(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20221020BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20221020BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2018222094
(22)【出願日】2018-11-28
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】502416659
【氏名又は名称】日本トレシステック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 朋明
(72)【発明者】
【氏名】小幡 雅治
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-295929(JP,A)
【文献】特開2011-210663(JP,A)
【文献】特開2015-005212(JP,A)
【文献】特開平06-315763(JP,A)
【文献】特開2017-012057(JP,A)
【文献】国際公開第2015/114828(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の製造ライン
(WL)を有する製造現場
(W)の製品に関する情報を管理する情報管理システム
(1)において、
不良品に関する情報を管理する機能を有する装置
(1A)と、
不良品に関する情報から不良品が発生した製造ラインを特定する機能を有する装置
(1B)と、
不良品が発生した回数、頻度から各製造ラインの表示色を決定する機能を有する装置
(1D)と、
不良品が発生したラインに対するペナルティ或いはペナルティの解除を行う機能を有する装置
(1F)と、
ペナルティの解除を行う機能を実行するために、所定期間内に対象とする製造ラインで不良品が発生したか否かを決定する機能を有する装置(1G)と、
所定期間に亘って不良品が発生しなかった場合に不良品対策が講じられたと判断する機能と、前記表示色を決定する装置(1D)に対して不良品対策が講じられたことを示す信号を発信する機能とを有する装置(1H)を含み、
前記表示色を決定する装置(1D)で決定される各製造ラインにおける前記表示色は、不良品の発生がない場合の表示色と、所定期間内に不良品発生履歴があるがそれ以降は不良品が発生していない場合の表示色と、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に再び不良品が発生した場合の表示色と、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に2回不良品が発生した場合の表示色であり、
前記表示色を決定する装置(1D)は、前記不良品対策が講じられたことを示す信号を発信する装置(1H)から不良品対策が講じられたことを示す信号を受信した場合に、製造ラインの表示色を、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に2回不良品が発生した場合の表示色から前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に再び不良品が発生した場合の表示色に変更し、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に再び不良品が発生した場合の表示色から前記所定期間内に不良品発生履歴があるがそれ以降は不良品が発生していない場合の表示色に変更し、或いは、前記所定期間内に不良品発生履歴があるがそれ以降は不良品が発生していない場合の表示色を不良品の発生がない場合の表示色に変更する機能を有することを特徴とする情報管理システム
(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市場で流通している製品(例えば飲料品)の不良に関する情報を用いて、製造現場における各種不都合を改善する情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場の改善に関連して、従来から種々の情報管理システムが存在する。例えば
図7で示す従来技術に係るシステムでは、複数の製造工場W(W1、W2、W3)が存在し、且つ、個々の製造工場Wに複数の製造ラインWL(WL1、WL2、WL3)が存在する状況であっても、例えば、市場で流通する製品から不良品が発見された場合に、情報管理システム100により、当該不良品に関する情報に基づいて、当該不良品の製造における各段階から流通過程の始まりに至るまで追跡することが出来る。そして、不良品発生の原因となった工場、製造ライン、生産時間等を割り出し、不具合原因を特定すると共に、当該製品の流通を停止し、市場へのさらなる拡散を防止することが出来る。
【0003】
そして、その様な従来技術に関連して、入力された情報の改竄を防止することが出来る情報処理システムが存在する(特許文献1参照)。
係る従来技術(
図7の技術、特許文献1の技術)は大変に有益であるが、不良品が発見され、その不良品の情報を製造ラインの段階まで遡ることは出来ても、当該情報を用いて不良を生じた製造現場(例えば製造ライン)の改善を図ることはされていない。
換言すれば、従来の情報管理システムでは、製品不良に関する情報(いわゆる「クレーム」)に基づいて製造現場における各種不都合を改善する様に働きかけることは出来ない、と言う問題が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、製品不良に関する情報に基づいて、製造現場における各種不都合を改善することに寄与する様な情報管理システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報管理システム(1)は、複数の製造ライン(WL)を有する製造現場(例えば工場W)の製品(例えば、飲料品)に関する情報を管理する情報管理システム(1)において、
