(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】流体流制御装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/56 20060101AFI20221019BHJP
A62C 33/00 20060101ALI20221019BHJP
F04D 29/64 20060101ALI20221019BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
F04D29/56 D
A62C33/00 Z
F04D29/56 A
F04D29/64 A
F04D29/64 B
B05B17/00
(21)【出願番号】P 2019542472
(86)(22)【出願日】2018-02-02
(86)【国際出願番号】 AU2018050068
(87)【国際公開番号】W WO2018141019
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-26
(32)【優先日】2017-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519280128
【氏名又は名称】プリサイス アクション プラス ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロル,ジェフリー
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101943174(CN,A)
【文献】米国特許第02109818(US,A)
【文献】米国特許第06336594(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第102029032(CN,A)
【文献】特開2013-079606(JP,A)
【文献】特開平06-313603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/56
A62C 33/00
F04D 29/64
B05B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着環状部品の周りにおいて等距離地点に装着された複数のモータ組立体と、
前記
複数のモータ組立体を包囲し、前記
複数のモータ組立体から外側に離間され、かつ、前記
複数のモータ組立体とともに環状空気通路を画成する、長尺環状外側ケーシングであって、中心長手方向軸、周囲空気を受容するための実質的に開放された前方端部、および、空気強制混合流体を放出するための実質的に開放された後方端部を有する、長尺環状外側ケーシングと、
前記長尺環状外側ケーシングがその上に装着された支持構造と、
前記支持構造の近傍に取り付けられた流体流入口と、および、前記中心長手方向軸の近傍に、かつ、前記長尺環状外側ケーシングの前記開放された後方端部内に、配置された流体流出口を、有する流体流組立体と、
前記支持構造が円弧状に回転することが可能となるよう、前記支持構造に連結されたターンテーブルと、
前記環状外側ケーシングを上昇および下降させるための作動組立体であって、前記支持構造と前記長尺環状外側ケーシングの外側表面との間に連結された作動組立体と
を備える流体流制御装置。
【請求項2】
以下の用途、すなわち、
a)消火、
b)粉塵抑制、
c)正圧換気、
d)化学物質およびエアロゾルの噴霧、
e)クラウドコントロールのための地域拒否兵器、
f)工業洗浄、
g)周辺温度の冷却、
h)人工降雪、
i)航空機の除氷、または
j)軽量航空機または他の車両に対する推力源
のうちの任意の1つまたは複数の用途に対して使用されることが可能である、請求項1に記載の流体流制御装置。
【請求項3】
前記複数のモータ組立体は、
a)電流、
b)作動液圧力、
c)空気圧力、または
d)高圧流体
のうちの任意の1つにより動力供給される、請求項1または請求項2に記載の流体流制御装置。
【請求項4】
前記電流は直流または交流の電流である、請求項3に記載の流体流制御装置。
【請求項5】
前記長尺環状外側ケーシングは、前記流体流制御装置からの空気の流れを前記流体流制御装置を通して集中させるよう設計された円柱管形状ケーシングであるか、または、前記外側ケーシングは、前記流体流制御装置からの空気の流れを前記流体流制御装置を通して集中させるためのチャンバとして使用される空気力学的環状ケーシングである、請求項1~請求項4のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項6】
前記外側ケーシングの前記開放された前方端部は、前記複数のモータ組立体のうちの各モータ組立体の流入フランジを包囲するよう配置された後方収容フランジを有する、請求項5に記載の流体流制御装置。
【請求項7】
前記外側ケーシングの前記開放された後方端部は、前記複数のモータ組立体のうちの各モータ組立体の空気送達ハウジングの流出口を包囲するよう配置された前方収容フランジを有する、請求項5または請求項6に記載の流体流制御装置。
【請求項8】
前記支持構造は、前記長尺環状外側ケーシングの装着組立体を受容するための凹陥部を画成する1対の離間した直立部分と、支持基部と、を含み、前記長尺環状外側ケーシングは、各直立部分と前記外側ケーシングの前記装着組立体との間に差し挟まれた回転部材により、前記直立部分に対して枢動可能に接続されている、請求項5~請求項7のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項9】
前記回転部材は、前記装着組立体の対向側面において各直立部分に連結されたベアリング組立体と、前記ベアリング組立体および前記装着組立体の両方を貫通する回転軸と、を含む、請求項8に記載の流体流制御装置。
【請求項10】
前記ベアリング組立体は、枢動運動するよう前記長尺環状外側ケーシングの前記装着組立体を前記回転軸に対して支持するためのジャーナルベアリングを前記支持構造の各直立部分において含む、請求項9に記載の流体流制御装置。
【請求項11】
前記回転部材は、枢動運動するよう、各直立部分に設けられたアパーチャを、および、前記装着組立体に設けられた対応するアパーチャを、貫通する、前記長尺環状外側ケーシングの前記装着組立体を支持するためのジャーナル軸を含む、請求項8に記載の流体流制御装置。
【請求項12】
前記モータ組立体
の装着環状部品は前記外側ケーシング内に嵌合するよう適応され、前記環状部品は、前記複数のモータ組立体を支持するために中心ハブから前記環状部品まで径方向に延長する複数の周方向に離間した支柱を有する、請求項1に記載の流体流制御装置。
【請求項13】
前記支柱は、前記複数のモータ組立体が前記環状部品の周りで、等距離で離間され、かつ支持されるよう、前記環状部品の周りで均等に離間されている、請求項12に記載の流体流制御装置。
【請求項14】
前記支持構造に連結された前記ターンテーブルは、表面上に装着されるかまたは装着可能である、請求項1に記載の流体流制御装置。
【請求項15】
前記ターンテーブルは、前記流体流制御装置が円弧状に回転することが可能となるよう、前記支持構造に連結され、前記ターンテーブルは、
前記表面に対して装着されるかまたは装着可能である第1プレートと、
前記支持構造
の支持基部に対して装着されるかまたは装着可能である第2プレートと、
前記流体流制御装置が円弧状に回転することが可能となるよう、前記第1プレートと前記第2プレートとの間に装着された回転手段と、
前記ターンテーブルが時計方向および反時計方向の両方に駆動されることが可能となるよう前記回転手段に装着されたターンテーブル駆動組立体と、
前記ターンテーブルの回転運動を制限するためのリミットスイッチ組立体と
を含む、請求項14に記載の流体流制御装置。
【請求項16】
前記ターンテーブル駆動組立体は、電流、作動液圧力、高圧流体、または空気圧力のうちの任意の1つにより動力供給される、請求項14または請求項15に記載の流体流制御装置。
【請求項17】
前記電流は直流または交流の電流である、請求項16に記載の流体流制御装置。
【請求項18】
前記作動組立体は、前記支持構造に対する前記外側ケーシングの角度位置を調整するために前記作動組立体が前記外側ケーシングを垂直方向に上方および下方に移動させることが可能となるよう、前記支持構造
の支持基部と、前記長尺環状外側ケーシングの前記外側表面上の装着アーム部と、の間に接続されたアクチュエータをさらに含む、請求項1に記載の流体流制御装置。
【請求項19】
前記アクチュエータは延長バネ棒を有する線形アクチュエータであり、前記バネ棒が伸長または収縮したときに、前記支持構造に対する前記流体流制御装置の前記外側ケーシング
の垂直角度位置が調整されるよう、前記アクチュエータの第1端部は前記支持基部に対して枢動可能に接続され、前記延長バネ棒の端部は前記外側ケーシング上の前記装着アーム部に取り付けられている、請求項18に記載の流体流制御装置。
【請求項20】
前記作動組立体は前記流体流制御装置の前記外側ケーシングの垂直運動を制限するための少なくとも1つのリミットスイッチをさらに含む、請求項18または請求項19に記載の流体流制御装置。
【請求項21】
前記アクチュエータは、電流、作動液圧力、高圧流体、または空気圧力のうちの任意の1つにより動力供給される、請求項18~請求項20のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項22】
前記電流は、直流または交流の電流であり得る、請求項21に記載の流体流制御装置。
【請求項23】
各モータ組立体は、長手方向中心軸を中心とする直列に流体連通する状態で、ファン組立体および空気送達組立体を含む、請求項1に記載の流体流制御装置。
【請求項24】
前記ファン組立体は、複数の周方向に離間したファンブレードを有するファンロータを共通軸上で駆動するファンモータと、前記ファンモータおよび前記ファンブレードを取り囲む外側ファンハウジングと、を含む、請求項23に記載の流体流制御装置。
【請求項25】
前記空気送達組立体は、
モータ組立体の長手方向中心軸の周りに形成された環状外側ハウジングであって、ファン組立体を受容するための実質的に開放された第1端部と、ファンブレードにより圧縮された周囲空気の部分を放出するための実質的に開放された第2端部と、を有する環状外側ハウジングと、
前記環状外側ハウジングの前記長手方向中心軸に沿って延長する中央本体と、
前記環状外側ハウジングと前記中央本体との間で径方向に延長する複数の周方向に離間した支柱と
を含み、
前記環状外側ハウジング、前記中央本体、および前記支柱は、前記流体流制御装置に対して強制混合空気供給を提供するために前記モータ組立体のうちの各々のファンブレードにより圧縮された空気を集中させるよう、成形される、
請求項23または請求項24に記載の流体流制御装置。
【請求項26】
前記環状外側ハウジングは、
第1端部および第2端部を有する第1円筒体と、
入力端部および出力端部を有する円筒形空気誘導ハウジングと
を含み、
前記第1円筒体の前記第1端部は前記ファン組立体の端部に対して当接するよう適応され、前記第2端部は前記空気誘導ハウジングの前記入力端部内に受容されるよう適応される、
請求項25に記載の流体流制御装置。
【請求項27】
前記中央本体は、
第1端部および第2端部を有する第1円筒形状本体部分であって、前記モータ組立体の前記長手方向中心軸に沿って前記空気誘導ハウジングの前記入力端部と前記出力端部との間で延長する、第1円筒形状本体部分と、
前記第1本体部分の前記第1端部から頂点まで一定距離延長する第1円錐形状端部と、
丸みを帯びた半球状端部が形成されるよう前記第1本体部分の前記第2端部から一定距離延長する第2出力端部と
を含む、請求項25または請求項26に記載の流体流制御装置。
【請求項28】
前記第1円錐形状端部は、前記第1円錐形状端部の前記頂点が前記ファン組立体の近傍に配置されるよう、前記第1円筒体内に延長する、請求項25~請求項27のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項29】
前記丸みを帯びた半球状端部は、前記環状外側ハウジングの前記開放された第2端部の外部に配置された地点まで延長する、請求項25~請求項28のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項30】
前記複数の周方向に離間した支柱は、後縁部から離間した前縁部を有し、前記前縁部および前記後縁部は各モータ組立体の前記長手方向中心軸に対して一定の角度をなすよう形成される、請求項25~請求項29のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項31】
前記前縁部および前記後縁部が各モータ組立体の前記長手方向中心軸に対して形成される前記角度は20度~90度の範囲である、請求項30に記載の流体流制御装置。
【請求項32】
前記前縁部および前記後縁部が各モータ組立体の前記長手方向中心軸に対して形成される前記角度はおよそ60度である、請求項31に記載の流体流制御装置。
【請求項33】
前記流体流組立体は、前記流体流出口に取り付けられた少なくとも1つのノズルをさらに含む、請求項1に記載の流体流制御装置。
【請求項34】
前記流体流組立体は、前記流体流出口に取り付けられた複数のノズルをさらに含む、請求項1に記載の流体流制御装置。
【請求項35】
前記ノズルは、前記流体流出口から流体の噴霧を供給するよう、配置され、前記開放された後方端部において空気流と混合されたとき、集中された高推進力空気および流体の混合により達成される、流体の噴霧ミストの集中されたストリームを、または、流体の大型液滴の分散、または任意の他の分散混合得物の分散を、生成する、請求項33または請求項34に記載の流体流制御装置。
【請求項36】
前記流体流組立体は、流体供給マニホールドをさらに含み、前記マニホールドは、流体を保持するよう構成された少なくとも1つの流体容器と、前記少なくとも1つの流体容器に対して機械的に連結され、かつ、前記流体を第1圧力で前記少なくとも1つの容器から前記流体流入口へと少なくとも部分的にポンプ圧送するよう構成された、第1ポンプと、を含む、請求項33~請求項35のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項37】
前記流体流制御装置により分散される空気強制混合流体は、継続的に変形する、液体または気体の物質のいずれかの任意の物質(例えば、水、水性の防火発泡製品、化学物質性の消火用製品、二酸化炭素、ハロン、または重炭酸ナトリウムのうちの任意の1つ)である、請求項1~請求項36のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項38】
前記流体流制御装置は、前記流体流制御装置を遠隔操作するための制御器をさらに備える、請求項1~請求項37のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項39】
前記制御器は有線または無線の制御器である、請求項38に記載の流体流制御装置。
【請求項40】
前記制御器は、前記ターンテーブル駆動組立体、前記作動組立体、前記モータ組立体、および前記流体流組立体を遠隔操作するよう設計されている、請求項38または請求項39に記載の流体流制御装置。
【請求項41】
前記制御器は、
中央処理装置、メモリ、少なくとも1つのシリアルポート、および少なくとも1つのデジタルプログラム可能入出力、および少なくとも1つのアナログプログラム可能入出力を有する、マイクロコントローラと、
前記マイクロコントローラに遠隔接続されたマスター制御パネルであって、少なくとも1つのユーザインターフェース、および、前記流体流制御装置を操作または制御するために使用される少なくとも1つの定義されたパラメータを提示するためのディスプレイを有する、マスター制御器と
をさらに含む、請求項38~請求項40のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項42】
前記制御器は、
i)各モータ組立体または全モータ組立体のモータスピードと、
ii)前記作動組立体を制御することによる前記支持構造に対する前記環状外側ケーシングの角度位置と、
iii)前記ターンテーブル駆動組立体を制御することよる前記流体流制御装置の回転位置と、
iv)前記流体流組立体の前記第1ポンプを制御することによる流体の流速と
のうちの各1つを制御するための別個の制御装置をさらに含む、請求項38~請求項41のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項43】
前記制御器は、
i)各モータ組立体または全モータ組立体のモータスピードと、
ii)前記作動組立体を制御することによる前記支持構造に対する前記環状外側ケーシングの角度位置と、
