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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】車載カメラレンズ及びイメージング設備
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20221019BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021529512
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 CN2019106771
(87)【国際公開番号】W WO2020114040
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-02-01
(31)【優先権主張番号】201811481325.0
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520360408
【氏名又は名称】江西聯創電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】陳偉建
(72)【発明者】
【氏名】劉緒明
(72)【発明者】
【氏名】曾吉勇
【審査官】岡田 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173807(JP,A)
【文献】特開2019-211598(JP,A)
【文献】特開平11-125767(JP,A)
【文献】国際公開第2014/175038(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/125539(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108490584(CN,A)
【文献】特開2011-175175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00-17/08
G02B 21/02-21/04
G02B 25/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載カメラレンズであって、物側から像側に向かって、焦点屈折力が負である第1レンズ群と、ダイアフラムと、焦点屈折力が正である第2レンズ群と、焦点屈折力が正である第3レンズ群とから構成され、
前記第1レンズ群は、物側から像側に向かって、第1レンズと、第2レンズとから構成され、前記第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備え、
前記第2レンズ群は、少なくとも、第3レンズを備え、前記第2レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備え、
前記第3レンズ群は、物側から像側に向かって、第4レンズと、第5レンズと、第6レンズとからなり、前記第4レンズの焦点屈折力が正であり、前記第4レンズの物側面及び像側面は、凸面であり、前記第5レンズの焦点屈折力が負であり、前記第5レンズの物側面が凹面であり、前記第6レンズの焦点屈折力が正であり、前記第3レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備え、
前記車載カメラレンズは、以下の条件を満たし、
【請求項2】
前記第1レンズの焦点屈折力が負であり、前記第1レンズの物側面が凸面であり、像側面が凹面であり、前記第1レンズが非球面レンズであり、前記第2レンズの物側面が凹面である、ことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラレンズ。
【請求項3】
前記第3レンズの焦点屈折力が正であり、前記第3レンズの物側面及び像側面は凸面であり、前記第3レンズが非球面レンズである、ことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラレンズ。
【請求項4】
前記第2レンズ群は、1つの第7レンズを更に備え、前記第7レンズが前記第3レンズと前記第3レンズ群との間に設置され、前記第7レンズの焦点屈折力が正であり、前記第7レンズの物側面及び像側面は凸面であり、前記第3レンズの焦点屈折力が正であり、前記第3レンズの物側面及び像側面は凸面である、ことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラレンズ。
【請求項5】
前記第4レンズと前記第5レンズとが接合体に接合され、前記第6レンズの物側面が凸面であり、前記第6レンズが非球面レンズである、ことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラレンズ。
