(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】ポイント管理システム、ポイント管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221019BHJP
【FI】
G06Q30/02 328
G06Q30/02 354
G06Q30/02 370
(21)【出願番号】P 2021059792
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110135
【氏名又は名称】石井 裕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100163452
【氏名又は名称】南郷 邦臣
(74)【代理人】
【識別番号】100180312
【氏名又は名称】早川 牧子
(72)【発明者】
【氏名】早坂 大悟
【審査官】関 博文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055398(JP,A)
【文献】特開2019-016286(JP,A)
【文献】特開2019-204329(JP,A)
【文献】国際公開第2016/147730(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0116195(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが販売対象を購入するための支払に充当することができるポイントを管理するポイント管理システムであって、
前記ユーザによる購入履歴を記録する記録部と、
前記ユーザにより新たな購入がなされる時期と、前記新たな購入における支払の額と、を、前記記録された購入履歴に基づいて推定する推定部と、
前記推定された時期の後に前記ユーザに付与されるポイントの予定数量と、前記予定数量のポイントが付与される時期と、を取得する取得部と、
前記取得された時期よりも先行して付与可能なポイントのポイント数量を、少なくとも、前記推定された支払の額と、前記取得された予定数量と、に基づいて算定する算定部と、
前記推定された時期に、前記算定されたポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定されたポイント数量だけ減らす付与部と、
前記算定されたポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する通知部と、
を備えることを特徴とするポイント管理システム。
【請求項2】
前記算定部は、
前記ポイント数量を、前記取得された予定数量以下の値とし、
前記ポイント数量を、前記記録された購入履歴に基づいて算定する
ことを特徴とする請求項1に記載のポイント管理システム。
【請求項3】
前記ポイント管理システムは、
前記算定部が、前記推定された支払の額以上の額の支払に充当することができる第1ポイント数量を算定し、
前記付与部が、前記推定された時期に、前記算定された第1ポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定された第1ポイント数量だけ減らし、
前記通知部が、前記算定された第1ポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する
第1試行を実行し、
前記算定部が、前記推定された支払の額よりも小さい額の支払に充当することができる第2ポイント数量を算定し、
前記付与部が、前記推定された時期に、前記算定された第2ポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定された第2ポイント数量だけ減らし、
前記通知部が、前記算定された第2ポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する
第2試行を実行し、
前記第2試行が実行された場合よりも前記第1試行が実行された場合に、前記ユーザによるポイントを用いた支払が促進されると、
前記算定部は、前記第2ポイント数量よりも前記第1ポイント数量を算定する頻度を高くする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポイント管理システム。
【請求項4】
ユーザが販売対象を購入するための支払に充当することができるポイントを管理するポイント管理システムが実行するポイント管理
方法であって、
前記ポイント管理システムが、
前記ユーザにより新たな購入がなされる時期と、前記新たな購入における支払の額と、を、記録部に記録された前記ユーザによる購入履歴に基づいて推定し、
前記推定された時期の後に前記ユーザに付与されるポイントの予定数量と、前記予定数量のポイントが付与される時期と、を取得し、
前記取得された時期よりも先行して付与可能なポイントのポイント数量を、少なくとも、前記推定された支払の額と、前記取得された予定数量と、に基づいて算定し、
