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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】手鏡
(51)【国際特許分類】
   A47G 1/00 20060101AFI20221020BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221020BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20221020BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221020BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20221020BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20221020BHJP
【FI】
A47G1/00 Z
G03B15/00 D
G03B15/03
H04N5/225 450
H04N5/225 600
H04N7/18 U
G03B17/56 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022089749
(22)【出願日】2022-06-01
【審査請求日】2022-06-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522218529
【氏名又は名称】株式会社パラダイスファクトリー
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】岩垣 伸哉
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-015971(JP,A)
【文献】特開2000-352724(JP,A)
【文献】特開平11-46855(JP,A)
【文献】特開2016-189503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 1/00
G03B 17/56
G03B 15/00
G03B 15/03
H04N 5/225
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー本体部と、グリップと、記憶媒体と、切替え部と、を備える手鏡であって、
前記ミラー本体部は、ミラーディスプレイと、撮影部と、液晶モジュールと、を有し、
前記液晶モジュールは、前記撮影部で撮影された情報を表示し、
前記ミラーディスプレイは、正面部と背面部を含み、前記正面部で光を反射する鏡面状態と、前記背面部から前記正面部に、前記液晶モジュールに表示される前記情報を透過する透過状態と、を前記切替え部によって切替える切替え機能を有し、
前記切替え部は、撮影の操作を行う機能と、前記切替え機能と、を有し、
前記記憶媒体は、前記撮影部で撮影された画像を保存し、
前記切り替え機能は、撮影された前記画像を表示する画像表示開始機能と、前記画像の表示を終了する画像表示終了機能と、を有し、
前記ミラー本体部は、前記透過状態にあるとき、前記画像を前記液晶モジュールに表示する手鏡。
【請求項2】
前記グリップは、前記切替え部を有し、
前記切替え部は、押圧ボタン式であり、前記鏡面状態から前記透過状態への切替えと、前記撮影部での撮影と、を一度の操作で行う、
請求項1に記載の手鏡。
【請求項3】
前記切替え部は、前記透過状態で表示される前記情報の内容を切替える、情報切替えの機能を有し、
前記情報切替えと、前記撮影部での撮影と、を一度の操作で行う、
請求項1に記載の手鏡。
【請求項4】
前記グリップは、前記ミラーディスプレイとの角度を変える屈曲部を、少なくとも1つ有する、
請求項1に記載の手鏡。
【請求項5】
前記ミラー本体部は、前記屈曲部の動作を止め、前記ミラー本体部と前記グリップとの角度を一定の状態に保つ支持部を有する、
請求項4に記載の手鏡。
【請求項6】
前記ミラー本体部は、前記正面部側に、照明を有する、
請求項1に記載の手鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮影した画像をミラーの裏側から透過して表示し、かつ手で持って扱いやすい手鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
鏡を用いて自身の身だしなみを確認するとき、鏡だけでは頭頂部や後頭部などの状態を確認することが難しく、カメラなどの撮影部を用いて任意の部位を撮影し、それをディスプレイなどに表示する発明がなされてきた。これにおいては、撮影部を任意の位置に定め、そこで撮影した情報を表示する発明が見られる。
【0003】
特許文献1に記載の複合表示システムは、使用者の任意の部位を撮影する撮像手段と、ハーフミラーおよびその裏側に撮像手段で撮影した情報を表示する表示手段が設けられており、ハーフミラーを透過して使用者に情報を表示する。
