(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
F24C 3/12 20060101AFI20221020BHJP
G16Y 40/40 20200101ALI20221020BHJP
【FI】
F24C3/12 A
F24C3/12 E
G16Y40/40
(21)【出願番号】P 2018177514
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 伸也
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-298204(JP,A)
【文献】特開2013-186783(JP,A)
【文献】特開2014-16062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象を加熱する加熱部を備える加熱装置と、インターネットを介して前記加熱装置と通信可能な記憶装置と、を備える通信システムであって、
前記加熱装置は、前記加熱装置の少なくとも一部を制御するための基板を交換可能に構成されており、
前記基板は、前記加熱装置の少なくとも一部を制御するための設定値を記憶可能であり、
前記加熱装置は、
第1設定値を記憶している第1基板が前記加熱装置に装着されている場合に、前記インターネットを介して、
前記加熱装置を識別するための装置番号と前記第1設定値の複製である第1複製値を前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、
前記インターネットを介して、前記加熱装置から前記装置番号と前記第1設定値とを受信する場合に、前記装置番号と前記第1複製値とを関連付けて記憶し、
前記加熱装置は、
前記第1基板が第2基板に交換される場合に、前記インターネットを介して、前記第1基板から前記第2基板に交換されたことを判断するための判断情報を前記記憶装置に送信し、
前記判断情報が送信された後に、前記インターネットを介して、前記記憶装置から
、前記判断情報に含まれる前記装置番号に関連付けて前記記憶装置に記憶されている前記第1複製値を受信し、
前記記憶装置から前記第1複製値が受信される場合に、前記第1複製値を前記第2基板に記憶させ、
前記記憶装置は
、
前記インターネットを介して、前記加熱装置から前記判断情報が受信される場合に、前記インターネットを介して、
前記判断情報に含まれる前記装置番号に関連付けて前記記憶装置に記憶されている前記第1複製値を前記加熱装置に送信する、
通信システム。
【請求項2】
前記加熱装置は、前記インターネットを介して、前記設定値の複製である複製値を前記記憶装置に定期的に送信するように構成されている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記加熱装置は、前記第1基板が前記加熱装置に装着されている場合において、第2設定値に代えて前記第1設定値が前記第1基板に記憶される場合に、前記インターネットを介して、前記第1複製値を前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、前記加熱装置から前記第1複製値が受信される場合に、前記第2設定値の複製である第2複製値に代えて前記第1複製値を記憶する、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記記憶装置は、
前記加熱装置から前記第1複製値が受信される場合に、前記第1複製値の内容が正常であるのか否かを判断し、
前記第1複製値の内容が正常であると判断される場合に、前記第1複製値を記憶し、
前記第1複製値の内容が正常でないと判断される場合に、前記第1複製値を記憶しない、請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記記憶装置は、内容が正常でない前記第1複製値が受信された後に前記加熱装置から前記判断情報が受信される場合に、前記インターネットを介して、前記第1複製値が受信される前から前記記憶装置に記憶されている複製値を前記加熱装置に送信する、請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記記憶装置は、
前記第1複製値の内容が正常でないと判断される場合に、前記第1複製値の内容を修正した第3複製値を記憶し、
内容が正常でない前記第1複製値が受信された後に前記加熱装置から前記判断情報が受信される場合に、前記インターネットを介して、記憶済みの前記第3複製値を前記加熱装置に送信する、請求項4に記載の通信システム。
【請求項7】
前記通信システムは、さらに、前記インターネットを利用しない通信手段を介して前記加熱装置と通信可能であるとともに、前記インターネットを介して前記記憶装置と通信可能な中継装置を備えており、
前記加熱装置は、
前記第1基板が前記加熱装置に装着されている場合に、前記中継装置と前記インターネットを介して、前記第1複製値を前記記憶装置に送信し、
前記第1基板が前記第2基板に交換される場合に、前記中継装置と前記インターネットを介して、前記判断情報を前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、
前記加熱装置から前記判断情報が受信される場合に、前記中継装置と前記インターネットを介して、記憶済みの前記第1複製値を前記加熱装置に送信する、請求項1から6のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記加熱装置は、加熱調理器であり、
前記中継装置は、台所に設置されるリモコンである、請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記加熱装置は、
前記第1基板が前記加熱装置に装着されている場合に、前記インターネットを介して、前記第1基板を識別するための第1識別情報を前記記憶装置に送信し、
前記第1基板が前記第2基板に交換される場合に、前記インターネットを介して、前記第2基板を識別するための第2識別情報を含む前記判断情報を前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、
前記加熱装置から前記第2識別情報を含む前記判断情報が受信される場合に、前記第1識別情報によって識別される前記第1基板から前記第2識別情報によって識別される前記第2基板に交換されたと判断して、前記インターネットを介して、記憶済みの前記第1複製値を前記加熱装置に送信する、請求項1から8のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項10】
前記加熱装置は、
前記第1基板が前記加熱装置に装着されている場合に、前記通信手段を介して、前記第1基板を識別するための第1識別情報を前記中継装置に送信し、
前記中継装置は、
