IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECソリューションイノベータ株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人 新潟大学の特許一覧

特許7161688手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム
<>
  • 特許-手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム 図1
  • 特許-手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム 図2
  • 特許-手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム 図3
  • 特許-手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム 図4
  • 特許-手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム 図5
  • 特許-手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム 図6
  • 特許-手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20180101AFI20221020BHJP
   G16H 50/00 20180101ALI20221020BHJP
【FI】
G06Q50/22
G16H50/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018146200
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2020021371
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 宏至
(72)【発明者】
【氏名】福島 慶子
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 宏平
(72)【発明者】
【氏名】中澤 香子
【審査官】佐伯 憲太郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第1973778(CN,A)
【文献】特表2004-515860(JP,A)
【文献】国際公開第2015/141724(WO,A1)
【文献】大久保 憲,周術期感染の対策 Perioperative infection control,別冊・医学のあゆみ 感染症と感染制御Update,日本,医歯薬出版株式会社,2010年09月21日,29-34頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 50/22
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得するデータ取得部と、
前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う薬グルーピング部と、
前記薬グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する予測部と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する表示部と、
を備える手術後感染予測装置。
【請求項2】
前記予測部は、前記電子カルテに示される、アレルギーに関する特記事項の記録回数、障害に関する特記事項の記載回数、手術時における投与薬剤、および術式のデータのうち、少なくとも何れか1つを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1に記載の手術後感染予測装置。
【請求項3】
前記予測部は、前記予測対象者についてBMIを示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1または請求項2に記載の手術後感染予測装置。
【請求項4】
前記予測部は、前記予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から3の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から4の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。
【請求項6】
前記予測部は、前記予測対象者についての放射線検査の回数に基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から5の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。
【請求項7】
前記電子カルテから得られたデータに示される手術についてグルーピングを行う手術グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記電子カルテから得られたデータに対して手術についてのグルーピングが行われたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から6の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。
【請求項8】
前記電子カルテから得られたデータに示される病名についてグルーピングを行う病名グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記病名グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から7の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。
【請求項9】
前記電子カルテに示される検査項目のうち不実施の検査項目の割合が所定の閾値以下である場合、不実施の検査項目を入力データの項目に含む予測モデルを選択し、前記電子カルテに示される検査項目のうち不実施の検査項目の割合が所定の閾値より多い場合、不実施の検査項目を入力データの項目に含まない予測モデルを選択する不実施項目補完部を備え、
前記予測部は、前記データ取得部が取得したデータ、または、前記データ取得部が取得したデータに基づくデータを前記予測モデルに入力して手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
請求項1から8の何れか一項に記載の手術後感染予測装置。
【請求項10】
電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、
前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、
前記薬グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
学習用データとして、前記電子カルテから得られたデータに対してグルーピングが行われた後のデータを用いて、電子カルテの記載事項と手術後感染症発症の可能性との関係を機械学習する工程と、
得られた前記関係を用いて、請求項1から6の何れか一項に記載の手術後感染予測装置を生産する工程と、
を含む手術後感染予測装置生産方法。
【請求項11】
手術後感染予測装置が、電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記薬効に基づくグルーピングを行う工程でグルーピングが行われたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を含む手術後感染予測方法。
【請求項12】
コンピュータに、
電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、
前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、
前記薬効に基づくグルーピングを行う工程でグルーピングが行われたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
手術後感染症の予測に関連して幾つかの技術が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の感染症予測システムは、1日の感染症で外来を受診した患者の報告数をゴンベルツ曲線等の成長曲線に適用して、累積患者数の推移を予測する。