【請求項6】
【請求項7】
前記車載カメラレンズは、以下の条件を満たし、
この式において、TTLは前記車載カメラレンズの光学システム全長であり、fは前記車載カメラレンズのシステム焦点距離である、ことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラレンズ。
【請求項8】
前記車載カメラレンズの各レンズがガラスレンズで構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラレンズ。
【請求項9】
前記車載カメラレンズの開口数が1.5以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の車載カメラレンズ。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1つに記載の車載カメラレンズと、イメージング素子とを備えるイメージング設備であって、前記イメージング素子は、前記車載カメラレンズで形成される光学画像を電気信号に変換する、ことを特徴とするイメージング設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2018年12月05日付け中国特許庁に提出された出願番号が2018114813250である発明の名称が「車載カメラレンズ及びイメージング設備」である特許出願に基づく優先権を主張し、そのすべての内容が本出願に含まれている。
本発明は、光学レンズの技術分野に属し、特に車載カメラレンズ及びイメージング設備に関する。
【背景技術】
【0002】
ADAS(Advanced Driving Assistant System、先進運転支援システム)が自動車に使用されるにつれて、車載カメラも広く使用されるようになった。それに応じて、安全な運転のために、車載カメラの需要も高まっている。光学レンズは、このような車載カメラの重要な構成である。
【0003】
運転支援システムにおける車載カメラの用途は、主に光学レンズによる画像収集である。カメラ内の感光部回路と制御部が画像を処理し、コンピューターで処理できるデジタル信号に変換する。これによって、車両周辺の道路状況を認識し、前方衝突警告、車線逸脱警告、歩行者検知機能が実現される。車内では車載カメラの位置が異なり、実現する機能も異なるので、光学レンズに対する要求も異なる。
【0004】
電子技術の発達に伴い、車載イメージセンサーも高ピクセル方向に開発されているが、現在使用されている車載レンズは解像度が低く、市場のニーズに応えることは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の問題を解決できる、車載カメラレンズ及びイメージング設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態では、以下の技術的な手段を使用して上記の目的を達成している。
【0007】
第1の観点から、本発明によって提供される車載カメラレンズは、物側から像側に向かって、焦点屈折力が負である第1レンズ群と、ダイアフラムと、焦点屈折力が正である第2レンズ群と、焦点屈折力が正である第3レンズ群とを順に備えている。第1レンズ群は、物側から像側に向かって、第1レンズと第2レンズとを順に備え、第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備える。第2レンズ群は、少なくとも、第3レンズを備え、第2レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備える。第3レンズ群は、物側から像側に向かって、第4レンズと、第5レンズと、第6レンズとを順に備え、第4レンズの焦点屈折力が正であり、第4レンズの物側面及び像側面は凸面であり、第5レンズの焦点屈折力が負であり、第5レンズの物側面が凹面であり、第6レンズの焦点屈折力が正であり、第3レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備える。
【0008】
第2の観点から、本発明によって提供されるイメージング設備は、上述した車載カメラレンズ及びイメージング素子を備え、イメージング素子は、車載カメラレンズで形成された光学画像を電気信号に変換するように用いられている。
【発明の効果】
【0009】
従来の技術と比較して、本発明によって提供される車載カメラレンズ及びイメージング設備の解像度が高く、イメージング効果が優れる。車載カメラレンズの第1レンズ群は集光に使用され、非球面レンズの使用は、レンズの焦点距離が長くなり、レンズはより狭い視野でより良く認識できる。第2レンズ群は、本レンズシステムの球面収差を校正し、イメージングレンズの解像度を向上させることができる。第3レンズ群は、色収差を校正するために使用され、非球面レンズは、本レンズシステムの像面非点収差を校正し、イメージングレンズの解像度を向上させることができる。