前記通信手段を介して、前記第1識別情報が受信される場合に、前記第1識別情報を記憶し、
前記加熱装置は、
前記第1基板が前記第2基板に交換される場合に、前記通信手段を介して、前記第2基板を識別するための第2識別情報を含む第1判断情報を前記中継装置に送信し、
前記中継装置は、
前記通信手段を介して、前記加熱装置から前記第1判断情報が受信される場合に、前記第1識別情報によって識別される前記第1基板から前記第2識別情報によって識別される前記第2基板に交換されたと判断して、前記インターネットを介して、第2判断情報を前記記憶装置に送信し、
前記記憶装置は、
前記中継装置から前記第2判断情報が受信される場合に、前記第2判断情報を利用して、前記第1基板から前記第2基板に交換されたと判断して、前記インターネットを介して、記憶済みの前記第1複製値を前記中継装置に送信する、請求項7又は8に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、加熱対象を加熱する加熱装置とインターネット上に設置されている記憶装置を備える通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されている空気調和機は、空気調和を行う室内機と、空調熱源である室外機を備える。室外機は、交換可能な制御基板を備え、制御基板には、室外機の機能設定データが記憶される。室外機は、室外機の機能設定データを室内機に送信して、機能設定データのバックアップをする。室外機は、制御基板の交換が行われる場合に、室内機に要求を送信し、室内機からバックアップされている室外機の機能設定データを受信する。室外機は、室内機から受信した機能設定データを交換後の制御基板に書き込む。これにより、空気調和機を構成する室内機と室外機のみで機能設定データのバックアップを可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、室外機と室内機によって構成される空気調和機を前提とする技術である。このため、例えば、加熱対象を加熱する加熱装置に上記の技術を採用すると、加熱装置と通信可能な記憶装置を加熱装置の近く(例えば、室内)に別途に設ける必要がある。
【0005】
本明細書は、加熱装置と通信可能な記憶装置を加熱装置の近くに設けることなく、交換前の基板に記憶されている設定値の複製を記憶可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する通信システムは、加熱対象を加熱する加熱部を備える加熱装置と、インターネットを介して前記加熱装置と通信可能な記憶装置と、を備える。前記加熱装置は、前記加熱装置の少なくとも一部を制御するための基板を交換可能に構成されており、前記基板は、前記加熱装置の少なくとも一部を制御するための設定値を記憶可能であり、前記加熱装置は、第1設定値を記憶している第1基板が前記加熱装置に装着されている場合に、前記インターネットを介して、前記加熱装置を識別するための装置番号と前記第1設定値の複製である第1複製値を前記記憶装置に送信し、前記記憶装置は、前記加熱装置から前記装置番号と前記第1設定値とを受信する場合に、前記装置番号と前記第1複製値とを関連付けて記憶し、前記加熱装置は、前記第1基板が第2基板に交換される場合に、前記インターネットを介して、前記第1基板から前記第2基板に交換されたことを判断するための判断情報を前記記憶装置に送信し、前記判断情報が送信された後に、前記インターネットを介して、前記記憶装置から前記第1複製値を受信し、前記記憶装置から、前記判断情報に含まれる前記装置番号に関連付けて前記記憶装置に記憶されている前記第1複製値が受信される場合に、前記第1複製値を前記第2基板に記憶させる。前記記憶装置は、前記インターネットを介して、前記加熱装置から前記判断情報が受信される場合に、前記インターネットを介して、前記判断情報に含まれる前記装置番号に関連付けて前記記憶装置に記憶されている前記第1複製値を前記加熱装置に送信する。
【0007】
上記の構成によれば、加熱装置は、第1設定値を記憶している第1基板が加熱装置に装着されている場合に、インターネットを介して、第1複製値を記憶装置に送信する。これにより、記憶装置は、第1設定値の第1複製値を記憶する。また、加熱装置は、第1基板が第2基板に交換される場合に、インターネットを介して、判断情報を記憶装置に送信し、記憶装置から第1複製値を受信し、第1複製値を第2の基板に記憶させる。即ち、上記の構成によれば、インターネットを介して通信可能な記憶装置を利用して、交換前の第1基板に記憶されている第1設定値の複製の記憶が可能となり、記憶装置を加熱装置の近くに設ける必要がない。
【0008】
加熱装置は、インターネットを介して、設定値の複製である複製値を記憶装置に定期的に送信するように構成されていてもよい。この構成によれば、ユーザは、複製値を記憶装置に記憶させるための操作を実行する必要がない。ユーザの利便性が向上する。
【0009】
加熱装置は、第1基板が加熱装置に装着されている場合において、第2設定値に代えて第1設定値が第1基板に記憶される場合に、インターネットを介して、第1複製値を記憶装置に送信してもよい。記憶装置は、加熱装置から第1複製値が受信される場合に、第2設定値の複製である第2複製値に代えて第1複製値を記憶してもよい。この構成によれば、第2設定値に代えて第1設定値が記憶されたタイミングで第1設定値の第1複製値を記憶装置に記憶させることができる。
【0010】
また、記憶装置は、加熱装置から第1複製値が受信される場合に、第1複製値の内容が正常であるのか否かを判断し、第1複製値の内容が正常であると判断される場合に、第1複製値を記憶し、第1複製値の内容が正常でないと判断される場合に、第1複製値を記憶しなくてもよい。この構成によれば、内容が正常でない複製値の記憶を防止することができる。この結果、内容が正常でない複製値が加熱装置に送信されることを防止することができる。
【0011】
また、上記の第1複製値に対する判断を実行する構成において、記憶装置は、内容が正常でない第1複製値が受信された後に加熱装置から判断情報が受信される場合に、インターネットを介して、第1複製値が受信される前から記憶装置に記憶されている複製値を加熱装置に送信してもよい。この構成によれば、内容が正常でない第1複製値が受信される前から記憶装置に記憶されている複製値を加熱装置に送信することによって、内容が正常な複製値を加熱装置に送信することができる。
【0012】
また、上記の第1複製値に対する判断を実行する構成において、記憶装置は、第1複製値の内容が正常でないと判断される場合に、第1複製値の内容を修正した第3複製値を記憶し、内容が正常でない第1複製値が受信された後に加熱装置から判断情報が受信される場合に、インターネットを介して、記憶済みの第3複製値を加熱装置に送信してもよい。この構成によれば、内容が正常でない第1複製値が受信される場合であっても、内容が正常な第3複製値を加熱装置に送信することができる。
