(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】経管栄養製剤及びそれを用いるための方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/00 20160101AFI20221020BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221020BHJP
A61K 36/18 20060101ALI20221020BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20221020BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A23L33/00
A61K9/08
A61K36/18
A61K45/06
A61P3/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018129436
(22)【出願日】2018-07-06
(62)【分割の表示】P 2013518571の分割
【原出願日】2011-06-28
【審査請求日】2018-08-02
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-09
(32)【優先日】2010-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100211199
【氏名又は名称】原田 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】マーガー, ジェニファー, レイ
(72)【発明者】
【氏名】ラフヘッド, ザムザム ファリバ
(72)【発明者】
【氏名】ストーム, ハイディー
(72)【発明者】
【氏名】テレシー, ジェームス スコット
【合議体】
【審判長】大島 祥吾
【審判官】加藤 友也
【審判官】奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-112953(JP,A)
【文献】特表2010-507157(JP,A)
【文献】特開2009-278968(JP,A)
【文献】特開2005-154401(JP,A)
【文献】特開平8-298968(JP,A)
【文献】特開平10-139681(JP,A)
【文献】特表2002-532399(JP,A)
【文献】「こんにちは!栄養科です。」第36号、北野旭美、平成22年3月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23LL33/00
A61K9/08
A61K36/18
A61K45/06
A61P3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも5つの異なるホールフード
成分を含む経管栄養製剤であって、
ビタミン源又はミネラル源と、
タンパク質源と、
炭水化物源と、
脂肪源と、
ハーブ、スパイス、及び香味料のうちの少なくとも1つとを含み、
ホールフード
成分は、果実、野菜、穀物及び肉からなる群より選択される食品であり、
タンパク質から全エネルギーの10%~35%を提供する量のタンパク質
源が提供され、炭水化物から全エネルギーの45%~65%を提供するのに十分な量の炭水化物
源が提供され、脂肪から全エネルギーの20%~40%を提供するのに十分な量の脂肪
源が提供され、400mOsm/kg水以下の重量モル浸透圧濃度を有する、
経管栄養製剤。
【請求項2】
少なくとも6つの異なるホールフード
成分、又は少なくとも7つの異なるホールフード
成分を含む、請求項1に記載の経管栄養製剤。
【請求項3】
フラ
ボノイド、カロテノイド、ポリフェノール化合物、テルペノイド、アルカロイド、硫黄含有化合物、及びこれらの組合せからなる群から選択される植物栄養素をさらに含む、請求項1又は2に記載の経管栄養製剤。
【請求項4】
前記植物栄養素が果実及び野菜の少なくとも1つ中に天然に見出される、請求項3に記載の経管栄養製剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の概要]
[0001]ホールフード(whole food)を含む栄養組成物を提供する。栄養組成物を用いる方法も提供する。一般的な一実施形態において、本開示は、タンパク質源、脂肪源、炭水化物源、並びにビタミン源及びミネラル源である、少なくとも5つの異なる加工されたホールフード成分を含む栄養組成物(例えば、経口栄養サプリメント、経管栄養製剤など)を提供する。
【0002】
[0002]一実施形態において、5つの異なる加工されたホールフード成分は、4提供単位(serving)の果実/野菜及び1提供単位の動物源を含むことができる。
【0003】
[0003]一実施形態において、栄養組成物は少なくとも6つ又は7つの異なるホールフード成分を含む。
【0004】
[0004]一実施形態において、ホールフード成分は、加工果実、加工野菜、加工肉、加工穀物、又はこれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態において、ホールフード成分は加工されている必要はない。
【0005】
[0005]一実施形態において、栄養組成物は、少なくとも1つのハーブ、スパイス、及び香味料をさらに含む。
【0006】
[0006]一実施形態において、タンパク質は、乳製品ベースのタンパク質、植物ベースのタンパク質、動物ベースのタンパク質、人工タンパク質、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0007】
[0007]一実施形態において、乳製品ベースのタンパク質は、カゼイン、カゼイン塩、カゼイン加水分解物、乳清、乳清加水分解物、乳タンパク質濃縮物、乳タンパク質分離物、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0008】
[0008]一実施形態において、植物ベースのタンパク質は、ダイズタンパク質、エンドウマメタンパク質、カノーラタンパク質、コムギ及び分画コムギタンパク質、トウモロコシタンパク質、ゼインタンパク質、コメタンパク質、カラスムギタンパク質、バレイショタンパク質、ラッカセイタンパク質、マメ、レンズマメ、ソバ、豆類に由来するタンパク質、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0009】
[0009]一実施形態において、動物ベースのタンパク質は、牛肉、家禽、魚、子羊肉、水産物、豚肉、卵、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0010】
[0010]一実施形態において、栄養組成物はリン脂質をさらに含む。
【0011】
[0011]一実施形態において、栄養組成物は、アラビアゴム、αグルカン、アラビノガラクタン、ベータグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーゴム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、乳オリゴ糖、部分的に加水分解されたグアーゴム、ペクチンオリゴ糖(pecticoligosaccharide)、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、ダイズオリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、これらの加水分解物、又はこれらの組合せからなる群から選択されるプレバイオティクスをさらに含む。
【0012】
[0012]一実施形態において、栄養組成物は、アエロコッカス属(Aerococcus)、アスペルギルス属(Aspergillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、カンジダ属(Candida)、クロストリジウム属(Clostridium)、デバロミセス属(Debaromyces)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、ロイコノストック属(Leuconostoc)、メリソコッカス属(Melissococcus)、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ムコール属(Mucor)、オエノコッカス属(Oenococcus)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ペニシリウム属(Penicillium)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ピキア属(Pichia)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、シュードカテヌラツム属(Pseudocatenulatum)、リゾプス属(Rhizopus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、トルロプシス属(Torulopsis)、ワイセラ属(Weissella)、又はこれらの組合せを含むプロバイオティクスからなる群から選択されるプロバイオティクスをさらに含む。
【0013】
[0013]一実施形態において、栄養組成物は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はこれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸をさらに含む。
【0014】
[0014]一実施形態において、栄養組成物は、α-リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、又はこれらの組合せからなる群から選択されるω-3脂肪酸源をさらに含む。ω-3脂肪酸源は、魚油、家禽、卵、亜麻仁、ウォールナッツ、アーモンド、藻類、オキアミ、改変された植物、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0015】
[0015]一実施形態において、栄養組成物はヌクレオチドをさらに含む。ヌクレオチドは、デオキシリボ核酸のサブユニット、リボ核酸のサブユニット、デオキシリボ核酸のポリマー形態、リボ核酸のポリマー形態、イースト抽出物形態、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0016】
[0016]一実施形態において、栄養組成物は、食品から単離され、又は経管栄養製剤において提供されるホールフード成分の部分として存在する植物栄養素をさらに含む(果実、野菜、穀物)。これらは、フラバノイド(flavanoid)、カロテノイド、類似フェノール化合物、ポリフェノール化合物、テルペノイド、アルカロイド、硫黄含有化合物、又はこれらの組合せであってもよい。
【0017】
[0017]一実施形態において、栄養組成物は、ハーブ/スパイス/香味料(ガーリック、シナモン、ヤクヨウニンジン(ginseng)、ターメリック、クルクミン、ローズマリー、ミント、レモングラス、イチョウ葉、ショウガ、チャ、バニラ抽出物)、ポリフェノール、カロテノイド、フラボノイド、リグナン、ルテイン、リコペン、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、グルタチオン ゴジ(ウルフベリー)、ラクトウルフベリー(lactowolfberry)、ヘスペリジン、セレン、ビタミンA、ビタミンE、又はこれらの組合せからなる群から選択される抗酸化活性を有する成分をさらに含む。
【0018】
[0018]一実施形態において、ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン、又はピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(様々なコバラミン、ビタミンサプリメントにおける通常シアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ビオチン、コリン、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0019】
[0019]一実施形態において、ミネラルは、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0020】
[0020]一実施形態において、栄養組成物は、世界の特定の領域において個体によって典型的に摂取される栄養源をさらに含む。例えば、栄養源は、果実、野菜、タンパク質、ハーブ、スパイス、香味料、又はこれらの組合せであってもよい。
【0021】
[0021]一実施形態において、栄養組成物は、小児に使いやすい食品ブレンド、又は経口食を摂取する小児にとって両親が「正常」とみなす食品を含む。人気のある、有名商標の食品には、例えば、チェリオ(Cheerios)(登録商標)、ジューシージュース(Juicy Juice)(登録商標)、キャンベルのアルファベットスープ(Campbell’s Alphabet Soup)(商標)、チキンナゲット、イチゴショートケーキ、バナナ、リンゴソースなどが含まれる。
【0022】
[0022]一実施形態において、ホールフード成分(例えば、果実、野菜、穀物)、ビタミン、ミネラル、タンパク質、脂肪、及び/又は炭水化物はオーガニックである。一実施形態において、タンパク質源は、放し飼い(ニワトリ)、子羊及び草で育てること(牛肉)を含めた天然の農業行為で育てられてもよい。
【0023】
[0023]一実施形態において、栄養組成物は、繊維源又は様々なタイプの繊維のブレンドを含む。繊維のブレンドは、可溶性繊維及び不溶性繊維の混合物を含有することができる。可溶性繊維は、例えば、フラクトオリゴ糖、アラビアゴム、イヌリンなどを含むことができる。不溶性繊維は、例えば、エンドウマメ外皮繊維を含むことができる。
【0024】
[0024]別の一実施形態において、栄養組成物は、加工されたホールフード、タンパク質、炭水化物、脂肪、又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも7つの異なる主要栄養素源、及びビタミン源又はミネラル源を含む。主要栄養素源は、脂肪、炭水化物、及びタンパク質から選択することができる。
【0025】
[0025]一実施形態において、少なくとも7つの異なる主要栄養素源は、少なくとも1つのタンパク質、少なくとも1つの炭水化物、及び少なくとも1つの脂肪を含む。
【0026】
[0026]一実施形態において、少なくとも7つの異なる供給源は少なくとも3つの異なるタンパク質源を含む。
【0027】
[0027]一実施形態において、少なくとも7つの異なる主要栄養素源は、少なくとも3つの異なる炭水化物源を含む。
【0028】
[0028]一実施形態において、少なくとも7つの異なる主要栄養素源は、少なくとも3つの異なる脂肪源を含む。
【0029】
[0029]さらに別の一実施形態において、基礎疾患(underlying medical condition)を有する患者の全般的な健康を改善する方法を提供する。方法は、基礎疾患を有する患者に、タンパク質源、脂肪源、炭水化物、並びにビタミン源及びミネラル源である、少なくとも5つの異なるホールフード成分を有する栄養組成物を投与するステップを含む。
【0030】
[0030]一実施形態において、栄養組成物は、少なくとも6つ又は7つの異なるホールフード成分を含む。
【0031】
[0031]一実施形態において、ホールフード成分は、加工果実、加工野菜、加工肉、加工穀物、ハーブ、スパイス、若しくは香味料、又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0032】
[0032]一実施形態において、患者は、長期間栄養組成物を用いてホールフード中に見出される栄養を摂取する。患者は、座りがち/寝たきりであってもよく、及び/又は高齢の成人であってもよい。患者は、免疫機能の低下又は変質、及び酸化ストレスの増大、腸の健康異常、グルコース代謝及び脂質状態の変質、筋骨格の健康の衰え(骨及び筋肉の喪失)、圧迫潰瘍、及び慢性創傷を有することがある。一実施形態において、患者はまた、脳性麻痺、発育不全、嚢胞性線維症、神経筋障害、脳損傷、発育遅延、又はこれらの組合せからなる群から選択される基礎疾患を有することがある。
【0033】
[0033]別の一実施形態において、長期間経管栄養若しくは栄養組成物を用いている、又は基礎疾患を有する患者の全般的な健康を維持若しくは改善する方法を提供する。方法は、基礎疾患を有する患者に、加工されたホールフード、ビタミン源又はミネラル源、及びタンパク質、炭水化物、脂肪、又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも7つの異なる主要栄養素源を有する栄養組成物を投与するステップを含む。
【0034】
[0034]一実施形態において、栄養組成物は、少なくとも7つの異なる主要栄養素源を含有し、これらの供給源は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つの炭水化物源、及び少なくとも1つの脂肪源を含む供給源を含む。栄養組成物は繊維源も含むことができる。栄養組成物は、少なくとも3つの異なるタンパク質も含むことができる少なくとも7つの異なる主要栄養素源を含有することができる。栄養組成物は、少なくとも3つの異なる炭水化物も含むことができる少なくとも7つの異なる主要栄養素源を含有することができる。栄養組成物は、少なくとも3つの異なる脂肪も含むことができる少なくとも7つの異なる主要栄養素源を含有することができる。栄養組成物は、少なくとも3つの異なる繊維源も含むことができる。
【0035】
