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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】散髪用補助具及びこれを用いた散髪方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 24/36 20060101AFI20221020BHJP
   B26B 19/20 20060101ALI20221020BHJP
   B26B 19/42 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A45D24/36 E
B26B19/20
B26B19/42
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022061652
(22)【出願日】2022-04-01
【審査請求日】2022-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522132649
【氏名又は名称】合同会社クリエボ技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 善彦
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-110154(JP,A)
【文献】米国特許第04150483(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 24/36
B26B 19/20
B26B 19/42 - 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
散髪対象者の頭部に被着可能に形成され、頭髪を吸引しながらヘアカッターで切断する散髪に用いる散髪用補助具において、
散髪対象者の頭部の少なくとも一部を覆うように形成され、頭髪を外側に吸引可能な隙間を有するガイド部と、
ガイド部の内面の複数箇所に頭部に向かって細長く突出するように設けられ、先端を頭部の表面に当接させることによってガイド部と頭部の表面との間に切断後の頭髪の長さとほぼ同等の間隔を保持する棒状の間隔保持部材とを備えた
ことを特徴とする散髪用補助具。
【請求項2】
前記間隔保持部材は頭部の部位によって突出長さが異なるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の散髪用補助具。
【請求項3】
前記間隔保持部材をガイド部に着脱自在に設け、間隔保持部材を長さの異なる間隔保持部材に交換することにより間隔保持部材の突出長さを変えるように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の散髪用補助具。
【請求項4】
前記間隔保持部材をその一部が長さ方向所定位置で除去可能に形成し、間隔保持部材の一部を除去することにより間隔保持部材の突出長さを変えるように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の散髪用補助具。
【請求項5】
前記間隔保持部材をガイド部材に長さ方向に移動可能に取り付け、間隔保持部材を長さ方向に移動させることにより間隔保持部材の突出長さを変えるように構成した
ことを特徴とする請求項1記載の散髪用補助具。
【請求項6】
前記間隔保持部材は、間隔保持部材の突出長さが長い箇所よりも間隔保持部の突出長さが短い箇所の方が間隔保持部材の間隔が小さくなるように配置されている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の散髪用補助具。
【請求項7】
前記ガイド部及び間隔保持部材を有する補助具本体を備え、
補助具本体は、上下に分割された上側本体部及び下側本体部からなり、上側本体部及び下側本体部は互いに着脱自在に形成されている
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の散髪用補助具。
【請求項8】
