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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】金属空気電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/08 20060101AFI20221020BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01M12/08 K
H01M4/74 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018165400
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2020038793
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】南 浩成
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-192313(JP,A)
【文献】特開2015-149191(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106486720(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/08
H01M 4/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の正極と、
第1の電解質と、
負極、保護層、及び隔離層を含む第1の負極複合体と、がこの順に積層され、
前記第1の正極が、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含む断面構造を有し、前記複数の凹部、前記複数の凸部、又は前記複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせが、矩形、三角形及び曲線形から選択される一つの形状を有し、
前記第1の正極の、前記第1の電解質が積層される面とは反対側の面に、第2の電解質が積層され、
前記第2の電解質の、前記第1の正極が積層される面とは反対側の面に、第2の負極複合体が積層されている、金属空気電池。
【請求項2】
前記第2の負極複合体の、前記第2の電解質が積層される面とは反対側の面に、第3の電解質が積層され、
前記第3の電解質の、前記第2の負極複合体が積層される面とは反対側の面に、第2の正極が積層され、
前記第2の正極が、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含む断面構造を有する、請求項1に記載の金属空気電池。
【請求項3】
前記複数の凹部、前記複数の凸部、又は前記複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせが、前記第1の正極の平面において格子模様に並んでいる、請求項1または請求項2に記載の金属空気電池。
【請求項4】
前記保護層が、前記負極を覆っており、前記隔離層が、前記保護層と前記第1の電解質との間に位置する、請求項1から請求項のいずれか一項に記載の金属空気電池。
【請求項5】
前記第1の正極が、正極集電体と正極材料とを備え、前記正極集電体が、金属メッシュであり、前記正極材料が、前記正極集電体のメッシュ内に満たされているとともに、前記正極集電体の両表面に膜状に存在している請求項1から請求項のいずれか一項に記載の金属空気電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属空気電池に関する。
【背景技術】
【0002】
金属空気電池は、負極活物質として金属リチウム等を使用し、正極活物質として大気中の酸素を使用するものであり、エネルギー密度が高く、EV(電気自動車)の本格的な普及に必要とされる500Wh/kg級のエネルギーを得られる電池として期待されている。
【0003】
金属空気電池において、放電時には、正極では、空気中の酸素と水が反応し、水酸化物イオンの生成が引き起こされる。それゆえ、高い電気エネルギーを得るためには、正極表面に空気を高効率で接触させることが必要である。
【0004】
例えば、特許文献1には、正極を折り曲げることによって、空気を保持できる領域を大きくして、正極の反応性を高めた正極電池が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、正極基材にガス流路用の孔を設けることによって、セパレータ及び負極構造体と積層しても、空気又は酸素ガスからなる正極活物質を正極材に効率的に供給可能な薄型正極構造体を有する薄型リチウム空気電池が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、負極金属層、負極電解質層、及び正極層を積層した後、ガス拡散層を正極層の一部分を覆うように積層し、次いで、ガス拡散層の上下の面及び一つの側面を正極層で覆うように、負極金属層、負極電解質層、及び正極層の積層体を折り曲げることによって、正極層に空気が高効率で供給される金属空気電池が開示されている。なお、上記のガス拡散層は、例えば、炭素繊維、カーボンクロス、又はカーボンフェルトのようなカーボンペーパーや、スポンジ形状含む金属のような金属フォームや、金属繊維マットから構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-37369号