前記推定された時期に、前記算定されたポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定されたポイント数量だけ減らし、
前記算定されたポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する
ことを特徴とするポイント管理方法。
【請求項5】
ユーザが販売対象を購入するための支払に充当することができるポイントを管理するコンピュータを、
前記ユーザによる購入履歴を記録する記録部、
前記ユーザにより新たな購入がなされる時期と、前記新たな購入における支払の額と、を、前記記録された購入履歴に基づいて推定する推定部、
前記推定された時期の後に前記ユーザに付与されるポイントの予定数量と、前記予定数量のポイントが付与される時期と、を取得する取得部、
前記取得された時期よりも先行して付与可能なポイントのポイント数量を、少なくとも、前記推定された支払の額と、前記取得された予定数量と、に基づいて算定する算定部、
前記推定された時期に、前記算定されたポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定されたポイント数量だけ減らす付与部、
前記算定されたポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する通知部、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポイント管理システム、ポイント管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが、商品及びサービスといった販売対象を購入するために支払を行うと、金銭と同様に支払に使用することができるポイントがユーザに付与されるサービスが知られている。このようなサービスは、ポイントを付与することにより、ユーザの購買行動を促すこと目的としており、購買行動を促すためにポイントを提供する技術が知られている。例えば、特許文献1には、利用者の前借り希望に基づいて、利用者に対して前借りポイントを提供し、ポイントによる販売促進を図るシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、上記のようなサービスにおいて、ポイントの付与のタイミングは、ポイントの管理者、販売対象を販売する販売者等のポイントを付与する者の都合により決定される。このため、ユーザの購入タイミングにポイントの付与が間に合わず、ユーザが購入を断念してしまい、販売者は、ユーザにより販売対象を購入される機会を逃してしまうことがある。また、ポイントを付与する者には、支払に充当されるポイント数量を増やしたいという要望があるが、ユーザの購入タイミングにポイントの付与が間に合わないため、ポイントが使用されなかったり、充当されるポイント数量が少ないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、ユーザにポイントを付与するタイミングと付与するポイントの数量とを調節することにより、ポイントを使用した購買行動を促すことが可能なポイント管理システム、ポイント管理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るポイント管理システムは、
ユーザが販売対象を購入するための支払に充当することができるポイントを管理するポイント管理システムであって、
前記ユーザによる購入履歴を記録する記録部と、
前記ユーザにより新たな購入がなされる時期と、前記新たな購入における支払の額と、を、前記記録された購入履歴に基づいて推定する推定部と、
前記推定された時期の後に前記ユーザに付与されるポイントの予定数量と、前記予定数量のポイントが付与される時期と、を取得する取得部と、
前記取得された時期よりも先行して付与可能なポイントのポイント数量を、少なくとも、前記推定された支払の額と、前記取得された予定数量と、に基づいて算定する算定部と、
前記推定された時期に、前記算定されたポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定されたポイント数量だけ減らす付与部と、
前記算定されたポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する通知部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記観点に係るポイント管理システムにおいて、
前記算定部は、
前記ポイント数量を、前記取得された予定数量以下の値とし、
前記ポイント数量を、前記記録された購入履歴に基づいて算定する
ことを特徴とする。
【0008】
また、上記観点に係るポイント管理システムにおいて、
前記ポイント管理システムは、
前記算定部が、前記推定された支払の額以上の額の支払に充当することができる第1ポイント数量を算定し、
前記付与部が、前記推定された時期に、前記算定された第1ポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定された第1ポイント数量だけ減らし、
