(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】マッサージ機
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A61H7/00 323E
A61H7/00 323L
A61H7/00 323M
A61H7/00 323H
A61H7/00 323K
A61H7/00 322Z
(21)【出願番号】P 2018069271
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2017110216
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017167320
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018038088
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000112406
【氏名又は名称】ファミリーイナダ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】長光 知己
(72)【発明者】
【氏名】福田 知治
(72)【発明者】
【氏名】森友 淳史
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211718(JP,A)
【文献】特開2012-120549(JP,A)
【文献】特開2012-010854(JP,A)
【文献】特開2004-033583(JP,A)
【文献】特開2017-012735(JP,A)
【文献】特開平09-299432(JP,A)
【文献】特開昭56-104661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部に着座した被施療者の背を支持する背もたれ部と、
前記被施療者に施療を行う施療機構と、を備え、
前記背もたれ部の前方には、基部が設けられており、
前記施療機構は、
前記基部に設けられており、
前記基部に取り付けられ、通電により回転する出力軸を有する駆動部と、
前記被施療者の肩を上方から押圧する第1施療子、及び、第2施療子と、
前記出力軸に傾斜姿勢で取り付けられた斜板カムと、
前記斜板カムに取り付けられ、前記斜板カムの回転に伴い連れ回りせずに揺動する施療子保持部と、を更に備え、
前記第1施療子は、前記施療子保持部に取り付けられており、
前記第2施療子は、基端側が前記施療子保持部に設けられた前記出力軸と交差する軸方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けられており、
前記背もたれ部の幅方向に沿って見たときに、前記第1施療子よりも前記第2施療子が前方に位置しており、
前記出力軸の回転に応じて、前記第1施療子と前記第2施療子の間の距離が変化するように連係して前記被施療者の肩を施療するマッサージ機。
【請求項2】
前記出力軸は、上下方向に延出し、
前記第2施療子は、先端側で前記被施療者の肩を施療する請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記第2施療子は、リンクによって更に支持されており、
前記リンクは、一方端部が前記基部に回転可能に取り付けられ、他方端部が前記第2施療子の前記基端側と前記先端側の間で揺動軸心周りに前記第2施療子を揺動可能に支持している請求項2に記載のマッサージ機。
【請求項4】
前記リンクは上下方向に延出しており、前記一方端部が上側に位置し、前記他方端部が下側に位置している請求項3に記載のマッサージ機。
【請求項5】
前記斜板カムは環状軸受を含んで構成され、前記出力軸は前記環状軸受の中心に対して偏心して取り付けられている請求項2から4の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項6】
前記基部は、前後方向視において、前記背もたれ部の側面から幅方向内側に向かうにつれて前記座部から離間する方向に傾斜している請求項1から5の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項7】
前記基部は、上下方向視において、前記背もたれ部の側面から幅方向内側に向かうにつれて、前記背もたれ部に近接する方向に傾斜している請求項1から6の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項8】
前記基部は第1基部と第2基部とを有し、
前記第2基部は、基端側が前記第1基部に揺動可能に取り付けられており、
前記駆動部は前記第2基部に取り付けられており、
前記第1基部と前記第2基部との間には、前記第2基部の先端側を前記第1基部から離間させる方向に付勢する付勢部材を有している請求項1から7の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項9】
前記第2施療子の先端部の幅は前記第1施療子の先端部の幅よりも大きい請求項1から8の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項10】
前記背もたれ部の幅方向に沿って見たときに、前記第2施療子の先端部は、前記第1施療子の先端部よりも下方に位置している請求項1から9の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項11】
前記施療機構は、上下方向に移動可能である請求項1から10の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項12】
前記施療機構は、幅方向に移動可能である請求項1から11の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項13】
前記第1施療子及び/又は第2施療子は空気袋を有している請求項1から12の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項14】
前記空気袋を膨張収縮可能な給排気部を有し、
前記給排気部は、前記空気袋による施療の強さ調整や施療部を保持可能であることを特徴とする請求項13に記載のマッサージ機。
【請求項15】
前記駆動部と前記給排気部を制御することが可能な制御部を有し、
前記制御部は、前記駆動部と前記給排気部を独立して制御することができることを特徴とする請求項14に記載のマッサージ機。
【請求項16】
前記空気袋より被施療者側に設けられた支持体と、
前記支持体に設けられた第3施療子と、
前記空気袋の膨張収縮により、前記支持体を被施療者に向かって進退可能な進退機構と、を有することを特徴とする請求項13から15の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項17】
被施療者の頭部を支持する枕部を更に有し、
前記枕部には、被施療者の頭部位置を前後方向において調整可能な位置調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1から16の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項18】
前記付勢部材は空気袋と前記空気袋を膨縮可能な給排気部から構成され、
前記駆動部と前記給排気部を制御することが可能な制御部を有し、
前記制御部は、前記駆動部と前記給排気部を独立して制御することができることを特徴とする請求項8に記載のマッサージ機。
【請求項19】
前記施療機構を被施療者の身長方向に移動可能な移動手段と、
前記施療機構の身長方向における特定位置を検出する第1検出手段と、
前記第1基部に対する前記第2基部の揺動位置を検出する第2検出手段と、
前記移動手段を制御することが可能な制御部と、を有し、
前記制御部は、前記第1検出手段により前記施療機構の身長方向における特定位置を検出する第1ステップと、前記第2検出手段により前記第2基部の揺動位置を検出する第2ステップと、を行い、被施療者の肩に対する前記施療機構の最適な施療位置を特定することを特徴とする請求項8又は18に記載のマッサージ機。
【請求項20】
前記移動手段は、昇降モータを有し、
前記制御部は、前記昇降モータにかかる負荷が所定値以上となった場合、前記昇降モータを停止させることを特徴とする請求項19に記載のマッサージ機。
【請求項21】
前記背もたれ部は、
被施療者の背に対して被施療者の身長方向に移動可能な機械式の施療部と、
前記施療部の移動により被施療者の身長方向における特定位置を検出する第3検出手段と、を有し、
前記制御部は、前記第3検出手段により検出した被施療者の肩位置を基準位置とし、前記基準位置に基づいて前記第1ステップにおける前記施療機構の移動位置を特定することを特徴とする請求項19又は20に記載のマッサージ機。
【請求項22】
前記座部に対して前記背もたれ部をリクライニングさせるリクライニング手段を有し、
前記制御部は、リクライニング手段により生じる被施療者の背もたれ部に対する位置ズレを前記第1ステップと前記第2ステップを行い、前記施療機構における被施療者の施療位置を補正することを特徴とする請求項19から21の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項23】
前記制御部は、前記第2検出手段で検出する揺動位置が所定以上となった場合、前記施療機構の駆動を停止させることを特徴とする請求項19から22の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項24】
少なくとも被施療者の肩外側面又は上腕外側面に対向する位置に第4施療子が取り付けられていることを特徴とする請求項1から23の何れか一項に記載のマッサージ機。
【請求項25】
前記第4施療子は、前記第2施療子の幅方向外側から後方に向かって突出する側壁部に対して取り付けられていることを特徴とする請求項24に記載のマッサージ機。
【請求項26】
前記第4施療子は、空気袋を有していることを特徴とする請求項25に記載のマッサージ機。
【請求項27】
前記空気袋は、前記側壁部の前後方向前側を支点として取り付けられていることを特徴とする請求項26に記載のマッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被施療者の肩を挟み込んで揉んだり叩いたりすることにより施療を行うマッサージ機が知られている。例えば、特許文献1においては、仰臥位にある被施療者の左右の夫々の肩の前後を一対の揉み手で挟み込む肩用揉み手段を有すると共に、一対の揉み手による肩の前後への近接離反の動きを実現するマッサージ機構を有するマッサージ機(据え置き型のマッサージ装置)が開示されている。
【0003】
特許文献2においては、間隔をおいて配置され相互に近接離反することにより先端の当接部で被施療者の肩を挟み込む第1アーム及び第2アームと、第1アームと第2アームの間隔を変更すべく第1及び第2アームに対して回転可能に取り付けられた回転軸とを有し、第1及び第2アームの内少なくとも一方は回転軸に対して偏心及び傾斜して取り付けられたマッサージ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-046541号公報
【文献】特開2012-120549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本来、マッサージ機とは、人(施療者)が被施療者に対して行うマッサージを機械的に行うものであり、肩の施療においては、施療者が親指と残りの四指とで被施療者の肩を揉む際の指の動きを再現することが好ましい。例えば、被施療者の肩のツボである肩井を刺激する際には、肩の前方を四指で保持しつつ肩の上方から親指で押圧(指圧)して施療するのが好ましい。しかし、特許文献1に記載のマッサージ機においては、一対の揉み手が被施療者の肩を前後から挟むように近接離反を繰り返す動作をするのであって、一方の揉み手が被施療者の肩の前方を保持しつつ他方の揉み手が肩を上方から押圧するような動作はしない。
【0006】
また、特許文献2に記載のマッサージ機においても、第2実施形態においては、一対の当接部が被施療者の肩を前後から挟むように近接離反を繰り返す動作をするのであって、一方の当接部が被施療者の肩の前方を保持しつつ他方の当接部が肩を上方から押圧する動作はしない。特許文献2に記載の第1実施形態においては、第1アームの当接部が肩を上方から押圧しているが、これは第2アームの当接部による揉み上げ、揉み下げの施療を効果的に行うために肩が上方に浮き上がるのを防止しているのであって、第1アームの当接部による施療は副次的なものでしかない。
【0007】
このように、一対の施療子が連係して動作し、一方の施療子が被施療者の肩の前方を保持しつつ他方の施療子が肩を上方から押圧して施療するマッサージ機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るマッサージ機の特徴構成は、被施療者が着座する座部と、前記座部に着座した前記被施療者の背を支持する背もたれ部と、前記背もたれ部の前方に設けられた基部と、前記基部に取り付けられ、前記被施療者が前記座部に着座した状態で前記被施療者の肩にマッサージを行う肩施療機構と、を備え、前記肩施療機構は、前記基部に取り付けられ、通電により回転する出力軸を有する駆動部と、前記被施療者の肩を上方から押圧する第1施療子、及び、第2施療子を備え、前記背もたれ部の幅方向に沿って見たときに、前記第1施療子よりも前記第2施療子が前方に位置しており、前記背もたれ部の幅方向に沿って見たときに、前記出力軸の回転に応じて、前記第1施療子と前記第2施療子の間の距離が変化するように連係して前記被施療者の肩を施療する点にある。
【0009】
