(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】ファン組立体用ノズル
(51)【国際特許分類】
F04F 5/20 20060101AFI20221019BHJP
F04F 5/16 20060101ALI20221019BHJP
F04D 29/56 20060101ALI20221019BHJP
F04D 29/64 20060101ALI20221019BHJP
F16K 31/44 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
F04F5/20 E
F04F5/16
F04D29/56 B
F04D29/64 Z
F16K31/44 G
(21)【出願番号】P 2020572825
(86)(22)【出願日】2019-06-19
(86)【国際出願番号】 GB2019051713
(87)【国際公開番号】W WO2020002877
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-25
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】マックイーン ニール ユーイン カラム
(72)【発明者】
【氏名】ライリー フィリップ テニソン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ダレン マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ダイソン ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ノックス アレクサンダー スチュアート
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103807149(CN,A)
【文献】特開2016-114041(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0190240(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04F 5/20
F04F 5/16
F04D 29/56
F04D 29/64
F16K 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン組立体用のノズルであって、
空気流を受け取るための空気入口と、
空気流を放出するための第1の空気出口と、
空気流を放出するための第2の空気出口と、
を備え、
前記第1及び第2の空気出口は、前記ノズルの面に設けられた湾曲スロットのペアを含み、前記第1及び第2の空気出口は、正反対に配置されて収束点に向かって配向され、前記ノズルが更に、前記第1及び第2の空気出口の間の領域にわたる中間面を備え
、
前記第1の空気出口は、前記ノズル本体の第1部分と前記中間面の第1部分とによって定められ、前記第2の空気出口は、前記ノズル本体の第2部分と前記中間面の第2部分とによって定められる、ノズル。
【請求項2】
前記ノズルの面が前記中間面を含む、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
第1の空気出口及び第2の空気出口は、前記ノズルの面の中心軸に位置する収束点に向かって配向される、請求項1又は2の何れか1項に記載のノズル。
【請求項4】
前記中間面は、前記第1及び第2の空気出口の一部を定める、請求項1~3の何れか1項に記載のノズル。
【請求項5】
前記ノズルの1又は2以上の最外面を定めるノズル本体を更に備える、請求項1~4の何れか1項に記載のノズル。
【請求項6】
前記ノズルの面が更に、中間面の周囲の周りに延びる前記ノズル本体の一部分を含む、請求項5に記載のノズル。
【請求項7】
前記ノズル本体が開口部を定め、前記中間面が、前記開口部内で露出している、請求項5又は6の何れか1項に記載のノズル。
【請求項8】
前記ノズル本体の第1部分は、前記中間面の第1部分の形状に相当する形状を有し、前記ノズル本体の第2部分は、前記中間面の第2部分の形状に相当する形状を有する、請求項
1に記載のノズル。
【請求項9】
前記ノズルは、前記中間面と前記ノズル本体との間に開口部を定め、前記湾曲スロットのペアが、前記開口部の別個の部分によって提供される、請求項
8に記載のノズル。
【請求項10】
前記湾曲スロットのペア間の前記開口部の部分が各々、1又は2以上のカバーによって閉塞される、請求項
9に記載のノズル。
【請求項11】
前記第1及び第2の空気出口は、前記中間面の少なくとも一部にわたって空気流を導くように配置される、請求項1~
10の何れか1項に記載のノズル。
【請求項12】
前記ノズルは、切頭球体の全体的形状を有し、第1の切頭部が前記ノズルの面を定め、第2の切頭部が、前記ノズルのベースの少なくとも一部を定める、請求項1~
11の何れか1項に記載のノズル。
【請求項13】
ファン組立体に接続されるように配置されるベースを更に備え、前記ベースが、前記ノズルの空気入口を定める、請求項1~
12の何れか1項に記載のノズル。
【請求項14】
前記ベースに対する前記ノズルの面の角度が固定される、請求項
13に記載のノズル。
【請求項15】
前記ベースに対する前記ノズルの面の角度は、0~90度である、請求項
14に記載のノズル。
【請求項16】
前記空気入口と前記第1及び第2の空気出口両方との間に延びる単一の内部空気通路を更に備える、請求項1~
15の何れか1項に記載のノズル。
【請求項17】
前記空気入口から前記空気出口への空気流を制御するバルブを更に備える、請求項
16に記載のノズル。
【請求項18】
前記第1及び第2の空気出口が組み合わされて、ノズルの複合空気出口を定め、前記バルブが、前記ノズルの複合空気出口のサイズを一定に保ちながら、前記第1の空気出口のサイズを前記第2の空気出口のサイズに対して調整するように移動可能な1又は2以上のバルブ部材を含む、請求項
17に記載のノズル。
【請求項19】
前記1又は2以上のバルブ部材は、前記第1の空気出口が最大限に閉塞され前記第2の空気出口が最大限に開放される第1の端部位置と、前記第1の空気出口が最大限に開放され前記第2の空気出口が最大限に閉塞される第2の端部位置との間のある範囲の位置を通って移動可能である、請求項
17に記載のノズル。
【請求項20】
インペラーと、前記インペラーを回転させて空気流を発生させるモータと、前記空気流を受け取るため請求項1~
19の何れか1項に記載のノズルと、を備えたファン組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン組立体用ノズル、並びにこのようなノズルを備えたファン組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ファンは、典型的に、軸線の周りに回転するように取り付けられたブレード又はベーンのセットと、ブレードのセットを回転させて空気流を発生させる駆動装置とを含む。空気流の移動及び循環は、「風冷」又は微風を生成し、その結果として、対流及び蒸発を介して熱が放散されと、ユーザが冷却効果を受ける。ブレードは一般に、ファンの使用中に回転しているブレードとユーザが接触するのを防ぎながら、空気流がハウジング内を通過するのを可能にするケージ内に配置される。
【0003】
米国特許第2,488,467号には、ファン組立体から空気を放出するためにケージに入れられたブレードを使用しないファンが記載されている。或いは、ファン組立体は、空気流を引き込むためにモータ駆動インペラーを収容するベースと、ベースに接続された一連の同心環状ノズルとを備え、各ノズルは、ファンから空気流を放出するように前部に位置する環状出口を備える。各ノズルは、ボア軸線の周りに延びて、ノズルが周りに延びるボアを定める。
【0004】
各ノズルは翼形部の形状であり、従って、ノズルの後部に位置する前縁と、ノズルの前部に配置される後縁と、前縁と後縁の間に延びる翼弦線と、を有すると見なすことができる。米国特許第2,488,467号では、各ノズルの翼弦線は、ノズルのボア軸線と平行である。空気出口は翼弦線上に位置し、ノズルから離れて翼弦線に沿って延びる方向に空気流を放出するように配置される。
【0005】
ファン組立体から空気を放出するためにケージに入ったブレードを使用しない別のファン組立体が、国際公開特許第2010/100451号に記載されている。このファン組立体は、一次空気流を引き込むためにモータ駆動インペラーを同様に収容する円筒状ベースと、ベースに接続され、一次空気流がファンから放出される環状開口/出口を備えた単一の環状ノズルとを備える。ノズルは開口部を定め、この開口部を介して、ファン組立体の局所環境内の空気が、環状開口から放出された一次空空気流によって引き込まれ、一次空気流が増幅される。ノズルはコアンダ面を含み、コアンダ面にわたって開口が一次空気流を配向するように配置される。コアンダ面は、開口部の中心軸線の周りで対称的に延びて、ファン組立体によって発生した空気流が、円筒形又は円錐台形のプロファイルを有する環状噴流の形態であるようになる。
【0006】
ユーザは、空気流がノズルから放出される方向を、2つの方法の内の1つで変更することができる。ベースは、ノズル及びベースの一部をベースの中心を通る垂直軸線の周りに揺動させて、ファン組立体により発生した空気流が約180°の円弧の周りに掃引されるように作動させることができる揺動機構を含む。ベースはまた、ノズル及びベースの上部を水平線に対し最大10°の角度でベースの下側部品に対して傾斜させることができる傾動機構を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第2488467号明細書
【文献】国際公開第2010/100451号
【発明の概要】
【0008】
第1の態様によれば、ファン組立体用のノズルが提供される。ノズルは、空気流を受け取るための空気入口と、空気流を放出するための第1の空気出口と、空気流を放出するための第2の空気出口と、を備える。第1及び第2の空気出口は、ノズルの面に設けられた湾曲スロットのペアを含み、第1及び第2の空気出口は、正反対に配置されて、収束点に向かって配向される。ノズルは更に、第1及び第2の空気出口の間の領域にわたる中間面を備える。換言すると、中間面は、第1及び第2の空気出口を分離する距離にわたって延びる。第1及び第2の空気出口が個別的である。換言すると、互いに物理的に分離されている。好ましくは、中間面は、外向きであり、すなわち、ノズルの中心から外方に面する。