前記通知部が、前記算定された第1ポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する
第1試行を実行し、
前記算定部が、前記推定された支払の額よりも小さい額の支払に充当することができる第2ポイント数量を算定し、
前記付与部が、前記推定された時期に、前記算定された第2ポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定された第2ポイント数量だけ減らし、
前記通知部が、前記算定された第2ポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する
第2試行を実行し、
前記第2試行が実行された場合よりも前記第1試行が実行された場合に、前記ユーザによるポイントを用いた支払が促進されると、
前記算定部は、前記第2ポイント数量よりも前記第1ポイント数量を算定する頻度を高くする
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の観点に係るポイント管理方法は、
ユーザが販売対象を購入するための支払に充当することができるポイントを管理するポイント管理システムが実行するポイント管理方法であって、
前記ポイント管理システムが、
前記ユーザにより新たな購入がなされる時期と、前記新たな購入における支払の額と、を、記録部に記録された前記ユーザによる購入履歴に基づいて推定し、
前記推定された時期の後に前記ユーザに付与されるポイントの予定数量と、前記予定数量のポイントが付与される時期と、を取得し、
前記取得された時期よりも先行して付与可能なポイントのポイント数量を、少なくとも、前記推定された支払の額と、前記取得された予定数量と、に基づいて算定し、
前記推定された時期に、前記算定されたポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定されたポイント数量だけ減らし、
前記算定されたポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する
ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、
ユーザが販売対象を購入するための支払に充当することができるポイントを管理するコンピュータを、
前記ユーザによる購入履歴を記録する記録部、
前記ユーザにより新たな購入がなされる時期と、前記新たな購入における支払の額と、を、前記記録された購入履歴に基づいて推定する推定部、
前記推定された時期の後に前記ユーザに付与されるポイントの予定数量と、前記予定数量のポイントが付与される時期と、を取得する取得部、
前記取得された時期よりも先行して付与可能なポイントのポイント数量を、少なくとも、前記推定された支払の額と、前記取得された予定数量と、に基づいて算定する算定部、
前記推定された時期に、前記算定されたポイント数量のポイントを前記ユーザに付与し、前記取得された予定数量を前記算定されたポイント数量だけ減らす付与部、
前記算定されたポイント数量のポイントが付与された旨を、前記ユーザに通知する通知部、
として機能させることを特徴とする。
【0011】
上記プログラムは、非一時的な(non-transitory)記録媒体に記録されてもよい。非一時的な記録媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。ここで、非一時的な記録媒体とは、有形な(tangible)記録媒体をいう。非一時的な記録媒体は、例えば、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等である。また、一時的な(transitory)記録媒体とは、伝送媒体(伝搬信号)それ自体を示す。一時的な記録媒体は、例えば、電気信号、光信号、電磁波等である。なお、一時的な(temporary)記憶領域とは、データやプログラムを一時的に記憶するための領域であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザにポイントを付与するタイミングと付与するポイントの数量とを調節することにより、ポイントを使用した購買行動を促すことが可能なポイント管理システム、ポイント管理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るポイント管理システムと、ユーザ端末との関係を説明するための図である。
【
図2】実施形態に係るポイント管理システムを実現するサーバのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】実施形態に係るポイント管理システムの機能構成を示す図である。
【
図4】実施形態に係る購入履歴情報を説明するための図である。
【
図5】実施形態に係るポイント情報を説明するための図である。
【
図6】実施形態に係るユーザ端末の画面に表示される画像を説明するための図である。
【
