(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】カートン搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/32 20060101AFI20221020BHJP
B65G 15/14 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B65B43/32 B
B65G15/14
(21)【出願番号】P 2019195675
(22)【出願日】2019-10-28
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】早川 智敬
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特許第4703672(JP,B2)
【文献】特開2016-055875(JP,A)
【文献】実開昭55-074612(JP,U)
【文献】特表平09-506847(JP,A)
【文献】米国特許第4685275(US,A)
【文献】特表2016-522124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/32
B65G 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれたカートンを起こして開いた状態にしてカートン受け渡し装置に供給するカートン取出装置と、
そのカートン受け渡し装置と、
前記カートン受け渡し装置の下流側に配置されるコンベア装置とを備え、
前記カートン受け渡し装置は、前記カートンを保持する保持部材と、その保持部材を移動させる送り装置とを備え、
前記保持部材は、本体に搬送方向に沿って配置される第一アーム部及び第二アーム部と、前記第一アーム部の先端側に前記第二アーム部側に突出する爪部を備え、前記開いた状態の前記カートンの対角線上の一方の端部を前記第二アーム部の前記本体側に接触させると共に、他方の端部を前記第一アーム部と前記爪部の境界部分に接触させるように構成し
前記コンベア装置は、搬送方向の両側に配置される第一サイドベルト部と、第二サイドベルト部を有し、
前記第一サイドベルト部は、第一サイドベルトの表面に取付けられる第一アタッチメントを備え、
前記第二サイドベルト部は、第二サイドベルトの表面に取付けられる第二アタッチメントを備え、
前記第一アタッチメントと前記第二アタッチメントの間隔は、前記開いた状態の前記カートンの搬送方向の長さに応じた長さにし、
前記送り装置は、前記保持部材を前記コンベア装置に向けて前進移動する当初は前記コンベア装置の搬送速度よりも低速で移動することで、前記カートンの角部が前記第一アタッチメント及びまたは前記第二アタッチメントと干渉しないように挿入し、その後に増速することで前記第一アタッチメント或いは前記第二アタッチメントに、前記カートンの搬送方向の前側に位置する側面が追いついて前記カートンを起こすことで、前記第一アタッチメントと前記第二アタッチメント間で前記カートンを挟んで保持させた状態で、前記保持部材を前記カートンから離反させるように制御するものであることを特徴とするカートン搬送装置。
【請求項2】
前記第一アーム部を搬送方向前側に位置させたことを特徴とする請求項1に記載のカートン搬送装置。
【請求項3】
前記第一アーム部を搬送方向後側に位置させたことを特徴とする請求項1に記載のカートン搬送装置。
【請求項4】
前記第一サイドベルト部は2本備え、
前記第二サイドベルト部は1本備え、その2本の前記第一サイドベルト部の間に配置し、
前記保持部材は2個備え、2本の前記第一サイドベルト部を挟み込むように配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカートン搬送装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記カートンが折り畳まれる方向に働く反発力を利用してそのカートンを保持するようにしたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のカートン搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