被施療者の肩を上方から押圧し施療するには、第1施療子と第2施療子の動きが連係し、肩施療機構における第2施療子で被施療者の肩を保持しつつ第1施療子で肩を上方から押圧するのが適当である。よって、このような特徴構成とすれば、被施療者の肩の前方を第2施療子で保持しつつ第1施療子により被施療者の肩を上方から適切に施療することができる。
【0010】
よって、上記のような構成により、一対の施療子が連係して動作し、一方の施療子が被施療者の肩の前方を保持しつつ他方の施療子が肩を上方から押圧して施療するマッサージ機を実現することができた。
【0011】
本発明に係るマッサージ機において、前記肩施療機構は、上下方向に延出する前記出力軸に傾斜姿勢で取り付けられた斜板カムと、前記斜板カムに取り付けられ、前記斜板カムの回転に伴い連れ回りせずに上下方向に揺動する施療子保持部と、を更に備え、前記第1施療子は、前記施療子保持部に一体的に取り付けられており、前記第2施療子は、基端側が前記施療子保持部に設けられた幅方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けられており、先端側で前記被施療者の肩を施療すると好適である。
【0012】
斜板カムを用いることにより、簡易な構成で第1施療子を上下方向に揺動させることができ、被施療者の肩を上方から押圧することができる。また、第2施療子を幅方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けることにより、適切に被施療者の肩を保持することができる。
【0013】
本発明に係るマッサージ機において、前記第2施療子は、リンクによって更に支持されており、前記リンクは、一方端部が前記基部に回転可能に取り付けられ、他方端部が前記第2施療子の前記基端側と前記先端側の間で幅方向に沿う揺動軸心周りに前記第2施療子を揺動可能に支持していると好適である。
【0014】
また、本発明に係るマッサージ機において、前記リンクは上下方向に延出しており、前記一方端部が上側に位置し、前記他方端部が下側に位置していると好適である。
【0015】
第2施療子をリンクで支持することにより、第2施療子が施療子保持部に剛体として取り付けられている場合よりも、より複雑な動きを実現することができ、施療者の指による肩を揉む際の指の動きにより近づけることができる。
【0016】
本発明に係るマッサージ機において、前記斜板カムは環状軸受を含んで構成され、前記出力軸は前記環状軸受の中心に対して偏心して取り付けられていると好適である。
【0017】
このような構成であれば、斜板カムによる第1施療子と第2施療子の動きを上下方向への揺動に加え、前後左右方向への動きを加えることができる。これにより、肩の特定箇所だけでなくその周辺も押圧することができるので、肩のこりをほぐすこともでき、更に施療効果を高めることができる。
【0018】
本発明に係るマッサージ機において、前記基部は、前後方向視において、前記背もたれ部の側面から幅方向内側に向かうにつれて前記座部から離間する方向に傾斜していると好適である。
【0019】
人を前方から見たとき、人の肩は背骨に近づくにつれて上に上がるよう傾斜している。よって、上記構成であれば、基部に取り付けられた肩施療機構を効率よく被施療者の肩に合わせることができる。
【0020】
本発明に係るマッサージ機において、前記基部は、上下方向視において、前記背もたれ部の側面から幅方向内側に向かうにつれて、前記背もたれ部に近接する方向に傾斜していると好適である。
【0021】
人を上方から見たとき、人の肩は端部が最も前方にあり、背骨に近づくにつれて後方になるよう傾斜している。よって、上記構成であれば、基部に取り付けられた肩施療機構を効率よく被施療者の肩に合わせることができる。
【0022】
本発明に係るマッサージ機において、前記基部は第1基部と第2基部とを有し、前記第2基部は、基端側が前記第1基部に揺動可能に取り付けられており、前記駆動部は前記第2基部に取り付けられており、前記第1基部と前記第2基部との間には、前記第2基端部の先端側を前記第1基部から離間させる方向に付勢する付勢部材を有していると好適である。
【0023】
このような構成であれば、付勢部材の付勢力により、第1施療子と第2施療子が上下方向に揺動したとしても、施療中にこれらの施療子を被施療者の肩から離間させることなく常に肩を前方から保持しつつ肩を上方から押圧することが可能である。この際、第1施療子による上下方向の揺動と付勢部材の付勢力により第1施療子が肩を押圧する力を周期的に変化させることができるので、マッサージ機でありながら、より施療者の指による施療に近い施療感を得ることができる。
【0024】
本発明に係るマッサージ機において、前記第2施療子の先端部の幅は前記第1施療子の先端部の幅よりも大きいと好適である。
【0025】
本発明のマッサージ機においては、第1施療子が親指を模しており、第2施療子が残りの四指を模している。よって、上記構成によれば、施療者が被施療者に対して親指と四指で被施療者の肩を揉む際の指の動きに更に近づけることができる。
【0026】
本発明に係るマッサージ機において、前記背もたれ部の幅方向に沿って見たときに、前記第2施療子の先端部は、前記第1施療子の先端部よりも下方に位置していると好適である。
【0027】
本発明のマッサージ機においては、第1施療子が親指を模しており、第2施療子が残りの四指を模している。そして、施療者が被施療者の肩を揉む際には、幅方向に沿って見たときに、親指よりも残りの四指の方が下方に位置する。よって、上記構成によれば、施療者が被施療者に対して親指と四指で被施療者の肩を揉む際の指の動きに更に近づけることができる。
【0028】
本発明に係るマッサージ機において、前記肩施療機構は、上下方向に移動可能であると好適である。
【0029】
このような構成であれば、座高の異なる被施療者が座部に着座したときでも、各被施療者の肩の高さに応じて最適な高さに肩施療機構を移動させることができる。
【0030】
本発明に係るマッサージ機において、前記肩施療機構は、幅方向に移動可能であると好適である。
【0031】
このような構成であれば、肩幅の異なる被施療者が座部に着座したときでも、各被施療者の肩幅に応じて最適な幅に肩施療機構を移動させることができる。
【0032】
本発明に係るマッサージ機において、前記第1施療子及び/又は第2施療子は空気袋を有していると好適である。
【0033】
このような構成であれば、肩に対して前方及び/又は上方から空気袋による施療や保持することができる。
【0034】
本発明に係るマッサージ機において、前記空気袋を膨張収縮可能な給排気部を有し、前記給排気部は、前記空気袋による施療の強さ調整や施療部を保持可能であると好適である。
【0035】
このような構成であれば、個人に合わせた施療の強さを調節することや個人の体形に合わせて保持することができる。
【0036】
本発明に係るマッサージ機において、前記駆動部と前記給排気部を制御することが可能な制御部を有し、前記制御部は、前記駆動部と前記給排気部を独立して制御することができると好適である。
【0037】
このような構成であれば、駆動部による機械式の施療と給排気部による空気式の施療とを組み合わせた施療を行うことができる。
【0038】
本発明に係るマッサージ機において、前記空気袋より被施療者側に設けられた支持体と、前記支持体に設けられた第3施療子と、前記空気袋の膨張収縮により、前記支持体を被施療者に向かって進退可能な進退機構と、を有すると好適である。
【0039】
このような構成であれば、空気袋の膨張収縮によって、第3施療子の施療の強さを変えることができる。また、空気袋による押圧施療とは異なる施療を行うことができる。
【0040】
本発明に係るマッサージ機において、被施療者の頭部を支持する枕部を更に有し、前記枕部には、被施療者の頭部位置を前後方向において調整可能な位置調整手段が設けられていると好適である。
【0041】
このような構成であれば、背もたれ部内の施療部で背中を施療する際、被施療者の頭部横に位置する肩施療機構の圧迫感をなくすことができる。また、肩施療機構で施療する際に最適な位置で施療することができる。
【0042】
本発明に係るマッサージ機において、前記付勢部材は空気袋と前記空気袋を膨縮可能な給排気部から構成され、前記駆動部と前記給排気部を制御することが可能な制御部を有し、前記制御部は、前記駆動部と前記給排気部を独立して制御することができると好適である。
【0043】
このような構成であれば、第1施療子及び第2施療子の施療の適度な強さ調整を行うことができる。例えば、駆動部による第1施療子と第2施療子の施療中に空気袋の膨縮量を調整することで肩への押圧力を変えることができる。
【0044】
本発明に係るマッサージ機において、前記肩施療機構を被施療者の身長方向に移動可能な移動手段と、前記肩施療機構の身長方向における特定位置を検出する第1検出手段と、前記第1基部に対する前記第2基部の揺動位置を検出する第2検出手段と、前記移動手段を制御することが可能な制御部と、を有し、前記制御部は、前記第1検出手段により前記肩施療機構の身長方向における特定位置を検出する第1ステップと、前記第2検出手段により前記第2基部の揺動位置を検出する第2ステップと、を行い、被施療者の肩に対する前記肩施療機構の最適な施療位置を特定すると好適である。
【0045】
このような構成であれば、被施療者の肩に対する肩施療機構の最適な施療位置を特定することができ、被施療者の肩に対して効果的な施療を与えることができる。
【0046】
本発明に係るマッサージ機において、前記移動手段は、昇降モータを有し、前記制御部は、前記昇降モータにかかる負荷が所定値以上となった場合、前記昇降モータを停止させると好適である。
【0047】
このような構成であれば、昇降モータを停止させることで、被施療者の肩に対して安全且つ、過度な移動を防止することができる。
【0048】
本発明に係るマッサージ機において、前記背もたれ部は、被施療者の背に対して被施療者の身長方向に移動可能な機械式の施療部と、前記施療部の移動により被施療者の身長方向における特定位置を検出する第3検出手段と、を有し、前記制御部は、前記第3検出手段により検出した被施療者の肩位置を基準位置とし、前記基準位置に基づいて前記第1ステップにおける前記肩施療機構の移動位置を特定すると好適である。
【0049】
このような構成であれば、背もたれ部の肩位置情報を肩施療機構の施療位置に反映させることができ、且つ、施療位置の検出時間を短縮させることができる。
【0050】
本発明に係るマッサージ機において、前記座部に対して前記背もたれ部をリクライニングさせるリクライニング手段を有し、前記制御部は、リクライニング手段により生じる被施療者の背もたれ部に対する位置ズレを前記第1ステップと前記第2ステップを行い、前記肩施療機構における被施療者の施療位置を補正すると好適である。
【0051】
このような構成であれば、被施療者の背もたれ部に対する位置ズレを補正することができ、姿勢が変わったとしても適した位置で施療を受けることができる。
【0052】
本発明に係るマッサージ機において、前記制御部は、前記第2検出手段で検出する揺動位置が所定以上となった場合、前記肩施療機構の駆動を停止させると好適である。
【0053】
このような構成であれば、肩施療機構の施療中において被施療者が肩施療機構から離れた際に、離れたことを検出し、安全にその場から離れることができる。また、肩施療機構の施療中において頭部付近に移動した際に頭部を施療しないようにすることできる。
【0054】
本発明に係るマッサージ機において、少なくとも被施療者の肩外側面又は上腕外側面に対向する位置に第4施療子が取り付けられていると好適である。
【0055】
このような構成であれば、被施療者の肩外側面又は上腕外側面を施療することができる。
【0056】
本発明に係るマッサージ機において、前記第4施療子は、前記第2施療子の幅方向外側から後方に向かって突出する側壁部に対して取り付けられていると好適である。
【0057】
このような構成であれば、被施療者の肩又は上腕に対して前方及び/又は上方に加えて、側方からも施療子による施療や保持をすることができる。
【0058】
本発明に係るマッサージ機において、前記第4施療子は、空気袋を有していると好適である。
【0059】
このような構成であれば、肩又は上腕に対して空気袋による施療や保持をすることができる。
【0060】
本発明に係るマッサージ機において、前記空気袋は、前記側壁部の前後方向前側を支点として取り付けられていると好適である。
【0061】
このような構成であれば、肩又は上腕に対して側面後方から施療や保持をすることができる。例えば、第2施療子で肩又は上腕を前方及び/又は上方から施療や保持しながら、空気袋(第4施療子)で肩又は上腕を側方から施療や保持をすることができる。つまり、肩又は上腕を3方向から施療や保持をすることができる。
【0062】
本発明に係るマッサージ機において、被施療者が着座する座部と、被施療者に施療を行う施療機構と、を備え、前記施療機構は、基部と、前記基部に取り付けられ、通電により回転する出力軸を有する駆動部と、被施療者の施療部を施療する第1施療子、及び、第2施療子と、前記出力軸に沿って傾斜姿勢で取り付けられた斜板カムと、前記斜板カムに取り付けられた施療子保持部と、を更に備え、前記第1施療子は、前記施療子保持部に一体的に取り付けられており、前記第2施療子は、基端側が前記施療子保持部に設けられた前記出力軸と交差する軸方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けられており、前記施療機構は、前記座部に設けられ、被施療者の臀部と大腿部のうち少なくとも1つを施療することができるようになっていると好適である。このような特徴構成とすれば、座部に着座した被施療者の臀部と大腿部のうち少なくとも1つを第2施療子で保持しつつ第1施療子により適切に施療することができる。なお、座部に対して施療機構を複数設けることにより、臀部と大腿部の複数箇所を同時に施療することができるようにしてもよい。
【0063】
