(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】操舵装置
(51)【国際特許分類】
B62D 5/04 20060101AFI20221020BHJP
B62D 7/08 20060101ALI20221020BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D7/08 Z
F16H1/32 A
(21)【出願番号】P 2017224056
(22)【出願日】2017-11-21
【審査請求日】2020-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】中村 江児
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】中井 悠人
【審査官】神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0032430(US,A1)
【文献】特開2017-128300(JP,A)
【文献】特開2017-144960(JP,A)
【文献】米国特許第02820872(US,A)
【文献】特公昭49-024614(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 7/08
B62D 5/00 - 5/32
F16H 1/28 - 1/48
F16H 48/00 - 48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールからの操舵力を受け車両のタイヤの向きを変更する操舵機構と、該操舵力に応じた操舵補助力を出力するモータに接続され該操舵補助力を増大させて
減速機用アームに伝達し、前記減速機用アームを介して前記操舵機構に伝達する減速機と、
前記ステアリングホイールと前記操舵機構との間に設けられ、ギヤボックス用アームを有するギヤボックスと、
を備え、
前記減速機用アームは、ねじ締結により、前記減速機及び連結棒に接続されており、
該ギヤボックス用アームを
前記連結棒により前記操舵機構に接続するとともに前記減速機用アームを前記連結棒により前記操舵機構に接続した、ことを特徴とする操舵装置。
【請求項2】
前記減速機と前記操舵機構との接続解除により、前記操舵機構は、前記ステアリングホイールの操舵力のみにより前記タイヤの向きの変更を行う、請求項
1に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記連結棒の一端に前記ギヤボックス用アーム及び前記減速機用アームが接続され、前記連結棒の他端に前記操舵機構が接続されている、請求項1
又は2に記載の操舵装置。
【請求項4】
前記連結棒は、前記ギヤボックスから出力されたトルクを前記操舵機構に伝達する、請求項1から
3のいずれか1項に記載の操舵装置。
【請求項5】
前記操舵機構は、タイロッドを有し、前記タイロッドに
前記連結棒を介して前記減速機用アームを接続した、請求項1から
4までのいずれか1項に記載の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操舵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
操舵補助装置は、運転者のステアリング操作を補助するために様々な車両に搭載されている。このような操舵補助装置として、トルクセンサと、モータと、減速機とにより、操舵補助力を操舵機構に伝達する装置が使用されている。
【0003】
トルクセンサは、運転者のステアリング操作によって、ステアリングシャフトに生じたトルクを検出する。モータは、検出されたトルクに応じた駆動力を生成する。駆動力は、減速機を通じて、操舵機構へ伝達される。減速機は、モータから操舵機構へ伝達されるトルクを増大させるので、運転者は、軽い力でステアリングを操作し、車両の方向を変化させることができる。特許文献1は、減速機として、遊星歯車装置を利用することを提案する。
【0004】
特許文献1では、搭載スペースを小さくすることができる揺動内接式遊星歯車装置を用いた電動パワーステアリング装置について開示しています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、減速機は、特に、大きな重量の車両(例えば、5トントラック)に搭載される操舵補助装置に組み込まれると、非常に大きな負荷を受けるが、従来の構成では、減速機が故障した場合、ラック軸に減速機のピニオンが噛合っているため、故障からの復帰に際し減速機を取り外してピニオンとラック軸との係合を解除する必要があり、時間や手間が過大となってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、減速機の係合の解除を容易ならしめることで、減速機の故障時などに減速機の係合を解除し人の操作力のみで車両の方向を変化可能な操舵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る操舵装置は、操舵力が加えられるステアリングホイールと、該操舵力を受け車両のタイヤの向きを変更する操舵機構と、該操舵力に応じた操舵補助力を出力するモータと、該操舵補助力を増大させて前記操舵機構に伝達する減速機と、を備え、該減速機と前記操舵機構とを該減速機用アームを介して接続されている。