本発明の利点は、以下の説明またはい以下の実施形態に関する説明で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の上述した特徴及び追加特徴による優れる点について、以下の図面を参照しながら詳細且つ名確認に説明する。
図1】本発明の第1実施形態によって提供される車載カメラレンズの構造概念図である。
図2】本発明の第1実施形態における車載カメラレンズの変調伝達関数曲線図である。
図3】本発明の第1実施形態における車載カメラレンズの像面湾曲曲線図である。
図4】本発明の第1実施形態における車載カメラレンズの歪曲収差曲線図である。
図5】本発明の第2実施形態によって提供される車載カメラレンズの構造概念図である。
図6】本発明の第2実施形態における車載カメラレンズの変調伝達関数曲線図である。
図7】本発明の第2実施形態における車載カメラレンズの像面湾曲曲線図である。
図8】本発明の第2実施形態における車載カメラレンズの歪曲収差曲線図である。
図9】本発明の第3実施形態によって提供される車載カメラレンズの構造概念図である。
図10】本発明の第3実施形態における車載カメラレンズの変調伝達関数曲線図である。
図11】本発明の第3実施形態における車載カメラレンズの像面湾曲曲線図である。
図12】本発明の第3実施形態における車載カメラレンズの歪曲収差曲線図である。
図13】本発明の第4実施形態によって提供される車載カメラレンズの構造概念図である。
図14】本発明の第4実施形態における車載カメラレンズの変調伝達関数曲線図である。
図15】発明の第4実施形態における車載カメラレンズの像面湾曲曲線図である。
図16】本発明の第4実施形態における車載カメラレンズの歪曲収差曲線図である。
図17】発明の第5実施形態によって提供される車載カメラレンズの構造概念図である。
図18】本発明の第5実施形態における車載カメラレンズの変調伝達関数曲線図である。
図19】本発明の第5実施形態における車載カメラレンズの像面湾曲曲線図である。
図20】本発明の第5実施形態における車載カメラレンズの歪曲収差曲線図である。
図21】本発明の第6実施形態によって提供される車載カメラレンズの構造概念図である。
図22】本発明の第6実施形態における車載カメラレンズの変調伝達関数曲線図である。
図23】本発明の第6実施形態における車載カメラレンズの像面湾曲曲線図である。
図24】本発明の第6実施形態における車載カメラレンズの歪曲収差曲線図である。
図25】本発明の第7実施形態によって提供されるイメージング設備の構造概念図である。
【符号の説明】
【0011】

【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、特徴及び利点をより詳しく理解するために、以下添付の図面を参照しながら本発明の実施形態の詳細を説明する。添付の図面は、本発明の各実施形態を示しているが、本発明は異なる形式、にも実現できるので、本明細書に記載する実施形態に限らないことを留意されたい。ここに記載されている実施形態は、本発明に開示された内容をより徹底的かつ包括的に例示することを目的としている。
【0013】
本発明の目的は、車載カメラレンズに対する高解像度の市場ニーズを満たすために、複数の非球面レンズを使用してイメージングレンズの解像度を向上させることで、8Mピクセル仕様のチップに適合できる、車載カメラレンズを提供することである。
【0014】
本発明の目的は、車載カメラレンズの画角が大きく、車の周囲情報をより多く収集して、死角によって引き起こされる潜在的な安全上の危険を低減することができる、車載カメラレンズを提供することである。
【0015】
本発明の目的は、第1レンズ群の第1レンズが非球面レンズであり、同じサイズのチップを使用する場合でも、イメージングレンズの焦点距離を増大させ、像面中央領域のイメージング効果を向上させることができる、車載カメラレンズを提供することである。
【0016】
本発明の目的は、大開口数の特性を有し、レンズを通過する光の量を増加させ、暗い光量の条件下でも良好なイメージング効果を奏し、暗い環境で運転することの隠れた安全上の危険を減すことができる、車載カメラレンズを提供することである。
【0017】
本発明の目的は、車載用品が使用する過酷な作業環境に対応できる信頼性の高いガラス材料を使用する、車載カメラレンズを提供することである。
【0018】
上記の任意の目的を達成するために、本発明は以下の技術的な手段を採用する。
【0019】