【0009】
ノズルの面は、中間面を含むことができる。中間面は、ノズルの面を少なくとも部分的にわたって延びることができる。中間面は、平坦又は少なくとも部分的に凸状とすることができる。第1の空気出口及び第2の空気出口は、ノズルの面の中心軸に位置する収束点に向かって配向することができる。
【0010】
ノズルは更に、ノズルの1又は2以上の最外面を定めるノズル本体又は外側ケーシングを備えることができる。従って、ノズル本体又は外側ケーシングは、ノズルの外部形状又は外形を実質的に定める。従って、ノズルの面は、中間面と、中間面の周囲の周りに延びる又はこれを取り囲むノズル本体の一部分とを備えることができる。ノズル本体は、開口部を定めることができ、次いで、中間面は、開口部内に露出することができる。開口部は、ノズルの面に設けることができる。
【0011】
中間面は、第1及び第2の空気出口の一部を定めることができる。第1の空気出口は、ノズル本体の第1部分と中間面の第1部分とによって定めることができ、第2の空気出口は、ノズル本体の第2部分と中間面の第2部分とによって定めることができる。ノズルは、中間面とノズル本体との間に略楕円形の開口部又はギャップを定めることができ、次いで、湾曲スロットのペアは、開口部の別個の部分によって提供することができる。湾曲スロットのペア間の開口部の一部分は各々、1又は2以上のカバーによって閉塞することができる。1又は2以上のカバーは、湾曲スロットのペア間の開口部の一部分が閉塞された閉位置と、湾曲スロットのペア間の開口部の一部分が開口した開位置との間で移動可能とすることができる。或いは、1又は2以上のカバーが固定され、ノズル本体の1又は2以上及びノズルの中間面と一体化されるのが好ましい。
【0012】
好ましくは、湾曲スロットは弧状である。より好ましくは、湾曲スロットは、単一円の円弧の形にされ、互いに正反対に配置される。従って、湾曲スロットは、ノズル本体の面上で正反対に配置される2つの合同の弧状スロットを含み、好ましくは、円弧の形にされる。
【0013】
第1及び第2の空気出口は、空気流を中間面の少なくとも一部にわたって導くように配向することができる。第1及び第2の空気出口は、そこから放出される空気流を導いて、その空気流が中間面の少なくとも一部分をわたるように配置することができる。第1及び第2の空気出口は、それぞれの空気出口に隣接する中間面の一部にわたって空気流を導くように配置することができる。
【0014】
ノズルの外壁の最前点は、中間面の最前点の前方に存在することができる。或いは、ノズルの外壁の最前点は、中間面の最前点と面一とすることができる。
【0015】
ノズルは、楕円面を有することができる。好ましくは、ノズルは円形面を有する。次いで、開口部は、略環状とすることができる。好ましくは、ノズルは概して、円筒形、楕円形、回転楕円形である。詳細には、ノズルは、直円筒又は切頭球体の全体的形状を有することができる。好ましくは、ノズルは、切頭球体の全体的形状を有し、第1の切頭部がノズルの面を形成し、第2の切頭部がノズルのベースの少なくとも一部を形成する。
【0016】
ノズルは更に、ファン組立体に接続されるように配置されたベースを備えることができ、ベースは、ノズルの空気入口を定めることができる。ベースに対するノズルの面の角度が固定することができる。好ましくは、ベースに対する面の角度は、0~90度であり、より好ましくは0~45度、更により好ましくは20~35度である。
【0017】
ノズルは更に、空気入口と第1及び第2の空気出口の両方との間に延びる単一の内部空気通路を備えることができる。ノズルは更に、空気入口から空気出口への空気流を制御するバルブを備えることができる。好ましくは、第1及び第2の空気出口が組み合わされて、ノズルの複合/統合空気出口を定め、次いで、バルブは、ノズルの複合/統合的な空気出口のサイズを一定に保ちながら第2の空気出口のサイズに対して第1の空気出口のサイズを調整するよう移動可能な1又は2以上のバルブ部材を含む。バルブは、第1の空気出口のサイズを調整すると同時に第2の空気出口のサイズを逆比例して調整するように移動可能な1又は2以上のバルブ部材を備えることができる。バルブは、1又は2以上のバルブ部材の移動により、第1及び第2の空気出口の統合サイズを一定に保ちながら第1の空気出口のサイズを調整すると同時に第2の空気出口のサイズを逆比例して調整するように配置することができる。好ましくは、1又は2以上のバルブ部材は、第1の空気出口が最大限に閉塞され第2の空気出口が最大限に開放される第1の端部位置と、第1の空気出口が最大限に開放され第2の空気出口が最大限に閉塞される第2の端部位置との間のある範囲の位置を通って移動可能である。
【0018】
1又は2以上のバルブ部材は、並進的に(すなわち、回転せずに)、好ましくは直線的に(すなわち、真っ直ぐに)移動するように配置することができる。1又は2以上のバルブ部材は、ノズルの本体に対して横方向に移動するように配置することができ、任意選択的に外部案内面に対しても横方向に移動するように配置することができる。
【0019】
バルブ部材の各々において、バルブ部材は、ノズル本体の対向する部分の形状に相当する形状を有することができる。詳細には、バルブ部材は、ノズル本体の対向する部分の曲率半径に実質的に等しい曲率半径を有することができる。
【0020】
第2の態様によれば、ファン組立体用のノズルが提供される。ノズルは、空気流を受け取るための空気入口と、空気流を放出するための第1の空気出口と、空気流を放出するための第2の空気出口と、を備える。第1及び第2の空気出口は、ノズルの面に設けられた湾曲スロットのペアを含み、第1及び第2の空気出口は、収束点に向かって配向される。第1の空気出口及び第2の空気出口は、ノズルの面の中心軸に位置する収束点に向かって配向することができる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、インペラーと、空気流を生成するためにインペラーを回転させるモータと、空気流を受け取るための、第1の態様及び第2の態様の何れかによるノズルとを備えるファン組立体が提供される。ファン組立体は、ファン組立体が支持されるベースを備えることができ、ファン組立体のベースに対するノズルの面の角度を固定することができる。好ましくは、ファン組立体のベースに対するノズルの面の角度は0~90度であり、好ましくは0~45度であり、より好ましくは20~35度である。ファン組立体のベースは、好ましくはファン組立体本体の第1の端部に設けられ、この場合、ノズルは、ファン組立体本体の対向する第2の端部に取り付けられることが好ましい。好ましくは、モータ及びインペラーは、ファン組立体の本体内に収容される。
【0022】
ここで、添付図面を単に例証として参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図4】
図1のファン組立体の環状ノズルの斜視図である。
【
図5】ファン組立体の第1の実施形態の正面図である。
【
図7】
図5及び
図6のファン組立体の球状ノズルの斜視図である。
【
図8】
図5及び
図6のファン組立体の球状ノズルの上面図である。
【
図9】
図5及び
図6のファン組立体の球状ノズルの正面図である。
【
図10】5及び
図6のファン組立体の球状ノズルの側面図である。
【
図11】
図9の線A-Aに沿った、球状ノズルの垂直断面図である。
【
図12】
図10の線B-Bに沿った、球状ノズルの垂直断面図である。
【
図13】上側部分が取り外された
図7の球状ノズルの上面図である。
【
図14】上側部分が取り外された
図7の球状ノズルの斜視図である。
【
図15a】第1の位置にあるバルブ部材を示す、球状ノズルの簡易垂直断面図である。
【
図15b】第2の位置にあるバルブ部材を示す、球状ノズルの簡易垂直断面図である。
【
図15c】第3の位置にあるバルブ部材を示す、球状ノズルの簡易垂直断面図である。
【
図16】第2の実施形態の円筒状ノズルの垂直断面図である。
【
図17a】第1の位置にあるバルブ部材を示す、円筒状ノズルの垂直断面図である。
【
図17b】第2の位置にあるバルブ部材を示す、円筒状ノズルの垂直断面図である。
【
図18】
図16の円筒状ノズルの空気流ベクタリングバルブの代替の実施形態の簡易垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、ファン組立体用のノズルであって、高流量及び低圧力降下で十分に集束された空気の噴流を生成することができ、それによってエネルギー効率を改善することができるファン組立体用のノズルについて説明する。本明細書で使用される用語「ファン組立体」は、温度快適性及び/又は環境制御もしくは温度調節の目的で空気流を発生させて送給するように構成されたファン組立体を意味する。このようなファン組立体は、除湿空気流、加湿空気流、浄化空気流、濾過空気流、冷却空気流、及び加熱空気流の内の1又は2つ以上を発生させることができる。
【0025】
ノズルは、空気流を受け取るための空気入口と、空気流を放出するための第1の空気出口と、空気流を放出するための第2の空気出口と、を備える。第1の空気出口と第2の空気出口は、ノズルの面上に設けられ且つ正反対に配置されて収束点に向かって配向される湾曲スロットのペアを備える。従って、第1の空気出口と第2の空気出口は、個別的である(すなわち、互いに物理的に分離されている)。ノズルは更に、第1の空気出口と第2の空気出口の間の領域にわたる中間面を備える。換言すると、中間面は、第1及び第2の空気出口を隔てる領域又は空間にわたって延びる。中間面は、ノズルの外面を備え、好ましくは、外向き(すなわち、ノズルの中心から離れた方向を向く)である。第1及び第2の空気出口は個別的である(すなわち、互いに物理的に分離されている)。
【0026】
ノズルの面は、中間面を備えることができる。ここで中間面は、ノズルの面を少なくとも部分的にわたって延びることができる。中間面は、平坦又は少なくとも部分的に凸状とすることができる。第1の空気出口及び第2の空気出口は、ノズルの面の中心軸に位置する収束点に向かって配向することができる。
【0027】
