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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20221019BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20221019BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20221019BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20221019BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20221019BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20221019BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20221019BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M10/0568
H01M10/0569
H01M4/48
H01M4/587
H01M4/13
H01M4/36 D
H01M4/62 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020502903
(86)(22)【出願日】2019-02-07
(86)【国際出願番号】 JP2019004323
(87)【国際公開番号】W WO2019167581
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2018035667
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大介
(72)【発明者】
【氏名】石川 香織
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄太
(72)【発明者】
【氏名】上原 幸俊
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-59704(JP,A)
【文献】特開2010-165471(JP,A)
【文献】特開2018-181539(JP,A)
【文献】特開2007-214038(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175560(WO,A1)
【文献】特開2003-77463(JP,A)
【文献】国際公開第2017/094712(WO,A1)
【文献】特開2000-348730(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022731(WO,A1)
【文献】特開2011-150958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 4/13-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、電解質塩及び非水溶媒を含む非水電解質と、を備え、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成された負極合材層とを備え、
前記負極合材層は、
炭素材料A及びSi含有化合物含む負極活物質と、ポリアクリル酸又はその塩を含む第1結着材とを有し、前記負極集電体上に形成された第1層と、
前記炭素材料Aより高いタップ密度を有する炭素材料Bを含む負極活物質と、第2結着材とを有し、前記第1層上に形成された第2層とを備え、
前記負極合材層の質量に対する前記第1層の質量が50質量%以上90質量%未満であり、前記負極合材層の質量に対する前記第2層の質量が10質量%超50質量%以下であり、
前記第2層の充填密度は前記第1層の充填密度より低く、
前記電解質塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を含む、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記LiFSIの含有量は、前記電解質塩の全量に対して4~50モル%の範囲である、請求項1に記載に非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記炭素材料Bは、前記炭素材料Aより高いBET比表面積を有する、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記炭素材料AのBET比表面積は、0.9m/g~4.5m/gの範囲であり、前記炭素材料BのBET比表面積は、4.0m/g~8.0m/gの範囲である、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記炭素材料Aのタップ密度は、0.85g/cm~1.00g/cmの範囲である、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
前記炭素材料Bのタップ密度は、1.00g/cm~1.25g/cmの範囲である、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項7】
前記負極合材層の充填密度は、1.65g/cm以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【請求項8】
前記非水溶媒は、15質量%以上のフルオロエチレンカーボネートを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
