(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】貯蔵安定性が改善されたポリシロキサン含有濃縮物およびその使用、好ましくは繊維製品ケア組成物におけるその使用
(51)【国際特許分類】
C11D 3/37 20060101AFI20221019BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20221019BHJP
C11D 3/18 20060101ALI20221019BHJP
C11D 3/32 20060101ALI20221019BHJP
C11D 3/30 20060101ALI20221019BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20221019BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20221019BHJP
C11D 1/34 20060101ALI20221019BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20221019BHJP
D06M 15/643 20060101ALI20221019BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20221019BHJP
D06M 13/02 20060101ALI20221019BHJP
D06M 13/165 20060101ALI20221019BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20221019BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D3/20
C11D3/18
C11D3/32
C11D3/30
C11D1/72
C11D1/68
C11D1/34
C11D1/62
D06M15/643
D06M13/224
D06M13/02
D06M13/165
C08L83/04
C08K5/10
(21)【出願番号】P 2020517116
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2018075323
(87)【国際公開番号】W WO2019057754
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンドラ トラムビタス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレーナ ダール
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ベンツメール
(72)【発明者】
【氏名】イェンス ヒルデブラント
【審査官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-508291(JP,A)
【文献】特開2002-201494(JP,A)
【文献】国際公開第2002/097024(WO,A1)
【文献】特表2006-520855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D3
C11D1
D06M15
D06M13
C08L83
C08K5
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
A)1つまたは複数のポリシロキサン、
B)1つまたは複数のエステル油または鉱油、
C)1つまたは複数の非イオン性界面活性剤、
D)1つまたは複数の非水性溶媒、
E)水、
F)1つまたは複数の酸
を含み、
成分E)の含有量が、総重量に対し0~5重量%であり、
成分F)の含有量が、総重量に対し0~5重量%であり、
以下の成分:
A)合計で、20重量%~80重量%である、存在するすべてのポリシロキサン、
B)合計で、5重量%~50重量%である、存在するすべてのエステル油および鉱油、
C)合計で、1重量%~25重量%である、存在するすべての非イオン性界面活性剤、
D)合計で、0.1重量%~50重量%である、存在するすべての溶媒、
E)0重量%~3重量%の量、および
F)合計で、0重量%~3重量%である、存在するすべての酸
を含む濃縮物であり、
前記重量%値は、前記濃縮物の全体組成に対するものであり、
個々の成分A)~F)と任意の追加成分の量は、合計で100重量%の濃縮物となるように選択され、
成分A)が、ポリエーテルシロキサン、アミノ官能性ポリシロキサン、長鎖アルキル基を有するポリシロキサン、および前記ポリシロキサンの混合物からなる群から選択されるポリシロキサンであり、
成分D)が、ヒドロトロピー性の非水性溶媒またはヒドロトロピー性の非水性溶媒の混合物であることを特徴とする濃縮物。
【請求項2】
以下の成分:
A)合計で、20重量%~80重量%である、存在するすべてのポリシロキサン、
B)合計で、5重量%~50重量%である、存在するすべてのエステル油および鉱油、
C)合計で、1重量%~25重量%である、存在するすべての非イオン性界面活性剤、
D)合計で、0.1重量%~50重量%である、存在するすべての溶媒、
E)0重量%~3重量%の量、および
F)合計で、0重量%~3重量%である、存在するすべての酸
を含む濃縮物であり、
前記重量%値は、前記濃縮物の全体組成に対するものであり、
個々の成分A)~F)と任意の追加成分の量は、合計で100重量%の濃縮物となるように選択されること
を特徴とする請求項1記載の濃縮物。
【請求項3】
成分A)が、式1:
M
aD
bD
A
cD
B
dD
C
eT
fT
A
gQ
h (式1)
(式中、
M=[R
2R
1
2SiO
1/2]
D=[R
1
2SiO
2/2]
D
A=[R
1Si(R
7NHR
3)O
2/2]
D
B=[R
1SiR
4O
2/2]
D
C=[R
1SiR
5O
2/2]
T=[R
1SiO
3/2]
T
A=[Si(CH
2CH
2CH
2NHR
3)O
3/2]
Q=[SiO
4/2]であり、
R
1は、互いに独立して、1~30個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭化水素ラジカルであるか、あるいは6~30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素ラジカルであり、
R
2は、互いに独立して、R
1と同一であるか、1~30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和アルコキシラジカルであるか、あるいはヒドロキシル基であり、
R
3は、互いに独立して、水素であるか、あるいは1~30個の炭素原子を有する窒素置換炭化水素ラジカルであり、
R
4は、互いに独立して、8~30個の炭素原子を有する同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和またはオレフィン性不飽和炭化水素ラジカルであり、
R
5は、互いに独立して、1~30個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の極性ヒドロキシル置換アミドラジカル、および/または1~30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の極性ヒドロキシル置換尿素誘導体、および/または1~30個の炭素原子を有するヒドロキシル置換カルバメートラジカル、および/または1~30個の炭素原子を有するエトキシル化アミンラジカル、および/または1~30個の炭素原子を有するグアニジンラジカルまたはアルキレニルグアニジンラジカルであり、
R
7は、互いに独立して、1~20個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和二価炭化水素基であり、
aは、2~20であり、
bは、10~5,000であり、
cは、1~500であり、
dは、0~500であり、
eは、0~500であり、
fは、0~20であり、
gは、0~20であり、
hは、0~20である。)
のポリシロキサン、またはプロトン性反応物H
+A
-とのイオン付加物であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の濃縮物。
【請求項4】
R
5が、式1a~1j:
【化1】
(式中、R
6は、水素、炭化水素ラジカル、アシルラジカル、カルボキシレートラジカル、またはカルバメートもしくはカーボネートラジカルであり、
