(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】注射器検知システムを有する薬剤送達デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20221019BHJP
A61M 5/32 20060101ALI20221019BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
A61M5/20 550
A61M5/32 510H
A61M5/20 570
A61M5/315 550V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021121207
(22)【出願日】2021-07-26
(62)【分割の表示】P 2020528124の分割
【原出願日】2018-12-06
【審査請求日】2021-10-05
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100210701
【氏名又は名称】萩原 義則
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ポール・ローナン
(72)【発明者】
【氏名】ゴーラブ・ロハトギ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ルイス・スナイダー
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521051(JP,A)
【文献】国際公開第2017/129314(WO,A1)
【文献】特表2008-543402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0257436(US,A1)
【文献】国際公開第2017/108272(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/140853(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/32
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスを動作させるための方法であって、前記薬剤送達デバイスは、針、加速度計、光学センサ
、引き込み機構
、およびコントローラを有
し、
前記コントローラが、前記加速度計によって生成された複数の第1の信号の信号スパイクに基づいて、伸長位置にある前記針から投薬事象の開始を判定することと、
前記コントローラが、引き込み機構の回転部材の回転を検知する前記光学センサによって生成された複数の第2の信号の初期スパイクに基づいて、前記伸長位置にある前記針から投薬事象の終了を判定することと、
前記コントローラが、前記光センサによって生成された前記第2の信号の初期スパイクに続く、前記第2の信号の所定のスパイクに基づいて、前記伸長位置から前記針の針引き込みの終了を判定することと、
前記コントローラが、前記判定された前記投薬事象の開始、前記判定された前記投薬事象の終了、および前記判定された前記針引き込みの終了のうちの少なくとも1つを、ユーザインターフェース上に示すことと、を含む方法。
【請求項2】
前記ユーザインターフェースは、前記薬剤送達デバイス上に配設されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザインターフェースは、前記薬剤送達デバイスとは別の別個のデバイス上に配設され、前記方法は、
前記コントローラが、前記判定された前記投薬事象の開始、前記判定された前記投薬事象の終了、および前記判定された前記針引き込みの終了のうちの少なくとも1つを、前記薬剤送達デバイスから別個のデバイスに無線で通信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、
前記コントローラが、前記第1の信号および前記第2の信号のうちの少なくとも1つの分析から誤動作を判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、
前記コントローラが、前記判定された前記投薬事象の開始、前記判定された前記投薬事象の終了、および前記判定された前記針引き込みの終了のうちの少なくとも1つを別個のデバイスに通信することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、薬剤送達デバイスに関し、特に、薬剤送達デバイス内の感知システムに関する。
【0002】
注射器を含む薬剤送達デバイスは、医療専門家および自己投薬する患者によって広く用いられる。多くの異なる疾患に苦しむ患者は、頻繁に自分自身に薬剤を注射しなければならず、そのような自己投薬を促進するために様々なデバイスが開発されている。かかるデバイスは、典型的には、薬剤を保持する注射器バレルを有する注射器、および注射器バレルから針穴を通して患者に薬剤を放出するための駆動システムを含む。デバイスは、自動注射デバイスであってもよく、これは、注射プロセスの工程のうちのいくつかを自動的に実行する機構を含み、患者が自己投薬するのをより便利にする。かかるデバイスの構造と設計によって、デバイスの動作状態を判断することは困難である。多くの機能的な薬剤送達デバイスが現在利用可能である一方で、そのような薬剤送達デバイスの改善が、依然として望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本開示の実施形態に従って、薬剤送達デバイスは、ハウジング、薬剤容器、駆動機構、引き込み機構、および検知システムを含む。薬剤容器は、薬剤を保持するための容器本体と、容器本体と動作可能に結合された摺動可能なピストンと、を含む。摺動可能なピストンは、薬剤容器から薬剤を投薬するために容器本体に対して移動可能である。薬剤容器は、格納位置と送達位置との間でハウジングに対して移動可能である。駆動機構は、摺動可能なピストンと係合するプランジャを含む。駆動機構は、プランジャを軸方向に駆動し、薬剤容器を格納位置から送達位置に移動させ、および摺動可能なピストンを移動させて、投薬事象において、薬剤容器から薬剤を投薬するように適合される。引き込み機構は、引き込み移動において薬剤容器を送達位置から格納位置に移動させるように適合される。引き込み機構は、引き込み移動中に回転するように構成された回転部材を含む。検知システムは、薬剤送達デバイス内に配設された第1のセンサを含む。第1のセンサは、第1の検知されたパラメータを示す複数の第1の信号を生成するように構成される。検知システムは、薬剤送達デバイス内に配設され、回転部材の回転移動を検知するように位置決めされた第2のセンサを含む。第2のセンサは、回転部材の検知された回転移動を示す複数の第2の信号を生成するように構成される。コントローラは、第1のセンサおよび第2のセンサと動作可能に結合される。コントローラは、第1のセンサによって生成された複数の第1の信号に基づいて、投薬事象の開始を判定するように構成され、かつ第2のセンサによって生成された複数の第2の信号に基づいて、投薬事象の完了および引き込み移動の完了のうちの少なくとも1つを判定するように構成される。
【0004】
