユーザインターフェース108とも電子通信することができる。適切なネットワークは、標準電話回線、LANまたはWANリンク(例えば、T1、T3、56kb、X.25)、ブロードバンド接続(ISDN、フレームリレー、ATM)、無線リンク(802.11(Wi-Fi)、ブルートゥース(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMAなど)などの媒体を介した動作を含む。他の媒体も使用され得る。ネットワークは、好ましくは、TCP/IPプロトコル通信、およびウェブブラウザによって行われるHTTP/HTTPS要求を運ぶことができ、クライアント/デバイスとサーバとの間の接続は、そのようなTCP/IPネットワークを介して通信することができる。当技術分野で知られているかまたは開発されるように、他の通信プログラムも使用することができる。
【0060】
コントローラ102および注文管理システム104は、通信ネットワーク106を介してリンクされているリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境でも実施することができる。分散コンピューティング環境では、様々なプログラムモジュールが、メモリ記憶デバイスを含むローカルとリモートの両方のコンピュータ記憶媒体に位置することができる。デバイスの容量および必要なデータ処理能力の量に応じて、本明細書に記載されたもの以外の様々な種類のシステムハードウェアおよびソフトウェアも使用され得る。システムはまた、上述したものなどの仮想化オペレーティングシステムを実行し、かつ本明細書で説明したものなどのハードウェアを有する1つまたは複数のコンピュータ上で動作する、1つまたは複数の仮想マシン上で実装することができる。場合によっては、合理的または他の構造化データベースは、例えば処理のためにデータを格納するデータベース管理システムなど、そのような機能を提供することができる。例としては、MySQL(登録商標)データベースサーバまたはOracle(登録商標)データベースサーバ、PostgreSQL(登録商標)データベースサーバ、またはDB2(登録商標)データベースサーバが含まれる。
【0061】
また、本明細書におけるシステムおよび方法の実装形態は、1つまたは複数のデバイス上で、またはその中で実施される1つまたは複数のコンピュータ可読プログラム上で提供および実行することができることに留意されたい。プログラム命令は、人工的に生成された伝搬信号、例えば機械生成電気、光または電磁気信号上に符号化することができ、これらはデータ処理装置による実行のために情報を適切な受信装置に伝送するために符号化するために生成される。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムまたはシリアルアクセスメモリアレイまたはデバイス、あるいはこれらのうちの1つまたは複数の組み合わせとすることができ、またはそれらに含めることができる。さらに、コンピュータ記憶媒体は、人工的に生成された伝搬信号に符号化されたコンピュータプログラム命令の発信元または宛先とすることができる。コンピュータ記憶媒体は、1つまたは複数の別個の物理的構成要素または媒体(例えば、CD、ディスク、ハードドライブ、および他の記憶デバイス)にすることも、それらに含めることもできる。
【0062】
コントローラまたはそのいくつかの態様は、1つまたは複数のマイクロコントローラ110を含むことができ、それと通信することができ、またはそれと置き換えることができる。1つの好ましい実施形態では、例えば、少なくとも1つのマイクロコントローラ110を使用して、ウェブベースの注文管理システム、および以下でさらに説明する分配アプリケーションのマイクロコントローラによるローカル制御のためのコントローラ102として機能するウェブベースのシステムとインターフェースする。
【0063】
好ましい注文管理システム104は、容量プロビジョニング、負荷分散、スケーリング、およびアプリケーションヘルスモニタリングを自動的に処理するためにElastic Beanstalk(商標)アプリケーションサービスを使用するAmazon(登録商標)ウェブサービス(AWS)サーバを有するクラウドベースのシステムコントローラ(図1の代表コントローラ102など)に組み込まれる。このようなシステムは、Java(登録商標)、PHP.NET、Node.js、Python(商標)、およびRuby(商標)で開発された注文管理アプリケーションによってサポートされてもよい。AWSのものと類似のウェブベースのサービスシステムを有する他の類似のクラウドベースのサーバシステムも使用することができる。Elastic Beanstalkアプリケーションサービスは、本明細書に記載の本発明のシステムの他のデバイスおよび機能との電子通信のためのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)として機能するために使用することができる。APIは、本システムに有用な他のソフトウェア、例えばカスタム化粧品配合物を所与の注文に記されたユーザに送るための出荷ラベルを生成するためのEasyPost(登録商標)APIと通信する。APIはまた、システム内の他のデバイスに関連するソフトウェア、例えばカスタム化粧品配合物のための一次成分を分配し製造するための本明細書に記載のディスペンサアプリケーションソフトウェアと電子通信することができるべきである。
【0064】
