(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E04H1/02
(21)【出願番号】P 2018204373
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-079725(JP,A)
【文献】特開2000-230324(JP,A)
【文献】特開2002-047814(JP,A)
【文献】特開2014-101690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関ドアが設けられた外壁に沿って長尺に形成され、上部に吹き抜けが設けられた玄関部と、
前記玄関部に隣接して当該玄関部の長さ方向に沿って形成され1階と2階とを繋ぐ直階段と、
前記玄関部の一端部に繋がるとともに、前記直階段の上り口に隣接する1階居室と、
を備え、
前記玄関部の他端部に屋外からの光を取り入れる第一開口部が形成されるとともに、前記直階段の2階端部に対向する外壁面に光を取り入れる第二開口部が形成され、
前記玄関部の前記一端部及び前記直階段の前記上り口と、前記1階居室との境界をそれぞれ開閉可能に分割された引き戸建具が設けられることを特徴とする住宅。
【請求項2】
前記引き戸建具は明かり障子又は太鼓障子であることを特徴とする請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記第一開口は、1階の床面から天井高にまで亘って形成される
大開口であるとともに、前記第二開口は、2階の床面から天井高にまで亘って形成される大開口であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の住宅。
【請求項4】
前記直階段の下部に前記玄関部からアクセス可能な収納部が形成されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採光性を高めた住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
リビングに設けられた開口部に階上に上がるリビング階段が設けれらるリビング構造において、空調効率を向上させる為に、当該リビング階段の開口部に収納及び引き出し可能なスクリーンを設けた構造が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、外壁に向かって上り勾配の直階段を設けて、当該外壁に大開口を設けることで大開口から取り込んだ光を下階に導くことができる住宅が提案されており、下階の奥まった位置に自然光を取り込むことができる構成となっている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-71051号公報
【文献】特開2014-101690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、階段を利用した採光と空調効率とを両立した技術については知られていない。また、階段を利用した採光とプライバシーの確保とを両立した技術についても知られていない。
【0006】
そこで本発明は、採光性を高めることができるとともに、屋内の断熱性やプライバシーの確保を図ることができる住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の住宅は、玄関ドアが設けられた外壁に沿って長尺に形成され、上部に吹き抜けが設けられた玄関部と、前記玄関部に隣接して当該玄関部の長さ方向に沿って形成され1階と2階とを繋ぐ直階段と、前記玄関部の一端部に繋がるとともに、前記直階段の上り口に隣接する1階居室と、を備え、前記玄関部の他端部に屋外からの光を取り入れる第一開口部が形成されるとともに、前記直階段の2階端部に対向する外壁面に光を取り入れる第二開口部が形成され、前記玄関部の前記一端部及び前記直階段の前記上り口と、前記1階居室との境界をそれぞれ開閉可能に分割された引き戸建具が設けられることを特徴としている。
【0008】
本発明の住宅は、前記引き戸建具は明かり障子又は太鼓障子であることを特徴としている。
【0009】
本発明の住宅は、前記第一開口は、1階の床面から天井面にまで亘って形成される大開口であるとともに、前記第二開口は、2階の床面から天井面にまで亘って形成される大開口であることを特徴としている。
【0010】