【0013】
通信システムは、さらに、インターネットを利用しない通信手段を介して加熱装置と通信可能であるとともに、インターネットを介して記憶装置と通信可能な中継装置を備えていてもよい。加熱装置は、第1基板が加熱装置に装着されている場合に、中継装置とインターネットを介して、第1複製値を記憶装置に送信し、第1基板が第2基板に交換される場合に、中継装置とインターネットを介して、判断情報を記憶装置に送信してもよい。記憶装置は、加熱装置から判断情報が受信される場合に、中継装置とインターネットを介して、記憶済みの第1複製値を加熱装置に送信してもよい。この構成によれば、加熱装置は、インターネットを利用する通信手段を備えなくても、インターネットを介して通信可能な記憶装置と、中継装置を介して通信を実行することができる。
【0014】
また、例えば、加熱装置は、加熱調理器であり、中継装置は、台所に設置されるリモコンである。加熱調理器とともに台所に設置される台所リモコンを利用することで、通信システムを簡単に実現することができる。
【0015】
また、加熱装置は、第1基板が加熱装置に装着されている場合に、インターネットを介して、第1基板を識別するための第1識別情報を記憶装置に送信し、第1基板が第2基板に交換される場合に、インターネットを介して、第2基板を識別するための第2識別情報を含む判断情報を記憶装置に送信してもよい。記憶装置は、加熱装置から第2識別情報を含む判断情報が受信される場合に、第1識別情報によって識別される第1基板から第2識別情報によって識別される第2基板に交換されたと判断して、インターネットを介して、記憶済みの第1複製値を加熱装置に送信してもよい。この構成によれば、記憶装置は、第1識別情報と第2識別情報を利用して、第1基板から第2基板に交換されたことを適切に判断することができる。
【0016】
また、中継装置を利用する上記の構成において、加熱装置は、第1基板が加熱装置に装着されている場合に、通信手段を介して、第1基板を識別するための第1識別情報を中継装置に送信してもよい。中継装置は、通信手段を介して、第1識別情報が受信される場合に、第1識別情報を記憶してもよい。加熱装置は、第1基板が第2基板に交換される場合に、通信手段を介して、第2基板を識別するための第2識別情報を含む第1判断情報を中継装置に送信してもよい。中継装置は、通信手段を介して、加熱装置から第1判断情報が受信される場合に、第1識別情報によって識別される第1基板から第2識別情報によって識別される第2基板に交換されたと判断して、インターネットを介して、第2判断情報を記憶装置に送信してもよい。記憶装置は、中継装置から第2判断情報が受信される場合に、第2判断情報を利用して、第1基板から第2基板に交換されたと判断して、インターネットを介して、記憶済みの第1複製値を中継装置に送信してもよい。この構成によれば、第1識別情報が中継装置に送信されるものの記憶装置に送信されない。この結果、記憶装置は、第1識別情報を記憶しなくてもよい。交換されたか否かの判断のために第1識別情報を記憶する記憶装置と比較して、記憶装置に記憶される情報が増大することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施例の通信システムのブロック図を示す。
【
図2】第1実施例の管理サーバの処理のフローチャートを示す。
【
図3】第1実施例の通信システムにおいて、設定情報が変更されて、弁制御基板が交換される具体的なケースA1のシーケンス図を示す。
【
図4】第1実施例の通信システムにおいて、設定情報が変更されて、弁制御基板が交換される具体的なケースA2のシーケンス図を示す。
【
図5】第2実施例の通信システムにおいて、設定情報が変更されて、弁制御基板が交換される具体的なケースBのシーケンス図を示す。
【
図6】第3実施例の台所リモコンの処理のフローチャートを示す。
【
図7】第3実施例の管理サーバの処理のフローチャートを示す。
【
図8】第3実施例の通信システムにおいて、設定情報が変更されて、弁制御基板が交換される具体的なケースCのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施例)
(通信システム2の構成:
図1)
図面を参照して、第1実施例の通信システム2について説明する。通信システム2は、加熱調理器10、台所リモコン100、管理サーバ200、及び、端末装置300を備える。
【0019】
台所リモコン100は、湯を生成して住宅に供給する給湯器(図示省略)を遠隔操作するためのコントローラである。台所リモコン100は、加熱調理器10とともに台所に設置されるリモコンである。台所リモコン100は、例えば、加熱調理器10のベンダによって製造される。端末装置300は、スマートフォン、タブレット端末、デスクトップPC(Personal Computerの略)、ノートPC等である。
【0020】
加熱調理器10は、Bluetooth(登録商標)方式に従った無線通信(以下、「BT通信」と記載)を利用して、台所リモコン100と通信可能である。また、台所リモコン100は、Wi-Fi(登録商標)方式に従った無線通信を利用して、インターネット6を介して、管理サーバ200と通信可能である。これにより、加熱調理器10は、台所リモコン100とインターネット6を介して、管理サーバ200と通信可能である。なお、端末装置300は、インターネット6を介して、管理サーバ200と通信可能である。
【0021】
(加熱調理器10の構成)
図1を参照して、加熱調理器10について説明する。加熱調理器10は、システムキッチンに組み込んで使用されるガス燃焼式のビルトインコンロである。加熱調理器10は、コンロバーナ12、グリルバーナ14、コンロ調整弁16、グリル調整弁18、BTインターフェース20、弁制御基板30、及び、制御部50を備える。BTインターフェース20は、外部装置(例えば、台所リモコン100)とのBT通信を実行するための無線インターフェースである。なお、以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する場合がある。
【0022】
コンロバーナ12は、加熱対象(例えば、調理容器)を加熱するためバーナである。コンロバーナ12は、加熱調理器10の天板(図示省略)から露出している。コンロバーナ12には、ガス供給路(図示省略)が接続されている。ガス供給路には、コンロバーナ12へのガスの供給量を調整するためのコンロ調整弁16が設けられている。コンロバーナ12は、コンロバーナ12にガスが供給されている状態でイグナイタ(図示省略)を動作させることで、点火する。コンロバーナ12へのガスの供給量を調整することで、コンロバーナ12の加熱量を調整することができる。そして、コンロバーナ12へのガスの供給が停止されることで、コンロバーナ12は消火される。
【0023】