また、特許文献2に記載の感染症システムは、「糖尿病」、「肝疾患」等のリスクファクターに対するリスクスコアを示すリスクファクターDB(データベース)と、リスクスコアをリスクレベルに換算するためのリスクレベル判定基準DBとを用いて、医師が入力する患者情報から、患者(被検体)の感染源への抵抗レベルの5段階評価を算出する。
また、特許文献3に記載の侵襲管理方法では、手術前と手術後の血中アディポネクチン濃度を比較する。特許文献3では、術後感染した例では、術後感染しなかった例よりも血中アディポネクチンの低下が著しいとの測定結果が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-128935号公報
【文献】特許第4132839号公報
【文献】特許第4771940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手術を行った部位に発生する手術後感染症はSSI(Surgical Site Infection、手術部位手術後感染)と呼ばれ、高い発生率があり、手術とは切っても切れない関係にある。そこで手術中のデータを活用して、手術後感染症に関して、患者毎の手術後感染予測が重要である。例えば、患者毎の手術後感染症発症有無の予測に基づいて、手術後に抗生物質等の投薬を患者毎に決定し管理することで、手術後感染症が発生するリスクを低減させることができる。
患者の手術後感染症発症予測の際、医療従事者等の人の負担が小さいことが好ましい。例えば、特許文献2に記載されているように医師が入出力端末から患者情報を入力する形態では、医師に患者情報入力の負担が医師に生じる。患者情報の入力作業を不要にできれば、医師の負担を軽減することができる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決することのできる手術後感染予測装置、手術後感染予測装置生産方法、手術後感染予測方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、手術後感染予測装置は、電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得するデータ取得部と、前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う薬グルーピング部と、前記薬グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する予測部と、前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する表示部と、を備える。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、手術後感染予測方法は、手術後感染予測装置が、電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、前記手術後感染予測装置が、前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、前記手術後感染予測装置が、前記薬効に基づくグルーピングを行う工程でグルーピングが行われたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、前記手術後感染予測装置が、前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、を含む。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、プログラムは、コンピュータに、電子カルテから患者基本データおよび手術時のデータを取得する工程と、前記電子カルテから得られたデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う工程と、前記薬効に基づくグルーピングを行う工程でグルーピングが行われたデータを用いて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、患者毎の手術後感染症発症予測を行うための、人の負担を比較的小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る手術後感染予測システムの装置構成を示す概略構成図である。
図2】実施形態に係る手術後感染予測装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
図3】実施形態に係る手術後感染予測システムが手術後感染症発症予測を行う処理手順の例を示す図である。
図4】実施形態に係る手術後感染予測装置生産システムの装置構成を示す概略構成図である。
図5】実施形態に係る機械学習装置の機能構成を示す概略ブロック図である。
図6】実施形態に係る手術後感染予測装置生産システムが手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習して手術後感染予測装置に実装する処理手順の例を示す図である。
図7】実施形態に係る手術後感染予測装置の構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、実施形態に係る手術後感染予測システムの装置構成を示す概略構成図である。図1に示すように、手術後感染予測システム1は、手術後感染予測装置100と、予測用電子カルテ提供装置910とを備える。
【0012】
手術後感染予測システム1は、電子カルテに記載されたデータを用いて患者毎の手術後感染症発症予測を行う。ここでいう手術後感染とは、手術後に病原体が宿主に進入して定着し、増殖することである。手術後感染症とは、手術後感染症が引き起こす様々な疾患の総称である。手術後感染しても、必ずしも手術後感染症になるわけではない。すなわち、手術後感染しても別段症状が現れない場合がある。
【0013】
ここでいう手術後感染症発症予測は、患者が手術後に手術後感染症を発症する可能性を患者毎に予測することである。手術後感染予測システム1が、手術後感染症発症予測として、手術後感染症発症確率(患者が手術後感染症を発症する確率)を予測するようにしてもよいし、手術後感染症発症の有無を予測するようにしてもよい。あるいは、手術後感染予測システム1が、手術後感染症発症確率および手術後感染症発症の有無の両方を予測するようにしてもよい。
【0014】
以下では、手術後感染予測システム1が、ある病院の入院患者を対象に、時系列のタイミング毎の手術後感染発症予測を行う場合を例に説明する。この場合、手術後感染予測システム1によれば、手術後感染症を発症と予測される患者、または、手術後感染症を発症する可能性が高いと予測される患者に対して集中的に抗生物質の投薬等の手術後感染症対策を行うことができる。これにより、患者が手術後感染症を発症するリスクを軽減できる点で、患者の負担を軽減することができ、かつ、院内感染の可能性を低減させることができる。
以下では、手術後感染予測システム1が手術後感染症予測を行う対象者(患者)を予測対象者と称する。
【0015】
手術後感染予測装置100は、予測対象者の電子カルテから得られるデータを用いて、予測対象者の手術後感染症発症予測を行う。
手術後感染予測装置100は、例えばパソコン(Personal Computer;PC)、ワークステーション(Workstation)、または、タブレット(Tablet)端末装置等のコンピュータを用いて構成される。
【0016】
手術後感染予測装置100が、手術後感染症を引き起こす病原体の種類毎に手術後感染症発症予測を行うようにしてもよい。あるいは、手術後感染予測装置100が、複数種類の病原体に共通の手術後感染症発症予測を行う(具体的には、複数種類の病原体のうち少なくとも何れか1種類の病原体によって手術後感染症を発症する可能性を予測する)ようにしてもよい。
【0017】
実験では、病原体の種類にかかわらず手術後感染症発症の有無については同様の傾向が示されており、この点からすると、手術後感染予測装置100が、全種類の病原体に共通して予測対象者毎に手術後感染症発症予測を行うことが考えられる。この場合、手術後感染予測装置100が病原体の種類毎に手術後感染症発症予測を行う場合よりも、手術後感染予測装置100の処理を簡単にすることができる。また、後述する機械学習装置200が、手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習する場合、その機械学習の処理についても、病原体の種類毎に機械学習を行う場合よりも簡単にすることができる。
機械学習を、単に学習とも称する。