上記のような好ましい注文管理システム104は、アプリケーションサーバおよびAPIとしてのAWS Elastic Beanstalkアプリケーション、および様々なデータベースソフトウェアプログラムを使用して構成され得るシステムメモリ112に情報を受信し格納するためのデータベースとしての、Java(登録商標)およびJava(登録商標)Springフレームワークを含むことが好ましい。AWS APIと互換性のあるそのような適切なソフトウェアの1つは、MySql(商標)やAWS DynamoDB(商標)など、データベース内の保存されたデータを管理できるオープンソースのSequel(商標)(SQL)データベース管理システムソフトウェアであるが、他の相似のウェブベースのAPIおよび関連するデータベースソフトウェアも使用することができる。システムメッセージングは、任意の適切なメッセージングソフトウェアプログラム、好ましくは使用される他のソフトウェアプログラムと互換性のあるものによって提供されてもよい。好ましいシステムでは、AWS SQSメッセージングソフトウェアを使用して、本明細書のシステムのデータベースおよび様々な構成要素との間で電子メッセージをやり取りすることができる。そのようなデータベースメッセージングシステムは、好ましくは、AWS S3ソフトウェアなど、それと互換性のあるメッセージ格納ソフトウェアも含む。上記のAWS APIは、出荷ラベルなどを生成するためのEasyPost(登録商標)とも互換性がある。
【0065】
コントローラ102および注文管理システム104と通信するシステムで使用するためのさらなるアプリケーションモジュールは、好ましくはスキャナ118を使用してバーコードを読み取るように構成され、かつ注文管理システム104と電子通信する、ディスペンサアプリケーションを含む。本明細書での使用に好ましいバーコードは、クイックリードバーコード、すなわち、ユーザ特有の注文を追跡し識別するために採用することができるQRコード(登録商標)である。これによって、アプリケーションはまた、注文管理システム104からの分配のためのユーザの注文におけるユーザ特有のカスタム化粧品配合物をダウンロードするであろう。アプリケーションはユーザ特有の注文を分配し、システム内でオペレータによって記録された結果をコントローラを介して注文管理システムに送信する。この分配モジュールは、マイクロコントローラ、例えばRaspberry PI、Arduinoボード、Beagleボード、NXP開発ボード、LattePandaボード、またはPythonアプリケーションもしくは選択したマイクロコントローラで実行するのに適したその他のアプリケーションを組み込んだハードウェアマイクロコントローラなどの類似のデバイスをコントローラと通信して使用するアプリケーションであることが好ましい。使用されるマイクロコントローラは、適切なオペレーティングシステム、互換性のあるソフトウェアを有するべきであり、好ましくはバーコードスキャンのための読み取り可能なソフトウェアと電子通信するべきである。Arduinoボード、Beagleボード、NXP開発ボード、LattePandaボードなどのようなマイクロコントローラは、グラフィカルユーザインターフェース、例えばKivy Touchなどのようなユーザインターフェースをさらに含んでもよい。そのようなマイクロコントローラ上で動作する同様のモジュールは、流体成分を分配するために関連付けられた様々な装置をともなう分配工程においてだけでなく、本明細書のコントローラの一部としてまたは集合的にシステム内の他の様々な場所でも使用され得る。
【0066】
コントローラ102および注文管理システム104はまた、印刷ファイルレンダリングサービスモジュールと電子通信することが好ましく、印刷ファイルレンダリングサービスモジュールはさらにプリンタと電子通信することができる。このようなモジュールはクラウドベースのアプリケーションとして実行でき、レセプタクルの印刷ファイルをレンダリングするためにAWS SQSメッセージを受信するために使用できる。印刷ファイルは、Adobe(登録商標)Illustrator JSXスクリプティング(またはその他の適切なソフトウェア)を使用してレンダリングされ、AWS S3ストレージまたはその他のストレージソースに保存され得る。そのようなモジュールは、適切なプログラミングフレームワークを有する任意の適切な仮想サーバ上で動作することができる。画像化は、Adobe Illustratorのバリアブル印刷によって行ってもよい。例えば、Topshelf(登録商標)Windows(登録商標)サービスフレームワークは、AWS SQSメッセンジャーとAWS S3ストレージで使用できる。印刷ファイルは、コントローラ102、注文管理システム104およびプリンタ120と通信するさらなるモジュール(印刷ファイルダウンローダサービスなど)を介して直接レセプタクル上にまたはラベル上に、レセプタクルを印刷するためにダウンロードすることができる。そのようなアプリケーションは製造において実行されて、AWS SQSメッセンジャーまたは同様のソフトウェアを使用して命令を受け取ることによって、新しい印刷ファイルの通知を提供することができる。ダウンローダサービスはそのようなファイルをすぐにダウンロードし、それらを印刷ホルダのフォルダに送達する。ダウンローダサービスアプリケーションは、適切なプログラミングフレームワークを使用し、適切なストレージおよびメッセージングサービス、例えば、AWS S3ストレージおよびAWS SQSメッセージングを使用することによって達成することができる。
【0067】