iii)前記ターンテーブル駆動組立体を制御することよる前記流体流制御装置の回転位置と、
iv)前記流体流組立体の前記第1ポンプを制御することによる流体の流速と
のうちの各1つを制御するよう前記マイクロコントローラを使用してプログラムされた単一の制御装置をさらに含む、請求項38~請求項41のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項44】
前記モータ組立体のうちの各モータ組立体は、前記モータ温度を監視するために前記ファンモータの近傍に装着された温度センサをさらに含む、請求項1~請求項43のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項45】
前記温度センサは、前記モータ組立体の加熱状態の稼働を防止するために前記制御器に接続された遮断システムをさらに含む、請求項44に記載の流体流制御装置。
【請求項46】
前記ターンテーブル駆動組立体、前記作動組立体、前記モータ組立体、および前記流体流組立体が作動液圧力により動力供給されている場合、前記流体流装置は作動液槽に対して流体連通する液圧ポンプをさらに含む、請求項1~請求項45のうちのいずれか1項に記載の流体流制御装置。
【請求項47】
前記液圧ポンプは、電動モータまたは原動機のうちの任意の1つにより動力供給される、請求項46に記載の流体流制御装置。
【請求項48】
消火、粉塵抑制、正圧換気、化学物質ならびにエアロゾルの噴霧、クラウドコントロールのための地域拒否兵器、工業洗浄、大気温度の冷却、または人工降雪のための用途に使用される場合、前記流体流制御装置は、車両に取り付けられた可動ブーム上のプラットフォーム上に装着される、請求項2に記載の流体流制御装置。
【請求項49】
流体流制御装置を制御する方法であって、
a)請求項1~請求項48のうちのいずれか1項に記載の特徴のうちの任意の1つを備える流体流制御装置を提供するステップと、
b)前記流体流制御装置のための動力源を提供するステップであって、前記動力源は、電流、作動液圧力、高圧流体、または空気圧力のうちの任意の1つまたは複数から選択される、ステップと、
c)前記ターンテーブル駆動組立体、前記作動組立体、前記モータ組立体、および前記流体流組立体を遠隔操作するよう設計された制御器を提供するステップと、
d)前記モータに動力供給するステップと、
e)前記複数のモータのうちの各モータのスピードを徐々に増加させるよう前記制御器上のスピード制御スイッチを操作するステップと、
f)前記開放された前方端部空気入力領域から前記開放された後方端部空気放出領域までの空気流が生成されるよう各モータの前記スピードを安定化させるステップと、
g)前記流体流制御装置が時計方向または反時計方向に回転されるよう前記ターンテーブル駆動組立体を調整するステップと、
h)前記流体流制御装置の垂直姿勢を調整するために前記環状外側ケーシングが上昇および下方されるよう前記作動組立体を調整するステップと、
i)少なくとも1つの流体容器に機械的に連結され、かつ、第1圧力で前記少なくとも1つの容器から前記流体流入口へと少なくとも部分的に流体をポンプ圧送するよう構成された第1ポンプに、動力供給し、それにより、前記流体が、前記流体流制御装置の中心線の近傍に、かつ、前記開放された後方端部空気放出領域内に、配置された流体流出口に提供され、その結果、前記流体流装置から出力が生成され、それにより、前記モータ組立体の前記推進力から生成された空気流と、前記流体流出口からの流体と、が混合および集中されるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般に流体の流れを制御するための装置に関する。さらに詳細には、本発明は、消火において有用な高速度空気強制流体を生成する流体流制御装置を使用する消火機器に関する。
【0002】
本発明は、特定の流れパターンが達成されるよう、流体の制御された拡散をもたらすための装置にも関する。係る流れパターンは、粉塵抑制、正圧換気、化学物質ならびにエアロゾルの噴霧、クラウドコントロール、工業洗浄、大気温度の冷却、人工降雪、航空機の除氷などの幅広い範囲の用途、軽量航空機もしくは他の車両のための推力源として、および他の用途として、関心が持たれている。
【0003】
本発明は上記の用途のうちの任意の要素および他の用途に対して好適であるが、本明細書では、消火に対する適用に関して説明されるであろう。しかし、本発明がそのように限定されないこと、および、他のエリアに適用するにあたり変更されることが必要となり得る本発明の諸態様が当業者に明らかとなるであろうことが理解されるであろう。
【背景技術】
【0004】
本明細書における先行技術に関する参照が、係る先行技術が当該技術分野における普及している全般的知識を構築することの承認として受け取られるべきではないことが注目されるべきである。
【0005】
流体は、流動性を有し、かつ、その形状を変化させる傾向を有する力により作用されたときに一定速度でその形状を変化させる能力を有する物質、すなわち液体または気体として定義され得る。例えば、流体は、水、空気、酸素、およびガスなどの物質を含む。
【0006】
流体力学は、運動状態にある流体および対応する現象に関する研究である。運動状態にある固体の物体が速度を有するのと同様に、運動状態にある流体は速度を有する。固体物の速度と同様に、流体の速度は、単位時間あたりの位置の変化率である。流体力学では、体積流量は、単位時間あたりに通過する流体の体積であり、これは通常は記号Qで表される。SI単位はm3/s(立方メートル毎秒)である。流体速度は、流体の圧力、流体の粘度、および流体がその中で移動する容器の断面積により影響され得る。これらの要因は、流体流の性質に応じて流体速度に影響を及ぼす。
【0007】
流体力学および流体の流れが消火において特に重要である。消火活動に関連する主要な危険要因は可燃性物質により生成される有害環境である。有害環境に起因して生成される4つの主要なリスクは、煙、酸素欠乏、高温、有毒雰囲気である。一般に、発火および燃焼の継続にあたっては、次の3つの要因、すなわち、可燃性物質、酸素、および引火点が組み合わさることが必要である。すべての消火方法は、火から、燃焼に関するその基本要件のうちの1つまたは複数の要件を奪うことに基づくものである。
【0008】
非常に多くの火災現場では、たとえ耐火服を着用し特殊装備を使用したとしても、消防士は膨大な熱のために火災の中心に到達することが不可能である。このことは、火災の性質または環境により延焼が大規模面積にわたる場合には特に成り立つ。その例としては坑道火災、トンネル火災、空港火災、または有毒および引火性の燃料により発生した火災が挙げられる。通常、火災の中心が知られたとしても、熱、煙、化学物質のために、または建造物もしくは構造物の崩壊の危険のために、火の中心に到達することが不可能である。
【0009】
石油火災または化学火災では、火災が強すぎるため、消火に使用される水または化学物質が、火災の中核に到達する以前に、蒸発または分解してしまう場合もある。火災抑制剤がどのように用いられたとしても、消火のためにはほとんど無益である。さらに、大部分の消火方法は、火を消すことのみを目指して設計されたものであり、火災の前進を停止させることを目指していない。単に水または化学物質を火にかけるだけでは火災の前進を停止させることはできない。高速で延焼する森林火災では、火に水をかけたとしても、多くの場合、高速で延焼する火災を停止させることに関しては効果的でない。
【0010】
長年にわたり多数の異なる方法および機器が、全種類の火災を効果的に消火するために、考え出されてきた。例えばスノーケル車、はしご車、ポンプ車、およびタンク車などの消火に使用するための多様な車両が知られている。消火目的のために水を推進する従来の方法は、ノズルを通して高圧下で水をポンプ圧送することからなる。これらの従来の方法の例としては、車両上に搭載された、またはプラットフォームもしくははしごから延長する、モニタの使用が挙げられる。消火モニタは、ノズルに装着された流出口および流体の供給源に接続された流入口から流体(例えば水など)の流れを制御するために使用される。通常、いくつかの管区域が、湾曲した流体通路を形成するために、一緒に接続され、流出口の位置を変えることが可能となるよう管区域の関節接続が可能となるよう、装着される。これらは手動制御されてもよく、または、モータにより駆動されてもよい。係るモータは、制御器に対して結線されたものであってもよく、またはワイヤレス伝送のために接続されたものであってもよい。これらのモニタは、電動、液圧式、または空圧式のアクチュエータシステムを用いて移動可能である。
【0011】
この方法により達成される推進距離は、消火活動の場合には制限される。風の抵抗により水流がただちに液滴に分解され、分解された液滴が風によりさらに大きい抵抗を受けることとなる。水の推進にあたり比較的長い距離が達成された場合、それは非常な高速および高圧で水をポンプ圧送することによる。その場合でさえも、達成される距離はさほど大きくなく、水が使用される速度は、特に水の供給が制限される状況または環境では、疑問の余地がある。
【0012】
いくつかの消火装置が、ミスト生成装置付き送風機を組み込むことにより推進距離の向上を図るため、開発されてきた。この例では、散水ノズルを有する強力な送風機を提供する大規模正圧換気機械は、煙および有害ガスを異なる開口部を通して強制排出させるために構造物に大容量の空気を送達するよう設計されてきた。しかしこれらの消火装置は、空気の移動を制御できず、したがってミスト生成を制御できないため、依然として問題であることが明らかとなった。
【0013】
特定の環境における消火も、火から、燃焼に関するその基本要件のうちの1つまたは複数の要件を奪う、現時点で周知の装置および方法に対して、大きな問題がある。例えば、工業火災および爆発により、企業および政府に毎年数十億ドルのコストが発生しており、いうまでなく生命が失われ、これに関しては金銭では語ることができない。化学プラント爆発は壊滅的であり、引火性物質により生じた火災を消すために必要とされる改善された方法および装置が必要とされている。
【0014】
これらの火を消すための従来の方法は、火を抑止および抑制するための性質および能力により、制限される。このことは、強烈な熱および煙が火の抑制を妨げるトンネル内火災にも当てはまる。生命を保護し、財産および環境の破壊を防止するために迅速かつ安全な火の鎮圧および鎮火が可能である消火装置が必要とされる。
【0015】
上述の欠点のうちのいくつかを少なくとも改善することを支援する流体の流れを制御するための装置が考案されると、明らかに有利である。特に、消防士の危険を減少させるとともにノズルを通過する水の圧力および量を増加させる係る装置を提供することは有益となるであろう。
【発明の概要】
【0016】
第1の態様によれば、本発明は、装着環状部品の周りにおいて等距離地点に装着された複数のモータ組立体と、モータ組立体を包囲し、モータ組立体から外側に離間され、かつ、モータ組立体とともに環状空気通路を画成する、長尺環状外側ケーシングであって、中心長手方向軸、周囲空気を受容するための実質的に開放された前方端部、および、空気強制混合流体を放出するための実質的に開放された後方端部を有する、長尺環状外側ケーシングと、長尺環状外側ケーシングがその上に装着された支持構造と、支持構造の近傍に取り付けられた流体流入口と、および、中心長手方向軸の近傍に、かつ、長尺環状外側ケーシングの開放された後方端部内に、配置された流体流出口を、有する流体流組立体と、支持構造が円弧状に回転することが可能となるよう、支持構造に連結されたターンテーブルと、環状外側ケーシングを上昇および下降させるための作動組立体であって、支持構造と長尺環状外側ケーシングの外側表面との間に連結された作動組立体と、を備える流体流制御装置を提供する。
【0017】
好適には、流体流制御装置は、以下の用途、すなわち、a)消火、b)粉塵抑制、c)正圧換気、d)化学物質およびエアロゾルの噴霧、e)クラウドコントロールのための地域拒否兵器、f)工業洗浄、g)周辺温度の冷却、h)人工降雪、i)航空機の除氷、または、j)軽量航空機または他の車両に対する推力源、のうちの任意の1つまたは複数のために使用され得る。
【0018】
好適には、複数のモータ組立体は、a)電流、b)作動液圧力、c)空気圧力、または、d)高圧流体、のうちの任意の1つにより動力供給され得る。なお電流は、直流または交流の電流であり得る。
【0019】
好適には、長尺環状外側ケーシングは、流体流制御装置からの空気の流れを流体流制御装置を通して集中させるよう設計された円柱管形状ケーシングであってもよく、または、外側ケーシングは、流体流制御装置からの空気の流れを流体流制御装置を通して集中させるためのチャンバとして使用される空気力学的環状ケーシングであってもよい。外側ケーシングの開放された前方端部は、複数のモータ組立体のうちの各モータ組立体の流入フランジを包囲するよう配置された後方収容フランジを有し得る。外側ケーシングの開放された後方端部は、複数のモータ組立体ののうち各モータ組立体の空気送達ハウジングの流出口を包囲するよう配置された前方収容フランジを有し得る。
【0020】
好適には、支持構造は、長尺環状外側ケーシングの装着組立体を受容するための凹陥部を画成する1対の離間した直立部分と、支持基部と、を含み得る。なお長尺環状外側ケーシングは、各直立部分と外側ケーシングの装着組立体との間に差し挟まれた回転部材により、直立部分に対して枢動可能に接続されている。好適には、回転部材は、装着組立体の対向側面において各直立部分に連結されたベアリング組立体と、ベアリング組立体および装着組立体の両方を貫通する回転軸と、を含み得る。ベアリング組立体は、枢動運動するよう長尺環状外側ケーシングの装着組立体を支持するためのジャーナルベアリングを支持構造の各直立部分において含み得る。代替的に、回転部材は、枢動運動するよう、各直立部分に設けられたアパーチャを、および、装着組立体に設けられた対応するアパーチャを、貫通する、長尺環状外側ケーシングの装着組立体を支持するためのジャーナル軸を含み得る。
【0021】
好適には、モータ組立体装着環状部品は外側ケーシング内に嵌合するよう適応され得、環状部品は、複数のモータ組立体を支持するために中心ハブから環状部品まで径方向に延長する複数の周方向に離間した支柱を有する。支柱は、複数のモータ組立体が環状部品の周りで、等距離で離間され、かつ支持されるよう、環状部品の周りで均等に離間され得る。
【0022】
好適には、支持構造に連結されたターンテーブルは、表面上に装着されるかまたは装着可能であり得る。流体流制御装置が円弧状に回転することが可能となるようターンテーブルは支持構造に連結され得、ターンテーブルは、表面に対して装着されるかまたは装着可能である第1プレートと、支持構造の支持基部に対して装着されるかまたは装着可能である第2プレートと、流体流制御装置が円弧状に回転することが可能となるよう、第1プレートと第2プレートとの間に装着された回転手段と、ターンテーブルが時計方向および反時計方向の両方に駆動されることが可能となるよう回転手段に装着されたターンテーブル駆動組立体と、ターンテーブルの回転運動を制限するためのリミットスイッチ組立体と、を含む。
【0023】
好適には、ターンテーブル駆動組立体は、電流、作動液圧力、高圧流体、または空気圧力のうちの任意の1つにより動力供給され得る。なお電流は、直流または交流の電流であり得る。
【0024】
作動組立体は、作動組立体が外側ケーシングを垂直方向に上方および下方に移動させることが可能となるよう、支持構造に対する外側ケーシングの角度位置を調整するために、支持構造の支持基部と、長尺環状外側ケーシングの外側表面上の装着アーム部と、の間に接続されたアクチュエータをさらに含み得る。
【0025】
好適には、アクチュエータは延長バネ棒を有する線形アクチュエータであり得、バネ棒が伸長または収縮することにより、支持構造に対する流体流制御装置の外側ケーシングの垂直角度位置が調整されるよう、アクチュエータの第1端部は支持基部に対して枢動可能に接続され、延長バネ棒の端部は外側ケーシング上の装着アーム部に取り付けられる。作動組立体は流体流制御装置の外側ケーシングの垂直運動を制限するための少なくとも1つのリミットスイッチをさらに含み得る。
【0026】
好適には、アクチュエータは、電流、作動液圧力、高圧流体、または空気圧力のうちの任意の1つにより動力供給され得る。なお電流は、直流または交流の電流であり得る。
【0027】
好適には、モータ組立体は、長手方向中心軸を中心とする直列に流体連通する状態で、ファン組立体および空気送達組立体を含み得る。
【0028】
好適には、ファン組立体は、複数の周方向に離間したファンブレードを有するファンロータを共通軸上で駆動するファンモータと、ファンモータおよびファンブレードを取り囲む外側ファンハウジングと、を含み得る。
【0029】
