(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】電解水生成装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20060101AFI20221020BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20221020BHJP
C25B 1/26 20060101ALI20221020BHJP
B01F 25/40 20220101ALI20221020BHJP
B01F 23/40 20220101ALI20221020BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20221020BHJP
【FI】
C02F1/461 A
C25B15/08 302
C25B1/26 C
B01F25/40
B01F23/40
C25B9/00 F
(21)【出願番号】P 2019197287
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-06-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592250414
【氏名又は名称】株式会社テックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】中本 義範
(72)【発明者】
【氏名】兒玉 拓
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-059895(JP,A)
【文献】特開2016-29204(JP,A)
【文献】特開2002-316159(JP,A)
【文献】特開平10-121280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321330(US,A1)
【文献】特開2018-161612(JP,A)
【文献】特開2002-192158(JP,A)
【文献】特開2002-316153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/461
C25B 1/26
C25B 9/00
C25B 15/08
B01F 25/40
B01F 23/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化物を含有する電解水原料液を供給する原料液供給部と、
前記電解水原料液の電気分解を行う電解槽と、
前記電解槽から排出され
て原水と合流してpHが2.7~6.5の範囲となる酸性電解水を排出する排出配管と、
前記排出配管上に設けられ、前記酸性電解水を0.3~3.0秒間滞留させるミキシングタンクとを有
し、
前記ミキシングタンクの入口接続部分における最小径は、前記電解槽から前記排出配管の先端までの間において、最小径であり、
前記ミキシングタンクは、前記入口接続部分側から出口側へ行くに従って徐々に内径が大きくなり前記酸性電解水を滞留させる空洞構造を内部に有する
ことを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
前記ミキシングタンクは、
入口接続部分の最小径と前記排出配管との面積比が1:2~1:10である
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記ミキシングタンクは、
前記空洞構造を内部に有する本体部と、
前記本体部に嵌められ、前記空洞構造を覆うキャップ部とを備える
ことを特徴とする請求項2に記載の電解水生成装置。
【請求項4】
前記本体部から前記入口接続部分としての突出管が突出し、
前記突出管の内径は、突出管外口から突出管内口へ向けて徐々に大きくなっている
ことを特徴とする請求項3に記載の電解水生成装置。
【請求項5】
前記ミキシングタンクは、
入口と出口における最小径が同一
である
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水生成装置。
【請求項6】
前記電解水原料液は、
前記塩化物として塩酸を含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の電解水生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば酸性電解水を生成する電解水生成装置に対して好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄などの分野において、電解水生成装置が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