ノズルは、ノズルの1又は2以上の最外面を定めるノズル本体又は外側ケーシングを更に備えることができる。従って、ノズル本体又は外側ケーシングは、ノズルの外部形状又は外形を実質的に定める。ノズルの面は、中間面と、中間面の周囲の周りに延びる又はこれを取り囲むノズル本体の一部分とを備えることができる。ノズル本体は、開口部を定めることができ、次いで、中間面は、中間面がノズルの外面を提供するように開口部内に露出することができる。開口部は、ノズルの面に設けることができる。
【0028】
中間面は、第1及び第2の空気出口の一部を定めることができる。詳細には、第1の空気出口は、ノズル本体の第1部分と中間面の第1部分とによって定めることができ、第2の空気出口は、ノズル本体の第2部分と中間面の第2部分とによって定めることができる。中間面の第1部分(すなわち、第1の空気出口を部分的に定める部分)は、ノズル本体の対向する第1部分の形状に相当する形状を有することができる。詳細には、中間面の第1部分は、ノズル本体の対向する第1部分の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有することができる。中間面の第2部分(すなわち、第2の空気出口を部分的に定める部分)は、ノズル本体の対向する第2部分の形状に相当する形状を有することができる。詳細には、中間面の第2部分は、ノズル本体の対向する第2部分の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有することができる。
【0029】
ノズルは、中間面とノズル本体との間に略楕円形の開口部又はギャップを定めることができ、次いで、湾曲スロットのペアは、開口部の別個の部分によって提供することができる。湾曲スロットのペア間の開口部の一部分は各々、1又は2以上のカバーによって閉塞することができる。1又は2以上のカバーは、湾曲スロットのペア間の開口部の一部分が閉塞された閉位置と、湾曲スロットのペア間の開口部の一部分が開口した開位置との間で移動可能とすることができる。或いは、1又は2以上のカバーが固定され、ノズル本体の1又は2以上及びノズルの中間面と一体化されるのが好ましい。
【0030】
湾曲スロットが弧状であることが好ましい。本明細書で使用される用語「弧状」は、弧の形状を指し、ここで弧は、曲線のセグメント又は一部である。楕円のセグメントを含む弧は、楕円弧と呼ばれる。より好ましくは、湾曲スロットは、ノズル本体の面上で正反対に配置される2つの合同の弧状スロットを含み、好ましくは、円弧の形にされる。本明細書で使用される用語「合同の弧」とは、同じ弧の測度/弧の角度を有する同じ楕円の弧を指す。
【0031】
本明細書で使用する用語「空気出口」は、空気流がノズルから流出するノズルの部分を指す。詳細には、本明細書に記載する実施形態では、各空気出口は、ノズルによって定められ、空気流がノズルから出て行く導管又はダクトを備える。従って、各空気出口を代わりに排出口と呼ぶことができる。これは、空気出口から上流側にあり、ノズルの空気入口と空気出口との間で空気流を送る役割を果たすノズルの他の部分とは対照的である。
【0032】
第1及び第2の空気出口は各々、放出される空気流を中間面の少なくとも一部にわたって導くように配向される。換言すると、第1及び第2の空気出口は、そこから放出される空気流を導いて、その空気流が中間面の少なくとも一部分をわたるように配置することができる。詳細には、第1及び第2の空気出口は、それぞれの空気出口に隣接する中間面の一部にわたって空気流を導くように配置することができる。好ましくは、第1及び第2の空気出口は、空気出口に隣接するこの中間面の一部分と実質的に平行な方向に空気流を放出するように配向される。この場合、中間面は、第1及び第2の空気出口から空気流が放出される方向から離れるように中間面が逸れる又は方向を変えるように成形されて、これらの空気流が、中間面からの干渉を受けることなく、収束点で/又はその周辺で衝突できるようになることが好ましい。中間面にわたって空気流を放出することにより、最初にノズルを離れる際の空気流の乱れを最小限に抑え、それに続く空気流の中間面からの離脱により、中間面、放出された空気流及び収束点の間に剥離バブルを形成することが可能となる。剥離バブルの形成は、2つの対向する空気流が衝突したときに形成される合成噴流又は複合空気流を安定化させるのを助けることができる。従って、ノズルのこの中間面は、第1及び第2の空気出口から放出される空気流を収束点に案内するのを助ける外部案内面であると見なすことができる。
【0033】
図1及び2は、細長い環状ノズル1200を有するファン組立体1000の外観図である。従って、ノズル1200は、開口部1300のそれぞれ細長い側部に各々が隣接する2つの平行な直線状セクション1201,1202と、直線状セクション1201、1202の上端に繋がる上側湾曲セクション1203と、直線状セクション1201、1202の下端に繋がる下側湾曲セクション1204とを備える。細長い環状ノズル1200の上側及び下側湾曲セクション1203、1204は、空気流が湾曲セクション1203、1204を通って細長い環状ノズル1200から流出することができないように塞がれている。むしろ、空気流は、細長い環状ノズル1200の平行側部セクション1201、1202に沿って延びる別個の細長い直線状空気出口1210、1220を通って、細長い環状ノズル1200から流出することが可能にされる。
【0034】
図1はファン組立体1000の斜視図を示し、
図2はファン組立体1000の正面図である。次に、
図3は、
図2の線A-Aに沿った、ファン組立体の本体又はスタンド1100を通る断面図を示し、一方、
図4は、ファン組立体1000のノズル1200の斜視図を示す。ファン組立体1000は、本体又はスタンド1100を備え、細長い環状ノズル1200が本体1100に取り付けられる。本体1100は、略円筒状であり、ファン組立体1000の本体1100に空気流が入る空気入口1110を備え、空気入口1110は、本体1100に形成されたアパーチャのアレイを備える。或いは、空気入口1110は、本体1100に形成されたウィンドウに取り付けられた1又は2以上のグリル又はメッシュを備えることができる。
【0035】
図3は、ファン組立体1000を通る断面図を示す。本体1100は、空気入口1110を介して本体1100内に空気流を引き込むためのインペラー1120を収容する。インペラー1120は、モータ1130から外向きに延びる回転シャフト1121に接続される。
図3に示されるファン組立体では、モータ1130は、ユーザによって提供される制御入力に応じて制御回路1140により変更可能な速度を有するDCブラシレスモータである。モータ1130は、下側部分1132に接続された上側部分1131を備えるモータハウジング内に収容される。モータハウジングの上側部分1131は更に、モータハウジングの上側部分1131の外面から突出する湾曲したブレードの形態の環状ディフューザ1132を備える。
【0036】
モータハウジング1131、1132は、本体1100内に取り付けられたダクトの中に取り付けられる。ダクトは、略円錐台状の上壁1151と、略円錐台状の下壁1152と、下壁1152内に配置されてこれに当接するインペラシュラウド1122とを備える。次に、実質的に環状の入口部材1160が、インペラハウジング内に一次空気流を案内するためにダクトの底部に接続される。従って、ダクトの空気入口は、ダクトの底端部に設けられた環状入口部材1160によって定められる。次いで、一次空気流が本体1100から排出される通気口/開口部1170は、モータハウジングの上側部分1131及びダクトの上壁1151によって定められる。
【0037】
ダクトの上壁1151と本体1110との間には、空気がダクトの外面の周りから入口部材1160に通過するのを防ぐために、可撓性のシール部材(図示せず)が取り付けられる。シール部材は、ゴムから形成された環状リップシールを備えることが好ましい。
【0038】
ノズル1200は、一次空気流が本体1100から流出する通気口1170を覆って本体1110の上端に取り付けられる。ノズル1200は、本体1100の上端に接続され、本体1100から一次空気流を受け取るための空気入口1240を提供する開口下端を有するネック/ベース1230を備える。この場合、ノズル1200のベース1230の外面は、本体1100の外縁と実質的に面一である。従って、ベース1230は、本体1100の上面に設けられるファン組立体1000のあらゆる構成要素を覆う/取り囲むハウジングを備え、
図3では制御回路1140を含む。
【0039】
上述のように、ノズル1200は、スタジアム又はディスコレクタングル形状と呼ばれることが多い細長い環形状を有し、その幅(ノズル1200の側壁間に延びる方向で測定される)よりも大きい高さ(ノズル1200の上端からノズル1200の下端へ延びる方向で測定される)と中心軸線(X)とを有する、相応する形状にされた開口部又はボア1300を定める。
【0040】
細長い環状ノズル1200の空気入口1240は、一次空気流が本体1100から排出される通気口/開口部1170から空気流を受け取るように配置される。単一の内部空気通路1250が、細長い環状ノズル1200の周囲に延びて、空気入口1240から空気を受け取る。空気が通気口/開口部1170から細長い環状ノズル1200の空気入口1240に流入すると、2つに分割され、内部空気通路1250を介して細長い環状ノズル1200のボア1300を中心として対向する角度方向に流れる。空気案内ベーン(図示せず)が、平行側部セクション1201、1202の内面に設けられ、垂直方向に配向された空気流を、細長い環状ノズル1200の前方を向いた面に設けられた直線空気出口1210、1220に向けて90°転回する。
【0041】
次に、
図5及び6は、本発明によるファン組立体2000の第1の実施形態を示す。
ファン組立体1000、2000は全く異なるように見えるが、ファン組立体の本体1100、2100は本質的に同じである。このため、本体2100の説明は繰り返さない。しかしながら、明らかに分かるように、ファン組立体1000、2000の間の主な相違点は、
図5及び6のファン組立体が、直線状空気出口を有する細長い環状ノズルを有してない点である。むしろ、ファン組立体2000のノズル2200は、切頭球体の全体的形状を有し、ノズル2200の空気出口2210、2220が、ノズル2000の面2231に設けられた湾曲スロットのペアを備える。
【0042】
