(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
A01K 85/16 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A01K85/16
(21)【出願番号】P 2022052454
(22)【出願日】2022-03-28
【審査請求日】2022-03-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521005454
【氏名又は名称】山田 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100165445
【氏名又は名称】中 富雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-031541(JP,A)
【文献】特開2019-103429(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200973(JP,U)
【文献】特開2003-009915(JP,A)
【文献】特開2000-245303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部と一体に形成された、リング部を介して針部が連結されるための針取付部と、を備え、
前記針取付部には貫通孔である取付孔が形成され、
前記取付孔には、前記リング部が挿通されることで、前記針取付部に前記リング部が連結され、
前記取付孔の
形状は、半円状、矩形、長穴形状または三角形であり、かつ、前記取付孔の内側面が前記リング部と干渉して、前記取付孔の貫通方向を中心とした
前記リング部の回転における振り幅が制限される
形状である、ことを特徴とするルアー。
【請求項2】
前記リング部は、ワイヤーが複数回巻回されて構成されており、
前記リング部において巻回方向に対して垂直な断面の長手方向の長さを一辺の長さとし、前記リング部において巻回方向に対して垂直な断面の短手方向の長さを前記一辺と直交する辺の長さとする矩形の対角線の長さは、前記取付孔の短手方向の長さよりも長い、請求項1
に記載のルアー。
【請求項3】
前記リング部における前記本体部に対する振り幅の角度は180度未満である、請求項1
または請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記本体部の上方に、前記本体部と一体に形成された、リング部を介して釣り糸が連結されるための糸取付部、を備え、
前記糸取付部には貫通孔である取付孔が形成され、
前記糸取付部に形成された前記取付孔には、前記リング部が挿通されることで、前記糸取付部に前記リング部が連結され、
前記糸取付部に形成された前記取付孔の内側面は
、当該取付孔の貫通方向を中心とした
前記リング部の回転における振り幅を制限し、
前記針取付部は複数であり、前記本体部の下方に位置し、
複数の前記針部はそれぞれ前記リング部により、複数の前記針取付部にそれぞれ取り付けられ、
前記釣り糸は前記リング部により、前記糸取付部に取り付けられ、
複数の前記針取付部のそれぞれに形成された複数の前記取付孔は、複数の前記針取付部のそれぞれに取り付けられる複数の前記針部同士が離間するように、前記リング部の振り幅を制限するように配置されていて、
前記糸取付部に形成された前記取付孔は、前記リング部が前側において回転するように前記リング部の振り幅を制限するように配置されている、請求項1~請求項3のいずれか
1項に記載のルアー。
【請求項5】
前記本体部は板状部を有し、
前記取付孔は、前記板状部に孔あけ加工されることで形成されている、請求項1~請求項4のいずれか
1項に記載のルアー。
【請求項6】
前記針取付部に連結される前記リング部と、
前記リング部を介して前記針取付部に取り付けられ、前記本体部に対して可動である針部と、をさらに備えている、請求項1~請求項5のいずれか
1項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに用いられるルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ルアーを用いた魚釣りであるルアーフィッシングが行われている。ルアーとは、いわゆる疑似餌であり、魚釣りの対象となる魚の餌(小魚等)に似せた形状である。ルアーが釣り糸に引かれて水中を進むことにより、魚が餌と間違えてルアーに食いつき、ルアーに備えられた釣り針に魚が引っ掛かることで魚を釣り上げることができる。釣り糸に引かれることによりルアーは水中を進むが、この際、ルアーは餌である小魚等に似た動きを行い、魚がルアーに食いつきやすくなるように誘導する。
【0003】
ルアーの本体は、釣り針を連結するための取付孔部を有している。取付孔部には貫通孔である取付孔が形成され、取付孔はスプリットリングと連結されている。スプリットリングはさらに、釣り針と連結されている。これにより、釣り針は、取付孔部周辺を支点としてルアーの本体に対して自由に動くことができる。
【0004】
ルアーにより釣りを行っている際に、釣り糸に釣り針が絡むことがある。釣り糸に釣り針が絡んだ状態では、釣り糸に引かれてルアーが水中を進む際に、ルアーの動作が制限され、所望とするルアーの動きを得ることができない可能性がある。そのため、ルアーが魚の注意を引かず、魚の食いつきが悪くなるという問題があった。また、ルアー本体に釣り針が引っ掛ることもあり、この場合もルアー本体の動作を制限して、所望の動きを得ることができなくなる可能性がある。
【0005】
このような問題を解消するために、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、水に沈むように形成したルアーの後部に、左右に突出する翼部を設け、釣り針と翼部とが干渉することにより、釣り針の可動範囲を制限することで、釣り糸と釣り針とが絡みにくいルアーが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、ルアーボディの腹部側に凹部が設けられ、この凹部の内部に取り付けられたフックアイにスプリットリングを介してフック(釣り針)が取り付けられた構成の釣り用ルアーが開示されている。このルアーによれば、凹部によりフックの揺動範囲が規制されることから、ルアーボディやライン(釣り糸)にフックが絡まりにくい。