前記上側本体部及び下側本体部はそれぞれ単独で散髪対象者の頭部に被着可能に形成されている
ことを特徴とする請求項記載の散髪用補助具。
【請求項9】
請求項記載の散髪用補助具を用いる
ことを特徴とする散髪方法。
【請求項10】
前記散髪用補助具を頭部の表面に沿って側頭部の下側または後頭部の下側にずらして側頭部の下側または後頭部の下側の頭髪を切断する
ことを特徴とする請求項9記載の散髪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば家庭で散髪を行うための散髪用補助具及びこれを用いた散髪方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、散髪をする際には、理髪店、理容店に赴き、理容師、美容師によって好みの髪型に散髪してもらうのが通常である。一方、理髪店等を利用せずに散髪する方法として、バリカン等のヘアカッターを用いて家庭で散髪する方法もある。しかしながら、ヘアカッターを使用した散髪は、一般の使用者にとっては不慣れな場合が多いため、頭髪を所望の長さに切り揃えることが困難であった。
【0003】
そこで、頭部を網状のガイドで覆うとともに、掃除機のノズルで頭髪を吸引しながらガイドに沿ってヘアカッターで切断することにより、頭髪の長さが頭部の表面とガイドの間隔と等しくなるように散髪する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-37847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来例では、吸引時に網状のガイドにノズルを押し当てると、その押圧力やノズルの吸引力によってガイドに撓みや変形が生じやすいため、頭部の表面とガイドとを所望の間隔に保つことができず、従来のガイドを用いた散髪方法では頭髪を所望の長さに切り揃えることは難しいという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、常に頭髪を所望の長さに切り揃えることのできる散髪用補助具及びこれを用いた散髪方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するために、散髪対象者の頭部に被着可能に形成され、頭髪を吸引しながらヘアカッターで切断する散髪に用いる散髪用補助具において、散髪対象者の頭部の少なくとも一部を覆うように形成され、頭髪を外側に吸引可能な隙間を有するガイド部と、ガイド部の内面の複数箇所に頭部に向かって細長く突出するように設けられ、先端を頭部の表面に当接させることによってガイド部と頭部の表面との間に切断後の頭髪の長さとほぼ同等の間隔を保持する棒状の間隔保持部材とを備えている。
【0008】
これにより、ガイド部が散髪対象者の頭部の表面との間に間隔をおいて配置されるとともに、ガイド部の間隙から頭髪が外側に吸引されながらヘアカッターで切断されることから、頭髪が頭部の表面とガイド部との間隔と同等の長さに切り揃えられる。その際、各間隔保持部材が先端を頭部の表面に当接することによってガイド部と頭部の表面との間に切断後の頭髪の長さとほぼ同等の間隔が保持されることから、ガイド部に吸引ノズルの押圧力や吸引力による撓みや変形が生ずることがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、頭髪を頭部の表面とガイド部との間隔と同等の長さに切り揃えることができるので、所望の髪型に容易に散髪することができる。その際、ガイド部に吸引ノズルの押圧力や吸引力による撓みや変形が生ずることがないので、頭部の表面とガイド部とを常に所定の間隔に保つことができる。これにより、散髪の完成度を高めることができるとともに、同じ髪型を毎回再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1の実施形態を示す散髪用補助具の側面図
図2】散髪用補助具の背面図
図3】X-X線矢視方向断面図
図4】ヘアカッターの側面図
図5】散髪対象者の側面図
図6】散髪用補助具の被着状態を示す側面図
図7】散髪用補助具の被着状態を示す側面断面図
