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特許7161858電気コンタクト素子、および、硬質はんだから形成されたはんだ付け体の圧入によって相手コンタクトへの硬質はんだ付けされた導電接続を形成する方法
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  • 特許-電気コンタクト素子、および、硬質はんだから形成されたはんだ付け体の圧入によって相手コンタクトへの硬質はんだ付けされた導電接続を形成する方法 図1
  • 特許-電気コンタクト素子、および、硬質はんだから形成されたはんだ付け体の圧入によって相手コンタクトへの硬質はんだ付けされた導電接続を形成する方法 図2
  • 特許-電気コンタクト素子、および、硬質はんだから形成されたはんだ付け体の圧入によって相手コンタクトへの硬質はんだ付けされた導電接続を形成する方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】電気コンタクト素子、および、硬質はんだから形成されたはんだ付け体の圧入によって相手コンタクトへの硬質はんだ付けされた導電接続を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/02 20060101AFI20221020BHJP
   H01R 4/34 20060101ALI20221020BHJP
   H01R 43/02 20060101ALI20221020BHJP
   B23K 1/002 20060101ALI20221020BHJP
   B23K 1/14 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H01R4/02 Z
H01R4/34
H01R43/02 A
B23K1/002
B23K1/14 D
B23K1/14 B
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018057419
(22)【出願日】2018-03-26
(65)【公開番号】P2018170274
(43)【公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】10 2017 205 360.7
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ブルーメンシャイン,ルディ
(72)【発明者】
【氏名】ケニー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】キオスキス,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ドレッセル,アンドレ マルティン
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-034770(JP,U)
【文献】国際公開第2013/108805(WO,A1)
【文献】米国特許第04802862(US,A)
【文献】特開昭59-101787(JP,A)
【文献】特開2009-214180(JP,A)
【文献】特開2015-131318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 3/00 ー 4/22
12/00 -12/91
43/00 -43/02
B23K 1/00 - 3/08
1/14
H01M 50/50 -50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コンタクト(6)に物質的に結合されてなる導電接続(24)を形成するための電気コンタクト素子(12)であって、前記コンタクト素子(12)は、接触面(22)と、前記接触面(22)を越えて突き出る少なくとも1つの突起(34)と、前記接触面(22)と前記突起(34)との間に設けられ、前記突起(34)が突き出る方向の反対方向に窪む少なくとも1つの凹部(26)を備え、硬質はんだから形成されたはんだ付け体(28)が、前記凹部(26)内へ圧入され、前記凹部(26)から前記接触面(22)を越えて突出している、電気コンタクト素子(12)。
【請求項2】
前記はんだ付け体(28)は、成形部品である、請求項1に記載の電気コンタクト素子(12)。
【請求項3】