酸性を呈する電解水は、除菌効果を有することから、例えば家畜などの舎屋に噴霧したり、野菜や卵の洗浄などに広く使用されている。特に塩素系の酸性電解水は、除菌・殺菌力に優れており、食品衛生法において殺菌料(次亜塩素酸水)として厚生労働省から認可されている。
【0004】
この除菌・殺菌力は、主に次亜塩素酸によるものであり、電解水に含まれる塩素が次亜塩素酸として存在することが、非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、手洗いなどの除菌用途では、電解水を水道水などで希釈して使用する。このとき、電解水中の次亜塩素酸の塩素濃度が高ければ、少ない量の電解水でも十分な除菌力を発揮できるため、好ましい。
【0007】
本願発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、電解水における次亜塩素酸の塩素濃度を向上させ得る電解水生成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため、本発明の電解水生成装置は、
塩化物を含有する電解水原料液を供給する原料液供給部と、
前記電解水原料液の電気分解を行う電解槽と、
前記電解槽から排出される酸性電解水を排出する排出配管と、
前記排出配管上に設けられ、前記酸性電解水を0.3~3.0秒間滞留させるミキシングタンクと
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明は、
本願発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、電解水における次亜塩素酸の塩素濃度を向上させ得る電解水生成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】pHと有効塩素の組成比率の説明に供するグラフである。
【
図3】ミキシングタンクの構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に本願発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0012】
<第1の実施の形態>
図1に示す1は、全体として電解水供給装置を示している。電解水供給装置1は、図示しないMPU(Micro Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)から構成される制御部2が電解水供給装置1の全体を統括的に制御するようになされている。
【0013】
電解水供給装置1は、無隔膜式の電解槽を電解水生成部11として有しており、水道水によって希釈された電解水原料液を電気分解して酸性電解水を生成し、該酸性電解水を水道水で希釈して電解水供給口16から排出する。原料液供給部12は、電解水原料液を貯蔵すると共に、電解水生成部11に対して電解水原料液を供給する。
【0014】
ところで、酸性電解水では、電解水に含まれる塩素が次亜塩素酸となって除菌効果を奏する。
図2に示すように、塩素の存在形態は、水溶液のpHによってその比率が変化することが知られている。
【0015】
すなわち、電解水中に含まれる塩素が次亜塩素酸として除菌作用を効果的に発現させるためには、電解水のpHを2.7~6.5の範囲にコントロールすることが必要となる。
【0016】
例えば塩化ナトリウムなど、水に溶解させたときに中性を呈する電解質を用いた水溶液を電気分解した場合、水素の一部が陰極から水素ガスとして抜けてしまうため、電解水のpHは弱アルカリ(pH9~10程度)を呈することになる。
【0017】
このため、本実施の形態では、pHを酸性側にコントロールするため、電解水原料液として、塩化ナトリウムと塩酸とを混合した水溶液を使用する。この電解水原料液は、原水と混合して希釈されてから電解水生成部11に供給される。また、電解水原料液としては、塩酸のみの水溶液を使用してもよい。
【0018】
原水としては、一般的な水道水が好適に用いられる。各種フィルターを通した不純物の少ない水道水を用いてもよい。使用される原水は、有機物やカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分が10ppm以下であることが好ましい。有機物は塩素との反応で、硬度成分が石灰化の原因となるからである。
【0019】
具体的に、電解水供給装置1(
図1参照)は、図示しない操作部(例えばボタンの押下やタッチセンサ、赤外線などの非接触センサなど)を介してユーザから電解水の供給が要求されると、ポンプ13を駆動させ、原料液供給部12から電解水原料液の供給を開始する。また制御部2は、水道RWに接続された原水供給口14の弁を開放することにより原水の供給を開始する。
【0020】
配管22を通って原料液供給部12から供給された電解水原料液と、配管21を通って原水供給口14から供給された原水とは、配管23で合流し、原料供給口11Aを介して電解水生成部11に供給される。
【0021】
