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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】便器詰まり検出装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/10 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
E03D5/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018199353
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020066892
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】小林 基紀
(72)【発明者】
【氏名】立木 翔一
(72)【発明者】
【氏名】正平 裕也
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-282538(JP,A)
【文献】特開平03-224925(JP,A)
【文献】特開2008-214905(JP,A)
【文献】特開平10-252117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 5/10
E03D 13/00
E03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器のボウル部を洗浄する洗浄水を出し止めする洗浄手段と、前記洗浄手段を駆動させる駆動信号を出力する洗浄制御手段と、を有したトイレ装置における前記便器の詰まりを検出する機能を備えた便器詰まり検出装置であって、
前記便器の詰まりを検出する検出手段と、
前記ボウル部の洗浄を禁止できる洗浄信号遮断部と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記洗浄信号遮断部を制御可能な遮断制御手段と、
を備え、
前記洗浄信号遮断部は、前記洗浄制御手段と前記洗浄手段との間に接続可能であり、前記洗浄手段を駆動させるために前記洗浄制御手段から出力される前記駆動信号を遮断可能である便器詰まり検出装置。
【請求項2】
前記洗浄信号遮断部に取り込む前記駆動信号を分岐して前記遮断制御手段にも取り込み可能である請求項1記載の便器詰まり検出装置。
【請求項3】
前記便器詰まり検出装置は、前記トイレ装置と電気的に絶縁される請求項1又は2に記載の便器詰まり検出装置。
【請求項4】
前記洗浄信号遮断部による遮断を解除できる解除手段をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の便器詰まり検出装置。
【請求項5】
外部と情報を送受信できる情報通信装置をさらに備えた請求項1~3のいずれか1つに記載の便器詰まり検出装置。
【請求項6】
前記情報通信装置は、前記洗浄信号遮断部による遮断を解除できる解除手段を有し、受信した情報に基づいて前記解除手段を動作させ、前記洗浄信号遮断部による遮断を解除可能である請求項5記載の便器詰まり検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、便器詰まり検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器が詰まった状態で洗浄が実行され、便器から水が溢れることを防止するために、水位センサを備えたトイレが知られている。例えば、特許文献1では、水位センサにより所定以上の水位を検出した場合に詰まりが発生したと判断し、警報を発すると共に、洗浄弁の開動作を不能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-282538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