(市場からの不良品発生の情報に基づいて)不良品に関する情報(所謂「クレーム」に関する情報)を管理する機能を有する装置(1A:不良品情報発生ブロック)と、
不良品に関する情報から不良品が発生した製造ラインを特定する機能を有する装置(1B:製造ライン特定ブロック)と、
不良品が発生した回数、頻度(期間)から(本発明のシステム内で表示される)各製造ラインの表示色を決定する機能を有する装置(1D:ライン表示色決定ブロック)と、
不良品が発生したラインに対するペナルティ(例えば出荷停止警告)或いはペナルティの解除を行う機能を有する装置(1F:警告ブロック)と、
ペナルティの解除を行う機能(警告ブロック1F)を実行するために、所定期間(例えば3か月)内に対象とする製造ラインで不良品が発生したか否かを決定する機能を有する装置(1G:所定期間経過決定ブロック)と、
(不良品が発生した製造ラインにおいて)所定期間に亘って不良品が発生しなかった場合に不良品対策が講じられた(不良品発生を防止するのに必要な措置が講じられた)と判断する機能と、前記表示色を決定する装置(1D:ライン表示色決定ブロック)に対して不良品対策が講じられたことを示す信号を発信する機能とを有する装置(1H:改善効果認定ブロック)を含み、
前記表示色を決定する装置(1D:ライン表示色決定ブロック)で決定される各製造ラインにおける前記表示色は、不良品の発生がない場合の表示色(例えば無色)と、所定期間内に不良品発生履歴があるがそれ以降は不良品が発生していない場合の表示色(例えば黄色)と、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に再び不良品が発生した場合の表示色(例えば赤)と、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に2回不良品が発生した場合の表示色(例えば黒色)であり、
前記表示色を決定する装置(1D:ライン表示色決定ブロック)は、前記不良品対策が講じられたことを示す信号を発信する装置(1H:改善効果認定ブロック)から不良品対策が講じられたことを示す信号を受信した場合に、製造ラインの表示色を、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に2回不良品が発生した場合の表示色(例えば黒色)から前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に再び不良品が発生した場合の表示色(例えば赤)に変更し、前記所定期間内に不良品発生履歴があり且つそれ以降に再び不良品が発生した場合の表示色(例えば赤)から前記所定期間内に不良品発生履歴があるがそれ以降は不良品が発生していない場合の表示色(例えば黄色)に変更し、或いは、前記所定期間内に不良品発生履歴があるがそれ以降は不良品が発生していない場合の表示色(例えば黄色)を不良品の発生がない場合の表示色(例えば無色)に変更する機能を有することを特徴としている。
【0007】
ここで、前記装置(不良品に関する情報を管理する機能を有する装置1A、製造ラインを特定する機能を有する装置1B、各製造ラインの表示色を決定する機能を有する装置1D、ペナルティ或いはペナルティの解除を行う機能を有する装置1F)は、情報処理機器(単一の情報処理機器或いは複数の情報処理機器の双方の場合を含む)内に包含される機能ブロックとして構成することが出来るが、それぞれ単一の情報処理機器で構成することも可能である。
ここで、「情報処理機器」なる文言は、パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン、その他の情報処理機能を有する機器全般を意味している。
【発明の効果】
【0009】
上述の構成を具備する本発明によれば、不良品が発生した頻度に応じて、各製造ラインを示す表示色が、変更される(例えば、無色→黄色→赤→黒と変更)。その結果、製造ライン毎に、不良品発生の頻度を可視化することが出来る。そして、最終的には(例えば、表示色が「黒」になった場合には)、当該製造ラインに対してペナルティが課される(例えば、出荷停止の警告がされる)。
一方、本発明によれば、不良品を発生した場合でも、不良品発生防止の為に効果的な措置を講じ、所定期間内に不良品が発生しなかった場合には、各種警告から遠ざかる(例えば、「無色」に近づく)方向に表示色が変更される(例えば、「無色」に近づく側の表示色に戻される)。
【0010】
そのため、本発明を適用した場合には、前記ペナルティが課された製造ライン(例えば、表示色が「黒」の製造ライン)は勿論のこと、それ以上不良品が発生するとペナルティが課されてしまう製造ライン(例えば、表示色が「赤」の製造ライン)においても、ペナルティから遠ざかる(例えば「無色」側の表示色になる)べく、不良品発生防止の為の方策を講じる。そして、不良品が発生したライン(例えば、表示色「黄色」のライン)では、不良品がいまだに発生していないラインと同じ表示色(例えば「無色」)とするべく、必要な措置を講じることが予測される。
また、本発明を導入すれば、製造現場における全ての製造ラインに不良品の発生を防止するのに有効な措置を講ずる旨のバイアスが掛かり、製造現場全体に不良品発生を防止して、不良品が発生していない製造ラインの表示色(無色)にしようとする方向に遷移する。
【0011】
そして本発明は、既存のシステム(市場で流通する製品から不良品が発見された場合に、当該不良品に関する情報に基づいて、当該不良品の製造における各段階から流通過程の始まりに至るまで追跡する機能を有するシステム)が導入されている製造現場であれば、容易に導入することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の概要を示す説明図である。
【
図2】実施形態における製造ラインの表示色が付される態様を示す説明図である。
【
