(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】車両のガーニッシュ
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20221020BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B60R13/02 B
F16B5/10 B
(21)【出願番号】P 2019175494
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】清水 貞明
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-101186(JP,A)
【文献】特開2009-126454(JP,A)
【文献】特開平07-173888(JP,A)
【文献】特開平08-091096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル側係止部を有する室内パネルに対して取り付けられる車両のガーニッシュであって 、
前記室内パネルよりも車室側に配置されるガーニッシュ本体と、
前記ガーニッシュ本体
側の基端から前記車室側とは反対側へ向かって延びる延設部と、前記延設部の延設方向に互いに離間する位置に配置されて前記延設方向と交叉する所定方向の一側へ前記延設部から突出する少なくとも2つの係止爪部とを有するガーニッシュ側係止部と、を備え、
前記2つの係止爪部のうち前記延設部の先端側の第1係止爪部の前記一側の第1端部は、前記延設部の基端側の第2係止爪部の前記一側の第2端部よりも前記一側に位置し、
前記延設部は、前記基端から前記第2係止爪部までの領域であって、前記所定方向の厚さが前記延設方向の全域で略等しい基端側領域と、前記第2係止爪部から前記第1係止爪部までの領域であって、前記所定方向の厚さが前記延設方向の全域で略等しい先端側領域と、を有し、
前記先端側領域の前記所定方向の厚さは、前記基端側領域の前記所定方向の厚さよりも厚く、
前記ガーニッシュ本体は、前記第2係止爪部よりも前記基端側に前記室内パネルの前記パネル側係止部を配置して前記第2係止爪部を前記パネル側係止部に係止した状態で、前記室内パネルに対して取り付けられる
ことを特徴とする車両のガーニッシュ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のガーニッシュであって、
前記第1係止爪部は、前記延設部の前記延設方向と交叉し且つ前記所定方向と交叉する方向の両側へ前記延設部から突出
し、
前記第2係止爪部は、前記延設部の前記延設方向と交叉し且つ前記所定方向と交叉する方向の両側へ前記延設部から突出しない
ことを特徴とする車両のガーニッシュ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両のガーニッシュであって、
前記ガーニッシュ本体は、前記室内パネル側へ締結固定される締結固定部を有する
ことを特徴とする車両のガーニッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のガーニッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガーニッシュの取付構造が記載されている。ガーニッシュは、ガーニッシュ本体部と、このガーニッシュ本体部の裏面の複数箇所にそれぞれ一体成形された固定保持用係止部とを備えており、これらの固定保持用係止部の先端に仮保持用係止部が更に設けられている。具体的には、固定保持用係止部は、ガーニッシュ本体部の裏面側に一体成形された一対の弾性突片部と、これらの弾性突片部の先端箇所の外側面にそれぞれ一体成形された一対の固定保持用係止爪とで構成されており、仮保持用係止部は、既述の固定保持用係止爪の先端において前記弾性突片部の突出方向に沿ってそれぞれ延設された一対の延設部と、これらの延設部の先端箇所の外側面にそれぞれ一体成形された一対の仮保持用係止爪とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のガーニッシュのように、ガーニッシュ本体部の裏面側に固定保持用係止爪(係止爪)を設け、係止爪を室内パネルに対して係止させることによって、ガーニッシュを車室側の室内パネルに対して取り付けた車両では、例えば、車両の衝突時のように車両の外部から大きな荷重が入力した際に、係止爪が室内パネルから車室側へ外れてしまい、ガーニッシュのうち係止爪によって係止されていた部分が室内パネルから車室側へ離脱する可能性があり、ガーニッシュが車室の生存空間を狭めてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、車両の外部から荷重が入力した際の室内パネルからの離脱を防止することが可能な車両のガーニッシュの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、パネル側係止部を有する室内パネルに対して取り付けられる車両のガーニッシュであって、ガーニッシュ本体とガーニッシュ側係止部とを備える。