本開示の実施形態に従って、薬剤送達デバイスの動作状態を判定するための方法が提供される。デバイスは、針、第1のセンサ、第2のセンサ、回転センサ、および引き込み機構を含む。本方法は、1つ以上の以下の工程を含む。本工程は、第1のセンサによって生成された複数の第1の信号の信号スパイクに基づいて、伸長位置にある針から投薬事象の開始を判定することを含む。本工程は、引き込み機構の回転部材の回転を検知する第2のセンサによって生成される複数の第2の信号の初期スパイクに基づいて、伸長位置にある針から投薬事象の終了を判定することを含む。本工程は、第2のセンサによって生成された、第2の信号の初期スパイクに続く、第2の信号の所定のスパイクに基づいて、伸長位置から針の針引き込みの終了を判定することを含む。本工程は、判定された投薬事象の開始、判定された投薬事象の完了、および判定された針引き込みの完了のうちの少なくとも1つを、ユーザインターフェース上に示すことを含む。
【0005】
本開示の実施形態に従って、薬剤送達デバイスは、ハウジング、薬剤容器、駆動機構、引き込み機構、加速度計、およびコントローラを含む。薬剤容器は、薬剤を保持するための容器本体と、容器本体と動作可能に結合された摺動可能なピストンと、を含み、摺動可能なピストンは、薬剤容器から薬剤を投薬するために容器本体に対して移動可能である。薬剤容器は、格納位置と送達位置との間でハウジングに対して移動可能である。駆動機構は、投薬事象が開始されるとき、薬剤容器が送達位置で停止するまで、薬剤容器を格納位置から駆動するように適合される。引き込み機構は、引き込み移動が開始されるとき、薬剤容器が格納位置で停止するまで、薬剤容器を送達位置から駆動するように適合される。加速度計は、薬剤送達デバイス内に配設され、駆動機構によって格納位置から送達位置に駆動される際に薬剤容器によって引き起こされる第1の加速度を検出するように構成され、引き込み機構によって送達位置から格納位置に駆動される際に薬剤容器によって引き起こされる第2の加速度を検出するように構成される。コントローラは、加速度計と動作可能に結合され、検出された第1の加速度に基づいて、投薬事象の開始、および検出された第2の加速度に基づいて、引き込み移動の完了を判定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の上述の、ならびにその他の特徴、およびそれらを達成する様式は、本開示の実施形態の下記説明を添付の図面と併せて参照することによって、より明らかになり、かつ本発明自体もよりよく理解されるであろう。
【0007】
【
図1】使用前の例示的な検知システムを含む、例示的な薬剤送達デバイスの断面側面図である。
【
図2】薬剤容器が格納位置にあり、投薬事象の準備ができている、
図1の薬剤送達デバイスの断面側面図である。
【
図3】薬剤容器が送達位置にある、
図1の薬剤送達デバイスの断面側面図である。
【
図4】
図1の薬剤送達デバイスを備えたプランジャの一例の斜視図である。
【
図5】
図1の薬剤送達デバイスを備えた注射器キャリアの一例の斜視図である。
【
図6】
図1の薬剤送達デバイスを備えた上部シャトル部材の一例の斜視図である。
【
図7】
図1の薬剤送達デバイスを備えた下部シャトル部材の一例の斜視図である。
【
図9】
図1の薬剤送達デバイスの部分切り欠き斜視図である。
【
図10】第1の位置にある引き込み機構の例示的な検知システムおよび回転部材を示す、
図1の薬剤送達デバイスの部分切り欠き斜視図である。
【
図11】引き込み機構の回転部材が異なる位置にある検知システムを示す、
図1の薬剤デバイスの別の部分切り欠き斜視図である。
【
図12】
図1の薬剤送達デバイスの周囲の構成要素を取り除いた、それぞれの構成要素の動作を図示する、検知システムおよび回転部材の斜視図である。
【
図13】
図1の薬剤送達デバイスの周囲の構成要素を取り除いた、それぞれの構成要素の動作を図示する、検知システムおよび回転部材の斜視図である。
【
図14】例示的な外部の別個のデバイスにデータを通信する検知システムの概略図である。
【
図15】検知システムのセンサによって生成された信号を示すチャートである。
【0008】
複数の図全体を通して、対応する参照符号は、対応する部品を示す。本明細書に記載される例証は、本開示の実施形態を1つの形態で示すが、下記に開示される実施形態は、包括的であること、または本発明の範囲を開示された厳密な形態に限定するように解釈されることを意図しない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
概して20と指定される自動注射装置は、ユーザにより作動させるとき、装置の針付き注射器が、自動的に下向きに駆動され、そのため注射針が、装置ハウジングの下端部を越えて突出して、ユーザを貫通するトリガを有する。装置は、次いで、針を通じて、注射器の薬剤内容物を自動的に注射し始め、その後、注射器は、注射針がハウジング内に戻されるように自動的に引き込まれる。装置の遅延機構は、針付き注射器が引き込まれる前に薬剤内容物が適切に送達されることを確実とするために、操作を段階的に行うことに役立つ。デバイスが隠れた針を含むとき、薬剤送達の全サイクル中のプロセスの各工程について、インジケータ表示、または光、および/もしくは音を介して、デバイスの動作状態をユーザに提供することができる。さらに、薬剤送達事象または誤動作の記録および/または通信は、患者および医療専門家にデバイスで提供され得る。本明細書で使用される際、「遠位」および「近位」という用語は、装置がかかる部位での使用に向けられているとき、ユーザに対する、軸方向の場所、および注射部位の反対側を指す。例えば、ハウジングの近位端部は、かかる注射部位に最も遠いハウジングの上端部を指し、ハウジングの遠位端部は、かかる注射部位に最も近いハウジング基部または注射端部を指す。
【0010】
例示的な薬剤送達デバイス20が、
図1~
図3に図示される。デバイス20は、注射器システム22と、概して24と指定される駆動機構と、引き込み機構26と、デバイス管状ハウジング38内に結合された検知システム28(
図10~
図11に図示される)と、を含む。デバイス20は、薬剤内容物が、針付き注射器が引き込まれる前に適切に送達されることを確実とするために、操作を段階的に行う事に役立てるためのシャトルアセンブリ60を含む、遅延機構を含む。注射器システム22は、薬剤を保持するように構成された、ガラスまたは他の適切な材料から作製される容器バレル本体30と、容器本体30と動作可能に結合された、エラストマシーリング部材などの摺動可能なピストン部材32と、中空の注射針34と、を含む。注射針34の近位端部は、バレル本体30の遠位先端部に取り付けられる。注射針34は、注射バレル本体30の薬剤内容物と流体連通しており、初期には針ガード42で覆うことができる。注射針34に向かってバレル本体30内でピストン部材32を遠位方向に前進させると、針34を通して薬剤が投薬される。駆動機構24は、ピストン部材32に動作可能に結合される。後述するように、駆動機構24の動作の結果として、容器本体30に対するピストン部材32の摺動可能な移動は、注射器システム22から薬剤を投薬する。デバイス20内の駆動機構24および引き込み機構26の動作、および例示的なデバイスの構成要素の他の説明は、2011年2月24日に出願された、Adamsらに対する米国特許第8,734,394号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
図1は、格納構成の薬剤送達デバイス20を示す。注射器オーバーキャップ36は、ハウジング38に固定され、ハウジング38の遠位開口部40を覆う。針ガード42は、注射器22のバレル本体30の遠位先端部に取り付けられて、針34を覆う。オーバーキャップ36および針ガード42は、偶発的な針の刺し傷からユーザを保護し、また針34の損傷からも保護する。デバイス20を使用して薬剤を投薬する、例えば、薬剤を患者に注射するとき、オーバーキャップ36および針ガード42が、最初に除去されて、遠位開口部40を露出させる。