図7】実施形態に係るポイント管理システムが行うポイント管理処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1.全体構成)
本発明の実施形態に係るポイント管理システム100は、
図1に示すように、ネットワーク300を介して、ユーザ端末200と通信可能に接続する。
【0015】
ポイント管理システム100は、ユーザに付与されるポイントを管理する。
【0016】
ここで、ユーザとは、実店舗及び仮想店舗において、販売対象を購入する者である。販売対象には、商品及びサービスが含まれる。また、販売対象を購入するとは、商品及びサービスを購入することである。
【0017】
また、ポイントとは、販売対象を購入するための支払に充当することができるものである。
【0018】
ポイント管理システム100は、ユーザが販売対象を購入するために支払を行うと、予め定められた基準に基づき、ポイントを付与する。ポイント管理システム100は、例えば、支払額の1%に相当する数量のポイントを、ユーザに付与する。また、ポイント管理システム100は、ポイントによる支払いが行われると、支払いに充当されたポイントの数量だけ、ユーザが保有するポイントの数量を減少させる。また、ポイント管理システム100は、ポイントの付与履歴及び使用履歴の情報を記録する。
【0019】
ポイント管理システム100は、1つ以上のサーバにより実現される。例えば、ポイント管理システム100は、ポイントに関する情報を格納するデータベースサーバと、ポイントの付与及び使用を管理するポイント管理サーバと、により実現される。
【0020】
ユーザ端末200は、販売対象を購入するユーザが使用する端末である。ユーザ端末200は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ等である。
【0021】
ネットワーク300は、いかなるものであってもよく、例えば、インターネット、イントラネット、エクストラネット、LAN(Local Area Network)、VPN(Virtual Private Network)、電話回線網等である。
【0022】
(2.サーバのハードウェア構成)
図2は、ポイント管理システム100を実現するサーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0023】
サーバ10は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM13と、記録媒体14と、出力デバイス15と、通信デバイス16と、入力デバイス17と、を備える。各構成要素は、バス18により接続されている。
【0024】
CPU11は、サーバ10全体の動作を制御し、各構成要素と接続され、制御信号やデータをやりとりする。
【0025】
ROM12には、サーバ10全体の動作制御に必要なオペレーティングのプログラムや各種のデータが記録される。
【0026】
RAM13は、データやプログラムを一時的に記録するためのもので、記録媒体14から読み出したプログラムやデータ、その他、通信に必要なデータ等が保持される。
【0027】
記録媒体14は、ハードディスクやフラッシュメモリ等から構成され、サーバ10で処理するデータを記録する。
【0028】
出力デバイス15は、LCD(Liquid Crystal Display)及びバックライト等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置を備える。出力デバイス15は、CPU11による制御の下、例えば、CPU11から出力されたデータを出力する。
【0029】
通信デバイス16は、サーバ10をインターネット等のコンピュータ通信網に接続するための通信インターフェースを含み、通信デバイス16を介して他の情報処理装置等とやりとりをする。
【0030】
入力デバイス17は、ボタン、キーボード、タッチパネル、マイク、カメラ、光学スキャナ等の入力装置を備える。入力デバイス17は、サーバ10の使用者から操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に対応する信号をCPU11に出力する。
【0031】
(3.実施形態のポイント管理システムの機能構成)
ポイント管理システム100の機能構成について、
図3を用いて説明する。
【0032】
ポイント管理システム100は、機能的には、記録部101と、推定部102と、取得部103と、算定部104と、付与部105と、通知部106と、を備える。本実施形態において、記録媒体14が、記録部101として機能し、CPU11が、推定部102、取得部103、算定部104及び付与部105として機能し、CPU11及び通信デバイス16が協働して、通知部106として機能する。例えば、記録部101は、データベースサーバにより実現され、推定部102、取得部103、算定部104、付与部105及び通知部106は、ポイント管理サーバにより実現される。
【0033】
記録部101は、ユーザによる購入履歴を記録する。
【0034】
購入履歴とは、ユーザが購入した販売対象、購入金額、購入日時等の情報を含む、購入に関する履歴である。
