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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】排水管の清掃方法
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/304 20060101AFI20221020BHJP
   E03C 1/12 20060101ALI20221020BHJP
   B08B 9/049 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
E03C1/304
E03C1/12 C
B08B9/049 495
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018194604
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063565
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 秀司
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-226397(JP,A)
【文献】特開2011-074928(JP,A)
【文献】特開2009-062811(JP,A)
【文献】特開2018-025073(JP,A)
【文献】特開2016-217026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/304
E03C 1/12
B08B 9/049
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水回り器具からの排水を流す排水管の清掃方法であって、
前記排水管に支持されて、前記排水管に形成された清掃口の周囲を覆う筒状の基部と、該基部の軸方向の一端側に一体的に設けられ、前記清掃口から挿入される洗浄ノズルを備えたホースを該基部の軸方向に対して所定の方向に傾斜した方向に案内可能とする案内部と、を含んで構成されるガイド部材を取り付ける第1工程と、
前記ガイド部材の内部を通って、前記清掃口から前記排水管の内部に前記洗浄ノズルを挿入する第2工程と、を含み、
前記案内部は、前記基部の軸方向の一端側の周縁部から軸方向外側へ立設された壁部を有し、該壁部は該周縁部から外側へ向かうにつれて内径が徐々に拡径されていることを特徴とする、排水管の清掃方法。
【請求項2】
水回り器具からの排水を流す排水管の清掃方法であって、
前記排水管に支持されて、前記排水管に形成された清掃口の周囲を覆う筒状の基部と、該基部の軸方向の一端側に一体的に設けられ、前記清掃口から挿入される洗浄ノズルを備えたホースを該基部の軸方向に対して所定の方向に傾斜した方向に案内可能とする案内部と、を含んで構成されるガイド部材を取り付ける第1工程と、
前記ガイド部材の内部を通って、前記清掃口から前記排水管の内部に前記洗浄ノズルを挿入する第2工程と、を含み、
前記清掃口は、前記排水管における住戸の外側に配置された部分に設けられていることを特徴とする、排水管の清掃方法。
【請求項3】
前記清掃口は、横方向に延在し水廻り器具からの排水を流す横引き管と、前記横引き管の下流側に配置され、略鉛直方向に延在する竪管と、を連結させる継手を構成する屈曲部の少なくとも一部と重なる位置に設けられていることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の排水管の清掃方法。
【請求項4】
前記清掃口は、前記屈曲部の全体と重なる位置に設けられていることを特徴とする、
請求項3に記載の排水管の清掃方法。
【請求項5】
前記ガイド部材は、弾性変形可能な弾性体で形成されていることを特徴とする、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の排水管の清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水管の清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、排水管(排管)に、蓋で閉塞可能な開口が形成された継手を予め接続しておき、排水管内の洗浄を行う場合に、蓋を外して開口から排水管内に洗浄ノズルを挿入する排管清掃方法が開示されている。
