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特許7161557環境に優しいポリウレタンフォーム形成用組成物及びポリウレタンフォームの製造方法
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  • 特許-環境に優しいポリウレタンフォーム形成用組成物及びポリウレタンフォームの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】環境に優しいポリウレタンフォーム形成用組成物及びポリウレタンフォームの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20221019BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20221019BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221019BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20221019BHJP
【FI】
C08G18/00 F
C08G18/10
C08G18/48 083
C08G101:00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021041545
(22)【出願日】2021-03-15
(62)【分割の表示】P 2019570826の分割
【原出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2021098865
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0079066
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0080477
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0080497
(32)【優先日】2017-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン,クワンソク
(72)【発明者】
【氏名】ユ,スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,フン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヒョクミン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソプ
【審査官】岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/060259(WO,A1)
【文献】特表2017-501281(JP,A)
【文献】特表2015-533906(JP,A)
【文献】特開2016-047911(JP,A)
【文献】特公昭41-016198(JP,B1)
【文献】特開2013-142128(JP,A)
【文献】国際公開第2011/098272(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00
C08G 18/10
C08G 18/48
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水糖アルコール-アルキレングリコールを含有するポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造される第1のイソシアネートプレポリマー;及び
無水糖アルコール-アルキレングリコール以外のバイオポリオールを含有するポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造される第2のイソシアネートプレポリマー;
を含み、
前記第1のイソシアネートプレポリマーの含量が、第1のイソシアネートプレポリマー及び第2のイソシアネートプレポリマーの総量100重量部に対して、1~99重量部である、イソシアネートプレポリマー組成物。
【請求項2】
第1成分としてポリオールプリミックス組成物;及び第2成分としてポリイソシアネートを含み、
前記ポリイソシアネートが、請求項に記載のイソシアネートプレポリマー組成物を含む、2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物。
【請求項3】
ポリオールプリミックス組成物が、ポリオール、触媒、界面活性剤及び発泡剤を含む請求項に記載の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物。
【請求項4】
触媒が、有機金属触媒、アミン触媒又はこれらの組み合わせからなる群から選ばれるものである、請求項に記載の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物。
【請求項5】
触媒が、有機スズ触媒、3級アミン触媒又はこれらの組み合わせからなる群から選ばれるものである、請求項に記載の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物。
【請求項6】
界面活性剤が、シリコーン系界面活性剤である請求項に記載の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物。
【請求項7】
発泡剤が、水、塩化メチレン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル、アセトン、二酸化炭素又はこれらの組み合わせからなる群から選ばれる請求項に記載の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物。
【請求項8】
第1成分又は第2成分が、難燃剤、着色剤、UV安定化剤、増粘剤、フォーム安定化剤、充填剤又はこれらの組み合わせからなる群から選ばれる補助添加剤をさらに含む請求項に記載の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物。
【請求項9】
第1成分としてポリオールプリミックス組成物と第2成分としてポリイソシアネートとを混合して反応させる工程を含み、
前記ポリイソシアネートが、請求項に記載のイソシアネートプレポリマー組成物を含むポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項10】
第1成分としてポリオールプリミックス組成物と第2成分としてポリイソシアネートとを混合して反応させて製造されるポリウレタンフォームであって、
前記ポリイソシアネートが、請求項に記載のイソシアネートプレポリマー組成物を含むポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された貯蔵安定性、通気性及び酸化防止特性を有する環境に優しいポリウレタンフォーム形成用組成物及びポリウレタンフォームの製造方法に関し、より具体的には、バイオポリオールを含むポリオール成分とポリイソシアネートとを反応させることにより製造されたイソシアネートプレポリマー及びそれを1つの成分として含むことにより、貯蔵安定性、通気性及び酸化防止特性が改善された環境に優しいポリウレタンフォーム形成用組成物、それを用いてポリウレタンフォームを製造する方法及びそれにより製造された環境に優しいポリウレタンフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンの必須成分であるポリオールとイソシアネートは通常石油系原料から製造される。特に、ポリエーテルポリオールとポリエステルポリオールが最も一般的なポリオールであり、トルエンジイソアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)が最も一般的なイソシアネートとして知られている。これらのポリオールとイソシアネートは、ポリウレタン及び製造される製造物の特性に大きな影響を与える。これらの用途は、表面コーティング用材料、接着、成形及び宇宙航空、自動車、電子、建設、家具、グリーンエネルギー及びスポーツ用品など、様々な産業で見られている。例えば、ポリオールとイソシアネートは2液型で使用でき、プレポリマーは1液型で使用でき、それらは使用目的に応じて様々な性状と特性を有することができる。
【0003】
一方、石油資源の枯渇の加速化、気候変動による温室効果ガス削減の需要、原料価格の上昇、再生可能な原料の必要性の増加など、様々な理由から、ウレタン分野では石油系原料から製造されるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなど、ポリオール分野とイソシアネート分野で環境に優しい成分で既存の石油系原料を部分的に又は完全に代替する方案が求められている。
【0004】
ポリオールは、植物性天然油脂、セルロース、リグニンなど再生可能なバイオマスから生産することができ、植物性天然油脂に由来するバイオポリオールはすでに商業規模で生産されている。生産されたバイオポリオールの物性は、製造に使用されたバイオマスの種類に依存する。一般に、軟質及び硬質ポリウレタンと、合成用ポリオールの製造にはヒマシ油、ヤシ油などが使用され、軟質ポリウレタンのポリオールの製造には大豆油が使用される。しかし、現在製造されているバイオマスに基づくバイオポリオールは粘度が高いという欠点がある。
【0005】
バイオマスを用いたジイソシアネートの製造に関する研究はほとんど行われていない。産業用として使用されるイソシアネートは、TDIなどの芳香族であるが、植物性油脂に基づくイソシアネートは本質的に脂肪族化合物である。ポリウレタンフォームを形成するためには非常に高い反応性が求められるが、脂肪族ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネートよりも反応性が低いという欠点がある。適用に関しては、脂肪族ジイソシアネートを活用したポリウレタンがコーティングに主に使用されている。これらの欠点を克服するために、バイオポリオールとイソシアネートとを合成することによりバイオイソシアネートプレポリマーを製造し、これをポリウレタンフォーム製造時に1つの成分として使用するポリウレタンフォームの製造方法が開発された。しかし、この製造方法を使用すると、バイオポリオールの粘度が高すぎて工程安定性が低下し、イソシアネートプレポリマー製造後の結晶の析出が貯蔵安定性の問題を引き起こすことが確認された。
【0006】
