(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサ用導水管アダプタ
(51)【国際特許分類】
B05B 11/00 20060101AFI20221020BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B65D83/00 K
(21)【出願番号】P 2018170791
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390028196
【氏名又は名称】キャニヨン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】赤築 充昭
【審査官】青木 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-158673(JP,A)
【文献】実開平2-59163(JP,U)
【文献】特開2008-189317(JP,A)
【文献】特表平8-505562(JP,A)
【文献】特開2014-69818(JP,A)
【文献】特開2001-114323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 83/00
B65D 83/08-83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導水管を介して容器内の液を吸い上げ、ノズルから噴射させるポンプディスペンサに対して取り付けられるアダプタであって、導水管に取り付け可能で上方が開口した筒状部と該筒状部の底を形成する底壁部とよりなり、該底壁部には出口孔を備え、前記導水管の内径より前記出口孔の径が小さく形成されていることを特徴とするアダプタ。
【請求項2】
前記筒状部の内径は、入口側に向かって徐々に拡径していることを特徴とする請求項1記載のアダプタ。
【請求項3】
前記底壁部が肉厚となっており、下面が斜めに形成されていることを特徴とする請求項1記載のアダプタ。
【請求項4】
前記出口孔の径ERと前記導水管の内径TRの比が0.3≦ER/TR≦0.7であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項5】
前記導水管の下端部に前記筒状部が圧入により取り付けられていることを特徴とする請求項1~4いずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項6】
前記筒状部が前記導水管より剛性が高いことを特徴とする請求項1~5いずれか1項に記載のアダプタ。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載のアダプタを取り付けたことを特徴とするポンプディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプディスペンサ用導水管アダプタに関し、更に詳しくは、液の逆流落下を防ぎ、また空気の混入を防ぐことができるポンプディスペンサ用導水管アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
種々の液の散布を行うために、ポンプディスペンサが用いられている。
これは、トリガーの操作によりピストンで容器内の液に圧を加え、導水管を通じてシリンダ内に引き込み、ノズルを介して外部に散布するものである(例えば、特許文献1、2参照)。
容器内の液が少なくなり、ピストンへ液を引き込むことができなくなった際には、一旦、容器からディスペンサを取り外し、容器に液を補充する、或いは液が充填された容器を交換することにより、再度利用することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-13008号公報
【文献】特開2017-937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ポンプディスペンサにおいては、導水菅の下端が液中にあることで液を吸い上げるものである。
この場合、導水管の下端が液中にあっても、液面がその下端に近い状態であると、負圧により導水管周辺の水位が下がって導水管の下端が露出し空気と相通じる現象が生じる。
そのため、導水管内に空気が混入してしまって、結果的に、ノズルからの均一な液の散布が妨げられる(空気混入問題)。
【0005】
通常、導水管の下端が容器の底面に極力近く配置されているため、このような現象は、液が少なくなって、水位が底面近くになった状態で発生し易い。