ガーニッシュ本体は、室内パネルよりも車室側に配置される。ガーニッシュ側係止部は、ガーニッシュ本体側の基端から車室側とは反対側へ向かって延びる延設部と、延設部の延設方向に互いに離間する位置に配置されて延設方向と交叉する所定方向の一側へ延設部から突出する少なくとも2つの係止爪部とを有する。2つの係止爪部のうち延設部の先端側の第1係止爪部の上記一側の第1端部は、延設部の基端側の第2係止爪部の上記一側の第2端部よりも上記一側に位置する。延設部は、基端から第2係止爪部までの領域であって、所定方向の厚さが延設方向の全域で略等しい基端側領域と、第2係止爪部から第1係止爪部までの領域であって、所定方向の厚さが延設方向の全域で略等しい先端側領域と、を有する。先端側領域の所定方向の厚さは、基端側領域の所定方向の厚さよりも厚い。ガーニッシュ本体は、第2係止爪部よりも基端側に室内パネルのパネル側係止部を配置して第2係止爪部をパネル側係止部に係止した状態で、室内パネルに対して取り付けられる。
【0007】
上記構成では、ガーニッシュ本体は、2つの係止爪部のうち延設部の基端側の第2係止爪部よりも基端側に室内パネルのパネル側係止部を配置して第2係止爪部をパネル側係止部に係止した状態で、室内パネルに対して取り付けられる。ガーニッシュ側係止部の延設部の先端側の第1係止爪部の一側(延設部の延設方向と交叉する所定方向の一側)の第1端部は、延設部の基端側の第2係止爪部の上記一側の第2端部よりも上記一側に位置するので、仮に、車両の衝突時に室内パネルが車室側へ押圧されて、ガーニッシュのガーニッシュ側係止部の第2係止爪部が室内パネルのパネル側係止部から車室側へ外れて、ガーニッシュ側係止部が上記延設方向に沿って車室側へ移動した際に、室内パネルのパネル側係止部によって第1係止爪部を係止し易い。このため、車両の外部から荷重が入力した際に室内パネルからのガーニッシュの離脱を防止することができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の車両のガーニッシュであって、第1係止爪部は、延設部の延設方向と交叉し且つ上記所定方向と交叉する方向の両側へ延設部から突出し、第2係止爪部は、延設部の延設方向と交叉し且つ上記所定方向と交叉する方向の両側へ延設部から突出しない。
【0009】
上記構成では、第1係止爪部は、延設部の延設方向と交叉し且つ上記所定方向と交叉する方向(以下、「幅方向」という。)の両側へ延設部から突出する。すなわち、第1係止爪部は、延設部よりも幅方向に大きいので、ガーニッシュのガーニッシュ側係止部の第2係止爪部が室内パネルのパネル側係止部から車室側へ外れて、ガーニッシュ側係止部が上記延設方向に沿って車室側へ移動する際に、室内パネルによって第1係止爪部を更に係止し易い。このため、車両の外部から荷重が入力した際に室内パネルからのガーニッシュの離脱を防止することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様または上記第2の態様の車両のガーニッシュであって、ガーニッシュ本体は、室内パネル側へ締結固定される締結固定部を有する。
【0011】
上記構成では、ガーニッシュ本体は、室内パネル側へ締結固定される締結固定部を有する。このため、ガーニッシュ本体のうちガーニッシュ側係止部によって室内パネル側へ係止される領域では、車両の外部から大きな荷重が入力した際に室内パネルからのガーニッシュの離脱を防止することができるとともに、締結固定部によって室内パネル側へ締結固定される領域では、車両の外部から荷重が入力した際に室内パネルからのガーニッシュの離脱を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、車両の外部から荷重が入力した際の室内パネルからのガーニッシュの離脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガーニッシュを有する車両の車室内の概略図である。
【
図2】ドアトリムの車幅方向外側から視た状態のガーニッシュの概略図である。
【
図5】ガーニッシュ側係止部の外観図であり、(a)は
図3をVa方向から視た状態、(b)は