【0018】
ここでいう予測モデルは、入力データと出力データとの関係の推定結果に基づいて、与えられる入力データに対応する出力データを出力する処理の仕組みのことである。ここでの予測モデルの表現方法は特定の方法に限定されない。機械学習の結果として得られる、入力データの入力を受けて出力データを出力するモデルが、予測モデルの例に該当する。
【0019】
例えば、機械学習装置200の機械学習の結果が、ニューラルネットワーク(Neural Network)、ランダムフォレスト(Random Forest)、または、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)を用いる処理として手術後感染予測装置100に実装されてもよい。あるいは、機械学習装置200の機械学習の結果が、回帰分析等の統計的な手法を用いた処理として手術後感染予測装置100に実装されてもよい。
あるいは、機械学習装置200の機械学習の結果が反映され、電子カルテのデータの入力に対して手術後感染症発症予測結果を出力する関数、テーブル、プログラム、あるいはこれらの組み合わせが、手術後感染予測装置100に実装されてもよい。
【0020】
予測用電子カルテ提供装置910は、予測対象者の電子カルテを手術後感染予測装置100に提供する。病院内で運用されている電子カルテシステムをそのまま予測用電子カルテ提供装置910として用いるようにしてもよい。あるいは、電子カルテシステムから電子カルテをサーバにコピーし、そのサーバを予測用電子カルテ提供装置910として用いるなど、病院内で運用されている電子カルテシステムとは別に予測用電子カルテ提供装置910が設けられていてもよい。
【0021】
図2は、手術後感染予測装置100の機能構成を示す概略ブロック図である。図2に示すように、手術後感染予測装置100は、予測側通信部110と、予測側表示部120と、予測側操作入力部130と、予測側記憶部170と、予測側制御部180とを備える。予測側制御部180は、予測用データ取得部181と、前処理部182と、予測部183とを備える。前処理部182は、不実施項目補完部191と、年齢別デフォルト値補完部192と、薬グルーピング部193と、手術グルーピング部194と、病名グルーピング部195と、特記事項数値化部196とを備える。
【0022】
予測側通信部110は、他の装置と通信を行う。特に、予測側通信部110は、予測対象者の電子カルテを予測用電子カルテ提供装置910から受信する。
予測側表示部120は、例えば液晶パネルまたはLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)パネル等の表示画面を備え、各種画像を表示する。特に、予測側表示部120は、手術後感染予測装置100が予測対象者について手術後感染症発症の可能性を予測した予測結果を表示する。
【0023】
予測側操作入力部130は、例えばキーボードおよびマウス等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。例えば、予測側操作入力部130は、予測対象者を指定するユーザ操作、または、手術後感染症発症確率80%以上など、予測対象者を絞り込むための条件を指定するユーザ操作を受け付ける。また、予測側操作入力部130は、手術後感染症発症予測の実行を指示するユーザ操作を受け付ける。
【0024】
予測側記憶部170は、各種データを記憶する。予測側記憶部170は、手術後感染予測装置100が備える記憶デバイスを用いて構成される。
予測側制御部180は、手術後感染予測装置100の各部を制御して各種処理を実行する。予測側制御部180は、手術後感染予測装置100が備えるCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が予測側記憶部170からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0025】
予測用データ取得部181は、データ取得部の例に該当し、電子カルテからデータを取得する。具体的には、予測用データ取得部181は、予測側通信部110を制御して予測用電子カルテ提供装置910から予測対象者の電子カルテを取得する。予測用データ取得部181は、この電子カルテのフォーマットについて既知であり、取得した電子カルテから各項目のデータを読み出す。特に、予測用データ取得部181は、電子カルテに記載されたデータのうち、患者基本データおよび手術時のデータの何れか一方または両方を取得する。
ここでいう患者基本データは、電子カルテに記載されたデータのうち、患者の属性情報を示すデータである。患者基本データには、患者の性別、BMI、生活習慣、アレルギー、および、障害を示すデータが含まれる。
【0026】
前処理部182は、予測用データ取得部181が取得したデータに対して前処理を行う。
不実施項目補完部191は、予測対象者の電子カルテに示される検査項目のうち不実施の項目がある場合、その項目の値として、不実施を示す値として予め定められた値を挿入する。これにより、予測部183は、その項目の検査を実施していないという情報を用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。検査を実施したか否かは手術後感染症発症予測に有益な情報と考えられ、予測部183が行う手術後感染症発症予測の精度が向上することが期待される。
【0027】
不実施項目補完部191が行う、予測対象者の電子カルテに示される検査項目のうち不実施の項目の値として、不実施を示す値として予め定められた値を挿入する処理を、不実施項目の補完と称する。
不実施項目補完部191が、不実施項目の補完を自動的に行うようにしてもよい。あるいは、不実施項目補完部191が、予測側表示部120を制御して電子カルテの不実施項目の部分を表示させ、手術後感染予測装置100が受け付けるユーザ操作に従って不実施項目の補完を行うようにしてもよい。
【0028】
また不実施項目補完部191が、不実施項目の補完に加えて、あるいは代えて、手術後感染症発症予測の予測モデルを選択するようにしてもよい。例えば、全項目数に対する不実施の項目の割合が所定の閾値以下である場合、不実施項目補完部191が、不実施の項目のデータを入力として用いる予測モデルを選択するようにしてもよい。全項目数に対する不実施の項目の割合が所定の閾値より多い場合、不実施項目補完部191が、不実施の項目のデータを入力として用いない予測モデルを選択するようにしてもよい。
【0029】
年齢別デフォルト値補完部192は、電子カルテに示される測定項目のうち測定が行われていない項目がある場合、その項目の値として、年齢に応じて定められたデフォルト値を補完する。例えば、予測対象者の電子カルテにおけるBMI((Body Mass Index、体格指数)の項目が空欄となっている場合、年齢別デフォルト値補完部192が、年齢毎のBMIの平均値のうち、予測対象者の年齢における平均値を補完するようにしてもよい。
【0030】
年齢別デフォルト値補完部192が、予測対象者の年齢に応じたデフォルト値を補完することで、年齢にかかわらず一定値のデフォルト値を補完する場合よりも、実際の値に近い値となることが期待される。年齢別デフォルト値補完部192によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
【0031】
薬グルーピング部193は、予測対象者の電子カルテから得られるデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う。例えば、薬グルーピング部193は、処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効分類コードの上位2桁の値が同じものを同じグループにグルーピングする。
薬グルーピング部193が、処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の薬効を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。薬グルーピング部193によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、後述する機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、薬グルーピング部193によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
【0032】
