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  • 特許-増容量架空絶縁電線 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-18
(45)【発行日】2022-10-26
(54)【発明の名称】増容量架空絶縁電線
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/17 20060101AFI20221019BHJP
   H01B 7/42 20060101ALI20221019BHJP
   H01B 9/02 20060101ALI20221019BHJP
【FI】
H01B7/17
H01B7/42 D
H01B9/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021573768
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 KR2020007632
(87)【国際公開番号】W WO2020251296
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0070883
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521542878
【氏名又は名称】ナノ ティム テック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン クァン ヒョン
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-045885(JP,A)
【文献】特開昭58-102405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/17
H01B 7/42
H01B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼線1と、
前記鋼線1を囲み、アルミニウム線2を含む導体層10と、
前記導体層10を囲み、カーボン系ナノ粒子を含有する半導電層20と、
前記半導電層20を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する絶縁層30と、
前記絶縁層30を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する熱伝導層40と、
前記熱伝導層40を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する耐候性被覆層50と、
を含み、
前記鋼線1は、200kgf/mm以上の引張強度を有し、前記鋼線1は、その外周に、亜鉛めっき、亜鉛-アルミニウム-ミッシュメタルの合金めっき、およびアルミニウム被覆から選択される任意の1つの表面処理がなされており、
前記半導電層20は、全樹脂組成物100重量部に対してカーボン系ナノ粒子を2~20重量部含有し、前記アルミニウム線2は、7~12kgf/mmの引張強度を有し、前記半導電層20として、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンメチルアクリレート、エチレンビニルアクリレート、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、及びポリスチレンからなる群から選択される1種以上が組み合わせて用いられ、前記カーボン系ナノ粒子として、カーボンナノチューブ(CNT)グラフェン、グラフェンナノプレートレット、及びナノカーボンブラックを含む種々の炭素系ナノ物質の群から選択される1種以上が組み合わせて用いられ、
前記半導電層20はまた、カーボン系ナノ粒子を前記樹脂組成物100重量部に対して2~20重量部含有する半導電性高分子マトリックスを含み、
架橋剤、酸化防止剤、または加工助剤を含む添加剤が、前記半導層20の前記カーボン系ナノ粒子を含む基本樹脂に添加され、
前記絶縁層30は、全樹脂組成物100重量部に対してカーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を0.5~5.0重量部含有し、前記絶縁層30のための高分子マトリックスを構成する基本樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)が単独で用いられるか、2種以上混合して用いられ、
前記熱伝導層40は、全樹脂組成物100重量部に対してカーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を5.0~15.0重量部含有し、
前記耐候性被覆層50は、全樹脂組成物100重量部に対してカーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を2.0~9.9重量部含有することを特徴とする増容量架空絶縁電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁体を用いて導体の表面を絶縁処理した架空絶縁電線に関し、より具体的には、前記架空絶縁電線の被覆層を熱伝導層及び耐候性被覆層に分割することで、前記架空絶縁電線の連続使用温度及び許容電流容量を増加させることができる増容量架空絶縁電線に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電所で生産された電気は、昇圧変電所で昇圧された後、鉄塔及び架空送電線から構成される送電線路(transmission lines)を介して各使用場所に供給されるが、前記送電線路には、アルミニウム導体や鋼心を有するACSR(Aluminium Conductor Steel Reinforced)電線が用いられている。
