(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】缶蓋検査機並びにカメラ位置調整方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/89 20060101AFI20221020BHJP
G01N 21/90 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
G01N21/90 C
(21)【出願番号】P 2018194151
(22)【出願日】2018-10-15
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】小暮 利夫
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0291440(US,A1)
【文献】特開2008-70202(JP,A)
【文献】特開2008-3418(JP,A)
【文献】特開平9-21939(JP,A)
【文献】特開2018-48969(JP,A)
【文献】特開平8-50102(JP,A)
【文献】特開2012-173045(JP,A)
【文献】特開2012-242233(JP,A)
【文献】特開平8-101137(JP,A)
【文献】特開平7-270864(JP,A)
【文献】特開2015-30050(JP,A)
【文献】特開平3-260876(JP,A)
【文献】米国特許第6151407(US,A)
【文献】中国特許出願公開第107228825(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/01、21/17-21/61
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
G03B 15/00-17/58
H04N 5/225-5/257
H04N 7/00-7/56
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査台に載置された缶蓋を照らす環状の照明器と、
円筒形のレンズ保持筒を有するカメラと、
中心に円形の覗き穴が形成され、レンズ保持筒がこの覗き穴に臨む位置にカメラが取り付けられる台座ベースと、
下端に前記照明器が固定され、上部に前記台座ベースを支持する支柱と、
外直径が前記台座ベースの覗き穴の直径に対応して該覗き穴に嵌合され、内直径が前記カメラのレンズ保持筒の外直径に対応して該レンズ保持筒が嵌合される環体の外周面に、
鍔部が突設されたカメラ位置決め治具と、
前記照明器の下面に着脱自在に取り付けられ、照明器の中心が標示された照明中心校正治具と、
前記カメラで撮影した缶蓋の画像を解析する解析装置と、
を備えることを特徴とする缶蓋検査機。
【請求項2】
前記カメラ位置決め治具の環体は完全環体の一部分であり、中心角が90°~180°の部分環体である請求項1に記載の缶蓋検査機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の缶蓋検査機において、
台座ベースの覗き穴に嵌合したカメラ位置決め
治具にカメラのレンズ保持筒を嵌合して、覗き穴の中心線とレンズ保持筒の中心線を合わせ、
照明器の下端に取り付けた照明中心校正治具を撮影し、撮影された画像において照明器の中心がレンズ保持筒の中心である画像の中心と一致するように台座ベースの傾きを調節することを特徴とするカメラ位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料や食品用の缶胴に取り付ける缶蓋を検査する缶蓋検査機、およびその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の缶蓋は、アルミニウムやスチールの薄板を円形に打ち抜いて外周部をカールさせるシェルプレス、カール部に缶胴と気密性を高めるためコンパウンドを塗布する塗布工程、飲み口を加工しタブを取り付けるコンバーションプレスを経て製造される。これらの工程はワークをコンベアで搬送して順次行い、工程の途中および缶蓋完成後の検査も一連の工程中に行われる。缶蓋の検査としては、塗布工程後に内面検査(EIT)を行い、コンバーションプレス後にリベット検査(RIT)、外面検査(EOS)、内面検査(EIS)を行う。これらの検査では撮影した画像を解析して缶蓋の良否判定を行っている(特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1には、積み重ねられた缶蓋の外周面を撮像して欠陥を検出する検査装置が記載されている。特許文献2および特許文献3には、缶蓋の外周部におけるコンパウンドの塗布不良を検査する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-239249号公報
