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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   A21C 13/00 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
A21C13/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018151296
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020025483
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 浩
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直志
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊明
(72)【発明者】
【氏名】森部 智久
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-186395(JP,U)
【文献】実開平01-151192(JP,U)
【文献】特開2008-075935(JP,A)
【文献】特開2001-057840(JP,A)
【文献】特開平05-142533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0313053(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 1/00-15/04
A21D 2/00-17/00
F24F 6/00- 6/18
F24F 11/00-11/89
F25D 11/00-16/00
F25D 17/04-17/08
F25D 23/00
F25D 27/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口する箱状の筐体であって、貯蔵物を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室の後側に前記貯蔵室を冷却,加熱および加湿の少なくとも1つを行う機能部品を収容する機能部品室と、が内部に形成された貯蔵庫本体と、
前記貯蔵室の前側に開口し、前記貯蔵室と前記機能部品室との間の空気の流れを許容する循環路と、
前記貯蔵室内を照らす照明装置と、
を備え、
前記照明装置が、前記貯蔵庫本体の内部側面における前端に、前記循環路の前記開口と上下方向に並ぶように配され
前記照明装置は、長手状をなす光源と、拡散板を有して前記光源を覆うとともに前記拡散板によって前記光源の光を拡散するカバーと、を備え、前記貯蔵庫本体の内部側面における前端に、上下方向に延びる状態で配され、
前記カバーは、開口部を有するカバー本体を備え、前記開口部を前記拡散板で塞いだ構成のものとされ、
前記拡散板は、前記カバー本体に対して単一の取付部において固定された貯蔵庫。
【請求項2】
前記単一の取付部は、前記開口部の上側に設けられた請求項1に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、パン生地を収容する収容室と、その収容室の温度調節を行う温度調節手段と、収容室の湿度を調節する湿度調節手段とを備えた製パン用温湿調節庫が記載されている。このような、貯蔵物を貯蔵する貯蔵室(収容室)と、その貯蔵室の冷却,加熱および加湿の少なくとも1つを行う機能部品を収容する機能部品室(機室)とが内部に形成された箱状の貯蔵庫本体を備えた貯蔵庫は、機能部品によって貯蔵室の温度と湿度との少なくとも一方を均一にするために、庫内の空気を循環させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-57840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の貯蔵庫には、貯蔵室内を照らすための照明装置が設けられる場合がある。その照明装置が、貯蔵室内の温度や湿度変化によって、照明装置の光源に露付きが生じたり、光源を覆うカバーが結露することで汚れ易くなったりして、照明装置の品質が悪化するという問題がある。また、照明装置は、庫内奥側の視認性を良くする目的で、貯蔵室内の庫内奥側、換言すれば、貯蔵室の開口から離れた位置に設けられる場合が多い。そのため、上記のような汚れが生じても掃除等が行いにくく、また、照明装置の修理や交換等においても、作業性が悪い等の問題もある。