このような構成は、使用者が自身の身体を鏡に映して確認するほかに、撮影および情報表示、そして鏡の前での作業を両手が空いた状態で行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-189503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1に記載の複合表示システムで、使用者が自身の視界に入りえない部位を撮影し、確認しようとする際には、撮像手段をあらかじめ所望する位置に定め、使用者がその位置に合わせて身体を動かして撮影する必要があり、撮影に手間がかかる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑み、使用者の視界に入りえない部位の撮影を、使用者自身が手で持って簡便に行うことができる手鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本願発明は、ミラー本体部と、グリップを備える手鏡であって、前記ミラー本体部は、ミラーディスプレイと、撮影部と、液晶モジュールと、を有し、前記液晶モジュールは、前記撮影部で撮影された情報を表示し、前記ミラーディスプレイは、正面部と背面部を含み、前記正面部で光を反射する鏡面状態と、前記背面部から前記正面部に、前記液晶モジュールに表示される前記情報を透過する透過状態と、を切替える機能を有する。
このような構成によって、視界に入り得ない体の部位を撮影して表示することができるほか、手で持って扱いやすくなる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記グリップに、前記切替え部を有する。
このような構成によって、片手で手鏡を操作することができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記切替え部は、前記鏡面状態から前記透過状態への切替えと、前記撮影部での撮影と、を一度の操作で行う。
このような構成によって、撮影した画像をすぐに確認することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記切替え部は、前記透過状態で表示される前記情報の内容を切替える、情報切替えの機能を有し、前記情報切替えと、前記撮影部での撮影と、を一度の操作で行う。
このような構成によって、画像表示中に新たに画像を撮影する場合でも、簡単な操作で撮影、画像表示を行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記グリップは、前記ミラーディスプレイとの角度を変える屈曲部を、少なくとも1つ有する。
このような構成によって、撮影部の角度を変え、さまざまな部位の撮影を行いやすくなる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記ミラー本体部は、前記屈曲部の動作を止め、前記ミラー本体部と前記グリップとの角度を一定の状態に保つ支持部を有する。
このような構成によって、前記ミラー本体部を立て、前記グリップで支える状態を維持でき、スタンドミラーとして使用することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記ミラー本体部は、前記ミラーディスプレイの前記正面部側に、照明を有する。
このような構成によって、照明が不十分な状況や陰になりやすい場所でも、明るさを確保して撮影を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
上記課題を解決する本発明は、使用者の視界に入りえない部位の撮影を、使用者自身が手で持って簡便に行うことができる手鏡を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る、手鏡の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る、手鏡の正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る、手鏡の正面図のB部分における拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る、手鏡の正面図である。
図5】本発明の実施形態に係る、手鏡の組立図である。
図6】本発明の実施形態に係る、手鏡の右側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る、手鏡の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る手鏡について説明する。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0017】
≪第一の実施形態≫