図示の実施形態では、ノズル2200は、空気流が本体2100から流出する通気口を覆って本体2110の上端に取り付けられる。ノズル2200は、本体2100から空気流を受け取るための空気入口2240を提供する開口下端を有する。次に、ノズル2200の外壁の外面は、本体2100の外縁に収束する。
【0043】
ノズル2200は、ノズル本体、すなわち外側ケーシング又はハウジング2230を備え、これはノズルの最外面を定め、ひいてはノズル2200の外部形状又は外形を定める。図示の実施形態では、ノズル2200のノズル本体/外側ケーシング2230は、切頭球体の全体的形状を有し、第1の切頭部がノズルの円形面2231を形成し、第2の切頭部がノズル本体/外側ケーシング2230の円形面2232を形成し、ノズル本体2230のベース2232に対するノズル本体2230の円形面2231の角度(α)は固定される。図示の実施形態では、この角度(α)は約25度であるが、ノズル本体2230のベース2232に対する面2231の角度は、0~90度の何れでもよく、より好ましくは0~45度であり、更により好ましくは20~35度である。
【0044】
図示の実施形態では、第1の切頭部は、ノズル本体2230の直径(DN)が、ノズル本体2230の円形面2231の直径(DF)の約1.2倍であるようにするが、ノズル本体2230の直径(DN)は、ノズル本体2230の円形面2231の直径(DF)の1.05~2倍の何れでもよく、好ましくは1.1~1.4倍である。第2の切頭部は、ノズル本体2230の直径(DN)が、ノズル本体2230の円形ベース2232の直径(DB)の約1.2倍であるようにするが、ノズル本体2230の直径(DN)は、ノズル本体2230の円形ベース2232の直径(DF)の1.05~2倍の何れでもよく、好ましくは1.1~1.4倍である。
【0045】
ノズル本体2230は、ノズル本体2230の円形面2231に開口部を定める。次に、ノズル2200は更に、ノズル本体2230の円形面2231の開口部内に同心円状に配置された固定の外部案内面2250を備え、この外部案内面2250が開口部内に少なくとも部分的に露出されて、ノズル本体2230の一部が案内面2250の周囲に延びるようになっている。従って、外部案内面2250は、外向きである(すなわち、ノズルの中心から離れる方向を向く)。
【0046】
図示の実施形態では、この案内面2250は凸状で実質的にディスク状であるが、代替の実施形態では、案内面2250は平坦又は部分的にだけ凸状とすることができる。次に、ノズル本体2230の内方に湾曲した上側部分2230aは、案内面2250の円周部分2250aに重なる/突出している。この場合、凸状案内面の最も外側の中央部分2250bは、ノズル本体2230の開口円形面2231の最外点に対してオフセットされる。次いで、凸状のガイド面2250の最外の中央部分2250bは、ノズル本体2230の開放された円形面2231の最外点に対して相対的にオフセットされる。詳細には、ノズル本体2230の開口円形面2231の最外点は、案内面の最外部2250bの前方にある。
【0047】
案内面2250の円周部分2250aとノズル本体2230の対向する部分は、組み合わされてこれらの間に略環状のギャップ2260を定め、この場合、このギャップ2260の正反対に配置された2つの部分は、ノズル2200の第1及び第2の空気出口2210、2220を提供する合同な円弧状スロットのペアを形成する。従って、案内面2250は、第1及び第2の空気出口2210、2220の間の領域にわたる中間面を提供する。言い換えれば、案内面2250は、第1及び第2の空気出口2210、2220を隔てる空間にわたって延びる中間面を形成する。以下でより詳細に説明するように、ノズル2200の少なくとも1つの構成では、弧状スロットのペアを隔てるギャップ2260の部分が覆われ/塞がれる。
【0048】
図示の実施形態では、第1及び第2の空気出口2210、2220を提供する弧状スロットのペアは各々、約60度の円弧角度(β)(すなわち、円形面2231の中心として弧に対する角度)を有するが、これらは各々、20~110度、好ましくは45~90度、より好ましくは60~80度の何れかの円弧角度を有することができる。結果として、ギャップ2260の面積は、第1及び第2の空気出口2210、2220の各々の面積の3~18倍の何れかとすることができ、好ましくは4~8倍、より好ましくは4~6倍である。
【0049】
第1及び第2の空気出口2210、2220はほぼ同じサイズであり、組み合わされて球状ノズル2200の統合/複合空気出口を形成する。第1の空気出口2210と第2の空気出口2220は、案内面2250の対向する側部に位置し、それぞれの空気出口に隣接する案内面2250の一部分上へ案内面2250の中央軸線(Y)と整列する収束点に向けて放出される空気流を導くように配向される。この場合、第1の空気出口2210、第2の空気出口2220及び案内面2250は、放出される空気流がそれぞれの空気出口に隣接する案内面2250の一部分上に導かれるように配置される。詳細には、空気出口2210、2220は、空気出口2210、2220に隣接する案内面2250の部分と実質的に平行な方向に空気流を放出するように配置される。この場合、案内面2250の凸形状は、第1及び第2の空気出口2210、2220から放出された空気流が収束点に接近するにつれて案内面2250から離れて、これらの空気流は、案内面2250からの干渉なしに収束点で及び/又はその周辺で衝突することができるようになっている。放出された空気流が衝突すると、2つの対向する空気流が衝突するときに形成される合成噴流又は複合空気流を安定させる上で助けとなる剥離バブルが形成される。
【0050】
符号が違う
ノズル2200の構造及び動作は、
図7~15に関連して以下で更に詳細に説明する。
図7は、
図5及び6のファン組立体2000のノズル2200に関する等角図である。次に、
図8、9及び10は、ノズル2200の上面図、正面図及び側面図を示す。次いで、
図11は、
図9の線A-Aを通る断面図を示し、
図12は、
図10の線B-Bを通る断面図を示す。そして、
図13及び14は、案内面及びノズル本体の上側部分を取り外したノズル2200の上面図及び斜視図を示す。
【0051】
上述のように、ノズル2200は、切頭球体の全体的形状を有し、第1の切頭部がノズルの円形面2231を形成し、第2の切頭部がノズル本体2230の円形ベース2232を形成する。従って、ノズル本体2230は、切頭球体形状を定める外壁2233を備える。この場合、外壁2233は、ノズル2200の円形面2231上の円形開口部と、ノズル本体2230の円形ベース2232上の円形開口部とを定める。ノズル本体2230はまた、第1の切頭部を形成する外壁2233の縁部から内方に延びるリップ2234を備える。このリップ2234は、形状が略円錐台状であり、案内面2250に向かって内方に先細となっている。
【0052】
ノズル本体2230は更に、ノズル本体2230内に配置されてノズル2200の単一の内部空気通路2270を定める内壁2235を備える。内壁22235は、全体的に湾曲し、略円形の断面を有し、ノズル本体2230の面2231又はベース2232の何れかに平行な平面における内壁2235の断面積が、空気入口2240と1又は2以上の空気出口2210、2220との間で変化する。詳細には、内壁2235は、空気入口2240の近辺で外方に幅広又は裾広がりになり、次いで、空気出口2210、2220の近辺で狭くなる。従って、内壁22235は、ノズル本体2230の形状にほぼ共形である。
【0053】
内壁2235は、その下端において、ノズル本体2200の円形ベース2232の円形開口部内に同心円状に配置された円形開口部を有し、内壁2235の下側円形開口部が、本体2100からの空気流を受け取るための空気入口2240を提供する。内壁2235はまた、その上端において、ノズル本体2230の円形面2231の円形開口部内に同心円状に配置された円形開口部を有する。この場合、内壁2235の内方に湾曲した上端は、外壁2233から内方に先細になるリップ2234と交わり/当接して、ノズル本体2230の円形面2231の円形開口部を定める。
【0054】
次いで、案内面2250は、内壁2235の上側円形開口部と同心円状に配置され、内壁2235の上側円形開口部の中心軸線に沿って内壁2235の上側円形開口部に対してオフセットされ、結果として、内壁2235と案内面2250の隣接部分との間の空間によってギャップ2260が定められる。この場合、内壁2235の内方に湾曲した上端は、ノズル2200から空気流が出る角度がノズル2200によって生成された合成空気流を最適化するほどに浅くなることを確実にするため、案内面2250の円周部分2250aに重なり/突出している。詳細には、空気流がノズル2200から出る角度は、案内面2250の中心軸線(Y)に沿う収束点の距離と、空気流が収束点で衝突する角度とを決定する。この場合、リップ2234の先細外面は、空気流を変化することができる角度範囲に対するこの突出の影響を最小限にする。
【0055】
この実施形態では、2つの別個のバルブ機構が案内面2250の下に配置される。これらの内の第1のバルブ機構は、ノズル2200の統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口2210のサイズを第2の空気出口2220のサイズに対して調整することによって、空気入口2240から第1及び第2の空気出口2210、2220への空気流を制御するように配置された流れベクタリングバルブである。これらのバルブ機構の内の第2のものは、ノズル2200の空気送給モードを指向モードから拡散モードに変更するために配置されたモード切替バルブである。両方のバルブ機構について、以下で更に詳細に説明する。
【0056】
ノズル2200は更に、両方のバルブ機構の下に内部空気誘導面又は方向転換面2271を備え、空気誘導面2271が、単一の空気入口通路2270内の空気流をギャップ2260に向けて、及びひいては第1及び第2の空気出口2210、2220に向けて導くように配置されている。この実施形態では、この空気誘導面2271は凸状で実質的にディスク状であり、従って案内面2250と形が類似し、案内面2250と整列/同心状態にある。結果として、両方のバルブ機構は、案内面2250と空気誘導面2271との間に定められた空間内に収容される。
【0057】
