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特許7161488電動アクチュエータ及び各アクチュエータ用の制動手段を伴う流体移送ライン
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  • 特許-電動アクチュエータ及び各アクチュエータ用の制動手段を伴う流体移送ライン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ及び各アクチュエータ用の制動手段を伴う流体移送ライン
(51)【国際特許分類】
   B67D 9/02 20100101AFI20221019BHJP
【FI】
B67D9/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019553312
(86)(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 EP2018058354
(87)【国際公開番号】W WO2018178368
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】1752823
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505394208
【氏名又は名称】エフエムセ テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】カリム ユスフィ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン バネッソン
(72)【発明者】
【氏名】ピエール-エリク ボワン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02543624(EP,A1)
【文献】特表2016-515499(JP,A)
【文献】特開2007-078015(JP,A)
【文献】特開2007-196968(JP,A)
【文献】特開2016-003754(JP,A)
【文献】特開2008-043164(JP,A)
【文献】米国特許第04231398(US,A)
【文献】特表2009-505006(JP,A)
【文献】特表2011-515280(JP,A)
【文献】米国特許第04168611(US,A)
【文献】国際公開第2017/010404(WO,A1)
【文献】実開昭48-043462(JP,U)
【文献】特表2011-520718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵位置から目標ダクト(33)まで又はこの目標ダクト(33)から前記貯蔵位置までの流体移送用システム(10)において、一方の端部に前記流体移送用の前記目標ダクト(33)に対し連結されるように適応された結合システム(32)を含む管状流体移送ライン(22、23)と、各々起動用シャフト(205)を介して、空間内での前記移送ラインの運動を制御するための電動アクチュエータとを含むシステムにおいて、
前記移送ラインの前記運動を制御するための前記アクチュエータ(11~13、200)の各々が、出力シャフトを伴う電動モータ(201)と、減速装置(202)であって、起動トルクが直接適用された場合に起動用シャフト(205)が回転できるようにするための可逆的であるこの減速装置(202)を用いて前記モータ出力シャフトによって起動用シャフトが回転駆動されている、減速装置(202)と、運動制御が進行中であってアクチュエータ(11~13、200)がこの制御のために活動化されていない場合に前記アクチュエータ(11~13、200)を所定の位置にロックするための制動手段(17a~17e)とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記可逆的減速装置(202)が、遊星歯車列を伴う減速装置、平行シャフトを伴う減速装置又は直交シャフトを伴う減速装置であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記可逆的減速装置が、前記移送ラインに回転自在にリンクされた歯車(204)と係合させられているか、又は、その支持構造又は前記移送ラインを駆動するシステムに結合されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項4】
前記歯車(204)が、前記移送ラインのパイプの2つの区分を連結する1組のベンドのスイベル継手に対して、又は前記移送ラインのパイプ区分の回転駆動に役立つパンタグラフシステムに対して締結されていることを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
チェーン、歯付きベルト又は、少なくとも1つの滑車と、この滑車又はこれらの滑車に巻付けられたケーブルと、前記ケーブルにリンクされ可逆的減速装置を伴う前記アクチュエータの1つと係合した少なくとも1つの可逆的線形アクチュエータとを含む運動伝達システム(15)を介して、前記可逆的減速装置が、前記移送ライン又はその支持構造に結合されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制動手段(17a~17e)が、前記アクチュエータ内に統合された機械式ブレーキを用いてか又はモータ及び位置フィードバックを用いて前記制動を提供できることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記結合システムが、3つの回転自由度を伴って前記移送ラインの端部に連接式結合器(31)を含み、前記3つの回転自由度の少なくとも1つが電動アクチュエータによって制御されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記結合器(31)が、前記目標ダクト上への手動式又は電動式挟持を伴う結合器であり、電動式挟持の場合には、前記結合器の1つ以上の挟持用ジョーの起動用システムを駆動するように適応された少なくとも1つの電動アクチュエータを含むことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