【0009】
本発明の一実施形態に係る操舵装置は、前記減速機と前記操舵機構との接続は、前記減速機と前記減速機用アームとの係合解除又は前記操舵機構と前記減速機用アームとの係合解除により、接続解除可能であるように構成されている。
【0010】
本発明の一実施形態に係る操舵装置は、前記減速機と前記操舵機構との接続解除により、前記操舵機構は、前記ステアリングホイールの操舵力のみにより前記タイヤの向きの変更を行うように構成されている。
【0011】
本発明の一実施形態に係る操舵装置は、前記ステアリングホイールと前記操舵機構との間に、ギヤボックス用アームを有するギヤボックスをさらに備え、該ギヤボックス用アームと前記減速機用アームの双方を、連結棒により前記操舵機構に接続されている。
【0012】
本発明の一実施形態に係る操舵装置は、前記ステアリングホイールと前記操舵機構との間に、ギヤボックス用アームを有するギヤボックスをさらに備え、該ギヤボックス用アームと前記操舵機構とをギヤボックス用連結棒で接続し、前記減速機用アームと前記操舵機構とを減速機用連結棒で接続されている。
【0013】
本発明の一実施形態に係る操舵装置は、前記操舵機構は、タイロッドであるように構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態の操舵装置によれば、減速機の係合の解除が容易となり、減速機の故障時などに減速機の係合を解除し人の操作力のみで車両の方向を変化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の操舵装置の概略的なブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る操舵装置の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る操舵装置の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電動ギヤボックスの概略図である。
【
図5】
図4の電動ギヤボックスの減速機の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る操舵装置1の概略的なブロック図である。
【0018】
図示の操舵装置1は、操作部10と、操舵機構20と、制御部21と、電動ギヤボックス30)と、を備える。
【0019】
操作部10は、ステアリングホイール11と、ステアリングシャフト12とを含むように構成される。運転者は、ステアリングホイール11を握持する。運転者が、車両(図示せず)の方向を変更しようとするとき、ステアリングホイール11は、運転者によって回転される。ステアリングシャフト12は、ステアリングホイール11と操舵機構20とに機械的に接続される。運転者の回転操作によってステアリングホイール11に与えられた操舵力は、ステアリングシャフト12を通じて、操舵機構20へ伝達される。ステアリングシャフト12と操舵機構20との間には、ギヤボックス(例えば、後述するギヤボックス2)及び連結棒(例えば、後述する連結棒8)が設けられてもよい。
【0020】
操舵機構20は、ステアリングホイール11に加えられた操舵力を、車両のタイヤ(図示せず)に伝達し、車両のタイヤの向きを変更するように構成される。運転者の操舵力の大きさに応じて、タイヤの向きの変更のための力が調整される。ステアリングホイール11、ステアリングシャフト12、操舵機構20及びタイヤの機械的な連結構造には、様々な設計態様が考えられ、これを適宜適用することができる。
【0021】
制御部21は、トルクセンサ22と、制御装置23とを含むように構成される。トルクセンサ22は、ステアリングシャフト12に生じたトルクを検出する。トルクセンサ22には、様々な態様が考えられ、特定の種類に限定されない。
【0022】
トルクセンサ22は、ステアリングシャフト12に生じたトルクを検出するため、ステアリングシャフト12に直接的に接続されていてもよいし、ステアリングシャフト12に直接的に接続されなくてもよい。トルクセンサ22とステアリングシャフト12との間の機械的或いは電気的な接続構造には、様々な態様が考えられ、特定の接続構造に限定されない。
【0023】