手鏡Xは、図1に示すように、使用者の身体を映し出し、また画像を撮影し画像情報を表示し、また光源を提供するミラー本体部1と、使用者が手で把持するグリップ2と、を備え、ミラー本体部1と、グリップ2との角度を変える屈曲部24を有し、図1に示す方向から見たときに手鏡Xの全体が線対称となる構成である。
以下、図1に示す方向から見る手鏡Xの外形を線対称とみた時の対称軸を、中心軸Aと定める。また、図1に示すように、左方向および右方向を定める。
【0018】
ミラー本体部1は、鏡として使用者の身体を映し出す、又は画像情報を透過するミラーディスプレイ11と、画像情報を表示する液晶モジュール12と、撮影を行う撮影部13と、ミラー本体部1の外形を決定する外枠14と、使用者に光源を提供する照明15と、を備える。また、図4に示すように、照明15は備えていなくてもよい。このような構成によって、光源が確保された室内において、照明15を備えない分だけ、より小型かつ軽量な手鏡Xを使用することができる。
【0019】
ミラーディスプレイ11は、鏡面加工が施されている正面部111と、正面部111に対向し、正面部111に向かって光を透過する背面部112と、を有する薄板形状の部品である。このような構成によって、正面部111に入射した光を反射する鏡面状態と、背面部112に入射した光を正面部111側に向かって透過する透過状態と、の両方を使用することができる。実施形態においては、ミラーディスプレイ11の形状は円形あるいは長方形としてもよい。また、好ましくは、ミラー本体部1およびミラーディスプレイ11を長方形とする構成である。このような構成によって、規格化された市販のカメラ付液晶表示パネルを手鏡Xに容易に組み込むことができる。また、ミラー本体部1およびミラーディスプレイ11は円形としてもよい。
【0020】
液晶モジュール12は、ミラーディスプレイ11の背面部112に重ね合わせて設けられる薄板形状の部品であり、情報を表示する面がミラーディスプレイ11側を向くように設ける。このような構成によって、液晶モジュール12に表示した情報を、ミラーディスプレイ11の正面部111側に透過することができる。
【0021】
ミラー本体部1は、ミラーディスプレイ11の背面部112側から正面部111側を向いて、かつ中心軸A上に撮影部13を有する。撮影部13は、液晶モジュール12と一体になっていてもよい。このような構成によって、撮影部13で撮影した画像を、情報として液晶モジュール12で表示することができる。また、ミラーディスプレイ11に、貫通孔113を設け、貫通孔113に柱状の撮影部13を、撮影部13が正面部111側を向いて貫入するように設けてもよい。このとき、好ましくは、ミラーディスプレイ11が突出枠114を、撮影部13の貫入方向長さに合わせて設ける。このような構成によって、撮影部13の片端部がミラーディスプレイ11の正面部111から飛び出す状態になる構成でも、撮影部13の片端部以外をすべて囲んで保護することができる。
【0022】
照明15は、ミラーディスプレイ11の外周を一周り囲み、かつ照射方向が正面部111側を向くように設ける、環状構造の部材である。好ましくは、照明15の正面部111側の面と、ミラーディスプレイ11の正面部111側の面と、が面一になる構成である。このような構成によって、照明15からの光が使用者に多く当たるほか、ミラーディスプレイ11を見やすくなる。また、ミラーディスプレイ11と照明15との段差に埃が溜まることも防ぐことができる。
【0023】
外枠14は、側壁と片方の底面を有する部品であり、外枠内壁141と、外枠背面部142と、を有する。図5に示すように、外枠内壁141に一周り沿うように照明15を入れ、照明15の内側に液晶モジュール12および撮影部13と、ミラーディスプレイ11と、を重ねるように入れる。好ましくは、所定の大きさの長方形、または円形の液晶モジュール12が、外枠内壁141に内接する構成である。このような構成によって、手鏡Xを手で持って使用できる大きさとするほか、外枠14内で液晶モジュール12を固定する部材を最小限にすることができる。また、好ましくは、図6に示すように、ミラー本体部1全体が、外枠背面部142側から膨らむ構成である。このような構成によって、ミラー本体部1が曲げ荷重に強くなるほか、内部に電気回路を設けるための空間を確保することができる。
【0024】
グリップ2は、ミラー本体部1の、正面部111側を除く任意の位置より、ミラー本体部1から遠ざかる方向に伸びる、柱状の部材であり、好ましくは、中心軸Aに垂直な断面が、すべての角を丸めた長方形、あるいは小判型、となる構成である。このような構成によって、手で把持して扱いやすくなる。さらに好ましくは、中心軸Aに垂直な断面が、図1に示す左右方向に長辺をもつ長方形の構成である。このような構成によって、グリップ2を屈曲させ、スタンドミラーとして使用する際に、手鏡Xの安定を保ちやすくなる。
【0025】