【文献】特開2013-73765号
【文献】米国特許公開公報2015/0140452号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の空気電池の正極は、折り曲げることによって空気の流路を拡大する構成となっているものの、正極表面の面積は、平面状の正極とあまり変わらず、正極と空気との接触効率は大幅には向上しないと考えられる。また、特許文献2の金属空気電池の正極基材は、複雑な構造を有しており、ドライエッチング法を用いた緻密な製造工程によって得る必要がある。さらに、特許文献3の金属空気電池の製造には、負極金属層、負極電解質層、及び正極層の積層体の作製後に折り畳む、複雑な工程が必要となる。
【0009】
そこで本発明は、容易に作製でき、かつ、空気の流入経路の数をより多く確保できる正極を有する金属空気電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明に係る金属空気電池は、第1の正極と、第1の電解質と、負極、保護層、及び隔離層を含む第1の負極複合体と、がこの順に積層され、前記第1の正極が、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含む断面構造を有する。
【0011】
本発明に係る金属空気電池において、前記第1の正極の、前記第1の電解質が積層される面とは反対側の面に、第2の電解質が積層されていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る金属空気電池において、前記第2の電解質の、前記第1の正極が積層される面とは反対側の面に、第2の負極複合体が積層されていることが好ましい。
【0013】
本発明に係る金属空気電池において、前記第2の負極複合体の、前記第2の電解質が積層される面とは反対側の面に、第3の電解質が積層され、前記第3の電解質の、前記第2の負極複合体が積層される面とは反対側の面に、第2の正極が積層され、前記第2の正極は、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含む断面構造を有することが好ましい。
【0014】
本発明に係る金属空気電池において、前記複数の凹部、前記複数の凸部、又は前記複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせは、矩形、三角形及び曲線形から選択される形状を有することが好ましい。本発明に係る金属空気電池において、前記複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせは、一つの凹部と一つの凸部が表裏に同位置に配置され、それらが複数組み合わせられることが好ましい。
【0015】
本発明に係る金属空気電池において、前記複数の凹部、前記複数の凸部、又は前記複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせは、前記正極の平面において格子模様に並んでいることが好ましい。
【0016】
本発明に係る金属空気電池において、前記保護層は、前記負極を覆っていることが好ましく、前記隔離層は、前記保護層と前記第1の電解質との間に位置していることが好ましい。
【0017】
本発明に係る金属空気電池において、前記第1の正極は、正極集電体と正極材料とを備えることが好ましく、前記正極集電体は、金属メッシュであることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る金属空気電池によれば、正極の断面構造が、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含むことによって、平面状の正極と比べ、空気の流路の数をより多く確保し、かつ、空気との接触面積を拡大することができるため、充放電性能を向上することができる。また、このような断面形状に成形加工する必要があるのは正極のみであり、負極複合体及び電解質等の金属空気電池の他の構成要素については、従来技術を用いることができる。正極も、プレス加工等の簡単な製造工程を経るだけで得られるため、容易に作製できる。このように正極自体を加工するだけで、別部材の追加が必要ないため、金属空気電池の重量をほぼ維持したままで、金属空気電池の製造に費やすコストや作製工数の増加を抑えることができる。すなわち、本発明によれば、容易に作製でき、かつ、空気の流入経路の数をより多く確保できる正極を有する金属空気電池が提供される。
【0019】