【0007】
また、特許文献3には、尾部側と頭部側との間にガイドレールが架設されたボディと、ガイドレールに沿って移動可能且つ自軸回りに回転可能に取付けられる取付け部を有するフックと、を備えたルアーが開示されている。このルアーによれば、フックがラインに絡まった場合でも、フックがガイドレールに沿って移動することにより、容易にフックがラインからはずれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2002-176883号公報
【文献】特開2022-13978号公報
【文献】特開2020-124120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示されたルアーでは、左右に突出する翼部をルアーに設けることから、翼部を設けたことによるルアーの動作への影響も考慮する必要があり、ルアーの設計の自由度が狭くなるとの問題がある。
【0010】
また、特許文献2に開示されたルアーでは、ルアーボディに凹部を形成する必要があり、製造工程が増えることとなる。また、狭い空間である凹部内にフックアイが設けられていることから、スプリットリングの取り外しが困難になり、フックの付け替え作業が行いにくくなる可能性がある。
【0011】
また、特許文献3に開示されたルアーは、ガイドレールを設けることが必要であり、部品点数及び製造工程が増えることとなる。また、ガイドレールを取り付けることから、ルアーの動作におけるガイドレールによる影響も考慮する必要があり、ルアーの設計の自由度が狭くなるとの問題がある。また、特許文献3に開示されたルアーは、フックにラインが絡んだとしても外れやすいものであり、そもそもフックにラインが絡むことを阻止するものではなく、直接問題を解消するものではない。
【0012】
上述のように、釣り針が釣り糸等に絡みにくい構成のルアーは、種々提案されているが、さらに改善が求められている。
【0013】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、設計の自由度があり、容易に製造することができるうえ、釣り針の付け替えが容易であり、釣り針が釣り糸及びルアー本体に絡みにくいルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係るルアーは、本体部と、前記本体部と一体に形成された、リング部を介して針部が連結されるための針取付部と、を備え、前記針取付部には貫通孔である取付孔が形成され、前記取付孔には、前記リング部が挿通されることで、前記針取付部に前記リング部が連結され、前記取付孔の形状は、半円状、矩形、長穴形状または三角形であり、かつ、前記取付孔の内側面が前記リング部と干渉して、前記取付孔の貫通方向を中心とした前記リング部の回転における振り幅が制限される形状である、ことを特徴とする。
【0015】
このように、針取付部にリング部を連結した場合に、リング部における取付孔の貫通方向を中心とした回転における振り幅が制限されることから、リング部を介して連結される針部が本体部に連結される釣り糸や本体部に絡みにくく、水中でのルアーの動作に異常が生じにくく、魚釣りを楽しむことができる。また、取付孔の内側面にリング部が当たることによりリング部の振り幅が制限されることから、容易に実現でき、製造も容易である。また、取付孔の内側面によりリング部の振り幅を制限するので、本体部の形状に影響を与えにくく、ルアーの設計の自由が狭くなることもないし、取付孔に針部を連結及び分離することを阻害するものではなく、容易に針部の付け替を行うことができる。
【0016】
また、上記ルアーにおいて、前記リング部は、ワイヤーが複数回巻回されて構成されており、前記リング部において巻回方向に対して垂直な断面の長手方向の長さを一辺の長さとし、前記リング部において巻回方向に対して垂直な断面の短手方向の長さを前記一辺と直交する辺の長さとする矩形の対角線の長さは、前記取付孔の短手方向の長さよりも長いこととしてもよい。
【0017】
これにより、簡単な構成で、取付孔の内側面によって、リング部における取付孔の貫通方向を中心とした回転における振り幅が制限される。したがって、針部が本体部に連結された釣り糸や本体部に絡みにくい。また、取付孔に針部を連結及び分離することを阻害することもない。
【0018】
また、上記ルアーにおいて、前記リング部における前記本体部に対する振り幅の角度は180度未満であることとしてもよい。
【0019】
これにより、針部の可動範囲がより確実に制限され、針部が本体部に連結された釣り糸や本体部に絡みにくい。
【0020】
また、上記ルアーにおいて、前記本体部の上方に、前記本体部と一体に形成された、リング部を介して釣り糸が連結されるための糸取付部、を備え、前記糸取付部には貫通孔である取付孔が形成され、前記糸取付部に形成された前記取付孔には、前記リング部が挿通されることで、前記糸取付部に前記リング部が連結され、前記糸取付部に形成された前記取付孔の内側面は、当該取付孔の貫通方向を中心とした前記リング部の回転における振り幅を制限し、前記針取付部は複数であり、前記本体部の下方に位置し、複数の前記針部はそれぞれ前記リング部により、複数の前記針取付部にそれぞれ取り付けられ、前記釣り糸は前記リング部により、前記糸取付部に取り付けられ、複数の前記針取付部のそれぞれに形成された複数の前記取付孔は、複数の前記針取付部のそれぞれに取り付けられる複数の前記針部同士が離間するように、前記リング部の振り幅を制限するように配置されていて、前記糸取付部に形成された前記取付孔は、前記リング部が前側において回転するように前記リング部の振り幅を制限するように配置されていることとしてもよい。