また、特許文献1には、バイオマス資源から製造されたバイオポリオール及びジイソシアネートを含む低密度ウレタンフォーム組成物が開示されている。しかし、この組成物から製造されたポリウレタンフォームは、酸化により黄変が発生しやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国 公開特許公報 第10-2015-0123583号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含むポリオール成分とポリイソシアネートとを反応させることにより製造されたイソシアネートプレポリマー及びそれを1つの成分として含むことによって、貯蔵安定性、通気性及び酸化防止特性が改善された環境に優しいポリウレタンフォーム形成用組成物、それを用いてポリウレタンフォームを製造する方法及びそのように製造された環境に優しいポリウレタンフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の技術的課題を達成するために、本発明の第1側面では、本発明は、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含むポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造され、前記無水糖アルコール-アルキレングリコールの含量が、ポリオール総量100重量部に対して、1~100重量部である、イソシアネートプレポリマーが提供される。
【0010】
また、本発明の第2側面では、本発明は、無水糖アルコール-アルキレングリコールとポリイソシアネート化合物との反応から製造されるイソシアネートプレポリマーが提供される。
【0011】
また、本発明の第3側面では、本発明は、無水糖アルコール-アルキレングリコール;乳酸化合物又はカプロラクトン化合物;及びポリイソシアネート化合物;の反応から製造されるイソシアネートプレポリマーが提供される。
【0012】
また、本発明の第4側面では、本発明は、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含有するポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造される第1のイソシアネートプレポリマー;及び無水糖-アルキレングリコール以外のバイオポリオールを含有するポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造される第2のイソシアネートプレポリマー;を含むイソシアネートプレポリマー組成物が提供される。
【0013】
また、本発明の第5側面では、本発明は、第1成分としてポリオールプリミックス組成物;及び第2成分としてポリイソシアネートを含み、前記ポリイソシアネートが、本発明によるイソシアネートプレポリマー又はイソシアネートプレポリマー組成物を含む、2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物が提供される。
【0014】
また、本発明の第6側面では、本発明は、第1成分としてポリオールプリミックス組成物と第2成分としてポリイソシアネートとを混合して反応させる工程を含み、前記ポリイソシアネートが、本発明によるイソシアネートプレポリマー又はイソシアネートプレポリマー組成物を含む、ポリウレタンフォームの製造方法が提供される。
【0015】
また、本発明の第7側面では、本発明は、1成分としてポリオールプリミックス組成物と第2成分としてポリイソシアネートとを混合して反応させることにより製造されるポリウレタンフォームであって、前記ポリイソシアネートが、本発明によるイソシアネートプレポリマー又はイソシアネートプレポリマー組成物を含む、ポリウレタンフォームが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明のイソシアネートプレポリマーは、バイオポリオール及びポリイソシアネートを主原料とする環境に優しい特性を実現できるだけでなく、様々な分野に適用可能なポリウレタンフォームの原料として好適な利点を有する。本発明のイソシアネートプレポリマーを含む本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物は、バイオポリオールに起因する粘度の増加を防ぎ、長期間貯蔵中の間にイソシアネートプレポリマーからの固体の析出を防ぐことができ、従って、高い貯蔵安定性、工程安定性及び生産性を適用し、通気性と酸化防止特性が改善するため、様々な分野に適用できる環境に優しいポリウレタンフォームを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の比較例3B-1と実施例3B-1で製造されたポリウレタン試片の内部セル構造の走査電子顕微鏡写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のイソシアネートプレポリマーは、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含むポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造され、前記無水糖アルコール-アルキレングリコールの含量が、ポリオール総量100重量部に対して、1~100重量部、好ましくは1~99重量部、より好ましくは5~70重量部、さらに好ましくは5~50重量部、さらにより好ましくは30~50重量部であってもよい。無水糖アルコール-アルキレングリコールの含量が、ポリオール総量100重量部に対して、1重量部未満のとき、室温での貯蔵中にイソシアネートプレポリマーから固体が析出する可能性があり、その結果、貯蔵安定性が低下し、このイソシアネートプレポリマーを用いてポリウレタンフォームを製造する場合、フォームの発泡が不可能になる可能性があり、ポリウレタンフォームの諸物性(硬度、引張強度、伸率及び酸化防止特性など)が低下する可能性がある。
本発明で使用される無水糖アルコールは、天産物に由来する水素化糖から製造される。
【0019】
水素化糖(「糖アルコール」とも呼ばれる)は、糖類の還元性末端基に水素を加えることによって得られる化合物を意味し、一般にHOCH(CHOH)nCHOH(nは2~5の整数)の一般式を有し、持って、炭素数に応じてテトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。
【0020】
これらのうち、炭素数6のヘキシトールにはソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれてソルビトール及びマンニトールは特に有用な物質である。
【0021】
無水糖アルコールは、分子内に2つのヒドロキシル基を有するジオール形態を有し、デンプンに由来するヘキシトールを使用して製造することができる。無水糖アルコールは、再生可能な天然資源に由来する環境に優しい物質であるという点で長い間研究されてきた。これらの無水糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドが、現在最も広い産業的応用を有している。
【0022】
無水糖アルコールの使用は、心臓及び血管疾患の治療、パッチの接着剤、口腔清浄剤などの薬剤、化粧品産業で組成物の溶媒、及び食品産業の乳化剤など非常に多様である。また、ポリエステル、PET、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂など高分子物質のガラス転移温度を上げ、これらの物質の強度を改善することができ、天然物由来の環境に優しい素材であるため、バイオプラスチックなどのプラスチック産業でも非常に有用である。さらに、接着剤、環境に優しい可塑剤、生分解性高分子、水溶性ラッカーの環境に優しい溶媒として使用できることが知られている。このように、無水糖アルコールは、様々な適用方法により多くの関心を集めており、実際の産業での使用も徐々に増加している。
【0023】
本発明において、無水糖アルコールとしては、ヘキシトールの脱水物であるジアンヒドロヘキシトール、より好ましくはイソソルビド(1,4-3,6-ジアンヒドロソルビトール)、イソマンニド(1,4-3,6-ジアンヒドロマンニトール)、イソイジド(1,4-3,6-ジアンヒドロイジトール)又はそれらの混合物から選ばれたものを使用することができ、最も好ましくはイソソルビドが使用される。
【0024】
本発明で使用される無水糖アルコール-アルキレングリコールは、無水糖アルコールの両末端又は片末端(好ましくは両末端)でヒドロキシ基とアルキレンオキシドを反応させて得られる付加物である。
【0025】
一実施形態において、前記アルキレンオキシドは、炭素数2~8の直鎖状又は炭素数3~8の分枝状アルキレンオキシド、より具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はそれらの組み合わせであってもよい。
一実施形態において、前記無水糖アルコール-アルキレングリコールは、下記式(1)
【0026】
【化1】
【0027】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数2~8の直鎖状又は炭素数3~8の分枝状アルキレン基を表し、m及びnは、それぞれ独立して、0~15の整数を表し、m+nは、1~30の整数を表す。)で示される化合物であってもよい。
より好ましくは、前記式(1)において、
【0028】
及びRは、それぞれ独立して、エチレン基、プロピレン基又はイソプロピレン基を表し、好ましくは、R及びRは互いに同じであり、m及びnは、それぞれ独立して、1~14の整数を表し、m+nは、2~15の整数を表す。
【0029】
一実施形態において、前記無水糖アルコール-アルキレングリコールとしては、下記のイソソルビド-プロピレングリコール、イソソルビド-エチレングリコール又はそれらの混合物を使用することができる。
【0030】
【化2】
【0031】
式中、a及びbは、それぞれ独立して、0~15の整数、好ましくは1~14の整数を表し、a+bは、1~30の整数、より好ましくは2~15の整数であってもよい。
【0032】
【化3】
【0033】
式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~15の整数、好ましくは1~14の整数を表し、
c+dは、1~30の整数、より好ましくは2~15の整数であってもよい。
【0034】
本発明のイソシアネートプレポリマーの製造に使用されるポリオール成分は、前記無水糖アルコール-アルキレングリコール以外のバイオポリオールを含んでもよく、前記バイオポリオール含量は、ポリオール総量100重量部に対して、1~99重量部、より好ましくは30~95重量部、さらに好ましくは50~95重量部、さらにより好ましくは50~70重量部であってもよい。バイオポリオールの含量が、ポリオール総量100重量部に対して、1重量部未満のとき、イソシアネートプレポリマーのバイオ含量が減少し、環境に優しい改善効果が僅かである可能性がある。