xは、1~20である。)
の置換基の群から選択されることを特徴とする請求項3記載の濃縮物。
【請求項5】
成分A)が、式2:
M
iM
1
jD
kD
1
lD
2
mT
nQ
o (式2)
(式中、
M=[R
2R
1
2SiO
1/2]
M
1=[R
1R
10
2SiO
1/2]
D=[R
1
2SiO
2/2]
D
1=[R
1R
10SiO
2/2]
D
2=[R
1R
13SiO
2/2]
T=[R
1SiO
3/2]
Q=[SiO
4/2]であり、
iは、0~20であり、
jは、0~20であり、
kは、3~450であり、
lは、0~60であり、
mは、0~60であり、
nは、0~20であり、
oは、0~20であり、
i+j≧2、かつN=i+j+k+l+m+n≦500、j+l+m≧1で、
R
1は、互いに独立して、1~30個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭化水素ラジカルであるか、あるいは6~30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素ラジカルであり、
R
2は、互いに独立して、R1と同一であるか、アルコキシラジカルであるか、あるいはヒドロキシル基であり、
R
13は、互いに独立して、8~30個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和またはオレフィン性不飽和炭化水素ラジカルであり、
R
10は、互いに独立して、同一のまたは異なるポリエーテルラジカルであり、一般式3:
【化2】
(式中、
R
11は、任意にエーテル官能基を有する1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキルラジカルであるか、あるいは任意にエーテル官能基または水素を有する6~18個の炭素原子を有するアリールラジカルであり、
R
12は、R
1、水素、-C(O)R1の群からの同一のまたは異なるラジカルであり、
pは、2~8であり、
qは、0~100であり、
rは、0~100であり、
sは、0~100であり、
tは、0~80であり、
ただし、q+r+s+t≧3である。)
の同一のまたは異なるポリエーテルラジカルである。)
のポリシロキサンであることを特徴とする請求項1記載の濃縮物。
【請求項6】
成分B)が、水と混和しないエステル油または鉱油であり、前記油の水性混合物は、室温で、混合物全体に対し0.5~99.5体積%の油濃度で、人間の目に知覚できる混濁、または2つ以上の相をすでに有し、および/または
水に対する界面張力が5mN/mより大きいエステル油または鉱油であること
を特徴とする、請求項1~5のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項7】
成分B)が、以下:
-直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と、直鎖および/または分岐鎖の一価または多価アルコールと、のエステル、
-液体または固体形態のモノ-、ジ-またはトリグリセリド、
-カルボン酸、芳香族カルボン酸、またはジカルボン酸と、直鎖または分岐鎖脂肪族アルコール、非分岐鎖もしくは分岐鎖多価アルコール、または非分岐鎖もしくは分岐鎖アルコールと、のエステル、
-置換基を有するまたは有さない、二重結合を有するまたは有さない、直鎖、環状または分岐鎖の炭化水素、
-植物油、
-非分岐鎖または分岐鎖アルコールを有するカーボネート、
-前記エステル油および鉱油の混合物
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項8】
成分C)が、以下:
-直鎖脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪アミン、およびアルキルフェノール、
-飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールモノ-、-ジ-および-トリエステル、およびソルビタンモノ-、-ジ-および-トリエステル、ならびにそれらのエチレンオキシド付加生成物、
-アルキルモノ-および-オリゴグリコシド、ならびにそのエチレンオキシド付加生成物、
-10~24個の炭素原子の平均鎖長を有する長鎖脂肪アルコール、
-直鎖、分岐鎖、不飽和または飽和脂肪酸、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよび糖アルコール、ポリグルコシド、モノ-、ジ-およびトリアルキルリン酸、そしてモノ-、ジ-、および/またはトリ-PEG-アルキルホスフェートをベースとする部分エステル、ならびにその塩、
クエン酸エステル、
-さらなるアルコキシル化トリグリセリド、混合エーテル、および混合式、アルキルオリゴグリコシドまたは部分酸化されたアルキルオリゴグリコシドまたはアルケニルオリゴグリコシドまたは部分酸化されたアルケニルオリゴグリコシドまたはグルコン酸誘導体または部分酸化されたグルコン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、
-ポリグリセロールエステル、
-前記非イオン性界面活性剤の混合物
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項9】
成分D)が、以下:
-一価および二価脂肪族アルコール、
-グリコールエーテル、
-ポリオール、
からなる群から選択される非水性溶媒または非水性溶媒の混合物であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項記載の濃縮物。
【請求項10】
以下の工程:
1)請求項1~9のいずれか1項に記載の濃縮物を準備する工程、
2)分子内に1つまたは複数の長鎖アルキル基を含む少なくとも1つのカチオン性布地柔軟化化合物、および/または防腐剤および/または少なくとも1つの香料を含む水含有相と混合する工程
を有する洗濯または洗浄配合物
の製造プロセス。
【請求項11】
洗濯および洗浄配合物としての請求項1~9のいずれか1項記載の濃縮物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された安定性および改善された性能特性を有するポリシロキサンを含有する新規な濃縮物、ならびに洗濯および洗浄配合物、好ましくは布地ケア組成物におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシロキサンは、布地ケア組成物の添加剤として標準的に使用されており、有利な効果(例えば、より良い手触り、しわ耐性など)を奏する。ポリシロキサンの欠点は、疎水性が非常に高いために配合性が悪いことである。さらに、それから生成される布地柔軟化配合物は、十分に長い間安定ではない。例えば、相分離が生じる。このようなポリシロキサンの例は、特許文献1に見られる。
【0003】
特許文献1のアミノ官能性ポリシロキサン、およびその配合物は、貯蔵条件に従って黄変の増加を示す。さらに、当該ポリシロキサンの粘度は、貯蔵時に、ゲル化する点まで増加し得る。
【0004】
これまで、マクロ-またはマイクロエマルジョンとしてポリシロキサンを予備配合することにより、ポリシロキサンを使用する際に生じる問題を少なくとも部分的に解決する試みがなされてきた。マクロエマルジョンまたはマイクロエマルジョンとしてのポリシロキサンの予備配合は、配合性を改善し、これにより布地柔軟剤の貯蔵安定性が改善された。
しかし、粘度の問題は、マクロ-またはマイクロエマルジョンとしての予備配合によりむしろ悪化した。そのような予備配合物、およびそれに含まれるN含有ポリシロキサンの貯蔵寿命は短すぎて、特に高温で、問題なく実用的に適用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明によって解決される課題は、先行技術の欠点の少なくとも1つを克服することである。本発明によって解決され、かつ明示的に言及されていないさらなる課題は、以下の説明、実施例、および特許請求の範囲の全体的な文脈から明らかになる。
【0007】
驚くべきことだが、
以下の成分:
A)1つまたは複数のポリシロキサン、
B)1つまたは複数のエステル油または鉱油、
C)1つまたは複数の非イオン性界面活性剤、
D)1つまたは複数の非水性溶媒、
E)必要に応じて水、
F)必要に応じて1つまたは複数の酸
を含み、
成分E)およびF)の含有量が、総重量に対し0~5重量%であることを特徴とする濃縮物は、非常に貯蔵安定性があり、好ましくは透明であり、したがって、対処されるべき問題を解決することが見出された。