一方、容器内の液が少なくなったり、或いは無くなったりした場合には、容器からポンプディスペンサを一旦、取り外し、液を容器に補充する或いは容器を交換する操作が行われる。
【0006】
このような場合に、取り外したポンプディスペンサの導水管に残存している液が、導水管の下端から逆流落下し、周囲を汚染することがある(逆流落下問題)。
そしてその後使用する場合に、更なる問題が生じる。
すなわち、導水管内の液が逆流落下により流出すると、その分、導水管内に空気が入り込み、このポンプディスペンサを容器に取り付けて再度使用する際には、数回空打ちして導水管内の空気を抜かなければ液を散布することができない。
【0007】
本発明は、上述の問題点を解決するために開発されたものである。
すなわち、本発明は容器内の液が少なくなった場合にも導水管に空気が混入せず、またポンプディスペンサを容器から取り外した場合にも、導水管からの逆流落下を防ぐことが可能なポンプディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、導水管の下端に導水管の内径よりも小さい径の出口孔を有するアダプタを取り付けることにより、液が少なくなった場合にも導水管からの空気の混入がなくなり、また容器からポンプディスペンサを取り外した場合にも、導水管の下端の液面に液を保持できるだけの表面張力を働かせて導水管内に液を留め、その液の落下を防げることを見出した、この知見によって、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、(1)、導水管3を介して容器内の液を吸い上げ、ノズル5から噴射させるポンプディスペンサBに対して取り付けられるアダプタAであって、導水管3に取り付け可能で上方が開口した筒状部1と該筒状部1の底を形成する底壁部11とよりなり、該底壁部1には出口孔を備え、導水管の内径TRより出口孔の径EFが小さく形成されていることを特徴とするアダプタAに存する。
【0010】
本発明は、(2)、筒状部1の内径は、入口側に向かって徐々に拡径している上記(1)記載のアダプタAに存する。
【0011】
本発明は、(3)、底壁部11が肉厚となっており、下面が斜めに形成されている上記(1)記載のアダプタAに存する。
【0012】
本発明は、(4)、出口孔の径ERと導水管の内径TRの比が0.3≦ER/TR≦0.7である上記(1)~(3)のいずれか1つに記載のアダプタBに存する。
【0013】
本発明は、(5)、導水管3の下端に筒状部1が圧入により取り付けられている上記(1)~(4)のいずれか1つに記載のアダプタAに存する。
【0014】
本発明は、(6)、筒状部1が導水管3より剛性が高いことを特徴とする(1)~(5)のいずれか1つに記載のアダプタAに存する。
【0015】
本発明は、(7)、上記(1)~(6)のいずれか1つに記載のアダプタAを取り付けたポンプディスペンサBに存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、導水管を介して容器内の液を吸い上げ、ノズルから噴射させるポンプディスペンサに対して取り付けられるアダプタであって、導水管に取り付け可能な筒状部と底壁部とよりなり、底壁部には出口孔を備え、導水管の内径より出口孔の径が小さく形成されているので、液が少なくなった場合にも、導水管内への空気の混入を効果的に防止することができ、これにより、ノズルからの均一な液の散布が可能となる。
また容器からディスペンサを取り外した場合には、アダプタを備えない導水管の液の表面張力より、アダプタの出口孔の液の表面張力が液を保持するのに十分な程度に発揮される。
その結果、導水管内の液が逆流落下するようなことがなく、周囲を汚さない。
【0017】
本発明は、筒状部の内径は、開口側に向かって徐々に拡径していることにより導水管を筒状部に位置決めし易く、アダプタを取り付けるのが容易となる。
【0018】
本発明は、底壁部が肉厚となっており、下面が斜めに形成されていることにより、下方が曲げられたポンプディスペンサの導水管の場合、容器内の液の水位が極力、低くなるまで、導水管内に液を吸い上げることが可能となり、効率的に液を使い切ることができる。
【0019】
本発明は、出口孔の径ERと導水管の内径TRの比が0.3≦ER/TR≦0.7であることにより、導水管内への空気の混入を十分防止でき、且つ有効となる表面張力を十分担保することができる。
【0020】
本発明は、導水管の下端に筒状部が圧入により取り付けられていることにより導水管にアダプタを取り付けて固定するのが容易となる。
【0021】
