(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】菌類生体高分子材料の溶液系後処理方法及びそれにより作製された菌類由来製品
(51)【国際特許分類】
C12P 1/02 20060101AFI20221019BHJP
C08J 9/28 20060101ALI20221019BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C12P1/02 Z
C08J9/28 CEP
C08L101/12
(21)【出願番号】P 2019553881
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(86)【国際出願番号】 US2018025235
(87)【国際公開番号】W WO2018183735
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-19
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520165401
【氏名又は名称】エコベイティブ デザイン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】カプラン - ベイ、ジェシー、ハンナ
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0033620(US,A1)
【文献】特開昭55-048388(JP,A)
【文献】特開平03-234889(JP,A)
【文献】国際公開第1999/024555(WO,A2)
【文献】特表2010-529832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P
A01H
C08L
C08H
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄も、傘も、胞子も含まない菌糸で全体的に構成され、弾性率が2000~8000psiであることを特徴とする、処理菌類生体高分子材料。
【請求項2】
15~50pcfの密度を有する、請求項1に記載の処理菌類生体高分子材料。
【請求項3】
固有の水分を含む菌糸を含む組織を得る工程であって、前記菌糸が、柄も、傘も、胞子も含まない、工程と、
前記組織を脱水しながら、組織への浸透を可能にするのに十分な期間、前記組織を有機溶媒溶液で処理して、前記固有の水分を前記溶媒溶液で置換する工程と、
前記溶液から前記組織を除去する工程と、
前記組織を小さな厚さまで押圧する工程と、
その後、前記組織を乾燥する工程と
を含み、それにより15~50pcfの範囲内の密度を有する処理菌類生体高分子を提供する、方法。
【請求項4】
前記処理工程が、1グラムの組織に対して5~50mLの有機溶媒溶液の量で、前記組織を前記有機溶媒溶液で処理する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記処理工程が、5秒~6か月の期間、前記組織を前記有機溶媒溶液で処理する工程を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記有機溶媒溶液が、100%アルコール
である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記処理工程が、前記組織を前記溶液に少なくとも1回浸漬する工程を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機溶媒溶液が、塩を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒溶液が、1リットルの有機溶媒に対して20~300gの含有量で塩を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機溶媒溶液が、フェノール及びポリフェノールのうちの少なくとも1種を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
塩を含む有機溶媒の溶液で前記組織を処理する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記押圧工程が、第1の押圧工程及び第2の押圧工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記押圧工程が、手動プレス、液圧プレス及びローラーのうちの少なくとも1つを使用して前記組織を圧縮する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記塩が、塩化カルシウムである、請求項9又は11に記載の方法。
【請求項15】