SiOで表されるシリコン酸化物などのSi含有化合物は、黒鉛などの炭素系活物質と比べて単位体積当りに多くのリチウムイオンを吸蔵できることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、負極活物質としてシリコン酸化物を含み、負極合材層の結着材にポリアクリル酸を用いた非水電解質二次電池が開示されている。また、特許文献1には、黒鉛とSi含有化合物とを併用することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-348730号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、電池の初期充放電時に、負極表面には、非水電解質との副反応によって、被膜が形成される。この被膜の形成が、初期充放電時だけでなく、その後の充放電でも起こると、充放電サイクル特性が低下する。ここで、Si含有化合物を含む負極活物質を用いた負極では、充放電に伴い、Si含有化合物に大きな体積変化が生じる。そして、上記被膜は、この体積変化に追従できないため、Si含有化合物と非水電解質とが継続的に接触して、充放電ごとに被膜が形成されることになり、充放電サイクル特性が低下するという問題がある。この問題に対して、Si含有化合物と反応性の高い非水電解質を用いて、初期充放電時に、Si含有化合物上に多くの被膜を形成することが考えられるが、この場合には、負極の抵抗が上昇するため、電池の入力特性が低下する場合がある。
【0006】
そこで、本開示の目的は、負極活物質としてSi含有化合物を含む場合において、非水電解質二次電池の良好な入力特性及び充放電サイクル特性を有する非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、正極と、負極と、電解質塩及び非水溶媒を含む非水電解質と、を備え、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成された負極合材層とを備え、前記負極合材層は、炭素材料A及びSi含有化合物含む負極活物質と、ポリアクリル酸又はその塩を含む第1結着材とを有し、前記負極集電体上に形成された第1層と、前記炭素材料Aより高いタップ密度を有する炭素材料Bを含む負極活物質と、第2結着材とを有し、前記第1層上に形成された第2層とを備え、前記負極合材層の質量に対する前記第1層の質量が50質量%以上90質量%未満であり、前記負極合材層の質量に対する前記第2層の質量が10質量%超50質量%以下であり、前記第2層の充填密度は前記第1層の充填密度より低く、前記電解質塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を含む、ことを特徴とする。
【0008】
本開示の一態様によれば、非水電解質二次電池の良好な入力特性及び充放電サイクル特性を有する非水電解質二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の一例である非水電解質二次電池を示す斜視図である。
図2】実施形態の一例である負極の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、正極と、負極と、電解質塩及び非水溶媒を含む非水電解質と、を備え、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に形成された負極合材層とを備え、前記負極合材層は、炭素材料A及びSi含有化合物含む負極活物質と、ポリアクリル酸又はその塩を含む第1結着材とを有し、前記負極集電体上に形成された第1層と、前記炭素材料Aより高いタップ密度を有する炭素材料Bを含む負極活物質と、第2結着材とを有し、前記第1層上に形成された第2層とを備え、前記負極合材層の質量に対する前記第1層の質量が50質量%以上90質量%未満であり、前記負極合材層の質量に対する前記第2層の質量が10質量%超50質量%以下であり、前記第2層の充填密度は前記第1層の充填密度より低く、前記電解質塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を含む、ことを特徴とする。
【0011】
ここで、第2層に含まれるタップ密度の高い炭素材料Bは、第1層に含まれるタップ密度の低い炭素材料Aと比べて炭素材料内へのリチウムイオンの挿入速度が速く、リチウムイオン等のイオンの受け入れ性の高い材料である。また、充填密度の低い第2層は、充填密度の高い第1層に比べて、非水電解質である電解液の浸潤性が高いため、多くのイオン導電パス(リチウムイオン導電パス)を有する。このような第2層を負極集電体上に形成された第1層上に形成することで、非水電解質二次電池の入力特性の向上が図られる。
【0012】
また、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含む非水電解質を用いることで、負極表面上には、イオン伝導性の高い被膜が形成される。この被膜は、炭素材料A及びSi含有化合物を含む第1層より、この第1層上に配置される、炭素材料Aよりタップ密度の高い炭素材料Bを含む第2層で優先して形成される。そして、第2層に形成された被膜は、第1層中のSi含有化合物の大きな体積変化の影響を受け難く、負極上の安定な被膜として存在するため、充放電ごとの被膜形成が抑制されると考えられる。また、第1層に含まれるポリアクリル酸又はその塩は、負極活物質(Si含有化合物、炭素材料A)の粒子同士を強く結着させるため、充放電に伴いSi含有化合物に大きな体積変化が生じても、負極活物質の粒子同士の結着性が維持され、第1層中の導電パスから孤立する負極活物質の増加が抑制される。このように、本実施形態では、イオン伝導性が高く且つ安定な被膜が負極上に形成され、また、第1層中の導電パスから孤立する負極活物質の粒子の増加が抑えられるため、充放電サイクル特性の向上が図られる。