【0035】
本発明で使用される無水糖アルコール-アルキレングリコール以外のバイオポリオールはダイマー酸系バイオポリオール(例えば、Croda社製のpriplast 3192、3162、3172、2033、1837、1838、3238、1839、3196、3187、3186、3286、3188、3190等)又はヒマシ油系バイオポリオール(例えば、Cargill社製のBiOH 2100、2828、5000、5100、5300、5450、2300、2828等、又はMitsui Chemicals & SKC polyurethanes社製のB-1350、B-1500、EBT-509等)等であるが、これらに制限されない。
【0036】
本発明のイソシアネートプレポリマーを製造するために、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含むポリオール(好ましくは、無水糖アルコール-アルキレングリコール、及び無水糖アルコール-アルキレングリコール以外のバイオポリオールを含むポリオール混合物)と反応させるポリイソシアネート化合物としてはポリウレタンフォームの製造に使用できるものであれば特に制限なく使用されることができる。従って、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、複素環式ポリイソシアネート又はそれらの組み合わせから選ばれるポリイソシアネートを使用することができ、また、未修飾ポリイソシアネート又は修飾ポリイソシアネートを使用してもよい。
【0037】
具体的には、前記ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1-12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2-4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ポリジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート又はそれらの組み合わせからなる群から選ばれていてもよい。一実施形態において、ポリイソシアネートとしては、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートが混合されたトルエンジイソシアネート(2,4-/2,6-異性体比=80/20)が使用され得る。
【0038】
本発明において、使用されるイソシアネートの量は、好ましくはイソシアネート指数(NCO指数)において70~130の量、特に好ましくは80~120の量、さらにより好ましくは100~120の量である。イソシアネート指数は、ポリオールに存在するヒドロキシ基の当量数とウレタン反応物中のイソシアネートの当量数の比であり、理論上の当量に対する使用されたイソシアネートの量を意味する。イソシアネート指数が100未満の場合、過量のポリオールが存在することを意味し、イソシアネート指数が100を超える場合、過量のイソシアネートが存在するということを意味する。イソシアネート指数が70未満のとき、反応性が悪いためゲル化反応が遅れるという問題があり、イソシアネート指数が130を超えると、ハードセグメントが大きくなり過ぎて収縮が発生するという問題がある。
【0039】
本発明の他の態様では、本発明は、無水糖アルコール-アルキレングリコールとポリイソシアネート化合物との反応から製造されるイソシアネートプレポリマーを提供する。
イソシアネートプレポリマーにおいて、前記無水糖アルコール-アルキレングリコール及びポリイソシアネート化合物は前述したものと同じである。
【0040】
本発明の他の態様では、本発明は、無水糖アルコール-アルキレングリコール;乳酸化合物又はカプロラクトン化合物;及びポリイソシアネート化合物;の反応から製造されるイソシアネートプレポリマーを提供する。
イソシアネートプレポリマーにおいて、前記無水糖アルコール-アルキレングリコール及びポリイソシアネート化合物は前述したものと同じである。
前記無水糖アルコール-アルキレングリコール及びポリイソシアネート化合物の説明は前記と同じである。
【0041】
本発明のイソシアネートプレポリマーを製造するために使用される乳酸化合物としては、乳酸、乳酸オリゴマー又はラクチド(L-ラクチド、D-ラクチド、又はD,L-ラクチド)等が使用でき、カプロラクトン化合物としてはε-カプロラクトンなどを使用してもよいが、これらに限定されない。
【0042】
また、特に限定されないが、本発明のイソシアネートプレポリマーを製造では、まず、前記乳酸化合物又はカプロラクトン化合物と無水糖アルコール-アルキレングリコールとを反応させて、無水糖アルコール-アルキレングリコール由来の乳酸誘導体又は無水糖アルコール-アルキレングリコール由来のカプロ乳酸誘導体を製造した後、これをポリイソシアネート化合物と反応させて本発明のイソシアネートプレポリマーを製造することができる。
【0043】
無水糖アルコール-アルキレングリコール由来乳酸誘導体又は無水糖アルコール-アルキレングリコール由来カプロ乳酸誘導体を製造する場合、無水糖アルコール-アルキレングリコールと乳酸化合物又はカプロラクトン化合物との反応モル比は1:2~1:20であるが、それに限定されない。前記反応モル比で反応が進むと、前記誘導体の両末端に-OHが残存するため、乳酸化合物又はカプロラクトン化合物中の原料由来バイオマス含量が増加するため、環境に優しい改善されたジオール形態の乳酸誘導体又はカプロ乳酸誘導体の製造が可能になる。
【0044】
最初に無水糖アルコール-アルキレングリコールと、乳酸化合物又はカプロラクトン化合物とを反応させて、無水糖アルコール-アルキレングリコール由来乳酸誘導体又は無水糖アルコール-アルキレングリコール由来カプロ乳酸誘導体を製造する場合、有機金属触媒、好ましくは有機スズ触媒(例えば、オクタン酸第1スズ)を前記製造反応に使用してもよいが、それに限定されなく、有機金属触媒の含量は、反応混合物の総量の0.001重量%~0.01重量%又は0.001重量%~0.005重量%であるが、特に限定されない。
【0045】
本発明の別の態様では、本発明は、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含むポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造される第1のイソシアネートプレポリマー;及び無水糖-アルキレングリコール以外のバイオポリオールを含むポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造される第2のイソシアネートプレポリマー;を含むイソシアネートプレポリマー組成物を提供する。
【0046】
本発明のイソシアネートプレポリマー組成物において、前記第1のイソシアネートプレポリマーの含量は、第1のイソシアネートプレポリマー及び第2のイソシアネートプレポリマーの総量100重量部に対して、1~99重量部、より好ましくは5~70重量部、さらに好ましくは5~50重量部、さらにより好ましくは30~50重量部であってもよい。第1のイソシアネートプレポリマー含量が、第1のイソシアネートプレポリマー及び第2のイソシアネートプレポリマーの総量100重量部に対して、1重量部未満のとき、室温での貯蔵中に固体がイソシアネートプレポリマー組成物から析出されることがあり、貯蔵安定性が悪く、これを使用してポリウレタンフォームを製造すると、フォームの発泡が不可能になり、ポリウレタンフォームの諸物性(硬度、引張強度、伸率及び酸化防止特性など)が悪化する可能性がある。前記第1のイソシアネートプレポリマーの含量が99重量部を超えると、イソシアネートプレポリマー中のバイオマス由来原料の含量が減少し、環境への配慮の改善効果が僅かである可能性がある。
【0047】
イソシアネートプレポリマー組成物において、無水糖アルコール-アルキレングリコール、バイオポリオール、及びポリイソシアネートは前述したものと同じである。
【0048】
本発明の別の態様では、第1成分としてポリオールプリミックス組成物;及び第2成分としてポリイソシアネート;を含み、前記ポリイソシアネートが前述のイソシアネートプレポリマー又はイソシアネートプレポリマー組成物を含む、2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物を提供する。
【0049】
本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物に、第1成分として含まれるポリオールプリミックス組成物は、ポリオール、触媒、界面活性剤及び発泡剤を含む。
【0050】
本発明のポリオールプリミックス組成物に含まれるポリオールは、2以上(好ましくは2~4個)の平均活性水素数及び600~7,000の活性水素当量を有する、ポリウレタンフォームの製造に一般的に使用されるポリオールを含むことができる。より具体的には、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、前記ポリオールとビニル化合物とを重合して得られるポリマーポリオール、及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれたものを使用することができる。一実施形態によれば、ポリエーテルポリオール、又はポリエーテルポリオールとビニル化合物を重合することにより得られるポリエーテルポリマーポリオールが好ましく使用することができる。
【0051】
前記ポリオールは、単独で又は組み合わせて使用することができ、好ましくは、ポリマーポリオールを使用して、軟質ポリウレタンフォームの物性を制御することができる。例えば、ポリエーテルポリマーポリオールは、ポリビニルフィラーをポリエーテルポリオールにグラフトすることにより、安定な懸濁液の形態で得ることができる。ポリマーポリオールの製造に使用可能なビニル化合物には、アクリロニトリル、スチレンモノマー、メチルメタクリロニトリルなどが挙げられる。好ましくは、アクリロニトリルが単独で又はスチレンモノマーとの混合物で使用され得る。ポリマーポリオール中のビニル化合物の含量は、20~50重量%であってもよい。
本発明のポリオールプリミックス組成物に含まれる触媒として、有機金属触媒、アミン触媒又はそれらの組み合わせを使用することができる。
【0052】
ポリウレタンフォームの製造に一般的に使用される有機金属触媒を使用してもよい。例えば、有機スズ触媒(より具体的に、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)又はスズビス[2-エチルヘキサノエート])を使用してもよいが、これに限定されない。
【0053】