前記有機溶媒溶液が、ポリフェノールを含み、前記ポリフェノールが、タンニン酸を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記組織を第2の有機溶媒溶液で処理する工程をさらに含み、前記第2の有機溶媒溶液が、塩を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組織を前記第2の有機溶媒溶液で処理する工程が、組織に抗菌性を付与するのに十分な期間である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記処理菌類生体高分子が、2000~8000psiの範囲内の弾性率を有することをさらに特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記処理菌類生体高分子が、乾燥質量で15%超の含水量を有するか、又は乾燥質量で15~30%の範囲内の含水量を有することをさらに特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項20】
前記処理菌類生体高分子が、0.9~25マイクロメートルの範囲内の多孔度を有することをさらに特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項21】
前記組織を可塑剤で処理する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年3月31日に出願された米国仮特許出願62/479,521の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、処理菌類生体高分子材料及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は全体的に菌糸で作製された、処理菌類生体高分子材料に関する。さらに具体的には、本発明は、菌類生体高分子生成物の材料特性を向上させる方法に関する。
【0003】
2015年2月5日に公開された米国特許出願公開公報2015/0033620に記載されているとおり、機能性製品の製造に使用する菌類生体高分子は、柄も、傘も、胞子も生成せずに全体的に菌糸で作製されうる。記載されているとおり、生成された菌類生体高分子は、構造用複合芯材、運動トレーニングマット、ハンドバッグ、靴底等の服飾品で使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、既知の菌類生体高分子と比較して、弾性、強度及び密度が増大した菌類生体高分子を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、ポリウレタン、シリコーン、ポリ酢酸ビニルコーティングスクリム等の、布、皮革、及び皮革様材料を代替するために使用できる強靭で柔軟な材料である処理菌類生体高分子材料を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、室内装飾品、服飾品、軍事用品、運動用品及び履物に使用するための高密度フォーム様材料を提供する、処理菌類生体高分子材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔には、本発明は、柄も、傘も、胞子もない菌糸で全体的に構成され、2000~8000psiの弾性のヤング率、15~50pcfの密度を有することを特徴とする、処理菌類生体高分子材料を提供する。
【0008】
さらに、本発明は、材料の固有な材料特性を高めるために機能する1つ又は複数の溶液で既知の菌類生体高分子材料(組織)を処理した状態で存在する、改良された処理菌類生体高分子材料の製造方法を提供する。この場合、処理は組織を固定し、繰返し応力に対する組織の耐久性を高め、微生物の腐敗に対して耐性を持たせ、剪断(引裂き)応力に対して耐性を持たせる。この処理は、材料を脆化することが示されている積極的に乾燥させた、組織から抽出した菌糸(湿性)の特性を保持する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上記及びその他の目的及び利点は、以下の図面と関連した詳細な説明からより明らかにされる。
【
図1】本発明による塩/溶媒溶液に浸漬された菌類生体高分子材料の組織を概略的に示す。
【
図2】本発明によるタンニン酸/水溶液に浸漬された菌類生体高分子材料の組織を概略的に示す。
【
図3】本発明による押圧処理された処理組織を示す。
【
図4】本発明による作製された処理菌類生体高分子材料がねじられた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一つの実施態様では、方法は、前駆体材料として菌類生体高分子材料(組織)のパネルを得る工程と、有機溶媒溶液でパネルを本質的に疎水性である組織への浸透を可能にするのに十分な、例えば5秒から6か月間、処理する工程を含む。後者の工程は、前駆体組織をゆっくりと乾燥させ、水分を溶媒溶液中の溶媒と無機物へ置換する。
【0011】
これは、可溶性の余分な細胞外マトリックス成分(炭水化物、タンパク質)を洗浄し、組織内のタンパク質を変性する。さらに、この方法は、ポリマー間の架橋を媒介する構造キチンマトリックスを脱アセチル化することができる。周知のとおり、キチンは菌類の細胞壁の主要成分であり、グルコースの誘導体であるN-アセチルグルコサミンの長鎖ポリマーで構成される。
【0012】