図3】実施形態における製造ラインが改善された場合に表示色が以前の表示色に復帰する態様を示す説明図である。
【
図4】実施形態における管理システムの機能ブロック図である。
【
図5】実施形態における製造ラインに表示色が付される際の制御を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態における製造ラインの改善により表示色が以前の表示色へ復帰する制御を示すフローチャートである。
【
図7】従来の情報管理システムの概要を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図示の実施形態に係る管理システムは、全体が符号1で示されている。そして管理システム1は、従来技術に係る情報管理システムと同様に、複数の製造工場Wが存在し、且つ、個々の製造工場に複数の製造ラインWLが設けられていても、例えば、市場で流通する製品から不良品が発見された場合に、当該不良品に関する情報に基づいて、製品製造における各段階から流通過程の始まりに至るまで追跡する機能を有している。
図1において、情報管理システム1は複数の製造ラインWL(WL1、WL2、WL3)を有する複数の工場W(W1、W2、W3)の各々と、通信回路L(L1、L2、L3)で接続されており、製品(例えば、飲料品)に関する情報を管理している。
情報管理システム1は、市場からの不良品発生の情報に基づいて不良品に関する情報(いわゆる「クレーム」)を管理し、上述した追跡する機能を発揮して不良品が発生した工場及び製造ラインを特定する機能を有しており、不良品が発生した工場及び製造ラインを特定することにより不具合原因を究明することに寄与している。
【0014】
情報管理システム1は、各工場Wのそれぞれの製造ラインWLにおいて不良品が発生した回数、頻度(期間)から、(各工場Wの)それぞれの製造ラインWLの表示色を決定する機能も有している。この「表示色」なる文言は、情報管理システム1において、各製造ラインWLを(例えばディスプレイ2、
図4参照、において)表示する際における色彩を意味している。
不良品が発生した製造ラインWLにはその旨が通知され、不良品が発生した回数、頻度(期間)に応じた警告(図示の実施形態では「黄警告」、「赤警告」、「黒警告」:黄→赤→黒の順に不良品発生頻度が深刻な度合が増加する)がされると共に、例えば「黄色」、「赤色」、「黒色」の表示色が付される。なお、不良品の発生がない製造ラインWLの表示色は「無色」となる。
各製造ラインWLに付される(着色される)表示色(不良品が発生しない場合の無職も含む)については、
図2を参照して説明する。
なお、図示の実施形態においては「黄色」、「赤色」、「黒色」、「透明」の表示色が用いられているが、これはあくまでも例示であり、製造ラインWLの表示色はそれに限定される訳ではない。
【0015】
不良品が発生し、表示色「黄色」、「赤」、「黒」を付された製造ラインWLであっても、不良品発生防止の効果的な措置を講じ、所定期間(例えば3か月間)内に再度不良品が発生しなかった場合は、その製造ラインWLの表示色は、各種警告から遠ざかる(すなわち、「無色」に近づく)表示色に、一段階ずつ変更(回復)される。
各製造ラインWLに付される表示色の変更(回復)に関しては、
図3を参照して説明する。
図1において、各工場W1、W2、W3における各製造ラインWL1、WL2、WL3には表示色が表示されているが、それは説明のために設定した或る時点における表示色を例示したものである。当該「或る時点」において、工場W1の製造ラインWL1は、表示色は「赤色」である。ここで、表示色「赤色」の製造ラインにおいて、所定期間内に不良品が発生すると、「出荷停止警告」を伴う(ペナルティがある)表示色「黒色」となる。
図1の例では、工場W1の製造ラインWL3、工場W2の製造ラインWL2、WL3の表示色は「黄色」であり、工場W1の製造ラインWL2、工場W2の製造ラインWL1、工場W3の製造ラインWL1、WL2、WL3は、不良品の発生がなく、表示色「無色」である。
図1で示す様に、情報管理システム1により市場不良品と各製造ラインWLが常に循環監視され、情報管理システム1の内容を(例えばディスプレイ2により)チェックすれば、不良品の発生の頻度に対応する色彩(表示色「黄色」、「赤色」、「黒色」)により各製造ラインWLが表示されている。
【0016】
図1で示すシステムの特徴である製造ラインを不良品の発生の頻度に対応する色彩(表示色「黄色」、「赤色」、「黒色」)で表示する旨が
図2に示されており、改善措置を施して不良品が発生しなくなると色彩が変更(回復)することが
図3に示されている。
換言すれば、図示の実施形態に係る情報管理システム1の特徴は、第1に、
図2で示す様に、不良品発生の回数、頻度(期間)に基づいて、情報管理システム1で表示される際に、各製造ラインWLに警告を通知して、表示色を変更する(製造ラインWLを各々着色する)ことである。
第2に、主として
図3で示す様に、不良品が発生した製造ラインWLにおいて効果的な改善措置が講じられて不良品が発生しなくなった場合には、当該改善措置が講じられたラインの表示色を、不良品が発生していないその他のライン或いは不良品の発生が少ない他のラインと同様な表示色に変更する(戻す)ことである。
先ず、
図2を参照して、第1の特徴について説明する。
【0017】
図2において、工場W1の各製造ラインWL1、WL2、WL3において付される(着色される)表示色の変遷が、時系列(1月から8月)で例示されている。
図示の実施形態における表示色を付す(決定する)規則(ルール)では、1回目の不良品が発生した製造ラインWL(表示色「無色」)に警告(黄警告)がされると共に、「黄色」の表示色が付される。
所定期間(
図2の例では3か月)内に既に不良品発生履歴があり、「黄色」の表示色が付された製造ラインWLにおいて、所定期間内に再び不良品が発生した場合には(2回目の不良品発生)、警告(赤警告)がされると共に、当該製造ラインWLの表示色は「黄色」より深刻な状況を表す「赤色」に変更される。