便器の詰まりを検出し、洗浄弁の動作を不能にする機能が備わっていないトイレ装置が世の中には多く存在する。既に設置されたトイレ装置に後付けで上記機能を追加する場合、特許文献1の構成によれば、洗浄弁を制御する制御基板を取り替える必要があり、施工の手間がかかる。また、トイレ装置が設置された環境の水圧や水質、洗浄弁の洗浄方式などに応じて、制御基板には多数の種類が存在する。それらの多数の種類の既存の制御基板に上記詰まり検出機能を追加しようとすると、多額の開発費が必要となり、詰まり検出装置が高価になる。
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、トイレ装置が備える制御基板の種類に拘わらず、便器の詰まりを検出でき、且つ洗浄手段の動作を不能にできる便器詰まり検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、便器のボウル部を洗浄する洗浄水を出し止めする洗浄手段と、前記洗浄手段を駆動させる駆動信号を出力する洗浄制御手段と、を有したトイレ装置における前記便器の詰まりを検出する機能を備えた便器詰まり検出装置であって、前記便器の詰まりを検出する検出手段と、前記ボウル部の洗浄を禁止できる洗浄信号遮断部と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記洗浄信号遮断部を制御可能な遮断制御手段と、を備え、前記洗浄信号遮断部は、前記洗浄制御手段と前記洗浄手段との間に接続可能であり、前記洗浄手段を駆動させるために前記洗浄制御手段から出力される前記駆動信号を遮断可能である便器詰まり検出装置である。
【0007】
この便器詰まり検出装置によれば、駆動信号を遮断することで洗浄手段の動作を不能にする。このため、洗浄制御手段が備える制御基板の種類に拘わらず、便器の詰まりを検出でき、且つ洗浄手段の動作を不能にすることが可能である。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記洗浄信号遮断部に取り込む前記駆動信号を分岐して前記遮断制御手段にも取り込み可能である便器詰まり検出装置である。
【0009】
この便器詰まり検出装置によれば、駆動信号に基づいて洗浄開始又は洗浄終了のタイミングを判定でき、洗浄開始又は洗浄終了に合わせて検出手段による詰まり検出を実行できる。この結果、便器の詰まりの検出精度を高め、誤った検出結果に基づいて駆動信号が遮断されることを抑制できる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記便器詰まり検出装置は、前記トイレ装置と電気的に絶縁される便器詰まり検出装置である。
【0011】
この便器詰まり検出装置によれば、便器詰まり検出装置とトイレ装置のそれぞれの駆動電圧が異なる場合でも、その違いに拘わらず、便器詰まり検出装置とトイレ装置を接続することができる。
【0012】
第4の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、前記洗浄信号遮断部による遮断を解除できる解除手段をさらに備えた便器詰まり検出装置である。
【0013】
この便器詰まり検出装置によれば、例えば、便器のメンテナンスが完了次第、すぐに洗浄信号遮断部による遮断を解除することができる。これにより、便器に詰まりが無いにも拘らず駆動信号が遮断されている時間をより短縮し、トイレ装置の使い勝手を向上させることができる。
【0014】
第5の発明は、第1~第3のいずれか1つの発明において、外部と情報を送受信できる情報通信装置をさらに備えた便器詰まり検出装置である。
【0015】
この便器詰まり検出装置によれば、例えば、トイレ装置から離れた場所で便器の詰まり状態を管理者が把握できる。また、便器に詰まりが発生した際には、そのことを管理者がより早く知ることができ、便器のメンテナンスをより早急に実施することが可能となる。
【0016】
第6の発明は、第5の発明において、前記情報通信装置は、前記洗浄信号遮断部による遮断を解除できる解除手段を有し、受信した情報に基づいて前記解除手段を動作させ、前記洗浄信号遮断部による遮断を解除可能である便器詰まり検出装置である。
【0017】