電解水生成部11は、電解水原料液を電気分解して電解水を製造し、混合排出部7に供給する。電解水生成部11としては、公知のものを使用することができ、例えば無隔膜式の電解槽を用いることができる。また、2室型、3室型の電解槽で生成される酸性電解水を単体で使用、又は該酸性電解水とアルカリ性電解水の一部又は全部とを混合しても良い。
【0022】
このとき制御部2は、電解水生成部11に対する電流値が一定の範囲内に入るよう電圧値とポンプ13とを制御する。これにより、一定の電流値による適正な電気分解が行われた電解水が生成される。
【0023】
生成された酸性電解水は、電解水生成部11の電解水排出口11Bから配管26を通り、配管21から分岐した配管25に供給される原水と合流して配管27、配管28を通って筐体3の外側に接続された供給管15へと供給され、電解水供給口16から排出される。
【0024】
かかる構成に加えて、本願発明の電解水供給装置1では、電解水生成部11の後段にミキシングタンク30を設置することにより、電解水供給口16から排出される酸性電解水の塩素濃度を高めるようになされている。本実施の形態においてミキシングタンク30は、原水と酸性電解水とが合流した後、筐体3から供給管15に接続される配管27,28上に設置されている。
【0025】
図3に示すように、ミキシングタンク30は、本体部31とキャップ部33との間にパッキン32が挟まれた状態で、本体部31に形成された雄ねじとキャップ部33に形成された雌ねじとが螺子方式で嵌め込まれることにより円柱形状を形成する。
【0026】
本体部31及びキャップ部33の外径はそれぞれ38mm、40mmであり、キャップ部33を上方向、本体部31を下方向としたとき、キャップ部33の上部(天井面)と本体部31の下部(底面)には、それぞれ配管28,27と接続するための突出管33A、31Aが形成されている。
【0027】
キャップ部33の内径は40mmであり、突出管33Aの下側における突出管内口33Abの内径UIφは6mm、突出管33Aの上側における突出管外口33Aa内径UOφは4mmであり、突出管内口33Abから突出管外口33Aaへ向けて徐々に径が小さくなっている。
【0028】
パッキン32は、リング形状をしており、外径が38mm、内径PDφが30mmであり、幅が4mm、厚さPTが2mmである。
【0029】
本体部31は、外径は38mmと上下側で差がない寸胴であるが、内部は下側の内径が28mm、上側の内径が32mmと、上側へ行くに従って徐々に内径CDφが大きくなる略円柱形状をしている。本体部31の内部は単なる空洞であり、流路などは形成されていない。また超音波などの物理的刺激を加えるものも備えていない。なお
図3では本体部31の内壁面には凹凸は形成されていないが、例えば内径の1/10未満程度の高さの凹凸が形成されていてもよい。
【0030】
突出管31Aは、全体として円筒形状をしており、本体部31から突出している。突出している高さは約18mmであり、その先端側には滑り止めの溝が形成されている。突出管31Aの下側における突出管外口31Aaの内径DOφは4mm、突出管31Aの上側における突出管内口31Abの内径DIφは6mmであり、突出管外口31Aaから突出管内口31Abへ向けて徐々に径が大きくなっている。
【0031】
キャップ部33には、天井面近傍まで本体部31が嵌め込まれ、間に挟まれたパッキン32がキャップ部33と本体部31との隙間を塞ぎ、水漏れを防止する。突出管33Aは、先端に行くに従って僅かに細くなる円錐台形状をしており、扁平な円錐台が積み重なったような形状を有している。突出している高さは約20mmである。
【0032】
突出管31A、33Aには、配管27,28として内径が8mmの配管ホースが接続される。なお、電解水生成部11より後段となる配管26,27,28において、最も内径が細くなるのは配管26及び配管25並びに配管27及び配管25との接続部分であり、その内径は6mmである。
【0033】
従って、内径8mmの配管27を通ってミキシングタンク30に供給される酸性電解水は、電解水生成部11より後段(配管26,27,28)において最小径となる内径DOφ4mmの突出管外口31Aaから内径DIφ6mmの突出管内口31Abを通り、内径CDφ28mm~32mmの本体部31へ入る。本体部31の内部に侵入した酸性電解水は、空洞構造を有する本体部31の内部で乱流により攪拌される。
【0034】
その後本体部31内部の酸性電解水は、内径UIφ6mmの突出管内口33Abから内径UOφ6mmの突出管外口33Aaを通り、内径8mmの配管28へと送られる。
【0035】
上述したように、電解水供給装置1において、原料液供給部12から電解水生成部11への電解水原料液の供給はポンプ13を介して行われるものの、電解水生成部11の電解水排出口11Bから後段にはポンプは設置されていない。また、電解水生成部11では、オーバーフローによって電解水排出口11Bから生成された電解水が排出される。
【0036】