記結合システムには、カラーを用いて並置された2つのバルブを含む緊急解除システム(14’)が備わり、そのカラーの開放は、少なくとも1つの電動アクチュエータによって制御され、前記少なくとも1つの電動アクチュエータは同様に、前記バルブの少なくとも閉鎖を制御していることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記結合システムの前記電動アクチュエータが絶縁変圧器(46)を介して電気エネルギ供給源(52)に接続されているか、又は前記モータの前記シャフトと前記減速装置の間及び前記モータ上に電気的絶縁用部材を有し、前記結合システムが、その前記スイベル継手の1つの上に機械的な電気的絶縁用障壁を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記移送ラインの前記運動を制御するための前記電動アクチュエータには、前記移送ラインの構成を決定できるようにするために好適であるセンサ(16a~16e)が備わっていることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
電動式挟持を伴う前記結合器の前記電動アクチュエータ又は各々の電動アクチュエータ(31a~31d)には、挟持用ジョーとその起動用システムにより形成されたアセンブリの位置について知ることができるようにするために好適である測定用手段(16f~16i)が備わっていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記移送システムが、複数の電気結合器アクチュエータ(31a~31d)、及び前記結合器の各電動アクチュエータと結び付けられかつ(i)電流消費量についての情報に基づいて、前記結び付けられたジョーの各々において同一の挟持を提供しかつ前記目標ダクトに対する前記結合器の流体密封性連結を可能にすることができるように前記アクチュエータにより消費される電流を測定するための手段、(ii)前記結合器が前記目標ダクト上の挟持位置にあるか否かを知ることを可能にする測定用手段、(iii)前記挟持用ジョーとその起動用システムにより形成された前記アセンブリの速度及び/又はトルクのアセンブリの位置に応じた適応を可能にする測定用手段、又は(iV)前記緊急解除システムと結び付けられた前記電動アクチュエータの前記速度及び/又はトルクをこのシステムの前記バルブの前記位置に応じて適応させることを可能にする測定用手段を含むドライバを含むことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記緊急解除システム(14’)の前記電動アクチュエータ(14)には、前記緊急解除システムの前記バルブの前記位置について知ることを可能にするために好適である測定用手段(16j)が備わっていることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
空間内での前記移送ラインの前記運動を制御するための1つ以上の電動アクチュエータ(11~13、200)が、電気の生成を目的として電流を発生させるための手段と結び付けられていることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
空間内での前記移送ラインの前記運動を制御するための1つ以上の電動アクチュエータ(11~13、200)の起動用シャフトが、直接適用された起動用トルクから電気を生成するために電流発生器と結び付けられていることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
空間内で前記移送ラインの前記運動を制御するための前記電動アクチュエータ(11~13、200)のうちの1つ以上の電動アクチュエータの前記電動モータが、起動トルクが前記対応する電動アクチュエータの前記起動用シャフトに直接適用された場合に電流発生器モードへと動作を変換することのできるモータであることを特徴とする請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記移送システムが、空間内の前記移送ラインの前記運動及び/又は前記結合システムと結び付けられた前記電動アクチュエータ(31a~31d)の運動を制御するために、前記移送ライン(22、23)及び電動アクチュエータ(11~13、200)の既定のパラメータを記録できる少なくとも1つの測定用システムと、メンテナンス又は予防メンテナンス作業を実施する目的で、発生し得る機能不全を検出することのできる、前記測定用システムにリンクされた制御手段(44)とを含むことを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記移送システムが、前記移送ラインから一定の距離のところに位置する、前記移送ラインと結び付けられた前記電動アクチュエータの第1の制御手段(44)と、前記電動アクチュエータと結び付けられた前記1つ以上の測定用手段の第2の制御手段とを含み、前記第2の制御手段が、前記移送ラインの近傍で防爆型外装内に設置されていることを特徴とする請求項11~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記移送システムが、支持体との関係における空間内での3つの回転自由度を有する支持体上に組付けられた連接式配管(22、23)を含み、前記3つの回転自由度の各々における前記運動は、空間内での前記移送ラインの運動を制御するため前記電動アクチュエータの少なくとも1つによって制御されている、請求項1~19のいずれか1項に記載の移送システムを含む流体移送用の連接式アーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して流体移送システムに関し、より詳細には海洋荷積みシステム、特に1つの場所から別の場所までの流体の移送(荷積み及び/又は荷降し)用の連接式荷積みアームに関する。
【背景技術】
【0002】
流体とは、本明細書中、石油、ガス又は化学製品などの流体又は気体製品を意味するものと理解される。
【0003】
このタイプの製品は、例えば船舶と埠頭又は突堤の間又は2艘の船舶の間で移送されるべきものである。したがって、実際には、移送システムは地面に、車両上に又は船舶上に締結されている。