本発明によって提供される車載カメラレンズ及びイメージング設備は、物側から像側に向かって、焦点屈折力が負である第1レンズ群と、ダイアフラムと、焦点屈折力が正である第2レンズ群と、焦点屈折力が正である第3レンズ群とを順に備える。第1レンズ群物側から像側に向かって、第1レンズと第2レンズとを順に備え、第1レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備える。第2レンズ群は、第3レンズを少なくとも備え、且つ、第2レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備える。第3レンズ群は、物側から像側に向かって、第4レンズと、第5レンズと、第6レンズとを順に備え、第4レンズの焦点屈折力が正であり、第4レンズの物側面及び像側面が凸面であり、第5レンズの焦点屈折力が負であり、第5レンズの物側面が凹面であり、第6レンズの焦点屈折力が正であり、第3レンズ群は、少なくとも1つの非球面レンズを備えている。
【0020】
ある実施形態では、第1レンズの焦点屈折力が負であり、第1レンズの物側面が凸面であり、像側面が凹面であり、第1レンズが非球面レンズであり、第2レンズの物側面が凹面である。
【0021】
ある実施形態では、第3レンズの焦点屈折力が正であり、第3レンズの物側面及び像側面は凸面であり、第3レンズが非球面レンズである。
【0022】
ある実施形態では、第2レンズ群は、1つの第7レンズを更に備え、第7レンズが第3レンズと第3レンズ群との間に位置され、第7レンズの焦点屈折力が正であり、第7レンズの物側面及び像側面は凸面であり、第3レンズの焦点屈折力が正であり、第3レンズの物側面及び像側面は凸面である。
【0023】
ある実施形態では、第4レンズと第5レンズとが接合体に接合され、第6レンズの物側面が凸面であり、第6レンズが非球面レンズである。
【0024】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズは、以下の条件を満たす。
この式において、
は第1レンズの最大有効開口であり、θは車載カメラレンズの最大実視野(Field of view)であり、単位がラジアン(弧度)であり、fは車載カメラレンズのシステム焦点距離である。式(1)の条件を満たすと、レンズのフロントポート径を小さくすることができ、レンズのイメージングシステムの体積を減小することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズは、以下の条件を満たす。
この式において、
は第1レンズ群の組み合わせレンズの焦点距離であり、
は第2レンズ群の組み合わせレンズの焦点距離であり、fは車載カメラレンズのシステム焦点距離である。式(2)の条件を満たすと、第1レンズ群の組み合わせレンズ焦点距離が負数となり、広い実視野を実現するのに有利である。また、第2レンズ群の組み合わせレンズ焦点距離が式(3)の条件を満たすと、光をより集光することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズは、以下の条件を満たす。
この式において、
は車載カメラレンズの最大実視野に対応する像高であり、θは車載カメラレンズの最大実視野であり、単位がラジアンであり、fは車載カメラレンズのシステム焦点距離である。式(4)の条件を満たすと、レンズの実視野及び像面のサイズを変更しなくても、レンズの焦点距離が長くなり、像面の中央領域におけるイメージング効果を強調されることができる。
【0027】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズは、以下の条件を満たす。
この式において、
は第1レンズの物側面中心部の曲率半径であり、
は第2レンズの物側面中心部の曲率半径であり、fは車載カメラレンズのシステム焦点距離である。式(5)及び(6)の条件を満たすと、車載カメラレンズの像側焦点距離を効果的に短縮することができ、車載カメラレンズの全長を短くすることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズは、以下の条件を満たす。
この式において、
は第2レンズ群における各レンズの中心厚さの和であり、fは車載カメラレンズのシステム焦点距離であり、
は第2レンズ群における各レンズの屈折率の温度係数の和である。式(7)及び(8)の条件を満たすと、レンズの解像度の向上に役立だけではなく、異なる温度環境でも優れる画像品質が得られる。
【0029】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズは、以下の条件を満たす。
この式において、TTLは車載カメラレンズの全長であり、fは車載カメラレンズのシステム焦点距離である。式(9)の条件を満たすと、比較的小型の車載カメラレンズが得られる。
【0030】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズにおける各レンズは、ガラスレンズである。ガラスレンズの使用は、レンズの経年劣化を効果的に遅らせることができ、且つ温度を適切に制御し、さまざまな温度状況に適応でき、より長いた耐用年数と安定性が得られる。