本発明で使用されるアミン触媒は、第1成分のポリオールと第2成分のイソシアネートプレポリマーとの間の反応を促進するのに役立つ。本発明において、アミン触媒の種類は特に限定されないが、第3級アミン触媒を1種又は2種以上の混合物の形態で使用することが好ましく、より具体的には、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン又はそれらの組み合わせからなる群から選ばれるものを使用してもよい。
【0054】
本発明のポリオールプリミックス組成物において、前記ポリオール100重量部に対して、前記有機金属触媒及びアミン触媒のそれぞれは、0.01~5重量部、より好ましくは0.1~2.5重量部で独立して含まれてもよい。それらの触媒の量が少なすぎると、反応が遅れ、硬化不良又はフォーム形成中の脱落を引き起こす可能性がある。反対に、量が多すぎると、反応が早すぎるか、収縮が起こる可能性がある。
【0055】
本発明で使用される界面活性剤は、セルがポリウレタンフォームの内部に形成されるときに、得られるセルが合体又は破壊されるのを防ぎ、均一な形状及びサイズを有するセルの形成を調整するのに役立つ。本発明において、界面活性剤は、ポリウレタンフォームの製造において従来から使用されているものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、シリコーン系界面活性剤を一般的に使用することができる。前記シリコーン系界面
活性剤は、シリコーンオイル及びその誘導体から選ばれる1種以上であってもよく、具体的には、ポリアルキレンオキシドメチルシロキサン共重合体であってもよい。
【0056】
本発明のポリオールプリミックス組成物において、前記ポリオール100重量部に対して、界面活性剤が0.01~5重量部、より好ましくは0.1~2重量部で含まれてもよい。界面活性剤の量が少なすぎると、フォームの形成が不均一になるという問題がある。反対に、界面活性剤の量が多すぎると、フォームの収縮が起こる可能性がある。
【0057】
本発明で使用される発泡剤としては、要求される発泡体の各種物性などを考慮して、従来軟質ポリウレタンフォームの製造に使用されている公知の発泡剤を適宜選択して使用することができる。本発明において、このような発泡剤としては、代表的に水を使用することができ、さらに、塩化メチレン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル、アセトン、二酸化炭素又はそれらの組み合わせを使用してもよい。これらの発泡剤は、既知の使用方法、必要な密度及びフォームの他の特性に従って適切に使用することができる。
【0058】
本発明のポリオールプリミックス組成物中の発泡剤の量は特に制限されないが、例えば、前記ポリオール100重量部に対して、発泡剤が0.1~30重量部、より具体的には0.5~25重量部を使用することができるが、これに限定されない。本発明の一実施形態によれば、ポリオール100重量部に基づく発泡剤として、0.8~5.0重量部の水単独、又はこれと0.1~18重量部の塩化メチレンの混合物が使用することができる。
【0059】
本発明のポリウレタンフォームを形成するための二成分型組成物に含まれる第2成分であるポリイソシアネートは、前述したイソシアネートプレポリマー又はイソシアネートプレポリマー組成物と、その他のポリイソシアネート化合物を含んでもよく、これはイソシアネートプレポリマーの製造に使用される前述したポリイソシアネート化合物と同じであってもよい。
【0060】
本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物に含まれる第1成分又は第2成分は、前記成分に加えて、難燃剤、着色剤、UV安定化剤、増粘剤、フォーム安定化剤、充填剤又はそれらの組み合わせからなる群から選ばれる補助添加剤をさらに含んでもよい。
【0061】
本発明のポリウレタンフォームを形成するための2成分型組成物において、前記第1成分及び第2成分は接触せずに個々に存在してもよく、使用直前又は現場で(in situ)混
合してもよい。
【0062】
本発明の別の態様において、第1成分でとしてポリオールプリミックス組成物と第2成分としてポリイソシアネートとを混合して反応させる工程を含み、前記ポリイソシアネートが、前記イソシアネートプレポリマー又はイソシアネートプレポリマー組成物を含む、ポリウレタンフォームの製造方法、及びそのようにして製造されるポリウレタンフォーム、例えば、軟質ポリウレタンフォームを提供する。
【0063】
前記ポリウレタンフォームの製造において、本発明の第1成分としてポリオールプリミックス組成物に、第2成分としてポリイソシアネートを加えて撹拌し、次いで混合物を型に加えて硬化及び発泡を進めることによって、ポリウレタンフォームを製造することができる。
【0064】
ポリウレタンフォームの製造に使用される装置又は条件(温度、時間など)には特に制限はなく、一般的に採用されている装置又は条件は、そのまま又は適切に修正して、使用することができる。
【0065】
一実施形態において、ポリウレタンフォームは、ウレタン発泡反応の熱により高温で、好ましくは100℃~180℃、又は120℃~180℃、より好ましくは160℃~180℃で硬化してもよいが、これに限定されない。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明する。しかし、それによって本発明の範囲がいかなる方法でも限定されない。
【実施例
【0066】
I.無水糖アルコール-アルキレングリコールを含むポリオールとポリイソシアネート化合物との反応から製造されるイソシアネートプレポリマー及び2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物の製造
<イソシアネートプレポリマーの製造>
【0067】
実施例1A-1
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 1838、Croda社製、分子量:2,000、バイオマスの含量:83重量%)とイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)を50:50の重量比で混合したポリオール混合物100重量部と、ポリイソシアネートとしてTDI368重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月間保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0068】
実施例1A-2
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 3196、Croda社製、分子量:3,000、バイオマス含量82重量%)とイソソルビドのエチレンオキシド10モル付加物(商品名:IC102、IC chemical社製、分子量:578.05)を60:40の重量比で混合したポリオール混合物100重量部と、ポリイソシアネートとしてTDI321重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で、反応を70℃で1.5時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月間保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0069】
実施例1A-3
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 3238、Croda社製、分子量3,000、バイオマス含量100重量%)とイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物(商品名:IC59、IC chemical社製、分子量:432.37)を50:50の重量比で混合したポリオール混合物100重量部と、ポリイソシアネートとしてTDI480重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で、反応を60℃で2時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0070】
実施例1A-4
ヒマシ油系の3官能性バイオポリオール(商品名:EBT-509、Mitsui chemicals
& SKC polyurethanes製、分子量:2,500)とイソソルビドのプロピレンオキシド8モル付加物(商品名:IC89、IC chemical社製、分子量618.52)を70:30の重量比で混合したポリオール混合物100重量部と、ポリイソシアネートと
してMDI618重量部を使用して、NCO含量を28に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0071】
実施例1A-5
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 1838、Croda社製、分子量:2,000、バイオマス含量:83重量%)100重量部とポリイソシアネートとしてMDI575重量部を使用して、NCO含量を28に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第1のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0072】
また、イソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)100重量部とポリイソシアネートとしてMDI911重量部を使用して、NCO含量を28に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第2のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0073】
その後、前記製造された第1のイソシアネートプレポリマーと第2のイソシアネートプレポリマーを50:50の重量比で混合してイソシアネートプレポリマー組成物を製造した。前記イソシアネートプレポリマー組成物を30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0074】
実施例1A-6
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 3196,C
roda社製、分子量:3,000、バイオマス含量82重量%)100重量部とポリイソシアネートとしてMDI581重量部を使用して、NCO含量を28に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第1のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0075】
