(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】除加湿空調機
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20221020BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20221020BHJP
F24F 6/04 20060101ALI20221020BHJP
F24F 3/00 20060101ALN20221020BHJP
【FI】
F24F3/14
F24F1/0007 331
F24F6/04
F24F3/00 B
(21)【出願番号】P 2016177104
(22)【出願日】2016-08-15
【審査請求日】2019-07-16
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316013334
【氏名又は名称】伊藤 義夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 義夫
【合議体】
【審判長】松下 聡
【審判官】田村 佳孝
【審判官】平城 俊雅
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-327712(JP,A)
【文献】特開平5-99446(JP,A)
【文献】特開2012-154548(JP,A)
【文献】特開2014-206358(JP,A)
【文献】特開2011-163705(JP,A)
【文献】特開2015-73982(JP,A)
【文献】実開昭51-111763(JP,U)
【文献】特開2002-286250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽1、不織布2、水中ポンプ3、送水管4、プレート熱交換器5で構成した立体水面であって、水を連続して循環し、除加湿が出来る装置であって、立体水面は縦方向に配置した除加湿器であって、冷房時はヒートポンプ8を冷房運転に選択し、ヒートポンプフィン6で室内空気を冷房すると同時に、プレート熱交換器5にも冷媒を送り、水温を室内温度の湿球温度より低い温度以下にした冷却水を不織布2の上部から流し、室内空気と接触させて除湿を行い、
煖房時はヒートポンプ8を煖房運転に選択し、ヒートポンプフィン6で室内空気を煖房すると同時に、プレート熱交換器5にも冷媒を送り、水温を室内空気の湿球温度より高い温度以上に加熱した水を不織布2の上部から流し、室内空気と接触させて加湿を行う空調機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
住居、オフィス、工場、畜舎等を除加湿空調する。
除湿して、夏季の空調を行い、快適な環境を作ることが望まれているが除湿すると、従来の除湿装置では、消費電力が増加する。本件は除加湿して消費電力を減少する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿方法の主な種類は1.冷却除湿方法 2.乾式除湿方法、3.噴霧除湿方法 4.湿式除湿方法等である。
【0003】
冷却除湿方法はエアコンと称していて、夏期に25℃で運転すると、冷房と同時に同時に除湿も作動する様に工夫されており、相対湿度が60%RHになるようになっている。空気を一旦露点温度以下まで下げなければ除湿しないので、吹き出し温度を空調温度より、10℃以上に下げているため、大きなエネルギーを必要している。
又、除湿モードで、運転すると、熱交換フィンの速度が遅くするため、室温は25℃以上に上昇する。また、25℃の冷房温度運転時より、冷凍機がフル回転になるために消費電力が増大する。
一般的に使用しているエアコンは冷却除湿方式であり、25℃に設定運転をすると相対湿度が、60%RH前後又は以下になるように設計されており、快適環境になる。最近は環境庁より、省エネするために、夏季の空調温度を28℃に上げる様に要請があるが、28℃で運転すると、空気中の絶対水分量が上がり、快適環境にならないから、実行されていない場合が多い。
【0004】
乾式除湿方法はシリカゲルに空気を接触させて、除湿する方法である。
