IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オートリブ ディベロップメント エービーの特許一覧

<>
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図1
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図2
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図3
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図4
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図5
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図6
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図7
  • 特許-車両用のエアバッグデバイス 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】車両用のエアバッグデバイス
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/207 20060101AFI20221020BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B60R21/207
B60N2/42
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020567218
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 KR2019004043
(87)【国際公開番号】W WO2019235730
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-01-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0065343
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】クォン、テイク
(72)【発明者】
【氏名】ピュン、チョンキ
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒュンソプ
(72)【発明者】
【氏名】オ、ナンヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ワントン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ヨンヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、テチャン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-522096(JP,A)
【文献】特開平11-180243(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145116(WO,A1)
【文献】特開2017-197000(JP,A)
【文献】国際公開第2016/039160(WO,A1)
【文献】特開平10-100846(JP,A)
【文献】特開平09-123864(JP,A)
【文献】特開2004-058860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16-21/33
B60N 2/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のエアバッグ装置であって、
肩掛け形状に形成され、車両衝突時に、乗員の頭部を含む上半身全体を包み込んで拘束するように展開するエアバッグクッションと、
前記車両衝突時に、衝撃検出信号に応答してガスを発生させて、前記エアバッグクッションに前記ガスを供給するインフレータと、を備え、
前記エアバッグクッションは、前記乗員が着座するシートの背もたれ内に装着され、前記背もたれの左右両側の上端において前方、上方、及び下方に展開する第1及び第2のクッションを含み、
前記エアバッグクッションが、前記背もたれの上端に装着されたヘッドレストの後面に配設されて、前記第1及び第2のクッションの上端を接続する接続部分を更に含み、
前記接続部分は、前記第1及び第2のクッションと連続的且つ一体的に成形され、
前記エアバッグクッションが前記車両衝突時に膨張するときに引き裂かれる引き裂き線が、前記背もたれのカバー上に形成されている、ことを特徴とするエアバッグ装置
【請求項2】
前記第1のクッション、前記接続部分、及び前記第2のクッションが、前記車両衝突時に、前部から見たときに逆U形状に膨張及び展開され、