【0021】
これにより、針部が本体部に連結された釣り糸や本体部に絡むといった不具合が生じにくく、水中でのルアーの動作に異常が生じにくく、魚釣りを楽しむことができる。
【0022】
また、上記ルアーにおいて、前記本体部は板状部を有し、前記取付孔は、前記板状部に孔あけ加工されることで形成されていることとしてもよい。
【0023】
これにより、取付孔を容易に形成することができる。したがって、製造が容易である。
【0024】
また、上記ルアーにおいて、前記針取付部に連結される前記リング部と、前記リング部を介して前記針取付部に取り付けられ、前記本体部に対して可動である針部と、をさらに備えていることとしてもよい。
【0025】
これにより、ルアーはリング部及び針部を備えることから、魚釣りに利用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、設計の自由度があり、容易に製造することができるうえ、釣り針の付け替えが容易であり、釣り針が釣り糸及びルアー本体に絡みにくいルアーを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態に係るルアーの構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るルアー本体の構成を示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るスプリットリングの構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための針取付部の拡大側面図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの第1の模式図である。
【
図5B】本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの第2の模式図である。
【
図5C】本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの第3の模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るスプリットリングの断面を示す模式図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るルアーにおける釣り針と釣り糸との関係を示す側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るルアーにおける釣り針同士の関係を示す側面図である。
【
図9】本発明の他の第1実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの模式図である。
【
図10】本発明の他の第2実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの模式図である。
【
図11】本発明の他の第3実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの模式図である。
【
図12】比較例に係るルアーにおける釣り針と釣り糸との関係を示す側面図である。
【
図13】比較例に係るルアーにおける釣り針同士の関係を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態に係るルアーについて、図面を用いて以下に説明する。以下に説明する本発明の実施形態に係るルアーは、釣り針と連結されたスプリットリングが連結される取付孔の形状等により、スプリットリングの可動範囲を制限することにより、釣り針が釣り糸等に引っ掛かることを抑制するものである。
【0029】
(実施形態)
本発明の実施形態に係るルアーの構成について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るルアーの構成を示す斜視図である。また、
図2は、本発明の実施形態に係るルアー本体の構成を示す側面図である。なお、
図1及び
図2における座標について、ルアー100において、左右方向をX軸方向とし、前後方向をZ軸方向とし、上下方向をY軸方向とする。より具体的には、左側をX軸正方向側とし、右側をX軸負方向側とし、ルアー100を魚に見立てて背側(上側)をY軸正方向側とし、腹側(下側)をY軸負方向側とし、頭側(前側)をZ軸正方向側とし、尾びれ側(後側)をZ軸負方向側とする。また、これ以降の図面において、座標が記載されている場合も同様とし、ルアーにおいて、左側をX軸正方向側とし、右側をX軸負方向側とし、背側(上側)をY軸正方向側とし、腹側(下側)をY軸負方向側とし、頭側(前側)をZ軸正方向側とし、尾びれ側(後側)をZ軸負方向側とする。また、図面によっては、X軸のみ示している場合もあるが、これらにおいても上述したように、ルアーの左右方向がX軸方向であり、左側をX軸正方向側とし、右側をX軸負方向側とする。
【0030】
図1に示すように、ルアー100は、ルアー本体1と、ルアー本体1に連結される3つのスプリットリング45、46、47と、スプリットリング45及びスプリットリング46にそれぞれ連結される2つの釣り針5及び釣り針6と、を備えている。
【0031】
ルアー本体1は、例えばステンレス等の金属により形成されて、餌となる魚に似せた形状である。ルアー本体1の前側には鉛等の重りを設置された重り部11が形成されており、重り部11以外の箇所は左右方向に対して略垂直である主面を有する平板状である板状部12である。
【0032】
