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特許71618343DP粉末印刷方法、装置、システム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】3DP粉末印刷方法、装置、システム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20221020BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20221020BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20221020BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20221020BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20221020BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20221020BHJP
   B29C 64/205 20170101ALI20221020BHJP
【FI】
B29C64/393
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/165
B29C64/153
B29C64/205
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021527040
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2020097337
(87)【国際公開番号】W WO2020259425
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-05-17
(31)【優先権主張番号】201910568261.6
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519035045
【氏名又は名称】コーセル インテリジェント マシーナリ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KOCEL INTELLIGENT MACHINERY LIMITED
【住所又は居所原語表記】298# Ningshuo Street Yinchuan,Ningxia 750021(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン ポン
(72)【発明者】
【氏名】ドンケァ ヂョン
(72)【発明者】
【氏名】インシュエ ドゥ
(72)【発明者】
【氏名】イー リィウ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】チョン フー
(72)【発明者】
【氏名】ズーシィアン ヂョウ
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-075391(JP,A)
【文献】特開2015-227021(JP,A)
【文献】特開2018-153942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3DP粉末印刷方法であって、
印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、前記目的印刷画像に所定標識を付けるステップであって、前記目的印刷画像が、印刷する際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を含むステップと、
現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得するステップと、
前記印刷対象画像を認識し、前記印刷対象画像には前記所定標識が存在するかどうかを判定し、YESであれば、前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理することで、前記直前の粉末層が前記現在印刷対象層の粉末敷設動作につれて移動しないようにするステップとを有し、
前記印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、前記目的印刷画像に所定標識を付ける過程は、
印刷対象部材に対応する各層の印刷画像のうちの、隣接する2層ごとの印刷画像におけるスプレ剤受け面積に対して差積処理を行って、第n+1層の印刷画像におけるスプレ剤受け領域と第n層の印刷画像におけるスプレ剤受け領域との差積画像面積を算出するステップであって、n=1、2、3…Nであり、Nが印刷画像の総数であるステップと、
前記差積画像の面積が所定値より大きいかどうかを判定し、YESであれば、前記第n+1層の印刷画像を目的印刷画像とし、前記第n+1層の印刷画像に所定標識を付ける3DP粉末印刷方法。
【請求項2】
前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する過程は、
粉末敷設機の前記現在印刷対象層に対する粉末敷設速度を低減させるステップと、
及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うステップとを有することを特徴とする請求項1に記載の3DP粉末印刷方法。
【請求項3】
前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する過程は、
所定期間だけ一時停止するように粉末敷設機を制御した後、前記現在印刷対象層に対して粉末敷設を行うステップと、
及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うステップとを有することを特徴とする請求項1に記載の3DP粉末印刷方法。
【請求項4】
前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行う過程は、