前記接続部分が、傾斜した車両衝突時に、前記乗員の頭部分が前記ヘッドレストの外側に移動しないように拘束し、前記傾斜した車両衝突によって引き起こされる衝撃を吸収する、請求項1に記載のエアバッグ装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のクッションが、前記乗員の両横側及び前部分を保護するように、前記背もたれの両側端から前記乗員の前中心に向かって斜めに膨張及び展開される、請求項1又は2に記載のエアバッグ装置。
【請求項4】
前記第1及び第2のクッションのうちの少なくとも1つが、前記クッションが膨張及び展開されたときに、前記背もたれ上に装着されたシートフレームによって支持されるように、前記シートフレームの側壁の内側に装着されている、請求項1,2又は3に記載のエアバッグ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2のクッションが、前記乗員と接触する内側パネルと前記乗員の外側に向けられた外側パネルとを縫うこと又は一体に織ることによって袋形状に形成されており、前記乗員の接触する身体部分に対応する複数の保護区域を有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項6】
前記第2のクッションが、前記車両内に装着されたシートベルトとの干渉を避けるために、前記乗員の頭部分及び肩部分の横側及び前側に対応する形状に膨張及び展開され、前記背もたれ内に装着された近側エアバッグと連動することによって、前記乗員の近横側を拘束及び保護する、請求項1乃至5の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項7】
前記エアバッグクッションが、正面の車両衝突時に、後側乗員を保護するための第3のクッションを更に含み、
前記第3のクッションが、前記接続部分の下端に接続され、前記背もたれの後面に沿って下方に膨張及び展開される、請求項1乃至6の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【請求項8】
前記第1及び第2のクッションの各々が、前記乗員の頭、肩、及び胸の上部分を保護するための上保護領域と、
前記乗員の前記胸の下部分、腹、及び骨盤部分を保護するための下保護領域と、を含み、
前記第1及び第2のクッションが、垂直方向に沿って前記第1及び第2のクッションの中心にそれぞれ形成された第1及び第2のチャンバ壁によって画定された第1及び第2のチャンバを含み、
前記第1及び第2のチャンバ壁が、後方に開口する「C」形状に形成され、前記第1及び第2のチャンバ壁は、前記第1及び第2のチャンバ壁が前記乗員の前記頭部分及び肩部分と衝突したときに衝撃を減衰させるように構成されている、請求項1乃至7の何れか1項に記載のエアバッグ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のエアバッグ装置に関し、より具体的には、車両衝突時に乗員の両肩の周りで乗員の上半身を拘束し、それによって乗員を安全に保護する車両用のエアバッグ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用のエアバッグ装置は、車両衝突時に衝撃検出センサの信号に従ってエアバッグ内にガスを注入することによって、エアバッグを急速に膨張させることによって乗員を保護する安全デバイスである。
【0003】
このようなエアバッグデバイスは、車両内に設けられたステアリングホイール、ダッシュボード、シート、側壁などの中に装着され、車両衝突時に乗員の前部又は側部に向かって膨張し、乗員を保護する。
【0004】
すなわち、車両には、運転者のシート及び同乗者のシートの前方に展開される正面エアバッグと、同乗者の側部から展開されて同乗者を保護するカーテンエアバッグと、同乗者の膝を保護するための膝エアバッグと、が設けられてもよい。
【0005】
近年、運転者の運転を伴わずに自力によって移動する自律車両が開発されている。
【0006】
自律車両は、車両の周りの物体を認識するためのハイテクセンサ及び高性能グラフィック処理デバイスを使用することによって、車両内に設けられた各デバイスの状態及び車両の周りの状態を検出し、検出結果に従って車両内に設けられた各デバイスの動作を制御しながら走行する。
【0007】
ハイテクセンサは、人間のような物体間の距離を測定することができ、危険を検出し、車両が死角のない全ての区域を見るのを助けることができる。加えて、グラフィック処理デバイスは、いくつかのカメラを通じて車両の周囲環境を理解することができ、その画像を分析し、車両が安全に走行するのを助けることができる。
【0008】
例えば、自律車両は、内部に取り付けられたLiDARデバイス、音波デバイス、3Dカメラ、レーダーデバイスなどを有してもよい。
【0009】
上述のように構成された自律車両は、運転者の運転を必要としないので、運転者のシートを含む全てのシートが自由に回転することができ、傾ける操作によってシートの後部の角度が水平になるように調整することができる。