また、第1の正極の、第1の電解質が積層される面とは反対側の面に、第2の電解質が積層されても、正極が上述した断面構造を有するため、空気の流入経路の数をより多く確保でき、従来の平面の正極では空気と接触できなくなり電池性能が著しく低下するということを回避することができる。よって、更に第2の電解質の、第1の正極が積層される面とは反対側の面に、第2の負極複合体が積層されても、充電電圧、サイクル特性等の電池性能を損なうことなく、複数のセルを重ね合わせた金属空気電池を提供することができる。上述した正極の断面構造は、第2の負極複合体の、第2の電解質が積層される面とは反対側の面に、第3の電解質が積層され、第3の電解質の、第2の負極複合体が積層される面とは反対側の面に、第2の正極が積層された場合の第2の正極にも、採用することで、セルのサイズや、セルをモジュール化する際の自由度も向上できる。
【0020】
更に、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせが、矩形、三角形及び曲線形から選択される一つの形状を有してもよく、これにより、正極の表面が、同じ形を繰り返す形状となるため、1つの正極における空気と触れ合う面積及び電解質と触れ合う面積に規則性があり、安定した電池性能とすることができる。
【0021】
保護層が負極を覆い、隔離層が保護層と第1の電解質との間に位置する構成にすることで、負極複合体によって金属負極を保護できるため、リチウム等の空気中では使用できない金属を使用した空気電池を提供することができる。また、第1の正極が正極集電体と正極材料とを備え、正極集電体が金属メッシュである構成にすることで、正極集電体が金属箔の場合と異なり、金型を用いたプレス加工で容易に、正極に、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含む断面構造を形成することができる。また、空気の流量や方向に応じた自由度の高い金型形状を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明に係る金属空気電池の一実施形態の断面図を示す。
図2図2は、本発明に係る金属空気電池の別の実施形態の断面図を示す。
図3図3(a)~(e)は、本発明に係る金属空気電池における正極の実施形態の断面図を示す。
図4図4(a)は、本発明に係る金属空気電池における正極の更に別の実施形態の断面図を示し、図4(b)は、該正極の平面図を示し、図4(c)は、該正極の製造方法を説明する模式図を示す。
図5図5は、本発明に係る金属空気電池における片面型の負極複合体の一実施形態の断面図を示す。
図6図6は、本発明に係る金属空気電池における両面型の負極複合体の一実施形態の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る金属空気電池の実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。本実施の形態の金属空気電池における各構成(正極、電解質、負極複合体、負極、隔離層、フィルム、金属ラミネートフィルム、負極複合体内の電解液など)の説明は、図示する金属空気電池に限定されず、本発明に係る金属空気電池に広く適用できるものである。
【0024】
[金属空気電池]
本発明に係る金属空気電池の一実施形態としては、例えば、図1を参照して説明することができる。図1において、金属空気電池100Aは、第1の正極1、第1の電解質3及び第1の負極複合体2が順に積層される構造を有する。
【0025】
本発明に係る金属空気電池の別の実施形態としては、図1に示した積層構造を1つのセルとして、複数のセルを積み重ねた構造としてもよい。例えば、図2に示すように、金属空気電池100Bは、第1の負極複合体2A、第1の電解質3A、第1の正極1A、第2の電解質3B、第2の負極複合体2B、第3の電解質3C、第2の正極1B、第4の電解質3D、第3の負極複合体2C、…、第xの負極複合体2Xが順に積層される構造を有する。このような金属空気電池100A及び100Bの各構成について、以下に説明する。
【0026】
[正極]
本実施の形態に係る金属空気電池100A及び100Bにおける正極は、複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含む断面構造を有する。この複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせは、矩形、三角形及び曲線形から選択される一つの形状を有することが好ましい。矩形や三角形は、角を面取りしてもよい。三角形は、二等辺三角形や、直角三角形、正三角形などが好ましい。曲線形は、正弦曲線や、円弧、楕円弧、二次曲線などが好ましい。
【0027】
具体的には、本実施形態に係る金属空気電池における正極の例として、金属空気電池の断面方向から見て、図3(a)~(e)に示すような構造を採用することができる。例えば、図3(a)の正極11は、その圧着部11aが複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせの断面構造を有し、凹部及び凸部がどちらも矩形であり、一つの凹部と一つの凸部が表裏に同位置に配置され、それらが複数組み合わせられることによって、全体では矩形波形状を有する。なお、本明細書において正極11の圧着部11aの断面構造は、図3(a)に示すように、圧着部11aに隣接する端子部11bの両表面を基準面L、L’とし、この基準面L、L’から内側(中心側)に窪んでいるものを凹部とし、基準面L、L’から外側に突出しているものを凸部とする。凹部は、反対側の表面(基準面Lに対しては基準面L’)を超えて窪んでもよいし、越えずに正極11の厚みの範囲で窪んでもよい。