【0004】
海洋荷積みシステムについては、
例えば特許文献1(仏国特許出願第2813872号明細書)、特許文献2(仏国特許出願第2854156号明細書)及び特許文献3(仏国特許出願第2931451号明細書)中で定義されているものなどの従来の海洋荷積みアーム、
例えば特許文献4(仏国特許出願第2964093号明細書)中で定義されているものなどの、低い連結点への到達を可能にするベースの無い、海洋荷積みアーム、
例えば特許文献5(仏国特許出願第3003855号明細書)中で定義されているものなどのバンカリング又はハイブリッド荷積みアーム(剛性部分と可撓性部分)としうる。
【0005】
これらの海洋荷積みシステムは電動アクチュエータを用いて動作することができる。
【0006】
このようなアクチュエータの使用はすでに、上述の仏国特許第2931451号中で提供されている。
【0007】
この特許文献3(仏国特許出願第2931451号明細書)中に記載の荷積みアームの結合器が目標ダクトに連結されている場合、コンピュータは、結合器が目標ダクトの運動に追従できるようにするためシステムの運動を自由にする目的で係合解除命令を全てのアクチュエータに対して送る(「フリーホイール」モード)。
【0008】
このことには、アーム及び目標ダクトを担持する構造の運動をアームに追従させ、こうして移送段階中に電気を消費しないようにするためにアームを積極的に誘導する必要が無くなるという利点がある。
【0009】
電動アクチュエータの場合、係合解除は、結果として減速装置とアクチュエータの起動用はめば歯車との間にクラッチを実施する必要性をもたらし、これによりこのアクチュエータのコンパクト性は損われることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】仏国特許出願第2813872号明細書
【文献】仏国特許出願第2854156号明細書
【文献】仏国特許出願第2931451号明細書
【文献】仏国特許出願第2964093号明細書
【文献】仏国特許出願第3003855号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、より詳細には、この欠点を除去することに向けられている。本発明は、より一般的には、性能の改善された完全に電気式の流体移送システムに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は、貯蔵位置から目標ダクトまで又はこの目標ダクトから貯蔵位置までの流体移送用システムにおいて、一方の端部に流体移送用の目標ダクトに対し連結されるように適応された結合システムを含む管状流体移送ラインと、各々起動用シャフトを介して、空間内での移送ラインの運動を制御するための電動アクチュエータとを含むシステムであって、移送ラインの運動を制御するためのアクチュエータの各々が、出力シャフトを伴う電動モータと、減速装置であって、起動トルクが直接適用された場合に起動用シャフトが回転できるようにするための可逆的であるこの減速装置を用いてモータ出力シャフトによって起動用シャフトが回転駆動されている、減速装置と、運動制御が進行中であってアクチュエータがこの制御のために活動化されていない場合にアクチュエータを所定の位置にロックするための制動手段とを含むこと、を特徴とするシステムを提供する。
【0013】
あらゆる予想に反して、市場に出ている可逆的減速装置は、管状移送ラインを伴う流体移送システムの分野で求められている非常に高い減速比(実際には最高700まで存在し得る)での可逆モードで動作することができ、したがって、許容可能で可逆性トルクで追求されているコンパクト性の目標を達成できるようにするものであることが証明されている。
【0014】
その上、結果として得られるアクチュエータは、ほとんどメンテナンスを必要としない。すでに、従来の油圧式アクチュエータほどはメンテナンスを必要とせず、クラッチが存在しないことで、メンテナンスに対するこのニーズはさらに削減される。
【0015】
その上、上述の対策はさらに、所望される場合の他の目標の達成を可能にする。
【0016】
詳細には、アクチュエータの可逆性は、フリーホイールモードにおいて、電流発生器として動作することによって電流の生成を可能にすることができる。その結果、フリーホイールモードではエネルギを消費しないだけでなく生成することから、極めて経済的である流体移送システムが得られる。このアクチュエータは同様に、特に緊急解除時におけるアームの制動の場合に電流発生器モードで作動することができる。
【0017】
本発明は同様に、移送システムが、支持体との関係における空間内での3つの回転自由度を有する支持体上に組付けられた連接式配管を含み、自由度の各々における運動が、空間内での移送ラインの運動を制御するため電動アクチュエータの少なくとも1つによって制御されている、上述の移送システムを含む流体移送用の連接式アームをも提供している。
【0018】
本発明のさらに他の特徴及び利点は、以下の説明において明らかになるものである。
【0019】
非限定的な例として提供される添付図面中、各図は以下のものを示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の実施形態に係る前記電気部品の設置を伴う、埠頭上の流体移送のための連接式アームの概観図である。
図2】第1の実施形態に係る歯車を駆動する2つの電動アクチュエータの斜視図を例示する。
図3a】本発明の第1の実施形態に係る結合器の分岐の斜視図を例示する。
図3b】組付け位置における先に例示した結合器の斜視図を例示する。
図3c】締結力センサを用いて点検が行なわれる場合の結合器の閉鎖点検の動作図を例示する。
図3d】締結トルクセンサを用いて点検が行なわれる場合の結合器の閉鎖点検の動作図である。
図4】本発明に係る電気的アーキテクチャの変形形態の図である。
図5】エネルギ回収の概観電気回路図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、図1を参照しながら、貯蔵位置から船舶3上に位置設定された目標ダクト33まで及びこの目標ダクト33から貯蔵位置までの流体移送用システム10において、一方の端部に流体移送用の目標ダクト33に対し連結されるように構成された「Quick Connect Disconnect Coupling(急速着脱式結合)」略して「QCDC」タイプの結合器31を含む流体移送ラインと、各々起動用シャフトを介して、空間内での移送ラインの運動を制御するための電動アクチュエータとを含むシステムの一例について説明する。