【0010】
乗員は、シートの後部の角度を様々に調整することができ、シートを回転させて、後部シートの乗員と対面する打ち合わせを行う場合がある。
【0011】
したがって、シートに着座している乗員の姿勢が自律車用の前方を向いていることを参照に設計された通常のエアバッグデバイスを自律車両に適用することは不可能である。
【0012】
下記に提示する特許文献1及び特許文献2には、車両用の同乗者保護システム構成が開示されている。
【引用参考文献】
【0013】
(特許文献1)韓国特許登録第10-1655569号(2016年9月8日公開)
(特許文献2)韓国特許登録第10-1611087号(2016年4月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2は、車両に一般的に適用される各エアバッグを選択的に展開するように制御するための構成を開示しており、車両衝突時に乗員の姿勢又は方向に従って乗員に適用される衝撃を十分に緩和することができず、このため乗員が負傷する可能性があるという問題を有している。
【0015】
したがって、乗員の着座姿勢及び方向にかかわらず、自律車両に乗る乗員を安全に保護するための技術の開発が求められている。
【0016】
特に、近年、車両のシートに一体化された一体型シートベルトが適用されている。
【0017】
したがって、一体型シートベルト又は通常のシートベルトと連動することによって、乗員の前側、近側、遠側に向けてエアバッグを膨張及び展開させることによって、乗員を安全に保護するための技術の開発が求められている。
【0018】
本発明の目的は、上述した課題を解決すること、並びに車両衝突時に乗員の前側及び両横側に向けてエアバッグを膨張及び展開させ、それによって乗員を安全に保護する車両用のエアバッグ装置を提供することにある。
【0019】
本発明の別の目的は、自律車両において、乗員の方向、姿勢にかかわらず、乗員を安全に保護することができる車両用のエアバッグ装置を提供することにある。
【0020】
本発明の更に別の目的は、シートに適用されるシートベルトのタイプにかかわらず、乗員を安全に保護することができる車両用のエアバッグ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した目的を達成するために、本発明による車両用のエアバッグ装置は、肩掛け形状に形成され、車両衝突時に、乗員の両肩の周りで上半身全体を包み込んで拘束するように、乗員の両横側に向かって展開されるエアバッグクッションと、車両衝突時に衝撃検出信号に応答してガスを発生させて、ガスをエアバッグクッションに供給するインフレータと、を含む。
【発明の効果】
【0022】
上述したように、本発明による車両用のエアバッグ装置は、乗員の両肩の周りで乗員の両横側及び前側を拘束するように、シートの背もたれ内に装着された肩掛け形状のエアバッグクッションを膨張及び展開させ、それによって乗員を安全に保護する効果を達成する。
【0023】
加えて、本発明によれば、シートベルトとの干渉を避けるための第2のクッションが部分的に適用され、既存の近側エアバッグと連動することによって乗員の左側を保護する効果を得ることができる。
【0024】
加えて、本発明によれば、背もたれの後面に沿ってエアバッグクッションを下方に膨張及び展開することによって、後側乗員を安全に保護し、正面の車両衝突時の後側乗員への衝撃を減衰させる効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態による、車両用のエアバッグ装置の斜視図である。
図2図1に示される車両用のエアバッグ装置の平面図である。
図3】エアバッグクッションの拡大図である。
図4】背もたれのシートフレーム内にそれぞれ装着されたエアバッグクッションを示す斜視図及び背面図である。
図5】背もたれのシートフレーム内にそれぞれ装着されたエアバッグクッションを示す斜視図及び背面図である。
図6】本発明の第2の実施形態による、車両用のエアバッグ装置の正面図である。
図7】本発明の第3の実施形態による、車両用のエアバッグ装置の例示的な図である。
図8】本発明の第3の実施形態による、車両用のエアバッグ装置の例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態による車両用のエアバッグ装置を以下に詳細に説明する。
【0027】
本発明は、乗員の上半身全体を拘束するように、乗員の両肩部の周りで乗員の頭部分及び胸部分の両横側及び前側に向かってエアバッグクッションを膨張及び展開させ、それによって乗員を安全に保護する。
【0028】
当然ながら、本発明は、エアバッグクッションの長さを下方に延ばすことによって、乗員の臀部分及び大腿部分を保護することができる。
【0029】
一体型シートベルトが装着されたシートに適用されるエアバッグ装置の構成を第1の実施形態とし、通常のシートベルトが装着されたシートに適用されるエアバッグ装置の構成を第2の実施形態として以下に説明する。
【0030】