この便器詰まり検出装置によれば、トイレ装置から離れた場所で洗浄信号遮断部による遮断を解除することが可能となる。この結果、例えば、便器をメンテナンスする作業者の負担を軽減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の態様によれば、トイレ装置が備える制御基板の種類に拘わらず、便器の詰まりを検出でき、且つ洗浄手段の動作を不能にできる便器詰まり検出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る便器詰まり検出装置及びトイレ装置の構成を表す模式図である。
図2】実施形態に係る便器詰まり検出装置及びトイレ装置の電気的な構成を表す模式回路図である。
図3】実施形態に係る便器詰まり検出装置の動作を表すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する
【0021】
図1は、実施形態に係る便器詰まり検出装置及びトイレ装置の構成を表す模式図である。
実施形態に係る便器詰まり検出装置1は、図1に表したように、トイレ装置2に接続されて使用される。
【0022】
まず、トイレ装置2について説明する。
トイレ装置2は、洗浄手段20、洗浄制御手段22、及び便器24を有する。便器24は、使用者の尿や便などの排泄物を受けるボウル部25及び水を溜めて下水管からの臭気を遮断する排水トラップ26を有する。洗浄手段20は、便器24のボウル部25へ洗浄水を供給し、ボウル部25を洗浄する。
【0023】
洗浄手段20は、バルブ(例えばソレノイドバルブ)又はモータ等を有し、上水道や貯水タンクなどの給水源と接続される。バルブ又はモータが動作することで、給水源からボウル部25へ洗浄水が供給される状態と、洗浄水が供給されない状態と、が切り替わる。洗浄手段20は、この他に、水を貯留するタンクや、水を圧送するポンプなどを適宜有していても良い。
【0024】
洗浄制御手段22は、洗浄手段20を制御するためのものであり、例えばリモコンや人体検知センサなどである。使用者が洗浄制御手段22を操作すると、洗浄制御手段22から洗浄手段20に信号が送られる。この信号に基づいて洗浄手段20のバルブ又はモータが動作することで、ボウル部25へ洗浄水が供給される。又は、洗浄制御手段22は、リモコンなどから送信された信号に基づいて洗浄手段20に信号を送る制御装置(例えばマイコン)などであっても良い。
【0025】
便器24は、洗浄手段20から供給された洗浄水によって排泄物を下水管へと排出できるよう構成されている。便器24は、図1に表した例では大便器である。又は、この例に限定されず、便器24は小便器であっても良い。
【0026】
便器詰まり検出装置1は、検出手段10、洗浄信号遮断部12、遮断制御手段14、及び情報通信装置16を有する。
検出手段10は、トイレ装置2の便器24における詰まりを検出する。検出手段10は、便器24の詰まりを直接的に検出しても良いし、間接的に検出しても良い。検出手段10としては、例えば、電波センサ、静電容量センサ、圧力センサ、超音波式測距センサ、光学式測距センサ、又は流量センサなどが用いられる。
【0027】
電波センサは、電波を放射し、その反射波を検知する。反射波の強度は、電波が放射された位置における水の有無で変化する。電波センサを検出手段10として用いる場合、電波がボウル部25の表面の所定領域に放射されるように、検出手段10を便器24の内部に設ける。
また、静電容量センサは、当該センサと、それに対向する所定領域と、の間の静電容量を検知する。静電容量は、その所定領域における水の有無で変化する。静電容量センサを検出手段10として用いる場合、ボウル部25の表面の所定領域と対向するように、検出手段10を便器24の内部に設ける。
電波センサ又は静電容量センサを検出手段10として用いることで、ボウル部25内の水位が、所定領域よりも高い位置に有るか否かを検知できる。
【0028】
超音波式測距センサは、超音波を放射し、その反射波を受信する。超音波が水面に対して鉛直方向に放射されると、超音波を放射してから反射波のピークが検出されるまでの時間は、水面の位置に応じて変化する。
また、光学式測距センサは、対象に向けて光(例えば赤外光)を照射し、その反射光を受光素子に結像させる。受光素子の結像位置が、水面の位置に応じて変化する。
超音波センサ又は測距センサを検出手段10として用いることで、ボウル部25内の水位をより直接的に検出することができる。
【0029】
便器24に詰まりが有ると、ボウル部25へ供給された洗浄水が十分に排出されず、ボウル部25内の水位が通常よりも高くなる。上述したいずれかのセンサによれば、このような水位の変化を検出することで、便器24における詰まりを検出できる。
