(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】デバイス
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20221019BHJP
【FI】
C23C14/24 D
(21)【出願番号】P 2020567479
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(86)【国際出願番号】 GB2019051521
(87)【国際公開番号】W WO2019234398
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-01-28
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100176728
【氏名又は名称】北村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・レンドール
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-101029(JP,A)
【文献】特開昭55-073866(JP,A)
【文献】特開昭53-085738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
坩堝であって、固体物質を当該坩堝に導入する入口が設けられた溶融領域と、蒸発物質を当該坩堝から解放する出口が設けられた蒸発器領域と、前記溶融領域の下側部分と前記蒸発器領域の下側部分との間に存在する加熱領域と、を有し、溶融物質が前記溶融領域から前記加熱領域を通って前記蒸発器領域へ流動する坩堝と、
前記溶融領域及び前記蒸発器領域を加熱するための1以上の加熱器と、
を備え、
前記加熱領域の上壁面と底壁面とが、前記蒸発器領域の側から前記溶融領域の側に向けて徐々に離隔することで、当該上壁面が、前記坩堝内の前記溶融物質からの脱ガス蒸気を前記出口から離間するように方向付ける案内面として機能
し、
1以上の前記加熱器が、前記入口の下方かつ前記坩堝の、前記溶融領域の上側部分を形成する側壁部の周りに設置された、前記溶融領域を加熱するための第1加熱器と、前記出口の下方かつ前記坩堝の、前記蒸発器領域の上側部分を形成する側壁部の周りに設置された、前記蒸発器領域を加熱するための第2加熱器と、を備えることを特徴とする蒸着用のデバイス。
【請求項2】
前記坩堝が、前記加熱領域の底壁面を形成するベースと、前記加熱領域の上壁面を形成するカバーと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記案内面が、脱ガス蒸気を前記入口に向けて方向付けることを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記案内面が、脱ガス蒸気を前記カバーに形成された1以上の排気口に向けて方向付けることを特徴とする請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ベースが、前記加熱領域、前記溶融領域及び前記蒸発器領域に関して共通していることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カバーが、前記蒸発器領域から前記溶融領域に向けて上方へ傾斜していることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ベースが、前記溶融領域から前記蒸発器領域に向けて上方へ傾斜していることを特徴とする請求項2から6のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を基板上に堆積させるための蒸着蒸発器に関する。より具体的には、本発明は、物質を基板上に連続的に堆積させるための定常蒸着蒸発器デバイスに関する。さらにより具体的には、本発明は、金属物質を移動する基板上に連続的に堆積させるための定常蒸着蒸発器デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