【0005】
本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、貯蔵室内に設けられる照明装置の品質を維持するとともに、照明装置に対する作業性を向上させることが可能な貯蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の貯蔵庫は、
前方に開口する箱状の筐体であって、貯蔵物を貯蔵する貯蔵室と、前記貯蔵室の後側に前記貯蔵室を冷却,加熱および加湿の少なくとも1つを行う機能部品を収容する機能部品室と、が内部に形成された貯蔵庫本体と、
前記貯蔵室の前側に開口し、前記貯蔵室と前記機能部品室との間の空気の流れを許容する循環路と、
前記貯蔵室内を照らす照明装置と、
を備え、
前記照明装置が、前記貯蔵庫本体の内部側面における前端に、前記循環路の前記開口と上下方向に並ぶように配されたことを特徴とする。
【0007】
機能部品室が貯蔵室の後側に位置する構成とされた貯蔵庫においては、貯蔵室内の空気を満遍なく循環させる目的で、貯蔵室から機能部品室へと空気を取り込む開口と、機能部品室から貯蔵室への空気を吐き出す開口と、のいずれかは、機能部品室から離れた貯蔵室の前端側に形成されることがある。また、一般的に、貯蔵庫は、貯蔵室内に棚板等により貯蔵物が載置されるため、貯蔵室内の空気は、棚板等(貯蔵物)を避けてその外側の貯蔵室内内部側面に沿って上下方向に進むことになる。つまり、上記のように構成された貯蔵庫は、貯蔵室の前側に開口する循環路を備えているため、貯蔵室内の空気は、貯蔵室前端側においてその開口に向かって上下方向に進むのである。そして、上記構成の貯蔵庫は、その空気の流れが比較的強い箇所に、照明装置が配されているため、照明装置の結露を抑制することができる。また、上記構成の貯蔵庫は、照明装置を貯蔵庫本体の内部側面における前端に設けることで上記のように照明装置の結露を抑制するだけでなく、照明装置の掃除等の手入れや修理・交換等の作業が容易に行えるようにもなっている。
【0008】
上記構成の貯蔵庫において、前記照明装置は、長手状をなす光源と、拡散板を有して前記光源を覆うとともに前記拡散板によって前記光源の光を拡散するカバーと、を備え、前記貯蔵庫本体の内部側面における前端に、上下方向に延びる状態で配された構成とすることができる。
【0009】
本構成の貯蔵庫は、循環路の開口に向かう上下方向の風の流れに沿って、長手状の照明装置が配されているため、照明装置の結露を効果的に抑えることができる。また、貯蔵室内は複数段に仕切られる場合があり、本構成の照明装置によれば、各段の上を効果的に照らすことができる。
【0010】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記カバーは、開口部を有するカバー本体を備え、前記開口部を前記拡散板で塞いだ構成のものとされ、前記拡散板は、前記カバー本体に対して単一の取付部において固定された構成とすることができる。
【0011】
拡散板とカバー本体とは、互いに異なる材料で成形される。例えば、拡散板には、透光性の高いアクリル、PET、ポリカーボネイト等の合成樹脂を採用可能であり、カバー本体には、貯蔵庫本体等の材料と合わせたステンレス等の金属材料を採用可能である。そのように、拡散板とカバー本体とが異なる材料で成形されているため、貯蔵室内の温度・湿度の変化による膨張等による変形量が異なることになる。例えば、カバー本体に拡散板がしっかりと固定されていると、その変形量の差によって、拡散板が破損する虞があるのである。本構成の貯蔵庫においては、拡散板がカバー本体に対して単一の取付部で固定されているため、カバー本体と拡散板との間の変形量の差が吸収され、拡散板の破損を防止することができる。
【0012】
また、上記構成の貯蔵庫において、前記単一の取付部は、前記開口部の上側に設けられた構成とすることができる。
【0013】
本構成の貯蔵庫は、拡散板が、カバー本体に対して上端が固定され、下端がフリーとされており、下端側においてカバー本体に対する変形量を吸収するように構成されている。つまり、本構成の貯蔵庫は、拡散板がカバー本体に対して単一の取付部で固定されていても、変形によってカバー本体に対して拡散板が変動することはなく、上下方向に延びる照明装置に好適な構成となっている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貯蔵室内に設けられる照明装置の品質を維持するとともに、照明装置に対する作業性を向上させることが可能な貯蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例の貯蔵庫である温湿度調節庫の正面図である。
