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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 21/14 20060101AFI20221020BHJP
【FI】
F25D21/14 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018151300
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020026914
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝口 岳博
(72)【発明者】
【氏名】近藤 直志
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 浩
(72)【発明者】
【氏名】河合 俊明
(72)【発明者】
【氏名】森部 智久
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-266451(JP,A)
【文献】特開平07-198243(JP,A)
【文献】特開2014-156958(JP,A)
【文献】特開2010-096467(JP,A)
【文献】特開2004-239474(JP,A)
【文献】特開平09-101075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口する貯蔵室を有する箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体から引き出され、前記貯蔵庫本体の内部の水を排水する排水経路と、を備え、
前記排水経路は、
前記貯蔵庫本体の下面に沿って延びると共に前後方向に延びる排水管と、
前記排水管における前側の端部に接続されるドレントラップと、を備え、
前記ドレントラップは、前後方向における前記下面の中心よりも前側に配されており、
前記貯蔵室の開口を開閉するための扉を備え、
前記ドレントラップは、
上方に開口されると共に水を貯留することが可能な貯留室を有するトラップ本体部と、
前記トラップ本体部に対して脱着可能に取り付けられ、前記貯留室を上方から覆う蓋部と、を備え、
前記ドレントラップは、閉状態の前記扉の鉛直直下に配され、前記扉を開くことで、前記ドレントラップの鉛直直上にスペースができる貯蔵庫。
【請求項2】
前記扉と前記ドレントラップとの間には、露受皿が配されており、
前記露受皿は、前記貯蔵庫本体に対して脱着可能に取り付けられ
前記ドレントラップは、前記扉を開き、前記露受皿を取り外すことで、前記ドレントラップの前記蓋部が露出する構成とされている請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記ドレントラップを前側から覆うカバー部材を備え、
前記カバー部材は、前記露受皿と一体的に設けられ
前記ドレントラップは、前記扉を開き、前記露受皿を取り外すことで、前記カバー部材も取り外され、前記ドレントラップの前記蓋部が露出する構成とされている請求項2に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、冷却器からの水滴及び庫内の各部に付着した水滴を受けるドレン部が設けられ、該ドレン部の底には排水管が設けられ、ドレン部に落下する水滴が排水経路(排水管)を経て庫外に排出される構成のものが記載されている(下記特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-254306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成では排水経路が貯蔵庫(収納庫)の背面側に引き出されている。また、このような排水経路においては、ドレントラップを備える構成のものが知られている。ところで、貯蔵庫の背面側や側面側には、壁や他の機器が配される場合が多い。