本発明は、筒状体が、導水管より剛性が高いことにより、導水管にアダプタを取り付け易い。
また、剛性が高いアダプタにより、導水管の下端の形状が崩れず維持される。
【0022】
本発明は、アダプタを取り付けたポンプディスペンサであることにより、上述の各効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、ポンプディスペンサに取り付けられるアダプタを示し、
図1(A)は縦断面図、
図1(B)は斜視図である。
【
図2】
図2は、容器に取り付けたポンプディスペンサを示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のポンプディスペンサの導水管にアダプタを取り付けたポンプディスペンサを示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、容器底面近くまで容器内の水位が下がった状態において導水管内に液が引き込まれる原理を説明する図であり、
図4(A)は導水管にアダプタを取り付けた場合、
図4(B)は導水管にアダプタを取り付けていない場合を示す。
【
図5】
図5は、ポンプディスペンサを容器から取り外した状態を示す縦断面図である。
図5(A)は導水管にアダプタAを取り付けた場合、
図5(B)は導水管にアダプタAを取り付けていない場合を示す。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係るアダプタを示し、
図6(A)は縦断面図、
図6(B)は平面図である。
【
図7】
図7は、途中で屈曲したポンプディスペンサの導水管に第2の実施形態のアダプタを取り付けたポンプディスペンサを示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、
図7の屈曲した導水管にアダプタを取り付けていないポンプディスペンサを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0025】
以下、第1の実施形態について述べる。
本発明は、導水管を介して容器内の液を吸い上げ、ノズルから噴射させるポンプディスペンサに対して取り付けられるアダプタである。
【0026】
図1は、ポンプディスペンサに取り付けられるアダプタAを示し、
図1(A)は縦断面図、
図1(B)は斜視図である。
アダプタAは、ポンプディスペンサBの導水管3の下端に取り付け可能であり、外方から圧入することにより容易に固定できる。
このアダプタAは、筒状部1と底壁部11とよりなる。
詳しくは、円筒状の筒状部1は、上方が開口されており、その筒状部1の底は底壁部11が形成されている。
そして、底壁部11の中央には貫通した出口孔2が備わっており、底壁部11の厚みは側壁と同じように肉薄である。
【0027】
筒状部の上端には、鍔部1Aが形成されているが、これは、導水管3にアダプタAを圧入する場合に、摘まむ場合の指掛となる部分である。
また、筒状部1の内径は、導水管3に外挿し易いように、開口側に向かって拡径している。
アダプタAの底壁部11の出口孔2の径は、導水管3の内径より小さく形成されている。
ここでアダプタAの出口孔2の径ERとポンプディスペンサBの導水管3の内径TRとの関係が、空気の混入の観点や表面張力の観点から、0.3≦ER/TR≦0.7を満たすように設定されることが好ましい。
例えば、導水管3の内径TRが9mmでアダプタの出口孔2の径ERが6mm、導水管3の内径TRが12mmでアダプタの出口孔2の径ERは5mm等が採用される。
【0028】
ここで先述した「空気混入問題」についていうと、このように底壁部11の出口孔2の径ERが導水管3の内径TRより小さく形成されていることで、導水管3の下端が液中にあり、液面が下端に近い状態でも、導水管3に引き込まれる液Wの流速が下がることにより、導水管3周辺の水位の低下を極力抑え、導水管内への空気Xの混入を効果的に防止することができる(空気混入防止)。
勿論、容器内の液が少なくなり水位が容器底面近くまで下がった状態でも同様に空気Xの混入を防止することができる。
このように空気混入問題は解消されることとなる。
【0029】
また、先述した「逆流落下問題」についていうと、底壁部11の出口孔2の径ERが導水管3の内径TRより小さく形成されていることで、容器4からポンプディスペンサBを取り外した際に、アダプタAの出口孔2の液面が導水管3の内径TRよりも小径となり、表面張力が液Wにかかる重力よりも大きくなり、導水管3に液Wを保持することができる。