金属物質の薄膜は、蒸着技術を用いて基板上に堆積され得る。従来の方法は、坩堝内の物質を溶融させるステップを有し、それにより、物質は、気相状態へ変化し、被覆される基板の方向で移動し、基板において、物質は、凝縮して膜を形成する。しかしながら、これら従来の坩堝は、物質が蒸発するにしたがって坩堝に物質を補充する必要があるので、連続的なすなわち定常的な蒸気流動を提供するように容易に構成される。また、蒸気流動中の不純物は、不純物が基板上に凝縮しないように処分する必要がある。したがって、溶融温度と物質の蒸発温度との間の注意深い熱負荷バランスを必要とする。
【0003】
定常蒸気流動を提供するのに適した蒸発器デバイスの一例は、特許文献1に記載されている。デバイスは、3つの異なる領域に分割された坩堝を備える。蒸発される固体物質は、加熱した溶融領域に導入され、この溶融領域では、物質は、溶融される。溶融物質は、溶融領域から加熱領域へ移行し、物質は、溶融領域の温度より高いが物質の沸点未満である上昇温度で維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2007/028629号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加熱領域内において、物質よりも沸点が低い不純物は、蒸発される。加熱領域は、溶融領域を蒸発器領域に接続するチャネルの形態にあり、この加熱領域は、物質の沸点よりも高い温度まで加熱される。物質は、蒸発器領域内で蒸発し、蒸発器領域の上方に位置する基板に堆積される。蒸発器領域からの物質の蒸発速度は、とりわけ、蒸発器領域内にある溶融物質の露出面と蒸発器領域の温度とによって決定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様において、本発明は、蒸着蒸発器デバイスを提供し、この蒸着蒸発器デバイスは、坩堝であって、固体物質を坩堝に導入する入口と、蒸発物質を坩堝から解放する出口と、を有する、坩堝と、1以上の加熱器と、ベースと、入口と出口との間にある案内面と、を備え、案内面は、脱ガス蒸気を坩堝内の溶融物質から出口から離間するように方向付ける。
【0007】
本発明にかかるデバイスにより、堆積のために排出される蒸発物質のための、定常蒸気流動を有しかつ脱ガスのない出口を可能とする。案内面は、溶融物質から脱ガスされた不純物蒸気を出口から離間させるように方向付ける。脱ガス蒸気を出口から離間するように案内することにより、これら蒸気が蒸発器出口から放出された蒸発物質と混合することを防止する。また、デバイスの出口におけるまたは出口近傍における全ての溶融体は、ほぼ同じ温度及び液面位(level)で維持されることになる。これにより、デバイスの出口において溶融物質の表面における吐出量、クラスト及び高温点を低減する。したがって、発生した蒸気プルームは、出口の表面積にわたって均一となる。このため、改善した連続的蒸着を実現し得、被覆される所望の基板への物質の堆積がより一定である。また、本発明により、望まない溶融または脱ガス物質が坩堝のうちより冷たい部分内で脱ガスされることが可能となり、それにより、副産物の発生は、堆積出口を介してではなくむしろ排気口またはポートへ送られ得る。
【0008】
従来のバッチ型坩堝は、物質を消費するにしたがって流動を変更する、すなわち、プール面積は、減少し、堆積の継続期間の関数として不均一な蒸気プルームを招く。これにより、製造における一貫性のなさを招き、性能が不十分な製品をもたらし得る。また、高温度の坩堝に物質を供給することは、物質(冷たい)が物質を供給する際にプルームに衝撃を与えるので、非常に困難である。対照的に、本発明にかかる連続的な定常蒸発デバイスの設計によれば、出口の全表面積にわたってデバイスの出口には連続的なかつ一定の流動があるので、基板への物質の均一な堆積のための拡張性を可能とする。これにより、同様に、デバイスの出口に対して移動する基板への物質の均一な堆積を可能とする。
【0009】
本発明によれば、物質を供給してデバイスの出口の下方から溶融させることを可能とし、それにより、蒸発面は、物質の供給によって乱されない。本発明の設計によれば、同様に、物質が濃縮される表面の数を低減し、それにより、物質の有効利用を改善する。
