(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-10-19
(45)【発行日】2022-10-27
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20221020BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20221020BHJP
【FI】
H05K5/02 L
H01R13/52 B
(21)【出願番号】P 2018225973
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 泰明
(72)【発明者】
【氏名】竹中 照雄
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-062220(JP,A)
【文献】特開2015-065140(JP,A)
【文献】特開2012-151212(JP,A)
【文献】特開2018-125459(JP,A)
【文献】特開2005-150545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に突起部が形成されるコネクタと、
開口部が形成され、前記コネクタを収容する筐体と、
前記突起部を含む前記コネクタの少なくとも一部を露出させつつ前記筐体の前記開口部に取り付けられるとともに、前記開口部に取り付けられる際に前記突起部を通過させる間隙部が形成される蓋部と、
前記蓋部が前記筐体に取り付けられた状態のときに、前記間隙部を塞ぐ閉塞部と
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記閉塞部は、
前記筐体に形成されるとともに、前記間隙部を前記筐体の前記開口部とは反対側から塞ぐように形成されるリブ部を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記閉塞部は、
前記コネクタにおいて前記間隙部に対応する位置に形成される壁部を含むこと
を特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記間隙部に対して前記筐体の前記開口部とは反対側に形成されるとともに、前記間隙部から侵入した異物を溜める貯留部
を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の電子装置。
【請求項5】
外周面に突起部が形成されるコネクタと、
開口部が形成され、前記コネクタを収容する筐体と、
前記突起部を含む前記コネクタの少なくとも一部を露出させつつ前記筐体の前記開口部に取り付けられるとともに、前記開口部に取り付けられる際に前記突起部を通過させる間隙部が形成される蓋部と、
前記間隙部に対して前記筐体の前記開口部とは反対側に形成されるとともに、前記間隙部から侵入した異物を溜める貯留部と
を備えることを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコネクタなど種々の電子部品が実装される基板と、コネクタや基板などを収容する筐体とを備えた電子装置が知られている(例えば特許文献1参照)。従来技術に係る電子装置にあっては、コネクタや基板などが、筺体の開口部から挿入されて収容された後、かかる開口部に蓋部が取り付けられるように構成される。なお、蓋部は、コネクタの一部を露出させつつ筐体の開口部に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したコネクタの外周面には、突起部が形成されることがある。例えば、かかる突起部は、接続先の相手コネクタとの嵌合を容易にするための倍力機構の一部として形成されたり、これに限られず、その他の用途で形成されたりする。
【0005】
このように、コネクタの外周面に突起部が形成されると、上記した蓋部には、筺体の開口部に取り付けられる際にコネクタの突起部に当たってしまうことを回避するため、突起部を通過させる間隙部が形成される。
【0006】