箱を自動で組み立て、その中に商品を入れて商品を箱詰めするカートナーは、例えば、カートンホッパー内に積層された胴貼りされた折り畳まれたカートンを取出装置で一枚ずつ取出し、カートンを起こしたカートンを、カートン受け渡し補助装置で一旦受け取り、次段のコンベア装置に順次供給する。コンベア装置は、搬送経路を挟んで配置される係止突起を備えた一対のベルトを備え、カートンの前後をそれぞれの係止突起で挟んで保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、カートン受け渡し補助装置によるカートンの移動速度と、コンベア装置の移動速度を同速度で供給すると、カートンの角に係止アタッチメントが当たり潰してしまう場合がある。
【0005】
折り畳まれたサックカートナーは起こす向きが決まっていて、例えば進行方向後ろ側に起こす場合と、進行方向前側に起こすタイプがある。そして従来の装置では、一方のタイプにしか対応できない場合が多い。またそれを回避するために、カートンを90度以上に起こした状態にすると良いが、例えば起こした際に自動的に底が組み立て形成されるワンタッチ箱は、90度以上起こすことができないので、対応できない。よって、多品種に対応できない。
【0006】
また、従来構成では、小型なカートンには対応しにくい場合がある。
【0007】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るカートン搬送装置は、(1)折り畳まれたカートンを起こして開いた状態にしてカートン受け渡し装置に供給するカートン取出装置と、そのカートン受け渡し装置と、前記カートン受け渡し装置の下流側に配置されるコンベア装置とを備え、前記カートン受け渡し装置は、前記カートンを保持する保持部材(コ字状金具)と、その保持部材を移動させる送り装置とを備え、前記保持部材は、本体に搬送方向に沿って配置される第一アーム部及び第二アーム部と、前記第一アーム部の先端側に前記第二アーム部側に突出する爪部を備え、前記開いた状態の前記カートンの対角線上の一方の端部を前記第二アーム部の前記本体側に接触させると共に、他方の端部を前記第一アーム部と前記爪部の境界部分に接触させるように構成し、前記コンベア装置は、搬送方向の両側に配置される第一サイドベルト部と、第二サイドベルト部を有し、前記第一サイドベルト部は、第一サイドベルトの表面に取付けられる第一アタッチメントを備え、前記第二サイドベルト部は、第二サイドベルトの表面に取付けられる第二アタッチメントを備え、前記第一アタッチメントと前記第二アタッチメントの間隔は、前記開いた状態の前記カートンの搬送方向の長さに応じた長さにし、前記送り装置は、前記保持部材を前記コンベア装置に向けて前進移動する当初は前記コンベア装置の搬送速度よりも低速で移動することで、前記カートンの角部が前記第一アタッチメント及びまたは前記第二アタッチメントと干渉しないように挿入し、その後に増速することで前記第一アタッチメント或いは前記第二アタッチメントに、前記カートンの搬送方向の前側に位置する側面が追いついて前記カートンを起こすことで、前記第一アタッチメントと前記第二アタッチメント間で前記カートンを挟んで保持させた状態で、前記保持部材を前記カートンから離反させるように制御するようにした。
【0009】
このようにすると、カートン受け渡し装置でカートンをコンベア装置に供給する際に、カートンの角部がコンベア装置のアタッチメントに接触して潰させることが可及的に抑制できる。また、保持部材でカートンを保持するため小型なカートンでも保持し、コンベア装置に供給することができる。また、対応可能なカートンも、例えば、両端が開口したサックカートンと、起こすことで底部も形成されるワンタッチカートン等と多品種にわたる。そして、保持部材は実施形態のコ字状金具に対応する。
【0010】
(2)前記第一アーム部を搬送方向前側に位置させるとよい。このようにすると、第一実施形態のカートンが、搬送方向の後方に向けて起こす正起こしタイプのものに対応できる。
【0011】
(3)前記第一アーム部を搬送方向後側に位置させるとよい。このようにすると、第一実施形態のカートンが、搬送方向の前方に向けて起こす逆起こしタイプのものに対応できる。
【0012】
(4)前記第一サイドベルト部は2本備え、前記第二サイドベルト部は1本備え、その2本の前記第一サイドベルト部の間に配置し、前記保持部材は、2個備え、2本の前記第一サイドベルト部を挟み込むように配置するとよい。このようにすると、小さいカートンに適用できるので良い。
【0013】
(5)前記保持部材は、前記カートンが折り畳まれる方向に働く反発力を利用してそのカートンを保持するようにするとよい。このようにすると、簡単な構成で保持部材がカートンを保持できるので良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多品種、他形態、小型のカートンに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るカートン搬送装置の好適な一実施形態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその右側面図、(c)は搬送対象のカートンを示す図である。