仮にドレントラップが貯蔵庫の背面側や側面側に配されていると、ドレントラップを清掃する際に、貯蔵庫又は他の機器を移動させて貯蔵庫の背面側や側面側に作業者が作業するためのスペースを確保する必要があり、作業性が低下する事態が懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、容易にドレントラップの清掃を行うことが可能な貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫は、前方に開口する貯蔵室を有する箱状の貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体から引き出され、前記貯蔵庫本体の内部の水を排水する排水経路と、を備え、前記排水経路は、前記貯蔵庫本体の下面に沿って延びると共に前後方向に延びる排水管と、前記排水管における前側の端部に接続されるドレントラップと、を備え、前記ドレントラップは、前後方向における前記下面の中心よりも前側に配されていることに特徴を有する。上記構成によれば、ドレントラップが貯蔵庫本体の後面側や側面側に設けられている構成と比べて、ドレントラップに対して前側から容易に清掃を行うことができる。
【0007】
また、前記貯蔵室の開口を開閉するための扉を備え、前記ドレントラップは、上方に開口されると共に水を貯留することが可能な貯留室を有するトラップ本体部と、前記トラップ本体部に対して脱着可能に取り付けられ、前記貯留室を上方から覆う蓋部と、を備え、前記ドレントラップは、閉状態の前記扉の下方に配されるものとすることができる。上記構成によれば、扉を開くことで、ドレントラップの上方にスペースを設けることができる。このため、蓋部を取り外すことで、貯留室に対して上方から清掃を行うことができる。
【0008】
また、前記扉と前記ドレントラップとの間には、露受皿が配されており、前記露受皿は、前記貯蔵庫本体に対して脱着可能に取り付けられているものとすることができる。扉で発生した結露水を露受皿で受けることができる。また、露受皿は、貯蔵庫本体に対して脱着可能に取り付けられている。このため、ドレントラップの清掃を行う際には、露受皿を取り外すことで清掃の妨げになることがない。
【0009】
また、前記ドレントラップを前側から覆うカバー部材を備え、前記カバー部材は、前記露受皿と一体的に設けられているものとすることができる。上記構成によれば、ドレントラップをカバー部材によって保護することができる。また、ドレントラップの清掃を行う際には露受皿とカバー部材とを一括して取り外すことでき、作業性が良好となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容易にドレントラップの清掃を行うことが可能な貯蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る温湿度調節庫を示す正面図
図2】温湿度調節庫において扉等を取り外した状態を示す正面図
図3】温湿度調節庫を示す側面図(ハウジングの一部を切り欠いた状態)
図4】温湿度調節庫を示す平面図
図5】温湿度調節庫を示す背面図
図6】温湿度調節庫を示す断面図
図7】冷却装置、加熱装置及び加湿装置の構成を概略的に示す図
図8】天面パネル、背面パネル及び底面パネルを示す斜視図
図9】上側の空間12Aを上方から視た断面図
図10】温湿度調節庫の下部を示す斜視図(露受皿を取り外した状態)
図11】ドレントラップを後側から視た斜視図
図12】露受皿及びカバー部材を示す断面図(図1のXII-XII線で切断した図に対応)
図13】ドレントラップを示す断面図(図12のXIII-XIII線で切断した図に対応)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図1から図13によって説明する。本実施形態では、貯蔵庫として温湿度調節庫10を例示する。温湿度調節庫10は、ドウコンディショナーと呼ばれるものであり、成形したパン生地について冷凍から発酵までを管理可能なものである。具体的には、パンの焼成工程に入るより前に、成形したパン生地に対して、フリーズ(冷凍)工程、リタード(冷蔵)工程、予熱工程、および、ホイロ(発酵)工程を順番に自動で実行すること、あるいは、いずれかの工程を単独で実行することが可能なものである。つまり、温湿度調節庫10は、それらの各工程に応じた温度制御を行うとともに、予熱工程およびホイロ工程においては、温度制御に加えて湿度制御を行うように構成されている。
【0013】