【0030】
また、圧力センサは、ボウル部25内や排水トラップ26内に溜まった水の圧力を検知する。圧力は、ボウル部25内や排水トラップ26内の水の量に比例する。流量センサは、例えば、便器24に接続された排水管を流れる水の流量を検出する。
便器24に詰まりが有ると、洗浄水供給後に水が十分に流れず、ボウル部25内に溜まる水の量が通常よりも多くなる。又は、水が排水管へあまり流れず、排水管を流れる水の流量が通常よりも小さくなる。これらの変化を圧力センサ又は流量センサで検出することで、便器24における詰まりを検出できる。
【0031】
洗浄信号遮断部12は、トイレ装置2のボウル部25の洗浄を禁止することができる。具体的には、洗浄信号遮断部12は、トイレ装置2の洗浄手段20と洗浄制御手段22との間に接続される。上述した通り、洗浄制御手段22は、洗浄手段20へ駆動信号を出力して洗浄手段20を駆動させるが、洗浄信号遮断部12は、この駆動信号を遮断する。これにより、洗浄制御手段22から洗浄手段20に向けて出力された駆動信号が、洗浄手段20へ入力されなくなる。
【0032】
遮断制御手段14は、検出手段10の検出結果に基づいて洗浄信号遮断部12を制御する。具体的には、遮断制御手段14は、検出手段10により便器24の詰まりが検出されると、洗浄信号遮断部12が駆動信号を遮断しない状態から、駆動信号を遮断する状態へと切り替える。遮断制御手段14は、処理装置(例えばマイコン)などを有する。
【0033】
また、洗浄信号遮断部12に取り込まれる駆動信号は、分岐して遮断制御手段14にも取り込まれる。これにより、洗浄制御手段22から洗浄手段20に向けて駆動信号が出力されたことを遮断制御手段14が検出できるようになる。この結果、例えば、遮断制御手段14は、駆動信号が出力されたタイミングに合わせて、検出手段10や洗浄信号遮断部12を動作させることが可能となる。
【0034】
情報通信装置16は、外部と情報を送受信することができる。例えば、情報通信装置16は、トイレ装置2から離れた場所に有る管理者のシステムや端末との間で情報を送受信する。情報通信装置16は、無線信号により外部と情報を送受信しても良いし、LAN又はネットワークなどを介して情報を送受信しても良い。
【0035】
便器詰まり検出装置1は、解除手段17をさらに有する。解除手段17は、洗浄信号遮断部12による遮断を解除し、洗浄手段20によってボウル部25を洗浄可能な状態にするためのものである。例えば図1に表したように、情報通信装置16が解除手段17を備える。情報通信装置16は、外部から受信した情報に基づいて解除手段17を動作させ、洗浄信号遮断部12による遮断を解除する。ただし、解除手段17の構成は、図1に表した例に限定されない。例えば、解除手段17は、洗浄信号遮断部12による遮断を解除するためのスイッチ等であっても良い。
【0036】
図2は、実施形態に係る便器詰まり検出装置及びトイレ装置の電気的な構成を表す模式回路図である。
図2に表したように、洗浄信号遮断部12は、端子12a及びフォトリレー(光MOSFET)12bを有する。端子12aは、遮断制御手段14に接続されており、遮断制御手段14から出力された信号が入力される。フォトリレー12bは、発光ダイオード12c及びMOSFET12dを含む。発光ダイオード12cは、端子12aに接続されている。
【0037】
洗浄制御手段22は、スイッチング素子22a及びゲート端子22bを有し、フォトリレー12bのMOSFET12d及び洗浄手段20と接続される。洗浄手段20は、MOSFET12dとスイッチング素子22aとの間に接続される。洗浄手段20には、MOSFET12dを介して、駆動電圧V1が印加されている。ゲート端子22bからスイッチング素子22aのゲートに電圧が印加されると、スイッチング素子22aがオフ状態からオン状態に切り替わり、MOSFET12dを介して洗浄手段20に駆動電流が流れる。これにより、洗浄手段20が動作し、便器24のボウル部25へ洗浄水が供給される。また、スイッチング素子22aがオン状態からオフ状態に切り替わることで、洗浄手段20へ駆動電流が流れなくなり、ボウル部25への洗浄水供給が終了する。
【0038】