図2図1に示した温湿度調節庫の開閉扉等を取り外した状態を示す正面図である。
図3図1に示した温湿度調節庫の側面断面図である。
図4図1に示した温湿度調節庫の平面図である。
図5図1に示した温湿度調節庫の背面図である。
図6図1に示した温湿度調節庫の1つの空間内を概略的に示した側面図であり、庫内に流れる空気の流れを示す図である。
図7図1に示した温湿度調節庫の1つの空間に対する機能部品を概略的に示した図である。
図8図3に示した3つのパネルを取り外した状態を示す側面図(図3とは逆方向らの視点)である。
図9図8に示す照明装置の分解斜視図である。
図10図8に示したカバーの正面図である。
図11図8に示したカバーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
【0017】
<温湿度調節庫の概略構成>
本発明の実施例である貯蔵庫としての温湿度調節庫10を図1から図5に示す。本温湿度調節庫10は、ドウコンディショナーと呼ばれるものであり、成形したパン生地について冷凍から発酵までを管理可能なものである。具体的には、パンの焼成工程に入るより前に、成形したパン生地に対して、フリーズ(冷凍)工程、リタード(冷蔵)工程、予熱工程、および、ホイロ(発酵)工程を順番に自動で実行すること、あるいは、いずれかの工程を単独で実行することが可能なものである。つまり、本温湿度調節庫10は、それらの各工程に応じた温度制御を行うとともに、予熱工程およびホイロ工程においては、温度制御に加えて湿度制御を行うように構成されている。
【0018】
本温湿度調節庫10は、図1ないし図3に示すように、前方に開口する箱状の筐体である貯蔵庫本体としてのハウジング11を主体として構成される。そのハウジング11には、上下に並ぶ2つの空間12A,12Bが形成されており、それら空間内の各々に、パン生地(貯蔵物)を収納する収納室(貯蔵室)14A,14Bが設けられている。それら2つの収納庫14A,14Bは、前方側に開口しており、ハウジング11には、各収納室14A,14Bを開閉する2枚の開閉扉15A,15Bが取り付けられている。各収納室14A,14Bには、左右の側壁の各々に、左右で一対をなすトレイガイド16が着脱可能に設けられており、それら複数対のトレイガイド16の各々に、多数のパン生地を載せたトレイ(棚板)を載置可能とされている。なお、空間12内の左右の側面には前後2本ずつの棚柱17が固定されており、上記トレイガイド16は、前後の棚柱17にわたされるようにして取り付けられる。つまり、左右一対のトレイガイド(棚板支持部材)16からなる棚板支持部材対と棚柱17とを含んで、棚板支持部が構成されていると考えることができる。
【0019】
本温湿度調節庫10は、温度制御を行うための冷却装置20および加熱装置21と、湿度制御を行うための加湿装置22と、それら冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22等を制御するための制御装置24と、を備えている。ハウジング11の上側には、図3に示すように、上方が開放された機械室25が設けられており、その機械室25に、上記の冷却装置20や加湿装置22の一部および制御装置24等が収容されている。また、図1に示すように、機械室25の前面には、本温湿度調節庫10の設定や操作等を行うための操作パネル26が設けられている。
【0020】
ハウジング11の空間12A,12Bの各々には、図4に示すように、各収納室14A,14Bの背面側(後側)に、収納室14A,14Bの温度および湿度の調節を行う機能部品としての冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22の一部を収容する機能部品室30A,30Bが形成されている。それら収納室14A,14Bと機能部品室30A,30Bとは、概して板状の部材である区画部材としての背面パネル32によって区画されている。後に詳しく説明するが、冷却装置20および加湿装置22等は、図5に示すように、機械室25に設けられた部品と、機能部品室30A,30Bに設けられた部品とが、ハウジング11の背面側において、配管や配線によって接続されている。
【0021】