図2は、注射器22が格納位置にあり、デバイス20が投薬事象の準備ができている状態で、オーバーキャップ36および針ガード42を除去した後のデバイス20を示す。
【0012】
注射器システム22は、
図1~
図2に示される格納位置と
図3に示される送達位置との間で薬剤送達デバイス20に対して移動可能である。
図3は、注射器システム22が、デバイス20に対してその格納位置から送達位置に移動された後のデバイス20を示す。格納位置では、注射針34は、針34の遠位先端部が遠位開口部40を超えて伸長しないように、デバイス20内の引き込み位置にある。送達位置では、針34の遠位先端部は、患者への動作可能な挿入のために、伸長位置でデバイス20から遠位開口部40を越えて遠位に突出する。
【0013】
駆動機構24は、ピストン部材32との係合関係のためのプランジャ44を含む。駆動機構24は、解放されるとき、プランジャ44を並進遠位移動で駆動させる、駆動ばね46を含む。一例では、ばね46は、デバイス20の中心軸48によって画定される直線経路に沿ってプランジャ44を前進させる。プランジャ44は、プランジャの前進中にシーリングピストン32に動作可能に当接するような役割をする、一端部においてディスク形状の足50(
図4)を備えた遠位領域を含む。プランジャ44がさらに前進すると、注射器22は、その格納位置からその送達位置まで軸48に沿って前進する。駆動ばね46は、プランジャ44を下向きに直接付勢して、それを駆動し、それによりピストン32を遠位に駆動し、その駆動運動は、注射器22をシャトルアセンブリ60およびハウジング38に対して遠位にシフトさせて、針34の先端をユーザの皮膚を貫通させるためにハウジングの遠位端を越えて突出させ、次いで、注射のためにその針を通して注射器の薬の内容物を押し込む。注射器22がその送達位置まで前進した後、プランジャ44の継続的な前進は、バレル30内でピストン32を前進させて、投薬事象において薬剤を針34から投薬させる。プランジャ44の前進は、概して、注射器22が送達位置まで前進させられるまで、注射器22からの薬剤の投薬をもたらさない。2つの主な要因により、注射器が投薬のために送達位置に前進する前に、薬剤が投薬されることを阻止する。第1に、ピストン32とバレル30との間の摩擦である。典型的に、ピストン32は、ゴム材料で形成され、バレル30はガラスであるはずである。これら2つの構成要素間の摩擦抵抗は、注射器22がその送達位置まで前進し、適切な停止部材との係合が注射器22のさらなる前進を防止するまで、バレル30内のピストン32の前進を防止するのに十分であり得る。付加的に、注射器内の薬剤は、いくらか粘性があり、それにより、針34からの流出に対していくらか抵抗性があってもよい。必要に応じて、容器本体30に対するピストン部材32の摩擦抵抗を変更するためのピストン部材32および容器本体30の修正により、注射器22がその送達位置に到達する前の薬剤の時期尚早な投薬を制限または防止することもできる。
【0014】
ハウジング38の上端部または近位端部において、そこから軸方向に突出して、ユーザ操作トリガの一部である安全制御ボタン52が提供される。ハウジングの安全スリーブが、ユーザによって回転可能に調整されるように、ハウジング38に対して適切な角度方向に配設されるとき、ボタン52がロック解除され、装置の自動注射機能を開始するために押下することができる。駆動機構24を作動させるために、人は、デバイス20の近位端部において作動ボタン52を押下するはずである。ボタン52を押下することは、プランジャ44の1つ以上の細長い突起54がシャトルアセンブリ60から係合解除され、それにより、ばね46がプランジャ44を軸方向に前進させる。ばね46は、らせん形状を有し、突起54を囲む。ばね46の遠位端部は、プランジャ44上のフランジ56に付勢的に係合する。
【0015】
図4は、プランジャ44の一例を示す。プランジャの近位領域は、1つ以上の突起(一対の突起54が示される)を含む。突起54は、径方向内側に曲がるように構成される。別の例では、プランジャは、単一の突起を含む。足50は、プランジャの遠位端部に沿って位置付けられる。傾斜表面55は、突起の先端に沿って形成されてもよい。アウトリガ58は、プランジャ本体から間隔を空けた関係でプランジャ44のフランジ56から遠位に垂下する。注射中のアウトリガ58は、遅延機構(
図3に図示される)の回転部材70のロックを解除するためにロック部材に直接係合する。回転部材70はまた、引き込み機構26の一部である。プランジャ44および回転部材70に対するアウトリガ58の場所は、アウトリガと回転部材との間の係合が投薬事象の完了に対応するようなものである。ボタン52を押下することは、ボタン52上のタブが突起54上の傾斜面55と係合して、突起54を内側に付勢させ、投薬事象の開始に対応して、(
図2に図示された)シャトルアセンブリ60の(
図6に図示された)上部シャトル部材62から突起54を係合解除する。突起54が係合解除された後、ばね46は、フランジ56に付勢力を及ぼして、ピストンが容器バレル本体30の近位端部にある、
図2に示される第1の位置から、ピストンが容器バレル本体30の遠位端部にある、
図3に示される最終的に完全に伸長された位置まで、プランジャ44を前進させる。
【0016】
デバイス20の遅延機構は、(
図2に表示される)シャトルアセンブリ60と、シャトルアセンブリ60と解放可能にラッチする(
図3に表示される)回転部材70と、シャトルと回転部材との間に作用する(
図1に表示される)ばね66と、を含む。シャトルアセンブリ60は、単一部品のシャトルから形成され得る。示される実施形態では、シャトルアセンブリ60は、
図6および
図7にそれぞれさらに示される、上部シャトル62および下部シャトル64から形成される。シャトル部品62および64は、製造組み立て中に、スナップフィットまたは他の好適な接続方法などで固定して接続されて、共にシャトルアセンブリとして機能し得る。マルチピース構造は、シャトルの成形および組み立て、ならびにシャトルの内部空洞内での装置構成要素の組み立てを容易にする。シャトル部品のいずれか1つのための適切な材料は、例えば、透明であるポリカーボネートまたはその合金などのプラスチックである。
【0017】
最終的な組み立てでは、上部シャトル部材62は、ボタン52およびばね46を捕捉して、近位方向において、これらの部品の軸方向の移動を制限する。上部シャトル部材62および下部シャトル部材64は、各々管状の円筒形本体を含む。中央開口部63は、プランジャ突起54のラッチ部分の通過を可能にするために、上部および下部シャトル部材本体を通して伸長する。ドッグなどのガイド形成部は、開口部63の周りの上部シャトル部材62の上面から近位に突出し、使用中にボタン52の作動タブを開口部63にガイドすることに役立つ。突起54は、デバイスが
図1および
図2に示される状態にあるとき、上部シャトル62の上面と係合する。ボタン52を押下することは、ボタン52のタブを遠位に移動させて、突起54の傾斜面55と係合し、突起54を内側に付勢して、突起54を上部シャトル部材62から係合解除する。突起54が係合解除され、開口部63の断面領域内に位置決めされた後、ばね46は、プランジャ44を、
図2に示される第1の位置から
図3に示される第2の位置に前進させるために、フランジ56上に付勢力を及ぼす。プランジャ44が前進すると、注射器22は、送達位置まで前進し、次いで、ピストン32が、注射器22内で遠位に前進して、上述のように薬剤を投薬する。
【0018】
投薬事象が完了した後、引き込み機構26は、注射器22を
図3に示される送達位置から、
図2に示される格納位置、または針を覆うハウジングなどのより近位の位置に、近位に移動させるように構成される。示される実施形態では、遅延機構を有する引き込み機構は、ばね66と、