この方法の副次的効果は、菌糸の漂白と臭気の除去である。
【0013】
前駆体組織を有機溶媒溶液、例えば100%アルコールバスで処理した後、組織をバスから取り出し、直ちに元の厚さに対して小さい分数の厚さまで押圧し、その後含水量が15~30%の乾燥質量となるまで乾燥する。
【0014】
菌類生体高分子材料の前駆体組織(処理組織も同様)は、柄も、傘も、胞子もなく、菌糸で全体的に構成されていることを特徴とする。例えば、材料は、米国特許出願公開公報2015/0033620の記載、又は2017年11月14日に出願された米国仮特許出願62/707,704に記載されているように作製されてもよい。これらの開示は、本明細書に含まれる。例えば、前駆体組織は、記載されているように成長させ、その後、後処理される単一パネルとして取り除いてもよいし、又は前駆体組織は、組織を成長・後処理する基材上の所定の位置に残したままにしてもよい。
【0015】
18インチ×11インチの寸法及び2.5インチの厚さを有する米国特許出願公開公報2015/0033620に記載されているように作製された菌類生体高分子材料の前駆体組織は、典型的には0.8~3.0pcfの密度及び95psiのヤング率を有する。処理後、この非常に嵩高な組織の厚さは減少し、例えば20倍減少して0.125インチになり、密度は比例して増加する。加えて、組織の多孔度は、平均3.4マイクロメートルであり、範囲は0.9~25マイクロメートルである。
【0016】
後処理菌類生体高分子材料は、より密度が高く、天然の前駆体組織では固有の含水量が12%未満である一方、固有の含水量が15%を超える点で、未処理の材料と区別される。
【0017】
第二の実施態様では、菌類生体高分子材料の前駆体組織は、最大6か月間、塩化カルシウム等の塩と組み合わせた有機溶媒の溶液で処理される。塩の使用により、抗菌性を付与し、官能基にイオン結合することができる。
【0018】
第三の実施態様では、菌類生体高分子材料の前駆体組織は、最大6か月間、フェノール及び/又はポリフェノール物質と組み合わせた有機溶媒の溶液で処理される。
【0019】
第四の実施態様では、菌類生体高分子材料の前駆体組織は、最大6か月間、フェノール及び/又はポリフェノール物質と組み合わされた有機溶媒の溶液、並びに塩と組み合わされた有機溶媒の溶液で処理される。
【0020】
菌類生体高分子材料を、塩化カルシウム溶液、及びフェノール/ポリフェノール溶液の1つ又は組み合わせた有機溶媒溶液で処理すると、材料固有の強度特性を大幅に向上させる。これらの処理は、菌類生体高分子材料の前駆体の密度、引張強度、及び強度と重量の比を増加させる。これらの処理は、材料の弾性率にも影響を及ぼし、菌糸の重量及び引張強度と比較して、弾性の増加、剛性の低下をもたらす。上記のような後処理の適用により、より広範囲の密度(15-50pcf)の菌類生体高分子材料の処理組織を生成する能力を容易に得ることができる。これらの強化された材料特性(密度、強度、弾性の向上)の効果は、処理菌類生体高分子材料に、高密度フォーム、皮革、及び耐久性のあるプラスチック布が現在使用されている産業及び用途において競争力をもたらすことができる。
【0021】
塩化カルシウム溶液、アルコール、タンニンによる菌糸組織の処理に関し、様々な文献と研究がある。成長後の菌糸組織の塩化カルシウム溶液による処理は一般的であり、商業的に価値のあるAgaricus bisporus.の材料強度の向上(Zivanovic.S及びR.Buescher“Changes in Mushroom Texture and Cell Wall Composition Affected by Thermal Processing.“Journal of Food Science 69(2004):44-49参照のこと)、食用キノコの包装と保存(米国特許6,500,476及び5,919,507参照のこと)等の様々な目的に使用されている。
【0022】
成長後の菌糸組織への塩化カルシウム溶液の先の出願とは異なり、本明細書で説明する処理プロセスは、菌類生体高分子材料での使用を目的とし、食品又は医薬品を製造、変性、又は保存する目的ではない。
【0023】
様々な物質の抽出、合成等のために、菌糸にアルコール、ポリフェノール及び塩化カルシウムが使用される。米国特許6,726,911;3,268,606及び6,482,942を参照のこと。
【0024】
本発明による菌類生体高分子材料に適用される後処理方法における、アルコール、ポリフェノール及びカルシウムの使用は、医療、製薬、化粧品又はその他の用途を目的とした分子物質の抽出又は合成ではない点において、従来技術とは異なる。
【0025】
有機溶媒溶液を使用する実施態様では、以下の工程が実行される。
1.湿った生組織又は乾燥組織のパネル、すなわち成長基材を有する又は有さない前駆体組織を使用することができる。
2.組織を脂質及び/又は保湿/水和剤で1回又は繰返し処理するか、このプロセスのどの時点においても未処理のままにすることができる。
3.組織を様々な製造サイズにするために、切断又はそのままの形にしておくことができる。