薬グルーピング部193が、このグルーピングを自動的に行うようにしてもよい。あるいは、薬グルーピング部193が、予測側表示部120を制御して電子カルテにおける処方薬及び注射薬の記載を表示させ、手術後感染予測装置100が受けるユーザ操作に従ってグルーピングを行うようにしてもよい。
あるいは、薬グルーピング部193の処理が、前処理ではなく予測部183による手術後感染症発症予測の処理の一部として実行されるようにしてもよい。例えば、予測部183が、薬効分類コードの上位2桁の値が同じ薬を区別しない予測モデルを用いて手術後感染症発症予測を行うようにしてもよい。
【0033】
手術グルーピング部194は、予測対象者の電子カルテから得られるデータに示される手術についてグルーピングを行う。例えば、手術グルーピング部194は、ICD-10のコードの上位1桁が同じ手術を同じグループにグルーピングする。なお、ここでいうICDは、International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類(国際疾病分類と略される))である。
【0034】
手術グルーピング部194が、手術をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の手術を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。手術グルーピング部194によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、後述する機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、手術グルーピング部194によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
【0035】
手術グルーピング部194が、このグルーピングを自動的に行うようにしてもよい。あるいは、手術グルーピング部194が、予測側表示部120を制御して電子カルテにおける手術の記載を表示させ、手術後感染予測装置100が受けるユーザ操作に従ってグルーピングを行うようにしてもよい。
あるいは、手術グルーピング部194の処理が、前処理ではなく予測部183による手術後感染症発症予測の処理の一部として実行されるようにしてもよい。例えば、予測部183が、ICD-10のコードの上位1桁の値が同じ手術を区別しない予測モデルを用いて手術後感染症発症予測を行うようにしてもよい。
【0036】
病名グルーピング部195は、予測対象者の電子カルテから得られるデータに示される病名についてグルーピングを行う。例えば、病名グルーピング部195は、病名(例えば、DPC(診断群分類)に示される病名)について、ICD-10の大分類に従ってグルーピングを行う。病名グルーピング部195が、手術後感染症発症予測に重要な病名として予め定められた病名については、ICD-10の中分類に従ってグルーピングを行うことで、より詳細なグルーピングを行うようにしてもよい。
【0037】
病名グルーピング部195が、病名をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の病気を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。病名グルーピング部195によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、後述する機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、病名グルーピング部195によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
【0038】
病名グルーピング部195が、このグルーピングを自動的に行うようにしてもよい。あるいは、病名グルーピング部195が、予測側表示部120を制御して電子カルテにおける病名の記載を表示させ、手術後感染予測装置100が受けるユーザ操作に従ってグルーピングを行うようにしてもよい。
あるいは、病名グルーピング部195の処理が、前処理ではなく予測部183による手術後感染症発症予測の処理の一部として実行されるようにしてもよい。例えば、予測部183が、病名グルーピング部195によるグルーピングで同じグループ属する病名を区別しない予測モデルを用いて、手術後感染症発症予測を行うようにしてもよい。
【0039】
特記事項数値化部196は、予測対象者の電子カルテに示される、アレルギーに関する特記事項の記録回数、および、障害に関する特記事項のうち少なくとも何れか一方の回数を計数することで、特記事項の数値化を行う。
これにより、手術後感染予測装置100は、予測対象者の電子カルテに記載された特記事項に関するデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。手術後感染予測装置100が、より多くのデータに基づいて手術後感染症発症予測を行う点で、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができる。
【0040】
特記事項数値化部196が、アレルギーに関する特記事項および障害に関する特記事項を抽出するためのキーワードを予め記憶しておく等により、予測対象者の電子カルテに記載されたこれらの特記事項を自動的に分類し計数するようにしてもよい。
あるいは、特記事項数値化部196が、予測側表示部120を制御して電子カルテにおける特記事項(コメント)の記載を表示させ、手術後感染予測装置100が受けるユーザ操作に従ってアレルギーに関する特記事項および障害に関する特記事項を抽出し計数するようにしてもよい。
前処理部182が行う前処理の各々は、手術後感染予測装置100に必須ではない。従って、手術後感染予測装置100が、前処理部182の各部のうち一部のみを備えていてもよいし、全部を備えていなくてもよい。
【0041】
予測部183は、手術後感染症発症予測を実行する。具体的には、予測部183は、予測対象者の電子カルテから得られるデータに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。例えば予測部183は、予測対象者の手術後感染症発症の予測確率(手術後感染症発症確率)を算出する。
【0042】
予測部183が行う手術後感染症発症予測についてさらに説明する。但し、以下の処理は予測部183に必須ではない。従って、予測部183が、以下の処理のうち一部のみを行うようにしてもよいし、以下の処理を一つも行わないようにしてもよい。
(1) 予測部183が、予測対象者の電子カルテから得られる時系列データの変化量を用いて、手術後感染症発症予測を行う。
ここで、体温など電子カルテに記載される測定データには、個人差がある。これに対して予測部183がデータの変化量を用いることで、個人差の影響を低減させることができ、この点で、手術後感染症発症予測を高精度に行うことができる。
【0043】
(2) 予測部183が、上述した不実施項目補完部191が前処理を行ったデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。すなわち、予測対象者の電子カルテに示される検査項目のうち不実施の項目がある場合、予測部183が、その項目の値として、不実施を示す値として予め定められた値を用いて、手術後感染症発症予測を行う。
(3) 予測部183が、上述した年齢別デフォルト値補完部192が前処理を行ったデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。すなわち、予測対象者の電子カルテに示される測定項目のうち測定が行われていない項目がある場合、予測部183が、その項目の値として、年齢に応じて定められたデフォルト値を用いて、手術後感染症発症予測を行う。
【0044】
(4) 予測部183が、上述した薬グルーピング部193がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。
(5) 予測部183が、上述した手術グルーピング部194がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。
(6) 予測部183が、上述した病名グルーピング部195がグルーピングしたデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。
【0045】
(7) 予測部183が、上述した特記事項数値化部196が前処理を行ったデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。すなわち、予測部183が、予測対象者の電子カルテに示される特記事項の記載回数を示すデータを用いて、手術後感染症発症予測を行う。