【0022】
ここで流体移送用システムは、海洋荷積みアームである。
【0023】
さらに、流体移送システム10は、図には示されていない流体のためのタンクにリンクされている。
【0024】
したがって、流体移送システム10は、電気的構造及び機械的構造を含むことになる。
機械的構造は、流体流構造と操作構造とを含む。電気的構造については、本明細書中で後述される。
操作構造は、ベース21、内側管22、外側管23及び結合システム32を含み、これらが合わさって1つの連接式アーム2を形成する。
【0025】
ここで、連接式アーム2は、カウンタウェイト19a及び19bを用いて、詳細には内側管22の一端部に配置されたカウンタウェイト19a及びパンタグラフ15上に配置された別のカウンタウェイト19bを用いて平衡が保たれた連接式アームである。
【0026】
ベース21は、突堤5に固定される。ベース21は同様に、車両又は船舶に固定することができると考えられる。
内側管22は第1の端部によりベース21に、そして第2の端部によって外側管23の第1の端部に、スイベル継手を介して連結される。外側管23はスイベル継手を介して結合システム32の第1の端部に対し第2の端部によって連結されている。
【0027】
操作用電動アクチュエータ11、12、13によって、流体移送システムの連接が可能になる。
【0028】
実際、流体移送システムは、詳細にはパンタグラフシステム15によって起動される。パンタグラフシステム15は典型的には、ベース21の上方で内側管22上に位置している。
【0029】
管22及び23により形成されるコンパスの垂直軸を中心とした回転は、操作用電動アクチュエータ12の回転によって制御される。
【0030】
パンタグラフ15の起動は、第2の操作用電動アクチュエータ13の回転により制御され、外側管23を拡張させることを可能にする。
【0031】
さらに、外側管23の水平回転軸に平行な水平軸を中心とした内側管22の回転は、操作用電動アクチュエータ11を用いて提供される。
【0032】
さらに、結合システム32は、緊急解除システム(Emergency Release System)14’(又は「ERS」)のための電動アクチュエータ14を含む。緊急解除システム14’は、それ自体公知であるように、少なくとも電動アクチュエータ14によって開放が制御されているカラーを用いて結合された2つのバルブを含む。
【0033】
結合システム32は実際には3つのスイベル継手32a、32b及び32cを有し、その自由端部に結合器31を備え、同様に緊急解除システム14’を含む。
【0034】
緊急解除システム14’は、スイベル継手32bとスイベル継手32cの間に位置設定される。
【0035】
さらに、結合器32は、4つの結合器電動アクチュエータ31a、31b、31c、31dを含む(以下の図3a~3dについての説明を参照のこと)。
【0036】
完全な機械的構造は、ここではATEXゾーン内に配置されている。ATEXという名前は94/9/EC指令のフランス語表題:Appareils destines a etre utilises en ATmospheres EXplosives(爆発性雰囲気中での使用向け機器)に由来する。
【0037】
電気的構造は、2つのゾーン、すなわちATEXゾーンと安全部域間で共用される。
このとき、ATEXゾーンは、爆発性雰囲気を伴うゾーンに対応する。この雰囲気中では、引火性物質と空気の混合物が、気体、蒸気又は粉塵の形で存在する。この雰囲気は、火花又は過熱の存在下で爆発のリスクを呈する。したがって電気的構造は、ATEXゾーン内での電気アークの形成を回避するように配設されなければならない。
【0038】
このような理由から、ATEXゾーン内では、いくつかの装置が電気的に絶縁されて、船舶3の目標ダクト33と結合システム32の間の過度の電位差に起因する連結段階中の電気アークを回避している。
【0039】
一方、安全部域は、原則的として爆発のリスクがある雰囲気を有していないゾーンである。
【0040】
ATEXゾーン内には、電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dが具備された機械的構造が位置している。
【0041】
さらにATEXゾーン内には、制御キャビネット42と電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31d間のリンクを確立する電気キャビネット43も同様に存在する。
【0042】
電気キャビネット43は、接続端子を格納する防爆型キャビネットである。このキャビネットは「Ex d」と呼称される外装を有する。これはすなわち、この外装が、爆発性混合物の内部爆発において発生する圧力に耐え、こうして外装を取り囲む雰囲気に対する爆発の伝達を防止することを意味する。
【0043】
一変形形態として、電気キャビネット43は、「Ex e」と呼称される外装を有するキャビネットである。これはすなわち、外装が強化された安全性を有することを意味する。
【0044】
ATEXゾーン内には、制御キャビネット42も同様に存在する。制御キャビネット42は、電動アクチュエータ(実際にはドライバ)1台につき1基のコントローラを含む。制御キャビネット42は、絶縁変圧器46を介して供給を受け、制御卓41と連通する。さらに、制御キャビネット42は、電気キャビネット43を介して電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dに対し情報を送る。
【0045】
制御キャビネット42は、「Ex p」と呼称される外装を有する。これはすなわち、周囲の雰囲気の圧力よりも高い圧力の保護ガスを外装の内部に維持することによって周囲雰囲気の制御キャビネット外装の内部への流入が妨げられることを意味する。
【0046】
ATEXゾーン内には同様に制御卓LCP41も存在し、この制御卓によって、オペレータは電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dに対し設定値を送ることができる。制御卓LCP41も同様に保護されている。