しかしながら、間隙部が形成された蓋部においては、例えば、ゴミなどの異物が間隙部から筐体内へ侵入し易くなり、結果として異物が基板などに付着して、電子装置の故障の原因になるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、蓋部の間隙部から筐体内への異物の侵入を抑制することができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子装置において、コネクタと、筐体と、蓋部と、閉塞部とを備える。コネクタは、外周面に突起部が形成される。筐体は、開口部が形成され、前記コネクタを収容する。蓋部は、前記突起部を含む前記コネクタの少なくとも一部を露出させつつ前記筐体の前記開口部に取り付けられるとともに、前記開口部に取り付けられる際に前記突起部を通過させる間隙部が形成される。閉塞部は、前記蓋部が前記筐体に取り付けられた状態のときに、前記間隙部を塞ぐ。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、蓋部の間隙部から筐体内への異物の侵入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る電子装置の構成例を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、蓋部の間隙部付近を示す拡大斜視図である。
【
図7】
図7は、第2の実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態に係る蓋部の間隙部付近を示す拡大断面図である。
【
図9】
図9は、第3の実施形態に係る蓋部の間隙部付近を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電子装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電子装置の構成例を示す斜視図である。なお、
図1においては、説明の便宜のために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向で規定される3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。
【0013】
また、以下では、説明の便宜のため、Z軸正方向を「上方」、Z軸負方向を「下方」、X軸正方向を「右方」、X軸負方向を「左方」、Y軸正方向を「後方」、Y軸負方向を「前方」と記載する場合がある。なお、上記した上下左右など方向を示す表現は、電子装置の取り付け時の方向等を限定するものではない。また、
図1および後述する
図2以降の図は、いずれも模式図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る電子装置1は、内部に基板10(
図2参照)およびコネクタ20などが収容される装置である。かかる電子装置1は、例えば、図示しない車両に搭載されて、相手コネクタ100に接続可能に構成される。なお、上記では、電子装置1が車両に搭載されるようにしたが、これに限定されるものではない。また、電子装置1と相手コネクタ100との接続については後述する。
【0015】
図2は、電子装置1の分解斜視図である。
図2に示すように、電子装置1は、上記した基板10と、コネクタ20と、筐体30と、蓋部50とを備える。
【0016】
基板10は、例えば主面11に、コネクタ20など種々の電子部品が実装された電子回路基板である。基板10は、例えば樹脂製とされるが、これに限られない。また、基板10は、例えば、平板状であり、平面視矩形状に形成される。なお、基板10の形状は、上記に限定されるものではなく、例えば平面視正方形状などその他の形状であってもよい。
【0017】
コネクタ20は、基板10に実装され、
図1に示す相手コネクタ100が接続されるとき、基板10と相手コネクタ100とを電気的に接続する。具体的には、コネクタ20は複数(例えば2個)あり、第1コネクタ20aと、第2コネクタ20bとを含む。なお、上記では、コネクタ20を2個としたが、これに限られず、3個以上であっても1個であってもよい。
【0018】
第1、第2コネクタ20a,20bは、基板10の前方(Y軸負方向)側の端部に並列に配置される。詳しくは、第1コネクタ20aは、基板10の前方側で、かつ、左方(X軸負方向)側の端部に配置される一方、第2コネクタ20bは、基板10の前方側で、かつ、右方(X軸正方向)側の端部に配置される。
【0019】
なお、以下では、第1コネクタ20aおよび第2コネクタ20bを特に区別せずに説明する場合には「コネクタ20」と記載する。
【0020】
コネクタ20は、例えばオスコネクタである。また、コネクタ20は、例えば直方体状に形成される。具体的には、コネクタ20は、上部21と、下部22と、側壁部23a,23bと、後部24と、開口部25とを備える。上記した上部21、下部22、側壁部23a,23b、後部24、および、後述する突起部27は、例えば樹脂製とされるが、これに限られない。
【0021】