【0013】
以下に、本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質を用いた非水電解質二次電池の一例について説明する。なお、本明細書において、「数値(1)~数値(2)」との記載は、数値(1)以上、数値(2)以下を意味する。
【0014】
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池を示す斜視図である。図1に示す非水電解質二次電池10は、角形電池であるが、本開示の非水電解質二次電池はこれに限定されるものではなく、例えば、円筒形電池、ラミネート形電池等でもよい。
【0015】
図1に示す非水電解質二次電池10は、電極体11と、非水電解質と、これらを収容する電池ケース14とを備える。電極体11は、正極と、負極と、セパレータとを有する。電極体11は、正極と負極とがセパレータを介して交互に積層された積層型の電極体であるが、電極体はこれに限定されず、正極及び負極がセパレータを介して巻回されてなる巻回型の電極体等でもよい。
【0016】
電池ケース14は、略箱形状のケース本体15と、ケース本体15の開口部を塞ぐ封口体16と、正極と電気的に接続されている正極端子12と、負極と電気的に接続されている負極端子13とを有する。ケース本体15及び封口体16は、例えばアルミニウムを主成分とする金属材料で構成される。正極端子12及び負極端子13は、絶縁部材17を介して封口体16に固定されている。なお、一般的に、封口体16には、ガス排出機構(図示せず)が設けられている。電池ケース14の形態は上記に限定されるものではなく、従来公知の形態を適用できる。
【0017】
以下、実施形態の一例である非水電解質二次電池に用いられる正極、負極、非水電解質、セパレータについて詳述する。
【0018】
<正極>
正極は、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極合材層とを備える。正極集電体には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合材層は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む。正極合材層は、例えば、正極集電体の両面に形成される。正極は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む正極合材スラリーを正極集電体上に塗布し、塗膜を乾燥することによって、正極集電体上に正極活物質層を形成し、当該正極活物質層を圧延することにより得られる。
【0019】
正極活物質は、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物を含む。リチウム含有遷移金属酸化物を構成する金属元素は、たとえば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、鉛(Pb)、およびビスマス(Bi)から選択される少なくとも1種である。これらの中では、Co、Ni、Mn、Alから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0020】
正極合材層に含まれる導電材としては、例えば、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
正極合材層に含まれる結着材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独でもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0022】
<負極>
図2は、実施形態の一例である負極の断面図である。図2に示すように、負極20は、負極集電体30と、負極集電体30上に形成された負極合材層31とを備える。負極集電体30には、銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合材層31は、例えば、負極集電体30の両面に形成される。
【0023】
負極合材層31は、負極集電体30上に形成された第1層32と、第1層32上に形成された第2層33とで構成される二層構造を有する。第1層32は、炭素材料A及びSi含有化合物を含む負極活物質と、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩を含む第1結着材とを有する。第2層33は、炭素材料Bを含む負極活物質と、第2結着材とを有する。
【0024】
負極合材層31の質量に対する第1層32の質量は50質量%以上90質量%未満であり、好ましくは50質量%~70質量%であり、負極合材層31の質量に対する第2層33の質量は10質量%超50質量%以下であり、好ましくは30質量%~50質量%である。負極合材層31の質量に対する第1層32の質量が90質量%以上、負極合材層31の質量に対する第2層33の質量が10質量%以下であると、入力特性に寄与する第2層33の割合が少なく、上記範囲外の場合と比較して、非水電解質二次電池の入力特性が低下する。また、負極合材層31の質量に対する第1層32の質量が50質量%未満、負極合材層31の質量に対する第2層33の質量が50質量%超であると、第1層32の割合が少なく(すなわち、Si含有化合物の量が減少し)、上記範囲外の場合と比較して、電池の高容量化を図ることが困難となる。