また、イソソルビドのエチレンオキシド10モル付加物(商品名:IC102,IC
chemical社製、分子量:578.05)100重量部とポリイソシアネートとしてMDI802重量部を使用して、NCO含量を28に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第2のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0076】
その後、前記製造された第1のイソシアネートプレポリマーと第2のイソシアネートプレポリマーを50:50の重量比で混合してイソシアネートプレポリマー組成物を製造した。前記イソシアネートプレポリマー組成物を30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0077】
実施例1A-7
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast1838、Croda社製、分子量:2,000、バイオマス含量83重量%)100重量部とポリイソシアネートとしてTDI4134重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第1のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0078】
また、イソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)100重量部と、ポリイソシアネートとしてTDI597重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第2のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0079】
その後、前記製造された第1のイソシアネートプレポリマーと第2のイソシアネートプレポリマーを99:1の重量比で混合してイソシアネートプレポリマー混合物を製造した。前記イソシアネートプレポリマー混合物を30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0080】
実施例1A-8
イソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)100重量部と、ポリイソシアネートとしてMDI911重量部を使用して、NCO含量を28に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。前記製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0081】
比較例1A-1
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 1838,C
roda社製、分子量2,000、バイオマス含量83重量%)100重量部とポリイソシアネートとしてTDI296重量部を利用してNCO含量を35に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。前記製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0082】
比較例1A-2
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 3238,C
roda社製、分子量:3,000、バイオマス含量100重量%)100重量部とポリイソシアネートとしてTDI286重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。前記製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0083】
比較例1A-3
ヒマシ油系の三官能性バイオポリオール(商品名:EBT-509、Mitsui chemicals
& SKC polyurethanes製、分子量:2,500)100重量部と、ポリイソシアネートとしてMDI563重量部を使用して、NCO含量を28に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、イソシアネートプレポリマーを製造した。前記製造されたイソシアネートプレポリマーを30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0084】
比較例1A-4
ダイマー酸系の二官能性バイオポリオール(商品名:Priplast 3196,C
roda社製、分子量:3,000、バイオマス含量82重量%)100重量部と、ポリイソシアネートとしてTDI399重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第1のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0085】
また、イソソルビドのエチレンオキシド10モル付加物(商品名:IC102、IC chemical社製、分子量:578.05)100重量部と、ポリイソシアネートとしてTDI375重量部を使用して、NCO含量を35に調整する条件下で反応を60℃で2時間行って、第2のイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0086】
その後、前記製造された第1のイソシアネートプレポリマー及び第2のイソシアネート
プレポリマーを99.5:0.5の重量比で混合してイソシアネートプレポリマー組成物を製造した。前記イソシアネートプレポリマー組成物を30mLバイアル瓶に移し、25℃のオーブンで1カ月保管した後、白色固体が析出したかどうかを確認した。その結果を下記表1に示した。
【0087】
【表1】
【0088】
-前記バイオポリオール、イソソルビド-アルキレングリコール及びイソシアネートの含量は、製造されたイソシアネートプレポリマー総量又はイソシアネートプレポリマー混
合物の総量の含量を意味する。
【0089】
上記表1に示すように、実施例1A-1~1A-8の場合、バイオポリオール100重量部に対して、イソソルビド-アルキレングリコールの含量を1重量部~100重量部とすることにより、イソソルビド-アルキレングリコールがイソシアネートプレポリマー中の安定化剤として機能した。従って、室温で長期間(1カ月)貯蔵した後でも、イソシアネートプレポリマーの固体析出が観察されなかった。
【0090】
しかし、イソソルビド-アルキレングリコールが使用されなかった比較例1A-1~1A-3の場合、イソソルビドプレポリマー中に安定化されるイソソルビド-アルキレングリコールがないため、室温で貯蔵した場合、イソシアネートプレポリマーの固体析出は、1日後、2日後、又は5日後に観察された。また、比較例1A-4の場合、バイオポリオール100重量部に対して、イソソルビド-アルキレングリコールの含量が1重量部未満で使用されているため、貯蔵安定性の改善は見られず、5日後に固体析出が観察された。前記比較例1A-1~1A-4のイソシアネートプレポリマーの場合、固体が析出し、ポリウレタンフォームを製造するためのイソシアネート成分として使用することができなかった。
【0091】
<ポリウレタンフォームの製造>
実施例1B-1~1B-10及び比較例1B-1~1B-6
下記表2及び表3に示す成分及び含量比に従って、ポリオール、触媒、界面活性剤及び発泡剤を混合し、3000rpmの撹拌速度で1~3分間十分に混合して、本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物の第1成分であるポリオールプリミックス組成物を製造した。
【0092】
製造されたポリオールプリミックス組成物に第2成分としてポリイソシアネート成分を添加した後、3000rpmの撹拌速度で7~10秒間撹拌して、本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物を製造した。
【0093】
250mm×250mmの正方形の箱型にポリエチレンフィルムを敷き、その上に前記製造されたポリウレタンフォーム形成用組成物を注いだ。このとき、時計を利用してクリームタイム(cream time)、ライズタイム(rise time)及びゲルタイム(gel time)を
測定するために、秒時計を使用して反応時間を測定及び記録し、ヘルスバブルが発生したかを観察した。ポリウレタンフォームの硬化反応熱はロッド温度計により確認され、そこから硬化反応熱は120℃であることを確認した。その後、製造されたフォーム試片の物性を以下の評価方法により測定した。その結果をそれぞれ下記表2及び表3に示した。
【0094】
(使用成分)
1)ポリオール
TF-3000:無水糖アルコール以外のポリオール、活性水素当量3,000で、水酸基値が54~58の3官能性ポリエーテルポリオール(Mitsui chemicals & SKC polyurethanes社製、TF-3000製品)
2)アミン系触媒
L-33:アミン系触媒、67重量%濃度のトリエチレンジアミン/ジプロピレングリコール溶液(Tosoh Corporation社製のTEDA L-33)
3)有機金属触媒
DBTDL:有機金属触媒、ジブチルスズジラウレート(Sigma Aldrich社製)
4)シリコーン界面活性剤
L-580K:ポリアルキレンオクシードメチルシロキサン共重合体、モメンティブサのナイアクス L-580K
5)発泡剤

6)ポリイソシアネート成分
(1)T80(比較例)
トルエンジイソシアネート(TDI)(2,4-/2,6-異性体比=80:20)、韓国バスプ社製のLupranate T-80製品
(2)MDI:4,4-メチレンジイソシアネート(韓国バスプ社製のLupranate ME製品)
(3)実施例1A-1:実施例1A-1で製造されたイソシアネートプレポリマー
(4)実施例1A-2:実施例1A-2で製造されたイソシアネートプレポリマー
(5)実施例1A-5:実施例1A-5で製造されたイソシアネートプレポリマー
(6)実施例1A-6:実施例1A-6で製造されたイソシアネートプレポリマー
(7)実施例1A-7:実施例1A-7で製造されたイソシアネートプレポリマー
(8)実施例1A-8:実施例1A-8で製造されたイソシアネートプレポリマー
(9)比較例1A-1:比較例1A-1で製造されたイソシアネートプレポリマー
(10)比較例1A-2:比較例1A-2で製造されたイソシアネートプレポリマー
(11)比較例1A-3:比較例1A-3で製造されたイソシアネートプレポリマー
(12)比較例1A-4:比較例1A-4で製造されたイソシアネートプレポリマー
7)架橋剤
エチレングリコール(Sigma Aldrich製)