【0028】
また、図3(b)の正極12は、複数の凹部及び複数の凸部がどちらも正弦曲線であり、一つの凹部と一つの凸部が表裏に同位置に配置され、それらが複数組み合わせられることによって、全体では正弦波形状を有する。図3(c)の正極13は、複数の凹部及び複数の凸部がどちらも二等辺三角形であり、一つの凹部と一つの凸部が表裏に同位置に配置され、それらが複数組み合わせられることによって、全体では三角波形状を有する。図3(d)の正極14は、複数の凹部及び複数の凸部がどちらも直角三角形であり、一つの凹部と一つの凸部が表裏に同位置に配置され、それらが複数組み合わせられることによって、全体ではのこぎり歯形状を有する。図3(e)の正極15は、複数の凹部及び複数の凸部がどちらも円弧であり、一つの凹部と一つの凸部が表裏に同位置に配置され、それらが複数組み合わせられることによって、全体では波形形状を有する。図3では、正極が複数の凹部と複数の凸部の組み合わせの断面構造を有する場合の実施の形態を示したが、本発明はこれに限定されず、複数の凹部のみの断面構造であっても、複数の凸部のみの断面構造であってもよい。
【0029】
図3(a)~(e)に示される正極11~15を作製する方法の一例としては、平面状の正極集電体を、任意の断面形状(複数の矩形、正弦曲線、二等辺三角形、直角三角形、曲線形状等)を有する上型及び下型でプレス加工することが挙げられる。正極材料は、プレス加工前に正極集電体に担持させてもよいし、プレス加工後に正極集電体に担持させてもよい。また、プレス加工後の正極集電体に正極材料を担持させた後、同金型で再度、プレス加工してもよい。
【0030】
更に、図3では、正極11の圧着部11aの端子部11b側の端からその反対側の端への方向のみ、複数の凹部及び複数の凸部が繰り返し配置される場合を示したが、本発明はこれに限定されず、上記方向に代えて上記方向と直交する方向にのみ、複数の凹部及び複数の凸部が繰り返し配置される構造にしてもよいし、図4(a)及び図4(b)に示すように、上記方向に加えて上記方向と直交する方向にも、複数の凹部及び複数の凸部が交互に繰り返し配置される構造を有することができる。断面図である図4(a)に示される正極16の矩形波形状のうちの複数の凸部16bの部分のパターンを、平面図である図4(b)に斜線で示し、複数の凸部16bで挟まれた平面16aの部分のパターンを白抜きで示した。すなわち、本実施の形態では、図4(b)に示すように、正極16の正面方向から見た構造は、複数の凹部16a及び複数の凸部16bが格子模様に並んだ構造となっている。
【0031】
図4(a)及び図4(b)に示される正極16を作製する方法の一例を、図4(c)に示す。図4(c)に示される平面状の正極集電体に正極材料を担持したもの16Aに対し、端子部11b側の端からその反対側の端への方向に、凹部または凸部の一辺の長さを有する複数の切り込み16x(太線)を入れ、その後、図4(a)の凸部16bに相当する箇所Aに矩形等の任意の断面形状を有する上型及び下型で、垂直にプレスする方法が挙げられる。
【0032】
複数の凸部16b(又は複数の凹部)間の間隔は、図3又は図4に示す配置でもその他の配置でも、特に限定されないが、例えば、その下限は、空気の流通性の観点から、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。また、上限は、正極の耐久構造の観点から、6mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましい。正極の断面形状は、複数の凸部のみでも、複数の凹部のみでも、複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせでも、その断面形状の頂面から底面までの高さは、特に限定されないが、例えば、その下限は、空気の流通性の観点から、0.5mm以上が好ましく、1mm以上が好ましい。また、上限は、正極の耐久構造の観点から、4mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。
【0033】
本発明に係る金属空気電池における正極は、正極集電体と正極材料とを含むことが好ましい。正極11の圧着部11aは正極集電体と正極材料で、正極11の端子部11bは正極集電体で構成されることが好ましい。
【0034】
