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  • 特許-印刷システムおよび印刷方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】印刷システムおよび印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 17/22 20060101AFI20221020BHJP
   B41F 17/20 20060101ALI20221020BHJP
   B41M 1/34 20060101ALI20221020BHJP
   B41M 1/40 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
B41F17/22
B41F17/20 Z
B41M1/34
B41M1/40 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018138450
(22)【出願日】2018-07-24
(65)【公開番号】P2020015194
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】加藤 拓司
(72)【発明者】
【氏名】川越 理史
(72)【発明者】
【氏名】古村 智之
(72)【発明者】
【氏名】村元 秀次
(72)【発明者】
【氏名】寺木 邦子
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-250377(JP,A)
【文献】特開2013-220596(JP,A)
【文献】特開2004-344803(JP,A)
【文献】特開2013-169723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0145331(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 17/22
B41F 17/20
B41M 1/34
B41M 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を着脱可能に構成されたホルダを搬送するホルダ搬送機構を有し、前記ホルダへの前記物品の装着を行う装着位置および前記装着位置と異なる受渡位置を含む周回経路に沿って前記ホルダを周回搬送させる周回搬送装置と、
前記受渡位置と対向しながら前記周回搬送装置から離間して配置されてアライメント位置に位置決めされた前記物品への印刷を行う印刷装置と、
前記物品が装着された前記ホルダを前記印刷装置に移動させて前記物品を前記アライメント位置に位置決めし、前記印刷装置による前記物品への印刷後に前記ホルダを前記受渡位置に戻す往復移動装置とを備え、
前記物品が装着された前記ホルダを第1のホルダとし、前記物品が装着されていない空の前記ホルダを第2のホルダとしたとき、
前記周回搬送装置は、前記往復移動装置による前記第1のホルダの前記アライメント位置への往路移動、前記印刷装置による前記物品への印刷および前記往復移動装置による前記第1のホルダの前記受渡位置への復路移動のうちの少なくともひとつと並行して、前記第1のホルダに装着された前記物品と別の前記物品が前記第2のホルダに装着される間、前記第2のホルダを前記装着位置に停止させる
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷システムであって、
前記印刷装置は、
前記第1のホルダに装着された状態のまま前記物品を印刷する印刷部と、
前記アライメント位置で前記第1のホルダの位置を補正して前記印刷部に対する前記物品の姿勢を調整するアライメント部と
を有する印刷システム。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷システムであって、
前記アライメント部は、前記印刷部に対して前記第1のホルダを相対的に移動させる位置調整部と、前記第1のホルダまたは前記第1のホルダに装着された前記物品の一部を撮像するカメラとを有し、前記カメラにより撮像された画像に基づいて前記位置調整部を作動させて前記印刷部に対する前記物品の相対位置を調整する印刷システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の印刷システムであって、
前記周回搬送装置では、前記印刷装置により印刷された前記物品を前記装着位置で前記第1のホルダから取り外し可能となっている印刷システム。
【請求項5】
物品を着脱可能に構成されたホルダへの前記物品の装着を行う装着位置と、前記装着位置と異なるとともに印刷装置と対向する受渡位置とを含む、周回経路に沿って前記ホルダを周回搬送させながら前記ホルダに装着された前記物品を前記印刷装置により印刷する印刷方法であって、