【0031】
本発明の一実施形態によって提供される車載カメラレンズの開口数が1.5以下である。
【0032】
本発明の一実施形態によって提供されるイメージング設備では、イメージング設備は、上記の実施形態のいずれか1に記載の車載カメラレンズ及びイメージング素子を備え、イメージング素子が車載カメラレンズによって形成された光学画像を電気信号に変換することに用いられている。
【0033】
ある実施形態では、各非球面レンズの表面形状が以下の式を満たしている。
この式において、zは光軸方向において曲面と曲面頂点との距離、hは光軸から曲面までの距離であり、cは曲面頂点の曲率であり、Kは二次曲面係数であり、B、C、D、E、Fはそれぞれ4次、6次、8次、10次、12次の曲面係数である。
【0034】
上述した車載カメラレンズは、ガラス球面と非球面を組み合わせる方式を採用しており、イメージングシステムの各種収差をより良く校正し、従来の車載カメラレンズと比較して、解像度が高く、イメージング効果が優れる。この構造によって、自動車の自動運転補助システムがより広い範囲の周囲情報を収集することができるとともに、車載カメラレンズの高解像度及び大きな開口数を実現することによって、ソフトウェアは様々な情報をより適切に識別及び判斷することができ、自動運転の安全性を向上させることができる。
【0035】
以下、図面及び表を参照しながら、本発明に係る車載カメラレンズの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の各実施形態では、車載カメラレンズにおける各レンズの厚さ及び曲率半径は異なり、その具体的なパラメーターが各実施形態のパラメーター表に示されている。
【0036】
第1実施形態
図1に示すように、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ10は、物側S0から像側S14に向かって、焦点屈折力が負である第1レンズ群Q1と、ダイアフラムSTと、焦点屈折力が正である第2レンズ群Q2と、焦点屈折力が正である第3レンズ群Q3とを順に備えている。
【0037】
第1レンズ群Q1は、物側S0から像側S14に向かって、第1レンズL1と、第2レンズL2とを順に備え、第1レンズL1の焦点屈折力が負であり、第1レンズL1の物側面S1は凸面であり、像側面S2は凹面であり、第1レンズL1がガラス非球面レンズであり、第2レンズL2の焦点屈折力が正であり且つ同心のレンズであり、第2レンズL2の物側面S3が凹面であり、像側面S4が凸面であり、第2レンズL2がガラス球面レンズである。
【0038】
第2レンズ群Q2は第3レンズL3で構成され、第3レンズL3の焦点屈折力が正であり、第3レンズL3の物側面S5及び像側面S6は凸面であり、第3レンズL3がガラス非球面レンズである。
【0039】
第3レンズ群Q3は、物側S0から像側S14に向かって、第4レンズL4と、第5レンズL5と、第6レンズL6とを順に備え、第4レンズL4の焦点屈折力が正であり、第4レンズL4の物側面S7及び像側面S8は凸面であり、第4レンズL4がガラス球面レンズである。第5レンズL5の焦点屈折力が負であり、第5レンズL5の物側面S8が凹面であり、像側面S9が凹面であり、第5レンズL5がガラス球面レンズである。第6レンズL6の焦点屈折力が正であり、第6レンズL6の物側面S10が凸面であり、像側面S11が凹面であり、第6レンズL6がガラス非球面レンズである。第4レンズL4と第5レンズL5とが接合体に接合され、S8が接合面である。
【0040】
第3レンズ群Q3と像面S16との間に設置されるフィルターG1は、物側面がS12であり、像側面がS13である。
【0041】
本実施形態における車載カメラレンズ10における各レンズの関連パラメーターは、表1に示されている。
【表1】
【0042】
本実施形態における各非球面レンズのパラメーターは、表2に示されている。
【表2】
【0043】
本実施形態では、変調伝達関数(Modulation Transfer Function)、像面湾曲及び歪曲収差の曲線図は図2図3及び図4に示されている。図2図4に示すように、本実施形態における変調伝達関数の数値が非常に高く、これは、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ10の解像度が高いことを示している。また、本実施形態における像面湾曲及び歪曲収差の曲線図より、本実施形態における像面湾曲及び歪曲収差はより良く校正されたことは分かる。
【0044】
第2実施形態