図5に示される注射器キャリア68と、従動子として機能する回転部材70と、を含む。
【0019】
プランジャ44が遠位方向におけるその進行の終了に近づくと、プランジャ44のアウトリガ58が、回転部材70のロックを解除する。
図12~
図13をさらに参照すると、回転部材70は、ラッチ72と下部シャトル部材64のラッチ凹部との間の係合によって、下部シャトル部材64に回転固定される。アウトリガ58は、ラッチ72を押下することにより、部材70をロック解除する。ばね66は、ねじり予荷重が加えられており、遠位端が回転部材70と係合し、反対側の近位端部がシャトルアセンブリ60と係合している。ラッチ72を押下すると、ばね66が、回転部材70を回転させる。部材70は、(
図7に示される)下部シャトル部材64のタブ78を受容する(
図12に示される)スロット74を含む。回転部材70の本体に形成された円周スロット74の一端部で、軸方向に伸長するチャネル76が、回転部材本体内に画定される。回転部材70と下部シャトル部材64との間の相対回転により、タブ78が軸方向に伸長するチャネル76に到達するまで、タブ78をスロット74内で移動させる。この位置で、付勢ばね66は、回転部材70と下部シャトル部材との間の軸方向の分離を付勢する。
【0020】
部材70は、ハウジング38内で軸48を中心に回転可能であるが、ハウジング38およびシャトルアセンブリ60に対して軸方向に固定される。回転部材70の本体部分に沿って画定された外側径方向フランジ82は、ハウジング部材38の内面に沿って画定された内側棚部と係合して、部材70の軸方向移動を制限するように構成される。ばね66は、部材70上に軸力および/またはねじり力を及ぼして、部材70を遠位に付勢し、それにより、部材70を、フランジ82がハウジング部材38の内部棚部と係合する軸位置に維持する。シャトルアセンブリ60は、ハウジング部材38の内部に沿って画定された対応するガイド形成部と係合する、軸方向に伸長するチャネルおよび/またはリブを含み、そのためシャトルアセンブリ60が、ハウジング38内で軸方向に移動し、シャトルアセンブリ60とハウジング部材38との間の相対回転を阻止することを可能にする。
【0021】
ばね66はまた、軸方向に予荷重が加えられており、シャトルアセンブリ60に近位に方向づけられた付勢力を及ぼす。下部シャトル部材64の周りの回転部材70の回転は、チャネル76が、それぞれシャトルタブ78と整列するまで、ばね66によって駆動される。この配置では、タブ78は、スロット74を形成する棚部がなく、そのためシャトルアセンブリ60および回転部材70がラッチ解除される。タブ78がチャネル76に達するとき、ばね66は、タブ78がチャネル76を通って軸方向に摺動するように、シャトルアセンブリ60をハウジング38内で近位に移動させる。減衰複合物を回転部材70に隣接して配置して、部材70の回転を減速するなど制御し、タブ78がチャネル76に達する前に投薬事象の完了を可能にすることができる。示された実施形態では、回転部材70は、棚部82の下に伸長する複数の軸方向に伸長するタブ80を備えたスカートを含み、これが、グリースカラー内に配設されて減衰を提供する。
【0022】
シャトルアセンブリ60が近位に移動すると、注射器22を近位に搬送し、それを
図2に示される格納位置に戻す。ばね66は、引き込み機構26を近位に付勢し、それにより、投薬事象後、注射器22をその格納位置に維持する。シャトルアセンブリ60上の戻り止めおよびハウジング部材38上の凹部などのロック機構は、投薬事象の後に注射器22を格納位置に固定するためのロック係合を付加的に提供してもよく、それにより、ユーザは、次いで、デバイス20を安全な様式で処分または別様に取り扱うことができる。
【0023】
注射器キャリア68が、
図5に示される。弓状アーム84は、注射器22のバレル30を把持する。注射器キャリア68はまた、アーム84の上方で円周方向基部から離間された径方向フランジ86を含む。注射器バレル30上のフランジは、アーム84とフランジ86との間で捕捉される。フランジ86の下側88の一部は、プランジャ44上の小さいフランジ90と係合し、それにより、プランジャ44が前進する前に、注射器22の近位の軸方向移動を防止する。シャトルアセンブリ60が引き込まれているとき、下部シャトル部材64は、アーム84と係合して、注射器22を近位に搬送して、その格納位置に戻す。
【0024】
検知システム28は、動作状態工程を検出および/または表示し、ユーザまたは他の人に示すように動作可能である。一例では、検知システム28は、注射プロセスの初期状態を検出するためのセンサを含む。別の例では、検知システム28は、注射プロセスの中間および最終状態を検出するためのセンサを含む。別の例では、検知システム28は、注射プロセスの上記のすべての状態を検出するためのセンサを含む。別の例では、検知システム28は、注射プロセスの初期状態を検出するための第1のセンサと、注射プロセスの中間および最終状態を検出するための第2のセンサと、を含む。
図14の一例では、第1のセンサは、加速度計92を含み、第2のセンサは、光学センサ94を含む。光学センサ94は、発光器96および光学センサ98を含む。一例では、加速度計92は、関連する構成要素の加速および/または移動を検知し、移動可能構成要素に干渉しない場所でデバイスハウジング38と関連付けられる。例えば、加速度計は、デバイスハウジング38に埋め込まれるか、または別様にデバイスハウジング38の内部に沿って取り付けられてもよい。一例では、光学センサ94は、関連する構成要素の符号化されたパターンを検知し、移動可能構成要素に干渉しない場所でデバイスハウジング38と関連付けられる。例えば、光学センサ94は、デバイスハウジング38に埋め込まれるか、または別様にデバイスハウジング38の内部に沿って取り付けられてもよい。別の例では、加速度計92および光学センサ94は、
図14に示されるように、単一の制御モジュールと関連付けられてもよい。
【0025】
様々なセンサシステムが本明細書において企図される。一般に、センサシステムは、1つ以上の検知構成要素および1つ以上の被検知構成要素を含む。「検知構成要素」という用語は、被検知構成要素の相対位置を検出することができる任意の構成要素を指す。検知構成要素は、1つ以上の検知素子を操作するための電気構成要素と関連付けられる、1つ以上の検知素子、または「センサ」を含む。「被検知構成要素」は、任意の構成要素であり、検知構成要素は、検知構成要素に対する被検知構成要素の位置および/または移動を検出することができる。例えば、被検知構成要素は、検知構成要素に対して軸方向に移動および/または回転してもよく、被検知構成要素の線形および/または角度位置、ならびに/もしくは線形および/または回転移動を検出することができる。検知構成要素は、1つ以上の検知素子を含むことができ、被検知構成要素は、1つ以上の被検知素子を含むことができる。センサシステムの1つ以上の検知構成要素は、被検知構成要素(複数可)の位置または移動を検出し、被検知構成要素(複数可)の位置(複数可)または移動(複数可)を表す出力を提供することができる。センサシステムは、典型的には、被検知領域内の1つ以上の被検知素子の位置および/または移動に関連して変動する、検知されたパラメータの特性を検出する。被検知素子は、検知されたパラメータの特性に直接的または間接的に影響を及ぼす様態で被検知領域内に及ぶかまたは別様に影響する。検知構成要素(複数可)と被検知構成要素(複数可)との相対位置は、検知されたパラメータの特性に影響を及ぼし、センサシステムのコントローラが被検知素子(複数可)の異なる位置を判定することを可能にする。