印刷前の前記物品が装着された第1のホルダを前記受渡位置に搬送する受渡搬送工程と、
前記第1のホルダを前記受渡位置から前記印刷装置に移動させて前記物品をアライメント位置に位置決めする往路移動工程と、
前記物品を前記アライメント位置に位置決した状態で前記物品への印刷を行う印刷工程と、
印刷された前記物品が装着された前記第1のホルダを前記印刷装置から前記受渡位置に戻す復路移動工程と、
前記往路移動工程、前記印刷工程および前記復路移動工程のうちの少なくともひとつと並行して、前記装着位置で前記第1のホルダに装着された前記物品と別の前記物品を前記第1のホルダと異なる第2のホルダに装着する物品装着工程と
を備えることを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボトルなどの日用品や車載部品などの三次元形状を有する物品に対して印刷処理を施す印刷システムおよび印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
凹版印刷は、凹版に刻まれたパターンをスクリーン印刷やインクジェットなどの印刷方式よりも高い再現性で印刷することができるという特性を有している。この特性を利用して、電子回路基板やタッチパネル基板等のデバイスにおける電極パターンの形成を凹版印刷で行うという試みがなされている(特許文献1)。また、上記特許文献1に記載の印刷装置は基板の一方主面、つまり平面を印刷対象としているが、曲面への印刷を行う技術も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-27659号公報
【文献】特開2017-132052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの印刷装置で取り扱っている物品は、非印刷面がフラットな平板ワークである。このため、コンベアなどの従来の搬送技術により物品単体を印刷に適した姿勢のまま凹版印刷を行う位置(本発明の「アライメント位置」に相当)に搬送し、印刷部による印刷処理を実行することができる。しかしながら、ボトルをはじめとする日用品や車載部品などの三次元形状を有する物品に対して印刷処理を実行するためには、当該物品の形状に適合した保持機構をアライメント位置に設け、物品への印刷を行う直前に保持機構に物品を装着する必要がある。このような物品装着は複雑な作業を伴うため、どうしても装着タクトが長くなってしまう。このことが三次元形状の物品に対して印刷を施す印刷処理のスループットを低下させる主要因のひとつとなっている。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、物品がボトルや車載部品などの三次元形状を有するものである場合にも、短いスループットで物品への印刷を行うことができる印刷システムおよび印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様は、印刷システムであって、物品を着脱可能に構成されたホルダを搬送するホルダ搬送機構を有し、ホルダへの物品の装着を行う装着位置および装着位置と異なる受渡位置を含む周回経路に沿ってホルダを周回搬送させる周回搬送装置と、受渡位置と対向しながら周回搬送装置から離間して配置されてアライメント位置に位置決めされた物品への印刷を行う印刷装置と、物品が装着されたホルダを印刷装置に移動させて物品をアライメント位置に位置決めし、印刷装置による物品への印刷後にホルダを受渡位置に戻す往復移動装置とを備え、物品が装着されたホルダを第1のホルダとし、物品が装着されていない空のホルダを第2のホルダとしたとき、周回搬送装置は、往復移動装置による第1のホルダのアライメント位置への往路移動、印刷装置による物品への印刷および往復移動装置による第1のホルダの受渡位置への復路移動のうちの少なくともひとつと並行して、第1のホルダに装着された物品と別の物品が第2のホルダに装着される間、第2のホルダを装着位置に停止させることを特徴としている。
【0007】
この発明の他の態様は、物品を着脱可能に構成されたホルダへの物品の装着を行う装着位置と、装着位置と異なるとともに印刷装置と対向する受渡位置とを含む、周回経路に沿ってホルダを周回搬送させながらホルダに装着された物品を印刷装置により印刷する印刷方法であって、印刷前の物品が装着された第1のホルダを受渡位置に搬送する受渡搬送工程と、第1のホルダを受渡位置から印刷装置に移動させて物品をアライメント位置に位置決めする往路移動工程と、物品をアライメント位置に位置決した状態で物品への印刷を行う印刷工程と、印刷された物品が装着された第1のホルダを印刷装置から受渡位置に戻す復路移動工程と、往路移動工程、印刷工程および復路移動工程のうちの少なくともひとつと並行して、装着位置で第1のホルダに装着された物品と別の物品を第1のホルダと異なる第2のホルダに装着する物品装着工程とを備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、物品は第1のホルダにより装着されたまま受渡位置を経由して印刷装置に搬送され、印刷装置のアライメント位置に位置決めされた状態で印刷を受けた後で第1のホルダとともに受渡位置に戻される。