すなわち、電解水排出口11Bの後段からは、電解水生成部11への電解水原料液のポンプ13による供給圧力及び原水(水道水)の供給圧力(水道RWの水道圧)がそのまま配管26,27,28における排出圧力となる。
【0037】
ミキシングタンク30では、本体部31の突出管外口31Aa及びキャップ部33の突出管外口33Aaで内径が4mmと最小径となる。
【0038】
従って、突出管外口31Aaによって入口を狭められたことにより酸性電解水は勢い良くミキシングタンク30内部に導入されると共に、酸性電解水の排出までの滞留時間を長くすることができる。この結果、酸性電解水における塩素の溶解を促進でき、塩素濃度を高めることができる。
【0039】
ここで、配管27,28の内径(8mm)とミキシングタンク30における出入口の最小径(4mm)の面積比は1:4である。ミキシングタンク30における出入口の最小径と配管27,28の内径との面積比は1:2~1:10であることが好ましい。ミキシングタンク30に導入されるときの勢いを高めつつ、前段部分の圧力が大きくなりすぎないようにするためである。なおミキシングタンク30における出入口の最小径と配管25,26及び配管27,26の最小径部分(6mm)は1:2.25である。
【0040】
ミキシングタンク30の内部体積は22.65cm3であり、電解水供給装置1における想定吐出量が2700cm3/min(45cm3/sec)の場合、約0.5秒間だけ、酸性電解水がミキシングタンク30内に滞留することができる。
【0041】
このミキシングタンク30における滞留時間は、0.3~3.0秒間、特に0.4~1.0秒間であることが好ましい。滞留時間が短すぎると塩素濃度を高める効果が低くなり、滞留時間が長すぎると、一旦溶解した塩素が分離してしまったり、ミキシングタンク30内に気体溜りが発生する恐れがあり、好ましくない。
【実施例】
【0042】
<実施例1>
次に、実施例について説明する。
水道水を原水とし、ミキシングタンク30を設置しなかった場合を比較例1、鉛直方向に対してミキシングタンク30(突出管31A,33Aを結んだ上下方向)を斜め(45°程度)に設置した場合を実施例1、鉛直方向に対してミキシングタンク30(突出管31A,33Aを結んだ上下方向)を平行に設置した場合を実施例2とした。
【0043】
電圧値が一定(2.75~2.8V)の状態で、電流値が一定の範囲内(5.9~6.3A)になるように電解水原料液が供給されるように制御し、10分間稼動させた。電解水原料液として、塩化ナトリウムと塩酸とを混合した水溶液を使用した。
【0044】
稼動開始から1分後、5-6分後、9-10分後に生成された酸性電解水を採取し、塩素(次亜塩素酸)濃度、pH、水温を測定した。また、そのときの電圧値、電流値、原料液使用量、流量を記録した。
【0045】
結果を表1に示す。
【0046】
【0047】
表1からわかるように、比較例1と比して、実施例1及び実施例2では塩素濃度が約10%向上した。一方で、使用された電解水原料液は僅かな上昇(1~4%)に留まった。従って、実施例1及び実施例2における塩素濃度の上昇は、電解水原料液の量ではなく、塩素が効率良く酸性電解水内に溶解したことに起因すると考えられる。
【0048】
すなわち、実施例1及び実施例2では、電解水原料液の使用量が殆ど変わらず、酸性電解水中の塩素濃度のみを向上させ得ることが確認された。
【0049】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0050】
以上の構成において、本願発明の電解水生成装置(電解水供給装置1)は、
塩化物を含有する電解水原料液を供給する原料液供給部(原料液供給部12)と、
前記電解水原料液の電気分解を行う電解槽(電解水生成部11)と、
前記電解槽から排出される酸性電解水を排出する排出配管(配管27,28)と、
前記排出配管上に設けられ、前記酸性電解水を0.3~3.0秒間滞留させるミキシングタンク(ミキシングタンク30)とを有することを特徴とする。
【0051】
これにより、小さなミキシングタンクを設置するだけの簡易な構成で、かつ小さなスペースで酸性電解水の滞留時間を効果的に延長できるため、電気分解により発生した塩素ガスを電解水中に効率良く溶け込ませることができる。
【0052】
電解水生成装置において、前記ミキシングタンクは、
入口接続部分の最小径と前記排出配管との面積比が1:2~1:10であることを特徴とする。
【0053】
これにより、入口接続部分において狭まった酸性電解水をミキシングタンク内部に勢い良く導入することができ、ミキシングタンク内における攪拌効果を高めることができる。
【0054】
電解水生成装置において、前記ミキシングタンクの前記入口接続部分における最小径は、
前記電解槽から前記排出配管の先端までの間において、最小径であることを特徴とする。
【0055】
これにより、ミキシングタンクの直前に圧力を高めることができ、酸性電解水をミキシングタンク内部に導入するときの勢いを効率良く高めることができる。