【0046】
(8) 予測部183が、予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて手術後感染症発症予測を行う。ここでいうリハビリオーダ数は、患者毎のリハビリテーションの回数である。例えば、担当医が患者毎にリハビリテーション計画を策定し、策定した計画に従ってリハビリテーションの予約を設定し実行する。
リハビリオーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者についてのリハビリオーダ数は、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
【0047】
(9) 予測部183が、予測対象者についてBMIデータ(BMIを示すデータ)を用いて手術後感染症発症予測を行う。
BMIデータと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてBMIデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者についてのBMIデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
【0048】
(10) 予測部183が、予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。
喫煙の有無と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、予測対象者に対するアンケートで得らえたデータなど電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
【0049】
(11) 予測部183が、予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて手術後感染症発症予測を行う。
手術時間の長さと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者に対する手術時間の長さを示すデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
【0050】
(12) 予測部183が、予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて手術後感染症発症予測を行う。ここでいう放射線検査オーダ数は、患者毎の放射線検査の回数である。例えば、担当医が患者毎に検査治療計画を策定し、策定した計画に従って放射線検査の予約を設定し実行する。
放射線検査オーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
予測対象者についての放射線検査オーダ数を示すデータは、予測対象者の電子カルテから得られるデータであってもよいし、電子カルテとは別に得られるデータであってもよい。
【0051】
(13) 予測部183が、予測対象者の電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて手術後感染症発症予測を行う。入院時のデータとして、例えば入院から3日間など、入院から所定期間内のデータを用いることができる。手術前のデータとして、例えば手術の3日前から手術の直前までなど、手術前の所定期間内のデータを用いることができる。
手術後感染症発症前に対策を行うために、手術後感染症発症の可能性をなるべく早期に把握できることが好ましい。一方、実験で、入院時のデータのみを用いる場合よりも、入院時のデータと手術前のデータとを用いた場合、あるいは、入院時のデータと手術前のデータと手術後のデータとを用いた方が、手術後感染症発症予測を高精度に行えるとの結果を得られた。
予測部183が、予測対象者の電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、予測部183が、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができ、かつ、予測結果を参照するユーザは、手術後感染症発症の可能性を比較的早期に把握可能である。
【0052】
次に図3を参照して、手術後感染予測システム1の動作について説明する。
図3は、手術後感染予測システム1が手術後感染症発症予測を行う処理手順の例を示す図である。
図3の処理で、予測用電子カルテ提供装置910は、予測対象者の電子カルテを手術後感染予測装置100へ送信する(シーケンスS111)。手術後感染予測装置100では、予測側通信部110が、予測用電子カルテ提供装置910からの電子カルテを受信し、予測用データ取得部181が、電子カルテから各項目のデータを読み出す。
【0053】
次に、前処理部182が、予測対象者の電子カルテから得られたデータに対して、上述した前処理を行う(シーケンスS121)。
予測部183は、前処理部182が前処理を行ったデータを用いて手術後感染症発症予測を行う(シーケンスS122)。
予測側表示部120は、予測側制御部180の制御に従って、手術後感染症発症の予測結果を表示する(シーケンスS123)。
シーケンスS123の後、手術後感染予測システム1は、図3の処理を終了する。
【0054】
手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を行うための予測モデルを、機械学習装置の機械学習によって取得するようにしてもよい。この点について説明する。
図4は、手術後感染予測装置生産システム2の装置構成を示す概略構成図である。図4に示すように、手術後感染予測装置生産システム2は、機械学習装置200と、学習用電子カルテ提供装置920とを備える。機械学習装置200は、手術後感染予測装置100へ機械学習の結果を提供する。
【0055】
手術後感染予測装置生産システム2は、手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習にて取得し、得られた予測モデルを手術後感染予測装置100に実装する。この予測モデルの実装は、手術後感染予測装置100を生産する工程の例に該当する。手術後感染予測装置100は、この予測モデルの実装によって、手術後感染症発症予測を実行可能となる。
機械学習装置200は、予測用電子カルテ提供装置910が蓄積する電子カルテから得られるデータを学習用データとして用いて、患者毎の手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習する。機械学習装置200は、例えばパソコンまたはワークステーション等のコンピュータを用いて構成される。
上述したように、機械学習装置200が機械学習する予測モデルの表現方法は、特定の方法に限定されない。
【0056】
学習用電子カルテ提供装置920は、学習用データとして用いるための電子カルテを機械学習装置200に提供する。病院内で運用されている電子カルテシステムをそのまま学習用電子カルテ提供装置920として用いるようにしてもよい。あるいは、電子カルテシステムから電子カルテをサーバにコピーし、そのサーバを学習用電子カルテ提供装置920として用いるなど、病院内で運用されている電子カルテシステムとは別に学習用電子カルテ提供装置920が設けられていてもよい。
学習用電子カルテ提供装置920は、既に退院している患者の電子カルテを機械学習装置200に提供する。既に退院している患者については手術後感染症発症の有無が確定している。機械学習装置200は、この手術後感染症発症の有無を正解として教師あり学習を行うことができる。
【0057】
図5は、機械学習装置200の機能構成を示す概略ブロック図である。図5に示すように、機械学習装置200は、学習側通信部210と、学習側表示部220と、学習側操作入力部230と、学習側記憶部270と、学習側制御部280とを備える。学習側制御部280は、学習用データ取得部281と、前処理部182と、機械学習実行部283とを備える。前処理部182は、不実施項目補完部191と、年齢別デフォルト値補完部192と、薬グルーピング部193と、手術グルーピング部194と、病名グルーピング部195と、特記事項数値化部196とを備える。
【0058】
学習側通信部210は、他の装置と通信を行う。特に、予測側通信部110は、学習用データとして用いるための電子カルテを学習用電子カルテ提供装置920から受信する。