追加のモジュールは、出荷アプリケーションを含んでいてもよく、出荷アプリケーションも好ましくはコントローラおよび注文管理システムと電子通信する。出荷アプリケーションは、ユーザ特有の注文およびユーザ識別データ(名前、住所、電話番号および/または電子メールアドレス)などの関連データを識別し、注文管理システム104から出荷ラベル画像をダウンロードすることができるように、QRコード(登録商標)または別のバーコードを読み取ることが好ましい。それが完了すると、出荷アプリケーションは、Common UNIX(登録商標) Printing System(CUPS)を使用して任意の適切なプリンタで出荷ラベルを印刷することができる。他の印刷ソフトウェアも使用され得る。出荷アプリケーションは、QRコード(登録商標)または他のバーコードを読み取り、好ましくは適切なバーコード走査ソフトウェアを含む。上記のようなマイクロコントローラでも実行できる。
【0068】
上記のように、上記の注文管理システムおよび関連するアプリケーションと電子通信するウェブベースのコントローラおよび関連するマイクロコントローラは、オペレータフレンドリーなシステムを作り出し、このシステムにおいて、オペレータは、カスタム化粧品配合物を調製するためにシステム全体にわたって、および方法の間にグラフィカルユーザインターフェース108などの単一または複数のユーザインターフェース108を使用することによって、注文管理システムにアクセスし、データのモニタ、入力、検索および提出の両方をすることができる。ユーザインターフェース108としてのグラフィカルユーザインターフェースの使用は、1つまたは複数のネットワーク接続されたタブレット、モニタ、Kivy Touchデバイス、スマートフォン、または一体型デバイスとしてのコントローラとの組み合わせであり得る。しかしながら、コントローラへの電子通信に関連するボタンを介したアナログ作動も使用され得る。好ましくは、少なくとも1つのグラフィカルユーザインターフェースが、オペレータの便宜のために機器が位置する場所の近くの各製造領域に位置する(例えば、分配および/または混合領域内の印刷および注文ダウンロード領域におけるグラフィカルユーザインターフェース)。しかしながら、単一のグラフィカルユーザインターフェースを使用することもでき、そうである場合、オペレータが必要に応じてインターフェースを異なる作業領域に運搬または移動できるように携帯可能であることが好ましい。
【0069】
システム100内の装置をさらに説明する前に、カスタム化粧品配合物の注文を完了するために取られるべきオペレータの工程を、図2に示す注文プロセス200を参照して概説する。システムは、上述のように注文管理システム104からダウンロードされた命令に基づいて動作し、命令は、カスタム化粧品配合物を作成するのに必要な一次成分の重量比または比重(あるいは粘度データ、体積流量データなど)、出荷情報、ならびに容器または包装に使用するためのカスタマイズされた情報、例えば顧客識別データ(名前、住所、電話番号、電子メール、支払いデータなど)およびオペレータデータ(例えばオペレータ識別および/またはログイン情報)など、配合物中の成分に関連する特性情報を含み得る。
【0070】
命令は、オペレータがユーザインターフェース108を辿ってそれに従ってアクセスするための一連の工程を対話的に提示する上述のような様々なデバイスを使用してコントローラ102によって読み取られ得る。コントローラコンピュータはまた、オペレータの行動を通じて、ローカライズされた1つまたは複数のマイクロコントローラと情報を送受信することができる。グラフィカルユーザインターフェースは、上記のように関連するソフトウェアコードおよびアプリケーションモジュールを介してそれ自体のハードウェアおよびソフトウェアを有するプリンタなどの別個の装置と連携して、カスタマイズされた化粧品配合物用の包装およびレセプタクルを準備することができる。好ましい実施形態では、各注文について、ユーザ特有のテキストまたは画像がレセプタクルおよび/または出荷ラベルに印刷または転写される。命令はまた、バーコードなどのデジタルコードを、包装、出荷ラベル、レセプタクル、またはレセプタクルラベルのいずれかに所望通りに直接印刷または転写させることができる。
【0071】
ユーザによって発注され、注文管理システムからのメッセージを通じてコントローラに送信された注文を開始するために、ステップ202において、オペレータは注文管理システムにアクセスし、新しい注文に関連するファイルをダウンロードする。ユーザ特有の情報がシステムに入る。上述の情報などの受信したユーザ特有の情報は、出荷情報、支払い情報および配合物データを含み得る。ステップ204で、注文管理システムによって提供されたデータを使用して、情報がシステムにスキャンされる。注文のステータスは、システム内で「保留中」として設定される。
【0072】
次に、オペレータは、ステップ206において、他の注文、同じユーザに対する以前の注文、または欠けている情報もしくは誤った識別もしくは支払い情報に対するエラーまたは異常を探すためにデータの品質レビューを実行する。注文が正しく、データが満足できるものであれば、そのステータスは「注文確認済み」に変更される。上述のようなエラー、異常、または問題データがある場合、ステップ206aで、オペレータはそのステータスを「保留」に変更し、注文を調査する。調査後に注文が確定した場合は、注文のステータスを「注文確認済み」に更新することができる。そうでない場合、注文管理ソフトウェア内のユーザおよび/または情報データのソースに連絡する可能性を含め、注文をさらに調査することができる。注文を修正する方法がない場合は、注文を終了し、注文管理システムに通知することができる。