【0003】
韓国の電力系統における送電線路は、765kv、345kv、154kvで運営されている。降圧変電所では、送電線路から、電柱と絶縁電線から構成される配電線路に降圧電圧を送る降圧作業を行う。例えば、154kVの送電線路から22kvの配電線路に降圧電圧を送る降圧作業がある。韓国では、2018年を基準として、長さが送電線路は約33,000c-kmであり、配電線路は約436,000c-kmである。
【0004】
送・配電線路の建設においては、高圧で発生する電磁波リスクに対する懸念や景観毀損などの理由から社会的葛藤が生じている状況であるが、その対処法としては、送・配電線路の地中化が望ましい。しかし、その建設コストが架空線路に比べて非常に高いため、結局、電気消費者に莫大な費用がなすり付けられるという問題がある。
【0005】
かかる問題を打開する方法として、前記送電線路では、導体の耐熱性を向上させて常時使用温度90℃から常時使用温度150~230℃に昇温させ、熱膨張係数の低いインバー線(invar wire)などを用いて使用温度での鋼線の熱膨張を抑えることで、架空送電線の許容電流容量を50~100%に増大させる、増容量架空送電線が開発されている。これにより、既存の鉄塔などの設備を利用し、既設置の架空送電線のみを、同一サイズの増容量架空送電線路で交替することで、苦情や過度な投資コストなしに、送電容量の需要増加に適切に対処することができるようになった。
【0006】
ところが、架空配電線路に用いる従来の絶縁電線は、韓国電力標準規格「ES-6145-0021」によると、鋼線(reinforcing wire)、導体層(electrical conductor layer)、半導電層(semi electrical conductive layer)、絶縁層(insulation layer)、及び被覆層(covering layer)の同心円構造を有し、90℃の連続使用温度で用いられているが、許容電流容量を増大させることが困難である。
【0007】
この際、前記絶縁電線は、連続使用温度が90℃を超えると、絶縁層の素材として用いられる架橋ポリエチレンの絶縁耐力と機械的性質の劣化(thermal aging)が加速し、結果として、架空配電線路の事故が引き起こされるという問題があるため、従来の架空送電線の増容量技術を用いて架空絶縁電線に適用することは困難である。
【0008】
上記の問題を解決するために、韓国特許公開第10-2011-0020126号公報には、前記絶縁層の樹脂組成物を改良することで、連続使用温度120℃以上、及び従来の架空絶縁電線に比べて33%向上した許容電流容量が提示されているが、架空絶縁電線の連続使用許容温度を120℃以上に昇温させた際に誘発される導体層の劣化問題と、熱膨張による鋼心のサグ(垂れ量)増加の問題などを解決することが困難である。
【0009】
一方、韓国特許公開第10-2011-0098548号公報には、導体層として、ジルコニウムを含有する耐熱アルミニウム合金を採択し、絶縁層の架橋ポリエチレン樹脂組成物を改良することで、連続使用温度125℃以上、及び従来の架空絶縁電線に比べて37%向上した許容電流容量が提示されているが、熱膨張による鋼線のサグ(垂れ量)増加の問題などに対する解決方案を提示できていないという問題がある。
【0010】
また、上記の特許によると、架空絶縁電線の連続許容温度は120~125℃に限定されており、従来の架空絶縁電線に比べて許容電流容量が33~37%以上増加する効果が開示されているが、架空配電線路の需要容量の増加に効果的に対処できることは言うまでもなく、新設費用に比べて顕著な経済性を提供可能な、架空絶縁電線の 許容電流容量が 50%以上の増加効果は得られないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国特許公開公報第10-2011-0020126号(A)(公開日: 2011.03.02)
【文献】韓国特許公開公報第10-2011-0098548号(A)(公開日: 2011.09.01)
【文献】韓国特許公開公報第10-2019-0000063号(A)(公開日: 2019.01.02)
【文献】韓国特許登録公報第10-0747932号(B1)(登録日: 2007.08.02)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、前記架空絶縁電線の被覆層を熱伝導層及び耐候性被覆層に分割することで、前記架空絶縁電線の連続使用温度及び許容電流容量を増加させることができる増容量架空絶縁電線を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するための本発明の増容量架空絶縁電線は、鋼線と、前記鋼線を囲み、アルミニウム線を含む導体層と、前記導体層を囲み、カーボン系ナノ粒子を含有する半導電層と、前記半導電層を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する絶縁層と、前記絶縁層を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する熱伝導層と、前記熱伝導層を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する耐候性被覆層と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