そして、「赤色」の表示色が付された製造ラインWLにおいて所定期間内にさらに不良品が発生した場合(3回目の不良品発生)、当該製造ラインWLの表示色は「赤色」よりさらに深刻な状況を表す「黒色」に変更される。図示の実施形態では、「黒色」の表示色は最も深刻な表示色であり、「黒色」の表示色が付された製造ラインWLに対しては、ペナルティとして「出荷停止」の警告がされる。
なお、上述した様に、不良品の発生がない製造ラインWLの表示色は「無色」である。
【0018】
図2の例では、工場W1の製造ラインWL1において、1月に不良品が発生したため(1回目)、表示色「黄色」が付された。その後、3月(「黄色」が付されてから3か月以内)に再び不良品が発生したため(所定期間内に2回目の不良品発生)、表示色が「黄色」から「赤色」に変更され、さらに4月(「赤色」が付されてから3か月以内)にも不良品が発生したため(3回目)、表示色は「赤色」から「黒色」に変更され、ペナルティとして「出荷停止」の警告がされた。
その後、製造ラインWL1では不良品発生防止の効果的な措置が功を奏し、所定期間(3か月間)で不良品発生がなかったため、8月(前回の不良品発生から3カ月以上経過)に表示色が「黒色」から「赤色」に変更(回復)された。ここで、所定期間である3か月間で不良品に発生がなかった場合に表示色が回復することは、第2の特徴であり、
図3を参照して説明する。
なお、
図2において、表示色は変更になった時点(月)の表示色が示されており、表示色が記載されていない「月」の表示色は、直前の「月」の表示色と同一である。例えば、製造ラインWL1において、2月の表示色(の状態)は1月の表示色「黄色」であり、5月~7月の表示色(の状態)は4月の表示色「黒色」である。
【0019】
工場W1の製造ラインWL2では、4月に不良品が発生したため、表示色「黄色」が付された。その後、製造ラインWL2では、不良品発生防止の効果的な措置が功を奏し、所定期間の3か月間で不良品に発生がなかったため、8月に表示色が「黄色」から「無色」に変更(回復)された。
工場W1の製造ラインWL3では、2月に不良品が発生したため、表示色「黄色」から「赤色」に変更された。その後、製造ラインWL3では、不良品発生防止の効果的な措置が功を奏し、所定期間の3か月間で不良品に発生がなかったため、6月に表示色が「赤色」から「黄色」に変更(回復)された。
不良品が発生した製造ラインは、管理システム1上で彩色して表示されるが、その旨は他の製造ラインに従事する者からも確認されるので、彩色して表示される製造ラインに従事する者は彩色した製造ラインで作業していることを恥じらい、不良品発生を防止する強力な動機づけがされる。一方、不良品発生が無く、彩色されない(無色の)製造ラインの作業者は、無色の状態を維持する動機付けがされる。その結果、各製造ラインにおいて、不良品発生防止に必要な措置を講じることが予想される。
【0020】
次に、
図3を参照して、前記第2の特徴(改善措置が講じられたラインの表示色を、不良品が発生していないその他のライン或いは不良品の発生が少ない他のラインと同様な表示色に回復すること)について説明する。
上述した様に、表示色「黄色」、「赤」、「黒」を付された製造ラインWLにおいて、当該製造ラインWLが不良品発生防止の効果的な措置を講じ、所定期間(例えば3か月)内に当該製造ラインWLから不良品が発生しなかった場合は、各種警告から遠ざかる様に、表示色が一段階ずつ回復する(「黒色」→「赤色」、「赤色」→「黄色」、「黄色」→「無色」となる)。
図3では、製造ラインWL1における不良品の発生(市場不具合の発生)と、表示色と、表示色の回復とを時系列で示している。
図3において、時間は左側から右側に向かって経過している。
図3の例では、符号Aの時点で1回目の不良品(市場における不具合)が発生し、製造ラインWL1には表示色「黄色」が付されている。その後、時点Aから所定期間以内(例えば2か月後)である時点Bで再度不良品(市場不具合)が発生したため、製造ラインWL1の表示色は「黄色」から「赤色」に変更された。
【0021】
さらに製造ラインWL1において、時点Bから所定期間以内(例えば1か月)の時点Cで再度不良品(市場における不具合)が発生したため、表示色は「赤色」から「黒色」に変更された。その結果、製造ラインWL1の表示色は「黒色」となり、製造ラインWL1にはペナルティとして出荷停止の警告がされた。
時点Cで表示色「黒色」が付された製造ラインWL1は不良品発生防止のために効果的な措置を講じ、時点Cから所定期間以内に不良品が発生しなかった。そのため、時点D(時点Cから3か月以上経過した時点)で、製造ラインWL1の表示色は「黒色」から「赤色」に回復され、それと同時に出荷停止の警告は解除された。
【0022】
次に、図示の実施形態に係る情報管理システム1について、
図4を参照して説明する。
機能ブロック図である
図4において、複数の製造ラインWLを有する製造現場(例えば工場W)の製品(例えば、飲料品)に関する情報を管理する情報管理システム1は、不良品情報発生ブロック1A、製造ライン特定ブロック1B、不良品発生回数決定ブロック1C、ライン表示色決定ブロック1D、処置・対応管理ブロック1E、警告ブロック1F、所定期間経過決定ブロック1G、改善効果認定ブロック1H、記憶ユニット1Iを有している。
【0023】
市場からの不良品発生に関する情報が伝達される不良品情報発生ブロック1Aは、当該不良品に関する情報(いわゆる「クレーム」に関する情報)を管理する機能を有している。不良品情報発生ブロック1Aに伝達された不良品に関する情報は、信号ラインSL1を介して製造ライン特定ブロック1Bに送信されると共に、信号ラインSL2を介して記憶ユニット1Iに送信される。
情報管理システム1の機能ブロックの各々において、不良品発生を受けて製造ラインに表示色を付す処理、警告を与える処理は、市場における不良品発生に関する情報を取得した際に、速やかに実行する様に構成されている。