温湿度調節庫10は、図1及び図2に示すように、前方に開口する箱状の筐体であるハウジング11(貯蔵庫本体)を主体として構成される。そのハウジング11には、上下に並ぶ2つの空間12A,12Bが形成されており、それら空間内の各々に、パン生地を収納する収納室14A,14B(貯蔵室)が設けられている。それら2つの収納室14A,14Bは、前方に開口しており、ハウジング11には、各収納室14A,14Bの各開口27A,27Bを開閉するための2枚の扉15A,15Bが取り付けられている。各収納室14A,14Bには、左右の側壁の各々に、左右で一対をなすトレイガイド16(棚板支持部材)が着脱可能に複数対設けられており、それら複数対のトレイガイド16の各々に、多数のパン生地を載せたトレイ(棚板)を載置可能とされている。また、図1に示すように、ハウジング11の下面にはハウジング11を支持する4つの脚部13が取り付けられている。
【0014】
温湿度調節庫10は、図2及び図3に示すように、温度制御を行うための冷却装置20および加熱装置21と、湿度制御を行うための加湿装置22と、冷却装置20,加熱装置21および加湿装置22等を制御するための制御装置24と、を備えている。ハウジング11の上側には、図2に示すように、上方が開放された機械室25が設けられており、その機械室25に、上記の冷却装置20や加湿装置22の一部および制御装置24等が収容されている。また、図1に示すように、機械室25の前面には、温湿度調節庫10の設定や操作等を行うための操作パネル26が設けられている。
【0015】
ハウジング11の空間12A,12Bの各々には、図3に示すように、各収納室14A,14Bの背面側(後側)に機能部品室30A,30Bが形成されている。機能部品室30A,30Bには、収納室14A,14Bの温度および湿度の調節を行う機能部品として、冷却装置20の一部,加熱装置21及び加湿装置22の一部がそれぞれ収容されている。収納室14A,14Bと機能部品室30A,30Bとは、背面パネル32によって区画されている。冷却装置20および加湿装置22等は、図5に示すように、機械室25に設けられた部品と、機能部品室30A,30Bに設けられた部品とが、ハウジング11の背面側において、配管や配線によって接続されている。
【0016】
以下に、ハウジング11の空間12A,12Bの各々の内部の構成について詳しく説明する。それら空間12A,12B内の構成は、後述する排水構造を除いてほぼ同様の構成である。また、以下の説明において、上側の空間12Aに関係するものと、下側の空間12Bに関係するものと、を区別して説明する必要がある場合には、符号にA,Bを、それぞれ付すこととする。
【0017】
図6に示すように、空間12(各空間12A,12B)内には、上述した背面パネル32の他に、天面側と底面側との各々に、それぞれ、概して板状の部材である天面パネル33および底面パネル34が配されている。それら天面パネル33および底面パネル34の各々は、それぞれ空間12の天面との間、空間12の底面との間で、収納室14(各収納室14A,14B)と機能部品室30(各機能部品室30A,30B)とを接続し、空間12内の空気を循環させる循環路(ダクト)を形成するものとなっている。つまり、天面パネル33は、天面側ダクト部材として、底面パネル34は、底面側ダクト部材として機能するものとなっている。
【0018】
機能部品室30には、循環ファン36が収容されており、その循環ファン36は、機能部品室30において、空気を上方から下方へと送るものとされている。つまり、その循環ファン36によって、天面パネル33と空間12の天面とによって形成される循環路は、収納室14から機能部品室30へと空気を吸い込む吸気路37として機能し、底面パネル34と空間12の底面とによって形成される循環路は、機能部品室30から収納室14へと空気を吐き出す吐出路38として機能する。つまり、循環ファン36が動作すると、収納室14の空気が吸気路37を介して機能部品室30に吸い込まれ、機能部品室30を通過した後、吐出路38を介して収納室14に吐き出される。なお、図8に示すように、底面パネル34の左右両端部は、空間12の底面との間に隙間39,39を空ける形で配されている。この隙間39は、吐出路38の吐出口を構成するものとされる。
【0019】
また、温湿度調節庫10においては、循環ファン36によって上方から下方に送られた空気(言い換えると機能部品室30を通過する空気)に対して温度や湿度を調節し、その温度や湿度を調節した空気を収納室14に送るようになっている。具体的には、まず、図7の概略図に示すように、機能部品室30には、冷却装置20を構成するエバポレータ40(蒸発器、冷却器)が収容されている。冷却装置20は、循環ファン36から送り出された空気をそのエバポレータ40によって冷却することで、収納室14の温度を低下させる。なお、冷却装置20は、周知の冷却回路を用いたものであり、圧縮機41と、凝縮器42と、膨張手段43と、上記のエバポレータ40と、を含んで構成される。