好適には、空気送達組立体は、モータ組立体の長手方向中心軸の周りに形成された環状外側ハウジングであって、ファン組立体を受容するための実質的に開放された第1端部と、ファンブレードにより圧縮された周囲空気の部分を放出するための実質的に開放された第2端部と、を有する環状外側ハウジングと、環状外側ハウジングの長手方向中心軸に沿って延長する中央本体と、環状外側ハウジングと中央本体との間で径方向に延長する複数の周方向に離間した支柱と、を含み得る。なお、環状外側ハウジング、中央本体、および支柱は、流体流制御装置に対して強制混合空気供給を提供するためにモータ組立体のうちの各モータ組立体により圧縮された空気を集中させるよう、成形される。
【0030】
好適には、環状外側ハウジングは、第1端部および第2端部を有する第1円筒体と、入力端部および出力端部を有する円筒形空気誘導ハウジングと、を含み得る。なお、第1円筒体の第1端部はファン組立体の端部に対して当接するよう適応され、第2端部は空気誘導ハウジングの入力端部内に受容されるよう適応される。
【0031】
好適には、中央本体は、第1端部および第2端部を有する第1円筒形状本体部分であって、モータ組立体の長手方向中心軸に沿って空気誘導ハウジングの入力端部と出力端部との間で延長する、第1円筒形状本体部分と、第1本体部分の第1端部から頂点まで一定距離延長する第1円錐形状端部と、丸みを帯びた半球状端部が形成されるよう第1本体部分の第2端部から一定距離延長する第2出力端部と、を含み得る。
【0032】
好適には、第1円錐形状端部の頂点がファン組立体の近傍に配置されるよう第1円錐形状端部は第1円筒体内に延長し得る。丸みを帯びた半球状端部は、環状外側ハウジングの開放された第2端部の外部に配置された地点まで延長し得る。
【0033】
好適には、複数の周方向に離間した支柱は、後縁部から離間した前縁部を有し得、前縁部および後縁部は各モータ組立体の長手方向中心軸に対して一定の角度をなすよう形成される。前縁部および後縁部が各モータ組立体の長手方向中心軸に対して形成され得る角度は20度~90度の範囲である。代替的に、前縁部および後縁部が各モータ組立体の長手方向中心軸に対して形成される角度はおよそ60度であり得る。
【0034】
好適には、流体流組立体は、流体流出口に取り付けられた少なくとも1つのノズルをさらに含み得る。代替的に、流体流組立体は、流体流出口に取り付けられた複数のノズルをさらに含み得る。
【0035】
好適には、ノズルは、流体流出口から流体の噴霧を供給するよう、配置され得、開放された後方端部において空気流と混合されたとき、集中された高推進力空気および流体の混合により達成される、流体の噴霧ミストの集中されたストリームを、または、流体の大型液滴の分散、または任意の他の分散混合得物の分散を、生成し得る。
【0036】
好適には、流体流組立体は、流体供給マニホールドをさらに含み得、このマニホールドは、流体を保持するよう構成された少なくとも1つの流体容器と、少なくとも1つの流体容器に対して機械的に連結され、かつ、流体を第1圧力で少なくとも1つの容器から流体流入口へと少なくとも部分的にポンプ圧送するよう構成された、第1ポンプと、を含む。
【0037】
好適には、流体流制御装置により分散される空気強制混合流体は、継続的に変形する、液体または気体の物質のいずれかの任意の物質(例えば、水、水性の防火発泡製品、化学物質性の消火用製品、二酸化炭素、ハロン、または重炭酸ナトリウムのうちの任意の1つ)であり得る。
【0038】
好適には、流体流制御装置は、流体流制御装置を遠隔操作するための制御器をさらに含み得る。制御器は有線または無線の制御器であり得る。制御器は、ターンテーブル駆動組立体、作動組立体、モータ組立体、および流体流組立体を遠隔操作するよう設計され得る。
【0039】
好適には、制御器は、中央処理装置、メモリ、少なくとも1つのシリアルポート、および少なくとも1つのデジタルプログラム可能入出力、および少なくとも1つのアナログプログラム可能入出力を有する、マイクロコントローラと、マイクロコントローラに遠隔接続されたマスター制御パネルであって、少なくとも1つのユーザインターフェース、および、流体流制御装置を操作または制御するために使用される少なくとも1つの定義されたパラメータを提示するためのディスプレイを有する、マスター制御器と、をさらに含み得る。
【0040】
好適には、制御器は、i)各モータ組立体または全モータ組立体のモータスピードと、ii)作動組立体を制御することによる支持構造に対する環状外側ケーシングの角度位置と、iii)ターンテーブル駆動組立体を制御することよる流体流制御装置の回転位置と、iv)流体流組立体の第1ポンプを制御することによる流体の流速と、のうちの各1つを制御するための別個の制御装置をさらに含み得る。
【0041】
代替的に、制御器は、i)各モータ組立体または全モータ組立体のモータスピードと、ii)作動組立体を制御することによる支持構造に対する環状外側ケーシングの角度位置と、iii)ターンテーブル駆動組立体を制御することよる流体流制御装置の回転位置と、iv)流体流組立体の第1ポンプを制御することによる流体の流速と、のうちの各1つを制御するようマイクロコントローラを使用してプログラムされた単一の制御装置をさらに含み得る。
【0042】
好適には、モータ組立体のうちの各モータ組立体は、モータ温度を監視するためにファンモータの近傍に装着された温度センサをさらに含み得る。温度センサは、モータ組立体の加熱状態の稼働を防止するために制御器に接続された遮断システムをさらに含み得る。
【0043】
好適には、ターンテーブル駆動組立体、作動組立体、モータ組立体、および流体流組立体が作動液圧力により動力供給されている場合、流体流装置は作動液槽に対して流体連通する液圧ポンプをさらに含み得る。液圧ポンプは、電動モータまたは原動機のうちの任意の1つにより動力供給され得る。
【0044】
好適には、消火、粉塵抑制、正圧換気、化学物質ならびにエアロゾルの噴霧、クラウドコントロールのための地域拒否兵器、工業洗浄、大気温度の冷却、または人工降雪のための用途に使用される場合、流体流制御装置は、車両に取り付けられた可動ブーム上のプラットフォーム上に装着され得る。
【0045】
さらなる態様によれば、本発明は、流体流制御装置を制御するための方法であって、a)第1の態様の特徴のうちの任意の1つを備える流体流制御装置を提供するステップと、b)流体流制御装置のための動力源を提供するステップであって、この動力源は、電流、作動液圧力、高圧流体、または空気圧力のうちの任意の1つまたは複数から選択される、ステップと、c)ターンテーブル駆動組立体、作動組立体、モータ組立体、および流体流組立体を遠隔操作するよう設計された制御器を提供するステップと、d)モータに動力供給するステップと、e)複数のモータのうちの各モータのスピードを徐々に増加させるよう制御器上のスピード制御スイッチを操作するステップと、f)開放された前方端部空気入力領域から開放された後方端部空気放出領域までの空気流が生成されるよう各モータのスピードを安定化させるステップと、g)流体流制御装置が時計方向または反時計方向に回転されるようターンテーブル駆動組立体を調整するステップと、h)流体流制御装置の垂直姿勢を調整するために環状外側ケーシングが上昇および下方されるよう作動組立体を調整するステップと、i)少なくとも1つの流体容器に機械的に連結され、かつ、第1圧力で少なくとも1つの容器から流体流入口へと少なくとも部分的に流体をポンプ圧送するよう構成された第1ポンプに、動力供給し、それにより、流体が、流体流制御装置の中心線の近傍に、かつ、開放された後方端部空気放出領域内に、配置された流体流出口に提供され、その結果、流体流装置から出力が生成され、それにより、モータ組立体の推進力から生成された空気流と、流体流出口からの流体と、が混合および集中されるステップと、を含む、方法を提供する。
【0046】
さらなる態様によれば、本発明は、ハウジングの周りにおいて等距離地点に装着された複数のモータであって、このハウジングは、複数のモータを実質的にカバーする外側カウルであって、空気入力領域および空気出力領域を有する外側カウルを、および、外側カウリング内に配置され、外側カウリングの中心線を通過する軸の周りで延長するモータ装着フレームを、含む複数のモータと、ハウジングおよび複数のモータを支持する基部組立体と、基部組立体の近傍に取り付けられた流体流入口を有する流体導管と、外側カウルの中心の近傍に、かつ空気出力領域内に、配置された流体流出口と、流体流制御装置が垂直軸の周りに円弧状に回転することが可能となるよう基部組立体に連結されたターンテーブルと、流体流制御装置が垂直軸上で上方または下方に傾斜されることが可能となるよう基部組立体に連結された作動組立体と、を備える流体流制御装置を提供する。
【0047】
好適には、基部組立体は、ターンテーブルに対する角度位置を調整するために作動組立体がハウジングを垂直方向に上方および下方に移動させることが可能となるよう、ハウジングとターンテーブルとの間で取り付けられた枢動装着組立体をさらに含み得る。
【0048】
好適には、枢動装着組立体は、ターンテーブルに固定された第1基部部分と、第1基部部分に対して枢動可能に装着された第2基部部分と、を有し得る。第2基部部分は、枢動軸と、第1基部部分および第2基部部分の両方の端部に向かって取り付けられたベアリング組立体と、を通して、第1基部部分に対して枢動可能に装着され得る。
【0049】
好適には、作動組立体は、ターンテーブルに対する流体流制御装置の垂直角度位置を調整するために、第1基部部分と第2基部部分との間に装着され得る。作動組立体は延長バネ棒を有するアクチュエータを含み得、アクチュエータの第1端部は第1基部部分に固定され、バネ棒が伸長または収縮されたときに、ターンテーブルに対する流体流制御装置の垂直角度位置が調整されるよう、延長バネ棒の一方の端部は第2基部部分に取り付けられる。
【0050】
好適には、アクチュエータは線形アクチュエータであり得る。好適には、作動組立体は、流体流制御装置の垂直運動を制限するための少なくとも1つのリミットスイッチをさらに含み得る。好適には、アクチュエータは、電流、作動液圧力、高圧流体、または空気圧力のうちの任意の1つにより動力供給され得る。なお電流は、直流または交流の電流であり得る。
【0051】
好適には、作動組立体は、作動組立体を遠隔操作するための制御器をさらに含み得る。制御器は有線または無線の制御器であり得る。代替的に、ターンテーブルおよび作動部材制御器は、ターンテーブルおよび作動組立体の両方を制御するために単一の遠隔制御内に収容され得る。
【0052】
好適には、モータ制御器は、中央処理装置、メモリ、少なくとも1つのシリアルポート、およびデジタルならびにアナログの両方のデジタルプログラム可能入出力を有する、マイクロコントローラと、マイクロコントローラに遠隔接続されたマスター制御パネルと、をさらに含む。マスター制御器は、少なくとも1つのユーザインターフェースと、流体流制御装置を操作または制御するために使用される少なくとも1つの定義されたパラメータを提示するよう構成されたディスプレイと、をさらに含み得る。
【0053】
好適には、これらのモータのうちの各モータは、モータの温度を監視するためにモータの近傍に装着された温度センサをさらに含み得る。温度センサは、モータの加熱状態の稼働を防止するために制御器に接続された遮断システムをさらに含み得る。
【0054】
好適には、消火、粉塵抑制、正圧換気、化学物質ならびにエアロゾルの噴霧、クラウドコントロールのための地域拒否兵器、工業洗浄、大気温度の冷却、または人工降雪のための用途に使用される場合、流体流制御装置は、車両に取り付けられた可動ブーム上のプラットフォーム上に装着され得る。
【0055】
本発明は、本発明の好適な実施形態に関する、以下に提示される詳細から、および添付の図面から、さらに十分に理解されるであろう。しかしこれらの詳細および図面は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に説明および理解を目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の一実施形態に係る流体流制御装置の空気入力端部の斜視図である。
【
図2】
図1の流体流制御装置の出力端部斜視図である。
【
図3】
図1の流体流制御装置の垂直移動を示す図である。
【
図4】
図1の流体流制御装置の垂直移動を示す図である。
【
図5】1つのモータ組立体がモータ組立体の主要構成要素を示す分解図で示されている、
図1の流体流制御装置の詳細側面図である。
【
図6】
図1の流体流制御装置の移動構成要素の分解斜視図である。
【
図7】
図1の外側ハウジングおよびモータ組立体の出力端部斜視図である。
【
図8】
図1の流体流制御装置の基部およびターンテーブルの斜視図である。
【
図9】
図1の流体流制御装置のモータ組立体のうちの1つのモータ組立体の斜視分解である。
【
図10】
図1の流体流制御装置の装着環状部品に組み込まれる以前の組み立てられた状態にある
図9のモータ組立体を示す図である。
【
図11】
図9のモータ組立体の空気指向性ハウジングの分解図である。
【
図15】本発明の一実施形態に係る流体流制御装置の空気入力端部斜視図である。
【
図16】モータ組立体の主要構成要素を示す分解図で描画されたモータ組立体を示す、
図15の流体流制御装置の詳細側面図である。
【
図18】
図15の流体流制御装置の基部およびターンテーブルの斜視図である。
【
図19】
図15の流体流制御装置の環状部品および外側カウルに装着されたモータ組立体の分解図である。
【
図20】
図15の流体流制御装置の外側カウルの斜視図である。
【
図21】
図15の流体流制御装置の環状部品に装着されたモータ組立体の端面図である。
【
図22】
図15の流体流制御装置の環状部品に装着されたモータ組立体の他の端面図である。
【
図23】
図21のモータ組立体および環状部品の分解図である。
【
図24】下方の構造体の明瞭化のためにモータ組立体がから取り外された状態にある環状部品の斜視図である。
【
図25】環状部品基部から取り外された
図24の環状部品を示す図である。
【
図26】明瞭化のために他のすべての構造体が取り外された状態のモータ組立体および流体導管の斜視図である。
【
図27】
図15の流体流制御装置の単一のモータ組立体およびモータ装着ブラケットの斜視図である。
【
図28】流体流制御装置のファンモータ組立体の斜視図である。
【
図29】
図28のモータ組立体の主要構成要素の分解図である。
【
図30】
図28のファンモータ組立体のダクテッドファンハウジングの斜視図である。
【
図31】
図27のモータ組立体の指向性空気ハウジングの斜視図である。
【
図32】
図1の流体流制御装置の環状部品に装着されたモータ組立体の端面図である。
【
図33】本発明の一態様に係る流体流制御装置の例示的使用を示す図である。
【
図34】本発明の流体流制御装置に対する制御システムを概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
単なる事例として与えられた以下の記載は、好適な実施形態(単数または複数)の発明主題に関するより正確な理解を提供するために、説明されたものである。
【0058】
本発明について、消火のための流体流制御装置に関して、説明および図示する。しかし、本発明が多数の用途を有し、消火のための流体流制御装置にのみ限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0059】
1つの形態では、本発明は、増加された圧力を有する可変集中流を有する出力を提供する消火のための空気強制流体の流れを制御するための流体流制御装置200を提供する。装置200は、モータ装着環状部品70の周囲で等距離点に装着され、かつ、長尺環状外側ケーシング240内に収容された、3つのモータ組立体50を有する。環状外側ケーシング240は、モータ組立体50を包囲し、かつモータ組立体50から外向きに離間されるよう設計されており、そのためモータ組立体50に対して環状空気通路を画成する。外側ケーシング240は、中心長手方向軸「A」、周囲空気を受容するための実質的に開放された前方端部242、および、空気強制流体を放出するための実質的に開放された後方端部243を有する。モータ組立体50および環状外側ケーシング240は、支持構造220に対して回転および垂直運動するよう装着される。流体流組立体80は流体流入口84および流体流出口82を有する。流体流入口84は支持構造220の近傍に取り付けられ、流体流出口82は、長尺環状外側ケーシング240の開放後方端部243内で中心長手方向軸「A」の近傍に配置される。ターンテーブル210は、支持構造220、モータ組立体50、および環状外側ハウジング240が円弧状に回転可能となるよう、支持構造220に連結される。作動組立体230は、垂直運動を提供するために、環状外側ケーシング240およびモータ組立体50を上昇および下降させるために使用される。作動組立体230は、支持構造240と長尺環状外側ケーシング240の外側表面214との間に連結される。