その結果、導水管内に充填された状態を維持でき、導水管内の液Wが逆流落下することが防止され(逆流落下防止)、周囲も汚さない。
そして液Wが逆流落下しないため、導水管3に空気が入り込むことはなく、再度、容器4に液を補充して使用する際に、わざわざ空打ちをして導水管内の空気を抜く必要がない。
このように逆流落下問題は解消されることとなる。
これらにより、ポンプディスペンサBとしての使い勝手が大きく向上する。
【0030】
図2は、容器4に取り付けたポンプディスペンサBを示す断面図である。
ポンプディスペンサBは、操作するためのトリガー、トリガーに連動するピストン、ピストンを備えたシリンダ、液Wを貯蓄するための容器4、容器4に下端が差し込まれた導水管3、液Wを外部へ散布するノズル5、導水管3とシリンダの間の流路を開閉するFバルブ、シリンダとノズル5の間の流路を開閉するSバルブ等を備える。
【0031】
図3は、
図2のポンプディスペンサBの導水管3にアダプタAを取り付けたポンプディスペンサBを示す縦断面図である。
アダプタAを導水管3の下端に取り付ける場合は、アダプタAの底壁部11を導水管3の下端に当接するまで押し込むことにより、アダプタAは常に一定位置で取り付けられることとなる。
【0032】
先述したように、アダプタAを導水管3に対して取り付けて固定するには、圧入が好ましく用いられ、これにより、組み付けが容易に行える。
ここでアダプタAの素材としては、導水管3より剛性が高い素材を用いることが好ましい。
例えば、導水管3にポリエチレン、またアダプタAにポリプロピレンが使用される。
【0033】
導水管3がアダプタAに外挿により取り付けられているので、導水管3の下端が保護され形状の型崩れが生じない。
特にアダプタAの筒状部1が導水管3より剛性が高い場合はより効果が顕著となる。
因みに、従来、導水管3の露出した下端は、長期間使用すると変形したり潰れて通路が狭くなったりする欠点があった。
【0034】
図4は、容器底面近くまで容器内の水位が下がった状態において導水管内に液Wが引き込まれる原理を説明する図である。
図4(A)は導水管3にアダプタAを取り付けた場合、
図4(B)は導水管3にアダプタAを取り付けていない場合を示す。
【0035】
ポンプディスペンサBのトリガーを引き込む操作を行うと、ピストンが移動してシリンダ内が負圧となり、Fバルブが開く。
この負圧によって、導水管内へと容器4の液Wが引き込まれる。
この場合、導水管3の下端と液面が近いと、
図4(B)に示すように導水管3に吸い込まれるようとする液Wによって、導水管3周辺の水位が下がって導水管の下端が空気中に露出し、導水管内に空気Xが混入してしまう。
【0036】
しかし、アダプタAをポンプディスペンサBの導水管3に取り付けている場合、アダプタAの出口孔2の径ERは導水管3の内径TRよりも小さいため抵抗がより大きくなり、導水管内に吸い込まれる液Wの流速が下がる。
したがって、導水管3周辺の水位の低下が抑えられ、空気Xの混入を防止することができる。
【0037】
図5は、ディスペンサを容器4から取り外した状態を示す縦断面図である。
図5(A)は導水管3にアダプタAを取り付けた場合、
図5(B)は導水管3にアダプタAを取り付けていない場合を示す。
容器4内の液Wが少なくなり、液Wの補充或いは容器4の交換が必要な場合、ポンプディスペンサBを、一旦、容器4から取り外す。
この状態では、導水管内にはポンプディスペンサBの使用時に吸い上げられた液Wが残存している。
【0038】
しかし、
図5(B)のようにアダプタを取り付けてない場合は、導水管3の端部の内径TRが大きいので液Wの重量に比して表面張力が弱く、液Wが逆流落下して導水管3から失われる。
その結果、その失われた部分に空気Xが入り込む。
そのため、前述したように、ポンプディスペンサBを容器に取り付けた場合には、使用する際、導水管内の空気Xを抜くための空打ちが必要となり、使い勝手が悪い。
【0039】
詳しくは、ポンプディスペンサBを容器4から取り外した際には、必然的に導水管3の下端が空気に触れる。
この場合、導水管内の液Wには表面張力が働いているが、この表面張力が液Wにかかる重力より小さいと液Wが逆流落下する等の上述の問題が生じてしまうこととなる。
【0040】
一方、
図5(A)のように、アダプタAをポンプディスペンサBの導水管3に取り付けている場合、アダプタAの出口孔2の径は、導水管3の内径TRより小さいので、アダプタAを導水管3に取り付けていない場合と比べて、表面張力が液Wにかかる重力よりも大きくなり、導水管3の下端の液面に液Wを保持することができる。
【0041】