【0073】
その後、ステップ208において、確認された注文は他の注文と共にキューに入る。注文は個々に処理されてもよいが、注文をバッチで処理する方が効率的であり好ましい。データはダウンロード後に手動で循環され、キューに入り、注文のステータスは「キューに入った」に変更される。注文のバッチがキューに入ると、オペレータは表面および裏面印刷ファイルをダウンロードすることができる。印刷ファイルがシステム内に入ると、ステップ210において、レセプタクルが印刷される。印刷は、レセプタクルのラベルを印刷することによって、またはレセプタクル自体の上に印刷することによって実行することができる。各々が動的画像(例えば、名前、日付およびQRコード(登録商標)などのバーコード)および静的画像(ブランドロゴ、成分、会社名、瓶の重量など)を有する表面および裏面印刷フィールドが生成される。印刷ファイルがダウンロードされると、注文のステータスは「印刷済み」に変わる。
【0074】
図1で参照されるように、図2のステップ212において、圧力コントローラ126を有する圧力源128と流体連通する流体送達装置122と共に作動する分配装置124を使用して、オペレータは注文に関連付けられたレセプタクルに流体一次成分を分配する。流体送達装置122からの流体一次成分は、1つまたは複数の流体導管140を通過し、電磁弁130を通って分配装置124に関連するディスペンサ132に分配される。好ましくは、各ディスペンサ132は、本明細書でさらに説明されるように、ノズル134と流量制御または計量弁136とを有する。ノズル134は一次成分をレセプタクルに分配する。一次成分の量を分配する間、その量は、測定デバイス138の使用を通して実際の重量に関するデータフィードバックによって監視される。測定デバイス138は、例えば、分配される成分の量を制御するために流体成分特性を測定することができるシステムと好ましくは電子通信する、化学天秤または他のデバイスまたは計器であり得る。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、流体がディスペンサ132のノズル134上の少なくとも1つのノズル先端部180を通して計量されるときに、重量データを捕捉してコントローラまたは任意の関連するマイクロコントローラに通信することができる任意の適切な天秤であり得る。それはまた、較正された容積測定ポンプ、流量計または経時デバイス(ストップウォッチデバイスなど)であってもよく、どのデバイスを選択するかはシステム設計、計量のために選択されるデータ、または成分の粘度に依存し得る。
【0075】
好ましくは、重量データおよび流体成分の特性は、コントローラとの間で連絡され、注文の認証およびOTC製品のGMP生産方法の順守のために、グラフィカルユーザインターフェースを介して手動でおよび/または電子的にオペレータによって記録される。好ましくは空気圧式弁(電磁弁など)である計量弁136および弁130は、直接またはマイクロコントローラ110を介してコントローラと連絡している。いくつかのそのようなレセプタクルはバッチで処理することができる。図2のステップ212において一次成分が完全に分配された後、注文のステータスは「処理済み」に変更される。
【0076】
次に、処理された注文はステップ214でミキサ142(ボールミル、遠心分離機または他の適切な化粧品混合装置であってもよい)を使用して混合され、次に、注文はそのような配合物の1つであるにせよバッチであるにせよその注文内で処理および混合された各レセプタクルに完成したカスタム化粧品配合物を含む。
【0077】
次に、混合配合物は、カスタム化粧品配合物に関連付けられたバーコードをスキャンし、出荷用ラベルを生成し、関連付けられた包装を準備することによって、ステップ216で包装されることが好ましい。出荷情報は、上述のようにプリンタに関連するソフトウェアアプリケーションを使用して出荷ラベルに提供されてもよく、または梱包および出荷用に市販されている様々な適切な印刷システムのいずれかを使用して任意の特注包装に印刷されてもよい。次に、注文は、ステップ218において、オペレータによって1人または複数のユーザに出荷されることが好ましく、注文は完了する。図3は、ステップ202~210に関連する領域Aに示されたステップとステップ212に関連した領域Bのステップとを有する好ましいシステムにおいて注文を履行するのに有用なソフトウェア動作の例を示すソフトウェアフローチャートを提供する。図4は、好ましい分配装置に特に関連する好ましい実施形態において顧客の注文を履行するための典型的な使用動作を説明するフローチャートを提供する。
【0078】
システム100に関連するハードウェアおよびソフトウェアは上記の通りである。システム内で使用される他の装置およびデバイスについてさらに説明する。注文ダウンロード後、レセプタクルは、プリンタ120を用いてユーザ特有のバーコードを組み込んだ印刷ラベルで印刷および/またはラベル付けされる。プリンタは、市販されている任意の適切なプリンタとすることができ、システム特有の設定および関連するアプリケーション、ならびに市販のプリンタから入手可能なソフトウェアコードを含み得る。この目的のための適切な市販のプリンタには、例えば、Mimaki UJF 4042、または任意の他の適切なUVプリンタ、昇華型プリンタ、インクジェットプリンタなどが含まれる。印刷されたレセプタクルはその後、分配プロセスに進むためにオペレータによって使用される。分配する際には、最初に流体を分配装置に供給しなければならない。流体送達装置122を以下に説明する。