一方、こうした印刷関連処理(往路移動、印刷および復路移動)の少なくとも一部と並行し、上記物品の後で印刷すべき物品が印刷装置および受渡位置から離れた装着位置で第2のホルダに装着される。つまり、物品のホルダへの装着処理と印刷関連処理とが部分的あるいは全面的に並行される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、物品をホルダに装着したまま物品を印刷装置に搬送して物品への印刷を行うのと並行してホルダへの物品の装着を行っているため、物品がボトルや車載部品などの三次元形状を有するものである場合にも、短いスループットで物品への印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明に係る印刷システムの一実施形態を示す図である。
図2図1の印刷システムで用いるホルダの構造を示す模式図である。
図3図1に示す印刷システムで実行される容器への印刷処理を模式的に示す図である。
図4】この発明に係る印刷システムの他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1はこの発明に係る印刷システムの一実施形態を示す図である。図2図1の印刷システムで用いるホルダの構造を示す模式図である。この印刷システム1は、本発明の「物品」の一例である飲料ガラス瓶や化粧品のガラス瓶などの容器Bをホルダ2に装着した状態で容器Bの胴部Baに紫外線硬化材料のパターンを直接印刷するものである。
【0012】
印刷システム1には、周回搬送装置3が設けられている。周回搬送装置3は容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理位置P3を含む周回経路PTに沿ってホルダ2を周回搬送するホルダ搬送機構31を有している。ホルダ搬送機構31は印刷システム1全体を制御する制御装置4の駆動制御部44からの指令に応じて作動し、ホルダ2を容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理位置P3の順序で周回移動させる。ホルダ搬送機構31としては、容器交換位置P1から受渡位置P2へのホルダ2の搬送(以下「受渡搬送M1」という)と、受渡位置P2から後処理位置P3へのホルダ2の移動(以下「後処理搬送M2」という)と、後処理位置P3から容器交換位置P1へのホルダ2の移動(以下「交換搬送M3」という)とを同時に行うコンベア搬送機構を用いてもよいし、受渡搬送M1、後処理搬送M2および交換搬送M3を相互に独立して独立搬送機構を用いてもよい。なお、本実施形態では独立搬送機構を用いている。
【0013】
容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理位置P3にはセンサがそれぞれ配置されている。そして、センサは容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理位置P3に位置するホルダ2を検知し、それらを示す信号を制御装置4の入出力部45に与える。これらの信号に基づいて制御装置4の演算処理部41は次に説明するように構成されたホルダ2ならびに当該ホルダ2に装着された容器Bの位置を取得する。なお、上記センサのうち受渡位置P2に設けられたセンサは後で詳述するようにアライメント位置に設けられたセンサとともにホルダ2の往復移動を制御するのに寄与する。
【0014】
ホルダ2は、図2に示すように、ベース部21を有している。このベース部21の上面から2つの柱部22、23が立設されている。柱部22、23は、容器Bの高さ(底部から容器口までの長さ)よりも若干長い間隔を隔てながら相互に対向するように設けられている。柱部22、23には、図示を省略するが、容器Bの高さ方向(同図の左右方向)に貫通孔がそれぞれ設けられている。これらの貫通孔は上記高さ方向に沿って一列に配置されている。そして、柱部22に設けられた貫通孔に底保持部24が設けられる一方、柱部23に設けられた貫通孔に蓋閉め保持部25が設けられている。
【0015】