上部21は、コネクタ20全体の上方(Z軸正方向)側に配置される部位である。上部21は、例えば平板状であり、長手方向が左右方向に沿った平面視矩形状に形成される。下部22は、上部21の下方(Z軸負方向)に対向して配置される。また、下部22は、例えば平板状であり、長手方向が左右方向に沿った平面視矩形状に形成される。
【0022】
側壁部23aは、例えば平板状であり、上部21および下部22の左方の端部から連続して形成される。一方、側壁部23bは、例えば平板状であり、上部21および下部22の右方の端部から連続して形成される。すなわち、側壁部23aと側壁部23bとは、対向して配置される。
【0023】
後部24は、例えば平板状であり、上部21、下部22および側壁部23a,23bの後方(Y軸正方向)の端部から連続して形成される。これにより、コネクタ20にあっては、上部21、下部22、側壁部23a,23bおよび後部24に囲まれた内部空間Aが形成される。言い換えると、コネクタ20は中空状に形成される。そして、内部空間Aには、例えばコネクタ20のピン26が設けられる。
【0024】
開口部25は、コネクタ20全体の前方であって、後部24に対向する位置に形成される開口部分である。従って、コネクタ20にあっては、開口部25から相手コネクタ100(
図1参照)が挿入されて接続されることとなる。
【0025】
上記のように構成されたコネクタ20は、さらに、突起部27を備える。例えば、突起部27は、コネクタ20の上部21の外周面21aにおいて前方側、言い換えると、開口部25側に形成され、外周面21aから上方へ向けて突出するように形成される。なお、突起部27は、上部21と一体に形成されるが、これに限定されるものではなく、別体であってもよい。
【0026】
上記した突起部27は、例えば、コネクタ20の接続先である相手コネクタ100(
図1参照)との嵌合を容易にするための倍力機構の一部として形成される。
【0027】
ここで、コネクタ20と相手コネクタ100との接続について、
図1を参照して説明する。
図1に示すように、コネクタ20の突起部27は、電子装置1において露出するように位置される。なお、突起部27を電子装置1において露出させる構成については後述する。
【0028】
相手コネクタ100は、例えばメスコネクタである。相手コネクタ100は、複数(例えば2個)あり、第1相手コネクタ100aと、第2相手コネクタ100bとを含む。なお、第1相手コネクタ100aは、第1コネクタ20aに接続可能とされ、第2相手コネクタ100bは、第2コネクタ20bに接続可能とされる。
【0029】
第1、第2相手コネクタ100a,100bにはそれぞれ、ケーブル101と、嵌合用レバー102とが設けられる。ケーブル101は、図示しない車両に搭載される各種の車載機器と第1、第2相手コネクタ100a,100bとを接続するケーブルである。なお、以下では、第1相手コネクタ100aおよび第2相手コネクタ100bを特に区別せずに説明する場合には「相手コネクタ100」と記載する。
【0030】
嵌合用レバー102には、例えば、図示しないリンク機構やカム機構などの力伝達機構が接続され、力伝達機構を介して突起部27に係止可能とされる。なお、嵌合用レバー102や力伝達機構は、倍力機構の一部である。
【0031】
そして、コネクタ20と相手コネクタ100とを接続する際、嵌合用レバー102が操作されてコネクタ20の突起部27に係止し、突起部27を支点としたてこの原理を利用することで、相手コネクタ100をコネクタ20に押し込みつつ嵌合させる。これにより、コネクタ20と相手コネクタ100との嵌合(接続)に要する力を低減でき、嵌合(接続)を容易に行うことができる。なお、上記では、突起部27は、倍力機構の一部として形成されるようにしたが、これに限定されるものではなく、コネクタ20のガイドや固定などその他の用途で形成されるものであってもよい。
【0032】
図2の説明に戻ると、上記のように構成されたコネクタ20を有する基板10は、例えば、コネクタ20が実装される前方の端部とは反対側の端部、すなわち、後方の端部を先頭にして、筐体30に挿入されて収容される。
【0033】
筐体30は、上記した基板10やコネクタ20などを収容可能なケースである。例えば、筐体30は、直方体状に形成される。具体的には、筐体30は、上部31と、下部32と、側壁部33a,33bと、後部34と、開口部35とを備える。上記した上部31、下部32、側壁部33a,33b、後部34、および、後述するリブ部40などは、例えば樹脂製とされるが、これに限定されるものではない。
【0034】
上部31は、筐体30全体の上方側に配置される部位である。上部31は、例えば途中に段差を有する平板状であり、平面視矩形状に形成される。下部32は、上部31の下方に対向して配置される。また、下部32は、例えば平板状であり、平面視矩形状に形成される。