前記接触面(22)、前記凹部(26)、および/または前記はんだ付け体(28)は、環状である、請求項1または2に記載の電気コンタクト素子(12)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突起(34)は、円周カラーであり、前記はんだ付け体(28)に対して平行に突き出る、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気コンタクト素子(12)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの突起(34)は、前記はんだ付け体(28)を越えて突き出ている、請求項4に記載の電気コンタクト素子(12)。
【請求項6】
コンタクト素子(12)および相手コンタクト(6)に電気自動車の電池のセルを接続するための電気接続(24)であって、前記相手コンタクト(6)およびコンタクト素子(12)は、接触面(22)で互いに硬質はんだ付けされ、前記コンタクト素子(12)は、前記接触面(22)上に少なくとも1つの凹部(26)を備え、前記硬質はんだから形成されたはんだ付け体(28)が、前記凹部(26)内に位置し、前記接触面(22)の前記硬質はんだ接続を形成しており、前記相手コンタクト(6)および前記コンタクト素子(12)は、ねじ接続(16)によって互いに押し付けられており、
互いに相補形に構成されかつ互いに係合する少なくとも1つの突起(34)および少なくとも1つのレセプタクル(38)を有するセンタリング・デバイス(36)が存在しており、
前記少なくとも1つの突起(34)と前記関連する相補形のレセプタクル(38)との間に、硬質はんだが位置している、電気接続(24)。
【請求項7】
前記はんだ付け体(28)は、前記凹部(26)に全面接触している、請求項6に記載の電気接続(24)。
【請求項8】
請求項6または7に記載の電気接続(24)を有している、電気自動車のマルチセル電池向けのセルコネクタ(1)。
【請求項9】
硬質はんだから形成されたはんだ付け体(28)によって、相手コンタクト(6)と、接触面(22)と前記接触面(22)を越えて突き出る少なくとも1つの突起(34)の間に設けられ、前記少なくとも1つの突起(34)が突き出る方向の反対方向に窪む凹部(26)を有する電気コンタクト素子(12)との間に、硬質はんだ付けされた電気接続(24)を形成する方法であって、前記はんだ付け体(28)は、前記凹部(26)内へ圧入され、前記接触面(22)を越えて突出し、前記コンタクト素子(12)および相手コンタクト(6)は、前記接触面(22)で互いに押し付けられ、前記はんだ付け体(28)は、加熱および溶融される、方法。
【請求項10】
加熱が誘導により実施される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
加熱および互いに対する押し付けが、シールドガス雰囲気中で実施される、請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの突起(34)および前記突起(34)に対して相補形のレセプタクル(38)を有するセンタリング・デバイス(36)を介して、前記相手コンタクト(6)および電気コンタクト素子(12)に対するセンタリングが行われ、前記突起および前記レセプタクル(38)は、前記はんだ付け体(28)が前記相手コンタクト(6)上に位置する前に係合する、請求項から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記相手コンタクト(6)および電気コンタクト素子(12)は、ねじ接続(16)によって互いに押し付けられる、請求項から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記電気コンタクト素子(12)は、前記相手コンタクト(6)の中心開口(40)と位置合わせされるように構成された中心通路(42)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気コンタクト素子(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コンタクト素子、および、相手コンタクトへの物質的に結合された導電接続を形成する方法に関する。さらに、本発明は、コンタクト素子および相手コンタクトへの電気接続、ならびにそのような電気接続を有する電気自動車のマルチセル電池向けのセルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、電気自動車の電池は複数のセルを有し、これらのセルはいずれの場合も、大電流を生成し、直列に接続される。これらのセルは、多くの場合、モジュールと呼ばれる。個々のセルを接触させるワイヤは、セルコネクタによってまとめられる。電流が大きいことから、これらの電気ワイヤは大きな断面を有しており、これらの接続には大きな力が必要である。電気導体は通常、2つの導体間に取り付けられたねじ接続およびコンタクト素子によって互いに押し付けられる。いくつかの設計では、この場合ねじは、電気導体およびコンタクト素子を貫通する。