製造ライン特定ブロック1Bは、不良品情報発生ブロック1Aから取得した不良品に関する情報に基づき、不良品が発生した製造ラインを特定する機能を有する。製造ライン特定ブロック1Bにおいて製造ラインを特定するためには、公知の技術が適用可能である。
製造ライン特定ブロック1Bで特定された不良品が発生した製造ラインの情報は、信号ラインSL3を介して不良品発生回数決定ブロック1Cに送信されると共に、信号ラインSL4を介して記憶ユニット1Iに送信されて、記憶される。
【0024】
不良品発生回数決定ブロック1Cは、製造ライン特定ブロック1Bから不良品が発生した製造ラインを特定する情報を取得すると共に、信号ラインSL5を介して、記憶ユニット1Iにコマンドを発信して、当該特定された製造ラインにおける前回の不良品情報(例えば、当該特定された製造ラインが前回不良品を発生した日時、その時点での表示色等)を取得する。記憶ユニット1Iから取得する情報には、当該特定された製造ラインにおける不良品発生の累積回数を含むことが出来る。
不良品発生回数決定ブロック1Cは、記憶ユニット1Iから取得した情報に基づき、当該製造ライン(不良品が発生した製造ライン)における所定期間内における不良品発生回数を決定する機能を有する。ここで、不良品発生回数は不良品発生回数情報であり、例えば所定期間(例えば3か月)内での不良品発生回数、不良品発生時の当該製造ラインの表示色等を含んでいる。
不良品発生回数特定ブロック1Cで決定された当該製造ラインにおける不良品発生回数情報は、信号ラインSL6を介してライン表示色決定ブロック1Dに送信されると共に、信号ラインSL7を介して記憶ユニット1Iに送信される。
【0025】
ライン表示色決定ブロック1Dは、不良品発生回数決定ブロック1Cから取得した当該製造ラインの不良品発生回数情報に基づき、当該製造ラインの表示色(ライン表示色)を決定する機能を有する。表示色の決定は、
図2を参照して上述した規則(ルール)に基づいて実行される。
図2、
図3では示されていないが、表示色を決定する際に、不良品発生の累積回数を参酌することも可能である。
ライン表示色決定ブロック1Dで決定されたライン表示色(不良品が発生した製造ラインのライン表示色)は、信号ラインSL8を介してディスプレイ2に送信されると共に、信号ラインSL9を介して処置・対応管理ブロック1Eに送信され、信号ラインSL21を介して記憶ユニット1Iに送信される。
上述した様に、ディスプレイ2ではライン表示色決定ブロック1Dで決定された当該製造ラインの表示色により製造ラインが表示され、その結果、各製造ラインにおける不良品発生の頻度等が可視化されることになる。
なお、ライン表示色を決定するに際し、不良品発生回数決定ブロック1Cを省略することが出来る。その場合、ライン表示色決定ブロック1Dは製造ライン特定ブロック1Bから製造ライン特定情報を取得し、記憶ユニット1Iからの前回の不良品情報を取得して、ライン表示色を決定する。
【0026】
処置・対応管理ブロック1Eは、信号ラインSL10を介して、ライン表示色決定ブロック1Dから取得したライン表示色(不良品が発生した製造ラインのライン表示色)を警告ブロック1Fに送信する機能を有する。ライン表示色決定ブロック1Dから取得したライン表示色の情報は、後述する製造ラインの措置情報として用いられる。
警告ブロック1Fは、処置・対応管理ブロック1Eを介してライン表示色決定ブロック1Dから取得した不良品が発生した製造ラインのライン表示色に関する情報に基づいて、当該製造ラインに対して警告の情報を発信する機能を有する。
警告ブロック1Fから発信された警告の情報は、信号ラインSL11を介してディスプレイ2に送信されディスプレイ2に表示される。警告の種類は、表示色が「黄色」になった場合(表示色「無色」の製造ラインに対する場合:所定期間内で初めて不良品が発生した場合)の黄警告(最も軽度な警告)、表示色「黄色」の製造ラインが「赤色」になった場合の赤警告、表示色「赤色」の製造ラインが「黒色」の場合における出荷停止警告(最も重度:ペナルティの意味合い)がある。
【0027】
不良品が発生した製造ライン側で、例えば原材料ロットの交換等の必要な措置(改善措置)を講じたならば、製造ライン側入力装置3により、講じた措置の種類、内容、措置の対象となる製造機器、措置を講じた日時その他の情報を入力し、信号ラインSL12を介して処置・対応管理ブロック1Eに送信することが出来る。ここで製造ライン側入力装置3は、例えばパーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン、その他の情報機器で構成されている。
処置・対応管理ブロック1Eに入力された改善措置に関する情報は、処置・対応管理ブロック1Eから信号ラインSL13を介してライン表示色決定ブロック1Dに送信されて、ライン表示色を決定するための要因として活用される。それと共に、信号ラインSL14を介して警告ブロック1Fに送信され、警告の発生、解除するためのデータとして活用される。さらに、改善措置に関する情報は、処置・対応管理ブロック1Eから信号ラインSL15を介して記憶ユニット1Iに送信される。
【0028】
所定期間経過決定ブロック1Gは、ライン表示色決定ブロック1Dが表示色の回復を決定し、或いは警告ブロック1Fがペナルティ(例えば、出荷停止警告)の解除を実行するために、対象とする製造ラインにおいて前回不良品が発生してから(再度不良品が発生することなく)所定期間(例えば3か月)が経過したか否かを決定する機能を有する。ここで、(調査対象の)製造ラインは、例えば、全製造ラインの中から順次選択される。不良品発生歴がある製造ラインの中から順次選択することも可能である。
所定期間経過決定ブロック1Gは、所定期間が経過したか否かを決定するに際して、信号ラインSL16を介して、記憶ユニット1Iから当該選択製造ラインにおける前回不良品情報(例えば、当該選択製造ラインが前回不良品を発生した日時等)、或いは併せて当該選択製造ラインが講じた措置の情報(措置の内容、日時等)を取得して、所定期間が経過したか否かを決定する。その決定は、