【0025】
負極合材層31の厚みは、負極集電体30の片側で、例えば、30μm~100μmであることが好ましく、50μm~80μmであることがより好ましい。
【0026】
負極合材層31の充填密度は、電池容量の向上等の点で、1.65g/cm以上であることが好ましく、1.65g/cm~1.75g/cmの範囲であることがより好ましい。
【0027】
第2層33の充填密度は、非水電解質二次電池の入力特性の向上の点で、第1層32の充填密度より低ければよいが、例えば、1.40~1.55g/cmの範囲であることが好ましい。第1層32の充填密度は、非水電解質二次電池の容量の向上やサイクル特性の低下抑制の点で、例えば、1.70~1.95g/cmの範囲であることが好ましい。
【0028】
第1層32に含まれる炭素材料A、第2層33に含まれる炭素材料Bは、例えば、黒鉛、非晶質炭素等が挙げられ、これらの中では、黒鉛が好ましい。黒鉛としては、鱗片状黒鉛等の天然黒鉛、塊状人造黒鉛(MAG)、黒鉛化メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等の人造黒鉛等が挙げられる。また、これら黒鉛を非晶質炭素で被覆するなどして複合化してもよい。
【0029】
第1層32に含まれる炭素材料A、第2層33に含まれる炭素材料Bは、後述するように、炭素材料Aタップ密度<炭素材料Bタップ密度であれば、同じ材料でもよいし、異種の材料でもよい。第1層32に含まれる炭素材料Aは、Si含有化合物の体積変化を緩和できる炭素材料であることが好ましく、第2層33は、リチウムイオンの挿入・脱離の速い非晶質炭素と複合するなどしてリチウムイオン等のイオンの受け入れ性を高めた炭素材料であることが好ましい。炭素材料A及び炭素材料Bは、1種類単独でも、2種類以上を併用してもよい。例えば、炭素材料Aとして、鱗片状黒鉛、塊状人造黒鉛等の2種類以上を併用し、炭素材料Bとして、非晶質炭素が粒子表面に被覆された黒鉛等の1種類単独としてもよい。
【0030】
第2層33に含まれる炭素材料Bのタップ密度は、非水電解質二次電池の入力特性の向上の点で、第1層32に含まれる炭素材料Aのタップ密度より高く、例えば、1.00g/cm以上であることが好ましく、1.00g/cm~1.25g/cmの範囲であることが好ましく、更には材料が黒鉛であることが好ましい。第2層33に含まれる炭素材料Bのタップ密度を上記範囲とすることで、上記範囲外の場合と比較して、リチウムイオン等のイオンの受け入れ性が良好となり、非水電解質二次電池の入力特性がより向上する場合がある。第1層32に含まれる炭素材料Aのタップ密度は、第2層33に含まれる炭素材料Bのタップ密度より低くければよいが、例えば、0.85g/cm~1.00g/cmの範囲であることが好ましく、0.89g/cm~0.95g/cmの範囲であることがより好ましく、更には材料が黒鉛であることが好ましい。第1層32に含まれる炭素材料Bのタップ密度を上記範囲とすることで、上記範囲外の場合と比較して、Si含有化合物の体積変化が緩和され、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の低下がより抑制される場合がある。炭素材料のタップ密度は、JIS Z-2504に規定される方法に基づき、容器に採取した試料粉末を250回タッピングした後のかさ密度をタップ密度とする。
【0031】
第2層33に含まれる炭素材料BのBET比表面積は、非水電解質二次電池の入力特性の向上等の点で、第1層32に含まれる炭素材料AのBET比表面積より高いことが好ましく、例えば、4.0m/g~8.0m/gの範囲であることが好ましく、4.2~7.0m/gの範囲であることがより好ましい。第2層33に含まれる炭素材料BのBET比表面積を上記範囲とすることで、上記範囲外の場合と比較して、リチウムイオン等のイオン受け入れ性が良好となり、非水電解質二次電池の入力特性がより向上する場合がある。第1層32に含まれる炭素材料AのBET比表面積は、第2層33に含まれる炭素材料BのBET比表面積より小さいことが好ましく、例えば、0.9m/g~4.5m/gの範囲であることが好ましい。第1層32に含まれる炭素材料AのBET比表面積を上記範囲とすることで、上記範囲外の場合と比較して、充放電時の電解液との副反応による充放電効率、容量維持率の低下を抑制できる場合がある。BET比表面積は、JIS R1626記載のBET法(窒素吸着法)に従って測定する。
【0032】
第1層32に含まれる炭素材料A及び第2層33に含まれる炭素材料Bは、一般的に多数の一次粒子が集合した二次粒子である。炭素材料A及び炭素材料Bの二次粒子の平均粒径は、特に制限されるものではないが、例えば、1μm~30μmである。二次粒子の平均粒径とは、レーザー回折散乱法で測定される粒度分布において体積積算値が50%となる体積平均粒径(Dv50)を意味する。
【0033】
第1層32に含まれるSi含有化合物は、Siを含有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくはSiO(0.5≦x≦1.5)で表されるシリコン酸化物である。Si含有化合物は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。SiO等のシリコン酸化物の粒子表面には、シリコン酸化物よりも導電性の高い材料から構成される導電被膜が形成されていることが好ましい。SiO等のシリコン酸化物の平均粒径(Dv50)は、例えば1μm~15μmの範囲である。
【0034】
SiOは、例えば非晶質のSiOマトリックス中にSiが分散した構造を有する。また、SiOは、粒子内にリチウムシリケート(例えば、Li2zSiO(2+z)(0<z<2)で表されるリチウムシリケート)を含んでいてもよいし、リチウムシリケート相中にSiが分散した構造を有していてもよい。