ルアー本体1の上側には貫通孔である取付孔71が形成された糸取付部7が配置されていて、ルアー本体1の下側の前側には貫通孔である取付孔21が形成された針取付部2が配置されていて、ルアー本体1の下側の後側には貫通孔である取付孔31が形成された針取付部3が配置されている。これら糸取付部7、針取付部2及び針取付部3はいずれも板状部12に形成されていて、それぞれスプリットリング47、スプリットリング45及びスプリットリング46が取り付けられる。また、これらのそれぞれに形成された取付孔71、取付孔21及び取付孔31は半円状の形状である。上述したように、糸取付部7、針取付部2及び針取付部3は板状部12に形成されており、板状部12を孔あけ加工されることにより、これら取付孔71、取付孔21及び取付孔31が形成されている。このように、取付孔71、取付孔21及び取付孔31は、板状部12を孔あけ加工することに形成されることから、容易に形成される。なお、取付孔71、取付孔21及び取付孔31の貫通方向は、板状部12の主面に対して垂直方向であり、ルアー100の左右方向であるX軸方向に沿っている。また、特に
図2に示すように、取付孔21、31及び取付孔71は半円状である。
【0033】
取付孔71にはスプリットリング47が挿通されて連結されていて、スプリットリング47はスイベル81を介して釣り糸8に連結されている。なお、スイベル81は、釣り糸8の捩れを抑止する部材であり、釣り糸8はスイベル81に直接結ばれている。このようにスプリットリング47を用いることで、ルアー本体1と釣り糸8との連結及び分離を容易に行うことができる。なお、本実施形態では、スプリットリング47はスイベル81を介して釣り糸8と連結されているが、例えば、スイベル81が用いられず、釣り糸8がスプリットリング47に直接結ばれることとしてもよい。また、スイベル81以外の部品を介して、釣り糸8がスプリットリング47に連結されるようにしてもよい。
【0034】
また、釣り針5及び釣り針6は、それぞれの一端に形成された輪状であるリング取付部51及びリング取付部61を有している。リング取付部51がスプリットリング45に連結され、さらに、釣り針5が連結されたスプリットリング45が取付孔21に挿通されて連結される。また、リング取付部61がスプリットリング46に連結され、さらに、釣り針6が連結されたスプリットリング46が取付孔31に挿通されて連結される。このように、釣り針5及び釣り針6はスプリットリング45及びスプリットリング46を介してルアー本体1に取り付けられる(連結される)。
【0035】
ここで、スプリットリング45、46、47の構成について、図面を用いて説明する。
図3は、本発明の実施形態に係るスプリットリングの構成を示す斜視図である。なお、スプリットリング45、46、47は、いずれも同様の構成である。
【0036】
図3に示すように、スプリットリング45、46、47は、ステンレス等の金属製のワイヤー4を複数回巻回することで構成されている。なお、本実施形態のスプリットリング45、46、47は円形状であるが、例えば楕円形状等、その他の形状であってもよい。ワイヤー4は2つの端部41を有する棒状であり、このワイヤー4が巻回されて、それぞれスプリットリング45、46、47が形成されている。なお、本実施形態のスプリットリング45、46、47は二重巻き(2回巻き)であるが、スプリットリング45、46、47の構成はこれに限定されず、ワイヤー4が、さらに多くの回数巻回された構成であってもよい。このように、ワイヤー4が巻回されることで、スプリットリング45、46、47が構成されていることから、スプリットリング45、46、47には、ワイヤー4の各端部41付近に、隣接するワイヤー4同士が接触している切れ目部分42が存在する。この切れ目部分42を用いてスプリットリング45、46、47を操作することにより、貫通孔である取付孔21、31、71にスプリットリング45、46、47を容易に挿通することができる。具体的には、スプリットリング45、46、47において2つのワイヤー4が互いに当接して並んで配置されているが、いずれかの切れ目部分42において、これら2つのワイヤー4を離間させて取付孔21、31、71に端部41を挿通することにより、取付孔21、31、71にスプリットリング45、46、47を容易に挿通することができる。
【0037】
このように、スプリットリング45、46、47は、これら取付孔21、31、71に容易に挿通して連結することができる。また、取付孔21、31、71に連結されたスプリットリング45、46、47は、スプリットリング45、46、47を操作することにより、切れ目部分42を用いて容易に取付孔21、31、71から分離することも可能である。ただし、スプリットリング45、46、47を取付孔21、31、71に連結したり、分離したりするためには、スプリットリング45、46、47を操作する必要があり、取付孔21、31、71に連結されたスプリットリング45、46、47を単に引っ張るだけでは、取付孔21、31、71に連結されたスプリットリング45、46、47が容易に分離することはない。
【0038】
このように、簡単な操作でスプリットリング45、46、47を取付孔21、31、71(針取付部2、針取付部3、糸取付部7)に連結及び分離が可能であることから、ルアー本体1に対して釣り針5、6及び釣り糸8を容易に連結及び分離が可能である。スプリットリング45、46、47を取付孔21、31、71に連結することにより、上述したように2つのワイヤー4が互いに当接して並んで配置された構成であるスプリットリング45、46、47が、取付孔21、31、71の内側に位置することとなる。
【0039】
上述したように、取付孔21、31及び取付孔71は半円状であり、これらに挿通されて連結されたスプリットリング45、46及びスプリットリング47の可動範囲が、取付孔21、31及び取付孔71によって制限される。具体的には、スプリットリング45は、取付孔21の貫通孔方向であるX軸方向を中心とした回転動作の範囲が制限される。また、スプリットリング46は、取付孔31の貫通方向であるX軸方向を中心とした回転動作が制限される。また、スプリットリング47は、取付孔71の貫通方向であるX軸方向を中心とした回転動作が制限される。
【0040】
スプリットリング45、46及びスプリットリング47の可動範囲の制限について、図面を用いて、以下に説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための針取付部の拡大側面図である。なお、