[0035]別の一実施形態において、栄養組成物を投与する方法を提供する。方法は、栄養組成物をボーラスとして、1日あたり3回以上の異なる回数で投与するステップを含む。1日の第1の時間、患者に対するホールフードを有する第1の栄養組成物は典型的な朝食時間に対応することができ、その日の第2の時間、患者に対するホールフードを有する第2の栄養組成物の投与は典型的な昼食時間に対応することができ、その日の第3の時間、患者に対するホールフードを有する第3の栄養組成物の投与は典型的な夕食時間に対応することができる。さらなるボーラスの経管栄養はおやつ時間に対応することができる。そこで、本方法は、典型的な毎日のおやつ時間に対応する、第4、第5、又は第6の栄養組成物を含むことができる。
【0036】
[0036]一実施形態において、栄養組成物は、日単位で新たな栄養組成物に変更される。栄養組成物はまた、週単位又は月単位で新たな栄養組成物に変更されてもよい。異なる栄養組成物の周期は、異なる週によって生じることができる。これらの点において、例えば、本方法は、新たな第1の、又は朝食の製剤を、週の毎日提供することができる。本方法はまた、新たな第2の、又は昼食の製剤を、週の毎日提供することができる。別の一実施形態において、栄養組成物は、第1週に対して、朝食、昼食、及び夕食の各々に対して同じであることができ、次いで、第2週に対して朝食、昼食、及び夕食の各々に対して第2の製剤に変更することができる。
【0037】
[0037]一実施形態において、第1、第2、及び第3の栄養組成物は、少なくとも1つのタンパク質源、少なくとも1つの炭水化物源、少なくとも1つの脂肪源、並びに少なくとも1つのタイプの果実及び野菜を含む。第1、第2、及び第3の栄養組成物の各々のタンパク質は異なっていてもよい。第1、第2、及び第3の栄養組成物の各々の果実及び野菜の少なくとも1つは異なっていてもよい。
【0038】
[0038]一実施形態において、栄養組成物は、世界の文化/領域(例えば、地中海、アジア、南アメリカ、及びラテンアメリカ)に特異的な食品成分を含有することができる。
【0039】
[0039]一実施形態において、単一の時間点に提供される(より濃縮した投与量をもたらす)栄養の量/ボーラスは、連続的な食事として提供される場合に比べて異なる生理学的反応を誘発することがある。一例として、タンパク質のパルスフィーディング(pulse feeding)は、1日を通してタンパク質が均等に摂取される場合よりも大きな程度でタンパク質合成を刺激する。一実施形態において、1日あたり少なくとも1回の経管栄養製剤は、大量のタンパク質を含有することがある。
【0040】
[0040]一実施形態において、食品、及び/又は食品成分、及び香味料の多様性の増大は、送達されて腸における特定の味覚受容体を刺激し、したがって異なる生理学的反応を誘発する。例えば、腸におけるうま味受容体を刺激すると、粘液の分泌並びにGLP-1及びGLP-2の放出が増大する。腸における苦味受容体を刺激すると、CCK放出が増大し、胃内容排出が遅れる。腸における甘味受容体を刺激すると、GLP-1及びGIPの放出が刺激され、グルコーストランスポーターの発現も制御され、したがって糖の腸吸収が増強される。
【0041】
[0041]一実施形態において、栄養組成物は、温かいもの又は冷たいものとして送達されてもよい。食品の温度における違いは消化及び生理学的反応に影響を及ぼし得ると理論化することができる。
【0042】
[0042]さらに別の一実施形態において、経管栄養包装を提供する。包装は、加工されたホールフードを有する経管栄養製剤である包装中に含有される第1の成分、及び包装中に含有される第2の成分を含み、第2の成分は摂取可能であり、第1の成分と別々に包装されている。第2の成分は、味、若しくは消化の脳相を刺激し得る芳香を含むことができ、及び/又は口腔衛生のためのプロバイオティクスなどの機能性原材料を含むことができる。
【0043】
[0043]一実施形態において、第2の成分は、香味及び匂いを含んでいる、錠剤、トローチ剤、溶解性ストリップ、又はチューインガムであり、タンパク質源、脂肪源、又は炭水化物源を含んでいてもよく、又は含まなくてもよい。錠剤、トローチ剤、溶解性ストリップ、又はチューインガムは食べることの経験を刺激し、頭部の反応を刺激し、頭部の反応は栄養を吸収し、使用するよう身体を刺激する。第2の成分は、経口摂取禁止(「NPO」)食に準拠していてもよい。第2の成分はカロリーフリーであってもよく、「こすると匂いが出る(scratch and sniff)」成分を有することができる。第2の成分は開封時に匂いを放出することがある。
【0044】
[0044]一実施形態において、第2の成分の香味料は、経管栄養製剤の加工されたホールフードに対応している。第2の成分の香味及び/又は匂いは、世界の特定の領域における個体によって典型的に摂取される栄養源にも対応することができる。
【0045】
[0045]一実施形態において、第2の成分は、プロバイオティクス、カプサイシン、強力な香味源、又はこれらの組合せからなる群から選択される機能性原材料を含む。第2の成分は強力な香味(例えば、唾液の生成を刺激するための酸味、ショウガなど)を有することができ、プロバイオティクスなどの機能性原材料(健康な口腔フローラを維持するために)、及び/又はカプサイシンなど嚥下反射を引き起こす原材料を含むことができる。第2の成分は、芳香を増強するためのこすると匂いが出る成分であってもよく、又はこすると匂いが出る成分を有することができ、経口摂取が禁忌である場合(例えば、嚥下障害、神経学的障害)に用いることができる。
【0046】
[0046]一実施形態において、第2の成分の香味及び匂いは、経管栄養中に存在する食品と類似していてもよく、又は類似していなくてもよい。別の一実施形態において、第2の成分は、患者が自分が切望しているものを選択できるような感情的魅力のための様々な香味に付随する。
【0047】
[0047]一実施形態において、第1の成分及び第2の成分は、経管栄養製剤中に見出される食品成分の図若しくは形状、又はこれらの組合せを有する食器(例えば、プレート)の形状を有する包装中に含まれている。
[発明の効果]
【0048】
[0048]本開示の利点は、改善された経管栄養製剤を提供することである。
【0049】
[0049]本開示の別の利点は、本物の食品又はホールフードを含む改善された栄養組成物を提供することである。
【0050】
[0050]本開示のさらに別の利点は、骨の健康を促進する栄養組成物を提供することである。
【0051】
[0051]本開示のさらにまた別の利点は、除脂肪体重を維持する栄養組成物を提供することである。
【0052】
[0052]本開示のさらにまた別の利点は、筋肉量を維持する栄養組成物を提供することである。
【0053】
[0053]本開示の別の利点は、グルコース恒常性を維持する栄養組成物を提供することである。
【0054】
[0054]本開示の別の利点は、正常なコレステロール若しくはトリグリセリドレベルを維持し、又はコレステロール若しくはトリグリセリドレベルを低減する栄養組成物を提供することである。
【0055】
[0055]本開示の別の利点は、腸の健康を維持する栄養組成物を提供することである。
【0056】
[0056]本開示の別の利点は、健康な免疫機能の維持及び酸化ストレスの低減を助ける栄養組成物を提供することである。
【0057】
[0057]本開示の別の利点は、正常な成長を支持する栄養組成物を提供することである。
【0058】
[0058]本開示の別の利点は、慢性疾患を処置及び/又は防止する栄養組成物を提供することである。
【0059】
[0059]本開示のさらに別の利点は、圧迫潰瘍を処置及び/又は防止する栄養組成物を提供することである。
【0060】
[0060]本開示の利点は、長期の経管栄養レジメン上の患者の全般的な健康を改善する栄養組成物を提供することである。これらの患者は、座りがちであることがあり、高齢であることがあり、或いは嚢胞性線維症、四肢麻痺、脳性麻痺、及び/又は他の神経筋障害、又は嚥下障害を有することがある。
【0061】
[0061]本開示のさらにまた別の利点は、患者及び/又は患者の介護人に対して感情的魅力を提供する経管栄養製剤を提供することである。
【0062】
[0062]本開示のさらにまた別の利点は、本物の食品の、経口食を模倣する経管栄養製剤を提供することである。
【0063】
[0063]本開示のさらに別の利点は、通常の食べ物の投与を真似る経管栄養製剤を投与する方法を提供することである。
【0064】
[0064]さらなる特徴及び利点を本明細書に記載し、さらなる特徴及び利点は以下の発明を実施するための形態から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
[0065]本明細書で用いられる「約」は、ある範囲の数字における数を意味することが理解される。さらに、本明細書における全ての数字の範囲は、範囲内の全ての整数、全体又は部分を含むと理解されるべきである。
【0066】
[0066]本明細書で用いられる「アミノ酸」の語は、1つ又は複数のアミノ酸を含むことが理解される。アミノ酸は、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はこれらの組合せであってもよい。
【0067】
[0067]本明細書で用いられる「動物」には、それだけには限定されないが哺乳動物が含まれ、哺乳動物には、それだけには限定されないが、齧歯動物、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの家庭内動物(domestic animal)、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマなどの家畜(farm animal)、並びにヒトが含まれる。「動物」若しくは「哺乳動物」の語、又はこれらの複数形が用いられる場合、これは、その一節の文脈によって表され、又は表されることが意図される効果が可能であるあらゆる動物にも当てはまることが企図される。
【0068】
[0068]本明細書で用いられる「抗酸化剤」の語には、活性酸素種(「ROS」)並びに他のラジカル及び非ラジカル種によって促進される酸化又は反応を阻止するβ-カロテン(ビタミンA前駆体)、ビタミンC、ビタミンE、及びセレン)などの任意の1つ又は複数の様々な物質が含まれることが理解される。さらに、抗酸化剤は、他の分子の酸化を遅らせ、又は防止することができる分子である。抗酸化剤の非限定的な例には、アスタキサンチン、カロテノイド、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、フラボノイド、グルタチオン、ゴジ(ウルフベリー)、ヘスペリジン、ラクトウルフベリー、リグナン、ルテイン、リコペン、ポリフェノール、セレン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ゼアキサンチン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0069】
[0069]本明細書で用いられる、「完全栄養」には、十分なタイプ及びレベルの主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)、並びにこれが投与されている動物にとって単一の栄養源であるとして十分である微量栄養素を含有する栄養製品及び栄養組成物が含まれる。患者は、このような完全栄養組成物から自分の栄養要求の100%を摂取することができる。
【0070】
[0070]本明細書で用いられる「有効量」は、欠乏症を防止し、個体における疾患若しくは医学的状態を処置し、又はより一般的には、症状を低減し、疾患の進行を管理し、若しくは栄養的、心理的、若しくは医学的恩恵を個体にもたらす量である。処置は患者関連又は医師関連であってもよい。
【0071】
[0071]「個体」及び「患者」の語は本明細書においてヒトを意味するのにしばしば用いられるが、本発明はそれほど限定的ではない。したがって、「個体」及び「患者」の語は、処置から恩恵を受けることができる医学的状態を有し、又は医学的状態の危険性のある、あらゆる動物、哺乳動物、又はヒトを意味する。
【0072】
[0072]本明細書で用いられる、α-リノレン酸(「ALA」)、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)、及びエイコサペンタエン酸(「EPA」)などのω-3脂肪酸源の非限定的な例には、魚油、家禽、卵、又は亜麻仁、ウォールナッツ、アーモンド、藻類、オキアミ、改変された植物などの他の植物、若しくは木の実の供給源が含まれる。
【0073】
[0073]本明細書で用いられる、「食品グレードの微生物」は、食品において用いられ、及び食品において用いるのに安全であると一般にみなされている微生物を意味する。
【0074】
[0074]本明細書で用いられる「不完全栄養」は、十分なレベルの主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)、又はこれを投与している動物にとって単一の栄養源であるのに十分な微量栄養素を含有しない栄養製品又は栄養組成物を含む。部分的な、又は不完全な栄養組成物は、栄養サプリメントとして用いることができる。
【0075】
[0075]本明細書で用いられる「長期間投与」は、好ましくは6週間を超える連続投与である。或いは、本明細書で用いられる「短期間投与」は、6週間未満の連続投与である。
【0076】
[0076]本明細書で用いられる「哺乳動物」には、それだけには限定されないが、齧歯動物、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの家庭内動物、ヒツジ、ブタ、ウシ、及びウマなどの家畜、並びにヒトが含まれる。「哺乳動物」の語が用いられる場合、哺乳動物によって表され、又は表されることが意図される効果が可能である他の動物にも適用することが企図される。
【0077】
[0077]「微生物」の語には、細菌、酵母菌、及び/又は真菌、微生物を有する細胞増殖培地、又は微生物が培養された細胞増殖培地が含まれるものとされる。
【0078】
[0078]本明細書で用いられる「ミネラル」の語には、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、ヨウ素、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、カリウム、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、亜鉛、又はこれらの組合せが含まれることが理解される。
【0079】
[0079]本明細書で用いられる「正常な骨の成長」は、同じ骨内の、1部位で新たな骨を形成させ、別の1部位から古い骨を除去させるモデリングによって小児期及び思春期の骨が形作られるプロセスを意味する。このプロセスにより個々の骨はサイズにおいて成長し、空間において移行する。小児期の間、骨の内側では再吸収(骨を破壊するプロセス)が生じ、外側(骨膜)表面上に新たな骨の形成が生じるため、骨は成長する。思春期には、外側及び内側(骨内膜)両方の表面上に形成が起こり得るため、骨は厚くなる。リモデリングのプロセスは生涯を通して生じ、骨がその最大質量に到達する時期まで(典型的には20代初期まで)優勢なプロセスとなる。リモデリングにおいて、骨梁の表面上又は皮質の内側において少量の骨が除去され、次いで同じ部位で置き換えられる。リモデリングのプロセスは骨の形状を変えることはないが、それにもかかわらず骨の健康にとって不可欠である。モデリング及びリモデリングは生涯を通じて継続し、その結果殆どの成人の骨格は約10年毎に置き換えられる。リモデリングは成人期初期まで優勢であるが、モデリングは特に骨の弱化に反応して依然として起こり得る。
【0080】
[0080]本明細書で用いられる「ヌクレオチド」は、デオキシリボ核酸(「DNA」)又はリボ核酸(「RNA」)のサブユニットであると理解される。「ヌクレオチド」は、窒素含有塩基、リン酸分子、及び糖分子(DNAにおいてデオキシリボース及びRNAにおいてリボース)からなる有機化合物である。個々のヌクレオチドモノマー(単一の単位)が一緒にリンクしてポリマー、又は長鎖を形成する。外来のヌクレオチドは食事補給によって特に提供される。外来のヌクレオチドは、例えば、5’-アデノシン一リン酸(「5’-AMP」)、5’-グアノシン一リン酸(「5’-GMP」)、5’-シトシン一リン酸(「5’-CMP」)、5’-ウラシル一リン酸(「5’-UMP」)、5’-イノシン一リン酸(「5’-IMP」)、5’-チミン一リン酸(「5’-TMP」)、又はこれらの組合せなどのモノマー型におけるものであり得る。外来のヌクレオチドは、例えば、インタクトなRNAなど、ポリマー形態におけるものでもあり得る。例えば、酵母菌RNAなど、ポリマー形態の複数の供給源が存在することもある。
【0081】
[0081]本明細書で用いられる「栄養製品」又は「栄養組成物」は、1つ又は複数の、酸味料、さらなる増粘剤、緩衝剤又はpH調製のための薬剤、キレート化剤、着色剤、乳化剤、賦形剤、香味料、ミネラル、浸透物質、薬学的に許容される担体、保存料、安定化剤、糖、甘味料、テクスチャライザー(texturizer)、及び/又はビタミンなどの、従来の食品添加物を含めたあらゆる数々の任意選択のさらなる原材料を含むことが理解される。任意の適切な量の任意選択の原材料を加えることができる。
【0082】
[0082]本明細書で用いられる「患者」の語は、本明細書において規定する通り、処置を受け、又は受けることが意図される動物、特に哺乳動物、より詳しくはヒトを含むことが理解される。
【0083】
[0083]本明細書で用いられる「植物性化学物質」又は「植物栄養素」は、多くの食品中に見出される非栄養性化合物である。植物性化学物質は、基本的な栄養を超えた健康上の利点を有する機能性食品であり、植物源に由来する健康促進性の化合物である。植物栄養素、又は植物性化学物質の非限定的な例には、フラボノイド及び類似のフェノール性及びポリフェノール性の化合物、カロテノイドなどのテルペノイド、アルカロイド、並びに硫黄含有化合物であるものが含まれ、クルクミン、リモニン、及びケルセチン、又はこれらの組合せを含む。
【0084】
[0084]本開示及び添付の特許請求の範囲において用いられる、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が明らかに他のものを指摘しなければ複数の指示物を含む。このように、例えば、「1つのポリペプチド」に対する言及は、2つ以上のポリペプチドの混合物を含む、などである。