この方法はシリカゲルに付着した水分を除く作業が不可欠であり、120℃以上の熱風でシリカゲルを再生しなければならない。
このためにシリカゲルへの加熱電力と、シリカゲルと接触した空気が加熱されるので、余熱を冷却するための冷却電力が必要となる。
最近、稚内の珪藻土を利用し低温度での再生が報じられているが、除湿量が少ないので、未だ実用化されていない。
【0005】
噴霧除湿方法は露点室の中で露点温度に冷却し水を霧状に噴霧して空気気を冷却する方法であるが、この方法は必ず再熱する必要になるので、環境試験機などの小型環境試験機などの小型空調では有効であるが、住宅などの一般空調には不向きである。
【0006】
湿式除加湿方法にて、塩化リチュームや塩化カルシューム溶液を利用した湿式除加湿であり、25℃~30℃の範囲であれば大量の除湿効果ある省エネが可能あるが、塩化リチュームや塩化カルシューム溶液等の再生装置が必要なため、装置が大型化し高価であり、廃液となった、塩化リチュームや塩化カルシュームの廃液処理が必要であるので、あまり普及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-127929 公報
【文献】特開 平11-141855 公報
【文献】特開 平9-159253 公報
【文献】特開 2006-004674 公報
【文献】特開 2007-225154 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
住居、オフィス、工場、畜舎等を空調する(以後一般空調と称する。)場合には温度調節はおこなわれているが湿度調節はほとんど行われていない。
その訳は消費電力が増加するからである。本発明は湿度調節をして空調の省エネを行なう。
【0009】
外国の乾燥地帯では、気温30℃でも、相対湿度が低いので、快適に感じる。恒温恒湿室にて体感試験して真意を確認する実験を行った。エアコンの最適冷却温度は25℃運転時と、室温30℃で相対湿度が40%の比較ではエアコン25℃運転とほとんど同じであった。
20年程前に、体感温度が50人中45人は同じであると千葉大学工学部都市環境部の試験結果(論文これからの空調)がある。この時の除湿方法は乾式除湿方法で記載されていた。
【課題を解決する手段】
【0010】
誰でも水で加湿することは知っていますが、水で除湿することはあまり知られていません。その実験を
図3の恒温恒湿を使用して、実験をします。
密閉した恒温恒湿室に水槽を作り、水を張りみずを冷却出来る様に冷却コイルを設置して、水の温度が調節冷却出来る様にします。
「実験 1」室温30℃水温30℃(成り行き制御)にすると、相対湿度100%になる
「実験 2」室温30℃水温25℃(冷却制御)にすると、相対湿度65%になる
「実験 3」室温30℃水温20℃(冷却制御)にすると、相対湿度40%になる
以上の実験から、冷却した水が除湿したことになる。また水温が湿球温度と同じであることをも発見した。
【0011】
本発明の立体水面の説明をします。冷房時はヒートポンプ8を冷房運転に選択し、ヒートポンプフィン6で室内空気冷房すると同時、プレート熱交換器5にも冷媒を送り、水温を室内温度の湿球温度より低い温度以下に冷却水を不織布2の上部から流し、室内空気と接触させて除湿を行い、煖房時はヒートポンプ8を煖房運転に選択し、ヒートポンプフィン6で室内空気を煖房すると同時に、プレート熱交換器5にも冷媒を送り、水温を室内空気の湿球温度より高い温度に加熱した水を不織布2の上部から流し、室内空気と接触させて加湿を行う空調機である。
【発明の効果】
【0012】
従来のエアコンでは室温25℃運転の室内相対湿度制御すると、相対湿度が60%になる様設計されているので、相対湿度が60%になる。従って室内空気のエンタルピーは(hb57)となり、吹き出し空気温度は15℃なる、従って、吹き出しエンタルピーは(hc42.7)になる、空調機の負荷はエンタルピー差は13.3である。
本発明の立体水面よる空調負荷は、室内の湿度で30℃、室内の相対湿度40%、であり、室内のエンタルピーは(RM57.9)であり、吹き出し空気の温度23.4相対湿度57%であるが、吹き出しエンタルピーは(RM52.0)であるので、本願のエンタルピー差5.9であるから。