【0035】
上記導電被膜は、炭素被膜であることが好ましい。炭素被膜量は、例えばSiO粒子の質量に対して0.5質量%~10質量%の範囲である。炭素被膜の形成方法としては、コールタール等をSiO粒子と混合し、熱処理する方法、炭化水素ガス等を用いた化学蒸着法(CVD法)等が挙げられる。また、カーボンブラック、ケッチェンブラック等のバインダーを用いて、SiO粒子の表面に固着させることで炭素被膜を形成してもよい。
【0036】
第1層32に含まれる炭素材料AとSi含有化合物との質量比は、炭素材料AによりSi含有化合物の体積変化を緩和し、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性の低下を抑制する等の点で、例えば、95:5~70:30の範囲が好ましく、95:5~80:20の範囲がより好ましい。
【0037】
第1層32に含まれる第1結着材は、PAA又はその塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等、また部分中和型の塩等)を含んでいればよいが、他の結着材を含むことが好ましい。他の結着材としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
【0038】
第2層33に含まれる第2結着材は、例えば、CMC又はその塩、SBR、PVA、PEO、及びこれらの誘導体等が挙げられる。第2層33は、PAA又はその塩を含んでいてもよいが、非水電解質二次電池の入力特性の向上の点で、実質的に含まないことが好ましい。
【0039】
第1層32に含まれる第1結着材及び第2層33に含まれる第2結着材の含有量は、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性や入力特性を向上させる点等で、第1層32に含まれる第1結着材の含有量を第2層33に含まれる第2結着材の含有量よりも高くすることが好ましい。
【0040】
第1層32に含まれる第1結着材の含有量は、例えば、第1層32の質量に対して0.5質量%~10質量%の範囲が好ましく、1質量%~5質量%の範囲がより好ましい。第1結着材中のPAA又はその塩の含有量は、第1結着材の質量に対して、例えば20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。第1結着材中のPAA又はその塩の含有量が20質量%以上の場合、20質量%未満の場合と比較して、第1層32中の導電パスから孤立する負極活物質量が抑えられ、充放電サイクル特性の低下がより抑制される場合がある。
【0041】
第2層33に含まれる第2結着材の含有量は、例えば、第2層33の質量に対して0.5質量%~10質量%の範囲が好ましく、1質量%~5質量%の範囲がより好ましい。なお、第2結着材は、前述したように、PAA又はその塩を実質的に含まないことが好ましく、例えば、第2結着材の質量に対して0.1質量%未満であることが好ましい。
【0042】
第2層33に含まれる負極活物質は、前述した炭素材料Bの他に、前述したSi含有化合物を含んでいてもよいが、非水電解質二次電池の充放電サイクル特性又は入力特性の向上の点で、炭素材料Bのみを含み、Si含有化合物を実質的に含まないことが好ましい。第2層33中のSi含有化合物の含有量は、例えば、第2層33の質量に対して0.1質量%未満であることが好ましい。
【0043】
負極20は、例えば、以下のようにして作製される。炭素材料A及びSi含有化合物を含む負極活物質、PAA又はその塩を含む第1結着材等を含む第1層用の第1負極合材スラリーを調製する。また、炭素材料Bを含む負極活物質、第2結着材等を含む第2層用の第2負極合材スラリーを調製する。そして、負極集電体30上に第1負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥することにより、負極集電体30上に第1層32を形成する。次いで、負極集電体30上に形成した第1層32上に第2負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥することにより、第1層32上に第2層33を形成し、第1層32及び第2層33を圧延する。このようにして、負極集電体30上に第1層32及び第2層33を含む負極合材層31が形成された負極20が得られる。
【0044】
<非水電解質>
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水電解質は、液体電解質(非水電解液)に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。非水溶媒には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピオン酸メチル(MP)等のエステル類、エーテル類、二トリル類、アミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等が用いられる。非水溶媒は、上記これらの溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。ハロゲン置換体としては、例えばフルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステル、フルオロプロピオン酸メチル(FMP)等のフッ素化鎖状カルボン酸エステル等が挙げられる。非水電解質二次電池の充放電サイクル特性又は入力特性の向上等の点で、非水電解質は、15質量%以上のフルオロエチレンカーボネートを含むことが好ましく、15質量%~25質量%の範囲のフルオロエチレンカーボネートを含むことがより好ましい。