4.組織を1回又は繰返し処理することができる(浸漬、真空注入及び/又は注入を介する)。各処理において、パネルは1g当たり5~50mLの有機溶媒溶液で5秒~6か月間処理される。この点に関して、組織は、基材からまだ成長している間に処理されうるため、そのまま基材に接続されているかもしれない。
有機溶媒溶液による組織の処理は、組織への浸透を可能にするのに十分な期間行い、前記固有の水を溶媒溶液で置換し、組織を脱水する。時間を延長すると、溶液がより均一に浸透し、化学処理が強化される。
5.その後、組織を手動プレス、液圧プレス又はローラーを使用して、元の厚さに対して小さい分数(すなわち、1/2未満)、例えば元の厚さに対して約1/20に押圧する。基材に接続した状態でこの時点まで処理した場合には、押圧のために組織は、基材から取り除かれる。押圧は、熱間(140°F)又は冷間プロセスで行うことができる。これは、処理中に菌糸が膨らむことがあるため、残留液を機械的に排出して厚さを設定する手段である。反発と収縮を減らすために、有機溶液で処理した直後に厚さを設定することが重要である(例、固定化)。
6.押圧後、組織を対流式オーブンを使用して乾燥することができ、また、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥することができる。
7.最終的な所望の水分含有量の保持を補助するために、組織をグリセリン、ソルビトール又は別の保湿剤を含有する可塑剤で処理することができる。
8.組織を1回又は繰返して伸長、固定、及び/又は回転させるか、未処理のままにすることができる。
9.組織を色素で処理するか、未処理のままにすることができる。
10.組織を対流式オーブンを使用して乾燥させ、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥する。
【実施例】
【0026】
US 2015/0033620に記載された方法によって作製された、菌類生体高分子材料及び有機溶媒溶液を使用する方法の具体例を以下に示す。
【0027】
[実施例1]
1.菌類生体高分子材料(前駆体組織)の18インチ×11インチ×2.5インチのパネルを成長させ、15%の粗タンパク質、33%の非繊維性炭水化物、28%のリグニン及び14%の粗脂肪で構成される基材から抽出する。残りの2%にはミネラル分が含まれ、8%には固有の水分が含まれる。
2.湿った生組織を5インチ×5インチ×2.5インチの切片に細断する。
3.各組織切片を容器に入れ、有機溶媒、例えばイソプロピル、エタノール、メタノール等100%アルコールの1500mLのバスに浸漬する。各切片は、この溶液に7日間浸漬しておく。次に、切片をバスから取り出し、各パネルの切片毎に同じプロセスを1回繰り返す。
4.組織切片をアルコールバスから取り出し、直ちに一対のローラー間に通して0.125インチに押圧する。
5.組織切片をドラフトチャンバー又は通気の良い場所の乾燥ラックに置き、風乾する。
【0028】
有機溶媒及び塩溶液を使用する実施態様では、以下の工程が実施される。
1.湿った生組織又は乾燥組織、すなわち、基材を有する又は有さない前駆体組織のパネルを使用できる。
2.組織を脂質及び/又は保湿/水和剤で1回又は繰返し処理するか、このプロセスのどの時点においても未処理のままにすることができる。
3.組織を様々な製造サイズのために、切断又はそのままの形にしておくことができる。
4.組織を、処理工程5の前及び/又は後に、有機溶媒溶液で5秒~6か月間、1回又は繰返し処理(浸漬、真空注入及び/又は注入を介する)又は未処理のままにすることができる。各処理においては、パネル1g当たり5~50mLの溶液が使用されるべきである。
5.組織を20~300g/Lの塩及び有機溶媒溶液で5秒~6か月間、1回又は繰返し処理(浸漬、真空注入及び/又は注入を介する)する。各処理においては、パネル1g当たり5~50mLの溶液が使用される必要がある。
6.組織がまだ基材に接続している場合は、組織を基材から取り除いた後、手動プレス、液圧プレス又はローラーを使用して組織を押圧する。押圧は、熱間又は冷間プロセスで行うことができる。これは、処理中に菌糸が膨らむことがあるため、残留液を機械的に排出して厚さを設定する手段である。反発と収縮を減らすために、処理した直後に厚さを設定することが重要である(例、固定化)。
7.組織を対流式オーブンを使用して乾燥することができ、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥することができる。
8.最終的な所望の水分含有量の保持を補助するために、組織をグリセリン、ソルビトール又は別の保湿剤を含む可塑剤で処理することができる。
9.組織を1回又は繰返して伸長、固定及び/又は回転させるか、未処理のままにすることができる。
10.組織を色素で処理するか、未処理のままにすることができる。組織を染色する場合は、工程10と8を交換する。
11.組織を対流式オーブンを使用して乾燥させ、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥させる。
【0029】
図1に示すように、US 2015/0033620に記載された方法によって作製された、菌類生体高分子のパネル及び容器14中の有機溶媒及び塩溶液13を使用する方法の具体例を以下に示す:
【0030】
[実施例2]
1.菌類生体高分子材料の前駆体の18インチ×11インチ×2.5インチのパネルを成長させ、15%の粗タンパク質、33%の非繊維性炭水化物、28%のリグニン及び14%の粗脂肪で構成される基材から抽出する。残りの2%にはミネラル分が含まれ、8%には固有の水分が含まれる。
2.湿った生組織を5インチ×5インチ×2.5インチの切片に細断する。
3.100%アルコール(イソプロピル、エタノール、メタノール等)中に150g/LのCaCl
2の有機溶媒及び塩溶液13を調製し、容器14(
図1)に入れ、各切片15をこの溶液の1500mLのバスに浸漬する。容器14を密閉し、各切片15は、この溶液に7日間浸漬する。その後、切片15をバスから取り出し、各パネルの切片毎に同じプロセスを全3つの一連の溶液バスで21日間、2回繰り返す。あるいは、処理時間を早めるために溶液を攪拌することもできる。これらの攪拌方法には、掻き混ぜ、波動、ドラム内回転等が含まれる。40℃を超えない、弱い熱を加えることができる。
4.切片15をCaCl
2及びアルコール溶液から取り出し、
図3のように離間した二対のローラー11を使用して0.5インチに押圧する。ローラー11は、絞り器のように手動で操作されてもよい。
5.100%アルコール溶液(イソプロピル、エタノール、メタノール等)(図示せず)を調製し、各組織切片15を1500mLのこの溶液に浸漬する。各組織切片15は、この溶液に3日間浸漬する。
6.切片15をアルコールバスから取り出し、例えば、その切片の厚さを0.125インチにまで減らすように調整された
図3のローラー11を使用して、直ちに押圧する。
7.切片15をドラフトチャンバー又は通気の良い場所の乾燥ラック(図示せず)に置き、風乾する。
【0031】
図5は、有機溶媒及び塩溶液に関する実施例2の処理プロセス全体のフロー図を示す。
【0032】
有機溶媒及びフェノール及び/又はポリフェノール物質溶液を使用する実施態様では、以下の工程が実行される。
1.湿った生体組織又は乾燥組織のパネル、すなわち前駆体組織を使用できる。
2.組織を脂質及び/又は保湿/水和剤で1回又は繰返し処理するか、このプロセスのどの時点においても未処理のままにすることができる。
3.組織を様々な製造サイズにするために、切断又はそのままの形にしておくことができる。
4.基材を有する又は有さない組織を処理工程5の前及び/又は後に、有機溶媒溶液で5秒~6か月間、1回又は繰返し処理する(浸漬、真空注入、注入等による)又は未処理のままにすることができる。各処理において、パネル1g当たり5~50mLの溶液が使用される。
5.組織を5秒~6か月間、有機溶媒及びフェノール及び/又はポリフェノール溶液で1回又は繰返し処理する(浸水、真空注入、注入等による)。各処理において、パネル1g当たり5~50mLの溶液が使用される。
6.手動プレス、液圧プレス又はローラーを使用して、組織(基材を有さない)を押圧する。押圧は、熱間(温度140°F)又は冷間プロセスで行うことができる。これは、処理中に菌糸が膨らむことがあるため、残留液を機械的に排出して厚さを設定する手段である。反発と収縮を減らすために、有機溶液で処理した直後に厚さを設定することが重要である(例、固定化)。
7.組織を対流式オーブンを使用して乾燥させることができ、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥させることができる。
8.最終的な所望の水分含有量の保持を補助するために、組織を、グリセリン、ソルビトール又は別の保湿剤を含む可塑剤で処理する。
9.組織を1回又は繰返して伸長、固定及び/又は回転させるか、未処理のままにすることができる。
10.組織を色素で処理するか、未処理のままにすることができる。
11.組織を対流式オーブンを使用して乾燥させ、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥させる。
【0033】
図2に示すように、US 2015/0033620に記載された方法によって作製された、菌類生体高分子のパネル及び容器17中の有機溶媒及びフェノール及び/又はポリフェノール溶液16を使用する方法であって、タンニン酸がポリフェノール化合物として使用される方法の具体例を以下に示す。
[実施例3]
1.菌類生体高分子材料の18インチ×11インチ×2.5インチのパネルを成長させ、15%の粗タンパク質、33%の非繊維性炭水化物、28%のリグニン及び14%の粗脂肪で構成される基材から抽出する。残りの2%にはミネラル分が含まれ、8%には固有の水分が含まれる。
2.湿った生組織を5インチ×5インチ×2.5インチの切片18に細断する。
3.組織を液圧プレスで0.125インチに押圧する。
4.酢等の5%酢酸の溶液を調製し、各組織切片18を10,000mLのこの溶液に浸漬する。各組織切片18をこの溶液に24時間浸漬し、染色及び架橋を補助するため、前記組織のpHを5~7の中性から酸性のpHにする。
5.切片を酸のバスから取り出し、10,000mLの水で1分間洗浄し、組織を絞って手動で押圧する。