グリップ2は、押圧ボタン式の切替え部21を有する。使用者が切替え部21を押圧すると、その入力情報が液晶モジュール12と、撮影部13と、に伝達され、撮影部13では画像の撮影が行われ、液晶モジュール12では、撮影された画像の表示が行われる。撮影された画像の表示においては、画像が非表示の状態から、画像が表示される状態へ切替える、すなわちミラーディスプレイ11を鏡面状態から透過状態へと切替える場合と、すでに表示されている画像から、新しく撮影された画像へ切替える、すなわちミラーディスプレイ11が透過状態のまま画像情報のみを切替える場合と、がある。このような構成によって、切替え部21を押圧して、撮影部13で撮影を行う際のシャッターを操作でき、また液晶モジュール12の画像表示および非表示を切替える操作と、を行うことができる。
【0026】
切替え部21は、ミラーディスプレイ11の正面部111と同じ側にある。このような構成によって、使用者は、ミラーディスプレイ11と同時に切替え部21を視認し、容易に操作することができる。好ましくは、切替え部21がグリップ2の表面と面一に設けられる構成である。このような構成によって、使用者が手鏡Xをスタンドミラーとして使用する際に、切替え部21を含む面が下に伏せられて置かれた場合でも、意図せずに切替え部21が押圧される事態を防ぐことができる。さらに好ましくは、切替え部21が中心軸A上にある構成である。このような構成によって、グリップ2を持つ手の左右に関わらず、操作を容易に行うことができる。
【0027】
切替え部21は、撮影部13の撮影操作機能と、画像情報の表示操作機能と、を1つの切替え部21に集約する。さらに、撮影部13の撮影操作機能から、撮影した画像情報の表示操作機能(画像情報の非表示から表示への切替え、または表示内容の切替え)までを一連の挙動として行う。このような構成によって、切替え部21が使用者に1回押圧されると、撮影部13で撮影が行われ、その後に液晶モジュール12に、撮影された画像が表示される。また、切替え部21は、照明15の明滅切替えの機能を加えてもよく、別の押圧式ボタンを設けて照明15を操作する機能を与えてもよい。また、照明15の明滅切替え用の押圧式ボタンは、ミラーディスプレイ11に組み込んでもよい。
【0028】
グリップ2は、蝶番型の屈曲部24を有する。このような構成によって、ミラー本体部1と、グリップ2との角度を変えることができる。ミラー本体部1に対するグリップ2の屈曲方向は、図1に示す左右方向と垂直で、かつ中心軸Aを含む平面と平行である構成である。このような構成によって、グリップ2を外枠背面部142側に屈曲させることができ、スタンドとしてミラー本体部1をグリップ2で支え、立てて置くことができる。さらに、スタンドミラーとして使用する際に、使用者が手鏡Xを手で持つ必要がなくなるため、使用者が両手を自由に使って作業することができる。好ましくは、屈曲部24と、ミラー本体部1とを近接させる構成である。このような構成によって、グリップ2を把持できる場所を長くとることができるほか、手鏡Xをスタンドミラーとして使用する際に、手鏡Xの重心が上になり過ぎず、安定して置くことができる。
【0029】
屈曲部24は、ミラー側ボス部241と、グリップ側ボス部242と、回動軸243と支持部244と、を有し、回動軸243に対してミラー本体部1側に接続するミラー側ボス部241と、回動軸243に対してグリップ2の端部側に接続するグリップ側ボス部242と、が図1に示す左右方向に伸びる回動軸243を介して接続、および交互に配置され、回動軸243を中心に回動する構成である。このような構成によって、ミラー本体部1と、グリップ2との角度を変えることができる。好ましくは、屈曲部24が外枠背面部142と同じ側にある構成である。このような構成によって、ミラーディスプレイ11と、照明15の視認性を阻害することがなく、また切替え部21などを配置可能な領域を広くとることができる。
【0030】
支持部244は、ミラー側ボス部241とグリップ側ボス部242の少なくともいずれか一方に設けられ、かつ図1の左右方向と平行な切妻型の突起である。このような構成によって、屈曲部24でグリップ2を屈曲させたとき、屈曲部24の回動を一定の角度で止め、ミラー本体部1の角度を維持する。また、支持部244は、ミラー側ボス部241とグリップ側ボス部242の少なくともいずれか一方のボス部全体が、タブのように張り出した構成としてもよい。このような構成によって、支持部244をグリップ2に当接させてミラー本体部1を一定の角度のまま支持することができる。
【0031】
ミラー側ボス部241と、グリップ側ボス部242は、回動軸243と、締め代を最小限に抑える締まり嵌めで接続する構成である。このような構成によって、回動軸243周りと、ミラー側ボス部241およびグリップ側ボス部242と、の間にはたらく摩擦により、支持部244を使用しない場合でも、支持部244に代わり屈曲部24の回動を止めて、ミラー本体部1を一定の角度のまま維持することができる。また、ミラー側ボス部241と、グリップ側ボス部242は、それぞれの内部で、ばね等の部品により回動軸243の方向に、互いを押し広げるように荷重を加える構成である。このような構成によって、屈曲部24の回動を止めて、ミラー本体部1を一定の角度のまま維持することができる。