グリルバーナ14は、加熱調理器10のグリル庫(図示省略)内に配置され、グリル庫内の調理物を加熱するバーナである。グリル調整弁18は、グリルバーナ14に接続されているガス供給路(図示省略)に設けられており、グリルバーナ14へのガスの供給量を調整する。
【0024】
弁制御基板30は、コンロ調整弁16とグリル調整弁18を制御するための基板である。弁制御基板30は、交換可能である。例えば、作業者は、加熱調理器10のメンテナンスの際に、弁制御基板30から別の弁制御基板に交換することが可能である。
【0025】
弁制御基板30は、メモリ32を備える。メモリ32には、基板番号BN1と、各弁16、18を制御するための設定情報SI0が記憶されている。基板番号BN1は、弁制御基板30を識別するための番号である。基板番号BN1は、例えば、弁制御基板30の製造時に割り当てられるシリアル番号である。
【0026】
設定情報SI0は、基板設定値とユーザ設定値を含む。基板設定値は、弁制御基板が装着される加熱調理器10の状態に基づいて決定される設定値であり、加熱調理器10のベンダ又は加熱調理器10をメンテナンスする作業者によって設定される。基板設定値は、例えば、加熱調理器10に供給されるガスの種類を示す値、弁の開度を補正する補正値等を含む。ユーザ設定値は、加熱調理器10を利用するユーザによって設定される値である。ユーザ設定値は、例えば、弁制御基板30によって各弁16、18が開かれた場合に、換気扇(図示省略)を連動させるのか否かを示す値等を含む。
【0027】
制御部50は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ52を備える。メモリ52には、プログラム54と加熱調理器10を識別するための装置番号DN1が記憶されている。装置番号DN1は、例えば、加熱調理器10の製造時に割り当てられるシリアル番号である。
【0028】
制御部50は、メモリ52に記憶されているプログラム54に従って、様々な処理を実行する。具体的には、制御部50は、プログラム54に従って、弁制御基板30に記憶されている設定情報の複製である複製情報を生成する。制御部50は、BTI/F20、台所リモコン100、及び、インターネット6を介して、製品情報を定期的に管理サーバ200に送信する。製品情報は、加熱調理器10の装置番号DN1、弁制御基板30の基板番号BN1、及び、複製情報(例えば、複製情報CI0)を含む。このような構成によれば、ユーザは、複製情報を管理サーバ200に記憶させるための操作を実行する必要がない。ユーザの利便性が向上する。
【0029】
また、制御部50は、弁制御基板30内の設定情報が変更される場合に、変更後の設定情報の複製である複製情報を含む製品情報を管理サーバ200に送信する(
図3のT20参照)。このような構成によれば、設定情報が変更されたタイミングに変更後の設定情報の複製情報を管理サーバ200に記憶させることができる。
【0030】
また、制御部50は、加熱調理器10の電源が投入される場合に、製品情報を管理サーバ200に送信する(
図3のT120参照)。さらに、制御部50は、弁制御基板30から別の弁制御基板に交換される場合において、インターネット6、台所リモコン100、及び、BTI/F20を介して、管理サーバ200から複製情報を受信する場合に、受信済みの複製情報を別の弁制御基板のメモリに記憶させる(
図3のT150参照)。
【0031】
なお、変形例では、弁制御基板30が、制御部50が実行する上記処理のうちの少なくとも一部を実行してもよい。別言すれば、弁制御基板30のメモリ32内にプログラム54の少なくとも一部が記憶されており、弁制御基板30が、プログラム54の少なくとも一部に従って、様々な処理を実行してもよい。本変形例では、加熱調理器10は、制御部50を備えず、弁制御基板30と装置番号DN1を記憶しているメモリを備えていてもよい。
【0032】
(台所リモコン100の構成)
台所リモコン100は、BTI/F120、Wi-FiI/F122、及び、制御部150を備える。台所リモコン100は、BTI/F120を介して、加熱調理器10とのBT通信を実行可能である。また、Wi-FiI/F122は、Wi-Fi方式に従った無線通信を実行するための無線I/Fである。台所リモコン100は、Wi-FiI/F122とインターネット6を介して、管理サーバ200と通信可能である。制御部150は、メモリ152に格納されているプログラム154に従って、様々な処理を実行する。
【0033】
(管理サーバ200の構成)
管理サーバ200は、加熱調理器10の設定情報の複製である複製情報を管理するサーバである。管理サーバ200の制御部250は、メモリ252に記憶されているプログラム254に従って、様々な処理を実行する。また、メモリ252には、管理テーブル256が記憶されている。
【0034】
管理テーブル256は、複数個の加熱調理器のそれぞれについて、当該加熱調理器を識別するための装置番号(例えば、装置番号DN1)と、当該加熱調理器に装着されている弁制御基板を識別するための基板番号(例えば、基板番号BN1)と、当該弁制御基板のメモリに記憶されている設定情報の複製である複製情報(例えば、複製情報CI0)と、を対応付けて記憶する。各情報は、加熱調理器10から送信されて記憶される。
【0035】
また、管理テーブル256内の情報(基板番号、複製情報)は、端末装置300に表示可能である。具体的には、端末装置300は、インターネット6を介して、情報要求を管理サーバ200に送信して、管理サーバ200から管理テーブル256内の情報を受信する。そして、端末装置300は、管理サーバ200から受信した情報を表示する。これにより、ユーザは、端末装置300を利用して、管理テーブル256内の情報を知ることができる。
【0036】
(管理サーバ200の処理;
図2)
図2を参照して、管理サーバ200が実行する処理について説明する。
図2の処理は、管理サーバ200の電源が投入されることをトリガとして開始される。
【0037】
S10では、管理サーバ200の制御部250は、台所リモコン100とインターネット6を介して、加熱調理器10から製品情報を受信することを監視する。制御部250は、加熱調理器10から製品情報を受信する場合(S10でYES)に、S12に進む。
【0038】
S12では、制御部250は、S10で受信した製品情報に含まれる装置番号DN1が管理テーブル256に記憶されているのか否かを判断する。制御部250は、製品情報に含まれる装置番号DN1が管理テーブル256に記憶されていないと判断する場合(S12でNO)に、S14において、製品情報を管理テーブル256に新たに記憶する。S14が終了すると、
図2の処理が終了する。
【0039】
また、制御部250は、製品情報に含まれる装置番号DN1が管理テーブル256に記憶されていると判断する場合(S12でYES)に、S20に進む。S20では、制御部250は、管理テーブル256から製品情報に含まれる装置番号DN1に対応する各情報(即ち、基板番号と複製情報)を特定する。