【0020】
簡単に説明すれば、圧縮機41によって圧縮された冷媒ガスは、凝縮器42によって冷却されて液化冷媒となり、その液化冷媒は膨張手段43で減圧されて低圧の気液混合冷媒となって、エバポレータ40に送られる。そして、エバポレータ40において、冷媒が蒸発し、その蒸発熱で空気を冷却する。なお、冷却装置20におけるエバポレータ40以外の構成要素については、図2および図4に示すように、機械室25に収容されている。そして、エバポレータ40は、圧縮機41および膨張手段43と冷媒配管44(図5参照)によって接続されている。
【0021】
また、機能部品室30には、加熱装置21が収容されている。加熱装置21は、3本のガラス管ヒータ46を主体として構成されるものであり、循環ファン36から送り出された空気をガラス管ヒータ46によって加熱することで、収納室14の温度を上昇させる。なお、3本のガラス管ヒータ46は、図3に示すように、ヒータブラケット47によって、それぞれが左右方向に延びるとともに、前後方向に並んだ状態で保持され、エバポレータ40の下側に取り付けられている。つまり、加熱装置21は、輻射熱によって空気を効率的に加熱するとともに、上側に配されたエバポレータ40のデフロストヒータとしても機能するものとなっている。
【0022】
さらに、機能部品室30には、加湿装置22の一部が収容されている。加湿装置22は、図7に示すように、水を霧状に噴霧する二流体ノズルであるスプレーノズル50と、給水源からスプレーノズル50に水を供給する給水管51と、スプレーノズル50に空気を供給する給気管52と、その給気管52を介してスプレーノズル50に空気を加圧状態で送るエアポンプ53と、を含んで構成されている。なお、給水管51には、給水弁55が設けられており、その給水弁55よりスプレーノズル50側に排水管54が接続され、その排水管54に排水弁56が設けられている。また、エアポンプ53は、機能部品室30内から吸い込んだ空気をスプレーノズル50に供給する構成となっている。
【0023】
スプレーノズル50については、詳細の図示と説明は省略するが、筒体を2重に配設したものであり、内側の筒体の先端部に水の噴出口が設けられ、外側の筒体の先端部に空気の噴出口が設けられたものである。そして、空気の噴出口は、水の噴出口より後方に控えた位置にあり、噴出された水に対して、その後方から空気を噴出することで、スプレーノズル50の前方で水を霧状にする。スプレーノズル50の先端は、図3に示すように、加熱装置21の下側で、側面側から機能部品室30の内側を向いた状態で取り付けられている。
【0024】
そして、加湿装置22においては、給水弁55を開くとともに、エアポンプ53を作動させることで、スプレーノズル50から霧状の水が噴霧される。それにより、循環ファン36から送り出された空気が加湿され、収納室14の湿度が上昇する。なお、加湿装置22は、スプレーノズル50から水を噴霧しない場合には、給水管51に水が残らないように、排水弁56を開いて、排水管54から水を排出させるようになっている。
【0025】
上記のように構成された温湿度調節庫10は、制御装置24によって制御される。詳しく言えば、制御装置24は、循環ファン36,冷却装置20,加熱装置21,加湿装置22を制御して、収納室14A,14Bの各々について、温度と湿度とを調節するように構成されている。また、機能部品室30には、温度センサ60および湿度センサ62(図7参照)が収容されており、制御装置24は、それら温度センサ60および湿度センサ62の検出結果に基づいて、収納室14A,14Bの各々における温度と湿度とを調節するようになっている。
【0026】
また、温湿度調節庫10は、空間12(収納室14及び機能部品室30)における排水(貯蔵庫本体の内部の水)を外部に排水するための排水経路70(排水構造)を備える。空間12における排水とは、例えば、結露によって発生した水、エバポレータ40の除霜時に生じる水、及び排水管54から排出された水等である。
【0027】