制御装置23は、トルク信号に応じて、電動ギヤボックス30を制御する。トルク信号が示す、トルクの大きさに応じて、制御装置23は、電動ギヤボックス30に操舵補助力を出力させる。この操舵補助力は、最終的に操舵機構20へ伝達される。運転者は、このようにして、小さな力で車両の向きを変えることができる。制御装置23は、トルク信号を処理し、電動ギヤボックス30を駆動するための駆動信号を生成することができる。制御装置23の動作には、様々な態様が考えられ、特定の態様に限定されない。
【0024】
電動ギヤボックス30は、モータ31と、減速機32とを含むように構成される。上述の駆動信号は、制御装置23からモータ31へ出力される。モータ31は、駆動信号に応じて回転し、駆動信号によって定められた操舵補助力を出力する。モータ31から出力される操舵補助力は、ステアリングシャフト12に加わる操舵力に応じて変化する。
【0025】
モータ31からの操舵補助力は減速機32へ入力される。減速機32は、モータ31からの操舵補助力を増大させて操舵機構20へ伝達する。このようにして、運転者は、操舵補助力の補助の下で、小さな力で車両のタイヤの方向を変更することができる。
【0026】
図示の操舵装置1の操作部10、操舵機構20、制御部21及び電動ギヤボックス30には、様々な構成が考えられ、特定の構成に限定されない。
【0027】
次に、
図2に、本発明の一実施形態に係る操舵装置1の概略図を示す。
【0028】
図示の本発明の一実施形態に係る操舵装置1は、ステアリングホイール11と、ステアリングシャフト12と、ギヤボックス2と、電動ギヤボックス
30と、連結棒8と、
タイロッド9と、を含む。
タイロッド9は、操舵機構20の例である。図2においては、制御部21の図示を省略している。
【0029】
運転者は、ステアリングホイール11を操作し、操舵力を加えると、ステアリングシャフト12を介してギヤボックス2に伝達される。ギヤボックス2は既知のギヤボックスで構成され、通常、ラック・ピニオン、ボールねじ、ウォームギヤなどの各種構成部材を備えるが、本発明の一実施形態に係るギヤボックス2は、ギヤボックス用アーム7を備え、これによりギヤボックス2と連結棒8とが接続される。当該接続は、ねじ締結を含め任意の方法で行うことができ、特定の方法に限定されない。
【0030】
ギヤボックス2から出力されたトルクは連結棒8を介してタイロッド9に伝達され、車両のタイヤ18の向きが変更される。
【0031】
一方、電動ギヤボックス30は、モータ31と、減速機(偏心揺動減速機)32と、減速機用アーム(ピットマンアーム)6とを含む。モータ31から出力される操舵補助力は、減速機32によって増大され、この増大された操舵補助力が減速機用アーム6へと伝達される。減速機用アーム6は、電動ギヤボックス30と連結棒8とを接続する。当該接続は、ねじ締結を含め任意の方法で行うことができ、特定の方法に限定されない。当該操舵補助力は、減速機用アーム6から、連結棒8を介してタイロッド9に伝達される。このようにして、運転者は、操舵補助力の補助の下で、小さな力で車両のタイヤの方向を変更することができる。
【0032】
減速機32とタイロッド9との接続は、減速機32と減速機用アーム6との係合解除又はタイロッド9と減速機用アーム6との係合解除により、接続解除可能であるように構成されている。このようにして、減速機の係合の解除が容易となり、減速機の故障時などに減速機の係合を解除し人の操作力のみで車両の方向を変化させることが可能となる。
【0033】
上述のように、図示の例では、ギヤボックス用アーム7と減速機用アーム6の双方が、同じ連結棒8によりタイロッド9に接続されている。このようにして、連結棒を共有化することで、操舵装置1の部品点数を削減することが可能となる。
【0034】
次に、
図3に、本発明の一実施形態に係る操舵装置1の概略図を示す。
【0035】
図示の本発明の一実施形態に係る操舵装置1は、
図2における場合と同様、ステアリングホイール11と、ステアリングシャフト12と、ギヤボックス2と、電動ギヤボックス
30と、連結棒8と、
タイロッド9
と、を含む。
【0036】
運転者は、ステアリングホイール11を操作し、操舵力を加えると、ステアリングシャフト12を介してギヤボックス2に伝達される。
【0037】
ギヤボックス2から出力されたトルクはギヤボックス用連結棒8を介してタイロッド9に伝達され、車両のタイヤ18の向きが変更される。
【0038】
一方、電動ギヤボックス30は、モータ31と、減速機(偏心揺動減速機)32と、減速機用アーム(ピットマンアーム)6とを含む。モータ31から出力される操舵補助力は、減速機32によって増大され、この増大された操舵補助力が減速機用アーム6へと伝達される。減速機用アーム6は、連結棒8とは異なる別の減速機用連結棒13に接続される。当該接続は、ねじ締結を含め任意の方法で行うことができ、特定の方法に限定されない。当該操舵補助力は、減速機用アーム6から、連結棒13を介してタイロッド9に伝達される。このようにして、運転者は、操舵補助力の補助の下で、小さな力で車両のタイヤの方向を変更することができる。