【0003】
また、この特許文献1には、継手の開口から洗浄用の水が外部へ飛散することを防止するために、開口の周囲を覆うガイド管を取り付ける構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018―025073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記先行技術に記載のガイド管は、排管の軸方向と直交する方向を軸方向とする円筒形状とされている。このため、当該ガイド管の内部を通って排管の内に洗浄ノズルを挿入すると、洗浄ノズルのホースが継手の開口を通る際に大きく折り曲がるため、ホースが挿入し難くなる場合が考えられる。よって、この点において改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、排水管の内部が洗浄し易くなる排水管の清掃方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る排水管の清掃方法は、水回り器具からの排水を流す排水管の清掃方法であって、前記排水管に支持されて、前記排水管に形成された清掃口の周囲を覆う筒状の基部と、該基部の軸方向の一端側に一体的に設けられ、前記清掃口から挿入される洗浄ノズルを備えたホースを該基部の軸方向に対して所定の方向に傾斜した方向に案内可能とする案内部と、を含んで構成されるガイド部材を取り付ける第1工程と、前記ガイド部材の内部を通って、前記清掃口から前記排水管の内部に前記洗浄ノズルを挿入する第2工程と、を含み、前記案内部は、前記基部の軸方向の一端側の周縁部から軸方向外側へ立設された壁部を有し、該壁部は該周縁部から外側へ向かうにつれて内径が徐々に拡径されていることを特徴とする。
請求項2に記載の本発明に係る排水管の清掃方法は、水回り器具からの排水を流す排水管の清掃方法であって、前記排水管に支持されて、前記排水管に形成された清掃口の周囲を覆う筒状の基部と、該基部の軸方向の一端側に一体的に設けられ、前記清掃口から挿入される洗浄ノズルを備えたホースを該基部の軸方向に対して所定の方向に傾斜した方向に案内可能とする案内部と、を含んで構成されるガイド部材を取り付ける第1工程と、前記ガイド部材の内部を通って、前記清掃口から前記排水管の内部に前記洗浄ノズルを挿入する第2工程と、を含み、前記清掃口は、前記排水管における住戸の外側に配置された部分に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の本発明に係る排水管の清掃方法では、排水管の清掃口にガイド部材を取り付け、ガイド部材を介して清掃口から排水管の内部へ洗浄ノズルを挿入する。そして、洗浄ノズルから水を噴出させながら管材へ洗浄ノズルのホースを順次送り込む。これにより、排水管の内部を順次洗浄することができる。
【0009】
ここで、排水管には、清掃口の周囲を覆う筒状のガイド部材が取り付けられているため、清掃口から洗浄用の水が外部へ飛散することが防止される。これにより、作業場が洗浄用の水で汚されることなく作業できるため、清掃作業の効率が向上される。
【0010】
さらに、ガイド部材を介して排水管の内部へ洗浄ノズルを挿入する際に、洗浄ノズルのホースがガイド部材の案内部によって所定の方向に傾斜しながら支持される。このため、洗浄ノズルの導入方向に合わせてホースを傾斜させながら挿入することができるため、排水管内部へ洗浄ノズルを挿入する作業が容易になる。
また、ガイド部材の案内部が基部の軸方向の一端側の周縁部から軸方向外側へ立設された壁部を有している。この壁部は、向かうにつれて内径が徐々に拡径されている。つまり、案内部の壁部は基部の軸方向に対して所定の方向に傾斜されている。これにより、ガイド部材を介して排水管の内部へ洗浄ノズルを挿入する際に、洗浄ノズルのホースが案内部の壁部によって所定の方向に傾斜しながら支持される。さらに、壁部によるホースの支持面を変更することにより、ガイド部材を取り付けたままで、ホースの傾斜方向を変更することができる。これにより、排水管内部へ洗浄ノズルを挿入する作業が、一層、容易になる。