図4では、取付孔21とスプリットリング45との関係について示されており、取付孔31及び取付孔71と、スプリットリング46及びスプリットリング47との関係については示されていないが、これらの関係も取付孔21とスプリットリング45との関係と同様であることから、説明は省略する。
【0041】
図4に示すように、針取付部2に形成された半円状の取付孔21に、スプリットリング45が挿通されて連結されている。なお、スプリットリング45は、釣り針5のリング取付部51とも連結されている。ここで、取付孔21の内側面は、スプリットリング45と干渉し、ルアー100の左右方向であるX軸方向を中心とした回転における振り幅が制限される。つまり、スプリットリング45が、取付孔21内においてX軸方向を中心として回転する場合に、一定の範囲において回転することで、スプリットリング45が取付孔21の内側面に当接し、それ以上、回転を行うことができなくなる。このように、X軸方向を中心とした回転において、スプリットリング45の可動範囲が取付孔21により制限されている。
【0042】
具体的には、スプリットリング45の振り幅は角度θである。この角度θが大きければ大きいほどルアー本体1に対する釣り針5の可動範囲が大きくなり、この角度θが小さければ小さいほどルアー本体1に対する釣り針5の可動範囲が小さくなる。なお、スプリットリング45(スプリットリング46)は、リング取付部51(リング取付部61)の内側面とは干渉しにくく、スプリットリング45(スプリットリング46)に対する釣り針5(釣り針6)の可動範囲は特に制限されていない。
【0043】
ここで、角度θは、180度未満であることが好ましい。また、角度θは90度未満であれば、さらに好ましい。角度θは、小さいほど好ましい。ただし、スプリットリング45の振り幅を小さくするためには、取付孔21の径を小さくすればよいが、取付孔21の径をあまり小さくし過ぎると、取付孔21にスプリットリング45に連結することが困難になるため、スプリットリング45の連結のしやすさも考慮して取付孔21の径及び形状を決定することが好ましい。
【0044】
上述したように、スプリットリング45においてX軸方向を中心とした回転における振り幅が制限されることにより、釣り針5の可動範囲も制限されることとなる。そのため、釣り針5の可動範囲が大きくなりすぎて、糸取付部7の取付孔71に連結されている釣り糸8に絡む、といった不具合が抑制される。
【0045】
なお、同様に、取付孔31の内側面は、釣り針6のリング取付部61と連結されるスプリットリング46と干渉し、X軸方向を中心とした回転における振り幅が制限される。その振り幅である角度θも180度未満であることが好ましい。また、角度θは90度未満であれば、さらに好ましい。角度θは、小さいほど好ましい。ただし、取付孔31の径及び形状は、スプリットリング46の連結のしやすさも考慮して決定することが好ましい。
【0046】
このように、スプリットリング45だけでなく、スプリットリング46、47についても、X軸方向を中心とした回転における振り幅が制限されていることから、釣り針6の可動範囲も制限されることとなる。そのため、釣り針6の可動範囲が大きくなりすぎて、釣り糸8に絡むといった不具合が抑制される。さらに、釣り針5及び釣り針6が絡むことも抑制される。
【0047】
さらに、同様に、取付孔71の内側面も、釣り糸8と連結されるスプリットリング47と干渉し、X軸方向を中心とした回転における振り幅が制限される。その振り幅である角度θも180度未満であることが好ましい。また、角度θは90度未満であれば、さらに好ましい。角度θは、小さいほど好ましい。ただし、取付孔71の径及び形状は、スプリットリング47の連結のしやすさも考慮して決定することが好ましい。
【0048】
ここで、取付孔21、31、71の一例として、具体的な形状等について、図面を用いて説明する。なお、取付孔21、31、71はいずれも同じ形状等とすればよい。それにより、これら取付孔21、31、71の形成が簡単である。また、スプリットリング45、46、47も同じタイプのものを用いればよい。つまり、スプリットリング45、46、47はいずれも形状等が同じものとすればよい。なお、取付孔21、31、71及びスプリットリング45、46、47はいずれも同じ形状等とすることから、以下の説明では、取付孔21及びスプリットリング45について説明する。取付孔31、71及びスプリットリング46、47についての説明は省略するが、取付孔21及びスプリットリング45と同様とすればよい。
【0049】
図5Aは、本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの第1の模式図である。また、
図5Bは、本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの第2の模式図である。また、
図5Cは、本発明の実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの第3の模式図である。
【0050】
図5A、
図5B及び
図5Cは、X軸正方向からX軸負方向に向かって取付孔21を見た場合の取付孔21におけるスプリットリング45の断面を模式的に示している。なお、このスプリットリング45の断面は、スプリットリング45においてワイヤー4の巻回方向に対して垂直面による断面図である。なお、後述する
図6におけるスプリットリング45の断面も同様である。
【0051】
図5Aに示すように、スプリットリング45は取付孔21において可動であるように、取付孔21の内側の形状に比べてスプリットリング45の断面形状は小さい。ここで、スプリットリング45が取付孔21内において傾斜した場合、傾斜する限界は
図5B及び
図5Cに示す状態である。なお、
図5B及び
図5Cは、それぞれ、取付孔21内においてスプリットリング45が互いに異なる方向に傾斜した状態を示している。
図5B及び
図5Cのいずれにおいても、スプリットリング45の外形が取付孔21の内側面に干渉して、それ以上傾斜することができない。
