(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】ニードルハンドル
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20221020BHJP
A61B 10/04 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B10/04
(21)【出願番号】P 2018161331
(22)【出願日】2018-08-30
【審査請求日】2021-08-06
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴ・エックス・ゴンザレス
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-150145(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047202(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0018732(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02 - 10/04
A61B 8/00
A61B 1/00
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端及び近位端を有するニードルと、
ニードルアクチュエータであって、
前記ニードルアクチュエータの近位端に位置するアクチュエータ部、
遠位端及び近位端を有するシャフト部であって、前記シャフト部の前記近位端が前記アクチュエータ部と連結されており、前記シャフト部が少なくとも3つの環状溝を含む、シャフト部、及び
前記アクチュエータ部又は前記シャフト部の1つの内部に位置する内腔であって、前記内腔が前記ニードルの前記近位端を固定して受けるように構成されている、内腔と、を含む、ニードルアクチュエータと、
遠位端及び近位端を有するシースであって、前記シースが前記ニードルを受けるように構成されている内腔を含む、シースと、
遠位端及び近位端を有するハンドル本体であって、前記ハンドル本体の前記遠位端が前記シースの前記近位端に連結され、前記ハンドル本体が、
内腔、
前記ハンドル本体の前記内腔の内部の環状溝、及び
前記ハンドル本体の前記環状溝によって少なくとも部分的に受け入れられるO-リング、を備える、ハンドル本体と、を備える、医療デバイスであって、
少なくとも3つの前記環状溝が、各前記環状溝が前記ハンドル本体の前記内腔内部の前記環状溝と一所に配置されるときに、前記O-リングを少なくとも部分的に嵌めることが可能になる、医療デバイス。
【請求項2】
前記シャフト部が、
第1の外径値を有する第1部と、
第2の外径値を有する第2部と、を含み、前記第1の外径値が前記第2の外径値よりも大きく、
前記O-リングの内径が前記第1の外径値よりも小さい、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記少なくとも3つの環状溝が前記シャフト部に沿って等間隔で配置されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記環状溝のうち最も遠位の溝が他の前記環状溝の深さ値よりも大きい深さ値を有する、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記O-リングが前記環状溝のうち最も遠位の溝に嵌められるとき、前記医療デバイスが非作動状態にある、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記非作動状態が、前記ニードルの前記遠位端が前記シース内に収容されていることを含む、請求項5に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記O-リングが、前記環状溝のうち最も遠位の溝以外の前記環状溝のいずれかに嵌められるとき、前記医療デバイスが作動状態にある、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記作動状態が、前記ニードルの前記遠位端が前記シースの前記遠位端から突出していることを含む、請求項7に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記O-リングが前記環状溝のうちの1つに嵌まるか又は前記環状溝のうちの1つから外れるときに、可聴音又は触感のうち少なくとも1つが生成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記O-リングが前記環状溝のうちの1つに嵌まるか又は前記環状溝のうちの1つから外れるときに、可聴音及び触感が生成される、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記溝のうち第1の溝が、前記O-リングが前記溝のうち前記第1の溝に嵌まるか又は前記第1の溝から外れるときに、第1の可聴音又は第1の触感のうちの少なくとも1つを生成するように構成されている1つ以上の第1の物理的特性を備え、