この実施形態では、空気入口2240とギャップ2260との間に延びる内部空気通路2270は、ファン組立体2000の本体2100から受け取った空気流の圧力を均等化してギャップ2260に、ひいては空気出口2210、2220により均等に分配するように機能するプレナムチャンバを形成する。従って、空気誘導面2271は、内部空気通路2270によって定められるプレナムチャンバの上面を形成する。
【0058】
流れベクタリングバルブは、案内面2250の下方に且つ空気誘導面2271の上方に取り付けられた単一のバルブ部材2280を備える。流れベクタリングバルブ部材2280は、第1の端部位置と第2の端部位置との間で案内面2250に対して横方向に(すなわち、並進方向に)移動するように配置される。第1の端部位置では、第1の空気出口2210は、バルブ部材2280によって最大限に閉塞され(すなわち、第1の空気出口のサイズが最小となるように、可能な限り最大に閉塞される)、第2の空気出口2220は、最大限に開口する(すなわち、第2の空気出口のサイズが最大となるように、可能な限り最大に開口する)のに対して、第2の端部位置では、第2の空気出口2220はバルブ部材2280によって最大限に閉塞され、第1の空気出口2210は最大限に開口する。バルブ部材2280がその2つの極端な位置の間で移動するとき、統合/複合空気出口のサイズ/開口面積は一定のままである。
【0059】
最小時には、第1及び/又は第2の空気出口2210、2220を完全に閉塞/閉鎖することができる。しかしながら、最小時に第1及び/又は第2の空気出口2210、2220は、少なくとも極めて小さい程度まで開口するとすることができ、そうすることによって、製造中に生じるあらゆる誤差/不正確さが、空気の通過時に付加的な異音(例えば、ホイッスリング)を誘起する可能性のある小ギャップに繋がらないようにすることができる。
【0060】
図示の実施形態では、バルブ部材2280は、バルブ部材2280が第1の端部位置にあるときに第1の空気出口2210を最大限に閉塞する第1の端部セクション2280aと、バルブ部材2280が第2の端部位置にあるときに第2の空気出口2220を最大限に閉塞する対向する第2の端部セクション2280bとを有する。バルブ部材2280の第1及び第2の端部セクション2280a、2280bの遠位縁は両方とも弧状形状であり、対応する空気出口を部分的に定めるノズル本体2230の対向面の形状と対応するようになる。詳細には、各バルブ部材の遠位縁は、ノズル本体2230の対向面の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有する。従って、バルブ部材2280の第1の端部セクション2280aは、第1の空気出口2210を閉塞するために、第1の端部位置にあるときに対向面に当接する(すなわち、接触する、又は隣接する/近接する)ことができ、これによってこの対向面が第1バルブシートを提供するのに対して、バルブ部材2280の第2の端部セクション2280bは、第2の空気出口2220を閉塞するために、第2の端部位置にあるときに対向面に当接する(すなわち、接触する、又は隣接する/近接する)ことができ、これによってこの別の対向面が第2バルブシートを提供する。更に、バルブ部材2280の第1及び第2の端部セクション2280a、2280bの遠位縁の弧状形状により、第1の端部セクション2280aの遠位縁が、第2の端部位置にあるときに案内面2250の隣接縁と略面一になり、第2の端部セクション2280bの遠位端が、第1の端部位置にあるときに案内面2250の隣接縁と略面一になる。
【0061】
流れベクタリングバルブは更に、主制御回路から受信した信号に応答して、案内面2250に対するバルブ部材2280の横方向(すなわち、並進)移動を引き起こすように配置されたバルブモータ2281を備える。そのために、バルブモータ2281は、バルブ部材2280上に設けられた直線ラック2280cと係合するピニオン2282を回転させるように配置される。この実施形態では、直線ラック2280cは、第1の端部セクション2280aと第2の端部セクション2280bとの間に延びるバルブ部材の中間セクションに設けられる。結果として、バルブモータ2281によるピニオン2282の回転は、バルブ部材2280の直線移動をもたらすことになる。
【0062】
モード切替バルブは、ノズル2200の空気送給モードを指向モードから拡散モードに変更するために配置される。指向モードでは、モード切替バルブは、ノズルから指向空気流を提供するために使用される第1及び第2の空気出口2210、2220を除く全ての空気出口を閉鎖する(すなわち、弧状スロットのペアを分離するギャップ2260の当該部分を覆う/閉塞する)。この指向モードでは、次に流れベクタリングバルブを用いて、第1及び第2の空気出口2210、2220だけによってノズル2200から放出される空気流の方向を制御する。指向モードから拡散モードに切り替わるときに、モード切替バルブは、ギャップ2260の残りの部分を開く(すなわち、弧状スロットのペアを分離するギャップ2260の当該部分を開く)。この拡散モードでは、ギャップ2260全体がノズル2200の単一の空気出口となり、これによって、より拡散した低圧の空気流を提供することができる。更に、モード切替バルブによるギャップ2260全体の開放により、ノズル2200を出る空気を案内面2250の周囲/円周全体に分配して、その全てを収束点に向けることができるように提供され、ノズル2200によって生成された合成空気流は、ノズル2200の面2231に対して実質的に垂直に導かれる。この実施形態では、ノズル2200のベース2232に対する、従ってファン組立体2000のベースに対するノズル2200の面2231の角度は、ファン組立体2000が略水平面上に配置されている場合、ノズル2200が拡散モードにあるときにファン組立体2000によって生成された合成空気流が、略上向きに導かれるようになっている。
【0063】
図示の実施形態では、モード切替バルブは、案内面2250の下方に且つ空気誘導面2271の上方に取り付けられたモード切替バルブ部材2290a、2290bのペアを備える。これらのモード切替バルブ部材2290a、2290bは、閉位置と開位置との間で案内面2250に対して横方向に(すなわち、並進的に)移動するように配置される。閉位置では、弧状スロット間(すなわち、第1及び第2の空気出口2210、2220を提供するスロット間)のギャップ2260の部分がモード切替バルブ部材2290a、2290bによって閉塞されるのに対し、開位置では、弧状スロット間のギャップ2260の部分が開口している。従って、これらのモード切替バルブ部材2290a、2290bは、弧状スロット間のギャップ2260のこれらの部分のための可動カバーであると見なすことができる。
【0064】
図示の実施形態では、モード切替バルブ部材2290a、2290bは、閉位置において、第1の空気出口2210の一端と第2の空気出口2220の隣接端との間にあるギャップ2260の正反対に配置された別個の部分をそれぞれ閉塞するように配置される。このために、モード切替バルブ部材2290a、2290bは、閉位置において、第1の空気出口2210の両端と第2の空気出口2220のその隣接端との間にそれぞれ延びるように配置される。
【0065】
モード切替バルブ部材2290a、2290bの各々は略平面状であり、この場合、バルブ部材の遠位縁は弧状の形状であり、ギャップ2260を部分的に定めるノズル本体2230の対向面の形状に対応するようになる。詳細には、各バルブ部材の遠位縁は、ノズル本体2230の対向面の曲率半径と実質的に等しい曲率半径を有する。従って、各バルブ部材2290a、2290bの遠位縁は、弧状スロット間のギャップ2260の一部を閉塞するために閉位置にあるとき、対向面(すなわち、対応するバルブシート)に当接することができる。更に、各バルブ部材2290a、2290bの遠位縁の弧状形状はまた、開位置にあるときにその遠位縁が案内面2250の隣接縁と略面一であるようにする。次に、モード切替バルブ部材2290a、2290bの各々には、バルブ部材の近位縁から延びるバルブ軸2290c、2290dが設けられる。
【0066】
モード切替バルブは更に、主制御回路から受信した信号に応答して、案内面2250に対するモード切替バルブ部材2290a、2290bの横方向(並進)移動を引き起こすように配置されたモード切替バルブモータ2291を備える。そのために、バルブモータ2291は、各バルブ軸2290c、2290d上に設けられた直線ラックと係合するピニオン2292を回転させるように配置される。結果として、バルブモータ2291によるピニオン2292の回転は、バルブ部材2290a、2290bの直線移動をもたらすことになる。この実施形態では、バルブモータ2291によるピニオン2292の回転は、1組の歯車を用いて達成され、バルブモータ2291の軸に取り付けられた駆動歯車がピニオン2292に固定された従動歯車と係合し、これによって従動歯車とピニオン2292は複合歯車を形成する。
【0067】
図11~14に示す実施形態では、モード切替バルブは更に、ノズル2200が指向モードにあるときに、それぞれ第1及び第2の空気出口2210、2220から放出される空気の流路形成を支援するように配置された2つの可動バッフル2293、2294のペアを備える。詳細には、第1の可動バッフル対2293a、2293bは、ノズル2200が指向モードにあるときに第1の空気出口2210から放出される空気の流路形成を支援するように配置されるのに対し、第2の可動バッフル対2294a、2294bは、ノズル2200が指向モードにあるときに第2の空気出口2220から放出される空気の流路形成を支援するように配置される。従って、これら2つの可動バッフル2293、2294のペアは、ノズル2200が指向モードにあるときに延伸し、ノズル2200が拡散モードにあるときには、バッフルがギャップ2260を遮るのを回避するために後退するように配置される。
【0068】