【
図4】本発明に係るカートン搬送装置の好適な別の実施形態を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその右側面図、(c)は搬送対象のカートンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0017】
図1から
図3は本発明に係るカートン搬送装置の好適な第一実施形態を示している。カートン搬送装置は、図示省略するカートンホッパー内に積層された胴貼りされた折り畳まれたカートン1を、その先頭から一枚ずつカートン取出装置10と、起こして開いた状態のカートン1を一定間隔で搬送するコンベア装置30と、カートン取出装置10によりセットされたカートン1をコンベア装置30に供給するカートン受け渡し装置20を備える。
【0018】
カートン1は、両端開口したサックカートンであり、例えば
図1(c)等に示すように、幅広の一対の第一側面2,第二側面4とそれら第一側面2,第二側面4間をつなぐ幅狭の一対の第三側面3,第四側面5を備える。各側面の相互に隣接しない両端には、所定のフラップ7(
図1(b)参照)を備え、各フラップ7は開いて両端が開口した姿勢でコンベア装置30に供給される。さらに、折り畳まれた姿勢のカートン1は、第三側面3,第四側面5を起こして起立させることで開いた箱形の状態にする。そして、このカートン1は、第三側面3,第四側面5は、搬送方向の後側に向けて起こす(搬送方向の前側に倒れる)正起こしタイプのものである。
【0019】
カートン取出装置10は、多軸ロボットのロボットアーム11の先端に吸着ノズル12を備える。ロボットアーム11は、先端の吸着ノズル12を所定の奇跡で移動させる。そして、図示省略するカートンホッパーの取り出し口付近に吸着ノズル12を位置させ、その吸着ノズル12の吸着面をカートン1の第二側面4に接触させた状態で吸引する。これにより、カートンホッパー内の先頭に位置するカートン1を吸引して保持する。次いで、ロボットアーム11が動作し、吸着ノズル12をカートン受け渡し装置20のコ字型金具21の待機位置に移動する。
【0020】
そして、ロボットアーム11の駆動により吸着ノズル12は所定の動きをしながらカートン1をコ字型金具21内に挿入してセットし、この挿入時にカートン1を起こして開く。この開いた状態のカートン1は、コ字型金具21に対して、カートン1を90度未満で起こして第三側面3,第四側面5が前方に倒れた斜めの状態でセットされる。
【0021】
カートン受け渡し装置20は、
図1(a)等に示すようにコ字型金具21と、そのコ字型金具21を所定の軌跡で移動する送り装置(図示省略)を備える。また、コ字型金具21は、
図1(b)に示すように、上下に二箇所配置し、カートン1の上下所定位置を保持することで、開いたカートン1を安定して保持する。
【0022】
コ字型金具21は、帯板状の本体22とh、その本体22の一方の長辺から外に向けて突出する第一アーム部23と第二アーム部24を備える。さらに第一アーム部23の先端は、第二アーム部24側に向けて突出する爪部25を設ける。これら本体22,第一アーム部23,第二アーム部24及び爪部25は、一体に形成される。さらに、本実施形態では第一アーム部23は、コンベア装置30におけるカートン1の搬送方向の前側に位置し、第一アーム部23と第二アーム部24の間隔は、搬送対象のカートン1の前後長、すなわち、第一側面2,第二側面4の長さより少し長くする。さらに爪部25の先端と第二側面4の間隔もカートン1の前後長と等しいか長くする。
【0023】
係る構成のコ字型金具21に対して、上述したようにカートン取出装置10はカートン1を挿入セットする。このとき、カートン取出装置10は、例えば折り畳まれたカートン1を、斜めの姿勢で第二アーム部24側の端辺6a(第一側面2と第四側面5の境界)を、先行して第一アーム部23,第二アーム部24間の空間内に挿入させ、その端辺6aを第二アーム部24の基端(本体22から立ち上がった部位)に接触させる。一方、その接触させた状態で例えば第二側面4を第二アーム部24側に寄せながら、カートン1の他方の端辺6b(第一側面2と第四側面5の境界)を、第一アーム部23,第二アーム部24間の空間内に進入するように移動することで、第三側面3,第四側面5を起こしてカートンを開く(第一側面2と第二側面4が離れる)。そして、例えばカートン1の他方の端辺6bを第一アーム部23と爪部25の境界部分付近に位置させるとともに、吸着ノズル12の吸引を解除し、吸着ノズル12を待避させる。すると、カートン1は、もとの折り畳まれた状態に戻ろうとする反発力により、端辺6a,6bが第二アーム部24と、第一アーム部23・爪部25を付勢する。この反発力を利用し、開いた状態のカートン1を、コ字型金具21内に保持する。よって、カートン1を立てた状態で、下面側を支えることなくも保持できる。また、このように反発力を利用してコ字型金具21内にカートン1を保持させるため、第三側面3,第四側面5は、鋭角の状態で起こし、90度までは立ち上げないようにしている。