前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に触媒を付与することで、前記直前の粉末層を硬化させるステップを有することを特徴とする請求項またはに記載の3DP粉末印刷方法。
【請求項5】
3DP粉末印刷装置であって、
印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、前記目的印刷画像に所定標識を付けるための付けモジュールであって、前記目的印刷画像が、印刷する際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を含む付けモジュールと、
現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得するための取得モジュールと、
前記印刷対象画像を認識し、前記印刷対象画像には前記所定標識が存在するかどうかを判定し、YESであれば、処理モジュールをトリガするための認識モジュールと、
前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理することで、前記直前の粉末層が前記現在印刷対象層の粉末敷設動作につれて移動しないようにするための前記処理モジュールとを有し、
前記付けモジュールは、
印刷対象部材に対応する各層の印刷画像のうちの、隣接する2層ごとの印刷対象画像におけるスプレ剤受け面積に対して差積処理を行って、第n+1層の印刷画像におけるスプレ剤受け領域と第n層の印刷画像におけるスプレ剤受け領域との差積画像面積を算出するための処理ユニットであって、n=1、2、3…Nであり、Nが印刷画像の総数である処理ユニットと、
前記差積画像の面積が所定値より大きいかどうかを判定し、YESであれば、付けユニットをトリガするための判定ユニットと、
前記第n+1層の印刷画像を目的印刷画像とし、前記第n+1層の印刷画像に所定標識を付ける3DP粉末印刷装置。
【請求項6】
前記処理モジュールは、
所定期間だけ一時停止するように粉末敷設機を制御した後、前記現在印刷対象層に対して粉末敷設を行うための一時停止ユニットと、
及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うための硬化ユニットとを有することを特徴とする請求項に記載の3DP粉末印刷装置。
【請求項7】
3DP粉末印刷システムであって、
コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、
前記コンピュータプログラムを実行する際、請求項1~のいずれか1項に記載の前記3DP粉末印刷方法のステップを実現するためのプロセッサとを有することを特徴とする3DP粉末印刷システム。
【請求項8】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムはプロセッサにより実行される際、請求項1~のいずれか1項に記載の前記3DP粉末印刷方法のステップを実現することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年06月27日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201910568261.6であり、発明の名称が「3DP粉末印刷方法、装置、システム及び記憶媒体」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は援用されることで本出願に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、3D印刷の技術分野に関し、特に3DP粉末印刷方法、装置、システム及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
3DP粉末印刷技術は、粉末材料を層ごとに粉末層に敷設し、選択的に局所に接着剤を付与することで、対応する部分の粉末層を接着硬化させて、部品を製造する。各層を印刷する際、まず、1層の粉末を均一に敷設し、そして、成形対象となる領域に1層の接着剤をスプレーする。接着剤の液滴は小さく、拡散し難くい。粉末と接着剤とが接触すると、化学反応が生じ、迅速に硬化するが、接着剤がスプレーされない領域は、ほぐれたままである。1層粉末と1層接着剤との交代積層を介して、部品を印刷成形させる。印刷が終了した後、ほぐされた粉末を取り除けばよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3DP粉末印刷技術において、高効率の印刷を突破するために、粉末層の接着剤スプレー面積は最大2200mm*1800mmに達して、粉末敷設機の速度は300~330mm/sに達することがある。印刷過程において、粉末敷設機の速度が高いので、第1層粉末は接着剤と反応した後、硬化が徹底していないと、粉末敷設機が第2層粉末を敷設する際、第1層の接着剤スプレー面積が大きい粉末層を押し変位させ、最終の製品の印刷品質に深刻な影響を及ぼす。図1に示される部材印刷モデルにおいて、第2層、第15層の粉末を敷設する際、第1層、第14層の接着剤がスプレーされた粉末を押し変位させ、粉末層の押し変位現象が生じる。実験により、粉末層に接着剤をスプレーした後、30秒待ち、粉末と接着剤との硬化時間を30秒長くして、そして第2層粉末を敷設すれば、粉末の押し現象が存在しない。実際の印刷において、第1層に対して一般的に手動による一時停止を採用し、そうすれば、ワークボックスが1層を印刷した後、手動で停止及び起動され、中間層は隣接層の面積差が小さいモデルしか印刷できない。このような印刷要求は機器の柔軟性及びワークボックスの空間使用率を大幅に制限する上に、印刷効率に大きく影響する。
【0005】
本発明の実施例は、使用過程において、押し変位現象の発生をある程度回避し、印刷効率及び印刷製品の品質を向上させるための、3DP粉末印刷方法、装置、システム及びコンピュータ可読記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術問題を解決するために、本発明の実施例は3DP粉末印刷方法を提供するものであり、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、前記目的印刷画像に所定標識を付加するステップであって、前記目的印刷画像が、印刷する際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を含むステップと、