可動バッフル2293、2294のペアは、第1可動バッフル2293a、2294aと第2可動バッフル2293b、2294bとを備え、第1可動バッフル2293a、2294a及び第2可動バッフル2293b、2294bは、細長いストラット2293c,2294cの対向する端部に設けられる。各可動バッフル2293a、2293b、2294a、2294bは、略L字形の断面を有し、第1平面セクションは、バッフルが取り付けられたストラット2293c、2294cの端部から下方に延び、次に第2平面セクションは、第1平面セクションの底端部からストラット2293c、2294cの長さと平行な方向に延びる。そして、各バッフルの第1及び第2の平面セクションはまた、ストラット2293c、2294cの長さと垂直な方向に延びる。各バッフルの第1平面セクションは、第1及び第2の空気出口2210、2220の内の一方の端部を定める。この場合、各バッフルの第2平面セクションの遠位縁は弧状形状であり、ギャップ2260を部分的に定めるノズル本体2230の対向面の形状に対応するようになる。従って、各バッフルの第2平面セクションの遠位縁は、閉位置にあるときに対向面に当接することができる。そして、各バッフルの第2平面セクションは更に、隣接するモード切替バルブ部材2290a、2290bの近位縁の一部と重なるように配置され、バッフルと、隣接するモード切替バルブ部材2290a、2290bとの間で空気がノズル2200から流出する経路が確実に存在しないようになっている。
【0069】
この実施形態では、これらの可動バッフル2293、2294のペアは、ノズル2200が指向モードにあるときの延伸位置と、ノズル2200が拡散モードにあるときの後退位置との間で、案内面2250に対して横方向に(すなわち、並進的に)移動するように配置される。そのために、可動バッフル2293、2294のペアには、対応するストラット2293c、2294cの端部間の途中位置で、対応するストラット2293c、2294cから垂直に延びるアクチュエータアーム2293d、2294dが設けられる。これらのアクチュエータアーム2293d、2294dにはそれぞれ、モード切替バルブのピニオン2292と係合する直線ラックが設けられる。従って、モード切替バルブモータ2291によるピニオン2292の回転は、可動バッフル2293、2294のペアの直線移動をもたらすことになる。結果として、モード切替バルブを用いてノズル2200の空気送給モードを指向モードと拡散モードとの間で変更する場合、モード切替バルブモータ2291の起動は、ピニオン2292の回転を引き起こし、これによりモード切替バルブ部材2290a、2290bを閉位置と開位置との間で移動させ、同時にまた、可動バッフル2293、2294のペアを延伸位置と後退位置との間で移動させることになる。
【0070】
図11~14では、ノズル2200を指向モードで示され、モード切替バルブ部材2290a、2290bが閉位置にあり、両可動バッフル2293、2294のペアが延伸位置にある。従って、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220との間にあるギャップ2260の部分は、モード切替バルブ部材2290a、2290bによって閉塞され、可動バッフル2293、2294のペアの第1平面セクションは第1及び第2の空気出口2210、2220の対向する端部を定め、案内面2500を越えて収束点に向かう空気の流路形成を支援するようになっている。
【0071】
ノズル2200を拡散モードに切り替えるために、モード切替バルブモータ2291を起動させてピニオン2292の回転を引き起こし、これによりモード切替バルブ部材2290a、2290bを閉位置から開位置に移動させることになる。開位置では、モード切替バルブ部材2290a、2290bは、案内面2250と空気誘導面2271との間に定められた空間内に後退するので、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220との間にあるギャップ2260の部分をもはや遮ることはない。同時に、ピニオン2292のこの回転はまた、可動バッフル2293、2294のペアを延伸位置から後退位置に移動させることになる。後退位置では、可動バッフル2293、2294のペアは、案内面2250と空気誘導面2271との間に定められた空間内に後退するので、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220との間にあるギャップ2260の部分をもはや遮ることはない。好ましくは、ノズル2200を指向モードから拡散モードに切り替えるときに、流れベクタリングバルブモータ2281も起動させてピニオン2282の回転を引き起こすようにし、これにより、流れベクタリングバルブ部材2280を、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220の大きさが等しくなる中央位置に移動させることになる。この設定では、ギャップ2260全体がノズル2200の単一の空気出口となり、これによって、より拡散した低圧の空気流を提供する。
【0072】
図11~14に示す実施形態では、ノズル2200はまた、ノズル2200の円形面上の弧状スロットのペアの位置を変えることができるように配置される。具体的には、案内面2250の中心軸線(YY)に対する弧状スロットのペアの角度位置は可変である。従って、ノズル2200は、案内面2250の中心軸線(YY)の周りで弧状スロットのペアの回転移動を引き起こすように配置された出口回転モータ2272を更に備える。そのために、出口回転モータ2272は、空気誘導面2271に接続された弧状ラック2274と係合するピニオン2273の回転を引き起こすように配置される。この場合、空気誘導面2271はノズル本体2230内に回転自在に取り付けられ、流れベクタリングバルブ機構及びモード切替バルブ機構は、空気誘導面2271によって支持される。従って、出口回転モータ2272によるピニオン2273の回転は、ノズル本体2230内での空気誘導面2271の回転移動をもたらし、これにより、案内面2250の中心軸線(YY)の周りに流れベクタリングバルブとモード切替バルブ両方の回転を引き起こすことになる。第1及び第2の空気出口2210、2220を形成する弧状スロットのペアが、モード切替バルブ部材2290a、2290bで閉塞されないギャップ2260の部分によって定められることを考えると、モード切替バルブの回転は、案内面2250の中心軸線(YY)に対する弧状スロットのペアの角度位置の変化をもたらす。
【0073】
ここで
図15a~15cを参照すると、これらは、ノズル2200が指向モードにある場合に、ノズル2200の統合的な指向モード空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口2210のサイズを第2の空気出口2220のサイズに対して変化させることによって達成できる、3つの可能性のある合成空気流を示している。
【0074】
図15aにおいて、流れベクタリングバルブは、流れベクタリングバルブ部材2280が中央位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口2210と第2の空気出口2220はサイズが等しいので、第1の空気出口2210及び第2の空気出口2220から等量の空気流が放出される。第1及び第2の空気出口2210、2220は、案内面2250の中心軸線(YY)と整列する収束点に向けて配向される。
図15aの事例のように2つの空気流が同じ強度を有する場合、合成空気流は、矢印AAで示すように、ノズル2200の面2231から前方に(すなわち、面2231に対して実質的に垂直に)導かれることになる。
【0075】
図15bでは、流れベクタリングバルブは、流れベクタリングバルブ部材2280が第1の端部位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口2210が最大限に閉塞され、第2の空気出口2220が最大限に開口している。これは、ノズル2200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第2の空気出口2220を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面2250の上方を流れるように導かれるが、第1の空気出口2210から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、矢印BBで示すようにその流れ進路を進み続けることになる。
【0076】
図15cでは、流れベクタリングバルブは、流れベクタリングバルブ部材2280が第2の端部位置にある状態に配置され、この位置では、第2の空気出口2220が最大限に閉塞され、第1の空気出口2210が最大限に開口している。これは、ノズル2200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第1の空気出口2210を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面2250の上方を流れるように導かれるが、第2の空気出口2220から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、矢印CCで示すようにその流れ進路を進み続けることになる。
【0077】
図15a、15b及び15cの実施例は、単に代表的なものに過ぎず、実際には一部の極端な場合を表していることは容易に理解されるであろう。制御回路を利用して、流れベクタリングバルブ部材2280に接続された流れベクタリングバルブモータ2281を制御することにより、多種多様な合成空気流を実現することが可能である。出口回転モータ2272を制御して第1及び第2の空気出口2210、2220の角度位置を調整することによって、合成空気流の方向を更に変化させることができる。
【0078】
次に、
図16、17a及び17bは、ファン組立体用ノズル3200の第2の実施形態の断面図を示す。この第2の実施形態では、ノズル3200は、上述のものとほぼ同じファン本体での使用に適しており、従って、ファン本体は、更なる図示も説明もしてない。しかしながら、切頭球状の形状を有するのではなく、この更なる実施形態のノズル3200は、形状が略円筒状なので、ノズル3200の構造が相違し、またノズル3200内に設けられる流れベクタリングバルブも相違する。
【0079】
この実施形態では、ノズル3200は、ファン組立体の本体から空気流を受け取るための空気入口3240を提供する開口下端を有する。ノズル3200は、ノズル3200の外壁の外面が、ファン本体に取り付けられたときの外縁に収束するように配置される。
【0080】