以下に、ハウジング11の空間12A,12Bの各々の内部の構成について詳しく説明する。それら空間12A,12B内の構成は、ほぼ同様の構成であるため、空間12内の説明については、図6をも参照しつつ、上側の空間12Aを代表して説明する。また、以下の説明において、上側の空間12Aに関係するものと、下側の空間12Bに関係するものと、を区別して説明する必要がある場合には、符号にA,Bを、それぞれ付すこととする。
【0022】
図6に示すように、空間12内には、上述した背面パネル32の他に、天面側と底面側との各々に、それぞれ、概して板状の部材である天面パネル33および底面パネル34が配されている。それら天面パネル33および底面パネル34の各々は、それぞれ空間12の天面との間、空間12の底面との間で、収納室14と機能部品室30とを接続し、空間12内の空気を循環させる循環路(ダクト)を形成するものとなっている。つまり、天面パネル33は、天面側ダクト部材として、底面パネル34は、底面側ダクト部材として機能するものとなっている。
【0023】
機能部品室30には、循環ファン36が収容されており、その循環ファン36は、機能部品室30において、空気を上方から下方へと送るものとされている。つまり、その循環ファン36によって、天面パネル33と空間12の天面とによって形成される天面側循環路は、収納室14から機能部品室30へと空気を吸い込む吸気路37として機能し、底面パネル34と空間12の底面とによって形成される底面側循環路は、機能部品室30から収納室14へと空気を吐き出す吐出路38として機能する。つまり、循環ファン36が作動すると、収納室14の空気が吸気路37を介して機能部品室30に吸い込まれ、機能部品室30を通過した後、吐出路38を介して収納室14に吐き出される。
【0024】
また、本温湿度調節庫10においては、循環ファン36によって上方から下方に送られた空気(言い換えると、機能部品室30を通過する空気)対して温度や湿度を調節し、その温度や湿度を調節した空気を収納室14に送るようになっている。具体的には、まず、図7の概略図に示すように、機能部品室30には、冷却装置20を構成するエバポレータ(蒸発器)40が収容されている。冷却装置20は、循環ファン36から送り出された空気をそのエバポレータ40によって冷却することで、収納室14の温度を低下させる。なお、冷却装置20は、周知の冷却回路を用いたものであり、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張手段43と、上記のエバポレータ40と、を含んで構成される。簡単に説明すれば、圧縮機41によって圧縮された冷媒ガスは、凝縮器42によって冷却されて液化冷媒となり、その液化冷媒は膨張手段43で減圧されて低圧の気液混合冷媒となって、エバポレータ40に送られる。そして、エバポレータ40において、冷媒が蒸発し、その蒸発熱で空気を冷却する。なお、冷却装置20におけるエバポレータ40以外の構成要素については、図2および図4に示すように、機械室25に収容されている。そして、図5に示すように、エバポレータ40に対し、圧縮機41および膨張手段43が冷媒配管44A,44Bによって接続されている。
【0025】
また、機能部品室30には、加熱装置21が収容されている。加熱装置21は、3本のガラス管ヒータ46を主体として構成されるものであり、循環ファン36から送り出された空気をそれらヒータ46によって加熱することで、収納室14の温度を上昇させる。なお、3本のヒータ46は、図3に示すように、ヒータブラケット47によって、それぞれが左右方向に延びるとともに、前後方向に並んだ状態で保持され、エバポレータ40の下側に取り付けられている。つまり、加熱装置21は、輻射熱によって空気を効率的に加熱するともに、上側に配されたエバポレータ40のデフロストヒータとしても機能するものとなっている。
【0026】
さらに、機能部品室30には、加湿装置22の一部が収容されている。加湿装置22は、水を霧状に噴霧する二流体ノズルであるスプレーノズル50と、給水源からスプレーノズル50に水を供給する給水管51と、スプレーノズル50に空気を供給する給気管52と、その給気管52を介してスプレーノズル50に空気を加圧状態で送るエアポンプ53と、を含んで構成されている。なお、給水管51には、給水弁51aが設けられており、その給水弁51aよりスプレーノズル50側に排水管54が接続され、その排水管54に排水弁54aが設けられている。また、エアポンプ53は、機能部品室30内から吸い込んだ空気をスプレーノズル50に供給する構成となっている。
【0027】