【0024】
さらにこの上下に配置された一組のコ字型金具21は、送り装置により待機位置(
図1(a),
図2(a))から次段のコンベア装置30に向けて前進移動し、その後搬送方向に対して直交し、搬送ラインから離反する横方向に移動して待避した後、搬送歩行と反対側に後退移動し、その後、待機位置に戻るといった所定の軌跡で移動する。この送り装置は、例えば、2つのサーボモータの出力を適宜動力伝達機構によりコ字型金具21に伝えるとよい。一例としては、第一のサーボモータの出力軸は、搬送方向に沿うように配置したベルトに連携し、第一のサーボモータの正逆回転に伴い、ベルトも搬送方向に沿って前後進移動し、そのベルトの所定位置に所定の連結部材を介して連携したコ字型金具21が前後進移動する。また、正逆回転する第二のサーボモータの出力軸にボールネジを取り付ける。ボールネジの軸は、搬送方向に対して直交する方向に延びるように配置する。これにより、そのボールネジにコ字型金具21を連携することで、第二のサーボモータの正逆回転に対応してコ字型金具を搬送ラインに対して接近離反させることができる。そして、このように搬送方向に沿った前後進移動させるための駆動源と、搬送ラインに対して接近離反させるための駆動源をそれぞれ別に配置するとともに、それぞれをサーボモータを用いることで移動速度を容易に可変制御可能となる。
【0025】
コンベア装置30は、起立状態で開いたカートン1を、左右両側からサイドベルトで挟み込んだ状態で、所定ピッチで搬送するものである。本形態では、右側の第一サイドベルト部31は、搬送方向の前後に位置される第一タイミングプーリ34(図では上流側のみ記載)と、その第一タイミングプーリ34に掛け渡すようにして取り付ける第一サイドベルト32と、第一サイドベルト32の外周面に所定ピッチで取り付けた第一アタッチメント33を備える。第一サイドベルト32は、その内周面に第一タイミングプーリ34の外周面に形成された凹凸に噛み合う歯部が形成されたタイミングベルトをエンドレス状にしたのである。なお、図では、第一タイミングプーリ34の内周面に形成する歯部は、第一タイミングプーリ34と噛み合う部分を除き、図示を省略している。
【0026】
また、第一アタッチメント33は、平断面が略等脚台形としている。この第一アタッチメント33は、供給されたカートン1の搬送方向の前側に位置する第三側面3に接触する。
【0027】
さらに
図1(b)に示すように、第一サイドベルト部31は、上下に所定の間隔を置いて2本配置する。これにより、第一サイドベルト部31は、起立した開口したカートン1の上下2箇所の部位に接触する。
【0028】
また、
図1(b)等から明らかなように、本実施形態では2つのコ字型金具21は、コンベア装置30の第二サイドベルト部41側に配置するとともに、第一アーム部23と第二アーム部24の先端は、2本の第一サイドベルト部31の上下外側に配置する。このようにすることで、3つのサイドベルト部を上下に接近させて配置することができるとともに、コ字型金具21は全体的に板状で薄くすることができるので、小さいサイズのカートンであっても確実に保持し、受け渡し、搬送をすることができる。
【0029】
一方、第二サイドベルト部41は、搬送方向の前後に位置される第二タイミングプーリ44(図では上流側のみ記載)と、その第二タイミングプーリ44に掛け渡すようにして取り付ける第二サイドベルト42と、第二サイドベルト42の外周面に所定ピッチで取り付けた第二アタッチメント43を備える。第二サイドベルト42は、その内周面に第二タイミングプーリ44の外周面に形成された凹凸に噛み合う歯部が形成されたタイミングベルトをエンドレス状にしたのである。なお、図では、第二タイミングプーリ44の内周面に形成する歯部は、第二タイミングプーリ44と噛み合う部分を除き、図示を省略している。
【0030】