【0047】
安全部域内には、PLC44(PLCはProgrammable Logic Controller(プログラマブル論理コントローラ)の略)及び非常用電源45が存在する。
【0048】
非常用電源45は、主電源が電力供給、特に電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31d用の電力供給をもはや提供できなくなった場合に動作し得る。非常用電源45は、短時間にわたる電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dの操作を可能にし、連接式アーム2の数メートルにわたる緊急格納そして場合によってはその完全格納が随伴する緊急解除を可能にする。
【0049】
ここで、図2を参照して、図示されていない出力シャフトを伴う電動モータ201と、減速装置202であって、起動トルクが直接適用された場合に起動用シャフト205が回転できるようにするための可逆的であるこの減速装置202を用いてモータ出力シャフトによって起動用シャフトが回転駆動されている、減速装置202と、運動指令が進行中であってアクチュエータがこの指令のために活動化されていない場合に電動アクチュエータ200を所定の位置にロックするための図示されていないブレーキと、を含む電動アクチュエータ200について説明する。
【0050】
さらに、図2は、起動用シャフト205に接合されたはめば歯車203を介してセグメント化された歯車204を各々駆動する2つの電動アクチュエータ200をより特定的に表わす。概して、単一の電動アクチュエータ200で1つの歯車204を駆動することができる。しかしながら、単一の電動アクチュエータ200が歯車を回転するのに充分な出力を有していない場合、2つの電動アクチュエータ204を組付けてもよい。
【0051】
実際には、減速装置202を用いて得られる減速比は、電動アクチュエータ200について25~700である。これらは、非限定的な値である。2~20の間で変動し得る歯車204とはめば歯車203の間の比をこれに加える必要がある。
【0052】
ここで利用される電動モータ201は、ブラシレスモータである。
【0053】
減速装置202は、遊星歯車列を伴う減速装置である。このような減速装置202は、摩擦をほとんど生成しないことから可逆的に動作でき、減速装置202の効率はおよそ90%という高いものである。可逆的動作については、以下で詳述する。
【0054】
図示されていないブレーキは、ここでは摩擦ライニングが備わった、電気的に活動化される機械式ブレーキである。ブレーキは電動モータ201の前に組付けられる。換言すると、構成は以下の通りである:すなわち、ブレーキは電動モータ201に連結され、電動モータは減速装置202に連結され、減速装置自体は、はめば歯車203に連結されている。
【0055】
一変形形態として、ブレーキは同様に、電動モータ200内に統合されてもよい。
【0056】
2つのアクチュエータ200と歯車204とで形成されたこのようなアセンブリは、歯車と係合した電動アクチュエータ11、12、13により構成されるアセンブリ各々の場所において図1の移送システム内に実施可能である。
【0057】
図3a及び3bに明確に例示されているように、結合システム32は、4つの電動アクチュエータ31a、31b、31c及び31dが備わった結合器31と目標ダクト33のリンクのために装備されている。目的は、リンクの場所において最適な挟持を提供することにある。そのため結合器31は、目標ダクト33に対する締結を提供できるようにする4つの挟持用ジョー404を含む。
【0058】
図3bに例示されているように4つの挟持用ジョー404は4つの電動アクチュエータ31a、31b、31c及び31dを用いて起動させられる。変形実施形態では、1つの電動アクチュエータを利用して、4つの挟持用ジョー404が起動させられる。
【0059】
減速装置400と電動モータ401を含む各電動アクチュエータ31a、31b、31c及び31dは、駆動システム及び位置センサにリンクされる。図示されていない位置センサはエンコーダであってよい。
【0060】
駆動システムは、駆動スクリュ402及び駆動ナット403を含む。
【0061】
以上で引用された電動アクチュエータ31a、31b、31c及び31dの技術的特徴には、ドライバを用いた挟持トルク又は力の測定が追加されなければならない。
【0062】
図3c及び3dを参照すると、挟持用ジョー404は、モータトルクを発生させる電動モータ401によって起動される。モータトルクは、減速装置及び駆動システムを介して挟持用ジョー404に伝達される。
【0063】
実際には、位置センサは、駆動システムの線形並進運動を標示する。有利には、位置センサは同様に、電動モータ401の回転数センサでもあり得る。
【0064】
挟持用ジョー404の挟持トルクを確認する目的で、消費された電流の測定によって、挟持トルクの間接的測定が行なわれる。
【0065】
動作原理が図3cに例示されている第1の代替案では、力センサは電動モータ401が消費する電流のセンサである。
【0066】
動作原理が図3dに例示されている第2の代替案では、力センサは、回転トルクの発生のために消費された電流のセンサである。
【0067】
図3c中に例示されているように、電動モータ401は、挟持用ジョー404の挟持を駆動するモータトルクを発生させる。より具体的には、電動モータ401がモータトルクを発生させると、電動モータ401は駆動スクリュ402を駆動する。位置センサはAPI44の位置の測定値を送信する。API44は、位置の測定値を指令卓41に通信する。オペレータは、API44に送信される設定値を発することができる。設定値、測定値及び挟持用ジョー404の間接的に測定された挟持トルクの値に応じて、API44は、制御キャビネット42を介して電動モータに設定値を送信する。
【0068】
図3d中に例示された挟持の確認原理は、先に提示されたものと同じである。挟持トルク値の測定は、電動モータ401における回転トルクの測定によって置換されている。この回転トルクは、ドライバの使用を通して消費された電流の測定を用いて測定される。
【0069】