【0008】
特定の理論に拘束されることを望まないが、発明者らは、本発明による濃縮物に水が存在しないか、あるいはほとんど存在しないこと、および1つまたは複数のエステルおよび/または鉱油の添加により、ポリシロキサンの加水分解が遅延され、あるいは防止さえされ、したがって、粘度と黄変の課題が解決されたと考えている。さらに、本発明による濃縮物は、自己乳化性であり、布地柔軟化配合物に非常に容易に分散/配合できることが見出された。むしろ親水性の界面活性剤は、通常、疎水性の高いポリシロキサンと混和性がなく、安定した透明濃縮物を形成しないので、これは驚くべきことである。
【0009】
したがって、本発明の利点の1つは、比較的長期間の貯蔵の後であっても、濃縮物を布地柔軟化配合物に加工できることである。従来技術の布地柔軟化配合物と比較して、本発明による濃縮物を含有する布地柔軟化配合物は、さらに、
-布地、特に綿素材からなる布地の改善された柔らかな手触り、および
-より長い香りの持続
を示した。
【0010】
本発明のさらなる利点は、自由に選択可能な疎水性の高い油(植物油など)を特定割合で組み込み、透明な配合物を得ることができ、したがって、同様に容易に製剤化できることである。
【0011】
本発明の別の利点は、本発明による濃縮物、および洗濯/洗浄配合物が防腐剤なしでできることであるが、それらの添加は排除されない。
【0012】
本発明の文脈において、用語「脂肪酸」は、特に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリス酸、ウンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、セトリン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸、γ-リノレン酸、カレンデュリン酸、プニカ酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、アラキドン酸、チムノドン酸、クルパノドン酸、セルボン酸、ベルノリン酸、リシノール酸を意味すると理解されるべきであり、特に好ましいのは、6~24個、好ましくは6~22個、特に8~18個の炭素原子の鎖長を有するものである。同じことが、本発明に関連して使用される用語「脂肪アルコール」の炭素ベース骨格にも当てはまる。
【0013】
特に明記しない限り、示されているパーセンテージ(%)はすべて、質量%である。
【0014】
すべての条件(圧力や温度など)は、特に明記しない限り、標準条件(20℃、1バール)である。
【0015】
本発明の文脈において、用語「濃縮物」は、含水量の非常に低い布地ケア活性成分(活性物質)を含む配合物を意味すると理解されるべきである。用語「濃縮物」および「活性成分組成」は、同義語として使用される。濃縮物は、洗濯および洗浄配合物として、特に布地柔軟剤としてそれ自体で使用するか、あるいはその製造に使用することができる。濃縮物を、洗濯および洗浄配合物の製造に使用する場合、製造には、濃縮物の希釈およびさらなる添加物の一般的添加が含まれる。希釈は、水および/または有機溶媒で行うことが好ましい。
【0016】
本発明は、請求項1記載の濃縮物、請求項12記載の洗濯および洗浄配合物の製造プロセス、ならびに請求項13記載の布地柔軟化配合物を製造するための本発明の濃縮物の使用を提供するものである。好ましい実施形態は、従属クレームに記載されている。
【0017】
本発明は、特に、以下の成分:
A)1つまたは複数のポリシロキサン、
B)1つまたは複数のエステル油または鉱油、
C)1つまたは複数の非イオン性界面活性剤、
D)1つまたは複数の非水性溶媒、
E)必要に応じて水、
F)必要に応じて1つまたは複数の酸
を含み、
成分E)およびF)の含有量が、総重量に対し0~5重量%である、洗濯および洗浄配合物の製造に適した濃縮物、または洗濯および洗浄配合物として、好ましくは布地柔軟剤としての使用に適した濃縮物を提供する。
【0018】
A)~D)およびF)の各成分は、純粋な物質の形態であるか、あるいは2つ以上の物質の混合物(例えば、成分Aに係る2つ以上のポリシロキサンの混合物、または成分Bに係る2つ以上のエステルまたは鉱油の混合物)であってよい。好ましい濃縮物は、以下の成分:
A)合計で、20重量%~80重量%、好ましくは25重量%~80重量%、特に好ましくは30重量%~80重量%、極めて特に好ましくは40重量%~75重量%、最も好ましくは45重量%~75重量%である、存在するすべてのポリシロキサン、
B)合計で、5重量%~50重量%、好ましくは5重量%~45重量%、特に好ましくは5重量%~40重量%の量で重量、極めて特に好ましくは5重量%~35重量%、最も好ましくは10重量%~35重量%である、存在するすべてのエステル油および鉱油、
C)合計で、1重量%~25重量%、好ましくは2重量%~20重量%、特に好ましくは2重量%~15重量%、極めて特に好ましくは5重量%~15重量%である、存在するすべての非イオン性界面活性剤、
D)合計で、0.1重量%~50重量%、好ましくは0.1重量%~40重量%、特に好ましくは0.1重量%~35重量%、極めて特に好ましくは0.1重量%~30重量%、特別に好ましくは0.1重量%~25重量%、極めて特別に好ましくは0.5重量%~20重量%、最も好ましくは1重量%~15重量%である、存在するすべての溶媒、
E)0重量%~3重量%、好ましくは0重量%~2重量%、特に好ましくは0重量%~1重量%、極めて特に0重量%~0.5重量%、最も好ましくは0重量%の量、および
F)合計で、0重量%~3重量%、好ましくは0重量%~2重量%、特に好ましくは0重量%~1重量%、極めて特に好ましくは0重量%~0.5重量%、最も好ましくは0重量%である、存在するすべての酸
を含み、
重量%値は、濃縮物の全体組成に対するものであり、
個々の成分A)~F)と任意の追加成分の量は、合計で100重量%の濃縮物となるように選択されること
を特徴とする。
【0019】
成分A)として使用されるのは、シロキサン/ポリシロキサン、特にアミノ官能性ポリシロキサン、ポリエーテルシロキサン、長鎖アルキルラジカルを有するポリシロキサン、またはそれらの混合物、特に好ましくはアミノ官能性ポリシロキサンである。
【0020】
ここでシロキサンを説明するために使用されるのは、文献(Walter Noll、Chemie und Technologie der Silicone [シリコーンの化学と技術]、Verlag Chemie GmbH社、第2版、1968年)に類似する表記法である。本発明のポリシロキサンは、分子内でさまざまな方法で互いに組み合わせることができる異なるシロキサン単位を有する。本発明の文脈において、用語「ポリシロキサン」および「シロキサン」は同義的に使用される。
【0021】
シロキサン単位の組成は、各酸素原子が2つのケイ素原子間の橋渡し役として作用するため、半分のみが各ケイ素原子に割り当てられるという事実を考慮して得られる。種々のシロキサン単位は、2個の酸素半原子(-O1/2O1/2-)基を介して互いに結合しているため、酸素ブリッジ(-O-)を形成する。
【0022】
本発明の第1の好ましい実施形態では、成分A)は、式1:
MaDbDA
cDB
dDC
eTfTA
gQh (式1)
(式中、
M=[R2R1
2SiO1/2]
D=[R1
2SiO2/2]
DA=[R1Si(R7NHR3)O2/2]
DB=[R1SiR4O2/2]
DC=[R1SiR5O2/2]
T=[R1SiO3/2]
TA=[Si(R7NHR3)O3/2]
Q=[SiO4/2]であり、
R1は、互いに独立して、1~30個、好ましくは1~18個、特に好ましくは1~6個、極めて好ましくは1~3個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭化水素ラジカルであるか、あるいは6~30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素ラジカルであり、好ましくはメチルまたはフェニル、特に好ましくはメチルであり、
R2は、互いに独立して、R1と同一であるか、1~30個、好ましくは1~18個、特に好ましくは1~6個、極めて好ましくは1~3個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和アルコキシラジカルであるか、あるいはヒドロキシル基であり、好ましくはR1、特に好ましくはメチルであり、