図8】散髪用補助具の被着状態を示す背面図
図9】散髪用補助具の被着状態を示す背面断面図
図10】ヘアカッターによる散髪時の散髪用補助具を示す側面断面図
図11】本発明の第2の実施形態を示す補助具本体の要部背面図
図12】本発明の第3の実施形態を示す補助具本体の要部背面図
図13】本発明の第4の実施形態を示す間隔保持部材の側面図
図14】本発明の第5の実施形態を示す間隔保持部材の側面図
図15】長さの変更工程を示す間隔保持部材の側面図
図16】本発明の第6の実施形態を示す間隔保持部材の側面図
図17】長さの変更工程を示す間隔保持部材の側面図
図18】本発明の第7の実施形態を示す間隔保持部材の側面断面図
図19】長さの変更工程を示す間隔保持部材の断面側面図
図20】本発明の第8の実施形態を示す間隔保持部材の側面断面図
図21】本発明の第9の実施形態のヘアカッターによる散髪時の散髪用補助具を示す側面断面図
図22】本発明の第10の実施形態を示すヘアカッターの一部断面側面図
図23】ヘアカッターの正面図
図24】本発明の第11の実施形態を示す補助具本体の要部平面図
図25】散髪時の散髪用補助具を示す要部側面断面図
図26】本発明の第12の実施形態を示す散髪時の散髪用補助具の要部側面断面図
図27】本発明の第13の実施形態を示す散髪用補助具の背面断面図
図28】散髪用補助具の背面断面図
図29】本発明の第14の実施形態を示す散髪用補助具の側面図
図30】散髪用補助具の使用状態を示す側面図
図31】散髪用補助具の他の使用状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図10は本発明の第1の実施形態を示すもので、頭髪を吸引しながら切断するための散髪用補助具を示すものである。
【0012】
本実施形態の散髪用補助具1は、散髪対象者Aの頭部に被着される補助具本体10と、頭部の表面と補助具本体10との間に間隔を保持する多数の間隔保持部材20とを備えている。尚、図面では、各間隔保持部材20の位置を補助具本体10の外面において「○」で図示している。
【0013】
補助具本体10は、頭部に沿って左右方向及び上下方向に延びる多数の第1のガイド部11と、頭部に沿って前後方向及び上下方向に延びる多数の第2のガイド部12とを有し、各ガイド部11,12は互いに交差部分を接合された帯状の部材(例えば、合成樹脂)からなる。補助具本体10は、頭部を覆う部分のうち、頭頂部から側頭部及び後頭部の上下方向略中央に亘る第1の部分10aが第1及び第2のガイド部11,12によって格子状に形成され、側頭部及び後頭部の上下方向略中央から側頭部(耳部分を除く)及び後頭部の下端に亘る第2の部分10bが第1のガイド部11のみによって形成されている。この場合、第2の部分10bにおけるガイド部11,12の隙間は、第1の部分10aにおけるガイド部11,12の隙間よりも小さくなっている。
【0014】
また、補助具本体10は、側頭部のこめかみ部分から耳部分の上方を迂回するように後頭部の下方に沿って延びる周縁部13を有し、周縁部13には第1及び第2のガイド部11,12の端部が接続されている。フレーム13の端部には補助具本体10を散髪対象者Aに固定するための紐14が取り付けられており、周縁部13の端部には紐14の端部側を挿通する孔13aが設けられている。
【0015】
各間隔保持部材20は、補助具本体10の内面から補助具本体10の内側に向かって突出するように延びる棒状の部材からなり、各間隔保持部材20の先端は半球面状に丸くなるように形成されている。各間隔保持部材20は、第1及び第2のガイド部11,12の交差部分または第1及び第2のガイド部11,12の一方に、それぞれ互いに間隔をおいて取り付けられている。各間隔保持部材20は、その突出長さ(以下、単に「長さ」という。)Lが頭部の部位によって異なっており、本実施形態では、前頭部側の長さLが最も長く、側頭部及び後頭部では下方に向かうにしたがって長さLが徐々に短くなるように形成されている。この場合、各間隔保持部材20は、間隔保持部材20の長さLが長い部分よりも間隔保持部材20の長さLが短い部分の方が間隔保持部材20の間隔Sが小さくなるように配置されている。