【0045】
電解質塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を含む。LiFSIを含むことにより、イオン伝導性の高い被膜が負極上に形成されるため、充放電サイクル特性の向上が図られる。
【0046】
LiFSIの含有量は、電解質塩の全量に対して4~50モル%の範囲であることが好ましく、10~30モル%の範囲であることがより好ましい。LiFSIの含有量が上記範囲である場合、上記範囲外の場合と比較して、充放電サイクル特性がより向上する。
【0047】
電解質塩は、LiFSI以外に他の電解質塩を含んでいても良く、例えば、従来の非水電解質二次電池において一般に使用されている支持塩等であり、具体的には、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li[B(C)]、Li[B(C)F]、Li[P(C)F]、Li[P(C)]等が挙げられる。これらの支持塩は、1種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
【0048】
<セパレータ>
セパレータは、例えば、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン及びプロピレンの少なくとも一方を含む共重合体等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータは、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。また、ポリエチレン層及びポリプロピレン層等を含む多層セパレータであってもよい。また、セパレータの表面にアラミド系樹脂等が塗布されたものでもよい。また、セパレータと正極及び負極の少なくとも一方との界面には、無機物のフィラーを含む耐熱層が形成されてもよい。
【実施例
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
<実施例>
[正極]
正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/3で表されるリチウム遷移金属酸化物を94.8質量部と、アセチレンブラック(AB)を4質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を1.2質量部とを混合し、さらにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えて、正極合材スラリーを調整した。次に、アルミニウム箔からなる正極集電体のリードが接続される部分を残して、正極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた。ローラーを用いて塗膜を圧延した後、所定の電極サイズに切断し、正極集電体の両面に正極合材層が形成された正極を作製した。
【0051】
[負極]
炭素材料Aとしてタップ密度が0.92g/cm、BET比表面積が4.2m/gの黒鉛Aを89質量部と、炭素被膜を有するSiO(x=0.94)を8質量部と、PAAのリチウム塩を1質量部と、CMCのナトリウム塩を1質量部と、SBRを1質量部とを混合し、水を適量加えて、第1層用の第1負極合材スラリーを調整した。また、炭素材料Bとしてタップ密度が1.14g/cm、BET比表面積が6.1m/gの黒鉛Bを97.5質量部と、CMCのナトリウム塩を1.5質量部と、SBRを1質量部とを混合し、水を適量加えて、第2層用の第2負極合材スラリーを調製した。
【0052】
次に、銅箔からなる負極集電体の両面にリードが接続される部分を残して、第1負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させて負極集電体の両面に第1層を形成した。次いで、負極集電体の両面に形成した第1層上に第2負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させて第2層を形成した。そして、ローラーを用いて塗膜を圧延した後、所定の電極サイズに切断し、負極集電体の両面に第1層及び第2層を含む負極合材層が形成された負極を作製した。負極合材層の第1層及び第2層の質量及び厚みを測定した結果、第2層/第1層の質量比は1.0であり、第2層/第1層の厚み比は1.34であった。したがって、負極合材層の質量に対する第1層の質量が50質量%であり、負極合材層の質量に対する第2層の質量が50質量%であり、第2層が第1層より低い充填密度を有している。なお、負極合材層の充填密度は1.65g/cmであった。
【0053】
[非水電解質]
エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを、3:7の体積比で混合した混合溶媒に、1.0mol/Lの濃度となるように電解質塩を添加し、さらに2体積%(溶媒比)のビニレンカーボネートを添加して非水電解質を調製した。電解質塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)とを含み、LiFSIの含有量が、電解質塩の全量に対して10モル%である電解質塩を使用した。
【0054】
[試験セル]
上記負極及び上記正極にリードをそれぞれ取り付け、セパレータを介して各電極を渦巻き状に巻回して巻回構造を有する電極体を作製した。セパレータには、単層のポリプロピレン製セパレータを用いた。作製した電極体をアルミニウムラミネートシートで構成される外装体に挿入して、105℃で2時間30分真空乾燥した後、上記非水電解質を注入し、外装体の開口部を封止して試験セル(ラミネートセル)を作製した。試験セルの設計容量は600mAhである。