R3は、互いに独立して、水素であるか、あるいは1~30個、好ましくは1~18個、特に好ましくは1~6個、極めて好ましくは1~3個の炭素原子を有する窒素置換炭化水素ラジカルであり、好ましくはアミノエチルラジカルまたは水素、特に好ましくは水素であり、
R4は、互いに独立して、8~30個の炭素原子を有する同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和またはオレフィン性不飽和炭化水素ラジカルであり、好ましくはデシル-、ドデシル-、テトラデシル-、ヘキサデシル-、オクタデシル-、特に好ましくはヘキサデシル-およびオクタデシル-であり、
R5は、互いに独立して、1~30個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の極性ヒドロキシル置換アミドラジカル、および/または1~30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和の極性ヒドロキシル置換尿素誘導体、および/または1~30個の炭素原子を有するヒドロキシル置換カルバメートラジカル、および/または1~80個、好ましくは1~40個、特に好ましくは1~30個の炭素原子を有するエトキシル化アミンラジカル、および/または1~30個の炭素原子を有するグアニジンラジカルまたはアルキレニルグアニジンラジカルであり、
R7は、互いに独立して、1~20個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、特に好ましくは-C2H4-および-C3H6-、最も好ましくは-C3H6-を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和二価炭化水素基であり、
aは、2~20、好ましくは2~10、特に好ましくは2~5、極めて特に好ましくは2~3、最も好ましくは2であり、
bは、10~5,000、好ましくは20~2,000、特に好ましくは20~1,000であり、
cは、1~500、好ましくは1~250、特に好ましくは1~100、極めてに特に好ましくは1~50、最も好ましくは1~30であり、
dは、0~500、好ましくは0~250、特に好ましくは0~100、極めて特に好ましくは0~50、最も好ましくは0~30であり、
eは、0~500、好ましくは0~250、特に好ましくは1~100、極めて特に好ましくは1~50、最も好ましくは1~30であり、
fは、0~20、好ましくは0~10、特に好ましくは0~5、極めて特に好ましくは0~2、最も好ましくは0であり、
gは、0~20、好ましくは0~10、特に好ましくは0~5、極めて特に好ましくは0~2、最も好ましくは0であり、
hは、0~20、好ましくは0~10、特に好ましくは0~5、極めて特に好ましくは0~2、最も好ましくは0である。)
のアミノ官能性ポリシロキサン、またはプロトン性反応物H+A-とのイオン付加物である。
【0023】
R5が式1a~1j:
【0024】
【0025】
(式中、R6は、水素、炭化水素ラジカル、アシルラジカル、カルボキシレートラジカル、またはカルバメートもしくはカーボネートラジカル、特に好ましくは水素およびCH3-C(O)であり、
xは、1~20、好ましくは1~10、特に好ましくは1~5、特に1~2である。)
の置換基の群から選択される置換基であることが特に好ましい。
【0026】
また、本発明は、本発明に従って使用される式(1)のポリシロキサンと、一般式H+A-の酸との上記のイオン付加物を提供する。アニオンA-は、酸H+A-の無機または有機アニオンから選択される、正電荷に対する同一のまたは異なる対イオン、およびその誘導体である。好ましいアニオンは、例えば、塩化物、硫酸塩または硫酸水素塩、炭酸塩または炭酸水素塩、リン酸塩またはリン酸水素塩、直鎖または分岐鎖の飽和またはオレフィン性不飽和アルキル鎖を有する酢酸塩または同種のカルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、アミノ酸から形成されるカルボン酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、フマレート、マレエート、置換および非置換コハク酸塩、およびL-ヒドロキシカルボン酸から生成されるカルボン酸塩、例えば乳酸塩である。本発明のシロキサンおよびそのイオン性付加物は、形成される付加物の安定性に応じて解離平衡状態で存在してよい。
【0027】
本発明の第2の好ましい実施形態では、成分A)は、式2:
MiM1
jDkD1
lD2
mTnQo (式2)
(式中、
M=[R2R1
2SiO1/2]
M1=[R1R10
2SiO1/2]
D=[R1
2SiO2/2]
D1=[R1R10SiO2/2]
D2=[R1R13SiO2/2]
T=[R1SiO3/2]
Q=[SiO4/2]であり、
iは、0~20、好ましくは1~10、特に好ましくは2~5、極めて特に好ましくは2~3、最も好ましくは2であり、
jは、0~20、好ましくは0~10、特に好ましくは0~5、極めて特に好ましくは0~2、最も好ましくは0であり、
kは、3~450、好ましくは5~350、特に好ましくは10~250であり、
lは、0~60、好ましくは0~50、特に好ましくは0~40、極めて特に好ましくは0~35、最も好ましくは0~30であり、
mは、0~60、好ましくは1~50、特に好ましくは0~40、極めて特に好ましくは0~35、最も好ましくは0~30であり、
nは、0~20、好ましくは0~10、特に好ましくは0~5、極めて特に好ましくは0~2、最も好ましくは0であり、
oは、0~20、好ましくは0~10、特に好ましくは0~5、極めて特に好ましくは0~2、最も好ましくは0であり、
i+j≧2、かつN=i+j+k+l+m+n≦500、j+l+m≧1であり、
R1およびR2は、式1に規定の通りであり、
R10は、互いに独立して、同一のまたは異なるポリエーテルラジカルであり、好ましくは一般式III:
【0028】
【0029】
(式中、
R11は、互いに独立して、任意にエーテル官能基を有する1~18個の炭素原子を有する同一のまたは異なるアルキルラジカルであるか、あるいは任意にエーテル官能基または水素を有する6~18個の炭素原子を有するアリールラジカルであり、好ましくは水素、エチル、およびベンジルであり、
R12は、R1、水素、-C(O)R1の群からの同のまたは異なるラジカルであり、好ましくはメチル、ブチル、水素、または-C(O)CH3であり、
R13は、互いに独立して、8~30個の炭素原子を有する、同一のまたは異なる、直鎖または分岐鎖の飽和またはオレフィン性不飽和炭化水素ラジカルであり、例えば、デシル-、ドデシル-、テトラデシル-、ヘキサデシル-、オクタデシル-、特にヘキサデシル-およびオクタデシル-であり、
pは、2~8、好ましくは2~10、特に好ましくは2~5、特に2~3、最も好ましくは3であり、
qは、0~100、好ましくは0~80、特に好ましくは0~70、極めて特に好ましくは0~60、最も好ましくは0~50であり、
rは、0~100、好ましくは0~80、特に好ましくは0~70、極めて特に好ましくは0~60、最も好ましくは0~50であり、
sは、0~100、好ましくは0~80、特に好ましくは0~70、極めて特に好ましくは0~60、最も好ましくは0~50であり、
tは、0~80、好ましくは0~40、特に好ましくは0~20、極めて特に好ましくは0~10、最も好ましくは0であり、
ただし、q+r+s+t≧3である。)
の同一のまたは異なるポリエーテルラジカルである。)
の長鎖アルキルラジカルを有するポリエーテルシロキサンまたはポリシロキサンである。
【0030】
式1~3に規定のシロキサン鎖中の種々のモノマー単位は、任意の順番で任意の数のブロックを有する交互ブロックの形をとるか、あるいはランダム分布であってよい。式で使用される指数は、統計的な平均とする。
【0031】
本発明に従って使用されるシロキサン/ポリシロキサンは、例えば、異なる官能性シロキサンを、縮合プロセスにおいて、末端ヒドロキシル官能性ポリジメチルシロキサンと反応させて、多官能性ポリシロキサン、好ましくは末端キャップポリシロキサンを生成する場合に製造されてよい。
【0032】
したがって、例えば、式1のポリシロキサンを生成するために、第1工程でアミノアルキルジアルコキシシランをアミノ基でさらに官能化し、第2工程で、互いに制御された比率で、トリメチルシリル基遊離試薬の存在下で、ヒドロキシル官能性ポリジメチルシロキサンと共縮合させてよい。
【0033】
この方法は、以下に例示的に挙げた化合物の使用に基づくことが好ましい。
a)末端ヒドロキシル官能性の直鎖または分岐鎖ポリシロキサン、およびそれらとジメチルジアルコキシシランまたはメチルトリアルコキシシランまたはテトラエトキシシランとの混合物、好ましくは直鎖末端ジヒドロキシル官能性ポリシロキサン、