本発明の住宅は、前記直階段の下部に玄関部からアクセス可能な収納部が形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の住宅によると、玄関部が、玄関ドアが設けられた外壁に沿って長尺に形成されており、当該玄関部の一端部が一階居室に繋がるとともに、当該玄関部の他端部に屋外から光を取り入れる第一開口部が形成されており、玄関部に隣接して玄関部の長さ方向に沿って1階と2階とを繋ぐ直階段が形成されており、直階段は、上り口が1階居室に隣接し、2階端部に対向する外壁面に光を取り入れる第二開口部が形成されているので、第二開口部から直階段を下るように斜め下方に取り入れられた光が1階居室に取り入れられるとともに、第一開口部から水平方向に取り入れられた光が玄関部を通って1階居室に取り入れられるので、1階居室への採光性を高めて、1階居室をより明るくすることができる。しかも、玄関部の一端部及び直階段の上り口と、1階居室との境界には、玄関の一端部及び直階段の上り口をそれぞれ開閉可能に分割された引き戸建具が設けられているので、1階居室に取り込まれる光の量を調整することができ、1階居室を程よい明るさの空間とすることができる。また、引き戸建具によって1階居室を玄関部及び直階段から空間的に閉じることで、1階居室の断熱性を高めて空調効率を高めることができる。また、外部から第一開口部を通る視線を引き戸建具で遮ることができるので、1階居室のプライバシーを確保することができる。第一開口部自体にカーテンなどの視線を遮るものを設置するのではなく、玄関部と1階居室との間の引き戸建具で視線を遮ることで、住宅を奥行き感のある立体的な外観とすることができる。そして、引き戸建具が、玄関部の一端部及び直階段の上り口を閉じる建具が引き戸建具であるので完全に閉じるだけではなく、一部のみを閉じるなど自由に引き戸建具を配置することができるので、採光性、プライバシー、断熱性などの要素を居住者が自由に判断して居住者の居心地のよい空間とすることができる。
【0012】
本発明の住宅によると、引き戸建具が明かり障子又は太鼓障子であるので、引き戸建具を閉じた場合であっても第一開口部及び第二開口部から柔らかな光を取り入れることができ、プライバシーや断熱性を確保しつつ、1階居室を居心地よい空間とすることができる。特に太鼓障子は断熱性に優れるので、1階居室の空調効率をより高めることができる。
【0013】
本発明の住宅によると、第一開口は、1階の床面から天井面にまで亘って形成される大開口であるとともに、第二開口は、2階の床面から天井面にまで亘って形成される大開口であるので、外部からより多くの光を取り込むことができ、引き戸建具で取り込んだ光を調節して1階居室に取り入れることができる。
【0014】
本発明の住宅によると、直階段の下部に玄関部からアクセス可能な収納部が形成されるので、玄関部と直階段とを平行に隣接させて配置した間取りでありつつ、階段下スペースを有効に活用して、玄関部に下駄箱などの収納家具を設置する必要がないので、第一開口部から取り込んだ光を1階居室に遮るものなく取り入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】引き戸建具の配置のバリエーションを示す図。
【
図5】住宅を配置する敷地及び隣地の状況を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る住宅1の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。本実施形態における住宅1は、
図5に示すように、間口方向よりも奥行き方向が長く形成された矩形の敷地11に建設されている。そして、住宅1の敷地11は南側を公道12に接道している。当該敷地11の東西北の3方向の隣地には、例えば隣接家屋13が設けられている。なお、隣地は隣接家屋13に限られず、例えば駐車場、集合住宅、商業施設、公共施設などの他の用途に利用されるものであってもよい。なお、本実施形態において、東西南北の方角は厳密な方角を意味するものではなく、「北」は少なくとも北西から北東の範囲であり、「東」「西」「南」についても同様に、北東から南東、北西から南西、南東から南西の範囲をいう。本実施形態においては、敷地11は南側を公道12に接道しているが、これに限定されるものではなく、敷地11の接道方向が他の方角であっても良い。また、敷地11は矩形のものに限定されるものではなく、例えば旗竿敷地などの他の異なる形状の敷地11であってもよい。
【0017】