【0003】
高直流電流のために典型的には重くて硬い電気導体を動かすためだけでなく、表面の凸凹を平らにし、互いに押し付けられた導体およびコンタクト素子の接触面の弾性変形によって可能な限り広範囲にわたるオーバーレイを実現するために、より大きな接触圧力が必要である。電気コンタクト素子と相手コンタクトとして働く電気導体とが互いに当接する表面が大きければ大きいほど、境界抵抗は小さくなる。境界抵抗を小さくすることによって、電気損失を低減させることができ、セルコネクタは過度に加熱されなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この実証された技法にもかかわらず、境界抵抗を低減させる方法が引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、上述した電気コンタクト素子に対して、コンタクト素子の接触面に凹部が位置し、硬質はんだから形成されたはんだ付け体が、凹部内へ圧入され、この凹部から接触面を越えて突出することによって実現される。
【0006】
上述した電気接続は、本発明によれば、相手コンタクトおよびコンタクト素子が、接触面で互いに硬質はんだ付けされ、コンタクト素子は、接触面に少なくとも1つの凹部を備え、硬質はんだから形成されたはんだ付け体が、この凹部内に位置し、接触面の硬質はんだ接続を形成することを特徴とする。本発明によるセルコネクタは、そのような電気接続を有する。
【0007】
上述した方法によれば、境界抵抗の低減は、相手コンタクトと電気コンタクト素子との間の硬質はんだ付けされた電気接続によって実現することができ、電気コンタクト素子の接触面に凹部が設けられ、硬質はんだから形成されたはんだ付け体が、凹部内へ圧入され、接触面から突出し、コンタクト素子および相手コンタクトは、接触面で互いに押し付けられ、はんだ付け体は、加熱および溶融される。
【0008】
硬質はんだの使用により、物質的に結合された電気接続もまた、損傷なく最も大きい接触圧力に耐えることが確実になる。同時に、硬質はんだ接続の結果、従来実行されてきた圧力の単なる印加によって実現することができる場合より境界抵抗が小さくなる。接触面の凹部内にはんだ付け体を取り付けることによって、硬質はんだは、はんだ付けプロセス中に必要とされる位置に精密に配置される。これは、コンタクト素子の外側からの硬質はんだ付けの場合のように、まず毛管作用によってはんだ付け間隙を通って硬質はんだを吸引し、次に接触面にわたって分散させる必要はないことを意味する。
接触面内の凹部内に硬質はんだを事前に設けることで、接触面にわたって硬質はんだをより均一に分配することが可能になる。硬質はんだを凹部内へ圧入することによって、接触面の上のはんだ付け体の張り出し、したがってはんだ付け間隙内のはんだの量を正確に判定することができる。コンタクト素子および相手コンタクトの互いに対する開始位置、ならびに押圧プロセスおよびはんだ付けプロセス中の終了位置は、この張り出しによって精密に画定される。終了位置は、はんだ付け体の張り出し内の材料の量、および湿らせる接触面のサイズ、および接触圧力から明らかになる。
【0009】
コンタクト素子は、好ましくは、電気自動車内で高直流電流を流すために、特に電池セルを接続するために使用される。本発明は、互いに独立してそれぞれ有利である以下の発展形態によってさらに改善することができる。
【0010】
したがって、はんだ付け体は、成形部品、たとえば焼結部品、鋳造部品、もしくは塑性変形によって生成された部品であり、かつ/または特に凹部に対して相補形に構成されることが有利である。成形部品としての構成および/または凹部に対して相補形の構成により、圧入プロセスを精密に実施することが可能になり、特に接触面からのはんだ付け体の張り出しに関して、厳密な公差を維持することが可能になる。
【0011】