【文献】特公平3-45785号公報
【文献】特開昭63-151803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3は検査方法を開示しているが、検査精度および検査精度を向上させる方策に関する記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した従来技術に鑑み、検査精度の高い缶蓋検査機およびカメラ位置調整方法、ならびにこれに使用するカメラ位置決め治具の提供を目的とする。
【0007】
即ち、本発明の下記[1]~[4]に記載の構成を有する。
【0008】
[1]検査台に載置された缶蓋を照らす環状の照明器と、
円筒形のレンズ保持筒を有するカメラと、
中心に円形の覗き穴が形成され、レンズ保持筒がこの覗き穴に臨む位置にカメラが取り付けられる台座ベースと、
下端に前記照明器が固定され、上部に前記台座ベースを支持する支柱と、
外直径が前記台座ベースの覗き穴の直径に対応して該覗き穴に嵌合され、内直径が前記カメラのレンズ保持筒の外直径に対応して該レンズ保持筒が嵌合される環体の外周面に、鍔部が突設されたカメラ位置決め治具と、
前記照明器の下面に着脱自在に取り付けられ、照明器の中心が標示された照明中心校正治具と、
前記カメラで撮影した缶蓋の画像を解析する解析装置と、
を備えることを特徴とする缶蓋検査機。
【0009】
[2]前記カメラ位置決め治具の環体は完全環体の一部分であり、中心角が90°~180°の部分環体である前項1に記載の缶蓋検査機。
【0010】
[3]前項1または2に記載の缶蓋検査機において、
台座ベースの覗き穴に嵌合したカメラ位置決め治具にカメラのレンズ保持筒を嵌合して、覗き穴の中心線とレンズ保持筒の中心線を合わせ、
照明器の下端に取り付けた照明中心校正治具を撮影し、撮影された画像において照明器の中心がレンズ保持筒の中心である画像の中心と一致するように台座ベースの傾きを調節することを特徴とするカメラ位置調整方法。
【0011】
[4]台座ベースに形成された円形の覗き穴の中心線とカメラのレンズ保持筒の中心線と合わせる治具であり、
外直径が前記台座ベースの覗き穴の直径に対応して該覗き穴に嵌合され、内直径が前記カメラのレンズ保持筒の外直径に対応して該レンズ保持筒が嵌合される環体の外周面に鍔部が突設されていることを特徴とするカメラ位置決め治具。
【発明の効果】
【0012】
上記[1]に記載の缶蓋検査機によれば、台座ベースの中心に形成した覗き穴に嵌合したカメラ位置決め治具にカメラのレンズ保持筒を嵌合させることによってレンズ保持筒の保持筒の中心線を覗き穴の中心線に合わせ、さらにレンズ保持筒の中心線を照明中心校正治具に標示された照明器の中心に合わせることにより、カメラで撮影した画像の中心を照明器の中心に合わせることができる。従って、缶蓋の中心が画像の中心に一致した時点で撮影すると、缶蓋が周方向の全方向から均等に照明された画像が得られる。このような画像に基づいた画像解析においては、照明むらによる検査精度の低下を排除し、検査精度を高めることができる。
【0013】
上記[2]に記載の缶蓋検査機によれば、カメラ位置決め治具の中心角が90°~180°の部分環体であるから、台座ベースの覗き穴への着脱が容易である。
【0014】
上記[3]に記載のカメラ位置調整方法によれば、台座ベースの中心に形成した覗き穴に嵌合したカメラ位置決め治具にカメラのレンズ保持筒を嵌合させることによってレンズ保持筒の保持筒の中心線を覗き穴の中心線に合わせ、さらにレンズ保持筒の中心線を照明中心校正治具に標示された照明器の中心に合わせることにより、カメラで撮影した画像の中心が照明器の中心に合わせることができる。
【0015】
上記[4]に記載のカメラ位置決め治具によれば、台座ベースの中心に形成した覗き穴に嵌合したカメラ位置決め治具にカメラのレンズ保持筒を嵌合させることによってレンズ保持筒の保持筒の中心線を覗き穴の中心線に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図1の缶蓋検査機に取り付けられた第1台座ベースの斜視図である。
【
図3A】カメラを取り付けた第1台座ベースの平面図である。
【
図3B】カメラを取り付けた第1台座ベースの側面図である。
【
図6A】カメラ位置を調整する前の缶蓋検査機の正面図である。
【
図6B】カメラ位置を調整する前の缶蓋検査機の第1台座ベースの平面図である。
【
図7A】カメラ位置決め治具を装着した缶蓋検査機の正面図である。
【
図7B】カメラ位置決め治具を装着した缶蓋検査機の第1台座ベースの平面図である。
【
図8A】照明中心校正
治具を取り付けた缶
蓋検査機の正面図である。
【
図8B】
図8Aの缶蓋検査機において照明中心校正治具を撮影した画像である。
【
図9A】レンズ保持筒の中心線が照明器の中心線が一致した缶蓋検査機の正面図である。
【
図9B】