【0079】
ディスペンサを通してレセプタクルに流体形態の一次成分の安定した制御された流れを提供するのであれば、様々な流体送達装置を使用することができる。レセプタクル144への様々な化粧品成分の適用に適した自動ノズル分配装置を含む、そのような多くのシステムが化粧品分野で知られている。他のシステムは、機械的絞り、蠕動ポンプ、加圧プッシュローラなどを使用する強制加圧供給システムを含み得る。好ましい装置122を本明細書に記載するが、システム100に関して限定することを意図するものではない。
【0080】
図5図6および図5A図5Dを参照すると、好ましい流体送達装置122は、単一のデバイスとして、または2つ以上の流体送達装置122を有する複数のそのようなデバイスのセットとして提供され得る(4つの同一の送達装置122a、122b、122cおよび122dのセットとして図5A図5Dに示す)。各流体送達装置122は、カスタム化粧品配合物の一次成分を送達するためのものである。各流体送達装置122(または122a~122d)には圧力源128が組み込まれ、圧力源128は、流体送達装置122から1つまたは複数のディスペンサ132に流体を送達するために流体送達装置内の流体を加圧することができる任意の適切な圧力源であり得る。図示されているように、そしてオペレータの便宜のため、また化粧品生産のGMP要件に適合するために、圧縮または加圧空気128の供給源が提供される。図面に示すように、各対の同一部分は、「a」、「b」、「c」および「d」を使用することによって122a、122b、122cまたは122dに関連するものとして識別されるが、便宜目的で個々の部品は一般的な数に関して記載されており、それらの各々は、図面において特定の流体送達装置に対応する文字で修正されている。正確なユニット数(1つ以上)は、ユーザの設計とシステムの容量によって異なり得る。圧力源は、一般的な圧縮空気システムおよび/または隔離された圧縮空気シリンダまたは任意の他の適切な圧力源と連通している「自家用」または実験室導入空気であり得る。好ましくは、圧力源128からの圧縮空気は、圧力源空気入口148と流体連通する受入弁146に入り、内面151および外面153を有するハウジング152の内部空間150に入る。圧力源空気入口は、任意の適切な設計であってよく、本明細書の一実施形態では、ハウジングを加圧するために調整された売り場の空気に接続するための1/4ナット/ねじ(npt)を有する。空気入口、受入弁146および内部空間150は、圧縮空気導管154を介して連通している。流体成分送達導管140と同様のそのような導管154は、可撓性チューブ、ステンレス鋼導管またはホース、または他の適切な送達チューブであり得る。圧力源は、好ましくは、システム内への圧力を監視し、弁146が開いているときにそれを安定したレベルに保つための圧力計156を有する弁146などの圧力コントローラも含む。
【0081】
ハウジングは、示されるような円筒形ハウジングを含む様々な形状であり得るか、または球形、立方体もしくは平行四辺形の形状であり得、円形、正方形、長方形、または縦断面もしくは横断面において適切な他の形状であり得る。示されるように、長方形の縦断面形状および横方向の円形断面形状を有する円筒形ハウジング152が示される。このタイプの適切なハウジングは、図示のように圧力ポットアセンブリを含む。そのようなハウジングは取り外し可能な蓋155を有することが好ましく、それを通して圧縮空気入口および/または流体出口が提供される。蓋155は、ラッチ、ロック、グロメット、または当技術分野で知られているような同様の機構を使用して固定されるのが好ましい。好ましいロックは、標準の圧力ポットと共に使用されるようなT字型ハンドルを備えたC字型クランプを含み得る。
【0082】
ハウジングは、複合材料、ポリマー材料または樹脂材料、金属または金属合金で形成することができる。再販売用の化粧品成分を提供するのに使用するためにGMPに準拠しており、かつ約250psiまでの印加圧力に耐えることができるものであればどのような材料が選択されても好ましい。好ましくは、ハウジング152はステンレス鋼である。ハウジングには、何らかのシステム障害または閉塞の場合にハウジングの内部空間150から圧力を解放するための任意の適切な構成の圧力逃し弁168が組み込まれていてもよい。好ましい材料は、例えばステンレス鋼Graco 10ガロン圧力ポットで使用されているようなステンレス鋼であるが、本明細書における圧力および他の機能を取り扱うのに適した他の種類の鋼、他の金属(鉄など)、複合材料など、当技術分野で知られているかまたは開発されるようなものも使用することができる。
【0083】
ハウジングの内部も同様に様々な大きさであり得る。断面図に示されるように、ハウジングは、縦方向に測定して好ましくは約1フィート~約3フィート、好ましくは約1.5フィート~約2.5フィート、最も好ましくは約2フィートの高さであり、ハウジングを通して横方向に測定して直径約1フィート~約2フィート、好ましくは直径約1フィート~約1.2フィートである。壁厚は、使用される材料に応じて、好ましくは約2mm~約10mmである。しかしながら、大きさおよび内部は様々であり得る。
【0084】