排水経路70は、ハウジング11から引き出されており、図6及び図9に示すように、機能部品室30Aに形成された排水口71Aを構成する筒状部材72と、機能部品室30Bに形成された排水口71Bを構成する筒状部材73(ニップル)と、ホース74,75,76と、直線状の継手77と、T字状の継手78(チーズ)と、L字状の継手79,80,81,82,83(エルボ)と、ドレントラップ85と、を備える。
【0028】
図6に示すように、筒状部材72は、ハウジング11の後壁部17を貫通する形で配されており、排水口71Aは前方(図6では左側)且つ上方に開口されている。筒状部材72の後端は、継手79を介してホース74と接続されている。ホース74は、図5に示すように、ハウジング11の背面に沿って延び、下方に向かうにつれて、温湿度調節庫10における左側(図5では右側)に向かう形で延びている。ホース74の下端は、継手77及び継手80を介して継手78の後端と接続されている。
【0029】
筒状部材73は、図6に示すように、ハウジング11の底壁部18を貫通する形で配されており、排水口71Bは上方に開口されている。筒状部材73の下端は、継手81を介して継手78と接続されている。これにより、機能部品室30Aからの排水経路と機能部品室30Bからの排水経路とは継手78において合流する。継手78の前端にはホース75が接続されている。ホース75(排水管)は、ハウジング11の下面19に沿って延びると共に前後方向に延びている。ホース75の前端には、図9に示すように、継手82を介してドレントラップ85が接続されている。ドレントラップ85の右側の端部には、継手83を介してホース76が接続されている。ホース76は、前後方向に延びており、ホース76の後端は、図示しない排水溝の上方に配されている。これにより、空間12A,12Bで発生した排水は、排水経路70を通り、ホース76の後端から排水溝に排出される構成となっている。
【0030】
ドレントラップ85は、継手82を介してホース75における前側の端部に接続されている。ドレントラップ85は、図6に示すように、閉状態における下側の扉15Bの下方に配されている。つまり、ドレントラップ85は、前後方向(図6の左右方向)におけるハウジング11の下面19の中心よりも前側(図6では左側)に配されている。ドレントラップ85は、図11及び図13に示すように、水を貯留することが可能な貯留室86を有するトラップ本体部87と、トラップ本体部87に対して脱着可能に取り付けられる蓋部88と、を備える。
【0031】
トラップ本体部87は上方に開口された開口部98を有する略箱状をなしており、蓋部88は、開口部98に嵌合する形でトラップ本体部87に対して脱着可能に取り付けられている。貯留室86は、トラップ本体部87の底面に形成された凹部によって構成されている。貯留室86は上方に開口されており、蓋部88は貯留室86を上方から覆う構成となっている。
【0032】
また、トラップ本体部87は、上流側の継手82と接続される接続部89と下流側の継手83と接続される接続部90と、を備える。蓋部88の下面には、下方に延びる仕切壁91が一体的に設けられている。仕切壁91は、トラップ本体部87の内部空間において貯留室86を除く部分を左右方向に仕切る構成となっている。仕切壁91の下端は、貯留室86の上部に配されている。これにより、継手82側(接続部89側)からトラップ本体部87に流入した水は、貯留室86を通って継手83側(接続部90側)に向かう構成となっている。また、貯留室86に流入した水の一部は貯留室86に溜まる構成となっている。
【0033】
仕切壁91の下流側(図13の右側)の面には、貫通孔94を有する壁部93が形成されている。壁部93は、仕切壁91から下流側に向かうにつれて下降傾斜する形で延びている。仕切壁91と壁部93とを繋ぐ三角形状の壁部95には、逆止弁96がヒンジ97を介して回動可能に取り付けられている。逆止弁96は貫通孔94を塞ぐ構成となっている。貯留室86に溜まった水と逆止弁96によって、下流側からの臭気の流入を遮断することができる。なお、上流側から下流側に水が流れる際には、逆止弁96が水の圧力によって、ヒンジ97を回動中心として上方に回動する結果、貫通孔94が開放されることで、水が貫通孔94を通じて下流側に流れる構成となっている。
【0034】
なお、仕切壁91、壁部93、壁部95及び逆止弁96は、蓋部88と一体的に形成されており、蓋部88と共に一括してトラップ本体部87から取り外すことが可能となっている。つまり、蓋部88をトラップ本体部87から取り外すことで、開口部98を通じてトラップ本体部87内部(貯留室86を含む)を容易に清掃することができる。