【0040】
S22では、制御部250は、S20で特定された基板番号がS10で受信された製品情報に含まれる基板番号と一致するのか否かを判断する。特定済みの基板番号が製品情報内の基板番号と一致しないことは、特定済みの基板番号によって識別される弁制御基板から製品情報内の基板番号によって識別される弁制御基板に交換されたことを意味する。制御部250は、特定済みの基板番号が製品情報内の基板番号と一致しないと判断する場合(S22でNO)に、弁制御基板が交換されたと判断して、S24に進む。
【0041】
S24では、制御部250は、インターネット6と台所リモコン100を介して、S20で特定された複製情報を加熱調理器10に送信する。これにより、加熱調理器10の交換後の弁制御基板に特定済みの複製情報が記憶される。
【0042】
S26では、制御部250は、管理テーブル256内の装置番号DN1に対応する基板番号に代えて、製品情報内の基板番号を管理テーブル256に記憶する。S26が終了すると、
図2の処理が終了する。
【0043】
また、制御部250は、特定済みの基板番号が製品情報内の基板番号と一致すると判断する場合(S22でYES)に、弁制御基板が交換されていないと判断して、S30に進む。S30では、制御部250は、S20で特定された複製情報がS10で受信された製品情報に含まれる複製情報と一致するのか否かを判断する。特定済みの複製情報が製品情報内の複製情報と一致しないことは、弁制御基板内の設定情報が変更されたことを意味する。制御部250は、特定済みの複製情報が製品情報内の複製情報と一致しないと判断する場合(S30でNO)に、設定情報が変更されたと判断して、S32に進む。
【0044】
S32では、制御部250は、製品情報内の複製情報の内容が正常であるのか否かを判断する。例えば、制御部250は、複製情報の一部(例えば、ユーザ設定値の一部)が欠落している場合、複製情報内の基板設定値が正常な値域内に含まれない場合等に、複製情報の内容が正常でないと判断する。制御部250は、複製情報の内容が正常であると判断する場合(S32でYES)に、S34において、管理テーブル256内の装置番号DN1に対応する複製情報に代えて、製品情報内の複製情報を管理テーブル256に記憶する。S34が終了すると、
図2の処理が終了する。
【0045】
また、制御部250は、複製情報の内容が正常でないと判断する場合(S32でNO)に、S36に進む。S36では、制御部250は、製品情報内の複製情報の内容を正常な内容に修正する。そして、制御部250は、管理テーブル256内の装置番号DN1に対応する複製情報に代えて、修正後の複製情報を管理テーブル256に記憶する。例えば、複製情報の一部が欠落している場合には、制御部250は、欠落した部分にデフォルトの値を加えることによって、複製情報を修正する。また、例えば、複製情報内の基板設定値が正常な値域内に含まれない場合には、基板設定値を正常な値域内の値(例えば、正常な値域の中間値、特定済みの複製情報(即ち、内容が正常な前回記憶済みの複製情報)に含まれる正常な値域内の値)に変更することによって、複製情報を修正する。S36が終了すると、
図2の処理が終了する。
【0046】
また、制御部250は、特定済みの複製情報が製品情報内の複製情報と一致すると判断する場合(S30でNO)に、設定情報が変更されていないと判断して、S32~S36の処理をスキップして、
図2の処理を終了する。
【0047】
(具体的なケース;
図3、
図4)
図3、
図4を参照して、本実施例の通信システム2によって実現される具体的なケースA1、A2を説明する。各ケースA1、A2は、設定情報が変更されて、弁制御基板30が交換されるケースを示す。ケースA1、A2の初期状態では、管理テーブル256に、装置番号DN1、基板番号BN1、及び、設定情報SI0の複製情報CI0が記憶されている。なお、以下では、理解の容易化のために、各デバイスの制御部(例えば、制御部50)が実行する動作を、制御部を主体として記載せずに、各デバイス(例えば、加熱調理器10)を主体として記載する。また、
図3、
図4では、一点鎖線の矢印がBT通信を示し、実線の矢印がインターネット6を利用した通信を示す。後述する
図5、
図8でも同様である。
【0048】
(ケースA1;
図3)
ユーザは、T10において、加熱調理器10の操作部(図示省略)を操作して、ユーザ設定値を変更する。これにより、加熱調理器10に装着されている弁制御基板30内の設定情報SI0が変更後のユーザ設定値を含む設定情報SI1に変更される。
【0049】
加熱調理器10は、T10において、設定情報が変更されると、変更後の設定情報SI1の複製である複製情報CI1を生成する。そして、加熱調理器10は、T20において、BTI/F20を介して、装置番号DN1、弁制御基板30の基板番号BN1、及び、複製情報CI1を含む製品情報を台所リモコン100に送信する。
【0050】
台所リモコン100は、T20において、BTI/F120を介して、加熱調理器10から製品情報を受信すると、T22において、Wi-FiI/F122とインターネット6を介して、受信済みの製品情報を管理サーバ200に送信する。
【0051】
管理サーバ200は、T22において、台所リモコン100から製品情報を受信すると(
図2のS10でYES)、受信済みの製品情報に含まれる装置番号DN1が管理テーブル256に記憶されていると判断する(S12でYES)。そして、管理サーバ200は、T30において、管理テーブル256から装置番号DN1に対応する各情報(即ち、基板番号BN1、複製情報CI0)を特定する(S20)。
【0052】
T32では、管理サーバ200は、特定済みの基板番号BN1と製品情報内の基板番号BN1が一致すると判断する(
図2のS22でYES)。T34では、管理サーバ200は、特定済みの複製情報CI0と製品情報内の複製情報CI1が一致しないと判断する(S30でNO)。本ケースでは、複製情報CI1を生成する処理が正常に終了したことに起因して、複製情報CI1の内容が正常である。このため、T36では、管理サーバ200は、複製情報CI1の内容が正常であると判断する(S32でYES)。
【0053】
T40では、管理サーバ200は、管理テーブル256内の複製情報CI0に代えて、製品情報内の複製情報CI1を管理テーブル256に記憶する(
図2のS34)。
【0054】
また、本ケースでは、ユーザ設定値が変更された後に、加熱調理器10の弁制御基板30に不具合が生じる。作業員は、T110において、加熱調理器10のメンテナンスを行い、弁制御基板30を別の弁制御基板に交換する。
【0055】