学習側表示部220は、例えば液晶パネルまたはLEDパネル等の表示画面を備え、各種画像を表示する。学習側操作入力部230は、例えばキーボードおよびマウス等の入力デバイスを備え、ユーザ操作を受け付ける。学習側表示部220および学習側操作入力部230は、例えば学習側表示部220が機械学習開始時の操作画面を表示して学習側操作入力部230が機械学習開始指示のユーザ操作を受け付けるなど、機械学習装置200におけるユーザインタフェースとして機能する。
【0059】
学習側記憶部270は、各種データを記憶する。例えば、学習側記憶部270は、学習側通信部210が受信した電子カルテから得られた学習用データを記憶する。学習側記憶部270は、機械学習装置200が備える記憶デバイスを用いて構成される。
学習側制御部280は、機械学習装置200の各部を制御して各種処理を実行する。学習側制御部280は、機械学習装置200が備えるCPUが学習側記憶部270からプログラムを読み出して実行することで構成される。
【0060】
学習用データ取得部281は、機械学習のためのデータを取得する。具体的には、学習用データ取得部281は、学習側通信部210を制御して、学習用データとして用いるための電子カルテを学習用電子カルテ提供装置920から取得する。学習用データ取得部281は、この電子カルテのフォーマットについて既知であり、取得した電子カルテから予測用データ取得部181の場合と同じ項目のデータを読み出す。学習用データ取得部281が読み出すデータは、学習用データとして用いられる。
【0061】
前処理部182およびその各部の機能は、何れも図2の場合と同様であり、図2の場合と同じ符号(182、191~196)を付し、ここでは詳細な説明を省略する。
手術後感染予測装置100が、前処理部182による前処理の一部または全部を行わない場合、機械学習装置200も、前処理部182による前処理のうち手術後感染予測装置100が行う処理のみを行う。機械学習時と予測実行時とで前処理を同じにすることで、前処理の不一致に起因する予測精度の低下を防止できる。
【0062】
機械学習実行部283は、機械学習を実行する。機械学習実行部283が学習する予測モデルの表現方法が特定の方法に限定されないことに対応して、機械学習実行部283が行う機械学習は特定の種類の機械学習に限定されない。例えば、例えば、機械学習実行部283が、ニューラルネットワーク(Neural Network)、ランダムフォレスト(Random Forest)、または、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)の何れかの機械学習方法を用いるようにしてもよい。あるいは、機械学習実行部283が、回帰分析等の統計的な手法を用いるようにしてもよい。あるいは、機械学習実行部283が、複数の機械学習方法を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0063】
また、機械学習実行部283は、機械学習の際に、予測部183について上述した処理を行う。予測部183が上述した処理のうち一部のみを行う場合、あるいは、いずれの処理も行わない場合、機械学習実行部283も、予測部183が行う処理のみを行う。機械学習時と予測実行時とで処理を同じにすることで、処理の不一致に起因する予測精度の低下を防止できる。
【0064】
さらに、機械学習実行部283が、以下の方法で機械学習を行う。
(A) 機械学習実行部283は、学習用データとして、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合(1対1)で含まれるデータ取得対象者グループの電子カルテから得られるデータを用いる。
ここで、一般的には、手術後感染症発症者の割合は、手術後感染症非発症者の割合よりも少ない。これに対して、機械学習実行部283が、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合の学習用データを用いることで、再現率を高めることができる。すなわち、手術後感染予測装置100を参照する医師等に、手術後感染症を将来発症する患者について手術後感染症非発生との予測を提供してしまう頻度を低減させることができる。
【0065】
(B) 機械学習実行部283が、電子カルテに示される項目のうち、機械学習を所定回数行って、手術後感染症発症の有無との関連性が所定基準以下とされた項目を除外する。
機械学習実行部283が、手術後感染症発症の有無と関連性が低いと判定された項目を除外することで、それ以降の機械学習実行部283の処理負荷を低減させることができる。
【0066】
次に、図6を参照して手術後感染予測装置生産システム2の動作について説明する。
図6は、手術後感染予測装置生産システム2が手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習して手術後感染予測装置100に実装する処理手順の例を示す図である。
図6の処理で、学習用電子カルテ提供装置920は、学習データ用の電子カルテを機械学習装置200へ送信する(シーケンスS211)。機械学習装置200では、学習側通信部210が、学習用電子カルテ提供装置920からの電子カルテを受信し、学習用データ取得部281が、電子カルテから各項目のデータを読み出す。
【0067】
次に、前処理部182が、予測対象者の電子カルテから得られたデータに対して、上述した前処理を行う(シーケンスS221)。
機械学習実行部283は、前処理部182が前処理を行ったデータを用いて機械学習を行う(シーケンスS222)。
機械学習装置200は、学習結果として得られた手術後感染症発症予測の予測モデルを手術後感染予測装置100へ送信して、この予測モデルを手術後感染予測装置100実装させる(シーケンスS231)。
シーケンスS231の後、手術後感染予測装置生産システム2は、図6の処理を終了する。
【0068】
以上のように、予測用データ取得部181は、電子カルテからデータを取得する。予測部183は、予測用データ取得部181が取得したデータに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。予測側表示部120は、手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する。
手術後感染予測装置100によれば、電子カルテを用いて患者毎の手術後感染症発症予測を行うことができ、医療従事者等が手術後感染症発症予測のためにデータを別途用意する必要がない。手術後感染予測装置100によればこの点で、患者毎の手術後感染症発症予測を行うための、人の負担を比較的小さくすることができる。
【0069】
また、予測部183は、電子カルテから得られる時系列データの変化量を用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
体温など電子カルテに記載される測定データには、個人差がある。これに対して予測部183がデータの変化量を用いることで、個人差の影響を低減させることができ、この点で、手術後感染症発症予測を高精度に行うことができる。
【0070】
また、予測部183は、電子カルテに示される検査項目のうち不実施の項目がある場合、その項目の値として、不実施を示す値として予め定められた値を用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
これにより、予測部183は、その項目の検査を実施していないという情報を用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。検査を実施したか否かは手術後感染症発症予測に有益な情報と考えられ、予測部183が行う手術後感染症発症予測の精度が向上することが期待される。
【0071】
また、予測部183は、電子カルテに示される測定項目のうち測定が行われていない項目がある場合、その項目の値として、年齢に応じて定められたデフォルト値を用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
年齢別デフォルト値補完部192が、予測対象者の年齢に応じたデフォルト値を補完することで、年齢にかかわらず一定値のデフォルト値を補完する場合よりも、実際の値に近い値となることが期待される。年齢別デフォルト値補完部192によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
【0072】
また、薬グルーピング部193は、電子カルテから得られるデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う。予測部183は、薬グルーピング部193がグルーピングしたデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