6.10g/Lのタンニン酸粉末と水の溶液16を調製し、各組織切片18を10,000mLの溶液16に浸漬する。各切片18は、この溶液に7日間浸漬する(
図2参照)。
7.切片18をタンニン酸のバスから取り出し、10,000mLの水で1分間洗浄し、組織を絞って手動で押圧する。
8.20g/Lのタンニン酸粉末と水の溶液を調製し、各組織切片18を10,000mLのこの溶液に浸漬する。各切片18は、この溶液に14日間浸漬する。
9.切片18をタンニン酸のバスから取り出し、10,000mLの水で1分間洗浄し、
図3で示すように、組織を絞って手動で押圧する。
10.20(g/L)の植物性グリセリンと水の溶液を調製し、各組織切片18を100mLのこの溶液でコーティングする。
11.組織切片18を、切片18が20~30%の水分になるまで、材料の伸張及び/又は回転により機械的に攪拌する。
12.組織切片18はそれぞれ、50mLの20g/Lの植物性グリセリン及び水の溶液でコーティングされ、切片が20~30%の水分になるまで機械的に攪拌される。このプロセスは、切片18が曲げ半径、すなわち1インチの外径の剛性チューブに巻き付けられ、割れることなくチューブの周りに180°の曲げを形成する材料の能力によって決定される、望ましい柔軟性に達するまで繰り返される。
図4は、360°以上の角度で長手方向にねじられた、5インチ×5インチ×0.125インチの寸法を有する、コーティングされた組織切片18を示す。
13.組織切片18を回転させ、風乾させる。乾燥工程中に切片18整合する型(mold、buck)押圧したり、又はドレープを作ったりして、幾何学的形状を提供することができる。
【0034】
フェノール及び/又はポリフェノール物質と組み合わせた有機溶媒の溶液、並びに塩化カルシウム等の塩と組み合わせた有機溶媒の溶液を使用する実施態様では、以下の工程が実施される。
1.湿った生体組織又は乾燥組織のパネル、すなわち前駆体組織を使用できる。
2.組織を脂質及び/又は保湿/水和剤で1回又は繰返し処理するか、このプロセスのどの時点においても未処理のままにすることができる。
3.組織を様々な製造サイズにするために、切断又はそのままの形にしておくことができる。
4.基材を有する又は有さない組織は、処理工程5又は6の前及び/又は後に、有機溶媒溶液で5秒~6か月間、1回又は繰返し処理される(浸漬、真空注入、注入等による)又は未処理のままにすることができる。各処理において、パネル1g当たり5~50mLの溶液が使用される。
5.基材を有する又は有さない組織を処理工程6の前及び/又は後に、有機溶媒溶液及びフェノール及び/又はポリフェノール溶液で5秒~6か月間、1回又は繰返し処理する(浸漬、真空注入、注入等による)。各処理において、パネル1g当たり5~50mLの溶液が使用される。
6.基材を有する又は有さない組織を20~300g/Lの塩及び有機溶媒溶液で5秒~6か月間、1回又は繰返し処理する(浸漬、真空注入、注入等による)。各処理において、パネル1g当たり5~50mLの溶液が使用される。
7.手動プレス、液圧プレス又はローラーを使用して、組織(基材を有さない)を押圧する。押圧は、熱間又は冷間プロセスで行うことができる。
8.組織を対流式オーブンを使用して乾燥することができ、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥させることができる。
9.最終的な所望の水分含有量の保持を補助するために、組織をグリセリン、ソルビトール又は別の保湿剤を含むことができる可塑剤で処理できる。
10.組織を1回又は繰返して伸長、固定及び/又は回転させるか、未処理のままにすることができる。
11.組織を色素で処理するか、未処理のままにすることができる。
12.組織を対流式オーブンを使用して乾燥させ、凍結乾燥、風乾、又は導電的に乾燥させる。
【0035】
US 2015/0033620に記載された方法によって作製された、菌類生体高分子のパネル、及び有機溶媒と塩化カルシウム溶液、及び有機溶媒とフェノール及び/又はポリフェノール溶液を使用する方法の具体例を以下に示す。
[実施例4]
1.菌類生体高分子材料の18インチ×11インチ×2.5インチのパネルを成長させ、15%の粗タンパク質、33%の非繊維性炭水化物、28%のリグニン及び14%の粗脂肪で構成される基材から抽出する。残りの2%にはミネラル分が含まれ、8%には固有の水分が含まれる。
2.湿った生組織を18インチ×5インチ×2.5インチの切片に細断する。
3.組織を液圧プレスで0.5インチの厚さに押圧する。
4.10g/Lのタンニン酸粉末と水の溶液を調製し、各組織切片を5,500mLの溶液に浸漬する。各切片は、この溶液に7日間浸漬する(
図2)。
5.100%アルコール(イソプロピル、エタノール、メタノール等)中に150g/LのCaCl
2の溶液を調製し、各組織切片を5,500mLのこの溶液に浸漬する。各切片を、この溶液に7日間浸漬する。その後、切片をバスから取り出し、各パネルの切片毎に同じプロセスを全2つの一連の溶液バスで14日間、1回繰り返す(
図1)。
6.組織切片をCaCl