下記表2及び表3に記載されている物性の説明は以下の通りである。
【0095】
-クリームタイム(秒):ポリウレタンフォーム原液を混合してから、原液が膨潤し始める時間を示し、最適な反応性を見つける部分であるため、バランスを見つけることが重要である。クリームタイムは早くしたり、遅くしたりすることは重要ではないが、クリームタイムが長いと不規則な泡の形成(又はセルの形成)が発生する可能性があるため、クリームタイムが短い方が好ましい。クリームタイムが長くなるほどフォームの形成(又はセルの形成)が不規則になり得るため、短いクリームタイムが良いが、但し、クリームタイムが短すぎると混合が不十分になる可能性があるため、適当なクリームタイム(例えば、7秒~14秒)が求められる。
【0096】
-ライズタイム(秒):ポリウレタンフォーム原液が混合してから、原液が最大膨潤に達するまでの時間を示す。ライズタイムは、最適な反応性を見つける部分であり、ゲル化と発泡のバランスを取ることが重要であり、そのため、ライズタイムが早い遅いという理由だけで、良いか悪いかを言うのは難しい。ライズタイムが早い場合、フォームが崩壊(通常、原液の比率が正しくないか、原料の混合が不十分であることから、発泡されたフォームが硬化される前に崩壊される現象)し、ライズタイムが遅すぎると、発泡中のゲル化(発泡の停止)により発泡が不可能になることがある。従って、適切なライズタイム(例えば、108秒~124秒)が求められる。ライズタイムの「測定不可」は、組成物(原液)が膨潤せずに、フォームが形成されないことを意味する。
-ヘルスバブル:最大に膨潤した直後にフォームの表面に出てくる破裂する小さな気泡を示し、ヘルスバブル存在は、フォームの発泡が正しいことを意味する。
-フォーム状態:
【0097】
1)良好:フォームが発泡(膨潤)し、ゲル化により外観に崩壊、クラック(フォームの形成又はフォームの形成後の外部条件によるフォーム内部が亀裂する現象)又は収縮(フォーム内に閉じ込められたガスが冷却により元のサイズに減少する現象)がない状態を意味する。
2)不良:フォームが発泡している間に気泡が破裂するため、フォームが形成されない状態を意味する。
-成形密度:ASTM D 1621に基づいて測定した。
-硬度:KS M 6672に基づいて測定した。
-引張強度:KS M 6518に基づいて測定した。
-伸率:KS M 6518に基づいて測定した。
-YI値:ASTM E313-96に基づいて測定した。YI値が低いほど、黄変現象が低くなり、酸化防止特性が改善されることを意味する。
【0098】
【表2】
【0099】
比較例1B-1~1B-4のポリウレタンフォーム試片は、イソシアネート成分として石油系イソシアネートであるTDIを使用するイソシアネートプレポリマー(比較例1B
-1)、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含まないか、または無水糖-アルキレングリコール1重量部未満を含むバイオポリオールとTDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマー(比較例1B-2~1B-4)を使用して、発泡させたポリウレタンフォーム試片である。実施例1B-1~1B-5のポリウレタンフォーム試片は、イソシアネート成分として無水糖アルコール-アルキレングリコールを1重量部以上含むバイオポリオールとTDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーのみを使用(実施例1B-2、1B-4及び1B-5)し、又はイソシアネートプレポリマーとTDIの混合物を使用(実施例1B-1及び1B-3)して、発泡させたポリウレタンフォーム試片である。
【0100】
イソシアネート成分として石油系イソシアネートであるTDIを使用した比較例1B-1の場合、ポリウレタンフォームの発泡状態及び物性が良好であったが、高いYI値のため、黄変が発生し、酸化防止特性が劣っていた。また、石油系イソシアネートのみを使用していたため、環境に優しい特性が劣っていた。
【0101】
また、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含まないバイオポリオールとTDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーをイソシアネート成分として使用した比較例1B-2及び1B-3の場合、及び無水糖アルコール-アルキレングリコールを1重量部未満のバイオポリオールとTDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーをイソシアネート成分として使用した比較例1B-4の場合、原料由来のバイオマス含量が高くいため、環境に優しい特性が高くなった。しかし、イソシアネートプレポリマーの貯蔵中に固体が析出するため(つまり、貯蔵安定性が悪い)、これらを使用して製造されたポリウレタンフォームは発泡状態が悪いだけでなく、フォーム形成が不可能になり、硬度、引張強度及び伸率を測定することができなくなり、高いYI値で黄変が発生しため、酸化防止特性が劣っていた。
【0102】
しかし、1重量部以上の無水糖アルコール-アルキレングリコールを含むバイオポリオールとTDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーをイソシアネート成分として使用した実施例1B-2、1B-4及び1B-5の場合、環境に優しい特性に優れ、ポリウレタンフォームの状態及び物性が良好であり、YI値が下げることにより黄変が低減され、これにより酸化防止特性が改善されたことを確認できた。また、無水糖アルコール-アルキレングリコールを1重量部以上含むバイオポリオールとTDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーとTDIの混合物をイソシアネート成分として使用した実施例1B-1及び1B-3の場合にも、環境に優しい特性に優れ、ポリウレタンフォームの状態及び物性に優れていた。YI値が下げることにより黄変が低減され、これにより酸化防止特性が改善されたことを確認することができた。
【0103】
【表3】
【0104】
比較例1B-5及び1B-6のポリウレタンフォーム試片は、イソシアネート成分として石油系イソシアネートであるMDIを使用して(比較例1B-5)、又は無水糖アルコール-アルキレングリコールを含まないバイオポリオールとMDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマー使用して(比較例1B-6)、発泡させたポリウレタンフォーム試片である。実施例1B-6~1B-10のポリウレタンフォーム試片は、イソシアネート成分として無水糖アルコール-アルキレングリコールを1重量部以上含むバイオポリオールとMDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーのみ使用して(実施例1B-7、1B-9及び1B-10)、又はイソシアネートプレポリマーとMDIを混合使用して(実施例1B-6及び1B-8)、発泡させたポリウレタンフォーム試片である。
【0105】
石油系イソシアネートであるMDIをイソシアネート成分として使用した比較例1B-5の場合、ポリウレタンフォームの発泡状態及び物性が良好であったが、高いYI値のために黄変が発生し、酸化防止特性が不十分であった。また、石油系イソシアネートのみを使用していたため、環境に優しい特性が劣っていた。
【0106】
また、無水糖アルコール-アルキレングリコールを含まないバイオポリオールとMDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーをイソシアネート成分として使用し
た比較例1B-6の場合、原料由来のバイオマス含量が高く、環境に優しい特性が優れていた。しかし、イソシアネートプレポリマーの貯蔵中に固体が析出するため(つまり、貯蔵安定性が悪い)、これを使用して製造されたポリウレタンフォームは発泡状態が悪いだけでなく、フォーム形成が不可能になり、引張強度及び伸率を測定することができず、高いYI値で黄変が発生したため、酸化防止特性が劣っていた。
【0107】
しかし、無水糖アルコール-アルキレングリコールを1重量部以上含むバイオポリオールとMDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーをイソシアネート成分として使用した実施例1B-7、1B-9及び1B-10の場合、環境に優しい特性に優れ、ポリウレタンフォームの発泡状態及び物性が良好なだけでなく、YI値を下げることにより黄変が低減され、これにより酸化防止特性が改善されたことを確認することができた。また、無水糖アルコール-アルキレングリコールを1重量部以上含むバイオポリオールとMDIを反応させて製造されたイソシアネートプレポリマーとMDIの混合物をイソシアネート成分として使用した実施例1B-6及び1B-8の場合にも、環境に優しい特性に優れ、ポリウレタンフォームの発泡状態及び物性が良好なだけでなく、YI値を下げることにより黄変が低減され、これにより酸化防止特性が改善されたことを確認することができた。
【0108】
II.無水糖アルコール-アルキレングリコールとポリイソシアネート化合物の反応から製造されるイソシアネートプレポリマーと2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物の製造
<イソシアネートプレポリマーの製造>
実施例2A-1
1000mLの4口反応器に、機械式撹拌機、コンデンサー、窒素パージ装置及び内部温度を調節するマントルを設け、TDI重量を測定し、内部温度を45℃に維持した。次に、真空オーブンで十分な水分を除去したイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)をドロップパネルにより滴下した(このとき、発熱によって内部温度が50℃を超えないように滴下した)。滴下終了後、内部温度を60℃に上げ、2時間反応させて、イソシアネートプレポリマーを製造した。
【0109】
実施例2A-2
イソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)の代わりに、イソソルビドのエチレンオキシド10モル付加物(商品名:IC102、IC chemical社製、分子量:578.05)を使用したこと以外は、実施例2A-1と同じ方法でイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0110】
実施例2A-3
イソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)の代わりに、イソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物(商品名:IC59、IC chemical社製、分子量:432.37)を使用したこと以外は、実施例2A-1と同じ方法でイソシアネートプレポリマーを製造した。