【0035】
また、図12に示すように、ハウジング11の下端部には、パネル部材64が取り付けられている。パネル部材64は、露受皿65と、カバー部材67と、取付板部68と、を備える。露受皿65は、扉15Bとドレントラップ85との間に配されている。露受皿65は、図10に示すように、左右方向に長い長手状をなしており、上方に開口された皿状をなしている。カバー部材67は、露受皿65と一体的に設けられている。カバー部材67は、左右方向に長い板状をなすと共に露受皿65の前端から下方に向かう形で延びており、継手82、ドレントラップ85、継手83を前側から覆う構成となっている(図1の破線参照)。
【0036】
図10に示すように、取付板部68は、左右方向に長い長手状をなし、露受皿65の後端に設けられている。取付板部68は、図12に示すように、ハウジング11の底壁部18に対して、締結部材66(例えば締結ボルト)によって脱着可能に取り付けられている。これにより、パネル部材64は、ハウジング11の底壁部18に対して脱着可能に取り付けられている。
【0037】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、ドレントラップ85がハウジング11の後面側や側面側に設けられている構成と比べて、ドレントラップ85に対して前側から容易に清掃を行うことができる。
【0038】
また、収納室14Bの開口27Bを開閉するための扉15Bを備え、ドレントラップ85は、上方に開口されると共に水を貯留することが可能な貯留室86を有するトラップ本体部87と、トラップ本体部87に対して脱着可能に取り付けられ、貯留室86を上方から覆う蓋部88と、を備え、ドレントラップ85は、閉状態の扉15Bの下方に配される。
【0039】
このような構成とすれば、図10に示すように、扉15Bを開くことで、ドレントラップ85の上方にスペースを設けることができる。このため、蓋部88を取り外すことで、貯留室86に対して上方から清掃を行うことができる。
【0040】
また、扉15Bとドレントラップ85との間には、露受皿65が配されており、露受皿65は、ハウジング11に対して脱着可能に取り付けられている。扉15Bで発生した結露水を露受皿65で受けることができる。また、露受皿65は、ハウジング11に対して脱着可能に取り付けられている。このため、ドレントラップ85の清掃を行う際には、露受皿65を取り外すことで清掃の妨げになることがない。
【0041】
また、ドレントラップ85を前側から覆うカバー部材67を備え、カバー部材67は、露受皿65と一体的に設けられている。このような構成とすれば、ドレントラップ85をカバー部材67によって保護することができる。また、ドレントラップ85の清掃を行う際には露受皿65とカバー部材67とを一括して取り外すことでき、作業性が良好となる。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、貯蔵庫として温湿度調節庫10を例示したが、これに限定されない。貯蔵庫として、冷蔵庫、冷凍庫及びショーケース等を例示することができる。
(2)排水経路70は上記実施形態で例示した構成に限定されない。例えば、温湿度調節庫10が収容室及び機能部品室を一つずつのみ備える構成であってもよく、その場合、排水口71A及び排水口71Bのうちいずれか一方の排水口のみを備えていればよい。
(3)上記実施形態においてドレントラップ85がホース75の前端に対して直接的に接続されていてもよい。
(4)排水経路70の構成は上記実施形態で例示したものに限定されない。例えば、排水口がハウジング11の側壁に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…温湿度調節庫(貯蔵庫)、11…ハウジング(貯蔵庫本体)、14A,14B…収納室(貯蔵室)、15A,15B…扉、19…ハウジングの下面(貯蔵庫本体の下面)、27A,27B…開口(貯蔵室の開口)、65…露受皿、67…カバー部材、70…排水経路、75…ホース(排水管)、85…ドレントラップ、86…貯留室、87…トラップ本体部、88…蓋部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13