図9Aの缶蓋検査機において照明中心校正治具を撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~
図9Bに本発明の缶蓋検査機の一実施形態を示す。
【0018】
缶蓋検査機1は、缶蓋Wを搬送するコンベア2の上方にコンベア2を跨いでコンベア2の載置面から離れ、かつ下面が載置面と平行に設置されている。そして、前記缶蓋検査機1の直下に搬送されてきた缶蓋Wを順次撮影し、画像解析によって検査する。前記コンベア2は本発明における検査台に対応する。前記缶蓋検査機1の使用時は全体を覆うカバーを装着して外光の影響を排除するが、
図1、
図6A、
図7A、
図8Aおよび
図9Aはカバーを外した状態を示している。
【0019】
前記缶蓋検査機1は、主たる構成部材として、3本の支柱10、照明器20、第1台座ベース30、第2台座ベース40、カメラ50、カメラ位置決め治具100、照明中心校正治具110を備え、さらに図示されない画像解析装置を備えている。なお、
図1、
図6B、
図7A、
図8Aおよび
図9Aにおいて、支柱10は図面の手前側の2本のみを表示し、奥側の1本の表示を省略している。
【0020】
前記照明器20はP1を中心線とする環形であり、3本の支柱10の下端に、全ての支柱10が中心線P1に平行する態様で固定されている。前記照明器20は、環形ケース21の内周面が光透過性の保護カバー22で形成され、環形ケース21の内側が照明領域となる。前記環形ケース21の上面に複数個のLED電球23が周方向に所定間隔で取り付けられ、環状のLED電球23列の内周側に設置されたデフューザー24によって照明領域が周方向に均等に照明される。前記照明器20は検査対象である缶蓋W、および缶蓋Wを載置するコンベア2に対する主照明器である。
【0021】
前記支柱10の上部に第1台座ベース30が取り付けられ、第1台座ベース30と照明器20との間のほぼ中間位置に第2台座ベース40が取り付けられている。前記第1台座ベース30にはカメラ50が取り付けられ、第2台座ベース40には後述する副照明器が取り付けられている。
【0022】
前記第1台座ベース30は、
図2に示すように、中心に円形の撮影用の覗き穴31が形成された円形板であり、外周縁の3箇所に半径方向外側に突出する係合部32が延設され、その中心に係合孔33が穿設されている。前記覗き穴31の中心線をP2とする。また、前記覗き穴31の傍らに2つの座板取付穴34が穿設されている。前記
第1台座ベース30は、3箇所の係合部32の係合孔33のそれぞれに支柱10を貫入し、係合部32の上下に配置したC字形のカーラー35をボルト36で締め付けることによって支柱
10の所定の高さに取り付けられている。3つのカーラー35はそれぞれ支柱10上の任意の位置に取り付けることができ、カーラー35の取付位置によって第1台座ベース30の取付高さが設定される。
【0023】
前記カメラ50は直方体の本体部51と本体部51の一つの面から突出する円柱形のレンズ保持筒52からなり、長方形の座板60とL字形のブラケット64を介して第1台座ベース30に取り付けられている。前記レンズ保持筒52の中心線P3とする(
図3B参照)。前記カメラ50で撮影すると、前記中心線P3の位置が画像の中心となる。
【0024】
前記座板60は、長手方向に沿って形成された長孔61を第1台座ベース30の座板取付穴34に合わせ、長孔61および座板取付穴34にボルト62を挿入して締めることによって第1台座ベース30に固定されている。また、挿入したボルト62を緩めると、第1台座ベース30に係合された座板60を長孔61の長手方向に沿ってスライドさせることができる。ここで、第1台座ベース30上の座板60のスライド方向をX方向とする(
図3A参照)。前記ブラケット64は、垂直部65にカメラ50の本体部51がボルト66で固定され、水平部67が前記座板60に係合される。前記垂直部65には上下2段に各2個のボルト穴が設けられており、カメラ50の取付高さを選択できる。
図3Bは上段のボルト穴を用いて本体部51を取り付けた例を示している。前記水平部67には垂直部65に直交する方向に2つの長孔68が設けられている。前記ブラケット64は、水平部67の長孔68が座板60の長孔61と直交するように座板60上に配置し、ボルト69を座板60の長孔61に挿入して締めることにより座板60に固定されている。また、挿入したボルト69を緩めると、座板60に係合された水平部67を長孔68の長手方向に沿ってスライドさせることができる。ここで、座板60に係合された水平部67の長孔68の長手方向を、X方向に直交するY方向とする(
図3A参照)。
【0025】
以上より、前記ブラケット64は、座板60とともにX方向にスライドし、座板60上でY方向にスライドする。そして、カメラ50は、座板60およびブラケット64を介して第1台座ベース30上をX方向およびY方向にスライドし、スライド範囲内の任意の位置に固定することができる。