【0060】
モータ組立体50は、流体流制御装置200の推進方向が最適化されるよう戦略的に装着環状部品70に装着されている。外側ケーシング240は、開放前方端部242に設けられた空気入力領域、および、開放後方端部243にも受けられた空気出力領域の両方を有する。空気入力領域は後方収容フランジにより画成され、空気出力領域は前方カウルにより画成される。モータ装着フレーム70は、外側ハウジング240内に配置され、外側ハウジング240の中心線を通る長手方向中心軸「A」の周りで延長する。
【0061】
図1および
図2では、周囲空気入力端部242(
図1)側からの流体流制御装置200、および空気強制流体出力端部243(
図2)側からの流体流制御装置200の両方が示されている。流体流制御装置200は、モータ組立体50がモータ装着環状部品70の周りで等しく離間された状態で装着された3つのモータ組立体50を有する。図示されているように、各モータ組立体50の中心を通る中心線は、各中心線間が120度の角度となるよう環状部品70の周りに等しく離間されている。環状部品70の周りにおけるこの角度変位は120度であるが、他の組み合わせも利用され得、各組み合わせが、利用されるモータ組立体50の個数に、および、流体流制御装置200が適用される特定的な用途に、大きく依存することは理解されるであろう。
【0062】
各モータ組立体50は、各モータ組立体50上に設けられたファン流入フランジ52を通して周囲空気を引き入れるファンロータまたはインペラ51を有する。各ファン流入フランジ52は、流体流制御装置200の周囲空気流入口領域242の近傍に配置され、後方収容フランジを縁取る。モータ組立体50はモータ装着環状部品70内に装着され、環状外側ハウジング240はモータ装着環状部品70の周りに装着される。装着環状部品70は環状外側ハウジング240の内部表面247に当接し、開放空気流入端部242に向かって装着される。外側ハウジング240は、流体流制御装置200から発して流体流制御装置200を通る空気の流れを集中させるよう設計された円柱管形状のハウジングである。代替的に、外側ハウジング240またはナセル240は、流体流制御装置200から発し流体流制御装置200を通過する空気の流れを集中させるためのチャンバとして使用される空気力学的形状を有する環状ハウジングである。
【0063】
外側ハウジング240は、支持構造体220の直立支持体222に対して外側ハウジング240およびモータ組立体50を枢動可能に装着するために下方外側表面241から延長する装着組立体244を有する。直立支持体222は支持基部221上で離間し、外側ハウジング240の装着組立体244を受容するための凹陥部を直立支持体222間に画成する。回転軸226(
図6)は、外側ハウジングおよびモータ組立体50が上下に枢動されることが可能となるよう、各直立部分222に設けられたアパーチャ228に装着されたベアリング組立体を通して、および装着組立体244に設けられたアパーチャ246を通して、挿入される。軸226は固定装置223により定位置に固定される。代替的に、回転軸226は、枢動運動するよう長尺環状外側ケーシング240の装着組立体244を支持するために、各直立部分222に設けられたアパーチャ228を、および、装着組立体244に設けられた対応するアパーチャ246を、通るジャーナル軸226であり得る。
【0064】
外側ハウジング240およびモータ組立体50に対して枢動運動を提供するために、作動組立体230が外側ハウジング240と支持構造220との間に接続される。作動組立体230は、延長バネ棒および装着ブラケット232、233を有する線形アクチュエータ231を含む。装着ブラケット232は支持構造体220の支持基部221上に設けられたブラケット224に対して枢動可能に装着される。装着ブラケット233は延長バネ棒の端部に装着され、外側ハウジング240の外側表面241上に設けられたブラケット245に対して枢動可能に装着される。アクチュエータ231の動作および延長バネ棒の伸長または収縮により、流体流制御装置200の垂直角度位置が、動作のために要求される位置に適合するよう、上方または下方に調節されることとなる。
【0065】
液圧アクチュエータ231が図示および記載されているが、他種類のアクチュエータ231も利用可能であることが理解されるべきである。例えば、流体流制御装置200の垂直角度位置を上方または下方に調整し、それにより、動作のために要求される位置に適合するよう、延長バネ棒を伸長または収縮させるために、電動アクチュエータまたは空気アクチュエータおよび関連する構成要素も使用され得る。
【0066】
図3および
図4では、外側ハウジング240が支持構造体220の軸226の周りに回転する様子が示されている。外側ハウジング240の中心を通る中心軸「A」により、アクチュエータ231の動作、および延長バネ棒の伸長または収縮により、流体流制御装置200の垂直角度位置が、動作に要求される位置に適合するよう、上方または下方に調整されるときの、外側ハウジング240の傾斜動作が示されている。
図3では、上方に位置された外側ケーシングが示されており、中心軸「A」は支持構造220の左側面に対しておよそ40度の角度をなす。
図4では、下方に位置された外側ケーシングが示されており、中心軸「A」は支持構造220の右側面に対しておよそ40度の角度をなす。流体流制御装置200は外側ハウジング240およびモータ組立体50を円弧状に40~80度の範囲で移動させる能力を有する。
【0067】
最終的に円弧の周りに流体流制御装置200を回転させるためにターンテーブル210は、支持表面に対して装着されるかまたは装着可能である固定基部部分211と、支持構造体220の支持基部221に対して固定された回転可能部分と、からなる。ターンテーブル210は、流体流制御装置200が流体流制御装置200の垂直軸の周りに時計方向および反時計方向に動くことを可能にする。
【0068】
図2では、流体流制御装置200の強制空気および流体流出端部243が示されている。この端部から、モータ組立体50の一方の端部に取り付けられた空気送達ハウジング260が示されている。各モータ組立体50は、長手方向中心軸を中心とする直列に流体連通する状態で、ファン組立体97および空気送達組立体250を有する。ファンモータ端部外側ハウジング255はファン組立体97に取り付けられ、各モータ組立体50からのファン強制空気を誘導および集中させるために空気送達ハウジング260に対して直列に接続する。
図2で示されているように、流体送達マニホールド80は、流体流入管81によりT字接合部83および流体流出口82に接合された流体流入口84を含む。
【0069】
図5では、流体流制御装置200に関するより詳細な図面が図示され、ここでは、モータ組立体50のうちの1つのモータ組立体50が分解図で示されている。なお明瞭化のために、支持構造体220、作動組立体230、およびターンテーブル210は除外されている。
【0070】
各モータ組立体50は、ファン流入フランジ52、ファン組立体97、および空気送達組立体250を有する。ファン流入フランジ52は空気ストリームをファン組立体97に誘導するよう設計されている。ファン流入口または吸気口52は、自由ストリーム空気または周囲空気がファン組立体97に引き込まれるようホーン形状である。流入口または吸気口52はファン組立体97の上流に位置し、流入口52は流れに対して作用しないが、流入口性能はモータの正味推進力に強力な影響を有する。ファン組立体97は共通シャフトを有し、その共通シャフトにより、ファンモータ54は、周方向に離間した複数のファンブレードを有するファンロータ51を駆動する。
【0071】
ファン組立体97は、ロータコーン56、ファンロータまたはインペラ51、ファンモータ54、ダクテッドファンハウジング59、および尾部またはaftコーン55を含む。ロータコーン56およびファン流入フランジ52は、ファン51に進入する際に空気流を層状または滑らかな状態に保つ。これによりダクテッドファンユニットの効率が向上する。ファンロータ51またはインペラの回転は、ファン組立体97を通して空気を駆動する。ダクテッドファンハウジング59は空気流を含み、空気流を空気指向性組立体250に向かって誘導する。このハウジングの輪郭または形状は、ダクテッドファン組立体97の効率に対して重要である。ダクテッドファンハウジング59は、固定ブレード91を通過する際に空気流を直線化するステータまたは固定ファンブレード91もダクテッドファンハウジング59内に含む。ファン組立体97がシュラウド内に収容されているときにファンブレード51が回転すると空気が径方向および軸方向に移動される。空気がこのように回転することにより乱流が発生し得、その結果、ダクテッド空気ファン組立体97の効率が低下することとなるであろう。ステータまたは固定ファンブレード91は、ブレード・ハウジング間の隙間が最少化されるようファンロータブレード51を中心に置くために、および、出力推進力が最大化されるようための内径を提供するために、設計される。固定子または固定ファンブレード91は乱流の低減化も支援する。
【0072】
ファンモータ54は、ファンロータ51を回転させるトルクを提供する。液圧ファンモータ54が図示されているが、しかしファンモータ54が液圧により動力供給されるもののみに限定されるものではないことが理解されるであろう。他の機動力または種類のファンモータ54は例えば、電動モータ、または、空気圧力により駆動される空気ファンモータを含む。代替的に、ファンモータ54は高圧流体により駆動され得る。例えば、軸流ファンを駆動するシャフトの前端部に設けられた水力駆動径方向流入タービンが挙げられる。ファンモータ54は交流または直流のいずれかにより駆動され得る。aftコーン55は、ファンモータ54を通過する空気により生じる乱流を低減または最少化する。
【0073】
各モータ組立体50は、ファン組立体97のいずれかの側に取り付けられ、かつ、装着ボルト58によりモータ装着環状部品70に保持される、ブラケット53により、装着されるかまたは装着可能である。3つのモータ組立体50の全部はモータ装着環状部品70の周りに同様の様式で保持される。モータ装着環状部品70は装着組立体244を通して支持構造体220に装着される。
【0074】
空気送達組立体250は、ファン組立体97により生成された空気を、開放端部または空気流出口243を通して流出させ、空気出力領域へと誘導する。空気送達組立体250は、ファン組立体97の後方端部に装着されるかまたはファン組立体97の後方端部に当接する、一方の端部251と、各モータ組立体50上の空気流出端部を形成し、かつ、外側ハウジング240の出力端部またはカウル243内かまたは出力端部またはカウル243の近傍に配置される、対向する端部252と、を有する。空気送達組立体250はファンモータ端部ハウジング255および空気送達ハウジング260からなる。ファンモータ端部ハウジング255の一方の端部251はファン組立体97に対して当接し、対向端部258は空気送達ハウジング260の端部266内で受容される。ファンモータ端部ハウジング255は、実質的に均一な断面形状を有する長手方向に延長する環状ハウジングである。ハウジング255は、ファン組立体97からの空気流を密閉し、空気送達ハウジング260に向かって誘導する。
【0075】
各モータ組立体50の空気送達ハウジング260は、各モータ組立体50の長手方向中心軸の周りに形成された環状外側ハウジング260である。環状外側ハウジング260は、ファンモータ端部ハウジング255を受容するための実質的に開放された第1端部266と、ファンブレード51により圧縮された周囲空気の部分を放出するための実質的に開放された第2端部252と、を有する。中央本体262、263、264は、環状外側ハウジング260の長手方向中心軸に沿って延長し、環状外側ハウジング260と中央本体262、263、264との間で径方向に延長する複数の周方向に離間した支柱261により支持される。
【0076】
図5にも示されているように、外側ハウジング240の前端部または空気流出端部243には、流体が、モータ組立体50からの空気推進により影響されることが可能となるよう、流体流組立体80が配置される。流体流組立体80は、流体流入口84、配管81、T字接合部品83、および流体流出口82からなる。流体流出口82およびT字接合部品83は外側ハウジング240の中心を通る中心線軸に対して実質的に位置合わせされている。流出口82に対して反対側にあるT字接合部83の端部はモータ装着環状部品70の中央支持体76に固定される。流入口84は支持構造体220に装着されたブラケット(図示せず)に固定されるかまたは流体槽に接続されたホースに単に取り付けられる。流体流組立体80は、流体流制御装置200が定位置へと誘導される際に後退して流体ホース(図示せず)を放出するよう設計された流体流入口84に固定された汎用枢動アタッチメントを含み得る。
【0077】
図6では、流体流制御装置200の主要構成要素の分解図が示されている。外側ハウジング240内に収容されたモータ組立体50と、支持構造体220と、ターンテーブル210と、モータ組立体50および外側ハウジング240を垂直方向に上または下に移動させるための作動組立体230と、が示されている。上述のように外側ハウジング240は、支持構造体220の直立部分222に設けられたアパーチャ228を通って延長する枢動軸226と、装着組立体244の基部または底部から延長する外側ハウジング240と、の組み合わせにより、支持構造体220に対して枢動可能に装着されている。支持基部221は2つの直立突起形状の装着アーム部222を有し、装着アーム部222は軸226またはベアリングを受容するためのアパーチャ228を収容する。軸226は、ジャーナルベアリングとして、またはベアリング内で回転する単純な軸またはジャーナルとして、作用する。軸226は、ベアリング内で回転する。なおここで、軸226およびベアリングは潤滑剤の層により離間される。この実施形態では、ベアリング(図示せず)は、支持構造体直立部分222のアパーチャ228内に装着されるであろう。軸226は保持装置227により直立部分222内に保持される。保持装置227は軸226の端部内において螺入されるかまたは別様に固定される。
【0078】
作動組立体230の一方の端部を装着するための取り付けアーム部224も支持基部221の一方の側面に取り付けられている。取り付けアーム部224は、任意の周知の装置または方法により(例えば、ネジにより、または支持基部221にボルトを通すことにより)、支持基部221に固定される。アクチュエータ231の枢動マウント232を装着突起225上に保持するための固定装置を受容するためのアパーチャを有する装着突起225が取り付けアーム部224の一方の端部から延長する。外側ハウジング240上に設けられた装着アーム部245に取り付けられる枢動マウント233が、アクチュエータ231の他方の端部にあり、延長バネ棒に取り付けられる。装着アーム部245は、外側ハウジング240の外側表面241の一方の側面から延長し、アクチュエータ231の枢動マウント233を装着突起245に対して保持するための固定装置を受容するためのアパーチャを有する装着突起246を有する。
【0079】
図7では、モータ組立体50が内部に装着され、かつ、支持構造220、ターンテーブル210、および作動組立体230が明瞭化のために取り外された状態で、外側ハウジング240が示されている。特に、枢動軸226を受容するためのアパーチャ246を有する装着組立体244が示されている。装着アーム部245が、外側ハウジング240の外側表面241の一方の側面から延長していること、および、装着突起246を有していることも、より詳細に示されている。外側ハウジング240は、外側ハウジング240の周縁部に沿って延長する外側表面241と、同様に内部表面247と、を有する。外側ハウジング240は、航空機エンジンナセルの設計と同様の方法で設計されている。外側ハウジング240の設計は、外部形状および流入口内側の幾何学的形状の両方に対して注意が払われることを要求する。基本的に外側ハウジング240は、モータ組立体50を包囲する空気力学的構造体である。カウル後方収容フランジ242の外側曲率は内側輪郭形状と同様に重要である。外側カウル後方収容フランジ242は、ファンロータまたはインペラ51の前方に配置され、モータ組立体50を包囲し、かつ、モータ組立体50に対して実質的に同一の広がりを持つ、外側ハウジング本体241に固定される。各ファン流入フランジ52は、各ファン流入フランジ52が、外側カウル後方収容フランジ242および外側ハウジング240に対して位置合わせされた状態で、または外側カウル後方収容フランジ242および外側ハウジング240の外側に、着座する外側カウル後方収容フランジ242を越えて延長する。ファン流入フランジ52および3つのモータ組立体50は、3つのファン流入フランジ52の周りに描かれた略三角形の形状が形成されるよう、環状部品70に配置される。外側カウル後方収容フランジ242に対してファン流入フランジ52をどのように配置するかは、キャビテーションを発生させ得る不均等な空気圧を回避するにあたり重要である。外側ハウジング240は、軸方向に延長する環状ダクトを画成し、この環状ダクトは、空気送達組立体250のコアモータ放出面または端部252の上流側にある空気放出面または前方カウル243において終端する。