本発明に係るマッサージ機において、被施療者が凭れる背凭れ部と、被施療者に施療を行う施療機構と、を備え、前記施療機構は、基部と、前記基部に取り付けられ、通電により回転する出力軸を有する駆動部と、被施療者の施療部を施療する第1施療子、及び、第2施療子と、前記出力軸に沿って傾斜姿勢で取り付けられた斜板カムと、前記斜板カムに取り付けられた施療子保持部と、を更に備え、前記第1施療子は、前記施療子保持部に一体的に取り付けられており、前記第2施療子は、基端側が前記施療子保持部に設けられた前記出力軸と交差する軸方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けられており、前記施療機構は、前記背凭れ部に設けられ、被施療者の首部と背部と腰部のうち少なくとも1つを施療することができるようになっていると好適である。このような特徴構成とすれば、背凭れ部に凭れた被施療者の首部と背部と腰部のうち少なくとも1つを第2施療子で保持しつつ第1施療子により適切に施療することができる。なお、背凭れ部に対して施療機構を複数設けることにより、例えば、首部と背部、首部と腰部、背部と腰部、首部と腰部と背部など、複数箇所を同時に施療することができるようにしてもよい。
【0064】
本発明に係るマッサージ機において、被施療者の下腿を支持するフットレスト部と、被施療者に施療を行う施療機構と、を備え、前記施療機構は、基部と、前記基部に取り付けられ、通電により回転する出力軸を有する駆動部と、被施療者の施療部を施療する第1施療子、及び、第2施療子と、前記出力軸に沿って傾斜姿勢で取り付けられた斜板カムと、前記斜板カムに取り付けられた施療子保持部と、を更に備え、前記第1施療子は、前記施療子保持部に一体的に取り付けられており、前記第2施療子は、基端側が前記施療子保持部に設けられた前記出力軸と交差する軸方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けられており、前記施療機構は、前記フットレスト部に設けられており、被施療者の脚部と足部のうち少なくとも1つを施療することができるようになっていると好適である。このような特徴構成とすれば、フットレスト部に支持された被施療者の脚部と足部のうち少なくとも1つを第2施療子で保持しつつ第1施療子により適切に施療することができる。なお、フットレスト部に対して施療機構を複数設けることにより、脚部と足部の複数箇所を同時に施療することができるようにしてもよい。
【0065】
本発明に係るマッサージ機において、被施療者の腕部を支持する肘掛部と、被施療者に施療を行う施療機構と、を備え、前記施療機構は、基部と、前記基部に取り付けられ、通電により回転する出力軸を有する駆動部と、被施療者の施療部を施療する第1施療子、及び、第2施療子と、前記出力軸に沿って傾斜姿勢で取り付けられた斜板カムと、前記斜板カムに取り付けられた施療子保持部と、を更に備え、前記第1施療子は、前記施療子保持部に一体的に取り付けられており、前記第2施療子は、基端側が前記施療子保持部に設けられた前記出力軸と交差する軸方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けられており、前記施療機構は、前記肘掛部に設けられており、被施療者の腕部を施療することができるようになっていると好適である。このような特徴構成とすれば、肘掛部に支持された被施療者の腕部を第2施療子で保持しつつ第1施療子により適切に施療することができる。なお、肘掛部に施療機構を複数設けることにより、例えば、手先部と前腕部、手先部と上腕部、前腕部と上腕部、手先部と前腕部と上腕部など、複数箇所を同時に施療することができるようにしてもよい。
【0066】
被施療者の施療部を押圧し施療するには、第1施療子と第2施療子の動きが連係し、施療機構における第2施療子で被施療者の施療部を保持しつつ第1施療子で施療部を押圧するのが適当である。
よって、上記のような構成により、一対の施療子が連係して動作し、一方の施療子が被施療部を保持しつつ他方の施療子が被施療部を押圧して施療するマッサージ機を実現することができた。
また、斜板カムを用いることにより、簡易な構成で第1施療子を上下方向に揺動させることができ、被施療者の施療部を上方から押圧することができる。第2施療子を幅方向に沿う揺動軸心周りに揺動可能に取り付けることにより、適切に被施療者の施療部を保持することができる。
【0067】
前記第2施療子は、リンクによって更に支持されており、前記リンクは、一方端部が前記基部に回転可能に取り付けられ、他方端部が前記第2施療子の前記基端側と前記先端側の間で幅方向に沿う揺動軸心周りに前記第2施療子を揺動可能に支持していると好適である。
第2施療子をリンクで支持することにより、第2施療子が施療子保持部に剛体として取り付けられている場合よりも、より複雑な動きを実現することができ、施療者の指による肩を揉む際の指の動きにより近づけることができる。
【0068】
前記第1施療子及び/又は第2施療子は空気袋を有していると好適である。このような構成であれば、被施療部に対して空気袋による施療や保持することができる。
【0069】
前記施療機構は、被施療者の身体の左右方向における中心線を挟んで左右一対に設けられ、被施療者の身長方向に沿って取り付けられ、前記第1施療子は、前記第2施療子よりも中心線に接近した方向に位置しており、前記第2施療子は、前記第1施療子よりも前記中心線から離反した方向に位置していると好適である。このような構成であれば、第1施療子によって被施療部の左右方向内側を、第2施療子によって被施療部の左右方向外側を、施療したり保持したりすることができる。
【0070】
前記施療機構は、被施療者の身体の左右方向における中心線を挟んで左右一対に設けられ、前記第2施療子は、前記第1施療子よりも中心線に接近した方向に位置しており、前記第1施療子は、前記第2施療子よりも前記中心線から離反した方向に位置していると好適である。このような構成であれば、第1施療子によって被施療部の左右方向外側を、第2施療子によって被施療部の左右方向内側を、施療したり保持したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】第1実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す斜視図である。
【
図6】施療モータ駆動部と斜板カムの左側面図である。
【
図7】減速機構ケースを取り除いた状態の施療モータ駆動部と斜板カムの分解斜視図である。
【
図9】斜板カムと施療子保持部と第1、第2施療子の正面図である。
【
図10】斜板カムと施療子保持部と第1、第2施療子の左側面図である。
【
図11】斜板カムと施療子保持部と第1、第2施療子の分解斜視図である。
【
図16】第1基部に対する第2基部と肩施療機構の動作を表す図である。
【
図17】第1基部に対する第2基部と肩施療機構の動作を表す図である。
【
図18】第2実施形態に係るマッサージ機の第1施療子、第2施療子の左側面図である。
【
図19】第2実施形態に係るマッサージ機の機能ブロック図である。
【
図20】第2実施形態に係るマッサージ機の全体構成を示す斜視図である。
【
図21】第2実施形態に係るマッサージ機の動作フローを示す図である。
【
図22】第2実施形態に係るマッサージ機の動作フローを示す図である。
【
図23】第2実施形態に係るマッサージ機の動作フローを示す図である。
【
図24】第2実施形態に係るマッサージ機の動作フローを示す図である。
【
図25】第3実施形態に係る肩施療機構の正面図である。
【
図26】第3実施形態に係る肩施療機構の斜視図である。
【
図27】第3実施形態に係る肩施療機構を被施療者に当接させた状態を示す側面図である。
【
図28】施療機構を座部に適用したマッサージ機を示す模式図である。
【
図29】施療機構を背凭れ部に適用したマッサージ機を示す模式図である。
【
図30】脚ユニットと足ユニットから構成したフットレスト部に施療機構を適用した状態を示す模式図である。
【
図31】施療機構で被施療部を施療する場合を示す模式図であり、(a)は左足を上方から見た状態を示しており、(b)は左脚を側方から見た状態を示している。
【
図32】施療機構を肘掛部に適用したマッサージ機を示す模式図である。
【
図33】第1施療子を使用者の左右方向内側に対向するように位置し、第2施療子を使用者の左右方向外側に対向するように位置させた状態を示す模式図である。
【
図34】第1施療子を使用者の左右方向外側に対向するように位置し、第2施療子を使用者の左右方向内側に対向するように位置させた状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に記載される実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定するものではない。従って、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0073】
1.第1実施形態
〔全体構成〕
図1に本実施形態に係るマッサージ機1の全体構造を示す。マッサージ機1は、座部11と、背もたれ部12と、支持部100(不図示)と、肩施療機構200を備えてなるものである。座部11は、被施療者がその臀部又は大腿部が当接した状態で着座するものであり、背もたれ部12は座部11に着座した被施療者の背を支持するものである。以後、マッサージ機1において被施療者が座部11に着座した状態での腹側を「前」、背側を「後」、右手側を「右」、左手側を「左」、頭側を「上」、足側を「下」と定義する。また、被施療者の肩幅方向に平行な方向を「幅方向」又は「左右方向」、前から後に向かう方向に平行な方向を「前後方向」、幅方向と前後方向の両方に垂直な方向を「上下方向」と定義する。
【0074】
以下の実施形態の説明においては、
図1に示す左側(左肩を施療する)の支持部100、基部210、肩施療機構200について説明する。支持部100、基部210、肩施療機構200は左側と右側とで対称形状を有しているので、右側の形状の説明は省略する。
【0075】
〔支持部〕
支持部100は、被施療者の背が当接する背当て面13に交差する面である背もたれ部12の左右の側面14、14に取り付けられている。本実施形態において、支持部100は背もたれ部12に取り付けられているが、背もたれ部12のリクライニングと連動してリクライニングするのであれば背もたれ部12に取り付けられていなくてもよい。
【0076】
図2、
図3に示すように、支持部100は、昇降スライドレール110、すべりねじ120(雄ねじ122、昇降部材124)、昇降モータ駆動部130、第1金属板142、第2金属板143、第3金属板144、左右スライドレール146、スライドプレート150を備えている。昇降スライドレール110は鉄等の金属板を断面矩形状に折り曲げて形成されており、底部112と、底部112の両側に同方向に立設する一対の側部114と、両側部の端部から内側に折り曲げられて形成された一対の爪部116を有している。昇降スライドレール110の底部112と側部114と爪部116とで囲まれて形成される空間には昇降スライドレール110の延出方向に平行な雄ねじ122が取り付けられている。雄ねじ122の一方端部は昇降スライドレール110に接続された昇降モータ駆動部130に接続されており、他方端部が昇降スライドレール110の底部112から立設して形成されたに雄ねじ保持部118に支持されている。
【0077】
昇降モータ駆動部130は、後述する肩施療機構200を被施療者の身長方向に移動可能な移動手段である出力軸を有するブラシレスDCモータ(以下、「昇降モータ」と称する)131、該昇降モータ131を駆動する昇降モータ駆動回路132、昇降モータ131の出力軸に取り付けられ一体となって回転する小径プーリー133、雄ねじ122の一方端部に取り付けられ一体となって回転する大径プーリー134、2つのプーリー133,134の間に亘って取り付けられ、出力軸の回転を雄ねじ122に伝達するプーリーベルト135を有している。この構成により、昇降モータ131の出力軸の回転は減速されて雄ねじ122伝達されて雄ねじ122を回転させる。ただし、昇降モータ131が高トルク低回転タイプであれば、プーリーを介することなく、直接雄ねじ122を回転させてもよい。
【0078】
昇降スライドレール110には、雄ねじ122に螺合されたナット(不図示)を内部に収容した昇降部材124が取り付けられている。昇降部材124は摺動性のよい樹脂等からなる。本実施形態では、雄ねじ122と昇降部材124によりすべりねじ120が構成されている。昇降部材124は昇降スライドレール110の底部112と側部114と爪部116とに囲まれて係合される凸部(不図示)を有する略直方体形状を有する。昇降部材124は、雄ねじ122が正逆回転することにより内部のナットが雄ねじ122の延出方向に沿って双方向に直進運動をする。すなわち、昇降部材124は昇降モータ131の正逆回転により昇降スライドレール110に摺接した状態で上下方向に移動する。支持部100には後述する基部210を介して肩施療機構200が取り付けられており、移動手段である昇降モータ131を駆動させて昇降部材124を上下に移動させることにより、座高の異なる被施療者が座部11に着座したときであっても、各被施療者の肩の高さに応じて最適な高さになるように肩施療機構200を被施療者の身長方向である上下方向に移動させることができる。なお、すべりねじの代わりに、雄ねじ122とナットの間にボールがあるボールねじであってもよい。
【0079】
第1金属板142は支持部100の昇降部材124にねじ等により取り付けられた支持部材125に取り付けられている。支持部材125には4箇所の引掛け爪125aが形成されており、第1金属板142に形成された4箇所のスリット孔142aが引掛け爪125aの夫々に係合される(
図2参照)。第1金属板142とねじ等により接続された第2金属板143は、昇降スライドレール110から背もたれ部12の前方へと延びている。第2金属板143とねじ等により接続された第3金属板144は、背もたれ部12の前方で内側(前後方向に沿って見たときに背もたれ部12と重複する方向)に延在している。なお、第3金属板144は、被施療者(人間)の肩の構造に合うように延在している。すなわち、第3金属板144は、背もたれ部12の背当て面13及び幅方向に平行ではなく、第2金属板143との接続部から内側に延びるにつれて背もたれ部12に近接すると共に、上方向に向かって傾斜して構成されている。
