(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】キャリングケース
(51)【国際特許分類】
A45C 15/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A45C15/00 Z
(21)【出願番号】P 2021096265
(22)【出願日】2021-06-09
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】504305049
【氏名又は名称】株式会社ティーアンドエス
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】齊 瑞成
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-38648(JP,A)
【文献】実開平5-70325(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の背面と、この背面の下縁から立ち上がる正面と、前記背面の上縁から下がって前記正面に局部的に重なる前垂れとからなるキャリングケースであって、
このキャリングケースは、展開が可能であって、
展開することにより、前記背面に前記正面及び前記前垂れが繋がっており、加えて、前記背面の左縁に左張り出しが繋がり、前記背面の右縁に右張り出しが繋がっており、
前記左張り出し及び前記右張り出しは、前記背面か
ら張り出していると共に、その張り出し寸法は、前記正面の高さ寸法と同じとされ、
展開した後に、前記背面が天板となり、前記左張り出しが左脚となり、前記右張り出しが右脚となり、前記正面が幕板となる机状の安眠ケースに形を変えることができ
ることを特徴とするキャリングケース。
【請求項2】
矩形の背面と、この背面の上縁に繋がる上面と、前記背面の左縁に繋がる左側面と、前記背面の右縁に繋がる右側面と、前記背面の下縁に繋がる底面と、この底面の前縁から立ち上がる正面と、前記上面の前縁から下がって前記正面に局部的に重なる前垂れとからなるキャリングケースであって、
このキャリングケースは、展開が可能であって、
展開することにより、前記背面に前記上面、前記左側面、前記底面及び前記右側面が繋がり、前記上面に前記前垂れが繋がり、前記底面に前記正面が繋がっており、加えて、前記左側面に左張り出しが繋がり、前記右側面に右張り出しが繋がっており、
前記左張り出し及び前記右張り出しは、前記背面か
ら張り出していると共に、その張り出し寸法は、前記正面の高さ寸法と同じとされ、
展開した後に、前記背面が天板となり、前記左側面及び前記左張り出しが左脚となり、前記右側面及び前記右張り出しが右脚となり、前記底面及び前記正面が幕板となる机状の安眠ケースに形を変えることができ
ることを特徴とするキャリングケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安眠ケースに形を変えることができるキャリングケースに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模災害時に、多数の被災者が体育館などの避難所へ避難する。避難所では、隣人の目が気になるとか、明るくて眠れないなど自宅では考えられないような不具合が生じる。
【0003】
対策として、従来、簡易安眠ハウスが提案されてきた(例えば、特許文献1(
図2)参照)。
【0004】
特許文献1の技術によれば、横になった被災者の頭部を、ヘッドスペースボックスと称する箱で囲う。ヘッドスペースボックスにより、隣人に見られる心配がなく、目の前が適度に暗くなり、眠りが促される。
【0005】
ヘッドスペースボックスは、折り畳み可能である。非使用時は、折り畳んで保管場所に保管する(特許文献1段落[0006](イ))。
【0006】
ここで、ヘッドスペースボックスの使用時間と、非使用時間との長さを比較検討する。我が国における大規模災害は、大地震や強い台風が挙げられる。大地震は数十年に一度であるため、年に数回は被災する台風が主となる。
【0007】
大規模災害が、年に3回、1回当たり3日と仮定する。
ヘッドスペースボックスの使用時間は、365日中、9日となり、使用率は3%弱である。
ヘッドスペースボックスの非使用時間は、365日中、356日となり、非使用率は97%強である。
【0008】
資材の有効活用が望まれる中、ヘッドスペースボックスの非使用率を下げることが求められる。