現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得するステップと、前記印刷対象画像を認識し、前記印刷対象画像には前記所定標識が存在するかどうかを判定し、肯定判定であれば、前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理することで、前記直前の粉末層が前記現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないようにするステップと、を有する。
【0007】
好ましくは、前記印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、前記目的印刷画像に所定標識を付加する過程は、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像のうちの、隣接する2層ごとの印刷画像におけるスプレー剤受け面積に対して差分処理を行って、第n+1層の印刷画像におけるスプレー剤受け領域と第n層の印刷画像におけるスプレー剤受け領域との差分画像面積を算出するステップ(ここで、n=1、2、3…Nであり、Nが印刷画像の総数である)と、前記差分画像の面積が所定値より大きいかどうかを判定し、肯定判定であれば、前記第n+1層の印刷画像を目的印刷画像とし、前記第n+1層の印刷画像に所定標識を付加するステップと、を有する。
【0008】
好ましくは、前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する過程は、粉末敷設機の前記現在印刷対象層に対する粉末敷設速度を低減させるステップと、及び/または、前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うステップと、を有する。
【0009】
好ましくは、前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する過程は、所定期間だけ一時停止するように粉末敷設機を制御した後、前記現在印刷対象層に対して粉末敷設を行うステップと、及び/または、前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うステップと、を有する。
【0010】
好ましくは、前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行う過程は、前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に触媒を付与することで、前記直前の粉末層を硬化させるステップを有する。
【0011】
本発明の実施例はまた、対応して3DP粉末印刷装置を提供するものであり、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、前記目的印刷画像に所定標識を付加するための付加モジュールであって、前記目的印刷画像が、印刷する際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を有するものである付加モジュールと、現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得するための取得モジュールと、前記印刷対象画像を認識し、前記印刷対象画像には前記所定標識が存在するかどうかを判定し、肯定判定であれば、処理モジュールをトリガするための認識モジュールと、前記現在印刷対象層及び/または前記現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理することで、前記直前の粉末層が前記現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないようにするための前記処理モジュールと、を有する。
【0012】
好ましくは、前記付加モジュールは、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像のうちの、隣接する2層ごとの印刷対象画像におけるスプレー剤受け面積に対して差分処理を行って、第n+1層の印刷画像におけるスプレー剤受け領域と第n層の印刷画像におけるスプレー剤受け領域との差分画像面積を算出するための処理ユニット(ここで、n=1、2、3…Nであり、Nが印刷画像の総数である)と、前記差分画像の面積が所定値より大きいかどうかを判定し、肯定判定であれば、付加ユニットをトリガするための判定ユニットと、前記第n+1層の印刷画像を目的印刷画像とし、前記第n+1層の印刷画像に所定標識を付加するための前記付加ユニットと、を有する。
【0013】
好ましくは、前記処理モジュールは、所定期間だけ一時停止するように粉末敷設機を制御した後、前記現在印刷対象層に対して粉末敷設を行うための一時停止ユニットと、及び/または、前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うための硬化ユニットと、を有する。
【0014】
本発明の実施例はさらに、3DP粉末印刷システムを提供するものであり、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、前記コンピュータプログラムを実行する際、前記3DP粉末印刷方法のステップを実現するためのプロセッサと、を有する。
【0015】
本発明の実施例はさらに、コンピュータ可読記憶媒体を提供するものであり、前記コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムはプロセッサにより実行される際、前記3DP粉末印刷方法のステップを実現する。
【0016】