好ましい実施形態は、図5A図5Dに外側容器158として示されるように、2つの11インチ×11インチの外側容器を保持するように設計されている。2つのそのような外側容器158が各ハウジング内に位置決めされているが、1つまたは複数のハウジングは、1つのみの外側容器または2つよりも多い外側容器を用いて設計することができる。さらに、外側容器はオプションである。各外側容器158は可撓性流体容器160を含むことが好ましく、可撓性流体容器160は、ハウジングの内部に配置され、外側容器内に位置決めされる。可撓性流体容器は、準備された主流体成分を封入することが好ましい。そのような可撓性流体容器160は、単独で使用されてもよく、または示されるようにオプションの外側容器158内に積み重ねられてもよい。可撓性容器は、外側容器内にあるものとして示されている。可撓性容器は、ポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)および低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリウレタンホモポリマーおよびコポリマー、ポリエーテルイミド、および他の適切な化粧品または食品グレードのポリマーまたは材料などの様々な材料で形成することができる。
【0085】
図7A図7Bに示すように、ハウジング152の内部空間150内の流体流れに対する加圧空気の作用は、各図に示すように異なる状態で単一の装置に示されている。図7Aを参照すると、この代表的な図面では圧縮空気の流れが矢印で示されている。空気は、圧力源からハウジングの圧縮空気入口162を通って流れ落ち、内部空間150内およびその周囲に流れ込み、外側容器および可撓性流体容器で圧縮される。圧力は、可撓性流体容器内の流体を上方に押す。
【0086】
図7Aに示すように、空気圧は液体(陰影部分として示される)を上方に押し、その下に空気ポケットを残す。図7B図7Dでは、可撓性流体容器内の流体一次成分の流れが流体流れの矢印で示されており、圧力がハウジング内の流体出口164を通って流体を上方に押す。図示のように、ハウジングには、各可撓性流体容器および可撓性流体導管のために別個の出口164が設けられており、これらは全体の流体送達導管140の一部であり、全体の流体送達導管140は、後述する穿刺シール継手170と連通する第1の端部140aから、少なくとも1つのハウジング流体出口164を通してディスペンサ132と連通している1つまたは複数のそのような導管に送達するための第2の端部140bまで延在する。したがって、導管140は、可撓性流体容器からハウジング流体出口164まで、そしてハウジング流体出口164を通ってディスペンサまで延びる。
【0087】
可撓性流体容器は、好ましくは各々、穿刺シールキャップ166と、穿刺シールキャップに係合するための穿刺シール継手170とを有する。この2つは、噛み合うねじ山、スナップロック継手、および加圧に耐えることができる漏れのない係合のための任意の適切な手段によって係合することができる。可撓性流体容器の穿刺シールキャップは、好ましくは市販の可撓性流体容器として受け入れられるように可撓性流体容器に設けられたねじ山の上に着座する。穿刺シールキャップは、可撓性流体容器のねじ山と噛み合うねじ山を有するべきである(本質的に、キャップは、バッグインボックスの外側容器と、流体送達導管140への主流体成分のストック材料として好ましくは商業的に購入される内側可撓性流体容器構成との接続を可能にする)。一方の端部および他方の端部に穿刺シールキャップを接続することを可能にする継手170が設けられ、流体送達導管への接続を可能にするバーブを含む。そのような継手、導管およびキャップは、提供される異なる容器および異なる接続設計のために修正されてもよい。示されるように、好ましい実施形態において、導管は、好ましくは内径約0.5の可撓性チューブである。したがって、そのような可撓性流体容器は密封された方法で予め保存されてもよく、穿刺キャップは、送達のために新しい流体成分を装填するときに穿刺シール継手170と嵌合するように設置され得る。
【0088】
全体の流体送達導管140の一部である内部チューブは、ハウジング流体出口164に設置された通過ハウジング流体出口継手172に内部チューブを接続するブッシュを通って各外側容器からハウジングを出る。
【0089】
可撓性流体容器160は、供給業者から直接提供されるか、または手動で装填することができる。図5A図5Dおよび図7A図7Dに示すように、4つのハウジングが設けられて、各々2つの可撓性流体容器を装填する。好ましい実施形態では、4つの別個の主流体成分は、上で論じたように、同じまたは異なる流体ベースであり得、各々同じまたは異なる添加剤を有し(または添加剤なし)、各々が他の流体または添加剤と混和されていないかまたは予め混和されていてもよく、各々が同じ色であっても異なる色であってもよい。例示の目的のために、各々が予め混和されていてもよい4つの異なる単色着色ベース(例えば、白、黄、赤、黒)を導入してもよい。流体成分、ハウジングのサイズおよび提供される容器の数は、より長い送達のための成分の追加供給および一次成分容器の交換の間のオペレータ時間が達成され得るように変化し得る。
【0090】