【0016】
以上のように構成された散髪用補助具1を用いて散髪する場合は、図5に示すように髪の毛の伸びた散髪対象者Aの頭部に、図6及び図8に示すように散髪用補助具1を被着し、紐14を散髪対象者Aの顎に掛けて補助具本体10を頭部に固定する。その際、図7及び図9に示すように、各間隔保持部材20の先端が頭部の表面に当接し、補助具本体10が頭部の表面との間に各間隔保持部材20の長さLだけ間隔をおいて保持される。
【0017】
散髪対象者Aの頭部に散髪用補助具1を被着した後は、図4に示すヘアカッター30により切断する。このヘアカッター30は、例えば周知の電動式バリカンからなるヘアカッター本体31に筒状の吸引ノズル32を取り付けたもので、吸引ノズル32は可撓性のホース33を介して図示しない吸引装置(例えば、家庭用電気掃除機)に接続されている。この場合、吸引ノズル32は、先端部(吸引口)の縁部がヘアカッター本体31の刃31aと近接するように配置され、その先端部の外形が各ガイド部11,12の間隔Sよりも大きくなるように形成されている。
【0018】
ここで、図10に示すようにヘアカッター30の吸引ノズル32を補助具本体10の外面に当てると、頭髪Hが吸引力により直線状に伸ばされ、頭髪Hの先端側が各ガイド部11,12の隙間から吸引ノズル32内に吸引される。この状態で、図中実線矢印に示すようにヘアカッター30をガイド部11,12の外面に沿って移動させると、ガイド部11,12の隙間から吸引ノズル32内に吸引されている頭髪Hがヘアカッター本体31の刃31aで切断され、切断された頭髪Hは吸引ノズル32から吸引装置に吸引される。その際、頭髪Hが吸引ノズル32の吸引により直線状に伸ばされながらガイド部11,12の外面位置で切断されることから、切断後の頭髪Hの長さは、切断位置における間隔保持部材20の長さLとほぼ同等の長さになる。
【0019】
また、頭部の表面とガイド部11,12との間隔は間隔保持部材20によって常に所定の長さLに保持されることから、切断の際、吸引ノズル32をガイド部11,12に押し当てても、ガイド部11,12が吸引ノズル32の押圧力や吸引力による撓みや変形を生ずることはない。
【0020】
更に、吸引ノズル32が頭部の表面に近いと頭皮が吸引ノズル32に吸い寄せられやすくなるが、間隔保持部材20の長さLが長い部分よりも間隔保持部材20の長さLが短い部分の方が間隔保持部材20の間隔Sが小さくなっていることから、間隔保持部材20の長さLが短い部分においても吸引ノズル32に頭皮が容易に吸い寄せられることはない。
【0021】
また、側頭部や後頭部の生え際等、切断後の頭髪Hが短い部分では、左右方向に延びる第2のガイド部12が存在すると、切断後の頭髪Hに第2のガイド部12に沿った段差が生じやすいが、本実施形態では、側頭部及び後頭部の上下方向略中央から側頭部(耳部分を除く)及び後頭部の下端に亘る第2の部分10b(間隔保持部材20の長さLが短い部分)が上下方向に延びる第1のガイド部11のみによって形成されているので、第2の部分10bには第2のガイド部12が存在せず、第2の部分10bの頭髪Hに左右方向に延びる段差が生ずることはない。
【0022】
そして、前述のようにヘアカッター30による頭髪Hの切断を補助具本体10の外面全体に対して行うことにより、散髪対象者Aの頭髪全体が所望の長さに散髪される。その際、切断された頭髪Hは吸引ノズル32によって吸引されて吸引装置に回収されるので、切断された頭髪Hが周囲に飛散することがない。
【0023】
このように、本実施形態の散髪用補助具1によれば、散髪対象者Aの頭部の表面との間に間隔をおいて配置される第1及び第2のガイド部11,12を有し、吸引ノズル32によって各ガイド部11,12の間隙から頭髪Hを外側に吸引しながら各ガイド部11,12に沿って頭髪Hをヘアカッター30で切断するようにしたので、頭髪Hを頭部の表面と各ガイド部11,12との間隔と同等の長さに切り揃えることができ、所望の髪型に容易に散髪することができる。その際、切断された頭髪Hが周囲に飛散することがないので、散髪後の清掃等の手間を大幅に軽減することができる。
【0024】