前記溝のうち第2の溝が、前記O-リングが前記溝のうち前記第2の溝に嵌まるか又は前記第2の溝から外れるときに、第2の可聴音又は第2の触感のうちの少なくとも1つを生成するように構成されている1つ以上の第2の物理的特性を備える、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記第1の可聴音又は前記第1の触感が、前記第2の可聴音又は前記第2の触感とは異なる、請求項11に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記第1の可聴音及び前記第1の触感が、前記第2の可聴音及び前記第2の触感とは異なる、請求項11に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織サンプリングに使用されるニードルアスピレーションデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションにおける記述は、単に、本開示に関する背景情報を提供し、先行技術を構成しない場合がある。
【0003】
経気管支ニードルアスピレーション(TBNA)デバイスなどの、ニードルアスピレーションデバイスを使用して、リンパ節、腫瘍、及び小結節などの標的組織から分析のためにサンプルを採取する。いくつかの場合、これらのニードルは、物質を注入するために使用される。
【0004】
いくつかのニードルハンドルの設計では、単純な片持ちばね、摩擦嵌合、又はO-リングを使用している。これまでのO-リングの設計は、O-リングを嵌めるための溝を備えた、いくつかの「ロック」能力を提供する。しかし、これらの溝は一般に浅く、使用者の入力操作なしで針を誤って前進させ、潜在的な安全問題又はスコープの損傷を引き起こす恐れもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、組織のサンプリング及び組織への物質の注入又はそのいずれか一方のための実例となる医療器具を提供する。実例となる医療器具は、ニードル、ニードルアクチュエータ、シャフト部、及びアクチュエータ部又はシャフト部のうちの1つの内部に位置する内腔を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ニードルアクチュエータは、ニードルアクチュエータの近位端に位置するアクチュエータ部を備える。シャフト部は、少なくとも3つの環状溝を含む。内腔は、ニードルの近位端を固定して受ける。シースは、ニードルを受けるように構成されている内腔を含む。ハンドル本体は遠位端及び近位端を含み、ハンドル本体の遠位端は、シースの近位端に連結している。ハンドル本体は、内腔、ハンドル本体の内腔内部の環状溝、及びハンドル本体の環状溝によって少なくとも部分的に収容されるO-リングを含む。少なくとも3つの環状溝は、各環状溝がハンドル本体の内腔内部の環状溝と一所に配置されるときに、O-リングを少なくとも部分的に嵌めることが可能になる。複数の溝が、こうしてニードルの先端のシースの末端に対する位置についての更なる情報を与えるため、医師は設定した距離の段階ごとにニードルを延出させることが可能になる。
【0007】
更なる特徴、利点、及び適用分野は、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明及び具体的な例は、単に例示目的のために意図され、本開示の範囲を限定することを意図されないことを理解されたい。
【0008】
本明細書に記載されている図面は、単に例示目的のためであり、決して本開示の範囲を制限することを意図されない。図面における構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではなく、本発明の原理を例示することに重点を置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1-1】本発明の原理に従う、非作動状態でのアスピレーションデバイスの側面図を示す。
【
図1-2】本発明の原理に従う、作動状態での
図1-1のアスピレーションデバイスの側面図を示す。
【
図1-3】
図1-1のアスピレーションデバイスの断面図を示す。
【
図2-1】本発明の原理に従う、
図1-1のアスピレーションデバイスのニードルアクチュエータの側面図を示す。
【
図2-2】
図2-1のニードルアクチュエータの一部の拡大図を示す。
【
図3-1】本発明の原理に従う、
図1-1のアスピレーションデバイスのハンドル本体の側面図を示す。
【
図3-2】
図3-1のハンドル本体の断面図を示す。
【
図3-3】
図3-1及び
図3-2のハンドル本体の一部分の断面図を示す。
【
図4-1】本発明の原理に従う、非作動状態でのアスピレーションデバイスの側面図を示す。
【
図4-2】本発明の原理に従う、作動状態での
図4-1のアスピレーションデバイスの側面図を示す。
【
図4-3】
図4-1のアスピレーションデバイスの断面図を示す。
【
図5】本発明の原理に従う、
図4-1のアスピレーションデバイスのニードルアクチュエータの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、本質的に単に例示的なものであって、本開示、並びにその適用や用途を限定する意図はない。