また、第二アタッチメント43は、平断面が略等脚台形としている。この第二アタッチメント43は、供給されたカートン1の搬送方向の後側に位置する第四側面5に接触する。そして、第一アタッチメント33と第二アタッチメント43の前後の間隔は、カートン1が90度に起立した状態の前後長、すなわち、第一側面2,第二側面4の長さと等しくしている。このようにすることで、カートン受け渡し装置20により供給されたカートン1を第一アタッチメント33と第二アタッチメント43によって、前後から挟み込み保持し、位置決めした状態で搬送する。
【0031】
さらに
図1(b)に示すように、第二サイドベルト部41は、1本配置し、その配置位置は、上下に配置される第一サイドベルト部31の上下方向の中間とする。これにより、第二サイドベルト部41は、起立した開口したカートン1の上下方向の中央部位に接触する。
【0032】
さらにまた、第一サイドベルト32と第二サイドベルト42の間隔は、カートン1が90度に起立した状態の横幅、すなわち、第三側面3,第四側面5の長さと等しくしている。このようにすることで、カートン受け渡し装置20により供給されたカートン1を、両サイドベルトのベルト面によって左右後から挟み込み保持する。そして、上述したように第一アタッチメント33,第二アタッチメント43による保持と相まって、しっかりと保持した状態で落下することなく搬送する。
【0033】
なお、図示省略するが、コンベア装置30の所定位置には、下側に位置するフラップを折り曲げて底を閉じる機構、カートン内に商品を供給する機構、上側に位置するフラップを折り曲げて蓋をする機構などを備える。
【0034】
さらに本実施形態では、第一サイドベルト部31と第二サイドベルト42は、同一速度で等速運転している。
【0035】
本実施形態では、コ字型金具21内で斜めに起こされた姿勢のカートン1を、コ字型金具21の速度を制御して、カートン1が第一アタッチメント33並びに第二アタッチメント43によって潰されたりすることなく、それらコンベア装置30の第一アタッチメント33と第二アタッチメント43の間にタイミングよく供給するとともに、90度起立させた姿勢で移し替える。例えばコ字型金具21の移動速度は、当初はアタッチメント移動速度よりも少しだけ遅く、アタッチメントとの関係が所定(例えば前後のアタッチメントの間に入るとき)になる際に加速してカートン1がアタッチメントに追いつき、その後は同速度で移動する。よって、コ字型金具21に保持したカートン1をコンベア装置30に移し替える際には、コ字型金具21の速度を調整してカートン1の端辺等が前後のアタッチメントに当たって潰れることなく、干渉しないように挿入し、さらに増速して前方の端辺6bが第一アタッチメント33に追いついてカートン1を起こすことで、前後の第一アタッチメント33並び第二アタッチメント43間でカートン1挟んで保持する。このとき、倒れていたカートン1の端辺6bは爪部25から離脱できるようになるので、コ字型金具21は退避できるようになる。係る処理を行うための具体的な制御は、例えば以下のように行う。
【0036】
図2中、二点鎖線は、第二アタッチメント43の位置を示しており、ラインL1は先行する前回の行程で供給されたカートン1を支持する第二アタッチメント43の位置を示し、ラインL2は今回供給するカートン1の後側を支持する第二アタッチメント43の位置を示す。当該第二アタッチメント43は、第二タイミングプーリ44に沿って円弧上の位置を移動しているため、それを搬送ラインの延長線上に展開した位置を示している。
図2(a)に示すように、待機位置にあるコ字型金具21の第二アーム部24は、当該ラインL2上に位置する。
【0037】
この
図2(a)に示す待機位置にあるコ字型金具21内にカートン1がセットされたら、送り装置によりコ字型金具21を、減速すなわち、コンベア装置30の搬送速度(第一アタッチメント33,第二アタッチメント43の移動速度)よりも低速度で前進移動する。この速度制御は、例えば送り装置が備える第一のサーボモータの回転速度を制御することで行う。これより、例えば
図2(b)に示すように、コ字型金具21がコンベア装置30に近づき、第一アーム部23の内周面が第一アタッチメント33に近づいた状態では、減速分に応じた遅れdを生じる。この遅れdにより、カートン1の他方の端辺6bも第一アタッチメント33の位置から同じ遅れを生じているため、そのままさらにコ字型金具21が前進移動しても前に倒れた状態のカートン1の前側の端辺6bは、第一アタッチメント33に接触することなく、その第一アタッチメント33の進行方向後側に位置する状態で供給される。
【0038】
その後、第一のサーボモータの出力を増速し、コ字型金具21は、増速しながらコンベア装置30内に進入する。この増速制御は、コ字型金具21の速度が、コンベア装置30の搬送速度(第一アタッチメント33の移動速度)と等しくなるまで行い、等しくなると、等速度で前進移動する。