【0010】
坩堝は、溶融領域と、蒸発器領域と、加熱領域であってこの加熱領域を通して溶融物質が溶融領域から蒸発器領域へ移行する加熱領域と、を備え得、入口は、溶融領域に位置し、出口は、蒸発器領域に位置する。領域を使用することによって、デバイスにわたって慎重な温度制御が可能となる。従来の蒸発源において、液面位が錐状坩堝内で減少するので、結果として生じる流動は、表面積の減少に従って低減する。対照的に、蒸発器領域の温度を維持し得かつ溶融領域及び加熱領域とは別個に管理し得、それにより、蒸発物質は、一定温度であり、デバイスに供給された物質量に応じた液面位にあり、それにより、物質蒸発流動は、広範囲にわたって一定である。
【0011】
坩堝は、ベースを覆って延在するカバーを備え得る。カバーは、少なくとも部分的に案内面を画成し得る。案内面は、脱ガス蒸気を蒸発器領域の出口から離間するように案内するためにベース及び/またはカバーに接続された1以上の邪魔板を備え得る。あるいは、カバーは、少なくとも部分的に案内面を画成し得る。例えば、1以上の邪魔板は、カバーと一体化され得る。カバーは、脱ガス蒸気を蒸発器領域の出口から離間するように案内するように形付けられ得る。案内面は、坩堝の加熱領域を覆って延在し得、脱ガス蒸気を蒸発器領域から離間するように方向付けるように形付けられ得る。案内面は、蒸発器領域から溶融領域に向けて上方に傾斜し得る。脱ガス蒸気を放出するための1以上の排気口は、カバーに形成され得る。あるいは、カバーは、脱ガス蒸気を溶融領域の入口に向けて案内するように形付けられ得る。デバイスのベース及び案内面は、蒸発器領域から発散し得る。すなわち、ベースは、下方に向けて傾斜していると言え得、案内面は、出口から離間するように上方に傾斜し得る。これにより、堆積させる物質を坩堝により良好に装填することができる。デバイスのベースは、加熱領域、溶融領域及び蒸発器領域に関して共通であり得る。
【0012】
1以上の加熱器は、溶融領域を加熱するための第1加熱器と、蒸発器領域を加熱するための第2加熱器と、を備え得る。第1加熱器は、溶融領域を第1温度まで加熱するために使用され、第2加熱器は、蒸発器領域を第2温度まで加熱するために使用される。蒸発させる物質の組成に応じて、第2温度は、第1温度よりもセ氏数百度高くなり得る。蒸発器領域から溶融領域への過剰なエネルギー移送を最小化するために、第2加熱器は、第1加熱器から間隔をあけ得る。第1加熱器は、好ましくは、溶融領域の周囲に延在する。第1加熱器は、溶融領域を物質の融点よりもわずかに高い温度まで加熱するように構成され得、それにより、誘導加熱器及び抵抗加熱器のうちの一方によって設けられ得る。第2加熱器は、好ましくは、蒸発器領域の周囲に延在し、好ましくは、誘導加熱器によって設けられている。そのため、第2加熱器の加熱効果は、蒸発器領域内に集中され得、第2加熱器は、渦電流を蒸発器領域内に誘導し得、溶融物質を物質の沸点に向けて均一に加熱する。
【0013】
一の特有の形態において、蒸発器領域は、桶状とされ得、蒸発器領域の出口に向けて発散する細長い側壁部を有する。第2加熱器は、蒸発器領域の側壁部の周囲に延在する、すなわち側壁部を囲む。
【0014】
溶融領域は、桶状とされ得、細長い側壁部は、好ましくは、溶融領域の入口に向けて集合する。第1加熱器は、溶融領域の側壁部の周囲に延在する、すなわち側壁部を囲む。
【0015】
蒸発器デバイスは、坩堝で保持された物質量を測定するための観測システムをさらに備え得る。特有の形態において、観測システムは、蒸発器領域内の溶融物質の液面位を観測するための液面位センサ、または、坩堝及び坩堝内で保持されている物質の組み合わせた重量を観測するためのロードセルもしくは他の手段を備え得る。これにより、固体物質を坩堝に導入する速度を自動的に制御することが可能となり得、それにより、蒸発器領域内の溶融物質のほぼ均一な液面位を維持し、このため、坩堝からのほぼ均一な蒸発速度を維持する。固体物質は、コンベアからまたはホッパから坩堝に導入され得る。坩堝で保持されている物質量を観測することにより、同様に、第1及び/もしくは第2加熱器の温度または坩堝が位置する雰囲気の圧力などの他の堆積処理パラメータを制御することが可能なり得る。
【0016】