また、ヘッドスペースボックスは、家庭であれば押入れの奥に保管し、体育館であれば用具置き場に保管されるが、使用率が極度に小さいため、ヘッドスペースボックスを保管していることを忘れてしまったり、保管場所を失念しがちである。使用率を上げることで、保管していることや保管場所を、忘れにくくすることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、使用率の向上が期待できる安眠ケース兼用キャリングケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、矩形の背面と、この背面の下縁から立ち上がる正面と、前記背面の上縁から下がって前記正面に局部的に重なる前垂れとからなるキャリングケースであって、
このキャリングケースは、展開が可能であって、
展開することにより、前記背面に前記正面及び前記前垂れが繋がっており、加えて、前記背面の左縁に左張り出しが繋がり、前記背面の右縁に右張り出しが繋がっており、
前記左張り出し及び前記右張り出しは、前記背面から張り出していると共に、その張り出し寸法は、前記正面の高さ寸法と同じとされ、
展開した後に、前記背面が天板となり、前記左張り出しが左脚となり、前記右張り出しが右脚となり、前記正面が幕板となる机状の安眠ケースに形を変えることができることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明は、矩形の背面と、この背面の上縁に繋がる上面と、前記背面の左縁に繋がる左側面と、前記背面の右縁に繋がる右側面と、前記背面の下縁に繋がる底面と、この底面の前縁から立ち上がる正面と、前記上面の前縁から下がって前記正面に局部的に重なる前垂れとからなるキャリングケースであって、
このキャリングケースは、展開が可能であって、
展開することにより、前記背面に前記上面、前記左側面、前記底面及び前記右側面が繋がり、前記上面に前記前垂れが繋がり、前記底面に前記正面が繋がっており、加えて、前記左側面に左張り出しが繋がり、前記右側面に右張り出しが繋がっており、
前記左張り出し及び前記右張り出しは、前記背面から張り出していると共に、その張り出し寸法は、前記正面の高さ寸法と同じとされ、
展開した後に、前記背面が天板となり、前記左側面及び前記左張り出しが左脚となり、前記右側面及び前記右張り出しが右脚となり、前記底面及び前記正面が幕板となる机状の安眠ケースに形を変えることができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、使用率の高いキャリングケースを、必要時に、安眠ケースに形を変えることができるようにした。
安眠ケースの使用率が低くても、キャリングケースの使用率は高いため、資材の有効活用が図れる。
また、キャリングケースは、押入れの奥や体育館の用具置き場に、置かれることはなく、机の上や棚に露出して置かれる。キャリングケースであれば、保管していることを忘れたり、保管場所を失念する心配はない。
よって、本発明により、使用率の向上が期待できる安眠ケース兼用キャリングケースが提供される。
【0014】
請求項2に係る発明では、請求項1と同様に、使用率の高いキャリングケースを、必要時に、安眠ケースに形を変えることができるようにした。
請求項2のキャリングケースは、底面を備えているため、自立させることができる。底面に加えて上面、左右側面を備えているので、ケースの内容積が大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るキャリングケースの斜視図である。
【
図2】キャリングケースの使用形態を説明する図である。
【
図3】前垂れが展開されているキャリングケースの正面図である。
【
図4】正面が展開されているキャリングケースの正面図である。
【
図6】キャリングケースの製造方法の一例を説明する図である。
【
図10】安眠ケースの変更例を説明する斜視図である。
【
図11】変更例におけるキャリングケースの斜視図である。
【
図12】安眠ケースのさらなる変更例を説明する斜視図である。
【
図13】さらなる変更例におけるキャリングケースの斜視図である。
【
図14】さらなる変更例におけるキャリングケースの斜視図である。
【
図15】さらなる変更例におけるキャリングケースの斜視図である。
【
図16】さらなる変更例におけるキャリングケースの展開図である。
【
図17】さらなる変更例における安眠ケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0017】
請求項1によるキャリングケース10は、
図15~
図17に基づいて説明する。
請求項2によるキャリングケース10は、
図1~
図14に基づいて説明する。
説明の都合上、
図1~
図14を先に説明する。
【0018】