【0085】
[0085]本明細書で用いられる、「プレバイオティクス」は、有益な細菌の増殖を選択的に促進し、又は腸内の病原性細菌の増殖若しくは粘膜の接着を阻止する食品物質である。プレバイオティクスは胃及び/又は腸上部において不活性化されておらず、又はプレバイオティクスを摂取したヒトのGI管において吸収されるが、消化管の微生物叢及び/又はプロバイオティクスによって発酵されない。プレバイオティクスは、例えば、Glenn R.Gibson及びMarcel B.Roberfroid、Dietary Modulation of the Human Colonic Microbiota:Introducing the Concept of Prebiotics、J.Nutr.、1995年、125巻、1401~1412頁(1995年)によって規定されている。プレバイオティクスの非限定的な例には、アラビアゴム、αグルカン、アラビノガラクタン、βグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーゴム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、乳オリゴ糖、部分的に加水分解されたグアーゴム、ペクチンオリゴ糖、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、ダイズオリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、又はこれらの加水分解物、又はこれらの組合せが含まれる。
【0086】
[0086]本明細書で用いられる、プロバイオティクス微生物(本明細書以降「プロバイオティクス」)は、十分量を投与した場合に宿主に対して健康上の利点を授けることができ、より詳しくは、宿主の健康又は幸福に対する効果をもたらす、宿主の腸管の微生物バランスを改善することによって宿主に有益に影響を及ぼす、食品グレードの微生物(半生存性(semi-viable)若しくは弱化を含む生存性、及び/又は非複製性)、代謝物、微生物細胞調製物、或いは微生物細胞の成分である。Salminen S、Ouwehand A.Benno Y.ら、Probiotics:how should they be defined?、Trends Food Sci.Technol.、1999年、10巻、107~10頁(1999年)を参照されたい。一般に、これらの微生物は、腸管における病原性細菌の増殖及び/若しくは代謝を阻害し、又は増殖及び/若しくは代謝に影響を及ぼし、口腔における微生物叢にも影響を及ぼすことがあると考えられている。プロバイオティクスはまた、宿主の免疫機能を活性化することもある。この理由から、食品製品中にプロバイオティクスを含めるのに多くの様々な取り組みが存在している。プロバイオティクスの非限定的な例には、アエロコッカス属、アスペルギルス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、カンジダ属、クロストリジウム属、デバロミセス属、エンテロコッカス属、フゾバクテリウム属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、メリソコッカス属、ミクロコッカス属、ムコール属、オエノコッカス属、ペディオコッカス属、ペニシリウム属、ペプトストレポコッカス属、ピキア属、プロピオニバクテリウム属、シュードカテヌラツム属、リゾプス属、サッカロミセス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、トルロプシス属、ワイセラ属、又はこれらの組合せが含まれる。
【0087】
[0087]本明細書で用いられる「加工されたホールフード」は、その天然状態又は調製された状態から修飾されているホールフードであり、経管栄養製剤中に配置することができるような状態にあるものである。
【0088】
[0088]本明細書で用いられる「タンパク質」、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、又は「ポリペプチド」の語は、単一のアミノ酸(モノマー)、ペプチド結合によって一緒に連結された2つ若しくはそれを超えるアミノ酸(ジペプチド、トリペプチド、若しくはポリペプチド)、コラーゲン、前駆体、ホモログ、類似体、ミメチック、塩、プロドラッグ、代謝物、又はこれらのフラグメント、又はこれらの組合せを含む任意の組成物を意味することが理解される。明確にするために、上記の任意の語の使用は、別段の規定がなければ交換可能である。ポリペプチド(又はペプチド、又はタンパク質、又はオリゴペプチド)は、天然に存在する20個のアミノ酸を通常意味する20個のアミノ酸以外のアミノ酸をしばしば含有し、末端のアミノ酸を含めた多くのアミノ酸は、グリコシル化及び他の翻訳語修飾などの天然のプロセス又は当技術分野においてよく知られている化学修飾技術のいずれかによって、所与のポリペプチドにおいて修飾され得ることが理解されよう。本発明のポリペプチド中に存在し得る知られている修飾の中には、それだけには限定されないが、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、フラバノイド若しくはヘム部分の共有結合性の付着、ポリヌクレオチド若しくはポリヌクレオチド誘導体の共有結合性の付着、脂質若しくは脂質誘導体の共有結合性の付着、ホスファチジルイノシトールの共有結合性の付着、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合性架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、糖化、グリコシル化、グリコシルホスファチジルイノシトール(「GPI」)膜アンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解性プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化(selenoylation)、硫酸化、アミノ酸のポリペプチドに対するトランスファーRNA媒介性付加、例えばアルギニレーション(arginylation)、及びユビキチン化が含まれる。「タンパク質」の語はまた、ペプチドの交互の繰返しからなる、直鎖又は非直鎖のポリペプチドを意味する「人工タンパク質」も含む。
【0089】
[0089]タンパク質源の非限定的な例には、乳製品ベースのタンパク質、植物ベースのタンパク質、動物ベースのタンパク質、及び人工タンパク質が含まれる。乳製品ベースのタンパク質には、例えば、カゼイン、カゼイン加水分解物、カゼイン塩(例えば、カゼインナトリウム、カゼインカルシウム、カゼインカリウムを含めた全ての形態)、乳清加水分解物、乳清(例えば、濃縮、分離物、脱ミネラル化を含めた全ての形態)、乳タンパク質濃縮物、及び乳タンパク質分離物が含まれる。植物ベースのタンパク質には、例えば、ダイズタンパク質(例えば、濃縮及び分離物を含めた全ての形態)、エンドウマメタンパク質(例えば、濃縮及び分離物を含めた全ての形態)、カノーラタンパク質(例えば、濃縮及び分離物を含めた全ての形態)、商業的にコムギ及び分画コムギタンパク質である他の植物タンパク質、トウモロコシ及びゼインを含めたその画分、コメ、カラスムギ、バレイショ、ラッカセイ、及びマメに由来するあらゆるタンパク質、ソバ、レンズマメ、及び豆類が含まれる。動物ベースのタンパク質には、例えば、牛肉、家禽、魚、子羊肉、水産物、豚肉、卵、又はこれらの組合せが含まれ得る。
【0090】
[0090]本開示内に含まれる投与量範囲は全て、前記の範囲内に含まれる全ての数、全体又は部分を含むことが意図される。
【0091】
[0091]本明細書で用いられる「シンバイオティクス」は、一緒に働いて腸内の微生物叢を改善するプレバイオティクス及びプロバイオティクス両方を含有するサプリメントである。
【0092】
[0092]本明細書で用いられる「処置」、「処置する」、及び「軽減する」の語は、予防的処置又は防止的処置(標的の病状若しくは障害の発生を防止及び/若しくは緩徐化する)、及び治癒的、治療的、又は疾患改変的処置の両方を含み、診断された病状又は障害を治癒し、遅らせ、これらの症状を減らし、及び/又はこれらの進行を停止させる治療的措置、並びに疾患にかかる危険性のある患者又は疾患にかかっていると疑われる患者及び病気である患者又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診察された患者の処置を含む。この語は、完全に回復するまで対象を処置することを必ずしも含意するものではない。「処置」及び「処置する」の語は、疾患に罹患していないが、窒素のアンバランス又は筋肉の喪失など、不健康な状態を発症しやすいことがある個体における健康の維持及び/又は促進も意味する。「処置」、「処置する」、及び「軽減する」の語は、1つ又は複数の主要な予防的措置又は治療的措置の、増強又は他の点での亢進を含むことも意図される。「処置」、「処置する」、及び「軽減する」の語は、疾患若しくは状態の食事管理、又は疾患若しくは状態の予防若しくは防止のための食事管理を含むことがさらに意図される。
【0093】
[0093]本明細書で用いられる「経管栄養」は、それだけには限定されないが、経鼻胃管、口胃管(orogastric tube)、胃管、空腸造瘻管(「J-tube」)、経皮内視鏡的胃瘻造設術(「PEG」)、ポート(例えば、胃、空腸へのアクセスを提供する胸壁ポート、及び他の適切なアクセスポート)を含む、経口投与以外によって、動物の消化器系に投与される完全又は不完全な栄養製品又は栄養組成物である。
【0094】
[0094]本明細書で用いられる「ビタミン」の語には、あらゆる様々な脂溶性又は水溶性の有機物質が含まれると理解され、非限定的な例には、身体の正常な成長及び活動に微量が不可欠であり、植物性食品及び動物性食品から天然に得られ、又は合成的に作られる、コリン、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン若しくはナイアシンアミド)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、若しくはピリドキサミン、若しくはピリドキシン塩酸塩)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、及びビタミンB12(様々なコバラミン、ビタミンサプリメントにおいて通常シアノコバラミン)、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、及びビオチン)、プロビタミン、誘導体、類似体が含まれる。
【0095】
[0095]一実施形態において、ビタミン源又はミネラル源は、少なくとも2つの特定の栄養源又は形態を含むことができる。これは、混合食において見出されるビタミン源及びミネラル源の混合物を代表するものであり、天然型を含むこともできる。また、混合物は、個体が特定の形態を吸収する困難がある場合に保護的であることもあり、混合物は、様々な輸送体の使用によって取込みを増大することがあり、又は特定の健康上の利点をもたらすことがある。一例として、ビタミンEにはいくつかの形態が存在し、最も一般的に摂取され、研究されているものはトコフェロール(α、β、γ、δ)であり、一般性が最も低いものはトコトリエノール(α、β、γ、δ)であり、これらは全て生物学的活性が異なる。トコトリエノールが細胞膜の周囲をより自由に動くことができるような構造上の違いが存在し、いくつかの研究は、コレステロールレベル、免疫上の健康、及び癌の発生のリスクの低減に関連する様々な健康上の利点を報告している。トコフェロール及びトコトリエノールの混合物は、生物学的活性の範囲を網羅する。
【0096】
[0096]セレン源は無機(例えば、セレナイト、セレネート)であることができ、又は起源が有機であることもでき(例えば、セレノメチオニン、セレノシステイン、セレノイースト(seelnoyeast)、全て習慣的な混合食に存在する。無機及び有機は、身体において、別々の、相補的な取込み及び分配のメカニズムを有し、このため、身体に対するセレニウムの供給を最適化させている。
【0097】
[0097]本明細書で用いられる「ホールフード」、「ホールフード成分」、「本物の食品」、又は「本物の食品成分」は、食品の任意の成分の低減とは対照的に、食品が天然の状態又は調製された状態である場合に通常の毎日の食事において個体によって典型的に摂取される食品を意味することが理解される。例えば、ホールフードは、任意の知られている果実、野菜、穀物、肉、又はタンパク質、炭水化物、若しくは脂肪源を含むことができる。「ホールフード」、「ホールフード成分」、「本物の食品」、又は「本物の食品成分」は、これらが経管栄養において用いられ得るように加工されていることがある。一実施形態において、この加工は、できるだけ「非加工の」食品に近く維持し、経管栄養において依然として用いることができるように最小である。当業者であれば、「ホールフード」、「ホールフード成分」、「本物の食品」、又は「本物の食品成分」の使用は、他の栄養源の使用を制限しないことを理解されよう。例えば、粉末化した果実及び野菜も、組成物中に含まれることがある。
【0098】
[0098]本明細書で用いられる「動物化学物質」は、基本的な栄養を超えた健康上の利点を有する機能性食品を意味し、動物源において見出される健康促進性の化合物である。
【0099】
[0099]不活動性である患者、又はかなりの時間の間に1つの単一の製剤の食事を摂食する患者のいずれかは、食事における多様性又は適切な栄養価の欠如に起因し得る代謝障害に陥りやすい。例えば、長期の経管栄養患者はこのような障害に悩むことがある。患者の基本的な栄養の必要性は経管栄養によって満たされ得るが、経管栄養のための現在のフォーミュラは、長期間にわたって患者の健康を維持するように最適化されていない。
【0100】
[00100]長期間経管栄養を投与されている患者は、しばしば、数週間、数ヶ月、又は数年間も、単一の食事の供給源を常食とし続ける。したがって、長期間の経管栄養フォーミュラは、不可欠な主要栄養素及び微量栄養素だけではなく、幸福に条件的に不可欠又は重要になることがある他の食事構成成分も送達しなければならない。短期の経管栄養患者は、経管栄養のエピソードの前及び後に経口食を摂取し、そのため欠けている条件的に不可欠な化合物によって引き起こされる負の効果は限定される。しかし、長期の経管栄養患者(座りがち又は寝たきりのことが多い)は、骨又は筋肉の喪失の増大、軽度の炎症、消化管運動の低下、インスリン抵抗性の増大、及び免疫系の抑制若しくは変質など、あらゆる数々の健康上の合併症に罹患することがある。これらのタイプの慢性疾患を有するこのような長期の、経管栄養患者の栄養上の必要性は、短期の経管栄養を必要とする患者と確実に異なる。したがって、出願人は、活動性の低下に付随するこれらのプロセスに悩む患者には、十分なカルシウム、ビタミンD、及びタンパク質、複合の炭水化物、繊維(プレバイオティクスを含む)、ヌクレオチド、ω-3脂肪酸、抗酸化剤、植物栄養素、並びに/又は様々なハーブ、スパイス、及び香味料、又はこれらの組合せを有する経管栄養製剤を投与すべきであることを見出した。長期の経管栄養患者の摂食の必要性は、短期の経管患者とは異なるが、当業者であれば、本組成物は短期又は長期いずれかの経管栄養患者、及び補足的な栄養を投与されている患者に対して用いることができることを理解されよう。
【0101】
[00101]長期の経管栄養製剤を常食とする患者の多くは高齢の成人である。加齢のプロセスは自然なものであるが、数々の生理学的変化が存在し、これらは可能であれば限定され、又は遅らせなければならない。これらの生理学的変化には、例えば、筋肉減少症(除脂肪体重の減少)、骨粗鬆症又は骨折の危険性の増大、腸の健康の低下、免疫機能の変質、酸化ストレスの増大、インスリン抵抗性の増大、及び食欲の減少が含まれる。特に、高齢の成人において、嚥下障害、卒中頭部及び頸部の癌、並びに、それだけには限定されないが、パーキンソン病、アルツハイマー病、及び加齢に付随する他の神経学的変化を含めた神経学的症例は、経管栄養を必要とする一般的な状態である。
【0102】
[00102]高齢の成人の集団と座りがちの成人の集団との間には多くの類似性が存在する。これらの患者に与えられる栄養組成物は、他の状態の中でも、筋骨格の健康、腸の健康、免疫機能、軽度の炎症、酸化ストレス、及びインスリン抵抗性に取り組まなければならない。出願人は、任意の又は全ての上記に列挙した生理学的影響を経験する成人患者の必要性に取り組むのに、いくつかの主要な栄養素を同定した。
【0103】
[00103]例えば、インスリン抵抗性及びグルコース取込みの障害などを含めた、グルコース代謝における変化を経験している成人患者に、それだけには限定されないが、複合の炭水化物、繊維、ハーブ、スパイス、植物性化学物質、及び/又はヤクヨウニンジン若しくはシナモンなどの香味料などの原材料を含む栄養組成物を摂食させることがある。同様に、腸の機能における変化を経験している成人患者に、それだけには限定されないが、繊維(可溶性及び不溶性の両方)、プルーン、ヌクレオチド、プレバイオティック、並びにプロバイオティックなどの原材料を含む栄養組成物を摂食させることがある。
【0104】
[00104]さらに、高コレステロール血症若しくは高トリグリセリド血症を経験している成人患者のために、又は関連の疾患の予防のために、経管栄養製剤又は経口栄養サプリメント(液体若しくは固体)は、例えば、ω-3多価不飽和脂肪酸、一不飽和脂肪酸、植物化学物質、フィトステロール/スタノール、可溶性繊維、及びハーブ、スパイス、及び/又はガーリック若しくはシナモンなどを含む香味料を含むことができる。しかし、飽和脂肪酸は、全エネルギーの7%未満に制限しなければならず、コレステロールは200mg未満に制限しなければならず、トランス脂肪酸も制限しなければならない。
【0105】
[00105]抗酸化剤、ヌクレオチド、プレバイオティック、及びω-3多価飽和脂肪酸などを含む栄養組成物を、免疫機能における低下又は酸化ストレスにおける増大を経験している成人患者に摂食させることができる。
【0106】