上述したように、本発明は 少なくとも次のような効果を有する。
【0015】
前記架空絶縁電線の被覆層を熱伝導層及び耐候性被覆層に分割であることはもちろん、前記架空絶縁電線に高分子マトリックス組成物を適用することで、前記架空絶縁電線の連続使用温度を150℃まで増大させるとともに、許容電流容量を従来に比べて50%向上することができるため、前記架空絶縁電線の過度な投資費用なしに送電容量の需要増加に対処できることは言うまでもなく、サグ(垂れ量)増加の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る架空絶縁電線の断面を示した例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を説明する。
【0018】
本発明の増容量架空絶縁電線は、図1に示したように、鋼線1と、前記鋼線1を囲み、アルミニウム線2を含む導体層10と、前記導体層10を囲み、カーボン系ナノ粒子を含有する半導電層20と、前記半導電層20を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する絶縁層30と、前記絶縁層30を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する熱伝導層40と、前記熱伝導層40を囲み、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を含有する耐候性被覆層50と、を含む。
【0019】
先ず、既設置の架空配電線路を用いて許用電流容量を増加させるためには、線路の長さ、許容サグ、電線の鋪設張力などを同一にする必要があり、また、接続金具類を同一に使用すべきである。このような条件下で架空絶縁電線の許容電流容量を増加させると、ジュール加熱(Joule heating)により導体の温度が上昇することになる。現在用いられている従来の架空絶縁電線導体の最大連続使用温度は90℃である。最大許容電流容量を50%増加させると、導体の最大連続使用温度は150℃になる。この際、鋼線と導体の熱膨張量の増加により、架空絶縁電線のサグが増加するという問題が発生する。
【0020】
また、前記連続使用温図150℃で、熱による導体の劣化(thermal aging)が、90℃での劣化よりも加速されるため、従来の架空絶縁電線において導体層の素線として用いられる硬アルミ線(hard drawn aluminium wire)と、鋼線として用いられる引張強度200kgf/mm以下の鋼線は、50%増容量架空絶縁電線に使用が不可能である。
【0021】
したがって、本発明は、最大許容電流容量を50%増大させるべく、前記架空絶縁電線の最大連続使用温度を150℃まで向上させるために、超高強度鋼線と軟化熱処理されたアルミニウム線を用いることを特徴とする。
【0022】
一方、架空絶縁電線の許用電流の増大時に解決すべくさらに1つの技術的問題は、絶縁層(insulation layer)の高分子素材の劣化(thermal aging)による機械的物性及び絶縁耐力(insulation breakdown voltage)の低下である。
【0023】
したがって、本発明は、最大許容電流容量を50%増大させるべく、前記絶縁体の劣化による機械的物性及び絶縁耐力の低下を最小化させるために、前記絶縁層を囲む熱伝導層(thermal conductive layer)を含むことを特徴とする。
【0024】
この際、前記架空絶縁電線の許用電流容量は、絶縁体が劣化することなく耐える最大温度によって決定される。この温度は、一般に90℃と決定される。最も高い絶縁体の温度は、絶縁体と導体との境界面で発生するため、導体の温度によって許用電流が決定される。
【0025】
本発明は、従来の架空絶縁電線の半導電層と絶縁層及び被覆層の熱抵抗度を減少させ、または熱伝導度を増加させることで、架空絶縁電線の最大許容電流容量を増大させることを特徴とし、本発明は、前記最大許容電流をさらに増大させるために、絶縁層30と耐候性被覆層50との間に、熱伝導度が従来の被覆層より著しく高い熱伝導層40を含むことを特徴とする。
【0026】
以下、前記架空絶縁電線100の構成要素を説明する。
【0027】
[1]鋼線(1)
前記鋼線1の引張強度の範囲を200kgf/mm以上に限定する理由は、200kgf/mm未満では、アルミニウムの線熱膨張係数よりも低い線熱膨張係数を有する鋼線の張力分担率が低くなり、結果として、架空絶縁電線の150℃でのサグが増加することにより、既存の電柱を利用しにくくなるためである。
【0028】
前記鋼線1として、線熱膨張係数が非常に低いインバー線も使用可能であるが、前記インバー線は非常に高価であるため、経済的な点から、本発明の一例として採用した超高強度鋼線1が好ましい。前記鋼線1は、外周に、亜鉛めっきもしくは亜鉛-アルミニウム-ミッシュメタルの合金めっき、またはアルミニウム被覆のうち1つの表面処理がなされていることが好ましく、前記鋼線1の表面処理は耐腐食性を向上させるためのことである。
【0029】
[2]導体層(10)
前記導体層の素線として軟化熱処理されたアルミニウム線の引張強度の範囲を限定する理由は、7kgf/mm未満では、撚線(stranding)時に頻繁な断線の恐れがあるためであり、12kgf/mmを超える場合には、劣化による引張強度の低下により、導体使用期間が減少するためである。
【0030】