【0035】
側壁部33aは、例えば平板状であり、上部31および下部32の左方の端部から連続して形成される。一方、側壁部33bは、例えば平板状であり、上部31および下部32の右方の端部から連続して形成される。すなわち、側壁部33aと側壁部33bとは、対向して配置される。
【0036】
後部34は、例えば平板状であり、上部31、下部32および側壁部33a,33bの後方の端部から連続して形成される。これにより、筐体30にあっては、上部31、下部32、側壁部33a,33bおよび後部34に囲まれた内部空間Bが形成される。言い換えると、筐体30は中空状に形成される。
【0037】
開口部35は、筐体30全体の前方であって、後部34に対向する位置に形成される開口部分である。従って、筐体30にあっては、開口部35から基板10やコネクタ20などが挿入されて内部空間Bに収容される。
【0038】
図3は、筐体30を開口部35側から見た正面図である。
図2および
図3に示すように、筐体30はさらに、係止受け部36と、ガイド部37と、スリット部38(
図2で見えず)と、リブ部40とを備える。
【0039】
係止受け部36は、蓋部50を係止するための凸状の部位であり、例えば、側壁部33a,33bの外周面にそれぞれ形成される。ガイド部37は、挿入された基板10をガイドする。例えば、ガイド部37は、側壁部33a,33bの内周面にそれぞれ形成されるとともに、前後方向に延在する溝状に形成される。そして、ガイド部37は、基板10の左右の端部が溝状の部位に乗せられてスライドさせられる基板10を、筐体30の奥側へ向けてガイドする。
【0040】
スリット部38は、収容された基板10を挟持して保持可能に構成される。例えば、スリット部38は、
図3に示すように、筐体30において基板10の挿入方向の奥側、すなわち、後部34に形成される。スリット部38は、左右方向に延在する溝状に形成され、かかる溝の幅であるスリット幅dは、図示しない基板10の厚さより僅かに小さい値に設定される。これにより、筐体30に挿入される基板10はスリット部38に到達すると、基板10の後方の端部がスリット部38に圧入されることとなり、よってスリット部38は、基板10を厚さ方向に挟持して保持する。
【0041】
リブ部40は、
図2および
図3に示すように、筐体30の上部31の下面31aに一体に形成される。なお、上記では、リブ部40は、上部31と一体に形成されるようにしたが、これに限定されるものではなく、別体であってもよい。
【0042】
例えば、リブ部40は、柱部41と、下端部42とを備える。柱部41は、筐体30の上部31の下面31aから下方へ延在するように形成される、柱状の部位である。下端部42は、柱部41の下端に形成されるとともに、前後方向に延在するように形成される。
【0043】
柱部41および下端部42を備えたリブ部40は、筐体30の上部31において、上記したコネクタ20の突起部27、および、後述する蓋部50の間隙部57に対応する位置にそれぞれ形成される。
図2等に示す例では、突起部27および間隙部57はそれぞれ2個あるため、対応する位置に形成されるリブ部40も2個あるが、これに限定されるものではない。なお、リブ部40は、蓋部50の間隙部57を塞ぐ閉塞部の一例であり、上記した下端部42は、蓋部50の間隙部57を塞ぐように位置されるが、これについては後述する。
【0044】
次に、蓋部50について
図2および
図4を参照して説明する。
図4は、蓋部50の正面図である。
図2および
図4に示すように、蓋部50は、枠状に形成されるとともに、筐体30に取り付けられる(
図1参照)。なお、蓋部50は、樹脂製とされるが、これに限定されるものではない。
【0045】
詳しくは、蓋部50は、上部51と、下部52と、側壁部53a,53bとを備える。上部51は、コネクタ20全体の上方側に配置される部位であり、下部52は、上部51の下方に対向して配置される部位である。また、側壁部53aは、上部51および下部52の左方の端部から連続して形成される一方、側壁部53bは、上部51および下部52の右方の端部から連続して形成される。すなわち、側壁部53aと側壁部53bとは、対向して配置される。そして、上記した上部51、下部52および側壁部53a,53bによって囲まれた部分に、開口部55a,55bが形成され、蓋部50は、枠状に形成される。
【0046】
なお、開口部55aは、上記した第1コネクタ20aに対応し、蓋部50が筐体30に取り付けられたときに第1コネクタ20aを部分的に露出可能に構成される。また、開口部55bは、第2コネクタ20bに対応し、蓋部50が筐体30に取り付けられたときに第2コネクタ20bを部分的に露出可能に構成される。