適切なセンサシステムは、能動的構成要素(例えば、電力供給されているか、または電源またはコントローラに接続されている)および受動的構成要素(例えば、電力供給されていない、または電源またはコントローラに接続されていない)の組み合わせを含み得る。検知構成要素または被検知構成要素のいずれかは、能動的構成要素として動作してもよい。1つの構成要素が能動的構成要素として動作している場合、他の構成要素は、能動的構成要素として動作する必要はなく、代わりに受動的構成要素として動作し得る。2つの部材の相対位置を検出することができる様々な検知技術のいずれが組み込まれてもよい。そのような技術は、例えば、触覚的、光学的、誘導的または電気的測定に基づく技術を含み得る。そのような技術は、電場/磁場などの、場または電気パラメータと関連付けられた、検知されたパラメータの測定を含み得る。一形態では、磁気構成要素をセンサに対して移動させると、磁気センサが、検知された磁場における変化を検知する。別の実施形態では、センサシステムは、物体が磁場内に位置決めされたときおよび/または磁場を通って移動したときに、電場/磁場の特性および/または電場/磁場への変化を検知することができる。場の変動は、被検知領域内の被検知素子の位置に関連して検知されたパラメータの特性を変化させる。そのような実施形態では、検知されたパラメータは、静電容量、コンダクタンス、抵抗、インピーダンス、電圧、インダクタンスなどであり得る。例えば、磁気抵抗型センサは、センサの素子の抵抗に特性変化をもたらす印加磁場の歪みを検出する。別の例として、ホール効果センサは、印加磁場の歪みから生じる電圧の変化を検出する。一例では、第2のセンサは、磁気センサであり、回転構成要素は、磁気特性を含む。
【0026】
図12~
図13では、エンコーダストリップ112は、回転部材70の外周面99に沿って形成されている。一例では、エンコーダストリップは、棚部82とスロット74との間で回転部材70の外部本体に沿って軸方向に配設される。エンコーダストリップ112は、互いに円周方向に間隔を置いて配設され、検知システム28の光学センサ94によって認識可能な複数のターゲット114を含む。例えば、ターゲット114は、ターゲット間のスペースに異なる色を使用する、個別に認識可能なターゲットによって形成されてもよい。別の例では、ターゲットは、可変信号を提供するために、2つの異なる色の連続的な傾きを備える。代替的に、ターゲット114は、異なる表面処理を施されてもよい。例えば、ターゲット114間の空間が滑らかで反射性である一方で、ターゲット114は、光を散乱させるために粗い表面処理を施すことができる。
【0027】
センサシステム28はまた、プロセッサ102を有する電子回路、日付/時間追跡およびスタンピングのための時計またはタイマー(図示せず)、および記憶デバイス(図示せず)を有するコントローラ100を含む。データは、例えば、RAM、PROM、光学記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス、ハードウェア記憶デバイス、磁気記憶デバイス、または任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体などの記憶デバイス内に記憶されてもよい。データは、プロセッサ102からの指示に従ってアクセスされ、操作されてもよい。
【0028】
加速度計92および光学センサ94は両方とも、コントローラ100と電子的に接続され、プロセッサ102と動作可能に結合される。センサシステム28は、必要に応じて、ユーザインターフェース104を含んでもよい。ユーザインターフェース104は、LCDスクリーンの形態、または、より単純化された形態では、1つ以上のLEDライトの形態をとることができる。システム28はまた、存在する場合、センサ92、94、プロセッサ102、およびユーザインターフェース104に電力を供給する電源110を含む。ユーザインターフェースは、デバイスハウジングに沿って位置付けられた個別のディスプレイ画面であってもよい。デバイス20が単一の注射手順のために設計された使い捨てデバイスである場合、電源110は、単一の手順に対してのみ十分な電力を提供するようにサイズ決定され得る。デバイス20が、複数の使用を目的とする場合、充電式または使い捨て電池などの充電式または容易に交換可能な電源を用いることができる。示された実施形態では、デバイス20は、一度きりの使い捨てデバイスである。
【0029】
コントローラ100は、
図14に概略的に図示されるように、別個のデバイス106と通信するための通信ユニット(送信機および/または受信機もしくはトランシーバなど)を含み得る。別個のデバイス106は、ユーザインターフェース108を有するスマートフォンの形態をとってもよい。通信ユニット(図示せず)は、これらの事象の発生を通信することができる、ユーザインターフェース108を含む別個のデバイス106と一方向または双方向で通信するように構成される。一例では、通信ユニットは、例えば、限定されるものではないが、Bluetooth(例えば、Bluetooth Standard、ローエナジー、Smart)およびZigbee、ANTおよびANT +プロトコル、またはNFCチップを使用した近距離無線通信(NFC)を含む、IEEE802.15規格に基づくような、データを交換するための無線技術規格を利用する、低電力高周波無線トランシーバを含む。WI-FIなどの他の適切な無線通信プロトコルが使用されてもよい。概して、別のデバイスと無線で通信するのが最も便利であるが、そのような通信に有線接続を使用することも可能である。デバイスハウジングは、コントローラと動作可能に接続された電気コネクタ(図示せず)を含み得る。電気コネクタは、USBコネクタ(例えば、Series Standard-A、Standard-B、Standard-C、Mini-A、Mini-B、Micro-A、またはMicro-Bコネクタなど)、シリアルポートコネクタ、ビデオグラフィックアレイ(VGA)コネクタ、D-サブミニチュアコネクタ、BNCコネクタ、またはミニDINコネクタとして構成されてもよい。さらに、電気コネクタは、オスまたはメスのコネクタであってもよい。
【0030】
図8~
図11で最も容易に見られ得るように、センサシステム28は、ハウジング上に取り付けられ、そのため加速度計92は、薬剤送達デバイス上に配設され、ハウジング38またはハウジング38内の構成要素の運動および速度を検知することができる。ユーザが作動ボタン52を押下して、投薬事象を開始した後、ばね46がプランジャ44に作用するとき、注射器22がその送達位置において軸方向の停止部に当たり、それ以上の遠位移動を全く停止させるまで、駆動ばね46が、プランジャ44および注射器を遠位方向に加速させる。加速作用におけるこの変化は、加速度計92によって検知される移動および力を生成する。注射器22がその送達位置に到達するタイミング、および針を通して薬剤を投与するためのピストン32の移動は、予め判定され、正確であり得る。換言すると、投薬事象の開始は、注射器のその送達位置への到着および突然の停止と関連付けられ得る。引き込み事象は、注射器を送達位置から格納位置に移動させるために生じる。引き込み事象中の注射器の上向き(近位)加速は、インジェクタ本体と反対方向に小さい加速を与える。これらの形成部のタイミングおよび大きさを、検出および分析することにより、投薬事象の開始ならびに引き込み事象の開始および/または完了を検出することができ、注射器の前進および引き込み性能の変動を検出することができる。
【0031】