ディスペンサ132は、図9および図9Aに最もよく示されているように、好ましい分配装置124内に位置している。図9Aは、ディスペンサハウジング174の頂部を示しており、ディスペンサハウジング174は、分配に使用されているときおよび使用されていないときに破片を防ぐために閉じられていてもよい。操作用の透明窓を備えたスライド式または開閉式パネルを有する典型的な計装ボックスを使用することができる。ハウジングは、ハウジング152にも供給する圧力源128から進入する圧縮空気導管154を受けるように継手と共に構成されているが、共通の圧力源または同じ圧力源128からディスペンサ装置124に圧縮空気を供給するために動作する分割された、または別個の導管であってもよい。ディスペンサハウジング174はまた、ディスペンサ132のノズル134への送達のために個々の主流体成分を分配ハウジング内に通すことができる流体送達導管140用の入口も収容することが好ましい。ラインが各ディスペンサ132の分割に対して一次成分を交互にすることが明確である場合、または別個のラインが各容器から分配装置124内に延びる場合、同じ流体導管を使用することができる。
【0091】
圧縮空気導管154は、ここでは電磁弁として示されている個々の弁130を動作させるために使用され、その各々は別個のディスペンサ132に関連付けられ、圧縮空気および/または加圧流体などの加圧流体を受けるように構成されている。弁130は、システム設計に応じて、コントローラまたは任意の関連するマイクロコントローラと電子通信していることが好ましい。
【0092】
ディスペンサ132は各々、個々のノズル134、好ましくは分配されるべき主流体成分の各々に対して1つを含む。図示のように、4つのディスペンサノズル134はハウジング174内のディスペンサ装置124内に位置決めされ、ノズルが、ハウジング174内に位置決めされた分析スケール138上の分配装置124内に位置付けられるレセプタクルの上方に固定され位置するように、装着装置176によって定位置に保持される。標準的な化粧品ボトルの場合、ノズル先端部180は標準的な化粧品充填ボトルの首部の上になければならない。各ディスペンサノズル134は、注文管理システムからダウンロードされたユーザ特有の注文情報で提供される所定量の流体を計量するための計量弁136(ミニスプール弁またはピンチ弁など)を有する。各計量弁は、加圧源と連通する加圧流体成分と、計量弁136を空気圧で作動させて開閉させることができる個々の電磁弁130とに接続されている。電磁弁は、コントローラまたは関連するマイクロコントローラからの信号に応答して独立して作動させることができる三方電磁弁であることが好ましい。各計量弁136はまた、流体送達導管140を介して接続されて、上述のように流体送達装置内または取り外し可能な加圧カートリッジ内に保持され得るバルク流体からディスペンサおよび弁に送られる加圧された主流体成分を受ける。
【0093】
ディスペンサノズル134は各々、ノズル134の遠位端部184上にノズル先端部180を有する。先端部間の接触、または特注の先端部を使用する必要性を回避するために、および安定性のために、分配装置124は、ノズル先端部ホルダ本体183を有するノズル先端部ホルダ182を含む。ノズル先端部ホルダは、長手方向に貫通して内向きの角度で延びる開口部186を画定するように構成されており、開口部186は、使用されるノズル先端部を受け入れるような形状および大きさである。開口部186は、各ノズル先端部180が、ノズル先端部ホールドを通過したときにホルダから下方に延出し、各ノズル先端部180が、装着装置178の中心を通りノズル先端部の下に位置付けられるべきレセプタクルを通って延出する長手方向軸線A-A’に対して角度αをなすように各ノズルを保持するが、各ノズル先端部は他のどのノズル先端部とも接触していないような角度および形状である。好ましくは、ノズル先端部180は、長手方向軸に対して約45~約90度、好ましくは約60~約80度、より好ましくは約70~約75度の角度にある。したがって、分配プロセス中にレセプタクルを所定の位置に保ちながら異なる主流体成分を個々に分配するために、装着装置178を動かしたりノズルを動かす必要はない。各ノズルホルダは、ノズルのサイズおよび設計に応じて仕様に合わせて予め生産されるか、または使用、廃棄および容易な交換のために三次元印刷を使用して作成されてもよい。
【0094】
装着装置178は、任意の適切な装着装置であり得る。図示のように、支柱188はディスペンサハウジング174の上面190から垂下している。各ディスペンサノズル132は、任意の適切な手段を介して支柱188に取り付けることができる装着ブラケット194に着脱可能に接続されたクランプ192によって保持されている。
【0095】
使用されるバーコードスキャナ118は任意の適切なバーコードスキャナであり得る。バーコードスキャナは、カメラリーダ付き携帯電話、ハンドヘルドバーコードリーダ、またはバーコード読み取り機能付きカメラなどの携帯デバイス内のリーダであり得るように、使いやすいことが好ましい。好ましくは、バーコードスキャナはクイックリードバーコードスキャナであり、コントローラまたは任意の関連するマイクロコントローラと電子通信する。バーコードスキャナは、システム内の様々な位置でデータのロード、命令の読み取りなどに使用することができる。バーコードスキャナはまた、コントローラと通信し、かつオペレータのサインインおよび識別情報ならびにユーザ特有の命令を注文管理システムから受け入れるように、位置決めおよび/または移動可能であり、上記の1つまたは複数のソフトウェアモジュール(またはシステムと互換性のあるそれ自体の別個のソフトウェア)を有するべきである。
【0096】