凹部は、好ましくは、空気ポケットがなく、または無視できるほどの空気ポケットしかなく、はんだ付け体が凹部と全面接触するように、完全に充填される。全面接触により、小さな境界抵抗が確実になる。
【0012】
接触面またはコンタクト素子全体は、好ましくは、環状に構成される。凹部は、環状溝とすることができ、はんだ付け体は、環形とすることができる。この構成により、たとえばリベットまたはねじがこの環状体を通って延びる電気接続の使用が可能になる。
【0013】
接触面、環状溝、および/またははんだ付け体は、互いに対して同心円状に配置することができる。環状溝は、好ましくは、コンタクト素子の端面上に位置し、または接触面は、コンタクト素子の端面を形成する。
【0014】
当然ながら、コンタクト素子は、複数の接触面を有することもでき、各接触面に少なくとも1つの凹部が設けられ、この凹部内へはんだ付け体が圧入され、それぞれの接触面から突出する。たとえば、環状コンタクト素子の2つの端面に、対応するはんだ付け体を設けることができ、それにより硬質はんだ付けされた接続を両側に生成することができる。
【0015】
接触面は、接触面からはんだ付け体に対して平行に突出する少なくとも1つの突起を有することがさらに有利である。そのような突起は、電気コンタクト素子を相手コンタクトに対して位置合わせするように構成されたセンタリング・デバイス(a centering device)の一部とすることができる。たとえば、相手コンタクト上に、突起に対して相補形に構成されたレセプタクルが存在することができ、突起およびレセプタクルは、全面的に硬質はんだ付けされた接続で、互いに係合する。
【0016】
少なくとも1つの突起は、好ましくは、はんだ付け体を越えて突き出る。これにより、はんだ付け体が相手コンタクトに当たる前に、コンタクト素子および相手コンタクトのセンタリングが可能になる。このようにして、はんだ付け体が溶融されたとき、溶融物上のコンタクト素子および相手コンタクトがその位置から流れ出ることが防止される。
【0017】
突起は、好ましくは環状であり、たとえば円周カラーであり、接触面、環状溝、およびはんだ付け体の少なくとも1つに対して特に同心円状に延びることができる。突起は、はんだ付け体によって径方向外方を取り囲むことができ、それにより硬質はんだが中心開口内へ流れ込むのを阻止または防止する障壁を形成する。その結果、それによってリベットまたはねじが誤ってはんだ付けされることまたは開口に嵌らなくなることを回避することができる。
【0018】
コンタクト素子と相手コンタクトとの間の全面的にはんだ付けされた接続の場合、1つの構成によれば、少なくとも1つの突起と関連する相補形の凹部との間に硬質はんだが位置し、その結果、電流を伝送する表面がさらに増大する。
【0019】
硬質はんだ接続をさらに機械的に固定するために、特に事前にはんだ付けされた状態で、相手コンタクトおよびコンタクト素子をねじ接続によって互いに押し付けることができる。
【0020】
さらに、はんだ付け体を受け取る凹部は、好ましくは、全面的に硬質はんだ付けされた接続の場合、硬質はんだによって完全に充填され、それにより凹部の表面全体が、電流を導入するために利用可能になる。
【0021】
加熱は、好ましくは誘導によって行われ、コンタクト素子および/または相手コンタクトも加熱することができる。
【0022】
はんだ付け体および/または電気コンタクト素子には、融剤を事前に提供することができる。それにもかかわらず、融剤によって引き起こされる接触面に対する腐食を回避するために、コンタクト素子および相手素子を加熱し、互いに押し付けることが、シールドガス雰囲気中で実施されることが好ましい。この場合、融剤は必要ない。
【0023】
硬質はんだの溶融中、および/または硬質はんだが溶融されているときに、相手コンタクトおよびコンタクト素子を押し付け合うことは、好ましくは、電気接続のねじによる保持によって実施され、ねじは、たとえば、環状コンタクト素子の場合、この環形またははんだ付け装置の押圧要素を通って延び、それによりコンタクト素子および相手コンタクト素子に作用する。シールドガス雰囲気を生成するために、はんだ付け装置は、コンタクト素子および相手コンタクト、またはむしろ電気接続を密閉する覆いを有することができる。
【0024】