図15に示されるチャートは、センサ92、94の出力の簡略化された表現を提供する。線120は、検知された加速度を示し、プロセッサ102と通信する、加速度計92によって生成された信号を表現する。加速度計信号のスパイク122は、注射器22の送達位置への移動が突然停止したときの投薬事象の開始を表現する。さらに前進するプランジャ44は、注射器22から薬剤を投薬するためにピストン32を移動させる。投薬事象が始まると、注射器22の停止によって引き起こされるハウジング38の振動は、線120によって示されるように大きさが減少する。
【0032】
プランジャ44が、その遠位前進の終了に近づくと、プランジャ44上のアウトリガ58が、回転部材70のロックを解除し、次いで、上記でより詳細に考察されたように、軸48を中心に回転し始める。光学センサ94は、個々のターゲット114の通過を検知することにより、回転部材70の回転移動を検知するように位置決めされ得る。光学センサ94は、回転部材70の検知された回転移動を示す信号を生成し、これらの信号をプロセッサ102に通信する。
図15のチャート内の破線124は、光学センサ94によって生成された信号を表現する。また、プランジャ44が回転部材70のロックを解除し、部材70を回転させ始めるとき、引き込み機構26の引き込み移動が開始する。この引き込み移動により、注射器22がその送達位置(
図3)からその格納位置(
図2)に移動する。
【0033】
図12および
図13に最もよく見られるように、光学センサ94は、部材70の回転移動を監視するように位置決めされる。
図12は、部材70の回転移動が初期に開始されたときの部材70に対する光学センサ94の位置を表現する。矢印116は、部材70が、センサアセンブリ28に対して回転する方向を示す。部材70が回転すると、エンコーダストリップ112のターゲット114が、個々のターゲット114が光学センサ94を通過して回転する際に、光学センサ94によって認識される。
図13は、その回転移動が完了し、タブ78がチャネル76と位置合わせされたときの部材70を示し、そのためシャトル60が、ばね66によって遠位に引き込まれ、注射器22をその格納位置に戻す。
【0034】
図15内の線124は、光学センサ94によって通信された信号を表現する。一例では、光学センサ信号は、バイナリ信号であり、そのため信号がないこと(
図15内の値0)は、センサがターゲット114を検知しないことを示し、信号の通信(
図15の値1)は、センサがターゲットを認識することを示す。このため、
図15のセンサ信号の線のスパイク部分126は、光学センサ94の後をターゲット114が通過することを表現する。別の例では、エンコーダストリップ112は、光学センサ信号が可変信号であるように、黒から白への連続的な勾配を含み得る。一例では、光学センサ94は、コントローラ100によってサンプリングされたアナログ値を通信して、回転位置および速度についてより細かい少量の分解能を提供するように構成され得る。
【0035】
光学センサ94が、線124の開始スパイクポイント128によって表現されるような、ターゲット114の通過を最初に認識するとき、回転部材70がロック解除され、回転し始めたときを表現する。このため、このポイントはまた、投薬事象の完了にも対応する。これに関して、投薬事象の完了は、ポイント128によって表現される時点に直接対応してもよく、または、例えば、投薬事象の完了が、ポイント128で表される時点の0.2秒後に生じ得るなど、この時点と既知の相関関係を有する場合があることに留意されたい。いずれの事象でも、ポイント128は、回転部材70の回転などの、引き込み機構26の引き込み移動が始まったことを意味する。
【0036】
部材70がその回転移動を完了し、チャネル76をタブ78と位置合わせさせるために回転しなければならない弧は、事前に既知である。このため、部材70がその回転移動を完了するために光学センサ94を通過しなければならないターゲット114の数もまた、事前に既知である。示された実施形態では、
図15の参照番号130で示されるように、第5のターゲット114が、センサ94によって認識されるとき、回転部材70は、その回転移動を完了し、チャネル76をタブ78と位置合わせさせるはずである。一度これが生じると、シャトル部材60が、近位に移動し、注射器22が、その格納位置に移動して、引き込み移動が完了する。これに関して、引き込み事象の完了は、ポイント130によって表現される時点に直接対応する場合があり、これは、デバイスの動作サイクルの完全な終了に対応する場合もあることに留意されたい。代替的に、引き込み事象の完了は、ポイント130によって表現される時点との既知の相関を有してもよく、例えば、引き込み事象の完了は、ポイント130によって表現される時点の0.2秒後に生じ得る。
【0037】
示された実施形態では、上述のように、コントローラ100は、加速度計92によって生成された信号に基づいて、投薬事象の開始を検出するように構成される。より具体的には、コントローラ100は、加速度計92から生成された信号のスパイク122に基づいて、投薬事象の開始を判定するように構成される。コントローラ100はまた、光学センサ94によって生成された信号に基づいて、投薬事象の完了および引き込み移動の完了を判定するように構成される。例えば、コントローラ100は、信号線124の初期のポイント128に基づいて、回転移動の初期の認識を、(補正ありまたはなしのいずれかの)投薬事象の完了として判定するように構成される。コントローラ100は、信号線124のポイント130に基づいて、回転移動の最終的な認識を、(補正ありまたはなしのいずれかの)引き込み事象の完了として判定するように構成される。一例では、コントローラ100はまた、センサ94によって認識されたターゲットの数もカウントし、適切な数のターゲットがカウントされて、部材70がその回転運動を完全に完了したことを示すとき、コントローラ100は、これを引き込み移動の完了、および注射器22の格納位置への首尾よい戻りとして解釈する。コントローラ100は、加速度計92によって生成された信号に基づいて、投薬または引き込み事象の終了を検出するように構成されてもよく、これはポイント130での光学検知信号とは独立してもよく、または加えてもよい。針が、回転部材70の位置に基づいて、ばね力の下で引き込まれるとき、最終的な引き込み位置に到達したときのデバイス内のサブアセンブリの突然の停止により、検出可能な加速度を生成する。より具体的には、コントローラ100は、加速度計92から生成された信号のスパイクまたは谷(
図15には示されていないが、おおよそ時間26秒に位置する)に基づいて、事象の終了を判定するように構成される。加速度計および光学検知の両方を使用して、送達サイクルの終了を検出するとき、コントローラ100は、注射器の位置または進行の誤動作の検出における信頼性または冗長性について各信号を比較することができる。加速度計92における他の特性は、注射器の位置または進行の誤動作を検出するのに役立つ場合がある。1つは、注射器22が伸長位置に移動するとき、堅い停止部に当たる前に生じる。駆動ばね46が初期に注射器22を前方に加速させる際、小さい加速が、インジェクタハウジング38に付与され、検出され得る。別の特徴は、回転部材70が、二重機能付勢部材66の動作を可能にするときに生じる。注射器22の上方への加速は、インジェクタハウジング38に対して反対方向に小さい加速を与える。コントローラ100が、これらの形成部のタイミングおよび大きさを検出および分析することにより、投薬事象の開始および引き込み事象の開始および/または完了を検出することができ、注射器の前進および引き込み性能における変動が、検出、かつ表示され、および/または、通信され得る。
【0038】