正極集電体及び正極材料としては、金属空気電池で使用される材料であれば、特に限定されない。正極材料としては、例えば、白金、金、イリジウム、ルテニウムなどの触媒活性を示す貴金属や、それらの酸化物等、もしくは、触媒活性を示す二酸化マンガン等を、導電性の高いカーボン等を導電助剤、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン、スチレンブタジエンゴム等を混合して用いることができる。正極集電体としては、例えば、カーボンペーパー、カーボンクロス、カーボン不織布、チタンメッシュ、ニッケルメッシュ、銅メッシュ、SUSメッシュ、多孔質ニッケル(ニッケルの金属発泡体)や多孔質アルミニウム(アルミの金属発泡体)、多孔質チタン等の耐腐食性の高い金属を使用した金属メッシュ等を用いることができる。正極集電体は、導電性とガス拡散性に優れたものが好ましい。なお、ここでいうカーボンクロスとは、カーボンファイバー等で織られた布状のシートのことを指し、カーボン不織布は、カーボンファイバーをランダムに絡み合わせたシート状のものである。
【0035】
上記の正極材料を、正極集電体に担持させることで、正極11の圧着部11aを形成することができる。正極材料は、正極集電体のメッシュ内に満たされているとともに、正極集電体の両表面に膜状に存在している。正極集電体の厚さは、特に限定されないが、例えば、下限は、0.04mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、上限は、0.4mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましい。正極集電体の表面に形成される正極材料の膜の厚さは、特に限定されないが、例えば、下限は、0.2mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、上限は、1mm以下が好ましく、0.7mm以下がより好ましい。
【0036】
金属空気電池において、水溶液系電解液を用いた場合には、正極には、導電性、ガス拡散性、及び電解液に対する耐腐食性が求められる。また、金属空気電池において、正極集電体をプレス成型で空気の通過が可能な任意の形状に加工する必要がある。本発明に係る金属空気電池における正極集電体は、金属メッシュであることが好ましい。導電助剤等を圧着させる点、及びプレス成型可能な点から、金属メッシュは正極集電体として好適な材料である。特に、チタンメッシュは、導電性があり、アルカリ水溶液に対しても耐腐食性が高く、軽量であり、高い耐食性を示す白金や金などの貴金属よりも安価であり、プレス成型可能なことから、正極集電体として好ましく用いることができる材料である。
【0037】
上記の図3(a)~(e)及び図4(a)に示すような複数の凹部、複数の凸部、又は複数の凹部及び複数の凸部の組み合わせを含む断面構造を有する正極は、片面又は両面に平面状の電解質に積層した場合であっても、正極には空気が通過可能な空間が生じるため、正極が取り込む空気量が増加し、効率良く空気を取り込むことが可能になる。また、上記の正極は、平面状の正極集電体に正極材料を担持したものを任意の形状にプレスすることによって得られるため、作製が容易である。
【0038】
[電解質]
本実施の形態における電解質3としては、金属空気電池で使用される電解質であれば、特に限定されない。例えば、水溶液系電解液又は非水溶液系電解液を用いることができる。
【0039】
水溶液系電解液としては電気伝導性を有していればよく、水にリチウム塩を溶解させた水溶液系電解質が好ましい。水に溶解させるリチウム塩としては、例えば、LiCl(塩化リチウム)、LiOH(水酸化リチウム)、LiNO(硝酸リチウム)、CHCOOLi(酢酸リチウム)等が挙げられ、これらの1つ又は複数を水に溶解させた液体を用いることができる。
【0040】
非水溶液系電解液としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)等の炭酸エステル系の有機溶媒、及びエチレングリコールジメチルエーテル(EGDME)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒が挙げられ、これらの単独又は混合溶液を用いることができ、導電性を持たせるために、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiClO(過塩素酸リチウム)、LiBF(テトラフルオロほう酸リチウム)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiN(SOCF(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)等を添加することができる。
【0041】
上記のような電解液の他には、リチウム塩をポリマーに分散させた固体電解質であってもよいし、リチウム塩を溶解した有機電解液をポリマーに膨潤させたゲル電解質であってもよい。リチウム塩は、LiPF、LiClO、LiBF、LiTFSI(LiN(SOCF)、LiFSI(LiN(SOF))、LiBOB(ビスオキサラトホウ酸リチウム)等を挙げることができる。ゲル電解質のホストとなるポリマーは、PEO(ポリエチレンオキシド)、PPO(ポリプロピレンオキシド)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PVP(ポリビニルピロリドン)、PEO-PMA(ポリエチレンオキシド修飾ポリメタクリレートの架橋体)、PVdF(ポリフッ化ビリニデン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAA(ポリアクリル酸)、PVdF-HFP(ポリフッ化ビリニデンとヘキサフロオロプロピレンとの共重合体)等を挙げることができる。