【0039】
図示の本発明の一実施形態に係る操舵装置1では、ギヤボックス用アーム7とタイロッド9とをギヤボックス用連結棒8で接続し、減速機用アーム6とタイロッド9とを減速機用連結棒13で接続している。
【0040】
減速機32とタイロッド9との接続は、減速機32と減速機用アーム6との係合解除又はタイロッド9と減速機用アーム6との係合解除により、接続解除可能であるように構成されている。このようにして、減速機の係合の解除が容易となり、減速機の故障時などに減速機の係合を解除し人の操作力のみで車両の方向を変化させることが可能となる。
【0041】
上述のように、図示の例では、ギヤボックス用アーム7と減速機用アーム6は、異なる連結棒8、13によりそれぞれタイロッド9に接続されている。このようにして、減速機32を含む電動ギヤボックス30を任意の位置に配置することができ、車両の設計自由度を向上させることができる。
【0042】
次に、
図4は、電動ギヤボックス
30の概略的な断面図である。
【0043】
電動ギヤボックス30は、モータ31と、減速機(偏心揺動減速機)32と、減速機用アーム6と、を備える。前述の通り、減速機用アーム6は、ねじ締結を含めた既知の方法で減速機32に取り付けられる。また、電動ギヤボックス30は、取付筒40を備え、取付筒40は、モータ31を減速機32に取り付けるために用いられる。
【0044】
モータ31は、筐体210と、モータシャフト220と、を含む。筐体210内には、一般的なモータに用いられる様々な部品(たとえば、コイルやステータコア)が配置される。本実施形態の原理は、筐体210内の特定の構造に限定されない。
【0045】
モータシャフト220は、減速機32に向けて延出する。モータシャフト220の先端には、ギア部221が形成される。ギア部221は、減速機32と噛み合う。この結果、モータ31が生成したトルクは、減速機32へ伝達される。
【0046】
図4に示すように、
減速機32は、外筒50と、キャリア600と、歯車部700と、3つの駆動機構800(
図4は、3つの駆動機構800のうち1つを示す)と、2つの主軸
受(図示しない)と、を備える。
【0047】
図5に示すように、外筒
50 は、略円筒状のケース510と、複数の内歯ピン520と、を含む。ケース510は、キャリア600、歯車部700及び駆動機構800が収容される円筒状の内部空間を規定する。複数の内歯ピン520は、ケース510の内周面に沿って環状に並べられ、内歯環を形成する。本実施形態において、内歯は、内歯ピン520によって例示される。
【0048】
図5は、キャリア600及びモータシャフト220の回転中心軸RCXを示す。内歯ピン520それぞれは、回転中心軸RCXの延出方向に延びる円柱状の部材である。内歯ピン520それぞれは、ケース510の内壁に形成された溝部に嵌入される。したがって、内歯ピン520それぞれは、ケース510によって適切に保持される。
【0049】
図5に示すように、複数の内歯ピン520は、回転中心軸RCX周りに略一定間隔で配置される。内歯ピン520それぞれの半周面は、ケース510の内壁から回転中心軸RCXに向けて突出する。したがって、複数の内歯ピン520は、歯車部700と噛み合う内歯として機能する。
【0050】
図4に示すように、キャリア600は、基部610と、端板部620と、を含む。基部610は、端板部620と減速機用アーム6との間に配置される。端板部620は、基部610と
モータ31との間に配置される。キャリア600は、全体的に、円筒状である。キャリア600は、外筒50内で回転中心軸RCX周りに回転する。
【0051】
基部610は、
基板部611(図4を参照)と、3つのシャフト部
612(図5を参照)と、を含む。3つのシャフト部
612それぞれは、基板部
611から
端板部620に向けて延びる。
端板部620は、3つのシャフト部
612それぞれの
先端面に接続される。
端板部620は、リーマボルト、位置決めピンや他の態様によって、3つのシャフト部
612それぞれの
先端面に接続されてもよい。
【0052】
歯車部700は、基部610の基板部611と端板部620の基板部621との間に配置される。3つのシャフト部622は、歯車部700を貫通し、端板部620に接続される。
【0053】
歯車部700は、第1トロコイド歯車710と、第2トロコイド歯車720と、を含む。第1トロコイド歯車710は、基板部611と第2トロコイド歯車720との間に配置される。第2トロコイド歯車720は、端板部620と第1トロコイド歯車710との間に配置される。
図5に示すように、第1トロコイド歯車710の複数の外歯の一部は、複数の内歯ピン520によって形成された内歯環と噛み合う。
【0054】
モータシャフト220の回転は、駆動機構800により、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720へ伝達される。この結果、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720の揺動回転が引き起こされる。