図3をVb方向から視た状態をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側を、Aは所定方向の一側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、前後方向は車両の前後方向を意味し、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るガーニッシュ10は、車両1のサイドドア2の車室3側のドアトリム(室内パネル)4に取り付けられる。
【0016】
図1及び
図2に示すように、ドアトリム4は、車幅方向と交叉する樹脂製の内装パネルであって、サイドドア2のインナパネル(図示省略)に対して取り付けられる。ドアトリム4の車幅方向内側面4aは、ガーニッシュ10によって車幅方向内側から覆われる所定の領域9(
図4参照)を有し、係る領域9内には複数(本実施形態では、3つ)のビス挿通孔5と、係止爪挿通孔6とが設けられる。係止爪挿通孔6は、ドアトリム4の上記所定の領域9の後端部に設けられ、複数のビス挿通孔5は、係止爪挿通孔6よりも前方で互いに前後に離間する位置に設けられる。ドアトリム4の係止爪挿通孔6の周縁部のうち車幅方向と交叉する所定方向の一側の一側縁部(パネル側係止部)6aは、ガーニッシュ10の後述するガーニッシュ側係止部13を係止するパネル側係止部として機能する。なお、ドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aは、車両1の側面視において、ガーニッシュ10の後述するガーニッシュ本体11の所定の外周縁17と略平行な方向に延び、上記所定方向と直交する。
【0017】
図1~
図4に示すように、ガーニッシュ10は、ドアトリム4に取り付けられる樹脂製の加飾用のパーツであって、板状のガーニッシュ本体11と、ガーニッシュ側係止部13とを備える。なお、以下の説明では、特に説明のない限り、ガーニッシュ10をドアトリム4に取り付けたガーニッシュ取付状態におけるガーニッシュ10について説明する。
【0018】
ガーニッシュ本体11は、車幅方向と交叉する板状で前後方向に長尺に形成され、車室3側へ露出する意匠面である車幅方向内側面11aと、ドアトリム4の車幅方向内側面4aと対向する車幅方向外側面11bとを有する。ガーニッシュ本体11は、ドアトリム4の車幅方向内側面4aの上記所定の領域9を車室3側(車幅方向内側)から覆い、ドアトリム4の複数のビス挿通孔5及び係止爪挿通孔6を車室3側から覆い隠す。ガーニッシュ本体11には、車幅方向外側面11bから車幅方向外側へ突出する円筒状の複数(本実施形態では、3つ)のボス部(締結固定部)12が設けられる。複数のボス部12は、ボス部12を成形することが難しいガーニッシュ本体11の外周縁部ではなく、ガーニッシュ本体11の外周縁部から内側へ離間した領域に成形され、ドアトリム4の複数のビス挿通孔5に対応するように、前後方向に互いに離間した位置に配置される。ボス部12の内径部(図示省略)には、後述するビス7が挿入される。ガーニッシュ本体11の後端側の所定の外周縁17は、ドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aよりも上記所定方向の上記一側で、係止爪挿通孔6の一側縁部6aと略平行な方向に延び、ドアトリム4の車幅方向内側面4aに近接又は接触する。
【0019】
ガーニッシュ側係止部13は、ドアトリム4に対して係止される部分であって、ガーニッシュ本体11の後端側の上記所定の外周縁17の上記所定方向の他側(上記一側とは反対側)の近傍に配置され、ガーニッシュ本体11の車幅方向外側面11bから車幅方向外側へ延びる。すなわち、本実施形態に係るガーニッシュ10では、ボス部12を成形することが難しいガーニッシュ本体11の外周縁部には、ドアトリム4に対して係止されるガーニッシュ側係止部13が設けられ、ボス部12を成形することが可能なガーニッシュ本体11の外周縁部から内側へ離間した領域には、ドアトリム4に対して締結固定されるボス部12が設けられる。ガーニッシュ側係止部13は、ガーニッシュ本体11の車幅方向外側面11bから車幅方向外側へ延びる支持板部(延設部)14と、支持板部14の先端14a側の大係止爪部(第1係止爪部)15と、大係止爪部15よりも支持板部14の基端14b側に位置する小係止爪部(第2係止爪部)16とを有する。2つの係止部15,16(大係止爪部15及び小係止爪部16)は、車幅方向に互いに離間し、支持板部14からガーニッシュ本体11の上記所定の外周縁17側(上記一側)へ向かって突出する。
【0020】