動作の一変形形態において、設定値は、API44によって制御キャビネット42に対し自動送信されてよい。
【0070】
全ての事例において、挟持確認の目的は、挟持用ジョー404において最適かつ均一な挟持力を得ることにある。
【0071】
図4に提示されている本発明の別の実施形態によると、システム全体の電気回路図が例示されている。
【0072】
電気的構成要素は、図4の略図中破線で分離されている2つのゾーン内に分布させられている。
【0073】
電動アクチュエータ11、12、13、14、31a~31dは、作業ゾーン内に存在する。
【0074】
操作用電動アクチュエータ11、12、13は、詳細にはブレーキ17a~17eを含む。
【0075】
電動アクチュエータ31a、31b、31c、31dは、詳細には緊急解除装置20a、20b、20c及び20dを含む。緊急解除装置20a、20b、20c及び20dは、緊急解除装置14’が起動させられた時点でモータ31a、31b、31c及び31dを電気的に接続解除することを可能にする。
【0076】
ここでは全ての電動アクチュエータ11、12、13、14、31はエンコーダ16a~16jを含む。エンコーダ16a~16jは、機械的構造2そしてより具体的には内側管22及び外側管23ならびに挟持用ジョー404及び緊急解除システム14の位置を実時間で決定することを可能にする。この情報に基づいて、詳細には、目標ダクト33とのリンクを形成する機械的構造2の端部の位置をそこから演繹することが可能になる。
【0077】
異なるコーダ16a~16eに由来する情報は同様に、PMS、すなわち「Position Monitering System(位置監視システム)」の機能、ひいては作業外装の臨界ゾーン内への機械的構造2の進入の検出を果たし、それによりアラームを始動させることを可能にすることもできる。こうして、異なるコーダ16a~16e由来の情報は同様に、電動アクチュエータ14を介してERSの緊急解除のためのシーケンスを自動的に開始することも可能にする。
【0078】
電動アクチュエータ31a、31b、31c、31dに関して、より詳細には、各電動アクチュエータ上のコーダ16f~16iの存在は、接続を行なう際と同時に接続解除を行なう際にも利点をもたらす。
【0079】
地上と、車両上で、又はウォータクラフト、特に船舶3上で連結を行なう際には、結合器31が3つのステップで結合を行うことになる。
【0080】
第1のステップでは、結合器31は、結合器31の異なる構成要素、特に挟持用ジョー404の摩擦トルクを克服しなければならない。第1のステップでは、必要なモータトルクは高いが、速度は低い。
【0081】
第2のステップは、結合器31の異なる構成要素の接近段階に対応する。第2のステップでは、モータトルクは低いが、速度は高い。
【0082】
第3のステップは、挟持段階に対応する。第3のステップでは、モータトルクは高いが、速度は低い。
【0083】
さらに、電動アクチュエータ31a、31b、31c、31d一台につき一基のエンコーダ16f~16iが、結合器31の異なる構成要素の位置を知り、API44によって送出される速度及びモータトルクを適応させることを可能にする。
【0084】
電動アクチュエータ31a、31b、31c、31d一台につき一基のエンコーダ16f~16iは同様に、結合器31の連結状態又は未連結状態についての情報を送信し、各エンコーダ16f~16iにおいて読取られた電流消費情報に基づいて挟持用ジョー404の各々における最適かつ均一なロッキングを確保することをも可能にする。
地上と、車両上で、又はウォータクラフト、特に船舶3上で連結解除を行なう際には、結合器31が3つのステップで脱離を行うことになる。
【0085】
第1のステップでは、結合器31は、結合器31の異なる連結された構成要素、特に挟持用ジョー404の摩擦トルクを克服しなければならない。第1のステップでは、必要なモータトルクは高いが、速度は低い。
【0086】
第2のステップは、結合器31の異なる構成要素の格納段階に対応する。第2のステップでは、モータトルクは低いが、速度は高い。
【0087】
第3のステップは、当接段階に対応する。第3のステップでは、モータトルクは高いが、速度は低い。
【0088】
本発明は、各電動アクチュエータ31a、31b、31c、31d上に一基のコーダを設置するという利点を有する。
【0089】
電動アクチュエータ31a、31b、31c、31d一台につき一基のエンコーダ16f~16iは、結合器31の異なる構成要素の位置を知り、API44によって送出される速度及びモータトルクを適応させることを可能にする。
【0090】
電動アクチュエータ31a、31b、31c、31d一台につき一基のエンコーダ16f~16iは同様に、結合器31の連結状態又は未連結状態についての情報を送信することも可能にする。
【0091】
さらに、エンコーダ16f~16iを介した挟持用ジョー404の位置の実時間読取りにより、荷積み又は荷降し動作時における1つ以上の挟持用ジョー404の偶発的開放に起因する結合ゾーンにおける漏出のあらゆるリスクが検出されることになる。こうして安全性レベルは高まる。
【0092】
さらに、図4の電気回路図に戻ると、各電動アクチュエータ31a、31b、31c、31dは、断路器20a及び20dを介して、制御キャビネット42に電気的に接続される。
【0093】
さらに、各々の操作用電動アクチュエータ11、12、13はブレーキを含む。これらのブレーキ17a~17eは、荷積みアームの操作中に使用されていない場合の対応するアクチュエータの位置を固定することを可能にする。
【0094】
ブレーキ17a~17eは同様に、アームを休止位置に固定するためのパーキングブレーキとしても役立つ。こうして、ブレーキは、荷積みアームの周囲に位置する機器又は人にとっての安全性を提供することも可能にする。
【0095】
全ての電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dは、電気的に接続されており、同じくEtherCATタイプのフィールドバスによって制御キャビネット43にも接続されている。各々の電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dはさらに、特定の制御手段18a~18jにリンクされる。制御手段18a~18jは、ドライバ及びフィルタなど、電動アクチュエータを制御するために必要な電気機器を含む。