敷地11の公道12寄りには、ガレージ14が設けられており、当該ガレージ14の奥側に住宅1が建設されている。ガレージ14には図示しないが木製ゲートが配置されている。また、住宅1の周りには屋内側への視線を遮る位置に植栽15が配置されており、外部からの視線を遮るとともに、屋内からも緑を楽しむことができるように構成されている。敷地11には東側の境界に沿ってアプローチ16が設けられており、公道12から玄関への経路となっている。アプローチ16は、玄関に向かって上り勾配のスロープとなっており、公道12から玄関に向かって段差無くアクセスすることができるバリアフリーの構造となっている。
【0018】
住宅1の1階は、
図1に示すように、平面視略矩形に形成されており、南向きの外壁の東側の端部には袖壁17が形成されている。東側の袖壁17は隣接家屋13からの視線を遮って、住宅1の屋内のプライバシーを守る。また、南向きの外壁の西側の端部にも袖壁17よりも長く突出した壁体18が形成されている。壁体18は後述する2階オーバーハング部の荷重を支える。
【0019】
住宅1の1階の東向きの外壁には玄関ドア21が設けられている。玄関ドア21は住宅1の敷地11の東側の境界に沿って形成されたアプローチ16に繋がる玄関ポーチ22に隣接している。玄関ドア21の屋内側には玄関部2が形成されている。玄関部2は、床面が土間床となっており、玄関ドア21が設けられた外壁に沿って南北方向に長尺に形成されている。玄関部2の上部は2階に繋がる吹き抜け23となっており、玄関部2が広がりある印象となっている。また、玄関部2は、北側の端部が1階居室3に繋がるとともに、南側の端部には、南側の外壁となっており、屋外から光を取り入れる第一開口部4が形成されている。
【0020】
第一開口部4は、嵌め殺しの透明なガラス窓であり、高さ方向は1階の床面から1階の天井高までに亘る大開口である。また、第一開口部4の幅は玄関部2から玄関部2に隣接する直階段5の下方にまで延びて形成されている。なお、玄関部2は吹き抜け23であるので天井は存在してないので、第一開口部4の高さは住宅1の1階の他の部分の天井高と等しいが、第一開口部4の高さは天井高よりも僅かに低いものであっても良いし、又は、2階の床高さまで延びて形成されていても良い。
【0021】
玄関部2の隣には、当該玄関部2の長さ方向に沿って1階と2階とを繋ぐ直階段5が形成されている。直階段5は、第一開口部4が設けられた南側の外壁に向かって上り勾配に形成されており、2階廊下71に繋がる階段ホール72に接続されている。直階段5の玄関部2側には手摺が設けられている。また、階段ホール72の下側には、玄関部2と1階廊下61とを繋ぐ通路24が形成されている。1階廊下61は直階段5を挟んで玄関部2と平行に配置された廊下である。1階廊下61は挽き板のフローリング床となっており、玄関部2の土間床と同じ床レベルに形成されている。また、直階段5の下側には、収納部6が設けられている。収納部6は、通路24を介して玄関部2からアクセス可能となっており、シューズクロークとして利用される。このように直階段5下にシューズクロークとして利用可能な収納部6を設けたことで、直階段5下スペースを有効に活用して、玄関部2に下駄箱などの収納家具を設置する必要がないので、第一開口部4から取り込んだ光が遮られることがない。なお、本実施形態のシューズクロークは、通路24側と1階廊下61側の両方から出入り可能に構成されたウォークスルー形式のシューズクロークである。
【0022】
また、
図2に示すように、直階段5の2階端部に対向する外壁面に光を取り入れる第二開口部7が形成されている。第二開口部7は直階段5から階段ホール72を挟んで南側の外壁に形成されている。第二開口部7は第一開口部4の真上に形成されている。第二開口部7は、嵌め殺しの透明なガラス窓であり、高さ方向は2階の床面から2階の天井高までに亘る大開口である。また、第二開口部7の幅は階段ホール72から玄関部2の上方の吹き抜け23にまで延びて形成されている。すなわち、玄関部2の南側の外壁には第一開口部4及び第二開口部7が高さ方向に並んで配置されており、玄関部2及び直階段5が開放的な印象となるとともに、1階及び2階から外部の自然光を取り入れることができる。
【0023】
玄関部2の北側に設けられる1階居室3は本実施形態においては、ダイニングルームである。なお、ダイニングルームに限られるものではなく、例えば、リビングルームやキッチン、その他の居室であってもよい。1階居室3の床面は人造大理石貼りの床面となっており、玄関部2の土間床と同じ床レベルに形成されている。したがって、1階廊下61、玄関部2、1階居室3の床面は面一であり、玄関部2から段差無く各部屋に入ることが出来る。1階居室3は1階廊下61との間を仕切る建具が設けられておらず、1階居室3と1階廊下61とは1つの仕切られない空間を形成している。また、1階居室3の北側には、キッチン62が設けられており、当該キッチン62の西側にリビングルーム63が形成されている。リビングルーム63は、南北方向に延びる1階廊下61の北端に配置されており、フローリング床で形成されている。リビングルーム63も1階廊下61との間を仕切る建具が設けられておらず、リビングルーム63、1階居室3、キッチン62、及び1階廊下61が仕切りの無い1つの空間となっている。