前記アルミニウム線の断面形状は、円形または台形が好ましい。特に、鋼線と導体層との間に間隙を置くことで、鋼線がサグ維持張力を担うようにする間隙型のサグ抑制架空絶縁電線には台形が採択される。アルミニウム線の軟化熱処理方法及び熱処理条件は、本発明が属する分野において広く知られた技術的思想の範囲で通常用いられるものであれば、制限されずに使用可能である。
【0031】
[3]半導電層(20)
前記半導電層20の素材として用いられる高分子マトリックスを構成する基本樹脂として、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンメチルアクリレート(ethylene methyl acrylate)、エチレンビニルアクリレート、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、及びポリスチレンからなる群から選択される1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0032】
前記カーボン系ナノ粒子として、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube;CNT)グラフェン(Graphene)、グラフェンナノプレートレット(Graphene nano platelet)、ナノカーボンブラック(nano carbon black)などの種々の炭素系ナノ物質群から選択される1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0033】
前記半導電層は、カーボン系ナノ粒子を前記樹脂組成物100重量部に対して2~20重量部含有する半導電性高分子マトリックスからなる。前記カーボン系ナノ粒子を2重量部未満で含む場合には、電気伝導性の向上効果が微小であり、20重量部を超えて含む場合には、押出加工性が低下する。
【0034】
前記カーボン系ナノ粒子を含有する前記基本樹脂に、架橋剤、酸化防止劑、加工助剤などの添加剤が添加され、前記半導電性高分子マトリックス組成物が構成される。基本樹脂100重量部に対して各添加剤の種類及び添加重量部は本発明が属する分野において広く知られた技術的思想の範囲で通常用いられるものであれば、制限されずに使用可能である。
【0035】
[4]絶縁層(30)
前記絶縁層30の素材として用いられる高分子マトリックスを構成する基本樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を単独で用いるか、2種以上混合して用いてもよい。
【0036】
前記カーボン系ナノ粒子として、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube;CNT)グラフェン(Graphene)、グラフェンナノプレートレット(Graphene nano platelet)、ナノカーボンブラック(nano carbon black)などの種々の炭素系ナノ物質群から選択される1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0037】
前記無機ナノ粒子としては、AlN(Aluminum Nitride)、Al(Aluminum Oxide or Alumina)、Al(OH)(Aluminum Trihydroxide)、ATH(Alumina Trihydrate)、BN(Boron Nitride)、BeO(Beryllium Oxide)、BaTiO(Barium Titanate)、CaCO(Calcium Carbonate)、LS(Layered Silicate)、MgO(Magnesium Oxide)、SiC(Silicon Carbide)、SiO(Silicon Dioxide or Silica)、TiO(Titanium Oxide or Titania)、ZnO(Zinc Oxide)などの無機物質のナノ粒子群から1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0038】
前記絶縁層は、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子をそれぞれ前記樹脂組成物100重量部に対して0.5~5.0重量部含有する絶縁性高分子マトリックスからなる。前記数値範囲に関連して、0.5重量部未満で含む場合には、機械的特性の向上効果を発揮されず、5.0重量部を超えて含む場合には、絶縁耐力性能が低下する。
【0039】
前記カーボン系ナノ粒子と前記無機ナノ粒子を含有する前記基本樹脂に、架橋剤、酸化安定剤、酸化安定助剤、UV安定剤、加工助剤などの添加剤が添加され、前記絶縁性高分子マトリックス組成物が構成される。
【0040】
基本樹脂100重量部に対して各添加剤の種類及び添加重量部は本発明が属する分野において広く知られた技術的思想の範囲で通常用いられるものであれば、制限されずに使用可能である。
【0041】
[5]熱伝導層(40)
前記熱伝導層40の素材として用いられる高分子マトリックスを構成する基本樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を単独で用いるか、2種以上混合して用いてもよい。
【0042】