第2態様において、本発明は、同様に、固体物質を溶融、蒸発させる方法を提供し、この方法は、坩堝の溶融領域を第1温度まで加熱するステップと、坩堝の蒸発器領域を第1温度よりも高い第2温度まで加熱するステップと、第1温度よりも低い融点及び第2温度よりも低い沸点を有する固体物質を加熱した溶融領域に導入するステップと、加熱領域を通して溶融物質を溶融領域から蒸発器領域へ流動させるステップと、蒸発物質を蒸発器領域から解放するステップと、加熱領域内で溶融物質から脱ガス蒸気を蒸発器領域から離間するように案内するステップと、を備える。
【0017】
固体物質は、バッチ処理で坩堝内に導入され得る、または、蒸発物質は、連続的な流動で、坩堝から解放される。
【0018】
本発明の第1態様と共に上述した特徴は、本発明の第2態様に等しく適用可能である、または、その逆である。
【0019】
添付の図面を参照しながら、例としてのみ、本発明の好ましい特徴をここで説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】蒸発器デバイスの坩堝を上方から見た斜視図である。
【
図4】
図1の坩堝を有する蒸発器デバイスを示す概略図である。
【
図5】蒸発器デバイスの制御システムを示す概略図である。
【
図6】蒸発器デバイスの別の坩堝を上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図3は、蒸着によって物質を基板に付着させるための蒸発器デバイスで使用するための坩堝10を示す。坩堝10は、ベース12と、カバー14と、ベース12から上方に延在する外側壁部16、18と、カバー14から下方に延在する内側壁部20、22と、内側壁部20、22の端部を接続する側壁部24、26と、を備える。側壁部16、20、24、26は、坩堝10の細長い入口28を画成し、側壁部18、22、24、26は、坩堝10の細長い出口30を画成する。この特有の実施形態において、ベース12及びカバー14は、ほぼ平坦であり、カバー14は、ベース12に対して所定角度で、すなわち非平行に配設されている。
【0022】
第1加熱器32は、入口28の下方に位置し、坩堝10の側壁部16、20、24、26の上側部分の上方に延在する。第1加熱器32は、抵抗加熱器または誘導加熱器であり得る。第2加熱器34は、第1加熱器32から間隔をあけており、出口30の下方に位置する。第2加熱器34は、坩堝10の側壁部18、22、24、26の上側部分の上方に延在するコイルの形態にある。第2加熱器34は、誘導加熱器の形態にある。加熱器32、34は、加熱器32、34からのエネルギー出力を独立して制御する(
図5に概略的に示す)コントローラ36によって制御される。
【0023】
図3を特に参照すると、坩堝10の内側チャンバは、坩堝10のベース12、カバー14及び側壁部によって3つの領域に分割されている。内側チャンバは、坩堝10の入口28を備える溶融領域38と、坩堝10の出口30を備える蒸発器領域40と、溶融領域38の下側セクションと蒸発器領域40の下側セクションとの間に延在する加熱領域42と、を備える。蒸発器領域40は、桶状であり、出口30に向けて発散する細長い側壁部18、22を有する。溶融領域38は、同様に桶状であるが、入口28に向けて集合する細長い側壁部16、20を有する。
図4を参照すると、坩堝10は、蒸発器デバイス内に装着されており、それにより、ベース12は、溶融領域38から蒸発器領域40に向けて上方に傾斜し、カバー14は、蒸発器領域40から溶融領域38に向けて下方に傾斜する。ベース12は、蒸発器領域40から溶融領域38に向けて下方に傾斜し、それにより、ベース12及びカバー14は、発散する。溶融領域内で保持されている物質の全体深さ(ひいては量)は、蒸発器領域40内に保持されている物質の深さ/量よりも大きい。
【0024】
使用中において、溶融領域38は、選択した第1温度まで第1加熱器32によって加熱され、蒸発器領域40は、第1温度よりも高い選択した第2温度まで第2加熱器34によって加熱される。そして、蒸発器デバイスによって蒸発される固体物質44は、入口28を通して坩堝10内に導入される。固体物質44は、取り扱いを容易にするためにかつ固体物質の表面積を低減することを介して固体物質からの不純物の脱ガスを低減するためにペレット状で坩堝10内に導入される。固体物質44は、ホッパからまたは