b)ヘキサメチルジシラザンまたは異なる炭素ラジカルで置換されたジシラザン、例えばジビニルテトラメチルジシラザン、好ましくはヘキサメチルジシラザン、
c)3-アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、またはヒドロキシル置換アミドおよび/または尿素誘導体および/またはヒドロキシル置換カルバメート構造および/またはエトキシル化アミンおよび/またはグアニジン-またはアルキレニルグアニジン構造で置換された直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭化水素ラジカルを含むさらなる官能性ジアルコキシシラン、あるいは式2a~kの物質群から選択されるもの。
【0034】
【0035】
(式中、
R1、R4、R6およびR7は、式1において上記で定義した通りであり、
R8=R6であり、好ましくは水素原子、メチルまたはカルボキシル基、好ましくはHまたはアセチルであり、
R9は、アルキルまたはアシルラジカル、特にメチル、エチルまたはアセチルであり、
y=xであり、互いに反応する。)
シランは、モノマーとして有利に使用される。後続の用途にとって有利である場合は、ジヒドロキシ官能性ポリシロキサンの添加によりポリマー構築が開始される前に、加水分解酸性条件下でシランを予備縮合し、オリゴマーを得てもよい。
【0036】
化学量論量に対してわずかに過剰量で使用されるシラザンを用いることが好ましい。使用されるジアルコキシシランは、従来技術で知られている合成方法を使用して生成される。したがって、アミノ官能性シランのグアニジン化は、好ましくは、JP2002-167437に記載されている、アミノシロキサンのグアニジン化と同様にして行われる。アミノ官能性シロキサンとグリセリンカーボネートまたはグルコノラクトンとの反応は、好ましくは、EP1972330A1およびJ. Phys. Chem. B 2010, 第114巻, 6872~6877頁に従って行われる。
【0037】
好ましくは、加水分解および縮合反応の触媒として、カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソノナン酸、またはオレイン酸など)が使用される。加水分解を促進するために、少量の水を加えて反応を行ってもよい。多くの場合、未乾燥状態で使用される試薬には、十分な水分が存在している。反応は、溶媒なしで、または溶媒(例えば、脂肪族および芳香族のプロトン性および非プロトン性溶媒、グリコール、エーテル、脂肪アルコールアルコキシレート、モノ-、ジ-およびトリグリセリド、または合成もしくは天然起源の油)の存在下で行われてよい。溶媒の使用は、例えば、所望の構造を有する鎖長が高粘度を有する場合に有利である。溶媒は、反応前、反応中、または反応後に添加してもよい。反応は、室温~150℃の範囲の温度で、好ましくは50~100℃で実施されてよい。加水分解で遊離したアルコールは、反応中または反応後に真空下で留去される。中和工程およびろ過工程は、必要に応じて実施されてよい。式1によるポリシロキサンの製造に関するさらなる詳細および実施例は、EP2557107A1に見出すことができ、これは、本発明の明細書の主題を構成するものとして援用される。
【0038】
式2のポリシロキサンは、例えば、EP0596304、EP0559013、EP2301987、または「Silicones - an Introduction to their chemistry and applications」-G.G. Freemanに記載されているようにして生成されてよい。
【0039】
成分B)は、エステルまたは鉱油である。
【0040】
本発明の文脈において、用語「エステルまたは鉱油」は、布地柔軟化配合物の生成に適した水不混和性液体を意味すると理解されるべきである。
本発明の文脈において、「水不混和性」は、混合物全体に対し0.5体積%~99.5体積%の油濃度である油の水性混合物が、室温で、人間の目で知覚可能な濁り、または2つ以上の相の形成をもたらすことを意味すると理解されるべきである。加えて、本発明の文脈において、エステル油または鉱油は、好ましくは、それらが水に対して5mN/mより大きい界面張力を有することを特徴とする。エステルまたは鉱油は、例えば油脂化学またはシリコーン化学に基づいていてもよい。
【0041】
好ましくは、本発明による濃縮物は、以下:
-脂肪酸エステル、好ましくは、直鎖脂肪酸と直鎖または分岐鎖脂肪アルコールとのエステル、分岐鎖脂肪酸と直鎖または分岐鎖脂肪アルコールとのエステル、直鎖脂肪酸と非分岐鎖または分岐鎖多価アルコールとのエステル、分岐鎖脂肪酸と非分岐鎖または分岐鎖多価アルコールとのエステル、直鎖脂肪酸と非分岐鎖または分岐鎖アルコールとのエステル、分岐鎖脂肪酸と非分岐鎖または分岐鎖アルコールとのエステル、アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖または分岐鎖脂肪アルコールとのエステル、
-液体または固体のモノ-、ジ-またはトリグリセリド、
-脂肪アルコールエステル、好ましくはカルボン酸、芳香族カルボン酸またはジカルボン酸と、直鎖または分岐鎖脂肪アルコール、非分岐鎖または分岐鎖多価アルコールまたは非分岐鎖または分岐鎖アルコールとのエステル、
-置換基を有するまたは有さない、二重結合を有するまたは有さない、直鎖、環状または分岐鎖炭化水素、
-植物油、
-非分岐鎖または分岐鎖アルコールを有するカーボネート、
-アルコキシ基を有するまたは有さないエーテル、
-ポリジメチルシロキサン、
-上記の油を任意の比率で混合した混合物
からなる群から選択されるエステルまたは鉱油を含む。
【0042】
以下:
-直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と、直鎖および/または分岐鎖の一価または多価アルコール(特に好ましくは、脂肪アルコール)とのエステル、
-液体または固体のモノ-、ジ-またはトリグリセリド、
-カルボン酸、芳香族カルボン酸またはジカルボン酸と、直鎖または分岐鎖脂肪アルコール、非分岐鎖または分岐鎖多価アルコールまたは非分岐鎖または分岐鎖アルコールと、のエステル、
-置換基を有するまたは有さない、二重結合を有するまたは有さない、直鎖、環状または分岐鎖炭化水素、
-植物油、非分岐鎖または分岐鎖アルコールを有するカーボネート、
が存在する場合が特に好ましい。
【0043】
以下:
-植物油、非分岐鎖または分岐鎖アルコールを有するカーボネート、
-置換基を有するまたは有さない、二重結合を有するまたは有さない、直鎖、環状または分岐鎖炭化水素、
-直鎖および/または分岐鎖脂肪酸と、直鎖および/または分岐鎖の一価または多価アルコールと、のエステル
が存在する場合が極めて特に好ましい。
【0044】
同様に特に好ましいのは、EP2000123A1の油相で使用されるエステルおよび鉱油である。EP2000123A1の内容は、本発明の明細書を構成するものとして援用される。
【0045】
本発明によれば、成分C)は、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤である。
【0046】
好ましい非イオン性界面活性剤は、以下:
-直鎖脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪アミンおよびアルキルフェノール、好ましくは脂肪アルコールエトキシレートへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物、
-飽和および不飽和脂肪酸のグリセロールモノ-、ジ-およびトリエステルおよびソルビタンモノ-、ジ-およびトリエステル、ならびにそれらのエチレンオキシド付加生成物、
-アルキルモノ-およびオリゴグリコシドおよびそのエチレンオキシド付加生成物、
-10~24個、好ましくは10~18個の炭素原子の平均鎖長を有する長鎖脂肪アルコール、
-直鎖、分岐鎖、不飽和および/または飽和脂肪酸、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ポリグリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールおよび糖アルコール(ソルビトールなど)、ポリグルコシド(セルロースなど)、モノ-、ジ-およびトリアルキルリン酸、さらにモノ-、ジ-、および/またはトリ-PEG-アルキルリン酸およびそれらの塩、クエン酸エステル(クエン酸ステアリン酸グリセリル、オレイン酸クエン酸グリセリル、およびクエン酸ジラウリルなど)、