[00106]さらに、例えば、骨の健康及び筋肉の量/強度を含めた筋骨格の健康に対する影響を経験している成人患者には、カルシウム、大量のビタミンD、及び高品質のタンパク質を有する栄養組成物を与えることができる。所与の時間に大ボーラスのタンパク質を投与して、高齢の個体におけるタンパク質合成を最適化することができる。Arnal MAら、Protein pulse feeding improves protein retention in elderly women、Am.J.Clin.Nutr.、69巻、1202~8頁(1999年)を参照されたい。Symonsら、Aging does not impair the anabolic response to a protein-rich meal、Am.J.Clin.Nutr.、86巻、451~6頁(2007年)も参照されたい。実際、20~30gのボーラスのタンパク質はタンパク質合成を最適に刺激すると考えられている。これらの多くの状態の詳細を、小児患者の栄養上の必要に関してさらに下記に論じる。このように、当業者であれば、成人患者によって必要とされる多くの栄養素は、小児患者によっても必要とされ得ることを理解されよう。
【0107】
[00107]小児に関して、全てではないにせよ、殆どの小児患者又は若年成人患者に適用される基本的概念が少数存在する。例えば、これらの患者は、適切な成長を確実にするために十分で好適な栄養を必要とする。これらの患者はまた、慢性疾患を防ぐための措置の恩恵を受ける。実際、後の人生で冠状血管疾患及び癌を発症する危険性を低減するための予防的な栄養は、この集団にとって特に妥当であることがある。
【0108】
[00108]より詳しくは、長期の摂食(例えば、経管栄養)を必要とし得る小児患者に共通する状態が存在する。いくつかの状態には、それだけには限定されないが、嚢胞性線維症、四肢麻痺、脳性麻痺、及び神経筋障害が含まれる。出願人は、上記に列挙した任意の又は全ての生理学的影響を経験する小児患者の必要性に取り組むためにいくつかの主要な栄養も同定した。
【0109】
[00109]十分な成長を確実にするために、小児患者は、十分な栄養状態(主要栄養素及び微量栄養素)を維持しなければならず、十分なエネルギーを提供する栄養組成物を摂食しなければならない。
【0110】
[00110]それだけには限定されないが、骨減少症及び骨粗鬆症を含む骨の健康の衰えに悩む小児患者は、十分量又は多量のカルシウム及びビタミンDを有する栄養組成物を摂食することができる。
【0111】
[00111]小児患者における、運動性及び微生物叢組成を含めた(抗生物質の使用を含めた様々な要因によって影響を受ける)腸の健康は、繊維(不溶性及び可溶性)、プレバイオティック繊維、及びプロバイオティック、並びにヌクレオチドによって改善することができる。
【0112】
[00112]増大量の脂肪(例えば、全エネルギーの35~40%)、タンパク質、並びにビタミン及びミネラルを有する栄養組成物を、膵臓不全、並びに/又は脂肪及び脂溶性ビタミンの吸収不良に罹患している患者に摂食させてもよい。しばしば、膵臓不全を有する患者において、脂肪便を低減するために低脂肪食が推奨される。
【0113】
[00113]炎症に罹患している患者に、抗酸化剤、ヌクレオチド、プレバイオティック、及びω-3多価飽和脂肪酸を含む栄養組成物を摂食させてもよい。
【0114】
[00114]より詳しい一例において、脳性麻痺は、人生の早期の脳の発達に対する障害に起因する、慢性の、非進行性の運動能力障害である。脳性麻痺は、一般に、運動協調性及び筋緊張における機能不全によって特徴付けられる。長期の経管栄養の小児患者はしばしば車椅子に拘束され、又は重度の歩行運動の困難を有するため、患者のエネルギーの必要性は、健康な小児よりも著しく低いが、患者のタンパク質の必要性は高いことが多い。さらに、以下に記載する通り、骨の健康の維持、圧迫潰瘍の防止、及び健康な免疫機能、腸の健康の維持は共通の関心事である。これらの小児は、専用の経管栄養を必要とすることが多い。
【0115】
[00115]実際、骨折は、多くの要因のため、痙攣性の四肢麻痺を有する小児における重大な問題である。脳性麻痺を有する小児の多くは、てんかん発作のコントロールのために抗痙攣薬の薬物治療を受けており、いくつかの抗痙攣薬の使用にはビタミンD及びカルシウムの代謝における変質が付随する。Hahn,T.J.ら、Effect of Chronic Anticonvulsant Therapy on Serum 25-Hydroxycalciferol Levels in Adults、The New England J.of Med.、900~904頁(1972年)を参照されたい。Hunter,Jら、Altered Calcium Metabolism in Epileptic Children on Anticonvulsants、British Medical Journal、202~204頁(1971年)も参照されたい。Hahn,T.J.ら、Phenobarbital-Induced Alterations in Vitamin D Metabolism、J.of Clinical Investigation、51巻、741~748頁(1972年)も参照されたい。抗痙攣薬の薬物治療のビタミンDの状態に対する影響は完全に明らかではないが、歩行不能の小児は、骨折の危険性が増大することは明らかである。
【0116】
[00116]研究により、フェノバルビタール及びジランチン(Dilantin)など、てんかん発作をコントロールするための薬物療法は、代謝及びビタミンDの循環半減期を変更し得ることが示されている。調査は、少なくとも2つの抗てんかん薬物療法を採用しており、施設に収容されており、したがって各自のビタミンDの所要量の殆どを日光への曝露から得ていない患者は、各自の血清25(OH)Dレベルを正常中央(mid-normal)範囲の25~45ng/ml(62.5~112.5nmol/リットル)以内に維持するためにビタミンD摂取量をおよそ25μg(1000IU)/日に増大することも示唆されている。これにより抗てんかん薬の薬物治療に付随する骨軟化症及びビタミンD欠乏症が防止されると考えられている。出願人は、このような骨の健康/抗てんかん薬の問題に悩む小児患者に増大量のカルシウム及びビタミンDを有する栄養組成物を投与すると、この領域における改善を見ることがあることを見出した。
【0117】
[00117]さらに別の一例において、脳性麻痺及び神経筋障害を有する患者、特に小児は、頻繁に圧迫潰瘍又は慢性創傷を頻繁に発症する危険性もあり、そのため特別な食事を必要とすることがある。慢性創傷になりやすい個体には、例えば、長期間固定されているもの、ベッド及び椅子に拘束されているもの、及び/若しくは失禁を経験しているもの、タンパク質-エネルギー栄養失調を経験しているもの、神経学的、外傷性、若しくは末期の疾患を有するもの、又は循環性若しくは感覚性の欠損を有するものが含まれる。Agency for Health Care Policy and Research、1992年、1994年を参照されたい。十分な栄養の投与は、このような慢性創傷の防止及び処置において重要な役割を果たす。
【0118】
[00118]例えば、タンパク質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、アルギニン、シトルリン、及びグルタミンを含めた特定の栄養は、特に欠乏症が疑われる場合には、圧迫潰瘍を発症する危険性の低減において役割を果たすことがある。十分な水分補給も、圧迫潰瘍を発症する危険性の低減において重大な役割を果たす。実際、さらなるタンパク質、アルギニン、ビタミンC、及び亜鉛を投与した群において、対照群に比べた場合、圧迫潰瘍発症の発生率が低かった(13%対72%)ことが報告されている。Neanderら、A specific nutritional supplement reduces incidence of pressure ulcers in elderly people、Numico Research、www.numico-research.com.を参照されたい。
【0119】
[00119]慢性創傷又は圧迫潰瘍が発症した後は、様々な栄養が治癒において重要な役割を果たし、特定の栄養がプロセスの様々な段階で影響を有する。例えば、以下の表1は、創傷治癒の様々な段階に影響を及ぼす重要な栄養を実証するものである。表1に示す通り、ある種のビタミン、ミネラル、及びアミノ酸が、創傷治癒の様々な段階に存在しなければならない。
【表1】
【0120】
[00120]驚くべきことに、出願人は、圧迫潰瘍に悩む小児患者に、大量のタンパク質、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛、アルギニン、シトルリン、及びグルタミンを有する栄養組成物を投与した場合、圧迫潰瘍の領域における改善を見ることがあることを見出した。
【0121】
[00121]圧迫潰瘍の発症又は進行の防止には、著しい医療経済学的意味も存在する。例えば、圧迫潰瘍に対する平均治癒時間は、潰瘍の後の段階になるほど長くなり、ステージIII及びステージIVの潰瘍はステージIIよりも実質的に長い処置を必要とする。英国の疾患経費の研究において、圧迫潰瘍の重症度の増大とともに処置費用の増大が存在することは明らかである。Bennett Gら、The cost of pressure ulcers in the UK、Age and Ageing、33巻、230~235頁(2004年)を参照されたい。別の一研究において、ステージIII及びステージIVの圧迫潰瘍の費用は、ステージIIの圧迫潰瘍を処置するよりも実質的に多いことが示された。Xakellis GCら、The cost of healing pressure ulcers across multiple health care settings、Adv.Wound Care、9巻、18~22頁(1996年)を参照されたい。これらの多額の費用を、以下の表2において示す。
【表2】
【0122】
[00122]別の一例において、中心性肥満はインスリン抵抗性及び軽度の炎症に関連しており、したがって、身体活動性の低い成長中の小児に、低エネルギー、高タンパク質食を提供することでインスリン抵抗性を防止するのが可能であり、したがってより効率的なインスリン活性、したがって同化作用が許容される。高タンパク質食は、成長ホルモンなどのタンパク同化ホルモンの分泌を変調することが示されている。Clarkeら、Effect of high-protein feed supplements on concentrations of growth hormone(「GH」)、insulin-like growth factor-I (「IGF-I」) and IGF-binding protein-3 in plasma and on the amounts of GH and messenger RNA for GH in the pituitary glands of adult rams、J.Endocrinol.、138巻(3)、421~427頁(1993年)を参照されたい。J.R.Huntら、Dietary protein and calcium interact to influence calcium retention:a controlled feeding study、Am.J.Clin.Nutr.、89巻(5)、1357~1365頁(2009年)も参照されたい。G.Blanchardら、Rapid weight loss with a high-protein low-energy diet allows the recovery of ideal body composition and insulin sensitivity in obese dogs、J.Nutr.、134巻(補完8)、2148S~2150S頁(2004年)も参照されたい。
【0123】
[00123]成長ホルモン軸は人生の後期において慢性疾患に関連することが示されているので、これらの利点は急速な成長の間は特に重要である。したがって、成長ホルモン軸(IGF-1を含む)の変調は、短期及び後年の両方において患者の臨床上の結果に有益である。これは生活の質だけでなく、前向きの医療経済学的結果において著しい改善をまねくことができる。J.M.Kerverら、Dietary predictors of the insulin-like growth factor system in adolescent females:results from the Dietary Intervention Study in Children(DISC)、Am.J.Clin.Nutr.、91巻(3)、643~650頁(2010年)を参照されたい。
【0124】
[00124]別の一例において、入院し、施設に収容され、回復している患者は、腎臓及び/又は肺の機能の衰えによって引き起こされる代謝障害の危険性が増大することがある。身体の血液のpHは、主に腎臓及び肺による調節によって経時的にかなり十分に維持されているが、食事の摂取は身体の酸/塩基バランスに著しく影響を及ぼし得る。その結果、食事の酸-塩基の電位は、筋骨格及び免疫の健康を含めた患者の健康の維持において、ますます重要となる。
【0125】
[00125]食品は、経口摂取時及び代謝後、より酸性産生性又はよりアルカリ性産生性のいずれかとして分類することができる。ヒトの相関的な摂取のデータは、果実及び野菜のより多い食事は、代謝恒常性の維持を助ける正味のアルカリ性環境を支持することを示唆している。これとは反対に、酸産生性の食事は、筋骨格の健康に負の影響を及ぼすことが見出されている。食事の変調による軽度の代謝アシドーシスの相関は、骨格筋量を維持するのを助けることがあり、筋肉の減少などを含めた様々な病理学的状態を有する患者の健康を改善する助けとなることがある。
【0126】
[00126]例えば、長期の経管栄養の小児患者は、患者の食品の供給源における変動がないため、このような酸形成性の食事などの影響を特に受けやすいことがある。腎臓は酸を中和するのに効率的であるが、高度の酸性に長期間暴露されると、酸を中和する腎臓の能力が圧倒され、潜在的な損傷が起こり得ると考えられている。その結果、それだけには限定されないが、カルシウムを含むアルカリ性化合物を用いて、これらの食事性の酸が中和される(筋肉の場合、グルタミンが緩衝剤として作用し得る)。身体において最も容易に入手できるカルシウム源は骨である。一理論では、身体は、代謝性の酸を緩衝するのに貯蔵されているカルシウムを動員するため、酸性の高い食事は骨の喪失の一因となり得るということである。仮説は、酸性の低い食事は、骨及び筋肉の喪失の減弱並びに腎臓の健康の維持を含む利点をもたらし得ることである。Wachman,A.ら、Diet and Osteoporosis、Lancet、1巻、958~959頁(1968年)を参照されたい。Frassetto Lら、Potassium Bicarbonate Reduces Urinary Nitrogen Excretion in Postmenopausal Women、J.Clin.Endocrinol.Metab.、82巻、254~259頁(1997年)も参照されたい。
【0127】
[00127]骨に特異的な効果の他に、ヒトの相関関係のデータは、果実及び野菜を食事から摂取すると、代謝恒常性の調節を助けることができる正味のアルカリ性の環境を支持することが示唆している。この正味のアルカリ性状態は、少なくとも高齢の個体において、除脂肪体重の維持の増強に関連している。Dawson-Hughes Bら、Alkaline diets favor lean tissue mass in older adults、Am.J.Clin.Nutr.、3月、87巻(3)、662~5頁(2008年)を参照されたい。このように、完全栄養製剤におけるリン(P)、ナトリウム(Na)、マグネシウム(Mg)、カリウム(K)、及びカルシウム(Ca)を操作すると、内因性の骨格筋のタンパク質分解をさらに最小にし、除脂肪体重を維持するための正味のアルカリの生成の増強に寄与することができる。タンパク質源の操作でも同じである。
【0128】
[00128]一実施形態において、本開示の栄養組成物は、ボーラス又は継続的な経管栄養として投与することができる。一実施形態において、ボーラスは摂食の場合に対する生理学的反応を最大にするので、経管栄養をボーラスとして投与する。この方法は、各摂食時に濃縮された用量のタンパク質が送達される点で、完全な栄養を提供するものである。このタンパク質の濃縮された提供は、血漿のアミノ酸(例えば、ロイシン)を増大し、タンパク質合成を刺激し、正味の正のタンパク質バランスを達成するのに不可欠である。この摂食後のタンパク同化状態は、除脂肪体重の自然増加及び直線状の骨の成長(骨密度の自然増加)によって成長を最適化するのに必要とされる。このメカニズムは上記で言及した血清ロイシンの増大、並びに筋骨格の発達(したがって、内臓脂肪の蓄積の低減をもたらす)のための基質の取込み及び生物利用をもたらすインスリン-IGF-1-GH軸の刺激を含めたタンパク同化性の内分泌反応に関連する。
【0129】
[00129]本開示は、経管栄養及び/又は経口の栄養サプリメントを必要とする患者に十分なレベルのある種の微量栄養素及び主要栄養素を提供し、健康な、ホールフード食を模倣し、生理学的利点及び感情的魅力を提供する栄養製品及び栄養組成物に対するものである。「ホールフード」食を模倣するために、本開示のフォーミュラは、例えば、果実及び野菜の数及び多様性を増大し、主要栄養素源の多様性を増大することができ、例えば、ヌクレオチド、植物栄養素、ハーブ、スパイス、又は香味料、フィトステロールなどを含めたホールフード中に見出される他の成分を含むことができる。
【0130】