かかる情報から判定されたデバイスの動作状態もまた、ユーザに通信されてもよい。この目的のために、コントローラ100は、判定する工程に応答して、ディスプレイまたは他のユーザフィードバック指示のために判定された工程の各々について出力信号を生成するように構成される。例えば、センサシステム28は、判定された投薬事象の開始を示す信号を生成し得る。センサシステム28は、判定された投薬事象の完了を示す別の信号を生成してもよい。センサシステム28は、判定された引き込み移動の開始を示す別の信号を生成してもよい。センサシステム28はまた、判定された引き込み移動の完了を示す別の信号を生成し得る。これらの出力信号の任意の1つまたは組み合わせは、ユーザインターフェース104と通信されて、それにより、ユーザに、投薬事象の開始、投薬事象の完了、引き込み移動の開始、および/または引き込み移動の完了の発生を通知することができる。例えば、デバイス20上のLCD画面またはLEDライトは、これらの事象の発生を通知することができる。
【0039】
特定の事象が生じるときを単に認識することに加えて、コントローラ100は、誤動作を識別するためにセンサ信号を分析するように構成されてもよい。一例では、コントローラ100は、光学センサ94からの信号を監視して、回転部材70が、その回転を完全に完了し、注射器22が格納位置に引き込まれることを確実とするように構成される。回転部材70が十分に大きな回転弧を通して回転しない場合(例えば、
図15の信号線124の5つの線126のうち3つのみが監視される)、コントローラ100は、これを引き込み移動の誤動作として識別するように構成され得る。光学センサ94によって生成された信号が、回転部材70が、その回転移動を完全に完了しなかったことを示す場合、コントローラ100は、引き込み移動中に薬剤容器が送達位置から格納位置にうまく移動しなかったことを判定するように構成され得る。
【0040】
コントローラ100はまた、加速度計信号120のスパイク122と光学センサ信号124の開始ポイント128との間の時間間隔(または、上述のように、引き込み事象と関連付けられた加速度の検出)に基づいて、投薬事象の持続時間を判定するように構成され得る。投薬事象の持続時間が所定の閾値範囲よりも短い、または長い場合、プロセッサは、そのような事象を判定し、それを誤動作としてフラグを立ててもよい。代替的に、持続時間が、薬剤が投薬されている量に対して許容範囲内にある場合、それは薬剤送達の成功であると見なされ得る。誤動作が生じるとき、コントローラ100は、警告の表示またはLED(赤色LED)の点滅のためにユーザインターフェースと通信するように構成され得る。そのような事象は、記録され、医療専門家に通信されてもよい。
【0041】
そのような信号から得られた情報は、薬剤投薬事象の日時と共にメモリ内に記録されてもよい。次いで、この記録されたデータは、無線接続および/またはインターネットを介して、(携帯電話、ラップトップ、および/またはサーバーデータベースなどの)別個のリモートデバイス106、または介護者に通信されてもよい。デバイス106は、薬剤送達事象の日付と時刻、および誤動作が検出されたかどうかを含む、かかるすべての薬剤送達事象のログを保持することができる。デバイス106はまた、そのような薬剤送達事象のログを維持し得る医療専門家にネットワークを通じてかかる情報を通信してもよい。コントローラ100はまた、メモリ内に記録し、投薬される薬剤のタイプおよび量を通信するように構成され得る。一度きりの使い捨てデバイスの場合、この情報は、事前に既知であり、それによって記録が、送達事象で送達される薬剤のタイプと量の通信を容易にするはずである。薬剤送達事象のログを自動的に生成するユーザの能力は、定期的に薬剤を注射し、そのような薬剤送達事象のログを維持することが面倒または不便であると感じるユーザにとって非常に有用であり得る。
【0042】
図から分かり得るように、回転部材70上に位置付けられたエンコーダストリップ112を除いて、センサシステム28は、ハウジング38上に取り付けられた単一の小さいハウジング内に梱包される。そのため、デバイス20上に恒久的に取り付けられ、または取り外し可能であり、複数のデバイスで再利用したりすることができ、そのためデバイスは、エンコーダストリップ112およびセンサシステム28を受けとるための取付インターフェースを有する回転部材70を有する。
【0043】
一例では、デバイス20の動作状態を判定するための例示的な方法が提供される。本方法は、投薬事象の開始を判定することを含み得る。コントローラ100は、第1のセンサによって生成された第1の信号に基づいて、投薬事象の開始を判定するように構成される。第1のセンサが加速度計であるとき、信号内の初期スパイクは、注射器が格納位置から送出位置に移動したときに注射器が突然停止したことが原因であり得る。別の工程は、投薬事象の終了を判定することを含み得る。プランジャのアウトリガと回転従動子の配置は、アウトリガと回転従動子との間の係合のようなものであり、このため従動子の回転の開始が、投薬事象が完了した瞬間である。コントローラ100は、第2のセンサによって生成された第2の信号の初期スパイクに基づいて、投薬事象の完了を判定するように構成される。別の工程は、引き込みの終了および/または薬剤送達サイクルの完了を判定することを含み得る。コントローラ100は、第2のセンサによって生成された第2の信号の所定のスパイクに基づいて、またはデバイスハウジングへの注射器の引き込みによって引き起こされる加速度の検出に基づいて、引き込み移動の完了を判定するように構成される。本方法は、判定された投薬事象の開始、判定された投薬事象の完了、判定された引き込みの開始、判定された引き込みまたは送達サイクルの完了、もしくはそれらの任意の組み合わせを示すことを含み得る。コントローラは、示された事象のいずれかを搭載ユーザインジケータ、またはデバイスの外部のリモートユーザインジケータに通信するようにさらに構成され得る。本方法は、デバイスの動作の誤動作を判定することを含み得る。コントローラは、それぞれのセンサからの第1の信号および/または第2の信号に基づいて、センサのパラメータを分析するように、かかるパラメータを記憶デバイス内に記憶された閾値範囲と比較するように、および閾値範囲外の場合、いずれの判定された誤動作を搭載ユーザインジケータまたはデバイス外部のリモートユーザインジケータに通信するように構成されてもよい。
【0044】
本発明を、例示的な設計を有するものとして説明してきたが、本発明は、本開示の主旨および範囲内で、さらに修正されてもよい。したがって、本出願は、その一般原則を使用して、本発明のいずれの変形、使用、または適合を包含することが意図される。
【0045】
以下の態様を含むがこれらに限定されない様々な態様が、この開示に記載されている。
【0046】
1.薬剤送達デバイスであって、ハウジングと、薬剤を保持するための容器本体および容器本体と動作可能に結合されている摺動可能なピストンを有する薬剤容器であって、摺動可能なピストンが、薬剤容器から薬剤を投薬するために容器本体に対して移動可能であり、薬剤容器が、格納位置と送達位置との間でハウジングに対して移動可能である、薬剤容器と、摺動可能なピストンと係合しているプランジャを含む駆動機構であって、駆動機構が、ランジャを軸方向に駆動し、薬剤容器を格納位置から送達位置に移動させ、および摺動可能なピストンを移動させて、投薬事象において、薬剤容器から薬剤を投薬するように適合されている、駆動機構と、薬剤容器を、引き込み移動において送達位置から格納位置に移動させるように適合される引き込み機構であって、引き込み機構が、引き込み移動中に回転するように構成されている回転部材を含む、引き込み機構と、検知システムであって、薬剤送達デバイス内に配設され、第1の検知されたパラメータを示す複数の第1の信号を生成するように構成される、第1のセンサと、薬剤送達デバイス内に配設され、回転部材の回転移動を検知するように位置決めされ、回転部材の検知された回転移動を示す複数の第2の信号を生成するように構成される、第2のセンサと、第1のセンサおよび第2のセンサと動作可能に結合されているコントローラと、を含み、コントローラが、第1のセンサによって生成されている複数の第1の信号に基づいて、投薬事象の開始を判定するように構成されており、かつ第2のセンサによって生成されている複数の第2の信号に基づいて、投薬事象の完了および引き込み移動の完了のうちの少なくとも1つを判定するように構成されている、検知システムと、を備える、デバイス。