図4、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、支持板部(延設部)14は、ガーニッシュ本体11の上記所定の外周縁17の上記他側の近傍に配置され、上記所定方向と交叉する板状に形成されて車幅方向(延設方向)に沿って延びる。すなわち、支持板部14は、ガーニッシュ本体11に片持ち状態で支持され、上記所定方向に弾性変形可能である。支持板部14は、係止爪挿通孔6を挿通し、支持板部14の先端14aが、ドアトリム4の係止爪挿通孔6よりも車幅方向外側に位置し、支持板部14の基端14bがドアトリム4の係止爪挿通孔6よりも車幅方向内側に位置する。支持板部14のうち小係止爪部16よりも基端14b側の領域21(以下、「基端側領域21」という。)は、ドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aに近接又は接触している。支持板部14の基端側領域21の板厚L1(上記所定方向の厚さ)は、小係止爪部16よりも先端14a側の領域22(以下、「先端側領域22」という。)の板厚L2よりも薄い。車幅方向と交叉し且つ上記所定方向と交叉する方向(ドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6a及びガーニッシュ本体11の上記所定の外周縁17の延設方向。以下、「幅方向」という。)から支持板部14を視た状態で(
図5(a)参照)、支持板部14の上記他側の他側面20は、車幅方向に直線状に延びる。支持板部14の上記一側の一側面18は、基端側領域21の一側面18aと、先端側領域22の一側面18bとによって構成され、支持板部14を幅方向から視た状態で(
図5(a)参照)、先端側領域22の一側面18bが基端側領域21の一側面18aよりも上記一側に位置する。
【0021】
大係止爪部15は、支持板部14の先端14a側の端部に設けられ、支持板部14から上記一側へ突出し、且つ支持板部14の幅方向の両側へ支持板部14から突出する。すなわち、大係止爪部15は、支持板部14の先端側領域22の一側面18bよりも上記一側へ突出し、且つ支持板部14の幅方向の両側面19から幅方向の両側へ突出する。大係止爪部15は、ドアトリム4から車幅方向外側へ離間した位置で車幅方向と交叉する平面状の車幅方向内側面23を有する。大係止爪部15の車幅方向内側面23のうち、支持板部14の先端側領域22の一側面18bよりも上記一側の領域23aは、上記所定方向に沿って一側面18b側から上記一側の大係止爪部15の上記一側の一端部(第1端部)15aまで延びる。大係止爪部15の一端部15aは、小係止爪部16の後述する一端部16aよりも上記一側に位置する。大係止爪部15の車幅方向内側面23のうち、支持板部14の幅方向の両側面19よりも幅方向両側の領域23bは、幅方向に沿って両側面19から互いに離間する方向へ延びる。支持板部14の他側面20から大係止爪部15の一端部15aまでの長さL3は、支持板部14の他側面20から小係止爪部16の上記一側の一端部(第2端部)16aまでの長さL10よりも長く、且つドアトリム4の係止爪挿通孔6の上記所定方向の長さL4よりも僅かに小さい。また、大係止爪部15の幅方向の長さL5は、支持板部14の幅方向の長さL6よりも幅方向の両側へ長く、且つドアトリム4の係止爪挿通孔6の幅方向の長さL7よりも僅かに短い。大係止爪部15の車幅方向内側面23の上記一側の領域23aの上記所定方向の長さL8(支持板部14からの大係止爪部15の突出量L8)は、支持板部14からの小係止爪部16の突出量L9よりも長い。
【0022】
小係止爪部16は、大係止爪部15から車幅方向内側へ離間した位置に設けられ、支持板部14の基端側領域21の一側面18aよりも上記一側へ突出する。小係止爪部16の幅方向の長さは、支持板部14の幅方向の長さL6と略同一である。小係止爪部16は、ドアトリム4から車幅方向外側へ離間した位置で車幅方向と交叉する平面状の車幅方向内側面24を有する。小係止爪部16の車幅方向内側面24は、基端側領域21の一側面18aから上記所定方向に沿って上記一側の小係止爪部16の一端部16aまで延び、ドアトリム4の車幅方向外側面4bのうち係止爪挿通孔6の一側縁部6aの車幅方向外側面4bに面接触する。すなわち、小係止爪部16よりも車幅方向内側(基端14b側)にドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aを配置した状態で、小係止爪部16が係止爪挿通孔6の一側縁部6aに係止される。
【0023】
次に、ガーニッシュ10をドアトリム4に取り付ける際の作業について説明する。なお、ガーニッシュ10は、サイドドア2に対して取り付ける前のドアトリム4に対して取り付けられる。
【0024】