薬グルーピング部193が、処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の薬効を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。薬グルーピング部193によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、薬グルーピング部193によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
【0073】
また、手術グルーピング部194は、電子カルテから得られるデータに示される手術についてグルーピングを行う。予測部183は、手術グルーピング部194がグルーピングしたデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
手術グルーピング部194が、手術をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の手術を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。手術グルーピング部194によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、手術グルーピング部194によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
【0074】
また、病名グルーピング部195は、電子カルテから得られるデータに示される病名についてグルーピングを行う。予測部183は、病名グルーピング部195がグルーピングしたデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
病名グルーピング部195が、病名をグルーピングすることで、手術後感染予測装置100が同様の病気を統一的に扱って手術後感染症発症予測を行うことが確実となる。病名グルーピング部195によれば、この点で、手術後感染予測装置100が手術後感染症発症予測を比較的高精度に行えると期待される。
また、機械学習装置200が手術後感染症発症予測の予測モデルを学習する場合、病名グルーピング部195によるグルーピングが行われた学習用データを用いることで、過学習の可能性を低減させることができる。
【0075】
また、予測部183は、電子カルテに示される、アレルギーに関する特記事項の記録回数、および、障害に関する特記事項の記載回数のうち少なくとも何れか一方を示すデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
これにより、手術後感染予測装置100は、予測対象者の電子カルテに記載されたコメントに関するデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことができる。手術後感染予測装置100が、より多くのデータに基づいて手術後感染症発症予測を行う点で、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができる。
【0076】
また、予測部183は、予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
リハビリオーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
【0077】
また、予測部183は、予測対象者についてBMIを示すデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
BMIと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についてBMIを示すデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
【0078】
また、予測部183は、予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
喫煙の有無と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
【0079】
また、予測部183は、予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
手術時間の長さと手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
【0080】
また、予測部183は、予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
放射線検査オーダ数と手術後感染症発症の有無との間に相関性があると考えられる。予測部183が、予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて手術後感染症発症予測を行うことで、手術後感染症発症予測をより高精度に行うことができる。
【0081】
また、予測部183は、電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて、手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。
予測部183が、予測対象者の電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて手術後感染症発症予測を行うことで、予測部183が、比較的高精度に手術後感染症発症予測を行うことができ、かつ、予測結果を参照するユーザは、手術後感染症発症の可能性を比較的早期に把握可能である。
【0082】
また、手術後感染予測装置生産方法は、電子カルテからデータを取得する工程と、学習用データとして電子カルテから得られたデータを用いて、電子カルテの記載事項と手術後感染症発症の可能性との関係を機械学習する工程と、得られた関係を用いて、手術後感染予測装置100を生産する工程とを含む。
この手術後感染予測装置生産方法によれば、電子カルテを用いて手術後感染症発症予測の予測モデルを機械学習することができ、医療従事者等の人が機械学習のためにデータを別途用意する必要がない。この手術後感染予測装置生産方法によればこの点で、手術後感染症発症予測の予測モデルの機械学習を行うための、人の負担が比較的小さい。
【0083】
また、上記の手術後感染予測装置生産方法で、学習用データとして、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合で含まれるデータ取得対象者グループの電子カルテから得られるデータを用いる。
ここで、一般的には、手術後感染症発症者の割合は、手術後感染症非発症者の割合よりも少ない。これに対して、この手術後感染予測装置生産方法では、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合の学習用データを用いることで、再現率を高めることができる。すなわち、この手術後感染症予測装置生成方法によれば、学習結果を用いる手術後感染予測装置100、あるいは手術後感染予測装置100による手術後感染症発症確率の予測を参照する医師等が、手術後感染症を将来発症する患者を手術後感染症非発生と予測する確率を低減させることができる。
【0084】
また、上記の手術後感染予測装置生産方法で、電子カルテに示される項目のうち、機械学習を所定回数行って、手術後感染症発症の有無との関連性が所定基準以下とされた項目を除外する。
この手術後感染予測装置生産方法によれば、手術後感染症発症の有無と関連性が低いと判定された項目を除外することで、それ以降の機械学習の処理負荷を低減させることができる。
【0085】
次に、9を参照して本発明の実施形態の構成について説明する。
図7は、実施形態に係る手術後感染予測装置の構成の例を示す図である。図7に示す手術後感染予測装置10は、データ取得部11と、予測部12と、表示部13と、を備える。
かかる構成似て、データ取得部11は、電子カルテからデータを取得する。予測部12は、データ取得部11が取得したデータに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する。表示部13は、手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する。
手術後感染予測装置10によれば、電子カルテを用いて患者毎の手術後感染症発症予測を行うことができ、医療従事者等の人が手術後感染症発症予測のためにデータを別途用意する必要がない。手術後感染予測装置10によればこの点で、患者毎の手術後感染症発症予測を行うための、人の負担が比較的小さい。