【0035】
例えば、記録部101は、
図4に示す購入履歴情報を記録する。購入履歴情報には、ユーザIDと、購入日時と、販売対象IDと、購入金額と、付与ポイント数量と、が対応付けて含まれる。ユーザIDとは、ユーザを識別するための識別情報である。購入日時とは、ユーザが販売対象を購入した日時である。販売対象IDとは、ユーザが購入した販売対象を識別するための識別情報である。購入金額とは、ユーザが販売対象を購入する際に支払った金額である。付与ポイント数量とは、販売対象の購入によりユーザに付与されるポイントの数量である。
【0036】
図4の1行目のレコードは、ユーザID“A”のユーザ(以下、ユーザAという)が、購入日時“2021年4月2日金曜日、18時0分”に販売対象ID“P01”の販売対象(以下、商品P01という)を購入し、購入金額は“1000円”であり、この購入によりユーザAに、付与ポイント数量“10”のポイントが付与されることを示す。
【0037】
また、記録部101は、ユーザのポイント情報を記録する。
【0038】
ポイント情報とは、ユーザが保有するポイントの数量、付与予定のポイントの数量等、ユーザに関連付けられるポイントについての情報である。
【0039】
例えば、記録部101は、
図5に示すポイント情報を記録する。ポイント情報には、ユーザIDと、保有ポイント数量と、付与予定日と、予定数量と、前借り数量と、が対応付けて含まれる。保有ポイント数量とは、ユーザが保有するポイントの数量であって、ユーザが支払の充当に使用することができるポイントの数量である。付与予定日とは、ユーザにポイントが付与される予定日である。予定数量とは、ユーザに付与される予定のポイントの数量である。付与予定日になると、予定数量が、保有ポイント数量に加算される。前借り数量とは、付与予定日よりも先行して付与可能なポイントの数量であり、ユーザにポイントを前借りさせて、使用させることができるポイントの数量である。前借り数量は、後述するように、算定部104により算定される。
【0040】
図5の1行目のレコードは、ユーザID“A”のユーザAが、保有ポイント数量“500”のポイントを保有しており、付与予定日“2021年4月15日木曜日”に予定数量“10”のポイントが付与され、前借り数量は無いことを示す。
【0041】
また、記録部101は、ユーザの住所、氏名、電話番号、メールアドレス等のユーザ情報を記録する。
【0042】
図3の推定部102は、ユーザにより新たな購入がなされる時期と、新たな購入における支払の額と、を、記録部101に記録された購入履歴に基づいて推定する。
【0043】
例えば、推定部102は、
図4の購入履歴情報を参照して、ユーザによる購入時期及び1度の購入で支払う購入金額の傾向を求め、求めた傾向に基づいて、次に購入する時期及び支払の額を推定する。例えば、推定部102は、ユーザAの購入履歴から、ユーザAが毎週金曜日に複数の販売対象を購入し、購入金額の合計の平均が“5000円”であるという傾向を求める。そして、現在日時が“2021年4月11日日曜日、10時0分”とすると、推定部102は、ユーザAにより新たな購入がなされる時期を“2021年4月16日金曜日”と推定し、新たな購入における支払の額を“5000円”と推定する。
【0044】
また、例えば、推定部102は、
図4の購入履歴情報を参照し、ユーザにより特定の販売対象が繰り返し購入されていることを検出した場合、購入間隔の平均を求め、求めた購入間隔の平均及び繰り返し購入されている販売対象の金額に基づき、次に購入する時期及び支払の額を推定してもよい。例えば、推定部102は、ユーザID“B”のユーザ(以下、ユーザBという)の購入履歴から、ユーザBが、販売対象ID“P21”の販売対象(以下、商品P21という)を繰り返し購入していることを検出したとすると、商品P21の購入間隔の平均を求める。現在日時が“2021年4月11日日曜日、10時0分”で、購入間隔の平均が“10日”であり、直近の購入日時が“2021年4月10日土曜日”と求められたとすると、推定部102は、ユーザBにより新たな購入がなされる時期を“2021年4月20日”と推定し、新たな購入における支払の額を、商品P21の購入金額の“1000円”と推定する。
【0045】
図3の取得部103は、推定された時期の後にユーザに付与されるポイントの予定数量と、予定数量のポイントが付与される時期と、を取得する。
【0046】
例えば、推定部102により、ユーザAにより新たな購入がなされる時期が“2021年4月16日金曜日”と推定されると、取得部103は、
図5のポイント情報を参照して、ユーザAに、“2021年4月16日金曜日”よりも後の付与予定日のポイントがあるか否かを判断する。取得部103は、推定された時期“2021年4月16日金曜日”よりも後の付与予定日“2021年4月17日土曜日”に付与されるポイントがあると判断すると、ユーザに付与されるポイントの予定数量として、予定数量“4000”と、予定数量のポイントが付与される時期として、付与予定日“2021年4月17日土曜日”とを取得する。
【0047】