底保持部24は、柱部22に対して回転自在に設けられた回転体241と、回転体241に取り付けられたバネ部材242とを有している。バネ部材242の一方端部は回転体241に固定された固定端であり、他方端部は柱部23に向かって伸びた自由端となっている。一方、蓋閉め保持部25は、柱部23に対して回転自在に支持されながら蓋閉め部Bcに着脱自在な連結部材251を有している。このため、図2に示すように、バネ部材242の付勢力に抗って容器Bの底部Bbをバネ部材242の他方端部に押し付けながら容器Bを水平状態で柱部22、23の間に配置することができる。さらに、容器Bの蓋閉め部Bcを蓋閉め保持部25の連結部材251に連結することで、容器Bはバネ部材242の付勢力で回転体241と連結部材251とで挟まれた状態で回転軸AXまわりに回転自在に保持される。なお、蓋閉め部Bcとは、胴部Baの肩部から容器口までの上端範囲のうち容器Bの蓋(図示省略)が装着される部位を意味している。この蓋閉め部Bcの上端(図2の右側)には、容器口が開放され、容器口の近くから胴部Baに向かって雄ネジ(図示省略)が適宜形成されている。雄ネジは、連続した螺旋雄ネジのほか、適宜一部分断される等の形状を有している。
【0016】
このように構成されたホルダ2では、容器交換位置P1に位置決めされているときに、オペレータによる容器Bの着脱が実行可能となっている。つまり、印刷前の容器Bの底部Bbをバネ部材242に押し付けながら容器Bを水平状態で柱部22、23の間に配置した後で容器Bの蓋閉め部Bcを蓋閉め保持部25の連結部材251に連結することで容器Bをホルダ2に装着することができる。また、印刷後に、ホルダ2に印刷済の容器Bをバネ部材242の付勢力に抗いながら柱部22側に移動させるとともに連結部材251による蓋閉め部Bcの連結を解除することで、容器Bをホルダ2から取り外すことができる。なお、ホルダ2への容器Bの着脱方式はこれに限定されるものではなく、ホルダ2における容器Bの保持機能に応じた着脱方式を採用することができる。
【0017】
ホルダ2は、単に容器Bを水平状態で回転自在に保持する保持機能以外に、後述する印刷装置による凹版印刷中に容器Bを回転軸AXまわりに回転させる回転機能を有している。この回転機能は容器回転部26により実行される。この容器回転部26は、回転するモータ261と、モータ261の回転力を容器Bの蓋閉め部Bcに伝達する回転伝達機構262とを有している。モータ261が制御装置4の駆動制御部44からの回転指令に応じて作動すると、印刷前の容器Bは底保持部24と蓋閉め保持部25とで挟まれて水平姿勢で保持された状態で回転軸AXまわりに回転する。
【0018】
印刷前の容器Bがオペレータによって装着されたホルダ2は、ホルダ搬送機構31によって周回経路PTのうち容器交換位置P1から受渡位置P2に向かう経路PT1に沿って搬送される。つまり、受渡搬送M1(図3参照)が実行され、印刷前の容器Bがホルダ2とともに受渡位置P1に搬送される。この受渡位置P2に対向しながら周回搬送装置3から離れた位置に印刷装置5が配置されている。印刷装置5は、図1に示すように、受渡位置P2と対向するアライメント位置Paに配置されたアライメント部51と、アライメント位置Paに位置決めされたホルダ2に装着された容器Bの胴部Baに紫外線硬化材料のパターンを直接印刷する印刷部52とを有している。
【0019】
アライメント部51は、ホルダ2に装着された容器Bの印刷部52に対する姿勢、つまり相対位置関係を印刷に適したものとするために設けられている。本実施形態では、図示を省略するカメラにより容器Bの一部を撮像して得られるアライメント用画像に基づいて位置調整部(図示省略)によりホルダ2を相対的に移動させて容器Bの姿勢を補正している。姿勢補正については従来より周知のものを用いることができる。例えば容器Bに含まれる複数の特徴部位やアライメントマークなどを撮像して複数の画像を取得し、それらの画像を制御装置4の画像処理部43で加工処理する。そして、それにより得られた画像データに基づいて演算処理部41がアライメント位置Pa上のホルダ2を三次元的に移動させて印刷部52に対して容器Bを相対移動させ、印刷部52に対する容器Bの姿勢を基準状態に補正する。この姿勢補正後に印刷部52による容器Bへの印刷が実行される。
【0020】
印刷部52は特許文献1と基本的に同じ印刷手法、つまり凹版印刷を実行する。つまり、印刷部52は紫外線硬化材料を充填させた凹版を転写ローラに押し付けて凹版に対応する紫外線硬化材料のパターンを転写ローラに受理させる。また、転写ローラの回転と同期して基準の印刷姿勢に補正された容器Bを回転軸AX(図2参照)まわりに回転させながら転写ローラ上のパターンを容器Bの胴部Baに転写する。また、図1への図示を省略しているが、印刷部52は容器Bに転写された紫外線硬化材料のパターンに対して比較的弱い紫外線を容器Bに照射し、いわゆる仮硬化させる仮硬化処理部を有している。
【0021】