【0055】
<比較例1>
非水電解質の調製において、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を含まず、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)からなる電解質塩を用いたこと以外は、実施例と同様に試験セルを作製した。
【0056】
<比較例2>
負極の作製において、黒鉛Aを93質量部と、炭素被膜を有するSiO(x=0.94)を4質量部と、PAAのリチウム塩を1質量部と、CMCのナトリウム塩を1質量部と、SBRを1質量部とを混合し、水を適量加えた負極合材スラリーを用いて、負極集電体の両面に単層構造の負極合材層を形成したこと、非水電解質の調製において、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を含まず、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)からなる電解質塩を用いたこと以外は、実施例と同様に試験セルを作製した。
【0057】
<比較例3>
負極の作製において、黒鉛Aを93質量部と、炭素被膜を有するSiO(x=0.94)を4質量部と、PAAのリチウム塩を1質量部と、CMCのナトリウム塩を1質量部と、SBRを1質量部とを混合し、水を適量加えた負極合材スラリーを用いて、負極集電体の両面に単層構造の負極合材層を形成したこと以外は、実施例と同様に試験セルを作製した。
【0058】
<比較例4>
負極の作製において、黒鉛Aを93質量部と、炭素被膜を有するSiO(x=0.94)を4質量部と、PAAのリチウム塩を1質量部と、CMCのナトリウム塩を1質量部と、SBRを1質量部とを混合し、水を適量加えた負極合材スラリーを用いて、負極集電体の両面に単層構造の負極合材層を形成したこと、非水電解質の調製において、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)と、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)とを含み、LiFSIの含有量が、電解質塩の全量に対して50モル%である電解質塩を用いたこと以外は、実施例と同様に試験セルを作製した。
【0059】
[充放電サイクルにおける容量維持率の評価]
25℃の温度環境下、0.5Itの定電流で電池電圧が4.3Vになるまで定電流充電を行い、その後、4.3Vで電流値が1/50Itになるまで定電圧充電を行った。その後、0.5Itの定電流で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行った。この充放電を150サイクル行い、下記の式に基づいて、充放電サイクルにおける容量維持率を求めた。表1にその結果を示す。但し、表1では、比較例2の試験セルの容量維持率を基準として、実施例及び他の比較例の容量維持率を相対的に示している。
【0060】
容量維持率=(X2/X1)×100
X1:1サイクル目の放電容量
X2:150サイクル目の放電容量
[入力特性の評価]
25℃の温度環境下、0.5Itの定電流で初期容量の半分まで充電した後、充電を止めて15分間放置した。その後、0.1Itの電流値で10秒間充電をした後の電圧を測定した。その後10秒間の充電容量分を放電し、次の電流値にて10秒間充電後の電圧を測定し、10秒間の充電容量分を放電することを0.1Itから2Itまでの電流値で繰り返した。測定したそれぞれの電圧値から10秒間の充電で4.3Vになる電流値を算出することで、そのときの必要電力(入力特性)を求めた。その結果を表1に示す。但し、表1では、比較例2の試験セルの上記必要電力を基準として、実施例及び他の比較例の上記必要電力を相対的に示している。
【0061】
【表1】
【0062】
実施例では、炭素材料A及びSi含有化合物含む負極活物質と、ポリアクリル酸又はその塩を含む第1結着材とを有し、負極集電体上に形成された第1層と、前記炭素材料Aより高いタップ密度を有する炭素材料Bを含む負極活物質と、第2結着材とを有し、前記第1層上に形成された第2層とを備え、前記負極合材層の質量に対する前記第1層の質量が50質量%以上90質量%未満であり、前記負極合材層の質量に対する前記第2層の質量が10質量%超50質量%以下であり、前記第2層の充填密度は前記第1層の充填密度より低い負極合材層を作製し、LiFSIを含む非水電解質を調製した。比較例2では、炭素材料、Si含有化合物、ポリアクリル酸塩を含む単層構造の負極合材層を作製し、LiFSIを含まない非水電解質を調製した。このような実施例と比較例2とを比べると、実施例は、比較例2より高い必要電力及び容量維持率を示し、入力特性及び充放電サイクル特性が向上した結果となった。比較例1では、実施例と同様の負極合材層を作製しているが、LiFSIを含まない非水電解質を調製している。このような比較例1は、比較例2より高い必要電力を示し、入力特性は向上しているが、容量維持率は変わらず、充放電サイクル特性は向上しなかった。また、比較例3及び4では、LiFSIを含む非水電解質を調製しているが、比較例2と同様の単層構造の負極合材層を作製している。このような比較例3及び4は、比較例2と同等の必要電力及び容量維持率を示しており、入力特性及び充放電サイクル特性は向上しなかった。
【符号の説明】
【0063】
10 非水電解質二次電池
11 電極体
12 正極端子
13 負極端子
14 電池ケース
15 ケース本体
16 封口体
17 絶縁部材
20 負極
30 負極集電体
31 負極合材層
32 第1層
33 第2層
図1
図2