加えて、本実施形態では、通常の車両の運転者のシート内に装着されたエアバッグ装置の構成を説明し、運転者のシートから前面に向かう方向を「前方方向」と呼び、車両の後面に向かう方向を「後方方向」と呼ぶ。これらの用語とともに、「左側」、「右側」、「上方方向」、及び「下方方向」などの方向を示す用語は、上述した前方方向及び後方方向を参照してそれぞれの方向を示すように定義される。
【0031】
したがって、図に示される参照符号Fは車両の前方方向を示し、参照符号Bは車両の後方方向を示し、参照符号Uは車両の上方方向を示し、参照符号Dは車両の下方方向を示す。加えて、参照符号Iは車両の幅方向における車両の内方方向を示し、参照符号Oは車両の幅方向における車両の外方方向を示す。
【0032】
したがって、車両の前方、後方(F、B)方向は水平方向で表されてもよく、車両の上方、下方(U、D)方向は垂直方向で表されてもよい。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の第1の実施形態による、車両用のエアバッグ装置の斜視図であり、図2は、図1に示される車両用のエアバッグ装置の平面図であり、図3は、エアバッグクッションの拡大図である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態による車両用のエアバッグ装置10は、肩掛け形状に形成され、車両衝突時に、乗員の両肩の周りで上半身全体を包み込んで拘束するように、乗員の両横側に向かって展開されるエアバッグクッション20と、車両衝突時に衝撃検出信号に応答してガスを発生させて、ガスをエアバッグクッションに供給するインフレータ21と、を含んでもよい。
【0035】
エアバッグクッション20は、乗員の両横側及び前側に向かって膨張及び展開され、乗員の肩の周りで、頭部分、胸、腹、及び骨盤部分を拘束することによって、乗員を安全に保護する機能を実施する。
【0036】
これを達成するために、エアバッグクッション20は、乗員の両肩を包み込むように肩掛け形状に形成されてもよく、乗員の肩の周りで、乗員の頭部分、胸、腹、及び骨盤部分に対応するように、乗員の前方、上方、及び下方方向に膨張及び展開されてもよい。
【0037】
具体的には、エアバッグクッション20は、乗員が着座するシート11の背もたれ12内に装着されてもよく、背もたれ12の両上端において、前方、上方、及び下方に膨張する第1及び第2のクッション30、40を含んでもよい。
【0038】
第1のクッション30は、図1及び図2で見たときに、乗員の右肩を包み込みながら、乗員の頭部分、胸、及び腹部分の右側及び前側の部分に向かって膨張及び展開されてもよい。
【0039】
第2のクッション40は、乗員の左肩を包み込みながら、乗員の頭部分、胸、及び腹部分の左側及び前側の部分に向かって膨張及び展開されてもよい。
【0040】
つまり、第1及び第2のクッション30、40は、乗員の両肩を拘束するように、背もたれ12の上部分から前方に膨張及び展開されてもよく、乗員の上半身全体を保護するために、乗員の頭部分から、胸、腹、及び骨盤部分の両横側及び前側に向かって膨張及び展開されてもよい。
【0041】
これを達成するために、第1及び第2のクッション30、40は、背もたれ12の両側端から乗員の前中心に向かって斜めに膨張及び展開されてもよい。
【0042】
したがって、本発明は、エアバッグクッションを膨張及び展開させることによって、カーテンエアバッグ機能と、遠側及び近側エアバッグ機能と、正面エアバッグ機能とを同時に得ることができる。
【0043】
第1及び第2のクッション30、40の上端は、背もたれ12の上端に装着されたヘッドレスト13の後面に配設された接続部分50によって互いに接続されてもよい。
【0044】
上述したように、本発明は、エアバッグクッションを肩掛けタイプに構成するために、接続部分をヘッドレストの後側に配設しており、これによりヘッドレストの支持力を使用することによって、エアバッグクッションの強度を高めることができる。
【0045】
第1及び第2のクッション30、40は、それぞれ下壁、前壁、及び後壁によって、内部に膨張可能な空間を画定するように袋形状に形成されてもよい。
【0046】
加えて、図2に示されるように、第1及び第2のクッション30、40は、乗員と接触する内側パネル31、41と、乗員の外側に向けられた外側パネル32、42とを縫うこと又は一体に織ることによって袋形状に形成されてもよく、乗員の接触する身体部分に対応する複数の保護区域を有してもよい。
【0047】
例えば、図1及び図3に示されるように、第1のクッション30及び第2のクッション40は、乗員の頭、肩部分、及び胸の上部分を保護するための上保護領域A1、A3と、乗員の胸の下部分、腹、及び骨盤部分を保護するための下保護領域A2、A4とを有してもよい。
【0048】
具体的には、第1のクッション30の上及び下保護領域A1、A2は、垂直方向に沿って第1のクッション30の中心に形成された第1のチャンバ壁35によって画定された第1及び第2のチャンバ33、34を含んでもよい。
【0049】