ノズル3200は、ノズル本体、外側ケーシング又はハウジング3230を備え、ノズル本体はノズルの最外面を定め、従ってノズル3200の外部形状又は外形を定める。図示の実施形態では、ノズル3200のノズル本体/外側ケーシング3230は、直円筒の全体的形状を有し、従って、円形面3231と円形ベース3232とを有する。ノズル本体3230のベース3232に対するノズル本体3230の面3231の角度は固定されている。図示の実施形態では、この角度が0度なので、円形面3231と円形ベース3232は略平行である。
【0081】
次に、ノズル3200は、ノズル本体3230の円形面3231の開口部内に同心円状に配置された固定の外部案内面3250を更に備え、この外部案内面3250を開口部内に少なくとも部分的に露出させて、ノズル本体3230の一部が案内面3250の周囲に延びるようになっている。従って、外部案内面3250は、外向きである(すなわち、ノズルの中心から離れる方向を向く)。
【0082】
図示の実施形態では、この案内面3250は凸状で実質的にディスク状であるが、代替の実施形態では、案内面3250は平坦又は部分的にだけ凸状とすることができる。次に、ノズル本体3230の内方に湾曲した上側部分3230aは、案内面3250の円周部分3250aに重なる/突出している。そして、凸状案内面の最も外側の中央部分3250bは、ノズル本体3230の開口円形面3231の最外点に対してオフセットされる。詳細には、ノズル本体3230の開口円形面3231の最外点は、案内面の最外部3250bの前方にある。
【0083】
案内面3250の円周部分3250aとノズル本体3230の対向する部分とは、組み合わされてこれらの間に略環状のギャップを定め、この場合、このギャップ3260の正反対に配置された2つの部分は、ノズル3200の第1及び第2の空気出口3210、3220を提供する合同の円弧状スロットのペアを形成する。従って、案内面3250は、第1及び第2の空気出口3210、3220の間の領域にわたる中間面を提供する。言い換えれば、案内面3250は、第1及び第2の空気出口3210、3220を隔てる空間にわたって延びる中間面を形成する。この実施形態では、弧状スロットのペアを分離するギャップの部分は、それぞれ固定カバーによって閉塞される(図示せず)。従って、第1の実施形態のノズル2200とは対照的に、この第2の実施形態のノズル3200は単一の指向モードだけを有し、別個の拡散モードを持たない。
【0084】
図示の実施形態では、第1及び第2の空気出口3210、3220を提供する弧状スロットのペアは各々、約60度の円弧角度(すなわち、円形面3231の中心で弧によって限定される角度)を有するが、これらは各々、20~110度、好ましくは45~90度、より好ましくは60~80度の何れかの円弧角度を有することができる。
【0085】
第1及び第2の空気出口3210、3220はほぼ同じサイズであり、組み合わされて球状ノズル3200の統合又は複合空気出口を形成する。第1の空気出口3210と第2の空気出口3220は、案内面3250の対向する側部に位置し、それぞれの空気出口に隣接する案内面3250の一部分上へ案内面3250の中央軸線(YY)と整列する収束点に向けて放出される空気流を導くように配向される。この場合、第1の空気出口3210、第2の空気出口3220及び案内面3250は、放出される空気流がそれぞれの空気出口に隣接する案内面3250の一部分上に導かれるように配置される。詳細には、空気出口3210、3220は、空気出口3210、3220に隣接する案内面3250の部分と実質的に平行な方向に空気流を放出するように配置される。この場合、案内面3250の凸形状は、第1及び第2の空気出口3210、3220から放出された空気流が収束点に接近するにつれて案内面3250から離れて、これらの空気流は、案内面3250からの干渉なしに収束点及び/又はその周辺で衝突することができるようになっている。放出された空気流が衝突すると、2つの対向する空気流が衝突するときに形成される合成噴流又は複合空気流を安定させる上で助けとなる剥離バブルが形成される。
【0086】
この実施形態では、ノズル本体3230は、ノズル3200の円筒形状とノズル3200の単一の内部空気通路3270とを定める外壁3233を備える。外壁3233はまた、ノズル3200の円形面3231上の円形開口部と、ノズル本体3230の円形ベース3232上の円形開口部とを定める。外壁3233の下側円形開口部は、フファン本体から空気流を受け取るための空気入口3240を提供する。ノズル本体3230はまた、案内面3250の中心軸線に向かって内方に湾曲する上側部分3230aを備える。
【0087】
次いで、案内面3250は、内壁3233の上側円形開口部と同心円状に配置され、内壁3233の上側円形開口部の中心軸線に沿って内壁3233の上側円形開口部に対してオフセットされるので、結果として、内壁3233と案内面3250の隣接部分との間の空間によってギャップが定められる。
【0088】
次に、流れベクタリングバルブが案内面3250の下方に配置される。流れベクタリングバルブは、ノズル3200の統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口3210のサイズを第2の空気出口3220のサイズに対して調整することによって、空気入口から第1及び第2の空気出口3210、3220への空気流を制御するように配置される。
【0089】
流れベクタリングバルブは、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282とを備え、これらは、ノズル3200の統合空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口3281のサイズを第2の空気出口3282のサイズに対して調整するように協働する。そのために、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282は、同時に移動するように接続される。従って、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282は各々、第1の端部位置と第2の端部位置との間で、ノズル本体3230及び案内面3250の両方に対して枢動可能であるように配置される。第1の端部位置では、第1の空気出口3210が、バルブ部材3281によって最大限に閉塞される(すなわち、第1の空気出口のサイズが最小となるように、可能な限り最大に閉塞される)一方で、第2の空気出口3220は、最大限に開口する(すなわち、第2の空気出口のサイズが最大となるように、可能な限り最大に開口する)。第2の端部位置では、第2の空気出口3220が第2のバルブ部材3282によって最大限に閉塞されるのに対して、第1の空気出口3210は最大限に開口する。
【0090】
最小時には、第1及び/又は第2の空気出口3210、3220を完全に閉塞/閉鎖することができる。しかしながら、最小時に第1及び/又は第2の空気出口3210、3220は、少なくとも極めて小さ程度まで開口するとすることができ、そうすることによって、製造中に生じるあらゆる誤差/不正確さが、空気の通過時に付加的な異音(例えば、ホイッスリング)を誘起する可能性のある小ギャップに繋がらないようにすることができる。
【0091】
この実施形態では、第1のバルブ部材3281は、第1の空気出口3210に隣接する位置で案内面3250の下方に枢動可能に取り付けられ、第2のバルブ部材3282は、第2の空気出口3220に隣接する位置で案内面3250の下方に枢動可能に取り付けられている。この場合、第1のバルブ部材3281は、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3283が同時に枢動するように、カプラー3283によって第2のバルブ部材3282に接続される。従って、案内面3250、第1のバルブ部材3281、第2のバルブ部材3282、及びカプラー3283は、平面四節リンク機構、具体的には平行四辺形四節リンク機構を形成する。従って、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282は、それぞれリンク部分3281a、3282aを備え、リンク部分の第1の端部がヒンジによってカプラー3283に接続され、リンク部分の第2の端部が別のヒンジによって案内面3250の裏面に接続される。その結果、第1及び第2のバルブ部材3281、3282のこれらのリンク部分は、四節リンク機構のクランクとして機能する。
【0092】
次いで、第1のバルブ部材3281は、第1のバルブ部材3281が第1の端部位置にあるときに第1の空気出口3210を最大限に閉塞するように配置された第1のバルブアーム3281bを更に備え、第2のバルブ部材3282は、第2のバルブ部材3282が第2の端部位置にあるときに第2の空気出口3220を最大限に閉塞するように配置された第2のアーム3282bを更に備える。第1のバルブアーム3281bは、第1のバルブ部材3281から第1の空気出口3210内に延び、第2のバルブアーム3282bは、第2のバルブ部材3282から第2の空気出口3220内に延びる。詳細には、第1のバルブアーム3281bは、第1のバルブ部材3281のリンク部分3281aの第1の端部から延び、第2のバルブアーム3282bは、第2のバルブ部材3282のリンク部分3282aの第1の端部から延びる。
【0093】
流れベクタリングバルブは更に、カプラー3283に接続されたロッド3284を備え、ロッド3284の移動が第1のバルブ部材3281及び第2のバルブ部材3282の同時移動を引き起こすようになっている。この実施形態では、ロッド3284は、案内面3250の中心を通ってノズル3200の外へ延び、ロッド3284の外側部分3284aがユーザ操作可能なハンドルを提供するように配置され、ロッド3284の内側部分3284bは、カプラー3283に枢動可能に接続されている。次に、ロッド3284の外側部分3284aと、ロッド3284のカプラー3283に対する枢動接続部との間で、ロッド3284はまた、案内面2050の直ぐ下に枢動可能に接続される。
【0094】