【0011】
図1-1及び
図1-3は、非作動位置でのニードルアスピレーションデバイス20の一例(例えば、経気管支ニードルアスピレーション(TBNA)デバイス)を示し、
図1-2は、作動位置でのデバイス20を示す。デバイス20は、ハンドル本体26と、ニードルアクチュエータ28と、スタイレットノブ30と、ルアー要素32とを備えている。ハンドル本体26は、シース34の近位端に取り付けられる。ニードルアクチュエータ28は、ハンドル部分38に連結したシャフト部分36を備えている。ニードルアクチュエータ28は、ニードル40の近位端を受け入れ、これに取り付けられる。スタイレットノブ30は、スタイレット46の近位端に取り付けられる。スタイレットノブ30は、ルアー要素32の近位端に回転可能に取り付く。ルアー要素32の遠位端は、ニードルアクチュエータ28のハンドル部分38の空洞に取り付けられる。
【0012】
非作動位置では、ニードル40の遠位端は、シース34の中に引っ込んでいる(
図1-3)。作動位置では、ニードル40の遠位端は、シース34の遠位端を越えて露出している(
図1-2)。
【0013】
図1-3に示されるように、シャフト部分36は、ハンドル本体26の空洞(すなわち、内腔)の中に、スライド可能に受け入れられる。ハンドル本体26の空洞の近位端にあるのは、O-リング50の少なくとも一部を受ける環状溝52である。O-リング50により、シャフト部分36がハンドル本体26から簡単には外れないようになっている。デバイス20の部品の連携した動作を以下により詳細に記載する。
【0014】
図2-1及び
図2-2に示されるように、ニードルアクチュエータ28のシャフト部分36は、遠位部58、中間部62、及び近位部60を含む。遠位部58と中間部62とは、遠位環状溝54によって隔てられている。中間部62と近位部60とは、近位環状溝56によって隔てられている。遠位部58は、ハンドル本体26の空洞の内径とほとんど同じ外径を有する。組立品の一部として、シャフト部分36は、ハンドル本体26の空洞に嵌入される。O-リング50が遠位環状溝54内に嵌まるまで、遠位部58をO-リング50を越して押し込む。この位置で、デバイス20は、ニードル40の遠位端がシース34の遠位端に近づき操作の態勢が整う。O-リング50は、ニードルアクチュエータ28の遠位部58がハンドル本体26から完全に引き抜かれることを防いでいる。
【0015】
使用者は、ニードルアクチュエータ28のハンドル部分38に遠位方向の力をかけることによってニードルの作動を開始し、それにより、O-リング50が遠位環状溝54から飛び出し、O-リング50が「ポップ」して端部(例えば、近位環状溝56)内に位置するまで、シャフト部分36に沿ってスライドするが、この点において、ニードルはシース34から十分に延出(例えば、約20mm)している。
【0016】
傾斜面66は、遠位環状溝54の近位縁から、シャフト部分36に沿って近位側のあらかじめ定められた場所まで位置する。傾斜面66の外径64は、遠位環状溝54の近位縁から傾斜面66の近位端に向かって減少する。傾斜面66の近位端と近位環状溝56との間に位置するシャフト部分36は、ほとんど一定の直径値を有する。傾斜面66の遠位端の直径値は、操作者がニードルアクチュエータ28に遠位方向の起動力をかけるときに、可聴的フィードバック及び触知的フィードバック又はそのいずれか一方を操作者に与えるように選択される。傾斜面66が、比較的急激かつ顕著である作動力と、作動力よりも平滑かつ微弱である引込力との間の非対称的な力差を規定している。
【0017】
近位部60は、中間部62の傾斜面ではない部分よりも大きな直径値を有してもよい。近位環状溝56に嵌め込まれたO-リング50は、ニードルアクチュエータ28を十分に遠位の位置に保つ助けとなる。デバイス20は、近位部60又は遠位環状溝54なしで実装されてもよい。
【0018】
一実施形態では、遠位環状溝54は、近位環状溝56よりもわずかに深い。このことは、医師により開始される作動が行われるまで、ニードル40が引っ込んだ位置に固定され続ける助けとなる。遠位環状溝54は、近位側の傾斜及び遠位側の尖鋭で幅広い端に隣接してもよい。O-リング50と接触する広い方の側は、アクチュエータがハンドル本体26から完全に引き抜かれることを防いでいる。
【0019】
中間的な傾斜面又はディボットを含むデバイス20のための他の形状及び寸法を使用することにより、作動力及び使用時の感触を変えることができる。例えば、作動のゼロ状態とフル状態の中間点においてノッチ又はバンプを使用して、医師に途中地点の位置についてのフィードバックを与えることができる。
【0020】
図3-1、
図3-2、及び
図3-3に示されるように、バーブ44はハンドル本体26の遠位端に位置する。バーブ44は、遠位空洞70及び近位空洞72を含む。近位空洞72は、遠位空洞70よりも小さい内径を有するが、ニードル40をスライドして受けるにはなお十分に大きい内径である。遠位空洞70は、遠位空洞70と近位空洞72との間の直径の相違によって形成される棚部までシース34の近位端を受けるような寸法である。バーブ44は、フランジ74が形成されるバーブ44の長さの中間部付近まで近位に延在するテーパ状遠位端を含む。バーブ44のシャフトは、テーパ状遠位端からハンドル本体26の遠位端まで一定の外径を有する。フランジ74により、ストレインリリーフライナ42へのより強固な接着が可能になる。