【0042】
また、電解質としては、上記の電解液を多孔質体に含浸させたものを、使用してもよい。多孔質体としては、ポリアクリルアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンなどの多孔膜の他、セルロース、樹脂不織布及びガラス繊維不織布等の不織布、ハイドロゲルなどを用いることができる。
【0043】
[負極複合体]
本実施の形態の金属空気電池における負極複合体としては、負極、保護層、及び隔離層を備える負極複合体であれば、特に限定されず、公知の負極複合体を用いることができる。本実施形態に係る負極複合体の一例としては、図5に示される片面型の負極複合体2aがある。このような片面型の負極複合体2aは、図1に示す負極構造体2や、図2に示す第1の負極複合体2Aと、第xの負極複合体2Xに用いることができる。片面型の負極複合体2aは、図5において上下に設けられた第1の金属箔ラミネートフィルム20a及び第2の金属箔ラミネートフィルム20bの間に、固体電解質から構成されている隔離層40と、保護層33と、負極30と、フィルム34とが挟まれた積層構造となっている。金属空気電池の正極(図示省略)側に位置する第1の金属箔ラミネートフィルム20aには、その平面においてほぼ中央の位置に、開口部50が設けられている。
【0044】
開口部50を有する第1の金属箔ラミネートフィルム20aは、片面型の負極複合体2aの内側から外側に向けて(図中、下から上へ向けて)、第1の樹脂層21、金属箔層22、第2の樹脂層23の順に3つの層が積層されたシートとなっている。第2の金属箔ラミネートフィルム20bも、同様に、片面型の負極複合体2aの内側から外側に向けて(図中、上から下へ向けて)、第1の樹脂層21、金属箔層22、第2の樹脂層23の順に3つの層が積層されたシートとなっている。第1の金属箔ラミネートフィルム20a及び第2の金属箔ラミネートフィルム20bの周縁部は熱溶着によって接合されている。
【0045】
第1の金属箔ラミネートフィルム20aの内側に、開口部50を塞ぐように、隔離層40が配置されている。すなわち、隔離層40の平面における大きさは、第1の金属箔ラミネートフィルム20aの開口部50よりも大きく、隔離層40の周縁部が第1の金属箔ラミネートフィルム20aの開口部50の内側周縁部に溶着され固定されている。
【0046】
保護層33と、負極30と、フィルム34とは、その端が、第1の金属箔ラミネートフィルム20a及び開口部のない第2の金属箔ラミネートフィルム20bに挟まれ、溶着され固定されている。
【0047】
負極30は、フィルム34の側から順に、負極集電体31、金属リチウムからなる負極層32の順に2つの層が積層した構造となっている。保護層33の端は、負極集電体31に溶着され、固定されており、これによって負極集電体31と保護層33とにより負極層32を封止する構成となっている。なお、保護層33は負極層32に対しては固定されていない。
【0048】
負極集電体31は、図5に示すように、フィルム34と負極層32とに挟まれている集電部31aと、そこから第1の金属箔ラミネートフィルム20a及び第2の金属箔ラミネートフィルム20bの外方まで延伸している端子部31bとから構成される。負極集電体31の集電部31aは、平面において四角形の形状を有し、端子部31bは、それよりも幅の狭い線形の形状を有している。負極集電体31の集電部31aは、端部まで全て保護層33に覆われるように、保護層33と接合している。フィルム34は、負極集電体31の集電部31aの裏側全面を覆っている。
【0049】
また、図5に示すように、隔離層40と保護層33とは、間隔をおいて設けられている。そして、隔離層40と、保護層33と、第1の金属箔ラミネートフィルム20aとの間の空間には、有機電解液等が封入されている。
【0050】
本実施の形態に係る負極複合体の他の例としては、図6に示される両面型の負極複合体2bがある。このような両面型の負極複合体2bは、図2の第2の負極複合体2B、第3の負極複合体2C、・・・、第(x-1)の負極複合体2X’に用いることができる。なお、両面型の負極複合体2bは、図5に示される片面型の負極複合体2aの変形例であるため、重複する説明を省略し、相違点について説明する。図6において、両面型の負極複合体2bは、負極集電体31を境界に図中上下両面に、負極層32、保護層33、隔離層40、開口部を有する金属箔ラミネートフィルム20aをそれぞれ設けた構造となっている。このような構成によれば、負極複合体の両面にそれぞれ正極を配置する構造の空気電池にすることができ、1つの負極複合体の一面に1つの正極の一面を正対させる構造の空気電池に比べ、体積を小さくすることができる。
【0051】
[負極]
本実施の形態の負極複合体の負極30は、図5及び図6に示すように、負極層32及び負極集電体31を備える。