-さらにアルコキシル化されたトリグリセリド、混合エーテル、および混合ホルマール、必要に応じて部分酸化されたアルキルオリゴグリコシドまたはアルケニルオリゴグリコシドまたはグルクロン酸誘導体、脂肪酸N-アルキルグルカミド、および
これらの界面活性剤の混合物
からなる群、好ましくはのみからなる群から選択される。
【0047】
同様に、成分C)として好ましい非イオン性界面活性剤は、ポリグリセロールエステルである。本発明の文脈において、用語「ポリグリセロールエステル」は、部分的なポリグリセロールエステル、したがって、すべてのヒドロキシル基がエステル化されているわけではない化合物を含む。
【0048】
好ましくは、本発明によれば、成分C)のポリグリセロールエステルは、一般式V:
【0049】
【0050】
(式中、nは、2~16、好ましくは3~14、特に好ましくは4~11であり、
R13、R14、R15は、独立して同一であるかまたは異なり、H、および4~36個の炭素原子を有し、かつ任意に少なくとも1つのヒドロキシル基を含む、飽和または不飽和の直鎖または分岐鎖アシル基、特に天然脂肪酸のアシルラジカルから選択される。)
のものから選択される。
【0051】
一般式4のポリグリセロールエステルは、1分子当たり少なくとも1つのアシルラジカルを含む。
【0052】
R13は、好ましくはHであり、R14およびR15ラジカルは、好ましくはHまたは天然脂肪酸のアシルラジカルである。また、R14およびR15は、そのようなアシル基の混合物、特に技術的混合物(ココナッツ脂肪酸カットなど)を表してもよい。
【0053】
R14およびR15に関し、ポリグリセロールエステル中のすべてのR14およびR15ラジカルに対し、少なくとも50mol%、好ましくは少なくとも75mol%のアシルラジカルR15が、カプリロイル、カプロイルおよびラウロイルラジカルから選択されることが特に好ましい。
【0054】
当業者であれば、一般式4に存在するポリグリセロール基本骨格が、そのポリマー性のために、異なる化合物のランダム混合物であることを知っている。ポリグリセロールは、グリセロールモノマーの2つの一次位置の間、1つの一次位置および1つの二次位置の間、または2つの二次位置の間にエーテル結合を有していてもよい。このため、ポリグリセロール基本骨格は、通常、線状に結合したグリセロール単位のみで構成されているわけではなく、分岐や環を含む場合もある。詳細については、例えば、“Original synthesis of linear, branched and cyclic oligoglycerol standards”, Cassel et al., J. Org. Chem., 2001年, 875~896頁を参照。この種の構造は、この点が簡略化された一般式4に記載されている。
【0055】
重合度nは、本発明のエステルの合成に使用されるポリグリセロールのヒドロキシル価により測定できる。平均重合度nは、以下の式により親ポリグリセロールのヒドロキシル価と関連している。
【0056】
【0057】
(式中、Mは、モル質量、OHNは、遊離ポリグリセロールのヒドロキシル価である。)
【0058】
代替的に、完全なエステル加水分解後に得られるポリグリセロールのヒドロキシル価を測定することにより、重合度nを算出することもできる。
ヒドロキシル価を測定する適切な方法は、特に、DGF C-V 17 a(53)、Ph.Eur.2.5.3方法A、およびDIN 53240に従う方法である。
【0059】
特に好ましい非イオン性界面活性剤は、直鎖脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪アミン、およびアルキルフェノールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物である。
【0060】
本発明による濃縮物は、成分D)として、ヒドロトロープ(例えば、一価および二価脂肪族アルコール、好ましくは、1~6個の炭素原子を有する、脂肪族の直鎖または分岐鎖の一価または二価アルコール(例えば、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、グリコールエーテル(例えば、Dow Chemicals社製DOWANOL(登録商標)の名前で入手可能)(プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、およびポリオールなど)))からなる、特に好ましくはのみからなる群から好ましくは選択される非水性溶媒を含む。本願明細書中で企図されたポリオールは、2~15個の炭素原子と、少なくとも2つのヒドロキシルと、を有してもよい。典型的な例は、例えば、アルキレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、さらにポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール、ブチルジグリコール、およびこれらの溶媒の混合物である。
【0061】
特に好ましくは、非水性溶媒D)は、イソプロパノール、グリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピレングリコール、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、およびジエチレングリコールモノブチルエーテルのみからなる群から選択される。
【0062】
成分F)として、本発明による濃縮物は、pHを調整するために鉱酸または有機酸を含んでもよい。ただし、濃縮物ができるだけ少ない水と酸を含む場合が特に好ましく、水および/または酸を全く含まない場合が最も好ましい。
【0063】
本発明による濃縮物は、洗濯洗剤または洗浄剤組成物の生成、またはそれら自体として、特に、布地柔軟化配合物としてまたは当該配合物中で、有利に使用可能である。洗濯洗剤または洗浄剤組成物への組み込みは、消費者に、布地コンディショニング洗濯洗剤または洗浄剤組成物(「2in1」洗濯洗剤または洗浄剤組成物)を提供する。その結果、2つの製品(洗濯洗剤または洗浄剤組成物、および柔軟剤)を投入する必要がなくなり、また、別個のすすぎサイクルも必要なくなる。
【0064】
本発明による洗濯洗剤または洗浄剤組成物、特に布帛柔軟化配合物は、家庭、産業および制度的部門に適している。
【0065】
本発明による濃縮物の添加は、例えば、処理および/または洗浄された物の柔らかな手触りおよび香料の放出を向上する。この文脈において、洗浄される物品は、好ましくは布または繊維、特に布または繊維のもの、特に織布、洗濯物(特に身体の近くに着用される洗濯物(「下着」))、クッションまたはカーペットの表面である。
【0066】
本発明による使用は、例えば、洗濯洗剤または洗浄組成物、特に布地柔軟化配合物を製造するための本発明による方法の形態で行われてよく、以下の工程により特徴づけられる。
1)本発明による濃縮物を提供する工程、
2)分子内に1つまたは複数の長鎖アルキル基を有する少なくとも1つのカチオン性布地柔軟化化合物、好ましくは第4級アンモニウム塩および/または防腐剤および/または少なくとも1つの香料を好ましくは含む水含有相と混合する工程。
【0067】
したがって、本発明は、布地コンディショニング組成物および布地ケア組成物、特に家庭用および産業用布地柔軟化組成物(布地柔軟剤)における本発明による濃縮物の使用も提供する。
【0068】
本発明による少なくとも1つの濃縮物を含む、本発明の好ましい洗濯洗剤または洗浄組成物、特に布地柔軟化配合物は、洗濯洗剤、洗濯ケア製品、消毒洗濯洗剤、強力洗濯洗剤、軽質洗濯洗剤、ウール洗濯洗剤、織物柔軟剤、および含浸剤であり、特に洗濯洗剤、洗濯ケア製品、強力洗濯洗剤、軽質洗濯洗剤、ウール洗濯洗剤、織物柔軟剤、含浸剤、特に織物柔軟剤が好ましい。
【0069】
本発明の洗濯洗剤または洗浄組成物、特に布地柔軟化配合物は、好ましくは本発明による濃縮物を、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~2.5重量%の量で含む。%重量値は、配合物全体に対するものである。100重量%までの残りの部分は、好ましくは水および/または少なくとも1つの添加剤および/または助剤からなる。
【0070】