本発明の実施例は、3DP粉末印刷方法、装置、システム及びコンピュータ可読記憶媒体を提供する。本発明は、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析した後、所定標識を付加する必要がある目的印刷画像を特定し、これらの目的印刷画像に所定標識を付加し、目的印刷画像は、印刷の際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を含むものであって、各層の印刷画像に応じて印刷する際、現在印刷層に対応する印刷画像を認識することで、認識を行って、現在印刷層に対応する印刷画像には所定標識が存在する際、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないように、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理し、押し変位現象の発生をある程度回避し、印刷効率及び印刷製品の品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例の技術案をより明らかに説明するために、以下は従来技術及び実施例の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載の図面は本発明のいくつかの実施例のみであり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、これらの図面に応じて他の図面を取得できる。
図1】従来の部材印刷モデル模式図である。
図2】本発明の実施例が提供した3DP粉末印刷方法のフロー模式図である。
図3】本発明の実施例が提供したn+1層の印刷画像と第n層の印刷画像とのスプレー剤受け領域模式図である。
図4図3に対応する差分画像模式図である。
図5】本発明の実施例が提供した3DP粉末印刷装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例は、使用過程において、押し変位現象の発生をある程度回避し、印刷効率及び印刷製品の品質を向上させる、3DP粉末印刷方法、装置、システム及コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0019】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下は本発明の実施例の図面と併せて、本発明の実施例の技術案を明らか且つ完全に記載する。明らかに、記載された実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例である。本発明の実施例に基づき、当業者は創造的な作業をすることなく取得した他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属している。
【0020】
図2を参照されたい。図2は本発明の実施例が提供した3DP粉末印刷方法のフロー模式図である。該方法は、S110:印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、目的印刷画像に所定標識を付加するステップであって、目的印刷画像が、印刷の際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を有するものであるステップを有する。
【0021】
説明しようとするのは、各印刷対象部材はそれぞれの多層印刷画像に対応し、印刷対象部材を印刷する際、各層印刷画像を順次に読み取ることで、対応する層を印刷する。本出願において、各印刷対象部材にそれぞれ対応する各層印刷画像を予め分析し、印刷中に直前の層に押し変位現象を発生させる目的層を特定し、該層に対応する印刷画像を目的印刷画像とし、該層を印刷する際、直前の層に押し変位現象が生じることを防止するように、部材を印刷する際、該目的層に対して特殊処理を行う。本出願において、目的印刷画像を特定した後、目的印刷画像に所定標識を付加する(該所定標識は、例えば1である)ことで、各層印刷画像に応じて印刷対象部材を印刷する場合、直前の層に押し変位現象を発生させる層を認識でき、該層を印刷する際、相応した処理を行う。本実施例のステップS110に対して、印刷対象部材を印刷する前に、1回だけ実行すればよい。
【0022】
具体的には、前記S110では、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、目的印刷画像に所定標識を付加する過程は、具体的には、以下のとおりである。印刷対象部材に対応する各層の印刷画像のうちの、隣接する2層ごとの印刷画像のスプレー剤受け面積に対して差分処理を行って、第n+1層の印刷画像のスプレー剤受け領域と第n層の印刷画像のスプレー剤受け領域との差分画像面積を算出するステップ(ここで、n=1、2、3…Nであり、Nが印刷画像の総数である)と、差分画像の面積が所定値より大きいかどうかを判定し、肯定判定であれば、第n+1層の印刷画像を目的印刷画像とし、第n+1層の印刷画像に所定標識を付加するステップと、を有する。
【0023】
説明しようとするのは、印刷画像のスプレー剤受け面積は、印刷画像において、接着剤のスプレーを必要とする接着剤受け領域の対応する面積を指し、即ち、実際の印刷において、該スプレー剤受け領域に接着剤をスプレーする。
【0024】
具体的には、第n+1層の印刷画像のスプレー剤受け領域と第n層の印刷画像のスプレー剤受け領域とは図3に示される。本出願において、第n+1層の印刷画像のスプレー剤受け領域と第n層の印刷画像のスプレー剤受け領域との差分画像面積を算出し(図4に示す)、該差分画像面積が所定値(該所定値は例えば0.5平方メートルである) より大きいかどうかを判定する。所定値より大きい場合、第n+1層を印刷する際、第n層の粉末層に押し変位現象を発生させるので、第n+1層の印刷画像に所定標識を付加する。1枚目の大きい画像からポーリングを行って、第N-1層の印刷画像と第N層の印刷画像に対する処理が完成した後、終了する。各印刷対象部材に対して、いずれも前記方式で、相応した目的印刷画像に所定標識を付加する。
【0025】
S120:現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得する。具体的には、部材を印刷する場合、各層に対応する印刷画像を順次に読み取り、印刷必要に応じて該層に対して相応した印刷を行っており、現在印刷対象層を印刷する場合、予め記憶された、印刷部材に対応する多層印刷画像から、現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を読み取る。