【0026】
前記カメラ50で撮影した画像は図外の画像解析装置に送られる。
【0027】
前記第2台座ベース40は第1台座ベース30と同形であり、中心に覗き穴が形成された円形板の外周縁に、円形の係合孔が形成された係合部42が延設されている。前記第2台座ベース40は、C形のカーラー35とボルト36によって3本の支柱10に取り付けられていることも第1台座ベース30と同じである。
【0028】
前記第2台座ベース40の上面に、ビームスプリッター70が第2台座ベース40に対して45°に傾斜して設置されている。前記ビームスプリッター70の上端側側方に光源71が設置され、この光源71に対向する下端側側方に遮蔽板72が設置されている。また、前記ビームスプリッター70の上端側側方および下端側側方を除く二側方にカバー73が設置されている。前記光源71から放射されビームスプリッター70に対して45°で入射した光は、透過光と反射角45°の反射光に分けられる。前記透過光は遮蔽板72に吸収され、反射光はフンネル80の上端開口部82を通ってコンベア2を照明する。前記光源71およびビームスプリッター70は検査対象である缶蓋W、および缶蓋Wを載置するコンベア2に対する副照明器を構成している。
【0029】
さらに、前記照明器20と第2台座ベース40と間に、下方に向かって直径が拡大されたフンネル80が設置されている。前記フンネル80の下端開口部81と照明器20の間に円筒形のスペーサー83が設置されている。
【0030】
前記缶蓋検査機1は、検査開始前の調整治具として、
図4のカメラ位置決め治具100および
図5の照明中心校正治具110を備えている。
【0031】
前記カメラ位置決め治具100は、完全な環状体101のうちの中心角180°の部分で構成された半環体102と、この半環体102の外周面の突設された鍔部103とを備えている。前記環体101の外周面と内周面は同心であり、外直径R1は第1台座ベース30の覗き穴31の直径に対応し、かつ覗き穴31に嵌合できるように僅かに縮径され、内直径R2はカメラ50のレンズ保持筒52の外直径に対応し、かつレンズ保持筒52を嵌合できるように僅かに拡径されている。前記鍔部103は、半環体102の高さ方向の中間よりもやや下方において周方向の全体に突設されている。前記カメラ位置決め治具100の半環体102を第1台座ベース30の覗き穴31に嵌合すると、半環体102が鍔部103によって第1台座ベース30に支持される。
【0032】
前記照明中心校正治具110は正方形の樹脂板に2本の対角線111を標示したものである。前記照明中心校正治具110は照明器20の下端面に、照明器20の中心線P1の位置が対角線111の交点112と一致するように取り付けられ、交点112が照明器20の中心を標示している。照明器20における照明中心校正治具110の取付位置はあらかじめ設定されている。
【0033】
[缶蓋検査機の調整手順]
図6A~
図9Bを参照しつつ、カメラ50のレンズ保持筒52の中心線P3を照明器20の中心線P1に合わせる手順について説明する。
【0034】
(1)
図6Aおよび
図6Bは調整前の状態を示している。カメラ50は座板60およびブラケット64を介して第1台座ベース30に仮付けされているが、レンズ保持筒52の中心線P3は、照明器20の中心線P1からずれ(
図6A参照)、第1台座ベース30の覗き穴31の中心線P2ともずれている(
図6B参照)。
【0035】
(2)ブラケット64におけるカメラ50の取付位置を調整する。スコヤ等を用いてレンズ保持筒52の中心線P3がブラケット64の水平部67に対して正確に直角になるように、垂直部65におけるカメラ本体51の取付角度を調整する。
【0036】
(3)
図7Aおよび
図7Bに示すように、第1台座ベース30の覗き穴31にカメラ位置決め治具100を嵌合し、カメラ位置決め治具100にレンズ保持筒52を嵌合する。この操作のために、ボルト62、69を緩めてブラケット64をXY方向に適宜スライドさせ覗き穴61とレンズ保持筒52との間にカメラ位置決め治具100を差し入れるスペースを作り、覗き穴31にカメラ位置決め治具100を嵌合し、かつカメラ位置決め治具100にレンズ保持筒52を嵌合させた姿勢でボルト62、69を締めてカメラ50を第1台座ベース30に固定する。前記覗き穴31と、カメラ位置決め治具100の外周面および内周面は同心であるから、カメラ位置決め治具100にレンズ保持筒52を嵌合させると、レンズ保持筒52の中心線P3は覗き穴31の中心線P2と一致する。
【0037】
(4)照明器20の下端に照明中心校正治具110を取り付けて照明器20の中心線P1の位置を照明中心校正治具110の対角線111の交点112で表示する。前記照明中心校正治具110を取り付けて撮影すると、画像に照明器20の中心線P1の位置が対角線111の交点112として映り込む。そして、撮影した画像の中心、即ちレンズ保持筒52の中心線P3が照明器20の中心線P1と一致しているときは対角線111の交点112が画像の中心P3と一致し(