【0021】
シース34が遠位空洞70に嵌入された後に、ストレインリリーフライナ42がシース34及びバーブ44にわたって延伸されるか又は塗布される。ストレインリリーフライナ42が少なくとも部分的に熱収縮材料で形成される場合、それを加熱することにより、収縮させ、かつシース34及びバーブ44に径方向の力をかける。熱収縮材料は、部品間のより強固な接着を可能にするためにその内部表面上に配置される接着剤を含んでもよい。この接着剤はまた、熱活性化されていてもよい。
【0022】
図4-1及び
図4-3は、非作動位置でのニードルアスピレーションデバイス120の一例(例えば、経気管支ニードルアスピレーション(TBNA)デバイス)を示し、
図4-2は、作動位置でのデバイス120を示す。デバイス120は、ハンドル本体126と、ニードルアクチュエータ128と、スタイレットノブ130と、ルアー要素132とを備えている。ハンドル本体126は、シース134の近位端に取り付けられる。ニードルアクチュエータ128は、ハンドル部分138に連結したシャフト部分136を備えている。ニードルアクチュエータ128は、ニードル140の近位端を受け入れ、これに取り付けられる。スタイレットノブ130は、スタイレット146の近位端に取り付けられる。スタイレットノブ130は、ルアー要素132の近位端に回転可能に取り付けられる。ルアー要素132の遠位端は、ニードルアクチュエータ128のハンドル部分138に取り付けられる。
【0023】
非作動位置では、ニードル140の遠位端は、シース134の中に引っ込んでいる(
図4-3)。作動位置では、ニードル140の遠位端は、シース134の遠位端を越えて露出している(
図4-2)。
【0024】
図4-3に示されるように、シャフト部分136は、ハンドル本体126の空洞(すなわち、内腔)の中に、スライド可能に受け入れられる。ハンドル本体126の空洞の近位端にあるのは、O-リング150の少なくとも一部を受ける環状溝152である。O-リング150により、シャフト部分136がハンドル本体126から簡単には外れないようになっている。デバイス120の部品の連携した動作を以下により詳細に記載する。
【0025】
図5に示すように、ニードルアクチュエータ128のシャフト部分136は、複数の環状溝154、156、160、162を含む。組立品の一部として、シャフト部分136は、ハンドル本体126の空洞に嵌入される。O-リング150が遠位環状溝154内に嵌まるまで、最も遠位な環状溝154から遠位にある遠位部をO-リング150(
図4-3)を越して押し込む。この位置で、デバイス120は、ニードル140の遠位端がシース134の遠位端に近づき操作の態勢が整う。O-リング150は、ニードルアクチュエータ128の遠位部158が通常の人力によりハンドル本体126から完全に引き抜かれることを防いでいる。
【0026】
使用者は、ニードルアクチュエータ128のハンドル部分138に遠位方向の力をかけることによってニードルの作動を開始し、それにより、遠位環状溝154がO-リング150から外れて、O-リング150が可聴的かつ触知的に、又は、可聴的もしくは触知的に「ポップ」して2番目に遠位の環状溝160内に位置するまで、シャフト部分136に沿ってスライドする。O-リング150が2番目に遠位の環状溝160に嵌まるときに、使用者は、シース134に対するニードル140の先端位置を、それを可視化する必要なしに知る。更に遠位方向の力をかけることにより、O-リング150は2番目に遠位の環状溝160から外れる。外れた後、O-リング150は、O-リング150が可聴的かつ触知的に、又は、可聴的もしくは触知的に「ポップ」して2番目に近位の環状溝162内に位置するまで、シャフト部分136に沿ってスライドする。O-リング150が2番目に近位の環状溝162に嵌まるときに、使用者は、シース134に対するニードル140の先端位置を、それを可視化する必要なしに知る。更に遠位方向の力をかけることにより、O-リング150は2番目に近位の環状溝162から外れる。外れた後、O-リング150は、O-リング150が最も近位の環状溝156内に嵌まるまでシャフト部分136に沿ってスライドするが、この点において、ニードル140はシース134から十分に延出した位置にある。O-リング150が最も近位の環状溝156に嵌められるときに、ニードルアクチュエータ128は十分に遠位な(すなわち、十分に作動した)位置を保持する。
【0027】
一実施形態では、環状溝154、156、160、162のうちの第1の溝は、O-リング150が嵌まるか又はそれぞれの溝から外れるときに特有の可聴的かつ触知的な、又は、可聴的もしくは触知的な、飛び出しをもたらすであろう物理的特性(例えば、溝、バンプ、変更された表面角度など)を備える。環状溝154、156、160、162のそれぞれの溝が異なる物理的特性を備える場合、ニードルアクチュエータ128がある溝から次の溝へと進むときに、医師は異なる可聴的かつ触知的な、又は、可聴的もしくは触知的なフィードバックを体験することになる。これにより、最小限の訓練で、医師はハンドル本体126に対するニードルアクチュエータ128の正確な位置とシース134を越えて延出しているニードル140の距離とを知ることになる。