図1に示すように、キャリングケース10は、矩形(横長長方形)の背面11と、この背面11の上縁に繋がる上面12と、背面11の左縁に繋がる左側面13と、背面11の右縁に繋がる右側面14と、背面11の下縁に繋がる底面15と、この底面15の前縁から立ち上がる正面16と、上面12の前縁から下がって正面16に局部的に重なる前垂れ17とからなる。
【0019】
加えて、上面12に、ハンドル19を備え、前垂れ17に舌片21を備え、正面16にソケット22を備える。ソケット22に舌片21を差し込むことで、前垂れ17の開きを防止する。ソケット22には施錠機構が付属する。ソケット22にはボタンが設けられ、このボタンを押すことで解錠される。
【0020】
底面15を備えているので、キャリングケース10を自立させることができる。底面15に加えて、上面12、左側面13及び右側面14を備えているので、ケースの内容積が大きくなる。
【0021】
図2に示すように、前垂れ17を開いて、A2サイズの紙23に代表される薄物24を、キャリングケース10に出し入れすることができる。
A2サイズは、420mm×594mmと定められている。
この例では、正面16及び背面の横寸法は500mmで、高さ寸法は450mmである。
【0022】
上面12、左側面13、右側面14及び底面15の幅は、50mm程度とした。
紙23は、A2サイズの書類、図面、チラシ、パンフレットなどの紙製品であれば、種類は問わない。また、薄物24は、紙23に限定されず、樹脂板、薄い軽金属板であってもよい。
【0023】
また、薄物24は、タオルやマットなどの防災用品であってもよい。すなわち、キャリングケース10自体が、災害が発生したときに避難所に持っていく防災セットとして利用できる。
【0024】
図3に示すように、前垂れ17が開いている。この状態で、正面16を展開する。
図4に示すように、正面16が展開されている。この状態で、右側面14と左側面13を展開する。
【0025】
結果、
図5に示すように、キャリングケース10は、展開された。
すなわち、キャリングケース10は、展開が可能であって、展開することにより、背面11に上面12、左側面13、底面15及び右側面14が繋がり、上面12に前垂れ17が繋がり、底面15に正面16が繋がっており、加えて、左側面13に左張り出し25が繋がり、右側面14に右張り出し26が繋がっている。
そして、左張り出し25及び右張り出し26は、背面11か
ら張り出していると共に、その張り出し寸法Lは、正面の高さ寸法Hと同じである。
【0026】
また、左側面13及び右側面14の一端(図では上端)に、上面12の裏に重なる重なり片27を設け、他端(図では下端)に、底面15の上に重なる重なり片28を設ける。加えて、左張り出し25及び右張り出し26の下辺に、底面15の上に重なる重なり片29を設ける。
【0027】
重なり片27~29により、隙間の発生を防止し、キャリングケース(
図1、符号10)の見栄えを維持する役割を果たす。
ただし、若干の隙間が許容されるのであれば、重なり片27~29の全部又は一部を省いてもよい。
【0028】
展開されたキャリングケース10は、樹脂板又は厚紙からなる素材から、切り出す又はプレスにより打ち抜いて得られる。樹脂板は不透明板又は半透明板を原則とするが、透明板であってもよい。透明板であれば、いわゆるスケルトン風となり、内容物(
図2、符号23、24)が外から見えるという利点がある。
【0029】
大きな素材が、入手できないときや、高価であって使いにくいときや、大型のプレス機が準備できないときには、
図6で説明する処置を講じる。
図6に示すように、複数のパーツを、切り出す又は打ち抜く。そして、面ファスナー30により、パーツ同士を接合することで、
図5に示すものと同等のキャリングケース10を得る。
面ファスナー30は、接着剤に代えてもよい。また、面ファスナー30は、超音波溶着に代えてもよい。要は、結果的に
図5に示すのと同等の展開されたキャリングケース10が得られれば、パーツの個数、切断箇所、接合方法は、任意である。
【0030】
図5に示す展開されたキャリングケース10は、折り曲げることで、
図4→
図3→
図2を経て、
図1に示すキャリングケース10にすることができる。
本発明では、
図5に示す展開されたキャリングケース10の形態で保管することは、原則として行わず、
図1に示すキャリングケース10で日常の活動に供する。
図1に示すキャリングケース10は、1年(365日)中、使用可能である。
【0031】
次に、年に9日程度発生することが予想される大規模災害時に、好適な安眠ケース32について、説明する。
図1に示すキャリングケース10を、避難所へ持参する。
避難所において、
図4又は
図5の形態に展開する。
【0032】
図5に示す展開されたキャリングケース10を床に置き、背面11の4辺の谷折り線31に沿って、上面12を90°折って、上面12及び前垂れ17を起立させる。