また、散髪用補助具1は、先端を頭部の表面に当接させることによって各ガイド部11,12と頭部の表面との間に所定間隔を保持する間隔保持部材20を備えているので、ガイド部11,12に吸引ノズル32の押圧力や吸引力による撓みや変形を生ずることがなく、頭部の表面とガイド部11,12とを常に所定の間隔に保つことができる。これにより、散髪の完成度を高めることができるとともに、同じ髪型を毎回再現することができる。
【0025】
この場合、各間隔保持部材20の先端を丸く形成したので、先端が角張っている場合に比べて頭皮に接触する際の刺激を緩和することができ、着用時の違和感を軽減することができる。
【0026】
また、各間隔保持部材20を頭部の部位によって長さが異なるように形成することにより、例えば前頭部や頭頂部の頭髪Hを長めに切断し、側頭部や後頭部の頭髪Hを短めに切断するなど、各部位ごとに切断長さを任意に設定することができ、好みの髪型を容易に再現することができる。
【0027】
更に、間隔保持部材20の長さLが長い部分よりも間隔保持部材20の長さLが短い部分の方を間隔保持部材20の間隔Sが小さくなるようにしたので、間隔保持部材20の長さLが短い部分においても、吸引ノズル32に頭皮が容易に吸い寄せられることがなく、頭部の表面と間隔保持部材20との間を常に所定の間隔に保つことができる。
【0028】
また、間隔保持部材20の長さLが長い第1の部分10aを第1及び第2のガイド部11,12によって格子状に形成し、第1の部分10aよりも間隔保持部材20の長さLが短い第2の部分10bを上下方向に延びる第1のガイド部11のみによって形成したので、第2の部分10bでは切断後の頭髪Hに左右方向に延びる段差を生ずることがなく、側頭部や後頭部の生え際等、切断後の頭髪Hが短くなる部分の見栄えを低下させることがないという利点がある。
【0029】
更に、ヘアカッター本体31に吸引ノズル32を一体に取り付けたヘアカッター30を用いて散髪を行うようにしたので、ヘアカッター30を片手で持ちながら切断及び吸引を行うことができ、作業性の向上を図ることができる。この場合、吸引ノズル32を透明の部材によって形成すれば、頭髪Hの吸引状態を外部から目視することができ、切り残しを生じていないか確認しながら切断作業を行うことができる。
【0030】
図11は本発明の第2の実施形態に示すものであり、前記補助具本体10の第2の部分10bを、前記複数の第1のガイド部11と、幅方向に延びる複数の第2のガイド部15とから形成し、各第2のガイド部15を各第1のガイド部11の間に互いに上下方向に位置がずれるように配置したものである。これにより、第2のガイド部15によって切断後の頭髪Hに左右方向に延びる段差が生じても、各第2のガイド部15は互いに上下方向に位置がずれているので、左右方向に亘って一直線状に連続した段差が形成されることがなく、段差による見栄えの低下を少なくすることができる。
【0031】
図12は本発明の第3の実施形態に示すものであり、前記補助具本体10の第2の部分10bを互いに間隔をおいて斜めに配列された複数のガイド部16によって形成し、互いに反対方向に傾斜するガイド部16同士を交差するように設けたものである。即ち、各ガイド部16の交差部分には段差が形成される場合があるが、交差部分の位置は上下方向及び左右方向に千鳥状に分散していることから、左右方向に亘って一直線状に連続した段差が形成されることがなく、段差による見栄えの低下を少なくすることができる。
【0032】
図13乃至図20は間隔保持部材の他の実施形態に示すものであり、間隔保持部材の長さを任意に設定可能にしたものである。
【0033】
即ち、図13に示す第4の実施形態では、互いに長さLの異なる複数種類の間隔保持部材21,22,23が各ガイド部11,12に着脱自在に取り付けられている。間隔保持部材21,22,23は、基端に設けた突起21a,22a,23aを第2ガイド部12に設けた取付孔12aに嵌合することにより第1ガイド部11に取り付けられるようになっている。これにより、頭部の部位ごとに任意の長さLの間隔保持部材21,22,23を配置することができるので、頭部の各部位における頭髪Hを所望の長さに切断することができ、散髪対象者の好みに応じた髪型に散髪することができる。尚、本実施形態では、間隔保持部材21,22,23の基端に突起21a,22a,23aを設けたものを示したが、突起を設けずに間隔保持部材21,22,23の基端部自体を第2ガイド部12に設けた取付孔に嵌め込むようにしてもよい。また、間隔保持部材21,22,23の取付孔は第1ガイド部11に設けてもよい。