[00130]経管栄養フォーミュラが健康なホールフード食事を模倣することができる1つの方法は、1日あたりに投与される果実及び野菜の提供単位を増大することである。実際、現在市販されている経管栄養製剤に比べた、果実及び野菜の含量における増分の増大は、経管栄養患者又は経口の栄養サプリメントを必要とする患者にとって有益である。200の疫学試験の再考から、果実及び野菜の摂取量を増大すると、いくつかのタイプの癌の危険性が低減した。Blockら、Fruit, vegetables and cancer prevention:A review of the epidemiological evidence、Nutrition and Cancer、18巻、1~29頁(1992年)を参照されたい。さらに、果実又は野菜を1日あたり1提供単位増大するごとに、冠動脈心疾患の危険性における4%の低減があった。Joshipuraら、The effect of fruit and vegetable intake on risk for coronary heart disease、Ann.Intern.Med.、134巻、1106~1114頁(2001年)を参照されたい。さらに、他の研究により、フラボノイド消費及び冠動脈心疾患による死亡の危険性の低減の利点が示されている。フラボノイドの主な供給源には、茶、リンゴ、及びタマネギが含まれていた。Hertogら、Dietary antioxidant flavonoids and risk of coronary heart disease:the Zutphen Elderly Study、The Lancet、342巻、8878号、1007~1011頁(1993年)を参照されたい。
【0131】
[00131]出願人は、完全な摂食1回あたり果実及び野菜を少なくとも5提供単位又は少なくとも400g提供すると、経口の、ホールフード食を摂取する個体に典型的に推奨される果実及び野菜の量が経管栄養患者に提供されることを見出した。一実施形態において、少なくとも6提供単位又は7提供単位の果実及び野菜が、本発明の栄養組成物において提供される。さらに別の一実施形態において、少なくとも8提供単位の果実及び野菜が、本発明の栄養組成物において提供される。一実施形態において、果実及び野菜は、いくつかの慢性疾患の危険性を低減する。
【0132】
[00132]そこで、一実施形態において、本開示の栄養組成物は、ホールフード、又は実際の食品の成分を含む。ホールフードは、よく認識された主要栄養素、ビタミン、及びミネラルに加えて有益な食品構成成分を含んでいる。以下にさらに論じる通り、これらの食品構成成分のうちいくつかは植物性化学物質及びヌクレオチドを含んでおり、植物性化学物質及びヌクレオチドは、長期の経管栄養食を常食とする患者又は経口の栄養サプリメントを必要とする患者にいくつかの利点をもたらす。
【0133】
[00133]例えば、植物栄養素は、体内で抗酸化剤として働くことができる。Carlsonら、The total antioxidant content of more than 3100 foods,beverages,spices,herbs and supplements used worldwide、Nutr.J.、9巻、3頁(2010年)を参照されたい。このように、ある量の植物栄養素を提供するのが有益である。例えば、2008年の報告において、個体が5提供単位の果実及び又は野菜を毎日摂取する場合、ポリフェノール摂取量は500mgを超え、ココア、茶、又はコーヒーを摂取した場合はおそらく500~1000mg近くなると推定された。Williamsonら、Dietary reference intake(DRI)value for dietary polyphenols:are we headed in the right direction?、British Journal of Nutrition、99巻、補完3、S55~59頁(2008年)を参照されたい。
【0134】
[00134]フィンランド人の成人を含めた一試験において(n=2007人)、ポリフェノール(フェノール酸、アントシアニジン、及び他のフラボノイド、プロアントシアニジン、及びエラジタンニン(ellagitannin)の平均合計摂取量は863±415mg/dであり、特定のクラスの摂取量には、フェノール酸641mg/d、全プロアントシアニジン128mg/d、アントシアニジン47mg/d、全フラボノイド33mg/d、エラジタンニン12mg/d、イソフラボン309mg/d、リグナン0.9mg/d、カロテノイド5.9mg/d、及びステロール368mg/dが含まれた。フェノール酸摂取量に最も寄与するのはコーヒーであり、パン及び茶が続き、アントシアニンに対してベリー及びベリー製品、フラボノール、フラボノーン、及びフラバノンに対して果実及び茶、プロアントシアニジンに対してリンゴ、ベリー、茶、及びチョコレート、カロテノイドに対して野菜、イソフラボノイドに対してダイズ製品、並びにリグナンに対して種子、ダイズ製品、ライ麦、及びシリアル製品であった。Ovaskainenら、Dietary Intake and Major Food Sources of Polyphenols in Finnish Adults、American Society for Nutrition J.Nutr.、138巻、562~566頁(2008年3月)を参照されたい。しかし、この情報は一例であり、食品のパターン及び好みに応じて変化し得るので世界中の摂取量を必ずしも代表するものではない。インディアナポリス近郊の280人に関わる別の一研究において、ルテイン及びゼアキサンチン、並びにβ-カロテンの平均摂取量は、それぞれ1101±838μg/d及び2935±2698μg/dであった。Curran-Celentanoら、Relation between dietary intake,serum concentrations,and retinal concentrations of lutein and zeaxanthin in adults in a Midwest population、American Journal of Clinical Nutrition、74巻、6号、796~802頁(2001年12月)を参照されたい。
【0135】
[00135]米国農務省標準的基準(USDA Standard Reference)データベース(公開23)を用いることによって、植物栄養素の食品に対する含有量を推定することができる。このデータベースは、例えば、食品中のカロテノイド含量に対するデータを含んでいる。このようなカロテノイド含量の例には以下が含まれる(i)1カップの刻んだ生のニンジン(NDB No:11124)、βカロテン10605mcg、αカロテン4451mcg、リコペン1mcg、ルテイン+ゼアキサンチン328mcg;(ii)1カップのホウレンソウ(NDB No:11457):βカロテン1688mcg、ルテイン+ゼアキサンチン3659mcg;(iii)1カップのトマト、赤色、成熟、調理済み(NDB No:11530):βカロテン703mcg、リコペン7298mcg、ルテイン+ゼアキサンチン226mcg;(iv)1カップの刻んだブロッコリー、生(NDB No:11090):βカロテン329mcg、αカロテン23mcg、βクリプトキサンチン1mcg、ルテイン+ゼアキサンチン1277mcg;(v)1カップのブロッコリー、冷凍、刻んだもの、調理済み、ゆでたもの、水気を切ったもの、塩なし(NDB No:11093):βカロテン1098mcg、αカロテン35mcg、βクリプトキサンチン2mcg、ルテイン+ゼアキサンチン2015mcg;(vi)1カップのブロッコリー、生(NDB No:09050):βカロテン47mcg、ルテイン+ゼアキサンチン118mcg;(vii)1カップのハーブ、イチゴ、生(NDB No:09316):βカロテン11mcg、ルテイン+ゼアキサンチン40mcg;及び(viii)1カップの薄切りリンゴ、生、皮付き(NDB No:09003)βカロテン29mcg、βクリプトキサンチン12mcgルテイン+ゼアキサンチン32mcg。
【0136】
[00136]しかし、食品の植物栄養素含量は、加工、成長条件、栽培品種などに応じて変化することがある。Kim HJ ら、Changes in Phytonutrient Stability and Food Functionality during Cooking and Processing、Korean J Food Cookery Sci.、22巻、3号、402~417頁(2006年)を参照されたい。加工及び取扱いは最終的な製品の植物栄養素含量に影響を及ぼし得るので、本開示は、既知の/標準化したレベルの選り抜きの植物栄養素を有する果実及び野菜の原材料を含み、最終製品中に所望のレベルの植物栄養素を維持するように加工される経管栄養に関する。
【0137】
[00137]様々な果実及び野菜の植物栄養素含量に影響を及ぼし得る要因は多く存在する。例えば、物理的要因は、それだけには限定されないが、温度、圧力、酸化/還元電位、pH、酵素、金属、浸出、光線、水分活性などを含むことができる。食品の構成成分に影響を及ぼす生物学的要因は、それだけには限定されないが、成熟度、栽培品種、組織の状態、組成などを含むことができる。Kalk、Effects of Production and Processing Factors on Major Fruit and Vegetable Antioxidants、Journal of Food Science、70巻、Nr 1(2005年)を参照されたい。Kim HJら、Changes in Phytonutrient Stability and Food Functionality during Cooking and Processing、Korean J Food Cookery Sci.、22巻、3号、402~417頁(2006年)も参照されたい。植物栄養素/果実又は野菜に応じて、加工は存在及び/又は生物学的利用能を破壊又は増強することがある。さらに、Kalkは、カロテノイドは加工を通して比較的安定であるが、フェノール性抗酸化剤はより失われやすいと報告している。Kalk、表3を参照されたい。
【0138】
[00138]さらに、熱的加工によりリコペンの生物学的に利用できる含量が増大するなど、トマトの植物栄養素のレベルに対する加工の影響は十分に研究されている。Dewantoら、Thermal Processing Enhances the Nutritional Value of Tomatoes by Increasing Total Antioxidant Activity、J.Agric.Food Chem.、50巻(10)、3010~3014頁(2002年)を参照されたい。一方、他の果実及び野菜を熱的加工するとこれらの成分を分解することがある。赤キャベツを強烈に加熱処理すると(例えば、缶詰)グルコシノレートの73%の分解がもたらされる。Oerlemansら、Thermal degradation of glucosinolates in red cabbage、Food Chemistry、95巻、19~29頁(2006年)を参照されたい。同様の結果が、ブロッコリーの調理の間に見出された(電子レンジ調理後74%の喪失)Vallejo,F.ら、Glucosinolates and vitamin C content in edible parts of Broccoli florets after domestic cooking、European Food Research and Technology、215巻、310~316頁(2002年)を参照されたい。
【0139】
[00139]栄養組成物が健康なホールフード食を模倣することができる別の1つの方法は、1日あたりに摂取される食品の多様性を増大することである。例えば、主要栄養素に関して、栄養組成物が様々なタンパク質、脂肪、及び炭水化物源を含むことが重要である。実際、様々なタンパク質、脂肪、及び炭水化物源を有する製剤は、ホールフード食により極めて類似している。微量栄養素に関して、ビタミン源及びミネラル源には、少なくとも2つ源又は特定の栄養素の形態が含まれる。
【0140】
[00140]本栄養組成物は少なくとも4つの異なる主要栄養素源を含むことができ、これらには、例えば、タンパク質、脂肪、及び炭水化物が含まれる。別の一実施形態において、少なくとも5つ、6つ、7つ、又は8つの異なる主要栄養素源が存在することができる。一実施形態において、栄養組成物中において、タンパク質、脂肪、及び炭水化物各々の少なくとも1つの供給源が存在する。しかし、当業者であれば、少なくとも8つの異なる主要栄養素源のあらゆる組合せが存在し得ることを理解されよう。例えば、本栄養組成物中に3つ以上のタンパク質源が存在することができる。一実施形態において、栄養組成物中に3つ以上の炭水化物源が存在することができる。別の一実施形態において、栄養組成物中に少なくとも3つ以上の脂肪源が存在することができる。或いは、組成物中に4つ以上のタンパク質、炭水化物、脂肪、又は繊維源が存在することができる。供給源は同じ供給源又は異なる供給源であってもよい。別の一実施形態において、栄養組成物中に少なくとも3つ以上の繊維源が存在することができる。
【0141】
[00141]一実施形態において、フォーミュラの正味のアルカリ性のプロファイルをさらに増強し、一方で成長及び発達を支持するのに不可欠な栄養上の必要性を提供する高品質のタンパク質ブレンドを送達するために、野菜タンパク質が含まれ得る。特定の野菜タンパク質(例えば、エンドウマメのタンパク質分離物)の栄養上のプロファイルに基づき、フォーミュラ中に含まれ得る野菜タンパク質源の量における限界が存在する。例えば、エンドウマメのタンパク質のアミノ酸プロファイルは、不可欠アミノ酸を全て含んでいる。エンドウマメのタンパク質は比較的アルギニンに富んでいるが、硫黄含有アミノ酸であるメチオニン、及びシステインは限定的である。しかし、例えば、エンドウマメのタンパク質の分離物を、このような欠乏を相殺するのに十分な硫黄含有アミノ酸を有する完全なタンパク質源(例えば、乳タンパク質又は完全な野菜タンパク質)とブレンドすることが可能である。カノーラタンパク質(即ち、分離物、加水分解物、及び濃縮物)は、必要なタンパク質の品質を患者に送達するためのアミノ酸プロファイルをさらに増大するのに相当量の硫黄含有アミノ酸を提供することができる、そのような1つの野菜タンパク質である。さらに、動物由来のタンパク質は、野菜タンパク質よりも硫黄含有アミノ酸が豊富であるのが典型的である。さらに、例えば、経管栄養に付随する粘性の制限に対する可能性、及び必要な栄養価のタンパク質を維持する必要性を考慮すると、フォーミュラは、野菜源に由来するタンパク質を約10~15%含むことができる。
【0142】
[00142]本組成物は、付随する健康上の利点及び/又は感情的魅力を有する主要栄養素源の混合物も用いることができる。例えば、タンパク質は野菜源に由来する一方で、高いタンパク質消化性で修正したアミノ酸スコア(Protein Digestibility Corrected Amino Acid Scores)(「PDCAAS」)を維持することができる。脂肪源はオリーブ油及びカノーラ油を含むことができ、より高いポリフェノール含量を維持するようにあまり精製されていないことがある。
【0143】
[00143]当業者であれば、本栄養組成物のタンパク質含量は、大量のタンパク質を有する実施形態における典型的な長期の経管栄養製剤よりも高いことがあることを理解されよう。例えば、男性及び女性両方に対するタンパク質の栄養所要量(Recommended Dietary Allowance)(「RDA」)は、0.80g上質のタンパク質/kg体重/日であり、利用可能な窒素バランス研究の入念な分析に基づくものである。National Academy of Sciences,Institute of Medicine,Food and Nutrition Board,Dietary Reference Intakes for Energy,Carbohydrate,Fiber,Fat,Fatty Acids,Cholesterol,Protein,and Amino Acids(Macronutrients)、チャプター10(2005年)を参照されたい。一実施形態において、本組成物は、約1.0~2.5g/kg体重/日からの量のタンパク質を患者に提供する。別の一実施形態において、本組成物は、約1.5~2.0g/kg体重/日の量のタンパク質を提供する。したがって、本組成物は、男性及び女性に対してタンパク質のRDAのほぼ2倍である量のタンパク質を患者に提供することができる。
【0144】
[00144]別の一実施形態において、1日あたりのタンパク質から約5%~約40%のエネルギーを提供する量のタンパク質を提供する。別の一実施形態において、1日あたりのタンパク質から約10%~約35%のエネルギーを提供する量のタンパク質を提供する。別の一実施形態において、1日あたりのタンパク質から約25%~約30%のエネルギーを提供する量のタンパク質を提供する。
【0145】
[00145]例えば、フスマ、オートミール、オオムギ、マメ、コメ、及びエンドウマメなどの複合の炭化水素又は全粒の供給源を、食事ガイドライン諮問委員会(Dietary Guidelines Advisory Committee)の食事ガイドライン(Dietary Guidelines)において推奨されている通り、本組成物において用いることができる。それだけには限定されないが、ショ糖、ラクトース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ固形、マルトデキストリン、加工デンプン、アミロースデンプン、タピオカデンプン、コーンスターチ、又はこれらの組合せを含めた任意の適切な炭水化物を本栄養組成物において用いることができる。全エネルギーの約40%~約70%を提供するのに十分な量の炭水化物を提供することができる。一実施形態において、栄養組成物の全エネルギーの約45%~約65%を提供するのに十分な量の炭水化物を提供する。
【0146】
[00146]脂肪源も本栄養組成物中にやはり含まれ得る。脂肪源は任意の適切な脂肪又は脂肪混合物を含むことができる。例えば、脂肪源には、それだけには限定されないが、植物性脂肪(例えば、オリーブ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、アブラナ油、ヘーゼルナッツ油、ダイズ油、ヤシ油、ココナツ油、カノーラ油、レシチンなど)、動物性脂肪(例えば、乳脂肪、獣脂、ラード、家禽脂、魚油など)、又はこれらの組合せが含まれ得る。さらに、オリーブ油及びカノーラ油などの脂肪を本組成物において用いることができ、一般に心臓の健康上の利点があるとされている。全エネルギーの約20%~約40%を提供するのに十分な量の脂肪を提供することができる。一実施形態において、全エネルギーの約25%~約35%を提供するのに十分な量の脂肪を提供することができる。