同様に、左側面13を折って、左側面13及び左張り出し25を起立させ、右側面14を折って、右側面14及び右張り出し26を起立させ、底面15を折って、底面15及び正面16を起立させる。以上の手順は、
図4から始めても差し支えない。
【0033】
以上により、
図7に示すように、背面11から前垂れ17が起立し、左張り出し25が起立し、右張り出し26及び正面16が起立した安眠ケース32が得られる。下にある底面11が上になるように、安眠ケース32を反転する(天地を逆にする)。
結果、
図8に示すような安眠ケース32が得られる。この安眠ケース32は、背面11が「天板」で、前垂れ17が「引き出し」で、左張り出し25が「左脚」で、右張り出し26が「右脚」で、正面16が「幕板」であるような「机」の形状を呈している。
【0034】
図9に示すように、利用者(被災者を含む。)33は、横になった状態で頭部34に、安眠ケース32を被せる。安眠ケース32により、光を遮断し、音をある程度遮断し、外からの視線を遮断することができ、利用者33のプライバシーが守られると共に安眠が促される。
【0035】
また、安眠ケース32により、外部からの飛沫や埃(ほこり)などの侵入を防ぐこともできる。
また、前垂れ17を、カーテンの支持部とすることができる。すなわち、カーテン(ハンカチや手ぬぐいやタオルなどの布又は紙片若しくは色付きポリエチレン袋)を、前垂れ17に吊るすことで、前垂れ17の下縁と利用者33の身体との間の隙間を、無くする又は狭めることができる。結果、光や音や視線や飛沫や埃を、より好ましく遮断することができる。
【0036】
利用者33は、舌片21を指で操作することで、前垂れ17を上げて外を覗き、その後に、下げすることができる。
【0037】
ただし、一部の利用者33にとっては、舌片21は邪魔と感じる。その対策を講じた例を、
図10に基づいて説明する。
図10に示すように、前垂れ17に切り欠き35を入れる。舌片21が切り欠き35に収まるようにする。結果、舌片21は前垂れ17の下縁から下へ突出しないため、邪魔にはならない。
【0038】
図11に示すように、キャリングケース10の外観は良好に維持される。
なお、
図10に想像線で示すように、接着剤付きテープ36で正面16と左右張り出し25、26を繋ぎ、接着剤付きテープ37で前垂れ17と左右張り出し25、26を繋ぐことが推奨される。
【0039】
すなわち、
図8では、正面16と左右張り出し25、26とは分離されている。仮に「天板」に当たる背面11に下向き力が加わると、安眠ケース32が大きく変形して、崩れる心配がある。
そこで、
図10で説明したように、接着剤付きテープ36、37で補強することが推奨される。
接着剤付きテープ36、37は、入手容易な養生テープや荷造りテープで差し支えない。
【0040】
ところで、接着剤付きテープ36、37は、容易に剥がすことができるが、剥がした跡に、僅かではあるが接着剤の滓(かす)が残る。この滓に外部のごみが付着し、外観性が低下することがある。この対策の1つを
図12で説明する。
【0041】
図12に示すように、前垂れ17の左を延長して左舌片41とし、これに雌ホック42を設ける。左張り出し25に雌ホック43を設ける。一方、左側面13にも雄ホック44を設けておく。
同様に、前垂れ17の右を延長して右舌片45と、雌ホック42、及び雌ホック43、44を設けておく。
【0042】
左舌片41と右舌片45が、
図10に示す接着剤付きテープ37の役割を果たし、補強効果を発揮する。
図8、
図10に示す舌片21が省かれているため、
図12の安眠ケース32は、使い勝手が良く、外観性も優れている。
【0043】
図13に示すように、キャリングケース10において、左舌片41の雌ホック42は、左側面13に設けた雄ホック44に嵌められる。右舌片45についても同様である。
【0044】
以上に述べたように、日常はキャリングケース10として活用し、大災害時に安眠ケース32として活用するため、キャリングケース10の使用率が100%になる。
従来の簡易安眠ハウスの使用率が3%程度であったものが、本発明によれば使用率が100%となり、本発明により、使用率の向上が期待できる安眠ケース兼用キャリングケースが提供される。
【0045】
ところで、
図1に示すキャリングケース10の使用率が97%強で、
図8に示す安眠ケース32の使用率が3%弱と想定される。
持ち主が、キャリングケース10を安眠ケース32に、形を変えることができることを忘れることは起こり得る。持ち主以外の家族や他人であれば、なおのことである。
その対策の1つを、次に説明する。
【0046】