図3の算定部104は、取得された時期よりも先行して付与可能なポイントのポイント数量(前借り数量)を、少なくとも、推定された支払の額と、取得された予定数量と、に基づいて算定する。ここで、算定部104は、ポイント数量を、取得された予定数量以下の値とし、記録された購入履歴に基づいて算定する。
【0048】
例えば、算定部104は、ユーザAに、付与予定日(取得された時期)“2021年4月17日土曜日”よりも先行して付与可能なポイントの前借り数量を、支払の額“5000円”と、取得された予定数量“4000”とに基づいて算定する。例えば、算定部104は、支払の額“5000円”以下の額に充当することができるポイント数であって、予定数量“4000”以下の数量を、ポイントの前借り数量とする。例えば、算定部104は、ポイントの前借り数量を“4000”と求める。
【0049】
また、算定部104は、
図4の購入履歴情報を参照して、ユーザが販売対象の購入に支払う金額の傾向、及び、付与ポイント数量の傾向を調べる。そして、例えば、算定部104は、取得された予定数量のポイントの付与対象となった支払を特定し、特定された支払の購入金額が、購入金額の月平均と比較して、予め定められた割合(例えば、5割)以上か否かを判断する。算定部104は、特定された支払の購入金額が購入金額の月平均の予め定められた割合以上であると判断すると、次に、ユーザの現在の予定数量が、付与ポイント数量の月平均と比較して、予め定められた割合(例えば、5割)以上であるか否かを判断する。算定部104は、現在の予定数量が、付与ポイント数量の月平均の予め定められた割合以上と判断すると、現在の予定数量をユーザに通常付与されるポイントの数量よりも多いとみなす。そして、算定部104は、現在の予定数量をユーザに通常付与されるポイントの数量よりも多いとみなすと、支払の額及び予定数量に基づいて算定した前借り数量よりも予め定められた割合(例えば、5割)だけ減少させる。
【0050】
例えば、ユーザAが数日前に、普段購入しない高額な販売対象(購入金額“400000円”)を購入し、現在の予定数量“4000”のポイントが高額な販売対象を購入したことにより付与されるポイントであるとする。算定部104は、まず、取得された予定数量“4000”のポイントが付与された対象の支払を、購入履歴の付与ポイント数量に基づいて特定する。次に、算定部104は、購入金額“400000円”がユーザAの購入金額の月平均(例えば、“30000円”)の5割以上と判断し、予定数量“4000”が付与ポイント数量の月平均(例えば、“300”)の5割以上と判断する。そして、算定部104は、予定数量“4000”をユーザに通常付与されるポイントの数量よりも多いとみなし、支払の額及び予定数量に基づいて算定した前借り数量“4000”よりも5割だけ減少させた、“2000”を前借り数量と算定する。
【0051】
図3の付与部105は、推定された時期に、算定されたポイント数量(前借り数量)のポイントをユーザに付与し、取得された予定数量を算定されたポイント数量だけ減らす。
【0052】
例えば、付与部105は、ユーザAにより新たな購入がなされる時期と推定された“2021年4月16日金曜日”になると、前借り数量“2000”のポイントをユーザAに付与し、予定数量“4000”から前借り数量“2000”だけ減らす。具体的には、付与部105は、
図5のポイント情報において、ユーザAの保有ポイント数量“500”に前借り数量“2000”を加算し、付与予定日“2021年4月17日土曜日”の予定数量“4000”から前借り数量“2000”だけ減算する。
【0053】
図3の通知部106は、算定されたポイント数量(前借り数量)のポイントが付与された旨を、ユーザに通知する。
【0054】
例えば、通知部106は、記録部101に記録されたユーザ情報を参照して、ユーザAのメールアドレスに、前借り数量“2000”のポイントが付与されたことを示すメッセージを送信する。
図6に、ユーザAのユーザ端末200の画面に、メッセージを含む画像400が表示されている様子を示す。画像400には、前借り数量“2000”のポイントが付与されたことを示すメッセージ401が含まれる。
【0055】
(4.実施形態のポイント管理システムの動作)
本実施形態のポイント管理システム100が実行するポイント管理処理について、
図7を用いて説明する。例えば、ポイント管理システム100は、予め定められたタイミングで、周期的に、
図7に示すポイント管理処理を開始する。
【0056】
推定部102は、ユーザにより新たな購入がなされる時期と、新たな購入における支払の額と、を、記録部101に記録された購入履歴に基づいて推定する(ステップS101)。
【0057】
例えば、推定部102は、
図4の購入履歴情報を参照して、ユーザAにより新たな購入がなされる時期を“2021年4月16日金曜日”と推定し、新たな購入における支払の額を“5000円”と推定する。
【0058】