【0147】
[00147]果実及び野菜に関して、本組成物は、いくつかの異なるタイプの果実及び野菜を組み合わせ、用いることによって、1日あたりに摂取される食品の多様性を増大することができる。本開示の栄養組成物は、ホールフード食を摂取する個体によって推奨される量の果実及び野菜を提供することができる。一実施形態において、効果的な量は、少なくとも約3提供単位の果実及び野菜である。一実施形態において、栄養組成物は約4提供単位~約10提供単位の果実及び野菜を含む。一実施形態において、栄養組成物は少なくとも約6提供単位又は7提供単位の果実及び野菜を含む。一実施形態において、増分の果実及び野菜が有益である。
【0148】
[00148]本栄養組成物中に含まれる果実には、それだけには限定されないが、リンゴ、バナナ、ココナツ、洋ナシ、アンズ、モモ、ネクタリン、スモモ(plum)、サクランボ、ブラックベリー、ラズベリー、クワの実(mulberry)、イチゴ、クランベリー、ブルーベリー、ブドウ、プルーン、グレープフルーツ、キーウイ、ルバーブ、パパイヤ、メロン、スイカ、ザクロ、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ、タンジェリン、グアバ、マンゴ、パイナップルなどの任意の知られている果実が含まれ得る。同様に、野菜には、それだけには限定されないが、アマランサス(amaranth)、キバナスズシロ(arugula)、ブリュッセルスプラウト(brussels sprout)、キャベツ、セロリレタス、赤チコリ(radicchio)、オランダガラシ、ホウレンソウ、カボチャ(pumpkin)、カボチャ(squash)、マッシュルーム、エンドウマメ、マメ、ビート(beet)、ニンジン、バレイショ、ラディッシュ、カブカンラン(rutabaga)、カブ(turnips)などの任意の知られている野菜が含まれ得る。
【0149】
[00149]製剤中に提供される植物性化学物質のタイプにおける多様性を表す5つの異なる色のカテゴリーからの果実及び野菜を含むことも可能である。Heber Dら、Applying Science to Changing Dietary Patterns、J.Nutr、131巻、3078S~3081S頁(2001年)を参照されたい。植物性化学物質は、他の食品の中でも多くの果実及び野菜において見出される非栄養性の化合物である。フラボノイド並びに類似のフェノール性及びポリフェノール性化合物、テルペノイド、例えば、カロテノイド及びフィトステロール、又はアルカロイド、並びに硫黄含有化合物と分類することができる植物性化学物質は何千と存在する。
【0150】
[00150]果実及び野菜の色の群に関して、本組成物は、緑色、青色/紫色、赤色、橙色、及び白色の各々からの少なくとも1つの果実/野菜を含むことができる。緑色の果実/野菜には、例えば、ホウレンソウ、ブロッコリー、エンドウマメ、マメ、及びキーウイが含まれる。青色/紫色の果実/野菜には、例えば、ブドウ、ブルーベリー、及びナスが含まれる。赤色の果実/野菜には、例えば、ラズベリー、クランベリー、及びトマトが含まれる。橙色の果実/野菜には、例えば、ニンジン、マンゴ、カボチャ(pumpkin)、オレンジ、及びカボチャ(squash)が含まれる。白色の果実/野菜には、例えば、カリフラワー、タマネギ、及びバナナが含まれる。したがって、全ての色の群からの果実及び野菜を含めることによって、栄養素及び植物性栄養素の含量を多様化することが可能である。当業者であれば、このリストは網羅的なものではなく、他の有色の果実/野菜を上記に列挙したものの他に用いることができることを理解されよう。当業者であれば、任意の知られている果実及び野菜を、本栄養組成物において用いることができることを理解されよう。さらに、当業者であれば、上記に記載する利点を達成するのに有効な任意の量の果実及び/又は野菜を提供することができることも理解されよう。
【0151】
[00151]植物性化学物質は身体において活性であり、一般に、抗酸化剤と同様に作用する。植物性化学物質は、炎症のプロセス、血栓形成、喘息、及び糖尿病において有益な役割を果たすとも思われる。研究者らは、植物性化学物質の摂取から最も利点を受けるために、複雑な、天然の組合せ、及び潜在的な相乗効果のために、植物性化学物質をホールフードの部分として摂取しなければならないと理論化している。Liu RH.、Health benefits of fruit and vegetables are from additive and synergistic combinations of phytochemicals、Am.J.Clin.Nutr.、78巻、517S~520S頁(2003年)を参照されたい。これは、果実及び野菜の全体を摂取することに付随する健康上の利点を部分的に説明することができる。果実及び野菜の摂取量の増大は、多くの慢性疾患の危険性の低減に関連する。本栄養組成物の植物性化学物質のプロファイルを増強するために、一実施形態において、組成物は、これらの化合物を含有する様々な果実及び野菜を含んでいる。
【0152】
[00152]経管栄養フォーミュラが健康的なホールフード食を模倣し得る別の方法は、健康的な、ホールフード食中に典型的に存在する食品成分を含むことである。この目的のために、本組成物は、例えば、抗酸化剤活性などの、目標とする健康上の利点を有する、又はある集団に対して感情的魅力をもたらす、スパイス、ハーブ、又は香味料の添加を有することができる。例えば、本組成物は、コレステロールを低減し、血圧を下げるためのガーリック及び/又はシナモン、糖血症のコントロールのためのヤクヨウニンジン及びシナモン、抗癌性の性質のためのターメリック、クルクミン、バジル、ローズマリー、ミント、及びレモングラス、関節痛のためのショウガ、認知機能のためのイチョウ葉及びヤクヨウニンジン、抗炎症の性質のためのクルクミン及びショウガ、制吐のためのショウガ、及び全身的な健康状態を改善するためのハーブを含むことができる。
【0153】
[00153]食品及び味における多様性は、腸における様々な味覚受容体を維持することができる。食品及び/又は食品成分及び香味の多様性の増大は、腸における特定の味覚受容体を刺激するように送達され得、したがって様々な生理学的反応を誘発する。例えば、うま味受容体が消化管において同定されているが、この受容体はかぐわしい香味(マッシュルーム、水産物、発酵ダイズ香味料、又はグルタミン酸一ナトリウム(「MSG」)及び/若しくはイノシン-5’-一リン酸(「IMP」)などの通常の風味増強剤の存在を感じる。動物のデータにより、MSG及び/又はIMPを食事に加えると粘液の分泌及び小腸の保護を改善することが示されている。一実施形態において、マッシュルーム、及び醤油などの発酵ダイズ香味料は、天然に存在する最高レベルのこれらの化合物を含有し、消化管を支持するための経管栄養製剤における成分として有用であり得るという理由で、マッシュルーム及び発酵ダイズ香味料を本組成物に加えることができる。このように、うま味受容体の活性化は、グルコース代謝(GLP-1放出の増大)、並びにL細胞からのGLP-2放出による十二指腸の粘膜保護及び再生において二重の利点を有し得る。Nakamura Eら、Physiological roles of dietary free glutamate in gastrointestinal functions、Biol. Pharm. Bull.、31巻、10号、1841~1843頁(2008年);Kojo Aら、 Effects of glutamate,the “umami” substance,on development and healing of NSAID-induced small intestinal lesions in rats、Digestive Disease Week 2010において提示された抄録(W1345);Wang Jら、Umami receptor activation increases duodenal bicarbonate secretion via GLP-2 release in rats、Digestive Disease Week 2010において提示された抄録(W1719)を参照されたい。
【0154】
[00154]また、他の味覚受容体の刺激は、動物又は細胞培養物の研究において効果があることが示されている。例えば、腸における苦味受容体を刺激すると、CCKの放出を増大し、胃排出を遅らせる。Chen MCら、Bitter stimuli induce Ca2 signaling and CCK release in enteroendocrine STC-1 cells:role of L-type voltage-sensitive Ca2 channels、Am. J. Physiol. Cell Physiol.、291巻、C726~C739頁(2006年);Jang HJら、Gut expressed gustacin and taste receptors regulate secretion of glucagon-like peptide 1.、Proc Natl.Acad.USA、104巻、15069~74頁(2007年);Margolskee RFら、T1R3 and gustducin in gut sense sugars to regulate expression of Na-glucose cotransporter 1.、Proc.Natl.Acad.USA、104巻、15075~80頁(2007年);Mace OJら、Sweet taste receptors in rat small intestine stimulate glucose、J.Physiol.、582.1巻、379~392頁(2007年)を参照されたい。
【0155】
[00155]一実施形態において、本組成物は、腸におけるコレステロールの吸収を低減するために、心臓の健康のための植物ステロールを含んでいる。フィトステロール(植物ステロールとも呼ばれる)は、植物中に天然に存在する一群のステロイドアルコールである。フィトステロールは、植物油、特にシー・バックソーン(sea buckthorn)油、トウモロコシ油、及びダイズ油中に少量天然に存在する。植物油から単離されるフィトステロール複合体の一例は、カンペステロール、スチグマステロール、及びブラシカステロールからなるコレスタチン(cholestatin)である。当業者であれば、任意の知られているフィトステロールを本明細書において用いることができることを理解されよう。一実施形態において、完全な食事1食あたり最高約5gの植物ステロールを本組成物に加えることができる。一実施形態において、約1g~約4gの植物ステロールを本組成物に加えることができる。一実施形態において、完全な食事1食あたり約2gの植物ステロールを本組成物に加える。このように、植物ステロールは、コレステロール、又は摂取者がコレステロールを含有する他の食品アイテムを摂取する経口栄養サプリメントを含有する組成物において有益であり得る。しかし、別の一実施形態において、非常に少量の外来のコレステロールを投与されている長期の経管栄養患者がいる。この場合、本組成物は、コレステロールを妨害し得るステロールを含まないことがある。
【0156】
[00156]上記で論じた通り、ヌクレオチドは、数ある中で、赤身の肉、内臓肉、家禽、魚、甲殻類、レンズマメ、マメ、アスパラガス、及び発酵飲料を含めたいくつかのタイプの食品中に見出される食品構成成分である。内因性の合成がヌクレオチドの主な供給源を構成するが、ヌクレオチドは、例えば、動物タンパク質、エンドウマメ、酵母菌、マメ、及び乳を含めた動物及び植物起源の食品全てにおいて天然に存在する核タンパク質の形態でも得ることができる。さらに、食品中のRNA及びDNAの濃度は細胞密度に依存する。したがって、肉、魚、及び種子は、乳、卵、及び果実よりもヌクレオチド含量が高い。その結果、内臓肉、新鮮な水産物、及び乾燥したマメ科植物は豊富な食品源である。ヌクレオチドの内因性の合成は、高エネルギーを必要とするプロセスであるが、健康な個体において十分であると思われる。しかし、外因性の(食事の供給源の)ヌクレオチドの必要性が、腸の傷害、敗血症、及び免疫チャレンジなどの、成長又はストレスの場合の間に生じる。Kulkarniら、The Role of Dietary Sources of Nucleotides in Immune Function:A Review、J.Nutr.、124巻、1442S~1446S頁(1994年)を参照されたい。このように、長期の経管栄養を常食とする集団のいくつかのセグメント(高齢、小児の集団、座りがち、寝たきり、及び創傷のあるもの)又は経口栄養サプリメントを必要とする患者は、外因性のヌクレオチドから特に恩恵を受け得る。
【0157】
[00157]当業者であれば、内因性の合成がヌクレオチドの主な供給源を構成するが、ヌクレオチドは、例えば、動物タンパク質、エンドウマメ、酵母菌、マメ、乳などを含めた動物及び植物起源の食品全てにおいて天然に存在する核タンパク質の形態においても得ることができることを理解されよう。
【0158】
[00158]細胞のエネルギーチャージは、細胞がタンパク同化又は異化のプロセスのいずれかを好む重要なコントロールとして提唱されている。細胞のエネルギーチャージは、エネルギーチャージ=(ATP+1/2ADP)/(ATP+ADP+AMP)と規定され、ATP、ADP、及びAMPはそれぞれ、アデノシン-5’-三リン酸、アデノシン-5’-二リン酸、及びアデノシン-5’-一リン酸を意味する。代謝ストレス、栄養のストレス、又はこの両方とも、アデニレートプールからのヌクレオチドの喪失をもたらすことがあり、これらの条件下で条件付で不可欠となる。細胞のエネルギーチャージの維持は、タンパク質の分解を含む、代謝ストレス、栄養ストレス、又はこの両方に起因する異化プロセスの上方制御を減弱し得る。
【0159】
[00159]AMPプロテインキナーゼ(「AMPK」)は、利用可能なエネルギーに基づく細胞のプロセスの優先順位付けのために、ATP/AMP及びクレアチンリン酸/クレアチン(「PCr」/「Cr」)の変化率に反応する細胞エネルギーチャージセンサーとして働くタンパク質である。特に、AMPKは、骨格筋タンパク質合成の翻訳コントロールを標的とし、ユビキチンのプロテオソーム(proteosome)経路を上方制御することができる。
【0160】
[00160]さらに、ヌクレオチドは、創傷部位の感染に対する抵抗性を改善することによって、圧迫潰瘍の栄養上の管理において有用であり得る。ヌクレオチドを習慣的に補給すると、生理学的ストレスに付随するホルモンの反応に対抗し、免疫反応の増強をもたらすことがある。
【0161】
[00161]齧歯動物モデルにおけるリンパ球の機能及び細胞の免疫に対する食事性ヌクレオチドの影響に対する大規模な実験も行われている。食事性ヌクレオチドが非存在であると、特異的及び比特異的な免疫反応を著しく低減することを断言する証拠が存在する。所見には、分裂促進因子に反応したリンパ球の成熟及び増殖の低減、細菌及び真菌の感染に対する抵抗性の低減、並びに同種移植の生存の増大が含まれる。
【0162】
[00162]リンパ球の分化及び増殖は、特定のヌクレオシドによって刺激されることがあり、次にヌクレオチドの代謝はリンパ球の活性化及び機能の段階によって影響を受けることがある。さらに、プリン及びピリミジンの新規合成及び再利用が、刺激されたリンパ球において増大する。これを支持して、未分化のT細胞に対して確立されたマーカーである、末端のデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(「TdT」)が、ヌクレオチドを欠く食事を摂食させた齧歯動物の未分化の骨髄及び胸腺細胞において同定されている。
【0163】
[00163]ヌクレオチドフリー食を常食とする齧歯動物のin vitro及びin vivoの研究は、細胞媒介性免疫反応の抑制を実証している。ヌクレオチドフリーの宿主からの脾リンパ球により、分裂促進因子に反応した増殖における著しい低減、インターロイキン-2(「IL-2」)生成の低減、並びに低レベルのIL-2受容体及びLyt-1表面マーカーが証明された。IL-2はリンパ球に対する増殖因子であり、Lyt-1はヘルパー-インデューサーT細胞免疫のマーカーである。皮膚過敏症の遅れもまた、より低かった。
【0164】
[00164]これらの反応は、RNA又はウラシルを加えることで大幅に逆転し、ピリミジンに対する重大な役割及び/又はピリミジンの再利用に対する限られた能力を示唆していた。さらに、食事性ヌクレオチドは、カロリー及びタンパク質単独よりもタンパク質-カロリーの栄養不良に二次的である免疫反応の喪失を逆転することが示された。しかし、この逆転はピリミジンに限定された。
【0165】
[00165]細菌及び真菌の感染におけるヌクレオチドの役割の調査により、抵抗性の増大も明らかになっている。ヌクレオチド含有食を常食とする齧歯動物は、ヌクレオチドフリー食を常食とする齧歯動物に比べて、スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)の静脈内チャレンジに対して著しい抵抗性を実証した。スタフィロコッカス・オーレウスを貪食する(phygocytose)能力の低下が観察された。さらに、ヌクレオチドフリー食を常食とする齧歯動物において、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を同様にチャレンジした後、生存時間の低減が観察された。アデニンではなく、RNA又はウラシルを加えると生存時間を増大することが示された。
【0166】