図5に示すように、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ20は、第1実施形態における車載カメラレンズ10に類似するが、各レンズの曲率半径及び材料が異なり、各レンズの関連パラメーターは表3に示されている。
【0045】
【表3】
【0046】
本実施形態における各非球面レンズのパラメーターは表4に示されている。
【表4】
【0047】
本実施形態における変調伝達関数、像面湾曲及び歪曲収差曲線図は、図6図7及び図8に示されている。図6図8に示すように、本実施形態における変調伝達関数の数値が高く、これは、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ20の解像度が高いことを示している。本実施形態の像面湾曲及び歪曲収差曲線図より、本実施形態では、像面湾曲及び歪曲収差がより良く校正されたことは分かる。
第3実施形態
【0048】
図9に示すように、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ30は、第1実施形態における車載カメラレンズ10に類似するが、異なる点は、本実施形態に使用される車載カメラレンズ30の第2レンズL2の焦点屈折力が負であり、像側面が凹面であり、第6レンズL6の像側面が凸面であり、また、各レンズの曲率半径及び材料も異なる。各レンズの関連パラメーターは表5に示されている。
【0049】
【表5】
【0050】
本実施形態における各非球面レンズのパラメーターは表6に示されている。
【表6】
【0051】
本実施形態における変調伝達関数、像面湾曲及び歪曲収差の曲線図は、図10図11及び図12に示されている。図10図12に示すように、本実施形態における変調伝達関数の数値が非常に高く、これは、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ30の解像度が高いことを示している。また、本実施形態における像面湾曲及び歪曲収差の曲線図より、本実施形態における像面湾曲及び歪曲収差はより良く校正されたことは分かる。
【0052】
第4実施形態
図13に示すように、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ40は、物側S0から像側S16に向かって、焦点屈折力が負である第1レンズ群Q1と、ダイアフラムSTと、焦点屈折力が正である第2レンズ群Q2と、焦点屈折力が正である第3レンズ群Q3とを順に備えている。
【0053】
第1レンズ群Q1は、物側S0から像側S16に向かって、第1レンズL1と、第2レンズL2とを順に備え、第1レンズL1の焦点屈折力が負であり、第1レンズL1の物側面S1が凸面であり、像側面S2が凹面であり、第1レンズL1がガラス非球面レンズであり、第2レンズL2の物側面S3が凹面であり、像側面S4が凸面であり、第2レンズL2がガラス球面レンズである。
【0054】
第2レンズ群Q2は、物側S0から像側S16に向かって、第3レンズL3と第7レンズL7とを順に備え、第3レンズL3の焦点屈折力が正であり、第3レンズL3の物側面S5及び像側面S6は凸面であり、第3レンズL3がガラス球面レンズである。第7レンズL7の焦点屈折力が正であり、第7レンズL7の物側面S7及び像側面S8は凸面であり、第7レンズL7がガラス非球面レンズである。
【0055】
第3レンズ群Q3は、物側S0から像側S16に向かって、第4レンズL4と第5レンズL5と第6レンズL6とを備え、第4レンズL4の焦点屈折力が正であり、第4レンズL4の物側面S9及び像側面S10は凸面であり、第4レンズL4はガラス球面レンズである。第5レンズL5の焦点屈折力が負であり、第5レンズL5の物側面S10が凹面であり、像側面S11が凸面であり、第5レンズL5がガラス球面レンズである。第6レンズL6の焦点屈折力が正であり、第6レンズL6の物側面S12及び像側面S13は凸面であり、第6レンズL6がガラス非球面レンズである。第4レンズL4と第5レンズL5とが接合体に接合され、S10が接合面である。
【0056】
第3レンズ群Q3と像面S16との間に設置されるフィルターG1の物側面がS14であり、像側面がS15である。
【0057】
本実施形態における車載カメラレンズにおける各レンズの関連パラメーターは、表7に示されている。
【表7】
【0058】
本実施形態の各非球面レンズのパラメーターは表8に示されている。
【表8】
【0059】
本実施形態の変調伝達関数、像面湾曲及び歪曲収差曲線図は、図14図15及び図16に示されている。図14図16より、本実施形態の変調伝達関数の数値が非常に高く、これは、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ40の解像度が高いことを示している。本実施形態の像面湾曲及び歪曲収差曲線図より、本実施形態の像面湾曲及び歪曲収差はより良く校正されたことは分かる。
第5実施形態
【0060】