2とアルコールの溶液から取り出し、ローラーを使用して0.5インチまで押圧する(
図3)。
7.100%アルコール(イソプロピル、エタノール、メタノール等)の溶液を調製し、各押圧された組織切片を5,500mLのこの溶液に浸漬する。各切片は、この溶液に1日間浸漬する。
8.組織切片をアルコールバスから取り出し、直ちに一対のローラーを使用して0.125インチに押圧する(
図3)。
9.組織切片をドラフトチャンバー又は通気の良い場所の乾燥ラックに置き、風乾する。
10.20(g/L)の植物性グリセリンと水の溶液を調製し、各組織切片を100mLのこの溶液でコーティングする。
11.組織切片を、切片が所望の柔軟性と弾力性に達するまで、材料の伸張及び/又は回転により機械的に攪拌する。
12.組織切片を回転させ、風乾する。回転は、菌糸の繊維をほぐし、所望の触感に達成することを補助する。
【0036】
US 2015/0033620に記載された方法によって作製された、菌類生体高分子のパネルとタンニンの溶液を使用する方法の具体例を以下に示す。
[実施例5]
・実施例4に記載される工程1~9
・そして、前駆体組織をタンニン溶液に入れる工程であって、公共の水道水と1:100の比率で乾燥組織重量の5%でタンニンが適用される工程。
・そして、処理組織を強制対流を使用して180°Fで乾燥する。
・そして、処理組織を公共の水道水で1:100の比率で乾燥組織重量の5%で適用される染料で染色する。
・そして、処理組織を前記染料を固定するためにpH3の酢酸溶液で洗浄する。
・そして、処理組織を公共の水道水で洗浄され、固定されていない染料を除去する。
・そして、処理組織を強制対流を使用して180°Fで乾燥する。
・そして、処理組織をエンボス加工を施して表面模様を提供する。
・そして、処理組織をスプレーコーティングによりワックスの膜で被覆し、水の浸透を防止する。
【0037】
タンニンの溶液(すなわち、有機溶媒溶液)は、特に革のなめし及び布の染色に使用される植物由来の様々な可溶・収斂性複合フェノール物質のいずれかで構成されてもよい。
【0038】
前駆体組織としての既知の菌類生体高分子材料の上記の後処理は、材料の固有な材料特性を高めるのに役立つ。
【0039】
この場合、処理は前駆体組織を固定し、組織を繰返し応力に対する耐久性を高め、微生物の腐敗対して耐性を持たせ、剪断(引裂き)応力に対して耐性を持たせる。これは、材料を脆化することが示されている、積極的に乾燥させた、組織上で抽出された菌糸(湿潤)の特性を保持し、特に弾性と靭性を保持する。
【0040】
組織の溶媒による処理は、浸透を可能にし、細胞外物質を洗い流し、タンパク質を変性させ、脱アセチル化させる。後者の2つの後処理は、架橋と固定のサイトを開放する。
【0041】
組織のフェノールによる処理は、架橋剤を提供し、キチンの第一級アミンとアミノ酸残基のアミン及びヒドロキシル間の共有結合を特に提供する。
【0042】
塩は保湿剤及び抗菌剤である。メタノールと結合した時、塩化カルシウムは、結合形成を媒介するキチンを脱アセチル化する。水中では、塩は同じ官能基とイオン結合を形成することができる。
【0043】
処理前の前駆菌類生体高分子材料は、US 2015/0033620に記載されているように作製してもよいし、その材料が、未分化菌糸、特に細胞外マトリックスが洗い流されたキチンポリマーで作製されている限り、任意の適切な原料から得てもよい。
【0044】
さらに、後処理に提供される、処理前の前駆体菌類生体高分子材料は、後処理材料の最終用途に応じて他の材料が組み込まれる材料を有する場合がある。例えば、後処理材料の最終用途が断熱目的である場合、前処理材料には断熱粒子又は断熱成分が組み込まれてもよい。
熱伝導性の利点を提供する粒子等の埋込材料又はスクリム等の構造部材が存在する可能性がある。
【0045】
したがって、本発明は、既知の菌類生体高分子と比較して弾性、強度及び密度が増大した処理菌類生体高分子材料を提供する。
【0046】
本発明はまた、ポリウレタン、シリコーン、ポリ酢酸ビニルコーティングスクリム等の、布、皮革及び皮革様の材料を置き換えるために使用することができる強靭で柔軟な材料である処理菌類生体高分子を提供し、室内装飾品、衣料品、軍事用品、運動用品及び履物に使用するための高密度フォーム様材料を提供する。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕柄も、傘も、胞子もなく、全体的に菌糸で構成され、弾性が2000~8000psiであることを特徴とする、処理菌類生体高分子材料。
〔2〕15~50pcfの密度を有する、前記〔1〕に記載の処理菌類生体高分子材料。
〔3〕0.125インチの厚さを有する、前記〔2〕に記載の処理菌類生体高分子材料。
〔4〕柄も、傘も、胞子もなく、全体的に菌糸で構成され、固有の水分を含むことを特徴とする、菌類生体高分子材料の組織を得る工程と、
組織への浸透を可能にするのに十分な期間、組織を有機溶媒溶液で処理し、前記固有の水を溶媒溶液で置換し、組織を脱水する工程と、
前記溶液から前記組織を除去し、前記除去された組織を小さな厚さまで押圧する工程と、
その後、前記組織を乾燥質量の水分含有量10~12%まで乾燥させる工程と