請求項2に記載の本発明に係る排水管の清掃方法では、洗浄ノズルを挿入する清掃口が住戸の外側に配置されている。このため、作業員が住戸内に入ることなく洗浄作業を行うことができ、清掃作業に伴う入居者等への影響を抑えることができる。よって、清掃作業の利便性が向上される。
【0011】
請求項3に記載の本発明に係る排水管の清掃方法は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記清掃口は、横方向に延在し水廻り器具からの排水を流す横引き管と、前記横引き管の下流側に配置され、略鉛直方向に延在する竪管と、を連結させる継手を構成する屈曲部の少なくとも一部と重なる位置に設けられている。
【0012】
請求項3に記載の本発明に係る排水管の清掃方法では、洗浄ノズルを挿入する清掃口は、横引き管と竪管とを連結させる継手の屈曲部の少なくとも一部と重なる位置に設けられている。従って、清掃口を通じて横引き管側と竪管側のいずれにも洗浄ノズルを挿入し易い構造とされているため、横引き管及び竪管の内部へ洗浄ノズルを挿入する作業が容易になる。
【0013】
請求項4に記載の本発明に係る排水管の清掃方法は、請求項3に記載の構成において、前記清掃口は、前記屈曲部の全体と重なる位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の本発明に係る排水管の清掃方法では、洗浄ノズルを挿入する清掃口が排水管の屈曲部の全体と重なる位置に設けられている。このため、清掃口から屈曲部の両側に位置する排水管の内部へのアクセスが一層容易になる。これにより、排水管内部へ洗浄ノズルを挿入する作業が、一層、容易になる。
【0017】
請求項5に記載の本発明に係る排水管の清掃方法は、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の構成において、前記ガイド部材は、弾性変形可能な弾性体で形成されている。
【0018】
請求項5に記載の本発明に係る排水管の清掃方法では、ガイド部材が、弾性変形可能な弾性体で形成されている。このため、排水管の内径寸法が小さい場合等、洗浄ノズルのホースを排水管に沿わせるように大きく傾斜させながら挿入する必要がある場合には、ガイド部材を弾性変形させてホースを洗浄ノズルの挿入方向に合わせて傾斜させることができる。これにより、様々な形状の排水管の洗浄に対応することができ、清掃作業の汎用性が高められている。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明に係る排水管の清掃方法によれば、排水管内部へ洗浄ノズルを挿入する作業を容易にし、かつ、清掃作業の効率を向上することにより、排水管の内部が洗浄を容易にすることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】サイホン排水システムの全体構造を示す側面図である。
図2】清掃口付き継手を示す一部を断面とした斜視図である。
図3】清掃口付き継手を示す一部を断面とした分解斜視図である。
図4】中子と蓋を外した清掃口付き継手を示す平面図である。
図5】中子を示す斜視図である。
図6図2に示す清掃口付き継手の6-6線断面図である。
図7】洗浄ノズルを挿入した清掃口付き継手を示す断面図である。
図8】ガイド部材を挿入した清掃口付き継手を示す一部を断面にした斜視図である。
図9】ガイド部材の変形例を示す図8に対応する斜視図である。
図10】清掃口継手の変形例を示す図8に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1図8に基づいて、本発明の一実施形態に係る清掃口付き継手50を用いたサイホン排水管44の清掃方法について説明する。図1には、本実施形態に係る清掃口付き継手50が用いられたサイホン排水システム10の全体構成が概略図にて示されている。本実施形態に係るサイホン排水システム10は、サイホン力を利用して水回り器具からの排水を効率よく排出する排水システムである。
【0024】
(サイホン排水システムの概略)