【0080】
第3金属板144の内側(下側)には、金属からなる左右スライドレール146が取り付けられている。左右スライドレール146は第3金属板144の延在方向と平行に延在しており、昇降スライドレール110と同様に底部147と側部148と爪部149とを有している。左右スライドレール146の内側空間には、左右スライドレール146に接してその延在方向に沿って移動するスライドプレート150が取り付けられている。スライドプレート150には基部210を介して肩施療機構200が取り付けられている。左右スライドレール146に沿って肩施療機構200を幅方向に移動させることによりスライドプレート150と基部210も幅方向に移動し、肩施療機構200を被施療者の肩の適切な位置に合わせることができる。本実施形態においては、肩施療機構200の幅方向への移動は手動で行われている。
【0081】
本実施形態において、昇降部材124の昇降は昇降モータ131により行われるが、手動で昇降できるように構成してもよい。また、肩施療機構200の幅方向の移動も手動ではなくモータ駆動によって移動できるように構成してもよい。これらの昇降及び移動の方法は自由に組み合わせることができる。
【0082】
〔基部〕
図4、
図5に示すように、基部210は、第1基部211と第2基部216とからなる。基部210は、第3金属板144に平行に取り付けられている。すなわち、前後方向に沿って見たときに、基部210は幅方向に平行ではなく、背もたれ部12の側面14から幅方向内側に向かうにつれて座部11から離間する方向に傾斜して構成されている。また、上下方向に沿って見たときに、基部210は背もたれ部12の背当て面13に平行ではなく、背もたれ部12の側面14から幅方向内側に向かうにつれて背もたれ部12に近接する方向に傾斜して構成されている。
【0083】
第1基部211は金属板をU字状に屈曲させて形成されており、底部212と一対の側部213を有している。第1基部211の底部212は4個のスペーサ(不図示)を介してねじ等によりスライドプレート150に取り付けられている。側部213には、対向する箇所に円形のジョイント保持貫通孔214が形成されている。第1基部211は前後方向に延出しており、該ジョイント保持貫通孔214は側部213の前方端部に形成されている。
【0084】
第2基部216は金属板を折り曲げて下面が開口した直方体の箱状に形成されている。第2基部216は第1基部211の底部212と側部213とに挟まれる箇所に位置している。第2基部216の底部217は第1基部211の底部212に対向している。第2基部216の底部217は前端が前方に延出して舌部218を形成しており、舌部218の先端は屈曲して下方に延出している。舌部218の先端近傍には舌部貫通孔219が形成されている。
【0085】
第1基部211の2つのジョイント保持貫通孔214の間には、ジョイント部220がある。ジョイント部220は2つの樹脂部品を組み合わせて直方体状に構成されており、ジョイント部220の面の内、第1基部211の一対の側部213と対向する両端面には一対の円筒形状の突起221が形成されている。この突起221が第1基部211のジョイント保持貫通孔214に嵌り込んでおり、これによりジョイント部220は第1基部211に対して突起221を軸心にして前後方向及び上下方向に揺動が可能である。一対の突起221はその中央に貫通孔が形成されており、シャフト215が挿通されている(
図4参照)。
【0086】
ジョイント部220の揺動軸心に平行な面の内前方に位置する面の中央部には窪み222が形成されている。その窪み222には第2基部216の舌部218が嵌り込んでおり、舌部218に形成された舌部貫通孔219にねじ等を挿通させてジョイント部220に固定することにより、第2基部216をジョイント部220に固定している。これにより、第1基部211に対してジョイント部220が揺動するときには、第2基部216も同時に揺動する。
【0087】
第1基部211の底部212と第2基部216の底部217との間には付勢部材239の一例である圧縮コイルばね228が取り付けられており、これにより第2基部216の先端側にはジョイント部220の突起221を揺動軸心にして第1基部211から離間する方向の力(付勢力)が常時作用する(
図16、
図17参照)。
【0088】
図16、
図17に示すとおり、圧縮コイルばね228の第2基部216に近い側には磁石229が取り付けられ、該磁石229の磁極面に対向するように第1基部211に取り付けられた基板226には圧縮コイルばね228の伸縮方向に沿って後述する第2検出手段321である複数のホール素子227(又はホールIC)が実装されている。磁石229の接近によりホール電圧が検出されたホール素子227を特定することにより、圧縮コイルばね228の伸縮量を検出することができる。また、第1基部211の基板226上に取り付けられたに複数ホール素子227(実施例では5個)は、第2基部216の磁石229が突起221を揺動軸心として回動する範囲上で、かつ、磁石229が2つのホール素子227上を跨るように各々が離れて配置されている。磁石229が2つのホール素子227上を跨るように接近することで、より細かく伸縮量を検出することができる。このようにすることで圧縮ばね228を代わりに後述する空気袋300とした場合、空気袋300の膨張量を調整し、より細かく伸縮量を調整することができる。なお、圧縮コイルばね228にホール素子227を取り付け、これに対向するように複数の磁石229を第1基部211が備える構成であってもよい。
【0089】
なお、圧縮コイルばね228の代わりに、空気の出し入れにより容積が膨張、収縮する空気袋307を付勢部材239として用いてもよい。通常マッサージ機1は、肩以外の場所、例えば、前腕や背中、脹脛を施療するための空気袋300と、空気袋307への空気の出し入れを行うエアコンプレッサである後述する給排気部301を備えている。よって、空気袋307を用いてもコストアップなく、第2基部216の先端側に第1基部211から離間する方向の力(付勢力)を作用させることができる。空気量を調整することで、離間する方向の力(付勢力)を調整することができる。例えば、肩が強く押圧されることを望む人には膨張量を多くし、弱く押圧されることを望む人には膨張量を少なくする。また、第1施療子261と第2施療子265を駆動させる駆動部と給排気部301を独立して制御することで、駆動部による第1施療子261と第2施療子265の施療中に肩への押圧力を調整して、被施療者の肩に対してバリエーションに富んだ施療を行うことができる。
【0090】
〔肩施療機構〕
肩施療機構200は、被施療者の肩に対して施療を行うものであり、特に、肩を上方から押圧して施療するものである。
図4~
図12に示すように、肩施療機構200は、施療モータ駆動部230と、斜板カム240と、施療子保持部250と、第1施療子261、第2施療子265とを有する。肩施療機構200は、基部210と共に、昇降スライドレール110、左右スライドレール146の夫々の延在方向に沿って移動可能に構成されている。
【0091】
(1)施療モータ駆動部
図5~
図7に示すように、第2基部216の内部空間には駆動部の一例である施療モータ駆動部230が収容されている。施療モータ駆動部230はウォーム出力軸232を有するブラシレスDCモータ(以下、「施療モータ」と称する)231、該施療モータ231を駆動する施療モータ駆動回路233、施療モータ231のウォーム出力軸232に噛み合って施療モータ231の回転を減速するウォーム減速機構234、ウォーム減速機構234に噛み合う施療出力軸235(出力軸の一例)、減速機構ケース237を有している。
【0092】
ウォーム出力軸232とウォーム減速機構234は減速機構ケース237の内部に収容されている。ウォーム出力軸232を除く施療モータ231と施療モータ駆動回路233はステー238を介して減速機構ケース237にねじ固定されている。減速機構ケース237は第2基部216の側面にねじ等により固定されており、施療モータ駆動部230は第2基部216と一体となっている。また、施療出力軸235には後述する斜板カム240が取り付けられている。
【0093】
(2)斜板カム
図6~
図8に示すように、斜板カム240は、環状軸受の一例である玉軸受242と、玉軸受242の内輪を軸心方向両側から挟み込んで玉軸受242の内輪と一体となって回転する樹脂製の円柱形状のカム本体244と、カム本体244の2つの底面に取り付けられ、カム本体244を更に外側から挟み込む固定プレート246からなる。斜板カム240には、カム本体244と固定プレート246を貫通する孔が2つ開けられている。一方の孔には一方の固定プレート246からカム本体244と他方の固定プレート246までボルト247が挿通されてナット248で締結されている。これにより、固定プレート246、カム本体244、玉軸受242が一体化される。もう一方の孔には施療出力軸235が挿通されてナット249で締結されている。施療出力軸235には径方向に突出する回り止めピン236が挿入されており、この回り止めピン236と嵌合する形状が一方の固定プレート246に形成されており、これにより施療出力軸235と斜板カム240(玉軸受242の外輪を除く)が一体となって回転する。
【0094】
施療出力軸235の軸心Xが斜板カム240の回転軸心になるが、施療出力軸235は玉軸受242の回転中心、すなわち、カム本体244の軸心から偏心して取り付けられている。また、玉軸受242の回転軸心はカム本体244の軸心及び底面の双方に対して傾斜している。具体的には、カム本体244の軸心を起点に施療出力軸235の中心を通る径方向の半直線がカム本体244の外周面と交差する円周上の点を仮定し、この点を通ってカム本体244の軸心に平行な線上に玉軸受242の施療モータ駆動部230から最も離間する箇所が位置するように、玉軸受242は傾斜している。換言すると、玉軸受242の内、施療出力軸235に最も近い箇所が施療モータ駆動部230から最も離間し、施
療出力軸235から最も遠い箇所が施療モータ駆動部230に最も近接している。これにより、施療出力軸235が回転したときに、斜板カム240の玉軸受242の内輪は軸心Xに対して偏心且つ偏角の状態で回転する。なお、玉軸受242の内、施療出力軸235に最も近い箇所ではなく、その他の任意の場所が施療モータ駆動部230から最も離間するように構成されていてもよい。また、玉軸受242の代わりにころ軸受や滑り軸受を用いてもよい。
【0095】
(3)施療子保持部
図5、
図9~
図12に示すように、斜板カム240には施療子保持部250が取り付けられている。施療子保持部250は金属板からなる板状の第1部材252と樹脂からなり底面と底面の周囲を囲むように立設している側面を有する第2部材254とがねじ等により締結されて構成されている。第1部材252は第2部材254のカム保持貫通孔255の周囲を覆う蓋としての機能を果たす。施療子保持部250には第1部材252から第2部材254に亘って斜板カム240の玉軸受242の外輪に嵌り込む断面円形のカム保持貫通孔255が形成されており、該カム保持貫通孔255は、第2部材254においては底面から垂直に立設する円筒形状の突起255aにより形成されている。突起255aの内周面に圧入や接着等の方法により玉軸受242の外輪が取り付けられている。すなわち、施療子保持部250は玉軸受242の回転軸心に対して垂直に取り付けられている。よって、施療子保持部250は施療出力軸235に対して玉軸受242と同じ角度で傾斜している。また、第2部材254の底面の突起が形成されている側と反対側には、斜板カム240に端部を覆うようにカバー257が取り付けられている。
【0096】
(4)施療子
図5、
図9~
図11に示すように、施療子保持部250の第2部材254のカバー257が取り付けられている側と同じ側であって、斜板カム240よりも幅方向の内側(すなわち、前から後を見たときに斜板カム240の左側)に樹脂やゴム等からなる第1施療子261(施療子の一例)がねじ等により一体的になるよう取り付けられている。第1施療子261は断面が略L字状であり、被施療者の肩に当接する当接部262は施療子保持部250に接続されている箇所から下方に突出しており、当接部262の先端は略半球状になっている。第1施療子261は施療者の親指による施療を模したものであり、例えば、肩中愈、肩外愈、曲垣、肩井等のツボや、広背筋、肩甲挙筋、僧帽筋を押圧する。
【0097】
施療子保持部250の斜板カム240が取り付けられている箇所の近傍且つ前方に、第2施療子265が施療子保持部250に対して前後方向及び上下方向に揺動可能に取り付けられている。第2施療子265は、連結部材266と、第2施療子本体276と、連結軸(リンクの一例)280と、を有する。
【0098】
連結部材266は、断面が角を丸めた直角三角形状になるような柱状であって樹脂により形成されている。直角を挟む2辺(長辺、短辺)のうち長辺と斜辺とからなる角部には回動軸274が直角三角形を形成する面から両側に突出するように形成されている。回動軸274は、施療子保持部250の第2部材254に形成されたU字溝256に挿入され、第1部材252がU字溝256を覆っている。これにより、連結部材266は施療子保持部250に対して回動軸274を軸心に前後方向及び上下方向に揺動可能に保持されている。連結部材266は、回動軸274が施療子保持部250の幅方向に平行になるように施療子保持部250に取り付けられている。連結部材266の直角をなす角部には、直角三角形を形成する面を貫通するように第1ピン貫通孔270が形成されている。
【0099】