次いで、ノズル3200は、第1のバルブ部材3281と第2のバルブ部材3282との間に配置された内部空気誘導面/方向転換面3271を更に備え、この内部空気誘導面は、単一の空気入口通路3270から/単一の空気入口通路3270内で受け取った空気流を第1及び第2の空気出口3210、3220に向けて誘導するように配置される。この実施形態では、この空気誘導面3271は凸状で実質的にディスク状であり、カプラー3283の下面に取り付けられる。従って、この空気誘導面3271は、カプラー3283と共に移動し、第1のバルブ部材3281及び第2のバルブ部材3282の位置に関係なく、常に第1のバルブ部材3281及び第2のバルブ部材3282の最後端部間に配置される。更に、単一の内部空気通路3270に面する第1のバルブアーム3281b及び第2のバルブアーム3282bの各表面はまた、単一の内部空気通路3270から/内で受け取った空気流を、それぞれ第1及び第2の空気出口3210、3220に向けて導くように配置される。詳細には、これら第1のバルブアーム3281b及び第2のバルブアーム3282bの各空気誘導面は、空気誘導面3271とほぼ連続するように配置される。
【0095】
この実施形態では、空気入口3240と第1及び第2の空気出口3210、3220との間に延びる内部空気通路2270は、ファン本体から受け取った空気流の圧力を均等化して第1及び第2の空気出口3210、3220により均等に分配するように機能するプレナムチャンバを形成する。従って、空気誘導面3271は、内部空気通路3270によって定められるプレナムチャンバの上面を形成する。
【0096】
図17a及び17bは、ノズル2200が指向モードにある場合に、ノズル3200の統合的な空気出口のサイズを一定に保ちながら、第1の空気出口3210のサイズを第2の空気出口3220のサイズに対して変化させることによって達成できる、2つの可能性のある合成空気流を示している。
【0097】
図17aにおいて、流れベクタリングバルブは、第1及び第2のバルブ部材3281、3282が中央位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口3210と第2の空気出口3220はサイズが等しいので、第1の空気出口3210及び第2の空気出口3220から等量の空気流が放出される。第1及び第2の空気出口3210、3220は、案内面3250の中心軸線(YY)と整列する収束点に向けて配向される。
図17aの事例のように2つの空気流が同じ強度を有する場合、合成空気流は、矢印AAAで示すように、ノズル3200の面3231から前方に(すなわち、面3231に対して実質的に垂直に)導かれることになる。
【0098】
図17bでは、流れベクタリングバルブは、第1及び第2のバルブ部材3281、3282が第1の端部位置にある状態に配置され、この位置では、第1の空気出口3210が最大限に閉塞され、第2の空気出口2220が最大限に開口している。これは、ノズル3200に入る空気流の全てではないにしても、大部分が第2の空気出口3200を通って放出されることを意味する。空気流は、通常通り案内面3250の上方を流れるように導かれるが、第1の空気出口3210から放出される何れかの有意な空気流とも衝突しないので、矢印BBで示すようにその流れ進路を進み続けることになる。
【0099】
図17a及び17bの実施例は、単に代表的なものに過ぎず、実際には一部の極端な場合を表していると容易に理解されるであろう。流れベクタリングバルブ部材3281、3282に接続されたロッド3284のユーザ操作可能なハンドル部分を利用することにより、多種多様な合成空気流を実現することが可能である。
【0100】
図18は、第2の実施形態の流れベクタリングバルブに対して、代替の実施形態の流れベクタリングバルブを示す。第2の実施形態の流れベクタリングバルブは、連結された枢動バルブ部材のペアを含むが、この代替の実施形態の流れベクタリングバルブは、単一の枢動バルブ部材3280を使用する。従って、
図18の実施形態において、流れベクタリングバルブは、案内面3250の中心軸(YY)の直ぐ後ろに枢動可能に取り付けられた単一のバルブ部材3280を含む。バルブ部材3280は、後部空気誘導面3280aと、バルブ部材本体の前面から延び且つ案内面3250の後方にバルブ部材3280を枢動可能に接続する中央ヒンジアーム3280bと、第1及び第2の空気出口3210、3220それぞれに向かって延びる対向するバルブアーム3280c、3280dのペアとを有するバルブ部材本体を備える。使用時には、バルブ部材3280は、第1のバルブアーム3280cが第1の空気出口3210内に移動してこれを閉鎖/閉塞するように第1の方向に枢動することができ、第2のバルブアーム3280dが第2の空気出口3220内に移動してこれを閉鎖/閉塞するように、第1の方向とは反対の第2の方向に枢動することができる。この実施形態では、滑らかな凸状の後部空気誘導面を有するのではなく、バルブ部材3280の後部空気誘導面3280aは、単一の内部空気通路3270内の空気流を第1及び第2の空気出口3210、3220に向けて導く又は偏向させるより先鋭な形状を有する。次に、第1及び第2のバルブアーム3280c、3280dは、好ましくは、誘導面3280aの対向する側部から延びて、誘導面3280aと連続している。
【0101】
上述の個々の項目を単独で、或いは図面に示した又は明細書に記載した他の項目と組み合わされて使用できること、並びに、互いに同じ節に又は互いに同じ図面に記載した項目を互いに組み合わせて使用する必要はないことが理解されるであろう。更に、「手段」という表現は、任意選択的にアクチュエータ又はシステム又はデバイスに置き換えることができる。加えて、「を備える」又は「から構成される」という言及によって、いかなる意味でも限定を意図するものではなく、読者は適宜に本明細書及び特許請求の範囲を解釈すべきである。
【0102】
更に、上述のように好ましい実施形態に関して本発明を記述してきたが、これらの実施形態は例示的なものに過ぎないことを理解されたい。当業者は、本開示の見地から変更形態及び代替形態を作成することができ、これらは添付の特許請求の範囲に入ると想定される。例えば、上述の発明が自立式ファン組立体だけでなく、他のタイプの環境制御ファン組立体にも等しく適用できる可能性があることを当業者は理解しよう。例として、このようなファン組立体は、自立式ファン組立体、天井取付け型又は壁取付け型のファン組立体、及び車載ファン組立体の何れでもよい。
【0103】
別の例として、上述の流れベクタリングバルブの各々は、ノズルの実施形態間で置き換えることできる。詳細には、第1の実施形態に関連して記載したような単一の直線移動バルブ部材は、第2の実施形態においても使用することができる。第2の実施形態に関連して記載したような単一の枢動バルブ部材又は連結された枢動バルブ部材のペアは、第1のノズルの実施形態においても使用することができる。
【0104】
加えて、第1の実施形態では、第1及び第2の指向モード空気出口間のギャップの部分は可動カバーによって閉塞されるが、第2の実施形態の場合と同様に、固定カバーによって等しく閉塞することができるので、この場合、第1の実施形態のノズルは、単一の指向モードの空気送給だけを有することになる。逆に、第2の実施形態の固定カバーは、第2の実施形態に関連して記載したような可動カバーに置き換えることができ、これによって、第2の実施形態のノズルに、指向型と拡散型の空気送給モードの両方を提供する。
【0105】
この二重モード構成は、ノズルが清浄空気を供給するように構成されたファン組立体での使用を意図する場合に特に有用であり、このようなファン組立体のユーザが、指向モードで提供されるより高圧で集束した空気流によって作り出される冷却効果なしで、ファン組立体から清浄空気を引き続き受けたいと望む場合があることによる。例えば、これは、温度が低すぎて指向モード空気流で提供される冷却効果を利用できないとユーザが考える冬季の場合である。このような状況では、ユーザは、ユーザインタフェースを操作することによって空気送給モードを制御することができる。この場合、これらのユーザ入力に応じて、主制御回路はモード切替バルブ部材を閉位置から開位置に移動させるので、ギャップ全体がノズルの単一の空気出口となり、これによって、より拡散した低圧の空気流を提供する。更に、好ましい実施形態では、ノズルのベースに対する、従ってファン組立体のベースに対するノズルの面の角度は、ファン組立体が略水平面上に配置されている場合、ノズルが拡散モードにあるときにファン組立体によって生成された合成空気流が、略上向きに導かれるようになっている。従って、これらの実施形態はまた、拡散モードの空気流が間接的にユーザに送給されることを提供し、これにより空気流によって作り出される冷却効果を更に減少させる。
【0106】
更に、上述した実施形態のノズル及び出口は、異なった形状を有することができる。例えば、第1及び第2の空気出口を提供するスロットは、円弧の一般的な形状を有するのではなく、それぞれ非円形の楕円弧とすることができる。同様に、第1の実施形態のノズルは、球体の全体的形状を有するのではなく、非球体の楕円体又は回転楕円体の全体的形状を有することができる。第1の実施形態のノズルもまた、直円筒の全体的形状を有するのではなく、楕円筒の全体的形状を有することができる。そしてまた、ノズルの面も形状が異なるとすることができる。詳細には、ノズルの面は円形ではなくて、非円形の楕円形とすることができる。
【0107】
加えて、上述の実施形態では、空気は、第1及び第2の空気出口を分離するギャップの部分を閉塞する固定又は可動カバーによって、これらの部分から流出するのが阻止されるが、代替の実施形態では、単一の内部空気通路は、ギャップのこれらの部分に空気流が到達しないような形状にすることができる。詳細には、単一の内部空気通路は、第1の空気出口を提供する湾曲スロットの端部と第2の空気出口を提供する湾曲スロットの隣接端部と略平行で、これらの間に延びる側壁を備えることができる。従って、単一の内部空気通路は、空気出口の端部を越えて延びず、ただ単に、一方の空気出口の遠位湾曲側面/縁から他方の空気出口の遠位湾曲側面/縁まで、及び中間/案内面の対応する部分の下に延びているだけである。単一の内部空気通路は、依然として、ノズルの空気入口を通して受け取る空気流のためのプレナム領域を提供するが、これを空気出口の下方及びこれらの間の領域に制限する。
【0108】
更に、上述の実施形態の幾つかは、1又は2以上のバルブ部材の移動を駆動するためにバルブモータを利用するが、本明細書に記載したノズルの全ては、代わりに、バルブ部材(複数可)の移動を駆動するために手動機構を含むことができ、この場合、ユーザによる力の付与がバルブ部材(複数可)の移動に変換されることになる。例えばこれは、回転可能なダイヤル又はホイール、或いは摺動可能なダイヤル又はスイッチの形態をとることができ、ユーザによるダイヤルの回転又は摺動がピニオンの回転を引き起こす。