取得部103は、推定された、新たな購入がなされる時期の後にユーザに付与されるポイントがあるか否かを判断する(ステップS102)。取得部103は、推定された、新たな購入がなされる時期の後にユーザに付与されるポイントがあると判断すると(ステップS102;YES)、推定された時期の後にユーザに付与されるポイントの予定数量と、予定数量のポイントが付与される時期と、を取得する(ステップS103)。一方、取得部103は、推定された、新たな購入がなされる時期の後にユーザに付与されるポイントがないと判断すると(ステップS102;NO)、処理を終了する。
【0059】
例えば、取得部103は、
図5のポイント情報を参照して、ユーザAにより新たな購入がなされる時期“2021年4月16日金曜日”よりも後の付与予定日“2021年4月17日土曜日”に、ユーザAに付与されるポイントがあると判断する。そして、取得部103は、“2021年4月16日金曜日”よりも後にユーザに付与されるポイントの予定数量として、予定数量“4000”と、予定数量のポイントが付与される時期として、付与予定日“2021年4月17日土曜日”とを取得する。
【0060】
算定部104は、取得された時期よりも先行して付与可能なポイントの前借り数量を、推定された支払の額、取得された予定数量及び購入履歴に基づいて算定する(ステップS104)。
【0061】
例えば、算定部104は、算定部104は、ユーザAに、付与予定日(取得された時期)“2021年4月17日”よりも先行して付与可能なポイントの前借り数量を、支払の額“5000円”以下の額に充当することができるポイント数であって、予定数量“4000”以下の数量の5割のポイント数量“2000”と算定する。
【0062】
付与部105は、推定された時期に、算定された前借り数量のポイントをユーザに付与し、予定数量を前借り数量だけ減らす(ステップS105)。
【0063】
例えば、付与部105は、ユーザAにより新たな購入がなされる時期と推定された“2021年4月16日金曜日”になると、前借り数量“2000”のポイントをユーザAに付与し、予定数量“4000”から前借り数量“2000”だけ減らす。
【0064】
通知部106は、前借り数量のポイントが付与された旨を、ユーザに通知する(ステップS106)。
【0065】
例えば、通知部106は、記録部101に記録されたユーザ情報を参照して、ユーザAのメールアドレスに、前借り数量“2000”のポイントが付与されたことを示すメッセージを送信する。
【0066】
本実施形態によれば、ユーザが購入しそうな時期に合わせてポイントを前借りして付与し、その旨を通知することにより、ユーザによるポイントを使用した購買行動を促すことができる。また、ユーザが購入しそうな時期に合わせてポイントを前借りして付与することにより、ポイントが支払に充当される数量を増加させることができる。
【0067】
(5.変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明を実施するにあたっては、種々の形態による変形及び応用が可能である。
【0068】
上記実施形態において、記録部101は、データベースサーバにより実現され、推定部102、取得部103、算定部104、付与部105及び通知部106は、ポイント管理サーバにより実現されるとしたが、これに限らない。記録部101、推定部102、取得部103、算定部104、付与部105及び通知部106は、1つのサーバにより実現されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、推定部102は、ユーザにより新たな購入がなされる時期として、新たな購入がなされる日にちを推定したが、これに限らない。例えば、推定部102は、ユーザにより新たな購入がなされる時期を、朝、昼、夜といった時間帯や、時刻まで詳細に推定してもよい。また、ユーザにより新たな購入がなされる時期、及び、新たな購入における支払の額の推定手法は、上記実施形態に示すものに限らず、推定には既存の種々の手法が適用可能である。
【0070】
また、上記実施形態において、取得された時期よりも先行して付与可能なポイント(前借り数量)を購入履歴に基づき算定する例を示したが、先行して付与可能なポイント数量の算定手法はこれに限らない。例えば、ポイント管理システムは、第1試行と、第2試行と実行し、実行の結果に基づいて先行して付与可能なポイント数量を算定してもよい。
【0071】
第1試行とは、算定部104が、推定された支払の額以上の額の支払に充当することができる第1ポイント数量(第1前借り数量)を算定し、付与部105が、推定された時期に、算定された第1ポイント数量のポイントをユーザに付与し、予定数量を第1ポイント数量だけ減らし、通知部106が、算定された第1ポイント数量のポイントが付与された旨を、ユーザに通知することである。また、第2試行とは、算定部104が、推定された支払の額よりも小さい額の支払に充当することができる第2ポイント数量(第2前借り数量)を算定し、付与部105が、推定された時期に、算定された第2ポイント数量のポイントをユーザに付与し、予定数量を第2ポイント数量だけ減らし、通知部106が、第2ポイント数量のポイントが付与された旨を、ユーザに通知することである。
【0072】