【0086】
なお、予測側制御部180および学習側制御部280の全部または一部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0087】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0088】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限定されない。
【0089】
(付記1)
電子カルテからデータを取得するデータ取得部と、
前記データに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する予測部と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する表示部と、
を備える手術後感染予測装置。
【0090】
(付記2)
前記予測部は、前記電子カルテから得られる時系列データの変化量を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1に記載の手術後感染予測装置。
【0091】
(付記3)
前記予測部は、前記電子カルテに示される検査項目のうち不実施の項目がある場合、その項目の値として、不実施を示す値として予め定められた値を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1または付記2に記載の手術後感染予測装置。
【0092】
(付記4)
前記予測部は、前記電子カルテに示される測定項目のうち測定が行われていない項目がある場合、その項目の値として、年齢に応じて定められたデフォルト値を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から3の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0093】
(付記5)
前記電子カルテから得られるデータに示される、手術時の処方薬及び注射薬のうち少なくとも何れか一方について、薬効に基づくグルーピングを行う薬グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記薬グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から4の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0094】
(付記6)
前記電子カルテから得られるデータに示される手術についてグルーピングを行う手術グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記手術グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から5の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0095】
(付記7)
前記電子カルテから得られるデータに示される病名についてグルーピングを行う病名グルーピング部を備え、
前記予測部は、前記病名グルーピング部がグルーピングしたデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から6の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0096】
(付記8)
前記予測部は、前記電子カルテに示される、アレルギーに関する特記事項の記録回数、および、障害に関する特記事項の記載回数のうち少なくとも何れか一方を示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から7の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0097】
(付記9)
前記予測部は、前記予測対象者についてのリハビリオーダ数を用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から8の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0098】
(付記10)
前記予測部は、前記予測対象者についてBMIを示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から9の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0099】
(付記11)
前記予測部は、前記予測対象者の喫煙経験の有無を示すデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から10の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0100】
(付記12)
前記予測部は、前記予測対象者に対する手術時間の長さに基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から11の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0101】
(付記13)
前記予測部は、前記予測対象者についての放射線検査オーダ数に基づいて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から12の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0102】
(付記14)
前記予測部は、前記電子カルテに示される入院時のデータおよび手術前のデータを用いて、前記手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する、
付記1から13の何れか一つに記載の手術後感染予測装置。
【0103】
(付記15)
電子カルテからデータを取得する工程と、
学習用データとして前記データを用いて、電子カルテの記載事項と手術後感染症発症の可能性との関係を機械学習する工程と、
得られた前記関係を用いて、付記1から14の何れか一つに記載の手術後感染予測装置を生産する工程と、
を含む手術後感染予測装置生産方法。
【0104】
(付記16)
前記学習用データとして、手術後感染症発症者と手術後感染症非発症者とが同じ割合で含まれるデータ取得対象者グループの電子カルテから得られるデータを用いる、
付記15に記載の手術後感染予測装置生産方法。
【0105】
(付記17)
電子カルテに示される項目のうち、前記機械学習を所定回数行って、手術後感染症発症の有無との関連性が所定基準以下とされた項目を除外する、
付記15または付記16に記載の手術後感染予測装置生産方法。
【0106】
(付記18)
手術後感染予測装置が、電子カルテからデータを取得する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記データに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染予測装置が、前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を含む手術後感染予測方法。
【0107】
(付記19)
コンピュータに、
電子カルテからデータを取得する工程と、
前記データに基づいて手術後感染症発症の可能性を予測対象者毎に予測する工程と、
前記手術後感染症発症の可能性の予測結果を表示する工程と、
を実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0108】
1 手術後感染予測システム
2 手術後感染予測装置生産システム
10、100 手術後感染予測装置
11 データ取得部
12、183 予測部
13 表示部
110 予測側通信部
120 予測側表示部
130 予測側操作入力部
170 予測側記憶部
180 予測側制御部
181 予測用データ取得部
182 前処理部
191 不実施項目補完部
192 年齢別デフォルト値補完部
193 薬グルーピング部
194 手術グルーピング部
195 病名グルーピング部
196 特記事項数値化部
200 機械学習装置
210 学習側通信部
220 学習側表示部
230 学習側操作入力部
270 学習側記憶部
280 学習側制御部
281 学習用データ取得部
283 機械学習実行部
910 予測用電子カルテ提供装置
920 学習用電子カルテ提供装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7