【0080】
図8では、ターンテーブル210と、ターンテーブル210が回転可能に装着された支持構造体220と、が示されている。ターンテーブル210は、表面(図示せず)に対して装着されるかまたは装着可能である固定基部部分211を有する。固定基部部分211は、ターンテーブル210を表面に対して装着するための固着装置を受容するための、基部211の周囲の周りに配置された複数の装着アパーチャ216を有する。表面は、延長ブームまたはハシゴを有する車両であってもよく、または単に固定されたプラットフォームであってもよい。プラットフォーム型は、おもに流体流制御装置200が利用される用途に依存する。ターンテーブル210は、支持構造220の支持基部221である回転区域も有する。円弧の周りに回転するために、固定基部部分211および回転基部部分または支持基部221は、回転底部部分または支持基部221が固定基部部分211の周りに時計方向および反時計方向に回転することを可能にするベアリング組立体212などの回転手段により離間される。
【0081】
ターンテーブル210は、ターンテーブル210が時計方向および反時計方向の両方に駆動されることを可能にするための回転手段212に装着された駆動組立体213、214、215も有する。これらの駆動組立体は、回転手段212に取り付けられたスプロケットまたはピニオン215をギア213の周りに駆動するギア213液圧モータ214である。スプロケットまたはピニオン215は、ターンテーブル210上の固定基部部分211の周りの円形経路において固定的に保持されたギア213に対して係合する。スプロケットまたはピニオン215が回転すると、回転手段212が回転し、その結果、回転基部部分または支持基部221が回転することとなる。ターンテーブル210を回転させる動力が液圧流体であるものとして上述されてはいるが、他の動力手段は除外されない。例えば、ターンテーブル210を回転させる動力は、減速ギアボックスを通してスプロケットまたは駆動ベルトを駆動する電動モータにより提供されてもよい。代替的に、モータは高圧流体または空気圧力により駆動されてもよい。
【0082】
ターンテーブル210は、流体流制御装置200の回転運動を抑制するためのリミットスイッチ(図示せず)も有する。通常、電気式リミットスイッチは固定基部部分211上に配置され、回転基部部分または支持基部221および流体流制御装置200の全回転を事前決定された角度回転に制限するよう設定され得る。例えば、流体流制御装置200は、ターンテーブル210の過剰な回転を防止するために、時計方向および反時計方向の両方の動きをおよそ180度の円弧に制限し得る。代替的に、ターンテーブル210の回転を制限するためにターンテーブル210に対して固定された機械式リミットスイッチも利用され得る。
【0083】
図9~
図14では、それぞれの構成要素部品に分解されたモータ組立体50が示されている。
図9ではファン組立体97および空気送達組立体250の分解図が示され、
図10では組み立てられたモータ組立体50が示されている。ファン組立体97およびファン流入フランジ52は、以下の
図28~
図30に関連連して説明するものと同一であり、ここでは繰り返さない。同様に、モータ装着環状部品70に対する各モータ組立体50の装着も以下の記載と同一であり、
図32に示されている。例えば、いずれかの端部における装着ブラケット53は、ファンハウジング59に対して装着ブラケット65に対して装着されるかまたは装着可能であり、締結具66により定位置に保持される。ブラケット53の両端部は、モータ装着ブラケット53をファンハウジング59に固定するために締結具66を受容するための螺刻アパーチャを有する。3つのモータ組立体50の全部はモータ装着環状部品70の周りに同様の様式で保持される。
【0084】
空気送達組立体250は、ファン組立体97により生成された空気を、開放端部または空気流出口243を通して流出させ、空気出力領域へと誘導する。空気送達組立体250は、ファン組立体97の後方端部に装着されるかまたはファン組立体97の後方端部に当接する一方の端部251と、各モータ組立体50上の空気流出端部を形成する対向する端部252と、を有する。空気送達組立体250はファンモータ端部ハウジング255および空気送達ハウジング260からなる。ファンモータ端部ハウジング255の一方の端部251はファン組立体97に対して当接し、対向端部258は空気送達ハウジング260の端部266内に受容される。ファンモータ端部ハウジング255は、実質的に均一な断面形状を有する長手方向に延長する環状ハウジングである。ハウジング255は、ファン組立体97からの空気流を密閉し、空気送達ハウジング260に向かって誘導する。
【0085】
各モータ組立体50の空気送達ハウジング260は、各モータ組立体50の長手方向中心軸の周りに形成された環状外側ハウジング260である。環状外側ハウジング260は、ファンモータ端部ハウジング255を受容するための実質的に開放された第1端部266と、ファンブレード51により圧縮された周囲空気の部分を放出するための実質的に開放された第2端部252と、を有する。中央本体262、263、264は、環状外側ハウジング260の長手方向中心軸に沿って延長し、環状外側ハウジング260と中央本体262、263、264との間で径方向に延長する複数の周方向に離間した支柱261により支持される。環状外側ハウジング260、中央本体262、263、264、および支柱261は、流体流制御装置200のための強制空気供給を提供するためにモータ組立体50のうちの各モータ組立体50のファンブレード51により圧縮された空気を集中させるための形状を有する。
【0086】
環状外側ハウジング260から径方向に延長する周方向に離間した支柱261は、中央本体部分262、263、264を、モータ組立体50のうちの各モータ組立体50の中心軸に沿って延長する姿勢において装着する。中央本体は、各モータ組立体50から発した各モータ組立体50を通る空気の流れを集中させるよう設計された3つの構成要素から形成される。第1円筒形状本体部分264は、環状外側ハウジング260の実質的な長さにわたり、環状外側ハウジング260の第1端部252と第2端部266との間で、モータ組立体50の長手方向中心軸に沿って延長する。
【0087】
円錐形状部分263は、第1本体部分264の第1端部から長手方向に離間する方向に延長し、その長さに沿って頂点までテーパする。組み立てられたとき、円錐形状部分264の頂点はファン組立体97のファンモータ端部の近傍に配置される。この実施形態では、この頂端は丸められた形状を有するが、他の形状の頂点は除外されない。第1本体部分264の対向端部上には、丸みを帯びた半球状本体262が装着され、第1本体部分264から離間する方向に延長する。丸められた端部262は、外部に配置された点まで、環状外側ハウジング260の開放第2端部252から一定距離まで延長する。本体262は、開放第2端部252から一定距離まで外向きに延長し、各モータ組立体50の長手方向に延長する中心軸に沿って継続する。
【0088】
中央本体の構成要素が、円筒形状、円錐形状、および半球状の両方として説明されたが、他の形状も上記で中央本体構成要素262、263、264に対して利用され得る。
【0089】
環状外側ハウジング260から中央本体部分262、263、264を装着する支柱261は、前縁部と、離間した後縁部と、を有する。支柱261の前縁部は、ファン組立体97からの強制空気または圧縮空気により最初に接触される縁部である。同様に、支柱261の後縁部は、環状外側ハウジング260の流出端部252に向かって配置された縁部である。支柱261の前縁部および後縁部の両方は、各モータ組立体50の中心を通過する長手方向中心軸に対して角度をなす状態で形成される。好適には、前縁部および後縁部の角度は10度~90度の範囲である。より詳細には、支柱261の前縁部および後縁部は、各モータ組立体50の中心を通過する長手方向中心軸に対して30~60度の角度をなす状態で形成される。
【0090】
支柱261が3つの支柱261を示す状態で図示されているが、4つ以上または2つ以下の支柱261が、外側環状部品260から中央本体262、263、264を支持するものであるかぎり、使用され得る。
【0091】
他の形態では、
図15~
図30では、ハウジング16の周りにおける等距離地点に装着された複数のモータ組立体50を備える流体流制御装置10が示されている。モータ組立体50は、流体流制御装置10の推進方向が最適化されるよう戦略的にハウジング16内に装着されている。ハウジング16は、複数のモータ組立体50を実質的にカバーする外側カウリング40を有する。外側カウリング40は空気入力領域および空気出力領域の両方を有する。空気入力領域は後方収容フランジ41により画成され、空気出力領域は前方カウル42により画成される。モータ装着フレーム70は、外側カウリング40内に配置され、外側カウリング40の中心線を通過する軸35の周りで延長する。
【0092】
基部組立体20は、ハウジング16および複数のモータ組立体50を支持する。流体流組立体80は、基部組立体20の近傍に取り付けられた流体流入口84と、外側カウリング40の中心線35の近傍に、かつ、空気出力領域内に、配置された流体流出口82と、を有する。ターンテーブル18は、流体流制御装置10が垂直軸周りに円弧状に回転することが可能となるよう、基部組立体20に連結される。作動組立体19は、ターンテーブル18に対する流体流制御装置10の角度位置を調整するために、基部組立体20に連結される。
【0093】
図15および
図17では、全モータ組立体50がモータ装着環状部品70の周りで等しく離間されるよう装着された3つのモータ組立体50を示す、流体流制御装置10の、空気入力端部または後方および空気出力端部または前方の両方の斜視図が図示されている。図示されているように、各モータ組立体50の中心を通る中心線は、各中心線間が120度の角度となるよう環状部品70の周りに等しく離間されている。環状部品70の周りにおけるこの角度変位は120度であるが、他の組み合わせも利用され得、各組み合わせが、利用されるモータ組立体50の個数に、および、流体流制御装置10が適用される特定的な用途に、大きく依存することは理解されるであろう。
【0094】
本願は、例示されているように、消火に適用された場合に特に有用である。各モータ組立体50は、各モータ組立体50上に設けられたファン流入フランジ52を通して空気を引き入れるファンロータまたはインペラ51を有する。各ファン流入フランジ52は、流体流制御装置10の空気流入領域の近傍に配置され、後方収容フランジ41を縁取る。モータ組立体50はモータ装着環状部品70内に装着され、外側カウル40はモータ装着環状部品70の周りに装着される。外側カウル40は、流体流制御装置10から発して流体流制御装置10を通る空気の流れを集中させるよう設計された円柱管形状のカウリングである。代替的に、外側カウルまたはナセル40は、流体流制御装置10から発し流体流制御装置10を通過する空気の流れを集中させるためのチャンバとして使用される空気力学的形状を有する環状カウリングである。外側カウル40は、基部20にボルト留めされた外側カウルコネクタ基部43に装着された2つのファンカウル支持体44を有する。ファンカウル支持体44は、モータ組立体50および外側カウリング40を基部20およびターンテーブル18に装着するためにカウルコネクタ基部43を通して接続された内部に環状部品装着ブラケット71および装着ボルト45を受容するためのアパーチャ47を有する。
【0095】
基部組立体20は、基部が枢動されること、または上方もしくは下方に傾斜されることを可能にする、いくつかの構成要素からなる。基部組立体20は、ハウジングとターンテーブル23との間に取り付けられた枢動装着組立体を有する。作動組立体19は、ターンテーブル18に対する角度位置を調整するために、ハウジング16を上下に動かす。枢動装着組立体は、ターンテーブル18に固定された第1基部部分24、25、26と、第1基部部分24、25、26に対して枢動可能に装着された第2基部部分26、27、28と、を有する。第1基部部分は、ターンテーブル18の上部に固定された装着プレート24を有する。2つの垂直直立ブラケット25が装着プレート24の両方の端部に装着されている。各ブラケット25は、ベアリング組立体26と、第2基部部分を第1基部部分に対して枢動可能に装着するために使用される枢動軸38と、を含む。ベアリング組立体26は、自動調心ベアリング組立体であり、1対のベアリング組立体26のうちの半体を、1対のベアリングのうちの他方の半体が第2基部部分27、28に装着される状態で、形成する。
【0096】
第2基部部分26、27、28は、基部支持プレート28の両端部に配置された2つの垂直傾斜ブラケット27を有するモータ組立体基部支持体28を有する。モータ組立体基部支持体28および2つの垂直傾斜ブラケット27は、垂直傾斜ブラケット27内に配置されたベアリング組立体26の周りに枢動される。枢動軸38は基部組立体20の両端部上に設けられた各ベアリング組立体26内に配置される。自動調心ベアリング組立体26は、自動調心ボールベアリング、球面ローラベアリング、または球面ローラ推進力ベアリングからなり得る。自動調心ボールベアリングは、内側リングおよびボール組立体が球形状の軌道を有する外側リング内に含まれた状態で構築される。この構成は、ベアリングが、軸もしくはハウジングの撓みまたは不適切な装着に起因する軽微な角度のずれを許容することを可能にする。球面ローラベアリングは、低摩擦での回転を可能にし、かつ、角度のずれを許容する、転がり軸受である。通常、これらのベアリングは、外側リングに対してずれている場合がある内側リングのボアにおいて回転軸を支持する。位置のずれは、外側リングおよび球面ローラの球面内部形状のために、可能である。球面ローラスラストベアリングは、低摩擦での回転を可能にし、かつ、角度のずれを許容する、スラスト型の転がり軸受である。ベアリングは、径方向負荷と、1方向における軸方向負荷と、を受け取るよう設計される。
【0097】
第2基部部分をベアリング組立体26および枢動軸38の周りに動かすにあたり、作動組立体19は、ターンテーブル18に対する流体流制御装置10の垂直角度位置を調整するために、第1基部部分と第2基部部分との間に装着される。作動組立体19は、延長バネ棒36を有する線形アクチュエータ29を有する。延長バネ棒36は傾斜架台30を介して垂直傾斜ブラケット27の上部に固定され、アクチュエータ29の対向端部は固定端部ブラケット31を介して基部支持体28に固定される。アクチュエータ29の動作および延長バネ棒36の伸長または収縮により、流体流制御装置10の垂直角度位置が、動作のために要求される位置に適合するよう、上方または下方に調節されることとなる。電動アクチュエータ29が図示および記載されているが、他種類のアクチュエータ29も利用可能であることが理解されるべきである。例えば、流体流制御装置10の垂直角度位置を上方または下方に調整し、それにより、動作のために要求される位置に適合するよう、延長バネ棒36を伸長または収縮させるために、液圧アクチュエータまたは空気アクチュエータおよび関連する構成要素も使用され得る。
【0098】
最終的に円弧の周りに流体流制御装置10を回転させるためにターンテーブル18は支持表面に対して装着されるかまたは装着可能であり得る固定基部部分21と、回転可能基部部分23と、からなる。ベアリング22などの回転手段が固定基部部分21と回転可能基部部分23との間に配置され、それにより、流体流制御装置10は垂直軸周りに時計方向または反時計方向に動くことが可能となる。
【0099】
図16では、流体流制御装置10に関するより詳細な図面が図示され、ここでは、モータ組立体50のうちの1つのモータ組立体50が分解図で示されている。なお明瞭化のために、基部組立体20、およびターンテーブル18は除外されている。
【0100】
各モータ組立体50は、ファン流入フランジ52、ファン組立体97、およびファン空気指向性カウル60からなる。ファン流入フランジ52は空気ストリームをファン組立体97に誘導するよう設計されている。ファン流入口または吸気口52は、自由ストリーム空気がファン組立体97に引き込まれるようホーン形状である。流入口または吸気口52はファン組立体97の上流に位置し、流入口52は流れに対して作用しないが、流入口性能はモータの正味推進力に強力な影響を有する。
【0101】