商業的に入手可能な布地柔軟剤は、分子中に1つまたは複数の長鎖アルキル基を含む1つまたは複数のカチオン性布地柔軟化化合物を主な活性成分として含む水性製剤である。広く使用されているカチオン性布地柔軟化化合物には、例えば、メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N-ジ(獣脂アシルオキシエチル)アンモニウム化合物、またはN,N-ジメチル-N,N-ジ(獣脂アシルオキシエチル)アンモニウム化合物が含まれる。さらに適切なアンモニウム化合物は、US2010/0184634の段落[0027]~[0068]に開示されており、その明示的な開示内容を参考として援用する。さらに、布地柔軟剤は、さらなる添加剤および助剤、特に香料、着色剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、有機溶媒、非シロキサン含有ポリマーを含んでもよい。特に、本発明による組成物は、0.001重量%~25重量%、特に好ましくは0.01重量%~15重量%の1つまたは複数の異なる添加剤または助剤を含んでもよい。
【0071】
使用される香料は、先行技術からの布地柔軟剤に適していることが知られている任意の芳香剤または芳香剤混合物(特に香油形態のもの)であってよい。芳香剤または香りの例は、とりわけ、DE 197 51 151 A1の第4頁第11~17行に開示されている。より具体的には、本発明による組成物は、全組成に対し、1つまたは複数の香料を0.01重量%~10重量%、特に好ましくは0.1重量%~5重量%含んでいてもよい。
【0072】
使用される染料は、先行技術からの布地柔軟剤に適していることが知られている任意の染料であってよく、水溶性染料が好ましい。適切な市販の水溶性染料の例は、SANDOLAN(登録商標)Walkblau NBL 150(製造業者:Clariant社)およびSicovit(登録商標)Azorubin 85 E122(製造業者:BASF社)である。より具体的には、本発明による組成物は、1つまたは複数の染料を0.001重量%~0.1重量%、より好ましくは0.002重量%~0.05重量%含んでいてもよい。
【0073】
粘度を低下させるための粘度調整剤は、組成物の全組成に対し、好ましくは0.05重量%~2重量%の、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩、またはそれらの混合物、好ましくは塩化カルシウムであってよい。
【0074】
粘度を増加させるための粘度調整剤は、先行技術から知られている増粘剤であってよく、WO2007/125005から知られているポリウレタン増粘剤が好ましい。適切な増粘剤の例は、TEGO(登録商標)Visco Plus 3030(Evonik Resource Efficiency GmbH社)、Acusol(登録商標)880および882(Rohm&Haas社)、Rheovis(登録商標)CDE(BASF社)、Rohagit(登録商標)KF 720 F(Evonik Performance Materials GmbH社)、およびPolygel(登録商標)K100(Neochem GmbH社)である。
【0075】
使用される消泡剤は、先行技術から適切であることが知られている任意の消泡剤であってよい。適切な市販の消泡剤の例は、DowCorning(登録商標)DB-110AおよびTEGO(登録商標)Antifoam(登録商標)7001 XPである。特に、本発明による組成物は、1つまたは複数の異なる消泡剤を0.0001重量%~0.05重量%、好ましくは0.001重量%~0.01重量%含んでいてもよい。
【0076】
本発明の文脈における用語「防腐剤」は、微生物、特に細菌の増殖を抑制する薬剤を意味すると理解されるべきである。防腐剤として、布地柔軟剤は、例えば、先行技術から適切であることが知られている活性な殺菌性のおよび/または殺真菌性の成分を含んでいてもよく、水溶性活性成分が好ましい。適切な市販の殺菌剤の例は、メチルパラベン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、および5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンである。水性布地柔軟剤は、同様に防腐剤として酸化防止剤を含んでいてもよい。適切な市販の酸化防止剤の例は、アスコルビン酸、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、および没食子酸プロピルである。特に、本発明による組成物は、1つまたは複数の異なる防腐剤を0.0001重量%~0.5重量%、より好ましくは0.001重量%~0.2重量%含んでいてもよい。特に、本発明による組成物は、1つまたは複数の異なる酸化防止剤を0.001重量%~0.1重量%、好ましくは0.001重量%~0.01重量%含んでいてもよい。
【0077】
有機溶媒として、洗濯および洗浄配合物、特に布地柔軟剤は、短鎖アルコール、グリコール、およびグリコールモノエーテルを含んでもよく、エタノール、2-プロパノール、1,2-プロパンジオール、およびジプロピレングリコールが好ましい。特に、本発明による組成物は、1つまたは複数の異なる有機溶媒を0.1重量%~10重量%、特に好ましくは0.2重量%~5重量%含んでいてもよい。
【0078】
洗濯および洗浄配合物、特に布地柔軟剤は、1つまたは複数の非シロキサン含有ポリマーを含んでいてもよい。これらの例は、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンイミン、または多糖類である。特に、本発明による組成物は、1つまたは複数の異なる非シロキサン含有ポリマーを0.01重量%~25重量%、特に好ましくは0.1重量%~10重量%を含んでいてもよい。
【0079】
しかし、前述の追加の成分、好ましくは香料、皮膚軟化剤または防虫剤の1つまたは複数を、濃縮物に組み込むこともでき、すなわち、濃縮物の構成成分とすることもできる。したがって、これらの成分は、濃縮物の構成成分として、および/または本発明による洗濯および洗浄配合物、特に布地柔軟化配合物中の別個の構成成分として、存在してもよい。
【0080】
特定の添加剤および助剤の量は、使用目的に応じて決定される。それぞれの用途のための典型的な境界配合物は、公知の先行技術であり、かつ、例えば特定の基剤および活性成分の製造業者のカタログに記載されている。これらの既存の配合は、一般的に変更なしで採用され得る。しかし、必要であれば、調整と最適化のために、複雑な作業を行わずに簡単なテストによって所望の変更が行われてよい。
【0081】
以下に述べる実施例は、例として本発明を説明するものであり、発明の適用範囲は、明細書および特許請求の範囲全体から明らかであり、発明を実施例に規定された実施形態に限定するものではない。
【0082】
D.濃縮物の製造例:
一般的な手順:
本発明による濃縮物を製造するために、成分A~Dおよび任意成分EおよびFを、以下の表1に規定される量で、多くのエネルギーを費やすことなく、室温で一緒に撹拌した。表1に記載されている量はすべて、濃縮物の総質量に対する質量値のパーセンテージである。発明性のある実施例のすべてにおいて、透明な濃縮物が形成された。
【0083】
次の成分を使用した:
成分A(有機変性シリコーン):
-以下でポリシロキサン1と呼ばれるN含有ポリシロキサン(EP2557107A1によるアミノ/グアニジノ変性シロキサン)
-N含有ポリシロキサン(アミノ変性シロキサン、ABIL SOFT AF 300、アミノプロピルジメチコン、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-アルキルおよびポリエーテル変性シロキサン(TEGOPREN 7009、セチルジメチコーンコポリオール、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-アルキル変性シロキサン(ABIL WAX 9840、セチルジメチコーン、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
【0084】
成分B(エステル油):
-REWOCARE DOC(炭酸ジエチルヘキシル、Evonik Nutrition & Care GmbH社);
-Tegosoft DEC(炭酸ジエチルヘキシル、Evonik Nutrition & Care GmbH社);
-Tegosoft M(ミリスチン酸イソプロピル、Evonik Nutrition & Care GmbH社);
-ロキサノール(登録商標)MI 6460(ラウリン酸イソプロピル、BASF社)
-Tegosoft P(パルミチン酸イソプロピル、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-オレイン酸イソプロピル