加熱調理器10は、弁制御基板30から別の弁制御基板に交換された後に加熱調理器10の電源が投入される場合に、別の弁制御基板に予め記憶されているデフォルトの設定情報の複製である複製情報CI20を生成する。そして、加熱調理器10は、T120において、BTI/F20を介して、装置番号DN1、別の弁制御基板の基板番号BN2、及び、複製情報CI20を含む製品情報を台所リモコン100に送信する。T122は、製品情報が基板番号BN2と複製情報CI20を含む点を除いて、T20と同様である。
【0056】
管理サーバ200は、T122において、台所リモコン100から製品情報を受信すると(
図2のS10でYES)、受信済みの製品情報に含まれる装置番号DN1が管理テーブル256に記憶されていると判断する(S12でYES)。T130は、複製情報CI1が特定される点を除いて、T30と同様である。
【0057】
T132では、管理サーバ200は、特定済みの基板番号BN1と製品情報内の基板番号BN2が一致しないと判断する(
図2のS22でNO)。T140では、管理サーバ200は、T130で特定された複製情報CI1を台所リモコン100に送信する(S24)。さらに、T136では、管理サーバ200は、管理テーブル256内の基板番号BN1に代えて、製品情報内の基板番号BN2を管理テーブル256に記憶する(S26)。
【0058】
台所リモコン100は、T140において、Wi-FiI/F122を介して、管理サーバ200から複製情報CI1を受信すると、T142において、BTI/F120を介して、複製情報CI1を加熱調理器10に送信する。
【0059】
加熱調理器10は、T142において、BTI/F20を介して、台所リモコン100から複製情報CI1を受信すると、T150において、複製情報CI1を別の弁制御基板のメモリに記憶させる。
【0060】
本ケースによれば、加熱調理器10は、弁制御基板30が加熱調理器10に装着されている場合に、インターネット6を介して、複製情報CI1を管理サーバ200に送信する(
図3のT22)。これにより、管理サーバ200は、複製情報CI1を記憶する(T40)。また、加熱調理器10は、弁制御基板30が別の弁制御基板に交換される場合に、インターネット6を介して、基板番号BN2を管理サーバ200に送信し(T122)、管理サーバ200から複製情報CI1を受信し、複製情報CI1を別の弁制御基板に記憶させる(T150)。即ち、上記の構成によれば、インターネット6を介して通信可能な管理サーバ200を利用して、交換前の弁制御基板30に記憶されている設定情報SI1の複製情報CI1の記憶が可能となり、管理サーバ200を加熱調理器10の近くに設ける必要がない。
【0061】
また、加熱調理器10は、Wi-FiI/F122を備える台所リモコン100を介して、管理サーバ200と通信を実行する(
図3のT22、T122、T140)。このような構成によれば、加熱調理器10は、Wi-FiI/Fを備えなくても、インターネット6を介して通信可能な管理サーバ200と、台所リモコン100を介して通信を実行することができる。
【0062】
また、加熱調理器10とともに台所に設置される台所リモコン100を中継装置として利用することによって、通信システム2を簡易に実現することができる。
【0063】
また、加熱調理器10がWi-FiI/Fを備える比較例が想定される。この比較例では、加熱調理器10は、Wi-FiI/Fとインターネット6を介して、管理サーバ200と通信可能である。一般に、Wi-FiI/Fは、BTI/F20よりも消費電力が高い。本実施例の構成によれば、消費電力が比較的に低いBTI/F20を備えることによって、加熱調理器10の消費電力を低減することができる。なお、変形例では、比較例の構成を採用してもよい。
【0064】
(ケースA2;
図4)
T10~T34は、
図3と同様である。本ケースでは、複製情報CI1を生成する処理が正常に終了しなかったことに起因して、複製情報CI1の内容が正常でない。このため、T56では、管理サーバ200は、複製情報CI1の内容が正常でないと判断する(
図2のS32でNO)。T60では、管理サーバ200は、複製情報CI1の内容を正常な内容に修正し、修正後の複製情報CI3を管理テーブル256に記憶する(S36)。
【0065】
T210~T222は、
図3のT110~T122と同様である。T230は、複製情報CI3が特定される点を除いて、
図3のT130と同様である。T232、T236は、
図3のT132、T136と同様である。T240、T242は、複製情報CI3が送信される点を除いて、
図3のT140、T142と同様である。T250は、複製情報CI3が記憶される点を除いて、
図3のT150と同様である。
【0066】
本ケースによれば、管理サーバ200は、内容が正常でない複製情報CI1が受信される場合に、複製情報CI1を記憶しない(
図4のT60)。この構成によれば、内容が正常でない複製情報CI1の記憶を防止することができる。この結果、内容が正常でない複製情報CI1が加熱調理器10に送信されることを防止することができる。
【0067】
また、管理サーバ200は、内容が正常でない複製情報CI1が受信される場合に、修正後の複製情報CI3を記憶する(
図4のT60)。そして、管理サーバ200は、加熱調理器10から基板番号BN2が受信される場合に、修正後の複製情報CI3を加熱調理器10に送信する(T240)。このような構成によれば、内容が正常でない複製情報CI1が受信される場合であっても、内容が正常な複製情報CI3を加熱調理器10に送信することができる。
【0068】
(対応関係)
加熱調理器10、管理サーバ200、台所リモコン100が、それぞれ、「加熱装置」、「記憶装置」、「中継装置」の一例である。コンロバーナ12、グリルバーナ14が、「加熱部」の一例である。弁制御基板30、別の弁制御基板が、それぞれ、「第1基板」、「第2基板」の一例である。BTI/F120が、「通信手段」の一例である。基板設定値とユーザ設定値が、「設定値」の一例である。
図3の設定情報SI1内の設定値、複製情報CI1内の設定値、設定情報SI0内の設定値、複製情報CI0内の設定値、
図4の修復後の複製情報CI3内の設定値が、それぞれ、「第1設定値」、「第1複製値」、「第2設定値」、「第2複製値」、「第3複製値」の一例である。基板番号BN1が、「第1識別情報」の一例である。基板番号BN2が、「判断情報(及び第2識別情報)」の一例である。
【0069】
(第2実施例)
第2実施例は、
図2の管理サーバ200の処理において、S36の処理が実行されない点を除いて、第1実施例と同様である。
【0070】
(具体的なケース;
図5)
図5を参照して、本実施例の通信システム2によって実現される具体的なケースBを説明する。T10~T34は、
図3と同様である。本ケースでも、第1実施例のケースA2と同様に、複製情報CI1の内容が正常でない。このため、T76では、管理サーバ200は、複製情報CI1の内容が正常でないと判断し(
図2のS32でNO)、複製情報CI1を記憶することなく