ファン組立体97は、ロータコーン56、ファンロータまたはインペラ51、ファンモータ54、ダクテッドファンハウジング59、および尾部またはaftコーン55を含む。ロータコーン56およびファン流入フランジ52は、ファン51に進入する際に空気流を層状または滑らかな状態に保つ。これによりダクテッドファンユニットの効率が向上する。ファンロータ51またはインペラの回転は、ファン組立体97を通して空気を駆動する。ダクテッドファンハウジング59は空気流を含み、空気流を誘導する。このハウジングの輪郭または形状は、ダクテッドファン組立体97の効率に対して重要である。ダクテッドファンハウジング59は、固定ブレード91を通過する際に空気流を直線化するステータまたは固定ファンブレード91もダクテッドファンハウジング59内に含む。ファン組立体97がシュラウド内に収容されているときにファンブレード51が回転すると空気が径方向および軸方向に移動される。空気がこのように回転することにより乱流が発生し得、その結果、ダクテッド空気ファン組立体の効率が低下することとなるであろう。ステータまたは固定ファンブレード91は、ブレード・ハウジング間の隙間が最少化されるようファンロータブレード51を中心に置くために、および、出力推進力が最大化されるようための内径を提供するために、設計される。ステータまたは固定ファンブレード91は乱流の低減化も支援する。
【0102】
ファンモータ54は、ファンロータ51を回転させるトルクを提供する。電気ファンモータ54が図示されているが、しかしファンモータ54が電気ファンモータのみに限定されるものではないことが理解されるであろう。他の動力の形態およびファンモータ54の種類は、例えば、作動液圧力により駆動される液圧モータ、または、空気圧力により駆動される空気ファンモータを含む。代替的に、ファンモータ54は高圧流体により駆動され得る。例えば、軸流ファンを駆動するシャフトの前端部に設けられた水力駆動径方向流入タービンが挙げられる。ファンモータ54は交流または直流のいずれかにより駆動され得る。aftコーン55は、ファンモータ54を通過する空気により生じる乱流を低減または最少化する。
【0103】
ファン空気指向性カウル60は、ファン組立体97により生成された空気を、前方カウルまたは空気流出口42を通して流出させ、空気出力領域へと誘導する。ファン空気指向性カウル60は、ファン組立体97の後方端部に装着されるかまたはファン組立体97の後方端部に当接する一方の端部61と、空気流出口を形成し、かつ、前方カウル42内におよび前方カウル42の近傍に配置される対向端部62と、を有する。ハウジング63は、端部62の前方に配置され、端部62に対して当接する。ハウジング63はコネクタアーム64を介して端部61に取り付けられる。コネクタアーム64は、ハウジング63が、端部61から向かって、および端部61から離間する方向に、移動可能または長手方向に延長することが可能となるよう適応される。これにより、各モータ組立体50を通過するかまたは各モータ組立体50から放出される特定の空気が効率的に制御され、前方カウル42により画成された空気出力領域から流れる空気ストリームをユーザがさらに微調整することが可能となる。したがってハウジング63は、コネクタアーム64上に配置されたアクチュエータ(図示せず)により、流体流制御装置10の要件または用途に関して決定された位置まで、自動的に伸長または収縮されることが可能である。代替的に、特定の用途に対する必要性が生じた場合には、ハウジング63はコネクタアーム64およびファン空気指向性カウル60から完全に取り外されることが可能である。その一例としては、適度な距離における流体飽和を向上させる目的などが挙げられる。
【0104】
各モータ組立体50は、ファン組立体97のいずれかの側に取り付けられ、かつ、装着ボルト58によりモータ装着環状部品70に保持される、ブラケット53により、装着されるかまたは装着可能である。3つのモータ組立体50の全部はモータ装着環状部品70の周りに同様の様式で保持される。モータ装着環状部品70は、外側カウル40に設けられたアパーチャ47を通り、かつ、ボルト45によりモータ基部コネクタプレート43に固定された、装着ブラケット71により、外側カウル支持体44を通して装着される。次にモータ基部コネクタプレート43はボルト46によりモータ組立体基部支持体28に固定されるであろう。
【0105】
図16にも示されているように、ハウジング16の前端部または空気流出端部には、流体が、モータ組立体50からの空気推進により影響されることが可能となるよう、流体流組立体80が配置される。流体流組立体80は、流体流入口84、配管81、T字接合部品83、および流体流出口82からなる。流体流出口82およびT字接合部品83はハウジング16の中心を通る中心線軸35に対して実質的に位置合わせされている。流出口82に対して反対側にあるT字接合部の端部はモータ装着環状部品70の中央支持体76に固定される。流入口84は基部組立体20に装着されたブラケット(図示せず)に固定される。流体流組立体80は、流体流制御装置10が定位置へと誘導される際に後退して流体ホース(図示せず)を放出するよう設計された流体流入口84に固定された汎用枢動アタッチメントを含み得る。
【0106】
図18には、基部組立体20、ターンテーブル18、および作動組立体19が示されている。ターンテーブル18は、表面(図示せず)に対して装着されるかまたは装着可能である固定基部部分21を有する。表面は、延長ブームまたはハシゴを有する車両であってもよく、または単に固定されたプラットフォームであってもよい。プラットフォーム型は、おもに流体流制御装置10が利用される用途に依存する。ターンテーブル18は装着プレート24に装着された回転基部部分23も有する。円弧の周りに回転するために、固定基部部分21および回転基部部分23は、回転底部部分23が固定基部部分21の周りに時計方向および反時計方向に回転することを可能にするベアリング組立体22などの回転手段により離間される。
【0107】
ターンテーブル18は、ターンテーブルが時計方向および反時計方向の両方に駆動されることを可能にするための回転手段22に装着された駆動組立体(図示せず)も有する。通常、ターンテーブル18を回転させる動力は、減速ギアボックスを通してスプロケットまたは駆動ベルトを駆動する電動モータにより提供される。スプロケットまたは駆動ベルトは、ターンテーブル18上の回転基部部分23の周りの円形経路において固定的に保持されたチェーンまたは軌道に対して係合する。スプロケットまたは駆動ベルトが回転すると、回転基部部分23が回転させられる。代替的に、電動モータが単にベアリング組立体22に取り付けられたギアを駆動し、それによりターンテーブル18が回転し得る。
【0108】
駆動モータは上述のように交流または直流により駆動されてもよく、または代替的にモータは作動液圧力、高圧流体、または空気圧力により駆動されてもよい。ターンテーブル18は、流体流制御装置10の回転運動を抑制するためのリミットスイッチ(図示せず)も有する。通常、電気式リミットスイッチは固定基部部分21上に配置され、回転基部部分23および流体流制御装置10の全回転を事前決定された角度回転に制限するよう設定され得る。例えば、流体流制御装置10は、ターンテーブル18の過剰な回転を防止するために、時計方向および反時計方向の両方の動きをおよそ180度の円弧に制限し得る。代替的に、ターンテーブル18の回転を制限するためにターンテーブル18に対して固定された機械式リミットスイッチも利用され得る。
【0109】
上述の基部組立体20は、2つの構成要素、すなわち枢動装着組立体およびターンテーブル18からなる。枢動装着組立体は、ターンテーブル18に固定された第1基部部分24、25、26と、第1基部部分24、25、26に対して枢動可能に装着された第2基部部分26、27、28と、を有する。
図18には、第1基部部分の詳細図が示されており、ここでは、装着プレート24はターンテーブル18の回転基部部分23の上部に固定されている。第2基部部分26、27、28は、枢動軸38およびベアリング組立体26により、第1基部部分に対して枢動可能に装着されている。それにより、第2基部部分および流体流制御装置10は、垂直平面において上方および下方に動くことが可能である。基部支持プレート28には、いくつかの装着アパーチャ33、34が示されており、これらの装着アパーチャ33、34は、モータ環状部品70および外側カウリング40を基部支持プレート28に装着するために利用される。4つのアパーチャ33は、ファンカウルコネクタ基部43を基部支持プレート28に固定するボルト46を受容するよう適応される。4つのアパーチャ34は、モータ環状部品70およびモータ組立体50を基部支持プレート28に固定するボルト45を受容するよう適応される。対をなすアパーチャ34は、モータ環状部品70の基部支持プレート28に設けられたスロットにより接合され、流体流制御装置10を中心に配置して固定するために、ボルト45を受容する。アパーチャ34間のスロットは、各ファンモータ54に対して動力を接続するために利用され得る。例えば、電流により動力が供給される装置の場合には、各ファンモータ54のそれぞれに対して電力を供給するために、配線がスロットを経由して環状部品70へと通され得る。
【0110】
図18には、作動組立体もより詳細に示されている。上述のように第2基部部分をベアリング組立体26および枢動軸38の周りに動かすにあたり、作動組立体19は、ターンテーブル18に対する流体流制御装置10の垂直角度位置を調整するために、第1基部部分と第2基部部分との間に装着される。線形アクチュエータ29は、固定端部ブラケット31およびアクチュエータ基部プレート32を介して基部支持体28に固定される。基部プレート32は装着ネジ39により基部支持プレート28に固定され、次に固定端部ブラケット31は基部プレート32に固定される。これにより、アクチュエータ29の一方の端部が固定され、対向端部または延長バネ棒端部36は傾斜架台30を介して垂直傾斜ブラケット27の上部に装着される。アクチュエータ29の動作および延長バネ棒36の伸長または収縮により、流体流制御装置10の垂直角度位置が、動作のために要求される位置に適合するよう、上方または下方に調節されることとなる。作動組立体19は、ターンテーブル18に対する角度位置を調整するために、ハウジング16を上下に動かす。作動組立体19は、アクチュエータ29の伸長を制限するための、電気式または機械式のいずれかのリミットスイッチも含む。
【0111】
図19~
図25には、モータ環状部品70、モータ組立体50、および外側カウリング40がより詳細に示されている。
図19および
図20では、外側カウリング40は、カウリング40の周縁部の周りに延長する外側表面48と、同様に、内部表面49と、を有する。外側カウリング40は、航空機エンジンナセルの設計と同様の方法で設計されている。外側カウリング40の設計は、外部形状および流入口内側の幾何学的形状の両方に対して注意が払われることを要求する。基本的に外側カウル40は、モータ組立体50を包囲する空気力学的構造体である。カウル後方収容フランジ41の外側曲率は内側輪郭形状と同様に重要である。外側カウル後方収容フランジ41はファンロータまたはインペラ51の前方に配置され、外側カウル後方収容フランジ41は、モータ組立体50を包囲し、かつ、モータ組立体50に対して実質的に同一の広がりを持つ、外側カウル本体48に固定される。各ファン流入フランジ52は、各ファン流入フランジ52が、外側カウル後方収容フランジ41および外側カウリング40に対して位置合わせされた状態で、または外側カウル後方収容フランジ41および外側カウリング40の外側にある状態で、着座するよう、外側カウル後方収容フランジ41を越えて延長する。ファン流入フランジ52および3つのモータ組立体50は、3つのファン流入フランジ52の周りに描かれた略三角形の形状が形成されるよう、環状部品70に配置される。外側カウル後方収容フランジ41に対してファン流入フランジ52をどのように配置するかは、キャビテーションを発生させ得る不均等な空気圧を回避するにあたり重要である。外側カウル40は、軸方向に延長する環状ダクトを画成し、この環状ダクトは、ファン空気指向性カウル60のコアモータ放出面または端部62の上流側にある空気放出面または前方カウル42において終端する。
【0112】
外側カウル40は、モータ環状部品装着ブラケット71および関連する装着ボルト45を受容するために、2つのスロット状のアパーチャ47を有する。アパーチャ47は内側表面49から外側表面48まで外側カウル40を貫通する。ファンカウル支持体44は、外側カウル40の底部表面から延長し、外側カウル40の底部に設けられたアパーチャ47に対して位置合わせされている。環状部品装着ブラケット71および装着ボルト45は、アパーチャ47を貫通する。環状部品70がファンカウルコネクタ基部43に対して装着されるかまたは装着可能であり得る。
【0113】
図21および
図22には、モータ組立体50を有する環状部品70の背面図および正面図が示されている。環状部品70は中央コア支持体76を有し、中央コア支持体76から3つの環状部品モータ装着アーム部72が、中心から環状部品内側表面74まで外向きに延長する。モータ補強アーム79が環状部品モータ装着アーム部72から延長し、モータ補強アーム79に対してモータ組立体50が固定される。モータ補強アーム79は、一方の端部において環状部品モータ装着アーム部72に固定され、他方の端部において環状部品70の内側表面74に固定される。各モータ組立体50は、環状部品内側表面74と、環状部品モータ装着アーム部72、中央コア支持体76、およびモータ補強アーム79のうちの少なくとも1つと、上に、または、これらにより、支持される。環状部品70の中心を通りその周りを通過する任意の空気に対して流線型化された進入を提供するために、モータ環状部品70の後方端部において、コーン73が中央コア支持体76の端部の上方に配置される。
【0114】
図22には、モータ組立体50が環状部品70の周りにおいて等距離に装着された状態にある、環状部品70の前部または空気流出端部が示されている。モータ組立体50は、各モータ組立体50の外側の周りに一定距離延長する装着アーム部53によりモータ補強アーム79に装着される。ボルト58は、モータ組立体50および装着アーム部53をモータ補強アーム79に固定する。この端部からは、流体流組立体80も、環状部品70の中央に配置され、一方の端部において中央コア支持体76に装着される。流体流入口84は基部組立体20のおよそ近傍に配置され、流体流入管81は環状部品70の中心に向って上向きに延長する。T字接合部品83は、T字接合部品83の一方の端部が流体流出口82に向かって延長し、かつ、他方の端部が中央コア支持体76に装着される状態で、流体流入管81の端部に対して装着される。
【0115】
流体流出口82からの放出時における流体流の方向および特性を制御するために、ノズル(単数または複数。図示せず)が流体流出端部82上に装着され得る。通常、ノズルは単に、断面積が変動し、かつ、流体(液体または気体)の流れを誘導または変更させるために使用される管またはチューブである。ノズルは、多くの場合、ノズルからの流出時におけるストリームの流れの速度、スピード、質量、形状、および/または圧力を制御するために使用される。本発明は、流体流出口82の端部におけるノズルの有無に関わらず、使用が可能である。ノズルは流体流制御装置10、200が利用される用途に応じて使用される。例えば、消火用途に使用される場合、ノズルは、鎮火のために消火流体を分散させるために使用されるであろう。ノズルは、モータ組立体からの推進力と組み合わされると、高速度流体ストリームを提供する。この高速度流体ストリームは、高温および強烈な火炎のために鎮火のために消火隊が充分に接近することが不可能である場合には、消火において極めて有用である。ノズル(単数または複数)は、ノズルから放出される流体ストリームを変化させるために遠隔制御されてもよい。ノズルは、流体の要求される出力に適合するよう、異なる用途に対して相互交換可能であってもよい。例えば、発泡ノズルが消火用途において使用され得る。
【0116】
図23には、モータ環状部品70および3つのモータ組立体50の分解斜視図が示されている。モータ組立体50が環状部品70から取り外された状態で、ボルト58がそこを貫通してモータ組立体50および装着アーム部53をモータ補強アーム79に固定する装着アパーチャ75が示されている。これは、環状部品70が示される
図24および
図25においてさらに図示されている。
【0117】
図25においても示されているように、環状部品装着ブラケット71は環状部品70の底部から取り外されている。環状部品装着ブラケット71は、ボルト45を受容するためにブラケット71を上部から底部まで貫通するアパーチャ77を有する。装着ボルト45は、環状部品70がファンカウルコネクタ基部43に対して装着されるかまたは装着可能となるよう、アパーチャ77と、環状部品70にも受けられた対応するアパーチャ78と、を通り抜ける。