【0052】
つまり、取付孔21内においてスプリットリング45がX軸方向を中心として回転方向Lに回転する場合は、スプリットリング45が所定の角度だけ回転すると、スプリットリング45が取付孔21の内側面の点A1及び点B1のそれぞれに当接することとなり、それ以上スプリットリング45が回転できなくなる。このように、スプリットリング45は、取付孔21内におけるX軸方向を中心とした回転方向Lへの回転が制限されている。また、取付孔21内においてスプリットリング45がX軸方向を中心として回転方向Rに回転する場合は、スプリットリング45が所定の角度だけ回転すると、スプリットリング45が取付孔21の内側面の点A2及び点B2のそれぞれに当接することとなり、それ以上スプリットリング45が回転できなくなる。このように、スプリットリング45は、取付孔21内におけるX軸方向を中心とした回転方向Rへの回転が制限されている。したがって、取付孔21に連結している状態のスプリットリング45の振り幅は、
図5Bに示す状態から
図5Cに示す状態の間である。
【0053】
このように、スプリットリング45が取付孔21に連結した状態で、X軸方向を中心として回転する場合に、スプリットリング45が取付孔21の内側面と当接して、それ以上回転できなくなることで、取付孔21に連結されたスプリットリング45におけるX軸方向を中心として回転の範囲が制限される。ここで、上述したように、取付孔21内における、X軸方向を中心としたスプリットリング45の回転の範囲が制限されるためには、点A1及び点B1間の距離と、点A2及び点B2間の距離とが、それぞれ取付孔21の短手方向の長さである長さsよりも長い。これにより、スプリットリング45は取付孔21内におけるX軸方向を中心とした回転において、取付孔21の内側面の点A1、B1、及び、点A2、B2のそれぞれに当接してそれ以上の回転が制限される。なお、上述したように、スプリットリング45の振り幅は角度θであり、角度θは、点A1及び点B1間の距離、点A2及び点B2間の距離、長さs、取付孔21の形状及びワイヤー4の直径や断面形状等により決まることとなる。
【0054】
上述したように、取付孔21の内側面により、X軸方向を中心としたスプリットリング45の回転における振り幅が制限されるが、本実施形態においては、以下の構成とする。ここで、
図6は、本発明の実施形態に係るスプリットリングの断面を示す模式図である。
図6に示すように、スプリットリング45の断面において長手方向の長さである長さaと、スプリットリング45の断面において短手方向の長さである長さbとを、各辺とする矩形の対角線の長さを長さcとする。このとき、長さcは、取付孔21の短手方向の長さである長さs(
図5Aを参照)よりも長い。これにより、スプリットリング45の振り幅の角度θは180度未満となる。なお、長さbはスプリットリング45を構成するワイヤー4の直径と同じであり、長さaはその2倍である。また、取付孔21は半円状であることから、長さsは取付孔21の半径と同じ値となる。
【0055】
なお、上述したように、スプリットリング45の振り幅である角度θは、180度未満であることが好ましく、90度未満であれば、さらに好ましい。また、角度θは、小さいほど好ましい。角度θの値に応じて、長さa、長さb、長さsの値を決めればよい。例えば、長さbを1.5mmとし、長さaを3mmとし、長さsを2.5mmとした場合は、角度θは68度となる。なお、角度θ、長さa、長さb及び長さsの値は、これに限定されるわけではなく、釣り針5、6や釣り糸8が絡みにくく、釣り針5、6に魚が食いつきやすくなるようにすればよい。
【0056】
上述したように、本実施形態に係るルアー100において、取付孔21、31、71に挿通されて連結されたスプリットリング45、46、47が、取付孔21、31、71の内側面と干渉して、X軸方向を中心とした回転動作が制限されている。これにより、釣り針5及び釣り針6が釣り糸8に絡むことや、釣り針5及び釣り針6同士が絡むこと等が抑止される。これについて、図面を用いて説明する。
図7は、本発明の実施形態に係るルアーにおける釣り針と釣り糸との関係を示す側面図である。また、
図8は、本発明の実施形態に係るルアーにおける釣り針同士の関係を示す側面図である。
【0057】
図7に示すように、釣り針5及び釣り針6が背側(上側)であるY軸正方向側に移動している場合であっても、スプリットリング45及びスプリットリング46におけるX軸方向を中心とした回転動作の範囲が制限されていることから、釣り糸8に容易に届くことはなく、釣り針5及び釣り針6は釣り糸8に絡みにくい。また、
図8に示すように、釣り針5が尾びれ側(後側)であるZ軸負方向側に移動し、かつ、釣り針6が頭側(前側)であるZ軸正方向側に移動した場合でも、スプリットリング45及びスプリットリング46におけるX軸方向を中心とした回転動作の範囲が制限されていることから、釣り針5及び釣り針6同士が互いに届くことはなく、釣り針5及び釣り針6同士が絡むことが防止される。
【0058】
なお、本実施形態に係るルアー100は、背側(上側)に釣り糸8が連結された構成であり、いわゆるバイブレーション型のルアーである。このルアー100において、釣り針5、6が釣り糸8に絡みにくくするためには、例えば、スプリットリング47が頭側(前側)に向かって配置されることが好ましい。つまり、取付孔71における頭側(前側)が尾びれ側(後側)よりも下側となるように、取付孔71がZ軸方向に対して傾斜した配置とすることが好ましい。これにより、スプリットリング47は取付孔71から頭側(前側)に向かうような配置となる。これにより、釣り糸8が、腹側(下側)であるY軸負方向側に配置された釣り針5及び釣り針6に絡みにくい。
【0059】