【0024】
1階居室3は、玄関部2の一端部に繋がるとともに、直階段5の上り口に隣接している。すなわち1階居室3は、互いに隣接して形成されている玄関部2及び直階段5の北側に隣接して配置されている。1階居室3は玄関部2及び直階段5の幅の合計よりも幅の広い矩形に形成されている。1階居室3は、直階段5の玄関部2と反対側に隣接して設けられた物入8にも隣接しており、玄関部2、直階段5、及び物入8の北側が1階居室3となっている。物入8は、1階廊下61側が開口しており、1階居室3側は物入8の側壁となっている。
【0025】
そして、1階居室3と、玄関部2及び直階段5との境界には引き戸建具9が設けられている。引き戸建具9は、床面及び天井面に設けられた4条のレール91に沿ってそれぞれスライド可能に4枚の分割体92に分割されている。4条のレール91はそれぞれ玄関部2、直階段5、及び物入8と1階居室3との境界に並べて平行に配置されている。
【0026】
引き戸建具9は、本実施形態においては、太鼓障子である。太鼓障子は、格子に組まれた木製枠の両面に和紙などの光透過材を貼付して形成した障子である。両面に張られた光透過材の間に密閉された空気層が形成されることで、1階居室3と玄関部2及び直階段5との間の断熱性を高めることができる。なお、引き戸建具9は、太鼓障子に限定されるものではなく、片面のみ和紙などの光透過材を貼付した明かり障子であってもよい。また、光透過材は和紙に限定されるものではなく、塩化ビニル・アクリルなどの合成樹脂製、パルプなどを原料とする洋紙、磨りガラス、又はこれらを複層に貼り合せたものなどの材料であってもよい。自然光を1階居室3側に取り込むことが可能な程度の光透過性と、外部の視線が1階居室3側に侵入しない程度の不透視性とを備えた薄い材料であればどのようなものであってもよい。
【0027】
引き戸建具9は4枚の分割体92に分割されてそれぞれが異なるレール91にスライド可能に配置されていることで、引き戸建具9を開放する際には、
図4(A)に示すように、4枚の分割体92が物入8の側壁に重なるように配置する。分割体92が物入8の側壁に4枚とも重なって配置されると、直階段5及び玄関部2と1階居室3との間に引き戸建具9がない状態となる。このとき、直階段5及び玄関部2が1階居室3と繋がり、1階居室3から直階段5及び玄関部2へ行き来可能となるとともに、引き戸建具9に遮られることなく、1階居室3へ通風することができ、また、1階居室3から外部を見通すことができる。
【0028】
そして、
図4(B)に示すように、引き戸建具9の分割体92を隣り合う端部同士を重ねながら玄関部2及び直階段5と1階居室3との間に配置することで、1階居室3と玄関部2及び直階段5との間を閉じることが出来る。このように引き戸建具9を玄関部2及び直階段5と1階居室3の間に配置することで、引き戸建具9を透過して光を1階居室3に取り入れつつ、1階居室3の断熱性を高めて、空調効率を高めることができる。また、屋外からの視線を遮ることができるので、1階居室3のプライバシーを守ることができる。
【0029】
また、
図4(C)(D)に示すように、引き戸建具9で玄関部2及び直階段5と1階居室3との間を完全に閉じるほか、一部のみを閉鎖することも出来る。すなわち、
図4(C)では、引き戸建具9の分割体92のうち2枚の分割体92を物入8の側壁に重ねて配置するとともに、2枚の分割体92を互いの端部同士を重ねながら直階段5と1階居室3との間に配置することで、直階段5と1階居室3との間は閉じつつ、玄関部2と1階居室3との間は開いている。また、
図4(D)では、引き戸建具9の分割体92のうち2枚の分割体92を物入8の側壁に重ねて配置するとともに、2枚の分割体92を互いの端部同士を重ねながら玄関部2と1階居室3との間に配置することで、直階段5と1階居室3との間は開きつつ、玄関部2と1階居室3との間は閉じている。
【0030】