図14(a)に示すように、キャリングケース10の何処か(例えば、正面16の左下)に、ステッカー47を貼る。
図14(b)に示すように、ステッカー47には、安眠ケースのイラスト(又は写真)48と、「安眠ケースになります。」のような、メッセージ49が記されている。
【0047】
複数のキャリングケースや鞄を所有するときに、この持ち主は、ステッカー47の存在により、キャリングケース10が、安眠ケースに形を変えることができることを、思い出す。
また、ステッカー47を目撃した家族や知人は、興味を示し、持ち主に質問することで、キャリングケース10が、安眠ケースに形を変えることができることを、知る。
【0048】
または、
図14(c)に示すように、ステッカー47には、「安眠ケースに形を変えることができます。詳しくは→」のような、メッセージ51が記され、QRコード(登録商標)52が印されている。
【0049】
キャリングケース10の提供者(製造者又は販売元)は、キャリングケース10を展開して、安眠ケースにも変形する手順を、動画化し、インターネットにアップしておく。
誰でも、携帯端末でQRコード(登録商標)52を読み取り、視覚的に、キャリングケース10が安眠ケースに形を変えることができることを、知ることができる。
【0050】
以上により、キャリングケース10を、災害時などに、安眠ケースとして有効活用が図れる。
なお、ステッカー47は剥離可能なものの他、印刷であってもよい。
また、ステッカー47の貼り付け場所又は印刷箇所は、任意である。例えば、前垂れ17の裏であってもよい。
図2に示すように、前垂れ17を開けたときに、見えるからであり、
図1に示すように外観性が良好に保たれる。
【0051】
次に、より簡便な構造のキャリングケース10を提供する。
図15に示すように、キャリングケース10は、矩形の背面11と、この背面11の下縁から立ち上がる正面16と、背面11の上縁から下がって正面16に局部的に重なる前垂17と、逆U字ハンドル54とからなる。前垂れ17は、面ファスナー55で正面16に止めることができる。
【0052】
簡便な構造のキャリングケース10は、展開すると、
図16のようになる。
すなわち、
図16に示すように、背面11に谷折り線31を介して正面16及び前垂れ17が繋がっている。
加えて、背面11の左縁に左張り出し25が繋がり、背面11の右縁に右張り出し26が繋がっており、左張り出し25及び右張り出し26は、背面11か
ら張り出していると共に、その張り出し寸法はL、正面16の高さ寸法Hと同じである。
【0053】
谷折り線31で折り曲げることにより、背面11に対して、正面16、前垂れ17、左張り出し25及び右張り出し26を起立させる。
すると、
図17に示す安眠ケース32が得られる。
【0054】
すなわち、
図17に示すように、安眠ケース32は、背面11が「天板」となり、左張り出し25が「左脚」となり、右張り出し26が「右脚」となり、正面16が「幕板」となる机状のケースである。
【0055】
図15に示すキャリングケース10は、スリムで、軽量で安価であるという利点を有するものの、内容積が小さく、自立させることができないという欠点を有する。
対して、
図1に示すキャリングケース10は、上面12、左右側面13、14及び底面15を有するため、やや重く、やや高価になるという欠点を有するものの、自立させることができると共に内容積が大きくなるという利点を有する。
【0056】
例えば、一家族において、大人は
図1に示すキャリングケース10を用い、子供は
図15に示すキャリングケース10を用いることが推奨される。結果、避難所で家族全員分の安眠ケース32が得られる。
【0057】
尚、実施例では、キャリングケース10のサイズをA2サイズとしたが、キャリングケース10のサイズは、他のサイズであっても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、A2サイズの紙を収納して運ぶキャリングケースに好適である。
【符号の説明】
【0059】
10…キャリングケース、11…背面、12…上面、13…左側面、14…右側面、15…底面、16…正面、17…前垂れ、23…紙、24…薄物、25…左張り出し、26…右張り出し、32…安眠ケース、33…利用者、34…頭部、L…張り出し寸法、H…正面の高さ寸法。
【要約】
【課題】使用率の向上が期待できる安眠ケース兼用キャリングケースを提供する。
【解決手段】安眠ケース32は、利用者33の頭部34を覆って、外からの光や音を遮断する。この安眠ケース32は、日常はA2サイズの紙を収納して運ぶキャリングケースとなる。日常はキャリングケースとして活用し、大災害時に安眠ケースとして活用するため、使用率が100%になる。
【選択図】
図9