【0039】
すると、
図2(c)に示すように、遅れdが解消され、第二アーム部24は、第二アタッチメント43の位置に相当するラインL2に一致する。このときは、実際には第二アタッチメント43は、第二タイミングプーリ44に沿って移動している区間にあり、
図3(a)に拡大して示すように、第二アタッチメント43はカートン1から離反している。
【0040】
また、
図2(b)から
図2(c)に至る間の区間で、図示省略するが、爪部25に引っ掛かり前に倒れていた端辺6bは第一アタッチメント33に接触し、第三側面3は第一側面2に対して90度になるように起き上がる。第一側面2と第三側面3の境界部分が、第一アタッチメント33の位置にあうため、そのように90度起き上がった状態では、
図3に拡大して示すように、端辺6bは、爪部25の先端よりも後側に位置する。
【0041】
そして、
図2(c)の状態では、カートン1の端辺6aの位置と、第二アタッチメント43の位相があっており、コ字型金具21がそのまま等速度で前進移動すると、
図2(d),
図3(b)に示すように、第二アタッチメント43が搬送ラインに至り、当該第二アタッチメント43がカートン1の端辺6aに接触する。これにより前後の第一アタッチメント33並び第二アタッチメント43の間でカートン1を挟み込んで支持する。
【0042】
この後、送り装置は適宜のタイミングで第二のサーボモータの回転駆動し、コ字型金具21は、搬送方向に対して直交する方向に移動し、搬送ラインから離反し、コ字型金具21がカートン1から離れる。これにより、カートン1は、コンベア装置30に支持されて搬送する。
【0043】
図4から
図6は本発明に係るカートン搬送装置の好適な第二実施形態を示している。本実施形態では、搬送対象のカートン1′が上述した第一実施形態とは相違して逆起こしタイプに対応するカートン搬送装置である。すなわち、カートン1′は、両端開口したサックカートンであり、折り畳まれた姿勢のカートン1は、搬送方向の前側に向けて起こす(搬送方向の後側に倒れる)形態となる。
【0044】
係るカートン1′の起こす方向の相違から、カートン受け渡し装置20が備えるコ字型金具21′が、第二アーム部24が搬送方向の前側に位置し、爪部25を備えた第一アーム部23が後側に位置する構成となる。なお、カートン取出装置10、コンベア装置30は、第一実施形態と同様に構成を採るので、対応する部材に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
そして、この第二実施形態においても、カートン取出装置10は、カートン1′をコ字型金具21′に挿入セットする際に、カートン1′を、斜めの姿勢で第二アーム部24側の端辺6a(第一側面2と第四側面5の境界)を、先行して第一アーム部23,第二アーム部24間の空間内に挿入させ、その端辺6aを第二アーム部24の基端(本体22から立ち上がった部位)に接触させる。一方、その接触させた状態で例えば第二側面4を第二アーム部24側に寄せながら、カートン1の他方の端辺6b(第一側面2と第四側面5の境界)を、第一アーム部23,第二アーム部24間の空間内に進入するように移動することで、第三側面3,第四側面5を起こしてカートンを開く(第一側面2と第二側面4が離れる)。そして、例えばカートン1の他方の端辺6bを第一アーム部23と爪部25の境界部分付近に位置させるとともに、吸着ノズル12の吸引を解除し、吸着ノズル12を待避させる。すると、カートン1は、もとの折り畳まれた状態に戻ろうとする反発力により、端辺6a,6bが第二アーム部24と、第一アーム部23・爪部25を付勢する。この反発力を利用し、開いた状態のカートン1を、コ字型金具21内に保持する。よって、カートン1を立てた状態で、下面側を支えることなくも保持できる。また、このように反発力を利用してコ字型金具21内にカートン1を保持させるため、第三側面3,第四側面5は、鋭角の状態で起こし、90度までは立ち上げないようにしている。
【0046】
図示するように、コ字型金具21′に保持されたカートン1′は、第三側面3,第四側面5が搬送方向に対して後に傾いた姿勢で、コンベア装置30に移し替えられる。このとき、本実施形態においても、コ字型金具21′内で斜めに起こされた姿勢のカートン1′を、コ字型金具21′の速度を制御して、カートン1′が第一アタッチメント33並びに第二アタッチメント43によって潰されたりすることなく、それらコンベア装置30の第一アタッチメント33と第二アタッチメント43の間にタイミングよく供給するとともに、90度起立させた姿勢で移し替える。このとき倒れていたカートン1′の端辺6bは爪部25から離脱できるようになるので、コ字型金具21′は爪部25がカートン1′に干渉することなく退避できるようになる。係る処理を行うための具体的な制御は、例えば以下のように行う。