なお、図示はしないが、引き戸建具9は、上述の配置の他、例えば、3枚の分割体92を物入8の側壁に重ねて配置し、1枚の分割体92を直階段5又は玄関部2と1階居室3の間の任意の位置に配置してもよいし、1枚の分割体92を全て重ねた状態で、直階段5又は玄関部2と1階居室3の間の任意の位置に配置してもよい。分割体92を重ねた状態で直階段5又は玄関部2と1階居室3の間に配置した場合、1枚の分割体92に比べて光透過率が低下して、1階居室3に取り入れられる光の量をより細かく調節することもできる。
【0031】
このように、引き戸建具9の各分割体92はそれぞれ独立してそれぞれのレール91上の任意の位置に配置することができるので、直階段5及び玄関部2と1階居室3との間を完全に閉じた状態から完全に開いた状態までの間で、1階居室3への採光性、通風性、断熱性、プライバシーなどの要素を考慮しながら、自由に引き戸建具9を配置することができる。
【0032】
南北方向に延びる1階廊下61の西側には南側の外壁に沿って1階洗面所64及び1階トイレ65が形成されている。また、これら1階洗面所64及び1階トイレ65の北側には、1階廊下61に隣接して第二居室66が配置されている。第二居室66は、床面が畳になった和室である。また、第二居室66と1階廊下61との間には太鼓障子の建具が設けられており、1階廊下61と第二居室66とを仕切ることができる。
【0033】
第二居室66の北側には引き違い窓の掃き出し窓67aが設けられており、上方が開放された中庭68が設置されている。中庭68は、平面視矩形で、第二居室66、1階廊下61、及びリビングルーム63に隣接して配置されている。中庭68と1階廊下61との間には嵌め殺し窓67bが設けられている。また、中庭68とリビングルーム63との間にも掃き出し窓67cが設けられている。中庭68の1階廊下61と反対側の面には、目隠し壁69が形成されており、外部からの視線を遮って中庭68内に外部からの視線が侵入しないようにしている。中庭68には目隠し壁69に沿ってデッキ部70が形成されており、第二居室66とリビングルーム63との間をデッキ部70を通って行き来可能に形成している。
【0034】
また、住宅1の2階は、
図2に示すように、直階段5を上った位置に形成される階段ホール72の東側は玄関部2の上方の吹き抜け23となっており、階段ホール72から吹き抜け23を見下ろすと玄関部2が視認可能となっている。階段ホール72の西側には2階廊下71が南北に延びて形成されている。また直階段5及び玄関部2の上方の吹き抜け23の北側には吹き抜け23を見下ろすことができる2階廊下71と一体となったフリースペース73が形成されている。フリースペース73の北側には納戸74が設けられ、納戸74の北側に2階洗面所75、脱衣所76、バスルーム77が並べて配置されている。またバスルーム77の東側には2階トイレ78が配置されており、2階トイレ78は2階廊下71の北端に形成されている。
【0035】
2階トイレ78の西側には2階廊下71に繋がる第三居室79が形成されている。第三居室79の南側には2階廊下71に隣接する第一バルコニー80が形成されており、第一バルコニー80は中庭68に対面している。また中庭68の南側にも第二バルコニー81が形成されており、第一バルコニー80と第二バルコニー81とは中庭68を挟んで向かい合っている。第二バルコニー81の南側には第四居室82が2階廊下71に繋がって形成されている。第四居室82は一部が1階の外壁よりも南側に突出して2階オーバーハング部となっている。第四居室82の南側にはクローゼット83が形成されている。
【0036】
本発明の住宅1は、玄関部2及び直階段5が隣接して配置されており南側の外壁の1階部分に第一開口部4が形成され、2階部分に第二開口部7が形成されていることで、
図3に示すように、第一開口部4から玄関部2を通って1階居室3に光を届けることが出来るとともに、第二開口部7から直階段5及び玄関部2上の吹き抜け23を通って1階居室3に光を届けることができるので、採光性を向上させることができる。また、直階段5及び玄関部2と1階居室3との間に分割された引き戸建具9を配置することで、採光、通風、断熱、プライバシー、室内の雰囲気などの様々な要素を考慮して居住者が季節や時間帯などの生活の様々な場面において、引き戸建具9を自由に配置することができ、居住者にとって1階居室3を居心地のよい空間とすることができる。
【0037】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る住宅1は、採光性を向上させた住宅1として好適である。
【符号の説明】
【0039】
1 住宅
2 玄関部
3 1階居室
4 第一開口部
5 直階段
6 収納部
7 第二開口部
9 引き戸建具
21 玄関ドア
23 吹き抜け