このように本実施形態では、周回搬送装置3から分離して印刷装置5を設け、周回搬送装置3によりホルダ2とともに容器Bを周回搬送する周回搬送動作から独立して容器Bの印刷動作を実行可能となっている。また、周回搬送装置3と印刷装置5とを分離して配置したことに対応し、印刷システム1では、往復移動装置6が設けられている。
【0022】
往復移動装置6は、容器Bが装着されたホルダ2を載置可能な台座(図示省略)を受渡位置P2およびアライメント位置Paの間で往復移動させるシャトル構成を有している。台座を移動させる具体的な構成としては、例えばリニアガイドとモータとを組み合わせた機構やエアシリンダなどの直動アクチュエータにより構成される機構などを用いることができる。
【0023】
本実施形態では、受渡位置P2およびアライメント位置Paには、台座を検知するセンサ71、72がそれぞれ設けられており、各センサ71、72からの検知信号に基づいて制御装置4が往復移動装置6を制御する。これによって、容器Bが装着されたホルダ2を印刷装置5に移動させて容器Bをアライメント位置Paに位置決めし、印刷装置5による印刷後にホルダ2を受渡位置P2に戻すことができる。
【0024】
こうして受渡位置P2に戻されたホルダ2は、ホルダ搬送機構31によって周回経路PTのうち受渡位置P2から後処理位置P3に向かう経路PT2に沿って搬送される。つまり、後処理搬送M2(図3参照)が実行され、印刷済の容器Bがホルダ2とともに後処理位置P3に搬送される。この後処理位置P3には、既に印刷装置5で仮硬化を受けている容器Bに対して比較的強い紫外線をさらに照射し、いわゆる本硬化処理を実行する後処理装置7が配置されている。なお、後処理装置7による本硬化処理を受けた容器Bが装着されたホルダ2は、ホルダ搬送機構31によって周回経路PTのうち後処理位置P3から容器交換位置P1に向かう経路PT3に沿って搬送される。つまり、交換搬送M3(図3参照)が実行され、印刷済の容器Bがホルダ2とともに容器交換位置P1に搬送される。そして、この容器交換位置P1で印刷済の容器Bがオペレータによりホルダ2から取り外される。
【0025】
制御装置4は、上記演算処理部41、画像処理部43、駆動制御部44および入出力部45以外に、印刷動作を実行するための印刷プログラムや各種データなどを記憶する記憶部42が設けられている。そして、演算処理部41は記憶部42から印刷プログラムを読み出し、当該印刷プログラムにしたがってシステム各部を制御して次に詳述する印刷処理を実行する。
【0026】
図3図1に示す印刷システムで実行される容器への印刷処理を模式的に示す図である。同図において、縦軸のうち1点鎖線部分を除く部分はホルダ2および容器Bの位置を示し、横軸は時間経過を示している。また、白抜き四角印はホルダ2を示している。また、白抜き丸印は印刷前の容器Bを示し、ドットが付された丸印は印刷処理と仮硬化処理を受けた容器を示し、斜め線が付された丸印は本硬化処理を受けた最終製品の容器を示している。また、丸印内の「B1」、「B2」、「B3」、「B4」はそれぞれ最初の容器B、2番目の容器B、3番目の容器B、4番目の容器Bを示している。また、同図中の破線はホルダ2が停止状態にあることを示し、実線矢印はホルダ2の移動および移動方向を示している。
【0027】
印刷システム1の初期状態(図3のタイミングT1)では、容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理装置P3で、容器Bを装着していない、いわゆる空のホルダ2が位置決めされている。そして、制御装置4に対してオペレータが運転指令を与えると、印刷プログラムにしたがって演算処理部41がシステム各部を制御し、以下の一連の動作を繰り返して実行する。
【0028】
容器交換位置P1に位置決めされているホルダ2に対し、オペレータが印刷前の最初の容器B1を手動でホルダ2に装着したのを確認する(タイミングT2)と、ホルダ搬送機構31は、容器B1が装着されたホルダ2を経路PT1に沿って搬送する(受渡搬送M1)。また、これに同期して、ホルダ搬送機構31は、受渡位置P2および後処理装置P3に位置する空のホルダ2をそれぞれ経路PT2、PT3に沿って搬送する。つまり、後処理搬送M2および交換搬送M3を実行する。これにより、最初の容器B1は受渡位置P2に位置するとともに空のホルダ2が容器交換位置P1および後処理装置P3に位置する(タイミングT3)。
【0029】
印刷前の容器B1が装着されたホルダ2が受渡位置P2に搬送されてくると、当該ホルダ2は往復移動装置6によりアライメント位置Paに移動される(往路移動)。このアライメント位置Paでは、アライメント部51によってホルダ2の位置が移動され、当該ホルダ2に装着された容器B1の印刷部52に対する姿勢が補正される。この姿勢補正後にホルダ2に装着されたまま容器B1の胴部Baに対して印刷部52により紫外線硬化材料のパターンが印刷され、さらに印刷されたパターンの仮硬化が実行される。こうして容器B1への印刷および仮硬化が完了すると、往復移動装置6によるホルダ2の復路移動が実行される。つまり、当該容器B1を保持したままホルダ2が往復移動装置6により受渡位置P2に戻される(タイミングT4)。