【0052】
負極層32の負極活物質としては、リチウム、亜鉛等の金属を用いることができるが、開放電圧が高く、実用的な観点からリチウムがより好ましい。また、負極活物質は、金属リチウムに限定されず、リチウムを主成分とする合金もしくは化合物であってもよい。リチウムを主成分とする合金は、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、銀、金、亜鉛等を含むことができる。リチウムを主成分とする化合物は、例えば、Li3-xN(M=Co、Cu、Ni;x=1、2、3)がある。
【0053】
負極集電体31の材料は、空気電池の動作範囲で安定して存在でき、所望する導電性を有していればよく、例えば、銅、ニッケルなどを挙げることができる。
【0054】
負極層が金属リチウムである場合には、金属空気電池が放電を行う際、負極層がリチウムイオン(Li)と電子(e)となる。そして、リチウムイオン(Li)は電解液に溶解し、電子(e)は負極集電体の集電部を介して端子部に供給される。したがって、負極層の厚さや面積を変えることで、電池容量の設計値をコントロールすることができる。
【0055】
[保護層]
本実施の形態の負極複合体2の保護層33としては、金属空気電池で使用される保護層であれば、特に限定されない。例えば、保護層33は、リチウムイオン等の負極活物質である金属のイオンや有機電解液が通過可能な複数の空孔を有するものであることが好ましい。このような保護層33として、例えば、リチウムイオン電池等のセパレータとして使用されている多孔質のポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、セルロース等のシートを用いることができる。これらの材料以外に、多孔質構造を持つアラミド、ポリテトラフルオロエチレン、毛細管状構造の酸化アルミニウム等の材質を用いることができる。また、これら材料のシートに有機電解液を含浸させたものを用いることができる。
【0056】
保護層33の材料としては、空孔率が約40%~90%、厚みが約10~300μm程度のものを用いることができ、約15~100μmのものが、より好適に用いることができる。空孔の大きさは、約20nm~500nm程度であればよく、より好ましくは約20~70nm程度であればよい。また、保護層自体にある程度の剛性、強度を有するものがより好ましい。
【0057】
[隔離層]
本実施の形態の負極複合体2の隔離層40としては、金属空気電池で使用される隔離層であれば、特に限定されない。例えば、隔離層40は、電圧を印可することによりイオン(リチウムイオン)を透過することができる固体の物質であることが好ましい。固体電解質としては、例えば、リチウムイオン伝導性に優れ不燃性であるガラスセラミック等を用いることができる。また特に、電解液に水溶液系の電解液を用いた場合には、耐水性の高いLATP系ガラスセラミック電解質を用いることができる。
【0058】
[フィルム]
本実施の形態の負極複合体2のフィルム34は、負極集電体31の集電部31aの裏側全面を覆っている。フィルム34は、集電部の裏側全面を接合してもよいし、周縁部のみを接合してもよい。また、フィルム34は、負極集電体31の全面のみならず、側面(端部)まで覆ってもよい。フィルム34としては、有機電解液を通さず且つ有機電解液に対して耐性のある、例えば、ポリポロピレンやポリエチレン等の樹脂シート等を用いることができる。
【0059】
[金属箔ラミネートフィルム]
本実施の形態の負極複合体2の金属箔ラミネートフィルム20としては、例えば、図5に示すように、第1の樹脂層21、金属箔層22、第2の樹脂層23の順に3つの層が積層されたシートを用いることができる。なお、各層の間に、例えばナイロンフィルム等の1層又は複数の樹脂フィルムを積層し、4層以上の構造としてもよい。
【0060】
第1の樹脂層21には、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂を用いることができる。これらの樹脂は、融点が低く、熱加工が容易でヒートシール(熱溶着)に適しており、負極複合体の製造を容易とする。
【0061】
金属箔層22は、ガスバリア性及び強度向上のためのものであり、例えば、アルミ箔、SUS箔、銅箔等の金属箔を使用することができる。
【0062】
第2の樹脂層23には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂や、ナイロン系樹脂を用いることができる。これらの樹脂材料は、耐熱性及び強度に優れている。そのため、負極複合体の強度等を向上することができる。
【0063】
[負極複合体内の電解液]
隔離層40と、第1及び第2の金属箔ラミネートフィルム20a及び20bとの間の空間には、電解液が封入されている。この電解液としては、上述の正極1と負極複合体2とに挟まれた電解質3で説明した、水溶液系電解液や非水溶液系電解液などの各種電解液を用いることができる。負極複合体内に封入する電解液と、正極と負極複合体とに挟まれる電解質は、同じ種類の電解質でもよいし、異なる種類の電解質でもよい。
【実施例