検出手段10により便器24の詰まりが検出されると、遮断制御手段14は、洗浄信号遮断部12へ信号を出力(電圧を供給)する。洗浄信号遮断部12の端子12aに遮断制御手段14からの信号が入力されると、発光ダイオード12cからMOSFET12dに向けて光が発せられる。MOSFET12dは、例えば、光を受けている間は導通状態から遮断状態に切り替わる。MOSFET12dが遮断状態の間は、スイッチング素子22aがオン状態であっても、洗浄手段20には駆動電圧V1が供給されない。
【0039】
例えば、遮断制御手段14から洗浄信号遮断部12への信号の出力は、解除手段17により停止される。遮断制御手段14から洗浄信号遮断部12への信号が停止することで、発光ダイオード12cによる発光も止まる。これにより、MOSFET12dが遮断状態から導通状態に切り替わる。以降は、スイッチング素子22aがオン状態に切り替わると、洗浄手段20に駆動電圧V1が供給されるようになる。
【0040】
また、MOSFET12dと洗浄手段20との間及び洗浄手段20とスイッチング素子22aとの間には、遮断制御手段14が接続される。具体的には、遮断制御手段14は、端子14a及びフォトカプラ14bを有する。フォトカプラ14bは、発光ダイオード14c及びフォトトランジスタ14dを含む。発光ダイオード14cの一端は、MOSFET12dと洗浄手段20との間に接続され、発光ダイオード14cの他端は、洗浄手段20とスイッチング素子22aとの間に接続される。
【0041】
洗浄手段20に駆動電流が流れる際には、発光ダイオード14cにも順方向の電流が流れ、フォトトランジスタ14dに向けて光が発せられる。フォトトランジスタ14dのコレクタには、抵抗14eを介して電圧V2が印加されている。フォトトランジスタ14dが光を受け、ベースに電流が流れると、フォトトランジスタ14dのコレクタ・エミッタ間に電流が流れ、端子14aの電圧が低下する。
【0042】
遮断制御手段14は、端子14aの電圧を検出することで、ボウル部25における洗浄の状態を判定できる。例えば、端子14aの電圧値が、大きな状態から小さな状態に切り替わったときは、洗浄手段20に電流が流れ、ボウル部25の洗浄が開始されたことを示す。端子14aの電圧値が、小さな状態から大きな状態に切り替わったときは、洗浄手段20に流れる電流が停止し、ボウル部25の洗浄が終了したことを示す。
【0043】
このように、洗浄制御手段22から洗浄手段20へ出力される駆動信号を遮断制御手段14にも取り込むことで、駆動信号に合わせて検出手段10を動作させることができる。この点について、図3を参照して説明する。
【0044】
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係る便器詰まり検出装置の動作を表すタイミングチャートである。
図3(a)及び図3(b)において、横軸は時間を表し、縦軸は検出手段10における検出の有無を表す。
例えば、遮断制御手段14は、洗浄制御手段22から出力される駆動信号に基づいて洗浄が開始されたと判定すると、図3(a)に表したように、検出手段10による便器24の詰まり検出を開始する。検出手段10による検出は、洗浄開始から所定時間taの間継続される。
【0045】
便器24の詰まりは、上述した通り、ボウル部25内の水位や水量、便器24からの排水量などの指標に基づいて検出される。便器24が詰まっていることは、ボウル部25の洗浄時に、これらの指標に反映され易い。また、ボウル部25の洗浄時以外には、使用者の動きや、排泄物、トイレットペーパーなどにより、便器24の詰まりを誤検出する可能性がある。ボウル部25の洗浄に合わせて便器24の詰まりを検出することで、検出精度を高めることができる。
【0046】
又は、遮断制御手段14は、図3(b)に表したように、ボウル部25の洗浄終了に合わせて、検出手段10による便器24の詰まり検出を開始しても良い。検出手段10による検出は、洗浄終了から所定時間tbの間継続される。洗浄開始から洗浄終了までの間は、ボウル部25における水位や水量などが安定しておらず、便器24の詰まりを正確に検出できない可能性もある。そのため、洗浄開始から洗浄終了までの間は検出を実行せず、洗浄終了後に検出を実行することで、便器24の詰まり状態の検出精度をより高めることができる。