【0056】
電解水生成装置において、前記ミキシングタンクは、
内部形状が略円筒形状を有することを特徴とする。
【0057】
これにより、ミキシングタンク内の水流をスムーズにすることができる。
【0058】
電解水生成装置において、前記ミキシングタンクは、
入口と出口における最小径が同一又は略同一であることを特徴とする。
【0059】
これにより、ミキシングタンク内部での圧力を大きく高めることがないため、配管27,28における圧力が高くなりすぎず、酸性電解水の供給量にほとんど影響を与えずに済む。また、圧力が高くなることによる電解水生成部への負荷や悪影響を生じさせずに済む。
【0060】
電解水生成装置において、前記電解水原料液は、
前記塩化物として塩酸を含有することを特徴とする。
【0061】
これにより、電解水生成装置は、pHが酸性側に安定した良好な酸性電解水を製造できる。
【0062】
<他の実施の形態>
上述実施形態によれば、電解水原料液を水道水で希釈して電気分解し、生成した酸性電解水を水道水で希釈するようにしたが、本願発明はこれに限られない。例えば、電解水原料液を水道水で希釈して電気分解した酸性電解水をそのままの濃度で供給したり、電解水原料液を希釈せずに電気分解した酸性電解水を水道水で希釈したり、電解水原料液を希釈せず電気分解して希釈せず供給することも可能である。この場合であっても、ミキシングタンクの設置により、上述実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
上述実施形態によれば、ミキシングタンク30における出入口の最小径と配管27,28の内径との面積比は1:2~1:10であるようにしたが、面積比は必須でない。例えば出入口から徐々に大きくなる形状(滴型など)をしたミキシングタンクなどでも本願発明と同様の効果を得ることが出来る。この場合、出入口の最小径とミキシングタンクの最大径部分の断面積の比率が1:2~1:10の範囲内に入ることが好ましい。
【0064】
上述実施形態では、電解水生成部11より後段の排出経路において、ミキシングタンクの入口が最小径となるようにしたが、この構成は必須ではない。配管上に最小径の部分があっても良い。
【0065】
上述実施形態では、ミキシングタンクが円筒形状を有していたが、本願発明はこれに限られない。形状に制限は無く、例えば六角柱や直方体、円錐台形など種々の形状のミキシングタンクを使用することができる。
【0066】
上述実施形態では、ミキシングタンクの入口側(突出管外口31Aa)と出口側(突出管外口33Aa)の最小径が同一であったが、本願発明はこれに限られない必ずしも同一でなくても良い。例えば、入口側が最小径であるようにしてもよい。また、突出管外口31Aaと突出管内口31Abは徐々に小さくなったり、同一であっても良い。突出管31A,33Aの高さに制限はないが、スペースの制約及び圧力を高めすぎないようミキシングタンク30の本体部31の高さの2/3以下、より好ましくは1/2以下であることが好ましい。
【0067】
上述実施形態では、排出配管として配管27,28上(すなわち配管27と配管28の間)にミキシングタンク30を設置したが、本発明はこれに限られない。ミキシングタンク30は電解水生成部11より後段に設置されれば良く、例えば配管26に設置されても良い。また、電解水生成部11より後段にポンプを設置しても良い。この場合であっても上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
上述実施形態では、手洗用の電解水生成装置に本願発明を適用したが、本発明はこれに限らず、様々なタイプの電解水生成装置に本願発明を利用できる。
【0069】
上述実施形態では、原料液供給部としての原料液供給部12と、電解槽としての電解水生成部11と、排出配管としての配管27,28と、ミキシングタンクとしてのミキシングタンク30とによって電解水生成装置としての電解水供給装置1を構成するようにしたが、その他種々の構成による原料液供給部と、電解槽と、排出配管と、ミキシングタンクとによって本願発明の電解水生成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本願発明は、例えば病院や介護施設などの手洗いスペースに設置される希釈電解水供給装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1:電解水供給装置、2:制御部、3:筐体、7:混合排出部、11:電解水生成部、11A:原料供給口、11B:電解水排出口、12:原料液供給部、13:ポンプ、14:原水供給口、15:供給管、16:電解水供給口、21,22,23,25,26,27,28:配管、30:ミキシングタンク、31:本体部、31A,33A:突出管、31Aa,33Aa:突出管外口、31Ab,33Ab:突出管内口、32:パッキン、33:キャップ部、