【0118】
図26~
図31には、構成要素部品に分解された状態のモータ組立体50が示されている。
図26には、モータ装着環状部品70から取り外された3つのモータ組立体50が示されている。流体流組立体80と、流体流入口84、流入管81、T字接合部品83、および流体流出口82を含む、流体流組立体80の構成要素部品と、も
図26において示されている。上述のように、T字接合部品83は、T字接合部品83の一方の端部が流体流出口82に向かって延長し、かつ、他方の端部が中央コア支持体76に装着される状態で、流体流入管81の端部に対して装着される。
【0119】
各モータ組立体50は、ファン流入フランジ52、ファン組立体97、およびファン空気指向性カウル60を含む。ファン流入フランジ52は空気ストリームをファン組立体97に誘導するよう設計されている。
図27には、ファン組立体97のいずれかの側に取り付けられ、かつ、アパーチャ69にボルト58を装着することによりモータ装着環状部品70に保持される、ブラケット53が示されている。いずれかの端部における装着ブラケット53は、ファンハウジング59に対して、装着ブラケット65に対して、装着されるかまたは装着可能であり、締結具66により定位置に保持される。ブラケット53の両端部は、モータ装着ブラケット53をファンハウジング59に固定するために締結具66を受容するための螺刻アパーチャを有する。3つのモータ組立体50の全部はモータ装着環状部品70の周りに同様の様式で保持される。
【0120】
図28および
図29には、それぞれ、流体流制御装置10、200において利用されるファン組立体97の斜視側面図および分解斜視図が示されている。ファン組立体97は、ロータコーン56、ファンロータまたはインペラ51、ファンモータ54、ダクテッドファンハウジング59、尾部またはaftコーン55、装着ブラケット65、および締結具66を含む。ロータコーン56およびファン流入フランジ52は、ファン51に進入する際に空気流を層状または滑らかな状態に保つ。ファンモータ54に動力供給するための動力導入口57も
図28および
図29に示されている。液圧式または他の形態の駆動源が使用される場合、導入口は対応するホースまたは送気管導入口57となるであろう。ファンロータ51またはインペラの回転は、ファン組立体97を通して空気を駆動する。ファンモータ54は、ファンロータ51を回転させるトルクを提供する。ファンモータ駆動軸67はファンモータ54の前端部から延長する。駆動軸67はファンハウジング59を通り抜け、インペラまたはファン51に取り付けられたインペラ駆動連結部68内に配置される。ロータコーン56は、ファン51をファンモータ駆動軸67に固定するために、インペラ駆動連結部68の前端部に固定される。
【0121】
電気ファンモータ54が図示されているが、しかしファンモータ54が電気ファンモータのみに限定されるものではないことが理解されるであろう。モータ54に動力供給する他の形態は、例えば、作動液圧力、水圧、または、空気圧力によるものを含む。ファンモータ54は交流または直流のいずれかにより駆動され得る。aftコーン55は、ファンモータ54を通過する空気により生じる乱流を低減または排除する。
【0122】
図30には、空気流を含み、モータ組立体50を通して空気流を誘導する、ダクテッドファンハウジング59が示されている。このハウジングの輪郭または形状は、ダクテッドファン組立体97の効率に対して重要である。ダクテッドファンハウジング59は、通過する際に空気流を直線化するステータまたは固定ファンブレード91もダクテッドファンハウジング59内に含む。ファン組立体97がシュラウド内に収容されているときにファンブレード51が回転すると空気が径方向および軸方向に移動される。空気がこのように回転することにより乱流が発生し得、その結果、ダクテッド空気ファン組立体の効率が低下することとなるであろう。ステータまたは固定ファンブレード91は乱流の低減化も支援する。ファンステータブレード91は、一方の端部においては、ダクテッドファンハウジング内側表面90に対して保持され、他方の端部においては、中央支持体92に対して保持される。中央支持体92は、一方の側からはファンモータ駆動軸67を、および反対側からはインペラ駆動連結部68を、受容するためのアパーチャ93もハウジング59の中心に有する。
【0123】
図31には、ファン組立体97から生成された空気を前方カウルまたは空気流出口42を通して流体流制御装置10の空気出力領域へと外部に誘導するファン空気指向性カウル60が示されている。ファン空気指向性カウル60は、ファン組立体97の後方端部に装着されるかまたはファン組立体97の後方端部に当接する一方の端部61と、空気流出口を形成し、かつ、前方カウル42内におよび前方カウル42の近傍に配置される対向端部62と、を有する。ハウジング63は、端部62の前方に配置され、端部62に対して当接する。ハウジング63はコネクタアーム64を介してファン組立体97の後方端部に当接する端部61に取り付けられる。端部105は、ハウジング63と空気流ファンカバー103との間に間隙が存在するよう、空気流ファンカバー103から一定距離だけ離間する。上述のように、コネクタアーム64は、ハウジング63が、端部61に向かって、および端部61から離間する方向に、移動可能または長手方向に延長することが可能となるよう適応される。
【0124】
コネクタアーム64はアーム102によりハウジング63に装着される。アーム102は、空気流ファンカバー103に向かって延長し、かつ、空気流ファンカバー103に取り付けられた、長手方向延長部材101を有する。ファン空気指向性カウル60が形成されるよう、ハウジング63と、空気流ファンカバー103から一定距離に配置された端部105と、を接合および固定するために、スリーブ106は長手方向延長部材101を受容するための空気流ファンカバー103に装着される。アクチュエータ(図示せず)は、ハウジング63が、端部61に向かって、および端部61から離間する方向に自動的に伸長するよう遠隔操作されることを可能にする。アクチュエータは、コネクタアーム64上に、または空気流ファンカバー103上に、配置され得る。ハウジング63が、空気流ファンカバー103に向かって、および空気流ファンカバー103から離間する方向に、延長することが可能となるよう、アクチュエータは好適にはスリーブ106と延長部材101との間に装着される。したがって、これにより、ハウジング63の端部105とファン空気指向性カウル60の空気流ファンカバー103との間の距離が自動的に変化することとなる。ハウジング63の距離および位置における変化は、モータ組立体50からの空気ストリームを、および、どのように空気ストリームが流体流制御装置10に対して相互作用するかを、を制御する上で重要な要因であり、流体流制御装置10からの流体の分散を制御する。これは、消火のために遠方において安定的なエアシャフト(air shaft)を有する水および抑制剤の特定の送達を制御するにあたり特に重要である。
【0125】
同様に、特定の用途に対する必要性が発生した場合には、ハウジング63はコネクタアーム64およびファン空気指向性カウル60から完全に取り外し可能である。その一例としては、適度な距離における流体飽和を向上させる目的などが挙げられる。また、ブレードが分離した場合にブレード断片を捕捉するために、ケブラー複合材料バリア(図示せず)が空気流ファンカバー103の周りに巻き付けられてもよい。
【0126】
空気流ファンカバー103の内側表面104は空気流ファンカバー103を通り抜けるアパーチャ100を有する。アパーチャ100は、電源ケーブル、ホース、または導管がファン空気指向性カウル60を通り抜けてファンモータ54に達することを可能にするために利用される。
【0127】
図31の組立体において本質的に図示されているように、気圧差を生じさせ、それにより、一定距離にわたり空気の緻密な円柱を集中させるために、高圧空気はそれぞれ、ハウジング63の外側と、中央と、を通過するであろう。
【0128】
図33には、流体流制御装置10、200の例示的使用法が示されている。流体流制御装置10、200は、図示のように、建造物14における鎮火のために消火活動において使用される。流体流制御装置10、200は、一方の端部において多関節アーム12に対して取り付けられたプラットフォーム15上に装着される。通常、多関節アーム12は車両またはタンク車13に取り付けられる。流体流制御装置10、200は建造物14内の火に向かって集中された流体ストリーム11を高速度で散布する。前述のように、流体流制御装置10、200は、空気強制流体ストリーム11が、鎮火するにあたっての正確な姿勢を取るように、プラットフォーム15の周りで円弧の周りに垂直方向に回転するよう、かつ、上下方向に垂直に動くよう、遠隔操作が可能である。
【0129】
車両13は、タンク車13として記載されているが、多数の異なる車両13の形態を取り得る。車両13は、それにより、もしくはその中で、人が移動するか、または物が搬送もしくは輸送されるための、任意の手段として解釈される。例えば、これは、任意の陸上、空中、または水中の車両を含み得、車両は有人または無人であり得る。例えば、無人の場合、流体流制御装置10、200は遠隔制御される車両上に装着され得、操作員が、安全な場所から遠隔的に装置を制御することが可能である。閉回路テレビジョン(CCTV)では、ビデオ・カメラを使用して信号の特定の場所に、限定された台数のモニタに対して、転送される。遠隔制御される車両は、クローラ軌道または類似した装置を両側に有するシャシーと、クローラ軌道または類似した装置を独立的に前進させるためにシャシー内に搭載されたモータと、を有する。
【0130】
図34には、流体流制御装置10、200の制御可能な属性の全部を制御するよう設計された流体流れ制御システム110の概略ブロック図が示されている。当該システムの中核は、単に単一の集積回路上の小型コンピュータであるマイクロコントローラ120である。マイクロコントローラ120は、命令により指定された算術、論理、制御、および/または入出力(I/O)演算を実行することによりコンピュータプログラムの命令を実行するマイクロコントローラ120内の電子回路を提供する中央処理装置(CPU)121を含む。マイクロコントローラ120はメモリおよびプログラム可能な入力/出力周辺装置も含む。代替的に、マイクロプロセッサ120は、マイクロコントローラと正確に同一の機能を実行するが単一の集積回路ではない、コンピュータ120により置き換えられ得る。コンピュータ120は、コンピュータ120を形成するよう接合されたいくつかの個別の回路からなる。
【0131】
マイクロコントローラ120の入出力周辺装置のうちの1つの周辺装置は温度検出回路122である。温度検出回路122は、各ファンモータ54の近傍に配置された温度センサ123に接続された入出力からなる。温度検出回路122は、最大作動温度が超過された場合にファンモータ54を遮断するよう設計された遮断回路を含む。他の入出力は、ケーブル119によりマイクロコントローラ120に接続された主要コントロールパネル111に対する入出力である。代替的に、ケーブル119は、マイクロコントローラ120および主要コントロールパネル111に組み込まれたワイヤレス通信技術の使用により置き換えられ得る。ワイヤレス通信は、電気導体により接続されていない2つ以上の地点間における情報または動力の転送である。最も一般的な種類のワイヤレス通信は無線通信であるが、必ずしも無線通信に限定されない。
【0132】
主要コントロールパネル111は、ファンモータ54の動作を制御するいくつかの構成要素からなる。これらの構成要素は、流体流制御装置10、200に対する主要動力を制御するマスターonスイッチ113およびマスターoffスイッチ114を含む。各ファンモータ54に対して1つのスイッチを含むファンモータon/offスイッチ118は、各ファンモータ54を個別的に制御可能である。モータスピード制御スイッチ112は、各モータのスピードを個別的に制御するための、または3つのファンモータ54の全部を一緒に制御するための、ロータリースイッチである。モータ制御スイッチ112はモータ制御器126を制御する。このモータ制御器126は、電気式ファンモータ54に対して、電源125からファンモータ54のうちの各ファンモータに供給される電圧および/または電流を制御する。モード選択スイッチ115は、各モータ54の制御を含む様々な機能を選択または選択解除するために使用され得る。PGS116は、主要制御器111から始動シーケンスを起動するために使用される。これは、すべての電子回路が互いに通話または通信する状態にあること、および流体流れ制御システム110が各ファンモータ54を稼働させる準備が整った状態にあることを基本的に確認する。
【0133】
主要コントロールパネル111はLEDフラットパネルディスプレイ117も有し、このLEDフラットパネルディスプレイ117は、発光ダイオードの配列をビデオディスプレイのためのピクセルとして使用する。これは、各ファンモータ54のスピード、起動インジケータ、全ファンモータ54のうちの各ファンモータ54の温度などの制御項目またはパラメータの視覚的表示を提供するが、制御項目またはパラメータは、必ずしもこれらに限定されない。
【0134】
図34に図示されているように、流体流れ制御システム110は別個の方向制御ユニット140も含む。代替的に指向性制御ユニット140は主要コントロールパネル111上に含まれてもよい。指向性制御ユニット140は、ターンテーブルモータ141、214を、傾斜テーブルモータ142を、およびハウジング63が端部61に向かってまたは端部61から離間する方向に自動的に延長されるよう遠隔操作されることを可能にするアクチュエータまたは空気方向カウルアクチュエータを、操作するための制御を含む。流れ制御装置200に対して、方向制御ユニット140は、外側ハウジング240およびモータ組立体50が上昇および下降されるよう作動組立体230も制御する。ターンテーブルモータ141、214は、ターンテーブル18、210内に形成され、円弧周りに時計方向および反時計方向の両方にターンテーブル18、210を駆動させるように制御するよう動作する。傾斜テーブルモータ142は線形アクチュエータ29内に配置され、伸長および収縮させ、それにより、ターンテーブル18に対する流体流制御装置10の垂直傾斜を制御するために操作される。空気指向性カウルアクチュエータは、モータ組立体50からの空気ストリームを制御するために、ハウジング63が空気流ファンカバー103に向かって、および空気流ファンカバー103から離間する方向に、伸長することが可能となるよう、スリーブ106と延長部材101との間に装着される。
【0135】
方向制御ユニット140は、電源145およびリミットスイッチ143も搭載する。リミットスイッチ143は、水平方向および垂直方向の両方における流れ制御装置10、200の、および、長手方向における流れ制御装置10上のハウジング63の、移動を制限する。ターンテーブルモータ141、214、傾斜テーブルモータ142、空気指向性カウルアクチュエータ、および作動組立体230に対する実際の制御装置は、基部上で枢動するスティックからなる入力装置として使用される簡単なジョイスティックであってもよく、その角度または方向を、制御装置が制御している装置に対して報告する。代替的に、任意の他の入力装置(例えばロータリースイッチもしくはモーメンタリースイッチ、または任意の他の方向パッド)も使用され得る。代替的に、流体流制御装置10に動力を供給するために作動液圧力を使用する場合、追加的な構成要素が、液圧オイル圧力、温度、およびオイルレベルを監視するにあたり必要となり得る。同様に、油圧システムは、液圧ポンプ、液圧流体槽、および関連するバルブおよびパイプも含み得る。
【0136】
流体流れ制御システム110は、流体流制御装置10、200を遠隔操作するための主要コントロールパネル111、マイクロコントローラ120、および方向制御ユニット140を搭載する単一の制御器からなり得る。制御器は、有線または無線の制御器であり得、ターンテーブル駆動組立体141、214、作動組立体230、傾斜テーブルモータ142、モータ組立体50、および流体流組立体80を遠隔操作するよう設計される。
【0137】
流体流れ制御システム110は、i)各モータ組立体50または全モータ組立体50のモータスピードと、ii)作動組立体230または傾斜テーブルモータ142を制御することによる支持構造に対する環状外側ケーシング40、240の角度位置と、iii)ターンテーブル駆動組立体141、214を制御することよる流体流制御装置10、200の回転位置と、iv)流体流組立体80の第1ポンプを制御することによる流体の流速と、のうちのそれぞれ1つを制御するよう設計される。
【0138】