第2試行が実行された場合よりも第1試行が実行された場合に、ユーザによるポイントを用いた支払が促進されると、算定部104は、第2ポイント数量よりも第1ポイント数量を算定する頻度を高くする。ポイントを用いた支払が促進されるとは、ポイントが使用された回数が多くなる、支払に充当されたポイント数量が多くなる、等である。
【0073】
例えば、ユーザAについて、推定部102は、ユーザAにより新たな購入がなされる時期を“2021年4月16日”と推定し、新たな購入における支払の額を“2000円”と推定したとする。また、取得部103は、“2021年4月16日金曜日”よりも後にユーザに付与されるポイントの予定数量4000”と、付与予定日“2021年4月17日土曜日”とを取得したとする。この場合に、算定部104が、ユーザAの第1前借り数量を、支払の額“2000円”以上の額の支払に充当することができる“2000”と算定する。そして、付与部105は、ユーザAに第1前借り数量“2000” のポイントを付与して、予定数量から第1前借り数量“2000”を減少させ、通知部106は、ユーザAのメールアドレスに第1前借り数量“2000”のポイントが付与された旨のメッセージを送信する。ポイント管理システム100の記録部101は、第1前借り数量のポイントが付与された旨をユーザAに通知した後、ユーザAによりポイントを使用した支払が行われたか否か及び支払が行われた際のポイントの充当数量を監視し、支払の有無及び充当数量を記録部101に記録する。
【0074】
また、例えば、ユーザAについて、推定部102は、ユーザAにより新たな購入がなされる時期を“2021年4月23日金曜日”と推定し、新たな購入における支払の額を“2000円”と推定したとする。また、取得部103は、“2021年4月23日金曜日”よりも後にユーザに付与されるポイントの予定数量“2000”と、付与予定日“2021年4月24日土曜日”を取得したとする。この場合に、算定部104が、ユーザAの第2前借り数量を、支払の額“2000円”よりも小さい額の支払に充当することができる“1000”と算定する。そして、付与部105は、ユーザAに第2前借り数量“1000” のポイントを付与して、予定数量から第2前借り数量“1000”を減少させ、通知部106は、ユーザAのメールアドレスに第2前借り数量“1000” のポイントが付与された旨のメッセージを送信する。ポイント管理システム100の記録部101は、第2前借り数量のポイントが付与された旨をユーザAに通知した後、ユーザAによりポイントを使用した支払が行われたか否か及び支払が行われた際のポイントの充当数量を監視し、支払の有無及び充当数量を記録部101に記録する。
【0075】
このように、第1試行と第2試行を実行し、ポイントを用いた支払回数又は充当数量が第1試行の方が第2試行よりも多かった場合、算定部104は、推定された支払の額以上の額の支払に充当することができる第1前借り数量を算定する回数を、推定された支払の額よりも小さい額の支払に充当することができる第2前借り数量を算定する回数よりも多くする。これにより、ユーザによるポイント使用がされる確率が高い、又は、より多くのポイントが支払に充当される、前借り数量を算定することができる。
【0076】
また、上記実施形態において、付与部105は、推定された時期に、算定されたポイント数量のポイントの付与を行うとしたがこれに限らない。付与部105は、推定された時期よりも、予め定められた期間だけ前に算定されたポイント数量のポイントを付与してもよい。例えば、ユーザAにより新たな購入がなされる時期“2021年4月16日金曜日”と推定された場合、付与部105は、その1日前の“2021年4月15日木曜日”になると、前借り数量のポイントをユーザAに付与してもよい。
【0077】
また、上記実施形態において、通知部106は、ユーザ宛のメールアドレスにメッセージを送信することにより、前借り数量のポイントが付与された旨を通知するとしたが、これに限らない。例えば、通知部106は、ユーザ端末200にPush通知を行ったり、ユーザが購入しようとしてショッピングサイトにアクセスした際に、画面にメッセージを表示するようにしてもよい。
【0078】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、ユーザにポイントを付与するタイミングと付与するポイントの数量とを調節することにより、ポイントを使用した購買行動を促すことが可能なポイント管理システム、ポイント管理方法及びプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0080】
10 サーバ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 記録媒体
15 出力デバイス
16 通信デバイス
17 入力デバイス
18 バス
100 ポイント管理システム
101 記録部
102 推定部
103 取得部
104 算定部
105 付与部
106 通知部
200 ユーザ端末
300 ネットワーク
400 画像
401 メッセージ