【0111】
実施例2A-4
イソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製、分子量:365.47)の代わりに、イソソルビドのプロピレンオキシド8モル付加物(商品名:IC89、IC chemical社製、分子量618.52)を使用したこと以外は、実施例2A-1と同じ方法でイソシアネートプレポリマーを製造し
た。
【0112】
<ポリウレタンフォームの製造>
実施例2B-1~2B-4及び比較例2B-1
下記表4に示す成分及び含量比に従い、ポリオール、触媒、界面活性剤及び発泡剤を混合し、3000rpmの撹拌速度で1~3分間十分に混合して、本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物の第1成分であるポリオールプリミックス組成物を製造した。
【0113】
製造されたポリオールプリミックス組成物に第2成分としてポリイソシアネート成分を添加した後、3000rpmの撹拌速度で7~10秒間撹拌して、本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物を製造した。
【0114】
250mm×250mmの正方形である箱型にポリエチレンフィルムを敷き、その上に前記製造されたポリウレタンフォーム形成用組成物を注いだ。このとき、時計を使用してクリームタイム、ライズタイム及びゲルタイムを測定及び記録し、ヘルスバブルを観察した。ポリウレタンフォームの硬化反応熱はロッド温度計で確認し、120℃であることを確認した。そして、製造されたフォーム試片の物性を以下の評価方法により測定した。前記観察及び物性測定結果は、下記表4にそれぞれ示した。
【0115】
(使用成分)
1)ポリオール
PPG-3022:活性水素当量3,000及び水酸基値54~58mgKOH/gを有する3官能性ポリエーテルポリオール、錦湖石油化学社製のPPG-3022
2)アミン系触媒
L-33:67重量%濃度のトリエチレンジアミン/ジプロピレングリコール溶液、Tosoh Corporation社製のTEDA L-33
A-1:70重量%濃度のビス-(20ジメチルアミノエチル)エーテル/プロピレングリコール溶液、Momentive社製のNiax Catalyst A-1
3)有機金属触媒
DBTDL:有機金属触媒、Sigma Aldrich社製のDBTDL
4)シリコーン界面活性剤
L-580K:ポリアルキレンオクシードメチルシロキサン共重合体、Momentive社製
のNiax L-580K
5)発泡剤

6)ポリイソシアネート成分
(1)T-80(比較例)
トルエンジイソシアネート(TDI)(2,4-/2,6-異性体比=80:20)、韓国バスプ社製のLupranate T-80製品
(2)SYC-T1:実施例2A-1で製造されたイソシアネートプレポリマー
(3)SYC-T2:実施例2A-2で製造されたイソシアネートプレポリマー
(4)SYC-T3:実施例2A-3で製造されたイソシアネートプレポリマー
(5)SYC-T4:実施例2A-4で製造されたイソシアネートプレポリマー
【0116】
【表4】
前記表4に記載されている物性の説明は以下の通りである。
【0117】
-クリームタイム(秒):ポリウレタンフォーム原液を混合してから、原液が膨潤し始める時間を示し、最適な反応性を見つける部分であるため、バランスを見つけることが重要である。クリームタイムは早くしたり、遅くしたりすることは重要ではないが、クリームタイムが長いと不規則な泡の形成(又はセルの形成)が発生する可能性があるため、クリームタイムが短い方が好ましい。クリームタイムが長くなるほどフォームの形成(又はセルの形成)が不規則になり得るため、短いクリームタイムが良いが、但し、クリームタイムが短すぎると混合が不十分になる可能性があるため、適当なクリームタイム(例えば、7秒~14秒)が求められる。
【0118】
-ライズタイム(秒):ポリウレタンフォーム原液が混合してから、原液が最大膨潤に達するまでの時間を示す。ライズタイムは、最適な反応性を見つける部分であり、ゲル化と発泡のバランスを取ることが重要であり、そのため、ライズタイムが早い遅いという理由だけで、良いか悪いかを言うのは難しい。ライズタイムが早い場合、フォームが崩壊(通常、原液の比率が正しくないか、原料の混合が不十分であることから、発泡されたフォームが硬化される前に崩壊される現象)し、ライズタイムが遅すぎると、発泡中のゲル化(発泡の停止)により発泡が不可能になることがある。従って、適切なライズタイム(例えば、108秒~124秒)が求められる。ライズタイムの「測定不可」は、組成物(原液)が膨潤せずに、フォームが形成されないことを意味する。
【0119】
-ゲルタイム:ポリウレタン原液が混合されてから、原液が軽い衝撃に耐えることができるゲル強度を持ち、安定した空間形状を持つまでの時間、具体的には、木製の箸などで反応中のフォームを刺したときに、少なくとも3つ又は4つのウレタン繊維が出てくる時間を意味する。
-ヘルスバブル:最大に膨潤した直後にフォームの表面に出てくる破裂する小さな気泡を示し、ヘルスバブル存在は、フォームの発泡が正しいことを意味する。
-フォーム状態:
1)良好:フォームが発泡(膨潤)し、ゲル化により外観に崩壊、クラック(フォームの形成又はフォームの形成後の外部条件によるフォーム内部が亀裂する現象)又は収縮(フォーム内に閉じ込められたガスが冷却により元のサイズに減少する現象)がない状態を意味する。
2)不良:フォームが発泡している間に気泡が破裂するため、フォームが形成されない状態を意味する。
-成形密度:ASTM D 1621に基づいて測定した。
-硬度:KS M 6672に基づいて測定した。
-引張強度:KS M 6518に基づいて測定した。
-伸率:KS M 6518に基づいて測定した。
-YI値:ASTM E313-96に基づいて測定した。YI値が低いほど、黄変現象が低くなり、酸化防止特性が改善されることを意味する。
【0120】
上記表4によれば、第1成分としてポリオールプリミックス組成物及び第2成分としてイソシアネートプレポリマーを含む実施例2B-1~2B-4の試片は、本願発明のイソシアネートプレポリマー以外の一般的なイソシアネート(TDI)を使用した比較例2B-1の試片と比較して、同じ又はより高い水準のフォームの発泡状態及び物性を示した。特に、本発明のイソシアネートプレポリマー以外の一般的なイソシアネート(TDI)を用いた比較例2B-1の試片と比較して、黄変(YI値)が低減したため、酸化防止特性が改善されたことを確認することができた。
【0121】
III.無水糖アルコール-アルキレングリコール;乳酸化合物又はカプロラクトン化合物;及びポリイソシアネート化合物;の反応から製造されるイソシアネートプレポリマーと2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物の製造
<製造例A>無水糖アルコール-アルキレングリコール由来乳酸誘導体の製造
製造例3A-1
十分な水分が除去されたイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物(商品名:IC52、IC chemical社製)190g(538.5mmol)、ラクチド248.4g(1723.1mmol)及び有機金属触媒としてのオクタン酸スズ(IC52とラクチドとの反応混合物の総量の0.001重量%の含量)を450mLのオートクレーブに入れ、窒素充填及び脱気によりオートクレーブ内の水分及び酸素を最小限にした後、密封した。続いて、混合物を内部温度約100℃で30分間溶解し、次いで、135℃で5時間の間反応させ、冷却して、イソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物由来乳酸誘導体434g(収率:99%)を得た。
【0122】
製造例3A-2
十分な水分が除去されたイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物(商品名:IC59、IC chemical社製)235g(535.2mmol)、ラクチド200.5g(1391.5mmol)及び有機金属触媒としてのオクタン酸スズ(IC59とラクチドとの反応混合物の総量の0.001重量%の含量)を450mLのオートクレーブに入れ、窒素充填及び脱気によりオートクレーブ内の水分及び酸素を最小限にした後、密封した。続いて、内部温度約100℃で30分間溶解し、次いで、135℃で8時間
の間反応させ、冷却して、イソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物由来乳酸誘導体435g(収率:99.9%)を得た。
【0123】
<製造例B>無水糖アルコール-アルキレングリコール由来カプロ乳酸誘導体の製造
製造例3B-1
十分な水分が除去されたイソソルビドのエチレンオキシド10モル付加物(商品名:IC102、IC chemical社製)253g(430.0mmol)、カプロラクトン185.9g(1290.0mmol)及び有機金属触媒としてのオクタン酸スズ(IC102とカプロラクトンとの反応混合物の総量の0.005重量%の含量)を250mLのオートクレーブに入れ、窒素充填及び脱気作業によりオートクレーブ内の水分及び酸素を最小限にした後、密封した。続いて、内部温度約100℃で30分間溶解し、次いで、140℃で24時間の間反応させ、冷却して、イソソルビドのエチレンオキシド10モル付加物由来カプロ乳酸誘導体435g(収率:99.2%)を得た。
【0124】
製造例3B-2
十分な水分が除去されたイソソルビドのプロピレンオキシド8モル付加物(商品名:IC89、IC chemical社製)253g(430.0mmol)、カプロラクトン185.9g(1290.0mmol)及び有機金属触媒としてのオクタン酸スズ(IC89とカプロラクトンとの反応混合物の総量の0.005重量%の含量)を250mLのオートクレーブに入れ、窒素充填及び脱気作業によりオートクレーブ内の水分及び酸素を最小限にした後、密封した。引き続き内部温度約100℃で30分間溶解し、次いで、140℃で24時間の間反応させ、冷却して、イソソルビドのプロピレンオキシド8モル付加物由来カプロ乳酸誘導体433g(収率:98.7%)を得た。
【0125】
<イソシアネートプレポリマーの製造>
実施例3A-1:TDIプレポリマーの製造