[00166]ヌクレオチドフリー食の免疫抑制効果は、齧歯動物における心臓同種移植の生存の延長、及びシクロスポリンAの相乗的な免疫抑制ももたらしている。これらの所見は、Tヘルパー細胞の数及び機能に対する影響を証明している。これらの所見を説明するのに、様々な作用機序が提唱されている。外因性のヌクレオチドを制限すると、一次リンパ器官におけるTdTのレベルの増大によって証明されるTヘルパー-インデューサーに対する作用によって、抗原のプロセシング及びリンパ球の増殖の最初の段階に影響を及ぼすと考えられている。これは、中立のTリンパ球反応の抑制も示唆している。また、ヌクレオチドを制限すると、細胞周期のG期におけるTリンパ球の停止を引き起こし、したがって必要な免疫学的シグナルを誘発するためのリンパ球のS期への転移を阻害し得る。ヌクレオチドの制限はまた、ナチュラルキラー(「NK」)細胞の細胞溶解活性を低減し、マクロファージの活性を低減することもある。
【0167】
[00167]食事のヌクレオチドは、Tヘルパー細胞媒介性の抗体生成も変調することがある。体液性免疫反応に対するヌクレオチドの作用を調査する試験の再考は、in vitro及びin vivoの動物モデルにおける効果、並びにヒト系におけるin vitroの作用を特定した。T細胞依存性抗原で抗原刺激した齧歯動物脾細胞におけるin vitroの所見は、酵母菌のRNA含有培養物における抗体生成細胞の数における著しい増大を示した。正常の系統にRNAを加えると同様の結果が実証され、T細胞の枯渇によって無効にされた。このように、抗体は、T細胞非依存性の抗原又はポリクローナルB細胞の活性化に反応して増大しなかった。酵母菌RNAの特異的な抗体反応はヌクレオチドに起因するものであった。
【0168】
[00168]免疫グロブリンの生成が、T細胞依存性抗原及び刺激に反応してin vitroの成人ヒト末梢血単核細胞を増大することも示されている。特に、これは免疫グロブリンM(「IgM」)及び免疫グロブリンG(「IgG」)の生成の増大に関与する。IgMの生成は、T細胞依存性の刺激にも反応して、機能的に未成熟な臍帯単核細胞において増大した。
【0169】
[00169]したがって、ヌクレオチド欠乏の状態において、組み入れられた食事性ヌクレオチドは、in vivoで同様の免疫効果を潜在的に発揮し得る。T細胞依存性抗原に対する抗体の反応は、長期間ヌクレオチドフリー食に維持した齧歯動物において抑制され、ヌクレオチドを補給すると免疫機能は速やかに回復した。しかし、補給に用いた混合物は、局所的な、特異的な免疫反応に対するヌクレオチドの効果を示唆する抗原依存性抗原に対する、in vitroの抗体生成に対して効果を示さなかった。さらに、抗原特異的な免疫グロブリン分泌細胞の数の著しい増大が、ヌクレオチド存在下の齧歯動物脾細胞において観察された。AMP、GMP、又はUMPを加えると、齧歯動物においてIgG反応の増大ももたらした。GMPはIgM反応を増大することも示された。ヌクレオチドを補給した製剤に対する早期産児における研究により、生後3ヶ月におけるIgM及びIgAの循環レベルの増大、並びに生後1ヶ月におけるα-カゼイン及びβ-ラクトグロブリンに対して特異的なIgG濃度がより高いことが明らかになった。低反応の抗原に対する特異的なIgGレベルも、食事性のヌクレオチド含有フォーミュラを投与されている正常の乳児においてやはり増大することがある。
【0170】
[00170]機構的に、in vitro及びin vivoの観察は、抗原提示時のT-ヘルパー細胞に対するヌクレオチドの効果、T細胞の細胞表面分子との相互作用による変調、抗原刺激に反応したT細胞の非特異的な活性の抑制、及び休止のT細胞によって媒介される特異的な抗体反応の増大を伴うと考えられている。したがって、食事性ヌクレオチドは、B細胞反応に主に関与するT-ヘルパー-2細胞へのT細胞の分化のバランスを支持することがある。このように、ヌクレオチド及び植物性化学物質が、あらゆる上記に言及した状態を有する患者に対していくつかの生理学的利点を示し得ることは明らかである。
【0171】
[00171]当業者であれば、任意の知られている果実及び野菜を、本栄養組成物において用いることができることを理解されよう。さらに、当業者であれば、上記に記載した利点を実現するための栄養を提供するのに有効な任意の量の果実及び又は野菜を提供することができることも理解されよう。当業者であれば、ヌクレオチドの主な供給源には、赤身の肉、内臓肉、家禽、魚、甲殻類、レンズマメ、マメ、アスパラガスなどが含まれることも理解されよう。一実施形態において、本開示の栄養組成物は、少なくとも約10mg/100kcalの量のヌクレオチドを提供することができる。一実施形態において、栄養組成物は、約13mg/100kcal~約19mg/100kcalのヌクレオチドを含む。一実施形態において、栄養組成物は約16mg/100kcalのヌクレオチドを提供する。
【0172】
[00172]別の一実施形態において、栄養組成物はポリマー形態のヌクレオチドを含むことができる。約0.9g/100kcalから約1.5g/1000kcalの量のヌクレオチドが存在することができる。一実施形態において、最高約1.2g/1000kcalの量のヌクレオチドが存在することができる。上記で論じた通り、当業者であれば、果実及び野菜はある量のヌクレオチドを提供することができるが、外因性の合成もヌクレオチドの主な供給源を構成することができることを理解されよう。
【0173】
[00173]一実施形態において、本開示の栄養組成物は、適当な栄養を患者に提供するが筋骨格の健康を損なわずに体重増加を管理するために、低カロリー(例えば、食事のカロリーの数字が低いことを特徴とする)であってもよい。低カロリー食は通常1000kcal/日~1200kcal/日の間を提供するのが典型的である。本栄養組成物は、約0.3kcal/ml~約1.0kcal/mlの範囲のカロリー密度を有することができる。一実施形態において、栄養組成物は、約0.5kcal/ml~約0.8kcal/mlのカロリー密度を有する。経管栄養フォーミュラは、約1.0kcal/mL~2.0kcal/mLの、平均から高いエネルギー密度であってもよい。
【0174】
[00174]重量モル浸透圧濃度は、溶媒1kgあたりの溶質のオスモルの尺度である(osmol/kg経管栄養又はOsm/kg経管栄養)。一実施形態において、本栄養組成物は、800mOsm/kg水以下の重量モル浸透圧濃度を有することができる。別の一実施形態において、本栄養組成物は、400mOsm/kg水以下の重量モル浸透圧濃度を有する。別の一実施形態において、本栄養組成物は、380mOsm/kg水以下の重量モル浸透圧濃度を有する。
【0175】
[00175]一実施形態において、栄養組成物は、1つ又は複数のプレバイオティクスをさらに含む。プレバイオティクスの非限定的な例には、アラビアゴム、αグルカン、アラビノガラクタン、βグルカン、デキストラン、フラクトオリゴ糖、フコシルラクトース、ガラクトオリゴ糖、ガラクトマンナン、ゲンチオオリゴ糖、グルコオリゴ糖、グアーゴム、イヌリン、イソマルトオリゴ糖、ラクトネオテトラオース、ラクトスクロース、ラクツロース、レバン、マルトデキストリン、乳オリゴ糖、部分的に加水分解されたグアーゴム、ペクチンオリゴ糖、難消化性デンプン、老化デンプン、シアロオリゴ糖、シアリルラクトース、ダイズオリゴ糖、糖アルコール、キシロオリゴ糖、これらの加水分解物、又はこれらの組合せが含まれる。
【0176】
[00176]栄養組成物は、1つ又は複数のプロバイオティクスをさらに含むことができる。プロバイオティクスの非限定的な例には、アエロコッカス属、アスペルギルス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、カンジダ属、クロストリジウム属、デバロミセス属、エンテロコッカス属、フゾバクテリウム属、ラクトバシラス属、ラクトコッカス属、ロイコノストック属、メリソコッカス属、ミクロコッカス属、ムコール属、オエノコッカス属、ペディオコッカス属、ペニシリウム属、ペプトストレポコッカス属、ピキア属、プロピオニバクテリウム属、シュードカテヌラツム属、リゾプス属、サッカロミセス属、スタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、トルロプシス属、ワイセラ属、又はこれらの組合せが含まれる。
【0177】
[00177]1つ又は複数のアミノ酸も栄養組成物中に存在することができる。アミノ酸の非限定的な例には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシセリン、ヒドロキシチロシン、ヒドロキシリジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はこれらの組合せが含まれる。
【0178】
[00178]栄養組成物は1つ又は複数のシンバイオティクスをさらに含むことができる。例として、例えば、ビフィズス菌及びフラクトオリゴ糖(「FOS」);ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)GG及びイヌリン;FOSと一緒のビフィズス菌若しくは乳酸桿菌;又はイヌリン若しくはガラクトオリゴ糖(「GOS」)を含むことができる。
【0179】
[00179]1つ又は複数の抗酸化剤も栄養組成物中に存在することができる。抗酸化剤活性を有する原材料の非限定的な例は、ハーブ、スパイス、及び香味料、カロテノイド、フラボノイド、ポリフェノール、リグナン、ルテイン、リコペン、ケルセチン、リモニン、コエンザイムQ10(「CoQ10」)、グルタチオン、ゴジ(ウルフベリー)、ラクトウルフベリー、ヘスペリジン、セレン、ビタミンA、ビタミンE、又はこれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態において、ハーブ、スパイス、及び香味料は、ガーリック、シナモン、チョウセンニンジン(ginseng)、ターメリック、クルクミン、ローズマリー、ミント、レモングラス、イチョウ葉、ショウガ、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0180】
[00180]栄養組成物は、繊維、又は様々なタイプの繊維のブレンドも含む。繊維のブレンドは、可溶性繊維及び不溶性の繊維の混合物を含有することができる。可溶性繊維は、例えば、フラクトオリゴ糖、アラビアゴム、イヌリンなどを含むことができる。不溶性繊維は、例えば、エンドウマメ外皮繊維を含むことができる。
【0181】
[00181]上記で論じた通り、本組成物は、様々なハーブ、スパイス、及び/又は香味料も含むことができる。含まれるハーブは、アンゼリカ、ゲッケイジュ(bay laurel)、チャイブ、ディル、イヌハッカ(catnip)、ウイキョウ(fennel)、ラベンダー、レモンバーム、マージョラム、ミント、オレガノ、パセリ、ローズマリー、ヘンルーダ(rue)、セージ、タラゴン、タイム、バーベナ、又はこれらの組合せから選択することができる。スパイスは、黒コショウ、クミン、カルダモン、トウガラシ(cayenne)、セロリ種子、チリペッパー、シナモン、クローブ、クミン、ガーリック、ショウガ、マスタード、ナツメグ、タマネギ、パプリカ、コショウ(peppercorn)、タバスコ、ターメリック、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。香味料は、例えば、MSG、バニラ抽出物など、あらゆる天然若しくは人工の香味、又は調味料であってもよい。当業者であれば、多くのハーブ、スパイス、及び香味料は、例えば、典型的なハーブをスパイスとして用いることがあるように、使用において重複し得ることを理解されよう。
【0182】
[00182]本組成物は、それだけには限定されないが、α-リノレン酸(「ALA」)、エイコサテトラエン酸(「ETA」)、エイコサペンタエン酸(「EPA」)、ドコサペンタエン酸(「DPA」)、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)、テトラコサペンタエン酸、テトラコサヘキサエン酸(ナイシン酸)、又はこれらの組合せを含めたω-3多価不飽和脂肪酸源をさらに含むことができる。ω-3脂肪酸源には、魚油、家禽、卵、又は他の植物若しくは木の実の供給源、例えば、亜麻仁、ウォールナッツ、アーモンド、藻類、オキアミ、改変された植物、又はこれらの組合せが含まれる。本組成物は、共役リノール酸(「CLA」)も含むことができる。CLAは除脂肪体重及び免疫機能を支持する天然に存在する脂肪である。草で育てられたウシの肉はCLAの良好な供給源である。
【0183】
[00183]本組成物は、例えば、パルミトレイン酸、シス-バクセン酸、及びオレイン酸を含めた一不飽和脂肪酸も含むことができる。一不飽和脂肪酸の一般的な供給源には、それだけには限定されないが、木の実及びアボカドなどの天然食品が含まれ、一不飽和脂肪酸は、ツバキ種子油(tea seed oil)及びオリーブ油(オレイン酸)の主成分である。カノーラ油は57%~60%一不飽和脂肪であり、オリーブ油は約75%一不飽和脂肪であり、ツバキ種子油は一般に80%を超える一不飽和脂肪である。一不飽和脂肪酸の他の供給源には、マカデミアナッツ油、グレープシード油、ラッカセイ油(ピーナツ油)、ゴマ油、トウモロコシ油、全粒コムギ(whole grain wheat)、オートミール、ベニバナ油、ヒマワリ油、ツバキ油(tea-oil)、及びアボカド油が含まれる。
【0184】
[00184]上記で論じた通り、本開示は、経管栄養患者及び/又は患者の介護人に対して感情的魅力、並びに患者に対して可能な生理学的利点を提供する組成物及び方法も提供する。このような感情的魅力を提供するために、本開示のフォーミュラは、例えば、1)オーガニックの、天然の、及び持続可能な原材料を組み入れ、2)ある民族に特異的である製剤を提供し、着色をもたらす天然の原材料を用い、3)経口食を摂取する小児にとって両親が「正常」とみなす、小児に使いやすい食品ブレンド及び/又は包装を提供し、4)食べることに対する経口の刺激及び自然な反応を可能にする成分を提供し、並びに/又は5)典型的な食事時間又は循環するメニューを模倣する経管栄養の方法を提供することができる。
【0185】
[00185]栄養組成物(例えば、経管栄養製剤)が感情的魅力(及び/又は潜在的な生理学的利点)を喚起し得る1つの方法は、オーガニックの、天然の、及び持続可能な原材料を提供することである。例えば、本開示の組成物は、100%オーガニックの果実及び/又は野菜、並びに鶏肉又は牛肉などのオーガニックの肉製品を含むことができる。オーガニックと認定されるためには、原材料を、国に固有の標準にしたがって育て、製造しなければならない。米国農務省(「USDA」)のオーガニック認定果実及び野菜又は肉(Organic Certified Fruits and vegetables or Meat)は、果実及び野菜は、合成又は非オーガニックの殺有害生物剤(pesticide)、殺虫剤、又は除草剤なしで育てなければならないと定めている。
【0186】
[00186]オーガニックの肉に対して、米国農務省は、抗生物質及び成長ホルモンを使用せずに肉を育てなければならないと定めている。オーガニック製品は、人工の食品添加物がないのが典型的であり、化学的熟成、食品照射、遺伝子修飾した生物体など、人工的な方法が殆んどなく加工される。一実施形態において、本開示の組成物は、放し飼いのニワトリ及び/又は草で育てられたウシの肉及び乳から得た肉を含むことができる。必然的ではないが、これらのような標準は、現在のマーケティングメッセージである「自然が意図する方法(the way nature intended)」とより整合するものである。実際、ウシの反芻胃は穀物を処理するようになっていないことが知られており、これらの標準は肉が抗生物質及び成長ホルモンを使用せずに育てられたことを保障するものである。Steve Windley、Grass-fed Beef、purehealthMD.com(2008年)を参照されたい。
【0187】
[00187]同様に、全ての天然の原材料を本組成物の着色に用いて、人工着色における化学物質を避けることができる。例えば、赤色の組成物を実現するために、アマランス、ビート、又はハイビスカスを組成物に加えることができる。或いは、黄色/橙色の組成物を実現するために、ターメリックを組成物に加えることができる。当業者であれば、これらは色を提供する果実/野菜の例にすぎず、組成物に色を提供することができる任意の知られている果実又は野菜を用いることができることを理解されよう。
【0188】
[00188]栄養組成物が感情的魅力(及び/又は潜在的な生理学的利点)を喚起することができる別の1つの方法は、民族に特異的な経管栄養フォーミュラを作り出すことである。一実施形態において、本組成物は、世界の特定の領域において典型的に摂取される果実、野菜、主要栄養素源、及びスパイスとともに配合される。例えば、経管栄養製剤はクルクミン又はターメリックを含み、インド料理製剤として売買することができる。クルクミンは、スパイスであるターメリック(クルクマロンガ(curcuma longa))の成分であり、カレーの黄色のもととなっている。クルクミンは、抗炎症、抗酸化、及び抗タンパク質分解の性質を保有することが特に示されている。例えば、除脂肪体重における深刻な減少を経験している長期の経管栄養の小児患者に関して、クルクミンは骨格筋のタンパク質分解のいくらかの軽減をもたらすことがある。重要なことに、クルクミンは核因子-Kβ(NF-Kβ)の上方制御に拮抗し、この遺伝子は複雑に結びついて、負荷軽減の条件の間、骨格筋萎縮の誘発を担う細胞間シグナル伝達カスケードを開始させる。Faridら、Effects of dietary curcumin or N-acetylcysteine on NF-KB activity and contractile performance in ambulatory and unloaded murine soleus、J.Clin.Invest.、114巻(10)、1504~11頁(2005年)を参照されたい。
【0189】
[00189]同様に、クミン、オレガノ、及びチリパウダーが、メキシコ料理製剤として売買されている組成物中に含まれ得る。他の料理の選択肢には、それだけには限定されないが、タイ料理、イタリア料理、地中海料理、又はアメリカ料理が含まれる。
【0190】
[00190]栄養組成物が感情的魅力を喚起し得る別の1つの方法は、小児に使いやすい食品ブレンド、又は経口食を摂取する小児にとって両親が「正常」とみなす食品を含むことである。人気のある有名商標の食品には、例えば、チェリオ(登録商標)、ジューシージュース(登録商標)、キャンベルのアルファベットスープ(商標)、チキンナゲット、イチゴショートケーキ、バナナ、リンゴソースなどが含まれる。