使用時、流体流制御装置10、200には、ターンテーブル18、210、モータ組立体50のファンモータ54、作動組立体230または傾斜テーブルモータ142、空気指向性カウルアクチュエータ、および作動組立体19に動力を供給するための動力源が提供される。または電源は、マイクロコンピュータ120、主要コントロールパネル111、および方向制御器140を含む流体流れ制御システム110に電力を提供するためにも使用される。マスター電源スイッチ113が投入されると、上述の構成要素またはシステムの全部に対して電源が利用可能となる。次に各ファンモータ54は、スイッチon/offスイッチ118をon位置に切り替えることにより、電力が投入される。スイッチ118がon位置に設定された後、モータ54のスピードはスピード制御スイッチ112により制御され得る。各モータ54のスピードは次第に増加し、安定化するかまたは事前決定されたスピードに設定されると、高速度の空気流が、流体流制御装置10、200上で、入力空気領域から出力空気領域まで生成されるであろう。流体流制御装置10に関しては、空気カウル指向性アクチュエータは、この時点で、モータ組立体50からの所望の空気ストリームを作るために調整され得る。
【0139】
流体流制御装置10、200が動作するにあたり正確な方向に位置決めされるためには、要求される方向における地点に流体流制御装置10、200を移動させるために、ターンテーブルモータ141、214と、作動組立体230のアクチュエータ231または傾斜テーブルモータ142と、の両方に電力が供給される。流体流制御装置10、200の正確な方向における位置決めは、第1に、流体流制御装置10、200が、流体流制御装置10200の垂直軸を中心に円弧の周りに時計方向または反時計方向に動くよう、ターンテーブル18、210を調整するために、方向制御器140を使用すること、および、第2に、流体流制御装置10の上方向または下方向の垂直位置を調整するために作動組立体19を、または流体流制御装置200に対して作動組立体230のアクチュエータ231を、調整することにより、達成される。正しい位置または方向に向けられた後、流体容器に機械的に連結され、かつ、流体を容器から流体流入口84に第1圧力で少なくとも部分的にポンプ圧送するよう構成された、第1ポンプに通電することにより、流体流組立体80に、流体が供給される。それにより流体は、中心線35の近傍に、かつ、流体流制御装置10、200の空気出力領域内に、配置された流体流出口82に提供され、その結果、流体流制御装置10、200から出力が生成される。流体流制御装置10、200からの出力により、ファンモータ54の推力から生成された強制空気流と、流体流出口82からの流体と、が混合される。
【0140】
流体流制御装置10、200により供給される流体は高速度で分散される。係る分散は消火において特に有用である。ファンモータ54およびモータ組立体50により生成された推力により、流体流出口82から放出される流体は強制的に微細な液滴に、またはミストとして、長い距離にわたって分散される。流体流制御装置10、200によりカバーが可能な潜在的な表面積は非常に大きく、現時点での消防士の能力を顕著に改善する消火能力を提供する。流体流制御装置10、200から散布される流体の性質も、鎮火にあたり要求される流体の量を顕著に減少させる一因である。流体流制御装置10、200は、空気流および抑制剤を調節する能力を提供する。例えば、生じ得る異なる状況に対する水および泡が調節され得る。
【0141】
前述のように、本発明が適用可能な用途の個数は多数である。われわれは、これまで消火の分野に対する代表的な適用のみを主に提供してきたが、代表的な用法に関する以下の要約も提供する。なおこの要約のみが、本発明に関する限定された用法であることは、決してない。本発明の流体流制御装置10、200は以下にあげる項目において利用可能である。すなわち、
1.粉塵抑制:流体流制御装置10は、粉塵を抑制または軽減するために、および悪臭の軽減化するためにも、使用され得る。粉塵抑制は、重工業、特に開放環境に存在する重工業(例えば、容易に空気を汚染する鉱山、道路、滑走路または建設現場)において、重要である。
2.正圧換気:本発明は、巨大構造物(例えばトンネル、鉱山、ホール、倉庫、高層ビル、ショッピングモール、など)に関連する消火において使用するためのポータブル型正圧換気送風機を提供し得る。
3.化学物質およびエアロゾルの噴霧:本発明が有するポータブル性のために、本発明は、化学物質およびエアロゾルの散布(例えば蚊のスプレー)に用いられる。
4.クラウドコントロールのための地域拒否兵器:本発明が車両上または車両内に搭載可能であるため、流体流制御装置10はクラウドコントロールの分野で利用可能である。流体(例えば水、またはいくつかの場合では、トウガラシ・スプレー)と組み合わされた空気の噴流は、群衆または無秩序な暴動を分散させるために容易に利用され得る。
5.工業洗浄:高速度の空気および流体の組み合わせは、安全、環境的に持続可能、および責任のある方法で、維持設備および施設を洗浄するよう設計され得る。
6.周辺温度の冷却:上述のように、流体流制御装置は、微細ミストを分散させるための流体流出口に接続されたいくつかのノズルも含み得る。これは、参加者を冷却するためにコンサートなどのイベントにおいて屋外に対して特に有用である。
7.人工降雪:本発明は、降雪(水および圧搾空気を低温の流体制御装置内に強制的に通過させることによる雪の生成)の分野でも利用され得る。
8:軽量航空機または他の車両に対する推力源:いくつかの異なる車両は本発明により動力を供給され得る。例えば軽量航空機は、流体流制御装置を航空機の翼または胴体に取り付けることにより、動力を供給され得る。同様に、他の車両(ジェットボート、ホバークラフト、および自動車など)は、それぞれの車両に能力が付与されるように流体流制御装置を追加することが可能となるよう、改造され得る。
【0142】
流体流制御装置10、200は、多くの場合、鉄鋼、アルミニウム、および複合材料(例えばアラミドケブラー)から製造される。例えばモータ環状部品70、基部組立体20、支持構造体220、およびターンテーブル18、210は、鉄鋼または他の好適な材料(例えば航空機アルミニウム等級合金など)から製造される。モータ組立体50も、多くの場合は鉄鋼から製造されるが、ファン空気指向性カウル60または空気送達組立体250は例外であり、これらはアルミニウムから、またはガラス繊維からさえも、製造され得る。同様に、外側カウルまたはハウジング40、240は、アルミニウムまたはガラス繊維から製造され得る。
【0143】
ファンモータ54、ターンテーブルモータ141、214、および傾斜テーブルモータ142またはアクチュエータ231は、交流もしくは直流の電流または作動液により動力供給されるものとして説明されたが、システムが高圧流体または空気圧力により動力供給され得ることも理解される。そのため、代替的な動力供給に対して要求される任意の構成要素またはシステムも、本発明の範囲に含まれる。例えば、液圧動力供給システムは、好適には、貯蔵槽と、ポンプと、バルブおよび液圧流体伝達ラインの組み合わせと、を要求するであろう。同様に、空圧動力供給システムは、例えば、圧縮器、受けタンク、レギュレータ、バルブ、フィルタ、および好適な伝達ラインなどの構成品も含むであろう。
【0144】
流体流れ制御システム110は、流体流制御装置10、200の制御可能な属性のうちの全属性を制御するよう設計される。上述のように、マイクロコントローラ120、主要コントロールパネル111、および方向制御器140を含む、制御システム110の構成要素のうちの全構成要素は、個別のケース内にすべて収容される。代替的に、これらの構成要素のうちの全構成要素は、単一の制御器内に収容されてもよい。係る制御器は、有線または無線で、流体流制御装置10、200に接続され得る。
【0145】
利点
本発明が、全般に、流体の流れを制御するための装置に関するものであることは明らかであろう。さらに詳細には、本発明は、消火において有用な高速流体を生成する流体流装置を使用する消火機器に関する。
【0146】
本発明は、いくつかの異なる用途に利用され得る高速流体ストリームを提供する。かなりの長距離にわたり、かつ、幅広い形成分散円弧にわたり、流体の分散を制御する能力は、消火に対して特に適したシステムを提供する。流体流制御装置は、移動可能プラットフォーム(例えばタンク車の後部にすでに使用されているプラットフォームなど)に対して容易に搭載可能であり、いくつかの異なる消火用途に向って誘導され得る。例えば、本発明は、大きい熱伝達表面をもたらし、したがって、燃焼物に対して、より高い冷却能力をもたらす。
【0147】
先行技術とは対照的に、本発明は、燃焼対象を包み込む流体(例えば水または泡など)を直接的に炎に対して、従来の消火方法では達成が不可能であった距離から、適用することが可能である。この特徴は、消防士が燃焼中の炎に対して近接することがもはや不必要となるため、消防士の安全をさらに向上させる。
【0148】
高スピードファンと組み合わされることにより流体が高速度で分散されるということは、消火にあたり必要とされる流体の量が減少することを意味する。例えば、本発明に係る流体流制御装置を使用して消火するために使用される水の量は、通常の消火方法よりも少ない。高速度下における分散により、水の微細ミストが長距離にわたり作られる。この微細ミストは、消火において、または粉塵抑制においても、有益であることが証明されている。微細ミストは、クラウドコントロールに対して、および単に人に対する冷却効果においても、有用であることが証明されている。流体流制御装置を使用して空気および水の両方の混合物を制御する能力は、いくつかの異なる種類の分散パターン、いくつかの異なる種類およびサイズの分散される液滴、いくつかの異なる量の分散される流体、およびいくつかの異なる分散範囲、いくつかの異なる流体の移動距離を、ユーザが提供することを可能にする。
【0149】
外側ハウジングまたはカウルおよび空気送達組立体の設計、特に、中央本体および支持支柱の位置および形状は、圧縮空気流を、集中させ、各モータ組立体のファン組立体から、流体流制御装置の開放された後方端部または流出口を通して、外部へと誘導する。後方端部または流出口において、集中された空気は、空気強制流体が生成されるよう、流体流出力と相互作用する。中央本体は魚雷状の形状を有する。ただし、この魚雷状の形状は、本発明では、水中における通常の魚雷の形状とは逆向きで利用される。この場合、空気流を集中させるために、圧縮空気は、空気が、空気送達組立体の外側ハウジングに向かって、および、各モータ組立体の出力ストリームに配置される半球状本体に向かって、誘導されるよう、頂点および円錐形状の本体の周りに誘導される。各構成要素の形状、位置、およびサイズは、圧縮空気の増強された推力を提供する。次のこの圧縮空気は、出力流へと集中される。この出力流は、流体流組立体からの流体と混合されたとき、本発明の流体流制御装置から空気強制流体が提供される。
【0150】
外側ハウジングおよび装着環状部品の内およびその周りにおけるモータ組立体の位置は高推進力空気出力を発生させることも支援する。高推進力空気出力は、流体流組立体からの流体流と相互作用し、その結果、消火または他の用途使用のための、流体の高速かつ集中された分散が生成される。
【0151】
都市部エリアにおける火災は、本発明を用いると、より効率的に制御下に置かれることが可能である。モータ組立体とノズルを組み合わせることにより微細ミストが生成され、この微細ミストが、炎に対して直接的に堆積され、燃焼物を封じ込める。ミストは、煙の抑制、および、燃焼する炎によりもたらされる煤粒子の抑制にも有用である。
【0152】
本発明の分散される流体により達成される距離は、消火要員がいかなる差し迫った危険にも晒される必要がなく、流体流制御装置が安全な距離において制御可能であることを意味する。
【0153】
本発明は、鉱山およびトンネル火災の分野において高レベルの有効性を証明した。流体流制御装置は、無人車両上に搭載可能であり、無人車両は、遠隔制御により鉱山トンネル内へと遠隔駆動され得る。ここでも再び消火要員は、この方法を用いることにより、いかなる差し迫った危険にも晒される必要がなく、安全な距離を保つことが可能である。
【0154】
本発明は、特に空港における消火の分野および同様の適用分野に対して、タンク車に搭載されることが可能である。洗練されたノズル技術も、従来の消化器噴流よりも効率的な消火を可能にする1つの要因である。微粒子化により、消火発泡剤は表面積が大きくなり、重量は減少する。したがって燃焼物は、全方位的に均等に封じ込められ、同時に火源も完全に抑制される。
【0155】
変化例
前述の説明が単に説明的な事例として与えられたものに過ぎないこと、および、当業者に明らかとなるであろう他のすべての変更および変形が、本明細書で説明される本発明の広範な範囲および趣旨に含まれると考えられることが理解されるであろう。
【0156】
請求される発明主題を実施するにあたっての、発明者らに知られている最良の形態が存在する場合には係る最良の形態を含む、請求される発明主題の様々な実質的かつ特定的に実践的および有用な例示的な実施形態について、説明文および/または図示により本明細書で説明した。本明細書で記載の1つまたは複数の実施形態の変化例(例えば変更例および/または強化例)は本願を読むことにより当業者に明らかとなるであろう。発明者らは、当業者が係る変化例を適宜用いることを期待し、発明者らは、請求される発明主題が、本明細書で特に説明した以外の方法で実施されることを意図する。したがって、法令の許す範囲内で、請求される発明主題は、請求される発明主題のすべての均等物、および請求される発明主題に対するすべての改善を含む。さらに、上述の要素、活動、および本発明に関するすべての可能な変化例のすべての組み合わせは、明記なきかぎり、明らかにかつ特定的に否認なきかぎり、または別様に文脈に明確な矛盾がないかぎり、請求される発明主題に含まれる。
【0157】
本明細書で提供されるあらゆるすべての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に1つまたは複数の実施形態をより良好に明らかにすることを意図するものであり、特記なきかぎり、任意の請求される発明主題の範囲に制限を加えない。本明細書における任意の言語は、いかなる請求されない発明主題も請求される発明主題を実施する上で必要不可欠であるものとして、解釈されるべきではない。
【0158】
したがって、本願の任意の部分(例えば、タイトル、分野、背景、概要、説明、要約、図面、その他)の内容に関わらず、例えば、明確な定義、表明、または議論などを介してこれに反するとの明記なきかぎり、または、出願当初または別様の、本願の任意の請求項、および/または、本願に優先権を主張する任意の出願の任意の請求項に対して、文脈に明確な矛盾がない限り、
(a)任意の特定的に説明または図示された特徴、機能、活動、または要素を、任意の特定的な順序の活動、または要素の任意の特定的な相互関係を、含むことは要求されず、
(b)いずれの特徴、機能、活動、または要素は、「必要不可欠」ではなく、
(c)任意の要素は、統合、分離、および/または複製されることが可能であり、
(d)任意の活動は反復されることが可能であり、任意の活動は複数の実体により実行されることが可能であり、および/または任意の活動は複数の権限において実行されることが可能であり、
(e)任意の活動または要素は、特定的に除外されることが可能であり、活動の順序は変更されることが可能であり、および/または、要素の相互関係は変更されることが可能である。
【0159】
様々な実施形態を説明する文脈における(特に以下の特許請求の文脈における)用語「a」、「an」、「said」、および「the」ならびに同様の指示語の使用は、本明細書において別段の指示がないかぎり、または文脈に明らかに矛盾するものでない限り、単数および複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。用語「comprising(備える)」、「having(有する)」および「containing(含む)」は、別段の記述がないかぎり、オープンエンド用語(すなわち「~を含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。
【0160】
本明細書では、第1ならびに第2、左ならびに右、上部ならびに底部、その他の形容詞は、必ずしも実際の係る関係または順序をまったく要求または示唆することなく、単に、1つの要素または動作を他の要素または動作から区別するためにのみ使用され得る。文脈が許すかぎり、1つの整数、構成要素、またはステップ(など)を参照することは、その整数、構成要素、またはステップのうちのただ1つに限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろその整数、構成要素、またはステップ、その他の1つまたは複数であり得る。