図12に示す代替実施形態300では、流体は流体分配装置324に分配され、流体分配装置324は、フレーム304に装着され、かつ各々別個の一次成分を受け取るための複数の流体キャニスタ308と並んで一連の入ってくる加圧流体導管306で流体を受ける取り外し可能なカートリッジ302を有する。各キャニスタの底部は、分配ポート312を有するキャニスタノズル310を含む。圧力源(先の実施形態に適していると記載された加圧源と同じでもよい)はキャニスタノズルを開閉するためのライン314を通して加圧空気を供給する。各キャニスタは、搭載されたマイクロコントローラ320に接続するためのデータポート318を有するカセット316内にある。レセプタクルは、化学天秤324上に位置するホルダ322に装着されるが、上記のような他の特性測定装置を監視目的で使用することができる。この代替の分配装置は、本明細書に記載されているような他の構成要素のいずれとも一緒に使用され得る。
【0097】
上記のシステム100は、カスタマイズされた化粧品配合物を調製する方法において使用されてもよい。この方法では、カスタム化粧品配合物およびその構成要素に関連するユーザ特有のデータを有するサーバを有する注文管理システム104として上述したような注文管理システムが提供され、ここで注文管理システムおよび/またはコントローラに関して上述のデータ記憶モジュールまたはデータベースモジュールのいずれかを使用することができる。サーバからデータを受信するように構成されていることが好ましい1つまたは複数のコントローラおよび/または関連するマイクロコントローラが提供される。コントローラまたは使用される場合マイクロコントローラは全て、好ましくは上述のようなグラフィカルユーザインターフェースと通信する。
【0098】
本明細書に記載されるような1つまたは複数のカスタム化粧品配合物の注文に関連して、データがサーバからコントローラに送信される。注文は注文管理システムで受信され、コントローラを介して本明細書のシステムに通信される。圧力源は、流体送達装置を加圧するために作動され、本明細書に記載の任意の適切な圧力源および/または流体送達装置の様々な実施形態であり得る。流体送達装置は、カスタム化粧品配合物の1つまたは複数の流体成分を送達するように加圧される。1つまたは複数のそのような注文はバッチで処理されてもよい。流体成分は、好ましくは注文において複数のディスペンサのうちの1つ以上に送達され、その各々は上記の方法で注文におけるカスタム化粧品配合物の流体成分と関連する。コントローラは圧力源を作動させ、次に本明細書に記載のディスペンサは、複数のディスペンサのうちの1つから、カスタム化粧品配合物を受容するのに適したレセプタクルに流体成分を分配することができる。分配は、所望の量の流体成分を提供するために、成分特性に基づいてコントローラによって受信された特性データに関連付けられた期間にわたって行われ、例えば、重量は秤で監視されてもよい。成分の重量などの特性は、分配中にその特性に関連する値を測定する測定デバイスによって、例えば、特性としての重量を測定するために上記のような化学天秤などの秤またはスケールを使用することによって監視され、測定デバイスはコントローラと電子通信することが好ましい。監視された特性値は、流体成分の所望の特性値と比較されて、送達された流体成分の量が流体成分の所定の特性値の許容範囲内に送達されることが確認され、その全てのデータは、注文管理システムからコントローラによってダウンロードされた注文命令内に格納される。許容値に達し、所望の量の成分が達成されると、測定された特性値が所定の特性値にある、および/またはその特性値の許容範囲内にあるため、その流体成分に対する分配は停止される。重量などの最終特性値は、第1の流体成分の分配を停止した後に認証およびコンプライアンスの目的で記録される。これらの分配工程は、カスタム化粧品配合物の注文において1つまたは複数の追加の主流体成分について繰り返される。分配された配合物は次に任意の適切なミキサを使用して混合される。好ましくは、遠心分離機、ボールミルまたは他の化粧品用ミキサが使用される。
【0099】
この方法では、コントローラは、1つまたは複数のマイクロコントローラであり得るか、またはそれを含み得る。ユーザ特有のデータはまた、カスタム化粧品配合物の注文における各化粧品のユーザ特有成分重量データ、カスタム化粧品配合物の注文における各成分の特性データ、および上記のようなユーザ特有および/またはオペレータ特有の識別情報のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0100】
方法においてコントローラによって受信されたユーザ特有の情報は、上述のようにプリンタに電子通信され、カスタム化粧品配合物の注文における流体成分を分配する前に、レセプタクルまたはその上のラベルに印刷されるクイックリードバーコードに組み込まれ得る。
【0101】
オペレータ識別データは好ましくはログインデータを含み、それによりオペレータは、上記のいずれかであり得るグラフィカルユーザインターフェースを通してログインし、分配命令および注文に関連するデータを受信し、注文を認証するための重量の確認、および化粧品配合物要件の遵守など、重量およびプロセス内の様々な工程における注文のステータスを確認する。
【0102】
上述の実施形態にはその広い発明概念から逸脱することなく変更を加えることができることを当業者は理解するであろう。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨および範囲内の修正を網羅することを意図していることが理解される。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4
図5
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図9A
図10
図11
図12