同様に、第2のクッション40の上及び下保護領域A3、A4は、垂直方向に沿って第2のクッション40の中心に形成された第2のチャンバ壁45によって画定された第3及び第4のチャンバ43、44を含んでもよい。
【0050】
第1及び第2のチャンバ壁35、45は、それぞれ後方に開口する実質的に「C」形状に形成されてもよい。
【0051】
第1及び第2のチャンバ壁35、45は、衝突時に乗員の頭及び肩部分への衝撃を効果的に減衰させるために、第1及び第2のクッション20の中心よりも前方部分に位置付けられるように、その下部分から上部分へと前方に徐々に傾斜してもよい。
【0052】
加えて、第1及び第2のチャンバ壁35、45は、乗員の肩及び胸部分を拘束するために凹状の形状に後方に湾曲した、その中心を有するように形成されてもよい。
【0053】
したがって、車両が幅方向に衝突したときに、第1及び第2のチャンバ壁35、45によって第1及び第3のチャンバ33、43の膨張厚よりも大きく膨張した第2及び第4のチャンバ34、44によって、乗員の頭及び肩部分を安全に保護することができる。
【0054】
車両が傾斜して衝突したときに、第1及び第2のチャンバ33、34と、第1及び第2チャンバ壁35、45を参照に膨張した第3及び第4のチャンバ43、44との間で、乗員の頭及び肩部分を拘束することができる。
【0055】
上述したように、本発明は、車両衝突時及び傾斜した車両衝突時に、乗員の頭及び肩部分を効果的に拘束し、それによって乗員の脳損傷値を最小化する。
【0056】
第1~第4のチャンバ33、34、43、44は、乗員の腹及び骨盤部分だけでなく、乗員の臀及び大腿部分も保護するために、下方に延びて様々に変化する長さを有してもよい。
【0057】
少なくとも1つの第3のチャンバ壁51は、接続部分50を複数のチャンバに画定するように、接続部分50内に形成されてもよい。
【0058】
例えば、第3のチャンバ壁41は、接続部分50を、互いに平行に上下に膨張及び展開される2つのチャンバに画定するために、水平方向に沿って形成されてもよい。
【0059】
図2に示されるように、第1のクッション30、接続部分50、及び第2のクッション40は、車両衝突時に前方から見たときに、第1~第3のチャンバ壁35、45、51によって実質的に逆U形状に湾曲するように膨張及び展開されてもよい。
【0060】
したがって、接続部分50は、傾斜した車両衝突時に乗員の頭部分がヘッドレストの外方に移動しないように拘束し、衝突による衝撃を吸収し、それによって乗員の脳損傷値を効果的に低減する。
【0061】
本明細書では、第1及び第2のクッション30、40のそれぞれの壁及びチャンバ壁は、第1及び第2のクッション30、40の内側及び外側パネル31、32、41、42を縫うこと又は一体に織ることによって形成されてもよい。
【0062】
加えて、第1及び第2のクッション30、40のそれぞれの壁及びチャンバ壁は、接着剤、RF溶接、超音波溶接などの様々な接着方法の中から、1つ以上の適切な方法を選択的に適用することによって形成されてもよい。
【0063】
加えて、本実施形態では、第1及び第2の導入部分36、46は、第1及び第2のクッション30、40の後壁303、403上に設けられて、それぞれのインフレータ21からガスを導入することができる。
【0064】
第1及び第2の導入部分36、46は、それぞれのインフレータ21と接続されてもよい。
【0065】
例えば、第1及び第2の導入部分36、46は、車両衝突時にインフレータ21から供給されたガスを第2のチャンバ34及び第4のチャンバ44に最初に送るために、第2及び第4のチャンバ34、44の後側から前方及び上方に傾斜するように形成されてもよい。
【0066】
図3に示されるように、乗員の遠側及び近側の衝突特性に応じて、同じ基準、例えば、同じ発生ガス量、同じ供給速度を有する2つのインフレータ21が設けられてもよく、又は異なる基準を有するインフレータ21が設けられてもよい。
【0067】
当然ながら、本開示は、必ずしもこれに限定されるものではなく、1つのインフレータを使用することによってエアバッグクッションにガスを供給することができ、又は3つ以上のインフレータを使用することによって、エアバッグクッションにガスを供給するように変更することができる。
【0068】
上述したように構成された第1及び第2のクッション30、40の後壁303、403及び接続部分50は、複数の固定部材(図示せず)を使用することによって、シート11の背もたれ12の内側に固定されてもよい。
【0069】
次に、図4及び図5を参照して、エアバッグクッションの装着構造を説明する。
【0070】
図4及び図5は、背もたれのシートフレーム内に装着されたエアバッグクッションを示す斜視図及び背面図である。
【0071】
エアバッグクッション20は、図4及び図5に示されるように、折り畳まれた又は巻かれた状態で背もたれ12内に装着されたシートフレーム14の縁部に沿って装着されてもよい。
【0072】
本明細書では、第1のクッション30は、シートフレーム14の側壁の内側、すなわち右側壁に装着されてもよい。