【0028】
シャフト部分136には、4つよりも多い又は少ない環状溝が実装されてもよい。
【0029】
一実施形態では、遠位環状溝154は、他の環状溝156、160、162よりもわずかに深い。このことは、医師により開始される作動が行われるまで、ニードル140が引っ込んだ位置に固定され続ける助けとなる。また、最も遠位の環状溝154は、シャフト部分136の幅広の部分と遠位に隣接してもよい。その幅広の部分は、O-リング150とより広範囲に接触することで、より大きな作動力を必要とし、ニードルアクチュエータ128が特別な力なしにハンドル本体126から完全に引き抜かれることを防いでいる。
【0030】
一実施形態では、環状溝154、156、160、162は、シャフト部分136上に等間隔で配置されている。例えば、その間隔は0.5mm~4cmの間であってよい。また、環状溝154、156、160、162間の距離は、様々な値をとってよい。この距離は、増加しても、減少しても、又は交互に寸法が異なっていてもよい。
【0031】
A.遠位端及び近位端を有するニードルと、ニードルアクチュエータであって、ニードルアクチュエータの近位端に位置するアクチュエータ部と、遠位端及び近位端を有するシャフト部であって、シャフト部の近位端がアクチュエータ部と連結されており、このシャフト部が少なくとも3つの環状溝を含むシャフト部と、アクチュエータ部又はシャフト部のうちの1つの内部に位置する内腔であって、この内腔がニードルの近位端を固定して受けるように構成されている内腔と、を含むニードルアクチュエータと、遠位端及び近位端を有するシースであって、シースがニードルを受けるように構成されている内腔を含むシースと、遠位端及び近位端を有するハンドル本体であって、ハンドル本体の遠位端がシースの近位端に連結され、ハンドル本体が、内腔と、ハンドル本体の内腔内部の環状溝と、ハンドル本体の環状溝によって少なくとも部分的に受け入れられるO-リングとを備えるハンドル本体と、を備える医療デバイスであって、少なくとも3つの環状溝が、各環状溝がハンドル本体の内腔内部の環状溝と一所に配置されるときに、O-リングを少なくとも部分的に嵌めることが可能になる、医療デバイス。
【0032】
B.シャフト部が第1の外径値を有する第1部と、第2の外径値を有する第2部と、を含み、第1の外径値が第2の外径値よりも大きく、O-リングの内径が第1の外径値よりも小さい、Aに記載の医療デバイス。
【0033】
C.少なくとも3つの環状溝がシャフト部に沿って等間隔で配置されている、Aに記載の医療デバイス。
【0034】
D.環状溝のうち最も遠位の溝が他の環状溝の深さ値よりも大きい深さ値を有する、Aに記載の医療デバイス。
【0035】
E.O-リングが環状溝のうち最も遠位の溝に嵌められるとき、医療デバイスが非作動状態にある、Aに記載の医療デバイス。
【0036】
F.非作動状態が、ニードルの遠位端がシース内に収容されていることを含む、Eに記載の医療デバイス。
【0037】
G.O-リングが、環状溝のうち最も遠位の溝以外の環状溝のいずれかに嵌められるとき、医療デバイスが作動状態にある、Aに記載の医療デバイス。
【0038】
H.作動状態が、ニードルの遠位端がシースの遠位端から突出していることを含む、Gに記載の医療デバイス。
【0039】
I.O-リングが環状溝のうちの1つに嵌まるか又は環状溝のうちの1つから外れるときに、可聴音又は触感のうち少なくとも1つが生成される、Aに記載の医療デバイス。
【0040】
J.溝のうち第1の溝が、O-リングが溝のうち第1の溝に嵌まるか又は第1の溝から外れるときに、第1の可聴音又は第1の触感のうちの少なくとも1つを生成するように構成されている1つ以上の第1の物理的特性を備え、溝のうち第2の溝が、O-リングが溝のうち第2の溝に嵌まるか又は第2の溝から外れるときに、第2の可聴音又は第2の触感のうちの少なくとも1つを生成するように構成されている1つ以上の第2の物理的特性を備える、Aに記載の医療デバイス。
【0041】
K.第1の可聴音又は第1の触感が、第2の可聴音又は第2の触感とは異なる、Jに記載の医療デバイス。
【0042】
本発明の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本発明の主旨から逸脱しない変形が、本発明の範囲内にあることを意図される。かかる変形は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱するものとしてみなされない。
【符号の説明】
【0043】
20 ニードルアスピレーションデバイス
26 ハンドル本体
28 ニードルアクチュエータ
30 スタイレットノブ
32 ルアー要素
34 シース
36 シャフト部分
38 ハンドル部分
40 ニードル
42 ストレインリリーフライナ
44 バーブ
46 スタイレット
52 環状溝
54 遠位環状溝
56 近位環状溝
58 遠位部
60 近位部
62 中間部
66 傾斜面
70 遠位空洞
72 近位空洞
74 フランジ