【0047】
2.コントローラに動作可能に結合されているユーザインターフェースを備え、コントローラが、投薬事象の開始、ならびに投薬事象の完了および引き込み移動の完了のうちの少なくとも1つをユーザインターフェースに通信するように構成されている、態様1に記載のデバイス。
【0048】
3.ユーザインターフェースが、デバイス上に配設されている、態様2に記載のデバイス。
【0049】
4.ユーザインターフェースが、デバイスから分離されており、コントローラが、投薬事象の開始、ならびに投薬事象の完了および引き込み移動の完了のうちの少なくとも1つをユーザインターフェースに無線で通信するように構成されている、態様2に記載のデバイス。
【0050】
5.コントローラが、第1の信号および第2の信号のうちの少なくとも1つの分析から誤動作を判定するように構成されている、態様1~4のいずれか一項に記載のデバイス。
【0051】
6.コントローラが、第1の信号および第2の信号に基づいて、投薬事象の持続時間を判定するように構成されている、態様1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【0052】
7.デバイスが、引き込み移動を実行するとき、薬剤容器の送達位置から格納位置への移動が不成功であるかどうかを判定するために、コントローラが、第2の信号の分析から誤動作を判定するように構成されている、態様1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【0053】
8.第2のセンサが、光学センサであり、回転部材が、光学センサによって認識可能な複数のセンサターゲットを画定する、態様7に記載のデバイス。
【0054】
9.センサシステムが、第1の信号および第2の信号に基づいて、投薬事象に関するデータを記録するように構成されている、態様1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【0055】
10.センサシステムが、記録されたデータを別個のデバイスに通信するように構成される、態様9に記載のデバイス。
【0056】
11.センサシステムによって通信されている、記録されたデータが、投薬事象の日付および時間を含む、態様10に記載のデバイス。
【0057】
12.コントローラが、第1の信号および第2の信号のうちの少なくとも1つの分析から誤動作を判定するように構成されている、態様10に記載のデバイス。
【0058】
13.駆動機構が、プランジャおよび薬剤容器を駆動するためのばねを含み、デバイスが引き込み移動を実行するとき、薬剤容器の送達位置から格納位置への移動が不成功であるかどうかを判定するために、コントローラが、第2の信号の分析から誤動作を判定するように構成されている、態様1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【0059】
14.薬剤送達デバイスであって、薬剤を保持するバレルおよびバレル内に配設されているピストンを有する注射器であって、注射器が、中空の針をさらに含み、バレルに対するピストンの移動が、針を通して薬剤を投薬し、注射器が、格納位置と送達位置との間で薬剤送達デバイスに対して移動可能であり、針が、送達位置においてデバイスから突出し、格納位置においてデバイス内に引き込まれている、注射器と、ピストンを前進させるプランジャを有する駆動機構であって、駆動機構が、プランジャを並進移動で駆動し、注射器を格納位置から送達位置に移動させ、投薬事象において注射器から薬剤を投薬するためにバレル内でピストンを前進させるように適合されているばねを含む、駆動機構と、引き込み移動において、注射器を送達位置から格納位置に移動させるように適合されている引き込み機構であって、引き込み機構が、引き込み移動中に回転するように構成されている回転部材を含む、引き込み機構と、検知システムであって、薬剤送達デバイス上に配設され、検知された加速度を示す複数の第1の信号を生成するように構成されている、加速度計と、薬剤送達デバイス上に配設され、かつ回転部材の回転移動を検知するように位置決めされ、検知された回転部材の回転移動を示す複数の第2の信号を生成するように構成されている、光学センサと、加速度計および光学センサと動作可能に結合されているコントローラと、を含み、コントローラが、加速度計によって生成されている複数の第1の信号に基づいて、投薬事象の開始を判定するように構成されており、かつ光学センサによって生成される複数の第2の信号に基づいて、投薬事象の完了および引き込み移動の完了のうちの少なくとも1つを判定するように構成されている、検知システムと、を備える、デバイス。
【0060】
15.センサシステムが、複数の第1の信号および第2の信号に基づいて、各投薬事象に関するデータを記録し、かつ記録されたデータを別個のデバイスに通信するように構成されている、態様14に記載のデバイス。
【0061】
16.コントローラが、第1の信号および第2の信号のうちの少なくとも1つから誤動作を判定するように構成されている、態様14~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【0062】
17.回転部材の外周面が、光学センサによって認識可能な複数のセンサターゲットを含み、デバイスが引き込み移動を実行するとき、薬剤容器の送達位置から格納位置への移動が成功であるかどうか、コントローラが、複数の第2の信号の分析から判定するように構成されている、態様14~16のいずれか一項に記載のデバイス。
【0063】
18.コントローラが、第1の信号からの信号スパイクおよび第2の信号からの初期スパイクに基づいて、投薬事象の持続時間を判定するように構成されている、態様14~17のいずれか一項に記載のデバイス。
【0064】
19.センサシステムが、投薬事象の開始、投薬事象の完了、および引き込み移動の完了をユーザインターフェースに通信し、それによりユーザに投薬事象の開始、投薬事象の完了および引き込み移動の完了の発生を通知する、態様14~18のいずれか一項に記載のデバイス。
【0065】
20.ユーザインターフェースが、記録されたデータを受信する別個のデバイス上に配設されている、態様19に記載のデバイス。
【0066】
21.針、第1のセンサ、第2のセンサ、回転センサ、および引き込み機構を有する、薬剤送達デバイスの動作状態を判定するための方法であって、第1のセンサによって生成された複数の第1の信号の信号スパイクに基づいて、伸長位置にある針から投薬事象の開始を判定することと、引き込み機構の回転部材の回転を検知する第2のセンサによって生成された複数の第2の信号の初期スパイクに基づいて、伸長位置にある針から投薬事象の終了を判定することと、第2のセンサによって生成された、第2の信号の初期スパイクに続く、第2の信号の所定のスパイクに基づいて、伸長位置から針の針引き込みの終了を判定することと、判定された投薬事象の開始、判定された投薬事象の完了、および判定された針引き込みの完了のうちの少なくとも1つを、ユーザインターフェース上に示すことと、を含む、方法。