【0047】
蓋部50は、係止部56をさらに備える。例えば、係止部56は、係止孔56a(
図2参照)を有し、側壁部53a,53bの外周面にそれぞれ形成される。係止部56は、蓋部50が筐体30に取り付けられるときに、係止孔56aが筐体30の係止受け部36に係止されることで、蓋部50を筐体30に固定することができる。
【0048】
上記のように構成された蓋部50は、基板12やコネクタ20が収容された筐体30の開口部35を覆うようにして、筐体30に取り付けられる。詳しくは、蓋部50は、突起部27や開口部25などコネクタ20の一部を露出させつつ(
図1参照)、筐体30の開口部35に取り付けられる。
【0049】
ここで、コネクタ20には突起部27が形成されることから、蓋部50には、筐体30の開口部35に取り付けられる際に突起部27に当たってしまうことを回避するための間隙部57が形成される。
【0050】
例えば、間隙部57は、蓋部50の上部51において後方の端部から下方に向けて延在する後壁部58に形成される。具体的には、間隙部57は、後壁部58においてコネクタ20の突起部27に対応する位置、言い換えると、蓋部50が筐体30に取り付けられる際に突起部27に当たる位置に形成される。間隙部57は、
図4に示すように、例えば正面視で矩形状の切り欠きであるが、かかる形状はあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0051】
蓋部50にあっては、上記した間隙部57によって空間C(
図4参照)が形成されることから、筐体30に取り付けられる際、突起部27は間隙部57の空間Cを通過することとなり、よって突起部27に当たってしまうことを回避することができる。
【0052】
このように、間隙部57が形成された蓋部50においては、例えば、ゴミや金属屑などの異物が間隙部57から筐体30内へ侵入し易くなる。異物が筐体30内へ侵入すると、例えば異物が基板10などに付着して、電子装置1の故障の原因になるおそれがある。
【0053】
そこで、本実施形態に係る電子装置1にあっては、蓋部50が筐体30に取り付けられた状態のときに、上記した筐体30のリブ部40を用いて間隙部57を塞ぐようにした。これについて、
図5および
図6を参照して説明する。
【0054】
図5は、
図1のV-V線断面図であって、リブ部40や間隙部57付近を示す拡大断面図である。また、
図6は、リブ部40や間隙部57付近を示す拡大斜視図である。なお、
図5では、リブ部40の位置を明確にするため、リブ部40を筐体30の上部31とは異なるハッチングを施して示している。
【0055】
図5および
図6に示すように、蓋部50が筐体30に取り付けられた状態のときに、リブ部40の下端部42は、前方の先端部42aが蓋部50の間隙部57に位置するように形成される。
【0056】
すなわち、リブ部40の下端部42は、間隙部57を筐体30の開口部35(
図5参照)とは反対側から塞ぐように形成される。言い換えると、リブ部40の下端部42は、筐体30の後方(奥側)から開口部35のある前方へ向けて延在して、先端部42aで間隙部57を塞ぐように形成される。
【0057】
これにより、本実施形態にあっては、例えば、
図5に矢印D1で示すように、筐体30の開口部35側から飛散する異物は、間隙部57から筐体30内へ侵入しにくくなり、よって間隙部57から筐体30内への異物の侵入を抑制することができる。また、本実施形態にあっては、筐体30内への異物の侵入を抑制することで、例えば異物が基板10などに付着することも抑制することができる。
【0058】
また、上記したリブ部40は、筐体30と一体に形成されるため、例えば別部品を用いることなく、簡易な構成で間隙部57を塞ぐことができる。
【0059】
上述してきたように、第1の実施形態に係る電子装置1は、コネクタ20と、筐体30と、蓋部50と、リブ部40(閉塞部の一例)とを備える。コネクタ20は、外周面21aに突起部27が形成される。筐体30は、開口部35が形成され、コネクタ20を収容する。蓋部50は、突起部27を含むコネクタ20の少なくとも一部を露出させつつ筐体30の開口部35に取り付けられるとともに、開口部35に取り付けられる際に突起部27を通過させる間隙部57が形成される。リブ部40は、蓋部50が筐体30に取り付けられた状態のときに、間隙部57を塞ぐ。これにより、蓋部50の間隙部57から筐体30内への異物の侵入を抑制することができる。
【0060】
(第2の実施形態)
次いで、第2の実施形態に係る電子装置1の構成について説明する。第2の実施形態にあっては、第1の実施形態に係る筐体30のリブ部40に代えて、コネクタ20に形成される壁部を用いて、蓋部50の間隙部57を塞ぐようにした。