図3に示すようにコンベア46から坩堝10内に導入され得る。回転するシャッタ48は、コンベア46と入口28との間に位置し得る。
【0025】
第1温度は、第1温度が固体物質44の融点よりも高いように選択されており、そのため、固体物質44は、溶融領域38内で溶融する。脱ガス蒸気であって固体物質44が溶融領域38内で溶融する際に発生した蒸気は、坩堝10から解放するために、集合していく細長い側壁部16、20によって入口28へ案内される。1以上の排気口は、脱ガス蒸気を入口28から排気するために設けられ得る。さらに、固体物質44が溶融する際に発生するスラグは、溶融領域38内で保持される。
【0026】
固体物質44が溶融領域内で溶融するにしたがって、溶融物質45は、加熱領域42を通って蒸発器領域40へ流動する。溶融領域38の深さが比較的大きいことにより、固体物質44が蒸発器領域40へ移行する前に溶融する十分な空間が形成される。これにより、一定の流動及び一貫性のある溶融物質45を所望の期間内に蒸発器領域40の下側セクションへ搬送されることができ得る。
【0027】
第2温度は、第2温度が溶融物質の沸点よりも高く選択されており、それにより、溶融物質45は、溶融物質が加熱領域42を通過して蒸発器領域40に向けて移行するにしたがって、温度が上昇する。溶融物質が加熱領域42を通過するにしたがって溶融物質45からさらなる脱ガス蒸気は、(傾斜した)カバー14によって入口28に向けて、または、入口28から離間するように脱ガス蒸気を排気するための排気口へ案内される。蒸発器領域40内において、溶融物質45は、蒸発され、坩堝10の出口30を通して解放される。ガス噴射をさらに方向付けるため、邪魔板またはプレートは、蒸発物質の均一かつ平行なビームを出口30の上方に位置する基板に向けて方向付けることを確実にするために設けられている。
【0028】
蒸発物質を坩堝10の出口30から解放するにしたがって、さらなる固体物質は、入口28を通して、この実施形態においてコンベア46及びシャッタ48の動作を介して、坩堝10内に導入される。さらなる固体物質を坩堝10内に導入する速度は、自動的に制御されており、それにより、蒸発器領域40内の溶融物質の表面は、比較的一定の液面位で維持される。これは、坩堝10内の溶融物質の液面位を観測することを通して、または、この実施形態におけるように坩堝10を装着したロードセル50を用いて坩堝10及び坩堝10で保持されている物質の重量を観測することを通して、制御され得る。
【0029】
図6は、本発明にかかる蒸発器デバイスで使用するための代替の坩堝の設計100を示しており、入口280及び側壁部220は、物質の粉末またはペレットを受けるように形付けられかつ構成されている。入口280及び側壁部220は、円状開口部180を形成する。出口300の開口部は、入口280とは異なって構成されており、それにより、幅広かつ均一な蒸発物質の平行ビームは、出口300の上方に位置する基板に向けて方向付けられる。図示のように、坩堝100は、入口280及び出口300を接続する外壁部140、160、240、260を備える。
【0030】
第1加熱器320は、入口280の下方に位置しており、坩堝100の側壁部220の上側部分回りに延在するコイルの形態にある。第1加熱器320は、抵抗加熱器または誘導加熱器であり得る。第2加熱器340は、第1加熱器320から間隔をあけており、出口300の下方に位置する。第2加熱器340は、コイルの形態にある。
【符号の説明】
【0031】
10 坩堝、12 ベース、14 カバー、16,18 外側壁部、20,22 内側壁部、22,24,26 側壁部、28 入口、30 出口、32 第1加熱器、34 第2加熱器、36 コントローラ、38 溶融領域、40 蒸発器領域、42 加熱領域、44 固体物質、45 溶融物質、46 コンベア、48 シャッタ、50 ロードセル、100 坩堝、140,160 外壁部、180 円状開口部、220 側壁部、240 外壁部、260 外壁部、280 入口、300 出口、320 第1加熱器、340 第2加熱器