従来のエアコンとの、エンタルピー差は13.3に対して、本願の立体水面によるエンタルピー差は5.9であるので、55.4%の省エネになる。その計算は従来方式の本発明の立体水面よる空調負荷(hb57)-(hc42.7)=13.3であり、
本発明の立体水面よる空調負荷の本発明の立体水面よる空調負荷エンタルピー差は(RM57.9)-(RC52.0)=5.9であるから、
消費エンタルピー差比較は44.6%になり、省エネ率の比較では、55.4%である吹き出し温度は立体水面温度以上(23.4℃)であっても、露点温度15℃に除湿されるので、大幅な省エネが明白である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に関わる一般空調に関する温湿度制御の構成を示す図である。
【
図3】冷却した水面で除湿が出来る事を説明するための恒温温湿器の概略図。
【
図4】従来の一般空調に使用されている冷房装置の夏期1日の平均の湿り線図である
【
図5】本発明の立体水面で一般空調に使用された場合の冷房時の夏期1日の平均負荷の湿り線図である
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施形態を
図1~
図5を用いて説明する。
(
図1)は本発明の実施形態に関る一般空調に関する温湿度制御の構成する概略的に示す図であり、本発明の立体水面の構造を示すものである。
1.水槽
2.不織布(立体水面) 3.水中ポンプ 4.送水管 5.プレート熱交換器
6.空調ファン 7.循環ファン 8.ヒートポンプ 等で構成する空調機である。
(
図2)の冷房時はヒートポンプ8を冷房運転に選択し、ヒートポンプフィン6で室内空気冷房すると同時に、プレート熱交換器5にも冷媒を送り、水温を室内温度の湿球温度より低い温度以下に冷却水を不織布2の上部から流し、室内空気と接触させて除湿を行い、煖房時はヒートポンプ8を煖房運転に選択し、ヒートポンプフィン6で室内空気を煖を煖房すると同時に、プレート熱交換器5にも冷媒を送り、水温を室内空気の湿球温度より高い温度に加熱した水を不織布2の上部から流し、室内空気と接触させて
加湿を行う空調機である。
(
図3)は従来の技術の恒温恒湿である。水面が除加湿できることを説明するための参考図である。
1.水槽 4.冷却用ガス管 6.空調用フィン
12.循環ファン。
(
図4)は従来のエアコンの空気湿り線図であり省エネを比較する為の参考図である。
(
図5)は本発明の立体水面による空調を空気湿り線図で説明したものである。省エネを比較するための図である。
【産業業上の利用可能性】
【0015】
空気湿り線図[
図4]に関する
夏期において、外気温度が32℃で、相対湿度50%の時、従来の空調をして室内温度25℃で相対湿度60%の快適な快適環境に制御した場合の消費エネルギーを調べるにはエンタルピー差に風量を乗じる
空気のエンタルピーは空調機入口のエンタルピーは(hb 56.0)空調機出口のエンタルピーは(hc42.7)=エンタルピー差(12.3)×風量を乗じる。
【0016】
空気湿り線図[
図5]に関する。
夏期において、外気温度が32℃で相対湿度50%RHの時、外気温度が32℃で相対湿度50%RHの時、本発明の立体体水面と付属した空調機で室内温度30℃で相対湿度40%の快適環境で制御した場合の消費エネルギーを調べるにはエンタルピーの差に風量を乗じる。
循環空気のエンタルピー(RM57.9
)空調機出口温度のエンタルピー(RC52.0)であり、エンタルピー差(5.9)×風量となる。
【符号の説明】
【0017】
[
図1]の符号
1.水槽 2.
不織布(立体水面) 3.水中ポンプ 4.送水管
5.プレート熱交換器 6. ヒートポンプフィン 8.ヒートポンプ
[
図2]の符号
1.水槽 2.不織布(立体水面) 4.送水管 9.不織布(立体水面)用の固定
器具
[
図3]の符号
1 水槽 10. 冷暖コイル 11.ヒーター
12.循環ファン
[
図4]の符号
A.外気空気 M.室内空気 C.冷却器出口空気
hM.室内エンタルピー hC.冷却器出口エンタルピー
[
図5]の符号
A.外気空気 M.室内空気 C.空調機出口空気
RM.室内エンタルピー RC.空調機出口エンタルピー