【0030】
このようにホルダ2のアライメント位置Paへの往路移動動作、印刷動作、仮硬化動作およびホルダ2の受渡位置P2への復路移動動作を行っているのと並行し、容器交換位置P1で停止しているホルダ2に対し、オペレータが印刷前の2番目の容器B2を手動でホルダ2に装着する。なお、本実施形態では、タイミングT3からタイミングT4までの全時間を使用して容器Bを手動交換しているが、往路移動動作、印刷動作、仮硬化動作および復路移動動作の少なくとも一部と並行してホルダ2への容器B2の装着を行ってもよい。また、以下においては、説明の便宜から往路移動、印刷、仮硬化および復路移動を含む一連の処理を「印刷関連処理」と称する。
【0031】
印刷と仮硬化を受けた容器B1が装着されたホルダ2が受渡位置P2に帰還すると、容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理位置P3に位置するホルダ2をそれぞれ受渡位置P2、後処理位置P3および容器交換位置P1に搬送する。つまり図3に示すように受渡搬送M1、後処理搬送M2および交換搬送M3を実行する(タイミングT5)。そして、ホルダ2が後処理位置P3に搬送され、タイミングT5からタイミングT6にかけて当該ホルダ2に装着された容器B1の胴部Baに対して本硬化処理が印刷処理に続く後処理として実行された後で容器B1が装着されたホルダ2が容器交換位置P1に戻される。また、タイミングT5からタイミングT6にかけて、上記と同様にして2番目の容器B2への印刷関連処理と、3番目の容器B3のホルダ2への装着処理とが並行して実行される。
【0032】
また、印刷と仮硬化を受けた容器B2が装着されたホルダ2が受渡位置P2に帰還すると、容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理位置P3に位置するホルダ2をそれぞれ受渡位置P2、後処理位置P3および容器交換位置P1に搬送する。つまり図3に示すように受渡搬送M1、後処理搬送M2および交換搬送M3を実行する(タイミングT7)。容器交換位置P1に搬送されたホルダ2には、図3に示すように、印刷処理、仮硬化処理および本硬化処理を受けて胴部Baにパターンがしっかりと定着された容器B1が装着されている。そこで、タイミングT7からタイミングT8にかけて容器交換処理が行われる。つまり、容器交換位置P1で停止しているホルダ2に対し、オペレータが印刷済の容器B1を手動で取り外した後で、印刷前の4番目の容器B4を手動でホルダ2に装着する。また、このような容器交換処理と並行して2番目の容器B2への本硬化処理と、3番目の容器B3への印刷処理および仮硬化処理とが実行される。
【0033】
なお、それ以降については、周回経路PTに沿ってホルダ2が断続的に搬送される毎に、容器交換位置P1での印刷済のN(ただしNは2以上の自然数)番目の容器BNと印刷前の(N+3)番目の容器B(N+3)の容器交換処理と、(N+2)番目の容器B(N+2)に対する印刷関連処理と、(N+1)番目の本硬化処理とが並行して実行される。
【0034】
以上のように、本実施形態によれば、三次元形状を有する容器Bをホルダ2に装着し、装着状態のまま印刷装置5により容器Bの胴部Baにパターンを印刷しているため、容器Bの形状を問わずに印刷部52によりパターンを良好に印刷することができる。また、印刷装置5には、印刷部52による印刷の前に、印刷部52に対する容器Bの姿勢をアライメント部51により補正しているため、常に適切な印刷姿勢で印刷を行うことができ、印刷精度を高めることができる。特に、後で説明するように複数の印刷装置5を並設し、同一の容器Bに複数のパターンを重ね合わせる印刷システムにおいては、パターンのズレを抑制して高品質な画像を三次元形状の容器Bに印刷することができる。
【0035】
また、三次元形状を有する容器Bをホルダ2に手動で装着したり、ホルダ2から手動で取り外す作業には、ある程度の時間を見込む必要があり、このことがスループットの低下要因のひとつになることがある。しかしながら、本実施形態では、上記手動作業を印刷関連処理(往路移動、印刷、仮硬化および復路移動)の少なくとも一部と並行して実行する。つまり、容器Bのホルダ2への装着動作や容器Bのホルダ2からの取り外し動作が印刷関連処理および本硬化処理(後処理)と部分的あるいは全体的に並行される。その結果、短いスループットで容器Bへの印刷を行うことができる。
【0036】