【0047】
あるいは、検出手段10は、洗浄制御手段22から出力される駆動信号に拘わらず、便器24の詰まりを継続的に検出していても良い。遮断制御手段14は、所定時間ta又は所定時間tbにおける検出手段10の検出結果に基づいて、洗浄信号遮断部12を制御する。この場合も、同様に便器24の詰まり状態の検出精度を高めることができる。
【0048】
実施形態の効果を説明する。
実施形態に係る便器詰まり検出装置1は、図2に表したように、洗浄制御手段22と洗浄手段20との間に接続可能な洗浄信号遮断部12を備える。洗浄信号遮断部12の動作は、検出手段10の検出結果に基づいて、遮断制御手段14により制御される。そして、洗浄信号遮断部12は、洗浄手段20を駆動させるために洗浄制御手段22から出力された駆動信号を遮断可能である。駆動信号を遮断することで、洗浄手段20の動作を不能にできる。従って、実施形態に係る便器詰まり検出装置1によれば、洗浄制御手段22が備える制御基板の種類に拘わらず、便器24の詰まりを検出でき、且つ洗浄手段20の動作を不能にすることが可能である。
【0049】
便器詰まり検出装置1は、洗浄信号遮断部12に取り込まれる駆動信号を、分岐して遮断制御手段14にも取り込み可能であることが望ましい。これにより、図3を参照して説明したように、駆動信号に基づいて洗浄開始又は洗浄終了のタイミングを判定でき、 洗浄開始又は洗浄終了から一定の期間中のみ検出手段10による詰まり検出を実行できる。この結果、便器24の詰まりの検出精度を高め、誤った検出結果に基づいて駆動信号が遮断されることを抑制できる。
【0050】
また、便器詰まり検出装置1は、例えば図2に表したように、フォトリレー12b及びフォトカプラ14bを用いてトイレ装置2と接続され、トイレ装置2と電気的に絶縁されていることが望ましい。便器詰まり検出装置1がトイレ装置2と電気的に絶縁されることで、それぞれの駆動電圧が異なる場合でも、その違いに拘わらず、便器詰まり検出装置1とトイレ装置2を接続することができる。なお、便器詰まり検出装置1とトイレ装置2が電気的に絶縁されているとは、トイレ装置2に供給される駆動電圧V1が印加される回路系統と、便器詰まり検出装置1に供給される電圧V2が印加される回路系統とが分離しており、電気的に絶縁されていることを意味する。
【0051】
望ましくは、便器詰まり検出装置1は、情報通信装置16を有する。情報通信装置16を有することで、例えば、トイレ装置2から離れた場所で便器24の詰まり状態を管理者が把握できる。また、便器24に詰まりが発生した際には、そのことを管理者がより早く知ることができ、便器24のメンテナンスをより早急に実施することが可能となる。
【0052】
また、便器詰まり検出装置1は、解除手段17を有することで、便器24のメンテナンスが完了次第、すぐに洗浄信号遮断部12による遮断を解除することができる。これにより、便器24に詰まりが無いにも拘らず駆動信号が遮断されている時間をより短縮し、トイレ装置2の使い勝手を向上させることができる。
【0053】
解除手段17は、情報通信装置16が受信した情報に基づいて動作し、洗浄信号遮断部12による遮断を解除可能であることが望ましい。こうすることで、トイレ装置2から離れた場所で洗浄信号遮断部12による遮断を解除することが可能となる。この結果、例えば、便器24をメンテナンスする作業者の負担を軽減できる。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、便器詰まり検出装置1が備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0055】
1 便器詰まり検出装置、 2 トイレ装置、 10 検出手段、 12 洗浄信号遮断部、 12a 端子、 12b フォトリレー、 12c 発光ダイオード、 12d MOSFET、 14 遮断制御手段、 14a 端子、 14b フォトカプラ、 14c 発光ダイオード、 14d フォトトランジスタ、 14e 抵抗、 16 情報通信装置、 17 解除手段、 20 洗浄手段、 22 洗浄制御手段、 22a スイッチング素子、 22b ゲート端子、 24 便器、 25 ボウル部、 26 排水トラップ、 V1 駆動電圧、 V2 電圧、 ta、tb 所定時間
図1
図2
図3