第2施療子本体276は、樹脂やゴム等からなり、その基端側を連結部材266の直角三角形の斜辺を形成する面にねじ等により固定され、連結部材266と一体となっている。第2施療子本体276は、第1施療子261よりも幅方向で外側にあり、且つ、施療子保持部250から前方に延出している。すなわち、幅方向に沿って見たときに、第2施療子本体276は第1施療子261よりも前方に位置し、第2施療子本体276の先端部は第1施療子261の先端部よりも下方に位置している。また、幅方向に沿って見たときに、ジョイント部220の突起221(第1基部211のジョイント保持貫通孔214)は、第1施療子261の先端部と第2施療子本体276の先端部の間に位置している。
【0100】
第2施療子本体276の先端側は被施療者の肩に当接する箇所であり、第2施療子本体276の途中から二股に分かれている。二股の幅方向の大きさは異なっており、幅方向の内側にある第1当接部277は幅方向外側にある第2当接部278よりも小さい。また、第2施療子本体276の先端部の全幅は第1施療子261の幅(半球状部分の直径)よりも大きい。更に、第1当接部277と第2当接部278はその延出方向に対して垂直な方向に複数の溝部279を有している。これにより、第2施療子本体276に硬質の材料を用いた場合でも、第1当接部277と第2当接部278とが被施療者の肩を押圧する際の圧力を弱めることができる。なお、第2施療子本体276は施療者の親指を除く四指によ
る施療を模したものであり、被施療者の身体を前側から支えたり擦ったりすると共に、例えば欠盆というツボや大胸筋を押圧する。第2施療子本体276は、二股に分かれておらず、一体型であってもよい。
【0101】
連結軸280は上下方向に延出しており、連結部材266や第2施療子本体276の上方に位置している。連結軸280の上側である一端がジョイント部220に支持され、下側である他端が連結部材266に対して揺動可能に取り付けられている。連結軸280は円柱状であり、一端に近い側は中央部の直径より小径円柱状の細径部281になっており、その先端(一端)が細径部281よりも大きい径の球状部282になっている。ジョイント部220の面の内、連結軸280に対向する面には円形の開口があり、孔223が形成されている。当該孔223は、面から内部に向かうにつれて直径が狭くなるすり鉢状孔224と、該すり鉢状孔224の底と連通しており連結軸280の先端が保持できる球状孔225からなる(
図9参照)。すり鉢状孔224の底の直径は球状孔225の直径よりも小さい。これにより、球状孔225に連結軸280の球状部282を嵌め込んだ状態でジョイント部220を組み立てると、連結軸280の一端はジョイント部220に対して前後方向、上下方向、幅方向の移動は規制されているが、球状部282を中心にすり鉢状孔224に当接する角度範囲内で回転自在、揺動自在となる。すなわち、連結軸280の一端とジョイント部220とはいわゆるボールジョイントによる接続となっている。
【0102】
連結軸280の他端には径方向に第2ピン貫通孔283が形成されており、第2ピン貫通孔283、及び、連結部材266の第1ピン貫通孔270を貫通する連結ピン284により、連結部材266に揺動自在に取り付けられている。連結ピン284は施療子保持部250の幅方向に平行、すなわち、回動軸274と平行になるように取り付けられているので、第2施療子265(連結部材266)は連結軸280により連結ピン284を軸心に前後方向及び上下方向に揺動可能に支持されている。また、連結軸280と連結部材266の連結箇所は第2施療子265の基端側と先端側の間に位置している。
【0103】
上記のような構成により第2施療子265は、連結部材266が施療子保持部250に対して揺動可能なリンクを構成すると共に、連結軸280がボールジョイント、及び、揺動可能なリンクを構成しており、いわゆる2リンク機構を備えている。よって、第2施療子265は施療子保持部250に対して上下方向に移動可能であり、且つ、ジョイント部220に対して回転可能である。
【0104】
〔施療子の動作〕
次に、本実施形態に係るマッサージ機1を作動させたときの第1施療子261と第2施療子265の動作について
図13~
図17を用いて説明する。
【0105】
まず、被施療者がマッサージ機1の座部11に着座していない状態、すなわち、第1施療子261と第2施療子265が何にも当接していない状態において施療モータ231を駆動させる。このとき、
図17に示すように、第2基部216は圧縮コイルばね228の付勢力により第1基部211に対して先端側が離間している。ただし、以下では、
図13~
図15に示すように圧縮コイルばね228の付勢力が第2基部216に作用していないものとして説明する。
【0106】
施療モータ231を駆動させると、ウォーム減速機構234により減速されて施療出力軸235が回転する。施療出力軸235の回転により斜板カム240のカム本体244、固定プレート246、玉軸受242の内輪が一体となって回転する。しかし、施療子保持部250は連れ回りしない。これは、施療子保持部250に取り付けられた第2施療子265が連結軸280、ジョイント部220を介して第1基部211に支持されているからである。ただし、施療子保持部250は玉軸受242の外輪に固定されているので、施療子保持部250が回転しなくても、施療出力軸235、カム本体244、固定プレート246、玉軸受242の内輪が回転する際の抵抗にはならない。
【0107】
上述したように、施療出力軸235は斜板カム240のカム本体244の軸心に対して偏心した状態で取り付けられているので、施療出力軸235の回転に伴い斜板カム240のカム本体244の軸心は軸心X周りに公転する。すなわち、斜板カム240は、施療出力軸235の軸心Xに対して偏心回転する。
【0108】
玉軸受242の回転軸心はカム本体244の軸心及び底面の双方に対して傾斜しているので、玉軸受242の回転軸心に対して垂直に取り付けられた施療子保持部250もカム本体244の軸心及び底面の双方に対して傾斜している。この状態で施療出力軸235が回転すると、
図13~
図15に示すように、施療子保持部250は、斜板カム240の施療出力軸235に対する前後方向及び幅方向への移動量と同じだけ移動し(
図13参照)、それと同時に、玉軸受242の揺動する角度範囲(上下方向への振れ)と同じ角度範囲で揺動する(
図14、15参照)。すなわち、施療子保持部250の前後方向及び幅方向の位置及び傾斜方向は、施療出力軸235の回転角度に応じて連続的に変化する。
【0109】
上述したように、第1施療子261は施療子保持部250に一体的に取り付けられている。施療子保持部250が施療出力軸235に対して最も前に位置する状態を回転の基準(0度)にしたとき(
図13~
図15各々の(I))、第1施療子261は、上下方向に沿って見たときに、
図13に示すように、施療出力軸235が下から見て反時計方向に回転するにつれて、施療子保持部250の動きに連動して右(施療出力軸235の回転角度が90度、
図13(II))、後(180度、
図13(III))、左(270度、
図13(IV))を経て、再び前(0度、
図13(I))に移動(円運動)する。これと同時に、前後方向及び幅方向に沿って見たときに、
図14、
図15に示すように、第1施療子261は中位置(0度、
図14、
図15の各々の(I))から、上位置(90度、
図14、
図15の各々の(II))、中位置(180度、
図14、
図15の各々の(III))、下位置(270度、
図14、
図15の各々の(IV))を経て、再び中位置(0度)になるように移動(揺動)する。これは、施療子保持部250(第1施療子261)に内嵌された玉軸受242が施療出力軸235に対して、偏心且つ偏角の状態で回転するからである。なお、上位置とは第1施療子261が上下方向において位置し得る最上方及びその近傍の位置を意味し、下位置とは第1施療子261が上下方向において位置し得る最下方及びその近傍の位置を意味する。中位置とは上位値と下位置との中間の位置を意味する。
【0110】
このとき、第2施療子265は、
図13~
図15に示すように、施療子保持部250が施療出力軸235に対して最も前にある位置を回転の基準(0度)にしたとき(
図13~
図15各々の(I))、第2施療子265の基端側は、上下方向に沿って見たときに、
図13に示すように、施療出力軸235が下から見て反時計方向に回転するにつれて、施療子保持部250の動きに連動して右(施療出力軸235の回転角度が90度、
図13(II))、後(180度、
図13(III))、左(270度、
図13(IV))を経て、再び前(0度、
図13(I))に移動(円運動)する。第2施療子265の第2施療子本体276の先端側(第1当接部277、第2当接部278)も基端側と同様に移動するが、2リンク機構の作用により、基端側よりも前後方向への移動量は小さい。これと同時に、幅方向に沿って見たときに、
図14に示すように、第2施療子本体276の先端側は中位置(0度、
図14(I))から、上位置(90度、
図14(II))、中位置(180度、
図14(III))、下位置(270度、
図14(IV))を経て、再び中位置(0度)になるように揺動する。更に、前後方向に沿って見たときに、
図15に示すように、第2施療子本体276の先端側は中間位置(0度、
図15(I))から、右位置(90度、
図15(II))、中間位置(180度、
図15(III))、左位置(270度、
図15(IV))を経て、再び中間位置(0度)になるように揺動する。ただし、2リンク機構の作用により、施療子保持部250(第1施療子261)よりも上下方向の動き(揺動量)は小さい。幅方向の動きは第1施療子261と同等である。なお、ジョイント部220(第2基部216)に支持された連結軸280は球状部282を中心に回転するが、ジョイント部220のすり鉢状孔224の壁面には当接しない。
【0111】
上述した上位置とは第2施療子本体276が上下方向において位置し得る最上方及びその近傍の位置を意味し、下位置とは第2施療子本体276が上下方向において位置し得る最下方及びその近傍の位置を意味する。中位置とは上位値と下位置との中間の位置を意味する。左位置とは第2施療子本体276が幅方向において位置し得る最左方及びその近傍の位置を意味し、右位置とは第2施療子本体276が幅方向において位置し得る最右方及びその近傍の位置を意味する。中間位置とは左位値と右位置との中間の位置を意味する。
【0112】
上記のように、幅方向に沿って見たときに、第1施療子261は施療子保持部250の動きに連動して前後に移動(揺動)する。第2施療子265の第2施療子本体276の先端側も施療子保持部250の動きに連動して前後に揺動するもののその移動量(揺動量)は小さい。よって、幅方向に沿って見たときに、第1施療子261と第2施療子本体276の先端側の距離は、施療出力軸235の回転に応じて変化する。そして、第1施療子261と第2施療子本体276が互いの先端側の距離が短くなるように連係して移動することにより、被施療者の肩を前方から第2施療子本体276で保持しつつ、第1施療子261で被施療者の肩を上方から押圧して施療することができる。
【0113】
このように、斜板カム240を用いるという簡単な構成により、第1施療子261と第2施療子265を上下方向に揺動させることができる。なお、施療出力軸235の回転角度による第1施療子261、第2施療子265の動きは、施療出力軸235と、施療モータ駆動部230から最も離間した玉軸受242との位置関係により変わってくる。
【0114】
次に、被施療者がマッサージ機1に着座した状態での第1施療子261、第2施療子265の動きについて説明する。まず、被施療者がマッサージ機1の座部11に着座した状態で、支持部100に支持された肩施療機構200を肩の位置に合わせる。具体的には、第1施療子261が肩の上部、第2施療子265が肩の前部に位置するようにする。このとき、第2基部216は圧縮コイルばね228の作用により第1基部211に対して先端側が離間している。これにより、第1施療子261は被施療者の肩を上方から押圧し、第2施療子265は肩を前方から保持している。その状態で施療モータ231を駆動させる。
【0115】
圧縮コイルばね228の作用により第2施療子265で被施療者の肩を前方から保持しつつ、第1施療子261で被施療者の肩を上方から押圧しているので、第1施療子261と第2施療子265は上下方向の揺動で被施療者の肩から離間することはなく、常に肩を保持しつつ上方から押圧することが可能である。第1施療子261による上方からの押圧中は、第1施療子261の上下方向の揺動と圧縮コイルばね228の付勢力により、第1施療子261が施療者の肩を押圧する力を周期的に変化させることができるので、施療者の指による施療に近い施療感を得ることができる。従って、本実施形態に係るマッサージ機1においては、第2施療子265が被施療者の肩を背もたれ部12から浮かないように保持し、第1施療子261で上方から肩のツボである肩井を刺激することができる。
【0116】
また、第1施療子261と第2施療子265は、前後左右方向に移動するので、被施療者の肩の特定箇所だけではなく、その周辺も押圧することができるので、押圧による施療効果を更に高めることができる。
【0117】
本実施形態の肩施療機構200においては、上述のように、第1施療子261が前後左右方向に移動していわゆる円運動を行いつつ(
図13参照)、2リンク機構により第1施療子261と第2施療子265が互いに前後方向に近接、離反を繰り返すので(
図14参照)、肩の押圧のみならず、把握揉捏による肩甲挙筋や僧帽筋上部等の肩の筋肉をほぐすことができる。僧帽筋は太くて強い筋肉であるが、肩甲挙筋は細く弱い筋肉である。特に、女性やなで肩の人は、肩甲挙筋が弱いため筋肉が緊張状態になりやすく肩こりになりやすい。
【0118】
そのため、肩施療機構200においては、上下方向に延在する施療出力軸235の周りを第1施療子261が円運動することで揉捏の際の施療者の指の動きや拇指球の回転を再現して、指圧より少し広い範囲を押圧して肩甲挙筋や僧帽筋上部等の肩の筋肉をほぐすことができる。このとき第2施療子265は、第1施療子261による揉捏動作の際に被施療者の身体が逃げないように把握と支持を行う。すなわち、第2施療子265は、第1施療子261と第2施療子265が互いに近接するときは被施療者の肩の筋肉を把握し、離反するとき被施療者の身体を支持する。これにより、被施療者の肩の筋肉を効果的にほぐすことができる。