図2の処理を終了する。即ち、複製情報CI1が受信された後において、管理テーブル256には、変更前の設定情報SI0の複製情報CI0が記憶されている。
【0071】
T310~T322は、
図3のT110~T122と同様である。T330は、複製情報CI0が特定される点を除いて、
図3のT130と同様である。T332、T336は、
図3のT132、T136と同様である。T340、T342は、複製情報CI0が送信される点を除いて、
図3のT140、T142と同様である。T350は、複製情報CI0が記憶される点を除いて、
図3のT150と同様である。
【0072】
本ケースでも、第1実施例のケースA2と同様に、内容が正常でない複製情報CI1が加熱調理器10に送信されることを防止することができる。また、管理サーバ200は、加熱調理器10から基板番号BN2が受信される場合に、内容が正常でない複製情報CI1が受信される前から管理テーブル256に記憶されている複製情報CI0を加熱調理器10に送信する(
図5のT340)。このような構成によれば、内容が正常でない複製情報CI1が受信される場合であっても、内容が正常な複製情報CI0を加熱調理器10に送信することができる。
図5のT340の複製情報CI0が、「内容が正常でない第1複製値が受信される前から記憶装置に記憶されている複製値」の一例である。
【0073】
(第3実施例)
第3実施例は、台所リモコン100の処理と管理サーバ200の処理の内容が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。本実施例では、管理テーブル256は、基板番号を記憶せず、装置番号と複製情報を記憶する(
図1参照)。また、台所リモコン100のメモリ152には、加熱調理器10に装着されている弁制御基板の基板番号(例えば、基板番号BN1)が記憶される(
図1参照)。
【0074】
(台所リモコン100の処理;
図6)
図6を参照して、台所リモコン100が実行する処理について説明する。
図6の処理は、台所リモコン100の電源が投入されることをトリガとして開始される。
【0075】
S110では、台所リモコン100の制御部150は、BTI/F120を介して、加熱調理器10から第1製品情報を受信することを監視する。第1製品情報は、加熱調理器10の装置番号DN1、弁制御基板30の基板番号BN1、及び、複製情報(例えば、複製情報CI0)を含む。制御部150は、加熱調理器10から第1製品情報を受信する場合(S110でYES)に、S112に進む。
【0076】
S112では、制御部150は、基板番号が台所リモコン100のメモリ152に記憶されているのか否かを判断する。制御部150は、基板番号がメモリ152に記憶されていないと判断する場合(S112でNO)に、S114において、第1製品情報に含まれている基板番号をメモリ152に新たに記憶する。そして、制御部150は、S116において、Wi-FiI/F122とインターネット6を介して、加熱調理器10の装置番号DN1と第1製品情報内の複製情報を含む第2製品情報を管理サーバ200に送信する。S116が終了すると、
図6の処理が終了する。
【0077】
また、制御部150は、基板番号がメモリ152に記憶されていると判断する場合(S112でYES)に、S122に進む。S122では、制御部150は、メモリ152内の基板番号が第1製品情報に含まれる基板番号と一致するのか否かを判断する。制御部150は、メモリ152内の基板番号が第1製品情報内の基板番号と一致しないと判断する場合(S122でNO)に、弁制御基板が交換されたと判断して、S124に進む。
【0078】
S124では、制御部150は、Wi-FiI/F122とインターネット6を介して、加熱調理器10の装置番号DN1と交換情報を含む第2製品情報を管理サーバ200に送信する。交換情報は、弁制御基板が交換されたことを示す情報である。さらに、S126では、制御部150は、メモリ152内の基板番号に代えて、第1製品情報内の基板番号をメモリ152に記憶する。S126が終了すると、
図6の処理が終了する。
【0079】
また、制御部150は、メモリ152内の基板番号が第1製品情報内の基板番号と一致すると判断する場合(S122でYES)に、弁制御基板が交換されていないと判断して、S116に進む。
【0080】
(管理サーバ200の処理;
図7)
図7を参照して、本実施例において管理サーバ200が実行する処理について説明する。S210は、第2製品情報の受信を監視する点を除いて、
図2のS10と同様である。S212は、第2製品情報に含まれる装置番号DN1が記憶されているのか否かを判断する点を除いて、
図2のS12と同様である。制御部250は、第2製品情報に含まれる装置番号DN1が記憶されていないと判断される場合(S212でNO)にS214に進み、第2製品情報に含まれる装置番号DN1が記憶されていると判断される場合(S212でYES)にS220に進む。S214は、第2製品情報が管理テーブル256に記憶される点を除いて、
図2のS14と同様である。S220では、制御部250は、管理テーブル256から第2製品情報に含まれる装置番号DN1に対応する複製情報を特定する。
【0081】
S222では、制御部250は、交換情報が第2製品情報に含まれるのか否かを判断する。制御部250は、交換情報が第2製品情報に含まれると判断する場合(S222でYES)に、弁制御基板が交換されたと判断して、S224に進む。S224は、
図2のS24と同様である。S224が終了すると、
図7の処理が終了する。
【0082】
また、制御部250は、交換情報が第2製品情報に含まれないと判断する場合(S222でNO)に、弁制御基板が交換されていないと判断して、S230に進む。S230~S236は、
図2のS30~S36と同様である。
【0083】
(具体的なケース;
図8)
図8を参照して、本実施例の通信システム2によって実現される具体的なケースCを説明する。本ケースの初期状態では、台所リモコン100のメモリ152に、弁制御基板30の基板番号BN1が記憶されている。また、管理テーブル256に、装置番号DN1と複製情報CI0が記憶されている。
【0084】
T410は、
図3のT10と同様である。T420は、装置番号DN1、基板番号BN1、及び、複製情報CI1を含む第1製品情報が台所リモコン100に送信される点を除いて、
図3のT20と同様である。
【0085】
台所リモコン100は、T420において、加熱調理器10から第1製品情報を受信すると(
図6のS110でYES)、基板番号BN1がメモリ152に記憶されていると判断する(S112でYES)。T421では、台所リモコン100は、メモリ152内の基板番号BN1と第1製品情報内の基板番号BN1が一致すると判断する(
図6のS122でYES)。T422は、装置番号DN1と複製情報CI1を含む第2製品情報が管理サーバ200に送信される点を除いて、
図3のT22と同様である。
【0086】