を含む方法。
〔5〕前記組織が、1グラムの組織に対して5~50mLの量の前記有機溶媒溶液で処理される、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕前記組織が、5秒~6か月の期間、前記有機溶媒溶液で処理される、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕前記組織が、5インチ×5インチの寸法及び2.5インチの厚さを有し、0.125インチの厚さに押圧される、前記〔4〕に記載の方法。
〔8〕前記有機溶媒溶液が、100%アルコールの1500mLバスである、前記〔4〕に記載の方法。
〔9〕前記組織が、7日間、前記溶液に少なくとも1回浸漬される、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記有機溶媒溶液が、1リットルの有機溶媒に対して20~300gの含有量で、塩を含む1500mLの溶液である、前記〔4〕に記載の方法。
〔11〕前記組織が、7日間、前記溶液に少なくとも1回浸漬される、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記溶液から前記組織を除去する工程と、前記除去された組織を0.50インチの厚さに押圧する工程をさらに含む、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記0.50インチに押圧された組織を100%アルコールの1500mL溶液に3日間浸漬する工程をさらに含む、前記〔12〕に記載の方法。
〔14〕前記100%アルコール溶液から前記組織を除去し、前記除去された組織を直ちに厚さ0.125インチに押圧する工程と、前記組織を乾燥させる工程とをさらに含む、前記〔13〕に記載の方法。
〔15〕前記組織を有機溶媒及びフェノール及びポリフェノールの少なくとも一種の溶液で、その中にあるキチンの架橋及びその固定をもたらすのに十分な期間処理する工程をさらに含む、前記〔4〕に記載の方法。
〔16〕前記組織を有機溶媒と1リットルの有機溶媒に対して20~300gの含有量の塩とを含む溶液で、抗菌性を付与するのに十分な期間処理する工程をさらに含む、前記〔15〕に記載の方法。
〔17〕柄も、傘も、胞子もなく、全体的に菌糸で構成されることを特徴とする、菌類生体高分子材料の組織を得る工程と、
前記組織を5%酢酸の10000mL溶液に24時間浸漬し、染色及び架橋を補助するため、前記組織のpHを5~7の中性から酸性のpHにする工程と、
前記組織を前記溶液から除去し、10000mLの水で1分間、前記組織を洗浄する工程;
前記組織をタンニン酸粉末及び水の10000mLの溶液であって、1リットルの水に対して10グラムのタンニン酸含有量でタンニン酸を含む溶液で7日間浸漬する工程と、
前記組織を前記タンニン酸溶液から除去し、10000mLの水で1分間、前記組織を洗浄する工程と、
前記組織をタンニン酸粉末及び水の10000mLの第二の溶液であって、1リットルの水に対して20グラムのタンニン酸含有量でポリフェノール化合物を含有する第二の溶液で14日間浸漬する工程と、
前記組織を前記第二のタンニン酸溶液から除去し、10000mLの水で1分間、前記組織を洗浄する工程と、
前記組織を植物グリセリン及び水の溶液であって、1リットルの水に対して20グラムのグリセリン含有量である溶液でコーティングする工程と、
前記組織を20~30重量%の水分含有量まで乾燥させる工程と
を含む方法。
〔18〕柄も、傘も、胞子もなく、全体的に菌糸で構成されることを特徴とする、菌類生体高分子材料の組織を得る工程と、
前記組織をタンニン酸粉末及び水の5500mLの溶液であって、1リットルの水に対して10グラムのタンニン酸含有量でタンニン酸を含む溶液に7日間浸漬する工程と、
前記組織を塩化カルシウムとアルコールの5500mL溶液であって、1リットルのアルコールに対して150グラムの塩化カルシウムの含有量である溶液で3回繰返し7日間、浸漬する工程と、
前記組織を0.5インチの厚さに押圧する工程と、
前記押圧組織を100%アルコールの5500mL溶液に1日間浸漬する工程と、
前記組織を前記アルコール溶液から除去し、直ちに前記除去された組織を0.125インチの厚さに押圧する工程と、
前記組織を乾燥させる工程と
を含む方法。
〔19〕前記組織が、続けて、水と1:100の比率で前記組織の乾燥重量の5%の量のタンニンを有する、タンニンの溶液で処理される工程と、その後、乾燥させる工程と、公共の水道水と1:100の比率で乾燥組織重量の5%で適用される染料で染色する工程と、そして、前記染料を固定するためにpH3の酢酸溶液で洗浄する工程とをさらに含む、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕前記組織が、その後、洗浄され、固定されていない染料を除去する工程と、そして、乾燥し、エンボス加工して表面模様を提供する、前記〔19〕に記載の方法。
〔21〕前記エンボス加工された組織が、スプレーコーティングによりワックスの膜で被覆され、水の浸透を防止する、前記〔20〕に記載の方法。