サイホン排水システム10は、複数階で構成された集合住宅に用いられ、図1に示すように、排水を下方へ流す排水立て管12を備えている。この排水立て管12は、集合住宅の上下方向(鉛直方向)に延設され、集合住宅の各階の床スラブ14を貫いている。なお、排水立て管12は、住戸の内外を仕切る外壁16の外側、例えば、メーターボックス18の中に配置されている。本実施形態のサイホン排水システムは、集合住宅に好適に用いられるが、集合住宅以外の戸建て住宅や工場等にも用いることができる。
【0025】
集合住宅の各階の各戸には、水回り器具20が設けられている。この水回り器具20は、一例としてキッチンのシンクであり、排水方向下流側にディスポーザー22、及び排水トラップ24が接続されている。排水トラップ24の排水方向下流側には、L字状に曲げられたL字配管部材26が配置されている。L字配管部材26は、排水トラップ24に接続されて鉛直方向に延びる鉛直部26A、床スラブ14の上に水平方向に配置されて水平方向に延びる水平部26B、及び鉛直部26Aと水平部26Bとを繋ぐ湾曲部26Cを含んで構成されている。
【0026】
L字配管部材26の排水方向下流側には、床スラブ14の上に配置されて水平方向、言いかえれば鉛直方向に対して直角方向に延びる横引き管部材28が配置されている。L字配管部材26と横引き管部材28とは、継手30を介して接続されている。
【0027】
横引き管部材21の排水方向下流側の端部には、継手32を介して後述する清掃口付き継手50の第1接続部60が接続されている。清掃口付き継手50の下流側には、床スラブ14を貫通して配置され、上下方向に延びる竪管部材36が配置されている。この竪管部材36の上流側の端部には、清掃口付き継手50の第2接続部62が接続されている。
【0028】
竪管部材36の排水方向下流側の端部は、排水立て管12の中間部に取付けられた合流継手40に継手42を介して接続されている。
【0029】
本実施形態において、床スラブ14の上に水平に配置されている配管部分、具体的にはL字配管部材26の水平部26B、横引き管部材28、がサイホン排水管44の横引き管46とされ、竪管部材36がサイホン排水管44の竪管48とされている。なお、サイホン排水管44が本発明における「排水管」に相当する。
【0030】
(継手の構成)
図2、及び図3に示すように、本発明の継手の一例である清掃口付き継手50は、本体部52、閉塞部材としての中子54、及び蓋56を含んで構成されている。本実施形態の本体部52、中子54、及び蓋56は、合成樹脂で形成されている。
【0031】
本体部52は、不透明な合成樹脂で形成されており、筒状をなす本体管部58を備えている。本体管部58は、略L字状に湾曲されており、横引き管46の軸方向に沿って延在する水平部58Aと、竪管48の軸方向に沿って延在された鉛直部58Bと、を備えている。また、本体管部58は、水平部58Aの下流側の端部と鉛直部58Bの上流側の端部とを繋ぐ屈曲部58Cを備えている。換言すると、本体管部58は、屈曲部58Cを中心に湾曲された筒体をなしている。また、屈曲部58Cの両側に配置された水平部58Aと鉛直部58Bは、互いに直交する方向に延在している。なお、本体管部58の内径は、一定の径で形成されている。
【0032】
さらに、本体管部58には、水平部58Aの上流側の端部に第1接続部60が一体的に形成され、鉛直部58Bの下流側の端部に第2接続部62が一体的に形成されている。
【0033】
第1接続部60は、本体管部58の径よりも大径に形成されており、継手32が挿入可能となっている。第2接続部62は、本体管部58の径よりも大径に形成されており、竪管48の上流側の端部が挿入可能となっている(図2参照)。このように、本実施形態のサイホン排水管44の清掃口付き継手50は、横引き管46と竪管48とを連結しており、略水平方向(横方向)に延在する配管を鉛直下方側へ落とし込む曲げ管として機能している。なお、本実施形態の清掃口付き継手50において、第1接続部60と第2接続部62とは同一形状であり、第1接続部60の内径と第2接続部62の内径は同一内径とされている。
【0034】
さらに、上記した第2接続部62は、床スラブ14の床面14Aに図示しない固定手段を用いて固定されている。これにより、清掃口付き継手50が床スラブ14によって下方側から支持されている(図1参照)。
【0035】