【0073】
このため、第1のクッション30は、車両衝突時に膨張及び展開され、乗員が遠方側方向に移動することを防ぐためにシートフレーム14の左壁によって支持される。
【0074】
上述したように、本発明は、シートフレームの側壁内に装着されたエアバッグクッションを有し、シートフレームの剛性を使用することによってエアバッグクッションの支持力を増加させ、それによって乗員の怪我を効果的に防ぐ。
【0075】
本発明は、通常の車両のみならず、回転可能なシートを有する自律車両にも適用することができるので、第2のクッション40は、シートフレーム14の左壁の内側に装着されてもよい。
【0076】
エアバッグクッション20が車両衝突時に膨張して外方に展開されることを可能するために、引き裂き線が背もたれ12のカバー上に形成されてもよい。
【0077】
引き裂き線は、上方方向に沿って背もたれ12のカバーの前面の両側に形成された1対の垂直線と、水平方向に沿って背もたれ12のカバーの後面の上端に形成された水平線とを含んでもよく、1対の垂直線は、水平線によって互いに接続されてもよい。
【0078】
したがって、エアバッグクッション20は、車両衝突時にガスによって膨張されている間に背もたれ12のカバー上に形成された引き裂き線を引き裂き、背もたれ12の外方に膨張及び展開される。
【0079】
上述したように、本発明は、肩掛け形状のエアバッグクッションを膨張及び展開させて、乗員の両肩の周りで乗員の両横側及び前側を拘束し、それによって乗員を安全に保護する。
【実施例2】
【0080】
本発明の第2の実施形態による車両用のエアバッグ装置構成について以下に詳細に説明する。
【0081】
図6は、本開示の第2実施形態による、車両用のエアバッグ装置の正面図である。
【0082】
図6に示されるように、シートベルト16の両端が、通常のシートベルト15が適用される車両の運転者のシート11内の中心柱(いわゆるB柱)16の上端及び下端に装着され、バックル17が、運転者のシート11の右下部分に装着されて、それに連結されたシートベルト15の舌部を有する。
【0083】
したがって、上述した第1の実施形態に記載されたエアバッグクッション20が、通常のシートベルトが適用される車両に適用されたときに、シートベルト15と第2のクッション40とが干渉するという問題がある。
【0084】
したがって、本発明の第2の実施形態による車両用のエアバッグ装置10は、図6に示されるように、第2のクッション40の一部分のみ、すなわち上部分のみを適用するように変更されてもよい。
【0085】
例えば、第2のクッション40は、図3に示される第2のクッション40の上保護領域A3のみを含むように構成されてもよい。
【0086】
加えて、近側エアバッグ18は、背もたれ12の左端に装着されてもよい。
【0087】
上述したように、本発明は、シートベルトとの干渉を避けるために第2のクッションを部分的に適用することができ、既存の近側エアバッグと連動することによって乗員の左側を保護することができる。
【実施例3】
【0088】
図7及び図8は、本発明の第3の実施形態による、車両用のエアバッグ装置の例示的な図である。
【0089】
図7は、エアバッグクッションが膨張及び展開された状態を示す背面図であり、図8は、膨張及び展開されたエアバッグクッションが後部シート内の乗員と衝突した状態を示す斜視図である。
【0090】
図7及び図8に示されるように、エアバッグクッション20は、車両衝突時に後部シート内の乗員を保護するための第3のクッション60を更に含んでもよい。
【0091】
第3のクッション60は、接続部分50の下端に接続され、背もたれ12の後面に沿って下方に膨張及び展開されてもよい。
【0092】
第3のクッション60を複数のチャンバに画定するために、少なくとも1つの第4のチャンバ壁61が第3のクッション60内に形成されてもよい。
【0093】
例えば、第3のクッション60の上端から所定の距離だけ離間し、下方に延在する1対の第4のチャンバ壁61が設けられてもよい。
【0094】
したがって、第3のクッション60は、その中心の膨張厚さを1対の第4チャンバ壁61によって最大化するように画定され、これにより後部シート上の乗員への衝撃を正面の車両衝突時に効果的に減衰させることができ、バックシート上の乗員を安全に保護することができる。
【0095】
本発明は上記の実施形態に従って具体的に説明されたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的本質の範囲内で様々に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、車両用のエアバッグ装置の技術に適用され、車両用のエアバッグ装置は、乗員の両肩の周りで乗員の両横側及び前側を拘束するように、車両衝突時に、シートの背もたれ内に装着された肩掛け形状のエアバッグクッションを膨張及び展開させ、それによって乗員を安全に保護する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8