スプレーノズル50については、詳細の図示と説明は省略するが、筒体を2重に配設したものであり、内側の筒体の先端部に水の噴出口が設けられ、外側の筒体の先端部に空気の噴出口が設けられたものである。そして、空気の噴出口は、水の噴出口より後方に控えた位置にあり、噴出された水に対して、その後方から空気を噴出することで、スプレーノズル50の前方で水を霧状にする。スプレーノズル50の先端は、図3に示すように、加熱装置21の下側で、側面側から機能部品室30の内側を向いた状態で取り付けられている。
【0028】
そして、加湿装置22は、給水弁51aを開くとともに、エアポンプ53を作動させ、スプレーノズル50から霧状の水を噴霧する。それにより、循環ファン36から送り出された空気を加湿し、収納室14の湿度を上昇させる。なお、加湿装置22は、スプレーノズル50から水を噴霧しない場合には、給水管51に水が残らないように、排水弁54aを開いて、排水管54から水を排出させるようになっている。
【0029】
上記のように構成された本温湿度調節庫10は、制御装置24によって制御される。詳しく言えば、制御装置24は、循環ファン36,冷却装置20,加熱装置21,加湿装置22を制御して、収納室14A,14Bの各々を、独立して、温度と湿度とを調節するように構成されている。また、機能部品室30には、温度センサ60および湿度センサ61(図7参照)が収容されており、制御装置24は、それら温度センサ60および湿度センサ61の検出結果に基づいて、収納室14A,14Bの各々における温度と湿度とを調節するようになっている。
【0030】
<循環路の構成>
ここで、収納室14内の空気の流れについて、詳しく説明する。先に説明したように、本温湿度調節庫10は、背面パネル32によって、収納室14と機能部品室30とが区画されており、天面パネル33によって形成された吸気路37から収納室14の空気を吸い込み、底面パネル34によって形成された吐出路38から温度・湿度を調節した空気を収納室14へ吐き出すように構成されている。また、各空間12内における左右の側壁の各々には、図3および図6に示すように、収納室14の前後方向における中間に、上下方向に延びる側壁側ダクト部材65が固定されている。側壁側ダクト部材65は、断面コの字状で、空間12の側面との間に、側壁側循環路66を形成するものである。また、側壁側ダクト部材65には、上方側のトレイ上へ空気を吐出するための吐出口67が形成されている。そして、図8に示した状態の温湿度調節庫10に対して、側面に4本の棚柱17と、上記側壁側ダクト部材65を取り付けた後、天面パネル33,背面パネル32,底面パネル34の順で取り付けることで、空間12内の循環路が形成される。
【0031】
そして、側壁側ダクト部材65および3つのパネル部材32,33,34が取り付けられて形成された循環路によって、図6に白抜き矢印で示したように、空気が循環することになる。具体的には、循環ファン36が作動すると、収納室14の空気が機能部品室30に吸い込まれるのであるが、収納室14の空気は、主に、天面パネル33の前端によって形成された開口から、吸い込まれることになる。つまり、その開口が、収納室14の空気を吸気路37に取り込むための吸込口70となっている。
【0032】
一方、機能部品室30内において温度・湿度が調節されて、底面パネル34の下に流れ込んだ空気は、底面パネル34の両側端(左右方向における両側の端部)の開口から収納室14に吐き出される。なお、底面パネル34は、前端が塞がれているため、前方に向かう空気の流れは遮断され、底面パネル34の側方からのみ、空気は吐き出されるようになっている。そして、吐き出された空気の一部は、図6に示すように、トレイガイド16と側壁との間の隙間から上方に昇り、各トレイ上に流れ込む。また、吐き出された空気の他の一部は、側壁側ダクト部材65によって形成された側壁側循環路66に進入し、上段側の各トレイ上に吐き出される。さらに、他の空気の一部は、底面パネル34の側方の前端から前方に向かっても吐き出されて収納室14の前方側に流れ込む。そして、収納室14の前方側に流れ込んだ空気は、複数のトレイと開閉扉15との間の隙間を通って、各トレイ上に前方から流れ込むとともに、上端の吸込口70に向かって進むようになっている。
【0033】
<照明装置の構造>