以下、本発明について、添付の図を参照する例示的な実施形態を使用してより詳細に説明する。話を簡単にするために、個々の図において、設計および/または構造に関して互いに対応する要素には、同じ参照番号を使用する。上記によれば、例示的な実施形態に図示および記載する個々の特徴は、当然ながら、特定の応用例においてそれぞれの特徴に関連する技術的な作用が重要でない場合、省略することもできる。逆に、以下の例示的な実施形態に図示または記載しない上述した特徴もまた、この特徴に関連する技術的な作用が重要でない場合でも、追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明によるセルコネクタの概略断面図である。
図2】硬質はんだ付けされていない状態の本発明によるコンタクト素子およびチェーンリンクの概略断面図である。
図3】本発明によるコンタクト素子および相手コンタクトの硬質はんだ付けされた電気接続を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、特にマルチセル自動車において、自動車用電池(図示せず)の個々のセルまたはモジュールを直列に電気的に接続する働きをするセルコネクタ1を示す。矢印2によって電流の流れを概略的に示す。第1の電気導体4が、セルコネクタ1によって第2の電気導体6に電気的に接続される。第2の電気導体6をここでは相手コンタクトと呼ぶ。セルコネクタ1は、接地接続8をさらに有し、接地接続8は、導体4、6から電気的に分離され、セルコネクタ1のハウジング10に電気的に接続される。セルコネクタ1は、ここでは環状であるコンタクト素子12を有し、任意選択で、たとえばやはり環状であるさらなるコンタクト素子14を有する。
【0027】
コンタクト素子12は、導体4、6間に位置し、相手コンタクトである導体6上に置かれる。導体4、任意選択のコンタクト素子14、コンタクト素子12、および相手コンタクト6から構成されるパッケージは、小さい境界抵抗および機械的に強固な接続を有する全面オーバーレイを得るために、ねじ接続16を介してともに押し付けられる。ねじ接続16は、素子2、12、14(あれば)、および6を通って延びる。ねじ接続16は、接触防止物である絶縁体18によって外方から電気的に絶縁される。
【0028】
境界抵抗を低減させるために、コンタクト素子12は、相手コンタクト6に硬質はんだ付けされる。これについて、図2および図3を参照して例として以下でより詳細に説明する。
【0029】
コンタクト素子12は、完全に形成された電気接続24(図3)において相手コンタクト6に対向して位置する接触面22を有する。
【0030】
コンタクト素子12は、少なくとも1つの凹部26を備え、硬質はんだから形成された少なくとも1つのはんだ付け体28が、凹部26内へ圧入される。凹部26は、溝状とすることができる。コンタクト素子12が、たとえば環状である場合、したがって凹部26は、特にコンタクト素子または環状接触面22に対して同心円状の環状溝として構成することができる。
【0031】
はんだ付け体28は、好ましくは、成形部品、たとえば焼結部品、鋳造部品、または硬質はんだから形成されて塑性変形によって生成された部品である。はんだ付け体28は、空気ポケットなく可能な限り遠くまで充填するように、凹部26内へ全面的に圧入されるべきである。これは、コンタクト素子内へ圧入する前に、凹部26の断面に対して相補形の断面形状を事前に有するはんだ付け体28によって簡略化することができる。はんだ付け体28と凹部26またはコンタクト素子12との間のそのような全面接触によって、はんだ付け体28とコンタクト素子12との間の境界抵抗を小さく抑えることができる。
【0032】
圧入されたはんだ付け体28は、張り出し30だけ接触面22を越えて突き出る。接続24が全面的に硬質はんだ付けされるとき、張り出し領域32内に含まれる硬質はんだの量によって、コンタクト素子12と相手コンタクト6との間に位置する硬質はんだの量が決まる。したがって、公差が狭い寸法を有するはんだ付け体28および凹部26を使用することによって、一定の量の硬質はんだを常に供給することができる。これについて、図3を参照して以下で説明する。
【0033】
コンタクト素子12は、コンタクト素子12および相手コンタクト6を位置合わせする働きをする突起34を有することができる。突起34は、張り出し30に対して平行にまたは張り出し30の方向に、接触面22から突出する。
【0034】
突起34は、カラー状に構成することができる。突起34はまた、特に凹部26および/または接触面22が環状である場合、環状に延びることができ、また好ましくは接触面22に対して同心円状に延びることができる。そのような場合、突起34をはんだ付け体28によって取り囲むことができる。