【0055】
図4は、第1トロコイド歯車710の中心軸CX1と、第2トロコイド歯車720の中心軸CX2と、を示す。中心軸CX1,CX2は、キャリア600の回転中心軸RCXと略平行に延びる。
図5は、第1トロコイド歯車720の中心軸CX1を示す。上述の揺動回転の間、中心軸CX1,CX2は、キャリア600の回転中心軸RCX周りを周回する。したがって、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720は、内歯ピン520に噛み合いながら、ケース510内を周回移動する。この間、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720は、キャリア600の3つのシャフト部
622に接触し、キャリア600を回転中心軸RCX周りに回転させる。
【0056】
第2トロコイド歯車720の中心軸CX2は、第1トロコイド歯車710の中心軸CX1とは異なる位相で、キャリア600の回転中心軸RCX周りを周回してもよい。
【0057】
基部610は、その端部で減速機用アーム6に取り付けられている。取り付け方法は、
図4のようにネジ
6aを締結することにより行ってもよいし、その他の方法で行っても構わない。このようにして、
モータ31から出力される操舵補助力は減速機32によって減速機用アーム6へ伝達される。
【0058】
図4に示すように、3つの駆動機構800それぞれは、入力歯車810と、クランク軸820と、2つのジャーナル軸受830と、2つのクランク軸受840と、を含む。入力歯車810は、モータシャフト220のギア部221に噛み合い、
モータ31からトルクを受け取る。第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720とは異なり、入力歯車810は、平歯車である。代替的に、入力歯車810として、他の種類の歯車部品が用いられてもよい。本実施形態の原理は、入力歯車810として用いられる特定の種類の歯車部品に限定されない。
【0059】
入力歯車810とモータシャフト220のギア部221とによって決定される減速比は、上述の内歯環と歯車部700とによって決定される減速比よりも小さくてもよい。本発明の一実施形態において、第1減速比は、入力歯車810とモータシャフト220のギア部221とによって決定される減速比によって説明される。また、第2減速比は、内歯環と歯車部700とによって決定される減速比によって説明される。
【0060】
入力歯車810が回転すると、クランク軸820は、回転する。この結果、第1偏心部823及び第2偏心部824は、偏心回転する。この間、クランク軸受840を介して第1偏心部823に接続された第1トロコイド歯車710は、複数の内歯ピン520と噛み合いながら、外筒50内で周回移動することができる。同様に、クランク軸受840を介して第2偏心部824に接続された第2トロコイド歯車720は、複数の内歯ピン520と噛み合いながら、外筒50内で周回移動することができる。この結果、第1トロコイド歯車710及び第2トロコイド歯車720それぞれは、外筒50内で、揺動回転を行うことができる。本実施形態において、クランク機構は、クランク軸820及び2つのクランク軸受840によって説明される。
【0061】
図4に示すクランク軸820は、第1ジャーナル821と、第2ジャーナル822と、第1偏心部823と、第2偏心部824と、を含む。第1ジャーナル821は、キャリア600の基板部611によって取り囲まれる。第2ジャーナル822は、キャリア600の端板部620
の基板部621によって取り囲まれる。2つのジャーナル軸受830のうち一方は、第1ジャーナル821と基板部611との間に配置される。2つのジャーナル軸受830のうち他方は、第2ジャーナル822と端板部620との間に配置される。加えて、上述の入力歯車810は、第2ジャーナル822に取り付けられる。
【0062】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。上述の様々な実施形態は、上記に説明したものに限定されず、様々な操舵装置に適用可能である。上述の様々な実施形態のうち1つに関連して説明された様々な特徴のうち一部が、他のもう1つの実施形態に関連して説明された操舵装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 操舵装置
2 ギヤボックス
6 減速機用アーム
7 ギヤボックス用アーム
8 連結棒
9 タイロッド
10 操作部
11 ステアリングホイール
12 ステアリングシャフト
13 減速機用連結棒
18 車両のタイヤ
20 操舵機構
21 制御部
30 電動ギヤボックス
31 モータ
32 減速機