また、本温湿度調節庫10には、2つの収納室14A,14Bの各々に対応して、収納室14A,14B内を照らす照明装置80が設けられている。各照明装置80は、図2および図8に示すように、ハウジング11の空間12内の内部側面における前端に取り付けられている。各照明装置80は、図9に示すように、光源としての長手状のLEDランプ81(以下、単に「LED81」と呼ぶ場合がある)と、そのLED81をハウジング11内に固定するためのLED基台82と、LED81を覆うカバー83と、を含んで構成される。そして、照明装置80は、図8に示すように、上下方向に延びる状態でハウジング11に取り付けられている。詳しく言えば、LED81およびLED基台82が、上端と下端とに設けられた取付孔81a,82aを利用して、ネジ(図示省略)によってハウジング11に固定されるとともに、カバー83が、それらLED81およびLED基台82を覆った状態で、そのカバー83が有するブラケット83aに設けられた取付孔83bを利用して、ネジ(図示省略)によってハウジング11に固定されている。
【0034】
また、LED81には、それの上端にLED配線84が接続されており、そのLED配線84は、カバー83の上端から延び出し、空間12の内部側面における上端に上下方向に延びる状態で固定された配線カバー85内を通って機能部品室30内まで延ばされ、他の配線に接続されている。
【0035】
カバー83は、図9から図11に示すように、長方形状の開口部90aが形成されたカバー本体90と、その開口部90aを覆うようにしてカバー本体90の内側に固定された拡散板91と、からなる。拡散板91は、透光性の高いアクリル樹脂からなり、LED81を覆った状態で、そのLED81の光を、収納室14内に拡散させるものである。一方、カバー本体90およびLED基台82は、ステンレス製のものとされている。そして、拡散板91は、カバー本体90に対して、1つのリベット92によって固定されており、単一の取付部において固定された構成となっている。詳しく言えば、カバー本体90には、開口部90aの上側に取付孔90bが設けられるとともに、拡散板91に、上端に取付孔91aが設けられており、リベット92が、それらカバー本体90の取付孔90b、および、拡散板91の取付孔91aを挿通した状態で、先端がかしめられることで、拡散板91はカバー本体90に固定されている。
【0036】
本温湿度調節庫10は、パン生地の冷凍から発酵までを管理するものであるため、収納室14内の温度変化が大きく、また加湿することがあるため、収納室14内の空気の流れが小さい箇所では結露が発生する場合がある。そして、例えば、照明装置が収納室14の奥側に配されていると、LEDに露付が発生してしまう虞があるのである。それに対して、本温湿度調節庫10においては、照明装置80が、収納室14における前端側に配されている。一方で、本温湿度調節庫10においては、先にも説明したように、収納室14における前端側において、空気が、下方から上端に設けられた吸込口70に向かって流れることになる。つまり、図8に示すように、照明装置80は、その空気の流れ(図8における白抜き矢印)に沿って配されており、照明装置80には、その空気の流れが当たることになり、カバー83の表面の結露やLED81の露付を抑制することができるのである。また、本温湿度調節庫10に係る照明装置80は、収納室14の前端に配されているため、汚れが生じたとしても掃除を行いやすく、さらに、照明装置80の修理・交換等の作業が発生しても、その作業を容易に行うことが可能とされている。
【0037】
照明装置80は、カバー本体90がステンレス製で、拡散板91がアクリル製とされているため、収納室14内における温度変化に伴う膨張率が異なる。詳しく言えば、アクリル製の拡散板91の膨張率は、ステンレス製のカバー本体90の膨張率より大きい。つまり、カバー本体に対して、拡散板を、複数の取付部において固定してしまうと、温度変化による変形量の差によって、拡散板が破損する虞がある。それに対して、本温湿度調節庫10に係る照明装置80は、拡散板91がカバー本体90に対して上端の一点で固定されているため、拡散板91がカバー本体90より膨張しても、下端側においてその変形が許容されるようになっており、拡散板91が破損するような事態を回避することができるようになっているのである。
【符号の説明】
【0038】
10…温湿度調節庫〔貯蔵庫〕、11…ハウジング〔貯蔵庫本体〕、12A,12B…空間、14A,14B…収納室〔貯蔵室〕、15A,15B…開閉扉、20…冷却装置、21…加熱装置、22…加湿装置、30A,30B…機能部品室、33…天面パネル〔天面側ダクト部材〕、36…循環ファン、37…吸気路、70…吸込口、80…照明装置、81…LEDランプ〔光源〕、83…カバー、90…カバー本体、90a…開口部、90b…取付孔〔単一の取付部〕、91…拡散板、91a…取付孔〔単一の取付部〕、92…リベット〔単一の取付部〕
図1
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図11