図2図3図6に示されるように、本体管部58には、円筒状に形成され、本体管部58の上面から鉛直上方側へ立設された側管部64が一体的に設けられている。具体的には、側管部64は、本体管部58を構成する水平部58Aの上面から屈曲部58Cの上面に亘って設けられている。この側管部64の径は、本体管部58の径よりも大径に形成されている。
【0036】
また、側管部64と本体管部58との間には、仕切壁66が設けられている。仕切壁66の中央には、仕切壁66を上下方向に貫通する清掃口68が形成されている。これにより、側管部64の内部と本体管部58の内部とが清掃口68を介して連通している。
【0037】
清掃口68は、平面視で長尺な矩形状に形成されており、長手方向が横引き管46の軸方向に一致している。また、清掃口68は、平面視で本体管部58の水平部58A及び屈曲部58Cと重なる位置に形成されている。具体的には、図4に示すように、清掃口68は、平面視で本体管部58の水平部58Aと屈曲部58Cの外形より一回り大きく形成されている。このため、仕切壁66に形成された清掃口68を通して、水平部58Aと鉛直部58Bの内部が視認可能とされている。また、清掃口68の周縁部と本体管部58との境界部分には、本体管部58の水平部58Aの下流側端部、屈曲部58C、鉛直部58Bの上流側端部に亘って連続して形成された段差部67が設けられている。
【0038】
図3図4図6に示すように、側管部64の下端部かつ内周面には、側管部64の径方向の内側(中心側)へ突出した環状の段部70が形成されている。一方、側管部64の外周面には、側管部64の軸方向の上部に雄螺子72が形成されており、雄螺子72の下方側には、環状溝74が形成されている。この環状溝74には、Oリング76が装着されている。
【0039】
図2に示すように、側管部64の内部には、中子54が挿入されている。中子54は、透明な合成樹脂で形成されている。図5にも示すように、中子54は、側管部64の内部に挿入される円筒部78を備え、円筒部78の軸方向の下端部には清掃口68に嵌合する清掃口閉塞部80が円筒部78と一体的に形成されている。
【0040】
円筒部78には、軸方向下端部の外周面に環状溝82が形成されており、この環状溝82には、Oリング84が装着されている。図2、及び図6に示すように、中子54が側管部64の内部に挿入された状態では、Oリング84が側管部64の内周面に接触し、中子54と側管部64との間の隙間をシールする構成とされている。
【0041】
図2、及び図5に示すように、清掃口閉塞部80は、L字状に湾曲された板材として形成され、側管部64の内部に中子54を挿入した際に、清掃口68を上方側から覆うように配置される。また、上記した通り、中子54は透明な合成樹脂で形成されているため、側管部64の内部に中子54を挿入した状態で外部から本体管部58の内部が視認可能とされている。なお、中子54を半透明な合成樹脂で形成する構成としてもよい。
【0042】
また、清掃口閉塞部80は、清掃口閉塞部80の延在方向と直行する方向に沿った断面形状が、本体管部58側に開放された略円弧状とされている。さらに、清掃口閉塞部80の内面を構成する湾曲面86の曲率半径は、本体管部58内周面の曲率半径と一致している。従って、清掃口閉塞部80を清掃口68に嵌合させた状態では、清掃口閉塞部80の周縁部が段差部67に嵌合し、清掃口閉塞部80の湾曲面86は、本体管部58の内周面と段差無く繋がる構成とされている。これにより、中子54の清掃口閉塞部80が、屈曲部58Cの一部を構成している。
【0043】
蓋56の内周部には、側管部64の雄螺子72に螺合する雌螺子88と、側管部64のOリング76が接触する接触部90が形成されている。側管部64に蓋56を取り付けると、側管部64のOリング76が蓋56の接触部90に接触し、側管部64と蓋56との間の隙間をシールする構成とされている。なお、蓋56は、中子54と同様に、透明又は半透明な合成樹脂で形成されることが好ましい。蓋56を透明又は半透明な合成樹脂で形成した場合、蓋56を側管部64に装着した状態で、蓋56、中子54を通して本体管部58の内部を視認可能とされる。
【0044】
(サイホン排水管44の内部を洗浄する方法)
次に、本実施形態のサイホン排水管44の内部を洗浄する際の手順を以下に説明する。
【0045】
(1) 先ず、水廻り器具20からの排水を停止し、清掃口付き継手50から蓋56を取り外し、側管部64の内部から中子54を取り出して、図7に示すように清掃口68を露出させる。