図3を参照して上述した規則(ルール)に基づいて実行される。
ここで、当該選択ラインが講じた措置の情報は製造ライン側入力装置3から入力され、警告解除、表示色の回復に向けて所定期間を調査するきっかけ(トリガー)として利用することも出来る。
所定期間経過決定ブロック1Gは、選択製造ラインで、前回不良品が発生してから(再度不良品が発生することなく)所定期間(例えば3か月)が経過したことを決定した場合、信号ラインSL17を介して当該決定に関する情報を改善効果認定ブロック1Hに送信すると共に、信号ラインSL18を介して記憶ユニット1Iに当該情報を送信する。
【0029】
改善効果認定ブロック1Hは、所定期間経過決定ブロック1Gから取得した情報(対象とする選択製造ラインで前回不良品が発生してから、不良品を発生することなく所定期間が経過した旨の情報)に基づき、選択された製造ラインにおいて不良品対策が講じられた(不良品発生を防止するのに必要な措置が講じられた)と判断し、当該製造ラインにおける改善効果を認定する機能を有する。
改善効果認定ブロック1Hは、選択された製造ラインにおいて不良品対策が講じられたと判断した場合(改善効果が認定された場合)、信号ラインSL19を介して改善効果認定の情報がライン表示色決定ブロック1Dに送信され、或いは、信号ラインSL20を介して警告ブロック1Fに送信される。不良品対策が講じられたと判断された製造ラインの表示色が、(改善効果が認定された時点で)が「黄色」、「赤色」の場合は、前記改善効果が認定された旨の情報はライン表示色決定ブロック1Dに送信される。
改善効果を認定した製造ラインの(改善効果が認定された時点における)表示色が「黒色」の場合は、改善効果が認定された旨の情報はライン表示色決定ブロック1Dに加えて警告ブロック1Fにも送信される。
選択された製造ラインの表示色が「無色」の場合は、改善効果認定ブロック1Hが選択された製造ラインにおいて不良品対策が講じられたと判断した旨(改善効果が認定された旨)の情報は、ライン表示色決定ブロック1D、警告ブロック1Fには送信されない。或いは、送信されても当該製造ラインの表示色が既に「無色」であるため、上述の手順は実行されない。
【0030】
ライン表示色決定ブロック1Dは、改善効果認定ブロック1Hから取得した改善効果認定の情報に基づき、選択された製造ラインにおける表示色を変更(回復)する決定を行う機能を有する。表示色の回復は、現在の表示色に対して、例えば各種警告から遠ざかる(すなわち、「無色」に近づく)方向に、一段階ずつ行われる。図示の実施形態では、以前の表示色が「黒色」であれば「赤色」に回復し、以前が「赤色」であれば「黄色」に回復し、以前が「黄色」であれば「無色」に回復する。表示色の回復に際して、ライン表示色決定ブロック1Dは、処置・対応管理ブロック1Eから取得した措置情報、或いは記憶ユニット1Iから当該選択製造ラインの不良品情報を取得し、表示色を判断している。
製造ラインの表示色が回復した旨の情報及び回復後の表示色の情報は、信号ラインSL8を介してディスプレイ2に送信されて可視化される。それと共に、製造ラインの表示色が回復した旨の情報及び回復後の表示色の情報は、信号ラインSL21を介して、記憶ユニット1Iに送信される。
【0031】
警告ブロック1Fは、改善効果認定ブロック1Hから取得した改善効果認定の情報(不良品発生を防止するのに必要な措置が講じられたと判断された旨の情報)に基づいて、現在の表示色が「黒色」であり(ペナルティとして)出荷停止警告中である当該製造ラインについて、その出荷停止警告を解除する機能を有する。
警告ブロック1Fによる警告解除の情報は、信号ラインSL11を介してディスプレイ2に送信され、ディスプレイ2で表示されて可視化される。
記憶ユニット1Iは、上述した様に、各ブロックから情報(不良品情報、製造ラインの表示色、措置に関する情報、その他)を取得して、記憶する機能を有する。記憶ユニット1Iに記憶された情報は、必要に応じて各機能ブロックにより送信され、必要な処理に役立つ。
図示の実施形態では、単一の情報処理機器であるコントロールユニット内の各種機能ブロックにより、上述の機能を有する装置が構成されている。しかし、上述した各種機器を、それぞれ別体の情報処理機器で構成することが出来る。なお、「情報処理機器」なる文言は、パーソナルコンピューター、タブレット端末、スマートフォン、その他の情報処理機能を有する機器全般を意味している。
【0032】
図示の実施形態において、
図2で示す様に、不良品発生の頻度に基づいて、情報管理システムで表示される際に、各製造ラインの表示色を変更する(製造ラインに表示色を付す(着色する))制御について、主として
図5を参照して説明する。
図5において、ステップS1では、不良品情報発生ブロック1Aにより、市場からの不良品発生情報の有無を確認する。不良品発生の情報があれば(ステップS1が「Yes」)ステップS2に進み、不良品発生の情報がなければステップS1に戻り、ステップS1が「No」のループを繰り返す。
ステップS2では、製造ライン特定ブロック1Bにより、不良品が発生した製造ラインを特定する。
【0033】
ステップS3では、ライン表示色決定ブロック1Dにより、不良品が発生した製造ライン(以下「特定ライン」という)の表示色(現在の表示色:不良品が発生する前の表示色)が「無色」(所定期間内に不良品が発生していない場合の表示色)であるか否かを判断する。
ステップS3において、特定ラインの表示色が「無色」の場合(ステップS3が「Yes」)はステップS4に進み、特定ラインの表示色が「無色」ではない場合(ステップS3が「No」)はステップS5に進む。
ステップS4(特定ラインの表示色が「無色」の場合)では、現在の特定ラインの表示色が「無色」であり、今回不良品が発生したことに対応して、ライン表示色決定ブロック1Dにより特定ラインの表示色を「無色」から「黄色」(不良品の発生が1回)にする。そして、警告ブロック1Fにより、黄警告を発する。表示色の変更、黄警告の発信は、システムのディスプレイ2に表示されて、可視化される。