【0047】
図5中、二点鎖線は、第一アタッチメント33の位置を示しており、ラインL3は先行する前回の行程で供給されたカートン1′を支持する第一アタッチメント33の位置を示し、ラインL4は今回供給するカートン1′の後側を支持する第一アタッチメント33の位置を示す。当該第一アタッチメント33は、第一タイミングプーリ34に沿って円弧上の位置を移動しているため、それを搬送ラインの延長線上に展開した位置を示している。
図5(a)に示すように、待機位置にあるコ字型金具21′の第一アーム部23は、当該ラインL4上に位置する。
【0048】
この
図5(a)に示す待機位置にあるコ字型金具21′内にカートン1′がセットされたら、送り装置によりコ字型金具21′を、減速すなわち、コンベア装置30の搬送速度(第一アタッチメント33,第二アタッチメント43の移動速度)よりも低速度で前進移動する。これより、例えば
図5(b)に示すように、コ字型金具21′がコンベア装置30に近づき、第二アーム部24の内周面が第二アタッチメント43に近づいた状態では、減速分に応じた遅れdを生じる。この遅れdにより、カートン1′の端辺6aも第二アタッチメント43の位置から同じ遅れを生じているため、そのままさらにコ字型金具21′が前進移動してもカートン1′の端辺6aは第二アタッチメント43に潰されることなく所定位置に供給される。
【0049】
その後、第一のサーボモータの出力を増速し、コ字型金具21′は、増速しながらコンベア装置30内に進入する。この増速制御は、コ字型金具21′の速度が、コンベア装置30の搬送速度(第二アタッチメント43の移動速度)と等しくなるまで行い、等しくなると、等速度で前進移動する。
【0050】
すると、
図5(c)に示すように、遅れdが解消され、第一アーム部23は、第一アタッチメント33の位置に相当するラインL4に一致する。このときは、実際には第一アタッチメント33は、第一タイミングプーリ34に沿って移動している区間にあり、
図6(a)に拡大して示すように、第一アタッチメント33はカートン1′から離反している。また、第二アタッチメント43が、先行する端辺6aに接触して搬送方向後方に付勢し、第三側面3は第一側面2に対して90度になるように起き上がる。これに伴い、第三側面3も90度に立ち上がり、第三側面3は第一アーム部23の内周面に接触した姿勢となる。
【0051】
そして、
図5(c)の状態から、第一アタッチメント33が搬送ラインに至り、当該第一アタッチメント33がカートン1の端辺6bに接触する。これにより前後の第一アタッチメント33並び第二アタッチメント43の間でカートン1を挟み込んで支持する。そして、
図5(d),
図6(b)に示すように、コ字型金具21′が停止し、前後の第一アタッチメント33並び第二アタッチメント43で支持されたカートン1′が爪部25よりも前側に位置した状態になる。
【0052】
この後、送り装置は適宜のタイミングで第二のサーボモータの回転駆動し、コ字型金具21′は、搬送方向に対して直交する方向に移動し、搬送ラインから離反し、コ字型金具21′がカートン1′から離れる。これにより、カートン1′は、コンベア装置30に支持されて搬送する。
【0053】
上述した実施形態では、コ字型金具は、カートンの両端の二カ所で抑えているが、一カ所でも良いし3箇所以上でもよい。一カ所にした場合には、カートン日食する部位は幅広にした方がよい。
【0054】
また、上述した実施形態並びに変形例では、カートンは、両端が開口したサックカートンとしたが、例えば、箱を起こすと底部が閉じて形成されるワンタッチカートンに対しても適用できる。
【0055】
さらに上述した実施形態並びに変形例では、カートンを縦にした姿勢で供給・搬送する縦向きカートナーとしたが、カートンを横向きの姿勢で供給・搬送する横向きのカートナーにしてもよい。
【0056】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0057】
1 :カートン
1′ :カートン
6a :端辺
6b :端辺
10 :カートン取出装置
11 :ロボットアーム
12 :吸着ノズル
20 :カートン受け渡し装置
21 :コ字型金具
21′ :コ字型金具
22 :本体
23 :第一アーム部
24 :第二アーム部
25 :爪部
30 :コンベア装置
31 :第一サイドベルト部
32 :第一サイドベルト
33 :第一アタッチメント
41 :第二サイドベルト部
42 :第二サイドベルト
43 :第二アタッチメント