1000mLの4口反応器に機械式撹拌機、コンデンサー、窒素パージ装置及び内部温度を調節するマントルを設け、TDI670.0g(3846.1mmol)を正確に計量した後、反応器を45℃に維持し、75℃~78℃に維持される真空オーブンで水分を十分に除去し、水分含量が0.1重量%以下(Karl Fischer社製の水分測定器を利用)の製造例3A-1のイソソルビドのエチレンオキシド5モル付加物由来乳酸誘導体200.0g(256.4mmol)をドロップパネルにより滴下した(このとき、発熱によって反応器内部温度が50℃を超えないように滴下した)。滴下終了後、反応器内部温度を60℃に上げ、2時間反応させて、イソシアネートプレポリマーを製造した。
【0126】
前記反応により、869.0g(収率:99.9%)のTDIプレポリマーが得られ、TDIプレポリマーの5回測定平均NCO含量は、35.7±0.2であることが分かった。
【0127】
実施例3A-2:TDIプレポリマーの製造
1000mLの4口反応器に機械式撹拌機、コンデンサー、窒素パージ装置及び内部温度を調節するマントルを設け、TDI822.8g(4723.3mmol)を正確に計量した後、反応器の内部温度を45℃に維持し、75℃~78℃に維持される真空オーブンで水分を十分に除去し、水分含量が0.1重量%以下の製造例3A-2のイソソルビドのプロピレンオキシド5モル付加物由来乳酸誘導体240.0g(295.2mmol)をドロップパネルにより滴下した(このとき、発熱によって反応器内部温度が50℃を超えないように滴下した)。滴下終了後、反応器内部温度を60℃に上げ、3時間反応させて、イソシアネートプレポリマーを製造した。
前記反応により1060.0g(収率、99.7%)のTDIプレポリマーが得られ、TDIプレポリマーの5回測定平均NCO含量は35.8±0.2であることが分かった
【0128】
実施例3A-3:TDIプレポリマーの製造
1000mLの4口反応器に機械式撹拌機、コンデンサー、窒素パージ装置及び内部温度を調節するマントルを設け、TDI303.7g(1743.4mmol)を正確に計量した後、反応器の内部温度を45℃に維持し、75℃~78℃で維持される真空オーブンで水分を十分に除去し、水分含量が0.1重量%以下である製造例3B-1のイソソルビドのエチレンオキシド10モル付加物由来カプロ乳酸誘導体300.0g(184.2mmol)をドロップパネルにより滴下した(このとき、発熱によって反応器内部温度が50℃を超えないように滴下した)。滴下終了後、反応器内部温度を60℃に上げ、2時間反応させて、イソシアネートプレポリマーを製造した。
【0129】
前記反応により599.5g(収率、99.3%)のTDIプレポリマーが得られ、TDIプレポリマーの5回測定平均NCO含量は35.6±0.2であることが分かった。
【0130】
実施例3A-4:TDIプレポリマーの製造
1000mLの4口反応器に機械式撹拌機、コンデンサー、窒素パージ装置及び内部温度を調節するマントルを設け、TDI299.7g(1720.4mmol)を正確に計量した後、反応器の内部温度を45℃に維持し、75℃~78℃に維持される真空オーブンで水分を十分に除去し、水分含量が0.1重量%以下である製造例3B-2のイソソルビドのプロピレンオキシド8モル付加物由来カプロ乳酸誘導体340.0g(187.8mmol)をドロップパネルにより滴下した(このとき、発熱によって反応器内部温度が50℃を超えないように滴下した)。滴下終了後、反応器内部温度を60℃に上げ、2時間反応させて、イソシアネートプレポリマーを製造した。
【0131】
前記反応により637.8g(収率:99.7%)TDIプレポリマーが得られ、TDIプレポリマーの5回測定平均NCO含量は35.4±0.1であることが分かった。
【0132】
<ポリウレタンフォームの製造>
実施例3B-1~3B-4及び比較例3B-1
下記表5に示す成分及び含量比に従い、ポリオール、触媒、界面活性剤及び発泡剤を混合し、3,000rpmの撹拌速度で1~3分間十分に混合して、本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物の第1成分であるポリオールプリミックス組成物を製造した。
【0133】
製造されたポリオールプリミックス組成物に第2成分としてポリイソシアネート成分を添加した後、3000rpmの撹拌速度で7~10秒間撹拌して、本発明の2成分型ポリウレタンフォーム形成用組成物を製造した。
【0134】
250mm×250mmの正方形である箱型にポリエチレンフィルムを敷き、その上に前記製造されたポリウレタンフォーム形成用組成物を注いだ。このとき、時計を使用してクリームタイム、ライズタイム及びゲルタイムを測定及び記録し、ヘルスバブルを観察した。ポリウレタンフォームの硬化反応熱はロッド温度計で確認し、120℃であることを確認した。そして、製造されたフォーム試片の物性を以下の評価方法により測定した。前記観察及び物性測定結果は、下記表5にそれぞれ示した。
【0135】
(使用成分)
1)ポリオール
TF-3000:無水糖アルコール以外のポリオール、活性水素当量3,000で、水酸基値が54~58の3官能性ポリエーテルポリオール(Mitsui chemicals & SKC polyu
rethanes社製、TF-3000)
2)アミン系触媒
A-1:アミン系触媒、70重量%濃度のビス-(20ジメチルアミノエチル)エーテル/プロピレングリコール溶液(Momentive社製、Niax Catalyst A-1

L-33:67重量%濃度のトリエチレンジアミン/ジプロピレングリコール溶液、Tosoh Corporation社製のTEDA L-33
3)有機金属触媒
DBTDL:有機金属触媒、ジブチルスズジラウレート(Sigma Aldrich社製)
4)シリコーン界面活性剤
L-580K:ポリアルキレンオクシードメチルシロキサン共重合体、Momentive社製
、Niax L-580K
5)発泡剤

6)ポリイソシアネート成分
(1)T-80(比較例):
トルエンジイソシアネート(TDI)(2,4-/2,6-異性体比=80:20)、韓国バスプ社製のLupranate T-80
(2)実施例3A-1:実施例3A-1で製造されたTDIプレポリマー
(3)実施例3A-2:実施例3A-2で製造されたTDIプレポリマー
(4)実施例3A-3:実施例3A-3で製造されたTDIプレポリマー
(5)実施例3A-4:実施例3A-4で製造されたTDIプレポリマー
下記表5に記載されている物性の説明は以下の通りである。
【0136】
-クリームタイム(秒):ポリウレタンフォーム原液を混合してから、原液が膨潤し始める時間を示し、最適な反応性を見つける部分であるため、バランスを見つけることが重要である。クリームタイムは早くしたり、遅くしたりすることは重要ではないが、クリームタイムが長いと不規則な泡の形成(又はセルの形成)が発生する可能性があるため、クリームタイムが短い方が好ましい。クリームタイムが長くなるほどフォームの形成(又はセルの形成)が不規則になり得るため、短いクリームタイムが良いが、但し、クリームタイムが短すぎると混合が不十分になる可能性があるため、適当なクリームタイム(例えば、7秒~14秒)が求められる。
【0137】
-ライズタイム(秒):ポリウレタンフォーム原液が混合してから、原液が最大膨潤に達するまでの時間を示す。ライズタイムは、最適な反応性を見つける部分であり、ゲル化と発泡のバランスを取ることが重要であり、そのため、ライズタイムが早い遅いという理由だけで、良いか悪いかを言うのは難しい。ライズタイムが早い場合、フォームが崩壊(通常、原液の比率が正しくないか、原料の混合が不十分であることから、発泡されたフォームが硬化される前に崩壊される現象)し、ライズタイムが遅すぎると、発泡中のゲル化(発泡の停止)により発泡が不可能になることがある。従って、適切なライズタイム(例えば、90秒~124秒)が求められる。ライズタイムの「測定不可」は、組成物(原液)が膨潤せずに、フォームが形成されないことを意味する。
【0138】
-ゲルタイム:ポリウレタン原液が混合されてから、原液が軽い衝撃に耐えることができるゲル強度を持ち、安定した空間形状を持つまでの時間、具体的には、木製の箸などで反応中のフォームを刺したときに、少なくとも3つ又は4つのウレタン繊維が出てくる時間を意味する。
-ヘルスバブル:最大に膨潤した直後にフォームの表面に出てくる破裂する小さな気泡を示し、ヘルスバブル存在は、フォームの発泡が正しいことを意味する。
-フォーム状態:
1)良好:フォームが発泡(膨潤)し、ゲル化により外観に崩壊、クラック(フォームの形成又はフォームの形成後の外部条件によるフォーム内部が亀裂する現象)又は収縮(フォーム内に閉じ込められたガスが冷却により元のサイズに減少する現象)がない状態を意味する。
2)不良:フォームが発泡している間に気泡が破裂するため、フォームが形成されない状態を意味する。
-成形密度:ASTM D 1621に基づいて測定した。
-通気性:ASTM D 3574-01に基づいて測定した。通気性が高いほど、通気性が改善されたことを意味する。
-YI値:ASTM E313-96に基づいて測定した。YI値が低いほど、黄変現象が低くなり、酸化防止特性が改善されることを意味する。
【0139】
【表5】
【0140】
上記表5によれば、第1成分としてポリオールプリミックス組成物と第2成分としてイソシアネートプレポリマーを含む実施例3B-1~3B-4のポリウレタン試片は、本発明のイソシアネートプレポリマー以外の石油系イソシアネート(TDI)を使用した比較例3B-1のポリウレタン試片と比較して、フォームの発泡状態及び物性が同じ又はより高いレベルを示た。特に、通気性及びYI値(酸化防止特性)に関して、比較例3B-1
のポリウレタン試片と比較して、有意に改善されたことが分かる。
【0141】
前記比較例3B-1及び実施例3B-1で製造されたポリウレタン試片の内部セル構造の走査型電子顕微鏡写真を図1に示し、セルオープニング効果により、実施例3B-1の通気性が比較例3B-1と比較して改善されていることが分かった。
【0142】
一方、上記表5に示すように、実工程での硬化温度が160℃以上に上昇しているため、比較例3B-1及び実施例3B-1~3B-4のポリウレタンフォーム試片は、通気性の変化を確認するために、160℃オーブンで2時間後硬化させ、セルオープニング効果により、120℃での通気性と比較して高い通気性の増加が観察できた。この場合にも、実施例3B-1~3B-4のポリウレタン試片の通気性は、比較例3B-1のポリウレタン試片の通気性と比較して、著しく改善されていることが分かった。
【0143】
また、実際の工程での硬化温度は160℃以上に上昇するため、比較例3B-1及び実施例3B-1~3B-4のポリウレタンフォーム試片を160℃オーブンで2時間後硬化させた後、YI値を測定した。比較すると、実施例3B-1~3B-4のポリウレタン試片のYI値が、比較例3B-1のポリウレタン試片のYI値と比較して減少したことが分かった。即ち、本発明によるイソシアネートプレポリマーを使用すると、YI値が減少し、これは酸化防止特性が改善されたことを示した。
図1