ステップS4が終了したらステップS10に進む。
【0034】
ステップS5(ステップS3において特定ラインの表示色が「無色」でない場合)では、ライン表示色決定ブロック1Dにより、特定ラインの現在の表示色が「黄色」(所定期間内に不良品の発生が1回)であるか否かを判断する。
ステップS5において、特定ラインの表示色が「黄色」の場合(ステップS5が「Yes」)はステップS6に進み、特定ラインの表示色が「黄色」ではない場合(ステップS5が「No」)はステップS7に進む。
ステップS6(ステップS5において、特定ラインの表示色が「黄色」の場合)では、現在の特定ラインの表示色が「黄色」であり、所定期間内に再び不良品が発生したことを受け(2回目の不良品の発生)、ライン表示色決定ブロック1Dにより、特定ラインの表示色を、「黄色」から「赤色」に変更する。そして警告ブロック1Fにより、赤警告を発する。この段階においても、表示色の変更、赤警告の発信は、システムのディスプレイ2に表示され、可視化される。
ステップS6が終了したらステップS10に進む。
【0035】
ステップS7(ステップS5において、特定ラインの表示色が「黄色」ではない場合)では、ライン表示色決定ブロック1Dにより、特定ラインの現在の表示色が「赤色」(不良品の発生が2回)であるか否かを判断する。
ステップS7において、特定ラインの表示色が「赤色」の場合(ステップS7が「Yes」)はステップS8に進み、特定ラインの表示色が「赤色」でない場合(ステップS7が「No」)はステップS9に進む。
ステップS8(ステップS7において特定ラインの表示色が「赤色」の場合)では、現在の特定ラインの表示色が「赤色」(不良品の発生が2回)であり、所定期間内に不良品が発生したことを受け(3回目の不良品の発生)、ライン表示色決定ブロック1Dにより、特定ラインの表示色を「赤色」から「黒色」に変更する。そして警告ブロック1Fにより、ペナルティとしての出荷停止警告が発せられる。この段階においても、表示色の変更、出荷停止警告の発信は、システムのディスプレイ2に表示され、可視化される。
ステップS8が終了したらステップS10に進む。
【0036】
ステップS9(ステップS7において特定ラインの表示色が「赤色」でない場合)では、現在の特定ラインの表示色が「黒色」(不良品の発生が3回であり、出荷停止警告が発信されている状態)であり、今回再び不良品が発生したことを受け(4回目の不良品の発生)、警告ブロック1Fは、特定ラインに対する出荷停止警告を維持しつつ、当該警告回数を追加する。当該警告回数の追加の発信は、システムのディスプレイ2に表示され、可視化される。
ステップS9が終了したらステップS10に進む。
ステップS10では、ステップS1~S9の処理が実行された特定ラインに対する処置、対応を行い、その他の特定ラインを選択する。
ステップS10の処理は、所定期間(実施形態では3か月)内に不良品が再発生しない場合にラインの表示色を回復し、警告を解除する処理も包含する。ラインの表示色を回復し、警告を解除する処理の手順(
図3参照)については
図6を参照して説明する。
【0037】
図3で示す様に、不良品が発生した製造ラインにおいて効果的な改善措置が講じられて不良品が発生しなくなった場合には、当該改善措置が講じられたラインの表示色を、不良品が発生していないその他のライン或いは不良品の発生が少ない他のラインと同様な表示色に変更する(回復する)制御について、主として
図6を参照して説明する。
なお、図示の実施形態においては、不良品発生防止の為に効果的な措置を講じたか否かについては特段のパラメータは設定していないが、所定期間(3か月)以内に不良品が発生しなかった場合には、効果的な措置が講じられたと判断している。
図6において、ステップS11では、制御の対象となる製造ライン(表示色の回復、警報の解除の対象となる製造ライン:以下「選択ライン」と記載する)を選択する。そしてステップS12に進む。
選択ラインは、例えば、全製造ラインの中から順次選択することが出来、選択された製造ラインについて、
図6のフローチャートを定期的に実行することが出来る。選択製造ラインの選択に際して、不良品発生歴がある製造ラインの中から順次選択することも出来る。
【0038】
ステップS12では、ステップS11で選択ラインの現在の表示色が「無色」(不良品が発生していない)であるか否かを判断する(
図4のライン表示色決定ブロック1D)。
ステップS12の判断の結果、選択ラインの表示色が「無色」の場合はステップS11に戻る(ステップS12が「Yes」のループ)。一方、選択ラインの表示色が「無色」ではない場合(ステップS12が「No」)、ステップS13に進む。
ステップS13(ステップS12で選択ラインの表示色が「無色」ではない場合)では、所定期間経過決定ブロック1Gにより、選択ラインにおいて前回不良品を発生してから、再度不良品を発生することなく所定期間(3か月)が経過したか否かを判断する。所定期間経過決定ブロック1Gにより、再度不良品を発生することなく所定期間を経過した旨の判断がされた場合には、改善効果認定ブロック1H(
図4)は改善のための措置が実行されたと判断して改善効果を認定し、ライン表示色の変更(回復)、警告解除の指令を、ライン表示色決定ブロック1D、警告ブロック1F(
図4)に発信する。
ステップS13の判断の結果、再度不良品を発生することなく所定期間(3か月)が経過している場合(ステップS13が「Yes」)はステップS14に進み、再度不良品を発生せずに所定期間(3か月)が経過していない場合(ステップS13が「No」)にはステップS11に戻る。
【0039】
ステップS14(再度不良品を発生することなく所定期間が経過している場合)では、ライン表示色決定ブロック1Dにより、選択ラインの現在の表示色が「黄色」(不良品の発生が1回)であるか否かを判断する。
ステップS14の判断の結果、選択ラインの表示色が「黄色」である場合(ステップS14が「Yes」)はステップS15に進み、選択ラインの表示色が「黄色」でない場合(ステップS14が「No」)はステップS16に進む。