【0119】
背もたれ部12の左右の側面14、14に夫々備えられた昇降部材124、124の上下方向への移動、肩施療機構200、200の幅方向への移動は、各々を独立して行うことができる。また、左右の肩施療機構200、200の施療モータ231、231についても、一方の施療モータ231だけを駆動させたり、夫々の回転数を異ならせたりすることができる。すなわち施療モータ231、231の夫々を独立して制御することができる。これにより、被施療者の個人差により左右の肩の高さが異なっている場合、被施療者が所望する押圧位置、押圧力等が左右の肩で異なっている場合、左右の肩の一方だけを施療したい場合等にも容易に対応することができる。
【0120】
2.第2実施形態
(1)施療子
図18に第2実施形態に係るマッサージ機400の第1施療子261、第2施療子265の左側面図を示す。
図19に第2実施形態に係るマッサージ機400の機能ブロック図を示す。尚、第2実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、肩施療機構200の第1施療子261、第2施療子265の構成が異なる。
【0121】
図18、
図19に示すように、第1施療子261及び/又は第2施療子265は空気袋300を有している。第1施療子261が有している空気袋300は、施療子保持部250の第2部材254の被施療者側と同じ側であって、空気の出し入れを行う前述したエアコンプレッサとバルブで構成された空気袋300を膨張収縮可能にする給排気部301によって、被施療者の肩に対して上方から空気袋300を当接させた状態を保持させることや空気袋300の膨張収縮を繰り返して押圧施療を行うことや空気袋300の空気量を調整することで施療の強さ調整を行うことができる。また、第2施療子265が有している空気袋300は、連結部材266に設けられた部材290に対して取り付けられており、前述した給排気部301によって、被施療者の肩に対して空気袋300を前方から当接させた状態で保持させることや空気袋300の膨張収縮を繰り返して押圧施療を行うことや空気袋300の空気量を調整することで施療の強さ調整を行うことができる。このようにすることで、個人に合わせた施療の強さ調整や個人の体形に合わせて保持することができる。
【0122】
図19に示すように、給排気部301は制御部310と電気的に接続されており、制御部310によって空気量の調整や空気袋300の膨張収縮のタイミングを制御することができる。また、昇降モータ131や施療モータ231である駆動部は制御部310と電気的に接続されており、制御部310によって昇降モータ131や施療モータ231の駆動を制御することができる。制御部310は給排気部301と駆動部を独立して制御することができる。このようにすることで、給排気部301を制御して空気袋300を膨張収縮させて被施療者の肩に対して空気袋300を当接させた状態を保持させたまま、駆動部を制御して被施療者の肩に対して施療することができる。給排気部301による空気式の施療と駆動部による機械式の施療とを組み合わせた施療を行うことが可能となる。
【0123】
(2)進退機構
次に、第3施療子303を被施療者に向かって進退可能な進退機構304について説明する。
図18に示すように、第2施療子265の空気袋300より被施療者側に設けられた支持体302と、支持体302の先端部に設けられた第3施療子303と、空気袋300の膨張収縮により支持体302を被施療者に向かって進退可能な進退機構304とが、部材290に設けられている。連結部材305は、一方が部材290に設けられ、他方が枢軸306を介して支持体302に枢支されている。進退機構304は、空気袋300の膨張収縮により枢軸306を支点として支持体302を回動させて、支持体302を被施療者に向かって進退させることができる。このようにすることで、支持体302の先端部に設けられた第3施療子303によって、空気袋300による施療とは異なる施療を肩に対して行うことができる。また、制御部310で給排気部301を制御して空気袋300への空気量を調整することで、施療の強さも変えることができる。上記例では第2施療子265側に支持体302、第3施療子303、進退機構304を設けた例を挙げたが、これに限定されず、第1施療子261側に設けてもよい。
【0124】
図20に第2実施形態に係るマッサージ機400の全体構成を示す斜視図を示す。被施療者の頭部を支持する後述する枕部401と背もたれ部12内に設けられた後述する施療部403が第1実施形態のマッサージ機1の構成とは異なる。
【0125】
図19、
図20に示すように、第2実施形態に係るマッサージ機400は、上述した第1実施形態に加え、背もたれ部12の被施療者の背が当接する背当て面13に被施療者の頭部を支持する枕部401と背もたれ部12内に被施療者の背に対してもみモータを駆動させてもみ動作及び/又はたたきモータを駆動させてたたき動作を行う施療部403とを有している。枕部401には、被施療者の頭部位置を前後方向において調整可能な位置調整手段402が設けられている。位置調整手段402は、空気袋300と空気袋300を膨張収縮可能にする給排気部301とで構成されており、空気袋300を膨張させることで被施療者の頭部を前方に移動させ、空気袋300を収縮させることで被施療者の頭部を後方に移動させることができる。上述では位置調整手段402を空気袋300と給排気部301との構成で説明したが、これに限定されない。例えば、モータ駆動式のジャッキによって、被施療者の頭部位置を調整可能な機械式の位置調整手段402でもよい。
【0126】
施療部403で被施療者の背を施療する際、通常では肩施療機構200が被施療者の頭部横に位置しているため、被施療者は頭部横に圧迫感を感じながら施療を受けることになる。上述した構成とすることで、被施療者が圧迫感を感じない位置に頭部を移動させて調整し、圧迫感を感じずに施療を受けることができる。また、肩施療機構200で被施療者の肩を施療しない場合は、制御部310で給排気部301を制御して、位置調整手段402の空気袋300を膨張させた状態にし、常に被施療者が圧迫感を感じないようにしていてもよい。
【0127】
肩施療機構200で被施療者の肩を施療する際、位置調整手段402で被施療者の頭部位置を調整して肩に対して最適な位置で施療を受けることができる。例えば、制御部310で給排気部301を制御して、位置調整手段402の空気袋300を収縮させて、被施療者の背を背もたれ部12に密着させた状態にさせる。被施療者の背を背もたれ部12に密着させた状態で、肩施療機構200で被施療者の肩を施療することができる。位置調整手段402による例は、上述した例に限定されない。例えば、施療部403と位置調整手段402とを連動させて、施療部403で施療を行う際に、被施療者の頭部位置を調整して被施療者の施療姿勢を変更させることで、施療部位や施療の強さを変更させることもできる。
また、肩施療機構200と位置調整手段402とを連動させて、肩施療機構200で施療を行っている時に、位置調整手段402で被施療者の頭部を前方に移動させることで、肩に対する施療や肩を前方から保持させながら、首を伸ばすストレッチも同時に行うことができる。
【0128】
(3)肩位置検出
第2実施形態に係るマッサージ機400は、肩施療機構200を被施療者の身長方向に移動可能な移動手段と、肩施療機構200の身長方向における特定位置を検出する第1検出手段320と、第1基部211に対する第2基部216の揺動位置を検出する第2検出手段321と、移動手段を制御する制御部310とを有している。移動手段は、昇降モータ131を有し、昇降モータ131の駆動を制御することで、第1実施形態に係るマッサージ機1と同様に肩施療機構200を被施療者の身長方向に移動可能としている。
【0129】
肩施療機構200の身長方向における特定位置を検出する第1検出手段320は、前述した昇降モータ駆動部130の大径プーリー134(
図2参照)の回転数を検出することで可能となる。具体的に述べると、大径プーリー134に磁石(図示せず)を配置し、磁石と対向する位置にホール素子(図示せず)を固定配置する。大型プーリー134が1回転すると、磁石はホール素子に接近し、1回転としてカウントする。回転数から肩施療機構200の移動距離を算出することができ、身長方向における位置を特定することができる。また、第1検出手段320は上述したものに限定されない。例えば、肩施療機構200の第1施療子261や第2施療子265にマイクロスイッチを設け、マイクロスイッチがONとなる位置を被施療者の肩位置として特定してもよい。また、肩施療機構200の第1施療子261や第2施療子265に圧力センサや前述した空気袋300を空気圧を測定できる空気圧センサを設け、所定の圧力値以上に達した位置を被施療者の肩位置として特定してもよい。その他として、移動手段である昇降モータ131の電流値をリアルタイムで検出し、昇降中において負荷がかかった際の電流値が所定値以上となった位置を被施療者の肩位置として特定してもよい。なお、第1検出手段320として昇降モータ131にかかる負荷を検出することを述べたが、肩施療機構200における施療中や肩施療機構200を身長方向に移動させている際に、上述した電流値が所定値以上となった場合、昇降モータ131を停止させてもよい。このようにすることで、被施療者の肩に対して安全且つ、過度な移動を防止することができる。また、昇降モータ131の過負荷対策にも使うことできる。
【0130】
肩施療機構200の基部210は、第1基部211の底部212と第2基部216の底部217の間には付勢部材239である空気袋307と、前述した第1基部211に対する第2基部216の揺動位置を検出する第2検出手段321と、有している。空気袋307が膨張することで、第1基部211に対して第2基部216が揺動することができ、揺動位置を第2検出手段321で検出することができる。第2基部216が揺動することで、第2基部216に設けられている第1施療子261や第2施療子265を被施療者の肩に沿わせたり、保持させたり、押圧の施療を行うことができる。また、第2検出手段321で揺動位置を検出することで、その人に合った施療位置に第1施療子261や第2施療子265を移動させることができる。
【0131】
図20に示すとおり、マッサージ機400の背もたれ部12は、被施療者の背に対して被施療者の身長方向に移動可能な前述した施療部403と、施療部403の移動により、被施療者の特定位置を検出する第3検出手段322と、を有している。また、施療部403は、身長方向に沿って複数(本実施形態では1つ)設けられていてもよい。この施療部403は、左右で対をなすアーム404と、アーム404の上下両端部に設けられた施療子405と、により構成されており、もみモータやたたきモータの駆動により左右の施療子405が接近離反するもみ動作、及び左右の施療子405が交互に被施療者へ進退するたたき動作を行うことができる。この施療部403は、昇降モータ(図示せず)の駆動により身長方向に沿って上方又は下方へ移動して、身体に対する位置を変更したり、ローリングマッサージを行わせたりすることができる。アーム404は、前後方向に揺動自在であり、上側の施療子405が前方へ突出するようにバネ等よりなる付勢手段(図示せず)により付勢されている。第3検出手段322は、施療部403のアーム404に設けられたセンサ(図示せず)であり、アーム404が所定の揺動位置となったことを検出し、その検出した際の被施療者の身長方向における位置を特定位置として検出する。具体的に説明すると、制御部310の制御によって施療部403を被施療者の身長方向に沿って上昇させる過程で、上側の施療子405が被施療者の肩の上方に到達すると、施療子405に作用する負荷が解除されて、アーム404が前方へ揺動して所定の揺動位置となる。アーム404が所定の揺動位置となったことを、第3検出手段332を構成するセンサ(図示せず)が検出し、その際の施療部403の上下位置に基づいて肩位置を検出する。肩施療機構200の最適な施療位置を特定する際に、上述で検出した肩位置を基準位置とし、この基準位置に基づいて肩施療機構200の移動位置として特定する。このようにすることで、背もたれ部12の肩位置情報を肩施療機構200の施療位置に反映させることができ、肩施療機構200の施療位置の検出時間を短縮させることができる。上述では第3検出手段322は施療部403に設けられたアーム404の揺動を検出するセンサ(図示せず)の例で説明したが、これに限定することはなく、例えば、施療子405に圧力センサを設け、施療子405の負荷が解除される際の圧力値の変化を見て、肩位置として判定してもよい。
【0132】
次に、第2実施形態に係るマッサージ機400の肩位置検出について
図21を用いて説明する。
図21に示すように、制御部310は、施療部403を駆動させ、第3検出手段322を用いて被施療者の肩位置検出を行う(ステップS1)。その際に施療部403で検出した肩位置を基準位置に基づいて、肩施療機構200の移動位置を特定する。前述した肩位置検出の施療部403の上昇する過程において、身長が高い人は第3検出手段322で検出することができない場合がある。その際は上昇できる限界箇所として設けられた上限リミットに達することがある。上限リミットに達するかの判定を行う(ステップS2)。上限リミットに達した際は、肩施療機構200の移動位置を特定せずに、肩施療機構200の身長方向における上限位置から後述する第2基部216を揺動させるステップS9に移行する(ステップS3)。ステップS2に続いて、肩施療機構200を移動位置に向けて下降させる(ステップS4)。ステップS4の際に、昇降モータ131の負荷の判定を行う(ステップS5)。昇降モータ131への負荷がなく、電流値が所定値以下の場合は、肩施療機構200が移動位置に達したかを判定するステップS7に移行する。しかし、昇降モータ131に負荷がかかり、電流値が所定値以上となる場合は、昇降モータ131を停止させるステップS6に移行する。ステップS6に移行した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させる。その際の肩施療機構200の停止位置を肩施療機構200の施療位置として確定させる。ステップS7では、肩施療機構200が移動位置に達したかを第1検出手段320で判定する。判定後、肩施療機構200が移動位置に達していない場合、ステップS4に移行し下降動作を続ける。肩施療機構200が移動位置に達した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させる(ステップS8)。