【0061】
図7は、第2の実施形態に係るコネクタ20の斜視図である。
図8は、蓋部50の間隙部57付近を示す拡大断面図である。なお、以下においては、第1の実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図7および
図8に示すように、第2の実施形態に係るコネクタ20は、壁部29を備える。例えば、壁部29は、コネクタ20の上部21において、上記したコネクタ20の突起部27、および、蓋部50の間隙部57に対応する位置に形成される。具体的には、壁部29は、コネクタ20の上部21の外周面21aにおいて後方側に、上方へ向けて立設される。なお、壁部29は、閉塞部の一例である。
【0063】
そして、
図8に示すように、蓋部50が筐体30に取り付けられた状態のときに、壁部29は、蓋部50の間隙部57に位置するように形成される。すなわち、壁部29は、蓋部50の間隙部57を塞ぐように形成される。
【0064】
これにより、第2の実施形態にあっては、例えば、
図8に矢印D2で示すように、筐体30の開口部35側から飛散する異物は、間隙部57から筐体30内へ侵入しにくくなり、よって間隙部57から筐体30内への異物の侵入を抑制することができる。また、第2の実施形態にあっては、筐体30内への異物の侵入を抑制することで、例えば異物が基板10などに付着することも抑制することができる。
【0065】
また、上記した壁部29は、コネクタ20と一体に形成されるため、例えば別部品を用いることなく、簡易な構成で間隙部57を塞ぐことができる。
【0066】
(第3の実施形態)
次いで、第3の実施形態に係る電子装置1の構成について説明する。第3の実施形態にあっては、侵入した異物を所定の部位に溜めるような構成とした。これにより、侵入した異物が基板10などに付着することを抑制することができる。以下、
図9を参照しつつ第3の実施形態について説明する。
【0067】
図9は、第3の実施形態に係る蓋部50の間隙部57付近を示す拡大断面図である。
図9に示すように、第3の実施形態に係る電子装置1は、貯留部45を備える。例えば、貯留部45は、間隙部57に対して筐体30の開口部35とは反対側、すなわち後方(奥側)に形成される。そして、貯留部45は、間隙部57から侵入した異物Eを溜めることができる形状とされる。
【0068】
例えば、貯留部45は、底部46を含み、底部46とコネクタ20の上部31とによって構成される。詳しくは、底部46は、筐体30の上部31の下面31aから前方へ延在するように一体に形成されるとともに、前方の先端部46aが蓋部50の間隙部57の下方付近に位置するように形成される。なお、
図9では、底部46の位置を明確にするため、底部46をコネクタ20の上部31とは異なるハッチングを施して示している。
【0069】
これにより、蓋部50の間隙部57の後方(奥側)には、底部46と上部31とによって形成される空間Fを有する貯留部45が設けられることとなり、貯留部45は、かかる空間Fに間隙部57から侵入した異物Eを溜めることができる。
【0070】
従って、第3の実施形態にあっては、蓋部50の間隙部57から筐体30内(詳しくは、筐体30内において基板10などが収容される位置)への異物Eの侵入を抑制することができ、よって例えば侵入した異物Eが基板10などに落下して付着することを抑制することができる。
【0071】
また、上記した貯留部45の底部46は、筐体30と一体に形成されるため、例えば別部品を用いることなく、簡易な構成で貯留部45を設けることができる。なお、上記では、底部46は、筐体30と一体に形成されるようにしたが、これに限られず、別体であってもよい。
【0072】
なお、上記した第1から第3の実施形態は、適宜に組み合わせることができる。すなわち、例えば、第1の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて、リブ部40が蓋部50の間隙部57を塞ぐとともに、間隙部57の後方に貯留部45が設けられるように構成してもよい。また、例えば、第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて、壁部29が蓋部50の間隙部57を塞ぐとともに、間隙部57の後方に貯留部45が設けられるように構成してもよい。
【0073】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 電子装置
20 コネクタ
27 突起部
29 壁部
30 筐体
40 リブ部
45 貯留部
50 蓋部
57 間隙部