図9A、
図9B参照)、一致していないときは対角線111の交点112が画像の中心P3からずれている(
図8A、
図8B参照)。画像の中心P3と交点112とのずれの有無は画像解析装置において判断する。
【0038】
(5)上記(4)で撮影した画像において、対角線111の交点112(照明器20の中心線P1)が画像中心P3からずれている場合(
図8B)は第1台座ベース30が照明器20に対して傾いているので、第1台座ベース30の3箇所の係合部32の支柱10における上下方向の取付位置を調整して対角線の交点112を画像の中心に位置するように第1台座ベース30の傾きを調整する。
図8Aは図面右側の係合部32の取付位置を高くする例を示している。このとき、上側のカーラー35を上げて固定してから第1台座ベース30を上げ、さらに下側のカーラー35を上げて固定すると、第1台座ベース30の不本意なずり落ちを防ぐことができる。
【0039】
以上の方法でカメラ50の位置を設定した缶蓋検査機1においては、照明器20の中心線P1とレンズ保持筒52の中心線P3が一致し、照明器20の中心が画像の中心と一致している。従って、缶蓋検査機1に運ばれてきた缶蓋Wの中心が画像の中心に一致した時点で撮影すると、缶蓋Wが周方向の全方向から均等に照明された画像が得られる。このような画像に基づいた画像解析においては、照明むらによる検査精度の低下を排除し、検査精度を高めることができる。また、本発明は缶蓋Wに対する照明むらのない画像が得られる缶蓋検査機1であるから、検査の内容は限定されず、コンパウンド塗布後の内面検査(EIT)、コンバージョンプレス後のリベット検査(RIT)、外面検査(EOS)、内面検査(EIS)のいずれの検査にも適用できる。
【0040】
[カメラ位置決め治具の他の形態]
前記カメラ位置決め治具100は完全環体101の1/2の半環体102であり、完全環体101の一部分である部分環体である。このような部分環体は座板60およびブラケット64の反対側から覗き穴31に近づけることでこれらに干渉することなく覗き穴31に嵌合させ、カメラ50をXY方向にスライドさせることができる。また、所定位置にカメラ50を固定した後、中心角が180°以下の部分環体は、カメラ位置決め治具100を第1台座ベース30の上面よりも上方にスライドさせることが可能である場合はカメラ位置決め治具100を覗き穴31から取り外すことができる。部分環体の中心角に下限値に制限はないが、覗き穴31への嵌合状態が安定しかつ覗き穴31からの落下を防ぐためには中心角が90°以上の部分環体であることが好ましい。部分環体の好ましい中心角は90°~180°であり、150°~180°であればさらに望ましい。また、カメラ位置決め治具をカメラ固定後に取り外し可能な形状にすることで、1つのカメラ位置決め治具を他の缶蓋検査機と共有できる。
【0041】
但し、本発明は完全環体のカメラ位置決め治具を排除するものではない。完全環体の治具にレンズ保持筒を嵌合させるにはレンズ保持筒を一旦治具よりも高い位置に持ち上げる必要があるが、取付可能である。また、レンズ保持筒を嵌合させた後にカメラ位置決め治具を取り外すことはできないが、カメラ位置決め治具は撮影の邪魔にならないので検査の障害にはならない。
【0042】
また、前記鍔部の位置は部分環体または完全環体の高さ方向の中間部に限定されない。鍔部は覗き穴に嵌合した部分環体または完全環体を台座ベースの上面で支持できればよいので、部分環体または完全環体の上端部に鍔部を形成することもできる。また、
図4のカメラ位置決め治具100のように、鍔部103が環体の高さ方向の中心からずれた位置に形成されている場合は、台座ベースの厚みやカメラの取付高さに応じて上下を逆転させて使用することもできる。
【0043】
[照明中心校正治具の他の形態]
照明中心校正治具の形態や中心の表示方法は限定されない。図示例の照明中心校正治具110は正方形の対角線111の交点112で中心表示しているので、対角線111を第1台座ベース30の傾斜の方向と傾斜の程度の目安として利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は画像解析による缶蓋の検査機に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1…缶蓋検査機
10…支柱
20…照明器
30…第1台座ベース
31…覗き穴
50…カメラ
51…本体部
52…レンズ保持筒
60…座板
64…ブラケット
100…カメラ位置決め治具
101…完全環体
102…部分環体
103…鍔部
110…照明中心校正治具
112…交点(照明器の中心)
P1…照明器の中心線
P2…覗き穴の中心線
P3…レンズ保持筒の中心線