また、ルアー100において、スプリットリング45が取付孔21から尾びれ側(後側)に向かう配置だと、釣り針5が釣り針6と絡みやすくなるため、スプリットリング45が頭側(前側)に向かって配置されることが好ましい。また、スプリットリング46が取付孔31から頭側(前側)に向かう配置だと、釣り針6が釣り針5と絡みやすくなるため、スプリットリング46が尾びれ側(後側)に向かって配置されることが好ましい。スプリットリング45及びスプリットリング46がこのような配置となるように、取付孔21及び取付孔31が配置されることが好ましい。なお、取付孔21、31、71内における、スプリットリング45、46、47のX軸方向を中心とする回転範囲等については、ルアーの構造等に応じて、好ましい態様を選択することが好ましい。つまり、取付孔21、31、71のそれぞれが配置される位置及び角度や、これら取付孔21、31、71におけるスプリットリング45、46、47のX軸方向を中心とした回転における振り幅の制限により、釣り針5、6が釣り糸8に絡まることや、釣り針5及び釣り針6同士が絡まることを抑制することができる。
【0060】
上記説明では、取付孔21、31、71の形状等が同一であるとしたが、これらの大きさや形状等をそれぞれ異なるものとしてもよい。また、スプリットリング45、46、47も、それぞれ異なるタイプを用いてもよい。また、取付孔21、31、71の形状は、半円状としたが、スプリットリング45、46、47の振り幅を制限できればよく、半円状以外の形状であってもよい。以下に、取付孔21、31、71の形状が半円状以外である他の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0061】
(他の実施形態)
以下に、本発明の他の第1~第3実施形態について説明する。他の第1~第3実施形態は、スプリットリング45、46、47を挿通して連結する取付孔の形状が、上記本実施形態とは異なり、それ以外の構成は本実施形態と同様であることから、これら取付孔の形状について説明し、それ以外の説明は省略する。なお、本実施形態と同様の部材については同様の符号を用いる。
【0062】
図9は、本発明の他の第1実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの模式図である。また、
図10は、本発明の他の第2実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの模式図である。また、
図11は、本発明の他の第3実施形態に係る取付孔とスプリットリングとの関係を説明するための取付孔とスプリットリングとの模式図である。
【0063】
なお、
図9、
図10及び
図11を用いた説明において、
図5Aと同様に、スプリットリング45を挿通して連結する取付孔21a、21b、21cについて説明し、スプリットリング46、47を挿通して連結する取付孔についての説明は省略する。これらの取付孔についても、取付孔21a、21b、21cと同様の構成とすればよい。なお、
図9、
図10及び
図11は、
図5Aと同様に、X軸正方向からX軸負方向に向かって取付孔21a、21b、21cを見た場合のこれら取付孔21a、21b、21cにおけるスプリットリング45の断面を模式的に示している。
【0064】
まず、他の第1実施形態について説明する。
図9に示すように、他の第1実施形態に係る取付孔21aは矩形である。スプリットリング45は取付孔21aにおいて可動であるように、取付孔21aの内側の形状に比べてスプリットリング45の断面形状は小さい。ここで、スプリットリング45が取付孔21a内においてX軸方向を中心として回転する場合は、スプリットリング45の外形が取付孔21aの内側面に干渉して、上記本実施形態(
図5A、
図5B、
図5Cを参照)と同様に、スプリットリング45の回転の範囲が制限される。したがって、スプリットリング45が取付孔21aに連結している状態の振り幅が制限される。つまり、スプリットリング45は、取付孔21aの貫通孔方向であるX軸方向を中心とした回転動作が制限される。
【0065】
ここで、スプリットリング45の断面において短手方向の長さである長さbとを、各辺とする矩形の対角線の長さである長さcは(
図6を参照)、取付孔21aの短手方向の長さである長さsaよりも長い。これにより、スプリットリング45の振り幅の角度θは180度未満となる。なお、スプリットリング45の振り幅である角度θは、180度未満であることが好ましく、90度未満であれば、さらに好ましい。また、角度θは、小さいほど好ましい。
【0066】
次に、他の第2実施形態について説明する。
図10に示すように、他の第2実施形態に係る取付孔21bは長穴形状である。スプリットリング45は取付孔21bにおいて可動であるように、取付孔21bの内側の形状に比べてスプリットリング45の断面形状は小さい。ここで、スプリットリング45が取付孔21b内においてX軸方向を中心として回転する場合は、スプリットリング45の外形が取付孔21bの内側面に干渉して、上記本実施形態(
図5A、
図5B、
図5Cを参照)と同様に、スプリットリング45の回転の範囲が制限される。したがって、スプリットリング45が取付孔21bに連結している状態の振り幅が制限される。つまり、スプリットリング45は、取付孔21bの貫通孔方向であるX軸方向を中心とした回転動作が制限される。
【0067】
また、長さcは、取付孔21bの短手方向の長さである長さsbよりも長い。これにより、スプリットリング45の振り幅の角度θは180度未満となる。なお、スプリットリング45の振り幅である角度θは、180度未満であることが好ましく、90度未満であれば、さらに好ましい。また、角度θは、小さいほど好ましい。
【0068】
次に、他の第3実施形態について説明する。
図11に示すように、他の第3実施形態に係る取付孔21cは三角形である。スプリットリング45は取付孔21cにおいて可動であるように、取付孔21cの内側の形状に比べてスプリットリング45の断面形状は小さい。ここで、スプリットリング45が取付孔21c内においてX軸方向を中心として回転する場合は、スプリットリング45の外形が取付孔21cの内側面に干渉して、上記本実施形態(
図5A、
図5B、