【0133】
ステップS8に続いて、第1基部211の底部212と第2基部216の底部217の間には付勢部材239である空気袋307を膨張させて、被施療者の肩に第1施療子261を当接させるために第2基部216を揺動させる(ステップS9)。ステップS9の際に、第1施療子261が被施療者の肩に当接か非当接かを含めた第2基部216の揺動位置を第2検出手段321で検出し、第2基部216の揺動位置が所定範囲内か所定範囲外かを判定する(ステップS10)。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲内であれば、空気袋307を保持させて揺動を停止させる(ステップS11)。その際の肩施療機構200の停止位置及び第2基部216の揺動停止位置を肩施療機構200の施療位置として確定させる。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲外、つまり、第1施療子261が被施療者の肩に非当接とみなし、空気袋307を収縮させて、第2基部216の揺動を初期位置に戻す(ステップS12)。この戻す方向にバネ等の付勢手段を用いることで、空気袋307を収縮させるだけで第2基部216を初期位置に戻すことができる。
【0134】
ステップS12に続いて、肩施療機構200を所定量だけ下降させる(ステップS13)。この所定量は、肩施療機構200は、まだ肩に当接する位置まで達していないが近くに位置しているため、当接するまでの少しの移動量である。例えば、昇降モータ131の数回転、数秒位の移動量である。ステップS13の際に、昇降モータ131の負荷の判定を行う(ステップS14)。昇降モータ131への負荷がなく、電流値が所定値以下の場合は、肩施療機構200が所定量に達したかを判定するステップS16に移行する。しかし、昇降モータ131に負荷がかかり、電流値が所定値以上の場合は、昇降モータ131を停止させるステップS15に移行する。ステップS15に移行した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させる。その際の肩施療機構200の停止位置を肩施療機構200の施療位置として確定させる。ステップS16では、肩施療機構200が所定量に達したかを第1検出手段320で判定する。判定後、肩施療機構200が所定量に達していない場合、ステップS13に戻り下降動作を続ける。肩施療機構200が所定量に達した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させて、ステップS9に移行して肩施療機機構200の施療位置が確定するまで繰り返す(ステップS17)。このようにして、肩施療機構200の最適な施療位置を検出することができる。
【0135】
(4)リクライニングによる肩施療機構の施療位置の補正
図19、
図20に示すように、第2実施形態に係るマッサージ機400は、座11に対して背もたれ部12をリクライニングさせるリクライニング手段323を有している。背もたれ部12は、座部11の下方に設けられたリクライニング手段323であるアクチュエータ324により、座部11に対して前後にリクライニング可能に構成されており、起立動作とリクライニング動作を行うことで起立姿勢から背凭れ面が略水平となるリクライニング姿勢まで変更可能となっている。制御部310とアクチュエータ324は電気的に接続されている。
【0136】
第2実施形態に係るマッサージ機400のリクライニングによる肩施療機構200の施療位置の補正について
図22、
図23を用いて説明する。
図22は、リクライニング動作を行った際の肩施療機構200の施療位置の補正動作フローであり、
図23は、起立動作を行った際の肩施療機構200の施療位置の補正動作フローである。
リクライニング動作を行った際の肩施療機構200の施療位置の補正動作について説明する。
図22に示すように、制御部310は、前述した肩施療機構200の施療位置検出を行う(ステップS1)。ステップS1に続いて、アクチュエータ324により、座11に対して背もたれ部12をリクライニング動作させる(ステップS2)。ステップS2の際に、被施療者の背もたれ部12に対する下方への位置ズレが生じてしまい、ステップS1で検出した肩施療機構200の施療位置は、被施療者に適していない位置となってしまう。背もたれ部12に対して位置ズレが生じてしてしまった施療位置を補正する必要がある。
【0137】
肩施療機構200を所定量だけ下降させる(ステップS3)。この所定量は、被施療者の背もたれ部12に対する下方への位置ズレが生じているが、肩施療機構200は被施療者の肩の近くに位置しているため、被施療者の肩に当接するまでの少しの移動量である。例えば、昇降モータ131の数回転、数秒位の移動量である。ステップS3の際に、昇降モータ131の負荷の判定を行う(ステップS4)。昇降モータ131への負荷がなく、電流値が所定値以下の場合は、肩施療機構200が所定量に達したかを判定するステップS6に移行する。しかし、昇降モータ131に負荷がかかり、電流値が所定値以上の場合は、昇降モータ131を停止させるステップS5に移行する。ステップS5に移行した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させる。その際の肩施療機構200の停止位置を肩施療機構200の施療位置として確定させる。ステップS6では、肩施療機構200が所定量に達したかを第1検出手段320で判定する。判定後、肩施療機構200が所定量に達していない場合、ステップS3に戻り下降動作を続ける。肩施療機構200が所定量に達した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させる(ステップS7)。
【0138】
ステップS7に続いて、第1基部211の底部212と第2基部216の底部217の間には付勢部材239である空気袋307を膨張させて、被施療者の肩に第1施療子261を当接させるために第2基部216を揺動させる(ステップS8)。ステップS8の際に、第1施療子261が被施療者の肩に当接か非当接かを含めた第2基部216の揺動位置を第2検出手段321で検出し、第2基部216の揺動位置が所定範囲内か所定範囲外かを判定する(ステップS9)。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲内であれば、空気袋307を保持させて揺動停止させる(ステップS10)。その際の肩施療機構200の停止位置及び第2基部216の揺動停止位置を肩施療機構200の施療位置として確定させる。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲外、つまり、第1施療子261が被施療者の肩に非当接とみなし、空気袋307を収縮させて、第2基部216の揺動を初期位置に戻して、ステップS3に移行して肩施療機機構200の施療位置が確定するまで繰り返す(ステップS11)。この戻す方向にバネ等の付勢手段を用いることで、空気袋307を収縮させるだけで第2基部216を初期位置に戻すことができる。このようにして、リクライニング動作によって被施療者の背もたれ部12に対する位置ズレで生じた肩施療機構200の施療位置の補正を行うことができ、姿勢が変わったとしても適した施療位置で施療を受けることができる。
【0139】
起立動作を行った際の肩施療機構200の施療位置の補正動作について説明する。
図23に示すように、制御部310は、前述した肩施療機構200の施療位置検出を行う(ステップS1)。ステップS1に続いて、アクチュエータ324により、座11に対して背もたれ部12を起立動作と肩施療機構200を上昇させる(ステップS2)。起立動作の際に、被施療者の背もたれ部12に対する上方への位置ズレが生じてしまうので、肩施療機構200を同時に上昇させる。ステップS2に続いて、起立動作を停止させると同時に肩施療機能200の上昇を停止させる(ステップS3)。
【0140】
ステップS3に続いて、第1基部211の底部212と第2基部216の底部217の間には付勢部材239である空気袋307を膨張させて、被施療者の肩に第1施療子261を当接させるために第2基部216を揺動させる(ステップS4)。ステップS4の際に、第1施療子261が被施療者の肩に当接か非当接かを含めた第2基部216の揺動位置を第2検出手段321で検出し、第2基部216の揺動位置が所定範囲内か所定範囲外かを判定する(ステップS5)。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲内であれば、空気袋307を保持させて揺動停止させる(ステップS6)。その際の肩施療機構200の停止位置及び第2基部216の揺動停止位置を肩施療機構200の施療位置として確定させる。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲外、つまり、第1施療子261が被施療者の肩に非当接とみなし、空気袋307を収縮させて、第2基部216の揺動を初期位置に戻す(ステップS7)。この戻す方向にバネ等の付勢手段を用いることで、空気袋307を収縮させるだけで第2基部216を初期位置に戻すことができる。
【0141】
ステップS7に続いて、肩施療機構200を所定量だけ下降をさせる(ステップS8)。この所定量は、肩施療機構200は、まだ肩に当接する位置まで達していないが近くに位置しているため、当接するまでの少しの移動量である。例えば、昇降モータ131の数回転、数秒位の移動量である。ステップS8の際に、昇降モータ131の負荷の判定を行う(ステップS9)。昇降モータ131への負荷がなく、電流値が所定値以下の場合は、肩施療機構200が所定量に達したかを判定するステップS11に移行する。しかし、昇降モータ131に負荷がかかり、電流値が所定値以上の場合は、昇降モータ131を停止させるステップS10に移行する。ステップS10に移行した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させる。その際の肩施療機構200の停止位置を肩施療機構200の施療位置として確定させる。ステップS11では、肩施療機構200が所定量に達したかを第1検出手段320で判定する。判定後、肩施療機構200が所定量に達していない場合、ステップS8に戻り下降動作を続ける。肩施療機構200が所定量に達した場合、昇降モータ131を停止させ、肩施療機構200の下降動作を停止させて、ステップS4に移行して肩施療機機構200の施療位置が確定するまで繰り返す(ステップS12)。このようにして、起立動作によって被施療者の背もたれ部12に対する位置ズレで生じた肩施療機構200の施療位置の補正を行うことができ、姿勢が変わったとしても適した施療位置で施療を受けることができる。
【0142】
第2実施形態に係るマッサージ機400の肩施療機構200の動作ついて
図24を用いて説明する。
図24は、肩施療機構200で施療中において、肩施療機構200が被施療者から離れた際の動作フローである。
図24に示すとおり、制御部310は、肩施療機構200の施療モータ231や昇降モータ131の駆動部や給排気部301を駆動させて、被施療者の肩に対して施療を行う(ステップS1)。ステップS1の際に、第1施療子261が被施療者の肩に当接か非当接かを含めた第2基部216の揺動位置を第2検出手段321で検出し、第2基部216の揺動位置が所定範囲内か所定範囲外かを判定する(ステップS2)。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲内であれば、そのまま肩施療機構200で施療を続行させる(ステップS3)。判定後、第2基部216の揺動位置が所定範囲外、つまり、第1施療子261が被施療者の肩に非当接とみなした場合、肩施療機構200の駆動を停止させる(ステップS4)。第1施療子261が被施療者の肩に対して当接から非当接変わることについては、例えば、施療中に被施療者自身が手動操作して、肩施療機構200を上昇させたり、被施療者に電話が掛かってきて、施療中にマッサージ機400から離れた場合、第2基部216の揺動位置は被施療者の肩に第1施療子が当接していることで所定範囲内に位置していたが、第1施療子が被施療者の肩に非当接となることで所定範囲外に変わる。このようにすることで、肩施療機構200の施療中において被施療者が肩施療機構200から離れた際に、被施療者が離れたことを検出し、肩施療機構200の駆動を停止させることで、被施療者は安全にその場から離れることができる。また、肩施療機構200の施療中において頭部付近に移動した際に頭部を施療しないようにすることができる。
【0143】
3.第3実施形態
(1)施療子
図25は第3実施形態に係る肩施療機構200の正面図である。
図26は第3実施形態に係る肩施療機構200の斜視図である。
図27は第3実施形態に係る肩施療機構200を被施療者Hに当接させた状態を示す側面図である。尚、第3実施形態の基本構成は第1実施形態と同じであり、肩施療機構200の第2施療子265、側壁部289、第4施療子291の構成が異なる。
【0144】
図25~
図27に示すように、第2施療子265は板状の部材で構成されている。第2施療子265の後面(被施療者Hに当接する面)に空気袋(図示せず)を設けてもよい。空気袋を設けることで、空気式の施療を行うことができる。