【0096】
制御手段18f~18jは、以下で詳述されている絶縁変圧器46を介して電源45に接続される。
【0097】
図4の実施形態において、制御キャビネット42は、エンコーダ16a~16jの管理用の制御手段を格納する。先に言及した制御手段に関しては、これらの手段は安全性ゾーン内に位置設定されている。
【0098】
エンコーダ16a~16jを管理するために、制御キャビネット43は直接作業ゾーン内に位置付けされるが、中継器としてのみ役立つ。信号伝送の信頼性を理由として、制御キャビネット43を安全部域内に設置することはできない。しかしながら、API44は安全部域内に位置付けされる。したがって、安全部域内の占有空間は削減され、電気的構成要素の閉じ込め条件はさほど重要でない。
【0099】
機械的構造の異なる動作モード、詳細には駆動モード、固定モード及びフリーホイールモードが可能である。
【0100】
駆動モードでは、機械的構造の運動が、電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dによって提供される。駆動モードは、連結、連結解除及びメンテナンス時に使用される。
【0101】
固定モードでは、操作用電動アクチュエータ11、12、13は、アクチュエータ内に統合された機械式ブレーキ17a~17dを介して固定される。
【0102】
フリーホイールモードでは、機械的構造はひとたび連結された後、荷積み及び荷降し中の船舶3の運動に追従する。したがって、フリーホイールモードのためには、操作用電動アクチュエータ11、12、13は、可逆的減速装置を用いて抵抗トルク及び/又は抵抗力を最小限に抑えながら、これらの操作用電動アクチュエータに課せられた運動に追従する。このフリーホイールモードでは、荷積みアームは、各アクチュエータの起動用シャフトに対し直接トルクを適用して、このシャフトを連結段階中に見られたものとは逆の回転方向に回転させる。
【0103】
このフリーホイールモードは同様に、緊急解除モードにおいても適用可能である。このフリーホイールモードの場合にはブレーキは挟持解除されなければならない。
【0104】
フリーホイールモードは、詳細には、エネルギ回収の原理を導入することをも可能にする。図5は、エネルギ回収原理の電気回路図を例示しており、ここでアクチュエータ11、12、13の電動モータは、この目的で電流発生器へと変換され得る。
【0105】
図5は、電動アクチュエータ11、12、13、14、31a、31b、31c、31dの電気供給の異なる可能性を提示している。
【0106】
駆動モードでは、電気供給は、主電源52によってか又は非常用電源45によって提供され得る。
【0107】
非常用電源45からの電気供給が動作する場合、スイッチKb及びKlは閉鎖されスイッチKsが開放する。
【0108】
非常用電源45からの供給が動作しない場合、スイッチKl及びKsは閉鎖され、スイッチKbが開放する。換言すると、供給は、主電源52により提供される。
【0109】
非常用電源45が操作用電動アクチュエータ11、12、13からの電気エネルギを回収する場合、スイッチKl及びKsは開放し、スイッチKbが閉鎖される。
【0110】
一変形形態として、発生した電流は、主電源52に戻されてもよいが、この場合、電気分野で求められている電気転換動作が実施されることが条件となる。
【0111】
使用されるモータがブラシレスモータである場合、エネルギ回収は、フリーホイールモード又は緊急解除モードにおいて可能であり、一方モータが非同期モータである場合、エネルギ回収は、緊急解除モードでのみ可能である。事実、フリーホイールモードでは、アクチュエータは供給を受けない。
【0112】
実際には、従来の原理にしたがって、これらのモータの一方又は他方が動作して電流を発生させる。
【0113】
減速装置は可逆的であることから、機械的構造の各々の非起動動作が、電流を発生させること及び同期的速度での上部起動用シャフトの回転によりエネルギ回収デバイスに供給を行なうことを可能にする。
【0114】
より一般的には、上述の実施形態及び考えられるそれらの変形形態に関して、以下の点が指摘に値する。図面を参照して説明された流体移送システムは、自己支持形の内側及び外側管を有する連接式アームである。一変形形態として、これらの管は、支持構造により支持されてよい。より一般的には、上述の特許出願中に記載のものと同種のタイプの流体移送システムであってよい。
【0115】
上述の実施形態の場合、可逆的減速装置は、移送ラインに対して回転結合された歯車と係合させられるか又はこの移送ラインの駆動システムに結合されている。この減速装置は、より具体的には、典型的には移送ラインのパイプの2つのセグメントを連結する1つのベント及びスイベル継手セットのスイベル継手に締結されているか又は移送ラインのパイプの一区分の回転駆動のために役立つパンタグラフシステムに締結されている。支持構造が実施されている場合、歯車は当然のことながら、その支持構造に結合され得る。
【0116】
図面を参照して上述された可逆的減速装置は、遊星歯車列を伴う減速装置である。一変形形態として、この減速装置は、可逆的であることを条件として、平行シャフトを伴う減速装置又は直交シャフトを伴う減速装置であってよい。一変形形態として、可逆的減速装置は同様に、チェーン、歯付きベルト又は、少なくとも1つの滑車と、この滑車又はこれらの滑車に巻付けられたケーブルと、ケーブルにリンクされ可逆的減速装置を伴うアクチュエータの1つと係合した少なくとも1つの可逆的線形アクチュエータとを含む運動伝達システムを介して、移送ライン又はその支持構造に結合されていてよい。滑車は、例えば図面を参照して説明された滑車及びケーブルを伴うパンタグラフシステムの滑車であってよく、その場合、滑車に結合される歯車はこのような伝達システムにより置換されると考えられる。
【0117】
ここで可逆的線形アクチュエータとは、非油圧式又は非電動式のアクチュエータを意味する。実際には、可逆的減速装置アクチュエータと共にこれは電動ジャッキを形成する。線形アクチュエータ自体は、例えば、ボール又はローラースクリュージャッキであってよい。
【0118】