【0032】
屈曲部24を屈曲させ、ミラー本体部1を立てた状態で使用する場合、切替え部21は、伏せられて使用者から見えなくなる位置にある構成が好ましい。このような構成によって、意図せぬ撮影および画像表示切替えの操作を防ぐことができる。
【0033】
グリップ2は、充電用コードと接続する充電ポート28を有する。このような構成によって、手鏡Xに組み込まれるバッテリーを充電することができるほか、定期的な電池交換が不要になる。好ましくは、規格化された市販の充電器に対応する構成である。また、好ましくは、バッテリーをグリップ2に組み込む構成である。このような構成によって、ミラー本体部1に重量が集中するのを防ぎ、全体の重心をグリップ2側に寄せるため、手で持って扱いやすくなるほか、スタンドミラーとして使用する際も、安定を保ちやすくなる。
【0034】
グリップ2は、屈曲部24に沿い、かつ図1の左右方向に伸びる支持棒29を有する。このような構成によって、グリップ2を屈曲させスタンドミラーとして使う際に、左右方向の安定を保ちやすくなる。好ましくは、支持棒29の左右方向の長さが、ミラー本体部1の左右方向の長さよりも短い構成である。このような構成によって、使用者が手鏡Xを、屈曲部24を屈曲させずに使用する際に、支持棒29が周囲の物と不必要な接触をすることを防ぐことができる。より好ましくは、支持棒29が中心軸Aについて左右対称な構成である。このような構成によって、手鏡Xを使用する際の左右差をなくすほか、重量のバランスをとることができる。
【0035】
手鏡Xの実施形態においては、以下の構成を加えてもよい。ただし、以下の説明は一例である。
【0036】
グリップ2は、充電状態および電池残量を表示する充電表示ライト23を設ける。このような構成によって、使用者がバッテリーの状態を把握することができる。好ましくは、充電表示ライト23の表面がグリップ2の表面と面一または埋没型であること、さらに好ましくは、充電表示ライト23を切替え部21と同じ面に設ける構成である。このような構成によって、グリップ2を把持する使用者の手への、不必要な当接や食い込みがなくなるほか、手鏡Xを、屈曲部24を屈曲させずに使用する際に、ミラーディスプレイ11と同時に電池残量を視認することができる。
【0037】
外枠14は、ミラー本体部1と、グリップ2と、が中心軸Aに沿い真っすぐのときグリップ2に当接する当接部16を設ける。当接部16は、外枠14からグリップ2に向かって伸びる柱状の部材である。好ましくは、中心軸Aについて左右対称に、かつグリップ2と2か所で当接する構成である。このような構成によって、屈曲部24を回動し、ミラー本体部1と、グリップ2と、を真っすぐにするとき、ミラー本体部1に当接の荷重が直接加わらず、ミラーディスプレイ11と、液晶モジュール12と、撮影部13と、を保護することができる。
【0038】
グリップ2は、ミラー本体部1の外枠14に向かって突き出る凸部22を設ける。これにより、凸部22の両側が切り欠きのような形状になり、そこで当接部16を受ける構成となる。このような構成によって、凸部22と、当接部16と、が噛み合うような状態になるため、屈曲部24を屈曲させない状態のとき、ミラー本体部1が左右方向にがたつくのを防ぐことができる。好ましくは、凸部22が外枠14と当接するように外枠受部222を設ける構成である。このような構成によって、外枠14と、凸部22との接触面積を減らし、より安定な当接状態を保つことができる。
【0039】
当接部16は、屈曲部24が回動しないように、ミラー本体部1と、グリップ2と、を係止する係止部として凸部22に向かって突き出した爪部161を設ける。また、凸部22は、爪部161を受ける爪受部221を設ける。爪部161は、凸部22に向かって切妻型に突き出した形状であり、好ましくは、中心軸Aに垂直な方向となる構成である。このような構成によって、ミラー本体部1と、グリップ2とが中心軸Aに沿う真っすぐな状態を保ち、手鏡および撮影のための使用中に屈曲部24が意図せず回動することを防ぐことができる。さらに好ましくは、当接部16が、当接部貫通孔162を有し、ミラーディスプレイ11の正面部111側から見てフレームの形状をなす構成である。このような構成によって、爪部161と爪受部221との係止を外す際に、当接部16が変形しやすくなり、爪部161、および凸部22が傷つきにくくなるほか、当接部16が根元部から破断しにくくなる。
【0040】
グリップ2の係止部は、爪部161および爪受部221の代わりに、2つの操作部251で操作する係止具25を設ける構成としてもよい。これにより、屈曲部24が容易に稼働するのを防ぐことができる。好ましくは、2つの操作部251が同一直線状かつ、グリップ2の両側から貫入してロック部(図示なし)と接続し、2つの操作部251を、互いに突合せるように中心軸Aに向かって押し込み、ロック部が解放される構成である。このような構成によって、係止具25の誤操作を防ぎ、使用中にミラー本体部1が意図せず倒れてしまう事態を防ぐことができる。