【0145】
第2施療子265の前面(被施療者Hに当接する面とは反対側の面)には、側壁部289が取り付けられている。側壁部289は略L字型の板状部材で構成されている。板状部材の短辺側の後面と第2施療子の前面とが固定されている。長辺側の左右方向内側面には、第4施療子291が取り付けられている。つまり、側壁部289は、第2施療子265の幅方向外側から後方に向かって突出するように第2施療子265に対して取り付けられている。
【0146】
側壁部289の内側には、第4施療子291が取り付けられている。第4施療子291は、少なくとも被施療者Hの肩外側面又は上腕外側面に対向するように位置している。第4施療子291は空気袋292を有している。空気袋292は、側壁部289の前後方向前側(第2施療子265に接近する側)を支点として連結ピン293を介して取り付けられている。空気袋292は、前述した給排気部301によって、少なくとも被施療者Hの肩外側面又は上腕外側面に対して空気袋292を側方から当接させた状態で保持させることや空気袋292の膨張収縮を繰り返して押圧施療を行うことや空気袋292の空気量を調整することで施療の強さ調整を行うことができる。このようにすることで、個人に合わせた施療の強さ調整や個人の体形に合わせて保持することができる。また、第2施療子265の動作と第4施療子291の動作とを組み合わせてもよい。例えば、第2施療子265によって、被施療者Hの肩又は上腕を前方及び/又は上方から施療しつつ、さらに、肩外側面又は上腕外側面を側方から施療することができる。つまり、被施療者Hの肩又は上腕に対して第1施療子261と第2施療子265と第4施療子291とにより、3方向からの施療をすることができる。
【0147】
なお、第3実施形態においては、第2施療子265を1つ採用した構成を説明しているが、第2施療子265を複数採用してもよい。第2施療子265を複数採用する場合には、複数の第2施療子265がそれぞれ独立して駆動することができるようにしてもよいし、それぞれリンク機構等により連動して動作するようにしてもよい。そうすることで、肩施療機構200の動作にバリエーションを持たせることができる。
【0148】
上記実施形態では、マッサージ機1、400が、施療機構の一例として、肩を施療する肩施療機構200を有する場合を例示した。しかしながら、マッサージ機1、400は、肩施療機構200に代えて、もしくは、肩施療機構200と共に、被施療者の身体の各部、たとえば、首、腕(上腕、前腕)、背中ないし腰、尻、脚(大腿部、ふくらはぎ)ないし足(以下では、身体各部と称する場合がある)を施療する施療機構300として適用することもできる。
【0149】
この場合、施療機構300は、被施療者の身体各部に対して、適した配置にすることができる。具体的には、
図28から
図34に示すように、被施療者の首、腕(上腕、前腕)、背中ないし腰、尻、脚(大腿部、ふくらはぎ)ないし足に対して、人(施療者)が被施療者に対して施療しているような施療を行うことができる。
【0150】
図28から
図34は、人の身体の各部を施療する場合を模式的に示している。
図31(a)、
図33、
図34中、点線で描いた円弧で指し示す部位P1は第1施療子261を示しており、実線で描いた円弧で指し示す部位P2は第2施療子265を示している。
【0151】
図33、
図34における尻の臀部H1、首部分H2、背部(腰部を含む)H3、大腿部H4、ふくらはぎ部H5、足先部(足裏部含む)H6、腕の上腕部H7、腕の前腕部H8、手先部H9を例示して、マッサージ機1にこれらの部分を施療する施療機構300を設ける態様について例示的な説明を加える。
【0152】
以下は、被施療者の身体各部を説明する場合に、被施療者の腹側を「前」、背側を「後」、右手側を「右」、左手側を「左」、頭側を「上」、足側を「下」と定義する。また、被施療者の肩幅方向に平行な方向を「左右方向」、前から後に向かう方向に平行な方向を「前後方向」、幅方向と前後方向の両方に垂直な方向を「上下方向」と定義する。また、以下では特段の注釈なく「左右方向」における「左」ないし「右」、「前後方向」における「前」ないし「後」、「上下方向」における「上」ないし「下」などの方向を説明する場合、それぞれ単に、「左」ないし「右」、「前」ないし「後」、「上」ないし「下」などと記載する場合がある。例えば、左右方向における右側や右方は、単に「右側」や「右方」と記載する場合がある。また、
図30、
図31に示す中心線(破線)側に接近した方向を「内側」、中心線(破線)から離反した方向を「外側」と定義する。
【0153】
人の身体は、左側と右側とで対称形状を有しているので、尻の臀部H1~手先部H9については、被施療者の身体の左右どちらか一方側についてのみ説明を加え、身体の他方側については説明を省略する。
【0154】
図28、
図33に示すとおり、右側の臀部H1を施療する場合には、右側の臀部H1の外側(右側)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1に臀部H1を施療する施療機構300を設ける場合は、
図28に示すとおり、座部11の左右両側に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257が臀部H1の内側に当接し、第2施療子265が臀部H1の外側に当接するように配置する。なお、
図34に示すとおり、臀部H1については、第2施療子265が内側(背面側)に当接するように配置されてもよい。
【0155】
図29、
図33に示すとおり、右側の首部分H2を施療する場合には、首部分H2の外側(右側側面)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1に首部分H2を施療する施療機構300を設ける場合は、たとえば、背もたれ部12の上方部分ないし上端部に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257が首部分H2の内側に当接し、第2施療子265が首部分H2の外側に当接するように配置する。なお、
図34に示すとおり、首部分H2については、第2施療子265が右側側面に当接するように配置されてもよい。
【0156】
また、右側の背部及び/又は腰部H3を施療する場合には、背部及び/又は腰部H3の外側(右側側面)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1に背部H3を施療する施療機構300を設ける場合は、たとえば、背もたれ部12に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257が背部H3の内側に当接し、第2施療子265が背部H3の外側に当接するように配置する。なお、
図34に示すとおり、背部H3については、第2施療子265が右側側面に当接するように配置されてもよい。
【0157】
図28、
図33に示すとおり、右側の大腿部H4を施療する場合には、大腿部H4の外側(右側側面)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1に大腿部H4を施療する施療機構300を設ける場合は、たとえば、座部11(
図28参照)や、フットレスト部15の上端部に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257が大腿部H4の内側に当接し、第2施療子265が大腿部H4の外側に当接するように配置する。なお、
図34に示すとおり、大腿部H4については、第2施療子265が右側側面に当接するように配置されてもよい。
【0158】
図30に示すとおり、フットレスト部15は、脚ユニット15aと足ユニット15bから構成される。
図33に示すとおり、右側のふくらはぎ部H5施療する場合には、ふくらはぎ部H5の外側(右側側面)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1にふくらはぎ部H7を施療する施療機構300を設ける場合は、たとえば、脚ユニット15aと足ユニット15bのそれぞれの凹部に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257がふくらはぎ部H5の内側に当接し、第2施療子265が大腿部H4の外側に当接するように配置する。なお、
図31に示すとおり、ふくらはぎ部H5については、第2施療子265が左側側面に当接するように配置されてもよい。
【0159】
図30、
図31、
図33に示すように、施療者の足の足裏ないし足側面H6を施療する場合には、フットレスト部15を脚ユニット15aと足ユニット15bからなるように構成し、脚ユニット15aの下端ないし下方に足ユニット15bを設け、当該足ユニット15bに施療機構300を設けることで対応することができる。
【0160】
図31(a)(b)は、人の身体の左足H6を施療する場合を模式的に示している。
図31中、点線で描いた円弧で指し示す部位P1は第1施療子261を示している。
図31(a)は、左足H6の足裏に第1施療子261が配置され、左足H6の足裏の外側(左側側面)に第2施療子265が配置される場合を図示している。これにより、被施療者の足外側に四指を配置し、足裏に親指を配置した状態で人(施療者)が施療しているような施療を行うことができる。なお、
図34に示すとおり、左足H6の足裏の内側(右側側面)に第2施療子265を配置する態様も採りうる。
【0161】
また、
図31(b)は、左足H6の足裏の外側(左側側面)に第2施療子265が配置され、左足H6の足裏に第1施療子261が配置される場合を図示している。これにより、被施療者の足外側に四指を配置し、足裏に親指を配置した状態で人(施療者)が施療しているような施療を行うことができる。なお、
図34に示すとおり、左足H6の足裏の内側(右側側面)に第2施療子265を配置する態様も採りうる。
【0162】
図32、
図33に示すとおり、右側の上腕部H7を施療する場合には、上腕部H7の外側(右側側面)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1に上腕部H7を施療する施療機構300を設ける場合は、たとえば、座部11の側部に肘掛部29を設け(
図32参照)、当該肘掛部29の内部に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257が上腕部H7の内側に当接し、第2施療子265が上腕部H7の外側に当接するように配置する。なお、
図34に示すとおり、上腕部H7については、第2施療子265が右側側面に当接するように配置されてもよい。
【0163】
右側の前腕部H8を施療する場合には、前腕部H8の外側(右側側面)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1に前腕部H8を施療する施療機構300を設ける場合は、たとえば、座部11の側部に肘掛部29を設け(
図32参照)、当該肘掛部29の内部に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257が前腕部H8の内側に当接し、第2施療子265が前腕部H8の外側に当接するように配置する。なお、
図34に示すとおり、前腕部H8については、第2施療子265が左側側面に当接するように配置されてもよい。
【0164】
右側の手先部H9を施療する場合には、手先部H9の外側(右側側面)に第2施療子265が配置され、内側(背面側)に第1施療子261が配置される。マッサージ機1に手先部H9を施療する施療機構300を設ける場合は、たとえば、座部11の側部に肘掛部29を設け(
図32参照)、当該肘掛部29の内部に当該施療機構300を設け、当該施療機構300において、第1施療子261やカバー257が手先部H9の内側に当接し、第2施療子265が手先部H9の外側に当接するように配置する。なお、
図34に示すとおり、手先部H9については、第2施療子265が左側側面に当接するように配置されてもよい。
【0165】
上記実施形態では、施療機構300をいわゆるマッサージ椅子であるマッサージ機1に設け、被施療者の被施療部を施療する場合を例示した。しかしながら、施療機構300は、マッサージ椅子であるマッサージ機1に設けられる場合に限られない。
【0166】
例えば施療機構300を、一端を地面などに固定され、当該固定された端部の他端側に、指示駆動部により駆動される一つないし二つ以上の関節部を設けた、いわゆるロボットアームに設け、被施療者の肩、背(背部)、首、腕、脚、足を包含する、被施療者の身体の任意の部位、ないし、体全体の施療に用いることもできる。たとえば、被施療者がベッドに横たわる状態で、ベッドに一端を固定されたロボットアームの他端に施療機構300を設けて、当該施療機構300で、被施療者の身体を施療することもできる。
【0167】
この場合、ロボットアームには、施療者の指示に従って動作させるべく制御部をもうけ、当該制御部に、当該施療者の指示に基づいてロボットアームを制御させ、被施療者を施療することができる。例えば、被施療者が、当該被施療者の身体のどの部位を、どのように、どの順番で施療するかといった当該被施療者の希望を制御部に指示することで当該制御部にロボットアームを駆動させ、当該希望に対応する部位などを、施療機構300で施療することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、マッサージ機に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0169】
11 座部
12 背もたれ部
14 側面
200 肩施療機構
210 基部
211 第1基部
216 第2基部
228 圧縮コイルばね(付勢部材)
230 施療モータ駆動部(駆動部)
235 施療出力軸(出力軸)
239 付勢部材
240 斜板カム
242 玉軸受(環状軸受)
250 施療子保持部
261 第1施療子(施療子)
265 第2施療子(施療子)
307 空気袋(付勢部材)