図5Cを参照)と同様に、スプリットリング45の回転の範囲が制限される。したがって、スプリットリング45が取付孔21cに連結している状態の振り幅が制限される。つまり、スプリットリング45は、取付孔21cの貫通孔方向であるX軸方向を中心とした回転動作が制限される。
【0069】
また、長さcは、取付孔21cの短手方向の長さである長さscよりも長い。これにより、スプリットリング45の振り幅の角度θは180度未満となる。なお、スプリットリング45の振り幅である角度θは、180度未満であることが好ましく、90度未満であれば、さらに好ましい。また、角度θは、小さいほど好ましい。
【0070】
(比較例)
ここで、比較例として、本発明とは異なる構成のルアーについて図面を用いて説明する。
図12は、比較例に係るルアーにおける釣り針と釣り糸との関係を示す側面図である。また、
図13は、比較例に係るルアーにおける釣り針同士の関係を示す側面図である。
【0071】
図12及び
図13に示すように、比較例におけるルアー500は、ルアー本体501と、ルアー本体501に一体に形成された針取付部502、503及び糸取付部507と、を有し、針取付部502、503及び糸取付部507には、それぞれ、円形状の貫通孔である取付孔521、531、571が形成されている。そして、取付孔521、531、571には、それぞれスプリットリング545、546、547が挿通されて連結されている。さらに、スプリットリング545、547にはそれぞれ釣り針505、506が連結され、スプリットリング547にはスイベル581を介して釣り糸508が連結されている。また、スプリットリング545、546、547は、取付孔521、531、571においてX軸方向を中心とした回転動作が制限されることはない。
【0072】
このため、
図12に示すように、スプリットリング547が、取付孔571から尾びれ側(後側)及び腹側(下側)に向かう配置となることがある。また、スプリットリング545が、取付孔521から背側(上側)に向かうような配置となることや、スプリットリング546が、取付孔531から背側(上側)に向かうような配置となることがある。このため、釣り針505及び釣り針506が釣り糸508に絡みやすい。また、
図13に示すように、スプリットリング545が取付孔521から尾びれ側(後側)に向かい、スプリットリング546が取付孔531から頭側(前側)に向かう配置になることもある。これにより、釣り針505及び釣り針506同士が絡みやすい。このように、比較例におけるルアー500では、スプリットリング545、546、547におけるX軸方向を中心とした回転動作が制限されていないことから、釣り糸508に釣り針505、506が絡みやすく、釣り針505及び釣り針506同士も絡みやすい。
【0073】
以上説明したように、本実施形態及び他の実施形態に係るルアー100によれば、釣り針5、6をルアー本体1に連結するためのスプリットリング45、46の振り幅が制限されていることから、釣り針5、6の可動範囲も制限されるため、釣り針5、6が釣り糸8及びルアー本体1に絡むことが抑制される。また、釣り針5及び釣り針6が絡むことも抑制される。そのため、水中におけるルアー100の動作が異常になりにくく、魚の食いつきが低下することなく、魚釣りを楽しむことができる。
【0074】
また、釣り糸8をルアー本体1に連結するためのスプリットリング47についても振り幅が制限されていることから、釣り針5、6が釣り糸8に絡むことがより抑制される。
【0075】
なお、本発明に係るルアーは、上述した本実施形態に限定されるわけではない。ルアーにおいて釣り針が連結する箇所、連結される釣り針の数等は、上記実施形態に限定されるわけではない。また、上述したように、スプリットリングが連結される取付孔の形状や大きさは、取付孔の内側面によりスプリットリングの振り幅が制限されるものであれば、どのような形状等であってもかまわない。また、取付孔の傾斜の度合いや、取付孔間の距離や配置等についても、釣り針が釣り糸に絡むことや釣り針同士が絡むことを抑制できる構成とすればよい。
【0076】
また、本発明に係るルアーのルアー本体は、金属ではなく、樹脂や木材等により形成されていてもよく、板状部を有していない構造であってもよい。また、釣り針の取付孔は、例えばワイヤー等により形成されていてもよい。
【0077】
以上、本発明に係るルアーについて具体例を用いて説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではない。本発明の各部の構成等は、本発明の趣旨に沿って適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、魚釣りに用いられるルアーとして利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 ルアー本体(本体部)
2、3 針取付部
4 ワイヤー
5、6 釣り針(針部)
7 糸取付部
8 釣り糸
11 重り部
12 板状部
21、21a、21b、21c、31、71 取付孔
41 端部
42 切れ目部分
45、46、47 スプリットリング(リング部)
51、61 リング取付部
81 スイベル
100 ルアー
θ 角度
a、b、c、s、sa、sb、sc 長さ
L、R 回転方向
A1、A2、B1、B2 点
【要約】
【課題】設計の自由度があり、容易に製造することができるうえ、釣り針の付け替えが容易であり、釣り針が釣り糸及びルアー本体に絡みにくいルアーを提供する。
【解決手段】ルアー100は、ルアー本体1と、ルアー本体1と一体に形成された、スプリットリング45、46を介して釣り針5、6が連結されるための針取付部2、3と、を備えている。針取付部2、3には貫通孔である取付孔21、31が形成され、取付孔21、31にスプリットリング45、46が挿通されることで、針取付部2、3にスプリットリング45、46が連結され、取付孔21、31の内側面にスプリットリング45、46が当たることにより、スプリットリング45、46における取付孔21、31の貫通方向を中心とした回転における振り幅を制限する。
【選択図】
図4