【0026】
S130:印刷対象画像を認識し、印刷対象画像には所定標識が存在するかどうかを判定し、肯定判定であれば、S140に進む。現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得した後、印刷対象画像に対して標識認識を行うことで、該印刷対象画像には所定標識が付けられたかどうかを特定し、該印刷画像には所定標識が存在すると、通常の方式で該層を印刷すれば直前の層に押し変位現象を発生させることを確認しており、従って、この場合、相応した処理を行った後、現在印刷対象層を印刷する際、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないように、ステップS140を実行する。また、印刷対象画像には所定標識が存在しないと、通常の方法で現在印刷対象層を印刷する際、直前の層に押し変位現象を発生させることがないから、この場合、通常の方式(例えば、粉末敷設速度が300mm/s以上)で現在印刷対象層を印刷することができる。
【0027】
S140:直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないように、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する。
【0028】
具体的には、現在印刷対象層に対応する印刷対象画像には所定標識が存在する場合、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないように、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する。そして、現在印刷層に対して印刷処理を行って、現在印刷対象層に対する印刷が完成した後、引き続いて次の印刷対象層に対応する印刷画像を取得するとともに、所定標識が存在するかどうかを判定し、存在すれば、本出願の方法で処理し続けて、存在しなければ、通常の方法で相応した印刷層を印刷する。通常の印刷方法は従来技術における成熟した方法であるから、本出願はこれを詳しく記載しない。
【0029】
さらに、前記S140では、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する過程は、具体的には、粉末敷設機の現在印刷対象層に対する粉末敷設速度を低減させるステップと、及び/または、現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うステップと、を有する。
【0030】
説明しようとするのは、粉末敷設速度を低減させるように、粉末敷設機を制御し、例えば、300mm/s以下の速度で現在印刷対象層に対して粉末敷設印刷を行うことで、現在印刷対象層の、直前の粉末層に対する衝撃を低減させ、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動することがない。また、直前の粉末層に対して硬化処理を行って、例えば、直前の粉末層に触媒を付与することで、直前の粉末層の硬化を早くして、直前の粉末層の強度が現在印刷対象層の粉末敷設の衝撃に抵抗できる強度に達する。無論、粉末敷設機の粉末敷設速度を低減させるとともに、直前の粉末層に対して硬化処理を行ってもよく、具体的に、どの方式を採用するかについて、実際必要に応じて決定すればよく、本出願は別に限定しない。
【0031】
さらに、説明しようとするのは、前記S140では、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理する過程は、所定期間だけ一時停止するように粉末敷設機を制御した後、現在印刷対象層に対して粉末敷設を行うステップと、及び/または、現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うステップと、を有する。
【0032】
即ち、所定期間(例えば1min)だけ一時停止するように、粉末敷設機を制御することで、直前の粉末層は、現在印刷対象層の粉末敷設の衝撃に抵抗できる強度に硬化するための十分な時間を有する。また、一時停止期間を短くするために、粉末敷設機に対して一時停止を行うとともに、直前の粉末層に対して硬化処理を行うことで、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないようにする場合、印刷効率を向上させる。
【0033】
具体的には、前記現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行う過程は、具体的には、現在印刷対象層にある直前の粉末層に触媒を付与することで、直前の粉末層を硬化させるステップを有する。
【0034】
無論、触媒を付与する以外、さらに、他の方式で直前の粉末層に対する硬化処理を実現してもよく、例えば、加熱または冷却の方式で直前の粉末層に対する硬化を実現し、具体的に、どの方式を採用するかについて、実際必要に応じて決定すればよい。
【0035】
このように、本発明において、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析した後、所定標識を付加する必要がある目的印刷画像を特定し、これらの目的印刷画像に所定標識を付け、目的印刷画像は、印刷する際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を有し、各層の印刷画像に応じて印刷する際、現在印刷層に対応する印刷画像を認識することで、認識を行って、現在印刷層に対応する印刷画像には所定標識が存在する際、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないように、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理することで、押し変位現象の発生をある程度回避し、印刷効率及び印刷製品の品質を向上させる。
【0036】