このため、導水管3の下端が空気中に露出した場合であっても、極力、液Wの逆流落下を防ぐことが可能となる。
これにより、次にポンプディスペンサBを使用する際にも空気Xを抜くための空打ち操作が不要となり、使い勝手が向上するのである。
当然、液Wが落下し、周囲を汚損することがなくなる。
【0042】
次に第2の実施形態について述べる。
図6は、第2の実施形態に係るアダプタAを示し、
図6(A)は縦断面図、
図6(B)は平面図である。
この第2の実施形態に係るアダプタAは、第1の実施形態と同じように、ポンプディスペンサBの導水管3の下端に取り付けられるものである。
そして、このアダプタAは、導水管3の下端に圧入することにより容易に取り付けできる。
【0043】
このアダプタAは、上方が開口した筒状部1と該筒状部の底を形成する底壁部11とよりなり、該底壁部には出口孔2を備えている。
そして導水管3の内径TRより底壁部11の出口孔2の径ERが小さく形成されている。
この第2の実施形態でも、筒状部1の内径は、入口側に向かって徐々に拡径しており、導水管3にアダプタAを取り付け易くなっている。
【0044】
第1の実施形態と異なるのは、第1の実施形態の底壁部11が筒状体1の側壁の厚みとほぼ同じような肉薄であるのに対して、本実施形態の底壁部11は筒状体1の側壁の厚みよりかなり大きく肉厚となっていることである。
更に、本実施形態では底壁部11の下面が斜めに切り落とされた如く傾斜面12に形成されている。
【0045】
この第2の実施形態のアダプタAは、容器内において途中で屈曲した状態の導水管3に取り付けられる場合に大きなメリットがある。
因みに、ポンプディスペンサBを斜め下に向けて使用する時が多い場合では、このように屈曲した導水管3がしばしば使われる。
【0046】
アダプタAが取り付けられることにより、容器底面近くまで容器内の水位が下がった状態においても、導水管内への空気Xの混入を阻止することができる(空気混入防止)。
また、アダプタAを取り付けない場合と比べて、ポンプディスペンサBを容器4から取り外した場合にも出口孔2での液Wの表面張力が液Wを保持するのに十分な程度に発揮されるので、導水管内からの液Wの逆流落下を防ぐことができる(逆流落下防止)。
【0047】
図7は、途中で屈曲した導水管3に第2の実施形態のアダプタAを取り付けたポンプディスペンサBを示す縦断面図である。
導水管3の下端には、第2の実施形態に係るアダプタAが取り付けられている。
導水管3の下端に取り付けられているアダプタAは傾斜面12が真下を向いている。
すなわち、出口孔2が真下を向いた状態となっている。
これにより、容器4内の液W面が容器底面に近く低下したような場合にも、アダプタAの傾斜面12は液面と平行となり、液を最大限に使い切ることができる(液使い切り効果)。
【0048】
参考までに、
図8は、
図7の屈曲した導水管3にアダプタAを取り付けていないポンプディスペンサBを示す縦断面図である。
この場合は、水位が底面に近い位置(すなわち水位H)まで低下した状態では、導水管3の下端の一部が空気中に露出し、その結果、導水管内に液Wではなく空気Xを吸い込んでしまう。
そのため、容器内の水位H以下にある液を使い切ることができないのである。
【0049】
尚、この第2の実施形態でも、筒状部1の内径は、入口側に向かって徐々に拡径しており、導水管3にアダプタAを取り付け易くなっている。
【0050】
本発明のアダプタAは、既存のポンプディスペンサBに単に取り付けるだけで、上述した効果を十分得ることができ汎用的に使用できるものである。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0052】
筒状体1の上端に形成された鍔部1Aの形状は摘まみ易い形であればよく、また必ずしも必要とするものではない。
【0053】
アダプタAは導水管3と一体的に形成することも可能であるが、その場合、材質を区分けして2色成型により製造することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、導水管に取り付けることにより、空気混入や逆流落下を防止することができるもので、家庭用、業務用の各種ポンプディスペンサにおいて広く利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
A・・・アダプタ
B・・・ポンプディスペンサ
1・・・筒状部
1A・・・鍔部
11・・・底壁部
12・・・傾斜面
2・・・出口孔
3・・・導水管
4・・・容器
5・・・ノズル
ER・・・出口孔の径
TR・・・導水管の内径
W・・・液
X・・・空気