【0041】
当接部16は、グリップ2と当接する面にグリップ受部163を設ける。グリップ受部163は、当接部16の、グリップ2に向く面から出る、薄板形状の突起である。このような構成によって、当接部16と、グリップ2との接触面積を減らし、より安定な当接状態を保つことができる。
【0042】
グリップ2は、凸部22の根元部付近かつ図1の左右方向の両端部に切込26を設ける。好ましくは、切込26を、中心軸Aについて左右対称に計2つ設ける構成である。このような構成によって、図7に示すように、スタンドYを切込26で係止し、手鏡Xに支持棒29を設けない場合や、支持棒29が折れて使えなくなった場合でも、安定するスタンドミラーとして使用することができる。
【0043】
グリップ2は、中心軸Aに垂直な平面で2つに分割する分割部27を有する。好ましくは、ミラー本体部1側の分割面に接続プラグ272を、グリップ2の端部側の分割面に接続プラグ272に対応する接続ポート273を設ける構成である。このような構成によって、接続プラグ272側と、接続ポート273と、で電気や情報のやり取りができるほか、バッテリーを接続ポート273側に設ける場合、市販のモバイルバッテリーと接続プラグ272を接続して使用することができる。
【0044】
分割部27は、保持部271を、グリップ2の左右方向の両端に、かつ対になるように設ける。保持部271は、グリップ2の内部で分割部27の両側が容易に離れないように係止するフック(図示なし)を、一体で設ける。このような構成によって、使用者が、2つの保持部271をつまんで押し込むと、フックが外れてグリップ2が分割できるほか、容易にグリップ2が意図せず分割しないようにすることができる。
【0045】
手鏡Xは、内部に記憶媒体を有する。このような構成によって、撮影部13で撮影した画像を保存することができる。好ましくは、撮影部13および液晶モジュール12と一体となった記憶媒体、もしくは規格化されたカード形状のストレージなどの、挿入および取り出しが容易な記憶媒体とする構成である。
【0046】
手鏡Xは、内部に通信媒体を有し、撮影した画像を他のデバイスに送信、または同期させる。このような構成によって、他のデバイスで画像を拡大または縮小させて見ることができるほか、手鏡Xに記憶媒体がない場合でも、撮影部13で撮影した画像を保存できる。
【0047】
以下に、手鏡Xの使用方法を示すが、使用方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0048】
まず使用者は、グリップ2を手で持ち、撮影部13を所望の位置に向けて、切替え部21を1回押すと、画像が撮影され、液晶モジュール12に画像が表示される。
【0049】
使用者は、画像を撮影し直す場合、撮影部13を所望の位置に向けて、切替え部21を1回押すと、表示されていた画像が消え、新たに撮影された画像が液晶モジュール12に表示される。
【0050】
使用者は、画像表示を終了する場合、切替え部21を2度押しすると、液晶モジュール12の画像表示が消え、通常の手鏡となる。
【0051】
使用者は、手鏡Xをスタンドミラーとして使用する場合、屈曲部24を回動させ、グリップ2を水平にし、ミラー本体部1を相対的に立てた状態で止め、所望の位置に手鏡Xを置く。また、切込26およびスタンドYがある場合は、図7に示す位置関係でスタンドYを切込26に引っ掛け、さらに載置する。
【符号の説明】
【0052】
X 手鏡
Y スタンド
1 ミラー本体部
11 ミラーディスプレイ
111 正面部
112 背面部
113 貫通孔
114 突出枠
12 液晶モジュール
13 撮影部
14 外枠
141 外枠内壁
142 外枠背面部
15 照明
16 当接部
161 爪部
162 当接部貫通孔
163 グリップ受部
2 グリップ
21 切替え部
22 凸部
221 爪受部
222 外枠受部
23 充電表示ライト
24 屈曲部
241 ミラー側ボス部
242 グリップ側ボス部
243 回動軸
244 支持部
25 係止具
251 操作部
26 切込
27 分割部
271 保持部
272 接続プラグ
273 接続ポート
28 充電ポート
29 支持棒
A 中心軸


【要約】
【課題】使用者の視界に入りえない部位の撮影を、使用者自身が手で持って簡便に行うことができる手鏡を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する本願発明は、ミラー本体部1と、グリップ2を備える手鏡であって、ミラー本体部1は、ミラーディスプレイ11と、撮影部13と、液晶モジュール12と、を有し、液晶モジュール12は、撮影部13で撮影された情報を表示し、ミラーディスプレイ11は、正面部111と背面部112を含み、正面部111で光を反射する鏡面状態と、背面部112から正面部111に、液晶モジュール12に表示される前記情報を透過する透過状態と、を切替える機能を有する手鏡である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7