【0064】
以下に、本発明の実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
[1.負極複合体の作製]
まず、PP樹脂/Al箔/PET樹脂の金属箔ラミネートフィルムの中心部分を2×2cm角に打ち抜いた外装材、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)、2.5×2.5cm角の固体電解質(LATP)、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外周部3×3cm、内周2×2cm)の順に重ねて、固体電解質4辺をヒートシーラーで熱溶着接合して上側外装体とした。
【0066】
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内に移し、裏面に酸変性ポリプロピレンフィルムが接合された負極集電体及び端子が一体化された銅箔(銅箔厚さ:10μm、集電体サイズ:2×7cm)の2×2cmの部分の表面に、金属Li箔(サイズ1.45×1.4cm、厚さ0.2mm)を接合し、リチウムイオン電池用のPP樹脂セパレ-タ(保護層)で覆い、負極集電体裏面のポリプロピレンが接合された部分とで端部4辺を熱溶着接合し、一体化して負極とした。これに、固体電解質部分と負極面が対向するように、上側外装体、一体化した負極、下側外装体の金属箔ラミネートフィルム(開口部がないもの)を重ねて、端部3辺をヒートシーラーにより熱溶着接合した。
【0067】
接合していない端部より、非水溶液系電解液(4M(mol/l)LiFSI/EGDME)を負極複合体内に2ml注入した。外装体中のガスを出した後、最後に残りの1辺の端部(負極集電体のタブがある部分)をヒートシーラーで接合させて密閉し、片面負極複合体を作製した。負極集電体と上側及び下側外装体は酸変性PP樹脂等の熱溶着シートを介して熱溶着されている。なお、固体電解質にはLATP(オハラ社製)を用いた。また、リチウムイオン電池用セパレ-タ(保護層)としては、ポリプロピレン樹脂で、厚さ20μm、空孔60~70nm、空孔率42%、透気度250sec/100ccのものを使用した。
【0068】
また、上記の片面型の負極複合体において、銅箔の裏面の酸変性ポリプロピレンフィルムの代わりに金属Li箔を接合し、PP樹脂セパレータで覆い、さらに、上記の下側外装体の代わりに上側外装体を重ねることによって、両面型の負極複合体を作製した。
【0069】
[2.正極の作製]
正極を、以下の手順で作製した。
(1)正極触媒として触媒活性を持つMnO(比表面積300m/g)を0.8gと、導電助剤としてケッチェンブラック(比表面積800m/g)0.1gと、バインダー(結着剤)としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.1gを計り取り、メノウ乳鉢に移し、分散剤としてエタノールを5ml加えて混練し、正極材料とした。
(2)2.5×2.5cmの圧着部と1×5.5cmのタブ部(端子部)とが一体となったTiメッシュの圧着部を、複数の矩形の凸断面構造を有する上型(凸部高さ:約2mm、凸部幅:約2mm、凸部ピッチ:約4mm、凸部R:0.1mm)及びそれに対応する複数の矩形の凹部断面構造を有する下型(凹部深さ:約2mm、凹部幅:約2mm、凹部ピッチ:約4mm、凹部R:0.1mm)に入れて10~20kNのプレス圧でプレスした。その後、(1)の正極材料を2等分し、成形したTiメッシュ(線径0.1mm、100mesh)の圧着部の両面にそれぞれ配置して再度金型に入れ、20kNのプレス圧でプレスすることで圧着した。その後、Tiメッシュの圧着部からはみ出た正極材料を除去し、空気中で24時間自然乾燥させて、正極を作製した。
【0070】
[3.電解質の作製]
水溶液系電解液として、LiOHとLiClの混合液を用い、pHが10以下になるように調製した。上記の混合液を3×3cmのポリアクリルアミドのシート上に1.5ml滴下し、電解質を得た。
【0071】
[4.金属空気電池の作製]
上記の方法で作製した、片面型の負極複合体、電解質及び正極を、この順で積層することによって、金属空気電池を作製した。さらに、得られた上記の金属空気電池の正極に、電解質、両面型の負極複合体、電解質、正極、電解質、両面型の負極複合体、電解質、正極、電解質、片面型の負極複合体を、この順で積層することによって、複数のセルを積み重ねた金属空気電池も作製した。
【符号の説明】
【0072】
1、1A、1B 正極
2、2A、2B、2C、2X 負極複合体
2a 片面型の負極複合体
2b 両面型の負極複合体
3、3A、3B、3C、3D 電解質
20a 第1の金属箔ラミネートフィルム
20b 第2の金属箔ラミネートフィルム
21 第1の樹脂層
22 金属箔層
23 第2の樹脂層
30 負極
31 負極集電体
31a 集電部
31b 端子部
32 負極層
33 保護層
34 フィルム
40 隔離層
50 開口部
100A 金属空気電池
100B 金属空気電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6