【0034】
図14及び図15の第5の実施形態に示す間隔保持部材24は、基端に取付用の突起24aを有するとともに、外周面に周方向に延びる複数の溝24bが互いに間隔保持部材24の長手方向に間隔をおいて設けられている。即ち、間隔保持部材24は、図15に示すように長手方向任意の位置の溝24bで切断して先端側の一部を除去することにより、間隔保持部材24の長さLを変えられるようになっている。
【0035】
図16及び図17の第6の実施形態に示す間隔保持部材25は、第5の実施形態と同様、基端に取付用の突起25aを有するとともに、外周面に周方向に延びる複数の溝25bが互いに間隔保持部材25の長手方向に間隔をおいて設けられている。また、間隔保持部材25は、溝25bの幅(間隔保持部材25の長手方向の寸法)L1 が突起25aの長さL2 と等しくなるように形成されるとともに、溝25bの外径D1 が突起25aの外径D2 と等しくなるように形成されている。即ち、間隔保持部材25は、図17に示すように長手方向任意の位置の溝25bで切断して基端側の一部を除去することにより、間隔保持部材25の長さLを変えられるようになっている。その際、溝25bの一端(間隔保持部材25の基端側)を切断位置Cとして切断することにより、長さが変更された後の間隔保持部材25に新たな突起25aが形成される。これにより、先端側が丸く形成された部分が常に残るように間隔保持部材25の長さLを変えることができる。
【0036】
図18及び図19の第7の実施形態に示す間隔保持部材26は、長手方向に分割された複数の分割部26aからなり、各分割部26aの長手方向一端にはそれぞれ取付用の突起26bが設けられている。また、間隔保持部材26の先端に配置される分割部26a以外の分割部26aの長手方向他端には突起26bと嵌合可能な嵌合孔26cが設けられ、各分割部26aの突起26bと嵌合孔26cとを嵌合することにより、各分割部26aによって間隔保持部材26が形成されている。即ち、間隔保持部材26は、図19に示すように一部の分割部26aを取り外すことにより、間隔保持部材25の長さLを変えられるようになっている。尚、各分割部26aの突起26bは第1ガイド部11の取付孔11aに嵌合されるようになっているので、先端側が丸く形成された分割部26aが常に残るように間隔保持部材26の長さLを変えることができる。
【0037】
図20の第8の実施形態に示す間隔保持部材27は、基端側にネジ部27aが設けられ、ネジ部27aを第1のガイド部11(または第2のガイド部12)に設けたネジ孔11bに螺合することにより、第1のガイド部11に取り付けられている。即ち、間隔保持部材27を周方向に回動して第1のガイド部11に対して軸方向に移動させることにより、間隔保持部材24の長さLを変えられるようになっている。この場合、第1のガイド部11に間隔保持部材27の軸方向に延出する延出部11cを設けるとともに、延出部11cにネジ孔11bを設けるようにすれば、間隔保持部材27の長さLの調整量を大きくすることができる。
【0038】
図21は本発明の第9の実施形態を示すものであり、吸引ノズル32の先端縁に周方向外側に向かって延出するフランジ32aを設けたものである。これにより、吸引ノズル32の先端を各ガイド部11,12の任意の隙間に臨ませると、その隙間の周囲の隙間がフランジ32aによって閉塞されることから、頭部と各ガイド部11,12との間の空気を効率よく吸引ノズル32内に吸入することができ、長い頭髪Hでも確実に吸引ノズル32内に吸引することができる。
【0039】