また、本出願が提供した印刷方法を利用すれば、印刷対象部材の中間層のスプレー剤受け面積を限定する必要がなく、即ち、本出願の方法を採用すれば、中間層のスプレー剤受け面積が大きいモデルを印刷でき、使用範囲を広げる。
【0037】
前記実施例に基づき、本発明の実施例は相応的に3DP粉末印刷装置を提供する。具体的には、図5を参照すればよい。該装置は、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、目的印刷画像に所定標識を付加するための付加モジュール21であって、目的印刷画像が、印刷する際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を有するものである付加モジュール21と、現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得するための取得モジュール22と、印刷対象画像を認識し、印刷対象画像には所定標識が存在するかどうかを判定し、肯定判定であれば、処理モジュールをトリガするための認識モジュール23と、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないように、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理するための処理モジュール24と、を有する。
【0038】
好ましくは、付加モジュール21は、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像のうちの、隣接する2層ごとの印刷対象画像のスプレー剤受け面積に対して差分処理を行って、第n+1層の印刷画像のスプレー剤受け領域と第n層の印刷画像のスプレー剤受け領域との差分画像面積を算出するための処理ユニット(ここで、n=1、2、3…Nであり、Nが印刷画像の総数である)と、差分画像の面積が所定値より大きいかどうかを判定し、肯定判定であれば、付加ユニットをトリガするための判定ユニットと、第n+1層の印刷画像を目的印刷画像とし、第n+1層の印刷画像に所定標識を付加するための付加ユニットと、を有する。
【0039】
好ましくは、処理モジュール24は、所定期間だけ一時停止するように粉末敷設機を制御した後、現在印刷対象層に対して粉末敷設を行うための一時停止ユニットと、及び/または、現在印刷対象層にある直前の粉末層に対して硬化処理を行うための硬化ユニットと、を有する。
【0040】
説明しようとするのは、本実施例が提供した3DP粉末印刷装置は、前記実施例が提供した3DP粉末印刷方法と同じ有益な効果を具備し、本実施例が関わる3DP粉末印刷方法に対する具体的な紹介について、前記実施例を参照すればよく、本出願はここで贅言しない。
【0041】
前記実施例に基づき、本発明の実施例はさらに3DP粉末印刷システムを提供する。該システムは、コンピュータプログラムを記憶するためのメモリと、コンピュータプログラムを実行する際、前記3DP粉末印刷方法のステップを実現するためのプロセッサと、を有する。
【0042】
例えば、本実施例のプロセッサは、印刷対象部材に対応する各層の印刷画像を予め分析し、目的印刷画像を特定し、目的印刷画像に所定標識を付加するステップであって、目的印刷画像が、印刷する際、直前の粉末層に押し変位を発生させる目的層に対応する印刷画像を含むステップと、現在印刷対象層に対応する印刷対象画像を取得するステップと、印刷対象画像を認識し、印刷対象画像には所定標識が存在するかどうかを判定し、肯定判定であれば、直前の粉末層が現在印刷対象層の粉末敷設動作に連れて移動しないように、現在印刷対象層及び/または現在印刷対象層にある直前の粉末層を処理するステップと、を実現する。
【0043】
前記実施例に基づき、本発明の実施例はさらにコンピュータ可読記憶媒体を提供し、コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータプログラムが記憶され、コンピュータプログラムはプロセッサにより実行される際、前記3DP粉末印刷方法のステップを実現する。
【0044】
該コンピュータ可読記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードドライブ、読み出し専用メモリ(Read-OnlyMemory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスクまたは光学ディスクなどのような、プログラムコードを記憶できる媒体を含む。
【0045】
本明細書における各実施例に対して、漸進の方式で記載し、各々実施例はいずれも他の実施例との相違点を主に説明し、各実施例の間の同様または類似の部分について、互いに参照すればよい。実施例が開示した装置にとって、実施例が開示した方法に対応するから、記載は簡単であり、関するところについて、方法部分の説明を参照すればよい。
【0046】
また、説明しようとするのは、本明細書において、第1及び第2のような関係用語は1つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作に区別するためのものであり、これらのエンティティ又は操作同士の間にはこのような実際の関係又は順序があるように要求又は暗示するとは限らない。且つ、用語「含む」「包含」又はその他の任意の変形は非排他的包含を含むように意図され、それにより、一連の要素を含む過程、方法、品物又は機器はそれらの要素を含むだけでなく、更に明確に列挙されていない他の要素を含み、或いは、更にこのような過程、方法、品物又は設備の固有の要素を含む。これ以上限定しない限り、語句「○○を含む」で限定された要素は、該要素を含む過程、方法、品物又は設備には更に他の同じ要素があることを排除しない。
【0047】
開示した実施例に対する前記説明により、当業者は本発明を実現または使用できる。これらの実施例に対する多種の補正は当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱しない場合、他の実施例で実現されることができる。従って、本発明は本明細書に示されたこれらの実施例に限定されず、本明細書が開示した原理及び新規特点と一致する、最も広い範囲に合う。
図1
図2
図3
図4
図5