【0046】
(2) 次に、図8に示すように清掃口付き継手50の側管部64に筒状に形成されたガイド部材92を取り付ける(第1工程)。ガイド部材92は、ゴム等の弾性体により構成され、略円筒状に形成された基部92Aと、基部92Aの軸方向の一端側の周縁部から一体に形成された案内部92Bを備えている。案内部92Bは、基部92Aの軸方向一端側の周縁部から軸方向外側へ立設され、側面視ですり鉢状をなす壁部92B1を備えている。換言すると、壁部92B1は、基部92Aの周縁部から外側へ向かうにつれて内径が徐々に拡径されており、基部92Aの軸方向に対して所定の方向に傾斜している。ガイド部材92の取付作業は、円筒状の基部92Aを側管部64の内側に挿入することにより完了する。この状態において、案内部92Bの内側面は、基部92Aの軸方向(鉛直方向)に対して径方向外側へ傾斜して配置されている。
【0047】
(3) 次に、洗浄ノズル92をガイド部材92を介して清掃口68に挿入し、横引き管46と竪管48の内部を洗浄する(第2工程)。清掃口付き継手50よりも上流側の横引き管46の内部を洗浄する場合には、図7に実線で示すように、水wを噴射する洗浄ノズル92を、清掃口68から本体管部58の水平部58A側へ送り込み、横引き管46の内部へ向けて挿入する。そして、洗浄ノズル92から水wを噴出させながら横引き管46の上流側へホース94を順次送り込む。これにより、横引き管46の内部を順次洗浄することができる。なお、洗浄で使用された水wは、竪管48側へ流れて排水立て管12に排出される。
【0048】
ここで、清掃口68の周りはガイド部材92の側面で覆われているため、洗浄用の水wが清掃口付き継手50の外部に飛散するということが抑制される。さらに、洗浄ノズル92を横引き管46の上流側に送り込む際、側管部64よりも外側に配置されたホース94が、ガイド部材92の案内部92Bによって緩やかに傾斜しながら支持される。このため、ガイド部材92を介して清掃口68へ洗浄ノズル94を挿入する場合でも、ホース96を洗浄ノズル94の進行方向に沿って支持することができるため、洗浄ノズル94及びホース96の送り込み作業が容易に行える構成とされている。
【0049】
なお、排管の内径寸法が小さい場合等、ホース96を排管に沿って大きく傾斜させながら挿入する必要がある場合には、ゴム製の案内部92Bを弾性変形させて傾斜方向を変更し、ホース96を挿入方向に合わせて支持可能とされている。
【0050】
一方、清掃口付き継手50よりも下流側の竪管48の内部を洗浄する場合には、図7に2点鎖線で示すように、水wを噴射する洗浄ノズル92を、清掃口68から本体管部58の鉛直部58B側へ送り込み、竪管48の内部へ向けて挿入する。そして、洗浄ノズル92から水wを噴出させながら竪管48の下流側へホース94を順次送り込む。これにより、竪管48の内部を順次洗浄することができる。本実施形態では、清掃口68が、平面視で本体管部58の屈曲部58Cと重なる位置に形成されている。このため、洗浄ノズル94を清掃口68から鉛直下方側へ挿入することで竪管48の内部へ洗浄ノズル94を送り込むことができる。これにより、洗浄ノズル94のホース96をほとんど折り曲げることなく竪管48内部の洗浄作業が可能とされている。なお、洗浄で使用された水wは、竪管48の下流側へ流れて排水立て管12に排出される。
【0051】
(作用、効果)
次に、本実施形態に係るサイホン排水管44の内部の清掃方法の作用並びに効果について説明する。
【0052】
本実施形態のサイホン排水管44は、水平方向に延在し水廻り器具20からの排水を流す横引き管46と、横引き管46の下流側に配置され、略鉛直方向に延在する竪管48と、両者を連結させる清掃口付き継手50を含んで構成されている。また、清掃口付き継手50は屈曲部58Cを中心に湾曲されている。屈曲部58Cの全体と重なる部位に清掃口68が設けられている。
【0053】
このサイホン排水管44の内部の清掃作業は、予め、清掃口68に該清掃口68の周囲を覆うガイド部材92を取り付けて、ガイド部材92の内部を通って、清掃口68からサイホン排水管44の内部に洗浄ノズル94を挿入することにより行われる。
【0054】