図22及び図23は本発明の第10の実施形態を示すもので、ヘアカッターの他の実施形態を示すものである。同図に示すヘアカッター40は、円筒状に形成された吸引ノズル41と、吸引ノズル41の先端開口部を覆うカバー42と、吸引ノズル41内の先端側に配置された回転刃43と、回転刃43を回転させるモータ44とを備え、カバー42に設けた多数の孔42aから頭髪Hを吸引ノズル41内に吸引し、孔42aの縁部の刃42bと回転刃43で切断するようになっている。回転刃43はモータ44の回転軸44aに取り付けられ、カバー42の内面に近接するように配置されている。吸引ノズル41は、基端側に可撓性のホース45が接続され、ホース45を介して図示しない吸引装置(例えば、家庭用電気掃除機)に接続されている。
【0040】
本実施形態のヘアカッター40を用いて散髪を行う場合、前記第1の実施形態の図10と同様にヘアカッター40の先端を各ガイド部11,12の外面に当接させることにより、頭髪Hが吸引ノズル41内に吸引され、モータ44で回転する回転刃43によって頭髪Hが切断される。その際、カバー42の各孔42aから頭髪Hが吸引ノズル41の開口部全体に亘って吸引されることから、多数の頭髪Hを同時に切断することができ、切断作業を速やかに行うことができる。
【0041】
図24及び図25は本発明の第12の実施形態を示すもので、補助具本体10の少なくとも一部を前記ガイド部11,12に代えて、多数の開口部を有する部材によって形成したものである。
【0042】
本実施形態の補助具本体10は、前記ガイド部11,12と同様、頭部の表面と間隔をおいて配置される薄板状のガイド部17からなり、ガイド部17には、ガイド部17の隙間をなす多数の開口部17aが互いに等間隔で設けられている。この場合、ガイド部17の内面には前記第1の実施形態と同様、多数の間隔保持部材20が設けられており、各間隔保持部材20は各開口部17aの間にそれぞれ配置されている。尚、補助具本体10のその他の構成は前記第1の実施形態と同様である。
【0043】
本実施形態において、ガイド部17の外側から頭髪Hを吸引すると、図25に示すようにガイド部17の開口部17aから頭髪Hの先端側がガイド部17の外側に吸引される。その際、各開口部17aは互いに間隔をおいて配置されているので、各開口部17aの中間(間隔保持部材20の先端側)に位置する頭髪H1 と、開口部17aの中央側に位置する頭髪H2 とは互いに異なった長さになるように切断位置CHで切断される。これにより、開口部17a内の頭髪Hを切断位置CHで切り揃えても切断後の長さは不揃いとなり、スキ鋏を用いなくとも自然な仕上がりになるように散髪することができる。
【0044】
図26は本発明の第13の実施形態を示すもので、前記第12の実施形態の間隔保持部材20に代えて、先端面が基端側よりも大きい円錐状の間隔保持部材28を設けたものである。これにより、間隔保持部材28の先端面の中央側の頭髪Hが間隔保持部材28の先端面と頭部の表面との間に挟まれるとともに、間隔保持部材28の先端面の周縁部で屈曲することから、間隔保持部材28の先端面の中央側に位置する頭髪H1 と、開口部17aの中央側に位置する頭髪H2 とが互いに異なった長さになるように切断位置CHで切断され、開口部17a内の頭髪Hの切断後の長さを不揃いにすることができる。これにより、スキ鋏を用いなくとも自然な仕上がりになるように散髪することができる。
【0045】
図27及び図28は本発明の散髪方法の他の実施形態を示すもので、前記散髪用補助具1を頭部の表面に沿ってずらしながら散髪するようにしたものである。即ち、本実施形態では、側頭部の下側(生え際)の頭髪を切断する際、図27に示すように散髪用補助具1を左右一方の側頭部側にずらし、左右一方の側頭部の下側部分B1 の頭髪を前記ヘアカッター30(または40)を用いて切断する。次に、図28に示すように散髪用補助具1を左右他方の側頭部側にずらし、左右他方の側頭部の下側部分B2 の頭髪を前記ヘアカッター30(または40)を用いて切断する。また、後頭部の下側(生え際)も散髪用補助具1を前後方向にずらすことにより、前述と同様に散髪を行うことができる。
【0046】