モータ及び減速装置は同様に、歯車付きモータの形を取り得る。その上、電動モータは同期又は非同期であってよい。
【0119】
図面を参照して以上で説明された実施形態の場合、制動手段は、アクチュエータ内に統合された機械式ブレーキの形を取る。一変形形態として、これらのブレーキ手段は、例えば、モータ自体及び位置フィードバックを用いて制動を行なうように適応され得る。
【0120】
上述の結合システムは、利用されるスイベル継手によって3つの回転自由度を伴って移送ラインの端部に連接式結合器を含む。考えられる事例においては、3つの回転自由度の少なくとも1つが電動アクチュエータによって制御されてよい。実際には、移送ラインから出発して、これは、3つの回転自由度のうちの第2の自由度である。
【0121】
概して、結合器は、目標ダクト上への手動式又は電動式挟持を伴う結合器であり、電動式挟持の場合には、結合器の1つ以上の挟持用ジョーの起動用システムを駆動するように適応された少なくとも1つの電動アクチュエータを含む。
【0122】
上述の通り、結合システムには、カラーを用いて並置された2つのバルブを含む緊急解除システムが備わり、そのカラーの開放は、少なくとも1つの電動アクチュエータによって制御され、少なくとも1つの電動アクチュエータは同様に、バルブの少なくとも閉鎖を制御している。実際には、この制御は、例えば国際公開第20007/017559号に記載のロッドの並進運動によって得ることができる。
【0123】
同様に上述の通り、結合システムの電動アクチュエータは、有利には、絶縁変圧器を介して電気エネルギ供給源に接続されている。一変形形態としては、この電動アクチュエータ又はこれらの電動アクチュエータには、モータのシャフトと減速装置の間及びモータ上に電気的絶縁用部材を有することができる。さらに、結合システムは好ましくは、上述の手段に加えて、そのスイベル継手に機械的な電気的絶縁用障壁を含む。実際には、これは、以上で言及されている3つの継手のうちの第2の継手である。
【0124】
以上で、図面を参照しながら、一定数のセンサ及び測定用手段が説明されてきた。より一般的には、以下の対策、すなわち、
移送ラインの運動を制御するための電動アクチュエータには、移送ラインの構成を決定できるようにするために好適であるセンサが備わっていてよい、及び/又は、
電動式挟持を伴う結合器の電動アクチュエータ又は各々の電動アクチュエータには、挟持用ジョーとその起動用システムにより形成されたアセンブリの位置について知ることができるようにするために好適である測定用手段が備わっていてよい、及び/又は
移送システムは、複数の電気結合器アクチュエータを含み、ドライバが、結合器の各電動アクチュエータと結び付けられ、かつこのドライバは電流消費量についての情報に基づいて、結び付けられたジョーの各々において同一の挟持を提供しかつ目標ダクトに対する結合器の流体密封性連結を可能にすることができるようにアクチュエータにより消費される電流を測定するための手段を含み、このドライバは、結合器が目標ダクト上の挟持位置にあるか否かを知ること、つまり、その位置に応じた挟持用ジョー及びその起動用システムにより形成されるアセンブリの速度及び/又はトルクの適応を可能にする測定用手段を含むことも同様に可能であり、あるいはドライバは、緊急解除システムと結び付けられた電動アクチュエータの速度及び/又はトルクをこのシステムのバルブの位置に応じて適応させることを可能にする測定用手段を含むドライバを含むこともできる;及び/又は、
緊急解除システムの電動アクチュエータには、緊急解除システムのバルブの位置について知ることを可能にするために好適である測定用手段(16j)が備わっていてよい、という対策を実施することができる。
【0125】
アクチュエータ上に具備された測定用手段は、好ましくはエンコーダである。これらのセンサ及び/又は測定用手段は、自動式又は半自動式(オペレータは接続手順において補助を受ける)である接続手順という状況下で極めて有用であることが判明している。手作業での接続という状況下では、特に移送ラインの構成についてのフィードバックとしての情報を有するため、傾斜計などのセンサを提供することが今後可能である。
【0126】
図面を参照して説明された実施形態の場合には、空間内での移送ラインの運動を制御するための1つ以上の電動アクチュエータの電動モータは、起動トルクが対応する電動アクチュエータの起動用シャフトに直接適用される場合に動作を電流発生器モードに変換することのできるモータである。
【0127】
一変形形態として、空間内での移送ラインの運動を制御するための1つ以上の電動アクチュエータの起動用シャフトは、直接適用された起動用トルクから電気を生成するために電流発生器と結び付けられていてよい。
【0128】
したがって、概して、空間内での移送ラインの運動を制御するための1つ以上の電動アクチュエータは、電気の生成を目的として電流を発生させるための手段と結び付けられていてよい。
【0129】
発生した電流は、バッテリ内又は可逆的非常用電源内で回収され得るか、さらには回路内にフィードバックされるか又は、制動抵抗など、電流を消費するものが見い出される場合もある。
【0130】
同じくより一般的には、それ自体独創的である対策によると、移送システムは、移送ラインから一定の距離のところに位置する、移送ラインと結び付けられた電動アクチュエータの第1の制御手段と、電動アクチュエータと結び付けられた1つ以上の測定用手段の第2の制御手段とを含むことができ、第2の制御手段は、移送ラインの近傍で防爆型外装内に設置されている。
【0131】
これらの対策は、図4の特定の実施形態について以上で説明されてきた。これに関連して、これらの対策が、上述のもののような特定の電動アクチュエータを実施する必要無く実施可能であり、従来の電動アクチュエータを用いて実施することができるということを指摘しておくべきである。
【0132】
その上、以上で定義された測定用手段は、その場合同様に、通常電動アクチュエータと結び付けられる任意のタイプの1つ以上の測定用手段によって置換されてもよい。
【0133】
状況に応じて数多くの他の変形形態が可能であり、これに関連して、本発明が図示され説明された実施例に限定されるものでないことを指摘しておかなければならない。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5