-菜種ディーゼル(菜種メチルエステル)
-オリーブオイル(植物油)
【0085】
成分C(界面活性剤):
-Tomadol 23-1(1分子あたり平均1個のエチレンオキシド基を有し、モル質量が238であるエトキシル化直鎖アルコール;非イオン性界面活性剤、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Tomadol 1-5(1分子あたり平均5個のエチレンオキシド基を有し、分子量が392であるエトキシル化直鎖アルコール;非イオン性界面活性剤、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Tomadol 23-5(1分子あたり平均5個のエチレンオキシド基を有し、分子量が401であるエトキシル化直鎖アルコール;非イオン性界面活性剤、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Tomadol 23-3(非イオン性界面活性剤、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-TEGO Alkanol TD 6(イソトリデシル6-エトキシレート; Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Lial 123(C12-C13-アルコール;Sasol社)
-TEGO Alkanol S2P(ステアレス-2、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Tego STO V(ソルビタントリオレエート、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Tego SMO V(オレイン酸ソルビタン、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Lutensol TO 2(平均2個のエチレンオキシド基を有するエトキシル化iso-C13-アルコール、BASF社)
-Tomadol 1200(エトキシル化非イオン性界面活性剤、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
-Tergitol 15-S-3(エトキシル化非イオン性界面活性剤、2級アルコールのエトキシレート、The Dow Company社)
-Tego Care PSC 3(ポリグリセリル-3ジシトレート/ステアレート、Evonik Nutrition & Care GmbH社)
【0086】
成分D(溶剤):
-プロピレングリコールn-ブチルエーテル(Dowanol PnB;The Dow Company社)
-ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(Dowanol DPnB;The Dow Company社)
-ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(Dowanol DPM;The Dow Company社)
-ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(Dowanol DPnP;The Dow Company社)
-イソプロパノール
-ヘキシレングリコールBDG(ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルジグリコール、BASF社)
【0087】
成分E:
-水
【0088】
成分F(任意添加剤):
-HCl溶液、20%水溶液、以下、HClと略記
【0089】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0090】
比較例
比較例として、EP2557107A1によるマイクロエマルションを使用した。組成を表2に示す。
【表2】
【0091】
比較例は、EP2557107A1による濃縮物は、相分離が生じたため、高温で十分な貯蔵安定性を示さないことを示している。
E.使用例
E1.布地柔軟化組成物の製造
比較例V1およびV2の布地柔軟化配合物を製造するために、REWOQUAT WE 18(Evonik Nutrition & Care GmbH社の商品名、有効成分が90%のトリエタノール系エステルクアット)を、表3に記載されている量で、50℃に加熱し、撹拌しながら、表3に記載されている量の35℃に加熱された水道水と、表3に記載されている量の1%染料溶液と、に加えた。その後、プロペラスターラーを用いて50℃で20分間攪拌した。分散液を約1時間かけて室温まで冷却した。次に、香油(3g)を室温で加えた。
【0092】
比較例V3は、混合物を20分かけて30℃に冷却し、最終工程において、香油の他に、EP2557107A1によるアミノシロキサンマイクロエマルションを、表3に記載の量で加えたこと以外は、V1およびV2と同様に実施された。マイクロエマルションの組成は、表2に記載されている。
【0093】
本発明の布地柔軟化配合物W1およびW2は、最終工程において、表2によるマイクロエマルションの代わりに、実施例B1およびB2からなる本発明の濃縮物を加えたこと以外は、V3と同様に製造された。布地柔軟剤V1~V3およびW1~W2の組成を表3にまとめる。
【表3】
【0094】
E2.綿生地の前処理
坪量約350g/m2の80cm×50cmの綿テリークロス生地(WFK試験生地、WFK 12 A)を、40℃で、強力洗濯用洗剤で2回洗浄し、2回すすぎ、シングルプライのラインに掛けて回転させ風乾した。
【0095】
E3.手触り
布に対する本発明の濃縮物の軟化活性を測定するために、E2からなる綿タオルを布地柔軟剤V1~3、W1およびW2で処理した。
【0096】
E3.1.綿生地の処理
表3の布地柔軟剤を冷たい水道水でそれぞれ希釈して、0.025重量%の活性布地コンディショニング物質を含むリンス溶液を得た。
【0097】
綿タオルをリンス溶液2リットルに10分間浸した。タオルがリンス溶液によって均一に濡らされていることを確認しなければならない。続いて、タオルをシングルプライのラインに掛けて、室温で回転させ乾燥させた。処理した綿のテリークロスタオルを、16cm×25cmの10個の同一のピースに切り分けた。
【0098】
E3.2.手触りの評価
手触りを評価するために、9人のテスターからなる経験豊富なチームを編成し、ハンドパネルテストを使用して、E3.1の非特定化されたサンプルを評価した。このテストでは、各テスターが独自の綿タオルを受け取る。評価は、0(硬くて不快な感触)~5(柔らかく心地よい感触)までのスケールで行われ、中間の整数値を選択できる。手触りの評価では、個々の評価を合計した。つまり、9人のテスターがいる場合、手触りの最大値は45である。
加えて、サンプルには、明確なマーキングのない未処理のサンプル(空試験値)が常に含まれていた。
手触りの評価結果を表4に示す。
【表4】
【0099】
表4は、本発明の濃縮物を0.6重量%含有する布地柔軟化配合物W1およびW2が、本発明の濃縮物を含まない布地柔軟剤V1よりも優れた柔らかい手触りをもたらすことを示している。本発明の濃縮物を使用せずにW2に匹敵する柔らかな手触りを達成するためには、V2中のWE18濃度は、V1と比較して最大30%増加させなければならなかった(V1:6重量%およびV2:8重量%)。したがって、本発明の濃縮物の使用は、著しく効果的である。
【0100】
E4.香りの保持
香料を含有するマイクロエマルションの布地に対する香り保持効果を測定するために、綿タオルをそれで処理した。
【0101】
E4.1.綿生地の処理
綿生地をE3.1と同様に処理した。
【0102】
E2.3.2.香り保持の評価
香り保持を評価するために、11人の個別のテスターからなる経験豊富なチームを編成し、臭気パネルテストを使用して、布地柔軟剤V1、V3、W1およびW2で処理した綿生地の非特定化された匂いサンプルを評価した。このテストでは、各テスターが独自の綿タオルを受け取る。1つの臭気パネルで、2つ以下の異なる布を互いに比較して評価した。評価は、1(香りが弱い)~2(香りが強い)までのスケールで行われ、すべてのテスターの最終合計において中間の整数値を選択できる。臭気評価では、個々の評価を合計した。つまり、11人のテスターがいる場合、最大値は22である。香り保持の評価は、布地を処理した24時間後と7日後に行った。
結果を表5にまとめる。
【表5】
【0103】
表5の結果は、本発明の濃縮物を含む布地柔軟剤が、特に7日後に、最も良好な香り保持をもたらすことを示している。