管理サーバ200は、T422において、台所リモコン100から第2製品情報を受信すると(
図7のS210でYES)、第2製品情報内の装置番号DN1が記憶されていると判断し(S212でYES)、管理テーブル256から装置番号DN1に対応する複製情報CI0を特定する(S220)。そして、管理サーバ200は、第2製品情報が交換情報を含まないと判断して(S222でNO)、
図3のT34~T40と同様の処理を実行する。この結果、管理テーブル256内の複製情報CI0に代えて、第2製品情報内の複製情報CI1が管理テーブル256に記憶される(
図7のS234)。
【0087】
また、本ケースでも、
図3のT110と同様に、T510において、弁制御基板30が別の弁制御基板に交換される。T520は、装置番号DN1、基板番号BN2、及び、複製情報CI20を含む第1製品情報が台所リモコン100に送信される点を除いて、
図3のT120と同様である。
【0088】
T521は、メモリ152内の基板番号BN1と第1製品情報内の基板番号BN2が一致しないと判断される点を除いて、T421と同様である(
図6のS122でNO)。T522は、第2製品情報に交換情報が含まれる点を除いて、T422と同様である(S124)。また、台所リモコン100は、T524において、第1製品情報内の基板番号BN2をメモリ152に記憶する(S126)。
【0089】
管理サーバ200は、T522において、台所リモコン100から交換情報を含む第2製品情報を受信すると(
図7のS210でYES)、第2製品情報内の装置番号DN1が記憶されていると判断し(S212でYES)、管理テーブル256から装置番号DN1に対応する複製情報CI1を特定する。そして、管理サーバ200は、T532において、第2製品情報が交換情報を含むと判断する(S222でYES)。T540~T550は、
図3のT140~T150と同様である(S224)。この結果、複製情報CI1が別の弁制御基板のメモリに記憶される。
【0090】
本実施例でも、第1実施例と同様に、管理サーバ200を加熱調理器10の近くに設ける必要がない。また、本実施例によれば、台所リモコン100が基板番号を記憶して、基板番号を利用して、弁制御基板が交換されたのか否かの判断を実行する(
図8のT421、T521)。即ち、管理サーバ200は、基板番号を記憶しなくてもよい。上記の第1実施例では、管理テーブル256には、複数個の基板番号が記憶される(
図1参照)。複数個の基板番号が記憶される第1実施例と比較して、管理サーバ200に記憶される情報が増大することを抑制することができる。
【0091】
(対応関係)
図8のT520の基板番号BN2、T522の交換情報が、それぞれ、「第1判断情報」、「第2判断情報」の一例である。
【0092】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の各実施例の変形例を以下に列挙する。
【0093】
(変形例1)「加熱装置」は、ガス燃焼式のビルトインコンロに限らず、例えば、IH調理器、電気オーブン、暖房機、給湯器でもよい。
【0094】
(変形例2)「中継装置」は、台所リモコン100に限らず、加熱調理器10と通信可能な装置(例えば、スマートフォン等の端末装置、加熱調理器10の周辺機器(例えば、レンジフード)、周辺機器を操作するためのリモコン)でもよい。
【0095】
(変形例3)加熱調理器10は、製品情報を定期的に管理サーバ200に送信しなくてもよい。例えば、加熱調理器10は、ユーザの操作に応じて、製品情報を管理サーバ200に送信してもよい。
【0096】
(変形例4)加熱調理器10は、弁制御基板30内の設定情報が変更される場合に、製品情報を管理サーバ200に送信しなくてもよい。例えば、加熱調理器10は、製品情報を定期的に管理サーバ200に送信するのみでもよい。
【0097】
(変形例5)加熱調理器10は、制御部50を備えなくてもよい。この場合、加熱調理器10の弁制御基板30は、弁制御基板30に記憶されているプログラムに従って、例えば、
図3のT20、T120、T142、T150の処理を実行してもよい。本変形例では、「基板」は、加熱部のみならず加熱部以外の部分(例えば、BTI/F20)を制御するものであってもよい。
【0098】
(変形例6)
図2のS32、S36の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「第1複製値の内容が正常であるのか否かを判断」することを省略可能である。
【0099】
(変形例7)上記の各実施例では、加熱調理器10は、台所リモコン100を介して、管理サーバ200と通信する。これに代えて、加熱調理器10は、管理サーバ200と直接通信してもよい。本変形例では、「通信システム」は、「中継装置」を備えなくてもよい。
【0100】
(変形例8)上記の第1実施例では、加熱調理器10は、弁制御基板が交換される場合に、基板番号を含む製品情報を管理サーバ200に送信する(
図3のT120)。これに代えて、加熱調理器10は、弁制御基板が交換されたことを検知するための手段(例えば、センサ)を備えてもよい。そして、加熱調理器10は、弁制御基板が交換されたことが検知される場合に、交換情報を含む製品情報を管理サーバ200に送信してもよい。本変形例では、交換情報が、「判断情報」の一例である。
【0101】
(変形例9)上記の第3実施例では、管理サーバ200は、
図7のS222において、第2製品情報が交換情報を含むか否かを判断する。これに代えて、第2製品情報は、弁制御基板が交換される場合に、装置番号DN1のみを含み、弁制御基板が交換されない場合に、装置番号DN1と複製情報を含んでもよい。そして、管理サーバ200は、S222において、第2製品情報が複製情報を含むか否かを判断してもよい。管理サーバ200は、第2製品情報が複製情報を含まないと判断する場合に、S224に進み、第2製品情報が複製情報を含むと判断する場合に、S230に進んでもよい。本変形例では、複製情報を含まない第2製品情報が、「第2判断情報」の一例である。
【0102】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0103】
2 :通信システム
6 :インターネット
10 :加熱調理器
12 :コンロバーナ
14 :グリルバーナ
16 :コンロ調整弁
18 :グリル調整弁
20 :BTI/F
30 :弁制御基板
32 :メモリ
50 :制御部
52 :メモリ
54 :プログラム
100 :台所リモコン
120 :BTI/F
122 :Wi-FiI/F
150 :制御部
152 :メモリ
154 :プログラム
200 :管理サーバ
250 :制御部
252 :メモリ
254 :プログラム
256 :管理テーブル
300 :端末装置
BN1、BN2 :基板番号
CI0、CI1、CI20、CI3 :複製情報
DN1 :装置番号
SI0、SI1 :設定情報