図17に示すように、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ50は、第4実施形態の車載カメラレンズ40に類似するが、異なる点は、本実施形態における車載カメラレンズ50の第2レンズL2の像側面S4が凹面であり、第5レンズL5の像側面S11が凹面であり、また、各レンズの曲率半径及び材料も異なる。各レンズの関連パラメーターは表9に示されている。
【0061】
【表9】
【0062】
本実施形態の各非球面レンズのパラメーターは表10に示されている。
【表10】
【0063】
本実施形態の変調伝達関数、像面湾曲及び歪曲収差曲線図は、図18図19及び図20に示されている。図18図20に示すように、本実施形態の変調伝達関数の数値が非常に高く、これは、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ50の解像度が高いことを示している。本実施形態の像面湾曲及び歪曲収差曲線図より、本実施形態の像面湾曲及び歪曲収差はより良く校正されたことは分かる。
第6実施形態
【0064】
図21に示すように、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ60は、第4実施形態の車載カメラレンズ40に類似するが、異なる点は、本実施形態の車載カメラレンズ60第5レンズL5の像側面S11が凹面であり、また、レンズの曲率半径及び材料も異なる。各レンズの相関パラメーターは、表11に示されている。
【0065】
【表11】
【0066】
本実施形態の各非球面レンズのパラメーターは表12に示されている。
【表12】
【0067】
本実施形態の変調伝達関数、像面湾曲及び歪曲収差曲線図は、図22図23及び図24に示されている。図22図24に示すように、本実施形態の変調伝達関数の数値が非常に高く、これは、本実施形態によって提供される車載カメラレンズ60の解像度が高いことを示している。本実施形態の像面湾曲及び歪曲収差曲線図より、本実施形態の像面湾曲及び歪曲収差はより良く校正されたことは分かる。
【0068】
表13は、上記の6つの実施形態及びそれに対応する光学パラメーター(システム焦点距離f、開口数F#、実視野FOV、システム全長TTL、及び上記の各条件式に対応する数値)を示している。
【0069】
【表13】
【0070】
上述した実施形態の変調伝達関数曲線図より、変調伝達関数の数値が非常に高く、これは、本発明によって提供される車載カメラレンズの解像度が高いことを示している。また、上述した実施形態のF#開口数が1.5以下である。これは、本発明によって提供される車載カメラレンズが大開口数の特性を有する同時に、F#開口数が小さく、暗い環境でのイメージング効果を向上させることができることを示している。
第7実施形態
【0071】
図25に示すように、本実施形態によって提供されるイメージング設備100は、上述した実施形態のいずれか1つに記載の車載カメラレンズ(例えば、車載カメラレンズ10)及びイメージング素子70を備え、イメージング素子70は、車載カメラレンズ10で生成された光学画像を電気信号に変換するように用いられている。
【0072】
イメージング素子70は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor、相補型金属酸化膜半導体)画像センサー、またはCCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)画像センサーである。
【0073】
イメージング設備100は、車載カメラまたは車載モニターなどである。
【0074】
本実施形態によって提供されるイメージング設備100は車載カメラレンズ10を備えている。車載カメラレンズ10は、ガラス球面と非球面との組み合わせによって、イメージングシステムの各種収差をより良く校正できるので、本実施形態によって提供されるイメージング設備100は、高解像度及び優れるイメージング効果などの利点を有する。
【0075】
上記の実施形態は、本発明のいくつかの実施形態を例示するだけであり、それらの説明は、より具体的かつ詳細であるが、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の技術的な思想から逸脱することなく、当該技術分野における技術者にとって、いくつかの変更および改良を行うことができるが、これらはすべて本発明の保護範囲に含まれることである。本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲である。
図1
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図23
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図25