ガーニッシュ10をドアトリム4に取り付ける際には、先ず、ガーニッシュ10のガーニッシュ側係止部13をドアトリム4の係止爪挿通孔6に車幅方向内側から挿入し、ガーニッシュ側係止部13のうち小係止爪部16から先端14a側の領域(小係止爪部16を含む領域)をドアトリム4よりも車幅方向外側へ突出させた状態で、ガーニッシュ10を上記一側へ移動させて、小係止爪部16を係止爪挿通孔6の一側縁部6aに係止させる。次に、複数のビス7を、ドアトリム4の複数のビス挿通孔5に車幅方向外側から挿通させて、ビス挿通孔5の車幅方向内側に位置するガーニッシュ本体11の複数のボス部12の内径部に締め付けながら挿入し、ドアトリム4とガーニッシュ本体11とを締結固定する。これにより、ガーニッシュ10をドアトリム4に取り付けたガーニッシュ取付状態となる。
【0025】
次に、車両1のサイドドア2の車幅方向外側から衝突物(例えば、他の車両)が衝突して、サイドドア2に対して車幅方向外側(外部)からの荷重が入力した際のガーニッシュ10の動きについて説明する。サイドドア2に対して車幅方向外側からの荷重が入力し、ドアトリム4が車室3側へ押圧されると、ドアトリム4に対して締結固定されるガーニッシュ10のガーニッシュ本体11の複数のボス部12は、ドアトリム4と共に車幅方向内側へ移動し、ガーニッシュ10のガーニッシュ側係止部13には、ドアトリム4の係止爪挿通孔6から車幅方向内側へ外れるように力が作用する。ガーニッシュ10のガーニッシュ側係止部13にドアトリム4の係止爪挿通孔6から車幅方向内側へ外れるように力が作用し、ガーニッシュ側係止部13の支持板部14が上記他側へ弾性変形し、ガーニッシュ側係止部13の小係止爪部16が係止爪挿通孔6の一側縁部6aから外れると、ガーニッシュ側係止部13がドアトリム4の係止爪挿通孔6に対して車幅方向内側へ移動する。ガーニッシュ側係止部13の小係止爪部16が係止爪挿通孔6の一側縁部6aから外れて車幅方向内側へ移動し、小係止爪部16がドアトリム4よりも車幅方向内側へ移動すると、支持板部14が上記一側へ復元する。この状態で、ガーニッシュ側係止部13がドアトリム4の係止爪挿通孔6に対して車幅方向内側へ更に移動すると、ガーニッシュ側係止部13の大係止爪部15の車幅方向内側面23がドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aの車幅方向外側面4bに面接触し、大係止爪部15が係止爪挿通孔6の一側縁部6aに係止される(
図5(a)の二点鎖線参照)。
【0026】
上記のように構成されたガーニッシュ10では、大係止爪部15の一端部15aが、小係止爪部16の一端部16aよりも上記一側に位置するので、ガーニッシュ側係止部13の小係止爪部16がドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aから外れて車幅方向内側へ移動する際の大係止爪部15の移動軌跡上にドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aが存在する。このため、車両1の衝突時等にガーニッシュ10のガーニッシュ側係止部13の小係止爪部16がドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aから外れたとしても、大係止爪部15がドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aに引っ掛かり易いので、大係止爪部15をドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aに係止させることができ、ドアトリム4からのガーニッシュ10の離脱を防止することができる。
【0027】
また、ガーニッシュ側係止部13の大係止爪部15は、支持板部14の幅方向の両側面19から幅方向の両側へ突出する。すなわち、大係止爪部15は、支持板部14よりも幅方向に大きいので、ガーニッシュ側係止部13の小係止爪部16がドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部6aから外れて、ガーニッシュ側係止部13が車幅方向内側へ移動する際に、大係止爪部15がドアトリム4の係止爪挿通孔6の周縁部(一側縁部6aを含む)に更に係止され易い。このため、車両1の外部から荷重が入力した際にドアトリム4からのガーニッシュ10の離脱を防止することができる。
【0028】
また、ガーニッシュ本体11の複数のボス部12が、ドアトリム4に対して締結固定されるので、車両1の外部から荷重が入力した際にドアトリム4からのガーニッシュ10の離脱を確実に防止することができる。