本実施形態では、洗浄ノズル94が挿入される清掃口68が、清掃口付き継手50を構成する屈曲部58Cの全体と重なる部位に設けられている。このため、洗浄ノズル94を屈曲部58Cの近傍から挿入することができるため、清掃口68を通じて横引き管46側と竪管48側のいずれにも洗浄ノズル94を挿入し易い構造とされている。その結果、洗浄ノズル94のホース96がサイホン排水管44の内部で急激に折り曲げられることが抑制され、排水管の内部へ洗浄ノズル94を挿入する作業が容易になる。
【0055】
また、サイホン排水管44の清掃口68は、その周囲が筒状のガイド部材92で覆われているため、清掃口68から洗浄用の水wが外部へ飛散することを防止することができる。これにより、作業場(メーターボックス18の中)が洗浄用の水wで汚されることなく作業できるため、清掃作業の効率を向上させることができる。
【0056】
さらに、ガイド部材92を介してサイホン排水管44の内部へ洗浄ノズル94を挿入する際に、洗浄ノズル94のホース96がガイド部材92の案内部92Bによって所定の方向に傾斜しながら支持される。このため、洗浄ノズル94の導入方向に合わせてホース96を傾斜させながら挿入することができるため、サイホン排水管44の内部へ洗浄ノズル94を挿入する作業が容易になる。
【0057】
また、本実施形態において、ガイド部材92の案内部92Bは、基部92Aの軸方向の一端側の周縁部から軸方向外側へ立設された壁部92B1を有している。また、この壁部92B1は該周縁部から外側へ向かうにつれて内径が徐々に拡径されている。壁部92B1によるホース96の支持面を変更することにより、ガイド部材92を取り付けたままで、ホース96の傾斜方向を変更することができる。これにより、サイホン排水管44の内部へ洗浄ノズル94を挿入する作業が、一層、容易になる。
【0058】
また、本実施形態では、ガイド部材が、ゴム等の弾性変形可能な弾性体で形成されている。このため、サイホン排水管44の内径寸法が小さい場合等、洗浄ノズル94のホース96を排水管に沿わせるように大きく傾斜させながら挿入する必要がある場合には、ガイド部材92の案内部92Bを弾性変形させてホース96を洗浄ノズル94の挿入方向に合わせて傾斜させることができる。これにより、様々な形状の排水管の洗浄に対応することができ、清掃作業の汎用性が高められている。
【0059】
また、本実施形態では、清掃口付き継手50がメーターボックス18の中に配置されているため、清掃口68が住戸の外側に配置されている。このため、作業員が住戸内に入ることなく洗浄作業を行うことができ、清掃作業に伴う入居者等への影響を抑えることができる。よって、清掃作業の利便性を向上することができる。
【0060】
[補足説明]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0061】
例えば、上記実施形態では、清掃口付き継手50を構成する中子54及び蓋56の全体を透明又は半透明の合成樹脂で形成する構成としたが、本発明はこれに限らない。中子54、及び蓋56の一部が透明又は半透明の合成樹脂で形成する構成としてもよい。具体的には、中子54の円筒部78を不透明な合成樹脂で形成し、清掃口閉塞部80を透明な合成樹脂で形成してもよい。つまり、中子54及び蓋56において、平面視で清掃口付き継手50の清掃口68を重なる部位が透明又は半透明な合成樹脂で形成されていればよい。
【0062】
また、本発明はこれに限らず、中子54及び蓋56の全体を不透明な合成樹脂で形成する構成としてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、清掃口付き継手50の清掃口68が、継手の曲がり部全体と重なる位置に形成される構成としたが、本発明はこれに限らない。清掃口68は継手の曲がり部(本体管部58の屈曲部58C)の少なくとも一部と重なる位置に形成されていればよく、平面視で、本体管部58の水平部58A及び鉛直部58Bの内部の少なくとも一部が視認可能であることが好ましい。
【0064】
また、本実施形態では、横引き管46及び竪管48の内部を洗浄する方法の一例として、清掃口付き継手50の側管部64にガイド部材92を装着する構成としたが、本発明はこれに限らない。側管部64にガイド部材92を装着せず、直接側管部64に洗浄ノズル94を挿入して洗浄してもよい。また、本実施形態では、ガイド部材92を弾性変形可能なゴム製としたが、弾性変形しない合成樹脂で形成してもよい。