【0191】
[00191]栄養組成物が感情的魅力(及び/又は潜在的な生理学的利点)を喚起し得るさらに別の1つの方法は、視覚的に訴える/食欲をそそる、食べることに対する自然な反応を刺激する魅力的な芳香、魅力的な香味若しくは匂い、又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの特徴を有する、余分な、付加成分を提供することである。これらの成分(匂い、味、考えなど)にも、脳相又は消化の最初の部分を誘発するような生理学的利点があることがあり、このため患者は経口食により類似する方法で消化のプロセスを始めることができる。したがって、消化のプロセスは、食品の視覚、匂い、又は考えで始まり、消化(例えば、唾液分泌、胃酸分泌、膵臓の内分泌及び外分泌)に対して身体を刺激するように生理学的プロセスが生じる。
【0192】
[00192]付加成分は、錠剤、トローチ剤、溶解できるストリップ、又はチューインガムであってもよい。成分は栄養になることもあり、若しくはならないこともあり、又はカロリーを含むこともあり、若しくは含まないこともある。厳密に経口摂取禁止(「NPO」)の患者を意図する場合は、コンプライアンスを確実にするように付加成分を適合することができる(例えば、溶解できるストリップの形態を提供する)。
【0193】
[00193]芳香は、当技術分野において知られている任意の芳香であってもよい。例えば、芳香は、それだけには限定されないが、バニラ、チョコレート、イチゴ、レモン、カスタードなどのデザートの芳香であってもよい。芳香は、例えば、カレー、チリパウダー、焙煎した赤トウガラシ、バジルなど、民族食品に関連することもできる。別の一実施形態において、芳香は、それだけには限定されないが、ミートローフ、鶏肉、焼肉(roast)、マッシュポテトなどの通常のアメリカの食品に付随する芳香であってもよい。広範囲の芳香を提供することによって、患者は、経管栄養時に患者を満足させると思われる芳香を選択することができることがある。芳香は、包装を開封した時に放出されることがあり、又は匂いは「こすると匂いが出る」装置によって増強されることがある。
【0194】
[00194]例えば、経管栄養フォーミュラの包装及び付加装置を、食べ物を模倣するようにデザインされていてもよい。例えば、経管栄養フォーミュラは、食べ物の内容の絵のついた円形の、平坦な包装であってもよい点で、プレートの外見を真似ることができる。患者は「食品のプレート」のある夕食に着くことができる。付加包装は、当技術分野において知られている任意の形状又はサイズであることができ、食料品又は食事用品の外見を真似るサイズ及び形状であってもよい。この方法において、経管栄養の包装は食べ物を模倣し、開封/摂取時に食品の匂いを放出する余分の、付加成分(例えば、トローチ剤、溶解できるトリップ、チューインガム)を含んでいる。患者は、香味のために、トローチ剤、溶解できるストリップ、チューインガムを自分の口に入れる。これは、より「自然に」食べることのルーチン(routine)を可能とし、食べることに対する自然な反応(例えば、脳相、匂い、味覚、考えなど)を刺激する。当業者であれば、付加包装は特定の形状である必要はなく、当技術分野において知られている任意のサイズ及び形状を有することができ、又は経管栄養フォーミュラと別々に販売することができることを理解されよう。
【0195】
[00195]付加成分の利点は、脳相の刺激、及び口腔衛生の促進に関連する。現在のフォーミュラの送達方法には、消化のこの最初の段階である脳相を迂回するGI管中への直接的な送達が含まれる。消化の脳相により、胃酸分泌、インスリンを含めた膵臓酵素の放出がもたらされ、したがって消化及びフォーミュラに対する耐容性を改善することができる。消化のこの最初の段階を迂回することで、いくつかの生理学的結果が存在すると理論化することができる。第1に、食道における蠕動を迂回することで、GI管にわたって「ペーシング(pacing)」が行われると理論化することができる。第2に、経口/GIの筋肉を使用しないと、回復の遅れをもたらし、又は経口食の再開時に問題となり得る経口/GIの筋肉の萎縮があり得る。第3に、腸における味覚受容体の発見で、口腔と腸の味覚受容体との間の連絡の喪失が存在し得る。最後に、特に糖尿病患者において、及び脳相の間のインスリンの早期の放出に関して、血糖コントロールにおける調節不全が存在する。
【0196】
[00196]さらに、付加成分の使用は、健康のいくつかの領域にとって重要である口腔衛生(唾液の生成及び口腔の微生物叢を含む成分)も増強することがあり、致死率の予測材料であることが見出されている。Awano Sら、Oral health and mortality risk from pneumonia in the elderly、J.Dent.Res.、87巻(4)、334~339頁(2008年);Ide Rら、Oral symptoms predict mortaliy:a prospective study in Japan、J.Dent.Res.、87巻(5)、485~489頁(2008年)を参照されたい。例えば、経管栄養を常食とする患者は、劣悪な口腔衛生に対する危険性が高く、グラム陽性細菌の罹患率が高いと報告されている。Leibovitz Aら、Saliva secretion and oral flora in prolonged nasogastric tube-fed elderly patients、IMAJ、5巻、329~332頁(2003年)を参照されたい。唾液の流れの低減又は劣悪な口腔衛生はいくつかの状態に付随し、いくつかの状態は、頭部及び頸部の照射の病歴、唾液腺の疾患、嚢胞性線維症、アルコール性肝硬変、並びに抗コリン薬、抗うつ薬、向精神病薬、利尿薬、血圧降下薬、抗ヒスタミン薬、及び非ステロイド性抗炎症薬の薬物治療を含めた薬物使用を含めた、長期の経管栄養を常食とする個体に一般的であることがある。
【0197】
[00197]付加成分の香味及び匂いは、経管栄養中に存在する食品と同様であり、又は同様でないことができる。このように、付加成分は感情的魅力に対する様々な香味によるものであり、このため患者は切望しているものを選ぶことができる。例えば、経管栄養製剤が鶏肉を含んでいる場合、付加成分は鶏肉のような匂いがすることがある。付加成分は唾液の生成を刺激するのに強力な香味を有することがある。強力な香味は、例えば、酸味、ショウガなどであってもよい。
【0198】
[00198]付加成分は、患者の口腔中に直接配置することがあるので、付加成分も機能性原材料を含むことができる。例えば、機能性原材料は、健康な口腔の細菌叢を維持するプロバイオティクス、又は嚥下反射を誘発するカプサイシンを含むことができる。
【0199】
[00199]一実施形態において、経口摂取が禁忌である場合(例えば、嚥下障害、神経学的障害)、溶解できるストリップを用いる。
【0200】
[00200]このタイプの余分な、付加成分は、経口摂取が禁忌である場合に用いることができ、栄養素を吸収し、用いるように身体を刺激する食べるプロセスを模倣するように特にデザインされた経管栄養製剤を可能にし得る。一実施形態において、付加成分は、包み紙中に包装されており、開封時に匂いを放出する香味錠剤(flavor tab)であってもよい。香味錠剤は、例えば、パセリで味付けした鶏肉、マッシュポテトなどを含めた、ある範囲の香味を、患者のために作り出すこともできる。感知される匂い及び香味に基づいて、患者は自分が「切望している」香味のタイプを選択することができる。一実施形態において、付加成分(例えば、香味錠剤)を、経管栄養投与の直前及び投与の間に用いる。香味錠剤はカロリーフリーであることができ、経口摂取禁止(「NPO」)食に対して許された成分だけを含むことがある。
【0201】
[00201]生理学的な摂食は、ルーチン及び多様性を食事に導入することを含んでいる。この発想には、経腸製剤が、様々な、混合された、循環するメニューの食事を代表する様々な食品成分を含むようにデザインされている、朝食、昼食、夕食、おやつのパターンに類似するボーラスの摂食が含まれる。様々なボーラスの摂食は、食べ物又は週に応じて変化し得る。メニューの循環における食品の多様性は、民族食品及び様々なスパイスを含めることによってさらに特殊化及び多様化され得る。このレジメンは基本的な栄養素を超えたホールフードの利点を組み入れ、健康上の利点のある植物性化学物質及び動物性化学物質の供給源を提供する。利点には、それだけには限定されないが、筋骨格の健康、血圧、コレステロールレベル、血糖コントロール、癌、認知機能、炎症に関する利点を有する酸化的ストレスの変調が含まれる。
【0202】
[00202]これらの路線に沿って、感情的魅力を喚起する別の1つの方法は、規則的な食事時間を模倣する栄養組成物(例えば、経管栄養)を投与する方法を提供すること、又は上記で言及した通り、独特の食品を有する循環するメニューを作り出すことである。例えば、一実施形態において、経管栄養製剤を、朝食、昼食、及び夕食の通常の食事時間に1日3回、並びに/又は数回のおやつとともに投与することができる。同様に、本組成物を、魅力的な、又は食欲をそそるラベル又は商品名とともに包装することができる。
【0203】
[00203]別の一実施形態において、投与が、例えば、様々なタンパク質源、並びに様々な果実及び野菜などを有する独特の食品を有する循環するメニューを作り出すように、経管栄養を投与することができる。当業者であれば、多くの様々な組合せのホールフードを本組成物に用いることができることを理解されよう。このような組合せの様々な例には、クリニュートレンミックス(Clinutren Mix)製品同様、それだけには限定されないが、七面鳥とミックス野菜、子牛肉とブロッコリー、春野菜のシチュー、タラとリーク(leek)、ハンガリアンビーフ(Hungarian beef)、サケ及びホウレンソウ、鶏肉及び野菜、並びに牛肉及びニンジンが含まれる。
【0204】
[00204]別の一例において、経管栄養を通常の食事時間に投与することができる。例えば、第1の摂食を朝の典型的な朝食時間に投与することができる。第2の摂食を、昼頃の典型的な昼食時間に投与することができ、第3の摂食を夕方の典型的な夕食時間に投与することができる。経管栄養フォーミュラをまた、おやつ時間を模倣する数回のさらなる時間に投与することができる。
【0205】
[00205]本開示の栄養組成物の製剤は、摂食によって、日によって、週によって、又は月によって変化して、様々な異なる栄養素を提供する様々な食品を患者に提供する。例えば、毎日の摂食は以下の通り変化することができる:毎日の第1の摂食(例えば、朝食時間)は、毎日の第2の摂食(例えば、昼食時間)と同じ又は異なっていてもよく、毎日の第2の摂食は毎日の第3の摂食(例えば、夕食時間)と同じ又は異なっていてもよい。毎日の摂食は、1日目の第1の摂食(例えば、朝食時間)を提供することによって変わってもよく、1日目の第1の摂食は2日目の第1の摂食(例えば、朝食時間)と同じ又は異なっていてもよい。毎日の第2の摂食及び第3の摂食も同じである。
【0206】
[00206]別の一実施形態において、摂食は週によって、又は月によって変化することができる。これに関して、患者に特定の経管栄養製剤を1週間又は1ヶ月間投与した後、製剤が第2の製剤に変わることができる。同様に、患者に第1の、第2の、及び第3の摂食の毎日の摂食メニューを投与することができ、この場合、各第1の摂食は1週間又は1ヶ月間同じであり、各第2の摂食は1週間又は1ヶ月間同じであり、各第3の摂食は1週間又は1ヶ月間同じであり、その後摂食は第2の製剤に変化する。
【0207】
[00207]製剤がどのくらいの頻度で変化するかに関係なく、第1の製剤から第2の製剤への変化は、製剤の特定の成分の変化を含むことができる。例えば、ある量のタンパク質、炭水化物、及び脂肪を有する経管栄養製剤を、1日目に患者に投与することができる。2日目に、同じ量のタンパク質及び炭水化物を有するが、脂肪の量が増大又は低減した同様の経管栄養製剤を患者に投与することができる。このように、本特許請求の範囲の栄養組成物における主要栄養素及び微量栄養素の量は、製剤によって変化することができる。一実施形態において、栄養組成物の少なくとも1つのタンパク質源は、新たな、又は第2の栄養組成物と異なる。一実施形態において、栄養組成物の少なくとも1つの炭水化物源は、新たな、又は第2の栄養組成物と異なる。一実施形態において、栄養組成物の少なくとも1つの脂肪源は、新たな、又は第2の栄養組成物と異なる。
【0208】
[00208]栄養組成物を、既存の医学的状態を有する個体、又は医学的状態を発症する危険性のある個体、又は長期の経管栄養フォーミュラを常食とする患者に共通の特徴を有する患者に投与することができる。基礎疾患は、例えば、脳性麻痺、発育不全、神経筋障害、脳損傷、発育遅延、免疫不全症、若しくは調節不全、骨格筋及び腸の健康異常、低骨密度、圧迫潰瘍、慢性創傷、インスリン耐性、又はこれらの組合せであってもよい。栄養組成物は、ヒト又は動物などのあらゆる哺乳動物のためにデザインされた製剤であり得る。一実施形態において、栄養組成物は経管栄養製剤である。
【0209】
[00209]基礎疾患を有する患者の全般的な健康を改善する方法も提供する。方法は、基礎疾患を有する患者に、タンパク質源、脂肪源、炭水化物源、繊維源、及びビタミン源又はミネラル源である少なくとも5つの異なるホールフード成分を有する経管栄養製剤を投与することを含む。製剤は、少なくとも5つ、6つ、7つ、又は8つの異なるホールフード成分を含み、ホールフード成分は、加工果実、加工野菜、加工肉、加工穀物、又はこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0210】
[00210]基礎疾患を有する患者の全般的な健康を改善する方法も提供する。方法は、基礎疾患を有する患者に、加工されたホールフード;タンパク質、炭水化物、脂肪、繊維、又はこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも7つの異なる主要栄養素源;及びビタミン源又はミネラル源を有する経管栄養製剤を投与するステップを含む。少なくとも7つの異なる主要栄養素源は、少なくとも1つのタンパク質、少なくとも1つの炭水化物、及び少なくとも1つの脂肪を含む。少なくとも7つの異なる主要栄養素源は、少なくとも3つの異なるタンパク質、及び/又は少なくとも3つの異なる炭水化物、及び/又は少なくとも3つの異なる脂肪を含むこともできる。
【0211】
[00211]経管栄養製剤を投与する方法も提供する。方法は、ホールフードを有する第1の経管栄養製剤を典型的な朝食時間に対応する1日の第1の時間に患者に投与するステップと、ホールフードを有する第2の経管栄養製剤を典型的な昼食時間に対応する1日の第2の時間に患者に投与するステップと、ホールフードを有する第3の経管栄養製剤を典型的な夕食時間に対応する1日の第3の時間に患者に投与するステップとを含む。第1、第2、及び第3の経管栄養製剤は、少なくとも1つのタンパク質、並びに果実及び野菜の少なくとも1つを含む。第1、第2、及び第3経管栄養製剤の各々のタンパク質は異なっていてもよい。第1、第2、及び第3経管栄養製剤の各々の果実及び野菜の少なくとも1つはまた異なっていてもよい。経管栄養製剤を、異なる果実及び野菜、並びに主要栄養素源と一緒に、おやつ時間を模倣する数回のさらなる時間に投与することもできる。この方法において、方法は、典型的な毎日のおやつ時間に対応する第4、第5、第6などの製剤を投与するステップも含むことができる。
【0212】
[00212]本特許請求の範囲の栄養組成物は、温かい又は冷たいいずれかの温度で投与することができる。タンパク質、脂肪、炭水化物、及びホールフード成分を含有する食べ物の食品温度における違いは、消化及び生理学的反応に影響を及ぼすことがあると理論化することができる。実際、以前の調査は、経鼻胃管によって投与された単純な食品飲料、甘味を付けたインスタントコーヒーの温度(熱い、温かい、冷たい)は、胃酸の分泌、血清ガストリン濃度、又は胃排出時間に影響を及ぼさないことを示している。K. McArthurら、Gastric acid secretion、gastrin release, and gastric emptying in humans as affected by liquid meal temperature、Am.J.Clin.Nutr.、49:5巻、1~54頁(1989年)を参照されたい。
【0213】
[00213]本開示は経管栄養包装も提供する。包装は、経管栄養製剤である包装中に含有される第1の成分を含む。包装は、プレート、又は食料アイテム、又はこれらの組合せの形状を真似ることができる。包装は、第1の成分と一緒に含まれている、若しくは第1の成分に付着している、又は別々に購入される第2の成分をさらに含んでいる。第2の成分は口によって摂取され、香味/味覚及び芳香を有する物質からなっており、第1の成分と別々に包装されている。第2の成分は、錠剤若しくはトローチ剤、溶解できるストリップ、又はチューインガムであってよく、必要な場合にはNPO準拠であるように誂えられ、特定のサイズ又は形状の包装中に含まれ得る。
【0214】
[00214]改善された組成物及び改善された組成物を投与する方法を用いることによって、出願人は、増大数の、様々な果実及び野菜、多様性の増大した主要栄養素源、及びホールフード中に見出される他の成分の添加を有する改善された栄養組成物を、成人及び小児の患者に提供することができる。改善された製剤は、標的の集団の栄養上の必要性を最も満たし、生理学的利点及び感情的魅力も提供する「ホールフード」の経管栄養を模倣する助けとなる。
【0215】
[00215]本明細書に記載する本発明の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修飾は当業者には明らかであることが理解されるべきである。このような変更及び修飾は、本発明の主題の精神及び範囲から逸脱せずに、また意図する利点を減じることなく行うことができる。したがって、このような変更及び修飾は添付の特許請求の範囲によって網羅されることが意図される。