【0035】
はんだ付け体28は、突起34に当接することができ、それにより突起34は、ガイドを形成し、はんだ付け体28は、このガイドに沿って凹部26内へ挿入および圧入される。
【0036】
突起34は、突起34に対して相補形に構成され、特に突起34内に係合するレセプタクル38と協働することによって、センタリング・デバイス36の一部をなす。図示の例示的な実施形態では、この凹部は、相手コンタクト6の中心開口40であり、コンタクト素子12の中心通路42と位置合わせされる。開口40および通路42は、ねじ接続16(図1)の挿入のために使用することができる。
【0037】
はんだ付け体28が相手コンタクト6につく前に、コンタクト素子12および相手コンタクト6の位置合わせを事前に行うために、突起34は、はんだ付け体28を越えて突き出る。このようにして、はんだ付け体28が相手コンタクト6に当接する前に、位置合わせを事前に行うことができる。
【0038】
当然ながら、突起34はまた、相手コンタクト6上に配置することもできる。異なる形で構成された他のセンタリング・デバイス、たとえば相互に係合する歯部/または相互に係合するピンおよびレセプタクルも可能である。
【0039】
はんだ付け体28が相手コンタクト6上に位置する図2に示す相手コンタクト6およびコンタクト素子12の相対位置の前または後に、はんだ付け体28は、好ましくは誘導加熱される。この場合、相手コンタクト6および/またはコンタクト素子12もそれによって加熱することができる。渦電流のためにまず張り出し領域32内で生じるはんだ付け体の溶融が始まるとすぐに、接触圧力44の作用を受けたコンタクト素子12および相手コンタクト6は、はんだ付け間隙46が低減されるにつれて互いの方へ動き始める。溶融した硬質はんだは、はんだ付け間隙46内へ押し込まれて、はんだ付け間隙46内に広がる。センタリング・デバイス36によって、接触面22に対して平行な方向に溶融した硬質はんだ上で相手コンタクト6またはコンタクト素子12が横方向に押し流されることが回避される。同時に、図示の実施形態では、カラー状の突起34は、硬質はんだに対する障壁として働き、局部的に増大した流体抵抗によって、硬質はんだが相手コンタクト6の中心開口40に入るのを抑止する。
【0040】
融剤は、はんだ付け体28の一部とすることができ、またははんだ付け体28が溶融される前に、はんだ付け体28、相手コンタクト6、および/もしくはコンタクト素子12上へ塗布することができる。しかし、少なくともはんだ付け体28の溶融は、好ましくは、シールドガス雰囲気中で行われ、したがって融剤を不要にすることができる。
【0041】
全面的に硬質はんだ付けされた電気接続24において、凹部26は引き続きはんだ付け体28によって、好ましくは完全に充填され、それにより凹部26の表面全体がはんだ付け体28によって接触され、可能な限り最も小さい境界抵抗が得られる。好ましくは、硬質はんだが凹部26から流れ出すのを防止するために、相手コンタクト6とコンタクト素子12との距離に応じて、加熱が制御される。硬質はんだは、好ましくは、硬質はんだが流れ出すのを防止するために、はんだ付け間隙46が十分に小さくなった場合にのみ、完全に液化される。
【0042】
完成した電気接続において、硬質はんだは、センタリング・デバイス36内にも位置する。
【0043】
溶融した張り出し領域32のサイズが一定であることによって、複数のコンタクト素子12による完全な接続24で、はんだ付け間隙46のサイズは常に同じままであるため、高い製造品質を実現することができる。電気接続の高さは、わずかにしか変動しない。
【0044】
はんだ付けプロセスの初めに、硬質はんだは、はんだ付け間隙46内に事前に配置されており、まず毛管作用によって外側からはんだ付け間隙内へ吸引されるべきではなく、これによりはんだ付け間隙における硬質はんだの均一の分配が保証される。
【符号の説明】
【0045】
1 セルコネクタ
2 電流の流れ
4 第1の電気導体
6 第2の電気導体、相手コンタクト
8 接地接続
10 ハウジング
12 電気コンタクト素子
14 さらなる任意選択のコンタクト素子
16 ねじ接続
18 絶縁体
22 接触面
24 電気接続
26 凹部
28 はんだ付け体
30 はんだ付け体の張り出し
32 張り出し領域
34 突起
36 センタリング・デバイス
38 レセプタクル
40 中心開口
42 中心通路
44 接触圧力
46 はんだ付け間隙
図1
図2
図3