【0065】
また、横引き管46及び竪管48の内部を洗浄する方法の一例として、図9に示されるガイド部材100を側管部64に装着してもよい。ガイド部材100は、合成樹脂により形成され、略円筒状をなす基部100Aと、基部100Aの軸方向の一端側の周縁部に一体に形成された案内部100Bを備えている。案内部100Bは、基部100Aの軸方向一端側の周縁部から軸方向の外側へ立設された壁部100B1を備えている。この壁部100B1の内径は、基部100A周縁部から外側に向かうにつれて徐々に縮径されており、若干先細りした筒体状に形成されている。また、壁部100B1は、基部100Aの軸方向に対して所定の方向に傾斜されている。ガイド部材100の取付作業は、円筒状の基部100Aを清掃口付き継手50の側管部64の内側に挿入することにより完了する。
【0066】
このガイド部材100では、側管部64への基部100Aの挿入方向を軸回りに回転させて変更することにより、案内部100Bの延在方向を所定の方向に変更することができる。このため、横引き管46の洗浄時には、横引き管46の延在方向に合わせて案内部100Bが配置される向きにガイド部材100を装着する(図9に示す実線位置参照)。そして、竪管48の洗浄時には、ガイド部材の向きを変更し、竪管48の延在方向に合わせて案内部100Bを配置する(図9に示す2点鎖線位置参照)。これにより、ガイド部材100を用いて洗浄ノズル94をその導入方向に合わせて支持することができるため、上記実施形態と同様に、排管内部への洗浄ノズル94の挿入作業を容易に行うことができる。また、案内部100Bの壁部100B1は、先端に向かうにつれて先細りしているため、洗浄ノズル94から噴出する洗浄用の水wが外部へ飛散しにくい構成とされている。
【0067】
また、図9に示されるように、配管の内部の清掃作業時に案内部100Bの上端部の挿通口100B2に蓋部材200を嵌合させてもよい。これにより、清掃口68から洗浄用の水wが外部へ飛散することを一層効果的に抑制することができる。蓋部材200は、一例としてゴム等の弾性体により形成され、略円柱形状とされている。また、蓋部材200は、軸方向に沿った中心にホース96が移動可能に挿通されている。蓋部材200外形寸法は挿通口100B2の内径よりも若干小さく設定されており、挿通口100B2から案内部100Bの内部に圧入されることにより、挿通口100B2に嵌合する構成とされている。なお、ガイド部材100は、合成樹脂製に限らず、ゴム等の弾性体により形成する構成としてもよい。
【0068】
また、本実施形態では、清掃口付き継手50が、横引き管46と竪管48との連結部に設けられる構成としたが、本発明はこれに限らない。図10に示される清掃口付き継手300のように、継手の本体部52を構成する本体管部302を略円筒状に形成し、直線状に配置された配管経路の途中に清掃口付き継手300が接続される構成としてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、ガイド部材92の案内部92Bの形状を、側面視ですり鉢状をなす形状としたが、本発明はこれに限らない。例えば、側面視で円柱台形状をなす形状としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、清掃口付き継手50をサイホン排水管44に接続したが、下流側へ向けて傾斜する一般的な勾配配管に接続してもよい。また、清掃口付き継手50を水平方向に延在する横引き管46と鉛直下方に延在する竪管48とに接続される構成としたが、これに限らず、水平面上において互いに異なる方向に延在する2本の排管の連結部に適用してもよい。
【符号の説明】
【0071】
20…水廻り器具、44…サイホン排水管(排水管)、46…横引き管、48…竪管、50…清掃口付き継手(継手)、58C…屈曲部、68…清掃口、92…ガイド部材、92A…基部、92B…案内部、92B1…壁部、100…ガイド部材、100A…基部、100B…案内部、100B1…壁部
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