上記した実施形態では、容器Bが本発明の「物品」の一例に相当している。また、ホルダ搬送機構31が本発明の「搬送機構」の一例に装用している。また、容器交換位置P1が本発明の「装着位置」の一例に相当している。また、例えばタイミングT3からタイミングT4にかけては、容器B1が装着されたホルダ2が本発明の「第1のホルダ」に相当し、後処理位置P3から容器交換位置P1に搬送されてきた空のホルダ2が本発明の「第2のホルダ」に相当し、当該空のホルダ2に装着される容器B2が本発明の「第1のホルダに装着された前記物品と別の前記物品」の一例に相当している。また、印刷前の容器Bが装着されたホルダ2を経路PT1に沿って受渡位置P2まで搬送する工程が本発明の「受渡搬送工程」の一例に相当し、往路移動、印刷および復路移動がそれぞれ本発明の「往路移動工程」、「印刷工程」および「復路移動工程」の一例に相当し、容器交換位置P1での容器Bの装着が本発明の「物品装着工程」の一例に相当している。
【0037】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、印刷装置5を1台のみ備える印刷システム1に本発明を適用しているが、複数の印刷装置、例えば図4に示すように2台の印刷装置5を備える印刷システム1にも本発明を適用することができる。この場合、周回経路PTを延長するとともに当該周回経路PTに2つの受渡位置P2、P2を設け、さらに受渡位置P2毎に印刷装置5および往復移動装置6を設ければよい。
【0038】
また、上記実施形態では、図3に示すように、容器交換処理(装着動作のみを含む)、印刷関連処理(往路移動、印刷、仮硬化および復路移動)および本硬化処理が全て完了する毎に、容器交換位置P1、受渡位置P2および後処理位置P3に位置するホルダ2をそれぞれ受渡位置P2、後処理位置P3および容器交換位置P1に同期して搬送している。ホルダ2の搬送態様はこれに限定されるものではなく、経路PT1~PT3の距離に応じて適宜変更してもよい。また、図4に示すように、ホルダ2を一時的に待機させるバッファ位置P4を設け、ホルダ2の搬送タイミングを調整してもよい。なお、バッファ位置P4の設置位置は図4に示すものに限定されるものではなく、容器交換処理、印刷関連処理および本硬化処理のタクトタイムに応じて周回経路PTにおいて任意の位置に設けることができる。
【0039】
また、上記実施形態では後処理装置7を設けているが、例えば印刷部52における紫外線照射により容器Bに対してパターンを良好に定着させることができる場合には後処理装置7の設置は不要である。つまり、後処理装置7は本発明において必須の構成ではなく、任意の構成である。
【0040】
また、上記実施形態では、印刷装置5に位置調整部を設け、印刷部52に対する容器Bの姿勢を調整しているが、位置調整部を往復移動装置6に設けてもよい。つまり、印刷前の容器Bが装着されたホルダ2を往復移動装置6によりアライメント位置Paに往路移動させる間あるいは往路移動直後に容器Bの姿勢を調整し、往復移動装置6によりホルダ2を保持したまま印刷を行うように構成してもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、容器交換位置P1を本発明の「装着位置」として機能させるのみならず、容器交換位置P1で印刷済の容器Bのホルダ2からの取り外しを行っているが、容器Bの取り外しを容器交換位置P1よりも後処理装置7側で実行してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、ホルダ2に対する容器Bの着脱作業をオペレータにより行っているが、装着作業や取り外し作業をロボットにより行ってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、本発明の「物品」として容器Bに紫外線硬化材料のパターンを印刷しているが、容器以外の物品、例えば三次元形状を有する車載部品などにパターンを印刷する印刷技術に対しても本発明を適用することができる。
【0044】
さらに、上記実施形態では、凹版印刷を行う印刷装置5を備えた印刷システム1に対して本発明を適用しているが、その他の方式で容器Bや車載部品などの三次元形状の物品に印刷する印刷装置を備えた印刷技術に対しても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、ボトルなどの日用品や車載部品などの三次元形状を有する物品に対して印刷処理を施す印刷技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1…印刷システム
2…ホルダ
3…周回搬送装置
5…印刷装置
6…往復移動装置
31…ホルダ搬送機構
51…アライメント部
52…印刷部
B,B1,B2,B3,B4…容器
M1…受渡搬送
M2…後処理搬送
M3…交換搬送
P1…容器交換位置
P2…受渡位置
P3…後処理位置
Pa…アライメント位置
PT…周回経路
図1
図2
図3
図4