これにより、散髪用補助具1を人の平均的な頭部の大きさよりも小さい大きさに形成することができるので、個人差によって頭部の大きさが異なる場合でも、一種類の散髪用補助具1を用いて散髪することができ、汎用性を高めることができる。通常、頭頂部の頭髪は長さの差が少ない場合が多いので、本実施形態のように散髪用補助具1をずらしても所望の長さに切断することができる。
【0047】
図29乃至図31本発明の第14の実施形態を示すもので、補助具本体10を上下に分割形成したものである。
【0048】
本実施形態の補助具本体10は、上下に分割された上側本体部10c及び下側本体部10dからなり、上側本体部10c及び下側本体部10dは第1及び第2のガイド部11,12及び間隔保持部材20をそれぞれ有している。上側本体部10c及び下側本体部10dは互いに着脱自在に形成され、互いに結合することにより図1及び2に示す第1の実施形態と同等の形状の補助具本体10を構成するようになっている。上側本体部10c及び下側本体部10dの結合構造は図示していないが、例えば上側本体部10c及び下側本体部10dの一方に設けたピンを他方に設けた孔に嵌合するなど、種々の結合構造を用いることができる。
【0049】
本実施形態では、補助具本体10が上側本体部10c及び下側本体部10dに分割されているので、間隔保持部材20の長さが異なる複数種類の上側本体部10cと、間隔保持部材20の長さが異なる複数種類の下側本体部10dを用意し、任意の上側本体部10cと下側本体部10dとを組み合わせることにより、上側(頭頂部)と下側(頭部側面部)で頭髪の長さの異なる多くの種類の髪型に対応可能な補助具本体10を少ない部品数で製造することができる。
【0050】
また、上側本体部10c及び下側本体部10dをそれぞれ単独で散髪対象者Aの頭部に被着可能に形成することにより、頭部の上側(頭頂部)と下側(頭部側面部)とを分けて散髪することができる。この場合、図30に示すように上側本体部10cが取り外された下側本体部10dを紐14により散髪対象者Aの顎に掛けて固定することにより、下側本体部10dのみを用いた散髪を行うことができる。また、図31に示すように下側本体部10dが取り外された上側本体部10cを紐18により散髪対象者Aの顎に掛けて固定することにより、上側本体部10cのみを用いた散髪を行うことができる。
【0051】
尚、前記各実施形態では、散髪用補助具1とヘアカッター30(または40)を用いて散髪するようにしたものを示したが、ヘアカッターとして鋏を用い、掃除機等の吸引ノズルと散髪用補助具1との間の頭髪を鋏で切断するようにしてもよい。
【0052】
また、前記各実施形態は本発明の一実施例であり、本発明は前記実施形態に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0053】
1…散髪用補助具、10…補助具本体、10c…上側本体部10c、10d…下側本体部10c、11…第1のガイド部、12…第2のガイド部、15,16,17…ガイド部、20,21,22,23,24,25,26,27,28…間隔保持部材、30…ヘアカッター、31…ヘアカッター本体、32…吸引ノズル、40…ヘアカッター、41…吸引ノズル、43…回転刃、A…散髪対象者。
【要約】
【課題】常に頭髪を所望の長さに切り揃えることのできる散髪用補助具及びこれに用いるヘアカッター並びに散髪方法を提供する。
【解決手段】散髪対象者Aの頭部の表面との間に間隔をおいて配置される第1及び第2のガイド部11,12を有し、吸引ノズル32によって各ガイド部11,12の間隙から頭髪Hを外側に吸引しながら各ガイド部11,12に沿って頭髪Hをヘアカッター30で切断するようにしたので、頭髪Hを頭部の表面と各ガイド部11,12との間隔と同等の長さに切り揃えることができる。また、散髪用補助具1は、先端を頭部の表面に当接させることによって各ガイド部11,12と頭部の表面との間に所定間隔を保持する間隔保持部材20を備えているので、ガイド部11,12に吸引ノズル32の押圧力や吸引力による撓みや変形を生ずることがなく、頭部の表面とガイド部11,12とを常に所定の間隔に保つことができる。
【選択図】図10
図1
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