ステップS15(ステップS14で選択ラインの表示色が「黄色」である場合)は、選択ラインの現在の表示色が「黄色」であり、所定期間(3か月)が経過していることに対応して、ライン表示色決定ブロック1Dにより、選択ラインの表示色を「黄色」から「無色」に変更(回復)し、警告ブロック1Fにより黄警告を解除する。する。表示色の回復及び黄警告の解除は、システムのディスプレイ2に表示され、可視化される。
ステップS15が終了したらステップS19に進む。
【0040】
ステップS16(ステップS14で選択ラインの表示色が「黄色」ではない場合)では、ライン表示色決定ブロック1Dにより、選択ラインの現在の表示色が「赤色」(不良品の発生が2回)であるか否かを判断する。
ステップS16において、選択ラインの表示色が「赤色」の場合(ステップS16が「Yes」)にはステップS17に進み、選択ラインの表示色が「赤色」でない場合(ステップS16が「No」)にはステップS18に進む。
ステップS17(ステップS16で選択ラインの表示色が「赤色」の場合)では、選択ラインの現在の表示色が「赤色」であり、所定期間(3か月)が経過していることに対応して、ライン表示色決定ブロック1Dにより、選択ラインの表示色を、「赤色」から「黄色」に変更(回復)し、警告ブロック1Fにより赤警告を解除する。当該表示色の回復及び赤警告の解除も、システムのディスプレイ2に表示され、可視化される。
また、ステップS13の所定期間(3か月)の現在値をゼロにリセットし、新たに所定期間が経過したか否かが判断される。
ステップS17が終了したらステップS19に進む。
【0041】
ステップS18(ステップS16で選択ラインの表示色が「赤色」ではない場合)は選択ラインの現在の表示色が「黒色」であり、所定期間(3か月)が経過していることを受け、ライン表示色決定ブロック1Dにより、選択ラインの表示色を、「黒色」から「赤色」に変更(回復)する。そして、警告ブロック1Fにより、出荷停止警告を解除する。当該表示色の変更、出荷停止警告の解除も、システムのディスプレイ2に表示され、可視化される。
そして、ステップS13の所定期間(3か月)の現在値をゼロにリセットする。
ステップS18が終了したらステップS19に進む。
ステップS19では、表示色の回復、警報の解除の対象となる他の製造ラインを選択する。そしてステップS11に戻る。
【0042】
明確には図示されていないが、図示の実施形態において、工場毎、製品毎、製造ライン毎、不良品が発生した製品の品種毎に、一定の期間(例えば、1か月単位、1年単位、10年単位)で管理レポートを出力することが可能である。
そして、当該管理レポートの内容を参酌することにより、不良品発生を更に少なくするための措置等を講じ易くなる。
【0043】
図示の実施形態によれば、不良品が発生した頻度に応じて、図示の実施形態に係るシステムにおいて各製造ラインを示す表示色が、無色(不良品が発生していない)→黄色(不良品の発生が1回)→赤(表示色が「黄色」になった後に不良品の発生が1回)→黒(表示色が「赤」になった以降も不良品が発生)と変更される。これにより、製造ラインにおける不良品発生の頻度が可視化される。そして、表示色が「黒」になったラインには、出荷停止の警告がされる(
図2参照)。
一方、不良品発生防止の為に効果的な措置を講じて、所定期間(3か月)以内に不良品が発生しなかった場合には、出荷停止警告から遠ざかる(「無色」に近づく)方向に表示色が変更される(無色の側に戻される)。すなわち、所定期間以内に不良品が発生しなかった場合には、表示色「黒」の製造ラインの表示色は「赤」となり、表示色「赤」の製造ラインの表示色は「黄色」となり、表示色「黄色」の製造ラインの表示色は「無色」となる(
図3参照)。
【0044】
そのため図示の実施形態では、出荷停止の警告がされた製造ライン(表示色が「黒」になった製造ライン)は勿論、それ以上不良品が発生すると出荷停止の警告がされる製造ライン(表示色が「赤」になった製造ライン)では、出荷停止警告から遠ざかる(「無色」に近づく)べく、不良品発生防止の為の方策を講じる。そして、不良品が発生したライン(表示色「黄色」のライン)では、不良品がいまだに発生していないラインと同じ表示色(無色)とするべく、必要な措置を講じることが予測される。
すなわち、図示の実施形態に係るシステムを導入した場合には、全ての製造ラインに対して、不良品の発生を防止するのに有効な措置を講ずる方向のバイアスが掛かり、製造現場全体に不良品発生を防止して、表示色を「無色」(不良品が発生していない製造ラインの表示色)にしようとする方向に遷移する。
【0045】
そして、図示の実施形態は、既存のシステム(市場で流通する製品から不良品が発見された場合に、当該不良品に関する情報に基づいて、当該不良品の製造における各段階から流通過程の始まりに至るまで追跡する機能を有するシステム)が導入されている製造現場であれば、容易に導入することが可能である。
【0046】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
例えば、図示の実施形態では、各ラインの表示色を無色、黄色、赤、黒の4種類にしているが、4種類に限定される訳ではない。製造ラインの表示色を色分けできるのであれば、3種類以下であっても、5種類以上であっても良い。そして、他の色彩を用いることも可能である。
また、表示色を変更する条件、期間等についても、図示の実施形態で例示したものと同一である必要は無い。
【符号の説明】
【0047】
1・・・情報管理システム
1A・・・不良品情報発生ブロック
1B・・・製造ライン特定ブロック
1C・・・不良品発生回数決定ブロック
1D・・・ライン表示色決定ブロック
1E・・・処置・対応管理ブロック
1F・・・警告ブロック
1G・・・所定期間経過決定ブロック
1H・・・改善効果認定ブロック
1I・・・記憶ユニット
W・・・工場
WL・・・製造ライン