【0029】
従って、本実施形態によれば、車両1の外部から荷重が入力した際のドアトリム4からのガーニッシュ10の離脱を防止することができる。
【0030】
なお、本実施形態では、ガーニッシュ本体11に、車幅方向外側面11bから車幅方向外側へ突出する円筒状のボス部(締結固定部)12を設けたが、締結固定部の形状は円筒状に限定されるものではなく、ドアトリム4に対して締結固定される部分であれば他の形状であってもよい。
【0031】
また、ガーニッシュ10をドアトリム4に取り付ける方法は上記に限定されるものではない。
【0032】
また、本実施形態では、ガーニッシュ本体11に複数のボス部(締結固定部)12を設けたが、1つの締結固定部のみを設けてもよい。
【0033】
また、本実施形態では、ガーニッシュ本体11にボス部(締結固定部)12を設けたが、締結固定部を設けなくてもよい。例えば、ボス部12に代えてクリップ等の他の係止部をガーニッシュ本体11に設け、ガーニッシュ本体11のうちガーニッシュ側係止部13以外の箇所を前記他の係止部によってドアトリム4に対して係止してもよい。
【0034】
また、本実施形態では、ガーニッシュ10に1つのガーニッシュ側係止部13を設けたが、ガーニッシュ10に複数のガーニッシュ側係止部13を設けてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、ガーニッシュ側係止部13の大係止爪部15を、支持板部14の幅方向の両側面19から幅方向の両側へ突出させたが、これに限定されるものではなく、大係止爪部15を、支持板部14の幅方向の両側面19から幅方向の両側へ突出させなくてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、ガーニッシュ側係止部13に支持板部(延設部)14を設けたが、延設部の形状は板状に限定されるものではなく、例えば、棒状であってもよい。
【0037】
また、本実施形態では、ガーニッシュ側係止部13に2つの係止爪部(大係止爪部15及び小係止爪部16)を設けたが、係止爪の数はこれに限定されるものではなく、大係止爪部15及び小係止爪部16を含む3つ以上の係止爪部を設けてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、大係止爪部15及び小係止爪部16を、支持板部14からガーニッシュ本体11の上記所定の外周縁17側(上記一側)へ向かって突出させたが、大係止爪部15及び小係止爪部16の突出方向はこれに限定されるものではなく、支持板部14の延設方向と交叉する方向(所定方向)の一側であればよい。例えば、大係止爪部15及び小係止爪部16を、ガーニッシュ本体11の上記所定の外周縁17とは反対側へ向かって支持板部14から突出させてもよい。この場合、ガーニッシュ本体11の上記所定の外周縁17とは反対側へ向かう方向が上記所定方向の一側となる。
【0039】
また、本実施形態では、ドアトリム4の係止爪挿通孔6の一側縁部(パネル側係止部)6aをパネル側係止部として機能させたが、これに限定されるものではなく、ガーニッシュ取付状態でガーニッシュ側係止部13の小係止爪部16を係止可能なパネル側係止部であれば、他の形状であってもよい。
【0040】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、本開示に係るガーニッシュを、サイドドア2のドアトリム(室内パネル)4に取り付けられるガーニッシュ10に適用したが、これに限定されるものではなく、例えば、車室3の前方で起立するインストルメントパネル(室内パネル)8(
図1参照)に取り付けられるガーニッシュに適用してもよい。この場合、ガーニッシュ側係止部13の支持板部(延設部)14の延設方向は、前後方向であり、延設部は、ガーニッシュ本体11から前方(先端側)へ向かって延びる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本開示に係るガーニッシュは、様々な車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1:車両
3:車室
4:ドアトリム(室内パネル)
6:係止爪挿通孔
6a:係止爪挿通孔の一側縁部(パネル側係止部)
8:インストルメントパネル(室内パネル)
10:ガーニッシュ
11:ガーニッシュ本体
12:ボス部(締結固定部)
13:ガーニッシュ側係止部
14:支持板部(延設部)
14a:支持板部の先端
14b:支持板部の基端
15:大係止爪部(第1係止爪部)
15a:大係止爪部の一端部(第1端部)
16:小係止爪部(第2係止爪部)
16a:小係止爪部の一端部(第2端部)