前記カーボン系ナノ粒子として、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube;CNT)グラフェン(Graphene)、グラフェンナノプレートレット(Graphene nano platelet)、ナノカーボンブラック(nano carbon black)などの種々の炭素系ナノ物質群から選択される1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0043】
前記無機ナノ粒子としては、AlN(Aluminum Nitride)、Al(Aluminum Oxide or Alumina)、Al(OH)(Aluminum Trihydroxide)、ATH(Alumina Trihydrate)、BN(Boron Nitride)、BeO(Beryllium Oxide)、BaTiO(Barium Titanate)、CaCO(Calcium Carbonate)、LS(Layered Silicate)、MgO(Magnesium Oxide)、SiC(Silicon Carbide)、SiO(Silicon Dioxide or Silica)、TiO(Titanium Oxide or Titania)、ZnO(Zinc Oxide)などの無機物質のナノ粒子群から1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0044】
前記熱伝導層は、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を、前記樹脂組成物100重量部に対して5.0~15.0重量部含有する熱伝導性高分子マトリックスからなる。前記数値範囲に関連して、5.0重量部未満で含む場合には、熱伝導性特性の向上効果を発揮されず、15.0重量部を超えて含む場合には、絶縁耐力性能が低下する。
【0045】
前記カーボン系ナノ粒子を含有する前記基本樹脂に、架橋剤、酸化安定剤、酸化安定助剤、UV安定剤、加工助剤などの添加剤が添加され、前記絶縁性高分子マトリックス組成物が構成される。基本樹脂100重量部に対して各添加剤の種類及び添加重量部は本発明が属する分野において広く知られた技術的思想の範囲で通常用いられるものであれば、制限されずに使用可能である。
【0046】
[6]耐候性被覆層(50)
前記耐候性被覆層50の素材として用いられる高分子マトリックスを構成する基本樹脂として、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及び超高分子量ポリエチレン(UHMW-PE)を単独で用いるか、2種以上混合して用いてもよい。
【0047】
前記カーボン系ナノ粒子として、カーボンナノチューブ(Carbon Nano Tube;CNT)グラフェン(Graphene)、グラフェンナノプレートレット(Graphene nano platelet)、ナノカーボンブラック(nano carbon black)などの種々の炭素系ナノ物質群から選択される1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0048】
前記無機ナノ粒子としては、AlN(Aluminum Nitride)、Al(Aluminum Oxide or Alumina)、Al(OH)(Aluminum Trihydroxide)、ATH(Alumina Trihydrate)、BN(Boron Nitride)、BeO(Beryllium Oxide)、BaTiO(Barium Titanate)、CaCO(Calcium Carbonate)、LS(Layered Silicate)、MgO(Magnesium Oxide)、SiC(Silicon Carbide)、SiO(Silicon Dioxide or Silica)、TiO(Titanium Oxide or Titania)、ZnO(Zinc Oxide)などの無機物質のナノ粒子群から1種以上組み合わせて用いてもよい。
【0049】
前記耐候性被覆層50は、カーボン系ナノ粒子及び無機ナノ粒子を、前記樹脂組成物100重量部に対して2.0~9.9重量部含有する高分子マトリックスからなる。前記数値範囲に関連して、2.0重量部未満で含む場合には、耐トラッキング(water tee resistance)及び機械的特性の向上効果が発揮されず、9.9重量部を超えて含む場合には、絶縁耐力性能が低下する。
【0050】
前記カーボン系ナノ粒子を含有する前記基本樹脂に、架橋剤、酸化安定剤、酸化安定助剤、UV安定剤、加工助剤、撥水剤などの添加剤が添加され、前記耐候性被覆層高分子マトリックス組成物が構成される。基本樹脂100重量部に対して各添加剤の種類及び添加重量部は本発明が属する分野において広く知られた技術的思想の範囲で通常用いられるものであれば、制限されずに使用可能である。本発明に係る架空絶縁電線100は、連続使用温度が150℃まで向上し、従来の架空絶縁電線に比べて50%向上した許容電流容量を有する。
【0051】
以上の説明は、本発明の一実施例にすぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の本質的特性から逸脱しない範囲で変形された形態で具現することができる。したがって、本発明の範囲は、前述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された内容と同等の範囲内にある様々な実施形態が含まれるように解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0052】
100 架空絶縁電線、1 鋼線、2 アルミニウム線、10 導体層、20 半導電層、30 絶縁層、40 熱伝導層、50 耐候性被覆層。
図1